口腔内吸引 実施ガイドライン

参考資料(2)
介護職員の手順確認のためのチェック項目
口腔内吸引
実施ガイドライン
1
吸引(口腔内)
定 義
体制
整備
口腔内(肉眼で確認できる範囲)に貯留した唾液、喀痰等の分泌物などの身体に不必要な物質を、陰圧を用いて体外に排除すること
実施の
実施のプロセス
※ 看護職員と介護職員の協働により実施可 看護職員のみ実施可
○
○
【入所時又は
状態変化時】
入所時又は状態変化時】
・対象者の状態に関する情報の共有と報告・連絡・相談等の連携を図る
業
務指針を策定 チ
ームによるケア提供に必要な 研修 の受講
STEP1 安全管理
体制確保
・口腔内及び全身の状態を観察し、吸引の必要性を確認する
・看護職員と介護職員で協働して実施できるか看護職員のみで実施す
べ きか医師からの指示等をもとに対象者を判断する
【毎朝又は
回目実施時】
毎朝又は当該日の
当該日の第1回目実施時】
・口腔内及び全身の状態を観察する
STEP2 観察判断
【当該日の
回目以降】
当該日の第2回目以降
回目以降】
・医師の指示、対象者の状態から吸引の必要性、看護と介護の協働の
可能性を確認する
緊急時等
STEP3 実施準備
・必要な物品を準備し、対象者のもとに運ぶ
STEP7 評価記録
対象者
・施行時刻、施行者名等を記録する
STEP6 片付け
・吸引びんは70~80%になる前に
排液を捨てる ・使用物品をすみやかに片付ける
特別養護老人ホーム配置医師の包括的な
指示のもと、口腔内(肉眼で確認できる範
囲)の貯留物の除去のため、吸引が必要と
認められ、医師や看護職員の総合的なア
セスメントの結果、チームケアにおいて、安
全に実施されると判断された者
STEP4 ケア実施
・対象者に吸引の説明を行い、 環境
を整備する
・再度実施者により口腔内を観察する
・吸引を実施する
STEP5 結果確認
・対象者の状態を観察し、ケア責任者
(看護職員)に報告する
2
STEP1 安全管理体制確保
安全に吸引が実施できる者を選定すること及び緊急時に備える。
プロセス
内 容
実施者
1)対象者の状態に関する
看護職員
情報について、報告・連
介護職員
絡・相談等の連携を図る。
2)対象者の全身の状態や
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
吸引は、まれに迷走神経反射や低酸素
状態等を引き起こす危険性もあり、職員
必要な知識・技術
間の連携が重要である。
看護職員
口腔内の出血や腫れ等を観察し、吸引の刺
口腔内の病変の有無を観
激による悪化の可能性等から吸引の可否を確
察し、吸引の適応であるか
認する。
どうかを確認する。
3)対象者の状態、実施者
チェック項目
□前任者からの本人情
報の引き継ぎ、記録の
確認を行ったか?
