Webページにおけるオンライン直接編集機構の試作

Web ページにおけるオンライン直接編集機構の試作
田代慎治 伊藤孝行 大囿忠親 新谷虎松 (名古屋工業大学大学院 情報工学専攻)
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はじめに
一般的な Web ページ編集では,サーバから対象の HTML をダウンロード,エディ
タで編集,そして,サーバに再びアップロードする,という作業の繰り返しである.し
かし,以上のような作業の繰り返しは利用者にとって負担である.そこで,本稿では,
Web-based Flexible Editing (以下,WFE) という手法を提案する.WFE では Web
ブラウザ上に表示された HTML テキストを選択することで,選択した個所の HTML
ソースを部分的に取得し,オンラインで直接編集することが可能である.部分的な編
集により,表示する際の情報が最小限に抑えられる.その結果,HTML に関する初心
者でも容易にブラウザ上で Web ページを編集することが可能になる.また,ブラウ
ザから編集することにより,オーサリングツールなどのソフトウェアも必要としない.
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Web-based Flexible Editing(WFE)
WFE は,Web ブラウザ上に表示された HTML の文字列を選択することにより,選
択した文字列周辺の HTML ソースのみが,編集ウィンドウに表示される.編集ウィ
ンドウに表示された内容を編集し,送信することにより,選択した個所が編集した内
容に更新される.ブラウザを用いてオンライン編集することにより,利用者がソフト
ウェアを用意しなくともサーバ上の HTML が編集できる.
本システムの構成図を図 1 に示す.本システムでは,WWW サーバ上にブラウザ監
視機構を設置する.ブラウザ監視機構は,利用者がブラウザに表示されている HTML
ファイル (以下,編集対象 HTML ファイル) 上の文字列を選択すると,選択した文字
列 (以下,選択文字列) を取得する.ブラウザ監視機構は,編集対象 HTML ファイル
のソースから,選択文字列周辺のソースを部分的に取り出し,ブラウザに編集ウィン
ドウを表示させる.利用者は,編集ウィンドウ上で,選択文字列を編集する.編集さ
れた文字列 (以下,編集文字列) は部分編集機構に送信される.部分編集機構では,選
択文字列と編集文字列から,編集対象 HTML ファイルを更新する.部分編集機構は,
編集対象 HTML ファイルを解析し,選択文字列が HTML ソース中のどの部分である
か検索する.そして,編集対象 HTML ファイル中の検索された個所と編集文字列を
置換し,編集対象 HTML ファイルを WWW サーバ上に保存する.部分編集機構が編
集対象 HTML ファイルの更新を完了すると,編集対象 HTML ファイルが表示されて
いるブラウザがリロードされ,編集後の HTML ファイルが表示される.
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WFE を用いた Web ページの編集
本システムを用いて Web ページを編集するためには,前節で示したブラウザ監視
機構,および,部分編集機構を設置する.そして,フレームを用いて編集対象 HTML
ファイルとブラウザ監視機構を同時にブラウザに表示させる.ここで特筆すべきこと
は,以下に述べる2点である.i) 編集対象 HTML ファイルには,オンライン編集を行
うための特別なスクリプトやタグを用いない.ii)Web ブラウザ上に表示された HTML
図 1: システム構成図
テキストを選択し,選択した個所の HTML ソースのみを部分的に編集できる.以上
の点は,同様のオンライン編集機構である Wiki[1] や Zope[2] とは大きく異なる.し
たがって,FTP や HTML に関する初心者においても,あらかじめ作成した Web ペー
ジの HTML ファイル群および,本システムを WWW サーバに設置するだけで,設置
後は,Web ブラウザ上から容易に編集を行うことが可能である.
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考察
本システムを用いることにより,一般的な Web ページの編集作業に比べ,効率的
に編集することが可能になった.その結果,FTP や HTML に関する初心者において
も,容易に Web ページの編集作業を行うことができる.
また,本システムは Web ブラウザ上から Web ページを直接編集できるので,Web
ページの製作者でなくとも編集が行える.その結果,複数の利用者が共同で Web ペー
ジを構築することも可能になる.しかし,製作者以外の閲覧者が編集することが好ま
しくない Web ページ (e.g. 日記ページなど) も存在する.今後の課題として,本シス
テムを用いた Web ページの編集に関して,作成者以外の閲覧者は編集不可能にする
機能など,セキュリティに関する問題点を解決することが挙げられる.
参考文献
[1] Wiki Wiki Web(http://c2.com/cgi/wiki/)
[2] Zope(http://www.zope.org/)