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水素及び二酸化炭素吸蔵用 ナノポーラスカーボンの

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水素及び二酸化炭素吸蔵用
ナノポーラスカーボンの構造設計
戸田
宏枝
i-ⅳ
目次
第1章
1-1
緒言
1
研究背景
1-1-1
水素貯蔵技術
1
1-1-2
二酸化炭素貯蔵技術(CCS:Carbon capture and storage)
6
1-2
9
キーワード
1-2-1
ナノポーラスカーボン
9
1-2-2
賦活
11
1-2-3
籾殻由来ナノポーラスカーボン
14
1-2-4
リグニン由来ナノポーラスカーボン
17
1-3
研究の課題と目的
19
1-4
論文の構成
21
1-5
参考文献
22
32-54
図表
第2章
KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの細孔構造に及ぼ
す影響
2-1
緒言
55
2-2
実験方法
59
2-2-1 籾殻炭の調製
59
2-2-2
KOH 賦活による籾殻由来ナノポーラスカーボンの合成
60
2-2-3 ナノポーラスカーボンの SEM 像と EDX 像観察及び元素分析
61
2-2-4 ナノポーラスカーボンの TEM 像、SAED 像観察
62
i
2-2-5
2-3
ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
結果と考察
62
63
2-3-1 ナノポーラスカーボンの外観
63
2-3-2 ナノポーラスカーボンの SEM 像、EDX 像観察
63
2-3-3 ナノポーラスカーボンの TEM 像、SAED 像観察
64
2-3-4 ナノポーラスカーボンの細孔構造
66
2-4
結論
70
2-5
参考文献
70
72-91
図表
第 3 章
ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力にカリウム系賦活が
及ぼす影響
3-1
緒言
93
3-2
実験方法
95
3-2-1 ナノポーラスカーボンの合成
95
3-2-2 ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
95
3-2-3 ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性評価
96
3-3
結果と考察
96
3-3-1 ナノポーラスカーボンの細孔構造
96
3-3-2 ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
97
3-4
結論
98
3-5
参考文献
99
図表
101-106
ii
第4章
ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
4-1
緒言
107
4-2
実験方法
109
4-2-1 ナノポーラスカーボンの合成
109
4-2-2 ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
109
4-2-3
110
ナノポーラスカーボンの CO2 吸着特性評価
4-2-4 ナノポーラスカーボンの CO2/CH4 混合ガス吸着実験
4-3
結果と考察
111
112
4-3-1 ナノポーラスカーボンの細孔構造
112
4-3-2 ナノポーラスカーボンの CO2 吸着特性
113
4-3-3 ナノポーラスカーボンの CO2 の選択的吸着特性
117
4-4
結論
117
4-5
参考文献
118
120-134
図表
第5章
リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
5-1
緒言
135
5-2
実験方法
137
5-2-1 リグニン由来ナノポーラスカーボンの合成
137
5-2-2 リグニン由来ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
138
5-2-3 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性評価
138
5-3
結果と考察
139
5-3-1 リグニン由来ナノポーラスカーボンの細孔構造
139
5-3-2 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
140
iii
5-4
結論
142
5-5
参考文献
142
144-154
図表
第6章
結論
155
関連論文発表
158
賞罰
159
謝辞
160
iv
第 1 章 緒言
第1章
1-1
1-1-1
緒言
研究背景
水素貯蔵技術
現代文明は石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に代表されるエネルギーシ
ステムで構築されている。人口増加や生活水準の向上に伴い、世界のエネルギ
ー消費量は増大し続けており、このままでは石油は約 40 年、天然ガスは約 60
年で枯渇すると予想されている[1]。一方、化石燃料の使用により大気中の二酸
化炭素(CO2)が増加し、いわゆる温室効果により地球の大気温度が上昇し、これ
により地球環境が悪化しつつある。2006 年の世界の平均 CO2 濃度は 381.2 ppm
で、産業革命以前の 280 ppm に比べ 36 %上昇している[2]。そして、21 世紀後
半には二酸化炭素濃度は現在の 2 倍になると推測されており、それにより地球
の平均気温が 3-4 ℃上昇すると予測されている[3]。石油資源の枯渇化と化石燃
料による地球環境問題が懸念される中、石油に代替するエネルギー源の開発が
人類にとって緊急に解決を迫られている重要な課題である。
近年、その解決策の一つとして水素エネルギーが注目されている。水素は燃
焼生成物が水であるため、環境破壊の心配がなくクリーンなエネルギーである。
Fig. 1-1 に各種燃料の質量エネルギー密度を示す。石炭、石油、天然ガスの質量
エネルギー密度はそれぞれ、8、12、13 kWh/kg と算出された[4]。一方、水素の
エネルギー密度は 33 kWh/kg で石油及び天然ガスの 2 倍以上、石炭の 3 倍にな
る[4]。従って、再生可能で環境調和性の高い水素はあらゆる化学燃料の中で最
も大きな単位質量あたりの発熱量を示す魅力的なエネルギーである。このよう
な優れた特徴を持つ水素が大量かつ安価に製造されるようになれば、現在の化
石燃料社会から水素エネルギー社会の転換が期待できる[5]。世界各国で水素エ
ネルギー社会に向けた取組みが加速化しており、30-50 年後の将来像をイメージ
1
第 1 章 緒言
したシナリオ策定が進められている[5]。国内においても 2030 年における水素エ
ネルギー社会の将来像を提示しており、中でも燃料電池自動車の普及を推定し、
関連する水素の製造および輸送、水素貯蔵などの政策や促進技術が打ち出され
ている[6]。製造技術は化石燃料の改質技術や太陽光エネルギーなどの再生可能
エネルギーを用いた手法が確立しており、輸送においては高効率な液体水素輸
送技術が確立している[6]。しかし、水素貯蔵技術は種々の貯蔵技術が研究され
ているにもかかわらず、未だに革新的な貯蔵技術が確立していない。水素エネ
ルギー社会を実現するためには、水素貯蔵技術の確立が必要不可欠である。
水素は常温・常圧では気体であり、体積当たりに貯蔵できるエネルギーは小
さいため、水素の貯蔵技術には種々の対策がなされている。Fig. 1-2 に水素貯蔵
システムの質量水素密度と体積密度との関係を示す[7]。水素貯蔵システムの比
較対象として、圧縮水素(Compressed H2)、水素吸蔵合金(Metal Hydride)、液体水
素(Liquid H2)、炭素材料(Carbon materials)を選択し、それぞれのシステムを使用
した場合の質量あたりの水素吸蔵量と単位体積当たりの水素吸蔵量の範囲につ
いて述べる。まず、圧力容器に圧縮・充填する圧縮水素貯蔵システムがある。
20-35 MPa の圧力で 1-10 wt.%の水素吸蔵量が得られるが、主要材料が鋼である
ことから容器自身が重く、体積および質量当たりのエネルギー密度は小さい。
液体水素貯蔵は水素を 20 K の極低温で液化させることで、標準状態の水素ガス
に比べ体積を 1/800 にできるため、高圧水素の 4-5 倍のエネルギー密度を持つ。
しかし、液体水素を得るためには高純度の水素が必要であり、水素 1 kg 当たり
の液化工程で 10-14 kWh の電力を必要とする[8]。さらに、液体水素は蒸発し易
く、断熱材の高い特殊な容器を必要とするため、必然的にコスト高となり、現
在では宇宙燃料などの特殊な用途のみに用いられている[8]。他からのエネルギ
ー損失を最小限に留め、体積当たりの貯蔵水素密度を大きくする手段として水
2
第 1 章 緒言
素吸蔵合金が提案されている[9]。水素吸蔵合金は水素を金属水素化物として貯
蔵し、合金によっては 273 K、0.1 MPa の状態で常圧での気体水素に比べ体積を
約 1/1000 にできる。よって、高圧水素ガスや液体水素以上の密度で水素を貯蔵
できる[8]。一方、これら水素吸蔵合金の欠点には重いことがある。現時点で実
用的な水素吸蔵合金の水素の重量貯蔵密度は 2 %程度であるため、1 kg の水素
を貯蔵するために 50 kg の水素吸蔵合金を必要とする。したがって燃料電池自
動車などの輸送用水素吸蔵材料として使用する場合、燃料電池自動車を 500 km
走行させるためには約 6 kg の水素が必要であるから[8]、水素吸蔵合金だけでも
300 kg となり、車両の大幅な重量増加となる。また、水素吸蔵合金から水素を
放出させる際には熱を加える必要がある[9]。一般的に、水素吸蔵量の大きい水
素吸蔵合金は水素の吸蔵・放出温度が高くなる傾向があり、水素を放出するた
めに燃料を燃焼させて水素吸蔵合金を加熱し、エネルギーを取り出さなければ
ならない[8]。水素吸蔵能力だけでなく、水素を吸蔵する際のエネルギーが小さ
く水素の吸蔵及び放出温度が低いことも重要である。このような背景から軽量
で資源が豊富にあり、多様な構造と物性を持つ炭素材料による水素吸蔵の研究
が盛んに行われている[10]。
これまでに報告された炭素系水素吸蔵材料として Table 1-1 に示すカーボンナ
ノチューブ(CNT)、グラファイトナノファイバー(GNF)、黒鉛層間化合物(GIC)、
ナノポーラスカーボンなどが挙げられる[11-15]。1997 年、Dillon らは単層カー
ボンナノチューブ(SWNT)が室温で水素を 5-10 wt.% 吸着できると報告した[16]。
また、Chambers らは Herrig-bone 型の GNF において、水素を吸蔵すると報告し
たことから、炭素材料の水素吸蔵材としての期待が膨らんだ[17]。最近では、CNT