看護職員
医師からの包括的指示や対象者の状態等を
の知識・技術等をアセスメ
もとに看護職員と介護職員の協働が可能か看
ントし、看護職員と介護職
護職員のみで実施すべきかを判断する。
◆本人の状態観察
・本人の確認
・表情や顔色
・体温
・呼吸
・意識
・口腔内の出血
・口腔内の腫れ 他
◆看護職員と介護職員
で相談し、連携の必要
性の確認
・観察技術
・職員の知識・技術
の程度
・医行為に関連する
関係法規
員が協働して実施できる
対象者か看護職員のみで
実施すべき対象者かを判
断する。
3
STEP2 観察判断
プロセス
内 容
咳嗽反射の有無
チェック項目
必要な知識・技術
対象者本人の協力が得られる場合は、説明 ◆口腔内及び全身状態 ・口腔から気管支まで及
の観察
を行い、口腔内を観察する。
び肺の解剖生理
・口腔内の状態
高齢者は義歯を使用している頻度が高いた
(出血や損傷の有無等) ・上気道内分泌物を増加
・咳嗽反射の有無
め、装着の状況を確認することは重要である。
させる疾患
・義歯の状態
咀嚼・嚥下は意識レベルや覚醒状況にも左
(総義歯か部分義歯か、 ・意識レベルを低下させ
義歯の状態
右されるため、バイタルサインや口腔内の状
(総義歯か部分義歯か、
態に加え、全身状態も観察しておく。
1)口腔内及び全身状態を
実施者
看護職員
観察する。
口腔内の状態
(出血や損傷の有無等)
留意事項
装着状況等)
全身状態
装着状況、気道内への
落ち込み等)
る疾患
・全身状態
・開口を促す技術
(意識レベル、覚醒の状
況、呼吸状態等)
・観察技術
・対象者の訴え
・義歯の取扱い
(意識レベル、覚醒の状
況、呼吸状態等)
対象者の訴え
2)吸引の必要性及び看護
職員と介護職員が協働し
看護職員
総合的に対象者の状態に関する情報をアセ
スメントし、判断する。
て実施できるか看護職員
のみが実施すべきかを医
師の指示及び対象者の状
態等から確認する。
4
◆看護職員と介護職員
との連携の必要性の
確認
・看護職員が実施すべ
き対象者の状態
STEP3 実施準備
吸引に必要な物品を選定・収集し、対象者のもとへ運ぶ。
プロセス
内 容
実施者
1)必要物品の選定をす
看護職員
る。
介護職員
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
チェック項目
必要な知識・技術
□必要物品を確認した ・吸引に必要な物品
対象者に合わせた物品を選定する。
か?
注水、吸引機能付き口腔洗浄器を使用する
・吸引器本体・備品
等安全に実施できるような器具を用意するな
(チューブ,吸引びん,ゴム手
ど安全な実施に配慮すること。
袋・ブロック型器材,カテーテル,
消毒液,吸引用水など)
□最低使用期限を確認し
たか?
(吸引器材をベッドサイドに
置く場合、チューブは 1
日 1 回、消毒液・吸引用
水は 8 時間ごとに交換)
2)必要物品をそろえ、作
看護職員
動状況等を点検確認する。 介護職員
ケアの途中で物品を取りに行くことがない
よう、必要物品を揃えておく。
また吸引器が正常に作動するかを事前に点
検しておく。
・吸引器の仕組み、吸引
器の取扱い
□吸引器の作動確認を
行ったか?
・コンセント
・スイッチ on-off
・その他
・消毒剤の副作用
3)必要物品を対象者のも
看護職員
使用しやすい位置に物品を置いておく。
とへ運ぶ。
介護職員
チューブを保管しておくために消毒剤を使
用するが、誤飲等が起きないよう注意する。
□チューブ保管用消毒
液の置き方に留意し
たか?(入所者の手の
届かない場所に置く、
・誤嚥や気道閉塞(窒息)
蓋をするなど)
を引き起こす事柄
※食事の際は緊急時に備
すぐに使用できるように、誤嚥や気道閉塞
え、すぐに吸引できるよう
(窒息)の危険がある対象者のそばに置いて
に予め準備しておく。
おく。
5
STEP4 ケア実施
吸引について対象者に説明し、吸引を適切かつ安全に実施する。
プロセス
内 容
実施者
看護職員
介護職員
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
※
チェック項目
必要な知識・技術
・観察技術
まずは、吸引器を使用しないでの除去
・口腔内清潔の技術
を試みるが、分泌物等の貯留物の量や貯留部
位及び水分が多い場合又は吸引の方が対象者
の苦痛・不安が少ない場合に実施する。
1)説明・環境整備
看護職員
・対象者に吸引の説明を
介護職員
する。
・プライバシー保護のため
カーテン・スクリーンを
する。
2)直前の準備
看護職員
・消毒剤入り容器に入れ
介護職員
吸引は対象者の協力が不可欠であり、十分 □ 吸 引 方 法 を 確 認 し た
か?
説明をしたあとに実施する。
□対象者への説明と理解
口を開け、苦痛を伴う処置のためプライバ
(納得)の確認を行っ
シーの保護に努める。
たか?
□カーテンなどによるプ
ライバシーの保護を行
ったか?
□チューブ等のつなぎを
確認したか?
