先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム 平成26年度中間

先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム
平成26年度中間評価
成果報告書
「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」
実施機関:公立大学法人 横浜市立大学
総括責任者:田中 克子
実施期間:平成 20 年度~平成 29 年度
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目 次
Ⅰ.プロジェクトの概要......................................................................................................................... 3
1.プロジェクトの目的・内容・目標 ........................................................................................................... 3
2.拠点化の対象とする先端融合領域及び研究開発 .................................................................................. 3
3.拠点化の内容 ................................................................................................................................. 4
4.システム改革の実現性とその実施体制 ................................................................................................ 6
5.実施期間終了後の取り組み............................................................................................................... 6
6.再審査結果コメント(採択コメントも併記) .............................................................................................. 7
Ⅱ.ミッションステートメント .................................................................................................................... 9
1.再提案書におけるミッションステートメント .............................................................................................. 9
2.【参考】提案書におけるミッションステートメント ..................................................................................... 11
Ⅲ.経費......................................................................................................................................... 13
1.所要経費 ..................................................................................................................................... 13
2.使用区分 ..................................................................................................................................... 16
3.協働機関コミットメント実績 ............................................................................................................... 18
Ⅳ.結果概要 .................................................................................................................................. 20
1.進捗状況 ..................................................................................................................................... 20
2.拠点形成 ..................................................................................................................................... 20
3.研究開発 ..................................................................................................................................... 22
4.人材育成 ..................................................................................................................................... 23
5.最終目標達成の見通し................................................................................................................... 23
Ⅴ.結果詳細 .................................................................................................................................. 25
1.進捗状況 ..................................................................................................................................... 25
2.拠点形成 ..................................................................................................................................... 45
3.研究開発 ..................................................................................................................................... 86
4.人材育成 .................................................................................................................................... 149
5.最終目標達成の見通し.................................................................................................................. 153
6.【参考】研究成果発表 .................................................................................................................... 156
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Ⅰ.プロジェクトの概要
■プログラム名: 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム
■プロジェクト名:翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成
■機関名:公立大学法人横浜市立大学
■総括責任者名(役職):田中 克子(理事長)
■実施期間:平成 20 年度~平成 29 年度(全 10 年間)
■研究経費(平成 25 年度末までの総経費見込): 総額 2,713 百万円 (間接経費・環境改善費込)
■協働機関名(計 11 社):株式会社メディカル・プロテオスコープ、ライオン株式会社、富士フイルム株式会社、エ
ーザイ株式会社、株式会社ファンケル、東ソー株式会社(平成 25 年 4 月加入)、積水メディカル株式会社(平成 25
年 4 月加入)、富山化学工業株式会社(平成 25 年 4 月加入)、株式会社セルフリーサイエンス(平成 25 年 8 月加
入)、株式会社日立ハイテクノロジーズ(平成 25 年 3 月脱退)、株式会社島津製作所(平成 25 年 3 月脱退)
1.プロジェクトの目的・内容・目標
蛋白質の翻訳後修飾(PTM)が蛋白質の機能に深く関わること、疾患の原因となることはよく知られている。しかし、
まだ PTM の有無や生理的・病理的な役割が解明されていない疾患関連蛋白質は多い。この種の研究が遅れた主
因は、様々な PTM を分析・評価する手法が十分でなかったことにある。そこで本プロジェクトでは、まず協働機関と
共に PTM 異常蛋白質を分析できる質量分析装置(MS)等プロテオーム解析技術の開発を行い、PTM 解析の基盤
技術を整備する。また、ヒト検体を用いた PTM と疾患の関わりを検証するのに必要なバイオバンクなどの施設整備
を進める。そして、これらを基盤として協働機関と協働で、①疾患関連 PTM を理解し、診断、治療の戦略を策定す
るシーズ研究、②ヒト検体を用いた PTM と疾患の関連を検証する研究、③将来の医療応用に向けた、同定済みの
PTM を効率的に検出する次世代型 PTM アッセイ法の開発、④同定された PTM 異常病治療薬候補となる化合物
の機能評価、⑤創薬標的分子に対する医薬品の設計等、を推進できるような知力、人材、設備、機器を備えた世
界的研究拠点を創成する。
2.拠点化の対象とする先端融合領域及び研究開発
PTM の多くは動的な生体反応であり、細胞外からの刺激に応じて1種類の蛋白質が何通りもの異なる PTM 及
び“脱” PTM を受ける。蛋白質は時間的、空間的に異なる PTM を受けることで、様々な機能活性を発現する。その
ため PTM の異常は種々の疾患の原因となる。例えば、アルギニン脱イミノ化と関節リウマチ、ラセミ化とアルツハイ
マー病、リン酸化やユビキチン化の異常とパーキンソン病やアルツハイマー病、リン酸化カスケード異常やグリコシ
ル化とがんなど PTM と疾病の関係が報告されている。しかし、PTM の異常が、どのような機構で疾患を生起するの
かについては不明な点が多い。その原因として、前述のように PTM が多種多様であり、かつしばしば動的に起こる
ため、いつ、どのアミノ酸残基に、どういった種類の PTM が起こるのか、そして、それが疾患発症状態でどのように
変化しているのかを同定することが技術的に困難であったことが挙げられる。また、ひとつの疾患に対して、多様な
蛋白質群に PTM の異常が蓄積している可能性もあり、その点も解析を困難にしている。本プロジェクトでは、新規
に設立した先端医科学研究センターにプロテオミクス、構造生物学、医学、工学、情報科学分野の研究勢力を結
集し、蛋白質の PTM 異常による疾患に焦点を当て PTM 検出法の開発から PTM 異常による疾患診断技術の開発、
創薬まで一貫して研究できる PTM 医療研究拠点創成を目指す。特に、①PTM 異常を効率的に検出する分析技術
の開発、②精神疾患、神経疾患、がん、生活習慣病、アレルギー性疾患等における PTM 異常の検出、PTM 異常
蛋白質の同定、③生体内での機能解明のための細胞分子イメージング技術の確立、④アミノ酸変異導入法を用い
た in vivo 及び in vitro 実験、細胞分子イメージングによる PTM 異常と疾患や生理機能との関係の解明、⑤PTM
異常蛋白質の高次構造の解明による創薬のための分子構造の解明と創薬へのアプローチ、⑥ELISA のような抗体
を基盤にした PTM 異常蛋白質のアッセイ法に代わる MS を用いたアッセイ法の開発、⑦モデル動物を用いた体内
動態の解析、⑧機能性食品の機能を支配する因子の解明に関する研究、を重点的に推進する。
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3.拠点化の内容
(1)-1 企業との連携を促進する取り組み
1)新研究棟の建設
本拠点の中心施設である先端医科学研究センターの新研究棟が平成 24 年 12 月に竣工となった。この施設の
大きな特徴は、協働機関が独自に研究活動を行うことができる居室(産学連携ラボ)を設置したところにある。また、
拠点を拡大するため、平成 26 年度から新研究棟の増築に着工する。産学連携ラボも増設される。施設の拡大によ
って臨床データを活用した質の高い研究を協働機関と共に大規模に推進することが可能になる。
新研究棟にはバイオバンクが設置されている。横浜市立大学附属病院での手術の際に摘出され、病理診断後、
組織の一部が医療情報を付して保存されている。保存された検体は、新しい診断法、治療法、予防法などの研究
に利用することができる。
2)知財管理、機密保持
研究実施契約下においては、企業が実施契約の範囲内で独占的に権利を有することとする。これを研究実施
契約書に明記している。また、契約に関する調整を行うために知財コーディネーターを配置している。一方、大学
単独発明の場合は、実施条件に関して研究資源を提供した企業に有利な選択肢を与えている。また、共同研究に
て知り得た知見・発見を、学術論文・学会発表・プレスリリース等にて公開、または関係者以外に口外する場合には、
相手企業の承認を得た後に行う。これも研究実施契約書に明示する。
(1)-2 多様な人材の活用
1)全学的な年棒制度による優秀な人材確保、拠点運営に携わる正規教員の採用
横浜市立大学では、すでに人事評価制度・年俸制・全教職員任期制の導入を行い、横浜市立大学教職員の教
育・研究・診療活動等の活性化を図っている。また、平成 26 年 10 月に、拠点で強化が望まれる3領域(バイオイン
フォマティクス、プロテオミクス、トランスレーショナル研究+バイオバンク)の正規教員(准教授)を 3 名採用する。3
名は、拠点における研究支援体制、医理連携の強化と本プロジェクト終了後の拠点の継続的な運営に携わる。
2)社会人への教育機会の提供
本拠点では、すでに協働機関からの研究者・技術者が博士課程へ進学する支援を行っているが、企業からの派
遣研究者で一定のレベル以上にある者に関しては、連携大学院などの講義を履修することにより短期間で博士号
を取得できるシステムをつくり、論文博士制度が廃止されても企業人の博士号取得の道を確保する。
3)外国人研究者の受入態勢の整備
外国人教員・研究者雇用を促進する。横浜市立大学は「教育の国際化」「研究の国際化」「組織の国際化」「都
市問題への貢献」の 4 つを国際化の柱としており、海外からの研究者が短・長期に滞在できる施設(金沢ハウス)を
整備した。
4)若手研究者、女性研究者の積極的活用
若手研究者、女性研究者をグループリーダーとする研究グループを選考すると共に、独立した予算を配分し、
自立的マネジメントを行うことができるシステムを構築した。
5)リスクマネジメント体制整備
産学連携の本プロジェクト推進のため、適切にリスクマネジメントができる体制を整備する。具体的には本学研究
者の不正防止の実効方針を定め、本学理事長を最高管理責任者とするなど、研究費の適正な運営管理を行うた
めの責任体制を明確にしている。
(1)-3 人材の流動化の促進
1)人材交流による活性化
企業の人材を教授、特任教員として採用したり、大学の人材が企業の管理職になるなど、本拠点では産学の人
材交流が進んでいる。また、協働機関の若手研究者が横浜市立大学博士課程の学生となり、会社員のまま博士号
を取得できるようにしている。
2)インターンシップの導入により視野の拡大
横浜市立大学学生(博士課程前期)をインターンシップ制度により企業へ派遣し、実習を行っている。工場実習
や品質管理、事業提案作成など新しい経験により視野の広い研究員が育成される。
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(2)企業との協働体制
(2)-1 企業からのコミットメントの具体的な内容、協働機関の役割(研究開発における役割分担)
コミットメント:各企業は、研究に必要な機器、人材、研究のノウハウ等を提供する。各企業からのコミットメントは、そ
れぞれの役割や協働のフェーズを反映し、必ずしも均一ではない。
5 年目終了時に基盤技術開発に関わる島津製作所と日立ハイテクノロジーズが脱退した。これは、質量分析を
中心とする要素技術の開発研究が進展し、前半期の研究によって拠点に必要な技術基盤がほぼ整備でき、研究
の中心を技術開発から PTM 異常の同定、機能解析、創薬、診断法の開発等の研究にシフトさせたためである。た
だし、研究の進展によっては、新しい技術の開発が必要になる可能性がある。その場合は、両社に支援を依頼す
ることにしている。
協働機関の役割:横浜市立大学のシーズを基に島津製作所と日立ハイテクノロジーズは横浜市立大学と協働でそ
れぞれ要素技術を発達させた。メディカル・プロテオスコープは、それらの要素技術を体系化して大規模解析技術
の開発研究を横浜市立大学と協働で進めている。また、セルフリーサイエンスは、無細胞蛋白質合成に関する基
盤技術の定着を目指した研究を推進している。本拠点で体系化された大規模解析技術を用いて横浜市立大学と
協働機関(富士フイルム、富山化学工業、エーザイ、東ソー、積水メディカル、ライオン、ファンケル)は協働で PTM
異常蛋白質の網羅的な解析を行い、診断マーカー、創薬ターゲット候補蛋白質、機能性蛋白質の検出・同定・創
薬ターゲットとしての妥当性検証、また、化合物スクリーニング系の樹立・妥当性検証を試みている。協働機関は、
診断マーカーや創薬ターゲットの開発に関しては独立して研究を進めるが、技術的な面では協議して拠点の基盤
構築を目指している。
事業化:本拠点で創出、あるいは開発されたプロテオーム解析手法は、実用的な技術として拠点内外の研究者に
利用されている。また、本拠点で用いられている高度なプロテオーム解析技術を利用して、協働機関であるメディ
カル・プロテオスコープは、受託分析事業と分析技術を指導する事業を開始した。本事業では、プロテオーム解析
技術を用いて様々な疾患の診断マーカー候補蛋白質が見いだされているが、それらの中には、多数の患者検体
を用いて診断マーカーとしての有用性の検証が進み、実用化に近い段階に達したものがある。また、プロテオーム
解析の結果、様々な疾患で創薬標的分子が検出され、それらの発現を制御する化合物が見いだされたが、それら
の中には、臨床試験の対象になるものが現れた。本プロジェクトが終了する時点までに事業化や実用化に関する
所期の目的を達成できることはほぼ確実である。また、本プロジェクトでは、ヒトの全蛋白質の PTM マップ(PTM アト
ラス)の作成という極めて大きな目標がある。これまでに得られたデータを入力し、PTM マップを作るソフトウエアも
すでに開発した。これによりマップ作成の基盤ができた。拠点形成後には、ヒトの PTM マップが完成し、健常者と患
者のマップのディファレンシャルディスプレイ分析によって疾患と PTM 異常の関係が可視的に解析できるようになる
と期待される。
(3)バイオインフォマティクス解析室と無細胞蛋白合成実験室の設置
本拠点では、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム解析などによって大量のデータが生み出されるようにな
った。この大量データを解析し、有用な情報を引き出すためには、生物学と情報科学両方の知識を持つバイオイン
フォマティクスの技術者・研究者を擁する研究室が必要である。しかし、これまで横浜市立大学には、蛋白質の構
造のシミュレーション、計算科学を専門とする研究室はあったが、ゲノム、プロテオーム解析などで生じた大量のデ
ータの解析に関する研究室がなかった。そこで、本プロジェクトのシステム改革の一環として、平成 24 年度にバイ
オインフォマティクスの人材の育成と、データ処理技術の開発を目的としたバイオインフォマティクスの研究を開始
した。また、HIV-1 蛋白質の PTM 因子の同定、これらを標的とする薬剤スクリーニング・アッセイ系の構築、新たな
抗エイズ薬の開発、B 型肝炎ウイルスの複製阻害剤の開発や疾患関連蛋白質の PTM を司る責任酵素の迅速同定
法の開発などの研究を進めるため、無細胞蛋白質合成実験室を設置した。
(4)国際化の促進
学会や共同研究等の海外派遣制度、外国人研究者や大学院生の受入体制の整備、外国人大学院生の経済
支援、海外の共同研究先への短期派遣、英語による拠点内の情報交換、セミナーの推進等を通じて、拠点の国際
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化、人材交流を推進している。また、米国食品医薬品庁(FDA)と連携協力に関する覚書を締結した。2 回の国際
学術フォーラム、「生物製剤の開発と新しい治療法のためのバイオマーカー」(平成 21 年 3 月)、及び「基礎研究シ
ーズを臨床ニーズに活かす戦略と科学的ツール」(平成 22 年 2 月)を開催し、拠点の国際化の一助とした。一方、
平成 22 年 9 月には、デンマーク、中国及び韓国のプロテオーム研究の第一人者を招き、国際シンポジウム「Recent
Advance in Medical Proteomics」を開催した。さらに、プロテオミクス分野で世界最大の学会「ヒトプロテオーム機構
(HUPO)第 12 回世界大会」が、平成 25 年 9 月に5日間、横浜市のパシフィコ横浜で開催され、本拠点が大会運
営の中心的役割を担った。大会参加者は 1,580 名、うち海外からの参加者は 649 名であった。大会直前の 4 日間、
先端医科学研究センターで、プロテオミクスに関するトレーニングコースを開催した。これは、国内外の若手研究者
を対象にしたプロテオミクスの最新技術に関する実習会で、アジアを中心に海外の若手研究者 15 名と日本の若手
研究者 13 名が実習生として参加した。44 名の国内外の著名な研究者による講義と、MS などを用いた実習が行わ
れた。
4.システム改革の実現性とその実施体制
横浜市立大学の設置団体である横浜市と本学は、本プロジェクトを全面的に支援している。横浜市は、本プロジ
ェクトの拠点となる先端医科学研究センターで、がんや生活習慣病、免疫アレルギー性疾患等の原因究明と、最
先端の治療法・創薬など、臨床応用につながる開発型医療を目指した研究を推進することを決めた。そして、平成
20 年 12 月に先端医科学研究センターを産学連携研究が可能な大学附置研究所として位置づけ、予算の重点配
分(平成 20〜22 年度 4 億 8 千万円)を行ったほか、市予算による新施設の整備を決定した。本プロジェクトの採択
がなければ、この決定はなかった。
また、横浜市立大学では、理事長を本プロジェクトの総括責任者、学長を副総括責任者とし、医学と理学研究者
とが連携し、解析技術、創薬、診断、治療等に関わる基礎研究と臨床研究、産業化研究を一体的に進めるシステ
ム改革を行い、新しい研究開発拠点の構築に努めている。経費負担でも、本拠点の中心となる先端医科学研究セ
ンターに、大学は積極的に投資しており、「横浜市立大学中期計画」においても、本プロジェクトの研究課題を重点
課題として取り上げた。また、横浜市立大学の第2期中期計画(平成 23 年度~28 年度)でも、本プロジェクトを中心
として、生命科学分野の世界的レベルの研究拠点を作り、臨床研究や治験に力を入れた研究を推進し、その結果
として、基礎医学で得られた優れた成果と臨床現場で実践できる医療技術、ならびに先端的医療の提供を目指し
ている。
5.実施期間終了後の取り組み
本プロジェクトは、実施期間終了後も、横浜市の中期計画に基づいて「最先端の治療法・創薬など、臨床応用に
つながる開発型医療を目指した研究の推進」を目的とした先端医科学研究センターの中核的プロジェクトとして取
り込まれ、本拠点が永続的に橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)を推進していくための拠点として運営して
いく。現在の拠点運営会議、諮問委員会などは、先端医科学研究センターの運営委員会、諮問委員会に継続し、
先端医科学研究センター内のプロテオーム解析センターをはじめゲノム・セローム解析センター等を中心に様々な
要素技術のさらなる発展・実用化を目指すと共に、先端医科学研究センター内の産学連携ラボにおける協働企業
との直接的な協働によって、大規模プロテオーム解析事業、診断マーカーや創薬ターゲットの開発を継続して推
進する。
推進に当たっては、横浜市立大学の附属 2 病院及び治験ネットワーク病院を主体に、同センターの臨床研究支
援部門及び附属2病院の臨床試験管理室、先進医療推進センターが一体となって臨床応用を目指した研究支援
を展開することにより、早期診断・早期治療法の開発など横浜発のイノベーションの実現と新産業の創出を図る。
また、新たな研究シーズの供給は、同センターのバイオバンク部門と神奈川県立がんセンターとの検体バンク事
業に基づく臨床研究、米国ハーバード大学、FDA 等との海外連携、横浜国立大学との医工連携及び理化学研究
所との連携大学院や国立感染症研究所等との共同研究など、多面的に行われることにより永続的に臨床応用に
つながる開発型医療研究を行うとともに新たな製薬企業等の本拠点を中心とする地域への集結を促進することが
できる。
さらに、本プロジェクトを通じて人材育成を担当した指導研究者や、育成された若手研究者及び研究開発支援、
データ管理支援、知財の管理活用等の運営スタッフなどの有用な人材が、本事業の終了後は、重要なキーマンと
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なって先端医科学研究センターの「プラットフォーム」において創薬・医療の研究開発プロジェクトを次々と加速的
に推進して行く。このため、研究開発のための同センターの維持・管理には多額の経費を要するが、研究開発に伴
う成果の事業化によって得られる収入や新たな国・横浜市等の研究支援によって自立的な拠点運営が実現でき
る。
最大の課題は、本プロジェクト終了後、国からの助成金がなくなったときの拠点運営を担う人材の確保であった。
これに対して、本プロジェクト終了後に拠点の運営を担うことができる 3 名の准教授を先端医科学研究センター所
属の正規教員として平成 26 年 10 月に新規採用することにした。3 名の准教授は、それぞれバイオインフォマティク
ス、プロテオミクス、トランスレーショナル研究の専門家でもあり、本拠点のこれらの領域はさらに強化されることにな
る。
6.再審査結果コメント(採択コメントも明記)
(1)再審査結果コメント
【継続課題】横浜市立大学「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」
本課題は、蛋白質解析技術を基盤として、翻訳後修飾と疾患の関係を明らかにし、診断マーカーの発見や創薬
を産学協働で継続的に実施する拠点形成を目指す取組である。本拠点には蛋白質の翻訳後修飾の解析成果を
医療・創薬・機能性食品・化粧品などへ応用するための協働機関が参加しており、高度なプロテオミクス拠点を形
成して産業界の開発研究の推進を図るために必要な解析技術を揃えている。特に大規模分析による診断マーカ
ー探索とそれに基づく診断薬、治療薬の開発は一定の競争力を持つことから、事業化を促進する研究拠点の形成
が期待される。プロジェクト全体としての構想や今後の方向性が明確で、協働機関ともよく連携して活動が進められ
ており、協働機関の大学に対する評価や期待も大きい。本課題については、これまでの進捗状況及び今後の見通
しから判断して、本プログラムの趣旨に合致した成果を実現することが十分期待されるため、来年度から本格的実
施に移行することが適当である。
1)目標達成度(1.ミッションステートメントの達成度、2.研究・技術開発の達成度、3.システム改革の進捗状況、4.人
材育成の進捗状況)
蛋白質の翻訳後修飾の解析と医療への応用について、これまで集中的に研究が進められてきたリン酸化ペプチ
ドに関する学術論文の質・量が共に優れており、学術的な研究成果として高く評価される。修飾蛋白質の質量分析
等の要素技術基盤の確立に向けた着実な進捗が認められる等の目標は達成されている。
2)協働機関との関係
各協働機関は蛋白質の翻訳後修飾関連の分析・解析手法の開発、創薬及び食品産業等への応用を目指して
参加しており、中でも拠点化構想において基盤的機能を担当する分析・解析ツール関係の協働機関については、
順調に技術開発が進められている。その結果、蛋白質の翻訳後修飾に関する知見が拠点に蓄積されており、今後
の応用展開が期待される。なお、創薬・食品等の出口を担当する協働機関は、自社の新事業の展開に拠点を活
用する方向性が明確であり、拠点に対する強い期待が認められるものの、協働機関相互の連携は現時点では弱く、
拠点活動に対して受動的な面の克服は課題である。今後、イノベーション創出拠点として出口を明確にした産学
連携の推進が期待される。
3)実現可能性
蛋白質の翻訳後修飾関連の研究拠点としての成果は国際的にも高いレベルにあり、これを基盤として各協働機
関の事業を推進するモデルは優れている。協働機関の多くは創薬・食品・解析サービス等の既存事業の延長線上
にある具体的課題を目標として設定しており、実現可能性は高いと判断される。また、拠点の中核施設として大学
に設置された「先端医科学研究センター」は、順調に成果を挙げていることから、その成果を起点とする持続的なイ
ノベーション創出の可能性が認められる。今後、イノベーションにつながる事業実用化へのロードマップを更に明確
にして課題を推進していくことが期待される。
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4)インパクト
協働機関の設定している医療・創薬・食品・解析サービス等の個々の市場規模は将来的に広がる可能性が高く、
中でも創薬事業は最も大きなインパクトが期待できる。また、疾患マーカー等の本拠点の成果を医療に応用するこ
とにより、患者の発現蛋白質の分析を行うオーダーメード医療が実現すれば、社会的なインパクトも大きく、市場性
も期待できると考えられる。
(2)【参考】採択時コメント
蛋白質の翻訳後修飾をハイスループットで解析し、疾病の診断や創薬を目指すユニークで将来性のある構想と
して評価された。横浜市立大学はこれまでも本提案の研究分野において実績があり、協働研究機関との連携も期
待できる。さらに、横浜市を中心とする地域連携により、イノベーション拠点の形成が強化されることも期待される。
ただし、研究計画全体が PTM 現象の解析に向けられており、融合領域という観点やイノベーションに結びつける
戦略が必ずしも十分とはいえず、協働研究機関のコミットも弱いように思われる。地域の関連機関との連携体制も
合わせて、より具体的な計画の立案と実行が求められる。知的財産権の帰属については、原則として企業となって
いるが、産業技術力強化法に従って適正に処理していただきたい。
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II. ミッションステートメント
1.再提案時におけるミッションステートメント
○ 提案構想名 「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」
○ 総括責任者名 「理事長 本多 常高」
○ 提案機関名 「公立大学法人 横浜市立大学」
○ 協働機関名 「株式会社日立ハイテクノロジーズ、株式会社島津製作所、株式会社メディカル・プロテオスコ
ープ、ライオン株式会社、富士フイルム株式会社、エーザイ株式会社、株式会社ファンケル」
(実施予定期間: 平成 23 年度~平成 29 年度)
(2) 中間時(7年目)における具体的な目標
基盤技術開発:PTM 異常と疾患の関係を分析する先端的技術の開発研究を行い、拠点の基盤となる高感度、
高精度でハイスループットな技術を整備することができた。が、世界最高レベルの研究を支えるために、技術の開
発研究を継続して行う。まず、2,000 以上の蛋白質を含む複雑な試料の質量分析が効率的に行えるような試料の
前処理方法を日立ハイテクノロジーズと共同で開発する。また、3 年目までは、主にリン酸化異常と疾患の関係を
解析してきたが、7年目までに、アセチル化、グリコシル化、ユビキチン化、脂質修飾などの PTM を高感度(10-15
モルレベル)、ハイスループットで解析できる技術の創出・開発を進める。島津製作所とは脂質修飾分析法を共同
で開発する。一方、体内深部(表層から 2 mm 程度)を in vivo で観察できる高精度細胞分子イメージング技術開発
を進め、PTM 異常分子の細胞レベルでの動態、生理的影響を明らかにすることができるようにする。
修飾異常蛋白質の検出:拠点に整備された基盤技術を用いて7年目までに、本課題申請時の目標を大きく超
える 1,000 以上の修飾異常蛋白質を同定し、100 以上の蛋白質について、生理的機能との関係、遺伝性疾患と
の係わり、発がん等との関係を蛋白質や遺伝子アレイを用いた解析により明らかにする。また、10 以上の修飾異
常蛋白質の立体構造を NMR やX線結晶解析によって明らかにし、薬物設計の基盤を作る。
修飾蛋白質の機能解析:3年目までの疾患プロテオーム解析で、がんの転移や悪性化の主役と目される乳腺
組織幹細胞や乳がん幹細胞における aPKC-ErbB2 増殖抑制経路、前立腺がん幹細胞に特異的に発現する
Pin1 の標的分子 TFG、また、がん幹細胞のゲノムや遺伝子発現の完全性を保障する仕組みとしての RuvBL1 を
含む超分子複合体の発見など独創的で重要な成果を得た。これらの蛋白質を中心にして疾患の原因蛋白質を
究明すると共に、診断マーカーや創薬標的分子としての有用性を明らかにし、その実用化を重点的に進めること
にする。また、前立腺がんの悪性化や再発に関与する NF-κB/p65 リン酸化キナーゼの同定、エイズ原因ウイル
ス HIV の薬剤耐性スクリーニング法の開発、HIV の感染性を制御する宿主因子や HIV 産生を抑制する新規蛋白
質の同定、HIV の潜伏感染を活性化する機構の解明も独創的で重要な成果である。4年目以降は、これらの成
果を基に、NF-κB/p65 リン酸化キナーゼを標的とした新たな診断薬や治療薬を開発する。また、HIV-1 Vif 蛋白
質によるウイルス感染抵抗性宿主因子 APOBEC3G のユビキチン化や蛋白質分解を阻害する薬剤のスクリーニン
グによって得られた 253 種類の化合物から、医薬品になる可能性を有するリード候補化合物群を選抜する。また、
本拠点の分析技術を利用して、ライオンと共同でラクトフェリンのような機能性食品成分がヒト体内で蛋白質の動
態や情報伝達系に及ぼす影響について解析し、機能性成分の効果を検証すると共に新たな機能の発見を目指
す。また、4 年目からは、ファンケルが協働機関として参加する。同社と協働して本拠点で整備した分析技術を皮
膚蛋白質に応用し、皮膚の老化や健康のマーカーの開発を行う。さらに、皮膚診断マーカーを用いた機能性製
品の性能評価を通じて、新製品開発につなげる。
社会的隔離は幼児虐待の一つであるネグレクトにより引き起こされる養育環境であり、精神疾患の原因になって
いる。生後間もないラットに社会的隔離操作を施すことによって、経験依存的な AMPA 受容体のシナプス移行が
阻害されることを見いだした。さらにその阻害のメカニズムとして AMPA 受容体の PTM 異常が起こっていることも
発見した。そして、このような難治性の精神疾患を克服するため、富士フイルムと共同でこの動物モデルを用いた
治療薬候補分子を発見した。4 年目以降、本拠点の基盤技術を用いてこの化合物の作用機序を明らかにする。
一方、アルツハイマー病ならびに統合失調症脳病理組織標本において CRMP のリン酸化水準の変化を見いだし
た。7年目までに血清試料での検出技術を開発し、臨床でのバリデーションを進め、実用化を図る。
9
4 年目からはエーザイが拠点形成事業に参入するが、提案機関は、同社と共同で免疫細胞の分化と免疫応答、
さらには細胞増殖や生存の制御における Interferon Regulatory Factor(IRF)の PTM と結合蛋白質の同定を行う。
そして、がんや自己免疫疾患における IRF の機能不全あるいは亢進を PTM や構造解析の面から理解し、疾患の
病態理解・バイオマーカーとしての応用・創薬を含む新しい治療法開発に繋げる。
本プロジェクトでは、プロテオミクス技術による PTM 異常蛋白質の解析の他に、遺伝学的アプローチにより疾患
関連遺伝子の絞り込みを行い、PTM と関係する酵素蛋白質遺伝子を発見した。同様な手法を用いて疾患の責
任遺伝子の解析を進め、PTM との関係を明らかにする。
診断技術の開発:PTM 異常蛋白質のアッセイ法の開発に関しては、PTM に関わる分子に着目して新たなバイ
オマーカーを探索し、PTM 異常に起因する病態を臨床的に可視化できる新しい PET 診断技術を確立し、疾病の
早期診断、開発薬剤の治療効果予測の精度向上を目指す。3 年目までに PET マーカーとして金属核種である
68
Ga を用いて、68Ga-DOTA-PEG-RGDfk の合成に成功した。7 年目までには、多種類の蛋白質、抗体を標識化
し、それを用いたイメージングを進め、本拠点で明らかにされた PTM 異常蛋白質の病態を PET で診断する技術
を開発する。一方、診断マーカーを質量分析装置で選択的にアッセイする多反応モニタリング法(MRM)を開発す
る。これまでに 10-15 モルレベルで疾患と関連する特定のプロテインキナーゼを効率的に同定することに成功した。
しかし、この感度は血液中の診断マーカーを検出する上で必ずしも十分ではない。また、現在の技術では、複雑
な蛋白質混合物中の特定のペプチドを選択的に解析することは容易でない。そこで、5年目までには試料調製
方法などを改良することによって感度を向上させ、複雑な試料中のペプチドが 10-17 モルレベル検出できるように
する。
構造・薬物設計:PTM による蛋白質活性制御の分子構造の構築、PTM を標的とする薬剤の in silico スクリーニ
ングに不可欠な、PTM による分子間相互作用変化を解析し、その結果を基に、薬剤スクリーニングを試みる。また、
関節リウマチの原因の一つと予想される PAD4 を標的とした抗体を作製し、モデル動物でその治療効果を確認し
ている。今後は、治療薬開発の可能性について具体的な検討に入る。一方、ハンチントン舞踏病や髄芽腫の原
因蛋白質として検出された神経特異的転写抑制因子 NRSF とコリプレッサーSin3 との相互作用を標的とした薬剤
のスクリーニングを行い、活性のある有機低分子を得ることに成功した。これらの研究を継続し、疾患の予防、診
断、治療といった臨床応用に直結する知見を得る。さらに前立腺がん特異的蛋白質リン酸化酵素、免疫細胞の
分化と免疫応答、細胞増殖などに重要な役割を果たす転写因子ファミリーIRF などの立体構造の解析を行い、創
薬シーズとしての可能性を検討する。
人材育成:先端医科学研究センターに若手の研究者をリーダーとする研究ユニットを複数設置し、優れた若手
研究者の育成を図る。また、医学部の殻に閉じこもらない、理薬工学研究者を取り入れた組織横断的研究ユニッ
トを構築し、基礎研究から医薬・医療 機器開発まで俯瞰できる新しいタイプの研究者を養成する。バイオインフォ
マティクス専門家の育成にも尽力する。一方、協働機関の研究者等を本学大学院の客員教員として位置づけ、
企業のニーズに即応した教育を実施する。これによって企業への人材供給の促進を図る。女性研究者や外国人
研究者の受け入れも促進する。さらに、ヒトプロテオーム機構(HUPO)世界大会を開催し、拠点の国際化、国際
的人材の育成に役立てる。
(3) 終了時(10 年目)における具体的な目標
島津製作所及び日立ハイテクノロジーズと共同で、PTM 異常を効率的に検出できる装置の実用化を目指す。メ
ディカル・プロテオスコープと共同で要素技術を体系化して開発した大規模・網羅的 PTM 異常蛋白質分析方法
使って、PTM と疾患との関係を解明する研究を事業化する。また、協働機関と共同で診断マーカー候補蛋白質
のバイオマーカーとしての有用性を検討し、実用的なものとする。少なくとも数種類の診断マーカーの実用化を目
指す。
一方、修飾異常の蛋白質の立体構造解析の結果に基づいて薬物設計を試み、医薬品の開発につなげる。
PTM 異常蛋白質を標的とする 2 つ以上の有機分子の治験を開始する。生体内の蛋白質修飾異常部位を臨床的
に可視化する新しい診断技術を確立し、PTM の程度と病態との相関、疾病の早期発見、マイクロドージングへの
10
応用、開発薬剤の治療効果予測の可能性を明らかにする。
人材育成面では、提案機関と協働機関の人材交流、流動化を推進する。また、融合領域の研究に対応できる
人材の育成、企業、研究機関への人材の供給を目指す。
2.【参考】提案書におけるミッションステートメント
○ 提案構想名 「 翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成 」
○ 総括責任者名 「 本多 常高 」
○ 提案機関名 「 公立大学法人横浜市立大学 」
○ 協働機関名 「 (株)島津製作所、(株)日立ハイテクノロジーズ、(株)メディカル・プロテオスコープ、大鵬薬品工
業(株) 」
(2) 絞り込み期間終了時(3年目)における具体的な目標
附属病院を含む全学における産学協働体制の母体となる先端医科学研究センターの研究棟を建設し、現在、医
学部内に散在する研究室、実験室を1ヶ所にまとめる。そして、産学間、研究チーム間の連携を強化し、研究を効率
的に推進する。
質量分析装置(MS)におけるイオン化の効率化、MS/MSにおけるペプチド解離法の開発等によってリン酸化、脱イ
ミノ化、O-GlcNAc修飾を含むグリコシル化、ユビキチン化、SUMO化、アセチル化、メチル化蛋白質等について、1~
50 fmolレベルで検出する技術を確立する。この技術を用いて、がん(前立腺がん、卵巣がん、大腸がん、乳がん等)
や慢性関節リウマチ、糖尿病、神経変性疾患等に係わる蛋白質を探索し、それらの蛋白質のPTMと疾患の関係を明
らかにする。バイオマーカーや創薬の標的候補分子として各疾患について20~30のPTM異常蛋白質を同定する。ま
た、生体組織切片から罹病部位のみをレーザーマイクロダイセクションによって切除し、そこに含まれる蛋白質をMS
で分析すれば、より効率的に疾患関連蛋白質を検出できる。現在は30~50枚の切片がないと検出がむずかしいが、
切除方法や蛋白質溶出方法を改良し、3〜5枚の切片で分析できる技術の開発に取り組む。
一方、PTM異常と疾患の関連について多反応モニタリング(MRM)法によって評価できる技術を確立する。MRMに
よって抗体(ELISA法)を使わないPTM異常ペプチドの選択的かつ定量的な解析を可能にする。本研究では、MRM
法によって1~50 fmolレベルのペプチドを103〜105のダイナミックレンジで測定できるようにする。また、PTMによる蛋
白質の機能変化や構造変化を解析し、PTMの分子レベルでの理解を深める。現在のところ二光子顕微鏡を用いた
細胞レベルin vivoイメージングはGFP等の拡散性の蛍光物質の発現を利用した脳表面付近の形態学的解析に留ま
っている。3年目までに分子そのものを改変型GFP等によりラベルし、分子の動態を脳表面付近において観察する技
術を開発する。一方、巨視的なイメージング法としてPETがあるが、PETはその手法の柱としてPETカメラの開発を含
めた撮像技術開発とイメージングに供するPET薬剤の開発ならびに標識技術開発がある。撮像技術開発においては、
ヒトだけでなく動物に対するイメージングによる定量的測定法などの技術開発を行う。また、PET薬剤の開発において
は、標識技術として既存技術である11Cをメチル基の形で被標識化合物の炭素骨格に高速で付加する技術や、18Fを
直接に核酸や蛋白質に標識する技術を開発する。現在は抗体や蛋白質に対して、まず、糖鎖、アミノ酸鎖、PEG(ポ
リエチレングリコール)、コラーゲンなどにPET/SPECT核種で標識を行い、その標識されたチェーンを被標識化合物
に導入する方法と、DDSとして標識化されたチェーンを用いることでイメージング製剤化する方法が確立されつつある。
これらの既存技術の高速化、高収率化とチェーンに標識してそれを導入する新しい標識手法を確立する。特に18Fの
直接導入技術や、糖鎖やアミノ酸鎖を用いた技術に関しては、限定された条件下ではすでに試行を行い成功してお
り、これらの技術をさらに一般的な要素技術の域にまで展開する。
人材育成面では、先端医科学研究センターに若手の研究者をリーダーとする研究ユニットを複数設置し、優れた
若手研究者の育成を図る。また、医学部の殻に閉じこもらない、理薬工学研究者を取り入れた組織横断的研究ユニ
ットを構築し、基礎研究から医薬・医療 機器開発の全体を俯瞰できる新しいタイプの研究者を養成する。この際、大
学院イニシアチブ・プログラムによる、臨床治験のリーダー養成に向けた大学院の教育プログラムも活用する。組織
横断的研究ユニットには外国や企業からの研究者を受入れて若手研究者との交流を促すと共に、海外短期派遣な
どを通して国際的な若手研究者の育成を目指す。
11
(3) 中間時(7年目)における具体的な目標
PTM異常に起因する疾患に対する、高度な分析技術をもった翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点を構築する。
本研究で開発される高精度な質量分析技術、蛋白質の抽出や精製技術等を用いて疾患とPTMの関係を大規模で
網羅的に解析し、少なくとも200のPTM異常蛋白質を同定する。そして、50以上の蛋白質について、生理的機能との
関係、遺伝性疾患との係わり、発がん等との関係を蛋白質や遺伝子アレイを用いた解析により明らかにする。また、
10以上のPTM異常蛋白質の立体構造をNMRやX線結晶解析によって明らかにし、薬物設計の基盤を作る。3年目に
おいて脳表面においてのみ可能であった二光子顕微鏡による体内分子動態観察を脳のさらに深部(例えば海馬)に
おいて可能にする。PTM異常のマーカーとなるPET薬剤を見いだし、新しい診断法を開発する。PET撮像技術を実
用的なものにすると共に、種々のPET薬剤ならびに標識技術を開発する。なお、得られた基礎及び応用研究成果に
ついては、必要に応じて特許申請後、すべてデータベース化し、一般に公開する。
人材育成面では、拠点において育成された人材の活用を図るため、協働機関の研究者等を本学大学院の客員教
員として位置づけ、企業のニーズに即応した教育を実施する。これによって企業への人材の供給の促進を図る。
(4) 終了時(10年目)における具体的な目標
PTM異常を効率的に検出できるMS、臨床検査に利用できるMSについては実用化を目指す。PTMの異常の蛋白
質の立体構造解析の結果に基づいて薬物設計を試みる。さらに分子イメージングとしてのPET/CTを用いた臨床研
究を行う。生体内の蛋白質修飾異常部位を臨床的に可視化する新しい診断技術を確立し、PTMの程度と病態との
相関、疾病の早期発見、マイクロドージングへの応用、開発薬剤の治療効果予測の可能性を明らかにする。
PTMの異常による疾患の診断技術、治療法の開発、創薬を目指す世界的な研究センターが設立される。これと併
行して、国内における円滑な第一相臨床試験の開始は、現時点において国内で遅々として進まない感のある臨床
試験の先駆となり、この研究拠点への医療、製薬関連企業の集結の開始が予測され、国際競争に耐えうる経済・産
業基盤が構築されると期待される。
人材育成面では、基礎研究から医薬・医療機器開発の全体を俯瞰できる新しいタイプの研究者を他の機関に送り
込む等、わが国における人材養成の一拠点を形成する。また、協働機関が翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点
の中核企業として業務を遂行できるようにする。
12
Ⅲ.経費
1. 所要経費
(単位:百万円)
研 究 項 目
担当部署等
研 究
所要経費
H20
H21
H22
年度
年度
年度
久
82
140
140
362
同上
大野 茂男
38
36
39
113
同上
高橋 琢哉
71
30
27
128
同上
井上登美夫
6
6
10
22
同上
緒方 一博
35
19
15
69
232
231
231
694
1.質量分析装置とその周辺技
横浜市立大学
術の開発
先端医科学研
担当者
平野
合計
究センター
2.翻訳後修飾蛋白質の検出と
機能解析(がん等)
3.翻訳後修飾蛋白質の検出と
機能解析(神経疾患等)
4.イメージング・診断技術の開
発と応用
5.構造・薬物設計
所 要 経 費
(合 計)
13
研 究 項 目
担当部署等
研 究
所要経費
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
年度
年度
年度
年度
年度
年度
年度
久
78
87
81
78
60
60
60
504
同上
大野 茂男
140
89
87
56
100
100
100
672
同上
高橋 琢哉
93
83
78
62
100
100
100
616
同上
田村 智彦
79
90
76
60
90
90
90
575
5. 構造解析・薬物設計
同上
緒方 一博
23
30
29
19
90
90
90
371
6. 機能性製品の開発
同上
平野
67
73
69
62
60
60
60
451
19
23
17
16
0
0
0
75
1. 分析技術の開発
横浜市立大学
担当者
平野
合計
先端医科学研
究センター
2. がん診断、治療法開発を目
指した研究
3. 精神疾患診断・治療法開発
を目指した研究
4. 免疫疾患診断・治療法開発
を目指した研究
久
大野 茂男
7. システム改革
所 要 経 費
同上
(合 計)
田中 克子
499
475
437
353
500
500
注1:平成24年度までは決算額、25年度は執行額、26年度は予算額、27、28、29年度は再提案書の記載額を記載してください。
注2:所要経費には自主経費を含めてください。
注3:研究項目は、Ⅴ.2.(2)②と合わせてください。
14
500
3,264
平成23年度から研究項目の変更を行った。新しい研究項目と以前の研究項目との関係は以下の通りである。
新研究項目(旧研究項目)
1.分析技術の開発 (1.質量分析装置とその周辺技術の開発)
2.がん診断、治療法開発を目指した研究 (2.翻訳後修飾蛋白質の検出と機能解析(がん等)、4.イメージング・診断技術
の開発と応用)
3.精神疾患診断・治療法開発を目指した研究 (3.翻訳後修飾蛋白質の検出と機能解析(神経疾患等))
4. 免疫疾患診断・治療法開発を目指した研究 (新設)
5. 構造解析・薬物設計 (5.構造・薬物設計)
6. 機能性製品の開発 (新設)
7. システム改革 (新設)
15
2.使用区分
(単位:百万円)
1.質量分析装置とその周
2.翻訳後修飾蛋白質の検
3.翻訳後修飾蛋白質の検
辺技術の開発
出と機能解析(がん等)
出と機能解析(神経疾患
等)
1.振興調整費
33
15
52
0
0
0
人件費
92
40
27
消耗品費
44
44
36
193
14
13
(362)
(113)
(128)
間接経費
109
34
38
合 計
471
147
166
588
8
100
0
0
0
1,059
155
266
設備備品費
試作品費
その他
(直接経費計)
2.協働機関からの
経費(コミットメント)
3.自主経費
総 計
4.イメージング・診断技術
の開発と応用
1.振興調整費
設備備品費
試作品費
人件費
消耗品費
その他
(直接経費計)
間接経費
合 計
計
5.構造・薬物設計
0
0
14
8
0
(22)
7
29
15
0
0
29
25
(69)
19
88
115
0
173
161
245
(694)
207
901
2.協働機関からの
経費(コミットメント)
0
0
696
3.自主経費
0
0
0
29
88
1,597
総 計
16
1.分析技術
2.がん診断・治療法
3.精神疾患診断・治療法 4.免疫疾患診断・治療法
の開発
開発を目指した研究
開発を目指した研究
開発を目指した研究
1.委託費及び補助金
設備備品費
試作品費
人件費
消耗品費
その他
(直接経費計)
26
68
47
44
0
0
0
0
128
88
74
91
77
100
138
131
113
121
57
39
(334)
(377)
(316)
(305)
344
377
316
305
438
40
613
179
782
417
929
484
間接経費
合 計
2.協働機関からの
経費(コミットメント)
3.自主経費
総 計
5.構造解析・薬物設計
6. 機能性製品の開発
7.システム改革
計
1.委託費及び補助金
設備備品費
5
29
4
223
試作品費
0
0
0
0
人件費
39
101
12
533
消耗品費
35
52
38
571
その他
24
92
11
457
(103)
(274)
(65)
(1,784)
(直接経費計)
間接経費
合 計
2.協働機関からの
経費(コミットメント)
807
103
274
62
2,591
0
844
0
2,114
3.自主経費
総 計
14
103
1,118
65
注 1:平成 26 年度までの研究項目ごとの所要経費(協働機関コミットメント、自主経費を含む)を記載してください。
注 2:平成 24 年度までは決算額、25 年度は執行額、26 年度は予算額を記載してください。
注 3:研究項目は、Ⅲ.1.と合わせてください。
【装置名:購入期日、購入金額、購入した備品で実施した研究項目】(H23~H26 で記載)
① タンパク質解析用 MS/MS システム:平成 20 年 10 月,47 百万円,研究項目 1
② 質量分析装置:平成 23 年 12 月,137 百万円,研究項目 1
③ DNA マイクロアレイシステム:平成 23 年 12 月,36 百万円,研究項目 2
17
4,719
④ タンデム四重極質量分析システム:平成 24 年 9 月,38 百万円,研究項目 3
⑤ 蛍光顕微鏡システム:平成 25 年 3 月,16 百万円,研究項目 2
3.協働機関コミットメント実績
(単位:百万円)
20 年度
協働研究費
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
25 年度
26 年度
計
0
0
0
24
20
20
30
94
20
123
239
302
290
348
340
1,662
設備備品費
161
0
27
18
70
16
15
307
施設整備費
0
0
0
0
0
0
0
0
その他経費
2
5
111
149
155
168
150
739
183
128
377
493
534
553
535
2,802
人件費
計
注 1:全協働機関のコミットメントの総額を記載してください。協働機関別の金額はⅥ.付録の項に記載してください。
注 2:すでに脱退した協働機関も含め、平成 23 年度から平成 26 年度の間に参画していた協働機関をすべて記載してくだ
さい。
(1) コミットメントの内容及び拠点形成への実効性について
<島津製作所>
平成 24 年度で脱退。平成 20 年度~24 年度のコミットメント実績は累計 98 百万円で、うち 74 百万円が機器提供費、
15 百万円が人件費、9 百万円が諸経費であった。当社は、拠点の基盤技術の開発に携わった。新規なペプチド断片
化法である ISD 法、GPI アンカー結合蛋白質の質量分析方法などの要素技術の開発に成功した。
<日立ハイテクノロジーズ>
平成 24 年度で脱退。平成20 年度~24 年度のコミットメント実績は累計 128 百万円で、うち 87 百万円が機器提供費、
37 百万円が人件費、4 百万円が諸経費であった。当社は、拠点の基盤技術の開発に携わった。ESI-LIT/TOF MS によ
る血漿蛋白質の解析法、ECD 法、質量分析に用いる試料の前処理方法などの要素技術の開発で成果を挙げた。
<メディカル・プロテオスコープ>
平成 20 年度~25 年度のコミットメント実績は累計 490 百万円で、うち 5 百万円が機器提供費、462 百万円が人件費、
23 百万円が諸経費であった。当社は、島津製作所や日立ハイテクノロジーズと共に、拠点の要素技術の開発を行うと
共に、大規模なプロテオーム解析技術の体系化を進めた。平成 25 年から、拠点の基盤技術を用いた受託分析事業を
手がけている。
<東ソー>
平成 25 年度のコミットメント実績は 30 百万円で、うち 25 百万円が人件費、5 百万円が諸経費であった。当社は、平成
25 年度から新たに協働機関として当拠点に参画した。セクリトーム解析によって卵巣明細胞腺がん細胞で特異的に発
現が変動する血液蛋白質を発見し、その蛋白質の診断マーカーとしての有用性を明らかにした。また、腎がん、膀胱
がん、前立腺がんなどに伴って発現が変動する蛋白質を検出し、それらの診断マーカーとしての有用性を検証した。
<積水メディカル>
平成 25 年度から新たに協働機関として当拠点に参画した。平成 25 年度のコミットメント実績は 30 百万円で、すべて
人件費であった。当社は、膵がんの治療効果を予測できるマーカーの開発研究を行い、抗がん剤に治療抵抗性を示
すヒト膵がん幹細胞で発現増加を示すトランスポーター蛋白質の検出に成功した。
<エーザイ>
IRF 転写因子ファミリーのうち自己免疫疾患に関わる IRF の PTM やその制御機構について新知見を得、さらには疾
患モデルマウスや遺伝子欠損マウスを用いて当該 IRF が自己免疫疾患の新たな治療標的となることを見いだした。さ
18
らに当該 IRF の機能を指標とした化合物スクリーニング系を確立した。
<富士フイルム>
平成 20 年度~25 年度のコミットメント実績は累計 416 百万円で、うち 22 百万円が人件費、394 百万円が諸経費であ
った。当社は、ヒト正常組織由来の上皮細胞から独自に作製した人工がん幹細胞モデルを用いてがん幹細胞の自己
複製能、未分化維持能、腫瘍形成能、薬剤耐性能の解析を行った。また、種々の培養条件において人工がん幹細胞
が薬剤アッセイ系として利用可能かどうか検討した。
<富山化学工業>
平成 25 年度から新たに協働機関として当拠点に参画した。平成 25 年度のコミットメント実績は 151 百万円で、うち 7
百万円が人件費、144 百万円が諸経費であった。これまでに AMPA 受容体のシナプスへの移行を促進させる薬剤の
発見に成功した。さらに、この薬剤が脳損傷運動麻痺モデル動物のリハビリテーション効果を劇的に促進させる作用が
あることを明らかにした。
<セルフリーサイエンス>
平成 25 年度のコミットメント実績は 18 百万円で、うち 14 百万円が人件費、4 百万円が諸経費であった。当社は、無細
胞蛋白質合成技術の拠点ヶの定着に貢献した同時に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)蛋白質及び宿主蛋白質群の合成と、
それらの相互作用を示標とした新たな薬剤アッセイ系の構築を目指した研究を行って成果を挙げた。平成 25 年度から
新たに協働機関として当拠点に参画した。
<ライオン>
平成 20 年度~25 年度のコミットメント実績は累計643 百万円で、うち 517 百万円が人件費、126 百万円が設備費であ
った。当社は、機能性食品、ラクトフェリンがヒト体内で蛋白質の動態やリン酸化を介した情報伝達系にどのような影響
を及ぼすかについて解析を進め、ラクトフェリンの内臓脂肪低減効果を裏付ける結果を得た。一方、歯周疾患予防研
究では、歯周疾患関連蛋白質の検出・同定で大きな成果を挙げた。
<ファンケル>
平成 20 年度~25 年度のコミットメント実績は累計 146 百万円で、うち 144 百万円が人件費、2 百万円が諸経費であ
った。全身の健康状態を反映する表皮バイオマーカーを探索し、表皮への紫外線照射に伴い増加する内在性のトリペ
プチドを見いだした。これは翻訳後修飾を受けたコラーゲン由来と考えられ、新規のバイオマーカーの候補と考えられ
た。また、コラーゲン製品の経口摂取によりこのトリペプチドの血中濃度が上昇し、短時間で皮膚に移行することも確認
した。
19
IV. 結果概要
1.進捗状況
(1)中間時(7年目)の目標に対する達成度
本拠点の基盤となる質量分析装置(MS)を中心とした蛋白質分析技術の開発と整備が計画通り進行した。試料の前処理
方法や、リン酸化、アセチル化、グリコシル化、ユビキチン化、脂質修飾などの翻訳後修飾(PTM)を分析できる高感度、高
精度でハイスループットな世界最高レベルの技術の創出・開発に成功した。開発された基盤技術を用いて乳がん、前立
腺がん、膵臓がん、エイズ、精神神経疾患、自己免疫疾患などに関連した 1,200以上のPTM異常蛋白質を同定し、それら
の創薬標的あるいは診断マーカーとしての有用性を検証した。その中には卵巣明細胞腺がん関連蛋白質のようにバイオ
マーカーとして実用化の可能性のある蛋白質の存在が明らかになった。また、各種疾患関連蛋白質の発現を制御できる
治療薬候補化合物を見いだした。これらの中には、第1相または第2相の治験に入る化合物もある。一方、MS を利用した
新規な高感度バイオマーカーアッセイ技術の開発にも目処が立った。すべての研究項目に関して、当初策定した中間時
の目標通り、あるいは目標を上回る成果を得ることができる見通しである。
(2)再審査コメントへの対応
【協働機関との関係に関するコメント】:蛋白質の PTM に関する知見が拠点に蓄積されており、今後の応用展開が期待さ
れる。創薬・食品等の出口を担当する協働機関は、自社の新事業の展開に拠点を活用する方向性が明確であり、拠点に
対する強い期待が認められるものの、協働機関相互の連携は現時点では弱く、拠点活動に対して受動的な面の克服は課
題である。今後、イノベーション創出拠点として出口を明確にした産学連携の推進が期待される。
コメントへの対応:同じ業種の協働機関であっても分析技術上の課題については共通したものがある。技術開発の中心
になっている横浜市立大学とメディカル・プロテオスコープ及びセルフリーサイエンスがハブとなって企業間の技術的な
連携を強化している。また、ライオンとセルフリーサイエンスの連携のような企業間の連携も始動した。分析技術、診断薬
や治療薬、機能性製品の実用化を目指した研究が着実に進展している。
【実現可能性に関するコメント】:イノベーションにつながる事業実用化へのロードマップを更に明確にして課題を推進して
いくことが期待される。
コメントへの対応:イノベーションに対する考え(Ⅴ.結果詳細 1.進捗状況(1)、「本拠点で創出されるイノベーション」の項
を参照されたい)を明確にしてすべての分担研究者が共有している。革新的な成果が生まれ、その事業化や実用化に対
する課題を解決できる研究拠点が形成されつつある。
(3)外的要因の変化(制度の変更、市場の変化、競合者との関係の変化等)及びあい路事項への対応
平成 23 年度に神奈川県、横浜市、川崎市が京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区に指定された。また、平
成 26 年度に新たに制度化された国家戦略特区にも東京圏として横浜市立大学が選定され、この特区では、革新的医薬
品・医療機器の開発・製造と健康関連産業を創出するために必要な様々な規制緩和や税制の優遇措置がとられる。先端
医科学研究センターは本特区の1拠点に選定された。本プロジェクトでは、診断薬や治療薬の開発が進んでいるが、この
政策によってより迅速に実用化・事業化が達成できる。
2.拠点形成
(1)システム改革
1)理事長・学長のリーダーシップ
横浜市立大学では、理事長をトップとする経営組織と学長をトップとする教育研究組織のそれぞれの権限と責任の所在
を明確にした体制を採っている。理事長及び学長の強いリーダーシップの下、部局の枠を越え、大学直轄で経営と教育
研究の両組織が連携して新拠点形成に向け、支援が行われている。
2)学長補佐(先端研究担当)ポストの設置
産学連携研究を含む先端的研究を促進するため、横浜市立大学は、平成 25 年度に先端研究担当の学長補佐を任命し
た。これにより本拠点形成事業における産学連携や先端研究の一層の促進を図る体制が整った。
3)生命科学分野の再編に向けた医理連携体制の構築
研究及び人材育成システム改革のひとつの柱は、大学の3つのキャンパスに分かれている生命科学関連分野の研究グ
ループを融合することにあった。本事業採択後、生命科学関連分野を一体化し、学部に生命医科学コース(学科)と大学
院生命医科学研究科を設置した。平成 22 年度より、学長裁量経費として戦略的研究プロジェクト予算を計上し、本事業と
密接に関連するゲノム・プロテオーム関連研究と医理連携を推進した。
4)拠点となる先端医科学研究センター新研究棟の建設
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PTM プロテオミクス医療研究拠点として効果的に機能するよう、平成 24 年度に新研究棟を建設した。新研究棟には、産
学協働を目的として産学連携ラボを 4室設置した。さらに4階には協働機関が共用できる研究室も設置した。これまで基礎
研究棟等に散在していた当センターの多くの実験室は1か所にまとめられた。さらに、平成 25 年度に新研究棟が 50%増築
されることが決まった。平成 26 年度に着工し、1 年半で完成する見通しである。モデルマウスを用いた個体レベルの研究
ができる実験室、ゲノム解析センター(現在基礎研究棟にある)、産学連携ラボなどが増築部分に設置される。本拠点の中
心施設の整備拡充は計画以上に進展している。
5)バイオバンクの設置とシステム整備
横浜市立大学附属病院での手術の際に摘出され、病理診断に使われた後の組織の一部に医療情報を付して保存する
ためバイオバンクを設置した。保存された組織は、新しい診断法、治療法、予防法などの研究に利用されている。これまで
に試料採取業務、同意書の取得方法の改善、検体利用の促進、組織マイクロアレイやパラフィンブロックの作製、採取試
料の品質評価、試料検索から試料提供までの申請・手続きの効率化などに力を尽くした。
6)バイオインフォマティクス解析室の設置
ゲノムやプロテオーム解析によって生み出される大量のデータを解析し、有用な情報を引き出すため、生物学と情報科
学両方の知識を持つバイオインフォマティクスの研究室を設置した。また、協働機関の研究者を含む本事業関係者が参加
できるバイオインフォマティクス研究会を 14 回に渡って開催し、データ解析技術の教育、普及に尽くした。また、バイオイ
ンフォマティクス手法を拠点の基盤技術として定着させることに努めた。
7)無細胞蛋白質合成実験室の設置
HIV-1 蛋白質の PTM 因子の同定、これらを標的とする薬剤スクリーニング・アッセイ系の構築、新たな抗エイズ薬の開発、
B 型肝炎ウイルスの複製阻害剤の開発や疾患関連蛋白質の PTM を司る責任酵素の迅速同定法の開発などを進めるため、
無細胞蛋白質合成実験室を設置した。
8)拠点運営に携わる正規専任教員の採用
平成26 年10 月に、拠点における研究支援体制、医理連携の強化と本プロジェクト終了後の拠点の継続的な運営に携わ
る正規教員(准教授)を 3 名採用する。拠点で強化が望まれる3領域(バイオインフォマティクス、プロテオミクス、トランスレ
ーショナルリサーチ+バイオバンク)の教員を採用することとした。
9)若手研究者の育成
外国や企業からの研究者を受入れて若手研究者との交流を促すと共に、海外短期派遣などによって若手研究者育成を
推進した。また、理薬工学研究者を取り入れた組織横断的研究ユニットを構築し、基礎研究から医薬・医療機器開発の全
体を俯瞰できる新しいタイプの研究者の養成にも努めた。一方、本プロジェクトでは、若手の研究者をリーダーとする研究
ユニットを複数設置し、優れた若手研究者の育成を推進した。
10)国際化の促進
学会や共同研究等の海外派遣制度、外国人研究者や大学院生の受入体制の整備、外国人大学院生の経済支援、海外
の共同研究先への短期派遣、英語による拠点内の情報交換、セミナーの推進等を通じて、拠点の国際化、人材交流を推
進した。また、米国食品医薬品庁と連携した 2 回の国際学術フォーラム、デンマーク、中国及び韓国のプロテオーム研究
の第一人者を招いた国際シンポジウムを開催した。さらに、プロテオミクス世界最大の学会「ヒトプロテオーム機構(HUPO)
第 12 回世界大会」が、平成 25 年 9 月に 5 日間、横浜市のパシフィコ横浜で開催されたが、本拠点が大会運営の中心的
役割を担った。本大会直前の 4 日間、先端医科学研究センターで、アジアを中心に海外の若手研究者を集めプロテオミク
スに関するトレーニングコースを開催した。
(2)拠点の体制
総括責任者としての理事長の役割は、予算管理・人事管理のトップとして、時代の変化に対応したフレキシブルな研究体
制の構築と研究活動の推進・支援に力を尽くした。総括責任者は、拠点運営会議では必ず拠点運営方針について考えを
示すと共に、拠点運営会議で決定された方針の実現に努めた。理事長が任命する先端医科学研究センター長のリーダー
シップの下、研究戦略部会においてシステム体制、研究テーマ、事業化テーマ、各種委員会人事及び予算執行の方針を
定め、拠点長、研究コーディネーター、分担研究者及び協働機関からなる拠点運営会議において議論した後、その方針
を決定している。拠点運営会議は、大学と協働機関との間で十分に意見交換を行い、密接な連携を図っていく場にもなっ
ている。さらに、研究戦略部会と共に人材育成部会、事業化計画部会などを設置し、拠点の運営を推進している。
研究及び拠点形成進捗状況については、年1回の研究推進会議で拠点長及び各分担研究者が発表、研究戦略部会と
外部有識者からなる諮問委員会のメンバーが評価し、評価結果を踏まえて次年度の拠点の予算配分を決定している。諮
問委員会は各年度末に開催されているが、この委員会では研究の総括的評価と研究推進に対する助言が行われている。
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(3)資金計画
拠点運営会議において年度毎及び長期的な視野における研究計画について議論を行い、プロジェクト全体の資金計画
と年度毎の研究項目毎の研究資金配分を決定した。特に出口に向けた研究の進捗状況を把握し、拠点内で評価を行い、
必要な研究には重点的に資金を配分し、事業化・実用化を加速させた。また、次世代リーダーとして拠点を支える人材の
育成を進めるため、「人材育成対象者」を選定し、研究資金の配分を行った。
3.研究開発
(1)協働機関コミットメント
協働機関のコミットメントにより、大学だけでは難しい高度受託分析の事業化、診断薬や治療薬の開発研究が進展した。
また、各協働機関では、横浜市立大学と協働で行っている下記の研究で特に成果が挙がっている。このことは目的とする
研究拠点が完成しつつあることを示している。
メディカル・プロテオスコープ(拠点で開発された技術を用いた受託分析・分析指導の事業化)
ライオン(ラクトフェリンの機能解明、歯周疾患に治療効果のある化合物の発見)
富士フイルム(抗ウイルス・抗がん幹細胞作用を持つ化合物の探索)
エーザイ(自己免疫疾患やがんを対象にした疾患メカニズムの解明と新規治療薬の開発)
ファンケル(健康状態の指標になる蛋白質の探索、機能性ペプチドの解明)
東ソー(診断マーカーの探索、実用化)
積水メディカル(膵がん治療効果予測マーカーの同定、実用化)
富山化学工業(AMPA 受容体シナプス移行促進作用を示す化合物の開発)
セルフリーサイエンス(無細胞蛋白質合成系を用いた感染症創薬シーズの開発)
(2)研究開発の妥当性
中間時における達成目標をミッションステートメントに設定した。いずれの目標についても、設定通り、あるいは設定以上
の成果を挙げることができた。当初の設定した目標は概ね妥当であった。3 年目にも目標を上方修正したが、7 年目の今
回も研究が想定以上に進展しているため、一部の目標を上方修正したい。
(3)研究開発の成果
1)翻訳後修飾異常を効率的に検出する基盤技術の整備完了
PTM 異常と疾患の関係を研究する拠点の基盤となる様々な先端的分析技術を創出、開発あるいは体系化する研究を進
めた。特に、MS を用いたアセチル化、グリコシル化、ミリストイル化、メチル化、ユビキチン化、リン酸化、GPI アンカー修飾
などの分析技術は世界最高のレベルに達している。これらの分析技術を解説した書籍、「翻訳後修飾のプロテオミクス」
(講談社、平成 23 年)を出版した。これに記載された技術は現在、拠点内の標準技術になっている。基盤技術の開発研究
では、日立ハイテクノロジーズが電子捕獲解離法を用いた質量分析技術の開発や血清蛋白質の質量分析で、また、島津
製作所は in source decay 法(ISD 法)を利用した質量分析技術の開発などで重要な役割を果たした。一方、メディカル・プ
ロテオスコープは、横浜市立大学と共に各種要素技術を体系化し、大規模・網羅的に PTM 異常を解析できる方法の開発
を行った。そして、それを用いた受託分析事業を展開している。また、診断マーカー候補蛋白質がどれほどの陽性率で患
者に認められるのかを分析する場合や特定の蛋白質を実際に診断マーカーとして利用するため、MRM 質量分析を用い
た新しいアッセイ法を東ソーと協働で開発した。
セルフリーサイエンスは無細胞蛋白質合成技術の拠点への定着に貢献した。さらに、二光子顕微鏡を用いた in vivo 細
胞分子イメージングによって生体内部の蛋白質の発現状態を観察できるようになった。また、PET を利用した分子イメージ
ング技術については、多種類の蛋白質、抗体の標識化を進め、PTM 異常に起因する病態診断や創薬開発支援に関する
診断技術開発を行った。
2)疾患関連翻訳後修飾の理解、診断、治療の戦略策定のためのシーズ開発研究の進展
2)-1 がん等
本拠点の基盤技術を用いて PTM と、がんを中心とした疾患との関連を明らかにし、卵巣がん、肺がん、乳がん、前立腺
がん、胃がん、膵臓がん診断マーカー、創薬標的候補分子の同定、機能解明に関する研究を東ソー、積水メディカルなど
の協働機関と共に推進した。その中で、乳がん幹細胞における aPKC の消失と増殖亢進の分子機構の解明、乳腺の組織
幹細胞の増殖制御機構の発見、ヒト乳がん幹細胞との相関の解明、糸球体スリット膜機能維持の分子機構の解明、HIV 蛋
白質をリン酸化修飾し、ウイルス粒子の感染性を制御する宿主因子の同定、HIV 粒子産生を強力に抑制する I 型インター
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フェロン関連因子の発見、Pin1 による関節リウマチ滑膜細胞からの炎症性サイトカイン IL-6 産生増強機構の解明、前立腺
がんの浸潤転移に関わる因子の同定など、疾患の原因究明や治療につながる重要な成果が得られた。
2)-2 精神神経疾患
生後間もないラットに社会的隔離操作を施すことによって、経験依存的な AMPA 受容体のシナプス移行が阻害されること
を見いだした。さらにその阻害のメカニズムとしてAMPA受容体のPTM異常が起こっていることも発見した。そして、このよ
うな難治性の精神疾患を克服するため、この動物モデルを用いた新規治療薬のスクリーニングを富士フイルム、富山化学
工業と協働で行い、社会的隔離により生ずる表現型を抑制する化合物の発見に成功した。本化合物は AMPA 受容体シナ
プス移行促進作用を有することも明らかになり、精神疾患から適応疾患を拡大し、脳卒中モデル動物における運動麻痺の
リハビリテーション効果促進作用があることを見いだした。さらに、本化合物の結合蛋白質のひとつが、本拠点において最
先端の研究を展開していた protein X であることも明らかになり、protein X のノックアウトマウスにおいては本化合物のリハ
ビリテーション効果促進作用が消失することも見いだした。現在、カニクイザルを用いた実験で効果が見られるか検討中で
あり、引き続いてヒトでの有効性を確認するための臨床試験準備も進めている。リハビリテーション効果促進薬という発想の
薬剤は未だ存在せず、実現すれば、劇的なリハビリテーション期間の短縮、寝たきり介護率の減少、社会復帰率の向上、
脳卒中治療プロトコールの抜本的改変、薬剤の海外への輸出などの、本邦の医療支出削減、収入増加をもたらす巨大な
社会波及効果が期待される。本薬剤は医療の進歩によって生存率が上がった一方で QOL の低さが浮き彫りになっている
脳卒中の患者の QOL を高めるという社会的ニーズが極めて高いものであり、「死なせない薬ではなく生きるための薬」で
ある。一方、アルツハイマー病及び統合失調症と関連するリン酸化CRMP の発現量の変化の有無を検討しつつある。さら
に、先進的ゲノム手法を駆使してこれまでに様々な遺伝性疾患の責任遺伝子を単離したが、その中で蛋白質PTMに関連
する疾患責任遺伝子の機能解析から、PTM とヒト疾患の関連を明らかにすることができた。
2)-3 免疫疾患
エーザイとの共同研究で、免疫細胞の分化と免疫応答を司る転写因子ファミリーIRF の発現や機能制御における PTM の
役割に注目し、自己免疫疾患や白血病についての病態理解や新規治療薬開発に関して成果が得られた。また、セルフリ
ーサイエンスとの共同研究では、エイズ原因ウイルス HIV の薬剤耐性スクリーニング法の開発、HIV の感染性を制御する
宿主因子の同定などで独創的な成果が挙がった。また、エイズ治療に効果が期待できるリード候補化合物を同定した。
3)疾患に関わる翻訳後修飾異常蛋白質の構造解析と薬物設計
PTM による蛋白質活性制御の分子基盤の解析では、リン酸化による転写制御機構、構造シミュレーションによる PTM が
分子構造に与える影響に関する研究で重要な成果が得られた。関節リウマチ、ハンチントン舞踏病、髄芽腫などの原因蛋
白質を標的とした治療薬候補のスクリーニングを行い、その活性を検証した。
4)機能性食品の開発
ライオンとは、内臓脂肪の低減効果のあるラクトフェリンの作用機構を解析し、ラクトフェリンの効果を裏付ける結果を得た。
また、歯周病関連蛋白質の研究で成果が挙がった。一方、ファンケルとの共同研究では、全身の健康状態を反映する表
皮バイオマーカーを探索し、表皮への紫外線照射に伴い増加する内在性のトリペプチドを見いだした。これは翻訳後修
飾を受けたコラーゲン由来と考えられ、新規のバイオマーカーの候補と考えられた。また、コラーゲン製品の経口摂取に
よりこのトリペプチドの血中濃度が上昇し、短時間で皮膚に移行することも確認した。一連の結果は、コラーゲン製品の機
能性を裏付けるものと考えられる。
4.人材育成
先端医科学研究センターに若手の研究者をリーダーとする研究ユニットを複数設置し、優れた若手研究者の育成に努
めた。また、外国や企業からの研究者を受入れて若手研究者との交流を促すと共に、海外短期派遣などによって若手研
究者育成を推進した。
5.最終目標達成の見通し
(1)最終時(10 年目)の目標及び構想
本プロジェクトは、実施期間終了後も、横浜市の中期計画に基づいて「最先端の治療法・創薬など、臨床応用につながる
開発型医療を目指した研究の推進」を目的とした先端医科学研究センターの中核的プロジェクトとして取り込まれ、永続的
に橋渡し研究を推進していくための拠点として運営していく。現在の拠点運営会議、諮問委員会などは、先端医科学研究
センターの運営委員会、諮問委員会に継続し、同センター内のプロテオーム解析センターをはじめゲノム・セローム解析
センター等を中心に様々な要素技術のさらなる発展・実用化を目指すと共に、協働企業との先端医科学研究センター内
23
の産学連携ラボにおける直接的な協働によって、大規模プロテオーム解析事業、診断マーカーや創薬ターゲットの開発
を継続して推進する。推進に当たっては、横浜市立大学の附属 2 病院及び治験ネットワーク病院を主体に、同センターの
臨床研究支援部門及び附属 2 病院の臨床試験管理室、先進医療推進センターが一体となって臨床応用を目指した研究
支援を展開する。また、新たな研究シーズの供給は、同センターのバイオバンク室と神奈川県立がんセンターとの検体バ
ンク事業に基づく臨床研究、米国ハーバード大学、FDA 等との海外連携、横浜国立大学との医工連携及び理化学研究所