では 303 K、3.5 MPa において 0.05-0.25 wt.%、GNF では 298 K、10 MPa におい
て 1.29 wt.%の報告がある[11-12]。いくつかの研究によってカリウム(K)、ルビジ
3
第 1 章 緒言
ウム(Rb)、セシウム(Cs) などのアルカリ金属元素がインターカレートした GIC
が化学吸着および物理吸着によって水素を貯蔵できることも報告されている
[13]。特に K が黒鉛層間に侵入した K-GIC の水素吸蔵量は、KC8 において室温、
数 100 Pa 下で 0.4 wt.%、KC24 では 77 K、数 100 Pa の低圧で 1.2 wt.%を報告し
ている[13, 14]。これら炭素系水素吸蔵材料である CNT、GNF、GIC の吸着メカ
ニズムについて報告されている。いずれの材料の水素吸蔵現象は、2 nm 以下の
隙間、空間内の吸着現象に関与する。SWNT における水素吸蔵現象について
Murata らが詳細に報告している[18]。彼らは、SWNT の 2 nm 以下の空間内、特
に 0.7 nm 以下の空隙内にミクロ孔充填現象の機構で水素が吸着すると主張して
いる。Fig. 1-3(a)に示されるような SWNT が束状に集合した場合を想定し、
Lenard-Jones(LJ)ポテンシャル理論に基づいた水素分子、メタン分子と炭素壁間
の分子ポテンシャルが計算された。Fig. 1-3(b)に水素及びメタンと 3 つの SWNT
間とのポテンシャルプロファイルを示す。分子間ポテンシャルプロファイルに
おける原点は、Fig. 1-3(a)に示された Weak internal SWNT site Pm に相当する。水
素またはメタン分子が、3 つの SWNT から分子間ポテンシャルの影響を受ける
場合、Fig. 1-3(b)に示されるように、2 つのポテンシャルの極小値が存在する。
Fig. 1-3(a)に示されるように、
1 つは SWNT の内側の Strong internal SWNT site Pf、
もう一つは、3 つの SWNT の間隙にある Internal site Q である。サイト Q は 3 つ
の SWNT からの分子間ポテンシャルの重ね合わせのため、ポテンシャルが最も
深くなっている。これより、サイト Pf と Q にてミクロ孔充填現象が生じるもの
とされた。またサイト Pm は、他のサイトと比較して吸着能力は低いが、協同的
なミクロ孔充填現象が生じるとされた[19]。GNF の吸着メカニズムについて、
Chamber、Park、Rodriguez らが報告している[17, 20, 21]。Fig. 1-4 に GNF の水素
吸蔵モデルを示す。GNF の水素吸蔵は、Fig. 1-4 に示されるような GNF の積層
4
第 1 章 緒言
構造の層間に水素が侵入し、同時に層間が拡大することにより生じると提案さ
れた[21]。GNF の層間構造は拡大し、多量の水素を吸蔵できるとされた。彼らの
実験では、GNF の水素吸蔵量は、25 ℃で、60 wt.%を超える吸着量を示した。
一方で、彼らと同様の結果が得られないとして、疑問点が残されている。Fig. 1-5
に GIC の構造モデルを示す[22]。GIC の水素吸蔵は、黒鉛層間に侵入した金属原
子が層間を広げ、そこに水素が侵入することにより生じる。黒鉛層間に K がイ
ンターカレートした場合、K と黒鉛の層間化合物は水素と反応して二種類の化
合物を生じる。室温付近では、KC8H3/2 を化学吸着により形成し、液体窒素温度
では、物理吸着により KC24(H2)2 を形成する。いずれも、構造内の 2 nm 以下の
空間が吸着サイトとして、物理吸着現象に基づいた吸着を利用している。炭素
系水素吸蔵材料の 1 つであるナノポーラスカーボンも同様に、2 nm 以下の空間
に水素を物理吸着させる現象を利用している。
ナノポーラスカーボンは有機物を焼成して得られる炭素質を、水蒸気や二酸
化炭素と反応させ、その細孔構造を発達させた炭素材料であり、水素吸蔵媒体
として報告されている[23]。高い比表面積を有する多孔質炭素について水素吸蔵
能が高いとされ、296 K、10 MPa で 0.7 wt.%、77 K の低温では、2 MPa で 5.0 wt.%
の水素吸蔵を示した報告がある[23]。この報告より、高い水素吸蔵能力にはナノ
ポーラスカーボンの高比表面積化または、ミクロ孔構造の形成が必要であるこ
とを示している。更に近年の研究や調査から、水素吸蔵が期待される材料は水
素-吸着サイト間の相互作用ポテンシャルの強い 2 nm 以下の細孔を持つミクロ
孔を有するナノポーラスカーボン材料であると報告された[18]。Touzik らも約
0.6nm の細孔が常温において水素吸蔵に適している細孔と報告している[24]。ま
た、吸蔵温度を低温にすることでこれら炭素材料の 0.6 nm よりも大きな細孔に
吸蔵することが可能と報告されている[4]。これらの報告より、水素吸蔵に適し
5
第 1 章 緒言
ている細孔は 2 nm 以下であり、吸蔵温度毎に水素吸蔵に最適な細孔径を制御し
たナノポーラスカーボンの調製が必要である。以上のことから炭素系材料に対
し、目的とする細孔径を発達させることで、吸蔵温度を変化させることによっ
て水素吸蔵量を制御できると考えられる。最近までの 77 K におけるナノポーラ
スカーボンの水素吸蔵量の報告値を Fig. 1-6 に示す[26-54]。米国エネルギー省が
2015 年度までの目標値として掲げている水素吸蔵量は 8.5 wt.%である。現状で
は、Zhao らが報告している 6.6 wt.%が最大値となっており、目標達成には至っ
ていない。
1-1-2 二酸化炭素貯蔵技術(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)
地球温暖化問題への対応として,我が国はコペンハーゲン合意(COP15)で
示した 2020 年の温室効果ガス排出目標(1990 年比で 25%削減)を達成するた
め、更なる排出削減を実行する必要がある[55]。現在,政策面・技術面で様々な
対策が検討・実施されているが、その中でも二酸化炭素の貯留(Carbon dioxide
Capture and Storage: CCS)が注目されている。二酸化炭素の貯留とは、気体とし
て大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素を人為的に集め、
地中・水中などに封じ込めることである。このうち二酸化炭素地中貯留は,大
規模な二酸化炭素発生源である発電所や製鉄所、セメント工場、天然ガス生産
時に排出される二酸化炭素を分離・回収し、大深度に位置する不透水層を上部
に持つ帯水層に圧入して、二酸化炭素を貯留・隔離する技術である。二酸化炭
素の地中貯留は大きな二酸化炭素削減ポテンシャルを有する現実的手法である
と国内外で考えられており,我が国でも導入へ向けて準備が進められている。
二酸化炭素の回収・貯蔵の方法としては、吸収法、膜分離法、深冷分離法、
酸素燃焼法、物理吸着法等が挙げられる[56]。すでに実用化されているのは吸収
6
第 1 章 緒言
法であり、二酸化炭素をアミンなどのアルカリ性溶液に反応吸収させるもので
ある[57]。化学反応によるこのような技術では、二酸化炭素を分離する工程にお
いて、熱エネルギーが必要となる。膜分離法はセルロースアセテートなどの多
孔質の高分子膜にガスを透過させ、その透過速度の違いによって二酸化炭素を
分離・回収する技術である[58]。深冷分離法は、液化二酸化炭素の回収法として
実用化されている方法であり、二酸化炭素を圧縮液化し、蒸留により他の不純
物を除去し、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法である。酸素燃焼法は、
二酸化炭素が発生するボイラーや燃焼炉において、支燃ガスに空気ではなく酸
素を利用する方法である[59]。物理吸着法は、ゼオライト、ナノポーラスカーボ
ン、アルミナなどの吸着剤に二酸化炭素を選択吸着させ、分離・回収する手法
である。圧力や温度を操作することによって分離・回収が可能である。
Table 1-2 にガス田ごとの天然ガスの組成例を示す[60]。天然ガスの主要成分は
メタン(CH4)であり、残りは C2H6、C3H8、C4H10、C5 等の炭化水素ガス、二酸化
炭素、窒素(N2)、酸素(O2)、その他(He、H2S)である。二酸化炭素は天然ガス中に
約 0.2-9.3 vol.%含まれており、天然ガス採取の際は、これを分離・回収する必要
がある[60]。実際に分離・回収する方法として、吸収法、膜分離法がある。しか
しながら、前段の通り天然ガス中の二酸化炭素削減対策としては、消費エネル
ギーおよびコストが大きいことが最大の課題となっている。そこで、比較的エ
ネルギーコストが低い物理吸着法を採用することで、この課題をクリアするこ
とが可能であると考えられる。さらに、吸着材として原料コストを安価にでき
るナノポーラスカーボン等の炭素材料を用いれば、効果的に解決できる。
ナノポーラスカーボンの高い吸着能力は内部に有するミクロ孔の物理吸着に
よってもたらされる。このミクロ孔の物理吸着はナノポーラスカーボン表面か
らのファンデルワールス力により,気体または液体中の分子が引きつけられて
7
第 1 章 緒言
起こる吸着である。
気相中での主な用途は、ガスマスクや混合ガスの分離など、各種ガスに対す
る分離・吸着を主な目的としている。例えば,分子ふるい炭素(Carbon Molecular
Sieve:CMS)としての利用がある[61]。CMS はナノポーラスカーボンが持つ細孔
を狭めるために後処理(化学蒸着)を用いて調製される。様々な径の細孔を持つナ
ノポーラスカーボンの細孔から、吸着目的の分子にあった細孔のみを残すため、
化学蒸着によって他の穴をふさぎ吸着能力を向上させる。CMS は吸着の速度差
に基づいて空気を分離する。酸素は窒素より早く吸着されるためその速度差を
用いて分離を行うことができる。圧力スイング法(Pressure Swing Absorption:PSA)
はこの吸着速度の違いを用いた分離手法で、吸着塔に CMS を充填し、ここに混
合ガスを加圧することによって、吸着速度の速い分子が CMS に吸着され分離す
る手法である[62]。Fig. 1-7 にナノポーラスカーボンにおける CO2 吸着量の研究
例をまとめる[63-78]。CMS の二酸化炭素吸着能力は報告された二酸化炭素吸着
量の中で最も高い 90 wt.%を示している。
ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着能力はナノポーラスカーボンの比表
面積、細孔容積に影響されるものと考えられる。一方で、ナノポーラスカーボ
ンの細孔径の二酸化炭素吸着能力への影響については、その決定法が多種にわ
