平成25年度 実践事例集 福岡市小学校音楽科研究委員会 目次 Ⅰ はじめに Ⅱ 研究の基本的な考え方 1.主題設定の理由 2.主題の意味 3.研究の仮説 4.研究の構想 Ⅲ 研究の実際(実践事例・資料) 1.第1学年 2.第2学年 3.第3学年 4.第4学年 5.第5学年 6.第6学年 Ⅳ 研究を通して(成果と課題) Ⅴ おわりに Ⅵ 平成25年度福岡市小学校音楽科研究委員名簿 は じ め に 現行の指導要領全面実施から,3 年たちました。 音楽科では「表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と音楽に対 する感性を育てるとともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊な情操を養う。」 を目標として掲げています。また,共通事項を支えとして,音や音楽を知覚し, 思考判断する力を育成することが重要視されています。そこで,本研究委員会 では、研究主題を「学ぶ力がすべての子どもに身に付く音楽科学習指導」とし, 副主題を「学ぶ活動に対する支援の工夫を通して」と設定し,本年度も授業研 究を中心に,研究を深めてきました。 特に,昨年度までの研究により, ① 題材や指導目標を明確にすること ② 教師は何を学ばせるか。子どもたちが何を学ぶのかを明確にすること ③ 学ぶ内容を学び取るための適切な活動の位置づけ ④ 学ぶ内容を身に付けさせるための適切な支援 が,明確になっていましたので,本年度は「学ぶ内容を身に付けた,子どもた ちの具体的な姿をあきらかにするように」しました。即ち,授業の出口=評価 です。授業の協議会で時々「グループ交流の中でどんな音楽活動をしていたら, 高い評価をあげられるの」「本時の授業を通して,子どもたちはどんな姿にな っていたらいいの。」と質問が出ます。「エッツ,指導案に書いている・・・ はず・・・」としどろもどろで答えることも,残念ながらありました。残念な がら・・・です。そこで,本研究委員会の今までの研究の成果を生かし,先輩 諸氏の指導を仰ぎながら,評価も見える授業にしました。この,資料集を授業 に生かしていただければ,幸いです。「まだまだ」というご批判の内容等もご ざいましたら,是非,研究委員会にその声をお聞かせください。これからも, さらに研鑽を重ねてまいります。 最後になりましたが,研究委員所属の学校の校長先生はじめ,教職員の皆様, 授業研究にご協力いただき本当にありがとうございました。また,福岡市教育 委員会 課 学校指導課 主任指導主事 主任指導主事 田上 麻紀様 教育センター 研究支援 樋口信一様 には,ご多忙にも関わらず,いつも熱心にご 指導いただき有難うございました。衷心より御礼申し上げます。 成 26 年 3 月吉日 福岡市小学校音楽科研究委員会 研究委員長 折 口 惠 子 (福岡市立志賀島小学校長) 研究主題 学ぶ力がすべての子どもに身に付く音楽科学習指導 ~学ぶ活動に対する支援の工夫を通して~ 1 主題設定の理由 ○ 音楽科教育の本質から 学習指導要領において,音楽科の目標は「表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と 音楽に対する感性を育てるとともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。 」である。 この目標では,①「音楽を愛好する心情」②「音楽に対する感性」③「音楽活動の基礎的な能力」 という心情,感性,能力の三つは密接な関係にあるため,音楽教育のすべての過程において常に児 童の情意面と能力面とをかかわらせながら指導に当たる重要性を述べている。 すなわち,表現及び鑑賞の様々な活動を通して,①活動そのものを楽しんだり,音楽に感動した りするような体験を積み重ね,音楽活動への興味・関心を高めていくこと。②音楽を感覚的に受容 して得られるリズム感,旋律感,和声感,強弱感,速度感,音色感などの音楽的感受性を育てるこ と。③感じたことや心に描いたことを,自らの声や楽器あるいは自らつくった音楽を通して,表現 することや,音楽のよさや面白さ,美しさを感じ取りながら,想像力を働かせて聴くことができる 能力を直接的な音楽体験を通して身に付けるようにすること。が継続的な学習により,身に付ける こととなっている。 このようなことから,本研究主題に挙げている学ぶ力がすべての子どもに身に付くことを目指し, 音楽科学習を学ぶことや楽しむことは意義深い。 ○ 音楽科教育の現状から 学校現場では,「どのように音楽の授業を組み立てていけばよいかわからない」 「音楽科で児童に どんな力を身に付け,何を教えたらいいのかわからない」といった言葉をよく耳にする。日々の 授業を振り返っても次のような課題が見られる。 ・1時間の授業構成が分からない。 ・活動のみで1時間が終わってしまい,学ぶ内容がはっきりしていない。 ・CD を使うと部分的な指導がしづらい。 ・ピアノが弾けなくても,曲の部分的な指導をするよい方法がないか。 ・表現と鑑賞をどのように活動に位置づけて連動させていったらいいのだろうか。 ・子どもの姿が明確になっていないので,子どもが活動しても何をめざしていけばよいかわからな い。 ・音楽表現の創意工夫の点においてどのように評価したらよいか。 以上のような音楽科教育の現状からも,本研究主題に挙げている学ぶ活動に対する支援の工夫を 通して、学ぶ力がすべての子どもに身に付く音楽科学習指導を行うことは意義深い。 ○ 昨年度までの研究から 昨年度本研究委員会では,教科等研究委員会第11期の2年次として「学ぶ力を育てる音楽科学 習指導」を研究テーマに,学ぶ内容が身に付く活動の工夫を通して研究を行った。この研究により, 題材や各時間の指導目標が明確になり,教師は何を学ばせるのか、児童が何を学ぶのかはっきりと もつことができるようになった。また,学ぶ内容を学びとるための適切な活動を位置づけたことで、 学ぶ内容を身に付けさせるための支援を具体的に工夫することができ,児童が主体的に考えたり活 動したりする姿が見られた。 そこで,本年度は第11期3年次として,学ぶ内容を身に付けた児童の具体的な姿を明らかにし, 学ぶ活動に対する有効な支援を工夫することで学ぶ力がすべての子どもに身に付けることができる ようにしていきたい。 2 主題の意味 (1)「学ぶ力がすべての子どもに身に付く音楽科学習指導」とは ①「学ぶ力」とは 音楽科における学ぶ力とは,音楽の学習において児童が自分なりの考えをもち,それをもとに工 夫し,判断して行動することなどを通して,自分の思いや意図をもって音楽表現をしていくといっ た児童が主体的に学習を進めていくための能力や態度である。学ぶ力をもとに,学習指導において 児童が学び取っていき,また児童が自分なりの考えをもつ際のもとになる内容を学ぶ内容とする。 この学ぶ内容を設定することで,音楽科学習が成り立つと考える。 そのためには,教材をあらゆる角度から丁寧に分析し,その教材が含み持っている内容を明らか にする,その上で,この明らかになった内容を学習指導要領に示されている学年の目標や内容,あ るいは,児童の実態などに照らして,その中から児童に学ばせる内容として適切と考えられるもの を抽出し,学ぶ内容を設定していく。 ②「学ぶ力がすべての子どもに身に付く音楽科学習指導」とは 音楽科の授業は子どもたちが生き生きと歌を歌い,楽器を演奏し,音楽を聴いて身体表現をする など,進んで音楽を楽しみながら,生きる喜びを味わう時と場である。そして,そこでは,一人一 人のよさや可能性が様々な活動の中に発揮され,伸ばされ,創造的に高められていく。それはまさ に,子どもが音楽とのかかわりを通して豊かに自己表現を図っていく学習の過程といえる。 そのようなことから,音楽科の授業では,すべての子どもが,一人一人が自分なりの感じ方,考 え方,生き方などの自分の思いに基づいて,自ら感じ取ったり,考えたり,判断したり,工夫して 表現したりするような,創造的な音楽活動を展開できるようにする必要がある。 (2)「学ぶ活動に対する支援の工夫を通して」とは ①「学ぶ活動」とは 楽曲分析をもとに設定した学ぶ内容を身につけさせるためには,どんな活動が適切なのか,実際 の授業展開を想定し,具体的に設定していく。歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞の活動における具体 的な学ぶ活動を設定するに当たっては,学ぶ内容に応じてより適切なものを選出していくことが大 切である。 ②「学ぶ活動に対する支援の工夫」とは 例えば,歌詞の意味から音楽を感じとる時は,拡大歌詞を提示したり,旋律の動きから音楽を 感じとる時は,主旋律の拡大楽譜を提示したりして,児童が学ぶ力が身に付くように支援の在り 方を工夫する必要がある。以下は学習指導要領で示されている一例である。 領域 支援の例 表現 模唱,暗唱,リズム唱,リズム打ち (1)歌唱 範唱→視聴覚教材等の利用 歌詞に合った絵や写真,様々な視聴覚教材による音や映像の利用 (2)器楽 視聴覚教材等の利用,専門家による演奏 楽曲に合った絵や写真,様々な視聴覚教材による音や映像を利用 (3)音楽づくり 異なる材質による音の響きを生かして表現する活動 線や図形,絵などを楽譜に見立てて声や楽器をなどの音で表す活動 鑑賞 主な旋律を口ずさむ,楽曲を特徴付けているリズムを手で打つ, 体を動かしながら感じ取る 視聴覚教材を活用して演奏している場面を見る,音楽に合わせて演奏のまねをする 3.研究の仮説 音楽活動において,学ぶ活動を意図的に仕組み,教師の具体的支援を工夫すれば,音楽のよ さや美しさを感じ取り,自分の思いに基づいて主体的に創造的に表現を工夫し,学ぶ力がすべ てのすべての子どもに身に付くことができるであろう。 4.研究の構想 (1) 内容 ① 身に付いた姿を明らかにし,そのための支援の在り方を明らかにする。 ② 児童が学ぶ力〔指導目標〕を明らかにする。 ③ 学ぶ力をもとに,楽曲や題材分析をし,学ぶ内容〔指導内容〕を明らかにする。 (2) 具体的な手だて ① 学ぶ力から,児童の身に付いた姿を明確にし,そのための学習の支援を設定する。 ○ 評価の観点から題材や教材における児童の身に付いた姿の提示 ・児童の明確な学習様相の提示 ・思いや意図を表した発言の提示 ・児童が感じ取ることを明確にした様子の提示 ○ 身に付いた姿を見取る場面の具体的な方法や学びへの支援の提示 ・感じ取った様子を書き込めるワークシートの作成 ・思いや意図を表しやすい書き込みのできる楽譜の提供 ・学ぶ力を助ける板書や資料の提示 ② 学習指導要領に示されている学年の目標や内容,あるいは児童の実態などに照らして児 童が学ぶ力を明らかにする。 ③ 楽曲の曲想と,それを構成している音楽の要素との結びつきから,学ぶ内容を明らかにす る。 ・楽曲分析をもとにした学ぶ内容の設定 ・学ぶ内容を身に付けるための学ぶ活動の設定 【身に付いた姿を明確にするために】 身に付いた姿とは,すなわち「育てたい力(資質・能力)を明確にする」といえる。ここでは, 学習のねらいを実現している児童の具体的な姿を明らかにする必要があり,そのためには,学習の ねらいと評価の整合性を図る必要があると考える, 音楽科授業を構想し展開していくには,どのような資質や能力の育成を目指すのか,十分に明ら かにしておく必要がある。すなわち,子ども一人一人が自分のよさや可能性を発揮しつつ,音楽科 に求められる資質・能力をその後の学習に生きて働く力として自ら獲得していくことを重視して, 具体的な指導目標を設定し,児童がどのようになっているかを具体的に想定されておく必要がある。 このような状況を具体的に示したものが学習評価である。 音楽科における学習評価の観点としては「音楽への関心・意欲・態度」 「音楽表現の創意工夫」 「音 楽表現の技能」 「鑑賞の能力」の4つが示されている。 