との連携大学院や国立感染症研究所等との共同研究など、多面的に行われることにより永続的に臨床応用につながる開
発型医療研究を行うと共に新たな製薬企業等の協働企業としての参画を促進する。さらに、本プロジェクトを通じて人材育
成を担当した指導研究者や、育成された若手研究者及び研究開発支援、データ管理支援、知財の管理活用等の運営スタ
ッフなどの有用な人材が、本プロジェクトの終了後は、キーマンとなって先端医科学研究センターの「プラットフォーム」に
おいて創薬・医療の研究開発プロジェクトを次々と加速的に推進して行く。このため、研究開発のための同センターの維
持・管理には多額の経費を要するが、研究開発に伴う成果の事業化によって得られる収入や新たな国・横浜市等の研究
支援によって自立的な拠点運営が実現できる。
(2)イノベーション創出による波及効果
本拠点で蛋白質の PTM を分析する技術を創出する、あるいは開発する研究が進展している。技術の創出や開発は、イ
ノベーション創出の原点となる。本拠点では、新しい技術を用いて画期的な診断薬や治療薬の開発研究が行われている。
画期的な診断薬や治療薬を多大な時間と労力をかけないで開発することができれば革新的である。また、得られた研究
成果を基にして、新しい医療体制の構築や、分析診断機器、診断薬、治療薬の産業的な展開、新市場の開拓が期待でき
る。拠点の成熟と共に、共同研究契約を締結して本拠点で産学共同研究を行う企業が増えている。一方、本拠点では、
PTM分析技術を用いて明らかにされたヒト蛋白質PTMのデータベース(PTMアトラス)の作成を開始した。将来、ひとりひと
りのすべての蛋白質の PTM アトラスを作成することができれば、疾患に伴うすべての PTM 異常を包括的に、かつ簡便に
検出できるようになるので、これを病気の診断や治療に応用することができる。蛋白質 PTM 異常に基づいたオーダーメー
ド医療が実現することになる。究極的なイノベーションが達成できる。
(3)計画変更
新規に参入する協働機関の審査を終え、セルフリーサイエンスが最終参入した。協働機関や研究計画に,今後大きな
変更は予定していない。
24
V. 結果詳細
1.進捗状況
(1)中間時(7年目)の目標に対する達成度
拠点形成によりもたらされたブレークスルー
プロジェクト開始時点から今日(中期)までで、本拠点では図1に示したようにプロテオーム分析技術を基盤にし
て、蛋白質の翻訳後修飾(PTM)と疾患の関係を明らかにし、治療薬や診断薬、治療・診断方法の開発を目指す
研究が産学協働で進められており、拠点形成によってはじめて可能になったといえる様々な研究が行われた。そ
の中でも難治性精神疾患の治療薬となりうる極めて有望な化合物の発見に至った研究は特筆に値する。本拠点
では、難治性精神疾患が多くの場合、劣悪な養育環境に起因する点に着目し、社会的隔離のラットモデルを独
自に開発していた。そして、このモデルを用いて社会的隔離が AMPA 受容体の挙動と翻訳後修飾(PTM)に異常
をきたすことを見いだした。この発見は、精神疾患と社会的隔離との関係を証明した学術的に極めて重要な発見
である。この研究で、この動物モデルが、劣悪な養育環境に起因する難治性精神疾患の治療薬のスクリーニング
に利用できることが示唆された。そこで、平成 21 年度から協働機関(富士フイルム・富山化学工業)と連携して上
述の社会的隔離動物モデルを用いた個体レベルでのスクリーニングを行った。そして、候補化合物の中に、上述
した動物モデルの表現型を改善する化合物を見いだした。この結果を踏まえ、平成 22 年度より研究の規模を大
幅に拡張し、関連化合物の機能解析を中心とした大規模な共同研究を展開することになった。この例は、大学で
培ってきた基礎研究シーズの社会還元を見据えた方向性と、企業の目指す方向性が合致し、しかも画期的な化
合物の発見という成果に結びついた好例であり、真にイノベーションシステム整備事業先端融合イノベーション創
出拠点の形成の基本理念を全うしたものといえる。この例は、すでに企業との共同研究において成果が出ている
研究を重点的に推進すると同時に、将来企業との共同研究に発展する可能性を秘めたシーズ開発型基礎研究
も同時に推進していくことこそ、理想とするイノベーション創出の拠点形成に繋がることを明確に示している。本化
合物はさらに AMPA 受容体シナプス移行促進作用を持つことが証明され、この神経可塑性を引き上げる作用に
着目して適応疾患の拡大を図った結果、脳卒中モデル動物においてリハビリテーション効果促進作用を有するこ
とが証明された。本化合物の結合蛋白質をスクリーニングしたところ、結合蛋白質のひとつが本拠点において世
界最先端の研究が行われている protein X であることも明らかになった。現在、ヒトでの有効性を確認するための
臨床試験準備も進めている。このようにすでに社会的効果が甚大な、かつ産学連携でなければなし得なかった
新しい発想の薬剤の産業化が具体化してきており、今後の産学連携を理念としたプロジェクトの先駆的な成果に
なると考えられ、産学連携の重要性を世に示したものといえる。
一方、拠点化の有効性を示すもうひとつの例は、診断マーカー探索研究に見られる。本プロジェクトで、卵巣明
細胞腺がん細胞で特異的に発現が変動する血液蛋白質を発見した。分担研究者と横浜市立大学産婦人科臨
床部門及び協働機関(東ソー)とが協働で診断マーカーとしての有用性を検証し、既存のマーカーCA125 よりも
優れた特徴をもつ蛋白質であることを明らかにした。平成 25 年には、新規なバイオマーカーとしての特許が取得
できた。前立腺がんの診断マーカーとして有名な PSA は糖蛋白質であるが、見いだされてから診断マーカーとし
て米国食品医薬品局によって承認されるまで 152 年かかったといわれる。本拠点で見いだされた蛋白質は発見さ
れてからまだ 5 年しか経過していないが、すでに実用化に向け協働機関との研究が進展しており、ここ 2,3 年のう
ちには臨床的意義を確定し、体外診断薬の承認申請に向かう可能性がある。本拠点のプロテオーム解析技術を
応用することによって極めて効率的に短期間で優れた診断マーカーが実用化されようとしている。本拠点では、
同じようなプロセスで多くの診断マーカー候補蛋白質が見いだされている。これらの成果は、この種の研究を効率
的かつ効果的に遂行できる拠点が形成されつつあることを示している。
本拠点で創出されるイノベーション
本拠点で蛋白質の PTM を分析する技術を創出する、あるいは開発する研究が進展している。技術の創出や開
発は、イノベーション創出の原点となる。一方、本拠点では、新しい技術を用いて画期的な診断薬や治療薬の開
発研究が行われている。画期的な診断薬や治療薬を多大な時間と労力をかけないで開発することができれば革
新的である(狭義のイノベーション:技術革新)。また、得られた研究成果を基にして、新しい医療体制の構築や、
分析診断機器、診断薬、治療薬の産業的な展開、新市場の開拓が期待できる(広義のイノベーション)。他方、本
拠点では、PTM 分析技術を用いて明らかにされたヒト蛋白質 PTM のデータベース(PTM アトラス)の作成を開始し
た。将来、ひとりひとりのすべての蛋白質の PTM アトラスを作成することができれば、疾患に伴うすべての PTM 異
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常を包括的に、かつ簡便に検出できるようになるので、これを病気の診断や治療に応用することができる。蛋白質
PTM 異常に基づいたオーダーメード(個別化)医療が実現することになる。究極的なイノベーションが達成できる。
実用化・事業化はどこまで進んだか
本拠点で創出、あるいは開発されたプロテオーム解析手法は、実用的な技術として拠点内外の研究者に利用
されている。また、本拠点で用いられている高度なプロテオーム解析技術を利用して、協働機関であるメディカ
ル・プロテオスコープは、受託分析事業と分析技術を指導する事業を開始した。本プロジェクトで培った技術を基
礎としているので、技術レベルは高く、またプロテオミクスのほとんどすべての技術がカバーされている(表1)。
本プロジェクトでは、プロテオーム解析技術を用いて様々な疾患の診断マーカー候補蛋白質が見いだされてい
るが、それらの中には、多数の患者検体を用いて診断マーカーとしての有用性の検証が進み、実用化に近い段
階に達したものがある(図2)。また、プロテオーム解析の結果、様々な疾患で創薬標的分子が検出され、それら
の発現を制御する化合物が見いだされたが、その中には、臨床試験の対象になるものが現れた(図3)。
本プロジェクトが終了する時点までに事業化や実用化に関する所期の目的を達成できることはほぼ確実である。
また、本プロジェクトでは、ヒトの全蛋白質の PTM マップ(PTM アトラス)の作成という極めて大きな目標がある。こ
れまでに得られたデータを入力し、PTM マップを作るソフトウエアもすでに開発した。これによりマップ作成の基盤
ができた。拠点形成後には、ヒトの PTM マップが完成し、健常者と患者のマップのディファレンシャルディスプレイ
分析によって疾患と PTM 異常の関係が可視的に解析できるようになると期待できる。
図 1.研究の流れ、産学連携及び異分野融合
26
図 2.本拠点における診断マーカー研究の現状
各種疾患関連蛋白質の診断マーカーとしての有用性を検証する研究の進捗状況を表している。
卵巣明細胞腺がんの診断マーカー候補蛋白質は、最終段階の臨床評価に入っている。
27
図 3.本拠点における創薬研究の現状
各種疾患で見いだされた疾患関連蛋白質の発現を制御できる化合物に関する研究の進捗状況を表している。
脳卒中関連蛋白質を標的とする化合物は臨床試験に入る。
28
表1.メディカル・プロテオスコープと競合 4 社の受託分析業務範囲
29
中間時の目標に対する研究進捗状況[注)目標(下線部)はミッションステートメントから抜粋]
1)基盤技術開発
【基盤技術開発に関する目標】:
PTM 異常と疾患の関係を分析する先端的技術の開発研究を行い、拠点の基盤となる高感度、高精度でハイス
ループットな技術を整備することができた。が、世界最高レベルの研究を支えるために、技術の開発研究を継続
して行う。まず、2,000 以上の蛋白質を含む複雑な試料の質量分析が効率的に行えるような試料の前処理方法を
日立ハイテクノロジーズと共同で開発する。また、3 年目までは、主にリン酸化異常と疾患の関係を解析してきた
が、7 年目までに、メディカル・プロテオスコープと共同でアセチル化、グリコシル化、ユビキチン化などの PTM を
高感度(10-15 モルレベル)、ハイスループットで解析できる技術の創出・開発を進める。島津製作所とは脂質修飾
分析法を共同で開発する。一方、体内深部(表層から 2 mm 程度)を in vivo で観察できる高精度細胞分子イメージ
ング技術開発を進め、PTM 異常分子の細胞レベルでの動態、生理的影響を明らかにすることができるようにす
る。
【進捗状況:PTM 異常を効率的に検出する基盤技術の整備はほぼ完了】
PTM 異常と疾患の関係を研究する拠点の基盤となる先端的分析技術を創出、開発あるいは体系化する研究を
協働機関(島津製作所・日立ハイテクノロジーズ・メディカル・プロテオスコープ)と共に進めた(図 4)。これまでに
アミノ酸を利用した修飾ペプチドのイオン化効率の向上、質量分析用基板の開発などによって高感度な質量分
析を可能にした。また、1 滴(約 50μL)の血液を用いた1回の分析で血漿蛋白質 3,000 を検出・同定する技術の
開発、リン酸化ペプチド濃縮と質量分析装置(MS)のスキャニング法の改良によるリン酸化蛋白質 2,000 以上、リ
ン酸化部位 3,000〜6,000 部位を1回の分析で検出・同定できる技術の開発などによって多数の蛋白質の大規模
かつ網羅的な解析が可能になった。さらに、新規な 2 種類の PTM ペプチド解離法、すなわち、電子捕獲解離法
と水素原子移動解離法の開発、リン酸化アフィニティー二次元電気泳動を応用したリン酸化蛋白質の質的・量的
変動モニタリング技術の確立などによって、リン酸化部位を確実に解析できるようになった。二相分離とフッ化水
素酸処理、それと MS を利用した GPI アンカー結合蛋白質解析法も創出した。また、MS を用いたアセチル化、グ
リコシル化、ミリストイル化、メチル化、ユビキチン化などの PTM の分析技術も利用可能なものとした。そして、これ
らの技術を利用して PTM 異常蛋白質の検出・同定、機能や疾患との関係を究明する研究を行い、以下の項で述
べるようなバイオマーカーの実用化や創薬に近づく重要な成果が得られた。なお、本拠点において蛋白質の
PTM を解析する方法の原理を詳しく記した実験書「PTM のプロテオミクス」(講談社、2011 年)をまとめ書籍として
出版した(図 5)。これは現在、拠点内の研究者だけでなく、拠点外の多くの研究者にも利用されている。
30
図 4.本拠点に整備された基盤技術
本拠点では、質量分析やイメージングに関連した技術の開発を行ってきた。開発された技術と、横浜市立大学が持っていた RNAi
やモデルマウスなどを用いた機能解析技術や立体構造解析技術とを併せて用いることによって PTM 異常蛋白質の解析を行うことが
できる。疾患関連蛋白質の検出から診断法の開発、薬物設計まで一貫して研究できる拠点は他にない。これら一連の高度技術シス
テムは確立と共に協働機関によって併行的に事業化を行う。最終的にはあらゆる種類の PTM の解析が可能なユニークな事業として
運営する。
図5.本拠点に整備された基盤技術についてまとめた実験書「翻訳後修飾のプロテオミクス」
(平野 久・大野茂男編、講談社 2011)
基盤技術の開発研究では、日立ハイテクノロジーズが電子捕獲解離法を用いた質量分析技術の開発や血清
蛋白質の質量分析で、また、島津製作所はインソース分解法(in source decay : ISD 法)を利用した質量分析技術
の開発などで重要な役割を果たした。また、メディカル・プロテオスコープと共に各種要素技術を体系化し、大規
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模・網羅的に PTM 異常を解析できる方法の開発を行い、それを用いた受託分析事業を展開している。セルフリー
サイエンスは、小麦胚芽システムを用いた無細胞蛋白質合成技術を本拠点の基盤技術として定着させた。
一方、疾患に関連した蛋白質の PTM 異常が同定された後は、まずその異常がどのような生理的な機能変化を
もたらしているのかを明らかにする必要がある。特に将来の臨床応用を考えたとき、その生理的機能を in vivo、細
胞レベルで解析することが重要である。一つのアプローチはイメージングであるが、現在のところ、in vivo 細胞分
子イメージング技術は、二光子顕微鏡を用いたものが中心である。本事業では様々な異常分子の細胞レベルで
の動態及び細胞形態などへの生理的影響の in vivo における観察を、体内深部(脳においては海馬や扁桃体等
の深部領域:表層 2 mm 付近)を含めた広範囲領域において可能にする高精度 in vivo 細胞分子イメージング技
術を開発した。
2)【修飾異常蛋白質の検出、機能解析に対する目標】
拠点に整備された基盤技術を用いて7年目までに、メディカル・プロテオスコープと共同で本課題申請時の目標
を大きく超える 1,000 以上の修飾異常蛋白質を同定し、100 以上の蛋白質について、生理的機能との関係、遺伝
性疾患との係わり、発がん等との関係を蛋白質や遺伝子アレイを用いた解析により明らかにする。
【進捗状況:疾患関連 PTM 異常蛋白質が効果的に検出されている】
開発されたプロテオーム解析技術を用いて、がん、精神神経疾患などに関わる PTM 異常蛋白質の検出と同定
を行っている。また、先端的プロテオーム解析技術と免疫学的、遺伝学的及び生化学的解析法、イメージング技
術を融合させ、検出された蛋白質の疾患との関わりを検証する研究を進めている。卵巣がん、前立腺がん、肺腺
がん、腎臓がんなどと関連して有意に発現が変動する PTM 蛋白質は 1,200 を越えた。また、解析対象としている
疾患それぞれで 10〜20 の蛋白質の創薬標的あるいは診断マーカーとしての有用性を検証する研究を行った。さ
らに、細胞内活動の制御の多くが巨大蛋白質集合体として細胞内の特定の場で行われていることが明らかとなっ
ているが、この巨大複合体の分離精製技術をすでに確立し、これらの技術を駆使して様々な疾患と PTM 異常と
の関わりについて新たな知見を得ると同時に、創薬の分子標的やバイオマーカー候補としての有用性を検討し
た。
2−1)【がん、エイズ、免疫疾患に関する研究の目標】:
3年目までの疾患プロテオーム解析で、がんの転移や悪性化の主役と目される乳腺組織幹細胞や乳がん幹細
胞における aPKC-ErbB2 増殖抑制経路、前立腺がん幹細胞に特異的に発現する Pin1 の標的分子 TFG、また、
がん幹細胞のゲノムや遺伝子発現の完全性を保障する仕組みとしての RuvBL1 を含む超分子複合体の発見など
独創的で重要な成果を得た。これらの蛋白質を中心にして疾患の原因蛋白質を究明すると共に、診断マーカー
や創薬標的分子としての有用性を明らかにし、その実用化を重点的に進めることにする。5年目から参入する東
ソーは、卵巣がんなどの診断マーカー候補蛋白質の検出、有用性の検証、実用化を目指した共同研究を行う。
また、積水メディカルは、ヒト膵臓がん由来樹立細胞株のライブラリー化を進め、薬剤耐性などと関連するバイオ
マーカーの探索を行う。
一方、前立腺がんの悪性化や再発に関与する NF-κB/p65 リン酸化キナーゼの同定、エイズ原因ウイルス HIV
の薬剤耐性スクリーニング法の開発、HIV の感染性を制御する宿主因子や HIV 産生を抑制する新規蛋白質の同
定、HIV の潜伏感染を活性化する機構の解明も3年目までの独創的な成果である。4年目以降は、これらの成果
を基に、NF-κB/p65 リン酸化キナーゼを標的とした新たな診断薬や治療薬を開発する。また、HIV-1 Vif 蛋白質
によるウイルス感染抵抗性宿主因子 APOBEC3G のユビキチン化や蛋白質分解を阻害する薬剤のスクリーニング
によって得られた 253 種類の化合物から、医薬品になる可能性を有するリード候補化合物群を選抜する。
エーザイと共同で免疫細胞の分化と免疫応答、さらには細胞増殖や生存の制御における Interferon Regulatory
Factor(IRF)の PTM と結合蛋白質の同定を行う。そして、がんや自己免疫疾患における IRF の機能不全あるいは
亢進を PTM や構造解析の面から理解し、疾患の病態理解・バイオマーカーとしての応用・創薬を含む新しい治
療法開発に繋げる。
【進捗状況:がん、エイズ、免疫疾患の診断、治療の戦略策定のためのシーズ開発研究が進展】
本拠点の基盤技術を用いて PTM とがんを中心とした疾患との関連を明らかにし、卵巣がん、肺がん、乳がん、
32
前立腺がん、胃がん、膵臓がん診断マーカー、創薬標的候補分子の同定、機能解明に関する研究を進めている。
その中で、乳がん幹細胞における aPKC の消失と増殖亢進の分子機構の解明、乳腺の組織前駆細胞の増殖制
御機構の発見、前立腺がんの再燃に関わる新たな分子機構の発見、糸球体スリット膜機能維持の分子機構の解
明、HIV 蛋白質をリン酸化修飾し、ウイルス粒子の感染性を制御する宿主因子の同定、HIV 粒子産生を強力に抑
制する I 型インターフェロン関連因子の発見、Pin1 による関節リウマチ滑膜細胞からの炎症性サイトカイン IL-6 産
生増強機構の解明、前立腺がんの浸潤転移に関わる因子の同定など疾患の原因究明や治療につながる重要な
成果が得られた。さらに、無細胞蛋白質合成系を用いた新規抗 HIV 薬薬剤耐性スクリーニング法の開発、HIV 抑
制因子 APOBEC3G と HIV-Vif 蛋白質間の相互作用を阻害する化合物の同定など創薬につながる成果も得られ
るようになった。また、Science Signaling 誌に掲載された遺伝子発現の完全性を保障するリン酸化酵素の制御機
構(Masters of Integrity)の発見のように基礎研究として高く評価される成果も得られた。
これらの中で、がんの転移や悪性化の主役と目される乳がん幹細胞における aPKC-Erb B2 増殖抑制経路、再
燃前立腺がんの個別診断と個別治療につながる aPKC-IL-6 枢軸、前立腺がん幹細胞に特異的に発現する Pin1
の標的分子 TFG、また、がん幹細胞のゲノムや遺伝子発現の完全性を保障する仕組みとしての RuvBL1 を含む
超分子複合体の発見などは、特に独創的で重要な成果である。一方、人工がん幹細胞モデル系を作製し、腫瘍
原性と未分化性を阻害する化合物を同定した。さらに、人工がん幹細胞を抗原としたモノクローナル抗体を作製
し、抗原蛋白質を同定することもできた。
東ソーとの共同研究では、卵巣明細胞腺がん細胞で特異的に発現が変動する血液蛋白質を発見し、その蛋白
質の診断マーカーとしての有用性を検証した。そして、既存のマーカーCA125 よりも優れた特徴をもつ蛋白質で
あることを明らかにした。平成 25 年には、新規なバイオマーカーとして特許を取得した。同様に、腎がん、膀胱が
ん、前立腺がんなどに伴って発現が変動する蛋白質を網羅的に解析し、それらの診断マーカーとしての有用性
を検証する研究を進展させた。一方、積水メディカルと協働で、ヒト膵がん幹細胞の培養系を確立し、複数の膵が
ん患者から抗がん剤に治療抵抗性を示す膵がん幹細胞株ライブラリーを構築しつつある。そして、膵がん幹細胞
で発現レベルが高い 5 種類のトランスポーターを発見した。また、膵がん幹細胞の形質変化のプロセスを解析し、
形質出現から転移能獲得までの幹細胞の特性の変化を明らかにした。
他方、これまで前立腺がんの悪性化や再発に関与する NF-κB/p65 リン酸化キナーゼの同定(協働機関:大鵬
薬品工業との共同研究)、エイズ原因ウイルス HIV の薬剤耐性スクリーニング法の開発、HIV の感染性を制御す
る宿主因子や HIV 産生を抑制する新規蛋白質の同定、HIV の潜伏感染を活性化する機構の解明(協働機関:セ
ルフリーサイエンスとの共同研究)などで独創的な成果を挙げたが、さらに最近、NF-κB/p65 リン酸化キナーゼ
を標的とした新たな診断薬や治療薬を開発するために必要な当該部位のリン酸化を認識するモノクローナル抗
体の作製に成功した。また、HIV-1 Vif 蛋白質によるウイルス感染抵抗性宿主因子 APOBEC3G のユビキチン化
や蛋白質分解を阻害する薬剤のスクリーニングによって得られた 253 種類の化合物についてセルフリーサイエン
スと協働で HIV 感染細胞モデルを用いた 2 次スクリーニングを行い、ウイルス複製を強力に抑制する化合物を 3
種類同定することができた。
エーザイとの共同研究では、免疫細胞の分化と免疫応答を司る転写因子ファミリー Interferon Regulatory
Factor (IRF) の機能や発現制御に関する PTM の役割の解析を通して、自己免疫疾患や白血病の病態理解と治
療法開発を行っている。自己免疫疾患に関与すると考えられる IRF に結合するリン酸化酵素の網羅的同定や、
当該 IRF の免疫刺激依存的な PTM を詳細に明らかにした結果、新規 IRF 結合性酵素による IRF 機能の制御効
果が見いだされた。さらに病態モデルマウスを用いて、当該 IRF の機能を選択的に調節することが自己免疫疾患
の治療となり得ることを示唆する知見を得た。これらの成果をもとに化合物創出を目指しており、計画を前倒しして
既に薬剤スクリーニング系を確立している。 また、慢性骨髄性白血病 (CML)の病因であるリン酸化酵素
BCR-ABL による IRF8 の発現抑制が CML 病態における免疫学的異常を引き起こすことや、その異常は IRF8 の
発現回復によって矯正できるという基礎研究結果に基づいて、CML の新規治療法開発のための評価系構築を
進めている。一方、ファンケルとの共同研究では、全身の健康状態を反映する表皮バイオマーカーを探索する目
的で表皮に異常を示すマウスモデルの解析が行われ、蛋白質リン酸化酵素 aPKC が毛嚢幹細胞の維持に関わ
っていることを見いだした。さらに、表皮への紫外線照射に伴い増加する新規のバイオマーカー候補として、ヒド
ロキシル化翻訳後修飾を受けたコラーゲン由来のペプチドを同定した。
疾患関連蛋白質のプロテオーム解析によって膨大なデータが蓄積してきた。個々の蛋白質の PTM 部位を示し
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た PTM マップを作成し、データベース化している。このデータベースを ModProt と命名した。これを利用して、重
要な疾患関連蛋白質の発掘を進めている。リン酸化、ADP-リボシル化、アセチル化、グリコシル化、GPI アンカー、
SUMO 化、ミリストイル化、メチル化、ユビキチン化などの PTM と疾患の関連を明らかにして新規性の高い診断法、
治療法の創出を目指している。
【進捗状況:臨床検体を用いた疾患との相関の解析も着実に進展】
診断マーカーや創薬標的の探索に続いて、大切なプロセスは、臨床検体を用いた有用性の検証のプロセスで
ある。本拠点のバイオバンクは、この意味で大きな役割を果たした。例えば、新規卵巣マーカー候 補蛋白質
OC-2 の診断マーカーとしての有用性の検証、蛋白質リン酸化酵素 aPKC については、乳がん、胃がん、前立腺
がん、膵がん、子宮頸がんなど、様々ながんでその異常ががんの悪性化や予後と相関していることが示され、そ
の多くが報告されている。今後、このようなシステムを利用して、新規の蛋白質についての、臨床検体を用いた相
関解析の基盤が整った。
2−2)【精神神経疾患に関する研究の目標】
社会的隔離は幼児虐待の一つであるネグレクトにより引き起こされる養育環境であり、精神疾患の原因になって
いる。生後間もないラットに社会的隔離操作を施すことによって、経験依存的な AMPA 受容体のシナプス移行が
阻害されることを見いだした。さらにその阻害のメカニズムとして AMPA 受容体の PTM 異常が起こっていることも
発見した。そして、このような難治性の精神疾患を克服するため、富士フイルムと共同でこの動物モデルを用いた
治療薬候補分子を発見した。4 年目以降、本拠点の基盤技術を用いてこの化合物の作用機序を明らかにする。
なお、5 年目からは、富山化学工業が富士フイルムの分担分を継承して研究を行う。富士フイルムは、5 年目から
本拠点で独自に開発した人工がん幹細胞作製法を用いて多種類のがん幹細胞を作出し、これを用いたバイオマ
ーカー探索、抗体医薬の開発研究を行う。一方、アルツハイマー病ならびに統合失調症脳病理組織標本におい
て CRMP のリン酸化水準の変化を見いだした。7 年目までに血清試料での検出技術を開発し、臨床でのバリデー
ションを進め、実用化を図る。
【進捗状況:精神神経疾患の診断、治療の戦略策定のためのシーズ開発研究が発展】
社会的隔離は幼児虐待の一つであるネグレクトにより引き起こされる養育環境であり、境界性人格障害、うつ病、
薬物依存などの様々な精神疾患の原因になっていると考えられている。本プロジェクトにおいて、生後間もないラ
ットに社会的隔離操作を施すことによって、経験依存的な AMPA 受容体のシナプス移行が阻害されることを見い
だした。さらにその阻害のメカニズムとして AMPA 受容体の PTM 異常が起こっていることも発見した。そして、この
ような難治性の精神疾患を克服するため、この動物モデルを用いた新規治療薬のスクリーニングを富士フイルム
と協働で開始した。その結果、社会的隔離により生ずる表現型を抑制する化合物の発見に成功した。本研究はこ
れまで治療が困難とされてきた養育環境に由来する様々な難治性精神疾患の克服につながり、そのような患者
の社会復帰による多大なる経済的効果も期待できる。治療薬としては年間 1,500 億円、社会経済的効果としては
1,000 億円と推定される。現在は、化合物の最適化、効果と PTM 異常修復との関連を明らかにして早期の治療法
の開発研究を進めている。本化合物はさらに AMPA 受容体シナプス移行促進作用を持つことが証明され、この
神経可塑性を引き上げる作用に着目して適応疾患の拡大を図った結果、脳卒中モデル動物においてリハビリテ
ーション効果促進作用を有することが証明された。本化合物の結合蛋白質をスクリーニングしたところ本拠点にお
いて世界最先端の研究が行われている protein X が結合蛋白質のひとつであることも明らかになり、現在、ヒトで
の有効性を確認するための臨床試験準備も進めている。本疾患における治療薬の売り上げは年間 4,000 億円が
期待される。リハビリテーション効果促進薬という発想の薬剤は未だ存在せず、実現すれば、劇的なリハビリテー
ション期間の短縮、寝たきり介護率の減少、社会復帰率の向上、脳卒中治療プロトコールの抜本的改変、薬剤の
海外への輸出などの、本邦の医療支出削減、収入増加をもたらし、これらを総合すると社会経済的効果は数兆
円に達すると期待される。
また、本拠点では、アルツハイマー病ならびに統合失調症脳病理組織標本においてリン酸化 CRMP (collapsin
response mediator protein)の発現量の変化を明らかにした。そして、CRMP の測定系として ELISA 法と、ホルマリ
ン固定試料から PTM を検出する系の確立に着手した。本研究はこれまで臨床所見が主な診断根拠だったこれら
の疾患の客観的な診断指標ができるという画期的な研究である。現在、検出法の感度向上を行い、血清試料で
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の検出技術を開発し、患者検体を用いたトランスレーショナルリサーチを開始している。臨床でのバリデーション
を進め可及的早期の実用化を目指した研究を進めている。
2−3)【遺伝性疾患に関する研究の目標】
本事業では、プロテオミクス技術による PTM 異常蛋白質の解析の他に、遺伝学的アプローチにより疾患関連遺
伝子の絞り込みを行い、PTM と関係する酵素蛋白質遺伝子を発見した。同様な手法を用いて疾患の責任遺伝
子の解析を進め、PTM との関係を明らかにする。
【進捗状況:遺伝性疾患の診断、治療の戦略策定のためのシーズ開発研究も進展】
上記のようなプロテオミクス解析技術による PTM 異常蛋白質及び修飾基の検出と共に、遺伝学的アプローチに
より疾患関連遺伝子の絞り込みを行っている。プロテオミクスの手法による解析から同定されてくる、異常な蛋白
質ならびに PTM の情報のみからでは、その異常が疾病の原因であるのか結果であるのか、明確でないことも多
い。そこで、同時に遺伝学的手法から責任・関連遺伝子領域の同定を行い、関連遺伝子を絞り込むことで、検出
される異常の中から真の責任遺伝子を確定する研究を進めている。
遺伝学では十分に絞り込みが難しい疾患においても、プロテオミクスからの情報の補完により、原因の特定が可
能となる。疾患の原因遺伝子の特定における研究の現状では、精神疾患(統合失調症、躁うつ病、自閉症、スト
レス性疾患等)については原因がほとんど確定しておらず、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、
筋萎縮性側索硬化症等)・がん・アレルギー性疾患・自己免疫疾患については一部で責任遺伝子が同定されて
いるのみである。罹患数が極めて多い「ありふれた病気」である高血圧症・糖尿病・肥満等においてはごく一部の
候補が原因として挙げられているが、再現性が確認できないことが多い。本プロジェクトでは、各疾患における蛋
白質の PTM 異常の同定を迅速に行うためにも、ターゲットとなる蛋白質が絞り込めていることが重要である。蛋白
質レベルでは、細胞内蛋白質複合体の精製技術等、蛋白質ネットワークの解析手法をすでに確立しており、既
知分子を起点とした絞り込みが可能である。さらに、横浜市立大学で開発・作製したアレイ Comparative Genomic
Hybridization (CGH)を用いて、様々な疾患の責任遺伝子の特定を同時に進めている。この技術によりヒトゲノム
32,000Mb の網羅的な解析が数日で完了できるようになり、疾患の責任遺伝子の特定が迅速に可能となる。これ
までに様々な責任遺伝子が未単離の遺伝性疾患を対象として先進的ゲノム手法を駆使して責任遺伝子を単離し、
その中で蛋白質 PTM に関連する疾患責任遺伝子の機能解析から、PTM とヒト疾患の関連を明らかにすることが
できた。特にヒト結合織疾患に分類される新型エーラスダンロス症候群(EDS)において PTM に関わる遺伝子を単
離し、機能を明らかにした研究の成果は大きい。また、脊椎骨端骨幹端異形成症 I 型の原因が、責任遺伝子産
物の糖鎖結合領域の異常にあることを見いだした。現在さらに責任遺伝子が未単離の遺伝性疾患を対象として
先進的ゲノム手法を駆使して責任遺伝子を単離し、PTM との関係を解析している。
2−4)【創薬の標的、診断マーカー候補蛋白質の臨床検証に関する研究の目標】
創薬の標的、診断マーカー候補蛋白質を実用化するためには、多数の標本を用いた臨床研究を行う必要があ
る。
【進捗状況:臨床検証が本格化】
分子の特異的な PTM を精密に同定する技術、そして、その化学修飾がもたらす分子機能制御の解析と分子
構造情報により、疾患の発症機構にまで踏み込むことができれば、疾患の診断治療法開発へのアプローチに多
くの可能性を提供できると予想される。上述した本拠点で開発する新技術(PTM のプロテオーム解析技術、新世
代イメージング技術等)によって得られる創薬の標的、診断マーカー候補蛋白質の疾患発症との関わり、診断マ
ーカーや創薬ターゲットとしての妥当性、有用性の評価は、最終的には臨床検体による解析、臨床研究、あるい
は疾患モデルを用いた研究によって行われる。これらの研究には、専門の臨床医との共同作業が必須である。本
研究では、先端医科学研究センターのバイオバンク部門において、臨床検体の保管及び研究者への供給を一
元的に管理し、臨床各科との共同体制で運営している。本バイオバンク部門は、検体と臨床情報の質において、
これまで家内工業的に行われてきたものとは一線を画すもので、本プロジェクト開始時点から、本格的に患者から
の試料の収集が行われている。すでにこのプロトタイプを利用して、前立腺がん、乳がん、胃がんなどの臨床検体
を用いて研究成果を挙げてきた。
35
3)【診断技術の開発に関する目標】:
PTM 異常蛋白質のアッセイ法の開発に関しては、PTM に関わる分子に着目して新たなバイオマーカーを探索
し、PTM 異常に起因する病態を臨床的に可視化できる新しい PET 診断技術を確立し、疾病の早期診断、開発薬
剤の治療効果予測の精度向上を目指す。3年目までに PET マーカーとして金属核種である 68Ga を用いて、
68
Ga-DOTA-PEG-RGDfk の合成に成功した。7年目までには、多種類の蛋白質、抗体を標識化し、それを用い
たイメージングを進め、本拠点で明らかにされた PTM 異常蛋白質の病態を PET で診断する技術を開発する。一
方、診断マーカーを質量分析装置で選択的にアッセイする多反応モニタリング法(MRM)を開発する。これまでに
10-15 モルレベルで疾患と関連する特定のプロテインキナーゼを効率的に同定することに成功した。しかし、この感
度は血液中の診断マーカーを検出する上で必ずしも十分ではない。また、現在の技術では、複雑な蛋白質混合
物中の特定のペプチドを選択的に解析することは容易でない。そこで、5年目までには試料調製方法などを改良
することによって感度を向上させ、複雑な試料中のペプチドが 10-17 モルレベル検出できるようにする。
【進捗状況:将来の医療応用に向けた次世代型 PTM アッセイ法の開発研究が進展】
バイオマーカー候補蛋白質がどれほどの陽性率で患者に認められるのかを分析する場合(Clinical validation)
や特定の蛋白質を実際にバイオマーカーとして利用する場合(診断)には、ハイスループットで特定の蛋白質や
PTM ペプチドを検出する必要がある。そのためにこれまでは専ら抗体を利用してきた。しかし、良質の抗体の作
製には時間と労力がかかる。また、抗リン酸化 Ser、Thr 抗体のように良質な抗体が得にくいものもある。最近、質
量分析装置による多重反応モニタリング法(MRM)が発達してきた。この方法は、トリプルステージ四重極質量分析
装置やリニアイオントラップ型の質量分析装置のみで利用できるものである。通常の MS/MS では、第1の質量分
析計でペプチドイオンを選択し、衝突室で断片化する。生じたすべての断片の質量を第2の質量分析計でスキャ
ニングすることによってシークエンス情報を得たり、PTM を検出したりしていた。しかし、MRM においては、例えば、
トリプルステージ四重極質量分析装置の場合、第一の質量分析計でイオンを選択した後、衝突室で断片化する
まではこれまでと変わりないが、第二の質量分析計でも特定のイオンのみ選択的に検出する。これにより特定の
修飾を受けたペプチドのみを、あるいは、バイオマーカーのみを高感度で検出することができる。また、異なる試
料でも検出対象とするペプチドは同一であるから質量分析装置の持つダイナミックレンジ(103〜104)で定量的な
解析を行うことができる。従って、MRM が抗体に代わる方法として利用できる可能性が高い。
これまでの研究では、血液のような複雑な蛋白質混合液中の特定のペプチドを MRM で直接検出することは難
しかった。そこで、本プロジェクトでは、免疫沈降によってマーカー候補蛋白質を濃縮精製した後、MRM で検出
できるかどうか検討した。その結果、この方法によって血液中に 2.3 pg/mL レベルのバイオマーカー候補蛋白質
があれば検出できることが明らかになった。この感度は ELISA の検出感度と変わらない。抗体を用いた検出では、
アイソフォームや PTM 蛋白質を識別して検出できないが、MRM を組み合わせて用いることによってこれが可能に
なる。ただし、抗体を用いなければそれに越したことはない。そこで、現在、抗体を使わず、MRM のみで検出でき
るよう技術の開発研究を進めている。
PET を利用した分子イメージング技術は、薬剤を 11C または 18F の放射性核種で標識し、生体に投与後、
PET/CT 撮影装置にて PET 薬剤の体内分布測定を行うことで、生体内の薬物動態や疾患病態を診断できるきわ
めて将来性のある方法論である。しかし、疾患診断の客観的な基準や、バイオマーカーは開発途上にある。本研
究では、PTM に関わる分子に着目して新たなバイオマーカーを探索し、PTM 異常に起因する病態を臨床的に可
視化できる新しい診断技術を確立することによって、疾病の早期診断、開発薬剤の治療効果予測の精度向上を
目指す。すでに臨床治験の前段階に PET を利用して行う「マイクロドージング」により、創薬開発のコストを劇的に
削減することを目的とした、大学発ベンチャー企業が立ち上がっており、この分野でのわが国での研究開発にお
いて、優位な立場にある。これまでに蛋白質に対して応用が可能な技術開発の一環として、金属核種である 68Ga
を用いて、68Ga-DOTA-PEG-RGDfk の合成に成功している。標識化の対象としたのは 5 残基の小さなペプチドで
あるが、この標識化に用いた技術である 68Ga-DOTA-PEG-に関しては、蛋白質の標識化を可能にすることが期
待できる。現在、多種類の蛋白質、抗体の標識化を進め、PTM 異常に起因する病態診断や創薬開発支援に関
する診断技術開発を行っている。
36
4)【機能性食品、化粧品の開発に関する目標】:
本拠点の分析技術を利用して、ライオンと共同でラクトフェリンのような機能性食品成分がヒト体内で蛋白質の動
態や情報伝達系に及ぼす影響について解析し、機能性成分の効果を検証すると共に新たな機能の発見を目指
す。また、4年目からは、ファンケルが協働機関として参加する。同社と協働して本拠点で整備した分析技術を皮
膚蛋白質に応用し、皮膚の老化や健康のマーカーの開発を行う。さらに、皮膚診断マーカーを用いた機能性製
品の性能評価を通じて、新製品開発につなげる。
【進捗状況:機能性成分の生体中での役割の解析が進展】
ライオンとは、内臓脂肪の低減効果のあるラクトフェリンなどの機能性食品の作用機構をプロテオーム解析手法
を用いて解明する共同研究を行っている。これまでにラクトフェリンのマウスへの投与によって脂肪分解関連蛋白
質であるアデニル酸シクラーゼ(cAMP 合成酵素、AC2)や、ホルモン感受性リパーゼ(脂肪分解の主要律速酵素、
HSL)の発現が上昇することが明らかになった。培養細胞にラクトフェリンを添加すると 15 分以内にプロテインキナ
ーゼ A(PKA)によりリン酸化が亢進された。また、細胞内 cAMP 濃度の上昇も確認された。これらの結果から、ラクト
フェリンは一般的な脂肪分解経路である cAMP 経路を活性化することが確認された。さらに、c-Raf の発現上昇や
ERK1/2 のリン酸化亢進、ERK 経路の活性化、ERK/cAMP 両経路の下流因子である CREB の活性化などが見ら
れた。ラクトフェリンは、脂肪分解に関与する重要な蛋白質の発現制御に関わっていることが明らかになってきた。
また、横浜市立大学とファンケルは、機能性食品としてのコラーゲンに注目しているが、経口摂取したコラーゲン
が、ペプチドとして血中に入り、表皮に到達している事を確認した。また、障害時に表皮の局所において、一群の
コラーゲンペプチドが内在的に生じる事を発見した。これらの結果は、分解コラーゲンの機能性食品としての有意
性を示唆するものである。
5)【構造・薬物設計に関する目標】:
10 以上の修飾異常蛋白質の立体構造を NMR やX線結晶解析によって明らかにし、薬物設計の基盤を作る。
PTM による蛋白質活性制御の分子構造の構築、PTM を標的とする薬剤の in silico スクリーニングに不可欠な、
PTM による分子間相互作用変化を解析し、その結果を基に、薬剤スクリーニングを試みる。また、関節リウマチの
原因の一つと予想される PAD4 を標的とした抗体を作製し、モデル動物でその治療効果を確認している。今後は、
治療薬開発の可能性について具体的な検討に入る。一方、ハンチントン舞踏病や髄芽腫の原因蛋白質として検
出された神経特異的転写抑制因子 NRSF とコリプレッサーSin3 との相互作用を標的とした薬剤のスクリーニングを
行い、活性のある有機低分子を得ることに成功した。これらの研究を継続し、疾患の予防、診断、治療といった臨
床応用に直結する知見を得る。さらに前立腺がん特異的蛋白質リン酸化酵素、免疫細胞の分化と免疫応答、細
胞増殖などに重要な役割を果たす転写因子ファミリーIRF などの立体構造の解析を行い、創薬シーズとしての可
能性を検討する。
【進捗状況:疾患に関わる PTM 異常蛋白質の構造解析が進展】
これまでの研究成果を活用して、PTM による蛋白質活性制御の分子構造の構築、PTM を標的とする薬剤の in
silico スクリーニングに不可欠な、PTM による分子間相互作用変化の理論基盤の整備を進めた。さらにそれらを
基に、薬剤スクリーニングを試み、今後拠点として活動するための成功事例の作成に努めた。
これまでに PTM による蛋白質活性制御の分子構造基盤の解析では、ヒストン H3 の N 末端に結合する因子とし
て哺乳動物細胞から精製する過程で見いだされたメチル基転移領域をもつ蛋白質、ヌクレオメチリン(NML)の構
造解析、転写反応における PTM の分子構造レベルでの機構解明へ大きく寄与する転写因子のリン酸化による転
写制御機構の解析、構造シミュレーションによる PTM が分子構造に与える影響に関する系統的な解析で重要な
成果が得られている。
分子構造を利用した薬物設計では、これまでに、ヒストンの PTM に関わる蛋白質群の分子構造を基に薬物設
計を試みた。また、関節リウマチの原因の一つと予想される PAD4 を標的とした抗体を作製し、モデル動物での治
療効果を確認している。現在、治療薬開発の可能性について検討を行っている。
一方、本拠点で発見された疾患関連蛋白質の構造解析とそれに基づく薬物設計は、本事業の究極的な目的
になっているが、これまでにハンチントン舞踏病や髄芽腫の原因蛋白質として検出された神経特異的転写抑制
37
因子 NRSF とコリプレッサーSin3 との相互作用を標的とした薬剤のスクリーニングを行った。いずれも、活性のある
抗体や有機低分子を得ることに成功しており、分子構造を利用した薬剤開発への端緒となる研究成果を挙げて
いる。現在、これらの研究を継続すると共に、疾患の予防、診断、治療といった臨床応用に直結する知見を得る
ため、質量分析装置等による網羅的解析によって同定された疾患と関係の深い蛋白質を解析している。また、本
プロジェクトで明らかになった前立腺がん特異的蛋白質リン酸化酵素、免疫細胞の分化と免疫応答、細胞増殖な
どに重要な役割を果たす転写因子ファミリーIRF などの立体構造の解析を行い、創薬シーズとしての可能性を検
討している。さらに蛋白質への薬剤結合、蛋白質のリン酸化やユビキチン化などに伴う蛋白質の構造変化につい
てデータベースを用いて分子動力学シミュレーションによって解析した。
(2)再審査コメントへの対応
【協働機関との関係に関するコメント】:蛋白質の翻訳後修飾に関する知見が拠点に蓄積されており、今後の応用
展開が期待される。創薬・食品等の出口を担当する協働機関は、自社の新事業の展開に拠点を活用する方向性
が明確であり、拠点に対する強い期待が認められるものの、協働機関相互の連携は現時点では弱く、拠点活動
に対して受動的な面の克服は課題である。今後、イノベーション創出拠点として出口を明確にした産学連携の推
進が期待される。
【コメントへの対応】:同じ業種の協働機関であっても分析技術上の課題については共通したものがある。技術開
発の中心になっている横浜市立大学とメディカル・プロテオスコープ及びセルフリーサイエンスが要となって企業
間の連携を強化している(図 6)。まず、ほとんどすべての協働機関の質量分析で、メディカル・プロテオスコープ
が技術提供を行っている。また、MRM 質量分析において、ペプチドの絶対定量分析を行うためには多種類のキ
ャリブレーションペプチドが必要であるが、その合成にセルフリーサイエンスの無細胞蛋白質合成技術が使われ
た。一方、GPI アンカー修飾は、GPI がエタノールアミンホスフェートを介して蛋白質の C 末端に結合する PTM で、
受容体蛋白質の 15%がこの修飾を受けていると言われる。この修飾が欠損すると、難治性の血液疾患発作性夜
間血色素尿症、難治性の貧血、静脈血栓などが引き起こされる。また、過剰な GPI アンカー修飾蛋白質の合成は
がん化を引き起こされることも知られている。協働機関であるエーザイから、この修飾分析法創出の重要性が指摘
された。そして、島津製作所とメディカル・プロテオスコープは、横浜市立大学と協働で分析法を創出し、指摘に
応えた。
ライオンは、ラクトフェリンと相互作用する蛋白質の探索を進めているが、相互作用の解析に習熟しているセル
フリーサイエンスと協働で研究を行った。また、東ソーはエーザイ、富士フイルム、メディカル・プロテオスコープな
どとバイオマーカー探索と創薬研究に関して拠点連携体制形成の可能性を拠点運営会議において協議してい
る。
他方、出口を目指した研究も着実に進展している。メディカル・プロテオスコープは、平成 25 年に拠点の基盤技
術を応用した受託分析を事業化し、順調に業績を伸ばしている。診断薬や治療薬の実用化、機能性製品の実用
化を目指した研究も着実に進展している。製薬関係では富山化学工業が臨床試験開始に向け準備を進めてい
る。また、エーザイは IRF の研究で得られた知見を基にしたスクリーニング系を立ち上げ化合物のスクリーニング
の開始段階に達した。出口に向けた研究が計画以上に早く始まった。富士フイルムでは新しいコンセプトである
人工がん幹細胞を用いたスクリーニング系を検討し、課題であったがん幹細胞に特化したスクリーニング方法の
開発に目処をつけた。診断薬については、東ソーが、新規診断薬の開発を目指し臨床医のヒアリングを進め、検
証試験を確実にするための患者検体を用いた試験を実施した。これらの成果は、期待していたものではあるが、
想定以上に早く得られた。こうした研究の進展から、産学連携の拠点がうまく機能していることを認識することがで
きる。
【実現可能性に関するコメント】:イノベーションにつながる事業実用化へのロードマップを更に明確にして課題を
推進していくことが期待される。
コメントへの対応:翻訳後修飾拠点で創出可能なイノベーションについて考えを明確にし、それを分担研究者及
び協働機関が共有してイノベーションにつながる事業化、実用化の計画を策定した。各分担研究者及び協働機
関毎に事業化、実用化の可能性のある研究を抽出・整理し、事業化、実用化の達成が予想される年度を記したも
のが表 2 である。
38
図 6.協働機関の連携の現状
※メディカル・プロテオスコープは、MS とその周辺技術を用いた分析で拠点の運営に携わると同時に、
診断マーカーを探索する研究を進めている。
※※セルフリーサイエンスは、無細胞蛋白質合成で拠点の運営に携わると共に、エイズ治療薬の開発等で
研究にも携わっている。
39
表 2.<事業化・実用化への対応状況>
事業化・実用化項目
進捗状況
(実施機関責任者)
翻訳後修飾プロテオー
ム解析技術を基盤とす
る受託分析、受託研究
(平野 久)
新規のマトリックスを用
いた質量分析技術
(高山 光男)
卵 巣 明 細 胞 腺 が んの
診断マーカー
(平野 久)
肺腺がんの予後予測
マーカー(平野 久)
膵 が ん治 療 薬 の 効 果
予測診断マーカー
(谷口 英樹)
aPKC を介した蛋白質リ
ン酸化シグナルを標的
とするがんバイオマー
カー (大野 茂男)
AMPA 受容体を標的と
するリハビリテーション
効果促進薬
(高橋 琢哉)
各種の翻訳後修飾を高感度で解析する技術を
確立した。これらの技術を用いてメディカル・プ
ロテオスコープが受託分析事業を開始した。
MS 中で翻訳後修飾基を保持したままペプチド
主鎖の N-Cα結合のみを特異的に分解できる
新規のマトリックスを見いだした(特許申請済)。
現在、これを用いた質量分析技術の実用化を
目指している。
卵巣明細胞腺がんの新規診断マーカー候補蛋
白質を発見した。婦人科腫瘍患者において既
存の卵巣がん診断マーカーCA125 よりも高い精
度で明細胞腺がん患者を識別できる。症例数を
増やした臨床試験を行い、製品開発および実
用化を目指す。
術後、凍結した肺腺がん組織を用いて、術後 3
年目に肺腺がんを再発した患者で特異的に発
現しているリン酸化蛋白質を発見した。予後予
測マーカーとしての有用性を検証し、実用化を
目指す。
術前治療を受けていない患者の膵がん組織を
持つ担がんモデルマウスを用いて抗がん剤耐
性に関わるトランスポーターを特定した。膵がん
治療薬の効果予測診断マーカーとして実用化
するため、マーカーとしての有用性を検証する。
aPKC による子宮頸がんの前駆病変である子宮
頸部上皮内病変の病状進行予測可能な診断方
法の実用化を目指す。
aPKC の標的因子、KIBRA が胃がん細胞の転移
性と相関することを発見した。転移性マーカーと
しての有用性を検証している。
乳がん幹細胞の増殖を制御する aPKC- ErbB2
枢軸を見いだした。診断マーカーとしての有用
性を検証している。
AMPA 受容体のシナプス移行を促進する化合
物を特定。疾患モデルマウスで効果を確認。さ
らにサルでの検証を行った上で治験を開始し、
リハビリテーション効果促進薬としての有効性を
確認する。
40
目標とする事
業化・実用化
時期
平成 25 年度
に事業開始
協働機関
メディカル・プ
ロテオスコープ
平成 28 年度
最短 5 年後
(平成 31 年
度)に新たな
検査診断項
目としての実
用化を目指
す。
平成 30 年度
東ソー
平成 30 年度
積水メディカル
平成 35 年度
平成 27 年度
に臨床試験
を開始する。
富山化学工業
転写因子 IRF を標的と
する自己免疫疾患の新
規治療薬(田村 智彦)
研究開始から 3 年が経過した。自己免疫疾患と
強い関連のある IRF ファミリーのひとつに関し
て、その翻訳後修飾や結合リン酸化酵素の網羅
的解析を行い、当該 IRF の機能を制御するリン
酸化酵素を同定した。そして疾患モデルマウス
や遺伝子欠損マウスを用いて当該 IRF の選択
的な機能調節が自己免疫疾患の新たな治療に
繋がることを見いだした。さらに当該 IRF の機能
を指標とした化合物スクリーニング系について、
最も適した細胞、刺激の種類、機能のモニター
法などを詳細に検討した結果、計画を前倒しし
てこれを確立するに至った。現在エーザイにて
ハイスループットスクリーニングに向け最終的な
条件設定を行っている。26 年度下期より化合物
スクリーニングを開始する。
平成 39 年度
エーザイ
転写因子 IRF8 を標的
とする慢性骨髄性白血
病(CML)の新規治療
薬(田村 智彦)
研究開始から 3 年が経過した。CML の原因遺
伝子(BCR-ABL 融合遺伝子)を造血前駆細胞
に導入すると抗腫瘍免疫に必須である樹状細
胞(DC)への分化と IRF8 の発現が著明に阻害さ
れたが、このとき同時に IRF8 遺伝子を強制発現
さ せ る と DC へ の 分 化 が 回 復 す る 一 方 、
BCR-ABL のチロシンリン酸化活性は抑えられて
いないことがわかった。さらに、IRF8 によって救
済された BCR-ABL 陽性 DC は、サイトカイン産
生能、細胞障害性 T 細胞誘導能共に通常の
DC より高いことがわかった。この結果は、CML
においては抗腫瘍免疫不全があるが、IRF8 の
機能や発現を選択的に回復させる薬剤が開発
できれば、これを克服できる次世代の CML 治療
法につながる可能性があることを示唆している。
今後は IRF8 発現抑制の分子機構のさらなる解
明と化合物スクリーニングに向けた評価系の構
築を目指す。
独自に構築した人工がん幹細胞モデル(iCSC)
を用いて化合物のスクリーニングを行い、抗がん
幹細胞作用を有するヒット化合物を見いだした
(一次スクリーニングで 15 種、二次スクリーニン
グで4種に絞り込み)。周辺化合物の構造活性
相関情報を得て構造の最適化を行い、実用化
に向けた研究を進める。
アルツハイマー型認知症の発症において、Aβ
→CRMP2 リン酸化→Aβ毒性発現という経路が
存在することを見いだした。CRMP2 蛋白質のリ
ン酸化を制御する薬剤をアルツハイマー病治療
薬の候補として探索する。
平成 39 年度
エーザイ
平成 35 年度
富士フイルム
がん幹細胞を標的とす
るがん治療薬
(梁 明秀)
CRMP のリン酸化を標
的とするアルツハイマ
ー病治療薬
(五嶋 良郎)
41
平成 35 年度
無細胞蛋白合成系を
用いた薬剤スクリーニ
ングシステムによるウイ
ルス感染症治療薬
(梁 明秀)
関節リウマチの治療薬
(佐藤 衛)
膵がん幹細胞を標的と
する膵がん治療薬
(谷口 英樹)
転写因子とその翻訳後
修飾を標的とした創薬
(緒方 一博)
エピゲノム因子を標的
とした疾患治療薬
(西村 善文)
翻訳後修飾異常を介し
て発症する疾患群の遺
伝子診断(松本 直通)
翻 訳 後修 飾異 常症の
PET 診断
(井上 登美夫)
これまで合成が困難とされてきた HIV をはじめと
するウイルス感染症関連蛋白質の合成系を確
立。感染阻害剤のスクリーニングを実施。HIV 複
製を効果的に抑制する化合物群を見いだした。
また、抗 HBV 薬剤アッセイ系の構築に成功し、
HBV の侵入を効果的に阻害する 3 つの化合物
を選別した。
X 線結晶構造解析データに基づき最適なエピト
ープに対する 4 種類の抗 PAD4 抗体を作製、関
節リウマチモデルマウスに投与して関節炎発症
の抑制効果を確認した。そのうち2種が PAD4 に
対する阻害活性及び特異性おいて優れている
ことを認めた。さらに効果の高い抗体の作製を
進めている。
膵がん幹細胞の抗がん剤耐性に深く関わるトラ
ンスポーターを特定。これに対する中和抗体等
を得ることによって膵がん幹細胞に対する治療
薬の開発を目指す。
転写因子 Runx1 を標的とした阻害薬のデザイン
に着手。3D プリンターによって Runx1-CBFβ
-DNA 複合体の模型を作製し、絞り込んだ標的
候補部位に対する in silico スクリーニングを進め
る。
抗がん剤治療抵抗性の細胞では酸化ストレス応
答性転写因子 Nrf2 の機能が亢進していることか
ら、Nrf2 活性阻害剤の開発を進める。
mSin3 に結合 し、神経特異的転写抑制因 子
NRSF の結合を阻害する化合物を設計した。動
物モデルで、神経疼痛や線維筋痛症への治療
効果を確認した。
重度の骨格異常を起こす遺伝性難治疾患
(SEMD-JL1)」患者の6家系において糖鎖修飾
酵 素 B3GALT6 遺 伝 子 の 変 異 を 発 見 。
B3GALT6 遺伝子の機能障害でプロテオグリカ
ンのグリコサミノグリカン結合領域が正常に合成
できないため、骨、軟骨、靱帯、皮膚など多様な
組織で異常を引き起こすことが判明。
難治性てんかん患者の4症例で、UDP-ガラクト
ース輸送体をコードする SLC35A2 遺伝子に異
常を認めた。これらの患者では、糖鎖修飾の全
般の異常をきたすことがてんかん症状の原因に
なっているものと推定された。今後は、翻訳後修
飾異常を介して発症する疾患群の遺伝子診断
法としての実用化を目指す。
抗体を用いた翻訳後修飾異常蛋白質のイメー
ジングを目指し、3 年目までに PET マーカーとし
て 金 属 核 種 で あ る 68Ga を 用 い 、
68
Ga-DOTA-PEG-RGDfk の合成に成功してい
42
平成 35 年度
セルフリーサイ
エンス
平成 39 年度
平成 35 年度
平成 35 年度
未定
平成 30 年度
平成 30 年度
積水メディカル
ラクトフェリンの機能メカ
ニズムを解明し、健康
食品事業をさらに展開
(平野 久)
科学的な裏付けに基づ
く新たな健康食品
(大野 茂男)
る。さらに、ハーセプチンなどの抗体に対する
PET 核種によるラベル化も実施しており、実際に
様々な反応を組み合わせることで、 68Ga による
抗体のラベル化に成功している。
培養細胞にラクトフェリンを添加すると 15 分以内
にプロテインキナーゼ A(PKA)によりリン酸化が
亢進された。また、細胞内 cAMP 濃度の上昇も
確認された。これらの結果から、ラクトフェリンは
一般的な脂肪分解経路である cAMP 経路を活
性化することが確認された。
コラーゲン由来のジペプチドまたはトリペプチド
の皮膚への移行を確認。ラットをモデルとして、
皮膚中に取り込まれたペプチドを LC-MS/MS
分析により同定した結果、投与後 2 時間で皮膚
中のペプチド濃度が上昇していることが確認さ
れた。今後さらに、これらのペプチドの機能につ
いても解析を進める。
43
事業継続中
ライオン
平成 30 年度
ファンケル
(3)外的要因の変化(制度の変更、市場の変化、競合者との関係の変化等)及びあい路事項への対応
「産業構造及び国際的な競争条件の変化、急速な少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に対応して、
産業の国際競争力の強化及び地域の活性化に関する施策を総合的かつ集中的に推進することにより、わが国
の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るため」、国際戦略総合特区制度が設けられた。平成 23 年度に
神奈川県、横浜市及び川崎市が国際戦略総合特区として指定された。この地域、すなわち京浜臨海部は、巨大
な市場を持ち、多くの産業分野が集積している。また、羽田空港を中心に国内外とのネットワークが構築されてい
る。この地域には、研究機関、医療機関、医療・健康関連企業、産業を支える金融機関など、ライフイノベーション
の実現に向けた基盤がある。この地域で、「個別化・予防医療時代に対応した, 革新的医薬品・医療機器の開
発・製造と健康関連産業の創出」という目標の実現に向けた特区として、世界に先駆けて超高齢社会と直面する
課題の解決を図り、その成功事例を世界に向けて発信し、国際的な貢献を果たすと共に、わが国の持続的な経
済成長を牽引することが求められている。
また、新たに制度化された国家戦略特区にも東京圏として横浜市立大学が選定され、革新的医薬品・医療機
器の開発・製造と健康関連産業を創出するために必要な様々な規制緩和や税制の優遇措置がとられることにな
っている。横浜市立大学先端医科学研究センターは、この京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区及
び国家戦略特区の拠点に選定された。イノベーションシステム整備事業では、診断薬や治療薬の開発が進んで
いるが、国際戦略総合特区政策によって、より迅速に実用化・事業化できる可能性が出てきた。
44
2.拠点形成
(1)システム改革
【システム改革の進捗状況】:
①拠点の全体像
研究組織
システム改革
図 7.翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成(全体像)
45
【システム改革に関する目標】:
先端医科学研究センターに若手の研究者をリーダーとする研究ユニットを複数設置し、優れた若手研究者の育
成を図る。また、医学部の殻に閉じこもらない、理薬工学研究者を取り入れた組織横断的研究ユニットを構築し、
基礎研究から医薬・医療 機器開発まで俯瞰できる新しいタイプの研究者を養成する。バイオインフォマティクス
専門家の育成にも尽力する。一方、協働機関の研究者等を横浜市立大学大学院の客員教員として位置づけ、
企業のニーズに即応した教育を実施する。これによって企業への人材供給の促進を図る。女性研究者や外国人
研究者の受け入れも促進する。さらに、ヒトプロテオーム機構(HUPO)世界大会を開催し、拠点の国際化、国際
的人材の育成に役立てる。
1-1) 理事長・学長をリーダーとした拠点形成事業の推進
横浜市立大学では、理事長をトップとする経営組織と学長をトップとする教育研究組織のそれぞれの権限と責
任の所在の明確化を図る体制を採っている。本拠点は大学直轄の拠点と位置づけられており、本プロジェクトで
は総括責任者である理事長と副総括責任者である学長が一体となって拠点形成を推進している。本拠点では、
理事長と学長のリーダーシップによって、部局、研究領域の枠を越えて研究者が組織化されている。また、理事
長は、総括責任者として必要に応じて協働機関の責任者や研究担当者と話し合い、密接な協力関係の構築に
努めた。一方、経営組織の長である理事長は、横浜市立大学設置機関である橫浜市の協力を得て、拠点の中心
施設の新築や増築、新規定員の確保などに力を尽くした。
平成 25 年度には、産学連携、先端的な研究を推進するため、先端研究担当の学長補佐職を設置した。そして、
本プロジェクトの研究戦略部会長の大野教授がこの職に就いた。これによって横浜市立大学が本拠点形成事業
における産学連携や先端研究の一層の促進を図る体制が整った。
1-2)生命科学分野の再編に向けた医理連携体制の構築
本プロジェクトでは、横浜市立大学の異分野の研究グループを融合することで、世界を先導する生命科学分野
の研究開発拠点の形成を目指している。横浜市立大学の第 2 期中期計画(平成 23~28 年度)でも、将来の医療
に貢献する研究推進体制の整備の項目で、「生命科学分野の世界的レベルの研究拠点を形成し、臨床研究や
治験に力を入れた研究を推進し、その結果として、基礎医学で得られた優れた成果と臨床現場で実践できる医
療技術を橋渡しし、先端的医療の提供を目指す」ことを宣言している。生命科学分野における競争力の維持・向
上に向け、これまでややもするとキャンパスや部局ごとに個別に行われてきた研究及び人材育成の体制の再構
築を進めた。その大きな柱は、大学の各キャンパス(福浦キャンパス、金沢八景キャンパス、鶴見キャンパス等)に
分かれている生命科学分野の研究グループを融合することにあった。本プロジェクト採択後に、「生命システムを
物質要素のシステム化により形成される複雑系とするボトムアップの立場から解明する」という概念のもと、学部の
生命医科学コース(学科)と大学院生命医科学研究科を設置した。
なお、平成 22 年度より、大学の戦略的研究資金である「研究戦略プロジェクト事業」のうち、若手人材育成推進
費、地域貢献促進費を除く部分を、学長裁量経費として一本化し、平成 22 年度は、本プロジェクトと密接に関連
するゲノム・プロテオーム関連のプロジェクト各1件(研究費各 2,500 万円)を採択した。また、平成 25 年度からは、
医理連携推進研究に 2,500 万円/年を助成し、医理連携の促進を図った。本プロジェクトも事業の一環として医理
融合研究に対して支援を強化した。
1-3)バイオインフォマティクス解析室の設置
本拠点においては、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム解析などによって大量のデータが生み出されるよ
うになった。この大量のデータを解析し、有用な情報を引き出すためには、生物学と情報科学両方の知識を持つ
バイオインフォマティクスの技術者・研究者を擁する研究室が必要である。しかし、これまで横浜市立大学には、
蛋白質の構造のシミュレーション、計算科学を専門とする研究室はあったが、ゲノム、プロテオーム解析などで生
じた大量のデータの解析に関する研究室がなかった。そこで、本プロジェクトのシステム改革の一環として、平成
24 年度にバイオインフォマティクスの人材の育成と、データ処理技術の開発を目的としたバイオインフォマティクス
の研究を開始した。そして、新研究棟の 4 階にバイオインフォマティクス解析室を設置した。この解析室は、本プロ
ジェクトで得られた大量のデータ解析を進めると共に、協働機関の研究者を含む本プロジェクト関係者が参加で
きるバイオインフォマティクス研究会を 14 回に渡って開催し、データ解析技術の教育、普及に尽くした。また、バイ
オインフォマティクス手法を拠点の基盤技術として定着させることに努めた。
46
1-4)無細胞蛋白質合成実験室の設置
セルフリーサイエンスと協働で、無細胞蛋白質合成技術を本拠点の基盤技術として確立した。従来、合成が難
しいとされていた HIV をはじめとする種々のウイルス感染症関連蛋白質の合成に成功し、各種解析用高品質モノ
クローナル抗体作製のための抗原合成法の開発、さらに様々な相互作用因子をスクリーニングするためのアッセ
イ系構築から解析、阻害剤スクリーニングで成果を挙げた。現在、HIV-1 蛋白質の PTM 因子の同定、これらを標
的とする薬剤スクリーニング・アッセイ系の構築、新たな抗エイズ薬の開発、B 型肝炎ウイルスの複製阻害剤の開
発や疾患関連蛋白質の PTM を司る責任酵素の迅速同定法の開発などを推進している。
本拠点における研究支援として、全長ヒト cDNA ライブラリーの維持・供与、コムギ無細胞蛋白質合成系を用い
た全長蛋白質の合成・精製、in vitro 蛋白質相互作用アッセイ系の構築、アルファスクリーンを用いた結合蛋白質
の同定などを実施した。特に膜蛋白質や分子量の大きい蛋白質など、常法では合成・精製の困難な蛋白質群の
合成系を確立し、疾患関連蛋白質の PTM に関与する因子の探索や、薬剤スクリーニング系の構築を行った。ま
た、疾患関連蛋白質のユビキチン修飾を司る責任酵素を迅速に同定するためのツールとして 300 種類のヒトユビ
キチンリガーゼライブラリーを準備した。その他の本拠点の研究支援の一例を下記に記載した。
①メディカル・プロテオスコープへの研究協力として、定量質量分析に使用する 100 種類の活性型ヒトプロテイン
キナーゼを供与
②田村教授の研究グループと協働で IRF 蛋白質をリン酸化するプロテインキナーゼの探索
③高橋教授の研究グループへの研究支援として、グルタミン酸受容体蛋白質の無細胞合成、細胞内ドメイン部
位の結合因子の探索、モノクローナル抗体作製に向けた抗原蛋白質の作製を実施
1-5)拠点運営に携わる正規教員の採用
拠点における研究支援体制、医理連携の強化と本プロジェクト終了後の拠点の継続的な運営に携わる正規教
員(准教授)を 3 名採用することとした。強化が望まれる 3 領域(バイオインフォマティクス、プロテオミクス、トランス
レーショナル研究+バイオバンク)の専門家が採用される予定である。これまで先端医科学研究センターには専
任教員はいなかったが、今回採用される 3 名の准教授は先端医科学研究センター所属となる。
1-6)若手研究者の育成
先端医科学研究センターに若手の研究者をリーダーとする研究ユニットを複数設置し、優れた若手研究者の育
成に努めている。また、医学部の殻に閉じこもらない、理薬工学研究者を取り入れた組織横断的研究ユニットを
構築し、基礎研究から医薬・医療 機器開発の全体を俯瞰できる新しいタイプの研究者の養成にも努めている。
組織横断的研究ユニットには外国や企業からの研究者を受入れて若手研究者との交流を促すと共に、海外短期
派遣などを通して国際的な若手研究者の育成を目指す」こととした。それに対し、若手研究者をグループリーダ
ーとする研究グループを選考すると共に、独立した予算を配付し、自立的マネジメントが行えるようにした。
平成 18~19 年度には大学院イニシアティブ(文部科学省)「臨床治験推進リーダー養成プログラム」に横浜市
立大学の提案が採択されたが、本拠点形成における将来的な臨床面でのフィールド拡大に備え、平成 20 年度よ
り大学院のカリキュラムに臨床研究・治験の科目を加えた。平成 22 年度には、学長裁量経費により、大学院医学
研究科、大学院生命ナノシステム科学研究科、附属病院及び附属市民総合医療センターの教員をメンバーとす
る組織横断的研究ユニットを 2 件採択するなど、研究者養成を実施した。また、外国や企業からの研究者を受入
れて若手研究者との交流を促すと共に、海外短期派遣などによって若手研究者育成を推進した。
1-7)国際化の促進
学会や共同研究等の海外派遣制度、外国人研究者や大学院生の受入体制の整備、外国人大学院生の経済
支援、海外の共同研究先への短期派遣、英語による拠点内の情報交換、セミナーの推進等を通じて、拠点の国
際化、人材交流を推進している。また、平成 18 年 12 月に米国食品医薬品庁(FDA)生物製剤評価センター
(CBER)と連携協力に関する覚書締結後開催されている国際学術フォーラム、1 回目テーマ:「生物製剤の開発と
新しい治療法のためのバイオマーカー」(平成 21 年 3 月開催)、及び 2 回目テーマ:「基礎研究シーズを臨床ニ
ーズに活かす戦略と科学的ツール」(平成 22 年 2 月開催)等を開催し、拠点の国際化の一助とした。一方、平成
22 年 9 月 16 日には、デンマーク、中国及び韓国のプロテオーム研究の第一人者を招き、国際シンポジウム
「Recent Advance in Medical Proteomics」を開催した。さらに、プロテオミクス分野で世界最大の学会「ヒトプロテオ
ーム機構(HUPO)第 12 回世界大会」が、平成 25 年 9 月 14 日~18 日に横浜市のパシフィコ横浜で開催され、
平野拠点長が組織委員会代表として大会運営に関わるなど、本拠点が大会運営の中心的役割を担った。大会
参加者は 1,580 名、うち海外からの参加者は 649 名、特別招待講演数 11、招待講演数 103、ポスター発表 900
47
以上の大規模な大会になった。本大会に先立ち 9 月 11〜14 日の 4 日間、主に横浜市立大学先端医科学研究
センターで、プロテオミクスに関するトレーニングコース、9 月 14 日には、パシフィコ横浜で教育講演会と臨床プロ
テオミクス講演会が開催された。また、横浜情報文化センターでは一般市民を対象にした日本語での市民講座
(参加無料)が開催された。トレーニングコースは、国内外の若手研究者を対象にしたプロテオミクスの最新技術
に関する実習会である。アジアを中心に海外の若手研究者 15 名と日本の若手研究者 13 名が実習生として参加
した。44 名の国内外の著名な研究者による講義と、MS などを用いた実習が行われた。
②拠点整備
2-1)先端医科学研究センター新研究棟を中心にした研究体制の整備
本プロジェクト申請が採択された後、PTM プロテオミクス医療研究拠点として効果的に機能するよう、先端医科
学研究センター新研究棟の建設が計画された。そして、平成 24 年 12 月に耐震性 5 階建て、建物床面積 2 千平
方メートルの新研究棟が竣工した(図 8)。
新研究棟1階にはバイオバンクが、2 階及び 3 階にはそれぞれプロテオーム解析センター(図 9)及びセローム
解析センターが、4 階には臨床データ解析室、バイオインフォマティクス解析室などが設置された(図 10)。新研究
棟の大きな特徴は、産学共同研究が円滑に行うことができるように産学連携ラボを 4 室設置した点である。協働機
関は、産学連携ラボ内では他とは独立して独自の研究活動を行うことができる。また、各種解析室やバイオバンク
を利用して共同研究も遂行できる。さらに 4 階には協働機関が共用できる研究室も設置された。これまで基礎研
究棟や臨床研究棟内に散在していた先端医科学研究センターの多くの研究室、実験室は1か所にまとめられた。
新研究棟の建設によって、PTM プロテオミクス医療研究拠点の中心施設が完成し、効率的な研究の推進が可能
になった。さらに、平成 25 年度に橫浜市の助成により新研究棟が 50%増築されることが決まった。平成 26 年度か
ら工事が始まり、1年半で完成する見通しである。モデルマウスを用いた個体レベルの研究ができる実験室、ゲノ
ム解析センター(現在基礎研究棟にある)、産学連携ラボなどが増築部分に設置される(図 11,12)。産学連携の
一層の推進に役立つと期待される。
図 8.平成 24 年 12 月に竣工した先端医科学研究センター新研究棟
48
図 9.先端医科学研究センター新研究棟2階プロテオーム解析センター質量分析実験室の鳥瞰図
49
図 X 先端医科学研究センター新研究棟平面図
図 10.建設された先端医科学研究センター新研究棟平面図
50
図 11.先端医科学研究センター新棟増築スペース
1階
2階
3階
4階
5階
図 12.先端医科学研究センター新研究棟増築平面図
51
備品リスト
No
設備・備品名
設置場所
1
ゲル撮影装置(クラボウ社 Dolphin-View2)
基礎研究棟 5 階 523 微生物学研究室
2
NanoFrontier eLD 用 ADC 基盤
(日立ハイテクノロジーズ製 380-8095)
鶴見キャンパス
A502 相関科学測定室
3
微量高速遠心機(トミー精工社 MX-305)
基礎研究棟 6 階 626 薬理学研究室
4
純水装置(Millipore 製 Elix Advantage3)
基礎研究棟 5 階 523 微生物学研究室
5
ラット・マウス兼用型ロータロッド
(室町機械製 MK-670)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
6
ラット用自己投与システム
(米国 MED 製 ENV-0810MD,ENV-007CT)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
7
Co2 インキュベーター(アステック製 SCA-165DS)
基礎研究棟 6 階 608 生理学研究室
8
超低温フリーザー (三洋製 MDF-C2156VA)
基礎研究棟 4 階 407 遺伝学研究室
9
OFFGEL Fractionator System
(アジレント社製 G3100AA)
先端医科学研究棟 2 階低温実験室
10
超純水製造装置 (ミリポア製 Milli-Q Referenc)
基礎研究棟 6 階 626 薬理学研究室
11
インキュベーター
(パナソニック製 MCO-19AICUVH CO2)
先端医科学研究棟 2 階 207 細胞培養室
12
超低温フリーザー(三洋電機製 MDF-U500VX)
先端医科学研究棟 2 階 207 細胞培養室
13
フリーズ超低温槽(日本フリーザー製 CLN-71UW)
基礎研究棟 4 階 422 分子生物学研究室
14
サーマルサイクラー
(バイオラッド・ラボラトリーズ製 S1000 シリーズ 185-2048JA)
基礎研究棟 4 階 444 中央分析器室
15
振動刃ミクロトーム (ライカ製 VT-1000S)
基礎研究棟 6 階 601 生理学研究室
16
ルミノ・イメージアナライザー
(GE ヘルスケア製 ImageQuant LAS4000mini システム)
基礎研究棟 5 階 511 免疫学研究室
17
恐怖条件付け実験装置(小原医科産業製)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
18
倒立顕微鏡一式(オリンパス製 IX71N-22PH)
基礎研究棟 5 階 522 微生物学研究室
19
中型恒温振とう培養機 (タイテック製 BR-43FL・MR)
基礎研究棟 5 階 547 共同利用室
20
極微量分光光度計(NanoDrop 製 NanoDrop2000C)
先端医科学研究棟 2 階 207 細胞培養室
21
オートクレーブ(トミー精工製 LBS-325)
基礎研究棟 5 階 521 微生物学研究室
22
ラック式保存容(バイオメディカルサイエンス製 アルページ 110)
基礎研究棟 5 階 521 微生物学研究室
23
ディープフリーザー (宮川製 MRUV-520)
基礎研究棟 6 階 608 生理学研究室
24
ディープフリーザー (宮川製 MRUV-520)
基礎研究棟 6 階 608 生理学研究室
25
超純水製造装置
(ミリポア製 M illi-Q Integ ral 3S バイオタ イプ)
基礎研究棟 5 階 509 免疫学研究室
26
安全キャビネット(nuaire 製 NU-480-400D)
基礎研究棟 5 階 522 微生物学研究室
27
クリーンベンチ(BIOLABO 製 NS-13BS)
基礎研究棟 5 階 522 微生物学研究室
28
フレークアイスメーカー(ホシザキ電機製 FM-340-AK-SA)
基礎研究棟 1 階 127COE 拠点研究室
52
No
設備・備品名
設置場所
29
フレークアイスメーカー(ホシザキ電機製 FM-120K)
基礎研究棟 1 階 142 先端医科学研究室
30
フレークアイスメーカー(ホシザキ電機製 FM-120K)
先端医科学研究棟 2 階
31
32
33
受動的回避反応実験装置
小原医科産業製 コントロール装置 PA-1010
純水・超純水装置
(ミリポア製 MilliQ Advantage プロテオームタイプ)
DNA マイクロアレイシステム
( イル ミ ナ 製 i Sc a n シ ス テ ム 高 速 アレイスキャナー SY-101-1001
アレイ用ユニバーサルモジュール SY-101-1006)
動物実験センター3F(感染室)
鶴見キャンパス B502 相関科学実験室 1
基礎研究棟 4 階 444 中央分析器室
34
高級実体顕微鏡システム (オリンパス製 SZX10-3111)
基礎研究棟 1 階 142 先端医科学研究室
35
ChemiDoc XRS Plus (バイオラッド製 BR-B-61043)
臨床研究棟 2 階 242 皮膚科研究室
36
37
モータードライブマニピュレーター
(HOLONIX 製 MP-285/R)
データ収集解析ソフトウェア
(Molecular Devices 製 PCLAMP10)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
38
パッチクランプ用アンプ
(Molecular Devices 製 MULTICLAMP 700B)
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
39
データ収集装置 (Molecular Devices 製 Digidate1440A)
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
40
モータードライブマニピュレーター(Sutter 製 P-285/R)
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
41
モータードライブマニピュレーター(Sutter 製 P-285/R)
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
42
特注サーモプレート (東海ヒット製 MATS-52AXM-JH)
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
43
96well プレートルミノメーター(プロメガ製
基礎研究棟 5 階 508 免疫学研究室
44
SL 医用写真撮影装置 (杉研商事製 MPS-7XD)
附属病院 病理部
45
高速液体クロマトグラフ (日 立 ハイテクノリジー社 製 )
基礎研究棟 1 階 161 法医解剖資料室
46
バイオハザード対策用キャビネット
(三洋電機製 MHE-S1300A2)
47
Co2 インキュベーター (三洋電機製 MMM-MCO-19AIC(UVH))
先端医科学研究棟 3 階 P305 細胞培養
室
先端医科学研究棟 1 階 P103 ヒト組織プロセ
シング室
48
RAID サーバーシステム
(ナベインターナショナル製 Takeru for Sequencer Ⅲ)
基礎研究棟 5 階 511 免疫学研究室
49
アイソレーションシステム (ナリシゲ製 ITS-N)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
50
アップライトタイプ デュアルコンプレッサー
(TOHTECH 製 HKF-700D)
基礎研究棟 5 階 521 微生物学研究室
51
濃度測定器 (NanoDrop 製 Nanodrop2000)
臨床研究棟 4 階 404 産婦人科検査室
52
53
54
E6501)