□適切な吸引圧を確認し
たか?
てある吸引チューブを
・吸引の方法
・吸引器のしくみ
・吸引器の取扱い
取り出し、吸引器と連結
管で連結する。
・吸引器のスイッチを入
れてからチューブのコッ
事故予防のため、清潔な水を吸引して、吸
引力を観察し、適切な吸引力を設定する。
クを開き、水の入った容
・吸引器の作動確認
方法
・吸引器の取扱い
器へチューブを入れ、吸
引力の調整を行う。
6
3)吸引前の観察
看護職員
(観察項目)
介護職員
・口腔内の状態(出血や損
傷の有無)
・義歯の状態
口腔内の状況は朝、看護職員により観察さ □口腔内及び全身状態を
観察したか?
れ、異常がないことを確認されているが、実
・口腔内の状態
施前には再度、実施者の目で観察することが
(出血や損傷の有無等)
・咳嗽反射の有無
重要である。異常がある場合には、担当の看
・義歯の状態
護職員に連絡する。
・口腔内の貯留状況
・口腔内の分泌物等の
手洗いをし、手袋を着用する。
5)吸引の実施
看護職員
①チューブに付いている
介護職員
消毒剤は十分に洗い流す。
消毒剤を洗い流す。
②チューブの先端の水を
よく切る。
④口腔内(肉眼で貯留物を
確認できる範囲)の分泌
・義歯の取扱い
・感染症患者対応のた
めのマスクの準備
4)手袋の着用
する。
・観察技術
(唾液の量や貯留の有無)
貯留物
③チューブを静かに挿入
・口腔内の解剖生理
肉眼で確認できない部分までは挿入しない
ように注意する。
口腔粘膜の損傷や出血の予防、吸引時間短
縮のため、吸引圧を適切に設定する。
物等の貯留物を吸引す
る。
□手洗いをしたか?
□使い捨て手袋を使用し
たか?
・ブロック型器材の準備
□吸引前に消毒液除去の
洗浄を行ったか?
を防ぐため、5~10cm程
度とする)
□チューブの回転は適切
か(口腔内の損傷等を防ぐ
ため、位置をずらしなが
ら、圧力が一箇所にかから
ないようにする)
め、10 秒以内とする)
⑥消毒剤入り保存液を吸
□吸引中に、突然口を閉
じてしまうことに注意
していたか?
引し、次に水を通す。
7
・手洗いの方法
・消毒剤の作用、副作
用
□チューブの挿入速度は
適切か(静かに挿入する)
□チューブの挿入長さは
適切か(咽頭までの挿入
□1回の吸引時間は適切
か (低酸素状態を防ぐた
⑤チューブを静かに抜く。
・清潔・不潔の知識
・口腔内の解剖生理
・出現する危険がある
合併症
・吸引の操作、技術
・緊急、症状出現時の
対応
6)実施後の片付け
看護職員
・対象者への吸引終了後は
介護職員
消毒剤入り保存液、水の
順で吸引する。
・吸引器のコックを閉じ
る。
・吸引チューブを連結管か
□チューブの外側をアル
コール製剤で拭き、内
め、消毒の目的で消毒剤入り保存液を吸引す
側を洗浄用の吸引用水
を吸引して清浄した
る。次に水を通すことによって、消毒液を洗
か?
い流し、適切に管理する。
□連結部から外す際周り
に触れないようにし、
消毒液に全体を浸した
か?
唾液等には多くの細菌等を含んでいるた
ら外す。
□チューブの損傷の有無
を確認し、手順どおり
に片付けたか?
・吸引チューブの外側が汚
れている場合は、消毒剤
で浸した拭綿で拭く。
・消毒剤入り保管容器に吸
引チューブを入れてお
く。
8
・感染予防
・吸引の操作、技術
・吸引器の取扱い
STEP5 結果確認
吸引実施後の対象者の状態を観察し、ケア責任者(看護職員)に報告する。
内 容
実施者
1)対象者の吸引前の状態
看護職員
と吸引後の状態変化(顔
介護職員
色、呼吸状態等)
。
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
チェック項目
必要な知識・技術
吸引実施後に、対象者の状態が変化してい □パルスオキシメータ-によ ・低酸素状態の症状
る酸素飽和度を確認
ないか等を観察するとともに、低酸素状態の
・観察技術
したか?
