研究開発成果 実装支援プログラム 平成25年度 報告書

研究開発成果 実装支援プログラム
平成25年度 報告書
実装活動の名称
「優良盲導犬の効率的育成と普及率の向上」
採択年度
平成24年度
実装機関名
帯広畜産大学
実装責任者
鈴木
宏志
【140401】
社会技術研究開発
研究開発成果実装支援プログラム
平成25年度 「優良盲導犬の効率的育成と普及率の向上」
実装支援プロジェクト年次報告書
1.概要
イヌで知られている性格関連遺伝子のうち21遺伝子の44多型について、欠損値の修正を
施した460個体の盲導犬、非盲導犬を対象に性格関連遺伝子と盲導犬適性との関係を解析し
た。その結果、昨年度より3遺伝子3多型多い、9遺伝子14多型において盲導犬と非盲導犬と
の間に多型の遺伝子頻度に有意な差を認め、これらの遺伝子多型が盲導犬適性を把握する
マーカーと成り得ることが示唆された。
さらに、これら有意差の認められた9遺伝子14多型を用いて盲導犬適性を予測する回帰モ
デルをロジスティック回帰分析によって構築し、そのモデルから盲導犬適性推定確率を算
出して、算出された確率と実際の訓練犬の合否結果が合致しているか(観察値)否かを比
較した結果、その正判別率(算出確率と観察値との合致率)は、72.17%と比較的高い推
定精度を得た。また、交差確認法による推定精度は68.78%という成績であった。また、
上述のモデルを用いて、18頭の合否判定前の訓練犬に対して盲導犬適性を予測した結果、
予測結果と訓練成績が合致した割合は38.89%であった。
次年度は、解析対象の遺伝子・多型数とイヌの個体数をさらに増加させ、適性予測精度
の向上を図る。
2.実装活動の具体的内容
イヌで知られている性格関連遺伝子について、今年度は新たに5-HTR1E(セロトニン受
容体1E)遺伝子C115T多型、5-HTR1F(セロトニン受容体1F)遺伝子C486T多型、5-HTR2C
(セロトニン受容体2C)遺伝子A840G多型、およびDRD2(ドーパミン受容体D2)遺伝子
C69TおよびC808A多型を加えた、合計21遺伝子の44多型について、460個体の盲導犬、非
盲導犬を対象に性格関連遺伝子と盲導犬適性との関係を解析した。21遺伝子の44多型のう
ちマイナーアレルが認められたのは19遺伝子35多型であったが、カイ二乗検定及びフィッ
シャーの正確確率検定を行った結果、5-HTR1B遺伝子A157C及びG246A多型、MAOB遺伝
子T199C多型、TH遺伝子G168A、G180A及びC264T多型、GLT-1遺伝子T471C多型、
SLC6A4遺伝子C411T多型、SLC6A3遺伝子A157T多型、5-HTR2B遺伝子C263T及び
C1292T多型、5-HTR1E遺伝子C115T多型、5-HTR1F遺伝子C486T多型、及び5-HTR2C遺
伝子A840G多型の9遺伝子14多型において、盲導犬と非盲導犬との間に多型の遺伝子頻度に
有意な差を認め、これらの遺伝子多型が盲導犬適性を把握するマーカーと成り得ることが
示唆された。
さらに、これら有意差の認められた9遺伝子14多型を用いて盲導犬適性を予測する回帰モ
デルをロジスティック回帰分析によって構築し、そのモデルから盲導犬適性推定確率を算
出して、算出された確率と実際の訓練犬の合否結果(観察値)が合致しているか否かを比
較した。盲導犬と予測した102頭のうち、実際に盲導犬であったものは72頭であった。また、
キャリアチェンジ犬と予測した358頭のうち実際にキャリアチェンジ犬であったものは260
頭であった。したがって、合計460頭のうち、正判別されていたものは332頭であり、盲導
犬の正判別率は70.59%、キャリアチェンジ犬の正判別率は72.63%、全体で72.17%と比較
的高い推定精度を得た。また、交差確認法による推定精度は68.78%であった。
また、上述のモデルを用いて、18頭の合否判定前の訓練犬に対して盲導犬適性を予測し
【140401】
社会技術研究開発
研究開発成果実装支援プログラム
平成25年度 「優良盲導犬の効率的育成と普及率の向上」
実装支援プロジェクト年次報告書
た結果、予測結果と訓練成績が合致した割合は38.89%であった。
以上、推定精度は満足いく成績であったが、訓練犬の盲導犬適性予測には昨年度と同様
に課題を認めたため、次年度も解析対象の遺伝子・多型数とイヌの個体数をさらに増加さ
せるとともに関西や九州盲導犬協会由来のイヌの解析を進めて適性予測精度の向上を図る
計画である。
3 . 理解普及のための活動とその成果
(1)展示会への出展等
年月日
名称
場所
概要
ステーク
ホルダー
社会的
インパ
クト
(2)研修会、講習会、観察会、懇談会、 シンポジウム 等
年月日
名称
場所
概要
ステーク
ホルダー
25.5.23-
新潟大学脳研究所
ホテルいなも
「性格関連遺伝子多型と盲
脳科学、
24
附属生命科学リソ
と、(越後湯沢、
導犬適性との関係」を招待
繁殖生理
ース研究センター
新潟)
講演、参加者約40名
学研究者
動物資源開発研究
分野40周年記念シ
ンポジウム
(3)新聞報道、TV放映、ラジオ報道、雑誌掲載等
1 新聞報道 朝日新聞夕刊、盲導犬この子は適任?DNAチェック、平成26年1月8日
2 TV放映 NHK 視点・論点、盲導犬の効率的育成と普及向上、平成26年3月20日
3 ラジオ報道
4 雑誌掲載
(4)論文発表(国内誌
件、国際誌
件)
(5)WEBサイトによる情報公開
【140401】
社会的
インパ
クト
社会技術研究開発
研究開発成果実装支援プログラム
平成25年度 「優良盲導犬の効率的育成と普及率の向上」
実装支援プロジェクト年次報告書
(6)口頭発表(国際学会発表及び主要な国内学会発表)
根本誓哉、大嶋なつみ、茅野光範、高木しのぶ、小林菜々恵、横澤幸美、姜 興起、鈴木
宏志(帯広畜産大学)、性格関連遺伝子多型のロジスティック回帰分析による盲導犬適性
予測、第6回日本身体障害者補助犬学会学術大会、日本大学松戸歯学部 松戸 千葉、10月
27日
①招待講演
(国内会議
件、国際会議
②口頭講演
(国内会議 1 件、国際会議
③ポスター発表 (国内会議
件、国際会議
件)
件)
件)
(7)特許出願
①国内出願(
件)
1.“発明の名称、発明者、出願人、出願日、出願番号”
2.
・・・
②海外出願(
件)
1.“発明の名称、発明者、出願人、出願日、出願番号”
2.
・・・
(8)その他特記事項
【140401】