Milli-Q Integral5L プロテオームタイプ
(日本ミリポア製 ZRXQ005JP ZRXQSTRTP)
Milli-Q Integral5L バイオタイプ
(日本ミリポア製 ZRXQ005JP ZRXQSTRTB)
Milli-Q Integral5L バイオタイプ
(日本ミリポア製 ZRXQ005JP ZRXQSTRTB)
基礎研究棟 1 階 161 法医解剖資料室
基礎研究棟 1 階 143COE 拠点研究室
基礎研究棟 1 階 142 先端医科学研究室
53
No
55
56
設備・備品名
設置場所
ステージ固定装置正立顕微鏡
(オリンパス製 BX51WI-35FL/IR7-2)
プレートリーダー サンライズリモート
(和光純薬工業製)
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
臨床研究棟 4 階 404 産婦人科検査室
57
解析用パソコン(インテル製 Xeon W3565)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
58
フリーズ超低温槽(日本フリーザー製 CLN-50CW)
基礎研究棟 5 階 523 微生物学研究室
59
組み立て式防音室(サイレントデザイン製 1.5 畳 long 35dB)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
60
Elix Advantage 5 一式(ミリポア製 ZRXV003.jp)
基礎研究棟 4 階 444 中央分析器室
61
FlexDrop PlusⅢ(Perkin Elmer 製 CSQLV20)
基礎研究棟 5 階 524 微生物学研究室
62
マルチスキャン GO(サーモ製 Multiskan GO)
臨床研究棟 2 階 244 皮膚科研究室
63
Cellometer(ネクセロム製 Auto2000)
基礎研究棟 5 階 508 免疫学研究室
64
特注クリーンラック(TOYO 製 TAR-100)
基礎研究棟 6 階 602 生理学研究室
65
特注クリーンラック(TOYO 製 TAR-100)
基礎研究棟 6 階 602 生理学研究室
66
67
68
69
70
71
72
73
バイオハザード対策用キャビネット
(日立プライアンス製 SCV-1007ECⅡAB3)
バイオハザード対策用キャビネット
(日立プライアンス製 SCV-1007ECⅡAB3)
対物レンズ αプランアポクロマート
(カールツァイスマイクロスコピー製)
クライオマチック 網膜剥離セットⅠ
(キーラー社製 M-4000)
先端医科学研究棟 2 階 P207 細胞培養室
先端医科学研究棟 2 階 P207 細胞培養室
基礎研究棟 4 階 444 中央分析器室
動物実験センター1 階
超純水製造装置(ベオリア社製 PURELAB Flex3)
細胞自動解析装置レーザーアップグレードキット
(日本ベクトン社製 FACSCanto Ⅱ 405nm)
cHiPLC nanoflex system
(エービー・サイエックス社製 SC-B-63914)
液体シンチレーションカウンター
(パーキンエルマー社製 Tri-Carb2910TR バリセット)
SMZ1500)
八景キャンパス 5 号館 205 培養室
基礎研究棟 5 階 546 共同利用室
先端医科学研究棟 2 階 P204 質量分析実験室
RI センター2 階 203
74
実体蛍光顕微鏡(ニコン社製
動物実験センター1 階
75
データ解析用サーバー(DELL Precision T7600)
鶴見キャンパス B406 生体超分研究室 2
76
マイクロピペット作成装置
(P-97 Flaming/Brown Micropippete P u ll e r SUTTETINSTRUMENT 社製)
基礎研究棟 6 階 644 共同利用室
77
微量高速/小型冷却遠心機(日立社製 CF15RXⅡ)
基礎研究棟 5 階 521 微生物学研究室
78
Co2 インキュベータ170 (パナソニック社製 MCO-19AIC)
先端医科学研究棟 2 階 P207 細胞培養室
79
データ解析用サーバー (DELL Precision T7600 N シリーズ)
鶴見キャンパス B406 生体超分研究室 2
80
蛍光顕微鏡システムアップグレード
(カールツァイスマイクロスコピー株式会社 LSM700)
基礎研究棟 4 階 444 中央分析器室
81
顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製 DP73)
附属市民総合医療センター
研究棟 5 階 503 研究室
54
No
設備・備品名
設置場所
82
微量高速冷却遠心機(トミー精工社製 MX-307)
基礎研究棟 4 階 424 分子生物学研究室
83
恒温震盪培養器 (タイテック社製 BR-43FL MR)
基礎研究棟 4 階 424 分子生物学研究室
84
85
86
87
88
89
顕微鏡用除振台コンプレッサー付
(カールツァイス社製 W750×D750 LSM700/Axio Imager
用)
オープンフィールド実験装置
(小原医科産業社製 OF-3002)
Co2 インキュベーター
十慈フィールド株式会社製 BL-171
質量分析装置定量解析システム
(エービー・サイエックス社製 多検体定量解析ワークステーション
他)
組み立て式防音室
(株式会社カワイ音響システム ナサール SKU18-19 DR-40)
バイオアナライザー電気泳動システムリミテッド
(アジレント社製 AX-B-82809)
基礎研究棟 4 階 444 中央分析器室
動物実験センター
基礎研究棟 6 階 621 薬理学研究室
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
基礎研究棟 6 階 642 共同利用室
基礎研究棟 5 階 508 免疫学研究室
90
微量高速冷却遠心機(トミー精工社製 MX-307)
臨床研究棟 6 階 626 泌尿器科研究室
91
磁性粒子プロセッサ
(サ ー モ フ ィ ッ シ ャ ー サ イ エ ン テ ィ フ ィ ッ ク株式会社製 KingFisher Duo)
先端医科学研究棟 2 階低温実験室
92
ワークステーション Precision (Dell 社製 Windows T5610)
基礎研究棟 5 階 507 免疫学研究室
93
WatersUltima 用防音 BOX(MS NOISE 社製)
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
94
ThermoOrbitrap 用防音 BOX(MS NOISE 社製)
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
95
レーザー照射管
(エービー・サイエックス社製 Laser Diode Pumped 355nm200Hz)
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
96
冷却遠心機(トミー精工社製 MX-370)
基礎研究棟 3 階 324 神経内科研究室
97
98
99
100
101
Co2 インキュベーター
(パナソニック社製 MCO-19AICUV-PJ)
倒立型ルーチン顕微鏡 (オリンパス社製
CKX41N-31PHP)
基礎研究棟 3 階 324 神経内科研究室
臨床研究棟 5 階 526 形成外科
顕微鏡用デジタルカメラ(オリンパス社製 DP26-A)
超解像仕様 EMCCD カメラ
(ニコンインステック社製 Ixon-X3-DU897-N)
質量分析装置
(エービー・サイエックス社製 Triple TOFTM 5600 System)
臨床研究棟 5 階 526 形成外科
基礎研究棟 6 階 622 薬理学研究室
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
102
タンデム四重極質量分析システム
(日本ウォーターズ社製 Xevo TQ-S)
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
103
蛋白質解析用 MS/MS システム
(日本ウォーターズ社製 Waters Synapt System)
先端医科学研究棟 2 階質量分析室
104
実体顕微鏡システム (E-Zoom6V エドモンド社製)
八景キャンパス 5 号館 107 MS 実習室
105
顕微鏡付属品
(チャンバー、保温コントローラー、ケーブル ニコン社製)
鶴見キャンパス B103 機能構造研究室
55
2-2)バイオバンクの設置、検体の収集保管と利用
横浜市立大学附属病院での手術の際に摘出され、診断に使われた後の組織の一部を医療情報を付してバイ
オバンクで保存している。保存された組織は、新しい診断法、治療法、予防法などの研究に利用されている。先
端医科学研究センターは、これまでに迅速・確実に試料採取業務が継続されるよう採取の手続を効率化し、同意
書の取得方法を改善した。また、検体利用促進に向け、院内研究者向け広報策の検討、試料在庫状況を知らせ
る Web サイトのコンテンツの充実、試料在庫の効率的な検索のための統合データベースの構築、多施設のバイ
オバンクが試料在庫情報を共有するバイオバンクネットワークの構築、学内の採取可能試料の調査と研究者への
ニーズ調査、試料在庫に基づく研究計画支援、組織マイクロアレイやパラフィンブロックの作製、全 RNA の平均
的な抽出量測定による採取試料の品質評価、試料検索から試料提供までの申請・手続きの効率化と申請書類作
成支援策などを行った。さらに試料提供患者へ Web サイトを通して積極的に情報を提供した。
③協働関係
本プロジェクトでは、PTM プロテオーム解析手法を開発あるいは創出し、それを基盤として診断薬、治療薬、機
能性食品・化粧品創生に繋がる研究を産学協働で推進できる拠点の形成を目指している。協働機関であるメディ
カル・プロテオスコープやセルフリーサイエンスは、拠点の技術基盤の確立に尽力している。この技術を用いて、
その他の協働機関が診断薬、治療薬、機能性食品・化粧品創生を目指している。ほぼすべての協働機関がプロ
テオミクスの基盤技術の利用に当たり、メディカル・プロテオスコープと連携している。各協働機関が得意の分野
で研究を進めることにより、PTM プロテオーム医療研究をより効率的かつ効果的に推進し、最大の成果が得られ
る拠点のあるべき姿を探っている。新しいアイデアは拠点運営委員会などで発表し、議論を行っている。また、診
断薬、治療薬、機能性製品開発で競合があるため、すべての成果や課題を公表して共同研究を行うことは難し
いが、競合していない領域の研究であれば、協働機関間の連携が行われるようになった。ライオンとセルフリーサ
イエンスの蛋白質相互作用の解析はその一例である(図 6)。
なお、本拠点では、疾患関連蛋白質の検出、創薬シーズの開発、評価方法や化合物スクリーニング法の開発、
薬理作用の解析、臨床検体の提供、臨床検証などは主に大学で、また、分析要素技術の開発、体系化、その事
業化、化合物ライブラリーの提供、抗体の作製、技術の実用化に必要なデータの収集などは主に協働機関が分
担して研究を推進している。
先端医科学研究センターは、産学連携研究が促進されるように力を尽くしている。まず、学内の医科学分野の
優れたシーズ研究課題を審査によって選抜し、1期 3 年計画(平成 26 年度は 3 期目)で研究開発プロジェクトを
推進している。現在、23 の課題で研究が行われている。このプロジェクトでは、シーズ研究を進展させ、徐々に課
題を整理統合し、事業化、実用化を目指した大きな研究へと改変していく。この過程で協働機関がプロジェクトに
参入できるシステムを作った。企業にとってリスクの大きな基礎研究は大学が中心となり、また、大学で対応が容
易でない実用化・事業化研究は企業が中心となって推進できる体制が整った。
また、先端医科学研究センターのある福浦キャンパスには附属病院があり、多くの臨床医学研究者が働いてい
る。臨床部門と基礎部門が常に連携して情報交換を行い、共同研究を進めている。規模の大きな大学では見ら
れない特長である。また、先端医科学研究センターにはバイオバンクが設置され、臨床部門の協力によって、臨
床情報を付した質の高い罹病組織検体が多数保存されている。今年 6 月からは血液検体の採取保存も本格的
に始まった。協働機関は、最新の臨床情報や臨床検体を入手できる拠点で活動できるようになっている。
すでに述べたように、拠点の活動が効率的かつ効果的に行えるように,先端医科学研究センターの施設・設
備・機器の整備を進めてきた。先端医科学研究センターには、産学連携ラボを作り、協働機関はそこで独自の企
業活動が行えるようにした。また、実験は先端医科学研究センターの共用実験室で横浜市立大学の研究者と共
に行えるようにしている。また、協働機関は、本学の共用機器、アイソトープ実験センター、動物実験センター、治
験(薬理)センター、図書館、インターネット(学術文献検索)などを横浜市立大学教員と同様に利用することがで
きる。さらに、先端医科学研究センターにはオープンの産学連携研究室も設置し、協働機関の研究者が共同で
利用できるようにしてある。平成 26 年度からは、1 年半後の完成を目指して先端医科学研究センターの増築を始
める。増築部分には、動物実験設備、ゲノム解析センター(現在、基礎研究棟に存在)、国際会議室などを設置
する。先端医科学研究センターは、遺伝子,蛋白質、細胞レベルでの研究を柱としてきたが、ゲノム解析センター
の移動によって 3 つの柱が新研究棟に集結することになる。また、3 つの柱に加えて、モデル動物を用いた個体
レベルの研究を同じ研究棟で推進できるようになる。
56
一方、2013 年にプロテオミクスに関する国際的なトレーニングコースを先端医科学研究センターで開催した。実
習生 30 名、講師 40 名ほどの小規模なコースであったが、このとき、将来、大きなコースを催すためには現在の会
議室スペースでは十分でないことが認識された。そこで、先端医科学研究センターの増築部分には、かなり大き
な規模の国際的なシンポジウム、トレーニングコース、産学連携研究会などでも開催できるようなスペースを確保
することにした。
このように横浜市立大学は、本拠点において協働機関が活動しやすいように様々な策を講じている。
④領域融合
本プロジェクトでは、新規に設立した先端医科学研究センターに理学, 構造生物学、医学、工学、情報科学分
野の研究勢力を結集し、蛋白質の PTM 異常による疾患に焦点を当て PTM 検出法の開発から PTM 異常による
疾患診断技術の開発、創薬まで一貫して研究できる PTM 医療研究拠点創成を目指している。
特に重要な連携のひとつは、プロテオーム分析の知識と技術を有する理学分野の研究者と基礎医学、臨床医
学、薬学研究者の連携である。この連携なくして PTM プロテオミクス医療研究拠点の創成は考えられない。また、
本プロジェクトのキーテクノロジーになっている MS の開発では、工学領域の研究者の貢献が大きい。PTM の検出
を可能にしたペプチド解離法、すなわち、電子捕獲解離、水素原子移動解離法などはプロテオミクス研究者のニ
ーズに基づいて、工学分野の研究者によって確立された。また、プロテオームやゲノム解析によって生じる膨大な
量のデータを解析するためには、情報科学(バイオインフォマティクス)の研究者の関与も不可欠であった。情報
科学が絡んだ研究を強化するため、この分野の専門家である中林特任准教授を採用した。中林特任准教授を中
心にして、バイオインフォマティクス研究会が頻繁に開催され、分担研究者及び協力研究者の資質の向上が図ら
れ、この領域の研究が大いに進展した。
他方、現在、本拠点には 3 名の研究コーディネーターが研究企画調整に携わっている。これらのコーディネータ
ーは領域融合によって研究進展が見られる可能性のある課題については、関係者が協力関係を構築できるよう
に常に調整を行っている。その結果、拠点内で様々な新しい連携が生まれた。例えば、臨床試験(治験)の開始
が準備されている精神神経疾患新規治療薬の開発研究において、脳組織内における治療薬化合物 X の作用を
画像診断によって確認するために、AMPA 受容体蛋白質のイメージングを可能とする PET プローブの開発研究と
の連携が図られた。またこれと並行して、化合物 X とその標的蛋白質(protein X)の詳細な相互作用の解析を行う
ために、X 線結晶構造解析研究との連携も行われている。
⑤知的財産権を含む成果管理、機密情報管理
横浜市立大学では、知財を含めた研究成果の管理に関しては、「公立大学法人横浜市立大学知的財産ポリシ
ー」、「公立大学法人横浜市立大学の発明等に関する規程」、「公立大学法人横浜市立大学の産学連携推進本部
知的財産戦略委員会運営規程」、「公立大学法人横浜市立大学の発明等に関する補償金支払規程」等の知的財
産に関する諸規程に従って、処理されている。これらの知的財産に関する基本方針、規程等は、本拠点形成プログ
ラム、及び産業技術力強化法の趣旨にも合致していることから、拠点内の知的財産の取扱いは、横浜市立大学の
既存のシステムを利用している。知的財産の管理、活用を積極的に図ることを目的としている知的財産戦略委員会
は、拠点運営に携わる教職員を含む、知的財産に精通した教職員 9 名、知的財産コーディネーター1名、産学連
携コーディネーター1名により構成され、職務発明の認定、権利の承継、出願の内容・形態、その他の事項につい
て、特許性、事業化の可能性を主に、その他戦略的な判断のもとに審査を行っている。上記の横浜市立大学の体
制に加えて、拠点に係る研究実施契約や共同出願契約締結の際には、契約交渉に拠点内の研究を熟知している
研究支援コーディネーターも加わり、きめ細かく対応している。具体的には、協働企業が独占的実施を望む場合に
は、合理的な理由があり、且つ迅速な事業化に資すると判断されれば、産業技術力強化法に従った適正な条件を
付けた上で、有償譲渡を含めて、協働企業の要望を受け入れる等、発明の産業化を最優先にしている。また、特許
出願の時期や内容・形態、研究成果の公表の時期等に関しては、発明の実施企業の要望を最大限尊重するなど、
拠点形成の最終目標でもある協働企業による事業化が支障なく迅速かつ確実になされることを目的に、知的財産
の取扱い、管理を行っている。更に、拠点内の定例の研究戦略部会で、拠点内の知的財産を優先的に拠点参画
企業へ紹介することや、拠点内での分担研究者と参画企業、分担研究者間、ならびに参画企業間の新たな共同研
究の仲介等について協議し、拠点参画企業への便宜を図ると共に、拠点内の連携の推進にも努めている。
機密保持に関しては、拠点運営会議等の拠点内の会議で、活発な議論の妨げとならないために、出席者全員の
57
署名による秘密保持義務を負わせている。プレスリリース等の研究成果公表における、機密保持に関しては、コー
ディネーターによる公表原稿の最終チェックの義務化等のルールを設けている。また、個別の研究成果等の機密
保持に関しては、研究実施契約や共同出願契約で守秘義務を規定しているが、確実を期すため、発明者に契約
書締結時に、秘密保持義務を負っていることを丁寧に説明し、契約順守の徹底を図っている。
58
(2) 拠点の体制
①体制図
②実施体制・担当者一覧
課題名
所属機関・部署等
実施場所
学術院国際総合科学群・
教授(プロテオーム科学)
先端医科学研究
センター
先端医科学研究
センター・㈱メデ
ィカル・プロテオ
スコープ
先端医科学研究
センター・東ソー
㈱
先端医科学研究
センター・㈱日立
ハイテクノロジー
ズ
先端医科学研究
センター・㈱島津
製作所
㈱メディカル・プロテオス
コープ・代表取締役
1.分析技術の開発
東ソー㈱・理事バイオサイ
エンス事業開発部部長
㈱日立ハイテクノロジーズ
㈱島津製作所
59
研究分担者・
業務担当者
エフォート
(%)
平野 久
18
大滝 義博
15
林 俊典
10
岡田 務
1
※参画当時
安藤 修
※参画当時
5
2. がん診断・治療法
開発を目指した研究
3. 精神疾患診断・治
学術院医学群・教授(分
子細胞生物学)
先端医科学研究
センター
大野 茂男
12
積水 メディカル㈱ ・取締
役
先端医科学研究
センター・積水メ
ディカル㈱
二宮 真一
1
学術院医学群・教授(生
理学)
先端医科学研究
センター
高橋 琢哉
40
富山化学工業㈱・綜合研
究所長
先端医科学研究
センター・富山化
学工業㈱
中村 孝昭
1
学術院医学群・教授(免
疫学)
先端医科学研究
センター
田村 智彦
20
富士フイルム㈱・医療品・
ヘルスケア研究所統括マ
ネージャー
エーザイ㈱・エーザイ・プ
ロダクトクリエーション・シ
ステムズネクスト・ジェネレ
ーション・システムズ機能
ユニット・プレジデント
先端医科学研究
センター・富士フ
イルム㈱
萩原 真二
2
先端医科学研究
センター・エーザ
イ㈱
塚原 克平
5
㈱セルフリーサイエンス・
取締役社長
先端医科学研究
センター・㈱セル
フリーサイエンス
尾澤
哲
5
学術院医学群・教授(生
化学)
先端医科学研究
センター
緒方 一博
7
学術院医学群・教授(プ
ロテオーム科学)
学術院医学群・教授(分
子細胞生物学)
先端医科学研究
センター
平野 久
大野 茂男
12
8
岡野 知道
10
炭田 康史
10
田中 克子
(本多 常高)
5
西島 和三
8
立石 建
50
療法開発を目指した
研究
4. 免疫疾患診断・治
療法開発を目指した
研究
5. 構造解析・薬物設
計
6. 機能性製品の開
発
先端医科学研究
センター・ライオ
ン㈱
先端医科学研究
セン ター ・㈱ファ
ンケル
ライオン㈱・執行役員研
究開発本部長
株式会社ファンケル・総
合研究所所長
八景キャンパス
(本部)
理事長
7. システム改革
福浦キャンパス
(先端医科学研
究棟)
福浦キャンパス
(先端医科学研
究棟)
学術院医学群・特任教授
(先端医科学担当 URA)
先端医科学研究課・課長
60
③参画者の機関別人数
21 年度
横浜市立大学
38
61
60
90
94
84
76
503
㈱メディカル・プロテオスコープ
10
10
9
7
6
7
3
52
東ソー㈱ (H25~)
-
-
-
-
-
3
3
6
㈱日立ハイテクノロジーズ
(~H24)
7
7
4
4
5
-
-
27
㈱島津製作所 (H24)
5
14
14
4
3
-
-
40
積水メディカル㈱(H25~)
-
-
-
-
-
6
7
13
富山化学工業㈱(H25~)
-
-
-
-
-
3
4
7
エーザイ㈱(H23~)
-
-
-
7
7
7
9
30
富士フイルム㈱(H22~)
-
-
3
5
3
3
3
17
㈱セルフリーサイエンス
(H25~)
-
-
-
-
-
6
3
9
ライオン㈱ (H22~)
-
-
10
12
13
16
13
64
㈱ファンケル (H22~)
-
-
-
6
6
7
6
25
60
92
100
135
137
142
127
793
合計
22 年度
23 年度
24 年度
25 年度
26 年度
計
20 年度
④参画者リスト
氏名・役職
所属
業務(研究)内容
項目
エフォート
(%)
1~7
5
1~7
30
1~7
100
1
20
田中 克子
理事長(H25~)
横浜市立大学
統括、システム改革
(本多 常高)
理事長(H20~H24)
平野 久 教授
学術院 国際総合科学群
戸田 年総
特任教授 ◎
大学院生命医科学研究科
高山 光男 教授
学術院 国際総合科学群
拠点長、分析技術開発・体系
化、蛋白質機能解析
拠点研究全体の運営・管理
支援業務
質量分析装置における蛋白
質断片化法の開発
61
緒方 一博 教授
学術院 医学群
西村 善文 教授
(~H25)
学術院 国際総合科学群
佐藤 衛 教授
学術院 国際総合科学群
木寺 詔紀 教授
学術院 国際総合科学群
大野 茂男 教授
学術院 医学群
谷口 英樹 教授
学術院 医学群
松本 直通 教授
学術院 医学群
井上登美夫 教授
学術院 医学群
高橋 琢哉 教授
学術院 医学群
五嶋 良郎 教授
学術院 医学群
田村 智彦 教授
学術院 医学群
梁
学術院 医学群
明秀 教授
上西 憲明
金澤 進
北井 淳夫
福島 英明
北村 正仁
荒川 憲昭 助教
木村 弥生
特任助教 ◎
木村 鮎子
特任助教 ◎
岡山 明子
特任助手 ◎
井野 洋子
特任助手 ◎
チームリーダー、翻訳後修飾
異常蛋白質の立体構造解析
核内翻訳後修飾関連蛋白質
の構造生物学
翻訳後修飾蛋白質の構造機
能解析
分子シミュレーションによる研
究
チームリーダー、翻訳後修飾
の機能解析
幹細胞制御における翻訳後
修飾の解析
ヒト疾患遺伝子と翻訳後修飾
蛋白質
イメージング・診断技術の開
発と応用
チームリーダー、細胞分子イ
メージング法、精神疾患治療
薬の開発
翻訳後修飾異常による疾患
解析
チームリーダー、免疫系転写
因子群の翻訳後修飾と機能
解析
修飾蛋白質機能研究プロジ
ェクトに関する研究
横浜市立大学研究推進セ
ンター
横浜市立大学研究推進セ
ンター
横浜市立大学研究推進セ
ンター
横浜市立大学研究推進セ
ンター
横浜市立大学研究推進セ
ンター
5
7
5
5
5
5
5
10
2、6
20
2
5
2
5
2
5
3
40
3、7
15
4、7
20
4
20
コーディネーター
1~7
20
コーディネーター
1~7
20
コーディネーター
1~7
20
コーディネーター
1~7
20
コーディネーター
1~7
20
1、6
20
1、6
100
1、6
100
翻訳後修飾異常と疾患の解
析
翻訳後修飾蛋白質の機能解
析
蛋白質複合体の翻訳後修飾
解析
学術院 国際総合科学群
大学院生命医科学研究科
大学院生命医科学研究科
大学院生命医科学研究科
疾患関連蛋白質の質量分析
1、6
100
大学院生命医科学研究科
疾患関連蛋白質の質量分析
1、6
100
62
中居 佑介
特任助手 ◎
増石 有佑
博士研究員
倉田 洋一
博士研究員
香川 裕之
博士研究員
大学院生命医科学研究科
疾患関連蛋白質の質量分析
1、6
100
大学院生命医科学研究科
翻訳後修飾異常と疾患の解
析
1、6
100
大学院生命医科学研究科
蛋白質複合体の質量分析
1、6
100
1、6
100
1
10
1
100
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
5
100
5
5
5
5
5
5
2、6
2、6
2、6
10
10
5
2、6
10
2、6
10
2、6
100
横山 崇 教授
学術院 国際総合科学群
名越 慶士郎
特任助教 ◎
浜田 恵輔 助教
椎名 政昭 助教
佐藤 光 助教
大学院生命ナノシステム科
学研究科
学術院 医学群
学術院 医学群
学術院 医学群
有田 恭平 准教授
学術院 国際総合科学群
禾 晃和 准教授
学術院 国際総合科学群
山田 道之
特任教授 ◎
大学院生命医科学研究科
池口 満徳 准教授
学術院 国際総合科学群
渕上 壮太郎 助教
学術院 国際総合科学群
大森 聡
博士研究員
山下 暁朗 講師
佐々木 和教 助教
中谷 雅明 助教
廣瀬 智威 助教
山下 和成
特任助教 ◎
森山 佳谷乃
特任助手 ◎
藤川 由美子
博士研究員
浅田 希央
嘱託職員 ◎
宮武 聡子
特任助教 ◎
小寺 啓文
博士研究員
武部 貴則 准教授
研究拠点の蛋白質分析技術
の体系化
質量分析用資料ターゲット基
板の開発
質量分析装置における蛋白
質断片化法の開発
蛋白質結晶化、構造解析
蛋白質結晶化、構造解析
蛋白質発現系構築
翻訳後修飾蛋白質の結晶構
造解析
翻訳後修飾蛋白質の結晶構
造解析
翻訳後修飾蛋白質の構造機
能解析
分子シミュレーションによる研
究
分子シミュレーションによる研
究
分子シミュレーションによる研
究
RNA 制御と翻訳後修飾
リン酸化酵素の機能解析
細胞分化と翻訳後修飾
幹細胞の翻訳後修飾の探索
と機能
翻訳後修飾の探索と機能解
析
リン酸化酵素の基質蛋白質
の機能解析
大学院生命医科学研究科
大学院生命医科学研究科
学術院 医学群
大学院医学研究科
学術院 医学群
学術院 医学群
大学院医学研究科
大学院医学研究科
大学院医学研究科
リン酸化修飾と疾患の解析
2、6
5
大学院医学研究科
細胞分化と翻訳後修飾
2、6
5
2
5
2
5
2
5
ヒト疾患遺伝子と翻訳後修飾
蛋白質
ヒト疾患遺伝子と翻訳後修飾
蛋白質
幹細胞制御における翻訳後
修飾の解析
大学院医学研究科
大学院医学研究科
学術院 医学群
63
上野 康晴 助教
学術院 医学群
関根 圭輔 助教
学術院 医学群
鄭 允文 助教
学術院 医学群
康 芸 助教
学術院 医学群
有澤 哲
特任助教 ◎
高田 由貴
特任助教 ◎
内藤 武詩
特任助手 ◎
大学院医学研究科
大学院医学研究科
大学院医学研究科
實木 亨 助教
学術院 医学群
竹本 研 助教
学術院 医学群
多田 敬典 助教
学術院 医学群
宮崎 智之 助教
学術院 医学群
須山 紅美子
特任助教 ◎
関根 由子
特任助手 ◎
阿部 弘基
特任助手 ◎
中島 和希
特任助手 ◎
大学院医学研究科
大学院医学研究科
大学院医学研究科
大学院医学研究科
朝倉 太郎
客員研究員
大学院医学研究科
中村 史雄 准教授
学術院 医学群
小倉 顕一 助教
学術院 医学群
野本 宗孝 助教
学術院 医学群
山下 直也
客員講師
山下 令奈
客員研究員
幹細胞制御における翻訳後
修飾の解析
幹細胞制御における翻訳後
修飾の解析
幹細胞制御における翻訳後
修飾の解析
PET を用いた生体内分子イメ
ージング研究開発
PET を用いた生体内分子イメ
ージング研究開発
PET を用いた生体内分子イメ
ージング研究開発
PET を用いた生体内分子イメ
ージング研究開発
翻訳後修飾異常の生理機能
解析
二 光 子 顕 微 鏡 を 用 い た in
vivo 分子イメージング
翻訳後修飾蛋白質の機能解
析
翻訳後修飾異常の生理機能
解析
翻訳後修飾異常の生理機能
解析
翻訳後修飾蛋白質の同定に
関する実験補助、データ解析
翻訳後修飾異常の生理機能
解析
翻訳後修飾異常の生理機能
解析
遺伝学的モデル動物を用い
た翻訳後修飾研究に関する
データ解析
翻訳後修飾蛋白質の同定
遺伝学的モデル動物を用い
た翻訳後修飾研究
翻訳後修飾蛋白質の同定と
疾患解析
大学院医学研究科
翻訳後修飾蛋白質の同定
神経疾患における翻訳後修
飾の役割
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析
大学院医学研究科
西山 晃 准教授
学術院 医学群
市野 素英 助教
学術院 医学群
64
2
20
2
10
2
10
2
5
2
100
2
100
2
100
3
5
3
5
3
5
3
10
3
100
3
100
3
100
3
100
3
5
3
5
3
5
3
5
3
5
3
5
4
5
4
5
黒滝 大翼 助教
学術院 医学群
藩 龍馬 助教
学術院 医学群
中林 潤
特任准教授
大学院医学研究科
吉成 正裕
技術吏員
小泉 真一
博士研究員
西 真由子
特任助教 ◎
松永 智子
特任助手 ◎
佐々木 幸生
特任准教授 ◎
(H21-25)
佐々木 幸生
准教授(H25-)
武下 文彦
准教授
美津島 大
准教授
中井川 昇
准教授
小川 毅彦
教授
鈴木 厚
准教授
竹居 光太郎
教授
東 昌市
准教授
横山 詩子
講師
富樫 優 助教
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析、バイオイン
フォマティクス
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析
免疫系転写因子群の翻訳後
修飾と機能解析
修飾蛋白質機能研究プロジ
ェクトに関する研究
修飾蛋白質機能研究プロジ
ェクトに関する研究
大学院医学研究科
大学院医学研究科
大学院医学研究科
大学院医学研究科
神経疾患における翻訳後修
飾の役割
大学院医学研究科
神経疾患における翻訳後修
飾の役割(人材育成プロジェ
クト)
自然免疫活性化機構の解明
と応用
翻訳後修飾異常の生理機能
解析
腎細胞がんにおけるがん化
シグナルのネットワークを標
的とした治療法の開発
大学院生命医科学研究科
学術院 医学群
学術院 医学群
学術院 医学群
4
5
4
10
4、7
100
4
5
4
5
4
100
4
100
3、7
100
3、7
10
4、7
5
3、7
5
2、7
5
学術院 医学群
生殖機能異常の解析
2、7
5
学術院 医学群
細胞極性にかかわる翻訳後
修飾の解析
2、7
5
学術院 医学群
蛋白質機能解析技術の開発
1、7
5
学術院 国際総合科学群
がん細胞表層蛋白質の同定
2、7
5
学術院 医学群
新規大動脈瘤治療法の開発
4、7
5
学術院 医学群
新規糖尿病治療法開発
神経変性疾患新規バイオマ
ーカーの開発
幹細胞増幅・維持分化機構
の解析
がんの前転移ニッチを標的と
する創薬の探索
リン酸化酵素の機能解析
4、7
5
3、7
5
4、7
5
2、7
5
2、7
5
土井 宏 講師
学術院 医学群
富澤 信一 助教
学術院 医学群
來生 知 准教授
学術院 医学群
芝田 渉 助教
学術院 医学群
65
協働機関
氏名
川上 隆雄
高畑 良雄
神保 美穂
林 俊典
大竹 則久
明庭 昇平
大原 利成
青山 晋輔
菅野 博文
晒名 貴美
古川 真史
伊藤 利将
Jolanta Golec
中村 孝昭
相川 幸彦
奥田 智博
小森 隆司
望月 修征
加藤 寛
金本 拓治
萩原 真二
原 健史
業務(研
エフォート
究)内容
(%)
1
25
1
25
1
25
1
10
1
95
1
95
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
10
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
5
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
5
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
5
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
5
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
10
膵臓がんバイオマーカーの探索
2
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
1
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
15
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
100
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
80
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
3
5
4
2
4
4
所属
業務(研究)内容
㈱メディカル・プロテオスコ
ープ・生体分子解析部
㈱メディカル・プロテオスコ
ープ・生体分子解析部
㈱メディカル・プロテオスコ
ープ・生体分子解析部
東ソー㈱・バイオサイエン
ス事業部
東ソー㈱・バイオサイエン
ス事業部
東ソー㈱・バイオサイエン
ス事業部
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
積水メディカル㈱・薬物動
態研究所
富山化学工業㈱・綜合研
究所
富山化学工業㈱・薬理研
究部
富山化学工業㈱・薬理研
究部
富山化学工業㈱・薬理研
究部
富山化学工業㈱・薬理研
究部
富山化学工業㈱・動態安
全性研究部
富山化学工業㈱・動態安
全性研究部
富士フイルム㈱・医薬品・
ヘルスケア研究所
富士フイルム㈱・医薬品・
ヘルスケア研究所
翻訳後修飾を網羅的に解析する技
術の開発
翻訳後修飾を網羅的に解析する技
術の開発
翻訳後修飾を網羅的に解析する技
術の開発
がん診断マーカーの開発及び実用
化
がん診断マーカーの開発及び実用
化
がん診断マーカーの開発及び実用
化
人工がん幹細胞モデル活用創薬研
究
人工がん幹細胞モデル活用創薬研
究
66
西川 裕輝
吉松 賢太郎
塚原 克平
宮下 定一
松木 佳子
千葉 健一
新井 徹
伊藤 昌史
相根 康司
黒光 淳郎
尾澤 哲
森下 了
横本 敬紀
富士フイルム㈱・医薬品・
ヘルスケア研究所
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU・企画推進Gr
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU・バイオメディシナル
スクリーニング Gr
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU・システムズインフォ
マティックスGr
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU・バイオメディシナル
スクリーニングGr
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU ・ セ ルテク ノ ロ ジー
Gr
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU
エーザイ㈱・ネクスト・ジェ
ネレーション・システムズ
-CFU ・ セ ルテク ノ ロ ジー
Gr
㈱セルフリーサイエンス
㈱セルフリーサイエンス・
研究・開発部
㈱セルフリーサイエンス・
営業部
大寺 基靖
ライオン㈱
村越 倫明
ライオン㈱
片岡 伸介
ライオン㈱
小野 知二
ライオン㈱
人工がん幹細胞モデル活用創薬研
究
4
33
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
15
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
25
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
10
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
5
翻訳後修飾異常病治療薬の創薬
4
20
4
5
4
5
4
5
6
5
6
10
6
90
6
90
修飾蛋白質機能研究プロジェクトに
関する研究
修飾蛋白質機能研究プロジェクトに
関する研究
修飾蛋白質機能研究プロジェクトに
関する研究
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
67
小池 泰志
ライオン㈱
森下 聡
ライオン㈱
山口 継乃
ライオン㈱
生駒 桂子
ライオン㈱
木村 光夫
ライオン㈱
小川 侑記
ライオン㈱
梅村 啓靖
ライオン㈱
江頭 健二
ライオン㈱
山本 薫
ライオン㈱
炭田 康史
㈱ファンケル
山口 宏二
㈱ファンケル
寺本 祐之
㈱ファンケル
魚津 伸夫
㈱ファンケル
千場 智尋
㈱ファンケル
矢﨑 美里
㈱ファンケル
二光子顕微鏡による病態解析
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
二光子顕微鏡による病態解析
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
質量分析による修飾異常蛋白質の
検出
皮膚蛋白質の翻訳後修飾の網羅的
解析
皮膚蛋白質の翻訳後修飾の網羅的
解析
皮膚蛋白質の翻訳後修飾の網羅的
解析
皮膚蛋白質の翻訳後修飾の網羅的
解析
皮膚蛋白質の翻訳後修飾の網羅的
解析
皮膚蛋白質の翻訳後修飾の網羅的
解析
6
90
6
90
6
50
6
90
6
90
6
90
6
90
6
100
6
80
6
10
6
40
6
30
6
40
6
40
6
40
⑤諮問委員会
年 1 回の開催を目途とし、新規プロジェクトや事業化、知財などにかかわることについて議論する。
1) 諮問委員会構成員一覧
氏名
所属
下西 康嗣
山田 哲司
黒木 登志夫
中村 和行
宮脇 敦史
望月 英典
西島 和三
村松 正實
鈴木 紘一
大阪大学、長浜バイオ大学 名誉教授
国立がん研究センター研究所 創薬臨床研究分野分野長
独立行政法人日本学術振興会 学術システム研究センター 相談役
徳山医師会病院 顧問
理化学研究所 脳科学総合研究センター グループディレクター
株式会社鎌倉テクノサイエンス 代表取締役社長
持田製薬株式会社 医薬開発本部 主事(~H25)
埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター 所長(~H24)
東レ株式会社 先端融合研究所 所長(~H20)
※所属・役職は参画当時
68
2)諮問委員会の開催実績・議題
諮問委員会の開催実績・議題及び諮問委員の意見に対する対応
第 1 回(平成 20 年 12 月 15 日)、開催場所 横浜市立大学エクステンションセンター
議題: 諮問委員からの意見聴取、意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:レベルの高い研究が行われている。発展が期待される。
対応:研究のさらなる発展に尽力することにした。
2 諮問委員:個別の翻訳後修飾の解析は可能だが、全体的な修飾解析はまだ難しい。定量化も難しい。新しい
技術の開発が必要だ。
対応:定量的解析技術の開発に取り組んだ。
3 諮問委員:研究の全体像がよく見えない。相互の関係(横のつながり)も明確でない。研究の方向性を明確に
するように。
対応:研究の全体のフローチャートの中で、それぞれ研究者の仕事がどのような位置づけにあるのかを明確にし
た。
4 諮問委員:個別の蛋白質の翻訳後修飾に関する研究だけでなく、網羅的な解析も必要ではないか。
対応:プロテオーム解析手法を使った翻訳後修飾異常の網羅的解析を強化した。
5 諮問委員:協働機関との研究が活発であることが重要だ。
対応:協働機関なくして本プロジェクトの継続はない。連携を強化することにした。
※ 参 考
外部評価委員会(平成 21 年 3 月 30 日)
開催場所 横浜市立大学 福浦キャンパス 看護研究棟3階大会議室
議題: 外部評価委員による研究評価
外部評価委員の意見及び対応:
1 外部評価委員:5 年、10 年後のビジョンを示す必要がある。
対応:ロードマップを作成して研究の流れ、協働機関との関係等を明確にした。
2 外部評価委員:個々の基盤技術がグローバルな視点からどの程度の水準に達しているのか明確にする必要
がある。
対応:基盤技術を使って得られる成果の大きさから技術水準を評価するようにした。
3 外部評価委員:人材育成の拠点でもあるので、ポスドクやその他若手研究者の関わりを明確にしておく必要が
ある。
対応:若手プロジェクトの開始、発表会での若手ポスターセッションの開催等で対応している。
4 外部評価委員: 翻訳後修飾の課題はイメージング技術の格好のテーマであり、十分取り組む価値のあるテー
マである。個々の取組には分子レベルのしっかりとした基盤があり、今後の成果が期待できる。研究の多様性と統
一性のバランスをとっていくことが重要であろう。
対応:研究の多様性と統一性のバランスを考慮して研究を推進することとした。
第 2 回(平成 21 年 10 月 30 日)、開催場所 横浜市立大学 福浦キャンパス D1講義室
議題:諮問委員からの意見聴取、意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:他の機関の情報を積極的に取り入れて、明確に差別化を図る努力が必要である。
対応:本拠点の特徴を明確にし、特徴ある拠点作りを目指している。
2 諮問委員:長期イノベーション創出だけではなく、中期イノベーション創出も考慮した取り組みをする必要があ
る。
対応:ロードマップを作成し、中期、長期計画を立てた。
3 諮問委員:協働企業と横浜市立大学との連携を、互いの努力によりさらに強化していく必要がある。
69
対応:協働企業との連携の強化に一層尽力することにした。
第 3 回(平成 22 年 6 月 25 日)、開催場所 横浜市立大学 福浦キャンパス 教授会室
議題:新委員の承認、協働企業の一部変更
平成 22 年度再審査書類の成果報告書素案・提案書素案に関する意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:企業との協働研究が進展することを期待している。
2 諮問委員:このタイミングで、新規に各業界を代表する大手企業(ライオン、富士フイルム)が参加することは、
本拠点が魅力ある研究拠点として、高い研究成果を創出していることが認知されたと判断される。
対 応:引き続き、協働企業との連携の強化に一層尽力することにした。
3 諮問委員:成果報告書の各研究成果と論文や特許出願を対応させた方がよい。
対応:論文になっているものに関しては対応を明確にするようにした。
4 諮問委員:脱退する大鵬薬品工業は経営方針変更に伴うことであり、止むを得ない。しかし、がん治療等への
翻訳後修飾プロテオミクスの貢献が期待される状況は変わっていない。ある意味では、がん関連が本研究拠点と
して研究成果を輩出し易い分野であり、波及効果も高い。従って、抗がん剤を目指す製薬企業(エーザイ)が加わ
ることになった点は評価される。更に全体として参加企業が増えたことは、本拠点が魅力ある研究拠点として、高
い研究成果を創出していることが認知されたと判断される。
対応:研究の発展に一層尽力することにした。
第 4 回(平成 22 年 7 月 23 日~27 日)、持ち回りによる開催
議題:平成 22 年度再審査書類の成果報告書案及び提案書案に関する意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:提案機関と協働機関の研究開発の相互関連を年度ごとのロードマップにして示してはどうか。理解
しやすくなるのではないか。提案機関での研究シーズと協働企業の共同作業については文書として明示されて
いるが、図示できれば、経年的な研究開発の姿が理解しやすい。
対応:年度ごとの相互関連をどのように表現できるか検討することにした。
2 諮問委員: PTM に対する抗体をヒト病理標本に用いて免疫組織学的に診断するような体制をもっと充実させ
てはどうか。さまざまな PTM 現象が組織の中でどのように分布するのかを調べることは学問的にも意義深い。先
端医科学研究センターを通して、附属病院の実際の活動との相互作用を深める効果もあるだろう。PTM プロテオ
ミクスに直結した組織学的イメージングを基盤技術として整備してはどうか。イメージングの専門的立場からすると、
PTM 研究と現行の二光子励起顕微鏡や PET との間にギャップを感じる。
対応:抗体を用いて PTM の動態を明らかにする研究は今後の課題になる。PTM の動態を明らかにする上で二光
子顕微鏡は役立つと考えている。また、PTM 異常は診断マーカーとしても PET マーカーとしても利用可能であ
る。
3 諮問委員:大規模プロテオミクス研究の成果、特に膨大量のデータ情報をどのように管理し共有するのか、あ
るいは企業との共同においてどのように秘匿するのか。
対応:データベース化し、一定期間、協働機関が利用できるようにする。また、一定期間後は、データベースを公
表する計画である。
4 諮問委員:成果報告書は全体として、読み易く纏まっている。特に、プロテオミクスに関わる実験の方法、結果、
考察などの記述は詳細に記載されていて、本拠点の学術的なレベルの高さが反映されている。少し気になる点
は、創薬へのアプローチに対する記述。富士フイルムの創薬プロセスに関わる記載が不十分である。画期的な治
療薬への道筋が誤解され、「臨床段階に入る薬物が発見された」と安易に解釈されることは避けるべき。例えば、
化合物ライブラリーを使用して薬物スクリーニングによって探索されたヒット化合物は、いわゆるシーズ化合物であ
り、その全てが新薬へのリード化合物になるとは限らない。仮に、それがリード化合物として認知された場合でも、
それを最適化(構造活性相関を経て)して薬理作用の増強と共に動態改善、安全性確認等の企業努力が必須。
どの程度の最適化を実施して「この化合物」に到達したのか? 少なくとも、平成21年度より開始して、短期間で
「この化合物は・・・可能性が高い」という結論には少し違和感がある。おそらく、通常は、「臨床を想定した動物モ
デルでスクリーニングを実施したことから、探索された化合物は画期的な治療薬へのリード化合物として有望であ
70
り、それを富士フイルムが新薬創出に向けて、今後さらに最適化(種々の合成)しつつある」というのが実情ではな
いか。また、本当に「この化合物」が開発候補化合物として臨床へ進むことが想定されていれば、それは画期的な
ことであり、その場合は大いに強調すべきである。
対応:本化合物は、より臨床応用に近い段階にあるリード化合物である。すなわち、本化合物は開発候補化合物
として臨床へ進むことが想定されている。成果報告書では、その点についての詳細な記述を加えた。
第 5 回(平成 23 年 3 月 7 日)、開催場所 横浜市立大学 福浦キャンパス D1講義室
議題:平成 22 年度研究報告について
平成 23 年度研究計画について
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:再審査の通過したことは、本拠点のプロテオーム技術が認められたと考える。
対応:プロテオーム領域をさらに強化するため、人員の強化を含め検討していくこととした。また、翻訳後修飾分
析技術を用いて明らかにされたヒト蛋白質翻訳後修飾のデータベース(翻訳後修飾アトラス)の作成をした。
2 諮問委員:本格実施の7年間の事業期間は長いようで、本拠点が目指す創薬分野では短いと考えるので、着
実に取り組んでもらいたい。
対応:創薬企業に協働企業として参画により、企業ととにも協働し、事業化という成果の創出に向け着実に研究を
進めることとした。
3 諮問委員:この厳しい経済状況の中で、来年度から新しい協働機関が参加することは、本拠点が企業側から
見て魅力あるものと考える。また、経済情勢が不透明な中、企業にとって魅力あるプログラムであり続けるよう、研
究の進捗に応じた集中や変更を行えるような柔軟な運営を行っていく必要がある。
対応:成果がでた結果、次のステップに進めると判断した領域については、協働企業の集中と選択を行い、拠点
化を効率的に進めていくこととする。協働企業だけでなく、必要に応じて他機関と共同研究を行ってく。
4 諮問委員:本拠点は強い技術基盤を持っている。プロテオーム解析技術や構造解析に活かしてほしい。また、
今後研究への臨床検体の活用を取り入れていってほしい。
対応:臨床検体の活用については、バイオバンクを設置し、研究者の要望に応えられる環境を整えている。
5 諮問委員:本拠点で取り組んでいるバイオバンクを上手に活用してほしい。
対応:検体の種類や制度及び手続きについて体制の強化をし研究者が利用しやすいバイオバンクづくりを進め
ていく。
第 6 回(平成 24 年 3 月 21 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス D2 講義室
議題:平成 24 年度予算案について
平成 23 年度 成果報告、進捗状況について諮問委員からの意見聴取、意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:ヒト検体を収集するバイオバンクの体制構築については、産業界にとっても大きな魅力となり得るの
で、インフォームドコンセントや倫理委員会との関係に十分留意しながら、成功に向けて努力してほしい旨の意見
が出された。
対応:インフォームドコンセントについては、各診療科に協力をえて取得をしている。検体の利用にあたっては、
倫理委員会、研究審査会の承認を得る必要があり、体制は整えられている。
2 諮問委員:国の研究費は年々、非常に制限が厳しくなってきているが、この拠点の基盤を利用した他の大型プ
ロジェクトの獲得ということも拠点形成の成果として考えるべきではないかとの意見が出された。
対応:今後、本拠点の基盤を活用して他の大型プロジェクトを獲得するという可能性は多いにある。少なからず本
事業のアセットを活用しているという点において、本事業の成果と考えられる。また、そのような他プロジェクトの獲
得に向けて注力していく。
3 諮問委員:イノベーションを起こす、産業創成という面で、企業として何を目指してやっていくのかという部分が
見えなかったが、中間評価の際にも関係してくる部分であるため、今後示してほしい旨の意見が出された。
対応:今後、協働機関の目指すものについて共有したうえで、連携して事業を進めていく。
71
第 7 回(平成 24 年 2 月 21 日~3 月 7 日)、メール開催
議題:協働機関の変更について
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:東ソー、富山化学工業、積水メディカルという出口に近い企業が参画したことで、さらなる事業化に
向けた研究が期待できる。
対応:同社と協働し、出口に向けた研究を進めていく。
2 諮問委員:島津製作所、日立ハイテクノロジーズについては、本拠点の基盤を担う企業だと考えられるが、研
究の進捗に影響はないのか?
対応:同企業及び横浜市立大学の要素技術を利用して、株式会社メディカル・プロテオスコープと横浜市立大学
が大規模なプロテオーム解析技術の開発を進めた結果、本拠点における翻訳後修飾プロテオーム解析技術の
基盤を整備することができた。その意味で、同社の脱退による影響はないと考える。株式会社メディカル・プロテ
オスコープは引き続き拠点の技術的支援に携わると共に、この基盤技術を用いて診断マーカーや創薬標的分子
の開発や、疾患の原因究明に尽力することにしている。
第 8 回(平成 25 年 3 月 8 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス D2 講義室
議題:平成 25 年度予算案について
平成 24 年度 成果報告、進捗状況について諮問委員からの意見聴取、意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:基盤技術や解析技術を本拠点のみではなく、他の研究機関等にも使ってもらえるよう、国際的にプ
ロジェクトを PR する方法を考えるべき。
対応:プロテオミクス世界最大の学会「ヒトプロテオーム機構(HUPO)第 12 回世界大会」が、平成 25 年 9 月 14
日~18 日に横浜市のパシフィコ横浜で開催され、本拠点が大会運営の中心的役割を担った。大会参加者は
1,580 名、うち海外からの参加者は 649 名、特別招待講演数 11、招待講演数 103、ポスター発表 900 以上の大規
模な大会になった。
2 諮問委員:新規参画企業が加わり、研究が課題解決及び出口へ向かうことがますます期待される。
対応:協働機関と協働し、出口に向けた研究を加速させる。
3 諮問委員:施設見学にて、学生や若手研究員が本課題研究に参加し、人材育成の拠点となっていることが感
じられた。
対応:本拠点では、学生や若手研究員が研究に参加するだけでなく、人材育成制度を構築すると共に、学生が
協働機関と意見交換ができるセミナーを複数回実施している。
4 諮問委員:個々の研究は優れた内容であるが、拠点形成をさらに意識するべき。企業と包括的な連携を結ぶ
こと等によって研究者を限定せず、拠点として産学連携を推進していくことが望まれる。
対応:研究者同士、協働機関同士の連携を進めることで、拠点化が進められている。また、協働機関以外の研究
機関や企業との連携も進められ、拠点化が成熟しつつある。
5 諮問委員:国際化を進めるにあたり、海外から招へいした研究者をサポートする事務局をつくるなどのシステム
をつくるべき。
対応:海外から招へいした研究者のサポートについては、受け入れをしている研究室と事務方が協調しサポート
をしている。
第 9 回(平成 25 年 7 月 11 日~7 月 31 日)、メール開催
議題:協働機関の変更及び諮問委員の退任について
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:無細胞蛋白質合成系の構築とその利用を目指した研究部門の設置が進められてきたが、セルフリ
ーサイエンスの参画により、基盤技術としての本部門が充実し、事業化、実用化へ向けた研究が加速することに
期待される。
対応:研究者が同企業の基盤技術を活用し、研究を進めることができるよう無細胞タンパク合成ライブラリー研究
室を設置している。
2 諮問委員:新たな抗エイズ薬の開発という、より出口に向けた研究に期待がされるとの意見がだされた。
72
対応:同企業と共に出口に向けた研究を進めていく。
3 諮問委員:科学技術系の多くの部会等の委員をされている西島氏にコーディネーターとしてご就任いただくこ
とで、拠点へ必要な最新動向の情報をご提供いただけるだろうとの意見がだされた。
対応:拠点化だけでなく、他プロジェクトの獲得に向けコーディネーターに支援、指導をいただく。
第 10 回(平成 26 年 3 月 17 日)、開催場所 横浜市立大学附属病院 臨床講堂
議題:中間評価に向けた取り組みについて
平成 25 年度 成果報告、進捗状況について諮問委員からの意見聴取、意見交換
諮問委員の意見及び対応
1 諮問委員:学術的成果が出てきていると共に、施設の竣工により拠点が形成されてきている。また、横浜市から
の支援や協働機関の連携ができている点は非常に喜ばしいことである。グループ間の協働は進んでいるようだが、
事業化にあたっては、協働機関同士が連携していく必要があるのではないかと感じる。
対応:行政からの支援というのは、他拠点にない本拠点の特徴の一つである。今後も横浜市と連携し、拠点化を
進めていく。また、コーディネーターを活用し、協働機関同士の連携の実現について検討をしていく。
2 諮問委員:毎年、研究成果があがってきており、うれしく思う。実施期間の後半に入っており、これまでの基盤
整備、研究成果、グループ間連携、協働機関との連携を成果として出していく、出口へどのようにつなげるかが重
要になっていく。診断マーカーやバイオマーカーの開発、創薬にあたっては、個々の研究分担者だけではなく、
全体のプロジェクトをどのようにすすめるかという点でコーディネーターの役割が重要になってくる。コーディネー
ターの話もお伺いする機会も設けてほしい。
対応:今後、コーディネーターの視点から拠点の現状に説明をする機会を設ける。
3 諮問委員:製薬メーカー、診断薬メーカー等の企業との協働で複数の成果がでていることはすばらしい。大学
は基礎研究を重視されるところだが、研究の目的が明確でないと世間からは評価されない。そのような視点を持
つことが重要であり、拠点であると思う。実際に、実用化に至るものは数少ないが、実用化を意識して研究をする
ことが重要である。企業はそれぞれ自己の利益を目指しており、企業間連携というものは非常に難しい。評価委
員に対しても、そのように伝えてはどうか。
対応:これまでの成果に加え、さらなる成果が出せるよう尽力していく。
4 諮問委員:当初はよい基礎研究をしていればいいという雰囲気があり心配したものだが、本日の発表で、ミッシ
ョンを理解し基礎研究が進められていると感じた。また、NMR の施設やプロテオーム解析室等のファシリティーが
整い有機的に利用されていると感じる。21世紀 COE、グローバル COE 等の他プロジェクトにおいて、大学に何も
残らなかったという批判があるため、実施期間終了後の拠点運営に向けての方策は、文部科学省が非常に気に
している点である。新たな研究棟新設という具体的な方策を大学と横浜市で示すことは、よいアピール点になるだ
ろう。
対 応:本拠点では、事業化に向けた研究という意識が浸透しており、大学研究者と企業の研究者が協働して研
究が進められている。
5 諮問委員:網羅的な研究と個別的な研究のバランスがとれており、互いに相乗効果を出せていると感じる。数
値目標にこだわりすぎないほうが健全な場合もある。この有益な拠点における他の団体との連携なども検討し、情
報発信をしてグローバル化を目指してほしい。
対応:協働機関以外の研究機関、企業との研究も進められている。本拠点へ他機関が参集していることは、拠点
化が進められていることを意味している。
6 諮問委員:各チームの研究については進んでおり評価できる。また、創薬における成功例の創出とその成功
へのプロセスをシステム化として示せればいいと思う。11 月の研究推進会議より連携が進んでいるようだが、一部
まだ、十分ではないと感じる。全グループで共通のキーワードをもって研究を進めることで、連携していると評価さ
れると思う。抗体医薬の実用化、診断マーカーにいては、実施期間終了に向けた具体的な方策を示すべきと感じ
る。データベースの充実や機能を調べるシステムの構築により、実施期間終了後の拠点の存続についてアピー
ルできるのではないかと感じた。
対応:成功事例のプロセスを明確化し、お示しする。
73
⑥拠点運営会議
年 2 回の開催を目途とし、拠点形成の推進に関することについて議論する。
1) 拠点運営会議構成員一覧
構 成 員 氏 名
役 職
田中 克子
総括責任者
平野 久
拠点長
大野 茂男
研究戦略部会長
五嶋 良郎
人材育成部会長
梁 明秀
事業化計画部会長
大滝 義博
メディカル・プロテオスコープ 責任者
岡野 知道
ライオン 責任者
萩原
塚原
炭田
林
中村
二宮
尾澤
上西
北井
北村
福島
金澤
戸田
富士フイルム 責任者
エーザイ 責任者
ファンケル 責任者
東ソー 責任者
富山化学工業 責任者
積水メディカル 責任者
セルフリーサイエンス 責任者
研究支援コーディネーター
研究支援コーディネーター
研究支援コーディネーター
産学連携コーディネーター
知的財産コーディネーター
プロジェクトマネージャー
真二
克平
康史
俊典
孝昭
真一
哲
憲明
淳夫
正仁
英明
進
年総
2)拠点運営会議(拠点運営委員会含む)の開催実績・議題
第 1 回(平成 20 年 12 月 15 日)、開催場所 横浜市立大学エクステンションセンター
議題: 本拠点のこれまでの進捗状況の報告
第 2 回(平成 21 年 10 月 5 日)、開催場所 横浜市立大学 福浦キャンパス 教授会室
議題: 拠点に関する説明及び協働企業紹介、研究成果発表
第 3 回(平成 21 年 3 月 19 日)、開催場所 横浜市立大学 福浦キャンパス 教授会室
議題: 再審査に向けての取り組みについて、研究成果発表
第 4 回(平成 22 年 7 月 21 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス 看護棟大会議室
議題: 協働機関の一部変更について、平成 22 年度 再審査書類の審議について、再審査に向けた今後の取り
組みについて
第 5 回(平成 22 年 7 月 21 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス 看護棟大会議室
議題: 協働機関の一部変更について、平成 22 年度 再審査書類の審議について、再審査に向けた今後の取り
組みについて
第 6 回(平成 22 年 1 月 28 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス 看護棟大会議室
議題: 平成 22 年度 再審査の報告及び今後の取り組みについて、拠点運営委員会の改組について、今後の進
め方について、今後の拠点運営に関する意見交換
第 7 回(平成 23 年 4 月 27 日)、持ち回りによる開催
議題: 平成 23 年度 予算案及び事業計画案について
第 8 回(平成 24 年 3 月 21 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス D2 講義室
議題: 平成 24 年度予算案について、平成 23 年度 成果報告、進捗状況について
第 9 回(平成 24 年 8 月 29 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス 教授会室
74
議題: 研究トピックス紹介、拠点形成の進捗状況報告
第 10 回(平成 25 年 1 月 9 日~2 月 8 日)、持ち回りによる開催
議題: 協働機関の新規参画について
第 11 回(平成 25 年 2 月 20 日~3 月 5 日)、持ち回りによる開催
議題: 協働機関の新規参画について
第 12 回(平成 25 年 3 月 8 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス D2 講義室
議題: 平成 25 年度予算案について、平成 25 年度諮問委員案について
第 13 回(平成 25 年 7 月 8 日~7 月 31 日)、持ち回りによる開催
議題: 協働機関の変更について
第 14 回(平成 25 年 10 月 18 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス 教授会室
議題: 研究トピックス紹介、拠点形成の進捗状況報告
第 15 回(平成 26 年 3 月 17 日)、開催場所 横浜市立大学福浦キャンパス D2 講義室
議題: 平成 26 年度予算案について、平成 26 年度諮問委員について
⑦研究戦略部会
月 2 回の開催を目途とし、拠点形成にかかる事業計画、評価、予算、決算、協働機関や分担研究者の参画・脱
退検討、各部会の進捗・成果管理に関することについて議論する。
1)研究戦略部会構成員一覧
構 成 員 氏 名
役 職
大野 茂男
研究戦略部会長
平野 久
拠点長
上西 憲明
研究支援コーディネーター
北井 淳夫
北村 正仁
福島 英明
研究支援コーディネーター
研究支援コーディネーター
産学連携コーディネーター
金澤 進
知的財産コーディネーター
戸田 年総
プロジェクトマネージャー
2) 研究戦略部会の開催実績
平成 22 年度 第 1 回~第 4 回
平成 23 年度 第 5 回~第 23 回
平成 24 年度 第 24 回~第 46 回
平成 25 年度 第 47 回~第 70 回
平成 26 年度 第 71 回~第 76 回
⑧その他主な部会構成メンバー及び開催実績
会議名称
開催頻度
研究進捗管理部会
年 1 回程度
人材育成部会
構成メンバー
研究戦略部会長、研究
チームリーダー、各コ
ーディネーター
人材育成部会長、研究
支援コーディネーター
年 3 回程度
75
目的・議事内容
研究計画の進捗管理
に関すること
人材育成にかかる事業
計画案の策定、及びそ
の進捗・成果管理、事
業報告・評価案の作成
に関すること、若手研
究者プロジェクト、プロ
テオーム医薬創薬研
事業化計画部会
年 3 回程度
事業化計画部会長、各
協働機関責任者、各コ
ーディネーター
究会に関すること
知財の権利化や事業
化などに関すること
⑨研究推進会議
年 1 回開催し、拠点形成の進捗報告、研究推進に関する議論及び研究成果の評価に関することについて議論
する。
研究推進会議構成員一覧
構 成 員 氏 名
役 職
田中 克子
総括責任者
平野 久
拠点長
大野 茂男
研究戦略部会長
高山 光男
分担研究者
緒方 一博
分担研究者
佐藤 衛
分担研究者
木寺 詔紀
分担研究者
大野 茂男
分担研究者
谷口 英樹
分担研究者
松本 直通
分担研究者
井上 登美夫
分担研究者
高橋 琢哉
分担研究者
五嶋 良郎
分担研究者
田村 智彦
分担研究者
梁
分担研究者
明秀
上西 憲明
研究支援コーディネーター
北井 淳夫
研究支援コーディネーター
北村
福島
金澤
戸田
望月
山田
研究支援コーディネーター
産学連携コーディネーター
知的財産コーディネーター
プロジェクトマネージャー
株式会社鎌倉テクノサイエンス 代表取締役社長
国立がん研究センター研究所 創薬臨床研究分野分野長
正仁
英明
進
年総
英典
哲司
2) 研究推進会議の開催実績
平成 23 年 11 月 24 日(木)
平成 24 年 11 月 16 日(金)
平成 25 年 11 月 25 日(月)
⑩シンポジウム
第 1 回 公開シンポジウム
「分析技術の発達により見えてきた蛋白質の翻訳後修飾とその異常」
開催日:平成 21 年 6 月 19 日
76
プログラム:
主催者挨拶 本多 常高 総括責任者(総括責任者/横浜市立大学 理事長)
来賓ご挨拶 岡谷 重雄 文部科学省 科学技術・学術政策局 学技術・学術戦略官(推進調整担当)
第 1 部 モディフィコミクス医療研究を支える最新技術
「翻訳後修飾解析研究の動向」
横浜市立大学 平野 久
「高性能化リン酸化プロテオミクスによるシグナル伝達研究」
慶応義塾大学 石濱 泰
「活性酸素による新しい翻訳後修飾とシグナル伝達機能の解明」 熊本大学 赤池 孝章
「質量分析装置研究の動向」
横浜市立大学 高山 光男
「質量分析を用いた蛋白質等の構造解析」
株式会社島津製作所 田中 耕一
第 2 部 翻訳後修飾と疾患
「糖鎖修飾と疾患の診断と治療への役割」
大阪大学 谷口 直之
「直鎖状ポリユビキチン化:NF-κB 活性化に必須な新たなユビキチン修飾系」
大阪大学 岩井 一宏
「ペプチジルプロリルイソメラーゼ Pin1:疾患や分化を司る新しいリン酸化後修飾因子」
国立感染症研究所 梁 明秀
「極性タンパク質を介した細胞組織化とその異常」
横浜市立大学 大野 茂男
閉 会
横浜市立大学 平野 久
第 1 回 国際公開シンポジウム
「臨床プロテオミクスにおける最近の進歩」
開催日:平成 22 年 9 月 14 日
プログラム:
「Decoding disease relevant signaling networks by mass spectrometry-based proteomics」
Chunaram Choudhary (Denmark)
「Novel serologic HCC biomarkers: From a single protein to multiple panel proteins」
Young-Ki Paik (Korea)
「Mass spectrometry for analysis of posttranslational modifications」
Toshifumi Takao (Osaka)
「Systematic-omics analysis of HBV-associated hepatocellular carcinoma」
Fuchu He (China)
「The role of IRF transcription factors in the development of innate immune cells
and its relevance to human chronic myelogenous leukemia」
Tomohiko Tamura (Yokohama)
「Structural basis for differential regulation of enhanceosome
by chemical modification of transcription factor」
Kazuhiro Ogata (Yokohama)
第 3 回 公開シンポジウム
「プロテオミクスによって明らかになってきた精神神経疾患のメカニズム」
開催日:平成 24 年 2 月 10 日
プログラム:
開会の辞及び挨拶
本多 常高(総括責任者/横浜市立大学 理事長)
里見 朋香(文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 地域支援企画官)
「精神神経疾患における AMPA 受容体シナプス移行」
横浜市立大学 高橋 琢哉
「文脈学習に必要な AMPA 受容体のシナプス移行:海馬 CA1 でのシナプス可塑性」
横浜市立大学 美津島 大
「神経終末アクティブゾーンによる脳高次機能制御とその破綻」
山梨大学 大塚 稔久
77
「精神神経疾患をいかに早期に診断するか:バイオマーカー開発の試み」
横浜市立大学 五嶋 良郎
「新規神経回路形成分子 LOTUS の機能と神経再生医療への応用」横浜市立大学 竹居 光太郎
「研究の前提となるべき精神科診断の現実と課題- From Bedside」 慶應義塾大学 内田 裕之
閉会の辞
拠点長/横浜市立大学 平野 久
第 4 回 公開シンポジウム
「バイオインフォマティクスの最前線」
開催日:平成 24 年 10 月 1 日
プログラム:
開会の辞及び挨拶
本多 常高(総括責任者/横浜市立大学 理事長)
里見 朋香(文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課長)
「オミックスからシステム生物学への展開:細胞運命決定に関与する転写制御ネットワーク再構成の試み」
横浜市立大学 中林 潤
「Towards the $1000 interactome(インタラクトーム動態の高速測定とデータマイニング)」
トロント大学/マウントシナイ病院 谷内江 望
「ゲノム規模解析による転写因子 IRF8 を核とした単球分化制御プログラムの理解」
横浜市立大学 田村 智彦
「シグナル転写ネットワークのダイナミクスと疾病制御」 理化学研究所 岡田 眞里子
「エピゲノム標識のダイナミクス」
東京大学 油谷 浩幸
「がんの転移と創薬に関するシステム分子医学」
東京医科歯科大学 田中 博
閉会の辞
拠点長/横浜市立大学 平野 久
⑪プロテオーム医療創薬研究会
開催日
講師及び演題
小田 吉哉(エーザイ株式会社 シーズ研究所)「できマス?プロテオミクス」
第1回
H18/8/24
第2回
H18/11/10
第3回
H19/10/17
近藤 格(国立がんセンター研究所)「網羅的タンパク質発現解析によるがん研究」
梁 明秀(横浜市立大学 医学部 教授)「プロリルイソメラーゼ Pin1 を分子プローブと
した疾患関連リン酸化タンパク質の同定」
佐藤 衛(横浜市立大学 国際総合科学研究科 教授)
「関節リウマチ関連タンパク質の構造生物学」
平野 久(横浜市立大学 国際総合科学研究科 教授)
「プロテインチップ研究の動向」
清水 透(東北大学 多元物質科学研究所 教授)
「プロテインチップを利用したタンパク質相互作用の解析」
松尾 洋(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター チームリーダー)
「多重標的創薬アプローチ、プロテオミクスによる分子標的創薬の展開」
平野 久(横浜市立大学 国際総合科学研究科 教授)
「疾患プロテオーム研究の動向」
Martin Larsen(Department of Biochemistry and Molecular Biology University of
Southern Denmark)
「Novel approaches to phosphopeptide isolation and purification prior to analysis by
mass spectrometry」
Hans Vissers(Waters corporation)
「イオンモビリティー分離と質量分析を融合させた新規質量分析装置<HDMS>」
78
第4回
H20/8/22
第5回
H20/10/24
第6回
H20/10/27
第7回
H21/1/5
第8回
H21/1/8
第9回
H21/3/6
第 10 回
H21/8/5
第 11 回
H21/9/14
佐々木 秀輝(株式会社日本ウォーターズ)
「HDMS テクノロジーを用いたプロテオーム研究」
Prof. B. Wittmann-Liebold (WITA, Berlin, Germany)
「 Proteomics of new bacterial isolates and design of innovative 2DE-gel
electrophoresis equipment」
Prof. R. M. Kamp (University of Applied Science, Berlin, Germany)
「Analysis of post translational modifications in muscle cells」
Prof. T. Choli-Papadopoulou (Aristotle University of Thessaloniki,Thessaloniki,
Greece)「Role of HPNAP protein in activating the human neutrophils」
柚﨑 通介(慶應義塾大学 医学部 神経生理学)
「熟脳におけるシナプス形成と可塑性を制御する新しい機構—C1q ファミリー分子群の
解」
平野 久(横浜市立大学 国際総合科学研究科 教授)
「質量分析を中心にしたプロテオーム解析の方法」
岡 卓志(株式会社ベイ・バイオ・イメージング 代表、医学研究科放射線医学 助
教)「PET を用いた分子イメージング」
幸村 心元(オリンパス株式会社)
高橋 琢哉(横浜市立大学 医学部 生理学 教授)
「二光子顕微鏡を用いた in vivo 分子細胞イメージング」
中井川 昇(横浜市立大学 医学部 泌尿器科学 准教授)
「腎細胞癌における癌化シグナルのネットワークを標的とした治療法の開発」
矢澤 卓也(横浜市立大学 医学部 病態病理学 准教授)
「癌の悪性化・進展に関わる分子の機能解析とその新規治療法への応用」
武下 文彦(横浜市立大学 医学部 分子生体防御学 准教授)
「自然免疫活性化機序の解明と応用」
紙谷 義孝(横浜市立大学 医学部 准教授)
「難治性疼痛モデル動物の知覚神経系において発現が変化するタンパク質のプロテ
オミクス的解析とその機能の解析」
染原 俊朗(和光純薬工業株式会社)
「臨床プロテオミクスを実施するに当たっての諸問題−乳がん 早期マーカを例として」
石戸 聡(理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター)
「ユビキチン化による新たな免疫制御機構」
梁 明秀(国立感染症研究所)「宿主因子と HIV の相互作用研究」
加藤 悠(横浜市立大学 際総合科学研究科 M3)
「出芽マーカーBud9p の局在制御に関与する二倍体出芽酵母の Bud32p 複合体」
倉田 洋一(横浜市立大学 国際総合科学研究科 M3)
「GH 遺伝子組換えアマゴのプロテオームおよびトランスクリプトーム解析」
井野 洋子(横浜市立大学大学 特任助手)「新規な膜フィルターを用いた質量分
析」
増石 有佑(横浜市立大学 国際総合科学研究科 M2)
「卵巣明細胞腺癌におけるアネキシン IV の発現調節機構」
高橋 琢哉(横浜市立大学 医学研究科 生理学 教授)
「経験依存的 AMPA 受容体シナプス移行」
Professor Edward Benjamin Ziff ( New York University Langone Medical Center
Department of Biochemistry)
「A role for cGMP-dependent protein kinase II in AMPA receptor trafficking and
synaptic plasticity」
79
第 12 回
H21/9/15
第 13 回
H21/12/16
第 14 回
H21/12/17
第 15 回
H22/1/19
第 16 回
H22/2/19
第 17 回
H22/3/4~5
Assistant Professor
Andres Barria ( University of Washington Physiology &
Biophysics)
「Trafficking, regulation, and function of NMDA-type glutamate receptors」
中村 浩規(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科)
「SILAC 法を用いた定量プロテオーム解析
岡山 明子(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助手)
「肺がん患者組織由来リン酸化プロテオーム解析及び MALDI-QIT TOF/MS を用い
た翻訳後修飾解析」
井野 洋子(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助手)
「on membrane での糖鎖修飾タンパク質の同定及び前立腺癌細胞のアンドロゲン非
依存性獲得機構に関与するリン酸化プロテオーム解析」
野村 文子(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助手)
「酸化的修飾タンパク質の網羅的な同定及びその機能解析」
永田 佳代子(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助手)
「卵巣がん関連 Tyr リン酸化プロテオーム解析」
木村 鮎子(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助教)
「卵巣がん関連リン酸化プロテオーム解析及び翻訳後修飾部位特異的変異体を用い
た酵母プロテアソ−ムの機能解析」
木村 弥生(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助教)
「プロテアソームの翻訳後修飾と機能の関係」
川上 隆雄(株式会社メディカル・プロテオスコープ)
「ラベル無し LC-MS/MS のリン酸化プロテオミクスへの適用」
佐藤 隆(HHMI, Janelia Farm Research Campus Postdoc)
「Imaging the activity patterns of identified single neurons 」
Tapas K. Kundu, Ph.D.(Transcription & Disease Laboratory Molecular Biology and
Genetics Unit Jawaharlal Nehru Centre for Advanced Scientific Research, India.)