確認については、サチュレーションモニター
(90%以上値であり、低 ・緊急、症状出現時の
酸素状態でないことの確
認)
を用いて確認する。
対応
また実施直後は問題なくても、その後状態 □対象者の全身状態を
確認したか?
変化が見られる危険性もあるため、チアノー
・表情や顔色
ゼや過換気等の異常がある場合は、直ちに、
・呼吸
医師及び看護職員に連絡する。
・意識
2)介護職員が吸引を行っ
看護職員
た場合はSTEP1でア
介護職員
セスメントした看護職員
に報告する。
吸引中・吸引後の対象者の状態、吸引した □看護職員へは報告・連
絡したか?
物の量、性状、異常の有無等を報告する。
看護職員は、介護職員からの報告を受け、
異常があった場合は、再度観察及び確認をす
る。
9
・観察内容
・観察技術
・緊急、症状出現時の
対応
STEP6 片付け
吸引びんや吸引器の後片付けを行う。
内 容
※太字は介護職員が関わる項目
実施者
1)吸引びんの排液量が
看護職員
70%~80%になる前
介護職員
に排液を捨てる。
留意事項
チェック項目
必要な知識・リスク
機器の故障を防ぐため、適切に管理する。 □吸引びん内の排液量 ・吸引に関連する感染症
を確認したか?
吸引の内容物によっては感染源となり得る
・感染予防
(感染症のまん延を防ぐ
ものもあるので、その場合は施設が定めた指
針に従い処理する。
ため、70-80%になれば捨
てる)
・機器の取扱い(メンテ
ナンス)
□吸引内容物の処理方
法を確認したか?
(職員の感染防止のための
施設内での取り決め)
2)使 用 物品 を後 片 付け
する。
看護職員
使用が終了した機器等は事故予防や故障予
介護職員
防のため、出来る限り速やかに持ち帰ること
が望ましい。
①食事時のみに使用する
施設が定めた保管場所に保管する。
□片付け方法や片付け
場所を確認したか?
(機器の故障や機器の放
置による事故防止のため
の施設内での取り決め)
・リスクマネジメント
(介護現場で発生し
うる事故等)
場合
②食事時以外でも使用す
る場合
③緊急時のみに使用する
場合
ベッドサイドでも使用する場合は、使用し
やすい位置に配置する。
緊急時に備え、いつでも使用できるように
メンテナンスをしておく。
10
・機器の取扱い(メンテ
ナンス)
STEP7 評価記録
吸引に関連する内容等を記録する。
内 容
※太字は介護職員が関わる項目
実施者
1)ケア実施の証明及び今
看護職員
後のケアプランに活用で
介護職員
きるように記録しておく。
(記録の内容)
留意事項
チェック項目
必要な知識・技術
客観的に記録し、共通認識できる用語や表 □記載内容を確認した ・記録の意義
か?