たり比較が単純でないために、結果として細孔径の影響については調査が進ん
でいない。Meng らが、様々な炭素材料の平均の細孔直径と二酸化炭素吸着量に
ついて報告している[79]。彼らの報告から、二酸化炭素の吸着量は平均の細孔直
径が 1-2 nm 付近で最大となることが示唆された。また、彼らは 2
nm 付近の細
孔の形成により、吸着質の細孔内への拡散障害が減少するため、二酸化炭素吸
着能力が向上したと考察している。
8
第 1 章 緒言
1-2
1-2-1
キーワード
ナノポーラスカーボン
炭素材料は古くから機能性材料として非常に大きな注目を集めてきた材料で
ある。その活用範囲は多岐にわたり、超電導材料[80]、ナノデバイス導体[81]、
電気二重層キャパシタ電極材[82]、水素およびメタンの吸蔵等[83, 84],様々な分
野で利用されてきた。その中でもナノポーラスカーボンは上記の用途に加え,
その“多孔性”を活かして環境浄化にも用いられており,脱臭剤,浄水器のフ
ィルター、タバコのフィルターなどにも利用される[61]。ナノポーラスカーボン
のこのような用途は、ナノポーラスカーボン内に発達したナノメートルオーダ
ーの細孔の吸着特性により見いだされてきた。ナノポーラスカーボンの細孔直
径は広い分布を持っており、IUPAC では Table 1-3 に示すように分類される[85]。
細孔直径が 50 nm 以上の細孔はマクロ孔、細孔直径が 2-50 nm の細孔はメソ孔、
細孔直径が 2 nm 以下の細孔はミクロ孔に分類される。ナノポーラスカーボンに
おけるガス吸着はこれら細孔の空間,表面で生じる[61]。David によって提唱さ
れたナノポーラスカーボンの細孔構造モデルは、Fig. 1-8 のような表面から枝分
かれした最奥部にミクロ孔が存在する単純なモデルである[26]。一方で、Fig.1-9
に示されるような炭素材料の黒鉛構造を反映したナノポーラスカーボンの構造
モデルを Frankling が提案した[86, 87]。この構造モデルは X 線回折法で捉えるこ
とができないほど小さな炭素クラスターで構成される。炭素クラスターの配列
の規則性により、2 種類のモデルが提案され、クラスターの配列に規則性がある
ものを易黒鉛化炭素、配列が乱雑なものを難黒鉛化炭素と呼ぶ。近年の Raman
散乱、透過型電子顕微鏡による炭素材料の研究より、この構造モデルの妥当性
が示唆され、ミクロ孔は炭素クラスター内の黒鉛網面同士のスリット状の隙間
に相当するモデルが提案された[88-90]。よって、ミクロ孔はこのようなサブナ
9
第 1 章 緒言
ノオーダーの隙間に起因することから、ナノポーラスカーボン内に無数に存在
し、細孔表面の面積は極めて大きな数値となる。ミクロ孔は強力な分子吸着力
を有しており、ガスや低分子物質の吸着サイトとなる。強力な分子吸着能力は、
スリット型の細孔から分子が受けるポテンシャルエネルギーに起因する。分子
がスリット幅 H の細孔中にある時に、分子が受けるポテンシャルp は、二つの
固体から受けるポテンシャルの和であるため、
p(z) = sf(z) + sf (H-z)
(1-1)
で与えられる。ナノポーラスカーボンのモデルになるグラファイトスリット細
孔―N2 分子系の場合には、表面原子間のスリット幅 H と、吸着測定で得られる
細孔径 w との間には次のような関係がある[91]。
w = H- 0.24 (nm)
(1-2)
p としてグラファイトと分子間相互作用を表すのに適して Steele のポテンシャ
ル関数によって、グラファイト細孔と 1 中心の窒素分子間の相互作用ポテンシ
ャルの細孔径変化を Fig. 1-10 に示す[92]。細孔径 w が小さくなるほど、相互作
用ポテンシャルの井戸が深くなり、吸着分子を強力に束縛する。これにより、
ナノポーラスカーボンのミクロ孔内では、実空間よりも吸着分子を束縛する能
力が高くなるため、高密度に吸着分子を吸着できるようになる。このような吸
着現象は、ミクロ孔充填現象と呼ばれ、77 K における N2 吸着等温線が Fig. 1-11
に示されるように低相対圧力で急激に増大する Langmuir 型になる要因となって
いる[93]。
マクロ孔およびメソ孔はこれらガスや分子がナノポーラスカーボンの内部の
ミクロ孔に吸着するための通路であり、吸着量にはあまり寄与しないが、吸着
速度に大きく影響する。ナノポーラスカーボンにおけるガス吸着は通常ミクロ
孔の空間,表面で生じるためナノポーラスカーボンの比表面積,細孔径はガス
10
第 1 章 緒言
吸着能力に大きく影響する[61]。
1-2-2
賦活
ガス及び蒸気や化学薬品を用いた熱処理により、炭素材料の表面に細孔構造
を形成する処理を賦活という。賦活方法はガス賦活と薬品賦活に大別される。
ガス賦活は炭化物を 700-1100 ℃の温度下で水蒸気や二酸化炭素と反応させて
微細孔を形成する手法である[94]。一方、薬品賦活は炭素質材料に塩化亜鉛、リ
ン酸、金属水酸化物等の薬品を添加し 400-1000 ℃の温度下で炭素と化学反応さ
せて微細孔を形成する方法である[95]。
まず、ガス賦活について述べる。ガスによる賦活工程とは前述の炭化した炭
素材と賦活物質ガスを反応させて、細孔を形成させる工程のことである。賦活
の初期は組織化されていない段階の炭素物質が徐々に酸化消費され、結晶子間
の閉塞されていたミクロ孔が開孔される。さらに、賦活が進むと結晶化した炭
素の酸化消費も始まり、この結果、細孔が拡大され、また、隣接したミクロ孔
の隔壁に相当する部分がガス化焼失することによって細孔が拡大される。ガス
賦活の賦活種としてよく用いられるのは水蒸気、二酸化炭素、及びこれらを混
合したガスが用いられる。賦活中は、原料の最表面、すなわち結晶の外側から
炭素がガスと反応脱離し、微結晶の表面が賦活種であるガスに曝される。炭素
クラスターに基づくモデルでは、異なる反応性を持つ化学反応可能な炭素原子
は 2 箇所あり、そこからガス化が進行するものと思われる。グラフェン層のエ
ッジ(プリズムエッジ)とグラフェン層(基底面)がそれに相当する。プリズムエッ
ジでのガス化反応は、100-1000 倍程度基底面よりも反応性が高い[96-98]。反応
が生じた場所でそれぞれの速度で進行し、細孔が形成されると考えられている。
炭素クラスターが賦活される速度は、クラスターに垂直な方向よりも平行な方
11
第 1 章 緒言
向が大きい。そのため、賦活種の反応にさらされた微結晶である炭素クラスタ
ーに平行方向のエッジ面の炭素原子は容易にガス化反応の起点となり、即座に
ガス化される。微結晶外の炭素の脱離と微結晶そのものの不均一なガス化は、
比較的小さな細孔すなわちミクロ孔が形成されると考えられる。これをガス賦
活において、賦活の第一段階となる。続いて起こる現象は、存在する細孔幅を
広げたり、隣接するミクロ孔間の壁がガス化して生じる大きな細孔及びメソ孔
またはマクロ孔の形成である。このような微結晶のガス化によるガス賦活は水
蒸気、CO2 が賦活種として用いられる。
水蒸気と炭素の基本的反応は吸熱反応であり、反応は 750 ℃より高い温度で
進む。化学反応式は以下のように表される[99]。
C +
H2O →
C +
2H2O →
H2
2H2
+
CO -29.4 kcal
+
CO2
-19.0 kcal
[1-1]
[1-2]
炭素の CO2 による賦活は、水蒸気のそれよりもゆるやかな反応であり、8501100 ℃よりも高温を必要とする。実際には燃焼ガスが活性種として用いられ、
多量の水蒸気が混在したものであり、CO2 単独で賦活することは少ない。炭素と
CO2 の反応においてもアルカリ金属の炭酸塩が触媒作用をする。炭素と CO2 と
の反応は、一酸化炭素だけでなく、反応混合物中の水素の存在によって妨げら
れる。
薬品賦活は化学反応を伴うため製造プロセスが複雑で、耐薬品性の装置が必
要となるが、ガス賦活に比べてミクロ孔を有する高比表面積のナノポーラスカ
ーボンが作製できる。用いられる賦活種として、塩化亜鉛(ZnCl2)[100]、硫酸
(H2SO4)[101]、塩化カルシウム(CaCl2)[102]、水酸化ナトリウム(NaOH)[103]等が
12
第 1 章 緒言
あり、原料に対して脱水作用、浸食作用を持つ薬品がある。薬品賦活ナノポー
ラスカーボンは、通常これらの賦活種と廃木材、石油コークスなどの材料とと
もに熱分解することにより合成される。これらの賦活種の原料に対する作用は
それぞれ異なるが、共通することはこれらの賦活種を添加することにより、原
料中の炭化水素のもつ水素や酸素が水として分解分離されるために、炭化温度
が著しく低下することである。合成されたナノポーラスカーボンは、賦活種の
除去後、特徴的な性質を持つ。
ZnCl2 と H3PO4 は、原料の一部を浸食溶解する作用があり、賦活種として広く
用いられている[61]。薬品賦活は通常 400-1000 ℃の温度で処理されるが、ZnCl2
の場合、600-700 ℃であり、ガス賦活より低い温度で小さい次元の炭素を構成す
る基本微結晶を形成させ、細孔構造の発達を進めることができる[61]。
近年、この薬品賦活の一つとしてアルカリ賦活が注目されている[104-107]。
アルカリ賦活法は炭素質原料に水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム
(NaOH)等のアルカリ試薬を添加し、500-800 ℃で反応させ 1000-3000 m2/g 以上
の非常に大きな比表面積を有する多孔質炭素材料を合成する賦活法である
[108,109]。アルカリ試薬中のアルカリ金属を触媒とする炭素成分の触媒ガス化反
応は、金属表面の酸化、酸素イオンの炭素表面への拡散および酸素による C-C 結
合の壊裂反応によって進む[110]。例えば、KOH の添加による炭素質のガス化は
Fig. 1-12 に示すように高温下で水素あるいは炭素により KOH、K2O、K2CO3 か
ら還元された K が炭素質材料中のグラフェンシートの末端を侵食することで進
行する。まず Fig. 1-12(a)の様に、CO2 が金属カリウム表面で解離吸着し、活性
な K(O)が生成する。次に Fig. 1-12(b)の様に、この K(O)が炭素と反応することで
含酸素化合物を形成しそれが脱離する。炭素との反応により K(O)は再び金属カ
リウムに戻る。このような酸化還元サイクルが繰り返され、ガス化反応が進行
13
第 1 章 緒言
する[110]。Lillo-Rodenas らの報告から、アルカリ賦活における賦活プロセスで
は、原料炭化物のグラフェン層間にアルカリ金属がインターカレートし、拡大、
構造の破壊的除去によりミクロ孔が形成されるとしている[94]。さらに、Marsh
らがアルカリ賦活により合成した比表面積 3000 m2/g のナノポーラスカーボンは、
極めて低い密度(>0.01 g/cm3)を有し、もともとの炭素質原料及び炭化物の構造が