音楽科の学習内容との関連においては, 「A 表現・歌唱」 , 「A 表現・器楽」 , 「A 表現・音楽づくり」 では, 「音楽への関心・意欲・態度」 , 「音楽表現の創意工夫」 , 「音楽表現の技能」の学習状況を, 「B 鑑賞」では, 「音楽への関心・意欲・態度」 ,「鑑賞の能力」の学習状況を評価する。 第 5 学年及び第 6 学年 創造的に音楽にかかわり, 音や音楽に対する関心を もち,音楽表現や鑑賞の学 習に自ら取り組もうとす る。 音 楽 表 現 の 音楽を形づくっている要 音楽を形づくっている要 音楽を形づくっている要 創意工夫 素を聴き取り,それらの働 素を聴き取り,それらの働 素を聴き取り,それらの働 きが生み出すよさや面白 きが生み出すよさや面白 きが生み出すよさや面白 さなどを感じ取りながら, さなどを感じ取りながら, さなどを感じ取りながら, 音楽表現を工夫し,どのよ 音楽表現を工夫し,どのよ 音楽表現を工夫し,どのよ うに表すかについて思い うに表すかについて思い うに表すかについて思い をもっている。 や意図をもっている。 や意図をもっている。 音 楽 表 現 の 音楽表現をするための基 音楽表現をするための基 音楽表現をするための基 技能 礎的な技能を身に付け,歌 礎的な技能を伸ばし,歌っ 礎的な技能を高め,歌った ったり,楽器を演奏した たり,楽器を演奏したり, り,楽器を演奏した入り, り,音楽をつくったりして 音楽をつくったりしてい 音楽をつくったりしてい いる。 る。 る。 鑑賞の能力 音楽を形づくっている要 音楽を形づくっている要 音楽を形づくっている要 素を聴き取り,それらの働 素を聴き取り,それらの働 素を聴き取り,それらの働 きが生み出すよさや面白 きが生み出すよさや面白 きが生み出すよさや面白 さなどを感じ取りながら, さなどを感じ取りながら, さなどを感じ取りながら, 楽曲や演奏の楽しさに気 楽曲の特徴や演奏のよさ 曲想とその変化などの特 付き,味わって聴いてい に気付き,味わって聴いて 徴を感じ取ったり,楽曲の る。 いる。 構造,楽曲の特徴や演奏の よさを理解したりして,味 わって聴いている。 「音楽表現の創意工夫」及び「鑑賞の能力」のそれぞれの観点の趣旨には, 「音楽を形づくってい る要素」を示している。この内容は,音色,リズム,速度,旋律,強弱,音の重なりや和声の響き, 音階や調,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴づけている要素や,反復,問いと答え,変化,音 楽の縦と横の関係などの音楽の仕組みを含むものである, 以上の観点をふまえて,一人一人が持つ感受を大切にし,それぞれの学ぶ力を身に付けて音楽科 学習に臨む必要がある。具体的には,音楽を聴いたり表したりする中で「楽曲のどこからそのよう に感じたのか」や「なぜそのように感じたのか」といったことから,音楽を形づくっている要素な どを手がかりとしながら,子ども一人一人が自分の感じ方を広げ深めていくようにする。 観点 音楽への関 心・意欲・ 態度 第 1 学年及び第 2 学年 楽しく音楽にかかわり,音 や音楽に対する関心をも ち,音楽表現や鑑賞の学習 に自ら取り組もうとする。 第 3 学年及び第 4 学年 進んで音楽にかかわり,音 や音楽に対する関心をも ち,音楽表現や鑑賞の学習 に自ら取り組もうとする。 【学びへの支援について】 資料・教具に関して 教育機器に関して 教師の働きかけに関して 学習形態に関して 子どもの活動に関して 歌唱 器楽 鑑賞 絵や写真,切り抜き,楽譜,楽器 など PC,CD,MD,DVD,TV など 発問,助言,指示,板書,示範,示演,解説,物語,お話など 個人学習,グループ 個人学習,グループ 個人学習,グループ 学習 学習,一斉学習 学習 身体反応,演奏のまね,指揮のまね,動作,口ずさみ,イメー ジづくり など 第1学年 1 題材 ほしの おんがくを つくろう 2 教材 「きらきらぼし」 3 指導目標 実践事例 ○ 音遊びや思いをもって簡単な音楽をつくる学習に進んで取り組もうとする。 (音楽への関心・意欲・態度) ◎ 楽器の音色や旋律から良さや面白さを感じとりながら、問いと答えの仕組みを生かし、音を音楽にしていくことをいろいろ試して、自分の考えや 願いをもって簡単な音楽をつくる工夫をしている。 ○ 4 (音楽表現の創意工夫) 音を結んで短い旋律をつくったり,問いと答えの仕組みを生かしたりして,音を音楽にしている。 (音楽表現の技能) 教材について 「きらきらぼし」 (武鹿 悦子 作詞,フランス民謡) 楽曲分析 曲想 学ぶ内容及び学ぶ活動 曲想…夜空に輝く星の美しさや,星空への思いや願いを歌った優しい感じ ○ 夜空の星の美しさや,星空への想いや願いを想像豊かに表現する。 の曲。 -歌詞;第1,3連で夜空に輝く星の美しさが表現され,第2連で星空への想い ・夜空に輝く星の美しさや星空への想いや願いを1,3連と2連が表す情 や願いが表現されている。 景を感じ取って表現する。 ・歌詞を覚えて歌う -旋律;A の山形の順次進行の旋律と B の下降型の順次進行のなだらかな旋 律で,夜空の星の美しさや,星空への想いや願いが表現されている。 ・美しさ,星空への想いや願いを旋律の動きを感じ取って表現する。 ・息継ぎに注意してどならないで歌う。 -形式;A-B-A の曲の形で,夜空に輝く星の美しさや,星空への想いや願いが ・夜空に輝く星の美しさや,星空への想いや願いを A-B-A の曲の形を感 表現されている。 じ取って表現する。 -唱法;A をややはずんで,B をなめらかに歌うことで,夜空の星の美しさや, ・夜空に輝く星の美しさや,星空への想いや願いをふさわしい強さを工夫 星空への想いや願いが豊かに表現できる。 して表現する。 ・A をスタッカート(キラキラ星),B をレガート(流れ星)に歌う。 -強さ;A をmfで,B をmpで歌うことで,夜空の星の美しさや,星空への想い ・夜空に輝く星の美しさや,星空への想いや願いをふさわしい唱法を工夫 や願いが豊かに表現できる。 して表現する。 ・A(mf)-B(mp)-A(mf)を意識して歌う。 5 指導計画(全4時間) 題材名 教材曲(配時) 第1次 1時 ほしのおんがくをつくろう 第2次 2時 1時(本時) 2時 「きらきらぼし」(歌) (鍵ハ) (鉄琴) (音遊び) *問いと答え・・・呼びかけと答え(教科書に合わせて記載) 次 時 第 第 1 1 1 学ぶ内容と学ぶ活動 「きらきらぼし」 「きらきらぼし」を歌う。 次 時 ○ 夜空の星の美しさや,星空への想いや願い 主な支援 ・縦書きの歌詞(資料①) 身についた児童の姿 始めと終わり (1段目と 3 段目) が同じ歌詞だね。 評価規準 ○夜空の星の美しさ や,星空への想い や願いを想像しな を1,3連と2連が表す情景を感じ取り表 ・情景画(資料②) がら歌ってい る。 始めと終わりのメロディーも 現すること。 (関・意・態) 同じだね。 ・歌詞を覚えて歌う。 ・歌詞の表す情景を感じて歌う。 ・身体表現をしながら歌う。 ・1,3連が同じ旋律でできてい ・旋律を覚えて歌う。 ることをおさえる。 2 「きらきらぼし」を鍵盤ハーモニカで演奏 ・前半と後半に分かれて歌わせた する。 り,鍵盤ハーモニカを演奏させた ○ 夜空に輝く星の美しさや,星空への想いや りする。 願いを呼びかけと答えの仕組みを感じ取っ ・ドレミの星座(資料③) ○呼びかけと答えの音 「ファファミミレレド」がお返事 楽の仕組みを感じなが しているように聞こえるよ。 ら鍵盤ハーモニカで演 て表現すること。 奏している。 (技) 【演 ・(ドドソソララソ)と(ファファミミレレ 最後が「ド」だから、終わって ド)の2つの音の星座をつくる。 奏時の様子や観察】 いる感じがするよ。 ・階名で歌う。 ・旋律を覚えて鍵盤ハーモニカで演奏する。 ・充分に練習させた後、2つの前半・ ・いろいろな奏法で演奏する。(レガート・ 後半グループに分かれ、鍵盤ハーモニ スタッカート・1 オクターブ上げて) カを演奏させる。 ・呼びかけと答えになっているこ とに気付かせる。 ○短い旋律をつくり,ゲ 3 音楽の仕組みを使った音楽ゲームをする。 ・拍の流れを感じるように、リズ ○ 2つ星座の感じの違いを知る。 ームを楽しんで演奏 ムに合わせて音楽ゲームをさせ している。 (関・意・ る。 態) 第 「きらきらぼし」② 2 1 即興的な演奏を楽しむ。 時 ○ 鍵盤ハーモニカで模倣ゲームや音のしりと ・ 「あのね」の音づくりと同様に3 りゲームをして即興的な表現を楽しむ。 音程度選び旋律をつくる。 (教科書 ・3音程度の旋律をつくり,それを模倣する P34) まねっこゲームをする。 ・3音程度選んでの旋律をつくる 相手の音をよく聞き,模倣したり ○呼びかけと答えの音 続けて演奏したりして,模倣ゲー 楽の仕組みを感じなが ムや音のしりとりゲームを楽し ら,鉄琴や鍵盤ハーモニ んでいる。 カで演奏している。 ・ペアの旋律の最後の音と同じ音から始まる が、前の人の最後の音をよく聞く (技) 【演奏時の様子や 旋律をつくり,音のしりとりゲームをする。 観察】 よう促す。 2 「きらきらぼし」を 2 小節ずつ交代しなが ら,鉄琴と鍵盤ハーモニカで演奏する。 ・鉄琴を初めて使うので、使い方 ・鉄琴のパート(ドドソソララソ)を練習す を指導する。 る。 ・必要な音に音階が分かるように ・ 「きらきらぼし」を 2 小節ずつ交代しなが シールを貼る。 (資料④) ら,鉄琴と鍵盤ハーモニカで演奏する。 鉄琴に親しみ、拍の流れに合わせ て「きらきらぼし」のはじめの2 小節を演奏している。 ○音を音楽にしていく ことをいろいろと試 呼びかけ(鉄琴)と答え(鍵盤ハ し,自分の考えや願い ーモニカ)を感じながら演奏して をもって音の旋律を いる。 つくっている。 (創) 【児童の「どれみの ・音楽の仕組みである、呼びかけ ほし」の図譜と創作 と答えを意識させるようにする。 活動の児童の様子】 第 第 音づくり~音楽づくり 2 3 1 音を選び,自分の旋律をつくる。 次 時 ○ 夜空に輝く自分の星をつくること。 ・ ○「きらきらぼし」 ・つくったきらきらぼしの模範演 ・ 「どれみのほし」の図譜から,7音の音を線 奏(CD資料) 本 で結んで旋律をつくる。 時 ・ 「終わる感じ」をつくる。 ・つくったきらきらぼしの「どれ みのほし」の例 ・つくった音の旋律を階名読みしたり,鍵盤 の呼びかけにつなげ 「ミ」の次は「ファ」にしようか な,「レ」にしようかな・・・ 鍵盤ハーモニカで確かめながらつ て演奏している。 (技) 【活動の様子の 観察】 くる。 ハーモニカで演奏したりする。 ・つくった音の旋律を発表する。 キラキラした感じがいいから、高 ・最後が「ド」だと終わった感じ い音をたくさん使いたいな がして落ち着くことを確認する。 ・どんな旋律をつくりたいのか思 いをもたせる。 ・つくるときのお約束を確認する。 (資料⑤) ・必要な音に音階が分かるように 2 つくった音の旋律を「きらきらぼしの」初 シールを張る。 「きらきらぼし」の初めの2小節 ○「きらきらぼし」の めの2小節(呼びかけ)につなげて演奏する。 ・拍の流れにのって演奏できない につくった音の旋律をつなげて,演 呼びかけにつくった ○ 音の星座を「きらきらぼし」の呼びかけ(鉄 児童には,伴奏などで拍を意識さ 奏している。 音の旋律をつなげ、 琴パート)につなげて演奏すること。 せる。 拍の流れにのって演 奏している。 (技) 【活 動の様子の観察】 第 音楽づくり② 4 1 つくった音の旋律を発表し合う。 時 ○ はじめの2小節(全体または鉄琴)→つく 拍の流れにのって、つくった音の った音の旋律(ソロ)のように全体と個人で交 ・拍の流れやテンポが一定するよ 互に演奏すること。 ○ 旋律を演奏する。 うに、伴奏やリズムで児童の演奏 (全体)→(ソロ)→(全体)→(ソロ) を支えるようにする。 