「 Post translational modifications of chromatin associated proteins: Role in
transcription regulation and disease manifestation」
Zengqiang Yuan Ph.D. (National Laboratory of Biomacromolecules Institute of
Biophysics Chinese Academy of Sciences)「c-Abl-MST1 signaling pathway mediates
oxidative stress induced neuronal cell death」
桂 勲(遺伝学研究所 名誉教授)
「線虫 C.elegans の flr 遺伝子群の働き-腸における行動・感覚・成長・細菌耐性の
制御」
小寺 義男(北里大学理学部附属疾患プロテオミクスセンター 准教授、千葉大学医
学部付属病院疾患プロテオミクス研究センター 客員准教授)
「独自の基盤技術の開発から診断マーカー獲得を目指して」
鵜殿 平一郎(独立行政法人理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター
免疫シャペロン研究チーム)
「シャペロン分子とプロテアソームの織りなす免疫システム」
荒川 憲昭(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 助教)
「卵巣明細胞腺癌のプロテオミクス」
木村 鮎子(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助教)
「卵巣明細胞腺癌の悪性化メカニズムの解明を目指した比較リン酸化プロテオーム解
析・出芽酵母を用いたプロテアソーム翻訳後修飾部位変異体の解析」
木村 弥生(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特任助教)
「ヘテロ核リボヌクレオタンパク質のモディフィコミクス」
80
第 18 回
H22/3/9
第 19 回
H22/3/16
第 20 回
H22/4/5
第 21 回
H22/5/21
第 22 回
H22/5/27
第 23 回
H23/2/10
第 24 回
H23/6/27
第 25 回
H23/8/11
第 26 回
H23/8/16
第 27 回
H23/9/12
第 28 回
H23/9/26
第 29 回
H23/9/30
第 30 回
H23/10/5
第 31 回
H23/10/19
松木 洋平(横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 特別研究員)
「主要組織適合抗原を制御するユビキチンリガーゼファミリー」
武下 文彦(横浜市立大学 医学部 分子生体防御学 准教授)
「プロテオミクス解析による自然免疫活性化経路の解明と応用」
中井川 昇(横浜市立大学 医学部 泌尿器科学 准教授)
「腎細胞癌における癌化シグナルのネットワークを標的とした治療法の開発」
内田 裕之(慶應義塾大学 医学部 精神神経科 助教)
「統合失調症における個別化された 薬物療法:エビデンスと仮説」
川上 隆雄(株式会社メディカル・プロテオスコープ)
「電場型フーリエ変換質量分析計 OrbiTrap(オービトラップ)がプロテオミクスの地平
線を拡げる」
宮崎 将太(ジーエルサイエンス株式会社 技術開発部)
「二酸化チタン粒子を用いた、高選択的リン酸化ペプチドの濃縮法」
熊ノ郷 淳(大阪大学 微生物病研究所 免疫学フロンティア研究センター)
「セマフォリンによる免疫制御―疾患との関連を含めてー」
津幡 卓一(株式会社エービーサイエックス)
「最新の蛋白質解析技術による翻訳後修飾プロテオミクスアプローチ〜診断マーカー
の探索〜創薬開発における質量分析技術による最新アプローチ」
Ho Jeong Kwon(韓国ヒトプロテオーム機構会長)
「Small Molecules and Target Proteins Targeting Angiogenesis」
稲垣 直之(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 神経形態形
成学 准教授)
「プロテオミクスと数理解析から見えてきた神経細胞が極性を獲得する仕組み」
大西 新(放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター分子神経イメージ
ング研究プログラム 神経情報研究チーム 研究員)
「統合失調症発症仮説:Maternal immune activation 原因説のげっ歯類、霊長類を用
いた検証」
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム 研究副部
長)
「疾患病態のプロテオーム解析Ⅰ」
Shougang Zhuang, MD, PhD. ( Professor of Medicine Chief of Renal Division,
Department of Medicine Shanghai East Hospital, Tongji University School of Medicine
Shanghai、Associate Professor of Medicine Director of Kidney Research Department
of Medicine/Renal Division Rhode Island Hospital Brown University School of
Medicine)「Molecular Mechanisms of Epidermal Growth Factor Receptor-Mediated
Renal Fibrosis」
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム 研究副部
長)
「疾患病態のプロテオーム解析Ⅱ」
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム 研究副部
長)
「プロテオミクスによる老化機構へのアプローチ」
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム 研究副部
長)
「酸化ストレスに対する細胞応答のプロテオーム解析」
81
第 32 回
H23/11/2
第 33 回
H23/11/16
第 34 回
H23/11/24
第 35 回
H23/12/12
第 36 回
H24/2/13
第 37 回
H24/5/25
第 38 回
H24/6/5
第 39 回
H24/6/15
第 40 回
H24/8/30
第 41 回
H24/10/4
第 42 回
H24/11/29
第 43 回
H25/1/17
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター 研究所老化機構研究チーム 研究副部
長)
「細胞の分化・老化・不死化(癌化)のプロテオーム解析」
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター 研究所老化機構研究チーム 研究副部
長)
「二次元電気泳動によるプロテオーム解析の利点と課題」
戸田 年総(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム 研究副部
長)
「翻訳後修飾異常と疾患」
Andrew J. Ewald (Assistant Professor Departments of Cell Biology and Oncology
School of Medicine Johns Hopkins University)
「How do cells collectively shape organs in development and disease? 」
Spyros Goulas(Institute of Molecular Biotechnology of the Austrian Academy of
Science)「Asymmetric Cell Division in Adult Somatic Drosophila Stem Cells. 」
Dr. Yoko Fujita-Yamaguchi (Professor, Department of Applied Biochemistry, Tokai
University School of Engineering Adjunct Professor, Department of Molecular and
Cellular Biology, Beckman Research Institute of City of Hope)
「 Antibody engineering toward developing cancer therapeutics: Basics and
applications. 」
塚原 克平(エーザイ株式会社 エーザイプロダクトクリエーション・システムズ ネクス
ト・ジェネレーション・システムズ機能ユニット プレジデント)
「想薬、聡薬、創薬」
Zhang Fengmin (ハルピン医科大学 教授 研究科長)
「Recent advances in the studies on interaction between the microbial pathogens and
the host immune system 」
Daniel G. Jay(Dept. of Physiology, Tufts University School of Medicine, Boston,
USA)「Screening for new proteins required for cellular function by Chromophore
Assisted Light Inactivation」
John Y. Lin(Dept. of Pharmacology, HHMI – University of California, San Diego,
USA)
Expanding the optogenetic tool box: red-light activator and synaptic inhibitor」
Shigeo Okabe(Dept. of Cellular Neurobiology, The University of Tokyo Graduate
School of Medicine, Tokyo, Japan)「Imaging analysis of synapse dynamics」
Takuya Takahashi ( Dept. of Physiology, Yokohama City University School of
Medicine, Yokohama, Japan)「Neonatal stress disrupts cortical circuit formation」
Shigeo Ohno(Dept. of Molecular Biology, Yokohama City University School of
Medicine, Yokohama, Japan)「Closing remark」
仁田 亮(東京大学 医学部 細胞生物学・解剖学講座 特任助教)
「細胞内分子モーター『キネシン』と『微小管』X 線と電子顕微鏡でその動作機構に迫
る」
吉松 賢太郎(エーザイ株式会社 エーザイプロダクトクリエーションシステムズ シニ
アサイエンティフィックアドバイザー)
「製薬業界の現状とエーザイの抗がん剤領域フランチャイズ化への道、そしてオープ
ンイノベーションの重要性」
山口 宏二(株式会社ファンケル ファンケル総合研究所 副所長)
「機能性食品の研究開発」
82
第 44 回
H25/2/22
第 45 回
H25/3/28
第 46 回
H25/5/29
第 47 回
H25/9/16
第 48 回
H25/9/20
第 49 回
H25/11/11
第 50 回
H25/12/3
第 51 回
H25/12/12
第 52 回
H26/1/27
第 53 回
H26/4/25
第 54 回
H26/5/16
第 55 回
H26/6/6
第 56 回
H26/7/1
木村 郁夫(京都大学 大学院薬学研究科 薬理ゲノミクス分野 助教)
「腸内細菌叢および性ステロイドホルモンによるエネルギー調節機構:新規細胞膜上
の短鎖脂肪酸受容体および性ステロイド受容体の機能解析」
津田 誠(九州大学大学院 薬学研究院 医療薬科学部門 薬理学分野 准教授)
「グリア細胞から見出した新しい慢性疼痛メカニズムと創薬への可能性」
Pierre Legrain(フランス原子力・代替エネルギー庁 、ヒトプロテオーム機構 会長)
「From proteins to Human Biology : how the Human Proteome Project might inspire
Human biology research ?」
Ruedi Aebersold( Professor,ETH Zurich Institute of Molecular Systems Biology)
Amos Bairoch ( Professor,Swiss Institute of Bioinformatics)
Shabaz Mohammed(Assistant Professor, University of Oxford)
Yu-Ju Chen (Research Fellow, Institute of Chemistry, Academia Sinica)
Andrew H.-J. Wang(Distinguished Research Fellow, Institute of Biological Chemistry
(IBC), Academia Sinica )
Ray Owens (NDM Senior Research Fellow, University of Oxford)
Kazuhiro Ogata (横浜市立大学 生化学 教授)「The Evolution of Technology in
Proteomics」
Helmut W. Kessels Ph.D. ( Netherlands Institute for Neuroscience Department
head)「The effects of amyloid-beta on glutamatergic synapses」
鈴木 厚(横浜市立大学 分子細胞医科学研究室 准教授)
「新しい非中心体性微小管制御メカニズム、およびその神経変性疾患との関連」
安田 涼平(Max Planck Florida Institute for Neuroscience Scientific Director)
「Imaging signal transduction in single dendritic spines」
澤崎 達也(愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 教授)
「コムギ無細胞系を基盤とした膜タンパク質合成・精製および抗体作成技術と、絶対
定量質量分析内部標準試料への活用」
椎名 政昭(横浜市立大学 生化学 助教)
「転写因子 Ets1 のリン酸化による DNA 結合活性制御機構の速度論的解析 ~表面
プラズモン共鳴法(SPR)を用いて~」
川崎ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部 部長)
「バイオ医薬品の開発及び製造と質量分析」
寺内 康夫 (横浜市立大学 内分泌・糖尿病内科学 教授)
大橋 健一 (横浜市立大学 病態病理学 教授)
「バイオバンクの取組みと今後の血液バンク事業に向けて」
横田 博之(アステラス製薬 バイオサイエンス研究所 専任理事)
「創薬研究とプロテオミクス」
馬場理也 (熊本大学大学院先導機構 国際先端医学研究拠点施設 特任准教授)
「新規がん抑制遺伝子 FLCN の機能解析」
⑫バイオインフォマティクス研究会
開催日
講師および演題
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
第1回
H25/2/25
「False Discovery Rate (FDR)による有意水準の調整について:マクロアレイデータの二
群間比較を例として」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
第2回
H25/3/25
「Gene Set Enrichment Analysis(GSEA)の理論と実践」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
第3回
H25/4/22
「マイクロアレイデータのダイナミックレンジについて」
83
第4回
H25/5/27
第5回
H25/6/24
第6回
H25/7/23
第7回
H25/9/24
第8回
H26/1/27
第9回
H26/2/24
第 10 回
H26/3/14
第 11 回
H26/4/25
第 12 回
H26/5/26
第 13 回
H26/6/30
第 14 回
H26/7/28
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「主成分分析と多次元評価構成法」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「クラスタ分析:階層的、非階層的クラスタリングの理論と実践」
大里直樹(東京大学 先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス分野 特任研究
員)
「転写制御解析のためのバイオインフォマティクス」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)「モチーフ解析」
西 羽美(横浜市立大学 生命医科学研究科 生命情報科学研究室 特別研究員)
「公共データベースを用いたバイオインフォマティクス研究~リン酸化・ユビキチン化
を例に~」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「Web ツール『FIMO』を用いた既知モチーフ検索法」
藤井 聡 (九州工業大学 大学院情報工学研究院 生命情報工学研究系 助教)
「理論的バイオインフォマティクスから実践的バイオインフォマティクスへ」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「Dynamic Time Warping (DTW) を用いた時系列データからのパターン抽出法」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「GO term に基づく Pathway 解析について」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「マイクロアレイデータの 2 群間比較:発現比に基づくランキングと発現量による補正
について」
中林 潤(横浜市立大学 免疫学 特任准教授)
「マイクロアレイデータの正規化について」
⑬市民講座開催実績
項番
開催日
講座名
参加者
人数
第1回
H21/1/24
先端医科学を用いた未来医療への期待
76 名
第2回
H21/1/31
アトピー性皮膚炎の新しい治療法
82 名
第3回
H21/2/7
遺伝子の傷で起こる病気
67 名
第4回
H21/2/14
心の働きの科学
89 名
第5回
H22/2/12
新しい腎がんの診断・治療
58 名
第6回
H22/4/19
生活習慣病予防のための研究と在宅診断への期待
60 名
第7回
H22/6/22
我々はがんをどこまで理解できたか?-「がん」の生物学-
68 名
第8回
H22/8/25
PET による最先端の画像診断
72 名
第9回
H22/10/26
最先端の男性不妊症治療の研究
49 名
第 10 回
H22/12/6
新しい薬の開発から承認まで
48 名
第 11 回
H23/2/21
新しい抗HIV治療薬の開発
31 名
第 12 回
H23/4/18
ウイルス vs.人体~やさしいウイルスの基礎知識~
91 名
第 13 回
H23/4/29
放射線・放射能の豆知識(午前・午後 2 回開催)
84
395 名
第 14 回
H23/6/16
小児がん治療の現状と未来
44 名
第 15 回
H23/8/25
新しい心不全治療薬の開発
68 名
第 16 回
H23/10/13
動脈硬化を招く高血圧のメカニズム
92 名
第 17 回
H23/12/5
「次世代遺伝子治療」への挑戦
65 名
第 18 回
H23/2/16
免疫と病気の話~そんな病気も免疫が関係するの?~
96 名
第 19 回
H24/4/23
たんぱく質のはたらきと病気
83 名
第 20 回
H24/6/21
前立腺がんの診断と治療-最新の知見
第 21 回
H24/8/23
再生医療の現状と未来
86 名
第 22 回
H24/10/30
子宮頸がん撲滅に向けて-研究、予防、治療の最前線
46 名
第 23 回
H24/12/19
養育環境が脳に影響を及ぼすメカニズム
81 名
第 24 回
H25/2/26
血液と細胞治療のお話
84 名
第 25 回
H25/4/23
感染ウイルスの増殖を防げ!
85 名
第 26 回
H25/6/20
手足のむくみを診断する小型硬度測定装置の開発
68 名
第 27 回
H25/8/5
切らずに治すがんの治療法
第 28 回
H25/10/3
神経の再生に挑む
96 名
第 29 回
H25/12/10
生活習慣病の予防とオーダーメード医療へ向けて
71 名
第 30 回
H26/2/3
バイオバンク情報とがん研究への応用
69 名
第 31 回
H26/4/21
患者さんにやさしい歯科・口腔外科の内視鏡手術
77 名
第 32 回
H26/6/17
アルツハイマー病の診断~精神疾患バイオマーカーの開発~
95 名
第 33 回
H26/8/7
希少難病の原因を解き明かす!~ヒト全遺伝子・全ゲノム解析~
-
⑭広報誌 innovation
Innovation vol.1 特集「精神神経を科学する」
Innovation vol.2 特集「拠点を支える若手研究員」
Innovation vol.3 特集「がん細胞の謎に挑む」
Innovation vol.4 特集「世界を変える新技術」
Innovation vol.5 特集「診断方法の開発に挑む」
Innovation vol.6 特集「進化する創薬研究」
Innovation vol.7 特集「プロテオミクスが社会を変える」
Innovation vol.8 特集「新総括責任者を迎えて」
Innovation vol.9 特集「HUPO2013 開催」
Innovation vol.10 特集「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究形成プロジェクトの概要」
Innovation vol.11 特集「バイオインフォマティクス最前線」
Innovation vol.12 特集「産学連携① オープンイノベーションの理想型」
Innovation vol.13 特集「産学連携② 最先端技術と想像力の融合」
Innovation vol.14 特集「産学連携③」
Innovation vol.15 特集「産学連携④」
Innovation vol.16 特集「産学連携⑤」
85
104 名
104 名
(3) 資金計画
資金計画の策定においては拠点運営会議にて年度毎及び長期的な視野における研究計画について議論を
行い、プロジェクト全体の資金計画と年度毎の研究項目毎の研究資金配分を決定している。特に出口に向けた
研究の進捗状況を研究項目毎に把握し、拠点内で評価を行いながら必要な研究には重点的に資金配分を行い、
事業化・実用化の加速化を図っている。また、次世代のリーダーとして拠点を支える人材の育成を進めるため、
「人材育成対象者」を選定し、研究資金の配分を行っている。
また、本プロジェクトを円滑に遂行するために、横浜市の全面的な支援を得て、5 階建て、建物床面積 2,000 平
方メートルの新研究棟の整備を行い、平成 24 年 12 月に竣工した。研究棟には 1 階にバイオバンク、2 階及び 3
階にそれぞれ蛋白質及び細胞レベルで研究が行える実験室、4 階に臨床データ解析やバイオインフォマティクス
研究室、5 階に 40-70 名を収容できる会議室などを設置した。また、協働機関が利用できる産学連携ラボを 4 室
整備し、協働機関との強固な連携体制を構築できる基盤を整備した。
そして、平成 26 年度には出口に向けたトランスレーショナル研究をさらに推進するために、横浜市のさらなる支
援により新研究棟の増築を行うことが決定した。増築分の床面積は 1,300 平方メートルで、平成 26 年度に着工し、
平成 27 年夏に竣工予定である。既存の解析センターの強化のみならず、新たに企業連携室や国際会議室が整
備されることにより、企業との協働や拠点の国際化の推進が加速される予定である。
当プロジェクトを推進している先端医科学研究センターでは、横浜市立大学がもつ多くの重要な研究シーズを
有効に活用し、個々の研究を学内共同研究、産学連携研究に発展させることによって、臨床、産業現場のニーズ
に応えられる実用的な技術を開発することを目標に、学内予算である研究開発プロジェクト推進費や戦略的研究
推進費として支援している。20 年度からの総額では 155 百万円を拠出し、事業化、実用化を目指して協働機関が
プロジェクトに参入できるシステムを作った。
3.研究開発
(1) 協働機関コミットメント(協働機関から提供されたコミットメントによって得られた成果)
<島津製作所>
島津製作所は、PTM 蛋白質解析のための基盤技術開発によって拠点形成に寄与した。まず、ゲル電気泳動で
分離された蛋白質を膜フィルターに転写し、膜上に固定化された蛋白質を直接、自社製 MALDI-QIT MS で解析
する方法を創出した。この方法によって、MS では分別できないアイソフォーム、スプライシングバリアント、PTM 蛋
白質が効率的に分離・検出できるようになった。また、MS の新規なペプチド断片化法(in source decay:ISD 法)を
横浜市立大学と協働で開発した。新 ISD 法は、アミノ酸側鎖に結合した PTM 基を切断することなく分析することを
可能にした。
一方、GPI-アンカーは蛋白質の C 末端のリン脂質修飾である。受容体蛋白質の 15%程度がこの修飾を受ける
といわれる。GPI アンカーは蛋白質の膜結合と関係しているので、この修飾の異常は様々な疾患の原因になる。
しかし、これまで GPI アンカー修飾蛋白質を MS によって効率的に分析できる方法はなかった。本拠点の協働機
関からの要請もあり、横浜市立大学と協働で技術開発を行った。そして、二相分離、フッ化水素酸処理、金属ア
フィニティー精製等の技術を駆使して GPI アンカー修飾ペプチドを濃縮し、MS で分析する技術の創出に成功し
た。
なお、島津製作所は、基盤技術の整備がほぼ完了したことと、当社の経営方針の変更によって 5 年目終了時点
で本プロジェクトから離脱することになった。本研究は、横浜市立大学とメディカル・プロテオスコープが協働で研
究を継続することにした。
<日立ハイテクノロジーズ>
日立ハイテクノロジーズも PTM 蛋白質解析のための基盤技術開発によって拠点形成に貢献した。まず、同社は、
MS の電子捕獲解離法(ECD)を開発した。この方法は、ISD 法と同様、蛋白質をα炭素と窒素間の結合で解離で
きる。その際、側鎖に結合する修飾基が切断されることはほとんどない。そのため、修飾部位の位置が比較的簡
単に特定でき、PTM 解析を効率的かつ効果的に行うことが可能である。同社は、自社製 ESI-LIT/TOF-ECD MS
を用いたリン酸化蛋白質の分析方法を横浜市立大学と協働で確立した。また、ESI-LIT/TOF-ECD MS を用いて
1回の分析で 1,500 ほどのリン酸化ペプチドを同定する方法を確立した。さらに、ESI-LIT/TOF-ECD MS を用い
86
た安定同位体標識法による定量的な分析において 1,400 種類ほどの蛋白質、2,200 種類ほどのペプチドを検出・
同定できるようにした。現時点で世界最高レベルの MS である LTQ-Orbitrap MS の性能にもかなり近い。一方、
血清蛋白質の分析では、MS 分析前に蛋白質をいくつかの画分に分別しておくことが重要であるが、同社は、自
社製 LC を用いることによって 1,500〜2,000 の蛋白質を検出し、MS で同定する方法を横浜市立大学と協働で開
発した。
なお、日立ハイテクノロジーズは、基盤技術の整備がほぼ完了したことと、経営方針の変更によって 5 年目終了
時点で本事業から離脱することになった。本研究は、横浜市立大学とメディカル・プロテオスコープが協働で研究
を継続することにした。
<メディカル・プロテオスコープ>
横浜市立大学、島津製作所、日立ハイテクノロジーズならびに自社が開発した要素技術を体系化して大規模
解析技術の開発を横浜市立大学と協働で進めている。本拠点においてメディカル・プロテオスコープが横浜市立
大学と協働で利用可能なものにしたプロテオーム解析技術を示したのが表1である。その技術は極めて多岐にわ
たっており、競合する受託分析企業との差異も明白である。メディカル・プロテオスコープは、これらの基盤技術を
用いて拠点内の分析業務を行うと共に、事業として平成 25 年 11 月から受託分析、技術指導を始めた。平成 26
年 6 月時点で年間 8,000 万円の売り上げが見込める事業を展開している。これを 2,3 年内に2億円規模に拡大す
る計画である。さらに、受託分析や技術指導が事業として軌道に乗った段階で受託研究を開始することにしてい
る。
<東ソー>
東ソーは、横浜市立大学と協働で、がんの診断マーカー蛋白質の開発を進めている。これまでに共同で特許
出願 2 件、論文1編、対外発表 6 件(うち 2 件で学会ポスター賞を受賞)の実績がある。すでにセクリトーム解析に
よって卵巣明細胞腺がん細胞で特異的に発現が変動する血液蛋白質を発見し、その蛋白質の診断マーカーと
しての有用性を明らかにした。そして、既存のマーカーCA125 よりも優れた特徴をもつ蛋白質であることを見いだ
した。平成 25 年には、新規なバイオマーカーとして特許を取得した。同様に、腎がん、膀胱がん、前立腺がんな
どに伴って発現が変動する蛋白質を網羅的に解析し、それらの診断マーカーとしての有用性を検証する研究を
進展させた。
<積水メディカル>
横浜市立大学と協働で、膵がんの治療効果予測マーカーの開発を進めている。横浜市立大学で確立されてい
るヒト膵がんゼノグラフトへの生体内抗がん剤投与モデルを用いて、抗がん剤投与後に残存するヒト膵がん幹細胞
で特異的発現を示す薬剤排出トランスポーターの抽出を進めた。約300 分子程度が存在するとされる薬剤排出ト
ランスポーターの中から、膵がん幹細胞で特異的な発現を示す分子を精度高く抽出するために、横浜市立大学
に整備されているトリプルステージ四重極質量分析システムと積水メディカルの解析技術を組み合わせ、トランス
ポーター蛋白質の絶対定量 MRM 解析を実施した。その結果、抗がん剤に治療抵抗性を示すヒト膵がん幹細胞
で発現増加を示すトランスポーターの抽出を短期間で達成した。また、抽出された分子の機能解析において重要
となるヒト膵がん細胞ライブラリー構築のための基盤構築に進展させた。今後は、抽出されたトランスポーターの機
能及び患者予後との相関について検討を進め、治療効果予測マーカーの開発を進める。
<セルフリーサイエンス>
本拠点では、セルフリーサイエンスが開発した小麦胚芽無細胞蛋白質合成技術(ENDEXT テクノロジー)を活
用し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)蛋白質及び宿主蛋白質群の合成と、それらの相互作用を示標とした新たな薬剤
アッセイ系の構築を目指した研究を行っている。具体的には、HIV 感染阻害薬の効率的なスクリーニング法、及
び内在性抗レトロウイルス因子 APOBEC3G (以下 A3G)の活性化に伴うウイルス感染阻害薬の探索を実施した。
本アッセイ系を活用し、約 1 万 5 千種類の低分子化合物ライブラリーをスクリーニングした結果、約 15 種類のヒッ
ト化合物を得ることができた。これらの薬剤について HIV 感染細胞における抗ウイルス複製活性を測定したところ、
2 種類の化合物が期待された作用機序をもって顕著にウイルス複製を阻止することが明らかとなった。本スクリー
ニング法により得られた化合物群は強力な抗ウイルス活性をもち、培養細胞における HIV 複製を効果的に抑制
87
することが最近になり示された。現在連携している製薬企業において周辺化合物を含めて約 10 数種類の化合物
を試験中である。今後はモデル動物を用いて精査し、5年以内に前臨床試験(一般毒性試験、免疫毒性試験、
薬物動態試験)を実施することで、生体における当該薬物の有効性や安全性の評価を実施する。
<エーザイ>
平成 23 年度から参画したエーザイは横浜市立大学と協働で自己免疫疾患やがんを対象にした疾患メカニズ
ムの解明と新規治療薬の開発を行っている。エーザイによるによるコミットメントによってこれまでに、IRF 転写因子
ファミリーのうち自己免疫疾患に関わる IRF の PTM やその制御機構について新知見を得、さらには疾患モデルマ
ウスや遺伝子欠損マウスを用いて当該 IRF が自己免疫疾患の新たな治療標的となることを見いだした。さらに当
該 IRF の機能を指標とした化合物スクリーニング系を確立した。現在実際の High Throughput Screening に向け
様々な条件設定を行っている。
<富士フイルム>
横浜市大においてヒト正常組織由来の上皮細胞から独自に作製した人工がん幹細胞モデル(iCSC)を用いて
がん幹細胞の特性解析(自己複製能、未分化維持能、腫瘍形成能、薬剤耐性能)を行った。また、種々の培養
条件における人工がん幹細胞の特性や薬剤感受性を精査し、本細胞モデルががん幹細胞に対する薬剤アッセ
イ系として妥当であるか否かについて検討を行った。その結果、本細胞モデルはある特定の培養条件において
培養を行うことで、幹細胞性が増加し、既存の抗がん剤に対して顕著に抵抗性を示すことが示された。また、天然
化合物ライブラリーを用いた予備実験では、73 種類の化合物中、1 種類の化合物ががん幹細胞の老化を誘導す
ることで、当該細胞の自己複製能及び腫瘍形成能を顕著に抑制することが示された。今後は本アッセイ系を用い
た大規模スクリーニングを実施することで、がん幹細胞を標的とした新たな創薬を推進することが期待できる。
<富山化学工業>
神経の可塑性の基礎研究は成熟期に入っているといえるだろう。しかし、その重要性の一方で、臨床応用は皆
無である。AMPA 受容体のシナプスへの移行は神経可塑性の一つの分子細胞レベルでの現象であるが、本プロ
ジェクトにおいては、横浜市立大学と協働研究を行うことにより、AMPA 受容体のシナプスへの移行を促進させる
薬剤の発見に成功した。さらに、この薬剤の適応疾患として、脳卒中後のリハビリテーション効果促進薬としての
可能性を模索した。その結果、脳損傷運動麻痺モデル動物のリハビリテーション効果を劇的に促進させる作用が
あることが明らかになった(特許出願済)。「リハビリテーション効果促進薬」という概念はこれまでになかった極め
て斬新なものであり、寝たきりの重介護の原因の約 30%-40%が脳卒中であるという現状を考えると極めて大き
な社会的ニーズがある薬剤である。また、可塑性は精神疾患とも関わりがあることが明らかになってきており、難治
性精神疾患治療薬としての可能性も現在検討中である。
<ライオン>
多くの機能性食品は生体の代謝に影響を及ぼすことによって何らかの有益な作用を発揮していると考えられる
が、その成分や使用方法については明らかでないことが多い。本プロジェクトでは、機能性食品による PTM 蛋白
質の変動を知ることにより、機能性食品が生体にどのように作用するのかを明らかにすることができる拠点の形成
を目指して研究を行っている。
ライオンは、歯周疾患予防研究を進めていく中で、歯周疾患と脂質異常との間に関係があることを明らかにする
と共に、歯周疾患の原因の一つである細菌の毒素を中和する作用を有する成分「ラクトフェリン」が、内臓脂肪の
低減にも効果があることを明らかにした。そこで、ラクトフェリンがヒト体内で蛋白質の動態やリン酸化を介した情報
伝達系にどのような影響を及ぼすかについて本拠点の基盤技術を使って解析を進め、ラクトフェリンの内臓脂肪
低減効果を裏付ける結果を得ることができた。一方、歯周疾患予防研究では、歯周疾患関連蛋白質の検出・同
定で大きな成果を挙げた。
<ファンケル>
機能性食品の作用は不明の点が多い。本プロジェクトでは、機能性食品の機能評価の(指標)マーカーを見い
だすことにより、品質の改良と更なる新製品の開発に結びつけることを目的としている。この目的で、コラーゲン食
88
品の表皮への作用の作用機構を解析している。平行して、障害時の表皮での分子レベルでの変化を解析して表
皮の健康の指標となるマーカーの探索を進めている。
これまでに、経口摂取したコラーゲンが、ペプチドとして血中に入り、表皮に到達していることを確認した。また、
障害時に表皮の局所において、一群の翻訳後修飾を受けたコラーゲン由来のペプチドが内在的に生じることを
発見した。一連の結果は、分解コラーゲンの機能性食品としての有意性を示唆するものであり、ペプチドの更なる
絞り込みの可能性を追求している。同時に、障害時に内在的に生じるコラーゲン由来ペプチドの本体について、
翻訳後修飾レベルでの検討を進めている。
(2) 研究開発の妥当性
① 市場形成の見通し
1.メディカル・プロテオスコープ
本拠点で開発あるいは創出された分析技術を用いた受託分析事業は、平成 25 年 11 月に始まったが、現在は、
年間 8,000 万円規模の事業になっている。平成 28 年までに 2 億円の規模に拡大する。市場規模は、国内 10 億
円と見込まれる。
2.東ソー
免疫診断における卵巣がん新規マーカーについては、上市は最短で5年、市場規模は国内 10 億円(CA125 は
国内市場は約 12 億円)と想定している。卵巣明細胞腺がんの的確な診断、治療効果判別及び経過観察が可能
となる。また、新たな治療薬開発への貢献も期待できる。
3.積水メディカル
国内における膵がんの患者数は約10 万人と推定されるが、画期的な治療薬がない現在、治療薬選択を可能と
するマーカーの開発は社会に与えるインパクトは非常に大きいものだと予想している。また、医薬品開発アッセイ
系への展開についても期待される。現時点での国内の診断薬及び関連市場の規模はおよそ数十億円と見積も
っている。
4.富士フイルム/富山化学工業
脳卒中後の回復期リハビリテーションは主に作業療法士に委ねられており,コストのかかる治療が行われている。
また,発症前の水準までの回復が見られることは稀であり,ここに大きな医療ニーズがある。リハビリテーション効
果促進薬は年間 4,000 億円の売り上げが期待できる。臨床開始後数年間で安全性,有効性を確認した後、10 年
以内に上市できると考えている。
5.エーザイ
(非公開資料)
6.ライオン
ラクトフェリンは、「内臓脂肪の蓄積」を防ぐ効果とヒトでのエビデンスを確保しており、メタボリックシンドローム対
策による医療費削減へ貢献するものと考えている。ナイスリムエッセンスラクトフェリンは、2013 年売上げを 81.8 億
円と見込んでいる。
オーラルケア事業は創業以来のライオンの中核事業であり、歯磨や歯ブラシを中心としたオーラルケア製品を
通して国民の口腔衛生向上に寄与してきた。現在推進している「歯周病ケアからの全身健康維持・増進」を実現
する技術シーズを開発し、上市することにより、国民の QOL 向上と健康寿命延伸に大きく貢献すると考えている。
新歯周病予防製品の上市予定は 2016 年、歯周病ケア食品上市予定は 2017 年を計画している。
7.ファンケル
健康食品としてのコラーゲンの国内の市場規模は 600-800 億円であり、科学的根拠の明確化により市場が拡
大することを勘案すると 1,000 億円程度の市場を期待できる。
89
② イノベーションの実現可能性
本拠点で蛋白質の PTM を分析する技術を創出する、あるいは開発する研究が進展している。技術の創出や
開発は、イノベーション創出の原点となる。本拠点では、診断マーカーや創薬標的分子探索の基盤技術となる
MS を中心とした蛋白質分析技術の創出と開発が行われた。そして、拠点の基盤技術は短期間で整備された。試
料の前処理方法や、リン酸化、アセチル化、グリコシル化、ユビキチン化、脂質修飾などの翻訳後修飾(PTM)を
分析できる高感度、高精度でハイスループットな世界最高レベルの技術の創出・開発に成功した。これらの技術
を利用することによって効率的に診断マーカーや創薬標的分子を探索できるようになった。革新的な技術である。
これら技術を応用して協働機関であるメディカル・プロテオスコープは平成 25 年 11 月から受託分析事業を開始し
た。
本拠点では、新しい技術を用いて画期的な診断薬や治療薬の開発研究が行われている。画期的な診断薬や
治療薬を多大な時間と労力をかけないで開発することができれば革新的である。本拠点で最も研究が進展して
いる卵巣明細胞腺がんでは、細胞から分泌される蛋白質の網羅的な解析から、疾患に関連する蛋白質が検出さ
れ、免疫学的、分子生物学的、生化学的方法を用いてわずか数年で実用化の可能性が高い診断マーカー蛋白
質を見いだすことができた。これは、従来の診断マーカーの発見から実用化までの期間に比較すると極めて短期
間で研究が進展したことを示している。このことも革新的である。卵巣明細胞腺がんに続いて腎がんや肺がんなど
の診断マーカー探索研究が進展しており(図 2)、いずれも短期間で診断マーカーとして承認される可能性が高
い。
また、精神神経疾患では、創薬ターゲットになる蛋白質が見いだされ、それを制御する化合物が発見された。こ
の化合物には、リハビリテーション効果を促進する作用があることが明らかにされた。この種の化合物が医薬品と
して認められれば、これまでになかった種類の医薬品を創出できることになる。革新的な成果となる。本拠点では、
他の疾患でも創薬標的候補蛋白質が検出され、それを制御する化合物が見いだされている。それらの中には非
臨床試験に供されているものもある(図 3)。実用化に向けた研究は従来にないスピードで進展していると言っても
過言ではない。
一方、本拠点では、PTM 分析技術を用いて明らかにされたヒト蛋白質 PTM のデータベース(PTM アトラス)の作
成を開始した。将来、ひとりひとりのすべての蛋白質の PTM アトラスを作成することができれば、疾患に伴うすべ
ての PTM 異常を包括的に、かつ簡便に検出できるようになるので、これを病気の診断や治療に応用することがで
きる。蛋白質 PTM 異常に基づいたオーダーメード(個別化)医療が実現することになる。究極的なイノベーションが
達成できると考えている。
90
(3) 研究開発の成果
① 研究成果の詳細
項目 1.分析技術の開発
「蛋白質翻訳後修飾解析のための質量分析とその周辺技術の開発」
1.研究の背景と目的
蛋白質は、生体内で合成された後、様々な翻訳後修飾(PTM)を受ける。そして、多くの蛋白質は、これによって
はじめて本来の機能を獲得する。従って、PTMの異常は蛋白質機能に変化を引き起こし、様々な疾患の原因に
なる。しかし、PTM異常と疾患の関係に関してはまだ多くは明らかにされていない。その理由は、PTMの分析や評
価手法の不十分さにあった。そこで、本研究では、PTM異常と疾患の関係を研究する拠点の基盤となる先端的
分析技術を創出、開発、あるいは体系化することを目的とした。
2.主な研究成果
これまでに血漿蛋白質 3,000 を検出・同定する技術の開発、リン酸化ペプチド濃縮と質量分析装置のスキャニ
ング法の改良によるリン酸化蛋白質、リン酸化部位検出技術の開発などによって多数の蛋白質の大規模かつ網
羅的な解析が可能になった 7)。さらに、新規な PTM ペプチド解離法、電子捕獲解離法の開発、リン酸化アフィニ
ティー電気泳動を応用したリン酸化蛋白質の質的・量的変動モニタリング技術の確立などによってリン酸化部位
を確実に解析できるようになった。また、グルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー結合蛋白質の分析
法(図 13)も確立した 9)。一方、質量分析装置を用いたアセチル化、グリコシル化、ミリストイル化、メチル化、ユビ
キチン化などの PTM の分析技術も利用可能なものにすることができた。そして、これらの技術を利用して PTM 異
常蛋白質の検出・同定、機能や疾患との関係を究明する研究を行い、診断マーカーの実用化や創薬に近づく重
要な成果を得た 10)。また、多重反応モニタリング(MRM)を用いて診断マーカーを検出する技術の開発も行った。
1) 血漿蛋白質のショットガン分析法の開発
血漿蛋白質のショットガン分析では、多量に存在する蛋白質を低減した後、試料を HPLC によって7画分に分
画し、画分毎にトリプシンで消化して nanoLC MS/MS で多数の蛋白質を同定する方法を確立した。この方法によ
って 3,000 種類近くの蛋白質を同定できるようになった。1回の分析で同定できる血漿蛋白質の数をさらに増やす
ため、HPLC、OFF GEL フラクショネーターなどを用いた分画方法の検討を進めたが、これらの方法で 3,000 以上
の蛋白質が検出できる可能性が出てきた。(協働機関:日立ハイテクノロジーズ、メディカル・プロテオスコープ)
2) 蛋白質のリン酸化部位の大規模解析法の確立
リン酸化蛋白質を効率的かつ高感度に分析するため、分析方法の改良を行った。まず、リン酸化蛋白質の質量
分析を行うためには、同蛋白質由来のリン酸化ペプチドの選択的な濃縮が不可欠であるが、今回、リン酸化ペプ
チドの金属アフィニティー精製に用いるカラムの調製方法の改良によって従来よりも同定数を最大4倍まで増加さ
せることができた。また、ESI-LTQ-Orbitrap MS の導入によって1回の分析でリン酸化蛋白質を 1,600〜2,000、リ
ン酸化部位を 4,000〜6,000 同定できるようになった。これまで使用していた MALDI-TOF/TOF MS や
ESI-Q/TOF MS では 100 程度同定できるに過ぎなかったので、同定数は飛躍的に向上したことになる。(協働機
関:メディカル・プロテオスコープ、日立ハイテクノロジーズ)
一方、協働機関である日立ハイテクノロジーズの ESI-LIT/TOF MS でも、質量スペクトルの解析ソフトの改良に
よって 1,500 程度のリン酸化ペプチドが同定できるようになった。ただし、ESI-LTQ-Orbitrap MS の場合の 20 倍
量の蛋白質が必要であった。ESI-LIT/TOF MS には、電子捕獲解離法によってペプチドを断片化できる独創的
な機能があるので、これを併用することによって LTQ-Orbitrap MS では得られない情報を収集できる可能性があ
ると考えられた。
91
図 13. GPI アンカー修飾蛋白質の濃縮精製と MS 分析の方法
GPI アンカー修飾蛋白質を抽出し(A)、二相分離法によって精製する(B)。トリプシン消化後、チタニアカラムを用いて GPI アンカー
ペプチドを濃縮(C)、フッ化水素水で GPI アンカー部分を低分子化(D)後、MS/MS で解析する。
3) 金属アフィニティー電気泳動を用いたリン酸化蛋白質の解析
金属錯体誘導体を共重合させたポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行うと、リン酸化蛋白質は同じ蛋白
質であってもリン酸化の程度に応じて移動度が変化する。この変化をとらえることによって、蛋白質のリン酸化の
状態を解明できる可能性がある。そこで、本プロジェクトにおけるこの方法の有用性を検証するため、金属アフィ
ニティー電気泳動法を用いてマウスマクロファージ様細胞株である J774.1 細胞及び HeLa 細胞におけるヘテロ核
リボヌクレオ蛋白質 K の分析を行った。その結果、金属アフィニティー電気泳動は、質量分析だけでは難しかった
リン酸化状態の異なる蛋白質の同定に効果的な方法であることが明確になった(Kimura ら 2010)。
4) GPI アンカー結合ペプチドの検出法
蛋白質の脂質修飾は、蛋白質間相互作用や蛋白質—膜間相互作用、さらには細胞内情報伝達等において重
要な役割を担っている。その異常は、精神発達遅滞や統合失調症、がんなどの原因となる。GPI-アンカーペプチ
ド(GPI-AP)は、脂質ラフトと呼ばれる細胞膜のマイクロドメインに輸送・濃縮されることが知られている。そこで、超
遠心機を用いたショ糖密度勾配遠心法により卵巣がん細胞の脂質ラフトを分画した。この脂質ラフト中の GPI-AP
は、大きな脂質部位をもつため疎水性が高い。そこで、界面活性剤と水による二相分離によって GPI-AP を界面
活性剤相に移行させた。ついでホスフォリパーゼにより GPI アンカーの脂質部位を切断し、親水性を高めて
GPI-AP を界面活性剤相から水相に溶出した。この溶出された GPI-AP を MS/MS で解析したが、効率的に配列
情報を得ることができなかった。そこで、溶出された GPI-AP をチタニアを用いた金属アフィニティー精製法を用い
て濃縮し、さらにフッ化水素酸処理を行い、GPI アンカー部分の一部を切り落とすようにした。その結果、GPI-AP
を MS/MS によって効率的に同定できるようになった。この方法を用いて、卵巣がん細胞株の 32 種類の GPI-AP、
マウスの脳、腎臓、膵臓、脾臓組織の 31 種類の GPI-AP を同定することができた(Masuishi ら 2013)9)。(協働機関:
島津製作所)
3.今後の研究方針
PTM 異常と疾患の関係を研究する拠点の基盤となる先端的分析技術を創出、開発、あるいは体系化すること
ができた。本拠点では、これらの技術を利用して PTM 異常蛋白質の検出・同定、機能や疾患との関係を究明す
92
る研究が行われており、すでに診断マーカーの実用化や創薬に近づく重要な成果が得られている。なお、本拠
点において出版した実験書「翻訳後修飾のプロテオミクス」(講談社、2011 年)には、本拠点で開発された方法を
含め、蛋白質の PTM を解析する方法の原理が詳しく記されている。現在、拠点内の研究者だけでなく、拠点外の
多くの研究者に利用されており、拠点及びわが国のプロテオーム研究の推進に役立っている。
技術開発に終わりはない。拠点の研究を一層強力に支援できる新規な技術の創出、開発が必要である。質量
分析装置とその周辺技術の創出及び開発に関しては,本学とメディカル・プロテオスコープが協働で研究を進め
ている。また、拠点の基盤技術を使って PTM 異常蛋白質の検出・同定、機能や疾患との関係を究明する研究に
おいて、新たな技術的課題が生じた場合には、メディカル・プロテオスコープと協働で問題の解決を行う体制が整
っている。
一方、本拠点では、本学とメディカル・プロテオスコープとが要素技術を体系化し、大規模で網羅的なプロテオ
ーム解析ができるようにした。メディカル・プロテオスコープは、平成 25 年度にこの技術を受託分析や受託研究に
応用した事業を開始した。
「リン酸化ペプチド解析のための質量分析技術の開発」
1.研究の背景と目的
リン酸化等の PTM 蛋白質の解析技術にはソフトイオン化質量分析法が用いられるが、ペプチドに限っても、ア
ミノ酸配列と同時にリン酸化部位を精密に決定することは困難である。さらに、微量蛋白質からの酵素消化ペプ
チドの解析には少なくとも fmol (10-15mol) 量以下での検出が要求される。本研究では、マトリックス支援レーザー
脱離イオン化質量分析 (MALDI-TOFMS) 法を用い、リン酸化ペプチドのアミノ酸配列とリン酸化部位を同時決
定可能な MALDI と組み合わせた水素ラジカル発生技術である In-source decay (ISD)法の開発を目的とした。さ
らに、リン酸化ペプチドの微量検出に関わるイオン収量とペプチド構造との関係を明らかにすること、及び平成 26
年までに PTM 蛋白質の総合解析(配列解析、修飾官能基の同定、修飾部位の特定)を可能にする質量分析シ
ステム(MALDI-ISD/CID)法の構築を目標としてきた。
2.主な研究成果
リン酸化ペプチドのリン酸基を保持したままペプチド主鎖のN-Cα結合のみを特異的に分解できるMALDI用マ
トリックス試薬を探索し、5-アミノサリチル酸(5-ASA)と5-アミノナフトール(5,1-ANL) を見いだした。5-ASAは、1及
び2リン酸化ペプチドのリン酸基を保持したままN-Cα結合を分解できただけでなく、完全なアミノ酸配列とリン酸
化部位の決定を可能にした(Takayamaら2010)(図14)11)。5-ASAによるMALDIマススペクトルのシグナルピークは
高い分解能を有し精密な解析を可能にしたため、特許申請を行った。5,1-ANLは、リン酸化ペプチドのみならず、
蛋白質のN-Cα結合を再現性高く分解できる優れた性能を有し(Takayamaら2012)、4リン酸化ペプチドのアミノ
酸配列とリン酸化部位の決定を可能にした(Osakaら2013)。5,1-ANLの性能はこれまでで最高であったため、関
連応用技術として特許を申請した。さらに5,1-ANLは、蛋白質のPTM位置や薬物などとの相互作用部位と関連
する柔軟性アミノ酸Asp, Asn, Gly, Cysでの特異的に高い分解特性を示し、NMRやX-rayで得た柔軟性情報と比
較的一致が良いことから、これまでMSでは不可能と言われてきた高次構造情報獲得にも有用である可能性が生
まれた(Takayama2012)(図15)1)。5,1-ANLの性能は、当初目的のMALDI-ISD/CID技術への応用も可能にする
と考え、島津製作所・田中耕一記念質量分析研究所との共同研究も開始した。
93
図14. 島津製作所田中耕一質量分析研究所と共同で発表したリン酸化ペプチドのISDに関する論文
図15. MALDI-ISD/CID MSによる配列・柔軟性解析
新規マトリックス(5,1-ANL)を用いてMALDI-ISD/CID MSを行えば、これまでMSでは不可能といわれてきた高次構造情報を獲得で
きることがわかった。
微量ペプチドの解析を進めるために必要なMALDI-TOFMSでの検出限界とペプチド構造との関連を精査し、
イオン収量は構成アミノ酸及び配列の両方に強く依存することを突き止めた(Asakawaら2012)2)。すなわち、N末
端にArgを有しC末端に芳香族アミノ酸Pheなどを有するペプチドは、1リン酸化体の500 amol絶対量でも有意なシ
グナルを得られるが、塩基性残基や芳香族性残基を欠くと500 fmol量までイオン収量が低下することが判明した。
このことは、ペプチドマスフィンガープリント法による蛋白質同定では、ペプチドの構造によっては検出できない断
片情報があることを示し、その理由はイオン収量の違いに求めることができる。
94
3.今後の研究方針
MALDI-ISD技術を利用するリン酸化ペプチド及び蛋白質のトップダウン解析用マトリックス5,1-ANLを見いだし
たことにより、今後は、正負イオン解析まで含めたリン酸化蛋白質そのもののトップダウン解析及び柔軟性解析を
実施する。同時に、島津製作所・田中耕一研究所との共同研究により、MALDI-ISDと衝突誘起解離(CID)法とを
組み合わせた精密技術であるMALDI-ISD/CID法によるインタクトのリン酸化蛋白質の解析、及びより実用性の高
いMALDI-ISDとMALDI-ISD/CIDに基づいたイメージング技術への発展を目指す。
平成26年度以降の計画として、インタクトのリン酸化タンパク質の特異的分解方法に特化することを目的として
いるが、リン酸化タンパク質であるαカゼイン、βカゼインの正イオンおよび負イオンでの MALDI-ISD データを獲
得することに成功した。両タンパク質ともにリン酸化部位は既知であるとされているが、一部、脱リン酸化している
部位も見られ、既知情報の修正も考えられる。また、同時にこれらリン酸化タンパク質は PDB に登録されておらず、
二次構造から予測される柔軟性部位は未定であるが、MALDI-ISD データから柔軟性部位を予測できる可能性が
ある。現在、データを解析中である。本データと合わせ、島津製作所田中耕一研究所との共同実験により、リン酸
化タンパク質の MALDI-ISD/CID の予備的な実験データも獲得している。こちらも現在、解析が進行中である。
「MRM による診断マーカーのアッセイ法の開発」
1.研究の背景と目的
組織や細胞のプロテオーム解析によって見いだされた創薬ターゲットやバイオマーカー候補蛋白質の臨床的
有用性を評価するためには、当該蛋白質を定量する測定系を構築しなければならない。血清バイオマーカーの
測定法の代表例として ELISA 法が挙げられるが、これはエピトープの異なる 2 種類の抗体を必要とすること、擬陽
性シグナルが問題となることもあり、プロテオーム解析で見いだされる多数の疾患関連蛋白質候補群に対する測
定系を一つ一つ構築しながら検証・評価することは困難である。最近、質量分析系ベースの蛋白質定量法のひと
つである MRM 法が注目されている。しかし、ダイナミックレンジの広い血清・血漿試料から、1mL あたり数ナノグラ
ムしか存在しない組織漏洩型の腫瘍マーカー蛋白質を直接質量分析だけで定量することは難しい。そこで、あら
かじめ目的蛋白質を抗体にて濃縮した後に MRM 測定を行う IP (免疫沈降)-MRM 測定系の構築を行った 7)。
2. 主な研究成果
1) IP-MRM 測定技術の確立
まず、横浜市立大学が開発中の 4 種の卵巣がんマーカー候補蛋白質及び既存マーカーCA125 に対するモノク
ローナル抗体を用いて IP-MRM 測定系を構築した。MRM 測定対象ペプチドは、事前に取得した当該蛋白質の
MS 同定情報に基づいて選定した。抗体ビーズ(図 16)及び ELISA 測定系で利用される試薬を参考にして IP を
行い、LC-MRM 測定を行ったところ、目的蛋白質以外の血清成分の混入が測定を妨害することがわかり、装置の
安定性や定量性に問題が出ることがわかった。そこで、各行程に用いる試薬の組成、及び処理条件を見直し、最
適化することで、トラブルを大幅に解消することができ、さらに IP の前処理行程を全自動化することで再現性の高
い定量解析を行うことが可能になった。IP 効率及び溶出効率が高いことを確認した上で、安定同位体アミノ酸で
標識した合成ペプチドを用いて MRM 測定を行ったところ、ELISA 測定系で得られる定量値と高い相関性を示し、
数百 pg/mL の濃度で存在する蛋白質も、血清 10μL 相当量から CV 10%以下の精度で定量可能であった。この
系にて、また複数種の抗体ビーズを用いた多項目同時処理同時測定への展開も可能であることがわかった。(協
働機関:東ソー)
2) IP-MRM による新規マーカー候補蛋白質の検証
泌尿器がんの培養細胞株のセクリトーム解析にて見いだした 10 種類以上の新規血清診断マーカー候補蛋白
質に対して、これらの臨床的有用性を IP-MRM 法にて評価した。これらの蛋白質は、モノクローナル抗体は存在
しないものが多かった。そこで、当該蛋白質の濃縮には市販あるいは自製のポリクローナル抗体を用いることにし
た。しかし、ポリクローナル抗体は IP 効率や溶出効率が低くなることが多く、そのため合成ペプチドによる定量は
正確性に劣るという問題がある。そこで内部標準物質は、ペプチドではなく、リコンビナント蛋白質を使用すること
にした。まず、安定同位体標識かつタグペプチドを付加したリコンビナント蛋白質を培養上清中に分泌させるため
の 293T 細胞発現システムを分子生物学的手法にて構築した。この細胞培養上清を検体に添加して IP-MRM に
よる蛋白質定量を行った。発現ベクターと抗体ビーズさえ準備すれば、血清マーカー候補蛋白質の迅速かつ正
95
確な定量が可能であることがわかった。この方法により、泌尿器がんの新しい血清診断マーカー候補としての有
用性を示す蛋白質を見つけることができており、現在、検体数を増やして測定を続けている。(協働機関:東ソー)
サンプル
同位体内部標準蛋白質の添加
LC-MRM
免疫沈降
normal
内部標準
溶出
消化
tumor
内部標準
図 16. IP-MRM による血清中蛋白質の定量
IP-MRM では、比較解析する試料中に予め既知量の同位体内部標準蛋白質を添加しておき、
特異抗体による免疫沈降を行う。そして、LC-MRM 分析を行う。
高感度、高精度で定量的な分析が可能になった。
3) IP-MRM による翻訳後修飾の解析
MRM では ELISA では識別することが難しいアイソフォームや翻訳後修飾を検出することが可能であると期待さ
れる。横浜市立大学は SWI/SNF 複合体の構成因子の Brg-1 と ARID1A のリン酸化が卵巣明細胞腺がん細胞株
で低下していることをリン酸化プロテオーム解析により見いだし、これを IP-MRM 法により検証した。各種がん細胞
株中の Brg-1 と ARID1A のリン酸化体と非リン酸化体の存在比率を IP-MRM 測定結果から算出し、ARID1A は蛋
白質の発現量そのものが低下しているが、Brg-1 はリン酸化率が低下していることを明らかにすることができた
(Kimura A ら 2014)。
また、卵巣がんマーカー候補 OC-3 の細胞外プロセシング体の定量を IP-MRM 法にて行った。OC-3 は卵巣が
ん患者血清で ng/mL のレベルで増加するマーカー候補蛋白質であるが、他の組織がんにおいても増加すること
が明らかになって来ており、その点ではがん特異性が低い。しかし、OC-3 はプロテアーゼにより切断を受けるサ
イトが複数箇所存在し、その切断を受けた各プロセシングフォームの存在量が、がん細胞培養上清では著しく異
なることを電気泳動法にて明らかにしていたが、このがん細胞によって異なる各種 OC-3 プロセシングフォームの
絶対定量を行うことができ、現在、患者検体を用いて解析を進めている。(協働機関:東ソー)
3.今後の研究方針
血清中の微量蛋白質や翻訳後修飾を定量することが可能な IP-MRM 系を構築できた。今後、卵巣がん、腎が
ん、膀胱がん、前立腺がんに対するマーカー候補蛋白質をはじめとして、本拠点で見つかった他のバイオマーカ
ー候補蛋白質や翻訳後修飾、アイソフォームに対しても評価を行う。
「二光子顕微鏡による細胞イメージング技術の開発」
1.研究の背景と目的
現在、動物が生きた状態で神経細胞の dendrite, spine を観察できるのは二光子顕微鏡しかない。PTM の変化
は脳の可塑的変化において AMPA 受容体を含めた様々な蛋白質において観察されているが、そのような PTM
の変化が dendrite, spine の形態変化、蛋白質の局在変化に生体が生きた状態どのような影響を及ぼすのかを調
べることは、PTM と脳可塑性の関係を明らかにする上で極めて重要であり、新規薬物の開発における validation
の確立のためにも必要不可欠である。
96
2. 主な研究成果
本研究が始まった当初は AMPA 受容体の spine レベルでの in vivo イメージングは世界でも成功例がなかった。
しかし、横浜市立大学はげっ歯類の大脳皮質においてこれに成功した。しかも、 pH sensitive な Green
Fluorescent Protein (GFP)の変異型である Super-Ecliptic pHluorin(SEP)のタグを AMPA 受容体の N 末端につけ
てイメージングすることに成功した。SEP-AMPA 受容体は細胞の表面にある場合のみ蛍光を観察できる。これに
より spine 表面の AMPA 受容体の観察が可能になり、AMPA 受容体シナプス移行の potential(すなわち可塑性の
potential)を生きた動物において評価できるようになった。
3. 今後の研究方針
今後はこの技術を用いて、富山化学と協働開発中である compound A による脳損傷動物のリハビリテーション促
進効果発現のメカニズムを、非損傷部位における SEP-AMPA 受容体の in vivo イメージングによりさらに解析して
いく。この結果により、compound A の効果の評価法を確立していく方針である。
「分子イメージングと臨床診断技術の開発」
1.研究の背景と目的
近年、分子イメージング法が基礎研究、臨床研究などに広く使用されるようになった。臨床においてはPET
(positron emission tomography)や、SPECT(single photon emission computed tomography)といった検査方法が
普及している。これら分子イメージング技術の特長は、使用する放射性薬剤によって様々な評価を行うことができ
ることである。例えば、糖代謝、アミノ酸代謝、血流評価など機能的な画像が得られる。また、創薬研究において
は、候補化合物にPET核種で標識化することで、疾患部位への移行率や、また、全身の体内動態の経時的な計
測などが可能になる。しかし、使用される放射性核種は半減期の短いものが多く、なかでもPET核種は数分から
数時間程度でとりわけ短い。PET薬剤の使用に際しては、サイクロトロンにより製造されるPET核種を、ホットセル
内の自動合成装置で速やかに薬剤へと合成・調製し、適切な品質検査等を行ったのちに、臨床使用される。この
ようにPETイメージング技術は、放射性薬剤の合成、生物学的評価、画像診断など複数の要素が絡んでおり、有
機合成化学、機械工学、生物学、医学など複数の分野にまたがる学際領域である。本プロジェクトではPETに関
わる、合成反応、合成装置、製造環境の整備など多岐に渡って研究・施設整備を進めており、イメージングを活
用した非臨床から臨床への架け橋となる役割を担っている。
具体的には、1)PET薬剤の開発と合成方法の開発、2)PET薬剤合成装置の開発、3)GMP準拠のPET薬剤製造
環境の整備、の3点を中心に研究・開発等を行ってきた。
2.主な研究成果
1) PET薬剤の開発と合成方法の開発
これまで、既知のPET薬剤の製造方法の改良や、新規なPET薬剤の合成、あるいはPET核種による標識反応
の開発などを行ってきた。5FUは抗がん剤として古くから用いられているが、この薬剤に含まれるフッ素原子を
PET核種である18Fに置換し、PET薬剤とする方法が報告されている。合成方法は、ウラシルに18F原子を含むF2ガ
スを酸性溶媒中で直接作用させ、[18F]-5FUを得る。この化合物の精製過程において、自動合成装置内で、効率
的に純度の高い薬剤を得る方法を見いだした。また、血管新生部位に発現が亢進しているとされるインテグリンの
リガンドとして知られるアミノ酸配列RGD(Brooksら J Am Chem Soc,118:7461,1996)が組み込まれた環状ペプチ
ドcyclo(RGDfK)を合成し、これに放射性金属核種をキレートする原子団を結合させPET薬剤とした。この合成では、
PET核種として68Gaを用い、小動物モデルにより、抗がん剤の治療効果判定に利用できる可能性を見いだした
(図17)。
97
図 17.