完全に破壊された状態になるとしている[111]。これより、アルカリ賦活におけ
る細孔形成は炭化物の表面構造に対して均一に破壊的な反応が生じることが想
定される。従って、アルカリ賦活において、形成される細孔を緻密に制御する
ことは困難である。
1-2-3 籾殻由来ナノポーラスカーボン
籾殻はバイオマスの一種であり、バイオマスは「化石資源を除く再生可能な
生物由来の有機性資源」と定義され、Table 1-4 に示すように廃棄物系バイオマ
ス、未利用バイオマス、資源作物に大別される[112]。バイオマスは、その燃焼
分解の際に排出される二酸化炭素が植物の成長の際に吸収されたものであり、
利用によって新たな排出を伴わない「カーボンニュートラル」の特性を持つた
め、化石資源の代替資源として期待されている[112]。未利用バイオマスは農作
物非食用部、林地残材に大別される。農作物非食用部の一つとして籾殻がある。
籾殻は稲穂を脱穀して米を収穫する際に排出される副産物であり、国内で毎年
約 200 万 t が持続的に生産される有望なバイオマス資源といえる[113]。Fig. 1-13
に平成 22 年度の日本全国の籾殻の発生賦存量を示す[114, 115]。籾殻を生み出す
稲はイネ科の植物の一種で、通常の植物と異なり土壌に含まれるシリカを取り
込み、これを支持組織や保護組織(骨格や殻)として利用する。
籾殻はシリカ含有量が SiO2 換算で約 20%と多く[116]、これは籾殻が水分を蒸
14
第 1 章 緒言
散させる気孔の末端に位置し、運ばれたシリカが蒸発により濃縮され沈積した
ことによる[117]。シリカに富む籾殻は水捌けがよく、土地の地力を高め、よく
燃えるため土壌の改質や、肥料、暖房燃料に利用されるが、その 1/3 は廃棄さ
れる[113]。
籾殻炭はこれら籾殻を炭化したもので、植物由来の維管束からなるセル型構
造を有する炭素材料である。籾殻炭は吸着剤として、ニッケル[118-122]や銅亜
鉛等の金属やメチレンブルー等[123]を含む工業排水、ケチャップや油などを含
む家庭排水の浄化に利用される[124, 125]。籾殻炭の吸着力は比表面積に依存す
る。籾殻炭の比表面積は 4-350 m2/g と一様ではなく、籾殻の炭化条件によって
変化する[126,127]。Chen らは焼成雰囲気、焼成温度を変えて籾殻の炭化を行な
い、N2 雰囲気下、600 ℃で得られた籾殻炭の比表面積が最も高く、炭化条件に
よって細孔構造の異なる籾殻炭が合成できると報告している[126]。炭化条件の
検討は籾殻炭の細孔構造を制御する上で重要といえる。一方、籾殻に含まれる
シリカは生物体内で脱水縮合して無定形シリカゲルに変化し、組織の骨格構造
を成している[117]。そのため、炭化して得られた籾殻炭は籾殻の細胞構造がシ
リカ質骨格によって維持される[128]。さらに、シリカは外皮の表面近傍に発達
したクチクラ層に存在するため、大気雰囲気下で炭化処理を行っても、酸素に
よるガス化反応によって灰化することがなく、不活性雰囲気、密閉雰囲気を構
築しなくても容易に炭化処理ができる。さらに、シリカの骨格構造は籾殻炭内
の 2-50 nm の空隙に発達しており、シリカを鋳型することによりメソポーラスカ
ーボンが合成できることが報告されている[129, 130]。これより、籾殻炭が含有
するシリカは、炭化処理においても、籾殻炭合成時の細孔構造においても重要
な因子となると考えられる。
籾殻由来ナノポーラスカーボンは籾殻炭をガス賦活や薬品賦活により合成さ
15
第 1 章 緒言
れる。賦活により炭化物内の炭素クラスターのエッジ部がガス化することによ
りミクロ孔が形成され、ナノポーラスカーボンが合成される。籾殻炭のように、
シリカ等のミネラルを多量に含む炭化物では、賦活時のガス化反応を阻害する
要因となる。籾殻の主なミネラルであるシリカは耐熱性、耐酸性を有する安定
な化合物であり[131]、ガス賦活、塩化亜鉛を用いた薬品賦活では除去できない
が、KOH 等のアルカリ化合物を用いた薬品賦活により除去可能である。これよ
り、籾殻由来のナノポーラスカーボンの合成にはアルカリ賦活法が用いられる。
Guo らは籾殻炭と KOH を 1 : 4 の重量比で混合した後、800 ℃、2 h の条件で加
熱処理して合成されたナノポーラスカーボンが 3000 m2/g 以上の比表面積を有し、
ミクロ孔構造が発達していたことを報告した[132]。さらに、アルカリ賦活時に
おける KOH とシリカの間の化学反応も同時に進行し、K2SiO3、K2SiO5 等の水溶
性のケイ酸塩が生成される[133]。このように、アルカリ賦活によって、シリカ
の除去とミクロ孔構造の形成が同時に行われ、高比表面積を有するナノポーラ
スカーボンが合成される。Table 1-5 にアルカリ賦活により合成された籾殻由来
ポーラスカーボンの報告例を示す[129, 134-137]。アルカリ賦活種として、KOH、
水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)が用
いられ、合成されるナノポーラスカーボンの比表面積は 280-3014 m2/g、全細孔
容積は 0.206-1.88 cm3/g であった。KOH、NaOH を賦活種として用いることで、
比表面積、全細孔容積が大きいナノポーラスカーボンが合成される。
籾殻炭のアルカリ賦活は、前段の通り、シリカ成分の除去、炭素質のガス化
が行われる。シリカは籾殻炭の表層に存在し、アルカリ賦活により除去される
ことでメソ孔構造のような構造が露出し、アルカリ賦活によるガス化反応はこ
の露出したメソ孔構造に対して、行われるものと推測される。さらに、アルカ
リ賦活におけるガス化反応によるミクロ孔の形成が細孔構造の破壊によるもの
16
第 1 章 緒言
で、炭素質表面に対して均等に生じるならば、メソ孔領域の細孔から連続的に
ミクロ孔領域の細孔が形成されると考えられる。最終的に得られる籾殻由来の
ナノポーラスカーボンのミクロ孔分布は 2 nm 付近に偏ると予想される。
1-2-4 リグニン由来ナノポーラスカーボン
リグニンは高等植物の木化に関与する高分子のフェノール化合物であり、木
質素とも呼ばれる。リグニンは、光合成(一次代謝)により同化された炭素化
合物が更なる代謝(二次代謝)を受けることで合成されるフェニルプロパノイ
ドのうち、p-クマリルアルコール(p-ヒドロキシシンナミルアルコール)・コニフ
ェリルアルコール・シナピルアルコールという Fig. 1-14 に示されるような 3 種
類のリグニンモノマー(モノリグノール)が、酵素(ラッカーゼ・ペルオキシダー
ゼ)の触媒の元で一電子酸化されフェノキシラジカルとなり、これがランダム
なラジカルカップリングで高度に重合することにより三次元網目構造を形成し
た、巨大な生体高分子である[138]。
リグニンは、世界で 2 番目に多量に存在する天然原料であり、芳香族ポリマ
ー原料としては最も多量に存在する[139]。リグニンは植物中でセルロース繊維
を固定する機能がある。木質バイオマスの主体は細胞壁成分で、セルロース、
ヘミセルロース、リグニンから構成される。セルロースとヘミセルロース成分
が 60~70%が含まれるのに対して、リグニンはその中で 20~35%を占める。セ
ルロースやヘミセルロースは、紙・パルプの原料や甘味料・医療品などに利用
されるが、リグニンは、製紙工場で熱源燃料として利用される以外は、ほとん
ど廃棄され、有効利用の技術が確立されていない。リグニンの年間発生量は 500
万 t にもなるが、様々な有効利用の為の技術開発が進められている[139]。前述
のとおり、製紙工場から発生したリグニンの大部分は、燃料として消費されて
17
第 1 章 緒言
いるが、接着剤やタンニンの原料としての利用が、規模が小さいながら行われ
ている。
この過剰に発生するリグニンを有効利用する手段として、ナノポーラスカー
ボンの原料として利用することが提案されている。実際、リグニンは含有する
炭素量が多く、分子構造が瀝青炭に近いため、ナノポーラスカーボンの原料と
しては理想的である。瀝青炭とは石炭の中でも炭素含有量が多く石炭化度が高
い石炭である。リグニンを原料としたナノポーラスカーボンの合成に関する研
究は数多く報告されている[140-145]。Table 1-6 にガス賦活法と薬品賦活法で合
成したナノポーラスカーボンの報告例を示す。Rodriguez らは、ユーカリから採
取したクラフトリグニンからナノポーラスカーボンを合成した[140]。彼らは
CO2 を用いて、850 ℃、20 h の条件でガス賦活を行い、比表面積 1853 m2/g、ミ
クロ孔容積 0.57 cm3/g のナノポーラスカーボンが合成されたと報告した。高比表
面積を有するナノポーラスカーボンが合成される一方で、賦活時間が長いこと
から、リグニンの反応性の低さが伺える。Baklanova らは、加水分解リグニンか
らナノポーラスカーボンを合成した[141]。著者らは、リグニンの炭化温度を変
化させ炭化リグニンの比表面積とミクロ孔構造を評価し、600-700 ℃で炭化処理
した炭化リグニンが最もミクロ孔構造を有することを明らかにした。さらに炭
化リグニンを水蒸気によるガス賦活を行うことにより、比表面積 865 m2/g、ミク
ロ孔容積 0.365 cm3/g のナノポーラスカーボンを合成した。賦活種を用いた薬品
賦活によるナノポーラスカーボンの合成について Conzalez-Serrano らが報告した
[142]。彼らは、賦活種として塩化亜鉛(ZnCl2)を用い、1800 m2/g の比表面積
を有するナノポーラスカーボンを合成した。一方で、合成時に発生する亜鉛に
毒性があることから、現今の環境問題を鑑み、ナノポーラスカーボンの合成方
法としては適切でないとした。彼らは、リン酸(H3PO4)を用いた薬品賦活によ
18
第 1 章 緒言
るリグニン由来ナノポーラスカーボンの合成についても報告している[143]。合
成されたナノポーラスカーボンの比表面積は賦活温度の増加に伴って、リグニ
ン由来ナノポーラスカーボンの比表面積が 1000-1500 m2/g 程度に増加すること
を見出した。Hayashi らも同様の方法でナノポーラスカーボンを合成し、比表面
積 2000 m2/g のナノポーラスカーボンを合成した[144]。Zou らは水酸化カリウム
(KOH)を用いた薬品賦活を行い、2753 m2/g もの比表面積を有するリグニン由
来ナノポーラスカーボンを合成した[145]。いずれの報告において、測定された
N2 吸着等温線は、きれいな Langmuir 型を示し、高相対圧力領域において、ほぼ
吸着量の増加は確認されなかった。これより、リグニンより合成されるナノポ
ーラスカーボンは極めてメソ孔構造の発達がなく、2 nm 以下のミクロ孔が均等
に形成されることが推測される。
1-3 研究の課題と目的
水素、二酸化炭素吸蔵用ナノポーラスカーボンの開発にあたり、ナノポーラ