のようにリレーのようにつなげて交互に演奏 ・全体は階名で歌ったり、鉄琴で すること。 弾いたりさせる。 ○ 「きらきらぼし」の 1 段目と 3 段目を全体 で演奏し、2 段目の 4 小節をソロで演奏するこ ・続く感じになるように、最後の と。 ○ 自分の思いや願い 音が「ド」にならない音の旋律を をもって自分たち ・第 3 時につくった音の旋律の後半部分(続 選ぶようにさせる。 の「きらきらぼし」 く感じ)を2回くり返し(反復)演奏する。 をえんそうしてい キラキラした感じが出るように、 る。 (創) 【活動の 鉄琴を使おう。 様子】 鍵盤ハーモニカの高い音で弾こ うよ。 2 活動①と活動②を組み合わせて演奏する。 速さを変えてみたらどうかな。 ・はじめの 2 小節(全体または鉄琴)→つく ・グループで分担し、演奏させて った音の旋律(ソロ①)→2 段目の 4 小節 もよい。 (ソロ②)→はじめの 2 小節(全体または A:はじめの2小節 鉄琴)→つくった音の旋律(ソロ①) B:答えの音の星座 C:2 段目の 4 小節 6 本時の目標 ○問いと答えの仕組みや,音を音楽にしていくことに興味・関心をもち,思いをもって簡単な音楽をつくる学習に進んで取り組もうとする。(音楽への関心・ 意欲・態度) ◎問いと答えの仕組みを生かし,音を音楽にしていくことをいろいろ試して,自分の考えや願いをもって簡単な音楽をつくる工夫をしている。(音楽表現の創 意工夫) ○音を結んで短い旋律をつくったり,問いと答えの仕組みを生かしたりして,音を音楽にしている。(音楽表現の技能) 7 展開 *問いと答え・・・呼びかけと答え(教科書に合わせて記載) 学ぶ内容と学ぶ活動 1 前時学習を想起し、本時学習のめあてをつかむ。 〇 「きらきら星」が呼びかけと答えの仕組みになっていることを確かめる。 (ドドソソララソ)の後にくるメロディーは、これ(ソソファファミミレ)で 教師の支援(・)と評価(☆) ・前時に学習した「きらきらぼし」の楽譜を掲 示しておく。 ・ドレミの星座を掲示し確認をする。 いいかな ちがう。 (ファファミミレレド)だよ。 あれ?ちがった。なんでこれではいけないのかな。 【身についた子どもの姿】 ソソファファミミレだと、終わる感じがしないからちがうよ。 【主な支援】 〇星の写真 最後が「ド」になっているから、終わる感じがするんだよ。 〇鉄筋の音色 〇ドレミの星の図譜 ・全てのドレミの星座を掲示した後,「きらきらぼし」をみんなで思い出して演奏する。 〇 呼びかけと答えの仕組みをつかった自分だけの「きらきらぼし」をつくることをしる。 ・「どれみのほし」の図譜(教科書) ・模範演奏(呼びかけ「ドドソソララソ」+答 えであるどれみの星をむすんでつくった「音の 上手だね。今日はちょっとみんなに聴いてほしい曲があります。~♪~どこが違ったか 星座 例:ソラソファミレド」を聴かせる。 ) 分かりますか。 ファファミミレド のところ。 このドレミの星で作りました。みんなも作ってみましょう。 めあて ドレミのほしをむすんで じぶんの「きらきらぼし」をつくろう。 2「どれみのほし」をつなぎ2小節の音の旋律をつくる。 ・ 「どれみのほし」の図譜から、7音を結んで音の星座をつくる。 ・ 「どれみのほし」の図譜に○をつけながら音の 星座をつくる。 今から好きなように「どれみのほし」をつないで音の星座をつくってもらいます。 お約束 ① ドミソのどれかから始まり、ドミソのどれかで終わる。 ② 右へ右へと線をつないでいく。 ③ 鍵盤ハーモニカで吹いたり、階名で歌ったりして確かめながらつくる。 。 ・実際に確かめながらつくる様子を実演する。 1 つは、最後が終わる感じにつくってくださいね。 ・つくった音の旋律を鍵盤ハーモニカで吹いたり、階名を歌ったりする。 ・拍の流れをつかみやすいように、リズム(四 分音符の4拍子)で児童の演奏を支えるように 【身についた児童の反応】 「ミ」の次は「ファ」にしようかな、 「レ」にしようかな・・・ キラキラした感じがいいから,高い音をたくさん使いたいな する。 ・終わる感じになるためには、最後が「ド」だ と良さそうであることを確認させる。 【主な支援】 〇模範演奏 最後に「ド」で終わると、おわる感じになるな。 〇手順(お約束)の掲示 〇模範製作(鍵盤ハーモニカで音を確かめ ながら線をつなぐところを見せる。 ) 〇学習プリント ☆音を音楽にしていくことをいろいろと試し,終わる 感じになるように音の旋律をつくっている。 (児童の 「どれみのほし」の図譜と創作活動の児童の様子) 【音 楽表現の創意工夫】 ・発表し合う。 ・鍵盤ハーモニカが苦手な児童には,階名を歌ってもい いことを知らせる。 ・拍の流れや答えの終わる感じが分かるように伴奏で 子どもの演奏を支えるようにする。 ・模範演奏を子どもと・先生のペアでして見せる。 3「きらきらぼし」の呼びかけ(ドドソソララソ)につなげて演奏する。 ・ 「きらきらぼし」の呼びかけにつくった音の旋律をつなげて演奏する。 ・呼びかけ旋律も伴奏に合わして流し,階名で歌いやす ① 先生(呼びかけ)+子ども(答え) いようにする。 先生が、呼びかけるので、みんなで答えてね。お隣さんは、答えをつなげて演奏 【主な支援】 できているか聞いてね。 〇学習プリント 〇伴奏(音楽づくり用) 【身について児童の姿】 〇鍵盤ハーモニカが苦手な児童には,階名を 呼びかけに答えられているね。 歌ってもいいことを知らせる。 ☆「きらきらぼし」の呼びかけにつなげて音を 音楽にしている。(技)【児童の様子の観察】 ② 友達(呼びかけ)+友達(答え) 次は、お友達同士で呼びかけと答えをしましょう。 ・子ども全員(呼びかけ)+子ども一人(答え) ・ペアで(呼びかけ) (答え) 4 今日の学習のふり返りをする。 ・学習プリントにふり返りをかく。 ・振り返りをさせることで、本時でできるよう になった(音をむすんで、自分の「きらきら星」 まとめ ・ドレミのほしをむすんで,じぶんのキラキラ星がつくれた。 ・ 「きらきらぼし」の旋律につなげてよびかけたり、こたえたりするようにえんそう ができた ができたこと)達成感を味あわせる。 本時でめざす子どもの姿 ①問いと答えの仕組みや、音を音楽にしていくことに興味・関心をもち、思い をもって簡単な音楽をつくる学習に進んで取り組もうとする。(音楽への関 心・意欲・態度) ②問いと答えのしくみを生かし、自分の考えや願いをもって簡単な音楽をつく る工夫をしている。(音楽表現の創意工夫) ③音を結んで短い旋律をつくったり、問いと答えのしくみを生かしたりして、 音を音楽にしている。(音楽表現の技能) 成果 1 教師の模範演奏を聞かせることで、①問いと答えの「答え」を作っていく こと、②終わる感じと続く感じがあり、ドで終わる方がよいという活動の見 通しを持たせることができた。【①】 2 手順の掲示や教師が星をつなげていく姿を子どもたちに確認しながら見せ たことで、ひきながら確かめてつなげることを意識させる点で効果的であっ た。【②】 3 学習プリントに名前を書かせることで、自分の思いをいかすことにつなが り、聴く観点にもつながった。【②】 4 星のイメージの写真を見せたり鉄琴の音色を聞かせたりすることで、思い をふくらませることができた。【②】 5 終わる感じを児童全員に終わる手だてとしてドで終わることを限定したこ とで、 5 音の流れが見える形で学習プリントを作成したことで、問いと答えが視覚 的にはっきりした。【③】 6 創作した音楽を表現する際に、鍵盤ハーモニカか歌うかと表現の仕方を広 げたことで、鍵盤ハーモニカの演奏が苦手な子も表現がすることがしやすか った。【③】 課題 1 問いと答えの仕組みに目を向けて、児童全員に終わる感じを作らせるため に、ドで終わることと指示したことで、ドレミの星をつなげる活動に入る際 に、ドで終わるようにつなげるのが難しい子がいた。 →子どもの実態によるが、ひとつめの創作活動の時に自由につくらせた中で、 終わる感じでつくられたものと続く感じでつくらせたものをひとつずつ取り 上げて、比べさせて感じ取らせる方法があったのではないかと考える。 第2学年 音楽科指導案 指導者 1 題材 おまつりの 音楽をつくろう 2 教材 「村まつり」 「音のスケッチ」 3 学ぶ力について(指導目標) 今田 典子 ○ 日本の音楽や大鼓の音楽に興味・関心をもち、歌ったり、聴いたり、つくったりする学習に進んで取り組んでいる。(関心・意欲・態度) ○ 楽曲のもつはずむリズムなどを聴き取って、表現を工夫する。 (音楽表現の創意工夫) ○ 範唱を聴いて歌ったり、楽曲の気分にふさわしい表現で歌ったり、問いと答えや反復を生かしておまつりの音楽をつくったりする。 (音楽表現の技能) ○ 4 大鼓の音楽やリズムや音色を聴き取り、お祭りの様子やお祝いの感じを想像しながら、演奏の楽しさに気づいて聴く。 (鑑賞の能力) 教材について(楽曲分析) 「村まつり」(文部省唱歌) 楽曲分析 曲想 学ぶ内容及び学ぶ活動 太鼓や笛の音が元気よく鳴り響く村祭りの中で、作物の豊作を喜ぶ人々 ○太鼓や笛の音が元気よく鳴り響く村祭りの中で、作物の豊作を喜ぶ人々 の様子を表現した歌唱曲。 の様子が表れるように表現を工夫して楽しく生き生きと歌うこと。 -歌詞;1 番…村祭りが開かれることを喜んでいる様子 2 番…今年も豊作となり、村全体が夜までにぎわっている様子 ・人々の喜びや元気な様子を想像して歌うこと。 3 番…村の神様の恵みを受けたことを感謝する様子 ・ 「ドンドンヒャララ」という、笛や太鼓の音色を表す語感を感じ取って、 第 3 フレーズの「ドンドンヒャララ」の歌詞は笛や太鼓の音色を表 工夫して歌うこと。 している。 -リズム; のはずむリズムが祭りの楽しい気分を表している。 -唱法;はずむリズムに乗って歌うことで、まつりの気分を表現できる。 ・はずむリズムを感じ取って歌うこと。 ・楽曲の気分にふさわしい表現で、はずんで歌うこと。 「日本のたいこ」(つがるじょっぱりだいこ、さんさおどりのたいこ、ごじんじょだいこ、はちじょうだいこ) 楽曲分析 学ぶ内容及び学ぶ活動 -つがるじょっぱりだいこ;ドンドドドというリズムの力強い太鼓と、涼 ○お祭りやお祝いの時に演奏されるいろいろな太鼓の特徴を感じ取りなが しげな囃子が表現されている。 ら聴き比べ、表現の違いを楽しんで聴くこと。 - さんさおどりのたいこ; 「サッコラチョイワヤッセ」というかけ声と、 ・太鼓の力強い音色を聴くこと。 つりがね、太鼓の音が踊りの軽快さを表して ・かけ声、つりがね、太鼓のかけ合わさった軽やかな雰囲気を感じ取りな いる。 がら聴くこと。 -ごじんじょだいこ;低い太鼓の音とかけ声、速さの変化が戦いの迫力を 表している。 ・太鼓の速さの変化を感じ取りながら聴くこと。 - はちじょうだいこ;一定のリズムを刻む「下拍子」と自由奔放に打ち鳴 らす「上拍子」 、 「太鼓囃子」と呼ばれる歌詞がかけ 合わさることで、島民の思いが表現されている。 ・2 つのリズムの太鼓の音色と、歌詞がかけ合わさった面白さを感じ取りな がら聴くこと。 5 指導計画(全6時間) 題材名 教材曲 (配時) 第1次 1時 第2次 2時 1時 第3次 1時 2時(本時) 3時 「村まつり」 の曲想 「村まつり」の楽曲 いろいろな太鼓の たいことかけ声の たいこのリズムと つくった音楽を発 おまつりの音楽を つくろう 村まつり を感じ取って旋律 の気分に合った歌 音楽の特徴を感じ リズムをつくる。 かけ声のリズムを 表する。 を歌う。 つないで、楽しいお い方で歌う。 取って聴く。 まつりの音楽をつ くる。 次 時 学ぶ内容と活動 1 第 1 太鼓のリズムを音遊びを通してつく 主な支援 ・リズムパターンカード る。 身についた児童の姿 太鼓で「ドンドコドン・ ドン 評価規準 ○ 2拍子の拍を意識しなが らリズムづくりをしようと ドンドコドン」ってどうかな。 ○6つのリズムカードから 4 つを選ん する。 (意・関・態) 時 で、たいこのリズムをつくること。 2 【行動の観察、演奏の聴取】 かけ声は、 「おまつりワッショ かけ声のリズムを音遊びを通してつ くる。 ・ワークシート ○おまつりわっしょいのかけ声を参考 ・個人用たいこ ○ おまつりのイメージを膨 イ」みたいにソーレやセヤ、 らませながら、声や手拍子で ワッショイがあるよ。 たいこのリズムとかけ声の に考えること。 リズムをつくっている。 (技) ヘイも楽しくなるから、入れよう。 ○楽しそうなおまつりのかけ声を考え 【行動の観察、演奏の聴取】 ること。 第 1 3 つかむ。 次 第 2 前時をふりかえり、本時のめあてを ○モデルを参考にしながら、つな 速い方が楽しそうだな。 ○たいこのリズムを想起すること。 【考える活動での行動の観察】 ○かけ声のリズムを想起すること。 時 2 たいことかけ声のリズムをつないで たいことかけ声をかさね ○音楽の仕組みを生かしてつくれ たら、お祭りみたいだな。 ば、音楽が楽しくなることを実感 本 お祭りの音楽をつくる。 時 ぎ方を考えている。 (創) している。 (意・関・態) はじめの合図は、ソーレに ○たいことかけ声のつなぎ方を工夫す 【演奏の聴取】 しよう。 ること。 ○速さや強弱を工夫すること。 ○自分の音楽と友達の音楽のつなぎ方 を工夫すること。 第 1 3 つくった音楽を発表する。 ・和太鼓、締太鼓 かけ声が大きくて楽しいね。 ○友達のつくった音楽のよさを考えな 時 がら聴くこと。 ○楽しいおまつりの様子を思いお かべながら演奏したり、聴いたり だんだん大きくなると 盛り上がって、おまつ りみたいだね。 している。 (技) (鑑) 【演奏の聴取、 鑑賞中の様子や感想の発表】 6 本時の目標 ○太鼓のリズムやその組み合わせに興味・関心をもち、拍の流れにのって進んで音楽づくりに取り組むことができる。 (関心・意欲・態度) ○太鼓のリズムとかけ声のリズムをつなぎ、反復や問いと答えなどの音楽の仕組みを生かしてお祭りの音楽をつくることができる。 (音楽表現の創意工夫) 7 展開 学習活動と内容 1 前時をふりかえり、本時のめあてをつかむ。 ○「村まつり」の楽曲に合った歌い方で歌うこと。 教師の支援(・)と評価(☆) ・ 「村まつり」を歌い、お祭りの様子を想起する。 ・前時につくった太鼓とかけ声のリズムづくりを想起させる。 ○たいこのリズムを想起すること。 ○かけ声のリズムを想起すること。 ・あとの活動につながるよう、リズム打ちは2拍子の拍の流れにのってさせる。 【めあて】たいことかけ声のリズムをつないで楽しいお祭りの音楽をつくろう。 2 たいことかけ声のリズムをつないでお祭りの音楽をつくる。 楽しいおまつりの音楽にするにはどうしたらいいかな? 【身についた児童の姿】 速い方が楽しそうだな。 強くしたり、弱くしたりするといいと思うな。 たいことかけ声をあわせてみるとどうかな。 【主な支援】 ○お祭りの様子の挿絵や写真。 自分のたいこのリズムとかけ声のリズムを ・モデルを提示して、どのようにつなぐかイメージをもたせる。 つなげてみましょう。 【主な支援】 【身についた児童の姿】 たいことかけ声を交互につなげてみたいな。 たいことかけ声を重ねたらお祭りみたいに ならないかな。 自分のつくった音楽と友達のつくった音楽を つなげてみましょう。 ○リズムカード(モデル提示用) ・つなげたものを個人用たいこでたたいて確認できるようにする。 ☆モデルを参考にしながら、つなぎ方を考えている。 【主な支援】 ○リズムカード(児童用) ・2人がつくったリズムが、呼びかけあうようにつながっていくと、一つの音楽がつく 【身についた児童の姿】 はじめの合図はソーレにしよう。 強くした方が、おまつりの感じ が出ていいね。 れることを助言する。 ・視覚的にリズムをとらえやすいように、太鼓とかけ声のリズムカードをヒントとして 手元に置かせておく。 ・リズムの組み合わせで感じが違うことに気づかせるために、数組に全体の前で中間発 表させる。 最後に、お祭りみたいに決 めポーズを入れようよ。 3 次時の活動を知る。 ○つくった音楽を発表したり、聴いたりすること。 ・中間発表を聴いて、変更したいところは変えていいように声かけをする。 ☆音楽の仕組みを生かしてつくれば、音楽が楽しくなることを実感している。 (考える 活動での行動の様子) 8 成果と課題(第2学年) ○たいこを個人に持たせることで、リズムづくりへの関心、意欲が高まった。 ○リズムカードを用意することで、自分の気に入るリズムが作りやすかった。 ○たいことかけ声を組み合わせる際に、子どもからのつなぎ方の工夫を取り入れることによって、いろいろな形のおまつりの音楽が表現できた。 ○中間発表で、友達の音楽を聴いたことにより、表現の幅を広げることができていた。 ●音楽の仕組みを意識して音楽づくりをした児童が少なかった。(特に、反復や問いと答え。)日頃から音楽の仕組みを意識できるように、子どもの発言や 感想を、教師が言い換えて価値づけする必要がある。 ●自分のつくった音楽を付加修正する十分な時間が必要。 第3学年 実践事例 1 題材 じょうけいをそうぞうしてきこう 2 教材 「白鳥」 3 指導目標 ○ 進んで音楽にかかわり,鑑賞の活動に自ら取り組もうとする。 (音楽への関心・意欲・態度) ◎ 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白鳥の様子を,主旋律と伴奏の動きや速さ,チェロとピアノの音色や奏法などを感じ取って想像豊かに 聴き取ることができる。 4 (鑑賞の能力) 教材について 「白鳥」 (サンサーンス作曲) 楽 曲想 曲 分 析 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白鳥の様子を表現したピアノ伴奏 によるチェロの独奏曲 学ぶ内容及び学ぶ活動 ○ 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白鳥の様子を想 像豊かに聴き取る。 標題;白鳥の様子を表現した音楽であることを示している。 ・白鳥の様子を想像して聴く。 旋律;なだらかな上下行の主旋律の反復で,湖面を優雅に泳ぐ白鳥の様子が,細かい ・主旋律から白鳥の様子を,伴奏から湖面の様子を聴き取る。 リズムの分散和音の伴奏で,静かに波立つ湖面の様子が表現されている。 音色;チェロの柔らかく温かい低弦の音色で湖面を優雅に泳ぐ白鳥の様子が,ピアノ ・チェロの音色から白鳥の様子を,ピアノの音色から湖面の様子 の澄んだ音色で,静かに波立つ湖面の様子が表現されている。 速さ;ゆったりとした速さで,優雅に泳ぐ白鳥の様子と静かに波立つ湖面の様子が表 を聴き取る。 ・ゆったりとした速さから,白鳥と湖面の様子を聴き取る。 現されている。 奏法;チェロやピアノのなめらかな演奏で,優雅に泳ぐ白鳥の様子と静かに波立つ湖 ・チェロやピアノのなめらかな演奏から,白鳥と湖面の様子を聴 面の様子が表現されている。 きとる。 5 指導計画(全2時間) 題材名 教材曲(配時) 第1次 第2次 1時(本時) じょうけいをそうぞうしてきこう 時 第1時(本時) 第1次 次 「白鳥」 (鑑賞) 学ぶ内容と学ぶ活動 1 「白鳥」を聴き,表現されている鳥について想像 主な支援 ・白鳥の絵や写真 する。 ○ 1時 大きいか小さいか,怖いか優しいか,何色かな どの面から 2 白鳥は何をしているか想像して聴く。 ○ 主旋律の動きや速さを感じ取り ○ 白鳥がゆったりと優雅に泳いでいること ・白鳥の切り抜き 身についた児童の姿 タララタララというゆっ くりした旋律がくり返さ れているから,白鳥がゆ ったりと気持ちよさそう に泳いでいる感じがする なあ。 評価規準 ○ 主旋律の動きや速さを感 ・主旋律の図形楽譜 じ取り白鳥の様子を想像す ・身体表現 る。(鑑)【観察・発言】 ・速さの聴き比べ 白鳥が泳いでいる場所はどこかを想像して聴く。 ・湖面の絵 ・伴奏の図形楽譜 ○ 伴奏の動きや速さの感じ取り ○ 静かに波立つ湖面を泳いでいること ・身体表現 3 ・速さの聴き比べ 4 全体を通して聴く。 ○ 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白 鳥の様子 ・白鳥と湖面の絵を 合わせる。 タラララ…という速い メロディがずっと続い ているから,静かに波立 っている水面が光にキ ラキラと輝いている湖 のような感じがするね。 ○ 伴奏の動きや速さを感じ 取り静かな湖面を想像する。 (鑑)【観察・発言】 第2時 第2次 1 チェロの音色や奏法から白鳥の泳ぐ様子を想像 して聴く。 ○ チェロの音色から白鳥の様子を聴き取ること ○ チェロのなめらかな奏法から白鳥の様子を聴 き取ること ・チェロの実物また は写真 ・チェロとバイオリ ンの音色の聴き比 べ ・チェロのスタッカ ート奏とレガート やわらかくて温かくて低 いチェロの音は白鳥が優 雅に泳いでいるのにぴっ たりだ。 なめらかにチェロを演奏 してあるから白鳥が優雅 に気持ちよさそうに泳い でいるみたいだ。 ○ チェロの音色と奏法を感 じ取り,湖で泳ぐ白鳥の様子 を想像する。(鑑) 【観察・ 発言】 奏の聴き比べ 2 ピアノの音色や奏法から湖面の様子を想像して ・ピアノとチェンバ 聴く。 ロの音色の聴き比 ○ ピアノの音色から湖面の様子を聴き取ること べ ○ ピアノの奏法から湖面の様子を聴き取ること ・ピアノのスタッカ ート奏とレガート 奏の聴き比べ 3 ○ 澄んだピアノの音を聴くと きらきらと波立っている湖 面の様子がわかるな。 なめらかにピアノを演奏し てあるから波が静かに波立 っている湖の感じがする。 ピアノの音色と奏法を感 じ取り,湖で泳ぐ白鳥の様子 を想像する。(鑑) 【観察・ 発言】 全体を通して聴く。 ○ 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白 鳥の様子 6 本時(1/2)の目標 ○ 進んで音楽にかかわり,鑑賞の活動に自ら取り組もうとする。 (音楽への関心・意欲・態度) ○ 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白鳥の様子を,主旋律と伴奏の動きや速さを感じ取って想像豊かに聴き取ることができる。 (鑑賞の能力) 7 展開 学ぶ内容と学ぶ活動 教師の支援(・)と評価(☆) 1.「白鳥」を聴き,表現されている鳥について想像する。 ○ 大きいか小さいか,怖いか優しいか,何色かなどの面から ・どのような鳥が表現されているかをクイズ形式で問い かけ,いろいろ想像させ興味を持たせる。 鳥が出てくる音楽です。 第 1 問 大きい鳥でしょうか, 小さい鳥でしょうか。 (♪ 「白鳥」 の始めの 1 分を聴かせる) 正解は大きい鳥です。 第 2 問 こわい鳥でしょうか? それともやさしい鳥でしょうか? (♪「白鳥」の始めの 1 分を聴かせる) 正解は,やさしい鳥です。 第 1 問 何色の鳥でしょうか? (♪「白鳥」の始めの 1 分を聴かせる) 正解は,白い色です。 大きくて,やさしくて,白い色の鳥と は,何という鳥でしょうか? 正解は,白鳥です。 動物園にもいるので見たことがある 人もいるかもしれませんね。 大きい鳥! 小さい鳥! やさしい鳥! こわい鳥! 赤い鳥! 青い鳥! 白鳥! 白鳥の絵 2.本時学習のめあてをもつ。 ・白鳥の切り抜きを提示し,白鳥について話し合わせた めあて 白鳥はどこで何をしているのか ききとろう。 上で,その居場所や様子に視点を当て本時のめあてを もたせる。 白鳥の切り抜き 3.白鳥は何をしているか想像して聴く。 ・チェロの音色で主旋律だけを何度も聴かせたり図形楽 譜を見て口ずさませたり,身体表現をさせたり切り抜 ○ ○ 主旋律の動きや速さの感じ取り ゆったりと優雅に泳いでいること まずは,白鳥が何をしているのか想像 して聴きましょう。 