68
Ga 標識 RGD と PET イメージングの一例
小動物モデル実験で、抗がん剤の治療効果判定に利用できることを見いだした。
一方、薬剤合成方法として、放射線医学総合研究所との共同研究により、11Cの効率的な導入方法を見いだし
た。 11Cは半減期が約20分と短いため、より高効率な合成が求められる。そうした中で、 11C含有のホスゲン
(COCl2)を、四塩化炭素のガス検知管を利用して効率的に発生させる方法を見いだした。PET薬剤の合成を難
しくすることとして、ごく微量の物質量のものを取り扱うという点があるが、本方法は、この難点を逆にうまく利用して、
ガス検知管内の触媒反応を利用することにより、効率的に[11C]-ホスゲンを得ることができる(図18)。この方法は、
放射性医学総合研究所においても、広く活用されており、これを使ったPETプローブの合成が多く報告されてい
る。この他にもハーセプチンなどの抗体に対するPET核種によるラベル化も実施しており、実際に様々な反応を
組み合わせることで、68Gaによる抗体のラベル化にも成功した。
図18. 抗体標識の合成スキーム
2) PET薬剤合成装置の開発
PET薬剤の自動合成装置には、臨床用のFDG合成装置は多くあるが、新たな薬剤合成のための研究用の合
成装置は少なく、また、研究施設が限られるため、装置単価も非常に高いものとなっている。これに対して、福井
大学では、3方活栓、及びシリンジをサーボモータで自動駆動し、安価で、自由度の高い合成装置を提案してい
る。本学では、このシステムを導入し、各パーツを組み合わせ、また、独自にデザインされた合成装置用のフレー
ムに収め、新たな汎用合成装置を作製した(図19)。この装置を使ってFDGの原料であるマンノーストリフラートに
対し、サイクロトロンで製造された18Fを作用させて、実際に標識可能であることを確認した。
図19. 製作した自動合成装置
3) GMP準拠のPET薬剤製造環境の整備
近年、PETを用いる臨床試験や治験などが世界的にも増えてくるにつれ、PET薬剤の院内製造は、その製造
手順の整備、品質検査体制などをGMPレベルで実施することが求められるようになりつつある。横浜市立大学で
はホットラボを整備し、直接PET薬剤に触れる可能性があるホットセルについては、その清浄度向上の改修を行
い、ソフト面では製造管理基準書、付随するSOP書類、記録用紙などを整備した。また、製造エリアの入退室管理
を徹底し、浮遊塵埃及び落下細菌、付着細菌のモニタリングを常時実施するよう規程を設けた。これにより臨床研
究などに際して、GMPに準拠した形で品質管理を行う準備が概ね整った。
98
3.今後の研究方針
今後は、自動合成装置を実践的に種々の薬剤の合成に活用できるようさらに改良を重ね、新たなPET薬剤を適
宜合成できるよう体制を整えていく。すでに標識合成が可能であることは、FDGをモデル化合物として確認を行っ
ており、種々の合成反応そのものの開発を行うと共に、合成装置と組み合わせて、独自の合成システムを確立し
たい。また、薬剤の製造環境についても、品質管理体制の運用を開始し、薬剤の品質管理を徹底していく。
一方、新たな開発テーマとして、乳がんの中で悪性度が高いとされるトリプルネガティブ乳がん選択的な内用
放射性治療薬、及びその診断に用いるイメージング剤の開発を設定している。最近、東京大学の井上らにより、
TNBCの中でBasal-like乳がんに特異的な機構として、「周囲の乳がん細胞(主に非がん幹細胞)における
NF-κB活性化によるJAG1発現誘導」と「乳がん幹細胞におけるNOTCH活性化による乳がん幹細胞の自己複
製」があることが報告された(Yamamotoら Nat Commun,4:2299,2013)。NOTCH経路は細胞の様々な分化過程に
関与しており、哺乳類では5種類のリガンドと4種類のレセプターが知られている。また、NOTCH経路は様々な疾
患にも関係していると想定されており、多くの研究がなされている。本拠点ではTNBCのBasal-like特異的なこのメ
カニズムに着目し、抗JAG1抗体を放射性核種によりラベル化し、TNBC特異的な放射性イメージング薬剤及び内
用放射性治療薬とすることを目指す。
「拠点の基盤技術を用いた蛋白質の翻訳後修飾の機能解析」
1.研究の背景と目的
本拠点で開発された基盤技術を活用し、酵母やヒトの 26S プロテアソームを研究材料として蛋白質における
PTM の役割を明らかにしようとした。プロテアソームは、複雑な分子構成をもつ巨大蛋白質複合体であり、蛋白質
分解活性をもつ 20S プロテアソームと 19S 調節因子から構成されている。20S プロテアソームは、約 30kDa のサブ
ユニット 28 個からなる複合体であり、3 種類のプロテアーゼ活性(トリプシン様活性、キモトリプシン様活性および
ペプチジルグルタミルペプチド分解活性)をもっている。20S プロテアソームを構成するサブユニットは、そのアミノ
酸配列の相同性から、α、β、2 つのファミリーに分類され、それぞれ 7 種類のサブユニットでリングを構成し、その
リングがαββαの順に会合して円筒状の構造をとっている。内部は空洞になっており、触媒部位はβリングの
内表面に存在することから、ここが蛋白質分解の空間となる。しかし、酵母 20S プロテアソームのαリングにより形
成された内腔への入口については、αサブユニットの N 末端領域によってほぼ完全に閉じていることが明らかにさ
れ、細胞内に単独で存在する場合は、20S プロテアソームは活性がないと考えられている。一方、19S 調節因子は、
ATP-ユビキチン依存的蛋白質分解に関係する複合体であり、20S プロテアソームと会合するとそのプロテアーゼ
活性を促進する。酵母の 19S 調節因子は、分子量 25~110kDa のサブユニットからなる複合体であり、相互に高い
アミノ酸配列の相同性を示す 6 種類の ATPase サブユニット(Rpt サブユニット)と ATPase 活性のない相同性の低
い 11 種類のサブユニット(Rpn サブユニット)から構成されている。19S 調節因子は、ユビキチン化された蛋白質の
認識、脱ユビキチン化、基質のデフォールディングなどに関与することが知られている。
2.主な研究成果
1) 翻訳後修飾の検出
20S プロテアソームサブユニットのうち、プロテアーゼ活性をもつ3種類のサブユニットについては酵素の活性中
心であるN末端 Thr のアミノ基は修飾されていないが、その他のサブユニットの大半は N-アセチルトランスフェラ
ーゼ(NAT)によってアセチル化されていることが電気泳動と質量分析によって明らかになった。また、19S 調節因
子サブユニットの N 末端修飾の分析を行ったところ、10 種類のサブユニットが NAT によってアセチル化されている
ことがわかった。また、質量分析によってほとんどのサブユニットがリン酸化されていることが明らかになった。リン
酸化部位は、100 ヶ所近く存在していた。一方、質量分析によって 19S 調節因子のサブユニット、Rpt2 及び Rpt1
サブユニットの N 末端がそれぞれミリストイル化及びメチル化(ジメチル化及びトリメチル化)されていることがわか
った。26S プロテアソーム全体では、110 ヶ所が修飾を受けていた。
2) 翻訳後修飾の機能解析
NAT-A の構成蛋白質である NAT1 の機能を破壊した変異体、nat1 で、20S プロテアソームの機能にどのような
99
違いが生じるかを調べることによってアセチル化の役割を明らかにしようちした。20S プロテアソームは、通常の状
態においてはほとんどプロテアーゼ活性を有しない。しかし、nat1 変異株においては、キモトリプシン様活性が高
くなることがわかった。20S プロテアソームサブユニットのN末端は、プロテアソームの内腔に蓋のように突出してい
る。αサブユニットの脱アセチル化が起こると、N 末端は荷電状態になり、構造変化が起こり、通常閉じた状態にあ
る 20S プロテアソームの入り口が開き、基質が触媒領域に到達しやすくると考えられた。26S プロテアソームと 19S
調節因子が会合した 26S プロテアソームでは、20S プロテアソームの入り口は開いた状態にあるため、26S プロテ
アソームでは、正常株と nat1 変異株の間にキモトリプシン活性の違いは生じないことが予測できる。実際に活性に
違いは見られなかった。
20S プロテアソームをホスファターゼ処理して脱リン酸化し、キモトリプシン様活性について、SDS を加えて人為
的に活性化した状態で比較したところ、Vmax については変化しないが、Km については、脱リン酸化した 20S プロ
テアソームにおいて高くなる傾向がみられた。脱リン酸化により 20S プロテアソームは基質との親和性が減少したこ
とになる。また、26S プロテアソームをホスファターゼ処理し、脱リン酸化を試みた。その際、19S 調節因子の
ATPase 活性を調べたところ、Km 値の上昇が見られた。ATPase についても脱リン酸化によって基質との親和性が
減少することが明らかになった。
26S プロテアソームのほとんどすべてのサブユニットは多くの部位がリン酸化されている。各サブユニットでリン酸
化状態の異なる分子がどのくらいあるのかを明らかにするため、各サブユニットを Phos-tag 親和性電気泳動によ
って分離した。19S 調節因子のサブユニットでは、異なるリン酸化パターン(2〜6種類)を示すものがあった。しか
し、リン酸化部位は多いが、リン酸化パターンは予想以上に少ないことが明らかになった。
一方、N-ミリストイル化修飾部位のグリシン残基をアラニンに置換、もしくは欠失させた変異体を作製したところ、
変異体においてミスフォールディング蛋白質の分解能の低下を示し、アルギニン類似体カナバニン存在下、37℃
培養下での酵母の増殖遅延が見られた。酵母細胞抽出液を用いた抗ユビキチン抗体を用いたウエスタンブロット
で変異体酵母の細胞内でのポリユビキチン化蛋白質の蓄積を検出し、さらに細胞抽出液のNative電気泳動とペ
プチダーゼ活性染色で変異体でのプロテアソ-ムによる蛋白質分解活性の著しい低下を認めた。N-ミリストイル化
がプロテアソ-ムの細胞内局在にどのような役割を担っているかを明らかにするため、まず、蛍光標識タグを用いて
プロテアソ-ムサブユニットおよびプロテアソ-ムによる分解の標的となるポリユビキチン化蛋白質の細胞内局在の
比較を行った。その結果、ミリストイル化変異株ではプロテアソ-ムが細胞質内に顆粒状に凝集するのに対し、ポリ
ユビキチン化蛋白質は核内に凝集していることを見いだした。また、同条件下でのNative-PAGE、ペプチダーゼ
活性染色及びウエスタンブロットにより、熱ショック条件下の変異株で見られるポリユビキチン化蛋白質の蓄積が、
プロテアソ-ム活性低下によるものではないことが確認された。さらにプロテアソ-ムの核移行とN-ミリストイル化の
関係を明らかにするために、共焦点顕微鏡を用いて核内のプロテアソ-ムの光漂白後のGFPシグナルの回復を観
察したところ、正常株、変異株間でプロテアソ-ムの核移行速度に変化はなく、N-ミリストイル化はプロテアソ-ムの
核移行ではなく、核への係留に関わることが明らかになった(図20)。さらにミリストイル化とプロテアソ-ムの核局在
との関連を別の手法で確認するために、正常株、変異株それぞれから核及び細胞質画分を精製し、特異性抗体
を用いたウエスタンブロットにより、プロテアソ-ムサブユニットPSMA7と、プロテアソ-ムの分解標的である核内短寿
命蛋白質Gcn4の検出を行ったところ、変異株の核内ではプロテアソ-ム量の減少とGcn4蛋白質の増加が起きて
いることがわかった。これらの結果は、一部のプロテアソ-ムに生じるミリストイル化修飾が、プロテアソ-ムを核内に
係留し、細胞周期や遺伝子発現など重要な機能に関わる核内短寿命蛋白質の分解を促す役割をもつことを示唆
している。
酵母では、Rpt1サブユニットはN末端が未修飾、モノメチル化、ジメチル化された3タイプとして発現している。こ
のN-メチル化は、ヒトでは存在せず酵母に特有の修飾であった。N-メチル化モチーフであり、N末端から3と4番目
に位置するプロリンとリシンの2アミノ酸を欠失させ、N-メチル化されないRpt1が発現する酵母変異株を作製したと
ころ、30℃培養下で、著しい増殖遅延が見られた。また、変異株はアルギニン類似体カナバニンや強力な酸化剤
である過酸化水素を添加したストレス培地ではさらに増殖が抑制され、ストレス感受性になることもわかった 26)。こ
れらの結果は、酵母Rpt1のN-メチル化は、酵母の生育やストレス耐性に重要な役割を果たしていることを示唆し
ている。以上のように、プロテアソームにおいては、わずかなPTMが巨大な複合体の機能に重要な影響を及ぼし
ていることがわかった。
100
3.今後の研究方針
プロテアソームやリボソームのような蛋白質複合体は、様々な機能が知られている。多くのサブユニットからなり、
PTMの機能を解明する研究の対象として優れている。今後、種々の蛋白質複合体を用いてPTMの機能について
解析を進める必要がある。
図20. プロテアソームRpt1サブユニットのN-ミリストイル化23)
左, 19S調節因子の模式図; 中央, 酵母正常株、ミリストイル化欠損変異体G2A及びΔG2細胞の分布; 右, それらの細胞中のプロ
テアソームの局在. 正常株では、プロテアソームが核に局在しているが、ミリストイル化されていないプロテアソームでは核にも細胞
質にも局在している。多数のサブユニットからなるプロテアソームのわずかひとつのサブユニットのひとつのPTMが蛋白質複合体の
局在を決めている。
101
項目2. がん診断、治療法開発を目指した研究
「卵巣明細胞腺がん等の診断マーカーの探索」
1.研究の背景と目的
本プロジェクト初期に開発した様々な分析技術を応用して卵巣明細胞腺がん組織検体や培養細胞中で特異
的に発現が変動する蛋白質を見いだした。これらの蛋白質の中には創薬標的分子として有用なものがあることが
明らかになったが、患者血漿中でそれらの蛋白質の発現変動を捉えることができなかった。がん組織で過剰発現
しても組織から血液中に分泌されないため、また、分泌されても体内の多量の血液で希釈されてしまうため検出さ
れにくいものと考えられた。そのため、これらの蛋白質の診断マーカーとしての利用は見送られた。血液で疾患関
連蛋白質をうまく検出できないという問題を解決するため、培養細胞から分泌される疾患関連蛋白質の分析(セク
リトーム解析)が行われた。培養細胞から分泌される蛋白質は、細胞膜蛋白質や細胞外蛋白質が多い。これらの
蛋白質は、生体内のがん組織でも細胞から血液に分泌される可能性が高い。従って、培養細胞から分泌される
疾患関連蛋白質を解析すれば、効率的に診断マーカー候補蛋白質を検出できる可能性が高いと考えられた。
培養細胞から分泌される疾患関連蛋白質をPTM拠点の基盤技術を用いて解析したところ、診断マーカー候補蛋
白質を検出・同定することができた。これらの蛋白質の診断マーカーとしての有用性を検証した(Arakawaら2013)
12)
。
2.主な研究成果
1) 卵巣明細胞腺がん診断マーカー
セクリトーム解析により検出された明細胞腺がん関連分泌蛋白質の中には、血清でも明細胞腺がんが発症する
と特徴的な発現変動を示す診断マーカー候補蛋白質が高い確率で見いだされた。ELISA を用いて患者血清中
濃度を測定したところ、これらの蛋白質は明細胞腺がんの患者血清中でも高い濃度で存在し、血清中濃度は患
者組織中の mRNA や蛋白質発現量とも有意な相関があることがわかった。検出された診断マーカー候補蛋白質
の中には、現在卵巣がんの診断マーカーとして使われている CA125 よりも高い精度で、健常人と明細胞腺がん
患者、あるいは子宮内膜症と明細胞腺がん患者を識別できることが示された。明細胞腺がんは他の組織型の卵
巣がんと比べて、子宮内膜症から発展する率が高いことが指摘されており、子宮内膜症と明細胞腺がんを識別す
ることは臨床的に重要である。特に CA125 は子宮内膜症患者においては高値になる例が多いことから、子宮内
膜症から明細胞腺がんの移行を監視できる血清マーカーの利用価値は高い。さらに臨床病期初期の段階の明
細胞腺がんにおいても高値傾向を示すことがわかった。明細胞腺がんは再発率が高いため、早期に発見され切
除されたような症例を監視する上でも役立つ。この種の蛋白質は診断マーカー候補として特許が取得できた。現
在、診断マーカーとして実用化するため、複数の施設から収集した多数の検体を用いて診断マーカーとしての有
用性を確認する作業を進めている。マーカー候補蛋白質の一つは細胞外マトリクス蛋白質で、糖鎖修飾を受け
ている。患者血清中の当該蛋白質は複雑な糖鎖修飾パターンを持っていた。現在、糖鎖修飾パターンと疾患と
の関係について詳しく解析している。同じセクリトーム解析手法を用いて腎がん及び膀胱がん、前立腺がんの診
断マーカーの検出・同定を行い、マーカー候補蛋白質の検出・同定に成功した。(協働機関:東ソー)
(非公開)
図 21. 新規卵巣明細胞腺がんマーカー候補蛋白質 OC-2 の診断精度
102
一方、卵巣明細胞腺がん由来細胞株に特異的なリン酸化蛋白質の発現変化が質量分析によって見いだされ
た。これらの蛋白質の特異性は、ウエスタンブロット・免疫蛍光染色や、MRM 質量分析により確認された。
ARID1A、SMARCA4 といった蛋白質のランダムなリン酸化パターン異常が卵巣明細胞腺がんの特徴のひとつで
あることが示唆された。これらの蛋白質のリン酸化が診断マーカーとなる可能性がある。
2) 腎がん、膀胱がん、前立腺がん
卵巣がんの研究で培った新規バイオマーカー探索研究技術をモデルにして、腎がん及び膀胱がん、前立腺が
んのセクリトーム解析を行った。腎がん由来細胞株 4 種類、膀胱がん由来細胞株 4 種類、前立腺がん由来細胞株
6 種類の培養液のプロテオーム解析を行い、同定された 2,000 種類の蛋白質の定量結果をリスト化した。リスト化
した蛋白質の発現プロファイルを調べ、組織のリアルタイム PCR 解析の結果から、各種泌尿器科疾患に特異性を
示す可能性の高い分泌蛋白質、あるいは GPI アンカー蛋白質などの膜蛋白質を数種類ずつ選定し、IP-MRM と
ELISA 測定系の構築を行った。アッセイ系が構築できたものから順次患者検体(本学附属病院、海外市販検体)
の測定を行っており、膀胱がんの血清診断に有用性を示す蛋白質や、前立腺がんの骨転移の検出に有効と考
えられる蛋白質など、今後詳細な検証を行うべきマーカー候補蛋白質群を得ることができた。(協働機関:東ソー)
3) 肺がん予後予測診断マーカーの解析
早期肺腺がんを切除した患者のうち、手術後 3 年以内に再発が認められた予後不良群患者と手術後 3 年以上
を経て臨床的に再発を認めていない予後良好群患者の組織からレーザーマイクロダイセクションを用いてがん部
位のみを回収し、がん組織に特異的に存在する蛋白質を解析した。その結果、検出された 1,001 蛋白質のうち予
後不良群で発現上昇している蛋白質を 15 見いだした。そのうち 2 種類の蛋白質の発現を siRNA で抑えた細胞を
解析した結果、これらの蛋白質が細胞の浸潤、細胞の増殖・遊走に関わっていることが明らかになった。これらの
蛋白質が肺腺がん予後予測診断マーカーになる可能性があると考えられた。
3.今後の研究方針
卵巣明細胞腺がん、肺がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がんなどで見いだされた診断マーカー候補蛋白質に
ついて、診断マーカーの実用化に向け、診断マーカーとしての有用性を検証する。がんや生活習慣病などの疾
患はたいてい多種類の蛋白質の発現が変動するので、蛋白質の網羅的な解析を行う意義は大きい。
これまでに明らかにされた蛋白質の様々な PTM の部位を効率的にマッピングするソフトウエアを作成し、PTM
データベースを構築しようとしている。ひとりひとりのデータベースができれば、個人差を明らかにしたり、罹病時
における修飾の変化を明らかにすることができるので、PTM レベルでのオーダーメード医療の実現に繋がる可能
性がある。
「幹細胞を用いた分子治療薬およびバイオマーカーの開発」
1.研究の背景と目的
正常組織と同様にがん組織においても少数の “がん幹細胞(cancer stem cell)” が存在し、がん幹細胞が頂点
となり階層的ながん細胞社会が構成されているとする「がん幹細胞システム」の概念が提唱され、注目を浴びてい
る。本研究では、「がん幹細胞システム」の理論に基づき、がん幹細胞の特性を理解し、それを排除することがが
んの発生・進展や転移を克服しする革新的な医療技術の開発に繋がると考え、がん幹細胞システムの解明に取り
組んでいる。そのため、本拠点で構築されている蛋白質等の網羅的解析系を活用しながら、消化器系臓器の発
がんプロセスに関わるヒストン修飾 (翻訳後修飾) やがん幹細胞の治療抵抗性に関わる蛋白質の抽出を進めて
いる。がん幹細胞特異的な分子群の抽出は、がん幹細胞を標的とした分子治療薬の開発や治療効果予測に有
用なバイオマーカーの確立を進める上できわめて重要である。
2.主な研究成果
1) 肝幹細胞の自己複製制御機構の解析
肝がんの多くは、長期にわたる慢性炎症を介して幹細胞の過剰な増殖が誘導され、正常な幹細胞のヒストン修
飾およびDNAのメチル化修飾などのエピジェネティクスが変化し、がん細胞特異的な修飾状態が形成されること
により進展している可能性がある。横浜市立大学ではこれまでに、肝幹細胞の自己複製制御の破綻が発がんプロ
セスに深く関与することを明らかにしており、自己複製関連遺伝子群の発現制御に関わるヒストン修飾、DNAメチ
103
ル化修飾は肝発がんのバイオマーカー候補となり得ると考え、研究を進めている。これまでに、幹細胞の自己複
製は細胞増殖が亢進されながら細胞分化が抑制された状態と捉える事が出来、細胞増殖制御遺伝子と細胞増殖
制御遺伝子の双方の発現状態が統合的に制御されていると考えられてきた。近年、ES細胞やiPS細胞など様々な
幹細胞システムにおいて、ヒストン蛋白質のN末端の化学修飾、特に、ヒストンのメチル化修飾 (H3K27me3修飾)
やヒストンのユビキチン化修飾 (H2AK119ub1修飾)が自己複製制御に重要な役割を有していることが明らかとな
っている。そこで我々は、幹細胞システムの制御破綻に基づく「発がんプロセス」の解明を目的として、肝幹細胞を
対象としたポリコーム群蛋白質の機能解析を進めた。
1)-1 肝幹細胞におけるポリコーム群蛋白質Bmi1の機能解析
幹細胞形質に関わる遺伝子の転写抑制と深い関連があるとされるヒストン 蛋白質N末端のメチル化修飾
(H3K27me3) およびユビキチン化修飾 (H2AK117ub) の役割を明らかにするため、肝幹細胞を対象として、これ
らのヒストン修飾を担うポリコーム群蛋白質Bmi1の役割を検討した。ヒストンの翻訳後修飾関連分子であるBmi1が
肝幹細胞において過剰に発現すると、異常な自己複製が生じて肝がんへと至ることが明らかとなった。 (Chibaら
2008;Aokiら2010)。
1)-2 肝幹細胞におけるポリコーム群蛋白質Ring1Bの機能解析
先の研究で、ヒストン修飾に関わるポリコーム群蛋白質Bmi1が肝発がんプロセスに深く関わることが明らかとなっ
たため、Bmi1の作用点解明を目的としてポリコーム群蛋白質複合体を構成する分子の機能解析を進めた。Bmi1
と相互作用を行いながらヒストンのユビキチン化修飾 (H2AK119ub1修飾)に深く関わるとされるポリコーム群蛋白
質Ring1Bの機能を肝幹細胞で検討したところ、Ring1Bは肝幹細胞の自己複製に必須であることを見いだした
(Koike Uenoら2014)。Ring1Bは肝幹細胞において細胞増殖を負に制御するサイクリン依存性キナーゼインヒビタ
ー(Cdkn2aとCdkn1a)の双方の発現を抑制することにより、肝幹細胞の自己複製に関与することが明らかとなった。
1)-3 肝幹細胞におけるポリコーム群蛋白質Ezh2の機能解析
肝前駆細胞を対象として、ヒストンのメチル化修飾 (H3K27me3修飾)を担うポリコーム群蛋白質Ezh2の機能解析
を実施した。Ezh2はES細胞やiPS細胞の維持に必須である他、様々ながん (乳がん、胃がん、子宮内膜がん、前
立腺がん) の発生過程で過剰発現が報告されており、幹細胞システムとがん幹細胞システムの双方で重要な役
割を持つ分子として着目される。解析の結果、肝前駆細胞ではEzh2の発現レベルとH3K27me3の修飾レベルが
高いことが明らかとなった。Ezh2のメチル基転移酵素(SET)ドメインを特異的かつコンディショナルに欠損させると、
肝前駆細胞でのH3K27me3の修飾レベルが低下し、細胞増殖と細胞分化が阻害されることが明らかとなった。肝
前駆細胞の細胞増殖・細胞分化において、Ezh2を介したH3K27me3修飾(ヒストンのメチル化修飾)が重要な役割
を担っていることが明らかとなった (Koikeらin press)。
1)-4 肝幹細胞において形成されるヒストン修飾の解析
一連の研究により、肝幹細胞の制御においてポリコーム群蛋白質による転写抑制型のヒストン修飾が必須である
ことが明らかとなったため、網羅的手法により肝幹細胞で形成されているヒストン修飾(翻訳後修飾)を解析した
(Nakataら、論文投稿中)。肝幹細胞を対象として各遺伝子のプロモーター領域で形成されているヒストン修飾を検
討したところ、ES細胞の自己複製関連遺伝子で認められる転写抑制性のヒストン修飾(H3K27me3, H3K9me3)と転
写活性化型のヒストン修飾(H3K4me3)の双方が入り交じったBivalent Domain形成領域が同定された。抽出された
遺伝子の中には、幹細胞の増殖や分化を担う分子が含まれていた。これらの分子は幹細胞形質の再獲得と深い
接点を持つとされる肝発がんプロセスにおいて、発がんリスクの評価に有益な可能性がある。
1)-5 微少細胞を対象としたヒストン修飾解析系の構築
ヒストン修飾 (翻訳後修飾) のバイオマーカーとしての有用性を検証するためには、臨床検体などから得られる
微少細胞サンプルを対象とした解析が必須であるが、微少細胞を対象としたクロマチン免疫沈降法は確立されて
いない。そこで、微少細胞から抽出したゲノムDNAを高感度かつ低バイアスで増幅するための技術開発に取り組
み、極微量の免疫沈降産物 (100pg程度のDNA) を約5,400倍に線形的に増幅することが可能な増幅手法を確
立した。これにより、1,000以下の細胞を対象としたクロマチン免疫沈降解析が可能となり、肝がんを対象としたエ
ピジェネティックバイオマーカーの開発に向け、手術検体などで得られる微量の臨床検体を対象としたヒストン蛋
白質の解析の目処が立った。
2) 膵がん幹細胞の治療抵抗性に関わる分子の探索
近年の消化器系臓器を対象とした抗がん剤開発においては、代表的な難治がんである膵がんの市場が特に重
要視されている。膵がんは化学・放射線療法に抵抗性を示すことや周囲臓器への浸潤・転移が高頻度に生じる特
104
徴を持つことから、がん幹細胞の存在が強く示唆されている。ヒト膵がん幹細胞における治療抵抗性機構の解明
は、膵がん幹細胞を標的とした治療法開発や、治療効果予測法の開発においてきわめて重要であると考えられ、
膵がんの新たな治療薬開発や膵がん患者の二次治療の選択のための評価法として有用視される。そこで、膵が
ん幹細胞で抗がん剤の排出に関わるトランスポーターの同定を試みている。
2)-1 膵がん幹細胞の治療抵抗性に関わる分子の探索
先行研究から、トランスポーターを始めとする細胞膜分子群は、遺伝子発現量と蛋白質発現量が必ずしも一致
しておらず、トランスポーターの発現レベルを正確に評価するためには、蛋白質レベルでの解析が必須とされて
いる。そこで、積水メディカル、本学先端医科学研究センター平野博士、東北大学大学院薬学研究科の寺崎博
士との共同研究を実施し、トランスポーター80分子に対する絶対定量プロテオーム解析系を確立し、ヒト膵がん検
体を対象とした解析に取り組んだ。ヒト膵がん検体を対象としてmRNA量と蛋白質量の相関性を検討したところ、ト
ランスポーター蛋白質発現はmRNA発現と乖離があることが明らかとなり、蛋白質レベルでの解析の重要性が明ら
かとなった。
ヒト膵がん幹細胞の解析をすすめる上では、ヒト膵がんを高頻度に含む検体の選定が重要である。我々は、術
前に化学療法を受けた膵がん患者の膵がん組織中に残存するがん細胞中に膵がん幹細胞が高頻度に含まれる
と考え、術前化学療法を受けた患者の手術摘出検体を対象として解析を進めた。その結果、術前に化学療法を
受けた膵がん組織中には、膵がん幹細胞マーカーとして知られるCD133, CD44を発現する膵がん幹細胞の頻度
が増加していることを見いだした。この細胞の特性を明らかにするため、フローサイトメトリーを用いて
CD133+CD44+陽性細胞を分離し特性解析を行ったところ、ヒト膵がん中に含まれるCD133+CD44+陽性細胞は、
僅か100個の皮下移植により腫瘍を形成する能力を持ち、膵がん幹細胞として機能することが明らかとなった。次
いで、膵がん幹細胞を高頻度に含む抗がん剤治療後の膵がん組織で発現が亢進するトランスポーター蛋白質の
抽出を進めた。臨床検体の個体差を除外するため、同一患者から複数の担がんマウス作製した上で、抗がん剤
投与群と非投与群を設定し、抗がん剤投与群で発現が亢進するトランスポーターの抽出を試みた。絶対定量プロ
テオーム解析の結果、ゲムシタビン投与後に残存したヒト膵がん組織において、平均1.2倍以上の発現増加を示
すトランスポーターを複数抽出した。抽出されたトランスポーターの中には、膵がん中のCD133+CD44+細胞、すな
わち、膵がん幹細胞において高い発現を示す分子 (ABC-X) が含まれていることが明らかとなった(図22) (Ueno
ら, 論文投稿準備中)。膵がん幹細胞における機能、および患者予後との関係について解析を進めている。
(非公開)
図22.ヒト膵がん幹細胞におけるABCトランスポーターXの特異的発現
2)-2 膵がん幹細胞のクローン進化プロセスの解析
105
膵がんは抗がん剤への治療抵抗性を持つだけで無く、早期から浸潤・転移を生じる特性を有する。膵がんの治
療成績を向上させるためには、膵がんの転移過程を標的とした創薬や診断法の確立が重要である。膵がんの進
展はがん幹細胞の特性変化に起因するものと考えられるため、膵がんの進展過程においてがん幹細胞の特性変
化を引き起こすメカニズムの解明を進めている。
これまでに我々は膵がんモデルマウスを用いた解析より、Pdx1陽性の正常な膵幹細胞において遺伝子変異が
蓄積した場合、腫瘍形成能を持つ1次膵がん幹細胞が生じる可能性を示している。すなわち、転写因子である
Pdx1陽性細胞を認識する表面抗原としてCD44を同定し、Pdx1+CD44+細胞分画中に腫瘍形成能を持つ膵がん
幹細胞が含まれることを見出している。そこで、CD44および膵管細胞マーカーであるCD133を指標にセルソータ
ーを用いて分画化を行い、腫瘍形成能を検討したところ、Pdx1+CD44high 細胞分画中に腫瘍形成能を有する1
次がん幹細胞が高頻度で存在し、1細胞の移植を行った場合においても腫瘍形成が確認された。これにより、単
一細胞レベルで、膵がん細胞の移植評価が可能であることが明らかとなった。また、膵がん細胞の転移指向性に
ついて検討を行い、膵がん細胞が肝臓への転移指向性を持つことを明らかとしている(Okuda R, 2014)。
3.今後の研究方針
膵がんの市場が特に重要視されることから、膵がん幹細胞の抗がん剤耐性に深く関わる薬剤排出トランスポータ
ーを抽出し、積水メディカルと協働で診断マーカーとしての有用性や治療標的としての有用性について評価を進
める。近年、膵がんに対して複数の抗がん剤が承認され、ゲムシタビン・TS-1・エルロチニブが国内で膵がんの治
療薬として利用可能となった他、nab-パクリタキセルについても有用視されているなど、治療薬の選択肢は増加し
つつある。しかしながら、これらの治療薬による治療成績は十分とは言えない。その要因として、膵がんでは、薬剤
選択に関する客観的な判断基準が確立されておらず、患者毎に最適な投薬が出来ないことが挙げられる。膵が
んの治療成績を向上させる上で、患者毎に最適な治療薬を選択するためのマーカー開発が急務であるため、膵
がん治療効果予測マーカーの同定を優先して進める(積水メディカルとの共同研究)。
具体的には、ヒト膵がん幹細胞で特異的に発現する薬剤排出トランスポーター等を対象として、ヒト膵がん手術
検体において候補分子の発現と患者予後(生存期間)との相関を明らかにする。本解析を進めるためには、手術
検体から得られる微量な組織 (約0.2g以下) を対象とした蛋白質の定量解析を精度高く実施する必要があるた
め、本拠点からの技術を最大限活用しながら研究を進めていく。臨床検体を対象としたプロテオーム解析のノウ
ハウを蓄積することで、拠点形成に深く貢献できると考えている。また、抽出された分子が膵がん幹細胞の治療標
的として有用な場合は、創薬開発についての可能性を検討しながら、コンパニオン診断薬としての有用性評価を
すすめる。膵がん幹細胞を用いた機能解析を進める上では、様々な患者に由来するヒト膵がん幹細胞の利用が
必要となるため、ヒト膵がん幹細胞ライブラリーの構築を進める。
「翻訳後修飾を基盤としたがんバイオマーカー及び抗がん剤の開発」
1.研究の背景と目的
がん細胞に見られる自己複製の制御異常や腫瘍形成能の獲得には、蛋白質のPTMが関わっている。本研究
では本拠点のPTMプロテオミクス解析技術を活用して、新たながんバイオマーカーの開発及び抗がん剤の開発
を行う。また、これまでに独自に開発したヒト人工がん幹細胞モデルを活用し、プロテオーム解析を実施すること
で、新たな高精度のがん診断法や革新的治療法の創出を目指す。
2.主な研究成果
1) Pin1プロテオミクスを活用した新規前立腺がんバイオマーカーの探索(協働機関:大鵬薬品工業)
大鵬薬品工業と共に前立腺がんにおけるリン酸化蛋白質の探索研究を実施した。前立腺がん細胞株及び正
常前立腺組織より可溶性蛋白質を抽出し、リン酸化部位結合酵素であるペプチジルプロリルシストランスイソメラ
ーゼ(Pin1)と特異的に結合する蛋白質をプロテオーム解析した。前立腺がん細胞を試料とした場合にはPin1と結
合する蛋白質として分離されるが、正常前立腺細胞には存在しない蛋白質が見いだされた。この蛋白質をゲル
内で消化し、ESI-Q/TOFMS解析を行ったところ、TFG(TRK-fused gene産物)であることが同定された。このTFG
を中心に機能解析を行った。まず、TFGの遺伝子及び蛋白質発現を、疾患検体を用いて系統的に解析したとこ
ろ、TFGは正常前立腺上皮細胞(前立腺肥大、前立腺炎)と比較して前立腺がん細胞において顕著に発現が亢
106
進していることがわかった。また、その発現パターンは、腫瘍腺管を構成する上皮細胞においてCD133陽性のが
ん幹細胞分画において顕著に認められた。TFGのPin1結合部位におけるリン酸化抗体を作製し、そのリン酸化パ
ターンを検討したところ、前立腺がん細胞株及び患者由来の前立腺がん組織において特異的にリン酸化が亢進
していることが明らかになった。また、TFGの新たな機能としてアンドロゲン受容体(Androgen receptor: AR)と相
互作用し、アンドロゲン非依存的にARを核内で活性化されることを見いだした。ARは前立腺がんの形成や維持
に重要な役割を果たすことが知られているが、予後不良や悪性度の高いがんにおいては、アンドロゲン非依存的
にARが活性化されることが知られている。今回の発見は、TFGがアンドロゲン非存在下においてARを恒常的に
活性化されることを示した最初の報告であり、その生物学的・病態学的意義も大きい。また、TFGを分子標的とし
た新たな抗がん剤の開発が期待できる。また、もう一つの研究課題であるNF-κB/p65リン酸化キナーゼを標的と
した新たな診断薬や治療薬の開発に関する研究として、当該部位のリン酸化を認識するモノクローナル抗体を新
たに作製し、その特異性及び有用性を確認した。
2) ヒト人工がん幹細胞モデルを活用したがん幹細胞におけるPTM異常の検出と抗がん幹細胞活性を有する物質
の探索
2)-1 人工がん幹細胞モデルを用いた薬剤スクリーニングシステムの確立
これまでに独自に樹立・構築した人工がん幹細胞モデル(iCSC)(図23)23)を用いてがん幹細胞の特性(自己複
製能、未分化維持能、腫瘍形成能)を阻害する化合物のスクリーニングを行った。植物天然物由来の化合物119
種類を使用した。一次スクリーニングとしてiCSCに化合物を添加し、24時間後にMTTアッセイを行うことにより、15
種類の細胞増殖を阻害する化合物が得られた。二次スクリーニングとしては、悪性度の高いヒト乳がん細胞株
MBA-MD231をアッセイ系に加え、濃度依存的に細胞増殖を阻害する化合物を4種類見いだした。このうち、最も
顕著に細胞増殖を阻害した化合物Aについて検討を行った。まず、TUNEL染色及びCleaved-PARP抗体を用い
たウエスタンブロットにより、化合物Aを添加したiCSCにおいてアポトーシスが誘導されることを確認した。また、
Tumor sphere assayを行い、1.5μMの化合物A添加により自己複製能が抑制されることがわかった。また、化合物
Aを添加した細胞は細胞の形態が神経系細胞様に変化し、β3-Tubulin抗体を用いて免疫染色で陽性像を示し
た。CD24/CD44マーカーを用いたFACS解析では、未分化細胞の減少が見られた。また、化合物A添加後、3日
間培養した細胞をヌードマウスの皮下に移植したところ、何も加えていないコントロール細胞では腫瘍が形成され
たのに対して、化合物A添加細胞では腫瘍が形成されなかった。これらの結果から化合物Aはがん幹細胞の腫瘍
原性と未分化性を阻止する活性をもつと考えられる。(協働機関:富士フイルム)
図23.開発されたヒト人工がん幹細胞モデル
がん抑制遺伝子を欠損したヒト不死化上皮細胞からiPS様細胞を作製することによってヒト人工がん幹細胞株を樹立することに成功
した。
2)-2 人工がん幹細胞を抗原としたモノクローナル抗体の活用
107
がん幹細胞を抗原としたモノクローナル抗体を作製するため、WKAH/Hkmラット(雌)の腹腔にiCSCを3回投与
後、脾細胞とミエローマ細胞を融合させることで自律増殖能をもったハイブリドーマを作製し、目的の特異性をも
つ抗体を産生しているクローンをHAT培地で2週間培養することで選別した。iCSC, ヒト乳がん細胞株(MCF7,
T-47D)、正常ヒト乳性上皮細胞を使用してフローサイトメータにてスクリーニングを実施したところ、iCSC特異的な
反応を呈示する2種類のハイブリドーマクローンを確認した。続いて、セルフリーサイエンスのプロテインアレイ(約
25,000蛋白質)を用いて抗原蛋白質の同定を試みた。その結果、標的蛋白質の候補としてチロシンキナーゼ
ABL1が同定された。ABL阻害薬であるイマチニブをiCSCに投与したところ、細胞の自己増殖能の阻害が認めら
れた。ABLに対するsiRNA処理にてがん幹細胞自己複製能と未分化能が阻害された。ABLの基質となるStat3の
阻害剤を用いた検討により、ABL1阻害剤と同様な細胞増殖抑制が認められたことから、ABL1-Stat3アクシスがが
ん幹細胞の維持や増殖に重要な役割を果たすことが示唆された。
3.今後の研究方針
本研究は、PTMプロテオミクスを基盤とする新たながんバイオマーカーの発見とがん幹細胞に対する新規の抗
がん剤候補化合物の創出を目指している。過去5年間には数万を超える化合物の中から生物機能制御活性を有
するヒット化合物を迅速に見いだすin vitroアッセイ系を構築し、生理活性を有する物質の探索を行ってきた。上
記の基盤研究により見いだされた抗がん幹細胞作用を有するヒット化合物について、協働機関と協働で周辺化
合物の構造活性相関情報を得ると共に、 構造最適化へ向けた連携を強化させることで、実用化に向けた創薬
開発研究をさらに加速させし、革新的な医薬品開発に発展させる。
「リン酸化酵素複合体のフォーカストプロテオミクスによる診断マーカー及び創薬ターゲットの探索と同定」
1.研究の背景と目的
細胞の極性の異常は様々ながんに共通した性質の一つであるが、その実態は不明の点が多い。慢性の腎症は、
人工透析に以降して医療経済を圧迫しているが、その原因は不明である。mRNAの品質管理機構(mRNAサーベ
イランス系)が、がんや遺伝子疾患など、遺伝子変異を伴う疾患との関わりが明確となっており、診断や治療への
応用が期待できる。
これまでの研究により、PKC及びPAR1によるリン酸化が、細胞極性化の根幹にある事がわかっている。mRNAサ
ーベイランスに関しても、その中心分子は蛋白質リン酸化酵素SMG1であり、SMG1によるUpf1ヘリカーゼのリン酸
化が、mRNAサーベイランス系における異常mRNAの認識の根幹にあることがわかっている。いずれの場合も、
「蛋白質リン酸化酵素を含む分子複合体の生物学的な重要性」が明らかとなっている。
本研究においては、細胞内で一過的に形成される分子複合体の精製技術を利用して、上述の蛋白質リン酸化
酵素を含む複合体に着目したフォーカストプロテオミクス解析を通じて、それらの活性化制御蛋白質、アンカリン
グ蛋白質、及び基質蛋白質を探索、同定し、その診断マーカー及び創薬ターゲットとしての有用性を検証する。
2.主な研究成果
1) 細胞極性制御シグナリングにおけるPTM(リン酸化)周辺分子
1)-1 aPKC-PAR3複合体の活性制御因子:細胞極性と細胞運命の制御とを結ぶ新規分子ASPP2
細胞極性シグナリングにおいてaPKCのアンカリング蛋白質PAR3のフォーカストプロテオミクス解析により
ASPP2を同定した。さらに、ASPP2がaPKC-PAR複合体の制御因子であることを証明した(Congら2010)15 ) 。
ASPP2はがん抑制遺伝子p53の細胞死の誘導能を担う分子であり、マウスの系でこれ自身ががん抑制遺伝子で
あることがわかっている。この成果はこれまでなぞであったがんと極性とを結ぶ候補として注目された (MacCarthy
Nat Rev Cancer 10:528,2010) 。その後の更なる解析により、PAR3-ASPP2よりもさらに上流に位置する新規分子
RASSF8を見いだした。RASSF8は、PAR3複合体と細胞接着分子カドヘリンを結ぶ分子であった(論文準備中)。
1)-2 aPKCのキナーゼ活性の抑制因子:エキソサイトーシス制御系KIBRA-aPKC axis
一方、aPKC結合蛋白質としてKIBRAを同定した。KIBRAはaPKCの基質蛋白質として知られていた分子であっ
たが、aPKCのキナーゼ活性を基質と競合的に阻害する作用を有すること、KIBRAの発現を抑制した上皮細胞
(MDCK細胞)は異常に発達したアピカルドメインを有していること、KIBRAはaPKCのキナーゼ活性を抑制するこ
とにより、アピカル蛋白質の膜移行(エキソサイトーシス)を抑制していることが明らかとなった(Yoshihamaら2011)
108
47)
。KIBRAは、ショウジョウバエで臓器の大きさを制御するHippo系の上流因子として知られている。極性制御系と
増殖シグナル系との接点の一つである可能性がある。その後、ヒト胃がん症例でKIBRAの発現を検討した結果、
KIBRA-aPKC axisが胃がんの予後の決定に関わることを見いだした(Yoshihamaら2013)。KIBRA-aPKC axisの生
物学的な意義を支持する。SNIP遺伝子多型を用いたヒトゲノム全体の連関解析によりKIBRA遺伝子座と認知機
能との関連を示す結果が集積しているが、分子レベルでの実体は不明である。この現象にもKIBRA-aPKC axisを
介したレセプターのエキソサイトーシスが関わる可能性がある(Yoshihamaら2012)。
1)-3 PAR1によるシナプスの樹状突起スパイン形態の制御
細胞極性キナーゼaPKCの下流で働くキナーゼPAR1が、樹状突起スパイン形態維持に関わることを見いだし
た( Hayashiら2011a)17)。
1)-4 PAR1結合蛋白質:新しいカテゴリーの微小管制御蛋白質MTCL1
aPKCの下流で働くキナーゼPAR1のフォーカストプロテオミクス解析を通じて、新しいカテゴリーの微小管制御
蛋白質MTCL1(Microtubule cross-linking factor 1)を同定した。極性化した上皮細胞における微小管の構造と動
態はこれまで不明であったが、MTCL1がその制御を行っていた。さらにMTCL1がPAR1の足場となっていることを
見いだした(Satoら2013b)38)。
1)-5 乳がんの疾患モデルを用いた新規バイオマーカーや創薬標的の探索
乳腺組織特異的にaPKC遺伝子を破壊したマウスでは乳腺の全体で乳がんの前がん病変を模擬する。このマ
ウスの血清蛋白質のプロテオミクス解析を通じて、乳がんの前がん病変に特有なバイオマーカー候補を10種見い
だした(特許申請中)。
2) mRNAサーベイランスにおけるPTM(リン酸化)周辺分子
2)-1 SMG-1複合体(SMG1とその活性制御因子SMG-8, SMG-9との複合体)の発見
mRNAサーベイランス系で律速段階を構成する鍵酵素SMG1(蛋白質リン酸化酵素)を起点としたフォーカスト
プロテオミクスにより、SMG-1の活性制御因子SMG-8, SMG-9を発見した。これらは進化的に保存しており、遺伝
学的な解析からは見いだせなかった新規分子であった(Yamashitaら2009a) 43)。SMG1の活性制御サブユニット
SMG8とSMG9の有無の状態での立体構造を、電子顕微鏡と画像解析技術、抗体などを利用して明らかにした(44
Arias-Palomoら2011)。
2)-2 フォーカストプロテオミクスによるmRNA監視複合体インタラクトーム
RuVBNL1/2はゲノムの維持・クロマチンのリモデリング、テロメア制御、転写など様々な超分子複合体への存在
が示されているが、その役割は不明の点が多かった。プロテオミクス技術を駆使した解析を通じて、ATPaseである
RuVBNL1/2が、SMG1を含むPIKK系蛋白質リン酸化酵素の制御を介して遺伝子発現に関わる様々な過程を統
御することを見いだした(Izumiら2012b)21),24)。
RuVBNL1/2を含む複合体の解析から、Hsp90を含む複合体との関係を見いだした。この結果は、HSP90阻害
剤が有するマルチな抗がん作用を説明する(Izumiら2012a)22)。
2)-3 mRNAサーベイランス複合体のリン酸化後のプロセス
mRNAサーベイランスのもう一つの律速段階である脱リン酸化過程にはSMG6及びSMG5/SMG7複合体が関わ
る。SMG1複合体キナーゼによりリン酸化されたUpf1上で、N末端部位のリン酸化部位(P-T28)にSMG6が、C末端
側の部位(P-S1096)にはSMG5/SMG7複合体が結合し、これがサーベイランス複合体の以降のリモデリングを誘
導する(Okada-Katsuhataら2012)31)。
109
図24.蛋白質リン酸化酵素分子複合体の精製技術とフォーカストプロテオミクスの手法を用いて
新たに同定したリン酸化シグナル分子複合体とその構成蛋白質
3.今後の研究方針
1) 新規に同定した蛋白質群について、抗体を既に作成済みであり、それらを用いて病理切片における変動ノイ
ズラベル研究を進めている。これを通じて、がん等の疾患との関係を調べ診断マーカー及び創薬標的としての有
用性を確認する。
2) 機能解析の過程で作製した細胞レベルでのアッセイ系を、極性を制御する低分子物質のスクリーニング系へ
の展開を図る。
3) mRNAサーベイランス系の分子機構に関する一連の研究成果を踏まえて、2011年度から次世代がん研究戦略
プロジェクト「mRNAサーベイランス系を分子標的とした制がん戦略の開発」が採択され、創薬開発研究は、新た
なプログラムで行われることとなった。そこで、本プログラムでは、診断マーカー及び分子標的の探索を進めること
により、これを側面から支援する。
「蛋白質リン酸化酵素 aPKC を起点とした細胞極性シグナリングのがんの悪性化と腎症における意義の検証」
1.研究の背景と目的
がん細胞の異常の一つに細胞の極性の異常がある。細胞極性は、幹細胞が幹細胞と分化した細胞に分裂す
るときの非対称分裂や、ほとんどのがんの母地である上皮組織の構成に必須の性質である。本拠点での研究と
他の研究から、その制御(細胞極性シグナリング)の最上位で、aPKCというキナーゼ(蛋白質リン酸化酵素)を介
したリン酸化が根源的かつ普遍的な役割を果たしていることがわかっているが,具体的な生物学的な機能及び疾
患との関わりは不明である。
本研究においては、aPKCを起点とする細胞極性シグナリングの生物学的な機能とがんを初めとする疾患との関
連を明らかとすることを目的とする。
2.主な研究成果
1) 乳腺組織幹前駆細胞の増殖制御におけるaPKCを介したリン酸化の重要性と分子機構
1)-1 がんの原因となっているErbB2の生理機能
幹前駆細胞、上皮組織及びがん幹細胞における細胞極性シグナリングの生物学的な役割を明らかとする目的
で、組織幹前駆細胞及びがん幹細胞の解析が最も進んでいる乳腺組織でのaPKC遺伝子の特異的破壊を行っ
た。このマウス(aPKCl-cKOマウス、独立2系統)は病理学的にADH (atypical ductal hyperplasia)と診断される前
がん病変を確実に発症した。この異常は乳腺組織前駆細胞の増殖亢進を伴った。驚いたことに、この増殖亢進
110
の原因は、ErbB2の高発現が起きていることによるものであった。ErbB2は、増殖因子受容体構造を有し様々なが
んで発現の亢進が広く認められ、その阻害抗体(Herceptin)が臨床で広く用いられている。最近では、がん幹細
胞の増殖に深く関わることも明らかとなっている。しかし、その生理機能は不明であった。今回の解析により、
aPKCはErbB2の発現の抑制を通じて、乳腺組織前駆細胞の増殖抑制を行っていることが明らかとなった。
1)-2 ErbB2の発現抑制機構(aPKC-TFX-ErbB2 axis)
上述したように、乳腺組織でaPKC遺伝子を特異的に破壊したマウスではErbB2の異常高発現を原因として、乳
腺組織前駆細胞の増殖亢進が起きている。この異常の本態はaPKCの消失によりErbB2の転写の抑制が解除さ
れたことに起因する。ここで、aPKCを介したリン酸化が死活的に大切な役割を果たしている。このプロセスには、
転写因子TFXが関与していることも見いだした。つまり、乳腺上皮前駆細胞の増殖は、aPKCが媒介するリン酸化
反応によりTFXを介したErbB2の転写抑制機構により制御されていることが明らかとなった。乳腺上皮前駆細胞の
増殖を制御するこのシグナル経路をaPKC-TFX-ErbB2 axisと命名した。
2) aPKCの異常とがんの悪性化との強い相関、組織特異的な分子機構の発見
2)-1 乳がんのがん幹細胞におけるaPKC消失とaPKC-TFX-ErbB2 axisの破綻
乳がん患者における細胞極性制御因子aPKCの発現を調べ、60%以上の症例でaPKCの高発現を認めた
(Kojimaら2008)。さらに、他の症例を詳細に調べたところ、全体の10%の症例では、aPKCが消失していることを見
いだした。さらに、このような症例では、ErbB2の高発現とがん幹細胞マーカーALDH1の高発現が認められた。こ
のことは、aPKCの消失がErbB2を介して乳腺がん幹細胞の異常増殖を導くことを示唆している(論文準備中)。
図25.様々ながんにおけるaPKCの異常とその分子機構の解明、臨床検体を用いた検証
様々ながんにおいて、aPKCの異常とがんの悪性化の相関を認めた。さらに、モデル系を用いて前立腺のaPKC-IL6 axis、胃がんの
KIBRA-aPK axis、乳がんのaPKC-ErbB2 axisを発見すると同時に、臨床検体を用いて確認した。診断や新規治療法への応用の可
能性を提示した。
2)-2 前立腺がんの再燃におけるaPKCの高発現とaPKC-IL6 axisの異常亢進
前立腺がん患者における細胞極性制御因子aPKCの発現を調べ、aPKCの高発現と再燃との相関を認めた。さ
らに、再燃のモデルとされる培養前立腺がん細胞を用いた詳細な機構解析を通じて、aPKCの高発現がインター
ロイキンIL-6の転写活性を通じてIL-6の分泌を促し、これが自身に作用して細胞増殖が異常となることを見いだ
した。aPKCの高発現とがんの悪性化は、がん細胞の普遍的な性質の一つであるが、その機構は全く不明であっ
た。一連の結果は、前立腺がんの再燃の予想にaPKCとIL-6を使うことができることを示唆すると同時に、両者を
111
標的とした治療の新戦略を与える。また、IL-6とがんとの関係を新たな視点で考え直すきっかけを与えた
(Ishiguroら2009)21)。
さらに、aPKC-IL6 axisの臨床的意義を検討した結果、これが前立腺がんの再燃と相関することを見いだし報告
した(Ishiguroら2011)20)。胃がんや乳がんでもaPKC-IL6 axisの存在を示唆する結果を得ており、これが様々なが
んで働いている可能性が示唆される。
2)-3 胃がんの再発におけるaPKCの高発現とKIBRA-aPKC axis
胃がん患者における細胞極性制御因子aPKCの発現を調べ、aPKCの高発現と再発との相関を認めた。また、
これまで胃がんの再発と相関する指標は必ずしもよいものがなく、診断面でも大きな意義がある(Takagawaら
2010)39)。さらに、これに加えて、aPKC発現の弱い胃がんに関してはそのリン酸か阻害蛋白質であるKIBRAの発
現が、夜ごと相関している事を見いだした。
2)-4 膵臓がんにおけるaPKCの高発現
膵臓がんの様々な症例について、細胞極性制御因子aPKCの発現を調べ、aPKCの高発現と予後との相関を
認めた(Katoら2011)。
2)-5 子宮頸がんにおけるaPKCの高発現と核移行
子宮頸がんに関しては、浸潤がんにおいてaPKCλ/ιの局在異常と発現異常が予後不良因子であることを
明らかとした(論文準備中)。子宮頸がんの必要条件としてHPVの存在が明らかとなっているが、それだけでは説
明が付いていない。aPKCλ/ιの異常はHPVとは独立の因子であるとの結果も得ており、その機構解析により、
発症機構の本態にせまることができる。現在、核への移行の変異体などを用いて、アレイ解析及び翻訳後修飾プ
ロテオミクス解析により、リン酸化の標的蛋白質の同定を進めている。
3) 子宮頸がんの前がん病変の予後判定への応用
3)-1 子宮頸がんの前がん病変である子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)におけるaPKCの高発現と核移行
子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)の CIN1 の aPKC を検出する事により、その増悪や軽快を十分な精度で予見できるこ
とを見いだした。増悪する可能性が高い、ないしは改善する可能性が低いと予測される場合、経過観察中の外来
通院間隔を早め、早期に手術治療を施す等の対応をすることができる。増悪する可能性が低いないしは改善する
可能性が高いと予測される場合には、経過観察中の外来通院間隔を延長したり、あるいは期間を延長して経過観
察を続けることにより、自然治癒の可能性が高い症例の手術治療を回避することができる。本発明は、医療機関に
おける前がん病変の進行予測の大きな補助となる(特許申請中)。これまで、診断補助法として HPV 関連の抗体が
開発されているが、増悪を予見する精度が充分ではない。
4) 腎症の主原因となっている腎糸球体スリット膜の異常の分子機構
4)-1 慢性腎症(巣状糸球体硬化症)病態モデルマウス、スリット膜の維持におけるaPKCを介したリン酸化の重要
性
腎糸球体ポドサイトに特異的なaPKC遺伝子破壊マウスを作製した。このマウスは生後すぐに腎症の症状を呈し
始め、数週間で死亡する。様々な解析から、これがヒトの巣状糸球体硬化症に対応する。さらに、単離した腎糸球
体ポドサイトを用いて、スリット膜の主要構成分子であるネフリンにPAR3を介してaPKC-PAR3複合体が結合すると
同時に、aPKCのキナーゼ活性がネフリンの局在制御に関わることを見いだした。一連の結果は、aPKCによるスリ
ット膜の構成分子のリン酸化の重要性と、その慢性腎症との関わりを強く示唆する(Hiroseら2009)。
4)-2 ネフリンサイクル仮説:ネフリンのエキソサイトーシス
単離した腎糸球体ポドサイトを用いて、スリット膜の構造蛋白質ネフリンがきわめて早く代謝していることをin
vitroとin vivoで見いだした。ネフリンの合成と膜移行(エキソサイトーシス)、膜離脱(エンドサイトーシス)と分解の
プロセスを解析した結果、膜移行(エキソサイトーシス)のプロセスにaPKCを介したリン酸化が関わる(Satohら
2014)13)。
これまで、障害時に腎糸球体ポドサイト(たこ足細胞)のあしが癒合し、スリット膜が消失するが知られていたがそ
の本態は不明であった。作出した病態モデルの一連の解析により、スリット膜の構成蛋白質ネフリンの膜への移
行と消失が恒常的に起きていることを見いだした。さらに、そのプロセスにaPKCによるリン酸化が関わる事を見い
だした。
112
図26.腎糸球体スリット膜蛋白質ネフリンの生理的動態の解明
腎糸球体スリット膜のネフリンは数分の単位で代謝回転しており、aPKCを介したリン酸化と膜移行プロセスが腎機能の維持に必須で
ある。
3.今後の研究方針
1) aPKC-TFX-ErbB2 axisの詳細解明を通じたがん幹細胞の増殖制御機構の解明と、その普遍性の検証とその
診断、治療への展開を図る。
2) 様々ながんにおけるaPKC-IL6 axisの検証とその診断、治療への展開を図る。
3) aPKC高発現や核局在、消失などが、がんの種類によって大きく異なる事、aPKCの異常によるがんの悪性化の
機構もがん種により大きく異なる事がわかってきた。この事実は、aPKC周辺分子を標的とした創薬と診断の可能
性を強く示唆している。得られた周辺分子に着目した解析を進める。
4) 子宮頸がんの前がん病変である子宮頚部上皮内腫瘍(CIN1)の予後予見診断マーカーとしてのaPKCについ
て、非侵襲性の細胞診断への展開を図る。これにより、集団検診における利用できるキットを開発する。
5)aPKC及びその関連分子について、腎症の臨床検体における異常を探索し、ヒトでの検証を進める。同時に、
細胞アッセイ系の創薬標的スクリーニング系への展開を模索する。
「卵巣明細胞線がん創薬標的分子の探索」
1.研究の背景と目的
抗がん剤に抵抗性であり早期発見されても多数の予後不良例が存在する悪性度の高い卵巣がん組織型、卵
巣明細胞腺がん(CCA)のプロテームを解析し、CCA 細胞において特徴的に発現が増加する 37 種類の蛋白質
を検出・同定した。本研究では、同定された蛋白質のうち、CCA 細胞において発現変動が大きかった糖蛋白質、
アネキシン IV(ANX4)をコードする遺伝子 ANX4 の発現調節機構を解析し、この糖蛋白質が創薬標的になり得る
のかどうか調べた。また、本研究において、ANX4 は、転写因子 p53 により転写レベルで発現制御を受けているこ
とが明らかになった。さらに ANX4 以外の CCA マーカー候補蛋白質の多くが、p53 の標的となる遺伝子によって
コードされているという CCA 関連蛋白質群の共通性が明らかになった。そこで、p53 についても創薬標的になるの
かどうかを解析した(Masuishi ら 2011)。
2.主な研究成果
CCA 細胞で特徴的に発現が増加する蛋白質を探索するために、CCA 由来の培養細胞株のプロテオーム解析
113
を行った。CCA 由来細胞株 OVTOKO 及び OVISE と、対照とした非 CCA(粘液性腺がん)細胞株 MCAS の蛋白
質をトリプシン消化し、iTRAQ 試薬にて標識した。各試料を混合後、質量分析装置により解析した。その結果、
1,020 種類の蛋白質が同定された。その中で、非 CCA 細胞株である MCAS と比較して CCA を由来とする細胞株
(OVTOKO と OVISE)において発現量が 2 倍以上高い蛋白質を 37 種類同定することができた。これらの蛋白質
の発現が他の CCA 細胞株でも高いのかどうかを、MCAS、OVTOKO、OVISE を含む 11 種類の卵巣がん細胞株
を用いて定量的リアルタイム PCR 解析及びウエスタンブロット法により調べた。その結果、16 種類の蛋白質の発
現が、mRNA レベル及び蛋白質レベル共に CCA 細胞群で高いことが明らかになった。mRNA と蛋白質の発現量
の相関が高いことから、これらの蛋白質の CCA 特異的な発現は転写レベルで制御されていると推察された。
CCA で発現が特に大きく変動した ANX4 をコードする遺伝子 ANX4 のプロモーター解析を行った結果、ANX4
上の第 1 イントロン内に存在する+180 領域に転写を制御する領域があり、そこには転写因子 p53 が結合すること
がわかった。この領域を欠損もしくは変異を導入すると、CCA 細胞では転写活性の著しい低下が認められたが、
非 CCA 細胞では変化は見られなかった(図 27)。この領域には p53 が結合することがわかった。さらに CCA 細胞
中の p53 を RNA 干渉法により発現抑制したり、マイトマイシン C の投与により活性化すると、ANX4 の発現の変動
が認められることから、CCA 細胞特異的な ANX4 発現には p53 が寄与していると見られた。
CCA 細胞が特徴的に ANX4 を発現していることから、ANX4 は CCA の高い薬剤耐性やがんの進展などの性
質に関与している可能性が考えられた。その ANX4 は、CCA においてがん抑制遺伝子産物として知られている
p53 により制御されていた。一般的に、p53 は DNA 傷害などの様々なストレスに応答し、多くの遺伝子発現を制御
することで細胞のがん化を抑制している。実際に、様々な組織の進行がんにおいては、p53 の遺伝子の変異が高
い頻度で検出される。ところが、本研究で用いたすべての CCA 細胞株では p53 に変異は認められなかった。野
生型 p53 を過剰発現させた細胞では p21 や ANX4 の転写が上昇していたが、変異型 p53 では変化が見られな
かった。従って、野生型 p53 の機能的状態が ANX4 の発現を左右していると考えられた。実際に HEK293 細胞や
LNCaP 細胞は野生型 p53 をもつが、これらの細胞においては、p21、MDM2 の mRNA レベルが低いことから p53
は活性化していないと考えられ、ANX4 の発現も同様に非常に低いことが示された。
CCA は卵巣がんの標準的化学療法であるパクリタキセル-シスプラチン併用療法に対し感受性が低いため、
他の組織型に比べて予後不良である。また、CCA において p53 の変異は極めて稀である。p53 による ANX4 の発
現が CCA 細胞の薬剤感受性の低下を引き起こしていることが考えられる。実際に LNCaP 細胞で p53 依存的に
ANX4 の発現を上昇させると、カルボプラチン抵抗性が上昇した。そのため、CCA 細胞における薬剤抵抗性も
p53 依存的な ANX4 発現が関与していると考えられた。従って、p53 や ANX4 は、CCA 治療のための創薬標的分
子候補として有望であると考えられた。
図 27.卵巣明細胞腺がんに特異的なアネキシン IV 遺伝子の発現は転写因子 p53 が引き起こす 25)
アネキシン IV 遺伝子を連結したルシフェラーゼレポーターベクターを用いて転写活性を測定した結果、転写開始点下流域に存在
する p53 結合領域(+180)が明細胞腺がんにおけるアネキシン IV の発現に重要であり、p53 siRNA によりアネキシン IV の発現を抑
制することがわかった。
3.今後の研究方針
ANX4 の発現を siRNA によって抑制すると、ANX4 の発現はほとんどすべて抑えることができる。しかし、ANX4
114
の発現を抑えても CCA の増殖を完全に抑えることができない。おそらく ANX4 以外の蛋白質が CCA の増殖に係
わっているためだと考えることができる。プロテオーム解析で、ANX4 以外にも多くの蛋白質が CCA 関連蛋白質と
して検出されている。どの蛋白質の発現を抑えれば、がん細胞の増殖を抑えることができるのか、すなわち、どの
蛋白質が創薬標的分子として最も相応しいかを明らかにすることが重要である。また、ANX4 以外のどの蛋白質
の発現を抑えれば、より効果的に CCA の薬剤抵抗性を低下させ得るのかを解明する必要がある。
「ヒト疾患関連遺伝子探索からの翻訳後修飾機構の解明」「ヒト発生・発達異常の分子探索と診断法の開発」
1.研究の背景、目的
平成26年度までに、原因未解明のヒト発生・発達異常を呈する疾患群を対象にその遺伝的原因を探索・同定
する。ヒトにおけるがん関連遺伝子とヒト発生・発達異常の関連分子は密接な関連がある。ヒト発生・発達異常の
責任遺伝子を同定していくことでがん研究に新たな視点や分子機能研究を提供することが可能となる。対象疾患
としてはてんかん等の脳神経疾患、結合織疾患など多岐にわたる疾患群の中で高密度アレーや次世代シーケン
サー等の先端解析機器を用いた遺伝学的解析によって責任遺伝子を同定し、分子病態を明らかにしていく。
2.主な研究成果
本プロジェクトが開始されてから様々なヒト疾患の遺伝的原因解明に成功した。そのうち蛋白PTMに関連する
遺伝子異常に関連する遺伝子が複数単離された(以下○で表示した疾患)。
1) ○新型エーラスダンロス症候群
CHST14(デルマタン硫酸転移酵素をコード)変異が原因である。結合織の重要な構成要素であるプロテオグリ
カンにおいて重要なデルマタン硫酸転移酵素の異常(D4ST1欠損)でコラーゲン鎖の異常が引き起こされること
が基盤にある(Miyakeら2010)(図28)。
図28. D4ST1欠損症の病態仮説
D4ST1の欠損によりデコリンに付加するグリコサミノグリカン鎖の組成変化(正常ではデルマタン硫酸であるが、患者ではコンドロイチ
ン硫酸に置換)が起こり、その結果デコリンを介するコラーゲン細線維のアセンブリ不全が起きることで発症すると考えられた。
2) 劣性型脊髄小脳変性症
シナプス関連分子であるシナプトタグミン14(SYT14)の変異を同定したが、この遺伝子産物の異常が来す病態
機序は不明である(Doiら2011)。
3) びまん性大脳白質形成異常
115
POLR3AとPOLR3B変異が原因であることを明らかにした。POLR3AとPOLR3BはRNAポリメラーゼIIIのサブユニ
ットをそれぞれコードし、これらの遺伝子異常が様々な機能的RNAの転写異常を引き起こすことが想定されるが、
病態機序の詳細は不明である(Saitsuら2011)。
4) Coffin-Siris症候群
知的障害と第五指爪低形成を含む奇形兆候を呈するCoffin-Siris症候群の全エクソーム解析と候補遺伝子ス
クリーニング法を用いた解析から責任遺伝子であるSMARCB1, SMARCA4, SMARCE1, ARID1A, ARIRD1Bの5つ
の遺伝子に関してde novo変異を含む遺伝子変異を同定した(Tsurusakiら2012)。これらの5つの遺伝子はいずれ
もSWI/SNF複合体と呼ばれるクロマチンリモデリング因子のサブユニットをコードする。この因子の異常で様々な
遺伝子の転写調節異常を来すことが想定される。
5) SENDA
SENDAは、脳内鉄沈着神経変性症の一つであり、小児期早期からの非進行性の知的障害と、成人期に急速
に進行する錐体外路症状(ジストニアやパーキンソン様症状)、認知症を呈する神経変性疾患である。全エクソー
ム解析を2家系(患者1名ずつ)に応用し、両患者に共通してWDR45 遺伝子のデノボ変異を認めた。さらに3名の
患者について変異解析を行い、すべての患者で WDR45 遺伝子変異を認めた。WDR45 遺伝子は、オートファ
ジー(自食作用)に必須の分子である酵母Atg18のヒト相同遺伝子であるWIPI4蛋白質をコードし、ヒトでオートファ
ジー異常がprimaryに障害されそれが神経変性疾患に至るというエビデンスをはじめて提示した(Saitsuら2013)。
6) ○SEMD-JL1
脊柱の変形や関節の脱臼など、重度の骨格異常を起こす原因不明の遺伝性難治疾患「関節弛緩を伴う脊椎骨
端骨幹端異形成症 I 型(SEMD-JL1)」の患者 6 家系の遺伝子を全エクソーム解析し、B3GALT6 遺伝子の変異を
発見、その酵素機能が喪失していることを見いだした。B3GALT6 遺伝子の機能障害でプロテオグリカンのグリコ
サミノグリカン結合領域が正常に合成できないため、骨、軟骨、靱帯、皮膚など多様な組織で異常を引き起こすこ
とが判明した(図 29)。本研究は蛋白質糖鎖修飾異常が原因である疾患の原因解明である(Nakajima ら 2013)。
図 29.B3GALT6 変異が関与するプロテオグルカンのグルコサミノグリカン結合領域
7) ネマリンミオパチー
全エクソーム解析を用いて、ネマリンミオパチー家系で KLHL40 遺伝子の複合ヘテロ接合性変異を見いだし、
その後日本、アメリカ、フィンランド、オーストラリア合同国際研究を展開し、重症ネマリンミオパチーの 143 家系の
解析で 28 家系(19.6%)に本遺伝子変異がみつかったことから、この遺伝子の変異が多民族にわたり重症ネマリン
ミオパチーの高頻度の原因であると結論付けた(Ravenscroft ら 2013)。
8) 難治性てんかん
全エクソーム解析を用いて、379 例の難治性てんかん患者中 4 例に GNAO1 遺伝子の新生突然変異を認めた。
GNAO1 遺伝子からは、神経細胞における細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすことが知られている 3 量
体 G 蛋白質のαサブユニット(Gαo )が作られる。3 量体 G 蛋白質の立体構造モデルにおいて、4 つの変異は
蛋白質構造を不安定にする、あるいはシグナル伝達の障害を引き起こすことが示唆される。発現細胞では、細胞
内での発現部位の変化とカルシウム電流の抑制障害が想定された(Nakamura ら 2013)。
116
9) ○難治性てんかん
全エクソーム解析を用いて 367 例の難治性てん患者中 4 例に UDP-ガラクトース輸送体をコードする SLC35A2
遺伝子の異常を認めた。本遺伝子異常で UDP-ガラクトースが小胞体に輸送されないため糖鎖修飾の全般(N 型
も O 型も含む)の異常をきたす。特徴的なことは幼少期に同定された N 型糖鎖修飾異常(血清トランスフェリンの)
が、長じるに従い全く検出されなくなるため、本疾患では、遺伝子検査が最も確実な診断法となる(Kodera ら
2013)。
3.今後の研究方針
多数の様々な疾患の責任遺伝子探索で複数の蛋白質翻訳修飾異常疾患が明らかになった。本研究でのアプ
ローチは極めて有効であり引き続き本研究を継続し蛋白質PTMに関連する分子異常をゲノムアプローチから同
定していく予定である。
117
項目3. 精神疾患診断・治療法開発を目指した研究
「精神神経疾患新規治療薬の開発」
1.研究の背景と目的
現存する精神神経疾患の治療薬には論理的根拠がないものがほとんどすべてといっていい。従って、治療薬
の効果は患者によってまちまちであり、完治しないものが極めて多い。この現状を変えていくためには、病態の本
質を分子細胞レベルで解明し、その動物モデルを最終的な創薬スクリーニングのモデルとして新規治療薬の開
発を行うことが必要である。本研究は様々な精神神経疾患のモデル動物を作製し、PTMを解析することにより、新
規治療薬のスクリーニングを行っていくことを目的としている。
2.主な研究成果
1) 視覚剥奪動物の体性感覚野における機能向上の分子細胞メカニズムの解明
ある感覚機能が失われると、残存する感覚機能が向上し、失われた機能を補うということが起きる。これを異種
感覚間の可塑性(cross-modal plasticity)と呼ぶが、その分子細胞メカニズムは不明であった。これまでの研究で、
視覚剥奪ラット(生後 21 日―23 日)のバレル皮質(ひげからの入力を受ける大脳皮質領域)において、1)GluA1
(AMPA 受容体の主要サブユニット)のシナプス移行が促進していること、2)セロトニンの分泌が増加していること、
3)セロトニンによって GluA1 シナプス移行促進が仲介されていること、4)セロトニン受容体の下流シグナル分子で
ある ERK が活性化していること、5)GluA1 の Ser845 のリン酸化が上昇していること、 6)ひげーバレルの機能的マ
ップが向上していることを明らかにした(Jitsuki ら 2011)49)。本研究は「脳機能損傷後の回復過程において、残存
領域の可塑的変化によりリハビリテーションの効果が発現する」という発想につながるものであり、後述の AMPA 受
容体シナプス移行促進による脳卒中リハビリテーション効果促進薬の開発につながる。
2) 社会的隔離による AMPA 受容体シナプス移行阻害の発見
幼児虐待の一つであるネグレクト(養育放棄)は本邦でも大きな社会問題になっている。ネグレクトによって子供
は親や他の子供との接触が断たれてしまい、社会的に隔離された環境にさらされる。このような環境を経験した子
供はその後、境界性人格障害に代表される重篤な精神疾患に罹患することが知られている。これらの疾患は現
状の薬剤では治療が困難であり、患者の苦しみ、社会的負担は甚大である。しかし、その分子細胞メカニズムは
不明であった。本研究で養育期社会的隔離を経験した動物のバレル皮質において 1)経験依存的 AMPA 受容体
シナプス移行が抑制されていること、2)その現象が glucocorticoid シグナル依存的に起きていること、3)CaMKII の
不活性化を介していること、4)ひげーバレルの機能的マップが乱れていること、5)ひげ依存的行動に異常があるこ
とが見いだされた(Miyazaki ら 2012b, Miyazaki 2013)53),54)。この動物モデルを用いることによって境界性人格障
害等の新規薬剤のスクリーニングが可能となった。
3) 恐怖記憶形成の分子細胞メカニズムの解明
心的外傷後ストレス障害(Post traumatic stress disorder:PTSD)は、東日本大震災に際しても大きな問題となっ
た。しかし、その分子メカニズムは不明の点が多い。本研究では、1)海馬依存的な恐怖学習(inhibitory avoidance
task: IA task)において、海馬のCA3-CA1シナプスにAMPA受容体が移行すること、2)AMPA受容体のシナプス
移行を阻害すると恐怖記憶が成立しないこと、3)IA taskにおけるAMPA受容体シナプス移行はアセチルコリンシ
グナル(ムスカリニック受容体)の活性化により仲介されていること、4)IA taskにより抑制性シナプスも増強されるが、
これがアセチルコリン受容体であるニコチニック受容体により仲介されていること、5)IA taskによる興奮性シナプス
増強と抑制性シナプス増強には正の相関があることが見いだされた(Mitsushimaら2011; 2013)50),51)。本動物モデ
ルを用いることによって新薬スクリーニングが可能となった。
4) AMPA受容体シナプス移行促進による脳卒中リハビリテーション効果促進薬の開発
脳卒中により、多くの患者が運動機能不全に陥る。現在の治療では社会復帰率、日常生活を介護なしで営める
ようになる率は極めて低く、社会的負担は甚大である。また、急性期治療の進歩により脳卒中により死亡する例が
減少した一方で、その後の後遺症によるQOLの低下がより大きな社会問題となっている。脳卒中後のリハビリテ
ーションによる回復過程には脳の可塑的変化が大きな役割を果たしていることが明らかになっている。例えば、右
手が麻痺した場合、脳卒中により右手を動かすために必要な脳領域が損傷されることが原因となるが、そのリハビ
リテーションによる回復過程においては本来右手を動かすことに使われていなかった脳領域に可塑的な変化が
おこり、神経回路の再編成が起きることにより、右手を動かすことが可能になる場合もある。神経可塑性の分子細
118
胞メカニズムに一つがAMPA受容体のシナプス移行であるが、本拠点は富士フイルム、富山化学工業と協働で、
「AMPA受容体シナプス移行促進薬」を発見した(図30)。この化合物を脳卒中モデル動物に投与し、リハビリテー
ションを行うと、その効果が促進されることが明らかになった。その際のAMPA受容体のPTMの変化も本拠点の技
術により明らかになっている。また、本化合物の結合蛋白質のひとつが本拠点において先進的な研究が進んで
いるprotein Xであることも明らかになり、protein Xのノックアウトマウスにおいては本化合物のリハビリテーション効
果促進作用が見られない。リハビリテーション効果促進薬としての本化合物はこれまでにない概念の薬剤であり、
劇的なリハビリテーション期間の短縮、寝たきり介護率の減少、社会復帰率の向上、脳卒中治療プロトコールの
抜本的改変、薬剤の海外への輸出などの、本邦の医療支出削減、収入増加をもたらす巨大な社会波及効果が
期待される。本化合物の発見は、AMPA受容体シナプス移行のin vivo検証系のバックグラウンドが強い本学と多く
の化合物を有する富山化学工業との産学連携でなければなし得なかったものであり、産学連携を基本とする本
拠点形成の理念の模範となるべきものである。また、学術的進歩の最先端を担う「学」と産業化を専門とする「産」
が連携していく、「産学連携」の重要性を世に示すものであり、その意味でも本拠点の成果として大きなものであ
る。
図 30.化合物 A によるリハビリテーション効果の促進
脳卒中による脳損傷後、化合物 A を投与することにより、非損傷部位の AMPA 受容体のシナプス移行が促進され、リハビリテーショ
ン効果が劇的に促進される。
3.今後の研究方針
霊長類(カニクイザル)において本化合物が同様の効果を持つか否かを検討し、ヒトでの有効性を確認するため
の臨床試験準備を進めていく。10年以内の製品化を目指す。さらに、AMPA受容体のPTM変化をスクリーニング
のパラメーターとして第2世代、第3世代のより薬効が高い化合物の開発をおこなう。
「CRMPのバイオマーカー及び創薬ターゲットとしての有用性」
1.研究の背景と目的
脳の発生と分化に続く神経回路形成の過程において、様々な機能分子のPTMは重要な役割を担っている55)。
CRMP (collapsin response mediator protein)は、発生期において、最も主要なリン酸化修飾蛋白質である。本研
究は、修飾異常蛋白質候補、CRMPが精神神経疾患の新たなバイオマーカーとなる可能性を、より国内外のヒト
検体を用いて探ること、遺伝子改変マウスを用い、CRMPの修飾異常と疾患との関連を検討すること共に、精神神
経疾患のみならず、CRMPのバイオマーカーないし創薬ターゲットの可能性を悪性腫瘍にまで広げ、検討するこ
とを目的とする。
2.主な研究成果
119
これまでの成果は、大別して、1)crmp遺伝子欠損マウスの表現型解析とリン酸化修飾の役割、2)CRMPが媒介
する神経ガイダンス分子セマフォリン3A (Sema3A)に関するシグナル伝達機構の解析、3)CRMP及びセマフォリン
に関するヒト検体における解析について、4)1~3)以外の拠点内を中心とする共同研究、の4つに集約される。以
下に各々について概要を記載する。
1) crmp遺伝子欠損マウスの表現型解析とリン酸化修飾の役割
1)-1 CRMPファミリー分子CRMP1~5のすべてのcrmp遺伝子欠損マウスを作製・維持・管理し、それらの表現型を
解析してきた。CRMPファミリー分子CRMP1-5のうち、すでに、CRMP3を除くすべてのcrmp遺伝子欠損マウスを作
製し、その表現型を解析した。その結果、CRMP1, CRMP4, CRMP5には、海馬、大脳皮質、小脳などにおける神
経細胞の樹状突起やスパインの形態形成異常とシナプス伝達の障害が存在することが明らかとなったCRMPファ
ミリー分子間に各々の発現分布や機能的相違が認められた(Yamashitaら2012a)。crmp1遺伝子欠損マウスの行
動における網羅的な表現型解析を行い、同マウスが行動の過活動、プレパルスインヒビションの減弱、メタンフェ
タミンに対する前頭前皮質におけるドパミン遊離応答の増大、自発運動亢進作用の増強など、行動学的、薬理
学的、生理学的な観点から、陽性症状を示す統合失調症の一つのモデルとなることを示した( Yamashitaら
2013)。
1)-2 アルツハイマー型認知症の患者剖検脳において、神経原線変化を来す部位に高度なリン酸化修飾を受け
たCRMP2が集積する。本病態発症との関係性を検討するため、急性マウスモデルにおいて、Aβ脳室内投与が、
リン酸化CRMP2レベルの上昇を惹起するか否かを検討した。Aβ脳室内投与は、投与されたマウスの認知機能
の低下や海馬切片における長期増強 (long term potentiation, LTP) の抑制効果を示すと共に、CRMP2S522に
おけるリン酸化修飾を惹起することを新たに発見した(Isonoら2013)。これらのAβ効果が、CRMP2のリン酸化修
飾を介するものであるか否かを検討するため、新たにCRMP2S522A (非リン酸化CRMP2)ノックインマウスを作製し、
同効果の有無を検討した。野生型マウスで認められたAβ脳室内投与の認知機能低下、LTP抑制効果は、
CRMP2S522A ノックインマウスにおいては完全に消失することを見いだした。この結果は、アルツハイマー病に
おける最も重要とされる原因分子Aβの脳機能に及ぼす作用が、CRMP2のS522におけるリン酸化修飾を介する
ものであることを証明する画期的な成果である(Isonoら2013)(図31)。
1)-3 Aβ→CRMP2リン酸化→Aβ毒性発現という経路が存在することは、CRMPのリン酸化修飾が、アルツハイマ
ー病のバイオマーカーや治療標的となる可能性を示唆する。
図31.ベータアミロイドの効果はCRMP2のリン酸化を介して起こる
2) CRMPが関わる神経ガイダンス分子セマフォリン3A (Sema3A)に関するシグナル伝達機構の解析
2)-1 CRMP-FilaminAの相互作用について、従来得られた知見をもとに、Sema3A-CRMP-Filamin伝達系で作動
するシグナルについてのモデルを提示した。CRMP1はFilamin-AのN末端アクチン結合部位とC末端Ig24の双方
に結合すること、CRMP1のArg245~Asn247領域がFilamin-Aとの相互作用に関与すること等が明らかとなった。
さらにCRMP1がCdk5によりSer522においてリン酸化修飾を受けるとFilamin-Aへの相互作用が強くなることが、野
生型に比し、リン酸化摸倣型CRMP1(Ser522Asp)のFilamin-Aへの親和性がより高いことから推測された。原子間
顕微鏡による観察により、CRMP1-Filamin-A相互作用が、両複合体の構造を大きく変化させることが明らかとなっ
た。またFilamin-AとF-actinの相互作用をSema3A刺激がCRMP1を介して減弱化することを見いだした。これらの
結果から、Filamin-AはSema3A-CRMP1からF-actinを制御する重要な情報伝達分子であることが示された。既に
120
CRMP1 、 Filamin-A 分 子 内 の 相 互 作 用 部 位 を 決 定 し て い る こ と か ら 、 今 後 は こ れ ら の 部 位 を 標 的 と し た
CRMP1-Filamin-Aの相互作用抑制化合物のスクリーニングを予定している。Sema3A等の神経突起抑制因子の
作用を阻害する薬物の開発につながると考えられる。2)-2 Sema3Aを中心とするセマフォリンファミリー分子のシグ
ナル伝達機構として、カルシウムチャネル(Yamaneら2012;Togashiら2008;Nishiyamaら2011)、チロシンキナーゼ
(Uchidaら2009)、チロシンホスファターゼ(Fuchikawaら2009)、チオレドキシン(Morinakaら2011)、ホスファチジル
イノシトール-4-リン酸-5-キナーゼ(Yamazakiら2013)が関わることを示した。
3) CRMP及びセマフォリンに関するヒト検体における解析について
3)-1 CRMPならびに、それらのリン酸化型蛋白質の検出系を確立した。本研究計画は、本学倫理委員会におい
て審査を受け、承認された。これを踏まえ、同検出系を用いて、同蛋白質とそのリン酸化修飾レベルを検出した。
現在、それらのデータと個々の患者の臨床データの照合、解析を行いつつある。
3)-2 乳がん組織において、CRMP2の発現レベルの低下ならびに核内におけるリン酸化CRMP2レベルの増加と
予後との相関性が認められた(Shimadaら2013)。また、セマフォリン4DやCRMP4の細胞・組織における発現レベ
ルが、膵がんの転移・浸潤に影響することが判明した(Hiroshimaら201348);Katoら2011a)。
4) 1~3)以外の拠点内を中心とする共同研究
髄芽種の増殖に関与するといわれる神経特異的な転写抑制因子NRSFは、ヒストン脱アセチル化酵素をリクル
ートするコリプレッサーSin3と結合する。西村研究室と共同で、Sin3の結合活性を指標にスクリーニングして得られ
た化合物が、髄芽腫の増殖抑制効果を示すことを見いだした。
3.今後の研究方針
CRMP2がアルツハイマー病などの精神神経疾患の治療標的及びバイオマーカーとしての可能性をさらに臨床
検体の解析により追究する。またCRMPを高感度で検出する基盤システムの開発においても一定の成果を得るこ
とができた (Hachudaら, 2013)。出口は、アルツハイマー病に対するCRMP2リン酸化阻害薬、抗Sema3A抗体の
開発と統合失調症におけるバイオマーカーとしての評価と臨床応用である。
121
項目4. 免疫疾患診断・治療法開発を目指した研究
「免疫系転写因子の翻訳後修飾と機能解析」
1.研究の背景と目的
平成23年度から開始した本研究課題「免疫系転写因子群の翻訳後修飾と機能解析を基盤とした自己免疫疾
患及びがんの病態解明と治療法開発」は免疫系の転写因子に注目し、PTMの解析やプロテオミクスの観点から
自己免疫疾患やがんの病態を理解し、それに基づいた新規治療薬の開発を行うものである。エーザイが協働機
関として参画している。
免疫は感染症やがんに対する生体防御に必須である。一方、過剰に働くと自己免疫疾患やアレルギーといっ
た疾患を生むこともある。これまで十数年にわたり転写因子による免疫細胞の分化・機能の制御とその分子機構
について研究してきた。中でも転写因子ファミリーInterferon Regulatory Factor(IRF;哺乳動物ではIRF1〜9が存
在)は元々I型インターフェロン(IFN)系の制御因子として同定されたが、現在ではIFN系を超えて、免疫とがん抑
制という生体防御の2つの大きな柱の両者において重要な役割を果たすことが明らかになっている(Tamuraら
Annu Rev Immunol,535:584,2008)。そこで本研究では本拠点の高度な解析技術を用いて、転写因子特にIRFの
作用機序の理解を通じ自己免疫疾患やがんの病態を理解すると共に、転写因子の発現や機能の制御による新
たな治療法の開発を行う。
なお、本協働研究における連携の基本方針は、疾患病態や創薬標的に関する大学側の専門的な知見や解析
技術と、エーザイの持つ大規模な化合物・天然物ライブラリーとHigh Throughput Scrceening(HTS)の技術の融合
を目指し、研究の初期段階から綿密な議論を行い、質の高い基礎研究結果に裏打ちされた創薬という明確な出
口に向けて研究を進めることである。PTM・プロテオミクスを中心とした拠点内の様々な技術を充分に活用するこ
とは言うまでないが、有用性が増しているバイオインフォマティクスの推進も重視している。
2.主な研究成果
自己免疫疾患については平野拠点長らの協力による質量分析や免疫疾患研究チームの分担研究者梁明秀
教授らの協力によるαスクリーンを用いて、疾患との関連が考えられる候補IRFのPTMとその責任酵素を網羅的
に同定した。そして、疾患モデルマウスや遺伝子欠損マウスを用いて、当該IRFの選択的な機能調節が自己免疫
疾患の新たな治療に繋がることを見いだした。さらに当該転写因子の機能を指標とした化合物スクリーニングに
最適な細胞・刺激・機能評価方法を詳細に検討、計画を前倒しして細胞評価系の構築を完了した。現在エーザ
イにてHTSのための最終的な条件検討を行っている。以上についてはすべて未発表データであるため、以下本
稿では慢性骨髄性白血病(Chronic Myeloid Leukemia;CML)に対する創薬標的としての転写因子IRF8について、
樹状細胞(dendritic cells; DC)分化や機能の観点で行った研究成果(Watanabeら2013)61)を中心に述べる。
CMLは成人白血病の十数%を占め、9番と22番の染色体転座によって生じるBCR-ABL融合遺伝子から恒常的
チロシンリン酸化酵素活性をもつ210 kDaのBCR-ABLが産生されることが病因である。好中球増加や脾腫を特徴
とする数年の慢性期を経て、無治療の場合は未熟な芽球が増加する致死的な急性転化を生じる。近年、
BCR-ABLに対する分子標的治療薬のチロシンリン酸化酵素阻害剤(tyrosine kinase inhibitors;TKI)の開発によ
り、CML患者の予後は劇的に改善した。しかし、TKIに抵抗性のBCR-ABL変異体(特にT315I)の出現や、TKIは
白血病幹細胞に対して作用しにくいため、内服を中止すると高率に再発するなどの問題点がある。また、本来
CMLは抗腫瘍免疫に対して感受性が高いが、TKI自体が抗腫瘍免疫に重要であるT細胞やDCの機能を抑制す
るという問題もある。以上の理由からCMLに対する新規治療法の開発が望まれている。
IRF8は免疫細胞の分化や機能を制御する血球系特異的転写因子である。これまでにIRF8がマウスのDCや単
球などの分化に必須である一方、ミエロイド細胞の増殖や好中球の分化を抑制することを示してきた(Tamuraら
Annu Rev Immunol, 535:584, 2008; Yamamotoら2011など)62)。Irf8欠損マウスは単球やDCの分化障害による免疫
不全状態と、好中球増加、脾腫や急性転化などCML様病態の両方を呈する。ヒトにおいても原発性免疫不全症
の原因の一つにIRF8遺伝子の変異が知られ、また、CML患者ではIRF8の発現量が著しく減少している。さらに興
味深いことには、CML患者におけるDC数の減少が報告されている。以上の知見より、IRF8とCMLは拮抗関係に
あると考えられるが、DCという面からの解析はいまだなされていない。そこで本研究では、IRF8とDCという観点で
CML病態を理解し、治療標的としてのIRF8の可能性を評価するための解析を行った。
1) CMLモデルマウスにおけるDC分化不全とIRF8発現抑制
122
BCR-ABLを遺伝子導入したマウス造血幹細胞を放射線照射後のマウスに移入しCMLモデルマウスを作製し
たところ、脾腫と好中球の増加が予測通り観察されたのに加えて、DC分化が前駆細胞の段階で障害されDC数
が著しく減少していることが見いだされた。また、CMLモデルマウス由来細胞ではIRF8の発現が強く抑制されてい
ることが確認された。
2) CMLにおけるDC分化障害とIRF8発現低下の因果関係
マウス骨髄から造血前駆細胞を分離しBCR-ABLを遺伝子導入し、DCへと分化誘導する試験管内DC分化系
を用いて解析した。BCR-ABL導入によってDC分化とIRF8発現が著明に阻害されたが、IRF8の強制発現により
T315I変異体を含めたBCR-ABLによるDC分化障害が回復することを見いだした。BCR-ABLのリン酸化酵素活性
はIRF8によって抑制されてはいなかった。
3) IRF8で救済したBCR-ABL陽性DCの機能解析