スカーボンの細孔構造を各吸着質に適した構造へ改質する技術が必要である。
最適な細孔制御をすることで、ミクロ孔内にミクロ孔充填現象を利用した大容
量貯蔵システムが構築可能となる。スリット型ミクロ孔における黒鉛層間と窒
素分子に対するポテンシャル曲線から、水素と二酸化炭素の吸着における最適
な構造モデルを提案する。グラファイト層間に対する窒素分子のポテンシャル
曲線を細孔幅ごとに描写した Fig.1-15 に示す[146]。細孔幅が 0.6、1.1、1.5 nm
と細孔幅 H が大きくなるにつれて、ポテンシャルの井戸は浅くなり、最低値が
細孔の中心から細孔壁に移動する。これより、窒素分子は、0.6 nm 付近の細孔
に対しては強力に束縛されミクロ孔内に充填されるように吸着される。一方で、
1.1、1.5 nm 付近の細孔では、細孔壁を覆うように表面的に吸着されると考えら
19
第 1 章 緒言
れる。水素と二酸化炭素についても同様に考えられ、水素は 0.6 nm、二酸化炭
素は 1.1 nm 付近の細孔においてミクロ孔内に充填されるものと予想される
[23]。水素と二酸化炭素を大量に吸蔵させるためには、水素においては 1.1、二
酸化炭素においては 1.5 nm 付近の細孔を有効利用することが望ましいと考えら
れる。吸着分子に対して少し大きいミクロ孔を吸着サイトとして利用するには、
分子間相互作用を利用することが重要と考えられる。水素分子が長手方向に 1.1
nm のミクロ孔に侵入し、細孔壁に吸着した場合、水素分子間の距離は 0.06 nm
程度となることから、その水素分子間では相互作用が強力に生じていると考え
られる。村田らは、Fig. 1-3 に示される CNT の水素吸蔵モデルにおいて、本来
はポテンシャルの井戸が浅い吸着サイト Pm でも、細孔壁に吸着した吸着質の
分子間相互作用によって協同的なミクロ孔充填現象が生じると報告した[18]。こ
れより、1.1 nm のスリット型のミクロ孔において、水素分子同士がきわめて近
い位置関係にあり、細孔壁と水素分子同士の協同的なポテンシャルの影響を受
けるために同様に充填現象が生じるものと予想される。さらに、二酸化炭素に
おいても同様の現象が生じると考えられる。長手方向に 1.5 nm のミクロ孔の細
孔壁に吸着した場合、二酸化炭素分子間の距離は 0.66 nm となることから、強
力な分子間相互作用が発現すると考えられる。このような水素と二酸化炭素の
吸着を実現するために、ナノポーラスカーボン内に Fig. 1-16、Fig. 1-17 に示さ
れる構造を形成する必要がある。Fig. 1-15 は、炭素クラスターのエッジ部に
0.646、1.046 nm の空隙およびスリット型ミクロ孔を選択的に形成したモデル
である。Fig. 1-16 は、同様に炭素クラスター内に 1.446 nm の空隙を形成させ
たモデルである。Fig. 1-15 は水素吸蔵用、Fig. 1-16 は二酸化炭素吸蔵用を想定
したモデルであり、このような構造をアルカリ賦活にて形成する。
一方で、現状のアルカリ賦活を利用した高比表面積ナノポーラスカーボンの
20
第 1 章 緒言
合成は、ミクロ孔を炭素クラスター内にランダムに形成することはできるが、
所望のサイズの細孔を選択的に形成することは困難である。従って、水素、二
酸化炭素を効率よく吸蔵できるナノポーラスカーボンの構造設計を可能にする
には、合成手法の工夫が求められる。本研究では、自然由来材料の籾殻とリグ
ニンを用いて、水素、二酸化炭素吸蔵用ナノポーラスカーボンの構造設計を行
う。また、以下の項目について明らかにすることで、水素、二酸化炭素吸蔵に
適した細孔構造を有するナノポーラスカーボンの合成を達成する。
①アルカリ賦活プロセスの冷却過程がナノポーラスカーボンの細孔形成に及
ぼす影響
②アルカリ賦活による籾殻由来ナノポーラスカーボンの合成と直径 1.5 nm 付
近の細孔形成
③アルカリ賦活によるリグニン由来ナノポーラスカーボンの合成と直径 0.6、
1.1 nm 付近の細孔形成
1-4. 論文の構成
第 1 章では、既存の水素貯蔵技術、二酸化炭素貯蔵技術について触れ、ナノ
ポーラスカーボンの利用が有効であることを述べた。より水素、二酸化炭素の
貯蔵能力を向上させるためには、ナノポーラスカーボンの緻密な細孔制御を行
い、ミクロ孔充填現象による吸蔵を利用することが重要である。アルカリ賦活
によるナノポーラスカーボンの合成における問題点を挙げ、水素、二酸化炭素
吸蔵用ナノポーラスカーボンの合成を達成するために明らかにすべき項目につ
いて述べた。
第 2 章では、アルカリ賦活プロセスの冷却過程における冷却速度が合成され
るナノポーラスカーボンの細孔構造に与える影響について調査した。冷却過程
21
第 1 章 緒言
中に生じるガス化反応により、最終的に得らえるナノポーラスカーボンの細孔
構造が改質されることを明らかにした。
第 3 章では、アルカリ賦活プロセスの賦活工程における異なるカリウム系賦
活種(K2CO3 と KOH)がナノポーラスカーボンの細孔構造と室温の水素吸蔵特性
に及ぼす影響について述べた。K2CO3 を用いることにより、アルカリ賦活にお
ける化学反応を限定した。KOH と K2CO3 を用いて合成した籾殻由来ナノポーラ
スカーボンの細孔構造を比較することにより、KOH 由来の化学反応と K2CO3 由
来の化学反応がどのような細孔構造に影響を及ぼすのかを明らかにした。合成
したナノポーラスカーボンの室温における水素吸蔵特性について評価を行った。
第 4 章では、二酸化炭素吸蔵用として、大過剰の KOH を用いたアルカリ賦活
によりナノポーラスカーボンの合成を行い、二酸化炭素吸着特性について評価
した。1-2 nm 付近の細孔径分布を有する籾殻由来ナノポーラスカーボンを合成
し、二酸化炭素吸着特性と二酸化炭素の選択的分離性能について明らかにした。
第 5 章ではリグニンを出発原料としたナノポーラスカーボンを合成した。炭
化条件を一定とし、賦活時の KOH の添加量が細孔構造と水素吸蔵に与える影響
について述べた。SiO2 を考慮しないアルカリ賦活における化学反応と KOH の添
加量が影響する細孔構造について明らかにした。
第 6 章では以上の章で述べた内容をまとめ、本論文の結論を示した。
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[29] L. Zubizarreta, E.I. Gomez, A. Arenillas, C.O. Ania, J.B. Parra, J.J. Pis, Adsorption
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[30] E. Poirier, R. Chahine, P. Benard, D. Cossement, L. Lafi, E. Melancon, T.K. Bose,
S. Desilets, Appl. Phys. A 78 (2004) 961-967.
[31] Z. Yaping, Z. LI, Sci. China (Series B) 39(6) (1996) 598-607.
[32] B. Schmitz, U. Muller, N. Trukhan, M. Schubert, G. Ferey, M. Hirsher, Chem.
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[33] M. Jorda-Beneyto, D. Lozano-Castello, F. Suarez-Garcia, D. Cazorla-Amoros, A.
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[34] W.-C. Xu, K. Takahashi, Y. Matsuo, Y. Hattori, M. Kumagai, S. Ishiyama, K.
Kaneko, S. Iijima, Int. J. Hydrogen Ener., 32 (2007) 2504-2512.
[35] L. Zhou, Y. Zhou, Chem. Eng. Sci., 53(14) (1998) 2531-2536.
[36] J.B. Parra, C.O. Ania, A. Arenillas, F. Rubiera, J.M. Palacios, J.J. Pis, J. Alloys
24
第 1 章 緒言
Comp., 379 (2004) 280-289.
[37] A. Ansn, J. Jagiello, J. B. Parra, M. L. Sanjun, A. M. Benito, W. K. Maser, M. T.
Martnez, J. Phys. Chem. B, 108(40) (2004) 15820-15826.
[38] G. Yushin, R. Dash, J. Jagiello, J. E. Fischer, Y. Gogotsi, Adv. Funct. Mater. 16
(2006) 2288-2293.
[39] P. Benard, R. Chahine, Langmuir, 17 (2001) 1950-1955.
[40] M. Jorda-Beneyto, F. Suarez-Garcia, D. Lozano-Castello, D. Cazorla-Amoros, A.
Linarres-Solano, Carbon, 45 (2007) 293-303.
[41] R. Gadiou, S.-D. Saadallah, T. Piquero, P. David, J. Parmentier, C. Vix-Guterl,
Microporous and Mesoporous Materials, 79 (2005) 121-128.
[42] H.Y. Tian, C.E. Buckley, S.B. Wang, M.F. Zhou, Carbon, 47 (2009) 2119-2142.
[43] R. Paggiaro, P. Benard, W. Polifke, Int. J. Hydrogen Ener., 35 (2010) 638-647.
[44] H. Guo, Q. Gao, Int. J. Hydrogen Ener., 35 (2010) 7547-7554.
[45] K. Xia, Q. Gao, C. Wu, S. Song, M. Ruan, Carbon, 45 (2007) 1989-1996.
[46] K. Xia, Q. Gao, S. Song, C. Wu, J. Jiang, J. Hu, L. Gao, Int. J. Hydrogen. Ener., 33
(2008) 116-123.
[47] H. Wang. Q. Gao, J. Hu, Z. Chen, Carbon, 47 (2009) 2259-2268.