現を使用する。
・記録の仕方
(読み合わせなどによる記
ケア実施後は速やかに記録することが望ま
しい。
載間違いの防止)
・一連のケアに関わる
用語
・施行時刻
・吸引した内容物の種類
や性状及び量
・特記事項
・施行者名
11
12
介護職員の手順確認のためのチェック項目
胃ろうによる経管栄養
実施ガイドライン
13
経管栄養(胃ろうによる栄養管理)
定 義
体制
整備
胃内に留置した消化管チューブ・栄養チューブを通して、非経口的に流動食を注入すること
実施の
実施のプロセス
※ 看護職員と介護職員の協働により実施可 看護職員のみ実施可
○
○
【入所時又は
入所時又は状態変化時】
状態変化時】
・対象者の状態に関する情報の共有と報告・連絡・相談等の連携を図る
業務指針を策定 チ
ームによるケア提供に必要な 研修 の受講
STEP1 安全管理
体制確保
・看護職員と介護職員で協働して実施できるか看護職員のみで実施す
べ きか医師からの指示等をもとに対象者を判断する
【毎朝又は
毎朝又は当該日の
当該日の第1回目実施時】
回目実施時】
・挿入されたカテーテルの状態及び対象者の状態を観察する
STEP2 観察判断
・医師の指示、対象者の状態から注入の必要性、看護と介護の協働の
可能性を確認する
緊急時等
【当該日の
回目以降】
当該日の第2回目以降
回目以降】
STEP3 実施準備
・必要な物品を準備し、対象者のもとに運ぶ
STEP4 ケア実施
STEP7 評価記録
・施行時刻、施行者名等を記録する
STEP6 片付け
・使用物品をすみやかに片付ける
対象者
特別養護老人ホーム配置医師の包括的な
指示のもと、胃ろうによる栄養管理が必要
と認められ、医師や看護職員の総合的なア
セスメントの結果、チームケアにおいて、安
全に実施されると判断された者
STEP5 結果確認
・食後しばらく対象者の状態を観察し、
ケア責任者(看護職員)に報告する
14
・本人の確認と流動物の確認を行う
・栄養チューブが正しく挿入されているか
確認する
・チューブを接続し、流動物をゆっくり注
入する
・注入直後の状態を観察する
・注入中の状態を定期的に観察する。
・注入終了後、30~50mlの白湯又は
茶を注入し、頭部を挙上した状態を保つ
STEP1 安全管理体制確保
安全に胃ろうによる栄養管理が実施できる体制を確保する。
プロセス
内 容
実施者
1)対象者の状態に関する
看護職員
情報について、報告・連
介護職員
絡・相談等の連携を図る。
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
経管栄養は、チューブの迷入等による
誤注入で、腹膜炎や気道感染症、まれに
チェック項目
□前任者からの本人情
報の引き継ぎ、記録を
確認したか?
必要な知識・技術
縦隔炎を合併することがあり、さらに蠕
動不穏時には、腹部膨満感、悪心・嘔吐
等を引き起こす可能性がある。特に嘔吐
は誤嚥や気道閉塞(窒息)の危険性があ
り、また終了までに時間を要するものも
あり、対象者の拘束感が強く、対象者自
身によるチューブの自己抜去の可能性も
あるため、職員間の連携が重要である。
2)対象者の状態、実施者
看護職員
医師からの包括的指示や対象者の状態等を
の知識・技術等をアセスメ
もとに看護職員と介護職員が協働して実施で
ントし、看護職員と介護職
きるか看護職員のみで実施すべきかを判断す
員が協働して実施できる
る。
対象者か看護職員のみで
実施すべき対象者かを判
断する。
15
◆本人の状態観察
・本人の確認
・表情や顔色
・体温
・意識
他
◆看護職員と介護職員
が相談し、連携の必要
性を確認
・観察技術
・職員の知識・技術
の程度
・医行為に関連する
関係法規
STEP2 観察判断
カテーテル及び対象者の状態を観察し、胃ろうによる栄養管理の可否を確認する。
プロセス
内 容
・カテーテルの固定又は
認し、胃内に挿入されていると判断する。さらに、
挿入部の状態
定期的な排便があるかなど、全身状態に気をく
チェック項目
必要な知識・技術
◆カテーテルの固定状況 ・消化管の解剖生理
または挿入部の状態
・挿入されたカテーテル
の確認
の観察技術
◆既往歴や対象者の腹
痛等の状態の確認
・腹部の触診技術
◆腸音の聴取
・腸音の聴取技術
・腹部膨満感
ばり、腹部の張りなども合わせて確認する。
◆最後の排便日の確認
1)対象者の状態を観察す
内 容
看護職員
留意事項
通常、所定の位置でカテーテルが固定されてい
る。
るが、外見だけで、カテーテル先端が、胃内にあ
(観察項目)
ると判断することは危険である。胃液の逆流を確
(上下左右4箇所)
・腹痛の有無
・腸音
・排便の状況
2)胃ろうによる栄養管理
看護職員
総合的に対象者の状態に関する情報をアセ
の実施の可否及び看護職
スメントし、安全に胃ろうによる栄養管理が実
員と介護職員が協働して
施可能か、また、栄養を注入後どのような状態
実施できるか、看護職員の
(下痢等)になるかを推測し、実施の有無を判断
みが実施すべきかを医師
する。
の指示及び対象者の状態
等から確認する。
胃ろうによる栄養管理を安全に実施すること
が可能かどうか判断に迷う場合は、医師に確認
する。
16
◆看護職員と介護職員
との連携の必要性の確
認
・看護職員が実施すべ
き対象者の状態
STEP3 実施準備
胃ろうによる栄養管理に関する医師等の指示の確認を行い、必要物品を準備する。その1
プロセス
内 容
1)医師から出されている指
実施者
看護職員
示等の確認を行う。
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
チェック項目
医師及び他の看護職員からの胃ろうによる栄 ◆医師の指示内容の確
認
養管理に関する指示、引き継ぎ事項の確認を行
◆既往歴や本人情報の
う。
確認
※注入経腸栄養剤等(流動物)が医薬品の場合
必要な知識・技術
(処方箋により供給されるもの)は、看護職員が
取り扱う。
2)必要物品をそろえ、指示
看護職員
された注入経腸栄養剤等
介護職員
□必要物品を確認した
か?