遺伝子発現プロファイリングにより、IRF8の共発現によって分化不全から救済されたBCR-ABL陽性DCは高い
機能性をもつことが予測された。実際、IRF8で救済されたDCはサイトカイン産生能、細胞障害性T細胞誘導能共
に、通常のDCよりもむしろ高いことが明らかになった。
4) TKI等のIRF8発現やDC分化に対する効果
複数のTKI(イマチニブ, ニロチニブ, ダサチニブ)、HDAC阻害剤、DNAメチル化阻害剤やSTAT5阻害剤のう
ち、イマチニブやニロチニブは不完全ながらIRF8の発現を部分的に回復させDCの分化も部分的に救済した。し
かし、イマニチブによって分化が救済されたDCではその機能が正常DCに比べて低下していた。また、IRF8によ
って分化を救済したBCR-ABL発現DCをイマニチブ処理すると、サイトカイン産生能、細胞障害性T細胞誘導能
の増強が消失した。
CMLによるDC分化障害の原因はBCR-ABLによるIRF8の発現抑制であることが明らかとなった。IRF8で分化を
救済すれば、BCR-ABLはむしろDC機能を高める作用を発揮する。IRF8の機能や発現を選択的に回復させる新
規薬剤が開発できれば、細胞増殖や好中球へ偏寄した分化の抑制に加えて、DCの分化が回復し機能が増強さ
れることで抗腫瘍免疫が発動する、次世代CML治療法へと繋がる(図32)。
新しい治療戦略:選択的
に*を改善する薬剤開発
慢性骨髄性白血病
*
転写因子
IRF8量の低下
転写因子
IRF8量の回復
がん遺伝子
BCR-ABL
がん遺伝子
BCR-ABL
‘免疫の司令塔’
樹状細胞の
っっっっzああああああああ
産生低下
‘免疫の司令塔’
樹状細胞の
っっっっっっっざ
産生回復・機能増強
白血病細胞への
がん免疫低下
の可能性
白血病細胞への
がん免疫増強
の可能性
図 32.慢性骨髄性白血病の新しい治療戦略
CMLで低下した転写因子IRF8量を回復させ、分化を救済すれば、がん遺伝子産物BCR-ABLはむしろDC機能を高める作用を発揮
する。
その他、IRF8による単球分化誘導機構(Kurotakiら2013)58)、好中球分化抑制機構やアレルギーに重要な好塩
基球の分化における役割などを解明した。単球分化に関する発見においては本拠点の分担研究者松本直通教
授らの協力により次世代シーケンサー解析を用いた全ゲノムクロマチン免疫沈降法を確立し用いた。また上記全
ての発見において網羅的大量データのバイオインフォマティクス解析による「予測」と実験による「検証」を重視し
た。バイオインフォマティクスについては本拠点で先端医科学研究センターに新たに開設したバイオインフォマテ
ィクス解析室としても推進を図り、バイオインフォマティクス研究会(6月時点で計13回開催)などによって他の協働
123
機関を含む本拠点の研究者に向けて手法の紹介を行うと共に、解析サーバーの導入、解析ツールの整備やバイ
オインフォマティクスポータルサイトの開設を行った。
大学と協働機関の間においては、日常的なe-mailや電話による議論に加え、定期的に大学とエーザイから計20
名程が集って行う研究会議(於エーザイ筑波研究所・本社あるいは横浜市立大学)を研究開始から3年あまりの
間に11回行ったり、本研究室の担当者がエーザイ筑波研究所を訪問してエーザイの担当者と共にHTSの準備を
行ったりするなど、常に研究の進捗状況を共有し方針を決め、綿密な連携が行えている。
なお企業との協働には至っていないが九州大学との共同研究によって、IRF8やIRF5が中枢神経系におけるマ
クロファージ様細胞であるミクログリアの活性化を引き起こすことが神経障害性疼痛発症の鍵であることも見いだし
ている。
3.今後の研究方針
当プログラムの終了までに対象疾患一つ以上について新規治療薬開発のための化合物スクリーニング、リード
化合物の獲得を目指す。転写因子の発現や機能の制御機構の詳細を明らかにして薬剤の直接標的を定めて行
う創薬と、転写因子の発現や機能のモニター法を確立し広く化合物をスクリーニングして行う創薬を並行して進め
る。上記の通りすでに自己免疫疾患についてスクリーニング系を確立したので、今年度中にもHTSを開始する。
新規薬剤の販売は臨床試験など当プログラム終了後も長期間を要するが、平成39年度を目標としている。
「無細胞蛋白質合成系を用いたエイズウイルス及び B 型肝炎ウイルス複製阻害剤の開発」
1.研究の背景と目的
エイズの病原ウイルスであるヒト免疫不全症ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)の感染者は世界中
で3千万人を越えており、毎年ほぼ250万人が新たに感染している。多剤併用療法の出現によりウイルス複製をあ
る程度制御することが可能になったが、一方でその長期服用による副作用や薬剤耐性株の出現等が大きな問題
となっている。このため、新規作用機序をもつ抗HIV-1薬の開発は、重要かつ緊急の社会的要請である。宿主因
子によるHIV-1蛋白質のPTMは、ウイルス複製の各ステップにおいて極めて重要な役割を果たすことが示唆され
ているが、その詳細な分子機構についてはいまだ不明である。本研究では、無細胞蛋白質合成系とアルファスク
リーンを融合した新規の蛋白質相互作用アッセイ系を構築し、上記のPTMに関連する因子の同定及びウイルス
複製や病原性発現との関連について考察し、宿主因子-ウイルス相互作用を標的とした新規HIV-1/AIDS治療薬
の開発を目指す。さらには、蛋白質PTMを基盤とした新規のB型肝炎治療薬の開発を行う。
2.主な研究成果
これまで本拠点ではセルフリーサイエンスと協働で、合成が難しいとされていたHIVをはじめとする種々のウイ
ルス感染症関連蛋白質の合成57)、各種解析用高品質モノクローナル抗体作製法の開発60)、さらに様々な相互作
用因子をスクリーニングするためのアッセイ系構築から解析、阻害剤スクリーニングに成果を挙げてきた。具体的
には共同開発したレトロウイルス感染阻害薬の効率的なスクリーニング法、及び内在性抗レトロウイルス因子
APOBEC3G (以下A3G)の活性化に伴うウイルス感染阻害薬の探索を実施した(図33)。その結果、A3Gの抗ウイ
ルス活性を促進し、HIV複製を効果的に抑制する化合物群を見いだした。これらのレトロウイルス感染阻害候補
化合物は、ウイルス遺伝子の耐性変異に左右されない新たな抗HIV薬を提供することが可能であり、新規創薬に
向けた研究開発の加速化が期待できる。
124
図33.ウイルスアクセサリー蛋白質による宿主蛋白質のユビキチン化と本機構を利用した新規抗ウイルス剤の
開発
また、本拠点においてHIV-1創薬研究のノウハウを活用し、B型肝炎ウイルスの複製阻害剤の開発や疾患関連
蛋白質のPTMを司る責任酵素の迅速同定法の開発などの研究を実施した。B型肝炎ウイルスは世界中で20億人
が感染しており、毎年60万人がB型肝炎による肝硬変や肝がんで死亡する。現在、使用されているヌクレオシド誘
導体に対しては耐性ウイルスが出現しており、新たな薬剤の開発が急務となっている。セルフリーサイエンスとの
共同研究により、コムギ無細胞蛋白質合成系を活用した新たな抗HBV薬剤アッセイ系の構築に成功した。これら
により HBV逆転写酵素阻害剤スクリーニングやHBVの侵入阻害剤スクリーニングが簡便かつ迅速に実施できる
ようになった。本アッセイ系を用いて、国立感染症研究所と共同でHBVの細胞への侵入を阻害する薬剤のスクリ
ーニングを実施した。その結果、HBVの侵入を阻害する優れた治療効果を示す3つの化合物を選別した。今後、
本拠点において上記研究成果の実用化に向けた創薬開発研究をさらに加速させたい。
本拠点では、これまでセルフリーサイエンスの協力を得て無細胞蛋白質合成系の構築とその利用を目指した研
究部門の設置を進めてきたが、同社が本格的に拠点形成事業に参入したことで、無細胞蛋白質合成技術を基盤
とする拠点形成が加速度的に進展すると考えられる。本拠点における具体的な研究支援として、全長ヒトcDNAラ
イブラリーの維持・供与、蛋白質の合成・精製、in vitroアッセイ系の構築等の研究支援、疾患関連蛋白質のPTM
を司る責任酵素の同定解析などが挙げられる。
(協働機関:セルフリーサイエンス)
3.今後の研究方針
本研究は、エイズ及びB型肝炎に対する新規の治療薬候補化合物の創出を目指している。過去5年間には数
万を超える化合物の中から生物機能制御活性を有するヒット化合物を迅速に見いだすin vitroアッセイ系を構築
し、生理活性を有する物質の探索を行ってきた。上記の基盤研究により見いだされた抗ウイルス作用を有するヒッ
125
ト化合物について、協働機関と協働で周辺化合物の構造活性相関情報を得ると共に、 構造最適化へ向けた連
携を強化させることで、実用化に向けた創薬開発研究をさらに加速させる。また、難治性ウイルス疾患の分子病
態を解明することで、新たな創薬ターゲットを見いだし、革新的な医薬品開発に発展させる。
126
項目5.構造解析・薬物設計
「疾病関連エピゲノム因子の構造解析と疾病治療化合物のNMRスクリーニング技術の開発」
1.研究の背景、目的
がん細胞の増殖や神経疾患に関連して最近クロマチン構造の変化が重要視されるようになってきた。クロマチ
ン構造の変化は遺伝子の発現制御にかかわりエピゲノム情報としてヒストンの化学修飾に関連している。特にヒス
トンのアセチル化、脱アセチル化、メチル化、リン酸化等の翻訳後修飾がクロマチン構造を変化させ遺伝子の発
現を制御する。これらの構造変化による制御異常は様々な重篤な疾病に関連する。
本研究では神経前駆細胞等で疾病関連エピゲノム因子であるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を神経特異
的にリクルートするSin3とNRSFの結合を阻害し髄芽腫や神経疼痛や線維筋痛症の治療候補化合物の開発を目
指す。また、ヘテロクロマチン形成は細胞の分化や初期化やがん細胞増殖に関連するが、RNA干渉とヘテロクロ
マチン形成に関与するメチル化ヒストン結合蛋白質Chp1の構造解析およびがん増殖に関連するヘテロクロマチ
ン蛋白質でメチル化ヒストン結合蛋白質HP1のリン酸化体と非リン酸化体の構造解析を行い、各々の機能発現部
位を同定するとともに機能制御機構を分子的に解明し、疾病の治療候補化合物の基盤技術を開発する。
2.主な研究成果
1) mSin3に結合して神経特異的転写抑制因子NRSFの結合を阻害する化合物の設計と神経疼痛や線維筋痛症へ
の治療効果
様々な神経疾患の原因蛋白質と考えられている神経特異的転写抑制因子NRSFはコリプレッサーSin3と相互作
用してヒストン脱アセチル化酵素をリクルートし、約1000種類の神経特異的な遺伝子の発現を神経前駆細胞等で
抑制している。正常な神経細胞でNRSFが過剰発現し、核内に移行すると、神経特異的な遺伝子の発現が抑制さ
れハンチントン舞踏病や髄芽腫や神経疼痛等の様々な神経疾患が生じる。よってNRSFのSin3への結合を阻害す
る化合物はこれらの神経疾患の治療候補化合物となりうる。これまでに解析したSin3とNRSFの複合体構造に基づ
いたin silicoスクリーニングの結果、Sin3に対するNRSF結合を阻害する化合物の候補リストの中から226種類の化
合物を導入した。Sin3との結合活性をこれまでの研究で開発したフロー型NMRの自動測定によりラフなスクリーニ
ングを行った結果、Sin3結合候補化合物27個を同定した。そして、27個の化合物各々についてNMRのSTD実験
を行い、相互作用は弱いながらも4化合物を同定した。本学医学部の五嶋研究室との共同研究で結合活性を示
した3化合物の髄芽腫培養細胞株への効果を調べたところ、そのうちの2個の化合物で髄芽腫培養細胞の阻害効
果が見られた。髄芽腫で効果があった化合物を長崎大学の植田研究室との共同研究により神経疼痛モデルマウ
スで効果を確認したところ、神経疼痛モデルマウスでも効果を認めることができた化合物がありPCT出願を行った。
今回の基本構造を基にして合成展開を名古屋市大薬学部の宮田研究室との共同研究で行い、合成した新規化
合物をNMRのSTD実験でSin3との相互作用を確認し、確認された化合物について五嶋研究室で髄芽腫に対する
効果を確認し、これら新規化合物についてもPCT出願の中に追加した。
さらに図34に示すように長崎大学の植田研究室との共同研究で神経疼痛モデルマウスだけではなく線維筋痛
症モデルマウスでの効果を確認したところ、いくつかの化合物で繊維筋痛症モデルマウスに治癒効果があること
が判明し、特許出願を行った。化合物の合成展開を引き続き名古屋市大の宮田研究室と共同研究で行い、NMR
のSTD実験で相互作用を確認し、その中の新規化合物について長崎大学の植田研究室で繊維筋痛症モデルマ
ウスに効果があるものが新たに確認できた。今まで神経疼痛モデルマウスや線維筋痛症モデルマウスで効果があ
った化合物に基づいて産業技術総合研究所の福西研究室で新たに化合物の最適化をコンピュータ上で行った。
コンピュータで最適化できた化合物の合成を現在福西研究室で検討している。
127
図34.線維筋痛症モデルマウスに対する化合物の治癒効果
全く別途にSin3に結合したNRSFの構造に基づいた新たな化合物の設計をベンチャー企業と共同で行った。そ
の化合物についてもNMRでのSTD実験を行い、線維筋痛症モデルマウスでの効果を確認し、新規骨格でも効果
が確認できた。現在新規骨格を基に網羅的な化合物の設計と合成をベンチャー企業と共同で行い、本拠点で網
羅的NMRのSTD実験を行っている。NMRで結合が確認された化合物に関して線維筋痛症モデルマウスでの治療
効果を確認し、また、化合物のNMRによる結合能の評価と繊維筋痛症のモデルマウスに対する治癒効果の相関
を調べ、NMRスクリーニングの効率を高め、NMRシグナルの変化に基づいた新たな薬物設計を行った。
Sin3とNRSFの相互作用は構造生物学的にも特異である。Sin3のNRSF結合ドメイン(PAH1ドメイン)は単独では
構造が揺らいでいて、NRSFのSin3結合ドメイン(N末端ドメイン)は単独では天然変性状態である。大阪大学の肥
後研究室との共同研究によりNRSFのN末端ドメインは結合構造を含む様々な構造で揺らいでいて(ポピュレーショ
ンシフトモデル)、各構造体がPAH1の表面に結合し、最終的に結合型になること(誘導適合モデル)をマルチカノ
ニカルMD計算で示した。さらにこれまでに見いだしたSin3結合化合部物をPAH1ドメインに結合させMD計算を行
い化合物の結合表面を調べ、さらに化合物の最適化を行っている。
2) ヘテロクロマチン形成蛋白質のメチル化ヒストン認識とncRNAとの相互作用
ヘテロクロマチン形成はがん化や細胞の初期化などが重要である。ヘテロクロマチンのマーカーはヒストンH3の
9番目のリシンのメチル化(H3K9me)である。ヘテロクロマチン形成因子のChp1はH3K9meに結合すると共に
ncRNAと相互作用してヘテロクロマチンを確立する。Chp1のクロモドメインがH3K9meを認識するが、図35に示す
ようにH3K9me複合体中でクロモドメインのN末端にある天然変性領域で短いヘリックス形成が誘導され、その部
位がセントロメアのncRNAと相互作用をすることをはじめて見いだした(Ishidaら2012)。それまで報告されていた結
晶構造ではクロモドメインのN末端部位は削除されていた。クロモドメインのN末端に存在する天然変性領域が
ncRNAとの相互作用上重要な役割を担っていることを明らかにした。さらにヘテロクロマチンの維持に関与する
Swi6のクロモドメインのフリーの構造を解析し、Swi6のクロモドメインはncRNAと相互作用しないことを構造上確認し
た。また、Swi6のホモログで乳がんなどに関連するHP1のクロモドメインのN末端にある天然変性領域がリン酸化さ
れると、H3K9meとの結合が強くなる。リン酸化体と非リン酸化体ではクロモドメイン部分の立体構造は同じであっ
たが、リン酸化によりN末端の天然変性領域の動的挙動が変化した。さらにヒストンH3のリシンの4番目のメチル化
(H3K4me) や36番目のメチル化(H3K36me)を認識するEaf3のクロモドメイン構造を解析し、ヒストンリジンのメチル
化の認識機構を解明しEaf3による遺伝子発現制御機構を解明した。
128
図35. H3K9me複合体クロモドメインの構造
3.今後の研究方針
ヒストンのアセチル化、脱アセチル化、メチル化等はエピゲノムのマーカーとして幹細胞の維持、細胞分化、細
胞初期化などに重要な役割を果たしている。エピゲノムの異常により細胞のがん化や様々な神経疾患が関与する
と考えられ、エピゲノム創薬として急速に研究が進展している。ヒストン脱アセチル化酵素を神経特異遺伝子にリク
ルートするSin3とNRSFの複合体構造に基づき、化合物をin silicoでデザインしNMRスクリーニングを用いて相互作
用を阻害する化合物を見いだし、神経疼痛モデルマウスや線維筋痛症モデルマウスに効果があることを確認した。
これらの候補化合物をさらに構造に基づいた合理的な創薬とNMRスクリーニングの組み合わせと骨格構造からの
網羅的合成とNMRスクリーニングの組み合わせでより効果のある化合物の同定を行っていてNMRスクリーニング
の有効性が確証されている。
「転写因子とその翻訳後修飾を標的とした創薬の基礎的研究」
1.研究の背景と目的
様々な疾患は生体分子の PTM の制御異常によって引き起こされ、これらの疾患に対する診断・治療法の開発
には、PTM に関わる分子の構造情報が重要である。例えば、細胞内情報伝達分子の異常活性化によって引き起
こされるがんや各種生活習慣病に対して、原因蛋白質を標的とした分子標的療法が近年盛んに開発されつつあ
るが(Zhang ら Nat Rev Cancer9:28,2009)、このような治療のアプローチは、分子標的としての酵素の分子構造を
基盤として発展し、大きな成果を挙げている。しかし一方、現在の分子標的療法では標的分子の多くが細胞膜あ
るいは細胞質の酵素、特にリン酸化酵素に限定されており、特定のリン酸化酵素の機能制御異常が関与する疾
患にしか顕著な治療効果を期待できない点が重要な課題となっている。例えば、がんなどのように G 蛋白質や転
写因子など、酵素以外の分子を含む複数の分子変異が関与する細胞システムの異常に起因する疾患では、分
子標的薬が細胞の増殖異常を完全に抑えることができないため、治療効果は限定的となる。それに加え、細胞の
異常増殖に伴う遺伝子の絶え間ない変異などにより生ずる薬剤耐性の問題についても、克服することが困難な
状況となっている(Janne ら Nat Rev Drug Discov 8:709, 2009)。これらの課題に対処するためには、酵素以外の
分子について、蛋白質間相互作用や蛋白質—核酸間相互作用を対象とした分子標的療法の開発が望まれる。
そこで、本研究では、転写因子をはじめとした転写関連蛋白質の PTM による遺伝子発現制御機構を分子構造レ
ベルで解明し、転写因子そのもの、あるいは転写因子の PTM による活性制御に関わる酵素分子を標的とした創
薬を試みることを目的とする。
2.主な研究成果
転写因子は、遺伝子発現制御の引き金となる蛋白質で、多種多様な組み合わせで標的遺伝子のエンハンサー
に結合して転写因子高次複合体(エンハンソソーム)を形成し、転写を制御する(Tahirovら Cell 104:755, 2001;
Tahirovら Cell 108:57,2002; Ogataら Curr Opin Struct Biol13:40, 2003)。エンハンソソームは、さらに、細胞環境
に応じた特異的な細胞シグナルにより、エンハンソソームの構成成分である転写因子がPTMを受けることで形成
が制御され、細胞の分化誘導や細胞の機能発現が惹起される。本研究では、シグナル依存的な転写因子の化
学修飾によるエンハンソソーム形成への影響を分子構造レベルで解明するために、リン酸化によって活性が制御
129
される転写因子で、原がん遺伝子産物であるEts1、及び酸化修飾によって機能制御を受ける転写因子Nrf2に注
目して研究を行った。
1) 転写因子 Ets1 の PTM によるエンハンソソーム形成制御機構の研究及び転写因子を標的とした創薬の試み
リン酸化シグナルカスケードに代表される細胞内 PTM カスケードは、細胞内外からのシグナルを膜受容体から
核内に伝え、遺伝子発現を特異的に制御する役割を担っていると考えられているが、その機構についての分子
構造レベルでの理解はほとんどなされていない。わずかに一部の単一の転写因子について、化学修飾を受ける
ことによって DNA 結合活性や転写共役因子との結合活性が制御される機構が報告されているに過ぎない。しか
し、転写因子は単体で機能することはほとんどなく、複数の多様な転写因子が標的遺伝子のエンハンサーに結
合した高次複合体(エンハンソソーム)として転写制御の機能を発現することから、標的遺伝子のエンハンソソー
ムに対する PTM の作用を解析することが重要と考えられた。
転写因子 Ets1 は、DNA 結合ドメインである Ets ドメインの近傍が特異的にリン酸化されると DNA 結合活性が失
われることから、このリン酸化カスケードは Ets1 を負に制御するシグナルとして考えられていた。ところが T 細胞系
の抗原受容体α/β鎖遺伝子 tcrα/βに着目して、このリン酸化カスケードを惹起する細胞シグナルを加えてみ
たところ、Ets1 は DNA から解離せずにエンハンソソーム内に留まり、転写活性化に寄与することを見いだした。T
細胞では、このリン酸化カスケードは抗原刺激をトリガーとしたカルシウムシグナルに依存するため、T 細胞が抗
原刺激を受けると一種のポジティブ・フィードバックシステムが確立する可能性が考えられた。そこで B 細胞系の
表面受容体 Igα鎖遺伝子 igαや、非リンパ球系のストロメライシン遺伝子 stromelysin 1 など、他の Ets1 の標的遺
伝子について、リン酸化シグナルによるエンハンソソームへの作用を調べたところ、これらのエンハンソソームはい
ずれも解離し、転写は不活性化された。このように、同様の PTM を受けた Ets1 が標的遺伝子の違いによって及
ぼす作用が異なる分子機構は、Ets1 と協調的に作用する転写因子の違いによることも明らかになった。
これらの結果から、PTM カスケードは、PTM を介して転写因子を単に正や負に制御するのではなく、転写因子
の PTM を通して標的遺伝子の「絞り込み」を行っていることが考えられた。さらに、これらの機能解析を踏まえ、tcr
α エ ン ハ ン サ ー 上 に お い て 、 Ets1 と 協 調 的 に 作 用 す る 転 写 因 子 Runx1-CBF β ヘ テ ロ 2 量 体 を 含 む
Ets1-Runx1-CBFβ-DNA 複合体の分子構造(分解能 2.3 Å)をX線結晶構造解析により決定し、Runx1 による
DNA を介した Ets1 のアロステリック制御機構を解明した 67)(JMB, in press)。現在、Ets1 や Runx1-CBFβと共に天
然の tcrαエンハンソソームを形成する他の転写因子も含め、翻訳後修飾による tcrαエンハンソソーム形成制御
の機構の全容解明を目指し、 Runx1-Runx1-DNA 複合体(分解能 2.3 Å)(投稿準備中)、Runx1-CBFβ
-LEF1-DNA 複合体(分解能 3.1 Å)、(Runx1-CBFβ)2-Ets1-DNA6者複合体(分解能 3.8 Å)などの解析を継続
している。
一方、上記の解析と並行して、得られた分子構造情報を基に、インタープロテインとの共同研究により、転写因
子 Runx1 を標的とした阻害薬のデザインに着手している。Runx1 は、急性白血病において最も高頻度に変異が
認められる分子として知られており、薬剤標的として古くから注目されてきた分子であるにも関わらず、他の転写
因子を標的とした創薬の試みと同様、これまでに成功例の報告はない。本研究では、Runx1 を標的とした創薬は
従来法では難しいと考え、新規の創薬方法である INTENDO 法による薬剤デザインを試みている。インタープロテ
インによって独自に開発された INTENDO 法は、分子構造を基に 3D プリンターによって作製した高精度の分子
模型を用いて薬物の標的部位を絞り込むもので、活性を有する候補薬物の同定に高い確率で成功した実績をも
つ。現在、Runx1-CBFβ-DNA 複合体の模型を作製し、絞り込んだ標的候補部位に対する in silico スクリーニン
グを行っている。
2) 転写因子 Nrf2 による標的遺伝子発現制御機構の研究及び分子構造に基づく転写因子を標的とした創薬の試
み
PTM シグナルカスケードによる遺伝子発現制御の機構研究において、もう一つの解析対象として細胞の酸化ス
トレス応答をテーマに研究を進めている。酸化ストレス応答とは、本来還元的環境下にある細胞内が、酸化物質
などの作用により酸化状態に傾いた場合(これを酸化ストレスという)、抗酸化蛋白質群や解毒酵素群などの酸化
ストレス応答遺伝子の発現誘導により還元的環境を維持しようとする細胞の防御反応のことである。酸化物質に
対する細胞のセンサーとなる分子としては細胞質に存在する Keap1 蛋白質が知られており、酸化ストレスがない
状態では Keap1 は抗酸化ストレス遺伝子の発現を誘導する転写因子 Nrf2(NFE2L2)と結合し、ユビキチンリガー
ゼとして Nrf2 を不活性化している。酸化ストレス存在下では、Keap1 のシステイン残基が酸化物質による PTM を
受けることで Nrf2 が Keap1 から遊離して核内に移行し、Nrf2 は協調的に働く様々な転写因子と共に標的遺伝子
130
上でエンハンソソームを形成し、酸化ストレス応答遺伝子の転写が誘導される。Keap1 や Nrf2 の機能不全による
酸化ストレス応答の異常は、がんの他、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患、
動脈硬化などの心血管障害、糖尿病などの代謝性疾患など、様々な疾患の進展に関与していることが報告され
ている。また、最近では、肺がんをはじめとした各種のがんにおいて Nrf2 の異常活性化が認められ、これにより、
がん細胞が、抗がん剤のもつ細胞障害作用に対して耐性を獲得し、患者予後の悪化につながることが報告され
ており、治療薬の標的としての Nrf2 への注目が高まっている。
そこで本拠点では Nrf2 を標的としたがん分子標的療法の開発を目指し、Nrf2 を含むエンハンソソームの形成制
御機構の研究を行っている。Nrf2 は、MafG をはじめとする様々な塩基性ロイシンジッパー(bZIP)型転写因子とヘ
テロ2量体を形成し、標的遺伝子のエンハンサー領域に存在する ARE(Antioxidant Response Element)と呼ばれ
る DNA 配列に結合し、標的遺伝子の発現を誘導する。これまでに、MafG ホモ2量体(Nrf2 非存在時における不
活性化型)が強く結合する MARE 配列(MAf-Recognition Element)を含む DNA 及び第2相解毒酵素 nqo1 エンハ
ンサーに見られる天然型 ARE を含む DNA のそれぞれと、Nrf2-MafG ヘテロ2量体との複合体の X 線結晶構造
解析を行い、CNC ドメイン及び bZIP 構造を有する Nrf2 が MafG や DNA と相互作用する様式を明らかにした。さ
らに、得られた分子構造を基に、Nrf2 を標的とした薬物を探索する目的で、大阪大学蛋白研の中村春木教授の
研究グループとの共同研究により in silico スクリーニングを行い、Nrf2 の DNA 結合を阻害する候補化合物をリスト
アップした。これらの化合物について、国立がんセンター太田力室長の研究グループとの共同研究により、細胞
を用いて候補薬物による標的遺伝子の発現を阻害する活性を評価した結果、肺がん細胞において酸化ストレス
応答遺伝子の発現上昇を抑える2種類の化合物を見いだしている。
図 36.Est1 のリン酸化による標的遺伝子選択
DNA を介したアロステリック制御により、Ets のリン酸化による標的遺伝子選択が起きる。
3.今後の研究方針
本研究では、PTMによる転写制御機構の分子構造学的研究を基盤とし、これまでに成功例のない、転写因子
を標的とした創薬研究に取り組んでいる。Runx1を標的とした阻害薬については、INTENDO法に基づくin silicoス
クリーニングに続いて、in vitroでの化合物スクリーニングを行い、表面プラズモン共鳴法や核磁気共鳴(NMR)法
により相互作用を確認し、白血病ヒト化マウスなどを用いたin vivoでの抗腫瘍活性の検討を計画している。Nrf2を
標的とした阻害薬については、一般的手法としてすでに確立されている抗がん薬感受性テストを応用し、細胞の
抗がん薬感受性への候補薬物の効果を検討する計画である。これらの2つの研究をモデルケースとして、企業と
連携して転写因子を標的とした創薬への道を開くことを目指している。
「疾患関連蛋白質のX線結晶構造の解析」
1.研究の背景と目的
ヒストンのPTMや神経再生に関与する蛋白質及びそれらのターゲット蛋白質との複合体のX線結晶構造解析
を通じて、PTMの異常による疾患の治療薬や神経再生を促進する化合物を創成することを目的とする。具体的に
は、
131
1) PTMの異常によって発病する関節リウマチの原因蛋白質PAD4の活性阻害剤及びPAD4と相互作用する抗
PAD4抗体を創成し、関節リウマチの新規治療薬の開発を目指す。
2) 脳脊髄の神経再生を阻む作用を抑制する新規分子(LOTUS)とNogo受容体との複合体のX線結晶構造解析
を行い、両者の相互作用を阻む化合物(神経再生を促進させる化合物)の創成を目指す。
3) Sema3A(脊髄後根神経節の突起伸長を制御する神経ガイド分子)細胞内情報伝達を媒介する分子として同定
されたCRMP1(Collapsin response mediator protein)とアクチン結合蛋白質Filamin-Aとの複合体のX線結晶構造
解析を行い、両者の相互作用を阻害する化合物(神経再生を促進させる化合物)の創成を目指す。さらに、
CRMP2とサイクリン依存性キナーゼ5 (Cdk5)との複合体のX線結晶構造解析を行い、アルツハイマー病患者に認
められる過剰なCRMP2のリン酸化を阻害する化合物の創成を目指す。
2.主な研究成果
1) これまでに合成された第一世代のPAD4阻害剤とPAD4との複合体のX線結晶構造解析結果に基づいて、これ
までよりも10倍阻害効果の高い第二世代のPAD4阻害剤の設計・合成に成功し、その強い阻害機構を構造科学
的に明らかにした(図37)。
図37.PAD4との相互作用
さらに、PAD4の活性部位近傍の天然変性領域をエピトープにした4種類の抗PAD4抗体を作製し、これを混合
して関節リウマチモデルマウス(D1CCマウス)の腹腔内に投与し、関節炎発症の抑制効果を定量的に解析した。
その結果、作製した抗PAD4マウスモノクローナル抗体は、新規関節リウマチモデルマウスに対して有意に治療効
果を示すことが示された。さらに、この4種類の抗PAD4抗体それぞれを大量に作製して、それぞれの抗PAD4抗
体の特性を解析した。その結果、4種類のうち2種類の抗PAD4抗体が、PAD4に対する酵素阻害活性と相互作用
(ELISA)及びマウスPAD4に対する特異性において優れた性質を有することが明らかとなった(図38)。
132
図38.抗PAD4抗体のPAD4に対する酵素阻害活性
2) LOTUS、Nogo受容体ともに、相互作用の中心を担う細胞外ドメインに関して、各種発現コンストラクトを作製し、
動物由来の培養細胞を用いて発現をさせた。その結果、LOTUSに関しては、一過性発現において複数のコンス
トラクトで高発現が見られたので、大量発現に向けて安定発現株の構築を開始した。一方、Nogo受容体に関して
は、LOTUSに比べ発現量が十分でないため、今後コンストラクトのデザインも含め、発現手法を再検討する。
3) X線結晶構造解析に向けたCRMP1とFilamin-Aの試料調製を行った。それぞれの蛋白質をGST融合蛋白質と
して、大腸菌BL21(DE3)で大量発現させ、細胞抽出液をアフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換カラムク
ロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて精製した。その結果、Filamin-A(21-274)のコンストラクトに
おいて、発現及び可溶化が良好であり、結晶化に十分な試料を得ることに成功した。一方、CRMP1はFilamin-A
に比べて発現量が少ないが、CRMP1(1-490)では発現量の増加がみられた。最終精製標品で分解が認められ
たので、新たなコンストラクトを構築した。その結果、CRMP1(8-525, S522D)では分解が認められず、結晶化に十
分な試料を得ることに成功した。さらに、CRMP1(8-525, S522D)とFilamin-A(21-274)をモル比1:1で混合し、
CRMP1とFilamin-Aとの複合体の結晶化を試みた。その結果、いくつかの条件で微結晶が得られ、そのうちの1つ
の条件で結晶化条件を精密化した結果、0.1 mm程度の大きさの結晶を得ることに成功した。他の蛋白質に関し
ては、高橋琢哉教授の研究グループによって社会的隔離によるAMPA受容体のシナプス移行障害をrescueする
compound Aのターゲットがprotein Xであることが明らかにされたので、protein Xの発現・精製を開始した。
3.今後の研究方針
1) 4種類のうち2種類の抗PAD4抗体が、PAD4に対する酵素阻害活性と相互作用(ELISA)及びマウスPAD4に対
する特異性において優れた性質を有していることが明らかとなったので、この抗体を病理組織学的にヒトの関節リ
ウマチに酷似した病態を呈するD1CCマウス(MHC Class IIの発現を制御する転写活性化因子CIITAを関節特異
的に発現させたマウス)の腹腔内投与し、関節リウマチ発症抑制効果を観察する。
2) 脳脊髄の神経再生を阻む作用を抑制するLOTUS及びNogo受容体の大量発現系の構築では、LOTUSに関
しては、一過性発現において複数のコンストラクトで高発現が見られので、大量発現に必要な安定発現株の構築
を目指す。Nogo受容体に関しては、LOTUSに比べ発現量が十分でないため、コンストラクトのデザインと発現手
法の再検討を進める。
3) 高度に精製した CRMP1(8-525, S522D)と Filamin-A(21-274)をモル比 1:1 で混合したところ、いくつかの条
件で微結晶が得られた。結晶化条件を精密化した結果、0.1 mm 程度の大きさの結晶を得ることに成功した。今後
は、得られた結晶が CRMP1 と Filamin-A との複合体の結晶であることを確認して複合体のX線結晶構造解析を
目指す。Protein X に関しては、protein X を高度に精製して protein X-compound A(富山化学工業が本拠点と協
働で開発中の新規化合物)複合体のX線結晶構造解析を行い、protein X と compound A との詳細な相互作用解
析を目指す。
133
「蛋白質の翻訳後修飾のデータベース解析とシミュレーション解析」
1.研究の背景と目的
計算機を用いた方法、データベース解析(バイオインフォマティクス)と分子動力学シミュレーション、によって
PTMの研究に貢献する道筋をつけることを目的として4つの課題について研究を行った。
1) 薬剤の結合に伴う蛋白質立体構造変化のデータベース解析
In silicoドッキングにおける大きな障害は、薬剤の結合に伴う蛋白質の立体構造変化である。その問題を既存
の情報を整理することで、その全体像を示し、予測法へと展開することを目的として研究を行った。
2) ヒト蛋白質のリン酸化のデータベース解析
ヒト蛋白質のリン酸化をシグナル伝達システムとしてとらえ、上流のキナーゼ、下流の相互作用について、情報
を収集したデータベースを構築し、それぞれのリン酸化の機能情報を示すことを目的とした。
3) ヘテロクロマチン蛋白質1(HP1)のリン酸化によるヒストン認識制御のシミュレーション解析
PTM、特にリン酸化サイトは、多くの場合天然変性状態にある。そのために、リン酸化の意味を原子レベルで明
らかにすることは困難である。そこで、HP1を例にしてシミュレーション解析を行った。
4) ユビキチンの構造と基質選択性のシミュレーション解析
ユビキチン化は、蛋白質による最も重要なPTMである。しかし、ユビキチン化のリンケージ(どのリジン残基が結
合に使われるか)と基質選択性との相関に関わる情報が欠けている。そこで、シミュレーション解析によって研究
を行う。
2.主な研究成果
1) 薬剤の結合に伴う蛋白質立体構造変化のデータベース解析(Amemiyaら2011,2012; Koikeら2009,2014)
蛋白質立体構造データベース(Protein Data Bank)にある、同一蛋白質で、低分子化合物の結合の有無で複
数のエントリをもつものを収集し(839非相同蛋白質)、その立体構造変化を分類した。まず、低分子化合物の結
合と立体構造変化の因果関係を調べた。因果関係がないと推定された例については、10例を取り出し、シミュレ
ーション解析によって分類を試みた(Teradaら2012)。8例は結晶場の影響であり、2例はプロリンの異性化、βシ
ートの架け替えという特殊例であった。結合が誘起する立体構造変化は、ドメイン運動と局所運動に分類され、さ
らに多数を占める閉運動(開いている結合サイトが結合に伴って閉じる)と比較的少数の開運動(閉じている結合
サイトが結合に伴って開く)に分類される。閉運動はこれまでに開発した線形応答理論(Ikeguchiら Phys Rev Lett
94:078102, 2005)によって容易に予測が可能である。しかし、開運動の予測は困難である。さらに、100を越える
例で、蛋白質の内部に埋没した結合サイトがあり、結合前後で構造変化を起こさなものが見いだされた。これらは、
非結合状態で埋没した水分子などによってあらかじめ低分子化合物の結合を模倣した結合ができ上がっている
ことに特徴がある。
本研究でデータベースに見られる立体構造変化は、少数の可能性に限定されていることが示された。また、結
合サイトの情報を前提とすれば、多くの場合は予測可能であると考えられた。
2) ヒト蛋白質のリン酸化のデータベース解析(Nishiら,Structure,1807:1815, 2011)(図39)
PhosphoSitePlus、Phospho.ELM を統合し、配列情報の UniProt への書式の統一などを行い、69,430 リン酸化
サイト(11,047 蛋白質)に関する情報を得た。さらに、それぞれのリン酸化に対応するキナーゼは、5,754 サイト
(342 キナーゼ)が同定された。上流・下流パスウェイへの対応付けは、KEGG、Reactome、NCI PID を統合すること
で行った。分子間相互作用の同定は PDB におけるリン酸化蛋白質(1,825 件)を用いて解析を行った。
69,430 リン酸化サイトの中には、スループットが高い情報(質量分析のみによる検出)が 86%含まれ、より信頼性
の高いスループットが低い情報(リン酸化抗体、変異導入などによる検証)はわずか 14%にとどまった。今後、スル
ープットが高い情報についての検出の重複度等に基づいた信頼度の情報を付け加えていく。キナーゼ情報が付
加されているものは 5,754 サイトにとどまり、ほぼすべてはスループットが低い情報によるものであり、さらに in vivo
実験によるものは、さらに約半数の 2,738 サイトであった。これらの結果を、The Human Kinome に基づいて、335
種類のキナーゼを 7 種類に分類し、表示した。
134
図 39.ヒト蛋白質リン酸化データベース解析の概要
リン酸化のデータベースとして構築する情報は、ネットワークに沿った 3 種類である。 (1) リン酸化をするキナーゼの種類、(2) リン酸
化を受ける蛋白質の種類、その蛋白質中の位置と立体構造上の特徴、(3) リン酸化を受けた蛋白質が起こす細胞機能(相互作用を
する相手の蛋白質、等)
これらの情報をまとめたヒト蛋白質のリン酸化データベースは、実験の参照データになるよう来年度末までに公
開する。今後、立体構造情報を参照することによって、今までにないリン酸化の役割の理解、予測につなげる研
究を行うことにしている。
3) ヘテロクロマチン蛋白質1(HP1)のリン酸化によるヒストン認識制御のシミュレーション解析
HP1 は、そのクロモドメインが H3K9me3 に結合して、ヘテロクロマチン形成に重要な役割を果たす。そこでの
HP1 による H3K9me3 の認識は、N 末端天然変性領域にある 4 残基のセリン(11-14)のうち複数残基のリン酸化
によって増強されることが示されている。
天然変性領域のリン酸化による構造機能的影響を明らかにするために、N 末端 20 アミノ酸領域を切り出して、
その立体構造の全探索をレプリカ交換 MD 法で行い、セリン残基のリン酸化の効果を検討した。その結果、非リン
酸化ペプチドは、ランダムな構造ではなく、N 末端にある 4 残基の塩基性残基と C 末端にある 5 残基の酸性残基
が近接し、電荷を打ち消すような特異的構造をもっていることが明らかになった(図 40)。それに対して、リン酸化
ペプチドでは、非リン酸化状態に見られた構造は大きく壊れ、全体として拡がった構造となり、ペプチド両末端は
大きく揺らいでいた。今後、天然変性領域のリン酸化による立体構造の違いが、どのように H3K9Me3 との結合を
強くするのかを調べるために、クロモドメイン全長を含んだ系における N 末端 20 残基の構造の全探索を MSES 法
(Moritsugu ら 2010)によって試みることにしている。
図 40.HP1 クロモドメイン(青)とヒストン tail(赤)複合体の分子動力学シミュレーション
HP1 クロモドメインの N 末端リン酸化セリン(青色の主鎖に赤色のリン酸基)がヒストン tail の塩基性残基(Arg18)と結合し、結合状態
を安定化している様子が見える。
135
4) ユビキチンの構造と基質選択性のシミュレーション解析(Nishiら2014)
ジユビキチンのリンケージの違いによって基質蛋白質の認識特異性がどのように変化するかを明らかにするた
めに、NF-κB 免疫・炎症シグナル経路で現れる TAK1 結合蛋白質 2(TAB2)NZF ドメインのジユビキチンによる
認識を取り上げた。
TAB2 NZF ドメインとジユビキチン複合体(K63 結合型)を M1、K6、K11、K48 にそれぞれ変更して、K63 結合
型の結晶構造が安定であるかどうかを MD シミュレー ションで検証 した。 その結果 、構造の安定性は、
K63>K6>K48=K11=M1 であることがわかった(表 3)。それぞれの不安定化要因は、M1:リンカーの伸びきった構
造のため;K11:K11 の側鎖の向きが distal ユビキチンと反対側に出ていたため;K48:NZF ドメインとの立体障害
のため;K6:リンカーに余裕があり二つのユビキチン鎖を制約する力が弱かったため、であると結論された。これら
の結果から、ポリユビキチンのリンケージ構造とその認識蛋白質の特異性は、直接相互作用する分子のレベルで
起こっており、システムレベルは特異性について二次的な役割であることが明らかとなった。K63 においても複合
体の安定性は十分ではないことがわかった。その不安定性は、他の結晶構造と相同な TAB3 NZF ドメインの複
合体構造においても確認した。その意味は、物理化学的には合理的であるが、生物学的意味はまだ明らかでは
ない。
表 3.シミュレーション最終構造の結晶構造からの構造変化の程度
(100ns 後 x 3 回の平均)K63 のみが複合体構造を維持し、他のリンケージでは維持で
きなかったことをその理由とともに示した
3.今後の研究方針
1) 薬剤の結合に伴う蛋白質立体構造変化のデータベース解析
薬剤の結合過程と拡散過程を同時に効率よくシミュレーションする方法を開発し、構造変化を許容し得るドッキ
ング法とする。
2) ヒト蛋白質のリン酸化のデータベース解析
単にデータベースの公開に止まらず、そこからリン酸化の役割の理解、予測につなげる研究に展開する。
3) ヘテロクロマチン蛋白質 1(HP1)のリン酸化によるヒストン認識制御のシミュレーション解析
リン酸化の影響は、N 末端が結合阻害をするという仮説と N 末端が結合を安定化するという二通りの仮説が存
在する。それらを見分けることを目的とした研究を行う。天然変性領域のリン酸化による機能制御の一般論を展開
できるばかりでなく、安定構造の一部としての天然変性領域の全探索という困難な問題のシミュレーション方法を
確立することとなる。
4) ユビキチンの構造と基質選択性のシミュレーション解析
最終的には、テトラユビキチンのリンケージによる構造分布の違いを明らかにする大規模計算を行っていく。
136
項目 6. 機能性製品の開発
「機能性製品の開発」
1.研究の背景と目的
ライオンは、歯周疾患予防研究を進めていく中で、歯周疾患と脂質異常との間に関係があることを明らかにした。
また、歯周疾患の原因の一つである細菌の毒素を中和する作用を有する成分「ラクトフェリン」が、内臓脂肪の低
減にも効果があることを明らかにした。これまでに、ヒト臨床試験によりラクトフェリンの内臓脂肪低減効果を、科学
的に立証すると共に、その作用メカニズムを研究する過程で、ラクトフェリンが内臓脂肪に到達することを、マウス
を用いた実験で証明し、また、in vitro 培養系で脂肪細胞に対する脂肪合成抑制作用と脂肪分解促進作用を見
いだしている。本研究では、内臓脂肪の過剰蓄積がその病態の根本原因である「メタボリックシンドローム」につい
て、翻訳後修飾異常がどのように病態に関連しているのかを明らかにし、バイオマーカー開発を目指すと共に、ラ
クトフェリンの作用機構について解析することにした。
また、ファンケルは、これまで皮膚の老化診断マーカーの開発を進め成果を挙げてきた。本研究では、翻訳後
修飾に着目し、皮膚のバイオマーカーの探索を行うと同時に、これを指標としたスクリーニングにより新たな機能
性製品の開発を行うことを目的とした。また、機能性コラーゲン食品について、その機能性の生物学的な根拠を
得ることにより、新しい製品開発につなげることを目的として研究を行った。
2.主な研究成果
プロテオーム解析より、脂肪分解関連蛋白質であるアデニル酸シクラーゼ(cAMP 合成酵素、AC2)や、ホルモン
感受性リパーゼ(脂肪分解の主要律速酵素、HSL)の発現上昇が見られた。培養細胞にラクトフェリンを添加すると
15 分以内にプロテインキナーゼ A(PKA)によりリン酸化が亢進された。また、細胞内 cAMP 濃度の上昇も確認され
た。これらの結果から、ラクトフェリンは一般的な脂肪分解経路である cAMP 経路を活性化することが確認された。
さらに、c-Raf の発現上昇や ERK1/2 のリン酸化亢進、ERK 経路の活性化、ERK/cAMP 両経路の下流因子であ
る CREB の活性化などが見られた。ラクトフェリンは、脂肪分解に関与する重要な蛋白質の発現制御に関わって
いると考えられた。
全身の健康状態を反映する表皮バイオマーカーの探索の一貫として、表皮への紫外線照射モデルマウスを用
いて、障害時に増加する内在性のトリペプチドを見いだした。これは翻訳後修飾を受けたコラーゲン由来と考えら
れ、新規のバイオマーカーの候補と考えられた。一方、コラーゲン製品の経口摂取によりコラーゲン由来の少なく
とも 15 種以上のジペプチドまたはトリペプチドの血中濃度が上昇していることを確認した。さらに、ラットをモデルと
して、皮膚中に取り込まれたペプチドを LC-MS/MS 分析により同定した結果、投与後2時間で皮膚中のペプチド
濃度が上昇していることを確認した。このことから、摂取したコラーゲン分解物のうち少なくともいくつかが極めて
短時間で皮膚に到達しているものと考えられた。一連の結果は、コラーゲン由来のコラーゲン製品の機能性を裏
付ける結果といえる。
3.今後の研究方針
化学架橋剤を用いてラクトフェリンと細胞中で結合している蛋白質を架橋した後、免疫沈降法で精製し、質量分
析装置で分析することによってラクトフェリンと結合する蛋白質であることを検証する。
紫外線モデルマウスで見いだした翻訳後修飾を受けたコラーゲン由来のペプチド群について、他の障害時の
変化を見ることにより、バイオマーカーとしての有用性の検討を進める。同時に、コラーゲン食品の経口摂取によ
り皮膚への移行が確認されたペプチド群の各々について、コラーゲン食品の機能性の直接的な証拠を得ることを
目的として、線維芽細胞の遊走及び増殖に与える影響など、いくつかの機能解析系を用いた検討を進める。
137
項目7.システム改革(人材育成助成研究)
「in vitro 精子形成系による男性不妊症の診断・治療法の開発」
1.研究の背景と目的
2011年にマウス精子形成を器官培養法を用いて体外で再現し、精子幹細胞から妊孕能をもつ正常な精子の
産生に成功した。この器官培養精子形成系をさらに発展させ、最終的にはヒト精子形成にも応用できる培養系の
確立を目指し、男性不妊症(精子形成不全)の診断や治療法の開発につなげることを目的として本研究を開始し
た。同時に、精子形成における翻訳後修飾プロテオミクスを解析し、精子形成を評価する方法としてのプロテオミ
クスの基盤を作ることを目指した。
2.主な研究成果
これまでに開発したマウス精巣組織の器官培養法をさらに発展させるために、培養液の改良を重要なテーマと
して取り組んだ。現在用いている培養液は精子産生効果はあるものの、企業製品であるKSRあるいはAlbuMAX
(アルブミン製剤)を用いていることから、その化学組成が明らかでないという欠点がある。実際、KSRもしくは
AlbuMAXを培養液に添加することで、マウスのin vitro精子形成は可能であるが、同じアルブミン製剤である牛胎
仔血清(BSA)を用いると精子形成は全く進行しない。そこで、プロテオミクス解析等を用いてその組成を分析し、
いくつかの候補分子を見いだすことができた。これらをBSAに添加することにより精子形成を部分的ではあるが誘
導することに成功した(図41)。現在、さらなる解析を継続している。臨床応用に向けたもう一つの課題として、精子
形成不全マウスの治療に取り組んだ。モデルマウスとしてSl/Sldマウスを用い、このマウスの精巣で不足している
KitLという成長因子と、それと協調的に作用するサイトカインであるCSF-1を培養液に添加することにより、このマ
ウスの精子産生を培養下で成功した。さらに顕微授精により産仔にも成功した(図42、Satoら2013)。また、将来的
図 41.化学組成の明らかな培養液を用いた in vitro 精子形成
に、組織に依存しない培養系を樹立することを目指して、遊離した細胞群から精巣組織を再構築する実験を行っ
た。仔マウスの精巣組織を酵素処理して単一細胞まで解離した後に、細胞集塊を作り、それを器官培養に準じて
培養することにより、精細管構造が最構成され、精子形成の進行を認めた(Yokonishiら印刷中)。
図42. 精子形成不全マウスの産仔
138
3.今後の研究方針
化学組成の明らかな培養液の作製実験、共同研究者とともに進行中であり、様々な知見を得つつある。最終的
には、動物由来物質に頼らない培養液を作製し、臨床応用への基盤を築きたい。
「新規微小管制御因子 MTCL1,2の神経疾患、および発がんにおける役割の研究」
1.研究の背景、目的
プロテオーム解析を通じて同定した新規微小管結合蛋白質、MTCL1は、小脳プルキンエ細胞に特異性高く発
現し、その遺伝子破壊はマウスにおいて小脳性の運動失調症を引き起こすことがわかっている。また、分裂期の
細胞においては紡錘体に局在し、分裂時のダイナミックな微小管の再構成に関わっていることも示唆されている。
公共データベースにおいて、MTCL1が、細胞分裂期に高度にリン酸化されるフォスフォプロテインであると報告さ
れていることを考慮するならば、これらの事実は、MTCL1による微小管制御がリン酸化によって制御されている可
能性があり、この翻訳後修飾異常が、微小管制御の異常、ひいては神経変性疾患、および染色体分配異常など
を引き起こしている可能性が想定できる。本研究ではこの可能性を検証するとともに、MTCL1、2のリン酸化状態
の検出が神経変性疾患や発がんの新たな診断マーカーとなる可能性を検討する。
1) MTCL1の機能に関する基礎的な知見を生化学的、分子細胞生物学的解析を通じて積み上げるとともに、その
結果を、欠損マウスの組織学的解析と組み合わせることによって、MTCL1の生体内での機能、特に、欠損が小脳
性の運動失調の発症を引き起すメカニズムを明らかにする。また、MTCL2のコンディショナルノックアウトマウスも
作製し、これらのマウスが脊髄小脳変性症治療薬のスクリーニングに利用し得る新たなモデルになる可能性を検
討する。
2) ヒト脊髄小脳変性症の患者において、MTCL1, およびMTCL2の遺伝子異常が見られないか否かを検討する
ためのゲノムスクリーニングを行い、これらの蛋白質の欠損や構造異常が発症原因となっている可能性を検証す
る。
3) 公共データベースで報告されているリン酸化の変異が機能に与える影響を、MTCL1、および2に対して明らか
にした上で、神経変性症モデルマウスや各種がん細胞におけるリン酸化状態の変動を検討し、疾患マーカーとな
る可能性を検討する。
2. 主な研究成果
1) まず、MTCL1の同定、およびこの分子が新規の微小管架橋因子であるとともに上皮細胞特有の微小管構造
の形成に必須な役割をしていることを論文として報告した(Satoら2013)。この論文の概要は、掲載雑誌巻頭に紹
介され、重要な細胞生物学的研究成果としての高い評価を受けた。
2) MTCL1の遺伝子解析マウスにおいて、プルキンエ細胞の樹状突起の枝分かれに異常が認められるとともに、
より早い段階(生後21日目前後)でプルキンエ細胞の出力に決定的な役割を果たす軸索起始部(Axon initial
segment: 以下、AIS)の構造に異常が見られることを発見した。① このAISの形成には微小管束が密接な関係を
もっていることが知られていること、および、② AISの発達する時期(生後5日目~)に、MTCL1が微小管とともにこ
のAIS形成予定領域に非常に強く濃縮すること、などから、このAIS形成異常がMTCL1遺伝子改変マウスの異常
を引き起こしている一次的原因であることがほぼ確定的となった。そして、これを支持するように、AISの異常がみ
られる生後21日目のプルキンエ細胞の活動電位は非常に弱いことが電気生理学的解析から明らかとなった。
3) 本学遺伝学教室の松本教授、宮武特任助手の協力により、MTCL1, MTCL2、および各種AIS構成因子に関
するエクソーム解析を、脊髄小脳変性症患者ゲノム、200例に対して進めた。次世代シークエンサーを用いること
により、ほぼ完了し、現在確認の段階であるが、今のところ疾患特異的なアミノ酸の変異が、MTCL1, 2それぞれに
ついていくつか同定されつつある。
4) MTCL1分子上に報告されているリン酸化部位の中で、最も興味深く確度の高い部位から変異体作製を開始し、
予備的結果ではあるが、細胞分裂に異常を引き起こす可能性をつかんだ。
5) MTCL2のコンディショナルノックアウトマウスの作製を完了し、解析を開始できる状態に至った。また、MTCL1に
ついてもコンディショナルノックアウトの作製を開始した。
139
3.今後の研究方針
MTCL1の基本的機能解析、定性がほぼ完了すると共に、その遺伝子改変マウスの解析も最終段階に進んだ。
また、MTCL2に関する定性も進むと共に、MTCL1,2の遺伝子異常がヒト脊髄小脳変性症発症の一因になってい
る可能性もエクソーム解析から示唆された。以上の結果は、MTCL1,2の異常がヒト疾患と強い関連を有することを
示しており、その翻訳後修飾の研究の重要性を強く裏付けるものとなった。予想されるリン酸化部位のMTCL1,2
の機能への影響、特に細胞分裂制御への影響についての検討をスタートできる段階に到達できたので、今後、こ
の点に焦点を絞った研究を進めることによって、「翻訳後修飾プロテオミクスによる医療研究」の展開に本格的に
寄与しうることが期待できる。
「新規分子LOTUSの神経発生における生理機能と神経再生治療法への応用」
1.研究の背景、目的
新規機能分子 LOTUS は膜結合型および分泌型の糖蛋白質で、Nogo 受容体と結合して嗅覚情報の2次投射
路である嗅索の形成を担う。Nogo 受容体は中枢神経系の再生を阻害する中心的役割を担うことが知られるが、
LOTUS は Nogo 受容体の内在性アンタゴニストとして働く。一方、LOTUS は未同定の結合分子との相互作用で軸
索伸長を促進する。これらの LOTUS の機能は神経再生(神経系の修復)に大きく貢献することが期待される。多
発性硬化症では、脱髄によって細胞外に放出されたミエリン由来の神経再生阻害因子群(Nogo, MAG, OMgp)が
神経細胞に暴露されて神経再生が阻まれたり神経変性を進行させたりする上、末梢リンパ球に Nogo 受容体が高
発現するようになって血中にも存在するようになった Nogo との結合で免疫反応が増悪したりする。そこで、本研究
では、1)LOTUS の神経発生における生理機能を詳しく解析し、2)Nogo 受容体が関わる脊髄損傷や多発性硬化
症における神経障害・神経疾患に対する LOTUS の生理機能を利用した新しい治療戦略を創出することを目的と
する。他方、創薬に向け、LOTUS、および LOTUS・Nogo 受容体複合体の結晶構造解析を行い、原子・分子レベ
ルでの構造から類推される製剤開発の基礎を構築する。
第一に、LOTUS の神経発生における生理機能の検討を目的に、LOTUS ノックアウトマウスを用いて嗅索形成
や海馬層構造形成における機能について解析する。第二に、脊髄損傷や多発性硬化症における LOTUS による
治療効果の検討を目的に、病態動物モデルにおける LOTUS による治療効果を解析したり、患者検体を用いて
LOTUS の発現変動を解析したりして、LOTUS の神経回路形成期における生理機能を利用した新しい神経再生
法および神経疾患治療法を提言する(研究協力者:五嶋良郎、田中章景、川原信隆の各教授との連携)。
一方、LOTUS、および LOTUS とその結合分子 Nogo 受容体複合体の結晶構造解析を行い、LOTUS 機能の構
造的基盤を解明する(分担研究者:佐藤衛教授との連携)。
これらの研究を通じ、糖蛋白質である LOTUS の機能を解明すると供に、病態の発症や進行における翻訳後修
飾分子の動態と LOTUS による治療効果の関連性を追求する。
2.主な研究成果
1)LOTUS の細胞機能における解析
LOTUS の結合分子 Nogo 受容体(NgR1)は、現在 4 種のリガンド分子(Nogo, MAG, Omgp, BLyS)が知られ、何
れも NgR1 に結合すると神経突起伸長を著しく阻害することが知られている。LOTUS は Nogo と NgR1 のリガンド・
受容体結合を完全に阻害することが判明していた(Sato ら 2011)。そこで、LOTUS の NgR1 結合部位を同定する
目的で、LOTUS のドメイン欠失変異体を作製し、COS7 細胞に発現させた NgR1 との結合を調べたところ、C 末端
側の 2 種のドメイン(UA および EC ドメイン)が各々単独で結合することが判明した。これらのドメイン単独よりも 2
種のドメイン(UA/EC ドメイン)の方が NgR1 に対する結合性が強く、さらにそれは全長よりも高かった。そして、この
UA/EC ドメインは NgR1 のリガンド結合における拮抗作用を全長と同様に有することが明らかになった(Kurihara ら
2012)。
次に、残りの 3 種のリガンド分子と NgR1 の結合やリガンド活性について以下の 4 種の実験系において詳細に検
討した。実験系は、1)COS7 細胞を用いたリガンド・受容体結合、2)NgR1 を発現する鶏卵胚の培養後根神経節細
胞におけるリガンド結合が誘起する成長円錐崩壊、3)NgR1 を発現する鶏卵胚の培養後根神経節細胞におけるリ
ガンド結合が誘起する神経突起伸長阻害、4)LOTUS を発現するマウス胎仔培養嗅球ニューロンにおけるリガンド
結合が誘起する成長円錐崩壊を用いた。何れの実験系においても LOTUS と NgR1 の結合によってリガンド・受容
140
体結合、またはリガンドによる誘起作用は完全に抑制されることが判明した。これらの結果から、LOTUS は NgR1
のすべてのリガンドに対する強力な拮抗作用を有することが明らかになった(図 43)。
図 43 LOTUS の神経再生阻害因子に対する拮抗作用
2)LOTUS の神経発生における生理機能の解析
マウスの嗅索は胎生期 12〜14 日目の 2 日間で嗅球から軸索が伸長して神経束が形成される。その後、胎生期
15〜18 日目の 4 日間に神経束から軸索側枝が分岐する。すでに、嗅索の神経束形成は LOTUS の NgR1 に対す
る拮抗作用を介して成されることを報告した(Sato ら 2011)。次に、神経束形成後に起こる軸索側枝形成の機構
について解析した。LOTUS 遺伝子欠損(LOTUS-KO)マウスでは軸索側枝は過剰に形成されるのに対し、NgR1
遺伝子欠損(NgR1-KO)マウスでは逆に軸索側枝が減少していた。さらに、LOTUS と NgR1 の双方の遺伝子を欠
損させたダブル-KO マウスでは NgR1-KO マウスと同様、同レベルに軸索側枝が減少していた。これらのことは、
軸索側枝は NgR1 の作用を介して形成されることを示唆し、LOTUS は神経束形成とは逆に軸索側枝形成に対し
て抑制的に働くと考えられた。以上から、嗅索形成に関し、形成前期における神経束形成は LOTUS による NgR1
作用の抑制が重要であるが、形成後期における軸索側枝形成は NgR1 作用が重要であることが判明した。
LOTUS 機能の On-Off 制御が嗅索形成に寄与すると考えられる。
他方、LOTUS-KO マウスの解析から、海馬歯状回の層構造の形成に LOTUS が関与することが明らかになった
(本学脳神経外科学教室、および大阪大学生命機能科学研究科との共同研究)。脳室帯および海馬采で新生し
た神経細胞は、胎生期から出生直後にかけて細胞移動し、海馬歯状回を形成することが知られている。
LOTUS-KO マウスでは、海馬采に散在する移動中の顆粒細胞が数多く見られた。これは、細胞移動が遅滞し歯
状回の層構造形成が不全となっている様相であることから、顆粒細胞の細胞移動や層構造形成に LOTUS が関
与すると考えられる。現在、どのような種類の細胞がどの時期に異常を来すのか詳細を検討中である。今後、
LOTUS-KO マウスでの解析に加え、NgR1-KO マウスおよびダブルノックアウトマウスを解析し、LOUTS-NgR1 相
互作用が関与するかどうかを検討する。
3)脊髄損傷モデル動物における LOTUS の解析
LOTUS は、上述のように、すべてのリガンド分子の結合を抑制する内在性の強力な NgR1 アンタゴニストであると
結論された。一方、この拮抗作用とは全く異なる別の生理作用として、LOTUS は網膜神経節細胞や後根神経節
細胞の神経突起伸長を著しく促進することも判明した。さらに、上述のように、PirB との相互作用が見いだされ、
Nogo と PirB との結合を LOTUS が阻害することも判明した。これらの双方の LOTUS の細胞機能は、どちらも神経
再生に対して促進的に働くため、LOTUS の細胞機能を利用した新しい神経再生治療戦略を考案するに至った。
そこで、LOTUS の神経再生における機能を検証する目的で、マウスの脊髄背側半側切断による脊髄損傷モデ
ルを作製した。このモデルでは、脊髄損傷直後の約 5-10 日間の急性期に急激に運動機能の自然回復が見られ、
その後の損傷後 1 ヶ月後までやや緩慢になるが運動指標(四肢の運動機能評価を行う BBB スコア)が正常の約
50%まで回復する。このように、齧歯類では、ヒトとは異なり、脊髄損傷後に或る程度の自然回復が見られるため、
その理由を探る研究が数多く行われているが、いまだにその理由は明らかにされていない。本プロジェクトで、
LOTUS-KO マウスを用い、上記の脊髄損傷モデルを作製して検討したところ、LOTUS-KO マウスでは野性型マ
ウスで見られる自然回復が著しく遅滞した。さらに、組織学的解析を行ったところ、LOTUS-KO マウスでは野性型
で見られるセロトニン陽性の再生神経線維が著しく減少していた。これらの結果は、内在性の LOTUS が齧歯類で
見られる。神経再生能に大きく寄与することを示す。
次に、Synapsin-1 をプロモータとした LOTUS の神経軸索特異的過剰発現マウス(LOTUS-TG マウス)を作製し
た。まだ例数に不足があるが(n=6)、LOTUS-TG マウスを用いて脊髄損傷モデルを作製して解析したところ、後肢
141
歩行運動テストにて野生型と比較すると、顕著な歩行回復が認められた。今後、例数を増やして実験結果の検証
を行い、LOTUS の過剰発現による神経再性能の亢進を確認する予定である。前述の LOTUS-KO マウスによる自
然再生能の顕著な減少と、LOTUS-TG マウスによる自然再生能の増加の双方が認められることから、LOTUS の
遺伝的背景の違いによる神経再生能の増減変化は、LOTUS が神経再生促進因子であることを明確に示された。
4)神経疾患患者の髄液における LOTUS の解析
自己免疫性脱髄疾患である多発性硬化症(MS)は、原因不明の自己免疫疾患として知られ、本邦の難病に指
定されている。近年、炎症性に BLyS(前出の NgR1 の 4 種のリガンド分子の一つ)の発現が増加し、自己免疫性脱
随による神経変性の進行に Nogo と NgR1 の相互作用が深く関わることが報告された(Frohman ら Ann New York
Acad Sci,1233:313,2011)。これらのことから、本学医学部神経内科学教室との共同研究で、MS 患者の髄液検体
において LOTUS の含有量を精査したところ(附属病院研究倫理委員会:承認番号 B120112023)、対照群に比し
て MS 患者髄液では LOTUS は約 40%含有量が減少し、また、治療後の寛解患者では LOTUS 含有量は正常状
態に戻っていた。約 200 症例の検体において解析した結果、脳梗塞患者と同様に、統計的に明確に MS 患者に
おける LOTUS の減少が確認され、LOTUS の髄液含有量は MS におけるバイオマーカーとなることが判明したた
め、特許出願した上うえ、成果をまとめて論文投稿した。
他の脱髄を呈する神経疾患や炎症性の急性的神経疾患の患者検体を用いてさらに検討を進めたところ、7 疾
患すなわち、視神経脊髄炎、ウイルス性髄膜炎、がん性髄膜炎、神経サルコイドーシス、ギランバレー症候群、慢
性炎症性脱髄性多発神経炎、脳梗塞においても MS と同様に脳脊髄液中の LOTUS 濃度の顕著な減少が認めら
れた。
これらの結果から、LOTUS の髄液中の減少は、MS に限られたものではなく、脱髄性・炎症性の急性的な神経疾
患において認められるため、それらの一次スクリーニングに用いる診断薬として有効であると考えられた。今後は、
簡便に検査できる ELIZA 法による試験検査薬を産学連携で作製し、全国の大学病院との連携協力体制を構築し
て症例数を約 4-500 検体までに増やして薬事申請を目指す。また、他の神経変性疾患についても引き続き同様
に検討する予定である。
3.今後の研究方針
1)脊髄損傷における LOTUS による治療効果の検証
LOTUS-KO、LOTUS-TG マウスの実験結果と 脊髄損傷前後の LOTUS の発現変動のデータをまとめ、論文公
表する。続いて、外来性に LOTUS を投与して脊髄損傷からの回復を促進するか否かを検討する。この場合、ウイ
ルスによる遺伝子導入とリコンビナント蛋白質を用いた投与の双方を行う。
2)神経疾患における LOTUS の発現変動(診断薬検証)と治療効果(治療薬検証)
上記神経疾患における LOTUS 濃度の髄液変動が、患者血液においても同様に検出できるかどうかを検討する。
本事業の成果である MRM 技術を用いて血液中に微量存在する LOTUS を定量解析する。血液検体における
LOTUS 濃度の変動が髄液と同様に検出されれば、神経障害を 1 次スクリーニングする画期的な診断薬となる。
一方、多発性硬化症(MS)においては、LOTUS の Nogo 受容体に対する拮抗作用が治療薬効果として有効で
あるため、MS の動物モデルである実験的アレルギー性脳炎モデル(EAE モデル)を作製し、LOTUS-KO や
LOTUS-TG マウスにおいて同モデルを作製した場合に症状に変化が あるかどうか、ヒトリンパ球における
Nogo-Nogo 受容体の結合を LOTUS が抑制できるかどうか、また、LOTUS の血中投与で症状軽減が起こるかどう
かなどを検討し、MS の治療薬としての有効性を検証する(図 44)。
142
図 44.MS における LOTUS の期待される治療効果
LOTUS 投与により、脱髄したミエリン由来の再生阻害因子や炎症性物質の Nogo 受容体への結合を阻止し、MS の発症や病態進行を抑制する。
「知的障害原因遺伝子産物FMRPの翻訳制御を介した神経機能調節と病態の関連」
1.研究の背景と目的
脆弱X症候群原因遺伝子産物FMRP (fragile X mental retardation protein) は神経突起における局所翻訳調節
に重要な役割を果たしており、その変異による翻訳調節異常が軸索伸長、シナプス形成の障害を引き起こす。さ
らに、これらの神経機能の異常が知的障害、自閉症に関与すると考えられている。しかし、FMRPの局所翻訳制御
の分子機構と翻訳調節を受ける蛋白質の全貌は明らかでない。本研究では(1)FMRPの機能解析を行い、その局
所翻訳制御機構、特に翻訳後修飾のひとつであるユビキチン化による制御の解析を進め、創薬のターゲットとなり
得るかを検討する。(2)FMRPによりシナプス形成時に局所翻訳の制御を受ける蛋白質のプロテオーム解析を行
い、その蛋白質の変動がバイオマーカーとなり得るか可能性を探る。
2.主な研究成果
セマフォリンによるFMRPのユビキチン化:軸索ガイダンス分子であるセマフォリンに応答したFMRPの神経細胞
内の動態を観察したところ、成長円錐内のFMRPがセマフォリンにより減少することを見いだした。同減少を抑制す
る阻害剤を検索したところ、ユビキチンE1酵素阻害剤およびプロテアソーム阻害剤で抑制された。脆弱X症候群
の患者においてはFMRPの発現減少の程度と知的障害の程度に相関が見られることから、ユビキチン-プロテア
ソーム系のうち、FMRPの分解に関与するユビキチンE3リガーゼの阻害剤が創薬のターゲットとなる可能性があ
る。
FMRPのユビキチン化の検出:セマフォリン刺激でユビキチン化が亢進することを解析するために、ユビキチン化
蛋白質を認識する抗体で免疫染色を試みた。その結果、同刺激で成長円錐内においてユビキチン化蛋白質が
増加した。さらに、FMRPがユビキチン化されることを確認するために、flag-タグを融合したFMRPを発現させ、免疫
沈降で解析した。その結果、先ほどの抗体でFMRPのユビキチン化が確認できた。今後、このflag-FMRPを用いて
プロテオミクスを行い、翻訳後修飾であるユビキチン化部位の同定とそれに関与するユビキチンE3リガーゼを解析
する予定である。
シナプス前終末形成を誘導する系の確立:ポストシナプスに発現する蛋白質LRRTM2 (Leucine-rich repeat
transmembrane protein 2) をビーズに付加し、神経細胞にシナプス前終末を誘導することに成功した。さらにこれ
まで開発した軸索を高純度・高収量で単離できる新規培養法「ニューロンボール法」にこのビーズを添加し、シナ
プス前終末を形成した軸索のみを大量に単離することに成功した。このサンプル量はプロテオミクスを行うのに十
分な量であった。
シナプス前終末形成時に集積する蛋白質のプロテオミクス:上記の方法を用いて、シナプス前終末に伴い軸索
に集積する蛋白質のプロテオミクスを行った。シナプス前終末を誘導する刺激の有無でサンプルを二つに分け、
その蛋白質の発現量の差をiTRAQ法で解析した。その結果、神経軸索で500以上の蛋白質が検出され、シナプ
ス形成に伴い増加する蛋白質も多数同定された。増加の程度が高い蛋白質上位10種のmRNAをデータベースで
調べたところ、6種がFMRPのターゲットmRNAであることが明らかとなった。従って、シナプス形成で増加する蛋白
143
質のかなりの割合がFMRPで翻訳調節される可能性が示唆された。これらの蛋白質がバイオマーカーとなり得るか
今後検証していく予定である。
3.今後の研究方針
FMRPのユビキチン化部位とそれを担う酵素(ユビキチンE3リガーゼ)をプロテオミクスで同定し、創薬のターゲッ
トとなり得るか検証する。また、FMRPによりシナプス形成時に局所翻訳の制御を受ける蛋白質のプロテオミクスを
行い、それらがバイオマーカーとなり得るか可能性を探る。
「腎細胞がんにおけるがん化シグナルネットワークを標的とした治療開発」
1.研究の背景と目的
こまれで腎がんの原因遺伝子であるVHL遺伝子を同定し、このVHL遺伝子の異常が腎がん患者の予後に関
与することを報告してきた(Latifら Science 260:1317, 1993 : Yaoら J Natl Cancer Inst94:1569, 2002)。この知見
に基づき、VHL遺伝子の異常によって活性化されるVEGF、 PDGFのシグナルを標的とした分子標的薬が開発さ
れた。近年、これら分子標的薬が臨床に応用され成果を挙げているが、有効性は一過性であり、一定期間を過ぎ
ると腫瘍は再び増殖傾向を示すことも明らかになってきた。その機序として、標的とした細胞内情報伝達系を抑え
ると、これをレスキューする別の細胞内情報伝達系が活性化されることが推測される。すなわち、単一蛋白質を標
的としたがん治療には限界があり、今後は細胞内のがん化、薬剤耐性に関わる情報伝達系全体を標的とした治
療法を開発することが必要である。そこで、腎がん細胞内のシグナル変化を網羅的に捉えることで、新たな腎がん
に対する診断法、薬物療法の開発に繋げたい。
2.主な研究成果
1) 腎がんに標準的に1st lineとして使用される分子標的薬はVEGFシグナルを標的として血管新生を阻害してい
る。その結果、低酸素状態に腎がん細胞はさらされ、多くの細胞は死滅すると考えられるが、一部の細胞は低酸
素状態でも生存、増殖する。そこで、腎がん細胞を低酸素状態で培養し、生存を続ける腎がん細胞を用いてプロ
テオミクス解析を行い低酸素状態で発現が上昇する蛋白質を網羅的に解析した。その結果、低酸素状態でも生
き残る腎がん細胞では糖の取り込み、代謝に関わる複数の蛋白質の発現が亢進していることが確認された。分子
標的治療薬に抵抗性を示す腎がん、また、治療中に抵抗性を獲得した腎がんでは糖代謝が亢進していることが
予想され、分子標的治療を受ける進行性腎がん患者において腫瘍の糖代謝を測定することで治療効果の予測
や効果判定が可能と思われた。
2)分子標的治療を行う進行性腎細胞がん患者約100名を対象に生体内での糖の集積の状態を画像化するFDG
PET/CTを用いて治療前、治療中に評価観察を行った。その結果、治療開始前の評価において糖集積の高い腎
細胞がんは分子標的薬による奏功期間が短いこと、分子標的治療薬にて長期進行が抑えられる腎がんでは治療
開始直後から糖の集積が著明に低下する一方、経時的に観察する中で糖の集積が上昇するとともに新規病変が
出現してくるなど治療に対する抵抗性の獲得もリアルタイムに評価できることが明らかになった。従来の画像診断
法では分子標的の治療効果の予測は困難であり、また、腫瘍の縮小率も低い分子標的の効果の判定も困難であ
ったが、FDG PET/CTの導入によって治療中のリアルタイムでの腎がん状態が評価可能となった。
3) FDG PET/CTにて腎がんの分子標的治療効果をリアルタイムに評価している患者から経時的に採血を行い腎
がんの糖代謝と連動する血中蛋白質を東レ先端融合研究所との共同研究としてプロテオミクス解析を行った。そ
の結果、分子標的治療に対する反応と連動する複数の血中蛋白質を同定した。これら連動する蛋白質が治療効
果を予測、判定する新たな診断マーカーになる可能性、また、治療標的となる可能性が示唆された。
4)分子標的治療に対する反応と連動する複数の血中蛋白質うち、蛋白質Aについて腎がん組織内の発現状態を
測定、腎がん細胞内での発現をsiRNAを用いてブロックし、その機能解析を行った。そして腎がん組織内での蛋
白質Aの発現は症例によって異なっており、発現量によってそれぞれの症例の生命予後、分子標的治療に対す
る反応が予測できることを明らかにした。また、腎がん細胞内での蛋白質Aの発現を抑えることで、腎がん細胞の
増殖が抑制されることも明らかになった。蛋白質Aは血中マーカーとして有用であること、通常の分子標的治療薬
に対する抵抗性を示す腎がんに対する新たな治療標的となりうることが明らかになった。
144
3.今後の研究方針
1) 全国10大学が参加する腎がんPET研究グループを立ち上げ、FDG PET/CTを用いた進行性腎がんの治療
効果予測、判定に関する全国10大学での前向き臨床研究を2013年1月より開始した。
2) 蛋白質Aに関しては現在特許申請等について東レと協議中であるが、診断ツールとしての有用性を多施設共
同研究とし前向きに評価を行う。同時に治療標的としての有用性を動物実験で確認する。
3) 蛋白質A以外にも診断ツールとして期待される蛋白質が複数あり、その有用性の検証を行っていく。
「自然免疫活性化機構の解明と免疫調節薬への応用」
1.研究の背景と目的
近年の免疫学の進展は目覚ましく、分子シグナルからヒト個体における免疫応答解析まで、絶えず新規事象が
発見され、疾患の発症機序研究、そして創薬研究に進展をもたらしている。しかし、免疫応答の複雑さはいまだ計
り知れないほどに深く、それが故に、新規アプローチを以て、その解明に当たり、難治療性疾患の予防・治療の一
助となる研究成果の獲得が重要である。
本研究では、これまで明らかにされていない免疫応答の新規シグナル分子の同定、または独立した細胞シグナ
ルのクロストーク機構を解明し、予防・治療の一助となる成果獲得を目的としている。具体的に、1)新規な細胞内
DNA核酸の認識分子の同定とその認識機構を明らかにすること、2)細菌排除機構におけるオートファジー細胞内
分解系とインフラマソーム構成分子であるNLR分子の新規クロストーク機構を明らかにすることである。
2.主な研究成果
1) 新規な細胞内DNA核酸の認識分子の同定とその認識機構の解明
細胞内のDNA核酸を認識するセンサー分子は、自己/非自己の核酸を区別し、炎症応答誘導を調節する。そ
のため、様々なDNA核酸センサーが存在し、同定されているが、本研究では、cDNAライブラリーを用いたレポー
ター細胞スクリーニングとアフィニティークロマトグラフィーを用いて、クロモゾーム外に存在するコアヒストンH2Bが
細胞内に存在する非自己の2本鎖DNAを認識し、抗ウイルス自然免疫応答に関与することを見いだした(図45)。
H2Bは、IPS-1アダプター分子と複合体を形成し、I型インターフェロン(Type I IFNs)産生シグナルを活性化するこ
とが明らかになった(図45)。また、H2Bは核内外に局在し、核外H2Bが核外DNAを認識することを明らかにした。
さらに、yeast two hybridアッセイから、H2Bを介したウイルス感染防御応答を担う新規アダプター分子CIAOが同
定 さ れ 、 H2B-CIAO-IPS-1 複 合 体 が Type I IFNs 産 生 調 節 機 構 に 関 与 し て い る こ と を 解 明 し た 。 こ の
H2B-CIAO-IPS-1シグナルを活性化するキメラタンパクN’-CARDは、強力にtype I IFNs産生を誘導することから、
H2B-CIAO-IPS-1複合体は免疫調節薬開発の標的となる可能性が示唆された(図45)。H2B-CIAO-IPS-1複合
体を免疫調節薬へ応用すべく、H2B-CIAO-IPS-1複合体の擬似複合体として、ヒストンH2BとIPS-1の融合分子
(N’-CARD)を作製した。N’-CARD が活性化するシグナル分子として、nuclear DNA helicase IIが同定され、
N’-CARD のI型インターフェロン産生誘導に重要であることを明らかにした。さらに、細胞内にN’-CARD が効率
よ く 取 り 込 ま れ る こ と を 目 的 と し て 、 protein transduction domain を 付 加 し た 細 胞 透 過 性 ポ リ ペ プ チ ド 、
N’-CARD-PTDを作製した。期待通り、N’-CARD-PTDは炎症応答を効率よく誘導することが認められ、新規ワク
チンアジュバントとして応用可能であることを明らかにした(図45)。実際、N’-CARD-PTDのアジュバント活性は、
マウスインフルエンザ感染モデル、マウス腫瘍移植モデルを用いて確認された。
145
図 45.H2B による DNA 認識機構とその応用
①
Histone H2B-CIAO-IPS-1 を介するウイルス感染確認機構の解明
②
新規融合分子の免疫調節薬の応用
2) 細菌排除機構におけるオートファジーとインフラマソーム構成分子NLRsの新規クロストーク機構の解明
細胞内侵入細菌感染においては、細胞内殺菌機構から逃れて感染の成立を図る病原体に対し、オートファジ
ーと呼ばれる分解系は、菌の捕捉を介した細菌排除自然免疫応答を効率的に誘導することが他の研究により明
らかにされている。また、細菌感染の認識および炎症誘導機構を担うインフラマソーム構成分子である、NLRsファ
ミリー分子がオートファジー誘導制御に関わることが示唆されている。NLRC4のノックアウト細胞では、オートファジ
ーが構成的に活性化されており、オートファジー誘導シグナルとNLRsファミリー分子の関連性が示唆されている。
本研究によって、免疫沈降法、そしてゲル濾過クロマトグラフィーを用いて、NLRP4分子がオートファジー誘導の
基軸分子である、Beclin1に結合し、オートファジーを制御する候補分子として同定された。NLRP4分子によるオー
トファジー制御系を明らかにするため、siRNAを用いてオートファジー誘導能を解析したところ、NLRP4はオートフ
ァジーを負に制御していることがわかった。この事象を実際の細菌感染で検証すべく、オートファジーに捕捉され
排除されるA群連鎖球菌(GAS)を用いて、感染実験を行った。その結果、NLRP4の発現を抑制することによって、
GASの感染に呼応して誘導されるオートファジーが増強され、細胞内に侵入したA群連鎖球菌数が、細胞内侵入
後早期に排除されることが観察された(図46)。
GASの細胞内侵入後に、NLRP4がどのように細胞内局在を変化させオートファジー制御を担っているかを明らか
にするため、共焦点顕微鏡解析によって検討した。その結果、定常状態ではNLRP4は細胞質に拡散して局在し
ているが、GAS感染後では早期(〜30分)にNLRP4がGAS感染部位に局在することが認められた。さらに、GAS感
染後に形成されるオートファゴソーム(〜120分)には細胞内に侵入したGASの取り込みが認められるが、NLRP4は
局在しないことが認められた。これらの結果から、細菌分解排除を担うオートファゴソーム形成に比べて、NLRP4
は早くにGAS感染を感知し、細菌感染によって誘導されるオートファジーのON/OFFを調節している可能性が示
唆された(図46)。
以上の結果から、細胞内侵入性細菌感染におけるNLRP4とBeclin1のクロストーク機構が明らかとなり、この相互
作用を調節する薬剤が、オートファジー亢進を利用した抗細菌薬の候補となり得ると考えられた。
図 46.NLRP4 によるオートファジー制御の概略図
146
3.今後の研究方針
本研究成果である、自然免疫シグナルに基づいた新規アジュバント候補分子の作出、細菌感染における
NLRP4とBeclin1のクロストーク機構を利用し、実用化に向けた創薬研究を推進する。新規アジュバント候補分子
については、N’-CARD-PTD分子のアジュバント活性に準じた至適化を、分子長、精製手法、発現効率に関して
詳細な検討を行う。細菌感染におけるNLRP4とオートファジーのクロストーク機構の利用に関しては、NLRP4と
Beclin1の相互作用を阻害する分子スクリーニング系を構築し、オートファジー亢進を作用機序として有する抗菌
薬候補分子を創出する。
「翻訳後修飾を必要とする海馬記憶の分子メカニズム」
1.研究の背景と目的
海馬は「いつ、どこで、何があったか」というエピソード記憶の形成に中心的な役割をもつ。海馬には一日の時
間(Mitsushimaら 2009)や空間(Willsら Science 328:1573, 2010)の情報が入り、特定のエピソードに反応するニュ
ーロンも発見された(Gelbard-SagivらScience,322:96,2008)。しかし、記憶情報を海馬内にどのようにデータとして
記録するか、その様態は全く不明である。本研究ではラットを用いて特定のエピソードを学習させるストレス回避学
習を行い、海馬学習のシナプス・分子レベルでの機序解明を目指す。
2.主な研究成果
実験は、SD系雄性ラットを用いた。この動物に組換えHSVをベクターとして海馬CA1ニューロンにGFPをtagとす
るGluA1 subunitの遺伝子導入を行い、特定のエピソードを学習させる回避学習実験を行った。回避学習後に急
性脳スライスを作製し、パッチクランプ法でシナプス機能の解析を行った。これまでの実験で、回避学習が海馬
CA1ニューロンのAMPA受容体を興奮性シナプスへ移行させ、これを阻止すると回避学習が成立しないことから、
AMPA受容体のシナプス移行が学習成立に必要であることを証明した(Mitsushimaら 2011)。
しかし、何がAMPA受容体をシナプスに移行させ、興奮性シナプスを強化するか、その引き金分子は不明であっ
た。そこで、in vitro条件で海馬にLTPを誘発させることが知られているアセチルコリンに着目し(Auerbach.Segal J
Physiol,492:479,1996)、in vivo microdialysis法で学習前後の海馬CA1領域内のアセチルコリン分泌量を測定した。
すると、アセチルコリンは学習中から分泌量が増加し、学習後にも高く維持されることが明らかとなった。次に、スラ
イスパッチクランプ法を用い、TTX存在下でminiature EPSCとminiature IPSCの同一細胞からの解析を行い、個々
の海馬CA1ニューロンについて興奮性シナプスと抑制性シナプスの可塑性を解析した。すると、回避学習は
AMPA受容体を介する興奮性シナプスを多様に変化させるだけでなく、GABAA受容体を介した抑制性シナプス
も多様に変化させる結果、個々のニューロンが複雑かつ多様なシナプス入力を保持することがはじめて明らかに
なった(図47)。興奮と抑制、どちらのシナプス変化も学習成立に必要であり、アセチルコリン受容体の一種である
「ムスカリン性 M1受容体」を阻害して興奮性シナプスの多様性を消失させるか、アセチルコリンの別タイプの受容
体である「ニコチン性 a7受容体」を阻害して抑制性シナプスの多様性を失わせると、どちらの場合も回避学習が
できなくなった。本研究から、興奮と抑制の多様なシナプス変化は海馬内に符号化された記憶情報の一つであり、
記憶形成に必要であることが明らかになった (Mitsushimaら 2013)。
さらに、理化学研究所の林康紀博士との共同研究により、Phostag SDS-PAGE法でAMPA受容体のsubunitであ
るGluA1のリン酸化を解析したところ、かなり少なく(Ser831=0.5%以下, Ser845=検出できず, Thr840=5%以下)、回
避学習依存的な増加はほとんど認められなかった。
147
図47.海馬ニューロンの情報伝達
海馬アセチルコリンを引き金として興奮性シナプス(赤)と抑制性シナプス(青)に多様性が生じ、海馬学習が成立した。このシナプス可
塑性により、海馬ニューロンはより複雑な情報伝達を行うと考えられる。
3.今後の研究方針
アルツハイマー型認知症では初期段階からエピソード記憶の障害を伴い、海馬内アセチルコリンの減少が特に
顕著である。罹患人口は世界中で増加を続け、その克服は人類全体のテーマである。特に、日本で開発された
アセチルコリン分解酵素阻害薬(アリセプト®)が全世界的に有効な成績を収めてきた事実は、アセチルコリンの臨
床的重要性を証明している (Petersenら New Eng J Med 352:2379,2005;Winbladら Lancet 367:1057,2006)。神経
毒性の高いAmyloid β1-42は、ニコチン性α7受容体に選択的に結合して伝達を障害することが知られており、本
拠点での研究から、ニコチン性α7受容体は学習依存的な抑制性シナプスの可塑性を維持することが判明した。
海馬学習機能の、シナプス・分子レベルでの全容解明により、抗認知症薬に繋がるさらに多くの作用点を明確に
できる。さらに、アセチルコリンの分泌量は正常な老化でも低下するため、今回のメカニズム解明は、脳機能の老
化を防ぎ、認知症の発症も阻止する新薬開発にも繋がると期待される。本研究は医学上重要であるだけでなく、
社会的にもきわめて大きな意義を内在している。
148
研究成果の発表
1. 原著論文(査読付き)
2. 上記論文以外による発表
3. 口頭発表
4. 特許出願
5. 受賞件数
国内誌: 3 報、国外誌:79 報
国内誌: 19 報、国外誌:249 報、書籍出版: 9 報
招待講演: 120 回、主催講演: 11 回、
応募講演: 42 回(審査あり)、66 回(審査なし)
出願済み特許: 63 件 (国内: 40 件、国外:23 件)
上記の内、登録済み特許: 2 件
他、未公開出願済み特許: 15 件
41 件
図 48.拠点における特許申請件数の推移
4.人材育成
(1) 人材育成
① 構築した仕組
先端医科学研究センターに若手の研究者をリーダーとする研究ユニットを複数設置し、優れた若手研究者の
育成に努めている。また、医学部の殻に閉じこもらない、理薬工学研究者を取り入れた組織横断的研究ユニット
を構築し、基礎研究から医薬・医療 機器開発の全体を俯瞰できる新しいタイプの研究者の養成にも努めている。
組織横断的研究ユニットには外国や企業からの研究者を受入れて若手研究者との交流を促すと共に、海外短期
派遣などを通して国際的な若手研究者の育成を目指すこととした。それに対し、若手研究者をグループリーダー
とする研究グループを選考するとともに、独立した予算を配付し、自立的マネジメントが行えるようにした。
平成 18~19 年度には大学院イニシアティブ(文部科学省)「臨床治験推進リーダー養成プログラム」に本学の
提案が採択されたが、本拠点形成における将来的な臨床面でのフィールド拡大に備え、平成 20 年度より大学院
のカリキュラムに臨床研究・治験の科目を加えた。平成 22 年度には、学長裁量経費により、大学院医学研究科、
大学院生命ナノシステム科学研究科、附属病院及び附属市民総合医療センターの教員をメンバーとする組織横
断的研究ユニットを 2 件採択するなど、研究者養成を実施した。また、外国や企業からの研究者を受入れて若手
研究者との交流を促すと共に、海外短期派遣などによって若手研究者育成を推進した。
② 育成の実績・見込み
本事業において、独自若手育成システムを構築し研究支援を行うことで、優れた若手研究者の育成・輩出に務
めている。これにより、対象者の昇進や企業への栄転など産学双方で求められるような人材の育成や学問領域を
149
越えた人材の育成に成果を挙げてきている。