[48] S.-Y. Lee, S.-J. Park, J. Solid State Chem., 184(10) (2011) 2655-2660.
[49] W. Zhao, V. Fierro, C. Zlotea, E. Aylon, M.T. Izquierdo, M. Latroche, A. Celzard,
Int. J. Hydrogen Ener., 36 (2011) 11746-11751.
[50] V. Fierro, W. Zhao, M.T. Izquierdo, E. Aylon, A. Celzard, Int. J. Hydrogen Ener.,
35 (2010) 9038-9045.
[51] M. Sevilla, A.B. Fuertes, R. Mokaya, Int. J. Hydrogen Ener., 36 (2011)
15658-15663.
25
第 1 章 緒言
[52] V. Jimenez, A. Ramirez-Lucas, P. Sanchez, J. L. Valverde, A. Romero, Appl. Surf.
Sci., 258 (2012) 2498-2509.
[53] V. Jimenez, A. Ramirez-Lucas, P. Sanchez, J. Luis Valverde, Int. J. Hydrogen
Ener. 37 (2012) 4144-4160.
[54] N. Texier-Mandoki, J. Dentzer, T. Piquero, S. Saadallah, P. David, C. Vix-Guterl,
Carbon 42(12-13) (2004) 2744-2747.
[55] K. Tokushige, K. Akimoto, Ener. Procedia, 4 (2011) 5889-5894.
[56] IPCC : IPCC Special Report on Carbon Dioxide Capture and Storage, 105-171
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[57] V.A. Shah, J. McFarland, Hydrocarb. Proc., 3 (1988) 43-46.
[58] 富田 敏弘 著: ゼオライト膜の新しい用途展開への取り組み ペトロテッ
ク, 29 (2005) 778-781.
[59] 丸山 忠 著:CO2 分離回収技術 環境管理, 41 (2005) 581-587.
[60] 天然ガス工業会
編: 天然ガス, 23(7) (1980) 17.
[61] 林 昌彦,川下 由加 訳:活性炭ハンドブック 丸善, (2011) 377-450.
[62] 竹内 雍 著:多孔質体の性質とその応用技術 フジ・テクノシステム, (1999)
[63] M.G. Plaza, S. Garcia, F. Rubiera, J.J. Pis, C. Pevida, Chem. Engr. J., 163 (2010)
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[64] S. Sircar, T.C. Golden, M.B. Rao, Carbon, 34(1) (1996) 1-12.
[65] V. Goetz, O. Pupier, A. Guillot, Adsorption, 12 (2006) 55-63.
[66] F. Dreisbach, R. Staudt, J.U. Keller, Adsorption, 5 (1999) 215-227.
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[69] R. Siriwardane, M. Shen, E. Fisher, J. Poston, A. Shamsi, Proceeding of First
26
第 1 章 緒言
National Conference on Carbon Sequestration, Session 3B: Capture & Separation III Adsorption Studies.
[70] A. K. Mishra, S. Ramaprabhu, Int. J. Chem. Eng. Appl. 1(3) (2010) 266-269.
[71] S. Jribi, I. I. El-Sharkawy, S. Koyama, B. B. Saha, Proceeding of 2010
International Symposium on Next-generation Air Condition and Refrigeration
Technology, 17-19 Feb. 2010.
[72] A. K. Mishra, S. Ramaprabhu, AIP ADVANCES, 1 (2011) 032152.
[73] D. Lozano-Castello, D. Cazorla-Amoros, A. Linares-Sokano, Carbon, 42 (2004)
1231-1236.
[74] J. Silvestre-Albero, A. Wahby, A. Sepulveda-Escribano, M. Martinez-Escandell, K.
Kaneko, F. Rodriguez-Reinoso, Roy. Soc. Chem. Commun., 47 (2011) 6840-6842.
[75] P. Ning. F. Li. H. Yi, X. Tang, J. Peng, Y. Li, D. He, H. Deng, Sep. Purif. Tech., 98
(2012) 321-326.
[76] D.-l. Jnag, S.-J. Park, Fuel, 102 (2002) 439-444.
[77] G. A. Grande, A. E. Rodrigues, Greenhouse Gas Cont. 2 (2008) 194-202.
[78] R. V. Siriwardane, M.-S. Shen, E. P. Fisher, J. A. Potson, Energy and Fuels, 15
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[79] L.-Y. Meng, S.-J. Park, Bull. Korean Chem. Soc., 33(11) (2012) 3749-3754.
[80] V.A. Sidorov, E.A. Ekimov, E.D. Bauer, N.N. Mel’nik, N.J. Curro, V. Fritsch, J.D.
Thompson, S.M. Stishov, A.E. Alexenko and B.V. Spitsyn, Diam. Relat. Mater., 14
(2005) 335-339.
[81] L.G.D. Arco, Y. Zhang, C.W. Schlenker, K. Ryu, M.E. Thompson and C. Zhou,
ACS nano, 4 (2010) 2865-2873.
[82] 稲垣 道夫 著:カーボン 古くて新しい材料 工業調査会, (2009) 26-29.
27
第 1 章 緒言
[83] R.K. Ahluwalia, T.Q. Hua, J.K. Peng, Int. J. Hydrogen Ener. 37 (2012) 2891-2910.
[84] N. Bagheri, J. Abedi, Chem. Eng. Res. Des., 89 (2011) 2038-2043.
[85] IUPAC, Pure Appl. Chem., 69 (1997) 1739-1758.
[86] R. E. Franklin, Acta Cryst., 3 (1950) 107-121.
[87] R. E. Franklin. Acta Cryst., 4 (1951) 253-261.
[88] A. Oberlin, Chem. Phys. of Carbon, 22 (1989) 1-143.
[89] A. Oberlin. M. Villey, A. Combaz, Carbon, 18(5) (1980) 347-353
[90] A. Oberlin, S. Bonnamy, PG. Rouxhet, Chem. Phys. of Carbon, 26 (1999) 1-148.
[91] 三上 益弘: 日本結晶成長学会誌, 15 (1988) 80.
[92] W.A. Steele, Surf. Sci., 36 (1973) 317.
[93] T. Ohbata, K. Kaneko, Langmuir, 17 (2001) 3666-3670.
[94] M.A. Lillo-Rodenas, D. Cazorla-Amoros and A. Linares-Solano, Carbon, 41
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[95] 柳井 弘,石崎 信男 著:活性炭読本 日刊工業新聞社, 131 (1976).
[96] D. Crawford, H. Marsh, J. Microsc., 109(1) (1977) 145-152.
[97] H. Marsh, T.E. O’Hair, L. Wynne-Jones, Carbon, 7(5) (1969) 555-558.
[98] H. Marsh, D.A. Taylor, J.R. Lander, Carbon, 19(3) (1981) 375-381.
[99] 立元英機、安倍郁夫:活性炭の応用技術, 株式会社テクノシステム, (2000).
[100] N. R. Khalili, M. Campbell, G. Sandi, J. Golas, Carbon 38 (2000) 1905-1915.
[101] J. Guo, W. Sheng Xu, Y. Lin Chen, A. Chong Lua, J. Col. Interf. Sci., 281(2)
(2005) 285-290.
[102] J.M. Juarez-Galan, A. Silvestre-Albero, F. Rodriguez-Reinoso, Microporous and
Mesoporous Materials, 117 (2009) 519-521.
[103] A. L. Gazetta, A. M.M. Vargas, E. M. Nogami, M. H. Kunita, M. R. Guilherme, A.
28
第 1 章 緒言
C. Martins, T. L. Silva, J. C.C. Moraes, V. C. Almeida, Chem. Eng. J., 174 (2011)
117-125.
[104] S. Yoon, S. Lim, Y. Song, Y. Ota, W. Oiao, A. Tanaka and I. Mochida, Carbon, 42
(2004) 1723-1729.
[105] P. Ehrbuger, A. Addoun, F. Addoun and J.B. Donnet, Fuel, 65 (1986) 1447-1449.
[106] A. Ahmadpour and D.D. Do, Carbon, 34 (1996) 471-479.
[107] N. Yoshizawa, K. Maruyama, Y. Yamada, E. Ishikawa, M. Kobayashi, Y. Toda and
M. Shiraishi, Fuel, 81 (2002) 1717-1722.
[108] A.N. Wennerberg and T.M. O’Grady, US Patent 4082694.
[109] H. Marsh, D. Crawford, T.M. O'Grady and A.N. Wennerberg, Carbon, 30 (1982)
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[110] Ru-Ling Tseng, J. Hazard. Mater., 147 (2007) 1020-1027.
[111] H. Marsh, D.S. Yan, O’Grady, Carbon, 22(6) (1984) 603-611.
[112] 古市徹:循環型社会の廃棄物系バイオマス,環境新聞社 (2010).
[113] 熊谷誠治:もみ殻に由来する高機能材料の開発, 宮崎大学 IR 推進機構 講
演会 (2011).
[114] 廃棄物処理・再資源化技術ハンドブック編集委員会:廃棄物処理・再資源
化技術ハンドブック (2000).
[115] 農林水産省平成 22 年産水陸稲の収穫量.
[116] 高橋英一:ケイ酸植物と石灰植物,農山漁村文化協会 (1987).
[117] 高橋英一:作物にとってケイ酸とは何か,農山漁村文化協会 (2007).
[118] W. Nakbanpote, B. A. Goodman, P. Thiraveryan, Colloids Surf. A, 304 (2007) 7.
[119] O. B. Said, M. B. Shalmor, J. N. Egila, Bioresour. Technol., 43 (1993) 63.
[120] S. P. Mishra, D. Tiwari, R. S. Dubey, Appl. Radiat. Isot., 48 (1997) 877.
29
第 1 章 緒言
[121] K. K. Wong, C. K. Lee, K. S. Low, M. J. Haron: Chemosphere, 50 (2003) 23.
[122] S. E. Bailey, T. J. Olin, R. M. Bricka, D. D. Adrian: Water Res. 33 (1999) 2469.
[123] P. Sharma, R. Kaur, C. Basker, W. -J. Chung: Desalination, 259 (2010) 249.
[124] Y. Kondo, H. Ogura, K. Miyazaki, M. Tanaka, H. Aoki, Jpn. Soc. Sci. Design, 44,
(1997) 77.
[125] Y. Kondo, K. Miyazaki: Jpn. Soc. Sci. Design, 45 (1998) 19.
[126] X. -G. Chen, S. -S. Lv, P. -P. Zhang, L. Zhang, Y. Ye, J. Therm. Anal. Calorim.,
104, (2011) 1055.