(カテーテル,イルリガートル等)
□対象者の栄養剤であ
ったか?
(流動物)の種類、量、時間
を確認する。
(種類、量など)
17
・胃ろうによる栄養管理
に必要な物品
STEP3 実施準備
胃ろうによる栄養管理に関する医師等の指示の確認を行い、必要物品を準備する。その2
プロセス
内 容
実施者
留意事項
3)パッケージされていない
看護職員
〈注入経腸栄養剤等(流動物)の取扱いについ
注入経腸栄養剤等(流動
介護職員
て〉
物)については、指示内容
注入経腸栄養剤等(流動物)の温度により、低
に従って、容器につめ、パッ
温では腸蠕動を亢進させ、腹痛や下痢を引き起
ケージされた注入経腸栄養
こす危険性があり、保存場所の気温に影響され
剤等(流動物)については、
ることを留意する。さらに、種類により、加熱禁止
対象者のものであることを
などあるので取り扱い説明書や注意書きを確認
確認し、滴下筒を介しゴム
し、適温にする。
管の先端まで満たして、チュ
また、ミキサー食は分離する可能性もあるの
ーブ内の空気を排除し準備
で、適宜撹拌させる。
しておく。
※太字は介護職員が関わる項目
チェック項目
必要な知識・技術
□注入経腸栄養剤等(流 ・腹痛や下痢など合併症
動物)を確認したか?
を引き起こす状態
□注入経腸栄養剤等(流
動物)の取扱方法を理 ・腹部膨満感や嘔気・嘔
解したか?(取扱説明
吐を引き起こす事柄
書や注意書きを読む)
・注入経腸栄養剤等(流
・ふたの状況の確認
動物)の取扱い
・種類や量の確認
・適温の確認
・注入前の処理(攪拌
など)
□接続チューブ内の空
気を除去したか?
容器のふたは確実に閉め、ほこりや落下菌等
からの汚染を予防する。
また、チューブ内に空気が残っていると、対象
者の胃腸に空気も注入され、合併症を誘発する
危険があるため、できる限り空気を抜いておく。
4)準備した注入経腸栄養
看護職員
剤等(流動物)等を対象者
介護職員
指示されている対象者を間違えないようにベッ
ドネームや本人に名乗ってもらう等で確認する。
のもとに運ぶ。
18
□対象者(本人)を確認
したか?