きを操作したり,速さを聴き比べさせたりして主旋律 の動きや速さを感じ取らせ白鳥の様子を想像させる。 この旋律が白鳥 の旋律か。 白鳥の旋律はこれです。 ♪チェロの音色で「白鳥」の旋律を弾く。 (図形楽譜を提示し)白鳥の旋律をララ ら…で歌いながら聴いてみましょう。 ♪チェロの音色で「白鳥」の旋律を弾く。 泳いでいる感じ がするな。 主旋律の拡大楽譜 そうです。白鳥は泳いでいるのです。 では,どのように泳いでいるのでしょう。 音楽に合わせて体を動かして見ましょう。 ♪ピアノで「白鳥」の旋律を弾く。 速さを変えてみます。聴き比べ てみましょう。 ♪速く弾いた白鳥の旋律とゆっ くり弾いた白鳥の旋律 速いとあわてて泳いでいる みたい。この白鳥はゆっくり と気持ちよさそうに泳いで いる感じがする。 この白鳥(切り抜き)を音楽 に合わせて動かして下さい。 ゆっくり気持ちよさそ うに泳いでいると思う。 タララタララというゆっくりした旋律がくり 返されているから,白鳥がゆったりと気持ち よさそうに泳いでいる感じがするなあ。 ◆ 主旋律の動きや速さを感じ取り白鳥の様子を想像 する。【観察・発言】 4.白鳥が泳いでいる 場所はどこかを想像して聴く。 ○ 伴奏の動きや速さの感じ取り ○ 静かに波立つ湖面を泳いでいること ・ピアノの音色で伴奏だけを何度も聴かせたり図形楽譜 を見せたり身体表現をさせたり,速さを聴き比べさせ たりして伴奏の動きや速さを感じ取らせ,白鳥が泳い 次は,白鳥が泳いでいる場所を 想像して聴きましょう。 でいるのは静かに波立つ湖面であることを想像させ 湖面の絵で確認させる。 泳いでいる場所の旋律はこれです。 ♪ピアノで伴奏の旋律を弾く。 海かな。池かな。 湖かな。 白鳥は湖で泳いでいるのです。 では,どのように湖でしょう。 (図形楽譜を提示し)湖の旋律を手で なぞりながら聴いてみましょう。 ♪ピアノで伴奏の旋律を弾く。 伴奏の拡大楽譜 波が細かい。 湖の表面が光に 当たってきらき らしている。 速さを変えてみます。聴き比べ てみましょう。 ♪速く弾いた伴奏の旋律とゆっ くり弾いた伴奏の旋律 速いと大きな波がうってい る感じがするけど,この湖は きらきらと静かに波が揺れ ている感じだ。 タラララ…という速いメロディがずっと続い ているから,静かに波立っている水面が光にキ ラキラと輝いている湖のような感じがするね。 ◆ 伴奏の動きや速さを感じ取り静かな湖面を想像す る 【観察・発言】 湖の写真 こんな感じの湖かな。 (湖の写真を提示する。 ) 5.まとめとして全体を通して聴く。 ○ 静かに波立つ湖面をゆったりと優雅に泳ぐ白鳥の様子 白鳥は静かに波立つ湖の上をゆった りと優雅に泳いでいるのですね。 (白鳥の切り抜きを湖の写真の上に のせて合体させる。 ) 様子を想像しながら聴きましょう。 ○ ・白鳥の切り抜きと湖面の絵とを合体させ,主旋律や伴 奏の動きや速さをもとに白鳥が泳ぐ様子を想像させ聴 き浸らせる。 合体させた絵 次時学習内容について知る。 次の時間はどんな楽器で演奏してい るのかをくわしく聴きましょう。 ・次時は演奏楽器をもとに聴くことを知らせる。 第4学年 1 題材 川のイメージから音楽をつくろう 2 教材 「音のスケッチ」 「川はよんでる」 「交響曲第 6 番~第 2 楽章~」 3 指導目標 実践事例 ○ 進んで音楽にかかわり、音楽づくりの活動に自ら取り組もうとする。 (音楽への関心・意欲・態度) ◎ 川をイメージする音や短い旋律をつくることができるとともに、それをもとに反復、変化などの音楽の仕組みを生かしたり表現の仕方を工夫した りしてどのように音楽をつくるかについて、自分の考えや願い、意図をもっている。 ○ (音楽表現の創意工夫) 楽器の音色を生かして川の流れを表す音や短い旋律を即興的につくることができるとともに、音楽の仕組みを生かしてイメージに合った表現をし ている。 ○ 4 (音楽表現の技能) 楽曲がイメージする気分を感じ取ったり、それらの音楽を形づくっている要素を聴き取ったりすることができる。 (鑑賞の能力) 教材について 「川はよんでる」(水野汀子作詞 ベアール作曲、 佐治和太 編曲) 楽曲分析 曲想 旋律の運びや音域が水の情景をイメージしやすい曲 -拍子;ト長調、4分の3拍子 -リズム;冒頭の2分音符と4分音符でつくられるリズムが印象的な楽曲。 -旋律;全体を通して音の跳躍があまりなく、横に流れるように進んでいく。 学ぶ内容及び学ぶ活動 ○ 川をイメージしてつくられた楽曲の歌詞や曲想に興味・関心をもっ て歌うようにすること。 「交響曲第6番~第2楽章~」 (ベートーベン作曲) 楽曲分析 学ぶ内容 曲想 「小川のほとりの情景」と題されたソナタ形式の楽曲で、楽章全体に小川のせせ ○ 川をイメージした楽曲の構造に注目して聴くこと。 らぎの音が表現されている。 -速度;アンダンテ・モルト・モッソ ○ 伴奏の音型の役割やトリルによる演奏効果、旋律が断続 -拍子;8分の12拍子 的に流れていることなど、多くの音楽の仕組みに気付くこ -旋律;小川の流れを表すかのような8分音符と16分音符でできた静かな分散和音 と。 -音色;弦楽器の伴奏が小川のせせらぎを表現している。 5 指導計画(全3時間) 題材名 教材曲(配時) 第1次 1時 川のイメージから 音楽をつくろう 「川はよんでる」 (歌) 「交響曲第6番」 (鑑) 「音のスケッチ」 2時 3時(本時) 次 時 学ぶ内容と学ぶ活動 主な支援 第 第 1 「川はよんでる」を歌う。 身に付いた児童の姿 旋律とリズムから、ゆったりと 1 1 ○ 歌詞や音楽に注目して歌うこと。 ・縦書きの歌詞 次 時 ○ 資料から川の流れをイメージしな ・楽譜 した川の流れを表しているね 評価規準 ○ 楽曲がイメージする 気分を感じ取ったり、そ れらの音楽を形づくっ がら歌うこと。 ている要素を聴き取っ たりすることができる。 2 「交響曲第6番~第2楽章~」を聴 (鑑) 【ワークシート】 く。 ○ 川のイメージに合う楽器の音色に 気付くこと。 ○ 楽曲の構造に気付くこと。 《ワークシートから》 3 自分が表したい川のイメージをつか ・川をイメージする写真 む。 ○ 川の様子を絵や文字 2つの曲や資料から、1つイメー で表している。 ジすること。 1 前時をふり返り、本時のめあてをつ かむ。 第 2 時 ○ 自分が表したい川をイメージした こと ○ イメージに合う短い音型をつくる ・模倣演奏(高音と低温 こと 2 旋律やリズムの音型をつくる。 自分がイメージする の弾き比べ) ○ 始めは音を選んで4分音符で演奏す ・リズムや音程のカード ること。 ・ ○ 選んだ音のリズムを変えてイメージ リズムについて ○ 自分がイメージする音 ※全音符→8分音符 や短い旋律を即興的に つくることができる。 ゆったり大きい→速く小さい に合う音楽にすること ※付点あり・付点なし (技)【活動観察・ワー はねる感じ→同じ流れ クシート】 音の長さで川の流れが かわるよ。 水が細く流れる様子を2つ の高い音で表そう 3 音型に合う楽器を決め、演奏する。 ○ イメージに合う楽器を選ぶこと。 ・録音機器(音型を録音 したもの) 1 前時をふりかえり、本時のめあてを 第 つかむ。 3 ○ 個々で音型を考えたこと。 時 ○ グループや個人でさらに音楽を完 ○○さんの音のあとにぼ くの音を演奏しよう。 成させること 音を重ねるとより川のイ それぞれの音型を合わせて演奏す メージにつながるね。 2 る。 ○ 互いの音を聴きなが ら、音楽の仕組みを工夫 音型を音楽の仕組みを考えながら 組み合わせ演奏を試すこと。 ○ ○ 終わり方を工夫してまとまりのあ る音楽にすること 3 互いのグループの演奏を聴きあう。 音の構成について して、思いをもって音楽 「ト音」 「ロ音」 「二音」で終わると終止音に をつくっている。(創) つながる 【発言・活動観察・ワー 終わりの音を工夫して、音 楽のまとまりを出そう。 クシート】 6 本時の目標 ○ イメージをもとに音楽を形づくっている要素を生かして、進んで音楽をつくる学習に進んで取り組もうとしている。 ○ 音の響きや組み合わせなどを聴き取り、イメージに合う音楽を工夫している。 (関心・意欲・態度) (音楽表現の創意工夫) ○ 自分が考えた旋律を楽器の特徴や音楽の仕組みを生かして表現できる。 7 (音楽表現の技能) 展開 学ぶ内容と学ぶ活動 1 教師の支援(・)と評価(☆) 前時をふりかえり、本時のめあてをつかむ。 ○ それぞれが、イメージに合わせて音型を考えたこと。 ・それぞれのイメージを表すため、音をつくるときや楽器を選ぶとき、 ○ イメージに合う楽器を選び、演奏したこと。 どのような工夫をしたか確認する。 【めあて】 音を重ねたり、繰り返したりして川をイメージする音楽を完成させよう。 2 グループや個人で合わせて演奏する。 ○ それぞれの音型をどのように組み合わせるか、音楽の仕組みを考えながら演 奏を試すこと。 ・それぞれの旋律を音楽になるようにするための音楽の仕組みを確認す それぞれがつくった音楽をどうすれば、川をイメージする 音楽にできるでしょう。演奏を聴いて発見してみましょう。 る。 【主な支援】 ○ 音楽の仕組み(反復→ずっと・ときどき、問いと答え→よび 【見についた児童の姿】 最初の演奏は、追いかけっこをしているね。 同じ音が繰り返して重なっているよ。 かけ合う・追いかけっこ)のカード ○ 模倣演奏(音型を録音したものに、仕組みの違いがわかるよ うに演奏したもの) ・児童から出されたものを教師が音で表現し、音楽の仕組みの楽しさや 面白さに気付くようにする。 ・表現を工夫するには、どのような仕組みを生かせばよいか考えるよう それぞれの川のイメージに合うように、音楽の仕組み にする。 を組み合わせて音楽をつくってみましょう。 【主な支援】○グループ楽譜 ○色分けの付箋 【身に付いた姿】 大きな川になるように組み 音の重なりや問いと答えを意識して、演奏する 合わせたいね。 順番について色付箋を使って表している。 ☆ それぞれが考えた音の響きをとらえ、イメージに合う音楽を工夫し ている。 (創) 【児童の活動の様子・ワークシートの書き込み】 ○ 音楽の終わり方を考えて、全体の構成を工夫すること。 それぞれの音楽を一つのまとまりにするには、どのよう にすればいいでしょう。 ・音の構成について、「ハ音」「ト音」「ロ音」「二音」で終わる と終止音につながることを演奏で示す。 【主な支援】 最後の音を決めて、曲をまとめよう。 ○ 模倣演奏(終止音がある場合とそうでない場合の違いを聴き 比べるようにした) 【身に付いた姿】 それなら、鉄琴の高 水の流れが最後に小 い音から一気に弾 さな岩にぶつかるよ いて、最後の音を合 うにしたいね。 わせよう。 ・○ ○ 終止音を示す音階のカード 演奏した音楽を録音する機器 ☆ イメージに合わせて音楽の仕組みや楽器の特徴を生かして表現でき る。 (技) 【演奏の様子】 3 互いのグループの演奏を聴き合い、学習をまとめる。 ○ それぞれの川のイメージに合う演奏であるかどうか感じて聴くこと イメージを聴いて、楽器の特徴や音のつくり、音楽の仕 ・各グループの音楽がより引き立つような演奏順序を考えるようにし、 自分のグループの音楽の特徴を説明するようにする。 組みにどんな工夫があるか考えて聴いてみましょう。 ・自分のイメージや音楽と比較できるよう、聴き合う視点を与える。 【身に付いた姿】 静かに流れる川の様子を演奏しま す。最初は音を重ねてみたけど、ごち ・演奏した音楽から演奏のよさを伝え合えるよう、録音した曲を何度か 繰り返し聴き合うようにする。 ゃごちゃしたので、それぞれの音をつ なげて、繰り返して演奏します。 ぼくたちの川のイメージと同じ なのに、音楽の仕組みの違いで違う 曲になっているように聴こえるね。 ○ 本時やこれまでの音楽づくりを振り返ること 【身に付いた姿】 ・一つの音型が音楽の仕組みや楽器の特徴を生かしてグループで演奏す ることで、音楽に変わる楽しさや、互いの音楽を聴き合うことで気付い たこを中心に振り返るよう促す。 