[127] Y. Kondo, H. Aoki, K. Miyazaki: Jpn. Soc. Sci. Design, 45 (1998) 37.
[128] H. Ogata, K. Hattori, H. Kirioka, J. Jpn. Soc. Irrig. Drain. Recl. Eng., (2003) 594.
[129] P.M. Yeletsky, V.A. Yakovlev, M.S. Mel’gunov, V.N. Parmon, Microporous and
Mesoporous Mater., 121 (2009) 34-40.
[130] K.P. Dey, S. Ghosh, M.K. Naskar, Ceram. Int., 39 (2013) 2153-2157.
[131] 宇田川重和,柳田博明,須藤儀一, 無機ケイ素化合物,講談社サイエンテ
ィフィック (1982).
[132] Y. Guo, S. Yang, K. Yu, J. Zhao, Z. Wang, H. Xu, Mater. Chem. Phy., 74 (2002)
320.
[133] V. A. Yakovlev, P. M. Yeletsky, M. Yu. Lebedev, D. Yu. Ermakov, V. N.
Parmon, Chem. Eng. J., 134 (2007) 246.
[134] A.A.M. Daifullah, B.S. Girgis, H.M. Gad, Mater. Lett., 57 (2003) 1723-1731.
[135] K.Y. Foo, B.H. Hameed, Bioresour. Technol., 102 (2011) 9814-9817.
[136] Y.C. Sharma, Uma, J. Chem. Eng. Data, 55 (2010) 435-439.
[137] Y.P. Guo, K.F. Yu, Z.C. Wang, H.D. Xu, Carbon, 41 (2000) 1645.
[138] Suhas, P.J.M. Carrott, M.M.L. Ribeiro Carrott, Bioreour. Technol., 98 (2007)
30
第 1 章 緒言
2301-2312.
[139] R.J.A. Gosselink, E. Dejong, B. Guran, C.A. Aba, Coordination network for
lignin-standardisation, Production and applications adapted to market requirements
(EUROLIGNIN). Ind. Crops Prod. 20 (2004) 121-129.
[140] J. Rodriguez-Mirasol, T. Cordero, J. J. Rodriguez, Energy Fuels, 7 (199) 133-138.
[141] O.N. Baklanova, G.V. Plaksin, V.A. Drozdov, V.K. Duplyakin, N.V. Chesnokov,
B.N. Kuznetsov, Carbon 42 (2003) 1793-1800.
[142] E. Gonzalez-Serrano, T. Cordero, J. Rodriguez-Mirasol, J.J. Rodriguez, Ind. Eng.
Chem. Res., 36 (1997) 4832-4838.
[143] E. Gonzalez-Serrano, T. Cordero, J. Rodriguez-Mirasol, L. Cotoruelo, J.J.
Rodiguez, Water Res. 38 (2004) 3043-3050.
[144] J. Hayashi, A. Kazehaya, K. Mruyama, A.P. Watkison, Carbon 38 (2000)
1873-1878.
[145] Y. Zou, B.-X. Han, Adsorp. Sci. Technol., 19 (2001) 59-72.
[146] T. Ohba, T. Szuki, K. Kaneko, Chem. Phys. Lett., 326 (2000) 158-162.
31
第 1 章 緒言
Fig. 1-1. 各燃料の質量エネルギー密度[4].
32
第 1 章 緒言
Compressed hydrogen
Fig. 1-2. 水素貯蔵システムの質量水素密度と体積密度との関係[7].
33
第 1 章 緒言
Table 1-1 これまでに報告された炭素系水素吸蔵材料
Materials
Storage capacity (wt.%)
Temp. (K)
Pressure (MPa)
Ref.
Carbon nanotube
0.05-0.25
303
3.5
[11]
Grapthite nanofiber 1.29
298
10
[12]
GIC
0.40
298
0.02
[13]
1.20
77
0.05
[14]
0.70
298
10
[15]
5.00
77
5.4
[15]
Nanoporous carbon
34
第 1 章 緒言
Fig. 1-3. SWNT の水素吸蔵モデル
(a)SWNT が束状に集合したモデル, (b) 水素分子(実線), メタン分子(破
線)-SWNT 間における分子間ポテンシャルプロファイル[18].
35
第 1 章 緒言
(a)
(b)
0.34 nm
0.29 nm
Fig. 1-4. GNF の構造モデル[21].
(a)触媒的に成長した GNF の積層構造, (b)拡大図.
36
第 1 章 緒言
(a)
0.345 nm
(b)
0.535 nm
K
K
K
K
K
Fig. 1-5. GIC の構造モデル[22].
(a)グラファイト層, (b)カリウムをインターカレートしたグラファイト層.
37
77 Kにおける水素吸蔵量 (wt.%)
第 1 章 緒言
10
DOE目標値(2015)
8
DOE目標値(2010)
6
Zhao et al.
6.6 wt.%
4
2
0
1994 1998 2002 2006 2010 2012
年
Fig. 1-6. 77 K におけるナノポーラスカーボンの水素吸蔵量の報告値[26-54].
38
第 1 章 緒言
Table 1-2. 主要な天然ガスの組成例[60].
39
第 1 章 緒言
CO2吸蔵量 (wt.%)
100
T=298 K, 0.05-1.0 MPa
80
カーボンモレキュラー
シーブ
SilvestreAlbero et al.
90 wt.%
60
40
20
0
1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013
年
Fig. 1-7. ナノポーラスカーボンの CO2 吸蔵量の報告値[63-78].
40
第 1 章 緒言
Table 1-3 細孔径の分類[85].
細孔の名称
マクロ孔
細孔直径 w (nm)
50 ≧ w
メソ孔
2 ≦ w ≦ 50
ミクロ孔
w≦ 2
41
第 1 章 緒言
Fig. 1-8. David のナノポーラスカーボン細孔モデル[27].
42
第 1 章 緒言
edge
Graphite crystallite group
c-plane
c-plane
Graphen sheet
(a)
(b)
Fig. 1-9. Franklin のナノポーラスカーボン細孔モデル[86, 87].
43
相互作用ポテンシャル/kB (K)
第 1 章 緒言
w=∞
0
w=0.82 nm
-1000
w=0.66 nm
w=0.56 nm
-2000
w=0.48 nm
w:細孔径
-0.4
-0.2
0
0.2
z (nm)
0.4
Fig. 1-10. スリット型細孔と窒素分子との相互作用ポテンシャルプロファイルの
細孔径ごとの変化[92].
44
吸着量
第 1 章 緒言
相対圧力
Fig. 1-11. Langmuir 型の N2 吸着等温線.
45
第 1 章 緒言
(a)
CO2 (b)
CO
ガス化
M
M
O
CO
炭素原子
グラフェン
M
アルカリ金属
Fig. 1-12. KOH 賦活反応中のカリウムによる
グラフェンの触媒ガス化反応
モデル.(a)CO2 の金属カリウム表面での解離吸着.(b)CO の脱離による
グラフェン末端の侵食.
46
第 1 章 緒言
Table 1-4 バイオマスの種類[112].
バイオマスの種類
具体例
廃棄物系バイオマス 家畜排泄物,下水汚泥
黒液,廃棄紙,食品廃棄物
製材工場等残材
建設発生木材
未利用バイオマス
農作物非食用部
(稲わら,麦わら,籾殻等)
林地残材
(間伐材,被害木等)
資源作物
菜の花,サトウキビ等
47
第 1 章 緒言
Fig. 1-13. 平成 22 年度の各県の籾殻発生量(賦存量)[114, 115].
48
第 1 章 緒言
Table 1-5 アルカリ賦活法により合成された籾殻由来ナノポーラスカーボンの細
孔構造.
Authors
Alkaline
agents
BET specific surface
area (m2/g)
Total pore volume
(cm3/g)
Ref.
Daifullah et al.
KOH
280
0.206
[134]
Yeletsky et al.
Na2CO3
1581
1.44
[129]
Foo et al.
K2CO3
1165
0.78
[135]
Sharma et al.
NaOH
1400
-
[136]
Guo et al.
KOH
3014
1.73
[137]
NaOH
2952
1.88
[137]
Na2CO3
600
0.286
[137]
K2CO3
1100
0.536
[137]
49
第 1 章 緒言
(a)
(b)
OH
(c)
OH
OCH3
OH
OH
H3CO
OH
OCH3
OH
Fig. 1-14. リグニン前駆体:(a) p-クマリルアルコール、(b) コニフェリルアルコ
ール、(c) シナピルアルコール[138].
50
第 1 章 緒言
Table 1-6. 賦活法により合成されたリグニン由来ナノポーラスカーボン
の細孔構造.
Author
Activation
agents
BET specific surface
area (m2/g)
Micro pore volume
(cm3/g)
Ref.
RodriguezMirasol et al.
CO2
1613
0.47
[140]
Baklanova et al. H2O
865
0.365
[141]
GonzalezSerrano et al.
ZnCl2
1800
1.039
[142]
GonzalezSerrano et al.
H3PO4
1459
0.82
[143]
Hayashi et al.
ZnCl2,
H3PO4,
K2CO3,
Na2CO3,
KOH,
NaOH
800-2000
-
[144]
Zou et al.
KOH
2753
1.37
[145]
51
第 1 章 緒言
Fig. 1-15. 細孔幅 H ごとの Steele の 10-4-3 ポテンシャルプロファイルと
水素、二酸化炭素分子の細孔内における吸着位置[146].
52
第 1 章 緒言
H2
0.24 nm
0.28 nm
水素原子
0.646 nm
1.046 nm
炭素原
(rVDW=0.17 nm) エッジ
Fig. 1-16. 水素吸蔵用ナノポーラスカーボンの細孔構造モデル.