第 1 期(平成 21 年度~平成 22 年度)
第 1 期では、PTM 研究の推進に向けて活動する、独立した研究グループ(若手研究ユニット)のリーダーの支
援を行い、若手研究者が自立して研究を進められる環境づくりにつとめた。リーダーとして採択された研究者のう
ち、1 名が企業に就職をした。
第 2 期(平成 23 年度~平成 25 年度)
医学部の殻にとじこもらない研究者の育成及び医理連携の促進のため、生命科学分野の研究者の支援を行
い、医理融合研究につとめた。4 名の研究者を採択し、うち 1 名が他大学へ教授として昇進、2 名が学内で教授
へ昇進をした。
第 3 期(平成 26 年度~)
PTM に関連した分野で研究を行える若手研究者かつ自立して研究を行う能力を有し、独創的かつ革新的な
研究を推進する強い意欲を持つ研究者への支援を行う。これにより、本拠点を支える次世代の研究者の育成を
目指す。今年度から始まったこのプログラムでは、7 名の研究者を臨床科に所属する医師・研究者を中心に採択
した。
また、このほかにも国内外の若手研究者及び学生向けに積極的に企業や他機関と共同でセミナーを実施する
ことで、若手研究者への研究支援、学生への就職支援を行うことができた。
平成 25 年 8 月 29 日(木) 夏のリトリート
協働企業が本事業に参画している研究室、研究者、学生だけでなく、他研究室と交流できる場を設定すること
で、研究交流活性化を目指した。研究者、学生が総勢 61 名出席し、学生を中心に、12 件の口頭発表、27 件のポ
スター発表が行われた。学生にとっては、企業研究者とのディスカッションをすることで、新たな視点から自身の研
究を見直すような多くの刺激を受ける機会となった。協働機関からは、東ソー、ライオンの 2 社が出席し、活発な
意見交換が行われた。
平成 25 年 9 月 11〜14 日 トレーニングコース
横浜市立大学先端医科学研究センター(14 日のみパシフィコ横浜)で、プロテオミクスに関するトレーニングコー
ス、9 月 14 日には、パシフィコ横浜で教育講演会と臨床プロテオミクス講演会が開催された。トレーニングコース
は、国内外の若手研究者を対象にしたプロテオミクスの最新技術に関する実習会である。アジアを中心に海外の
若手研究者 15 名と日本の若手研究者 13 名が実習生として参加した。44 名の国内外の著名な研究者による講義
と、質量分析装置などを用いた実習が行われた。9 月 14 日に開催された教育講演会(受講者 97 名)では、プロ
テオミクスの基礎的な事項を、また、臨床プロテオミクス講演会(受講者 125 名)では疾患と蛋白質の関係につい
て著名な 12 名の研究者が若手研究者を対象にして教育的な講義が行われた。
合計参加人数:306 名
平成 25 年 12 月 職種研究セミナー
企業研究者の育成及び理解に向けて、本学学生を対象とした研究職研究セミナーを実施した。本事業協働
企業(エーザイ、ファンケル)を中心とした企業研究者にお越しいただき、本学との共同研究、企業の研究者の業
務についてご講演いただいた。54 名の学生、ポスドク等が出席し、企業研究者とディスカッションするなど、自身
の研究や将来について再考するいい機会を設けることができた。
<プロジェクトに参画している大学院博士・修士、学部生の数>
(H23~H26 で記載)
研究項目
博士・修士学生数
学部学生数
(大項目)
(年間人数)
(年間人数)
1.分析技術の開発
H23. 15 人
H23. 9 人
(内女性 6 人、
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
外国人 0 人)
H24. 10 人
H24. 7 人
(内女性 5 人、
(内女性 3 人、
外国人 0 人)
外国人 0 人)
150
計
H23. 24 人
(内女性 11 人、
外国人 0 人)
H24. 17 人
(内女性 8 人、
外国人 0 人)
2.がん診断・治療法開発を目指
した研究
3. 精神疾患診断・治療法開発
を目指した研究
4.免疫疾患診断・治療法開発を
目指した研究
5.構造解析・薬物設計
H25. 7 人
(内女性 4 人、
外国人 0 人)
H26. 10 人
(内女性 4 人、
外国人 1 人)
H23. 45 人
(内女性 17 人、
外国人 1 人)
H24. 44 人
(内女性 15 人、
外国人 1 人)
H25. 41 人
(内女性 14 人、
外国人 2 人)
H26. 37 人
(内女性 15 人、
外国人 2 人)
H23. 13 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H24. 12 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H25. 12 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H26. 6 人
(内女性 4 人、
外国人 0 人)
H23. 10 人
(内女性 3 人、
外国人 0 人)
H24. 18 人
(内女性 9 人、
外国人 0 人)
H25. 14 人
(内女性 7 人、
外国人 0 人)
H26. 7 人
(内女性 2 人、
外国人 0 人)
H23. 22 人
(内女性 3 人、
外国人 0 人)
H24. 23 人
(内女性 6 人、
外国人 0 人)
151
H25. 11 人
(内女性 6 人、
外国人 0 人)
H26. 11 人
(内女性 7 人、
外国人 0 人)
H23. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H24. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H25. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H26. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H23. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H24. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H25. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H26. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H23. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H24. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H25. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H26. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H23. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H24. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H25. 18 人
(内女性 10 人、
外国人 0 人)
H26. 21 人
(内女性 11 人、
外国人 1 人)
H23. 45 人
(内女性 17 人、
外国人 1 人)
H24. 44 人
(内女性 15 人、
外国人 1 人)
H25. 41 人
(内女性 14 人、
外国人 2 人)
H26. 37 人
(内女性 15 人、
外国人 2 人)
H23. 13 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H24. 12 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H25. 12 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H26. 6 人
(内女性 4 人、
外国人 0 人)
H23. 10 人
(内女性 3 人、
外国人 0 人)
H24. 18 人
(内女性 9 人、
外国人 0 人)
H25. 14 人
(内女性 7 人、
外国人 0 人)
H26. 7 人
(内女性 2 人、
外国人 0 人)
H23. 22 人
(内女性 3 人、
外国人 0 人)
H24. 23 人
(内女性 6 人、
外国人 0 人)
6. 機能性製品の開発
7.システム改革
合計
H25. 17 人
(内女性 2 人、
外国人 0 人)
H26. 13 人
(内女性 4 人、
外国人 0 人)
H23. 7 人
(内女性 1 人、
外国人 0 人)
H24. 3 人
(内女性 1 人、
外国人 0 人)
H25. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H26. 4 人
(内女性 2 人、
外国人 0 人)
H23. 17 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H24. 22 人
(内女性 7 人、
外国人 0 人)
H25. 35 人
(内女性 9 人、
外国人 2 人)
H26. 83 人
(内女性 37 人、
外国人 2 人)
H23. 129 人
(内女性 40 人、
外国人 1 人)
H24. 132 人
(内女性 48 人、
外国人 1 人)
H25. 126 人
(内女性 41 人、
外国人 4 人)
H26. 160 人
(内女性 68 人、
外国人 5 人)
152
H25. 15 人
(内女性 12 人、
外国人 0 人)
H26. 21 人
(内女性 15 人、
外国人 0 人)
H23. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H24. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H25. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H26. 6 人
(内女性 2 人、
外国人 0 人)
H23. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H24. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H25. 20 人
(内女性 13 人、
外国人 0 人)
H26. 17 人
(内女性 14 人、
外国人 0 人)
H23. 9 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H24. 7 人
(内女性 3 人、
外国人 0 人)
H25. 46 人
(内女性 31 人、
外国人 0 人)
H26. 55 人
(内女性 38 人、
外国人 0 人)
H25. 32 人
(内女性 14 人、
外国人 0 人)
H26. 34 人
(内女性 19 人、
外国人 0 人)
H23. 7 人
(内女性 1 人、
外国人 0 人)
H24. 3 人
(内女性 1 人、
外国人 0 人)
H25. 0 人
(内女性 0 人、
外国人 0 人)
H26. 10 人
(内女性 2 人、
外国人 0 人)
H23. 17 人
(内女性 5 人、
外国人 0 人)
H24. 22 人
(内女性 7 人、
外国人 0 人)
H25. 55 人
(内女性 22 人、
外国人 2 人)
H26. 100 人
(内女性 51 人、
外国人 2 人)
H23. 138 人
(内女性 45 人、
外国人 1 人)
H24. 139 人
(内女性 51 人、
外国人 1 人)
H25. 172 人
(内女性 72 人、
外国人 4 人)
H26. 215 人
(内女性 106 人、
外国人 5 人)
5.最終目標達成の見通し
(1) 終了時(10 年目)の目標及び構想
本プロジェクトは、実施期間終了後も、横浜市の中期計画に基づいて「最先端の治療法・創薬など、臨床応用
につながる開発型医療を目指した研究の推進」を目的とした先端医科学研究センターの中核的プロジェクトとし
て取り込まれ、本拠点が永続的に橋渡し研究を推進していくための拠点として運営していく。そのために必要な
①拠点の中心施設である先端医科学研究センター新研究棟の建設と増設、②産学連携ラボの設置、③設備機
器の整備、④本プロジェクト終了後に本拠点の運営に携わる先端医科学研究センター専属の正規教員(バイオ
インフォマティクス、プロテオミクス、トランスレーショナルリサーチ分野の准教授それぞれ 1 名)の採用など、様々
な対策を講じている。
現在の拠点運営委員会、諮問委員会は、先端医科学研究センターの運営委員会、諮問委員会に継続し、先
端医科学研究センター内のプロテオーム解析センターをはじめゲノム解析センター、セローム解析センター、動
物実験室等を利用して様々な要素技術のさらなる発展、実用化を目指すと共に、協働機関との先端医科学研究
センター内の産学連携ラボにおける直接的な協働事業によって、大規模プロテオーム解析事業、診断マーカー
や創薬ターゲットの開発を継続して推進する。その推進に当たっては、横浜市立大学の附属 2 病院及び治験ネ
ットワーク病院を主体に、同センターの臨床研究支援部門及び附属2病院の臨床試験管理室、先進医療推進セ
ンターが一体となって臨床応用を目指した研究支援を展開する。また、新たな研究シーズの供給は、先端医科学
研究センターのバイオバンク部門と神奈川県立がんセンターとの検体バンク事業に基づく臨床研究、米国ハー
バード大学、FDA 等との海外連携、横浜国立大学との医工連携及び理化学研究所との連携大学院や国立感染
症研究所等との共同研究など、多面的に行われることにより永続的に臨床応用につながる開発型医療研究を行
うと共に新たな製薬企業等の事業への参画を促進する。さらに、本事業を通じて人材育成を担当した指導研究
者や、育成された若手研究者及び研究開発支援、データ管理支援、知財の管理活用等の運営スタッフなどの有
用な人材が、本事業の終了後は、キーマンとなって先端医科学研究センターの「プラットフォーム」において創
薬・医療の研究開発プロジェクトを次々と加速的に推進していく。このため、研究開発のため、同センターの維持・
管理には多額の経費を要するが、研究開発に伴う成果の事業化によって得られる収入や新たな国、横浜市等の
研究支援によって自立的な拠点運営が実現できる。
本拠点の形成に尽力した協働機関は、引き続き協働機関として本拠点での研究活動が行うことができる。先端
医科学研究センターの産学連携ラボ、共用実験室、バイオバンク、学内の共用施設、学術情報センター、ネットワ
ークなども継続して利用することができる。将来的には、拠点に対する社会的、産業的なニーズは変化してくるこ
とが予想される。横浜市立大学は、そのニーズに対応した研究拠点を協働機関と共に構築していくつもりである。
(2) イノベーション創出による波及効果
本拠点では、蛋白質の PTM を分析する技術を創出する、あるいは開発する研究が進展している。技術の創出
や開発は、イノベーション創出の原点となる。本拠点では、新しい技術を用いて画期的な診断薬や治療薬の開発
研究が行われている。画期的な診断薬や治療薬を多大な時間と労力をかけないで開発することができれば革新
的である。また、得られた研究成果を基にして、新しい医療体制の構築や、分析診断機器、診断薬、治療薬の産
業的な展開、新市場の開拓が期待できる。拠点の成熟と共に、共同研究契約を締結して本拠点で産学共同研究
を行う企業が増えてきている(図 49)。拠点の求心力によって医療、製薬、分析機器などの企業が拠点に集結し、
地域産業が活性化されることが期待できる。
一方、本拠点では、PTM 分析技術を用いて明らかにされたヒト蛋白質 PTM のデータベース(PTM アトラス)の作
成を開始した(図 50)。このデータベースは、実験で明らかにされた PTM を収納したデータベースで、ModProt と
名付けた。ModProt の大きな特長は、各蛋白質の PTM の状態をマップとして可視化できる点である。健常時のマ
ップと罹患時のマップとを重ね合わせてディファレンシャルディスプレイ診断ができるようになる。現在のデータベ
ースには、4,055 蛋白質、142,470 ペプチドの PTM 情報が収納されている。将来、ひとりひとりのすべての蛋白
質の PTM アトラスを作成することができれば、疾患に伴うすべての PTM 異常を包括的に、かつ簡便に検出できる
ようになるので、これを病気の診断や治療に応用することができる。蛋白質 PTM 異常に基づいたオーダーメード
(個別化)医療が実現することになる。究極的なイノベーションが達成できる。
153
図 49.企業等の集結による研究拠点の拡大
(3) 計画変更
新規に参入する協働機関の審査を終え、セルフリーサイエンスが最終参入した。協働機関や研究計画に,今後
大きな変更は予定していない。
154
図 50.ModProt データベースを用いて作成された PTM マップの一部
155
6.【参考】研究成果発表
(1) 原著論文(査読付き)
本項には、論文中 Acknowledgements に「先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム」の助成を受け
たと記載されている論文のみ記載した。それ以外にも、本事業の重要な成果を含む論文は多い。これらの論文に
ついては、「(2)上記論文以外による発表」の項に記載した。
項目1:分析技術の開発
1. Takayama M.:「Flexible Xxx-Asp/Asn and Gly-Xxx residues of equine cytochrome c in matrix-assisted laser
desorption/ionization in-source decay mass spectrometry.」,Mass Spectrom,1,A0007,(2012)【国内誌】
2. Asakawa D, Moriguchi S, Takayama M.:「Influence of amino acid composition and phosphorylation on the ion
yields of peptides in MALDI-MS.」,J Am Soc Mass Spectrom,23,108-115,(2012).【国外誌】
3. Asakawa D, Takayama M.:「Cα–C bond cleavage of the peptide backbone in MALDI in-source decay using
salicylic acid derivative matrices.」,J Am Soc Mass Spectrom,22,1224-1233,(2011)【国外誌】
4. Asakawa D, Takayama M.:「Mass spectrometric characterization of phosphorylated peptides using MALDI
in-source decay via redox reactions.」,J Mass Spectrom,47,180-187,(2012).【国外誌】
5. Asakawa D, Takayama M.:「Specific cleavage at peptide backbone Cα–C and CO–N bonds during
MALDI-ISD mass spectrometry with 5-nitrosalicylic acid as the matrix. 」 ,Rapid Commun Mass
Spectrom,25,2379-2383,(2011)【国外誌】
6. Kamita M, Kimura Y, Ino Y, Kamp RM, Polavoda B, Sherman F, Hirano H.:「Nα-Acetylation of yeast
ribosomal proteins : Identification by 2D-DIGE MS/MS and analysis of the effect on proteins synthesis.」,J
Proteomics,74,431-441,(2011)【国外誌】
7. Kimura A, Arakawa N, Hirano H. Mass spectrometric analysis of the phosphorylation levels of the SWI/SNF
chromatin remodeling/tumor suppressor proteins ARID1A and Brg1 in ovarian clear cell adenocarcinoma cell
lines. J Proteome Res, in press, (2014)【国外誌】
8. Kimura Y, Kurata Y, Ishikawa A, Okayama A, Kamita M, Hirano H. N-Terminal methylation of proteasome
subunit Rpt1 in yeast. Proteomics, 13: 3167-3174,(2013)【国外誌】
9. Masuishi Y, Nomura A, Okayama A, Kimura Y, Arakawa N, Hirano H. Mass spectrometric identification of
glycosylphosphatidylinositol-anchored peptides. J. Proteome Res, 12: 4617-4626, (2013)【国外誌】
10. Okayama A, Miyagi Y, Oshita F, Nishi M, Nakamura Y, Nagashima Y, Akimoto K, Ryo A, Hirano H.
Proteomic Analysis of Proteins Related to Prognosis of Lung Adenocarcinoma. J Proteome Res. in press,
(2014)【国外誌】
11. Sakakura M, Takayama M.: 「 In-source decay and fragmentation characteristics of peptides using
5-aminosalicylic acid as a matrix in matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry.」,J Am
Soc Mass Spectrom,21,979-988,(2010)【国外誌】
項目 2:がん診断・治療法開発を目指した研究
12. 荒 川 憲 昭 , 増 石 有 佑 , 平 野 久 .: 「 卵 巣 明 細 胞 腺 が ん 関 連 タ ン パ ク 質 の 発 現 調 節 . 」 , 生 物 物 理 化
学,55,5-8,(2011)【国内誌】
13. Satoh D, Hirose T, Harita Y, Daimon C, Harada T, Kurihara H, Yamashita A, Ohno S.:「aPKClambda
maintains the integrity of the glomerular slit diaphragm through trafficking of nephrin to the cell surface.」,J
Biochem,in press,(2014)【国内誌】
14. Arias-Palomo E, Yamashita A, Fernandez IS, Nunez-Ramirez R, Bamba Y, Izumi N, Ohno S, Llorca O.:「The
nonsense-mediated mRNA decay SMG-1 kinase is regulated by large-scale conformational changes
controlled by SMG-8.」,Genes Dev, 25,153-164,(2011)【国外誌】
15. Cong W, Hirose T, Yamashita A, Mizuno K, Harita Y, Hirano H, Ohno S.:「Apoptosis-stimulating protein of
p53 (ASPP2) is involved in the PAR complex to regulate epithelial cell polarity. 」 ,Current
Biol,20,1408-1414,(2010)【国外誌】
16. Doi H, Yoshida K, Yasuda T, Fukuda M, Fukuda Y, Morita H, Ikeda S-i, Kato R, Tsurusaki Y, Miyake N,
156
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Saitsu H, Sakai H, Miyatake S, Shiina M, Nukina N, Koyano S, Tsuji S, Kuroiwa Y, Matsumoto N.:「Exome
sequencing reveals a homozygous SYT14 mutation in adult-onset autosomal recessive spinocerebellar ataxia
with psychomotor retardation.」,Am J Hum Genet,89,320-327,(2011)【国外誌】
Hayashi K, Suzuki A, Hirai S, Kurihara Y, Hoogenraad CC, Ohno S. Maintenance of dendritic spine
morphology by partitioning-defective 1b through regulation of microtubule growth. 」 ,J
Neurosci,31,12094-12103,(2011)【国外誌】
Hirai S, Banba Y, Satake T, Ohno S.:「Axon formation in neocortical neurons depends on stage-specific
regulation of microtubule stability by the dual leucine zipper kinase-c-Jun N-terminal kinase pathway.」,J
Neurosci,31,6468-6480,(2011)【国外誌】
Horikoshi Y, Suzuki A, Yamanaka T, Sasaki K, Mizuno K, Sawada H, Yonemura S, Ohno S.:「Interaction
between PAR-3 and the aPKC-PAR-6 complex is indispensable for apical domain development of epithelial
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外誌】
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impairing collagen bundle formation in a new type of Ehlers-Danlos syndrome.」,Hum Mut,31,966-974,(2010)
【国外誌】
Nakamura K, Kodera H, Akita T, Shiina M, Kato M, Hoshino H, Terashima H, Osaka H, Nakamura S,
Tohyama T, Kumada T, Furukawa T, Iwata S, Shiihara T, Kubota M, Miyatake S, Koshimizu E, Nishiyama K,
Nakashima N, Tsurusaki Y, Miyake N, Hayasaka K, Ogata K, Fukuda A, Matsumoto N, Saitsu H.:「De novo
mutations in GNAO1 encoding a G α o subunit of heterotrimeric G proteins, cause epileptic
encephalopathy.」,Am J Hum Genet,93,496-505,(2013)【国外誌】
Ng S, Bigham A, Buckingham K, Hannibal M, McMillin M, Gildersleeve H, Beck A, Tabor H, Cooper G,
Mefford H, Lee C, Turner E, Smith J, Rieder M, Yoshiura K, Matsumoto N, Ohta T, Niikawa N, Nickerson D,
Bamshad M, Shendure J.:「Exome sequencing identifies MLL2 mutations as a cause of Kabuki syndrome.」,Nat
Genet,42,790-793,(2010)【国外誌】
Okada I, Hamanoue H, Terada K, Tohma T, Megarbane A, Chouery E, Abou-Ghoch J, Jalkh N, Cogulu O,
Ozkinay F, Horie K, Takeda J, Furuichi T, Ikegawa S, Nishiyama K, Miyatake S, Nishimura A, Mizuguchi T,
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Niikawa N, Hirahara F, Kaname T, Yoshiura K-i, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Furukawa T, Matsumoto N,
Saitsu H.: 「 SMOC1 is essential for ocular and limb development in humans and mice. 」,Am J Hum
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Okada-Katsuhata Y, Yamashita A, Kutsuzawa K, Izumi N, Hirahara F, Ohno S.:「N- and C-terminal Upf1
phosphorylations create binding platforms for SMG-6 and SMG-5:SMG-7 during NMD.」,Nucleic Acids
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Ozawa M, Ichikawa Y, Zheng YW, Oshima T, Miyata H, Nakazawa K, Guan HB, Shiozawa M, Akaike M,
Watanabe K, Ota M, Fujii S, Kunisaki C, Ishikawa T, Tanaka K, Akiyama H, Endo I, Taniguchi H.:
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【国外誌】
Ravenscroft G, Miyatake S, Lehtokari V-L, Todd EJ, Vornanen P, Yau KS, Hayashi YK, Miyake N, Tsurusaki
Y, Doi H, Saitsu H, Osaka H, Yamashita S, Ohya T, Sakamoto Y, Koshimizu E, Imamura S, Yamashita M,
Ogata K, Shiina M, Bryson-Richardson RJ, Vaz R, Ceyhan O, Brownstein CA, Swanson LC, Monnot S,
Romero NB, Amthor H, Kresoje N, Sivadorai P, Kiraly-Borri C, Haliloglu G, Talim B, Orhan D, Kale G,
Charles AK, Fabian VA, Davis MR, Lammens M, Sewry CA, Manzur A, Muntoni F, Clarke NF, North KN,
Bertini E, Nevo Y, Willichowski E, Silberg IE, Topaloglu H, Beggs AH, Allcock RJN, Nishino I,
Wallgren-Pettersson C, Matsumoto N, Laing NG.:「Mutations in KLHL40 are a frequent cause of severe
autosomal-recessive nemaline myopathy.」,Am J Hum Genet,93,6-18,(2013)【国外誌】
Saitsu H, Kato M, Koide A, Goto T, Fujita T, Nishiyama K, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Hayasaka K,
Matsumoto N.:「Whole exome sequenwcing identifies KCNQ2 mutations in Ohtahara syndrome. 」,Ann
Neurol,72,298-300,2012.【国外誌】
Saitsu H, Nishimura T, Muramatsu K, Kodera H, Kumada S, Sugai K, Kasai-Yoshida E, Sawaura N, Nishida H,
Hoshino A, Ryujin F, Yoshioka S, Nishiyama K, Kondo Y, Tsurusaki Y, Nakashima M, Miyake N, Arakawa H,
Kato M, Mizushima, Matsumoto N .:「De novo mutations in the autophagy gene WDR45 cause static
encephalopathy of childhood with neurodegeneration in adulthood.」,Nat Genet,45,445-449,(2013)【国外誌】
Saitsu H, Osaka H, Sasaki M, Takanashi J, Hamada K, Yamashita A, Shiina M, Kondo Y, Nishiyama K,
Tsurusaki Y, Miyake N, Doi H, Ogata K, Inoue K, Matsumoto N.:「Mutations in POLR3A and POLR3B
encoding RNA polymerase III subunits cause an autosomal recessive hypomyelinating
leukoencephalopathy.」,Am J Hum Genet,89,644-651,(2011)【国外誌】
Saitsu H, Tohyama J, Kumada T, Egawa K, Hamada K, Okada I, Mizuguchi T, Osaka H, Miyata R, Furukawa
T, Haginoya K, Hoshino H, Goto T, Hachiya Y, Yamagata T, Saitoh S, Nagai T,Nishiyama K, Nishimura A,
Miyake N, Komada M, Hayashi K, Hirai S, Ogata K, Kato M, Fukuda A, Matsumoto N.:「Dominant negative
mutations in α-II spectrin cause early onset West syndrome with severe cerebral hypomyelination, spastic
quadriplegia, and developmental delay.」,Am J Hum Genet,86,881-889,(2010)【国外誌】
Sato Y, Akitsu M, Amano Y, Yamashita K, Ide M, Shimada K, Yamashita A, Hirano H, Arakawa N, Maki T,
Hayashi I, Ohno S, Suzuki A.:「The novel PAR-1-binding protein MTCL1 has crucial roles in organizing
microtubules in polarizing epithelial cells.」,J Cell Sci,126,4671-4683,(2013)【国外誌】
Takagawa R, Akimoto K, Ichikawa Y, Akiyama H, Kojima Y, Ishiguro H, Inayama Y, Aoki I, Kunisaki C, Endo
I, Nagashima Y, Ohno S.:「High expression of atypical protein kinase C lambda/iota in gastric cancer as a
prognostic factor for recurrence.」,Ann Surg Oncol,17,81-88,(2010)【国外誌】
Takahama S, Hirose T, Ohno S.:「aPKC restricts the basolateral determinant PtdIns(3,4,5)P3 to the basal
region.」,Biochem Biophys Res Commun,368,249-255,(2008)【国外誌】
Tsurusaki Y, Okamoto N, Ohashi H, Kosho T, Imai Y, Hibi-Ko Y, Kaname T, Naritomi K, Kawame H, Wakui
K, Fukushima Y, Homma T, Kato M, Hiraki Y, Yamagata T, Yano S, Mizuno S, Sakazume S, Ishii T, Nagai T,
Shiina M, Ogata K, Ohta T, Niikawa N, Miyatake S, Okada I, Mizuguchi T, Doi H, Saitsu H, Miyake N,
Matsumoto N.: 「 Mutations affecting components of the SWI/SNF complex cause Coffin-Siris
syndrome.」,Nat Genet,44,376-378,(2012)【国外誌】
Yamashita A, Ohno S.:「Analysis of nonsense-mediated mRNA decay by monitoring mRNA half-lives in
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mammalian cells.」,Cold Spring Harb Protoc,pdb.prot5386,(2010)【国外誌】
Yamashita A, Izumi N, Kashima I, Ohnishi T, Saari B, Katsuhata Y, Muramatsu R, Morita T, Iwamatsu A,
Hachiya T, Kurata R, Hirano H, Anderson P, Ohno S.:「SMG-8 and SMG-9, two novel subunits of the
SMG-1 complex, regulate remodeling of the mRNA surveillance complex during nonsense-mediated mRNA
decay.」,Genes Dev,23,1091-1105,(2009)【国外誌】
Yamashita K, Suzuki A, Satoh Y, Ide M, Amano Y, Masuda-Hirata M, Hayashi YK, Hamada K, Ogata K,
Ohno S.:「The 8th and 9th tandem spectrin-like repeats of utrophin cooperatively form a functional unit to
interact with polarity-regulating kinase PAR-1b.」,Biochem Biophys Res Commun,391,812-817,(2010)【国外
誌】
Yoneda Y, Haginoya K, Arai H, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Osaka H, Kato M, Matsumoto N, Saitsu H.:
「De novo and inherited mutations in the gene encoding a type IV collagen α2 chain (COL4A2) cause
porencephaly.」,Am J Hum Genet,90,86-90,(2012)【国外誌】
Yoneda Y, Haginoya K, Kato M, Osaka H, Yokochi K, Arai H, Kakita A, Yamamoto T, Otsuki Y, Shimizu S,
Wada T, Koyama N, Mino Y, Kondo N, Takahashi S, Hirabayashi S, Takanashi J, Okumura A, Kumagai T,
Hirai S, Nabetani M, Saitoh S, Hattori F, Yamazaki A, Subo Y, Nishiyama K, Miyatake S, Tsurusaki Y, Doi
H, Miyake N, Matsumoto N, Saitsu H.:「Phenotype spectrum of COL4A1 mutations: porencephaly to
schizencephaly.」,Ann Neurol,73,48-57,(2013)【国外誌】
Yoshihama Y, Sasaki K, Horikoshi Y, Suzuki A, Ohtsuka T, Hakuno F, Takahashi S, Ohno S, Chida K.:
「KIBRA suppresses apical exocytosis through inhibition of aPKC kinase activity in epithelial cells.」,Curr
Biol,21,705-711,(2011)【国外誌】
項目 3:精神疾患診断・治療法開発を目指した研究
48. Hiroshima Y, Nakamura F, Miyamoto H, Mori R, Taniguchi K, Matsuyama R, Akiyama H, Tanaka K, Ichikawa
Y, Kato S, Kobayashi N, Kubota K, Nagashima Y, Goshima Y, Endo I.:「Collapsin response mediator protein 4
expression is associated with liver metastasis and poor survival in pancreatic cancer. 」 ,Ann Surg
Oncol,20,S369-S378,(2013)【国外誌】
49. Jitsuki S, Takemoto K, Kawasaki T, Tada T, Takahashi A, Becamel C, Sano A, Yuzaki M, Zukin RS, Ziff
EB, Kessels HW,
Takahashi T.: 「 Serotonin mediates cross-modal reorganization of cortical
circuits.」,Neuron,69,780-792,(2011)【国外誌】
50. Mitsushima D, Ishihara K, Sano A, Kessels HW, Takahashi T.:「Contaxtual learning requires synaptic AMPA
receptor delivery in the hippocampus.」,Proc Natl Acad Sci USA,108,12503-12508,(2011)【国外誌】
51. Mitsushima D, Sano A, Takahashi T.:「A cholinergic trigger drives learning-induced plasticity at hippocampal
synapses.」,Nat Commun,4,2760,(2013)【国外誌】
52. Miyazaki T, Kunii M, Tada H, Sano A, Kuroiwa Y, Goto T, Malinow R, Takahashi T.:「Developmental AMPA
receptor subunit specificity during experience-driven synaptic plasticity in the rat barrel cortex.」,Brain
Res,1435,1-7,(2012)【国外誌】
53. Miyazaki T, Kunii S, Jitsuki S, Sano A,Kuroiwa Y, Takahashi T.:「Social isolation perturbs experience-driven
synaptic glutamate receptor subunit 4 delivery in the developing rat barrel cortex. 」 ,Eur J
Neurosci,37,1602-1609,(2013)【国外誌】
54. Miyazaki T, Takase K, Nakajima W, Tada H, Ohya D, Sano A, Goto T, Hirase H, Malinow R, Takahashi T.:
「 Disrupted cortical function underlies behavior dysfunction due to social isolation. 」 ,J Clin
Invest,122,2690-701,(2012)【国外誌】
55. Sasaki Y, Welshhans K, Wen Z, Yao J, Xu M, Goshima Y, Zheng JQ, Bassell GJ.:「Phosphorylation of zipcode
binding protein 1 is required for brain-derived neurotrophic factor signaling of local beta-actin synthesis and
growth cone turning.」,J Neurosci,30,9349-9358,(2010)【国外誌】
56. Tada H, Kuroki Y, Funabashi T, Kamiya Y, Goto T, Suyama K, Sano A, Mitsushima D, Etgen AM, Takahashi
T.:「Phasic synaptic incorporation of GluR2-lacking AMPA receptors at gonadotropin-releasing hormone
neurons is involved in the generation of the luteinizing hormone surge in female
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rats.」,Neuroscience,248,664-669,(2013)【国外誌】
項目 4:免疫疾患診断・治療法開発を目指した研究
57. Kudoh A, Takahama S, Sawasaki T, Ode H, Yokoyama M, Okayama A, Ishikawa A, Miyakawa K, Matsunaga S,
Kimura H, Sugiura W, Sato H, Hirano H, Ohno S, Yamamoto N, Ryo A.:「The phosphorylation of HIV-1 Gag
by atypical protein kinase C facilitates viral infectivity by promoting Vpr incorporation into
virions.」,Retrovirology,11:9,(2014)【国外誌】
58. Kurotaki D, Osato N, Nishiyama A, Yamamoto M, Ban T, Sato H, Nakabayashi J, Umehara M, Miyake N,
Matsumoto N, Nakazawa M, Ozato K, Tamura T.:「Essential role of the IRF8-KLF4 transcription factor
cascade in murine monocyte differentiation.」,Blood,121,1839-1849,(2013)【国外誌】
59. Nishi M, Sakai Y, Akutsu H, Nagashima Y, Quinn G, Masui S, Kimura H, Perrem K, Umezawa A, Yamamoto
N, Lee SW, Ryo A.:「Induction of cells with cancer stem-cell properties from non-tumorigenic human
mammary epithelial cells by defined reprogramming factors.」,Oncogene,33,643-52,(2013)【国外誌】
60. Senchi K, Matsunaga S, Hasegawa H, Kimura H, Ryo A.: 「 Development of oligomannose-coated
liposome-based nasal vaccine against human parainfluenza virus type 3.」,Front Microbiol,4,346,(2013)【国外
誌】
61. Watanabe T, Hotta C, Koizumi S, Miyashita K, Nakabayashi J, Kurotaki D, Sato GR, Yamamoto M,
Nakazawa M, Fujita H, Sakai R, Fujisawa S, Nishiyama A, Ikezawa Z, Aihara M, Ishigatsubo Y, Tamura T.:
「The transcription factor IRF8 counteracts BCR-ABL to rescue dendritic cell development in chronic
myeloid leukemia.」,Cancer Res,73,6642-6653,(2013)【国外誌】
62. Yamamoto M, Kato T, Hotta C, Nishiyama A, Kurotaki D, Yoshinari M, Takami M, Ichino M, Nakazawa M,
Matsuyama T, Kamijo R, Kitagawa S, Ozato K, Tamura T.:「Shared and distinct functions of the transcription
factors IRF4 and IRF8 in myeloid cell development.」,PLoS One,6,e25812,(2011)【国外誌】
項目 5:構造解析・薬物設計
63. Miyatake S, Koshimizu E, Hayashi YK, Miya K, Shiina M, Nakashima M, Tsurusaki Y, Miyake N, Saitsu H,
Ogata K, Nishino I, Matsumoto N.:「Deep sequencing detects very-low-grade somatic mosaicism in the
unaffected mother of siblings with nemaline myopathy.」,Neuromuscul Disord,24,642-647,(2014).【国外誌】
64. Miyatake S, Osaka H, Shiina M, Sasaki M, Takanashi J, Haginoya K, Wada T, Morimoto M, Ando N, Ikuta Y,
Nakashima M, Tsurusaki Y, Miyake N, Ogata K, Matsumoto N, Saitsu H.:「Expanding the phenotypic
spectrum of TUBB4A-associated hypomyelinating leukoencephlopathies.」,Neurology,82,2230-2237,(2014).
【国外誌】
65. Saitsu H, Osaka H, Sasaki M, Takanashi J, Hamada K, Yamashita A, Shiina M, Kondo Y, Nishiyama K,
Tsurusaki Y, Miyake N, Doi H, Ogata K, Inoue K, Matsumoto N.:「Mutations in POLR3A and POLR3B
encoding RNA polymerase III subunits cause an autosomal recessive hypomyelinating
leukoencephalopathy.」,Am J Hum Genet,89,644-651,(2011)【国外誌】
66. Saitsu H, Tohyama J, Kumada T, Egawa K, Hamada K, Okada I, Mizuguchi T, Osaka H, Miyata R, Furukawa
T, Haginoya K, Hoshino H, Goto T, Hachiya Y, Yamagata T, Saitoh S, Nagai T,Nishiyama K, Nishimura A,
Miyake N, Komada M, Hayashi K, Hirai S, Ogata K, Kato M, Fukuda A, Matsumoto N.:「Dominant negative
mutations in α-II spectrin cause early onset West syndrome with severe cerebral hypomyelination, spastic
quadriplegia, and developmental delay.」,Am J Hum Genet,86,881-889,(2010)【国外誌】
67. Shiina M, Hamada K, Inoue-Bungo T, Shimamura M, Uchiyama A, Baba S, Sato K, Yamamoto M, Ogata K.:
「Structural implications underlying the phosphorylation-dependent regulation of Ets1 target genes」,J Mol
Biol,in press,(2014)【国外誌】
68. Tsurusaki Y, Koshimizu E, Ohashi H, Phadke S, Kou I, Shiina M, Suzuki T, Okamoto N, Imamura S,
Yamashita M, Watanabe S, Yoshiura K, Kodera H, Miyatake S, Nakashima M, Saitsu H, Ogata K, Ikegawa S,
Miyake N, Matsumoto N.: 「 De novo SOX11 mutations cause Coffin-Siris syndrome. 」 ,Nat
Commun,5,4011,(2014)【国外誌】
160
69. Tsurusaki Y, Okamoto N, Ohashi H, Kosho T, Imai Y, Hibi-Ko Y, Kaname T, Naritomi K, Kawame H, Wakui
K, Fukushima Y, Homma T, Kato M, Hiraki Y, Yamagata T, Yano S, Mizuno S, Sakazume S, Ishii T, Nagai T,
Shiina M, Ogata K, Ohta T, Niikawa N, Miyatake S, Okada I, Mizuguchi T, Doi H, Saitsu H, Miyake N,
Matsumoto N.:「Mutations affecting components of the SWI/SNF complex cause Coffin-Siris syndrome.」,Nat
Genet,44,376-378,(2012)【国外誌】
項目 7:システム開発(人材育成助成研究)
70. Goshima Y, Sasaki Y, Yamashita N, Nakamura F.:「Class 3 semaphorins as a therapeutic target.」,Expert Opin
Ther Targets,16,933-944,(2012)【国外誌】
71. Hayashi K, Suzuki A, Hirai S, Kurihara Y, Hoogenraad CC, Ohno S.:「Maintenance of dendritic spine
morphology by partitioning-defective 1b through regulation of microtubule growth. 」 ,J
Neurosci,31,12094-12103,(2011)【国外誌】
72. Hida T, Yamashita N, Usui H, Nakamura F, Sasaki Y, Kikuchi A, Goshima, Y.:「GSK3β/Axin-1/β-catenin
complex is involved in semaphorin3A signaling.」,J Neurosci,32,11905-11918,(2012)【国外誌】
73. Kurihara Y, Arie Y, Iketani M, Ito H, Nishiyama K, Sato Y, Nakamura F, Mizuki N, Goshima Y, Takei K.:
「The carboxyl-terminal region of Crtac1b/LOTUS acts as a functional domain in endogenous antagonism to
Nogo receptor-1.」,Biochem Biophys Res Commun,418,390-395,(2012)【国外誌】
74. Mitsushima D, Ishihara K, Sano A, Kessels HW, Takahashi T.:「Contaxtual learning requires synaptic AMPA
receptor delivery in the hippocampus.」,Proc Natl Acad Sci USA,108,12503-12508,(2011)【国外誌】
75. Mitsushima D, Sano A, Takahashi T.:「A cholinergic trigger drives learning-induced plasticity at hippocampal
synapses.」,Nature Commun,4,2760,(2013)【国外誌】
76. Sato T, Katagiri K, Kubota Y, Ogawa T.:「In vitro sperm production from mouse spermatogonial stem cell
lines using an organ culture method.」,Nat Protoc,8,2098-2104,(2013)【国外誌】
77. Sato T, Yokonishi T, Komeya M, Katagiri K, Kubota Y, Matoba S, Ogonuki N, Ogura A, Yoshida S, Ogawa
T.:「Testis tissue explantation cures spermatogenic failure in c-Kit ligand mutant mice.」,Proc Natl Acad Sci
USA,109,16934-16938,(2012)【国外誌】
78. Sato Y, Akitsu M, Amano Y, Yamashita K, Ide M, Shimada K, Yamashita A, Hirano H, Arakawa N, Maki T,
Hayashi I, Ohno S, Suzuki A.:「A novel PAR-1-binding protein, MTCL1, plays critical roles in organizing
microtubules in polarizing epithelial cells.」,J Cell Sci,126,4671-4683,(2013)【国外誌】
79. Sato Y, Iketani M, Kurihara Y, Yamaguchi M, Yamashita N, Nakamura F, Arie Y, Kawasaki T, Hirata T, Abe
T, Kiyonari H, Strittmatter S M, Goshima Y, Takei K.:「Cartilage acidic protein-1B (LOTUS), an endogenous
Nogo receptor antagonist for axon tract formation.」,Science,333,769-773,(2011)【国外誌】
80. Yamashita N, Usui H, Nakamura F, Chen S, Sasaki Y, Hida T, Suto F, Taniguchi M, Takei K, Goshima Y.:
「 Plexin-A4-dependent retrograde semaphorin 3A signalling regulates the dendritic localization of
GluA2-containing AMPA receptors.」,Nat Commun,5,3424,(2014)【国外誌】
81. Yokonishi T, Sato T, Katagiri K, Komeya M, Kubota Y, Ogawa T.:「In vitro reconstruction of mouse
seminiferous tubules supporting germ cell differentiation.」,Biol Reprod,in press,(2013)【国外誌】
82. Yoshihama Y, Sasaki K, Horikoshi Y, Suzuki A, Ohtsuka T, Hakuno F, Takahashi S, Ohno S, Chida K.:
「KIBRA suppresses apical exocytosis through inhibition of aPKC kinase activity in epithelial cells.」,Curr
Biol,21,705-711,(2011)【国外誌】
(2)上記論文以外による発表
国内誌(国内英文誌を含む)
項目 1:分析技術の開発
1. Nishi M, Akutsu H, Masui S, Nagashima Y, Perrem K, Kimura K, Shigeri Y, Toyoda M, Okayama A, Hirano H,
Umezawa A, Yamamoto N, Lee SM, Ryo A.:「A distinct role for Pin1 in the induction of pluripotency and
cancer stemness.」,J Biol Chem,286,11593-11603,(2011)
161
項目 2:がん診断・治療法開発を目指した研究
2. Minagawa Y, Shizukuishi K, Koike I, Horiuchi C, Watanuki K, Hata M, Omura M, Odagiri K, Tohnai I, Inoue
T, Tateishi U.:「Assessment of tumor hypoxia by 62Cu-ATSM PET/CT as a predictor of response in head
and neck cancer: a pilot study.」,Ann Nucl Med,25,339-345,(2011)
3. Minamimoto R, Senda M, Terauchi T, Jinnnouchi S, Inoue T, Iinuma T, Inoue T, Ito K, Iwata H, Uno K, Oku
S, Oguchi K, Tsukamoto E, Nakashima R, Nishizawa S, Fukuda H, Murano T, Yoshida T.:「Analysis of various
malignant neoplasms detected by FDG-PET cancer screening program: based on a Japanese Nationwide
Survey.」,Ann Nucl Med,25,45-54, (2011)
4. Minamimoto R, Uemura H, Sano F, Terao H, Nagashima Y, Yamanaka S, Shizukuishi K, Tateishi U, Kubota Y,
Inoue T.:「The potential of FDG-PET/CT for detecting prostate cancer in patients with an elevated serum
PSA level.」,Ann Nucl Med,25,21-27,(2011)
5. Nishiyama Y, Tateishi U, Kawai A, Chuman H, Nakatani F, Miyake M, Terauchi T,Inoue T, Kim EE.:
「Prediction of treatment outcomes in patients with chest wall sarcoma evaluation with PET/CT.」,Jpn J Clin
Oncol,42,912-918,(2012)
6. Nishiyama Y, Tateishi U, Shizukuishi K, Shishikura A, Yamazaki E, Shibata H, Yoneyama T, Ishigatsubo Y,
Inoue T.:「Role of (18)F-fluoride PET/CT in the assessment of multiple myeloma: initial experience.」,Ann
Nucl Med,27,78-83,(2013)
7. Ogino I, Kaneko T, Suzuki R, Matsui T, Takebayashi S, Inoue T, Morita S.: 「 Rectal content and
intrafractional prostate gland motion assessed by magnetic resonance imaging. 」 ,J Radiat
Res,52,199-207,(2011)
8. Sugae S, Suzuki A, Takahashi N, Minamimoto R, Cheng C, Theeraladanon C, Endo I, Togo S, Inoue T,
Shimada H.:「Fluorine-18-labeled 5-fluorouracil is a useful radiotracer for differentiation of malignant tumors
from inflammatory lesions.」,Ann Nucl Med,22,65-72,(2008)
項目 3:精神疾患診断・治療法開発を目指した研究
9. Goshima Y, Usui H, Shiozawa T, Hida T, Kuraoka S, Takeshita S, Yamashita N, Ichikawa Y, Kamiya Y, Gotoh
T, Gotoh T.:「Computational analysis of the effects of antineoplastic agents on axonal transport. 」,J
Pharmacol Sci,114,168-179,(2010)
項目 4:免疫疾患診断・治療法開発を目指した研究
10. 黒滝大翼,田村智彦.:「Introduce My Article “Essential role of the IRF8-KLF4 transcription factor cascade
in murine monocyte differentiation.”」,臨床血液,54,786,(2013)(論文紹介)
11. 黒 滝 大 翼 , 田 村 智 彦 .: 「 IRF8-KLF4 転 写 因 子 カ ス ケ ー ド に よ る 単 球 分 化 制 御 . 」 , 実 験 医
学,31,2971-2975,(2013)(総説)
12. 奥 田 昌 彦 , 西 村 善 文 .: 「 基 本 転 写 因 子 TFIIE の 構 造 と TFIIH と の 相 互 作 用 . 」 , 生 化 学 , 第 80
巻,501-510,(2008)
項目 5:構造解析・薬物設計
13. 佐 藤 衛 .: 「 X 線 溶 液 散 乱 と 分 子 動 力 学 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で み る タ ン パ ク 質 の 揺 ら ぎ . 」 , 高 分
子,60,798-800,(2011)
14. 緒方一博,浜田恵輔.:「転写制御とエピジェネティクス 14 転写制御因子の分子構造と作用機構.」,南山
堂,116-131,(2008)
15. 西村善文.:「転写・翻訳 真核生物の転写系を中心に, 蛋白質・核酸・酵素.」,Vol.53,620-623,(2008)
16. 苙口友隆、池口満徳、佐藤 衛.:「X線溶液散乱と分子動力学シミュレーションで探るタンパク質の構造揺ら
ぎ.」,日本結晶学会誌,55,24-31,(2013)
17. 苙口友隆、池口満徳、佐藤 衛.:「天然変性タンパク質:タンパク質の構造・機能研究の新しいターゲット―X
線小角散乱と分子動力学シミュレーションによる動的構造解析―.」,実験医学,29,475-480 (2011)
162
項目 7:システム改革(人材育成助成研究)
18. 佐々木 幸生、五嶋 良郎.:「神経軸索における局所翻訳制御と機能調節.」,細胞工学,31,677-82,(2012)
19. Hayashi K, Suzuki A, Ohno S.:「PAR-1/MARK: a kinase essential for maintaining the dynamic state of
microtubules.」,Cell Struct Funct,37,21-25,(2012)
国外誌
項目 1:分析技術の開発
20. Akama K, Horikoshi T, Nakayama T, Otsu M, Imaizumi N, Nakamura M, Toda T, Inuma I, Hirano H, Kondo
K, Suzuki S, Inoue N.:「Proteomic identification of differentially expressed genes in neural stem cells
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佐藤 衛、萩原央記、明石知子「翻訳後修飾のプロテオミクス」(第 4 章:翻訳後修飾タンパク質の網羅的解
析、4-13. 脱イミノ化)平野 久、大野茂男編集(2011)
梁 明秀、田代眞人、牛島廣治編「ウイルス感染症の検査・診断スタンダード」(2011)
高山光男「翻訳後修飾のプロテオミクス」(8-26)(2011)
高山光男、日本分析化学会編「改訂六版 分析化学便覧」(762-764)(2011)
高山光男、早川滋雄、瀧浪欣彦、和田芳直編「現代質量分析学」(2013)
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松本直通「別冊「医学のあゆみ」エクソーム解析 成果と将来」(2014)
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(3) 口頭発表
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France,Semaphorin function and mechanism of action(EMBO workshop),2013.10.30、【国際会議】
2. Hirano H:「トランスレーショナルリサーチと産学連携」,横浜,International Symposium for Life Design and
Engineering,2014.3、【国際会議】
3. Hirano H:「Proteomics of co- and post-translational modifications of large protein complexes」,Beijing,Asia
and Oceania Human Proteome Organisation,2012.5、【国際会議】
4. Hirano H:「Identification and functional analysis of co- and post-translational modifications of large protein
complexes」,Busan,Korean Human Proteome Organization,Annual Congress,2011.4、【国際会議】
5. Hirano H,Arakawa N,Masuishi Y,Morita E,Miyagi E,Hirahara F:「Proteome analysis for the discovery of
biomarkers and therapeutic targets 」 ,Hyderabad AOHUPO Congress,ADNAT Convention & 1st PSI
Conference,2010.10、【国際会議】
6. Hirano H:「Proteomic analysis of co- and post-translational modifications in the yeast 26S proteasome.」
Vienna,11th International,Congress on Amino Acids,Peptides and Proteins,2009.8、【国際会議】
7. Ino Y,Okayama A,Arakawa N,Hirano H:「A novel PVDF membrane for on-membrane identification of
gel-resolved proteins by MALDI MS」,Uppsala,Meeting of Methods in Protein Structure Analysis,2010.8、
【国際会議】
8. Hirano H:「Proteomics for co- and post-translational modifications of the yeast 26S proteasome」,Taipei,
Taiwan-Japan Proteomics Symposium,2008.12、【国際会議】
9. Hirano H,Arakawa N,Kawasaki H,Masuishi Y,Takahashi E,Yahagi S,Yamanaka Y,Miyagi E,Hirahara F:
「 Identification and validation of ovarian cancer-associated proteins. 」 ,2nd Pacific Rim International
Conference on Protein Science/4th Asian-Oceania Human Proteome Organization,2008.6、【国際会議】
10. Hirano H:「Proteomic approach to discover biomarkers and therapeutic targets」,Taipei,13th Joint Biophysics
Conference,2008.5、【国際会議】
11. Kidera A:「Simulations of biomolecular functions by a simultaneous use of three levels of molecular
simulations, QM, MM, and CG」,Tokyo,The 2nd Biosupercomputing Symposium,2010.3、【国際会議】
12. Kidera A: 「 Multiscale simulation studies on protein structural changes upon ligand binding 」 ,Tokyo,
Britain-Japan Workshop “High Performance Modelling of Multiscale Biomoleular Systems”,2012.12、【国際
会議】
13. Kidera A:「Multi-scale simulation studies on protein structural changes upon ligand binding」,Harima,
Hyogo,The 4th France-Japan Joint Seminar “Imaging of spatiotemporal hierarchies in living cells”,2013.1、
【国際会議】
14. Kidera A : 「 Hierarchical Dynamics of Protein Molecules Revealed by Molecular Dynamics
Simulations」,Okazaki,Aichi,IMS Workshop “Hierarchical Molecular Dynamics” ,2013.5、【国際会議】
15. Ogawa T:「In vitro maturation of sperm」,Victoria,Canada,59th Annual meeting of Canadian Fertility and
Andrology Society,2013.9.28、【国際会議】
16. Ogawa T:「In vitro spermatogenesis using an organ culture system」,Kobe,Japan,The 9th Conference of the
Pacific Rim Society for Fertility and Sterility, 2013.11.13、【国際会議】
17. Ohno S: 「Epithelial cell polarity and the PAR-aPKC complex.」, Merida, Mexico, Molecular Structure and
Function of the Apical Junctional Complex in Epithelia and Endothelia,2012, 11. 【国際会議】
18. Ohno S: 「Integrated regulation of PIKK-mediated stress responses by AAA+ proteins RUVBL1 and
RUVBL2. 」 , Bordeaux, France, First International Workshop on Pontin (RUVBL1) and Reptin
(RUVBL2),2012, 10. 【国際会議】
19. Ohno S: 「The regulators and the effectors of the aPKC-PAR.」, Münster, Germany, SFB Symposium 2012
"Molecular Cell Dynamics",2012, 5-6. 【国際会議】
20. Ohno S: 「Cell polarity and cancer.」, Tainan City, Taiwan, 2011 International Symposium on Infectious
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Disease and Signal Transduction, 2011 Taiwan-Japan Joint Symposium on Cell Signaling and Gene
Regulation,2011, 11. 【国際会議】
Ohno S: 「Epithelial cell polarity and the Par-aPKC complex.」, Biopolis, Singapore, 5th International
Epithelial-Mesenchymal Transition Meeting,2011, 10. 【国際会議】
Ohno S: 「Cell polarity and the maintenance and disruption of epithelial tissues.」, Duarte, CA, USA,
US-Japan Summer Conference on Cancer, Diabetes and Inflammation,2011, 8. 【国際会議】
Ohno S: 「ASPP2 regulates epithelial cell polarity through the PAR complex.」, Philadelphia, USA, The 50th
American Society for Cell Biology Annual Meeting,2010, 12. 【国際会議】
Ohno S: 「Signaling Crosstalk between Cell Polarity and Cell Growth/Apoptosis.」 第 33 回日本分子生物学
会年会 第 83 回日本生化学会大会 合同大会, 神戸市 2010, 12. 【国際会議】
Ohno S: 「Inside-out signalling effects on extracellular membrane and polarity.」, Bristol, UK, The 8th
International Podocyte Conference,2010, 6. 【国際会議】
Ohno S: 「Epithelial Cell Polarity and the PAR-aPKC System.」, Kobe, The seventh annual CDB Symposium
"Shape and Polarity" RIKEN Center for Developmental Biology (CDB),2009, 3. 【国際会議】
Sato M:「SAXS to Investigate Protein Flexibility and Intrinsic Disorder in Solution」,Kyushu University
(Chikushi-campus), The 3th Asian Symposium on Advance Materials: Chemistry & Physics of Functional
Materials (ASAM-3), 2011.9.19-22、【国際会議】
Sato M:「SAXS & MD Simulation to Investigate Protein Flexibility in Solution」,Nagoya Trade & Industry
Center,International Symposium on Diffraction Structural Biology (ISDSB2013),2013.5.26-19、【国際会議】
Sato M:「Protein Dynamics Investigated by SAXS and MD Simulation」,Keio Plaza Hotel Sapporo in Sapporo,
International Conference on Structural Genomics-Structural Life Science-(ICSG2013-SLS), 2013.7.29-8.1、
【国際会議】
Sato M:「Protein Flexibility Investigated by SAXS & MD Simulation」,ICC Jeju, Korea, The 4th Asia Pacific
Protein Association(APPA)Conference,2014.5.17-20、【国際会議】
Shiina M,Hamada K,Inoue-Bungo T,Shimamura M,Uchiyama A,Baba S,Sato K,Ogata K: 「 Cooperative
formation of a multiple transcription factor assembly on an enhancer DNA and its regulation by
phosphorylation of a transcription factor via a cell signaling」,Yokohama, HUPO 2013(12th Human Proteome
Organization Annual World Congress),2013.9.16、【国際会議】
Takahashi T:「Molecular mechanisms underlying experience dependent synaptic plasticity.」,Seattle,Current
Trends and Future Directions of Synaptic Plasticity Reseach,2013. 7、【国際会議】
Takayama M:「New Perspectives of MALDI In-Source Decay in Protein Study –From Top-Down Proteomics
to Flexible Analysis」,Taipei,Taiwan,the 4th Asia Oceania Mass Spectrometry Conference,2013.7.10-12、【国
際会議】
荒川 憲昭:「培養細胞を利用した新規卵巣がん血清診断マーカー候補蛋白質の同定」,つくば, 日本プロ
テオーム学会, 2014.7、【国内会議】
荒川 憲昭:「セクリトーム解析による卵巣明細胞腺癌血清マーカーの開発」,相模原,北里疾患プロテオーム
研究会,2012.8、【国内会議】
荒川 憲昭:「セクリトーム解析による新規卵巣癌マーカーの同定と臨床的有用性」,沖縄,日本電気泳動学会,
2012.8、【国内会議】
荒川 憲昭:「卵巣明細胞腺がん創薬標的分子、診断マーカーの探索」,横浜,日本電気泳動学会,2011.11、
【国内会議】
荒川 憲昭:「レドックスプロテオミクスによる NADPH オキシダーゼの活性酸素シグナルの研究」,大手町会館,
東京,若手研究者による最前線プロテオミクス,2010.6、【国内会議】
上野 康晴、内藤 貴子、谷口 英樹:「肝幹細胞におけるポリコーム群タンパク質Ring1Bの機能解析」,京都,
第51回日本消化器病学会大会,2009,10、【国内会議】
大里 直樹:「転写制御解析のバイオインフォマティクス」,東京,第 30 回バイオインフォマティクスへの招待,
2011.10.20、【国内会議】
大野 茂男: 「乳腺前駆細胞の増殖を制御する新規 aPKC-ErbB2 枢軸.」,東京,平成 24 年度文部科学省新
学術領域研究、がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動、公開シンポジウム,2013, 1. 【国内会議】
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42. 大野 茂男: 「細胞極性化の原理と生理機能.」,甲府,第 117 回解剖学会総会・全国学術集会,2012, 3. 【国
内会議】
43. 大野 茂男: 「細胞シグナリングと疾患モデルのプロテオミクス.」,東京,日本ヒトプロテオーム機構(JHUPO)
第7回大会,2009, 7. 【国内会議】
44. 大野 茂男: 「上皮細胞の細胞間接着と極性とを制御する分子(aPKC-PAR)から糸球体スリット膜の維持機
構を考える.」,新潟,第 24 回新潟腎シンポジウム,2009, 7. 【国内会議】
45. 大野 茂男: 「極性蛋白質を介した細胞組織化とその異常.」, 横浜,第 1 回公開シンポジウム 科学技術振興
調整費「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」,横浜,分析技術の発達により見えてきた蛋白質の
翻訳後修飾とその異常,2009, 6. 【国内会議】
46. 大野 茂男: 「mRNA サーベイランス複合体の生化学的性状.」,横浜,第 82 回日本薬理学会年会,2009, 3.