「音のスケッチ」における系統 4年 1年 「がっきをつくってみよう」 「川のイメージから音楽をつくろう」 ・旋律 ・リズム ・強弱 「ほしのおんがくをつくろう」 ・旋律のつなぎ ・問いと答え(よびかけとこたえ) ・反復(ずっと、ときどき) ・問いと答え(よびかけ合う、追いかけっこ) ・音の重なり ・音色(楽器、出し方) ・強弱 「音階から音楽をつくろう」 ・音階 ・拍 ・リズム ・音の重なり ・反復 ・旋律 ・音色 ・強弱 ・速度 2年 「どんな音がきこえるかな」 (・強弱 ・拍 ・反復) 5年 「虫の声をつくろう」 「言葉のイメージから音楽をつくろう」 ・問いと答え(よびかけと答え) ・音色(声) ・強弱 ・問いと答え ・旋律 →同じリズムで、違うリズムで 「インターロッキングの音楽にチャレンジ」 「おまつりの音楽をつくろう」 ・反復 ・音の重なり ・変化 ・問いと答え(追いかけっこ) ・リズム ・拍の流れ ・問いと答え(よびかけ合う) ・音色 「みんなの音楽時計をつくろう」 ・拍の流れ ・音色 ・強弱 6年 「海のイメージから音楽をつくろう」 3年 ・旋律 ・強弱 ・速度 ・反復 ・変化 「アフリカの音楽で遊ぼう」 ・縦と横の関係 ・リズム ・反復 「じゅんかんコードから音楽をつくろう」 ・音の重なり ・旋律 ・音の重なり 「森のイメージから音楽をつくろう」 ・旋律 ・和声 ・音の重なり ・縦と横の関係 ・調 ・音色 ・強弱 ・速度 ・反復(ずっと、時々) ・旋律 ・音階 第5学年 実践事例 指導者 1 題材 様子を思いうかべながら 表現の工夫をしよう 2 教材 「風とケーナのロマンス」 「冬げしき」 3 指導目標 顕子 ○ 歌詞や曲想を感じ取って演奏することに興味・関心をもち,豊かな表現を求めて主体的に音楽活動に取り組もうとする。 (音楽への関心・意欲・態度) ○ 拍の流れや声部の動きなど,音楽を形づくっている要素を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さなどを感じ取りながら,音楽表現を工夫し,ど のように表すかについて思いや意図をもつことができる。 ○ 4 白石 (音楽表現の創意工夫) 音楽表現をするために基礎的な技能を高め,歌ったり楽器を演奏したりすることができる。 (音楽表現の技能) 教材について 「風とケーナのロマンス」 (矢部 実 日本語詞, J.R.トーレス 作曲, 横沢 源 編曲) 楽曲分析 曲想 大自然の中で,風に乗ってもの悲しいケーナの音色が聞こえてくる様子を表現した合 奏曲 ○学ぶ内容 ・学ぶ活動 ◆手だて ○曲想…大自然の中にケーナの音が響いていて、もの悲しい感じ ・情景を想像して聴く ◆情景画の掲示 -形式;二部形式 A(a,a‘)B(b,c) ドリア旋法 -拍子;6/8拍子 ○拍の流れ…6/8拍子による二つの大きなゆれ ・範奏の聴き比べ ◆3/4拍子と6/8拍子の範奏など -旋律;主旋律…悲しげで流れるような旋律で表現されている。 副次的旋律…主旋律と同形の和声的な旋律と第 3 フレーズの2小節 間の掛け合いの旋律で,もの悲しさが表現されている。 ○フレーズ…旋律のまとまり方や区切り方 ・演奏の聴き比べ ◆つなげて演奏 小節ごとに区切って演奏 低音部…低音の繰り返しのリズムで,6/8拍子の拍の流れを感じられる。 ・歌詞を読む ◆歌詞のまとまりを意識して歌う ○音楽の縦と横の関係…低音部による拍の流れや合奏の安定感 副次的旋律によるかけ合いの美しさ ・表現(リコーダー演奏)での聴き比べ ◆低音部を入れて演奏 ・表現(リコーダー演奏)での聴き比べ ◆副次的旋律(範奏)を入れて演奏 「冬げしき」 (文科省唱歌, 西崎 嘉太郎 編曲) 楽曲分析 曲想 冬の時の移ろいやのどかな情景を表現した歌唱曲 -形式;ヘ長調 特定の旋律の反復を持たない二部形式 ○学ぶ内容 ・学ぶ活動 ◆手だて ○曲想…静かでのどかな情景を思い起こさせる感じ ・情景を想像して聴く ◆情景画の掲示 第1,2,4フレーズは,リズムが共通である。 -拍子;3/4拍子 ○拍の流れ…3/4拍子 ・演奏との聴き比べ 指揮をしながら ◆子どもが表現した「風とケーナのロマンス」 6/8拍子を手拍子 ○旋律…上昇,下降のなめらかな山型 第1,3フレーズは続く感じ 第2,4フレーズは終止感 ・唱法の工夫 聴き比べ ◆範唱(第1フレーズ:強から弱 ○強弱…山型のフレーズ ・山の頂上:強 -歌詞 聴き比べ ◆範唱(既習の歌唱曲) 弱から強) 1番:港に霧がかかっている朝の様子 ◆旋律線を体で感じさせながら歌う 2番:のどかな畑で麦を踏んでいる昼の様子 ○速度…第4フレーズの終止感 3番:雨風が吹き,暗くて寒い夜の様子 ・唱法の工夫 聴き比べ ◆場の設定 ○歌詞…静かな冬の自然の情景 ・歌詞の様子を想像して歌う ◆拡大歌詞の掲示 5 指導計画(全4時間) 題材名 教材曲(配時) 1次 1時 2次 2時 3時 4時(本時) 「風とケーナのロマンス」 (器) 豊かな表現を求めて 次 時 第 第 1 1 次 時 「冬げしき」 (歌) 学ぶ内容と活動 1 主な支援 身についた児童の姿 範奏CDを聴き、曲の感じを聴き取る。 評価規準 ○ ○ 情景を想像して聴くこと。 大自然の中にケーナの音が響 ・情景画を掲示する。 いてる感じがするね。 曲想を感じ取って演奏する 学習に主体的に取り組もうと している。 (関)【学習プリント、話し合っ ている様子、演奏の様子】 2 8 分の 6 拍子による二つの大きな揺れ を感じて演奏する。 ○ 4 分の 3 拍子と 8 分の 6 拍子の範奏 ・4 分の 3 拍子と 8 分の 6 拍子に により、ちがいを感じ取ること。 よる範奏をする。 ○ 低音楽器による拍の流れを感じなが ら演奏すること。 低音楽器が入ると拍がとりやす ・低音部を演奏に加える。 3 いな。 本時をふり返り、次時の見通しをもつ。 ○ ○ 表現の工夫をして演奏すること。 旋律のまとまり、音の重なり を感じ取り、それらを生かした 曲想の表現を工夫し、どのよう に演奏するかについて自分の 考えや思いをもっている。 (創)【話し合いの様子、学習プ リントへの表現】 第 1 旋律のまとまり方や区切り方を考え、 2 フレーズを感じ取って演奏する。 時 ○ フレーズを感じながら演奏するこ とのよさを感じ取ること。 ブレスのあるところだけで息を ・歌詞を読み、歌詞のまとまりを 考えさせる。 吸えば、なめらかに、風が吹い ているように演奏できるよ。 ○ 旋律のまとまり、音の重な り、音楽のたてと横の関係が生 み出すよさやおもしろさを感 じとりながら表現の工夫をし、 どのように演奏するか自分の 思いや意図をもっている。 ・小節ごとに区切っての演奏と、 つなげての演奏とを聴き比べさ 2 速さや強弱の工夫をしながら演奏す せる。 る。 ○ 曲の山にふさわしい強弱を考えて演 ・曲の山を強く演奏するものと曲 奏すること。 の山でも強弱を変えない演奏と で聴き比べをさせる。 (創)【話し合いの様子、学習プ リントへの表現】 ○ 終始感にふさわしい速さを考えて演 奏すること。 ・終始感にふさわしい速さに気付 かせるため、速さを変えての演 奏と速さを変えない演奏の聴き 比べをさせる。 3 主旋律と副次的な旋律の重奏やかけあ いによる響きの美しさを感じ取って演 奏する。 ・拡大楽譜による重なりとかけあ いの確認。 ○ 重奏やかけあいの響きの美しさ(た ・副次的旋律の範奏を演奏に加え てと横の関係)を感じ取ること。 副旋律をいれると、もっと美 ○ 8分の6拍子の流れにのり、 しい演奏になって、世界が広が リズムや音程に気をつけて演 る感じがするな。 奏している。 る。 (技) 【演奏時の様子の観察】 ○ 響きの美しさを感じながら演奏する こと。 第 第 二 1 次 時 1 範唱CDを聴き、曲の感じを聴き取る。 ○ 情景を想像して聴くこと。 ○ ・情景画を掲示する。 やさしくて、冬の町の様子が あたたかく表わされている曲だ な。 歌詞の内容を知り、曲想を感 じ取って歌う学習に主体的に 取り組もうとしている。 (関)【話し合いの様子、歌って いる様子の観察】 ・拡大歌詞を用意する。 ・難しい言葉の意味を説明する。 2 冬の町の情景を想像して歌う。 ○ 歌詞の表す様子を想像して歌うこ と。 「風とケーナのロ 3 4 分の 3 拍子の拍の流れを感じ取って マンス」のときのよ 歌う。 ○ 8 分の 6 拍子と 4 分の 3 拍子のちが ・「風のケーナのロマンス」「冬景 いを感じ取ること。 ○ 拍子を身体で感じて歌うこと。 うに、拍の流れにの 色」を聴きながら手拍子や指揮 ったら、様子が表わ をさせる。 されると思うな。 ・4 分の 3 拍子の指揮を見ながら 歌わせる。 4 冬の町の情景を表すための工夫を考え ・速い伴奏や遅い伴奏を聴かせる。 る。 ○ ゆったりと歌うために速さを工夫す るとよいことに気づくこと。 ○ フレーズを感じて歌うために強弱を 工夫するとよいことに気づくこと。 ・速さを変えての聴き比べをさせ る。 ・小節ごとに切った歌い方とつな ○ 歌詞や旋律から情景を想像 情景をよく表わすためには速 して、曲想を生かした表現を工 さと強弱の工夫があるといいん 夫し、どのように歌うかについ じゃないかな。 て自分の考えや思いをもって げた歌い方とを聴き比べさ せ いる。 る。 (創)【学習プリントへの表現、 話し合いの様子】 第 1 2 強弱を工夫して歌う。 ○ ○ 旋律の動きを感じて、強弱をつけな ・拡大楽譜を提示する。 時 がら歌うこと。 ・旋律を手でなぞりながら歌わせ る。 本 時 2 速さを工夫して歌う。 ○ 曲想にふさわしい速さを探しながら 歌うこと。 ○ 終始感にふさわしい速さを探しなが ・強弱を変えての聴き比べをさせ る。 思うよ。 夫を考えている。 (創)【話し合いの様子、歌って 旋律線の一番高いところを目 いる表情や様子の観察】 指して強くしていくといいよ。 ○ る。 歌詞の表す情景にふさわし い強弱や速さで歌っている。 歌の最後は弱く、ゆっくり歌 うと、 「おわり」の感じがするな。 6 レーズの中で強弱や速さの工 な。曲の山を強く歌うといいと ・速さを変えての試し歌いをさせ ら歌うこと。 情景が表わされるように、フ 曲の山を盛り上げて歌いたい (技)【歌声の聴取、歌っている 表情や様子の観察】 本時の目標 ○ 情景が表わされるように、フレーズの中で強弱や速さの工夫を考えることができる。 ○ 歌詞の表す情景にふさわしい強弱や速さで歌うことができる。 (音楽表現の創意工夫) (音楽表現の技能) 7 展開 学習活動と内容 1 前時の学習を振り返り、本時の学習のめあてをつかむ。 ○ 曲想を確認すること。 教師の支援(・)と評価(☆) ・前時の振り返りがしやすいように、これまでの学習の足跡を 掲示しておく 前回は、 「冬げしき」の情景を想像しながら歌いましたね。 「冬げしき」ってど んな感じの曲でしたか。 ゆっくりした優しい感じの曲だった ゆったりとしたふるさとの情景を思い浮かべて歌いたくなっ ・どこの部分を工夫すると様子が表われた歌い方になるか考えさせて、 今日は、その様子が表われるように何を大切にして歌っていくのでした 強弱と速さを工夫しながら歌うとよさそうだ めあて 冬のゆったりとしたふるさとの情景が表われるように強弱と速さを工夫して歌おう 2 曲想を生かした表現の工夫をする。 ○ 旋律の動きを感じて、強弱をつけながら歌うこと。 強弱をつけると、フレーズをよく感じて歌えそうだった ね。どんな風に強弱をつけるといいでしょうか。 プリントに書き込ませておく。 ・急に強く歌う歌い方とだんだんと強く歌う歌い方の聴き比べをさせ、 【身についた児童の姿】 曲の山をもりあげて歌うには、旋律線に沿ってだんだん強く歌うとよ いことに気付かせる。 第3フレーズは、曲の山だから 【主な支援】 盛り上げて歌いたいな。 ○ フレーズごとに強弱をつけるための強弱カード ○ どの音がどのように強弱がつくのかわかるための大きなク レッシェンド、デクレッシェンドのマーク 旋律線の山になっていると ころを強く歌うといいと思 ○ 範唱(急に強く歌うことの違和感を感じさせた) うよ。 ○ 範唱での聴き比べ(急に強く歌うこととだんだんと強く歌う ことを聴き比べさせた) ○ 教師のハンドサイン(旋律線にそって大きく山を描き、強弱 がはっきりつくようにした) 最初は小さい声で歌って、大きく していくと盛り上がったよ。 ・波の大きなところにきたときに、強く歌うと盛り上がること に気付かせるため、旋律を手でなぞりながら歌わせる。 ・盛り上がる前には少し弱く歌うと強弱が出ることに気付かせ るため、盛り上がる前に強く歌うことと弱く歌うことの歌い 比べをさせる。 2 速さを工夫して歌う。 ☆ ○ 曲想にふさわしい速さを探しながら歌うこと。 情景が表わされるように、フレーズの中で強弱や速さの工 夫を考えている。 (創) 【話し合いの様子、歌っている表情や様子の観察】 この曲にふさわしい速さはどのくらいでしょう ・テンポの速い伴奏を流し、優しくゆったりと歌うには速さが 大切だということをふり返らせる。 【身についた児童の姿】 ・子どもたちに試し歌いをさせ、どの速さが合うのか伴奏を合 ゆったりと歌うために、速さは少し遅いくらい がいいと思うな。 わせていく。 【主な支援】 ○ テンポの速い伴奏をSE-4000のフロッピーで準 備(♪=135) ○ 子どもたちの歌声の速さに伴奏を合わせる ○ 終始感にふさわしい速さを探しながら歌うこと。 曲が終わったという感じを出すためにどんな速さの工夫があるで ・終わりの感じを出すためには速さを工夫すればよいことに気 付かせるため、速さを変えての聴き比べをさせる しょうか。 【主な支援】 風とケーナのロマンスの時には、どんな工夫をしました ○ 前時の学習で最後をゆっくり演奏したことを想起させるため の掲示物 【身についた児童の姿】 最後はだんだんとゆっくりと歌うといいんだ。 ○ 速さを変えずに歌った時と速さを変えて歌った時の範唱での 聴き比べ 3 本時の学習をふり返り、まとめをする。 まとめ ・どんな工夫をするとよかったかわかるように、拡大楽譜や拡 強弱や速さの工夫をすると、ゆったりとしたふるさとの様子がよく表われるようになる。 大歌詞に工夫の跡を残しておく。 ○ 工夫したことを取り入れて合唱すること。 今日は、冬のゆったりとしたふるさとの情景が表われるように工夫 してきました。工夫を取り入れて最後に歌ってみましょう。 前の時間の歌と比べてみると、ゆったりとしたふるさとの情景は表われるよ うになったでしょうか。 ☆ 歌詞の表す情景にふさわしい表現で曲想を生かして歌って いる。 (技) 【歌声の聴取、歌っている表情や様子の観察】 ・曲にふさわしい工夫ができたか実感させるために、前時に録 音した歌声と本時に録音した歌声を聴き比べさせる。 【主な支援】 【身についた児童の姿】 ○ 本時の歌声を録音する機器 ○ 歌声を録音したものを聴く機器(前時と本時の歌声を 聴き比べるようにした) 第6学年 1 題材 音楽に思いを込めて 2 教材 「交響曲第 9 番『新世界より』第 4 楽章」 「ふるさと」 3 指導目標 実践事例 ○ 曲に込められた思いを感じ取って,聴いたり,歌ったりする学習に主体的に取り組んでいる。 (音楽への関心・意欲・態度) ○ 歌詞の表す情景や気持ちを想像し,言葉の意味や歌詞の内容を理解して,それらを生かした歌唱表現を工夫する。 (音楽表現の創意工夫) ○ 理解した歌詞の内容や楽曲の構成にふさわしい表現の仕方で歌ったり,自然で無理のない響きのある歌い方で歌ったり,声を合わせて歌ったりす るなどの基礎的な技能を身に付けて歌う。(音楽表現の技能) ○ 音楽を形作っている要素を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さなどを感じ取りながら,曲想とその変化を感じ取ったり,楽曲の構造, 楽曲の特徴に気付いたりして味わって聴く。 (鑑賞) 4 教材について 「交響曲第 9 番『新世界より』第 4 楽章」 (ドボルザーク 作曲) 楽曲分析 曲想 学ぶ内容及び学ぶ活動 ドボルザークが新世界アメリカの衝撃と故郷ボヘミアへの思いを込めて ○作曲者が楽曲に込めた思いを想像しながら聞くこと。 書いた交響曲。 反復・変化;第四楽章は,ソナタ形式で書かれている。二つの主要な主題を ・3つの旋律はどんな感じがするのか,何を表しているのか,全体の中で 紹介する提示部,転調によって主題を分析的に変形,発展させ どのように出てくるのかを聴き取り,感じ取ることで,作曲者の想いを想 ていく展開部,もう一度主題を回想する再現部,音楽をしめく 像しながら楽曲全体を聴くこと。 くるコーダで構成されている。 旋律;提示部・・弦楽器の力のこもった前奏に準備され,ホルンとトラン ・個々の曲想にふさわしいオーケストラの響きを配慮した,固有の音色を ペットが勇壮な行進曲風の第一主題(旋律ア)を力強く 感じ取ること。 奏でる 第2主題(旋律イ)は長調に転調し,落ち着いた,ゆった りとした気分でクラリネットによって優しく奏でられる。 展開部・・第一主題が様々な表情で現れる。また,提示部でみられた ・この楽曲が作られた背景を探ることで,作曲者の想いを想像したり,音 三連符の旋律の断片も現れる。このほか,第1,2,3楽章 楽を形作っている要素を聴き取り,曲想とその変化を感じ取ったり楽曲の の主題も回想され,ここでは,第2楽章の「家路」の最初の 構造や特徴に気づいたりしながら味わって聴くこと。 フレーズも登場する。 「ふるさと」 (高野辰之作詞, 岡野貞一作曲) 楽曲分析 曲想 学ぶ内容 ふるさとを懐かしみ,また,ふるさとを思いながら頑張っていこうと ○ いう気持ちを歌った二部合唱曲 故郷の自然や父母,友人を懐かしみ,ふるさとを大切に思いながら頑 張っていこうという思いが伝わるように工夫して歌うこと。 -歌詞;1番…ふるさとの自然を懐かしむ ・ 作者が自分のふるさとの美しい自然や人々を懐かしく思い,ふるさと 2番…ふるさとの父母,友人を思い出している を大切にしながら頑張っていこうと決意する様子を想像しながら歌うこ 3番…心に決めた目的を果たして必ずふるさとへ帰ろうという強 と。 い意志 -強さ;1番をやさしく,2 番を語りかけるようにやや弱く,3 番をやや強 ・ 作者の思いが伝わるように強弱を工夫して歌うこと。 く表現することで,ふるさとを懐かしく思う気持ちや目的を果た してふるさとに帰ろうという強い意志を表すことができる。 -唱法;1番,2番をなめらかに,3番をはっきり力強く表現することで, ・ 歌詞の表す作者の思いにふさわしい唱法で歌うこと。 ふるさとを懐かしく思う気持ちや目的を果たしてふるさとに帰ろ うという強い意志を表すことができる。 -和声;3度の和音中心の二部合唱で,ふるさとの美しい自然やふるさと ・ 和声の響きを感じながら,美しい響きで歌うこと。 の温かさを表現している。 5 指導計画(全4時間) 題材名 教材曲(配時) 第1次 1時 「新世界(鑑) 音楽に思いを込めて 「ふるさと」 (歌) 第2次 2時 1時 2 時(本時) 次 時 学ぶ内容と学ぶ活動 第 第 1 主な支援 交響曲第9番「新世界より」第 1 1 2楽章のはじめの部分を聴く。 次 時 〇 「家路」の曲想を感じ取るこ 身についた児童の姿 全体的に音が静かで,なめらかなの ・拡大楽譜 で,なつかしいかんじがしました。 評価規準 ○主題の旋律を捉え,旋律の反 復や変化を感じ取って聴く 学習に主体的に取り組もう と。 としている。(関・意・態) ○主な旋律の反復と変化を音 楽を形作っている要素と関 連づけて感じ取って聴いて いる。 (鑑) 【ワークシート】 2 交響曲第9番「新世界より」第 ・3つの旋律の拡大楽譜を提示 4楽章の3つの旋律を聴く。 し,旋律の動きを視覚的に捉 〇 えることができるようにす それぞれの部分の曲想を感 じ取ること。 1 アはとても力強く激しく聞こ えました,それに比べてイは 優しい感じに聞こえました。 る。 交響曲第9番「新世界より」を ・作曲者の年表や情景画の提示 ボヘミアはとても田舎で,ニュ ○楽曲全体の曲想とその変化 第 聴く。 ーヨークはとても都会だなぁ などの特徴や音楽を形作っ 2 ○ と思いました。この曲の A の旋 ている要素の関わり合いか 律はびっくりを表しているの ら,想像したことや感じ取っ だと思います。 たことを言葉で表すなどし 時 作曲者の人生や曲が作られ た背景とつなげて聴くこと。 て,楽曲の特徴を理解して聴 いている。 (鑑賞) ○ 作曲者の思いを想像しなが ・アの旋律が一番多く出てくる ら楽曲全体を通して聴くこと。 ことや,始まりと終わりもアの 曲の途中に, 「家路」が入ってい 旋律であることに気づかせた て,それが「ふるさとに帰りたい」 り,曲名が「新世界より」であ という気持ちのような感じがし ることを確認したりすること ます。でも,アの旋律が一番多く で,作曲者が一番に込めた思い 出てくるので,ニューヨークのこ が何か考えられるようにする。 とが一番印象に残っていると思 います。 第 第 1 2 1 ○ 「ふるさと」を聴く。 曲の感じをつかむこと。 ・縦書きの歌詞を提示する。 ・情景画を提示する。 次 時 2 落ち着いた感じ 優しい感じ なめらかな感じ 懐かしむ感じ 3番は力強い感じ 情景を想像して歌うこと。 ○ 主旋律を歌うこと。 ○歌詞の内容を味わい,曲想を感 じ取って表現を工夫し,思いや意 図をもって歌う学習に主体的に取 り組もうとしている。 (関・意・態) 「新世界」では,ドボルザークの思 ○ 副旋律を歌うこと。 いが曲に表れていたね。 「ふるさと」 を作者がどんな思いで作ったか知り たいな。 歌詞をしっかり読み取れば,作者 の思いが分かると思うよ。 ○楽曲全体の曲想と,その変化な ・オルガンで旋律を演奏して聴 どの特徴や,音楽を形づくってい かせ,教師と交互唱をする。 る要素の関わり合いから,想像し たことや感じ取ったことを言葉で 表すなどして,楽曲の特徴を理解 して聴いている。 (鑑賞) 3 作者の思いが伝わるように表 ・思いや意図を書き込めるよう 現の工夫を考える。 ○ 歌詞から作者の思い想像す ・言葉の意味をおさえ,歌詞の ること。 ○ なワークシートを用意する。 内容から作者の気持ちを想像 作者の思いを表すために表 させる。 現の工夫を考えること。 1番,2番は,ふるさとの自然や人々に対 第 1 2 表現を工夫して歌う。 ○ ・歌詞に目を向けさせ,作者の ふさわしい唱法で歌うこと。 思いが表れる唱法を考えさせ 時 る。 ・なめらかに歌ったときとそう でないときを歌い比べたり聴 する思いだから,やさしくなめらかに歌った ら良いと思うよ。 3番は,強い決意が書かれているから,意 志の強さが表れるようにはっきりやや強め で歌いたいな。 き比べたりさせる。 ○ 強弱を工夫して歌うこと。 ○歌詞や旋律からフレーズを捉 え,曲想を生かした表現を工夫し て,どのように歌うかについて自 分の考えや願い,意図をもってい る。 (創意工夫) ○曲想にふさわしい表現で,互い 2 番は,ふるさとにいる人々に語りかけるよ の歌声や全体の響き,伴奏を聴き ・拡大歌詞に強弱を書き込む。 うにやさしく,やや弱く歌ったら良いと思う ながら,自分の声と友だちの声と ・工夫した強弱を取り入れたと よ。3 番は,「がんばろう」という思いが強い 調和させて合唱をしている。 きとそうでないときを歌い比 から,やや強めに歌いたいな。 べたり聴き比べたりさせる。 (技能) 第4フレーズの始めを一番盛り上げたら気 持ちよく歌えるし,ふるさとへの思いの強さが 表現できるね。 もっときれいなふるさとにするために,二部 ・聴き役を設け,良いところや ○ 作者の思いやふるさとの情 不十分なところをアドバイス 景が表れるように,美しい響き させる。 