STEP4 ケア実施(その1)
対象者に処置の説明を行い、胃ろうによる栄養管理を実施する。
プロセス
内 容
実施者
1)対象者に本人確認を
看護職員
留意事項
注入には30分から2時間程度の時間を要
行い、処置の説明を行
すため、対象者が、チューブの挿入部や接続
う。
部に、無意識に手をもっていき、チューブ抜去
チェック項目
◆注入方法の確認
・胃ろうによる栄養管
◆ 対 象 者 へ の 説明 と理 解
理の方法
(納得)の確認
の可能性のあるため、対象者の協力が必要
であり、対象者に十分に処置の説明を行う。
意識レベルの低下等により対象者本人の
同意が得られない場合は、家族にも説明して
おく。
2)注入する注入経腸栄
看護職員
指示されている対象者を間違えないように
養剤等(流動物)が対象
ベッドネームや本人に名乗ってもらう等で確認
者本人のものかどうかを
する。
確認する。
19
必要な知識・技術
◆対象者と栄養剤の確認
STEP4 ケア実施(その2)
対象者に処置の説明を行い、胃ろうによる栄養管理を実施する。
プロセス
内 容
3)チューブの挿入部の状態
実施者
看護職員
を確認し、体位を整える。
留意事項
チューブに注射器等で空気を注入し、上腹部で
気泡音を確認する方法は、経験を要し、空気が大
チューブに閉塞がある場
量に注入された場合は、嘔吐などの危険もあるた
合には、ミルキングや白湯
め、必ず、胃液の逆流を確認し、頭部を挙上する。
を注入し開通を図る。
チェック項目
◆胃液の逆流の有無の
確認
◆適切な体位の保持
◆チューブ状態(閉塞や
位置)の確認
また、気道等に入っていたり、チューブの先端
が組織に密着していたりして注入できない場合は
事故にもつながるため注意する。
必要な知識・技術
・消化管の解剖生理
・腹部の状態の観察技術
・創部の観察技術
・体位変換、良肢位の保持
・栄養チューブの取扱い
・胃ろうによる栄養管理の
合併症
・胃ろうによる栄養管理の実
際の手技
・観察技術
・緊急、症状出現時の対応
4)容器のゴム管および連結
管をチューブに連結し、ゆっ
くり注入し、注入直後の状態
を観察する。
看護職員
◆ 適 切 な滴 下 ( 時 間 ) 速
度、滴下量の確認
可能性はゼロではないので十分注意する。
◆対象者の状態確認
注入する速度によっては下痢を誘発したり、高
・腹部膨満感
血糖症状を引き起こしたりする可能性があり、注
・悪心・嘔吐
・腹痛
入速度が遅すぎると、対象者の活動制限にもつな
・呼吸困難
がることから、注入速度を適切に調整する。
・血圧変動、気分不快
・高血糖症状
たくさんの輸液ラインが有る場合は、間違える
20
・胃ろうによる栄養管理の
合併症
・観察技術
・緊急、症状出現時の
対応
STEP4 ケア実施(その3)
対象者に処置の説明を行い、胃ろうによる栄養管理を実施する。
プロセス
内 容
実施者
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
5)注入中の症状を定期的に
看護職員
注入中には、胃の内容物が増加することによって、
確認する。
介護職員
食道裂孔ヘルニアを併発している症例などでは、
(観察項目)
・対象者の体位
・滴下の状態
(閉塞の有無、速度)
・挿入部からの注入経腸栄養
剤等(流動物)のもれ
・気分不快
・腹部膨満感
・悪心・嘔吐
・腹痛
・呼吸困難
・高血糖症状
等
6)注入が終了したら 30~50
mlの白湯を注入し、状態を観
食道への逆流から誤嚥の危険性もあり、腹部膨満
感などの不快感に注意を払う。注入により消化器
系の血流が増加し、血圧の変動や血糖の上昇が
生じるので、全身状態の注意深い観察が重要であ
り、5)の症状等が観察された場合は、直ちに医師
及び看護職員に連絡する。
看護職員
介護職員
異常を確認した場合は看護職員に連絡し、対応
方法を確認する。
察する。
21
チェック項目
□適切な滴下(時間)速
度、滴下量を確認した
か?
・滴下の状況
・漏れの有無
□対象者の状態を確認
したか?
・体位
・腹部膨満感
・悪心・嘔吐
・腹痛
・呼吸困難
・血圧変動、気分不快
・高血糖症状
必要な知識・技術
・胃ろうによる栄養管理
の合併症
・胃ろうによる栄養管理の
実際の手技
・観察技術
・緊急、症状出現時の
対応
□チューブ内容量分の
白 湯 を 注 入 し た か ? ・胃ろうによる栄養管理の
(注入栄養剤の粘度保持用)
実際の手技
□対象者の状態を確認
・観察技術
したか?