【国内会議】
47. 大野 茂男: 「細胞極性関連遺伝子:マウスモデルからヒトの疾病へ.」,横浜,第 2 回横浜市立大学・米国食品
医薬品庁共催 国際学術ワークショップ,2009, 3. 【国内会議】
48. Ohno S: 「aPKC suppresses the growth of mammary luminal progenitors through a novel mechanism involving
ErbB2.」, 札幌, 新学術領域研究「上皮管腔組織形成」第一回国際シンポジウム the first International
Meeting for Epithelial tubulology,2013, 6.【国内会議】
49. 緒方 一博:「分子構造を基盤としたシグナル伝達と転写制御」,岡山,日本薬学会第 130 年会,2010.3.30、
【国内会議】
50. 緒方 一博:「メモリアルシンポジウム転写分野でドライ研究からウェット研究まで横断的に活躍された皿井先
生」,東京,生命医薬情報学連合大会「オミックス・計算 そして創薬」,2013.10.31、【国内会議】
51. 小川 毅彦:「in vitro における精子形成」,神戸国際会議場,第 58 回日本生殖医学会教育講演,2013.11.16、
【国内学会】
52. 小川 毅彦:「器官培養法による in vitro 精子形成:展望と課題」,軽井沢プリンスホテル,第 33 回日本アンドロ
ロジー学会特別講演2,2014.6.13、【国内学会】
53. 木村 弥生:「質量分析装置を用いた翻訳後修飾解析」,つくば,日本プロテオーム学会,2014.7、【国内会議】
54. Kimura Y:「The analysis of protein post-translational modifications」,横浜,日本プロテオーム学会,2013.9、
【国内会議】
55. 木村 弥生,永田 佳代子,北村 浩,平野 久,小原 收:「ヘテロ核リボヌクレオタンパク質のモディフィコミク
ス」,浦安,日本プロテオーム学会,2010.7、【国内会議】
56. Kimura A: 「 Identification and characterization of the posttranslational modifications of yeast 26S
proteasome.」,Yokohama,HUPO annual world congress,2013.9、【国際会議】
57. 倉田 洋一:「GH 遺伝子組換えアマゴのプロテオームおよびトランスクリプトーム解析」,神奈川,第9回プロテ
オーム医療創薬研究会,2009.3、【国内会議】
58. 黒滝 大翼:「組織常在性マクロファージ及び単球の機能とその分化機構の解明」,熊本,第 24 回日本生体
防御学会学術総会(受賞講演),2013.7.11、【国内会議】
59. 佐々木 幸生:「翻訳トランス因子による軸索局所翻訳制御と神経疾患との関連」,タワーホール船堀,東
京,2013.3.28、【国内会議】
60. 佐藤 衛:「天然変性タンパク質をターゲットとした新しい構造生物学―将来光源を用いた1分子解析を目指
して―」,高エネルギー加速器研究機構「小林ホール」,PF研究会「ERLサイエンスワークショップ,2011.4.2728、【国内会議】
61. 佐藤 衛:「天然変性タンパク質をターゲットとした新しい構造生物学」,京都大学大学院理学研究科セミナー
ハウス(大セミナー室),京都大学大学院理学研究科講演会,2011.7.28、【国内会議】
62. Sato M:「Towards the structural characterization of intrinsically disordered proteins by SAXS and MD
simulation」,パシフィコ横浜,第 34 回日本分子生物学会大会,2011.12.13-16、【国内会議】
63. Sato M, Ikeguchi M, Oroguchi T : 「 SAXS & MD Simulation to Investigate Protein Flexibility in
Solution」,SPring-8 Public Relation Center,The 2st Annual Meeting for Whole-Organism Science Society.
Joint Meeting with The 11th Annual Meeting of Structural-BiologicalWhole Cell Project,2012.9.28-19、【国
内会議】
64. 佐藤 衛:「溶液散乱と分子動力学計算で明らかにされるタンパク質の構造揺らぎと水和構造」,京都大学,百
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周年記念時計台記念館,日本中性子科学会第 12 回年会,2012.12.10-11、【国内会議】
佐藤 衛:「高分子としてのタンパク質構造解析:小角X線、中性子散乱の立場から 」,研究社英語センター
大会議室,東京,平成 24 年度第 1 回生物構造学研究会,2013.3.21、【国内会議】
佐藤 衛:「X線と中性子―X線でも見えるものと中性子でしか見られないもの」,研究社英語センター大会議
室,東京,平成 24 年度第 2 回ソフトマター中性子散乱研究会,2012,12.21、【国内会議】
佐藤 衛:「天然変性領域をターゲットにした抗体医薬の創成を目指して」,とりぎん文化会館,鳥取市,第 13
回日本蛋白質科学会年会,ワークショップ「天然変性タンパク質を標的にした創薬」, 2013.6.12-14、【国内会
議】
佐藤 衛:「将来光源を用いた新しいタンパク質の構造・機能研究」,SPring-8 普及棟,第 31 回関西界面科
学セミナー―光が拓く表面・界面主役の世界―,2013.8.2-3、【国内会議】
佐藤 衛:「天然変性タンパク質(領域)をターゲットにした創薬」,静岡県立大学小講堂,静岡県立大学薬学
部第 238 回(平成 25 年度第 6 回)月例薬学セミナー,2013.9.30、【国内会議】
佐藤 衛:「低エミッタンス高輝度光源を用いたタンパク質の新しい構造解析法の提案」,東北大学金属材料
研 究 所 , 第3 世 代 中型 高輝 度 放 射 光源 ( SLiT-J )の 実 現に 向 けて― 先端学 術 研 究 と産 業 技 術支援
―,2013.12.9-10、【国内会議】
佐藤 衛:「PF-UA が描く放射光科学の将来ビジョン」,高エネルギー加速器研究機構,第2回物構研特別シ
ンポジウム,2014.5.28、【国内会議】
椎名 政昭,浜田 恵輔,井上-豊後 泰子,嶋村 麻利子,馬場 しほ,内山 晃子,鈴木 香絵,タヒロフ
タヒール,緒方 一博: 「ワークショップ Regulation of DNA binding of Ets1 by phosphorylation in an intrinsic
disordered region」,横浜,第 14 回日本蛋白質科学会年会,2014.6.26、【国内会議】
椎名 政昭,浜田 恵輔,豊後 泰子,嶋村 麻利子,内山 晃子,馬場 しほ,佐藤 光,緒方 一博:「細
胞内シグナルによるエンハンソソーム制御の分子機構 ワークショップ: クロマチン遺伝子制御研究の現状と
将来」,神戸,第 33 回日本分子生物学会年会・第 83 回日本生化学会大会合同大会,2010.12.10、【国内会
議】
椎名 政昭:「NMR による構造解析 原理と試料調製法」,三島,遺伝研究会タンパク質精製解析ワークショッ
プ,2008.12.18、【国内会議】
高橋 琢哉:「経験依存的 AMPA 受容体シナプス移行」,東京,第 31 回日本神経科学大会,2008.7、【国内会
議】
高橋 琢哉:「経験依存的 AMPA 受容体シナプス移行」,群馬,第 52 回日本神経化学会大会,2009.6、【国内
会議】
高橋 琢哉:「経験依存的 AMPA 受容体シナプス移行」,名古屋,第 32 回日本神経科学大会,2009.9、【国内
会議】
高橋 琢哉:「経験依存的AMPA受容体シナプス移行」,神戸,第53回日本神経科学会大会,2010.9、【国内会
議】
高橋 琢哉:「Experience driven synaptic delivery of AMPA receptors in vivo.」,東京,第 33 回日本分子生物
学会年会(BMB2010),2010.12、【国内会議】
高橋 琢哉:「Experience driven synaptic delivery of AMPA receptors in vivo.」,東京,東大医学系研究科疾
患生命工学センターセミナー,2010.7、【国内会議】
高橋 琢哉:「精神疾患診断治療ターゲットとしてのAMPA受容体シナプス移行異常」,東京,第 3 回泌尿器
科フロンティアセミナー(武田薬品工業株式会社主催),2012.8、【国内会議】
高橋 琢哉:「Neonatal social isolation disrupts cortical circuit formation.」,福井,福井大学医学部セミナー,
2014.1、【国内会議】
田村 智彦:「転写因子 IRF8 と自然免疫系細胞の分化制御ならびに慢性骨髄性白血病」,横浜,日本たばこ
産業株式会社医薬探索研究所,2012.7.26、【国内会議】
Tamura T:「The transcription factor IRF8 in the pathogenesis and therapy of chronic myelogenous leukemia」,
札幌,第 71 回日本癌学会学術総会(シンポジウム),2012.9.21、【国内会議】
田村 智彦:「転写因子 IRF8 による単核貪食細胞群の分化制御と慢性骨髄性白血病」,福岡,九州大学,
2012.12.12、【国内会議】
田村 智彦:「転写因子 IRF8 によるミエロイド細胞分化制御と慢性骨髄性白血病」,福岡,ブリストル血液学ア
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カデミー,2013.9.7、【国内会議】
87. 谷口 英樹:「ヒトiPS細胞由来組織の大量製造技術」,神奈川県,ライフイノベーション地域協議会主催セミナ
ー、2013.10.11、【国内会議】
88. 谷口 英樹:「iPS細胞からヒト臓器を作る -如何にして器官発生を模倣するのか?-」,東京都,第13回TC
カンファレンス,2013.7.19、【国内会議】
89. 谷口 英樹:「iPS細胞からヒト臓器を作る!-如何にして器官発生を模倣するのか?-」,熊本県,第31回日
本肝移植研究会,2013.7.4-5、【国内会議】
90. 谷口 英樹:「iPS細胞からヒト臓器を作る!-如何にして器官発生を模倣するのか?-」,東京都,第1回関東
小児糖尿病フォーラム,2013.6.13、【国内会議】
91. 谷口 英樹,武部 貴則,関根 圭輔:「如何にして器官発生を模倣するのか?-血管系を有するヒト肝組織
創出法の開発-」,神奈川県,第12回日本再生医療学会パネルディスカッション,2013.3.21-23、【国内会議】
92. 谷口 英樹:「iPS細胞からヒト臓器を作る!-薬剤評価系への波及効果-」,東京都,日本動物実験代替法
学会第25回大会,101.12.8、【国内会議】
93. 谷口 英樹,武部 貴則,関根 圭輔,青山 晋輔,安達 弥永:「ヒトiPSを用いたファーマコセロミクス基盤技術
の開発」,東京都,第127回日本薬理学会関東部会シンポジウム,2012.10.20、【国内会議】
94. 谷口 英樹:「肝幹細胞の自己複製と腫瘍化プロセスの関連性」,東京都,第8回日本再生医療学会総会シン
ポジウム,2009.3、【国内会議】
95. 谷口 英樹:「ヒト組織幹細胞クローンの産業利用へ向けて」,大阪,第8回ヒューマンサイエンス研究資源バン
クセミナー,2009.1、【国内会議】
96. 谷口 英樹:「ヒト幹細胞を用いたin vivoにおける微小血管ネットワーク構造の再構築」,東京都,第35回日本
臓器保存生物医学会定期学術集会シンポジウム,2008.11、【国内会議】
97. 谷口 英樹:「創薬プロセスの加速化に向けたヒト幹細胞の利用」,横浜市,第59回日本電気泳動学会総会シ
ンポジウム,2008.11、【国内会議】
98. 谷口 英樹:「固形臓器における幹細胞研究の新展開」,川崎市,かわさきサイエンス&テクノロジーフォーラ
ム2008先端医療セッション,2008.11、【国内会議】
99. 谷口 英樹:「大腸癌における癌幹細胞(cancer stem cell)研究の動向」,横浜市,昭和大学横浜市北部病院
消化器センターと都築区内科医会との連携勉強会特別講演,2008.10、【国内会議】
100. 谷口 英樹:「ヒト肝幹細胞の分離と三次元培養系を用いた分化誘導」,静岡県,第15回肝細胞研究会シンポ
ジウム,2008.6、【国内会議】
101. 戸田 年総:「生命科学・医科学を支えてきた電気泳動の歴史と今後の方向性」,沖縄,日本電気泳動学会,
2012.8、【国内会議】
102. 浜 田 恵 輔 : 「 タ ン パ ク 質 結 晶 化 と 構 造 解 析 」 , 三 島 , 遺 伝 研 究 会 タ ン パ ク 質 精 製 解 析 ワ ー ク シ ョ ッ
プ,2008.12.18、【国内会議】
103. 平野 久:「タンパク質翻訳後修飾の網羅的な解析とその役割」,横浜,日本蛋白質科学会,2014.6、【国内会
議】
104. 平野 久:「生体試料のマイクロプロテオミクス研究基盤の確立による疾患の病因・病態の解明」「イノベーショ
ン創出をめざすプロテオミクスのこれから」,新潟大学,新潟,頭脳循環プロジェクト・シンポジウム,2014.3、【国
内会議】
105. 平野 久:「血液中バイオマーカー探索のプロテオミクス」,大阪および東京,AB Sciex シンポジウム,2012.8、
【国内会議】
106. 平野 久:「プロテオーム分析技術の開発、体系化と生命医科学研究への応用」,東京,日本プロテオーム学
会,2012.7、【国内会議】
107. 平野 久:「卵巣明細胞腺癌に対する創薬標的および診断マーカーの探索」,東京,厚生労働科学研究費医
薬基盤研究所公開シンポジウム,2012.6、【国内会議】
108. 平野 久:「Phos-tag アフィニティ電気泳動と DIGE によって見えるタンパク質のリン酸化状態の変動」,沖縄,
日本電気泳動学会シンポジウム,2012.5、【国内会議】
109. 平野 久:「たんぱく質のはたらきと病気」,横浜,先端医科学研究センター市民講座,2012.4、【国内会議】
110. 平野 久:「GE ヘルスケア DIGE User's Day, 電気泳動によって見えるタンパク質の翻訳後修飾」,東京,
2011.11、【国内会議】
111. 平野 久:「創薬標的分子と診断マーカー探索のプロテオミクス」,東京,第 69 回今堀アイバイオフォーラム,
183
2011.10、【国内会議】
112. 平野 久:「Phos-tag によるリン酸化蛋白質のショットガン分析, Phos-tag 親和電気泳動」,京都,日本生化学
会年会,2011.9、【国内会議】
113. 平野 久:「翻訳後修飾のプロテオミクス」,新潟,日本プロテオーム学会,2011.7、【国内会議】
114. 平野 久, 木村 弥生, 菊池 有理亜, 岩船 裕子, 秋山 知子, 岡山 明子, 中村 浩規, 荒川 憲昭:「翻
訳後修飾のプロテオミクス」,宇部,日本電気泳動学会,2011.5、【国内会議】
115. 平野 久:「診断マーカーのプロテオミクス,探索,バリデーション,利用の方法」,松本,第 60 回日本電気泳動学
会総会,2009.9、【国内会議】
116. 平野 久:「バイオマーカーおよび創薬ターゲット探索のプロテオーム研究における質量分析」,名古屋,第 61
回日本細胞生物学会,2009.6、【国内会議】
117. 平野 久:「蛋白質複合体の翻訳後修飾のプロテオーム解析」,名古屋,第 73 日本生化学会中部支部例会・シ
ンポジウム,2009.05、【国内会議】
118. 廣瀬智威: 「腎糸球体ポドサイトのスリット膜維持における新しい分子機構.」, 東京, お茶の水がん学アカデ
ミア第 52 回集会,2009, 2. 【国内会議】
119. 増石 有佑:「特別企画 I 未来に向けて―若手研究者が語る私の研究ライフワーク― 私が目指す研究者」,
松本市,日本電気泳動学会,2009.9、【国内会議】
120. 山本 林,鈴木 翔,藤岡 優子,木村 弥生,平野 久,野田 展生,大隅 良典:「オートファジー関連タンパク質
のリン酸化による機能制御」,つくば,日本プロテオーム学会,2014.7、【国内会議】
主催講演
1.Tomohiko Tamura:「The role of IRF transcription factors in the development of innate immune cells and its
relevance to human chronic myelogenous leukemia」,横浜,文部科学省イノベーションシステム整備事業 先
端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」第 1 回
国際シンポジウム,2010.9.14【国際会議】
2. Kazuhiro ogata:「Structural basis for differential regulation of enhanceosome by chemical modification of
transcription factor」横浜,文部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠
点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」第 1 回国際シンポジウム,2010.9.14【国
際会議】
3. 平野 久:「翻訳後修飾解析研究の動向」,横浜,文部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領
域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」第 1 回公開シン
ポジウム,2009.6.19
4.大野 茂男:「極性タンパク質を介した細胞組織化とその異常」,横浜,文部科学省イノベーションシステム整
備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形
成」第 1 回公開シンポジウム,2009.6.19
5. Tamura T,Yamamoto M,Osato N,Kurotaki D,Uno K,Nakazawa M,Nishiyama A,Ozato K:「IRF8 physically
interacts with C/EBPα to inhibit the generation of granulocyte-macrophage progenitors and neutrophils」,横
浜,第 34 回日本分子生物学会年会(ワークショップ),2011.12.16、【国内会議】
6. 高橋 琢哉:「精神神経疾患における AMPA 受容体シナプス移行」,横浜,文部科学省イノベーションシステ
ム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点
の形成」第 3 回公開シンポジウム,2012.2.10、【国内会議】
7. 美津島 大:「文脈学習に必要な AMPA 受容体のシナプス移行:海馬 CA1 でのシナプス可塑性」,横浜,文
部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修
飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」第 3 回公開シンポジウム,2012.2.10、【国内会議】
8. 五嶋 良郎:「精神神経疾患をいかに早期に診断するか:バイオマーカー開発の試み」,横浜,文部科学省イ
ノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミ
クス医療研究拠点の形成」第 3 回公開シンポジウム,2012.2.10、【国内会議】
9. 竹居 光太郎:「新規神経回路形成分子 LOTUS の機能と神経再生医療への応用」,横浜,文部科学省イノ
ベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プロテオミク
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ス医療研究拠点の形成」第 3 回公開シンポジウム,2012.2.10、【国内会議】
10.田村 智彦:「ゲノム規模解析による転写因子 IRF8 を核とした単球分化制御プログラムの理解」,横浜,文部科
学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「翻訳後修飾プ
ロテオミクス医療研究拠点の形成」第 4 回公開シンポジウム,2012.10.1、【国内会議】
11.中林 潤:「オミックスからシステム生物学への展開:細胞運命決定に関与する転写制御ネットワーク再構成の
試み」,横浜,文部科学省イノベーションシステム整備事業 先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログ
ラム「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」第 4 回公開シンポジウム,2012.10.1、【国内会議】
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応募講演
審査のある講演会
Akimoto K, Nagashima Y, Ishiguro H, Zheng Y-W, Sasaki K, Kojima Y, Taniguchi H and Ohno S: 「aPKC λ
regulates mammary luminal progenitor cell propagation and it’s disruption in a subpopulation of breast
cancer.」 , Nagoya, 70th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association,2011, 10. 【国際会議】
Harita Y: 「Role of a Novel Slit Diaphragm Component, SIRPα, as a Nephrin-Interacting Protein.」
International Pediatric Nephrology Association, New York, USA 2010, 8-9. 【国際会議】
Hirose T, Sugitani Y, Kusaka C, Noda T and Ohno S: 「PAR3 is required for restricting symmetric
proliferative divisions in mouse neutral precursor cells.」, 横浜市, 第34回日本分子生物学会年会,2011, 12.
【国際会議】
Sato D: 「Molecular mechanisms regulating the turnover of nephrin: the role of cell polarity regulator,
aPKC-Par complex.」, 福岡市, The 11th Asian Congress of Pediatric Nephrology,2011, 6. 【国際会議】
Suzuki A: 「Interaction between PAR-3 and the aPKC-PAR-6 Complex Is Indispensable for Apical Domain
Development of Epithelial Cells.」, Kyoto, The American Society for Cell Biology /Japan Society for Cell
Biology /RIKEN Center for Developmental Biology Meeting,2009, 9. 【国際会議】
Takahashi T:「Serotonin mediates cross-modal reorganization of cortical circuits.」,NY,Cold Spring Harbor
Meetings,SYNAPSES: From Molecules to Circuits & Behavior,2011.5、【国際会議】
Takayama M:「Top-Down and Flexible Analysis of Protein using MALDI In-source Decay」,Yokohama,
Japan,the 4th Human Proteome Organization,2013.9.14-18、【国際会議】
Yamashita A: 「Specific inhibition of SMG-8 rescues effectively the mutant phenotypes exacerbated by
nonsense-mediated mRNA decay without cell toxicity. 」 , 福 岡 市 , The 2nd Meeting on RNA and
Biofunctions-ASIA Study "RNA biofunctuions and viruses",2013, 1. 【国際会議】
Yamashita A, Usuki F and Ohno S: 「Specific inhibition of SMG-8 rescues effectively the mutant phenotypes
exacerbated by nonsense-mediated mRNA decay without cell toxicity.」, NY, USA, 2012 CSHL Meeting on
Translational Control,2012, 9. 【国際会議】
Yamashita A: 「 From PTC-recognition to mRNA decay: The remodelin of mRNP complex during
Nonsense-mediated mRNA decay.」, New York, Eukaryotic mRNA processing,2009, 8. 【国際会議】
秋本 和憲,長嶋 洋治,石黒 斉,鄭 允文,佐々木 和教,谷口 英樹,野田 哲生,大野 茂男: 「細胞極性制
御因子aPKCによる乳腺上皮前駆細胞の増殖制御と乳がんにおけるその破綻.」,大阪府,第30回日本ヒト細
胞学会学術集会シンポジウム,2012, 8. 【国内会議】
荒川 憲昭,森田 絵理奈,宮城 悦子,平原 史樹,平野 久:「卵巣明細胞腺癌のセクレトーム解析」,浦安,日
本プロテオーム機構,2010.7、【国内会議】
市野 素英,堀田 千絵,田村 智彦:「マラリアにおける樹状細胞分化の異常と転写因子 IRF ファミリー」,東京,
第 80 回日本寄生虫学会,2011.7.18、【国内会議】
木村 鮎子:「19S複合体サブユニットRpt2のN-ミリストイル化修飾はプロテアソームの細胞内局在を制御す
る」,横浜,日本分子生物学会,2011.12、【国内会議】
木村 弥生,永田 佳代子,菅原 英俊,井野 洋子,野村 文子,小原 收,鵜殿 平一郎,平野 久:「ヒト26Sプ
ロテアソームのリン酸化による機能調節」,札幌,日本電気泳動学会総会,2010.9、【国内会議】
木村 弥生,永田 佳代子,鈴木 信勇,横山 亮,北村 浩,山中 裕子,平野 久,小原 收:「リン酸化アフィニ
ティー二次元電気泳動を用いたHeterogeneous nuclear ribonucleoprotein Kの質的・量的変動モニタリング」,
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松本,日本電気泳動学会,2009.9、【国内会議】
Kurotaki D,Ichino M,Nishiyama A,Sato G,Yamamoto M,Ozato K,Tamura T:「Regulation of the development
of monocyte subsets by interferon regulatory factor 8」,千葉,第 40 回日本免疫学会学術総会, 2011.11.28、
【国内会議】
Kurotaki D,Osato N,Nishiyama A,Yamamoto M,Sato H,Nakabayashi J,Ban T,Ozato K,Tamura T :
「 Genome-wide analyses revealed the IRF8-KLF4 transcription factor cascade during monocyte
differentiation」,神戸,第 41 回日本免疫学会学術集会,2012.12.5、【国内会議】
黒滝 大翼,大里 直樹,西山 晃,山本 道雄,佐藤 英明,中林 潤,藩 龍馬,梅原 茉里奈,三宅 紀
子,松本 直通,中澤 正年,Keiko Ozato,田村 智彦:「ゲノム規模解析による単球分化に重要な
IRF8-KLF4 転写因子カスケードの発見」,福岡,第 35 回分子生物学会年会,2012.12.11、【国内会議】
黒滝 大翼,山本 道雄,宇野 和宏,西山 晃,中林 潤,中澤 正年,Herbert C. Morse III,Keiko Ozato,
田村 智彦:「転写因子 IRF8 は単球-樹状細胞前駆細胞において C/EBPα の機能を阻害し、好中球分化
能の喪失をもたらす」,熊本,第 24 回日本生体防御学会学術総会,2013.7.12、【国内会議】
Kurotaki D,Yamamoto M,Uno K,Nishiyama A,Nakabayashi J,Morse HC 3rd,Ozato K,Tamura T:「IRF8
inhibits the activity of C/EBPs to restrain neutrophil development in monocyte-DC progenitors」,札幌,第 75
回日本血液学会学術集会,2013.10.12、【国内会議】
Sasaki H,Kurotaki D,Osato N,Sasaki I,Kaneda C,Nishiyama A,Kaisho T,Morse HC III,Ozato K,Tamura T:
「The transcription factor IRF8 is required for basophil development」,千葉,第 42 回日本免疫学会学術集会,
2013.12.11、【国内会議】
佐藤 大輔,張田 豊,大門 主税,栗原 秀剛,廣瀬 智威 ,大野 茂男:「限外濾過膜としてのスリット膜のターン
オーバーとそのメカニズム.」,東京,第100回東京腎生理集談会,2011, 9. 【国内会議】
佐藤大輔: 「スリット膜のターンオーバー制御を担う分子機構の解明:aPKC-Par複合体を介したnephrinの細
胞膜局在制御.」, 横浜, 第54回日本腎臓学会学術総会,2011, 6. 【国内会議】
Takahashi T:「Environment regulates experience-driven synaptic delivery of AMPA receptors.」,東京,第 90
回日本生理学大会,2013.3、【国内会議】
高山 光男:「タンパク質の柔軟性を評価する新しい因子」,横浜,第14回日本蛋白質科学会,2014.6.25-27、
【国内会議】
Nishiyama A,Kurotaki D,Tamura T:「A dynamic and long-range chromatin control of Klf4 transcription by
IRF8 in monocyte differentiation」,千葉,第 42 回日本免疫学会学術集会,2013.12.11、【国内会議】
野村 文子,荒川 憲昭,大胡田 慎一郎,山中 結子,勝山 真人,平野 久:「血管型NADPHオキシダーゼの
レドックスシグナルのプロテオミクス解析」,福岡,日本生化学会,2012.12、【国内会議】
野村 文子,荒川 憲昭,山中 結子,勝山 真人,平野 久:「血管型NADPHオキシダーゼの標的タンパク質の
解析」,横浜,日本電気泳動学会,2011.11、【国内会議】
張田 豊:「新規スリット膜構成分子SIRP-alphaはNephrinと結合し,そのリン酸化を負に制御する.」,神戸,第53
回日本腎臓学会学術総会,2010, 6. 【国内会議】
張田 豊,栗原 秀剛,関根 孝司,五十嵐 隆,大澤 郁郎,太田 成男,服部 成介: 「Nephrinのチロシリン酸化
はPLCγを介し細胞内Ca2+濃度を上昇させる-podocytopathyにおけるカルシウムシグナル制御因子として
のスリット膜の役割.」,京都,第15回分子腎臓研究会,2009, 9. 【国内会議】
張田 豊:「糸球体スリット膜におけるリン酸化シグナリング.」,新潟,第24回新潟腎シンポジウム,2009, 7. 【国
内会議】
張田 豊:「スリット膜シグナルを負に制御する新規スリット膜構成分子SIRP-alpha.」,東京,第44回日本小児腎
臓病学会学術集会,2009, 6. 【国内会議】
張田 豊:「Nephrinのチロシンリン酸化はPLCγ-1を介し細胞内Ca2+濃度を上昇させる.」,横浜,第52回日本
腎臓学会学術総会,2009, 6. 【国内会議】
張田 豊:「先天性遺伝性ネフローゼ症候群の原因解析から見えてきた蛋白尿の発症機序.」,奈良,第112回
日本小児科学学会学術集会,2009, 4. 【国内会議】
平野 久,倉田 洋一,Nazrul Islam,森 司:「プロテオーム解析による食品安全性評価」,福岡,日本農芸化学
会,2009.3、【国内会議】
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37. 廣瀬 智威:「腎糸球体ポドサイトのスリット膜維持の新しい分子機構:細胞極性制御系aPKC-PAR系の役
割.」, 横浜,第52回日本腎臓学会学術総会,2009, 6. 【国内会議】
38. 増石 有佑,木村 弥生,平野 久:「GPIアンカー型タンパク質の網羅的解析法の開発」,東京,日本プロテオ
ーム学会,2012.7、【国内会議】
39. 増石 有佑,荒川 憲昭,川崎 博史,宮城 悦子,平原 史樹,平野 久:「ANX4のプロモーター解析から見え
てきた卵巣明細胞腺癌の分子生物学的特徴」,浦安,日本プロテオーム学会日本臨床プロテオーム研究会連
合大会,2010.7、【国内会議】
40. Yamamoto M,Kurotaki D,Nishiyama A,Uno K,Ichino M,Nakazawa M,Ozato K,Tamura T:「IRF8 inhibits the
activity of C/EBPα to restrain monocyte-dendritic cell progenitors from differentiating into neutrophils」,
千葉,第 42 回日本免疫学会学術集会,2013.12.13、【国内会議】
41. Watanabe T,Hotta C,Sato GR,Yamamoto M,Fujita H,Sakai R,Fujisawa S,Nishiyama A,Aihara M,Ishigatsubo
Y,Tamura T:「The transcription factor IRF8 rescues the dendritic cell development impaired by p210
Bcr/Abl」,横浜,第 34 回日本分子生物学会年会,2011.12.16、【国内会議】
42. Watanabe T,Hotta C,Kurotaki D,Sato RG,Yamamoto M,Nishiyama A,Tamura T:「Impaired dendritic cell
development in chronic myelogenous leukemia can be rescued by restoring expression of the transcription
factor IRF8」,神戸,第 41 回日本免疫学会学術集会,2012.12.7、【国内会議】
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審査のない講演会
Matsui C,Ishikawa M,Sekine K,Nagahisa S,Taniguchi H:「The characterization of stem/progenitor cells on
pancreatic ductal epithelium as cells-of-origin of cancer stem cells」,Stockholm,EPS Anticancer Drugs
2011,2011.10.26-27、【国際会議】
Okuda R,Sun L,Matsui C,Sekine K,Tsuboi K,Taniguchi H:「Transplantation model for identification of Pdx1+
cancer stem cell in pancreatic adenocarcinoma」,京都,The 13th Congress of Asian Society of Transplantation
(CAST 2013), 2013.9.2-6、【国際会議】
Takebe T,Sekine K,Fujiwara R,Matsui C,Enomura M,Tanaka H,Koike N,Taniguchi H:「Engineering of
vascularized human hepatic tissue」,Seoul, Korea,The 12th Congress of the Asian Society of Transplantation,
2011.9.25-28、【国際会議】
Takebe T,Sekine K,Enomura M,Zheng YW,Taniguchi H:「Self-assembling Hepatic organoid formation in
vitro」,Seoul, Korea,The 12th Congress of the Asian Society of Transplantation,2011.9.25-28、【国際会議】
Ueno Y,Hoshino S,Tsuchida N,Nakata S,Uchida Y,Sekine K,Zheng YW,Kurata M Morinaga S,Miyagi Y,
Yokose T,Endo I,Terasaki T,Hirano H,Taniguchi H : 「 Targeted proteomic absolute quantification on
transporters of human pancreatic cancer cells with gemcitabine-resistance」,パシフィコ横浜,12th Human
Proteome Organization World Congress,2013.9.14-18、【国際会議】
Ueno Y,Naito T,Zheng YW,Isono K,Koseki H,Taniguchi H:「The Polycomb gene Ring1B is essential for the
expansion of hepatic stem cells in the developing liver」,バルセロナ,スペイン,ISSCR 7th Annual Meeting,
2009.7、【国際会議】
秋本 和憲, 佐々木 和教,中谷 雅明 and 大野 茂男:「正常乳腺上皮細胞前駆細胞と乳がん幹細胞の細
胞分離技術と解析.」,神戸,新学術領域研究「上皮管腔組織形成」第 2 回技術講習会,2012, 10. 【国内会議】
秋本 和憲:「細胞極性制御因子 aPKCλによる上皮前駆細胞の増殖制御とその破綻.」,川崎,上皮管腔組織
形成領域会議,2012, 2. 【国内会議】
石川 桃太郎,須崎 敦大,川下 金明,大島 祐二,上野 康晴,鄭 允文,谷口 英樹:「可視化した膵幹細胞を
用いた非対称分裂解析系の確立」,東京,幹細胞シンポジウム,2008.5、【国内会議】
石川 桃太郎,須崎 敦大,川下 金明,大島 祐二,上野 康晴,鄭 允文,谷口 英樹:「可視化膵幹細胞を用い
た新規非対称分裂解析系の構築」,東京,第 8 回日本再生医療学会総会,2009.3、【国内会議】
上野 康晴,内藤 貴子,鄭 允文,古関 明彦,谷口 英樹:「肝幹細胞におけるポリコーム群遺伝子 Ring1B の
機 能解析」,横浜,第 68 回日本癌学会学術集会,2009.10、【国内会議】
江野村 允宏,武部 貴則,高橋 禎暢,田中 博康,小池 直人,関根 圭輔,谷口 英樹:「ヒト微小血管網を
有する膵島様組織の創出」,横浜,第 12 回日本再生医療学会,2013.3、【国内会議】】
Ouchi R,Ueno Y,Koike H,Obana Y,Isono K,Koseki H,Taniguchi H:「The functional analysis of polycomb
group protein Ezh2 in the self-renewal of the fetal mouse hepatic stem/progenitor cell」,横浜,第 34 回日本
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分子生物学会年会,2011、【国内会議】
大内 梨江,上野 康晴,小池 博之,小花 裕太,磯野 恭一,古関 明彦,谷口 英樹:「肝幹細胞の増殖・分化
におけるポリコーム群タンパク質 Ezh2 の機能解析」,第 12 回日本再生医療学会,2013.3.21-23、【国内会議】
緒方 一博:「分化細胞特異的エンハンソソーム形成とリン酸化による制御の分子基盤」,東京,特定領域研究
遺伝情報デコード成果報告シンポジウム,2011.2.17、【国内会議】
緒方 一博:「細胞内シグナル伝達による転写制御と分子標的としての可能性」,東京,第一三共機能分子第
二研究所社内講演会,2010.5.10、【国内会議】
奥田 諒、孫 略、関根 圭輔、松井 智栄美、坪井 康次、谷口 英樹:「膵癌幹細胞の in vitro アッセイ系の
解析」,福岡,第 35 回日本分子生物学会年会,2012.12、【国内会議】
奥田 諒,孫 略,関根 圭輔,松井 智栄美,坪井 康次,谷口 英樹:「膵癌モデルマウスを用いた膵癌幹細胞
の細胞系譜解析」,横浜,第 12 回日本再生医療学会,2013.3.21-23、【国内会議】
Okuda R,Sekine K,Sun L,Tsuboi K,Taniguchi H:「Pdx1 positive cells behave as pancreatic cancer stem cells
with high sphere forming potential and tumorigenicity」,横浜,72nd Annual Meeting of the Japanese Cancer
Association,2013.10.3-5、【国内会議】
加川 友己、堀田 徳子、松本 慎也、谷口 英樹、常田 聡:「腸管上皮における細胞増殖・分化過程の数理
モデリング」,日本物理学会第 64 回年次大会,2009.3、【国内会議】
黒滝 大翼:「転写因子 IRF8 による単球分化プログラムのバイオインフォマティクス解析」,横浜,第 28 回横浜
血液集談会,2012.7.20、【国内会議】
Koike H,Ueno Y,Naito ,Shiina T,Ouchi R,Isono K,Koseki H,Taniguchi H:「Ring1B Regulates Proliferation of
Hepatic Stem/Progenitor Cells by Repressing Cyclin-dependent Kinase Inhibitors」,横浜,第 34 回日本分子
生物学会年会,2011.【国内会議】
佐々木 和教, 角和 卓, 秋本 和憲, 古閑 比佐志 and 大野 茂男: 「細胞極性タンパク質 PAR-3 による
遺伝子発現制御を介した、上皮細胞極性の分子機構.」, 茅野市, 平成 24 年度科研費新学術領域研究
「がん若手ワークショップ」,2012, 9. 【国内会議】
佐々木 和教, 角和 卓, 秋本 和憲, 古閑 比佐志 and 大野 茂男: 「細胞極性制御因子による遺伝子発
現制御を介した、上皮細胞極性の分子機構.」, 川崎, 上皮管腔組織形成領域会議,2012, 2. 【国内会議】
佐々木 悠,黒滝 大翼,大里 直樹,佐々木 泉,金田 智香,西山 晃,改正 恒康,油谷 浩幸,Herbert C.
Morse III,Keiko Ozato,田村 智彦:「好塩基球分化の謎に迫る 〜転写因子 IRF8 の役割〜」,横浜,第 15 回
神奈川血液・免疫フォーラム,2013.11.1、【国内会議】
椎名 智也,上野 康晴,内藤 貴子,小花 祐太,磯野 協一,古関 明彦,谷口 英樹:「The polycomb group
gene Ring1B is regulate the self-renewal of hepatic stem cells」,横浜,第 32 回日本分子生物学会年会,2009.
12、【国内会議】
椎名 政昭,浜田 恵輔,内山 晃子,緒方 一博:「遺伝子発現制御における DECODE 複合体の分子作用
機構の解析(TCRαエンハンサーにおける転写制御因子複合体形成の制御機構解析)」,熱海,平成 20 年度
DECODE 合同班会議,2008.7.1、【国内会議】
椎名 政昭,内山 晃子,浜田 恵輔,豊後 泰子,嶋村 麻利子,馬場 しほ,緒方 一博:「T 細胞抗原受容
体遺伝子(TCR)エンハンサー上に形成されるエンハンソソームの安定化機構解析」,湯沢,09'遺伝情報
DECODE・冬のワークショップ(転写研究会共催),2009.1.20、【国内会議】
椎名 政昭,浜田 恵輔,嶋村 麻利子,豊後 泰子,馬場 しほ,内山 晃子,緒方 一博:「転写因子のリン
酸化による DECODE 複合体形成の選択的制御機構」,氷見,平成 21 年度 DECODE 合同班会議,2009.6.14、
【国内会議】
Shiina M,Hamada K,Uchiyama A,Shimamura M,Inoue-Bungo T,Baba S,Sato K,Ogata K:
「 Context-Dependent Regulation of the Ets1-containing Enhanceosome by Phosphorylation 」 ,Yuzawa,
Decode winter workshop 2010,2010.1.18、【国内会議】
鈴木 厚:「Hippo 系上流因子、KIBRA は aPKC を抑制することを通じて上皮極性制御に関わる.」, 福岡,
新学術領域研究(領域提案型)「細胞コミュニティー」シンポジウム/第3回班会議 2011, 1. 【国内会議】
鈴木 厚:「細胞極性制御因子 PAR-aPKC システムの細胞生物学的研究と初期胚研究への展開.」,神戸,新
学術研究「細胞コミュニティー」第二回班会議,2010, 6. 【国内会議】
鈴木 香絵,椎名 政昭,浜田 恵輔,豊後 泰子,馬場 しほ,太田 力,緒方 一博:「分子構造に基づいた
転写因子 Nrf2 の DNA 認識機構の解析」,安中,冬の若手ワークショップ 2014,2014.1.30、【国内会議】
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34. Sekine K,Sun L,Okuda R,Taniguchi H:「Identification and characterization of Pdx1+ multipotent progenitor
cells in the pancreatic duct」,横浜,72nd Annual Meeting of the Japanese Cancer Association,2013.10.3-5、
【国内会議】
35. 高橋 禎暢,江野村 允宏,武部 貴則,関根 圭輔,小池 直人,田中 寛康,谷口 英樹:「ヒト微小血管網を有
する膵島様組織の創出」,福島,第 39 回日本臓器保存生物医学会学術集会,2012.11.16-17、【国内会議】
36. 高 山 光 男 : 「 MALDI-ISD を用 い る タ ン パ ク 質 の 柔 軟 性 解 析 」 , つ く ば , 第 6 1 回 質 量 分 析 総 合 討 論
会,2013.9.10-12、【国内会議】
37. 滝口 和也,鄭 允文,嶋尾 大樹,李 斌,櫻井 優,石橋 直人,木全 英樹,柳田 真悟,谷口 英樹:「Effects of
acyclic retinoid on hepatic progenitor cell in vitro」,横浜,第 32 回日本分子生物学会年会,2009.12、【国内会
議】
38. 谷口 英樹:「移植用組織の人為的創出へ向けた細胞操作技術の開発」,長崎,第 108 回日本外科学会定期
学術集会,2008.5、【国内会議】
39. 谷口 英樹,上野 康晴,内藤 貴子,古関 明彦:「肝臓の器官形成におけるポリコーム群タンパク質Ring1B
の機能解析」,神戸,第 82 回日本生化学会大会,2009.10、【国内会議】
40. 谷口 英樹,武部 貴則,関根 圭輔,青山 晋輔,安達 弥永:「ヒト iPS を用いたファーマコセロミクス基盤技術の
開発」,東京,第 127 回日本薬理学会関東部会,2012.10、【国内会議】
41. 谷口 英樹:「iPS 細胞からヒト臓器を作る!-薬剤評価系への波及効果-」,東京,日本動物実験代替法学
会第 25 回大会,2012.12、【国内会議】
42. 谷口 英樹,武部 貴則,関根 圭輔:「如何にして器官発生を模倣するのか?-血管系を有するヒト肝組織創
出法の開発-」,第 12 回日本再生医療学会,2013.4、【国内会議】
43. 鄭 允文,李 斌,上野 康晴,谷口 英樹:「フローサイトメトリーを用いたヒト肝幹細胞の分離・同定」,東京,第 8
回日本再生医療学会総会,2009.3、【国内会議】
44. 内藤 貴子,上野 康晴,宮部 陽介,磯野 協一,古関 明彦,谷口 英樹:「肝幹細胞の自己複製機構にポリコ
ーム群遺伝子 Ring1A/B が関与する」,三島,エピジェネティクス研究会,2008.5、【国内会議】
45. 内藤 貴子,上野 康晴,宮部 陽介,磯野 協一,古関 明彦,谷口 英樹:「肝幹細胞の自己複製におけるポリ
コーム群遺伝子 Ring1B の機能解析」,東京,幹細胞シンポジウム,2008.5、【国内会議】
46. 内藤 貴子,上野 康晴,宮部 陽介,磯野 協一,古関 明彦,谷口 英樹:「肝幹細胞の自己複製におけるポリ
コーム群遺伝子 Ring1B の機能」,東京,第 8 回日本再生医療学会総会,2009.3、【国内会議】
47. 内藤 貴子,上野 康晴,鄭 允文,磯野 協一,古関 明彦,谷口 英樹:「The role of polycomb group gene
Ring1B in the proliferation of hepatic stem cells」,東京都,第 7 回幹細胞シンポジウム,2009、【国内会議】
48. 中澤 賢一,鄭 允文,生天目 明子,谷口 英樹:「ヒト大腸癌におけるCD133+CD44+細胞の腫瘍形態能と
局在解析」,横浜,第 68 回日本癌学会学術集会,2009.10、【国内会議】
49. Nakata S,Ueno Y,Koike H,Sekine K,Taniguchi H:「Localization of repressive histone marks and target genes
dynamically switch through murine hepatic differentiation」,横浜,72nd Annual Meeting of the Japanese
Cancer Association, 2013.10.3-5、【国内会議】
50. 仲野 晶,藤原 綾二,小池 直人,千葉 豊生,網谷 猛,岡村 愛,FUKUMURA DAI,JAIN RAKESH K,上野 康
晴,鄭 允文,谷口 英樹:「in vivo における血管ネットワーク構造を有するヒト高次肝臓組織の再構築」,東京、
第 8 回日本再生医療学会総会,2009.3、【国内会議】
51. 山本 道雄,加藤 隆幸,堀田 千絵,西山 晃,黒滝 大翼,吉成 正裕,高見 正道,市野 素英,中澤
正年,松山 俊文,上條 竜太郎,北川 誠一,Keiko Ozato,田村 智彦:「ミエロイド細胞の分化・機能制御
における IRF4, IRF8 の役割」,相模原,第 13 回神奈川血液・免疫フォーラム,2011.11.11、【国内会議】
52. 浜田 恵輔,椎名 政昭:「構造情報の解析法」,飯塚,転写制御トレーニングワークショップ,2009.4.2、【国内
会議】
53. 古川可奈: 「JNK による上皮細胞の細胞間接着・細胞基質間接着制御.」,川崎,上皮管腔組織形成領域会
議,2012, 2. 【国内会議】
54. Hoshino S,Sekine K,Sun L,Nakata S,Terasaki T,Morinaga S,Miyagi Y,Endo I,Yokose T,Kurata M,Ueno Y,
Taniguchi H:「Analysis of chemoradiotherapy resistance in the human pancreatic cancer stem cells」,横
浜,72nd Annual Meeting of the Japanese Cancer Association, 2013.10.3-5、【国内会議】
55. 星野 小百合,関根 圭輔,大内 梨江,孫 略,奥田 諒,鄭 允文,森永 聡一郎,遠藤 格,倉田 昌直,谷口
英樹:「ヒト膵癌幹細胞の治療抵抗性の解析」,横浜,第 12 回日本再生医療学会,2013.3.21-23、【国内会議】
56. 堀田 徳子,松本 慎也,加川 友己,谷口 英樹,常田 聡:「結腸陰窩における細胞増殖分化の時空間ダイ
189
57.
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59.
60.
61.
62.
63.
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65.
66.
ナミクス」,京都,第5回「生物数学の理論とその応用」,2009.1、【国内会議】
堀田 徳子,松本 慎也,加川 友己,谷口 英樹,常田 聡:「結腸陰窩における細胞増殖分化のシュミレータ
ー開発及び実験データとの定量比較」,東京,定量生物学の会第一回年会,2009.1、【国内会議】
藤原 綾二,仲野 晶,岡村 愛,喜多 清,上野 康晴,鄭 允文,谷口 英樹:「微小重力発生装置で創出した
人口膵島による糖尿病の治療」,東京,第 8 回日本再生医療学会総会,2009.3、【国内会議】
Matsui C,Ishikawa M,Sekine K,Takebe T,Taniguchi H:「The characterization of stem/progenitor cells on
pancreatic ductal epithelium as cells-of-origin of cancer stem cells」,名古屋,70th Annual Meeting of the
Japanese Cancer Association,2011.10.3-5、【国内会議】
宮田 秀俊,牧島 弘和,中澤 賢一,鄭 允文,渡會 伸治,長嶋 洋治,稲山 嘉明,小池 直人,青木 一郎,
嶋田 紘,谷口 英樹: 「ヒト大腸癌における癌幹細胞の分離同定及び特性解析」,東京,第 8 回日本再生医
療学会総会,2009.3、【国内会議】
山下 暁朗:「小分子 RNA 作用マシナリーの調節機構.」,西白川郷西郷村,平成 25 年度新学術「非コード RNA
マシナリー」領域会議,2014, 1. 【国内会議】
山下 暁朗:「RNA 品質管理機構を介した遺伝子発現制御.」,白浜町,「RNA と生体機能」第二回懇話会,2013,
10. 【国内会議】
山下 暁朗,泉 奈津子,勝畑 有紀子,沓澤 慧,番場 由美 and 大野茂男:「異常終止コドン認識複合体とそ
の制御メカニズム.」,新潟,第 11 回 RNA ミーティング,2009, 7. 【国内会議】
山本 道雄,加藤 隆幸,堀田 千絵,西山 晃,黒滝 大翼,吉成 正裕,高見 正道,市野 素英,中澤 正
年,松山 俊文,上條 竜太郎,北川 誠一,Keiko Ozato,田村 智彦:「ミエロイド細胞の分化・機能制御に
おける IRF4, IRF8 の役割」,相模原,第 13 回神奈川血液・免疫フォーラム,2011.11.11、【国内会議】
李 斌,鄭 允文,宮部 陽介,上野 康晴,谷口 英樹:「The prospective identification and differentiation of
human hepatic stem cells」,東京,第 7 回幹細胞シンポジウム,2009.5、【国内会議】
李 斌,鄭 允文,宮部 陽介,上野 康晴,谷口 英樹:「BMI1 過剰発現によるヒト肝幹細胞から肝細胞への分
化」,東京,第 8 回日本再生医療学会総会,2009.3、【国内会議】
(4)特許出願
項目 1:分析技術の開発
特許出願件数(うち登録件数):国内 12 件( 2 件)、国外 4 件、合計 16 件( 2 件)
1. 特願 2010-35737、卵巣明細胞腺癌に特異的に発現しているタンパク質とその応用、2010.2.22、公立大学
法人横浜市立大学、荒川 憲昭、増石 有佑、山中 結子、平野 久、川崎 博史、平原 史樹、宮城 悦子
2. PCT/JP2011/53497、卵巣明細胞腺癌に特異的に発現しているタンパク質とその応用、2011.2.18、公立大
学法人横浜市立大学、荒川 憲昭、増石 有佑、山中 結子、平野 久、川崎 博史、平原 史樹、宮城 悦
子
3. 特願 2012-500659、卵巣明細胞腺癌に特異的に発現しているタンパク質とその応、2011.2.18、公立大学法
人横浜市立大学、荒川 憲昭、増石 有佑、山中 結子、平野 久、川崎 博史、平原 史樹、宮城 悦子
4. 特願 2013-010919、卵巣明細胞腺癌に特異的に発現しているタンパク質とその応用、2011.2.18、公立大学
法人横浜市立大学、荒川 憲昭、増石 有佑、山中 結子、平野 久、川崎 博史、平原 史樹、宮城 悦子
5. 特願 2011-044047、初期乳癌の検出方法、2011.3.1 公立大学法人横浜市立大学、秋本 和憲、川崎 博史、
平野 久、大野 茂男、長嶋洋治
6. 特願 2009-167550、ペプチド主鎖 N-Cα結合の特異的切断方法、2009.7.16、公立大学法人横浜市立大学、
高山 光男、坂倉 幹始
7. PCT/JP2010/61744、ペプチド主鎖 N-Cα結合の特異的切断方法、2010.7.12、公立大学法人横浜市立大
学、高山 光男、坂倉 幹始
8. 特願 2011-522797、ペプチド主鎖 N-Cα結合の特異的切断方法、2010.7.12、公立大学法人横浜市立大学、
高山 光男、坂倉 幹始
9. US13/381061、ペプチド主鎖 N-Cα結合の特異的切断方法、2010.7.12、公立大学法人横浜市立大学、高
山 光男、坂倉 幹始
10. EP10799801.5、ペプチド主鎖 N-Cα結合の特異的切断方法、2010.7.12、公立大学法人横浜市立大学、高
山 光男、坂倉 幹始
190
11. 特願 2011-178684、N-myc 下流制御遺伝子 1 タンパク質を標的とした卵巣明細胞腺癌の治療薬、2011.8.18、
公立大学法人横浜市立大学、荒川 憲昭、増石 有佑、平野 久
12. 特願 2010-112156、電気泳動で分離されたタンパク質を膜フィルターに転写し質量分析する方法、
2010.5.14、公立大学法人横浜市立大学 、平野 久、井野 洋子
13. 特願 2011-179450、組織因子経路阻害因子 2(TFPI1)測定による卵巣明細胞腺癌の検査方法および検査薬、
2011.8.19、公立大学法人横浜市立大学、東ソー株式会社、荒川 憲昭、平野 久、宮城 悦子、大竹 則
久
14. 特願 2012-165787、組織因子経路阻害因子 2(TFPI2)測定による卵巣明細胞腺癌の検査方法および検査薬、
2012.7.26、公立大学法人横浜市立大学、東ソー株式会社、荒川 憲昭、平野 久、宮城 悦子、大竹 則
久
15. 特願 2011-253766、タンパク質とリン酸化ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断方
法、2011.11.21、公立大学法人横浜市立大学、高山 光男、大坂 一生
16. 特願 2012-254843、タンパク質とリン酸化ペプチド主鎖のN-Cα結合又はCα-C結合の特異的切断方
法、2012.11.21、公立大学法人横浜市立大学、高山 光男、大坂 一生
項目 2:がん診断・治療法開発を目指した研究
特許出願件数(うち登録件数):国内 11 件、国外 5 件、合計 16 件
17. 特願 2009-124942、前立腺癌再燃の可能性の判定方法、2009.5.25、公立大学法人横浜市立大学、窪田
吉信、大野 茂男、石黒 斉、秋本 和憲、上村 博司
18. 特願 2009-145675、初期乳がんモデル用動物、2009.6.18、公立大学法人横浜市立大学、秋本 和憲、大
野 茂男
19. 特願 2011-136277、常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症の検出方法、2011.6.20、公立大学法人横浜市
立大学、松本 直通、土井 宏
20. 特願 2011-215318、微量 DNA 断片の線形的増幅法、2011.9.29、公立大学法人横浜市立大学、谷口 英樹、
上野 康晴
21. PCT/JP2012/074927、微量 DNA 断片の線形的増幅法、2012.9.27、公立大学法人横浜市立大学、谷口
英樹、上野 康晴
22. 特願 2013-536391、微量 DNA 断片の線形的増幅法、2012.9.27、公立大学法人横浜市立大学、谷口 英樹、
上野 康晴
23. 特願 2011-175013、RNF213 遺伝子多型による重症もやもや病の予測方法、2011.8.10、公立大学法人横浜
市立大学、松本 直通、宮武 聡子
24. 特願 2011-226488、び慢性大脳白質形成不全症患者又は保因者の検出方法、2011.10.14、公立大学法人
横浜市立大学、松本 直通、才津 浩智
25. 特願 2011-247457、孔脳症又は脳出血のリスクを予測する方法、2011.11.11、公立大学法人横浜市立大学、
松本 直通、才津 浩智
26. PCT/JP2012/77903、孔脳症又は脳出血のリスクを予測する方法、2012.10.29、公立大学法人横浜市立大
学、松本 直通、才津 浩智
27. 特願 2013-542930、孔脳症又は脳出血のリスクを予測する方法、2012.10.29、公立大学法人横浜市立大学、
松本 直通、才津 浩智
28. US14/357,373、孔脳症又は脳出血のリスクを予測する方法、2012.10.29、公立大学法人横浜市立大学、松
本 直通、才津 浩智
29. 特願 2012-136、コフィン-シリス症候群の検出方法、2012.1.4、公立大学法人横浜市立大学、鶴﨑 美徳、
三宅 紀子、松本 直通
30. PCT/JP2012/83113、コフィン-シリス症候群の検出方法、2012.12.20、公立大学法人横浜市立大学、鶴﨑
美徳、三宅 紀子、松本 直通
31. 特願 2012-180356、ミトコンドリア複合体 III 欠乏症患者又は保因者の検出方法、2012.8.16、公立大学法人
横浜市立大学、松本 直通、三宅 紀子
32. PCT/JP2013/71620、ミトコンドリア複合体 III 欠乏症患者又は保因者の検出方法、2013.8.9、公立大学法人
191
横浜市立大学、松本 直通、三宅 紀子
項目 3:精神疾患診断・治療法開発を目指した研究
特許出願件数(うち登録件数):国内 7 件、国外 2 件、合計 9 件
33. 特願 2009-036140、神経突起伸長促進剤、2009.2.19、公立大学法人横浜市立大学、竹居 光太郎、五嶋
良郎、中村 史雄
34. 特願 2010-034264、神経突起伸長促進剤、2010.2.19、公立大学法人横浜市立大学、竹居 光太郎、五嶋
良郎、中村 史雄
35. 特願 2009-159755、社会的隔離モデル動物、2009.7.6、公立大学法人横浜市立大学、高橋 琢哉
36. 特願 2010-146156、社会的隔離モデル動物、2010.6.28、公立大学法人横浜市立大学、高橋 琢哉
37. 特願 2009-283702、感覚器障害モデル動物、2009.12.15、公立大学法人横浜市立大学、高橋 琢哉
38. 特願 2011-147038、結膜におけるアレルギー性炎症の予防及び/又は治療剤 、2011.7.1、公立大学法人
横浜市立大学、田中 純美、水木 信久、五嶋 良郎
39. PCT/JP2012/66207、結膜におけるアレルギー性炎症の予防及び/又は治療剤、2012.6.26、公立大学法
人横浜市立大学、田中 純美、水木 信久、五嶋 良郎
40. 特願 2012-256701、炎症及び脱髄の少なくとも一方を伴う神経疾患の検出方法、2012.11.22、公立大学法
人横浜市立大学、竹居 光太郎、鈴木 ゆめ、高橋 慶太、五嶋 良郎
41. PCT/JP2013/81385、炎症及び脱髄の少なくとも一方を伴う神経疾患の検出方法、2013.11.21、公立大学法
人横浜市立大学、竹居 光太郎、鈴木 ゆめ、高橋 慶太、五嶋 良郎
項目 4:免疫疾患診断・治療法開発を目指した研究
特許出願件数(うち登録件数):国内 7 件、国外 4 件、合計 11 件
42. 特願 2007-255081、前立腺癌の検出方法及び前立腺癌の術後再発の可能性の判定方法並びに前立腺癌
の治療及び/若しくは予防剤、2007.9.28、公立大学法人横浜市立大学、大鵬薬品工業株式会社、梁 明
秀、青木 一郎、平野 久、遠藤 寛二
43. 特願 2008-249191、前立腺癌の検出方法及び前立腺癌の術後再発の可能性の判定方法並びに前立腺癌
の治療及び/若しくは予防剤、2008.9.26、公立大学法人横浜市立大学、大鵬薬品工業株式会社、梁 明
秀、青木 一郎、平野 久、遠藤 寛二
44. 特願 2011-118557、人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法、2011.5.27、公立大学法人横浜市
立大学、梁 明秀、西 真由子
45. PCT/JP2012/63302、人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法、2012.5.24、、公立大学法人横浜
市立大学、梁 明秀、西 真由子
46. 特願 2013-518012、人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法、2012.5.24、公立大学法人横浜市
立大学、梁 明秀、西 真由子
47. US14/122,634、人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法、2012.5.24、公立大学法人横浜市立大
学、梁 明秀、西 真由子
48. EP12792225.0、人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法、2012.5.24、公立大学法人横浜市立大
学、梁 明秀、西 真由子
49. 特願 2010-238548、幹細胞の安定的維持、複製を制御するためのペプチジルプロリルイソメラーゼ Pin1 の利
用、2010.10.25、公立大学法人横浜市立大学、梁 明秀、西 真由子
50. PCT/JP2011/74384、幹細胞の安定的維持、複製を制御するためのペプチジルプロリルイソメラーゼ Pin1 の
利用、2011.10.24、公立大学法人横浜市立大学、梁 明秀、西 真由子
51. 特願 2012-540836、幹細胞の安定的維持、複製を制御するためのペプチジルプロリルイソメラーゼ Pin1 の利
用、2011.10.24、公立大学法人横浜市立大学、梁 明秀、西 真由子
52. 特願 2008-154747、最適な抗ウイルス剤の選択方法、2008.6.12、株式会社セルフリーサイエンス、梁 明秀、
遠藤 弥重太、澤崎 達也、山本 直樹
項目 5:構造解析・薬物設計
192
特許出願件数(うち登録件数):国内 5 件、国外 5 件、合計 10 件
53. 特願 2010-27066、神経選択的転写抑制因子 NRSF に特異的に結合する mSin2B に結合する化合物の利用、
2010.2.10、公立大学法人横浜市立大学、西村 善文、長土居 有隆、平尾 優佳、五嶋 良郎、山下 直
也
54. .PCT/JP2011/52710、神経選択的転写抑制因子 NRSF に特異的に結合する mSin3B に結合する化合物の
利用、2011.2.9、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名古屋市立大学、国立大学法人長崎大学、
西村 善文、長土居 有隆、平尾 優佳、五嶋 良郎、山下 直也、植田 弘師、宮田 直樹、鈴木 孝禎、
平石 龍大
55. 特願 2011-553856、神経選択的転写抑制因子 NRSF に特異的に結合する mSin3B に結合する化合物の利
用、2011.2.9、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名古屋市立大学、国立大学法人長崎大学、西
村 善文、長土居 有隆、平尾 優佳、五嶋 良郎、山下 直也、植田 弘師、宮田 直樹、鈴木 孝禎、平
石 龍大
56. US13/578,230、神経選択的転写抑制因子 NRSF に特異的に結合する mSin3B に結合する化合物の利用、
2011.2.9、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名古屋市立大学、国立大学法人長崎大学、西村
善文、長土居 有隆、平尾 優佳、五嶋 良郎、山下 直也、植田 弘師、宮田 直樹、鈴木 孝禎、平石
龍大
57. EP11742245.1、神経選択的転写抑制因子 NRSF に特異的に結合する mSin3B に結合する化合物の利用、
2011.2.9、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名古屋市立大学、国立大学法人長崎大学、西村
善文、長土居 有隆、平尾 優佳、五嶋 良郎、山下 直也、植田 弘師、宮田 直樹、鈴木 孝禎、平石
龍大
58. 特願 2010-185734、抗 PAD4 抗体医薬の創成、2010.8.23、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名
古屋市立大学、佐藤 衛、清水 敏之、山田 道之、金澤 智
59. PCT/JP2011/68022、抗 PAD4 抗体医薬の創成、2011.8.8、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名
古屋市立大学、佐藤 衛、清水 敏之、山田 道之、金澤 智
60. 特願 2012-530612、抗 PAD4 抗体医薬の創成、2011.8.8、公立大学法人横浜市立大学、公立大学法人名
古屋市立大学、佐藤 衛、清水 敏之、山田 道之、金澤 智
61. 特願 2012-267599、線維筋痛症の予防または治療薬、2012.12.6、PRISM BioLab 株式会社、西村 善文、
植田 弘師
62. PCT/JP2013/082878、線維筋痛症の予防または治療薬、2013.12.6、PRISM、Pharma 株式会社、西村 善
文、植田 弘師
項目 6:機能性製品の開発
特許出願件数(うち登録件数):国内 1 件、合計 1 件
63. 特願 2009-006494、シワ形成マーカーとその利用方法、2009.1.15、公立大学法人横浜市立大学、株式会
社ファンケル、大野 茂男、北島 誠司
(5)受賞等
受賞件数 41 件
1. 荒川 憲昭:(アジア・オセアニア・ヒトプロテオーム国際会議(AOHUPO)Excellent Poster Award)、2012.4
2. 荒川 憲昭:(日本プロテオーム学会 ポスター賞)、2012.7
3. 小川 毅彦:(第 18 回読売テクノフォーラムゴールドメダル賞)、2012
4. 小川 毅彦:(横浜医学会賞)、2013
5. 木村 弥生:(日本電気泳動学会 優秀一般演題特別賞)、2009.9
6. 木村 弥生:(日本プロテオーム学会奨励賞)、2013.9
7. 倉田 洋一:(国際タンパク質化学構造解析会議(MPSA) Best Poster Presentation Award)、2008.8
8. 黒滝 大翼:( 第 24 回日本生体防御学会学術総会日本生体防御学会奨励賞)、2013.7
9. 黒滝 大翼:(The Milstein Travel Award (Cytokines 2013) )、2013.9
10. 黒滝 大翼:(Tadamitsu Kishimoto International Travel Award)、2013.11
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才津 浩智:(日本人類遺伝学会奨励賞)、2010
才津 浩智:(横浜市立大学医学会賞)、2011
才津 浩智:(文部科学大臣表彰若手科学者賞)、2011
佐藤 大輔:(第 54 回日本腎臓学会学術総会優秀演題賞)、2011.6
佐藤 大輔:(The 11th Asian Congress of Pediatric Nephrology Young Investigator Award)、2011.6
佐藤 由典:(第 65 回日本細胞生物学会大会若手優秀発表賞)、2013.6
佐藤 由典:(第 64 回細胞生物/第 45 回発生生物学会年会若手発表優秀賞)、2013.5
高橋 琢哉:(北里賞受賞(北里記念式における三四会賞))、2013.5
高橋 琢哉:(横浜市立大学理事長賞)、2013.3.22
竹居 光太郎:(横浜市立大学理事長賞)、2012
竹居 光太郎:(横浜医学会賞)、2012
竹居 光太郎:(コスモバイオ学術論文大賞)、2013
竹居 光太郎:(梅原賞(横浜総合医学振興財団)」、2013
武部 貴則:(臓器保存生物医学会平成 25 年度研究奨励賞)、2013
武部 貴則:(Travel Award, International Society for Stem Cell Research 11th annual meeting)、2013.6
武部 貴則:(第 11 回日本再生医療学会 Young Investigator Award)、2013.6
武部 貴則:「2011 Best Oral Presentation Award. 12th Congress of the Asian Society of Transplantation)、
2011.9
鶴崎 美徳:(横浜市立大学医学)、2012
土井 宏:(横浜市立大学医学研究奨励賞)、2011
中井川 昇:(第 100 回日本泌尿器科学会総会賞)」、2012.4
中井川 昇:(第 28 回欧州泌尿器科学会会議ベストポスター賞)、2013.3
西村 善文:(日本分光学会賞)、2012
野村 文子:(日本電気泳動学会奨励賞)、2011.11
平野 久:(日本プロテオーム学会賞)、2012.7
廣瀬 智威: 横浜市立大学医学会医学研究奨励賞)、2010
増石 有佑:(日本プロテオーム学会 ポスター賞)、2012.7
松本 直通:(日本人類遺伝学会賞)、2011
三宅 紀子:「日本人類遺伝学会奨励賞)、2009
メディカル・プロテオスコープ:(日本プロテオーム学会研究開発功績賞)、2013.9
山下 直也:(武田科学振興財団医学系研究奨励)、2012
41. 山下 直也:(横浜市立大学医学会横浜医学奨励賞)、2010
194