で二部合唱すること。 合唱をしたらいいと思うよ。第3フレーズか ら2部合唱にしたら,作者のふるさとに対す る思いが伝わる感じがするね。 低音が弱くて,きれいに聞こえな いので,低音を歌う人の数を増や 6 本時の目標 ○ 作者の思いが表れるように,意欲的に歌おうとしている。(関心・意欲・態度) ○ 作者の思いを想像し,ふさわしい唱法や強弱を感じ取りながら表現を工夫しようとしている。 (音楽表現の創意工夫) 7 展開 学習活動と内容 1 教師の支援(・)と評価(☆) 前時の学習を振り返り,本時の学習のめあてをつかむ。 ○ 曲想を確認すること ・曲想を想起させるために,前時の学習のあとや情景画,拡大歌詞,拡大楽譜 を掲示しておく。 【めあて】 作者の思いが表れるように,「ふるさと」を工夫して歌おう。 【主な支援】 2 作者の思いが表れるように表現を工夫する。 1 番は子供の頃の思い出と自然の美しさを思い出している。 ・1 番,2 番,3 番に込められた作者の思いの板書 ・1 番,2 番 3 番の工夫を分けて書き込めるワークシート 2 番は故郷の父母や友達を心配している。 3 番は目標を成し遂げて必ず帰ってこようという強い決意 ワークシート写真 という作者の思いが込められていましたね。では,歌うとき にその思いが表れるようにどのような工夫をしたらよいで すか? 自分の考えた工夫でよいか,歌って確認しましょう。 ☆ 歌詞から情景や作者の思いを想像し,どのように歌うかについて自分の考えや願い, 意図をもっている。 (創) 【ワークシート】 【身についた姿】(唱法) 1 番,2 番は自然の美しさや父母を心配する気持ち が込められているからなめらかに歌いたいです。 【主な支援】 ・歌い比べ,聴き比べ。 3 番は作者の強い決意が表れるようにはっきり力 (なめらかに歌ったときとそうでないとき,強くはっきり歌ったときとそうでな 強く歌いたいです。 いときを歌い比べたり聴き比べたりさせ,どちらが作者の思いを表現できている か考えさせる。 ) 歌詞もとに,唱法を工夫している。 1番:なめらか 2番:やさしく 3番:はっきり強く 3 番は,最初はっき り最後なめらかに歌 聴き比べ,歌い比べを通して,作者の思い った方が,作者の決 を表現できているのはどちらの工夫か考え 意と,ふるさとの自 ている。 然の美しさが表現さ れていたように感じ ました。 【身についた姿】(強弱) 歌詞をもとに,強弱を工夫している。 1 番はやや弱く,2 番は一番よりも小さく呼びかるよ 1番: 「わすれがたき ふるさと」だけ少し強く うに,3 番はやや強く歌いたいです。 2番:全体的に少し弱く 3番:全体的にはっきり強く 2 番を弱く歌うことで,父母のことを心配している思いが表現 できたと感じている。 唱法や強弱の工夫を歌い比べたり聴き比べたりすることで,作者 の思いがより表現できるのはどちらか感じ取っている。 工夫した 工夫 感想 歌詞 【身についた姿】 (和声の響き) 第3フレーズは変化しているし,曲の山がある ので 2 部合唱して歌いたいです。 ・ 二部合唱する場所をとらえさせるために, 第3フレーズはリズムに変化があること や最後のフレーズの「ふるさと」という言葉をおさえ,第3フレーズから二部合唱 をすればよいことに気付かせる。 ・二部合唱を入れたことで歌唱に広がりが感じられることに気付かせるために,斉唱と 二部で歌ったものと聴き比べさせる。 二部合唱を取り入れた方が,ふるさとへの思いが強くなり,作 者の思いが表現できたと感じている。 3 本時の学習を振り返り,合唱する。 ☆歌詞の発音や音程に気を付け,互いのパートの音を聴き合いながら,表情豊かに二部合 ○ 工夫したことを取り入れて合唱すること 唱している。 (技) 【歌っている様子の観察・歌声の聴取】 【身についた姿】 ・ 工夫したことを取り入れて合唱できるように,板書をもとに取り入れた工夫を振り 返らせる。 表現の工夫を通して,自分の考えが変わったところや,よかっ た表現の工夫を振り返ることができている。 成果と課題 【新世界より】 ○曲想を感じ取る際に提示した「どんな音楽かなカード」と「音楽のもとカード」は,語彙の乏しい児童にとって,感じ取った曲想を表現する際に有効な 手立てだった。 ○主な旋律を提示したことで,同じ旋律を見つけて作曲者の思いを想像したり,旋律の動きから曲想を感じ取ったりする活動の手助けとなった。 ○ドボルザークの生涯を簡単な文章に表したものを提示することで,ドボルザークが曲にこめた思いを感じ取る手助けとなった。 ○ドボルザークが過ごした時代のニューヨークとボヘミアの情景画を並べて提示し,二つの情景画を比べさせることで,ドボルザークがニューヨークに感 じた衝撃を感じさせることができた。 【ふるさと】 ○縦書き歌詞を提示することで,歌詞から思いを感じ取る際に言葉の意味をとらえる手助けとなった。 ○聞き比べ・うたい比べの手立ては,自分の思いを表現にこめる際の工夫に有効であった。 ○里山の情景画を掲示することで, 「ふるさと」のイメージをふくらませる手助けとなった。 ●曲想が変わるところで 2 部合唱にしたいという思いはあっても,技能が伴わず工夫するところまで至らなかった。同様に,思いはあっても表現する際に 自分の思い通りにうたえていないところがいくつか見られた。 研究を通して(本時授業を中心とした考察) 【1年生】 〈題材:ほしのおんがくをつくろう〉 ・ 音楽づくりにおいて音を表現する際に、鍵盤ハーモニカと歌の2種類に表現の仕方を取り入 れたことで、鍵盤ハーモニカの演奏が苦手な児童も表現しやすかった。 ・ 教師の模範演奏を聞かせることで、音楽づくりの見通しが持てたので、児童が「音楽を つくりたい」という意欲を持つことができた。 ・ 問いと答えの仕組みに目を向けて、児童全員に終わる感じを作らせるために、ドで終わるこ とを指示したが、ドレミの星をつなげる活動で児童の思いを制限してしまう様子が見られた。 →ひとつめの音楽づくりの時に自由につくらせた中で、終わる感じでつくられたものと続く 感じでつくられたものとをひとつずつ取り上げて、聴き比べることで、フレーズの終止感を 感じ取らせる方法があったのではないかと考える。 【2年生】 〈題材:おまつりの音楽をつくろう〉 ・ 本時の活動に向けて、全児童が楽器を使って音づくりができるように全員に太鼓を準備 したことで、意欲的に活動できた。 ・ 「太鼓→かけ声」と表現の工夫のしかたの型を伝えたが、自由に発想して考えることもでき たと思われる。→次時にそれぞれの工夫する場を設けるとよい。 【3年生】 〈じょうけいをそうぞうしてきこう〉 ・ 活動を工夫することで、白鳥が泳ぐ様子がわかる写真を準備し、音楽に合わせて体や白 鳥を動かす等の活動を工夫することで、全員が曲想をとらえ、音楽に結びつけることがで きた。 【4年生】 〈題材:川のイメージから音楽をつくろう〉 ・ 音楽づくりの経験が少ないことをふまえ、グループをつくる際に人数を固定するのでは なく、自分たちのつくった楽譜や選んだ楽器を見せあって、児童自らがグループをつくる ようにしたことで、意欲的に音楽づくりに取り組む姿が見られた。 ・ 児童が思いを持って音楽づくりができるように、これまでの「音のスケッチ」における 系統を整理し、掲示したことで児童は共通事項を意識しながら「音楽のおしゃべり」を大 切にした交流ができた。 【5年生】 〈題材:様子を思いうかべながら表現の工夫をしよう〉 ・ 題材を通して指導する内容を「強弱」 「速さ」にしぼったことで思いや意図をもって表現 する児童の姿につながった。 ・ 教師の範唱を聴き比べさせたことで、一人一人の児童が曲想にふさわしい表現を工夫し ようとする姿が見られた。 ・ 児童の実態に合わせて全体合唱だけでなくグループ活動を取り入れるなどの形態の工夫をす ることが考えられる。 【6年生】 〈題材:音楽に思いをこめて〉 ・ 拡大楽譜や曲想を表す言葉を提示するなど音楽の用語(記号)の解説が視覚的にとらえ られるような支援を行うことで、すべての児童が曲想を感じ取りワークシートに書きこむ 姿が見られた。 ・ 鑑賞活動の際、注目する部分を焦点化したことで、部分的に味わうことができた →曲全体を味わう時間により効果的につながる工夫が考えられる。 お わ り に 市の全体テーマ「学習指導要領を踏まえ,『公教育の福岡モデル』の具体化を図る学習指導の あり方」を受けて,音楽科研究委員会は,第11期第3年次として,「学ぶ力がすべての子ども に身に付く音楽科学習指導~学ぶ活動に対する支援の工夫を通して~」をテーマとして研究に取 り組んできました。 平成23年4月から全面実施された学習指導要領において,各学年の内容が,「歌唱・器楽・音楽 づくりに活動を通して指導する事項」として,身につけるべき基礎的な表現の能力が,低・中・高学 年で示されています。そこで昨年度は,学ぶ内容を明確にし,めざす子どもの姿をはっきりとさせた ことで,内容を学びとるための適切な活動を工夫することができ,個別の支援により子どもが主体的 に考えたり活動する姿が見られるようになりました。 そこで,本年度は,子どもの学ぶ力が身についた姿を評価の観点からさらに明確にし提示すること と,そのための学習の支援を具体的に提示することが必要であるという考えのもとに,上記のテーマ を掲げ授業実践を通して取り組んできました。 研究の成果として,身に付いた姿を明確にしたことで,子どもの実態に応じた授業内容を考えるこ とができ,表現が苦手な子どもも活動がしやすかったこと,実態を把握することで身に付いた姿にな るための支援のあり方を工夫することができ,子どもたちが意欲的に活動している姿を見ることがで きたことなど,子どもが思いをもって主体的に学ぶ力を身に付ける姿を見ることができたということ があげられました。課題としては,学ぶ力に沿って学ぶ内容を明らかにする際,様々な活動・手立て を考える必要があることなどが明らかになりました。 本研究においては,まだまだ課題も多くありますが,全市の小学校の子どもたちが,音楽科の授業 を通して,音楽科で付けなければならない力が着実に身に付いていくように研究を進めてまいりたい と思います。今回,実践事例をまとめましたので,各学校で活用していただければ幸いです。 最後になりましたが,本研究の推進に当たりご指導ご助言を賜りました福岡市教育委員会学校指導 課主任指導主事 田上麻紀様,市教育センター研究支援課主任指導主事 樋口信一様,本研究会の活 動にご理解ご支援いただきました関係各校の校長先生はじめ諸先生方に心から感謝申し上げます。 平成26年3月 福岡市小学校音楽科研究委員会 副委員長 -1- 髙 倉 典 子 平成25年度 福岡市小学校音楽科研究委員会名簿 委員長 校長 折口 惠子 志賀島小学校(東区) 副委員長 教頭 高倉 典子 北崎小学校 (西区) 推進委員 教諭 河野貴美世 金武小学校 (西区) 推進委員 教諭 谷 貴子 堤丘小学校(城南区) 推進委員 教諭 岸川 真希 那珂小学校(博多区) 推進委員 教諭 久永 直子 七隈小学校(城南区) 教諭 児玉 理恵 名島小学校 教諭 盛谷光太郎 三筑小学校(博多区) 教諭 松岡 美起 弥永西小学校(南区) 教諭 波多江美和 田島小学校(城南区) 教諭 坂本 由佳 城南小学校(城南区) 教諭 緒方 亜弥 壱岐南小学校(西区) 教諭 今田 典子 早良小学校(早良区) 教諭 谷上 恵美 赤坂小学校(中央区) 教諭 白石 顕子 大楠小学校 (南区) 教諭 角田 歩子 大池小学校 (南区) 教諭 崎原 彩 飯倉小学校(早良区) 教諭 吉松 優紀 若宮小学校 担当主任指導主事 教育委員会 教 育 センター 学校指導課 研究支援課 (東区) (東区) 主任指導主事 田上 主任指導主事 樋口 麻紀 信一
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