・良肢位の保持
・腹部膨満感
・悪心・嘔吐
・栄養チューブの取扱い
・腹痛
・呼吸困難
・血圧変動、気分不快
・高血糖症状
STEP4 ケア実施(その4)
対象者に処置の説明を行い、胃ろうによる栄養管理を実施する。
プロセス
内 容
実施者
7)容器のゴム管および連
看護職員
結管とチューブの連結を外
介護職員
し、注入物の逆流を防ぐた
め、チューブを止めるととも
に頭部を挙上した状態を保
つ。
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
チェック項目
注入容器と留置しているチューブの連 □注入用チューブだけを
抜去したか?
結を外す際は、留置しているチューブを
□適切な時間だけ体位を
抜去する危険があるため、十分に注意す 保持しているか?
(逆流の防止のため。30~60
る。
また、注入終了直後、仰臥位にすると
注入物が逆流し、肺炎等を起こす危険性
があるため、頭部を挙上した状態を保つ。
22
分程度保持する)
必要な知識・技術
STEP5 結果確認
対象者の状態を観察し、報告する。
プロセス
内 容
※太字は介護職員が関わる項目
実施者
留意事項
1)対象者の状態を食後し
看護職員
注入後しばらくは、胃内容物増加により腹部膨満
ばらく観察する。
介護職員
感、悪心・嘔吐・腹痛、横隔膜の動きが制限されるこ
(観察項目)
とによる呼吸困難の危険、血液が胃部に集中するこ
・体位
とによる、血圧の変動や気分不良等の危険があるた
・腹部膨満感
め、十分に観察するとともに、異常を確認した場合は
・悪心・嘔吐
医師及び看護職員に連絡し、対応方法を確認する。
・腹痛
・呼吸困難
チェック項目
必要な知識・技術
□ 対 象 者 の 状 態 を 確 認 ・胃ろうによる栄養管理の合
したか?
併症
・体位
・観察技術
・腹部膨満感
・悪心・嘔吐
・緊急、症状出現時の対応
・腹痛
・呼吸困難
・血圧変動、気分不快
・高血糖症状
等
注入中の同一体位保持により、褥瘡の危険もある
2)寝たきり者に対しては、
看護職員
異常がなければ体位変換
介護職員
を再開。
ため異常がなければ体位変換を再開する。
ただし、体位変換が刺激となり、嘔吐を誘発する可
能性もあるため観察は継続する。
・体位変換
・観察技術
・緊急、症状出現時の
対応
異常がある場合は医師及び看護職員に連絡す
る。
3)看護職員と介護職員
看護職員
対象者の状態、異常の有無等を報告する。
・観察内容
が協働で行った場合は
介護職員
報告を受け、異常があった場合は看護職員が再
・観察技術
看護職員に報告する。
度観察及び確認を行い、必要に応じて医師に報告
する。
23
・緊急、症状出現時の対応
STEP6 片付け
注入終了後すみやかに片付ける。
プロセス
内 容
※太字は介護職員が関わる項目
実施者
1)使用物品を後片付けす
看護職員
る。
介護職員
留意事項
チェック項目
必要な知識・技術
□注入終了後の片付け方 ・洗浄、消毒に関する
法を確認したか?
知識
(細菌繁殖防止などのための
施設内での取り決め)
・感染予防
・チューブ内の洗浄など
STEP7 評価記録
胃ろうによる栄養管理の実施について、記録する。
プロセス
内 容
実施者
1) ケアの実施の証明及び
看護職員
今後のケアプランに活用で
介護職員
きるように記録する。
(記録の内容)
※太字は介護職員が関わる項目
留意事項
チェック項目
客観的に記録し、共通認識できる用語や □記載内容を確認したか?
表現を使用する。
ケア実施後は速やかに記録することが
望ましい。
(読み合わせなどによる記載間
違いの防止)
必要な知識・技術
・記録の意義
・記録の仕方
・一連のケアに関わる
用語
・施行時刻
・注入経腸栄養剤等(流動
物)の種類と量
・一般状態
・施行者名
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