53
第 1 章 緒言
1.446 nm 1.046 nm
CO2
0.34 nm
0.46 nm
炭素原子
(rVDW=0.17 nm) エッジ
Fig. 1-17. 二酸化炭素吸蔵用ナノポーラスカーボンの細孔構造モデル
54
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
第2章
KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの細孔構造に及ぼ
す影響
2-1
緒言
籾殻由来のナノポーラスカーボンにより水素及び二酸化炭素を大量に吸着さ
せるためには、高比表面積化及びミクロ孔構造を発達させる必要がある。さら
に、水素においては 0.6-1.1 nm、二酸化炭素においては 1.5 nm 付近の細孔を選択
的に発達させる必要がある。Fig. 2-1 に炭素クラスターのエッジ面に形成された
ミクロ孔構造モデルを示す。水素は 0.6-1.1 nm 付近、二酸化炭素は 1.5 nm 付近
のミクロ孔による吸着が有効であると想定されたことから、Fig. 2-1 に示される
ように、炭素クラスターのエッジ部において、0.646、1.046、1.446 nm のスリッ
ト状のミクロ孔を形成する必要がある。ナノポーラスカーボンの細孔構造は、
炭素質原料を賦活することにより発達し、特にアルカリ賦活法を用いることで
これらのミクロ孔を発達させることが可能である。アルカリ賦活種として水酸
化リチウム(LiOH)[1]、水酸化カリウム(KOH)[2]、水酸化ナトリウム(NaOH)[3]、
炭酸カリウム(K2CO3)[4]、炭酸ナトリウム(Na2CO3)[5]を用いた例が報告されてい
る。これらアルカリ賦活種を炭素質原料内に液相含浸させる、または固相混合
した後に加熱処理を行うことにより、ミクロ孔が発達した高比表面積のナノポ
ーラスカーボンが合成される。アルカリ賦活種中のアルカリ金属を触媒とする
炭素成分の触媒ガス化反応は金属表面の酸化、酸素イオンの炭素表面への拡散
及び酸素による C-C 結合の壊裂反応によって進行する。ナノポーラスカーボン
の細孔及びミクロ孔は、このような炭素表面のガス化反応により形成される。
Otowa らは、アルカリ賦活種として KOH を用いた場合のアルカリ賦活におけ
る化学反応を賦活温度ごとに提案した[6]。賦活温度が 500 ℃以下では、反応式
55
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(2-1)のように KOH の脱水素反応が起き、酸化カリウム(K2O)、水(H2O)が生成さ
れる。
2KOH →
K2O +
H2O
[2-1]
500 ℃以下では、このように KOH の脱水素反応が支配的となるため、炭素表面
のガス化反応は起きず、ミクロ孔の発達は起きない。賦活温度 500-800 ℃にお
いては、反応式[2-2]、[2-3]、[2-4]に示された化学反応が起きる。KOH の脱水素
反応によって生じた H2O による炭素表面のガス化反応[2-2]と一酸化炭素(CO)と
水の化学反応[2-3]が起き、K2O と CO2 の反応(2-4)により炭酸カリウム(K2CO3)
が生成される。この温度域での反応系には KOH の分解によって生成される H2O
が供給されるため、反応式[2-2]、[2-3]によって H2 と CO2 は継続的に生成される。
生成された CO2 は K2O が反応系に存在する場合、反応式[2-4]のように K2CO3 を
生成し、賦活反応は収束する。K2CO3 も KOH と同様にアルカリ賦活種として炭
素表面のガス化反応を生じることが可能だが、反応系の温度を 800 ℃以上にす
る必要がある。従って、賦活温度 500-800 ℃においては、炭素と H2O の反応が
支配的であり、水蒸気賦活に類似した化学反応が生じるものと推測される。
C+
H2O →
CO +
K2O +
H2
H2O →
CO2
+
H2
→
CO
+
[2-2]
CO2
K2CO3
[2-3]
[2-4]
賦活温度 800 ℃以上では、式[2-5]、[2-6]、[2-7]の化学反応が同時に生じる。KOH
の脱水素反応で生成した K2O と CO2 の反応[2-4]により生成する K2CO3 は炭素表
面のガス化反応を生じ、ミクロ孔を形成する。一方で、K2O と H2 の化学反応[2-5]
により H2O を生成するため、式(2-2)で示した炭素表面と H2O との反応も生じる。
K2O +
H2
K2O +
C
→
→
2K +
2K +
H2O
CO
[2-5]
[2-6]
56
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
K2CO3
+
2C →
2K +
3CO
[2-7]
これより、賦活温度 500 ℃以下では、炭素表面のガス化反応が生じないため、
細孔形成は起きず、500-800 ℃では H2O による炭素表面のガス化反応によって
細孔形成が生じ、800 ℃以上では K2O、K2CO3 によるカリウム系化合物による
ガス化反応により細孔が形成されるものと推測される。
KOH を用いたアルカリ賦活を様々な炭素質原料に対して行うことで、同様の
化学反応を生じるものと推測される一方で、籾殻のように多量のシリカのよう
な無機成分を含む炭素質原料においては、KOH と無機成分の反応も考慮する必
要がある。籾殻を原料としてナノポーラスカーボンを合成する場合、炭化した
籾殻(以下籾殻炭)を KOH を用いたアルカリ賦活を行う場合、反応式[2-8]、[2-9]
に示されるようなガラス成分とカリウム化合物の反応が考えられる[7]。
SiO2
+
K2O +
2KOH →
SiO2
→
K2SiO3
+
H2O
K2SiO3
[2-8]
[2-9]
SiO2 は KOH と K2O との反応(2-8)、(2-9)により、
水溶性のケイ酸カリウム(K2SiO3)
を生成する。従って、籾殻炭のアルカリ賦活では、SiO2 と炭素表面との反応が
同時に進行するものと推測される。これより、籾殻からナノポーラスカーボン
を合成する場合は、形成されるミクロ孔構造はガス化反応の組み合わせと合成
時の加熱条件により変化すると考えられる。
Fig. 2-2 に典型的な籾殻炭のアルカリ賦活における加熱条件並びに昇温パター
ンを示す。Fig. 2-2 に示されるように、アルカリ賦活における加熱条件は、
800-850 ℃付近まで室温から一定速度で昇温し、2 h 保持したのち、自然冷却が
行われる。炭素質原料が籾殻に限らず、この昇温パターンは Fig. 2-2 に準じる場
合が多い。さらに、アルカリ賦活の単純なガス化反応のモデルを考える上で有
効であると考えられる。この昇温パターンとアルカリ賦活におけるガス化反応
57
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
の関係を Fig. 2-3 に示す。まず、Fig. 2-3 に示されるように室温から 500 ℃にお
いては、炭素質のガス化反応は起きず、KOH の分解反応[2-1]が起きる。500 か
ら 800 ℃においては、KOH の分解反応により発生した H2O によって、炭素質
のガス化反応[2-2]が進行する。一方で、700-800 ℃間において、反応式[2-8]に示
されるように KOH と籾殻炭表面の SiO2 が K2SiO3 のようなケイ酸塩を生成する。
800-850 ℃間、850 ℃保持時では、カリウム系化合物による炭素質の触媒ガス化
反応[2-6]、[2-7]が Fig. 2-3 に示されるように生じる。ここまでの昇温、温度保持
の間に炭素質のガス化が十分に進行し、炭素表面にはミクロ孔が生成されてい
るものと予想される。一方で、冷却過程では、850-800 ℃間にカリウム系化合物
による炭素表面のガス化反応[2-6]、[2-7]、800-500 ℃間では、H2O による炭素表
面のガス化反応[2-2]がそれぞれ生じるものと考えられる。籾殻から合成される
ナノポーラスカーボンのミクロ孔構造はこれらの加熱条件とガス化反応の組み
合わせで変化すると考えられる。炭素表面のガス化反応並びに細孔形成の制御
は、可能な限り単純なガス化反応を用いる方が望ましく、SiO2 と KOH の反応[7]、
炭素質の黒鉛化、インターカレートを伴う炭素クラスターの破壊を伴うミクロ
孔の形成[8]がある程度終了しているであろう冷却過程で行われるべきである。
加熱過程中では、籾殻炭表面における SiO2 との反応と炭素質表面に対するガス
化反応が同時に生じ、反応系が複雑になるため、純粋な炭素質表面のガス化反
応を制御することは困難である。一方で、冷却過程における籾殻炭表面の SiO2
は KOH により溶融状態で除去され、ミクロ孔が形成された純粋な炭素質表面が
露出した状態であるため、これに対するガス化反応は加熱過程よりも単純であ
ると予想される。冷却過程のガス化反応は、H2O によるガス化反応[2-2]が支配
的であるため、このようなミクロ孔が形成した表面においては、ミクロ内部に
まで拡散状態でガス化が進行する[9]。これらのことから、Fig. 2-4 に示された
58
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
800-500 ℃間の冷却過程における反応時間を変化させることで、他の化学反応の
影響を最小限に抑えた状態で、ミクロ孔構造の細やかな制御が可能になると考
えられる。ガス化に要する時間は、冷却速度を制御することで容易に変化させ
ることが可能である。
本章では、籾殻を原料として、KOH を用いたアルカリ賦活法によりナノポー
ラスカーボンを合成し、冷却速度並びに H2O によるガス化反応の時間が合成さ
れるナノポーラスカーボンの細孔構造にどのように影響を与えるのかを明らか
にする。
2-2
2-2-1
実験方法
籾殻炭の調製
ナノポーラスカーボン試料の原料として、籾殻を利用した。籾殻の調達は、
全国農業協同組合連合会(JA)越後ながおか西カントリーエレベーター(Fig. 2-5
(a))にて行った。籾殻(Fig 2-5 (b))の炭化には回転ドラム式の籾殻燻炭製造機(武
井建設)(Fig. 2-5 (c))を用いた。Fig. 2-5(d)に燃焼室内部の概略図を示す。籾殻ホ
ッパーから燃焼室に供給される籾殻に火種を点火させ、燃焼室内で絶えず火種
が籾殻に移ることで炭化が行われた。ドラム型の燃焼室は、籾殻送給スクリュ
ー、燃焼網と空気口より構成される。燃焼時間及び炭化時間は、この燃焼室を
回転することにより制御した。本装置を用いて、籾殻を炭化し、回収するまで
のプロセスは以下のように行われた。まず、籾殻送給スクリューより籾殻が燃
焼室内に供給され、燃焼炎により籾殻の炭化が開始された。燃焼炎は空気口に
より供給される酸素と籾殻の燃焼炎により維持され、燃焼室の回転により炭化
された籾殻及び籾殻炭は燃焼室出口まで運ばれることにより燻炭排出装置にて
回収された。籾殻の供給量が 42 g/min となるように投入量を調節し、それぞれ
59
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
の炭化時間は 70 s とした。籾殻炭は、自然冷却の後、100 ℃、24 h の条件で乾
燥を行った。Fig. 2-6 に粉砕前の籾殻炭の外観写真を示す。光沢のある黒色を呈
し、籾殻の形状が概ね保たれている状態であった。乾燥後の籾殻炭をミルで粉
砕し、目開き 106 μm メッシュステンレス篩を用いて粉砕、篩分けを行い、粒径
106 m 以上の籾殻炭をアルカリ賦活における原料とした。
2-2-2
KOH 賦活による籾殻由来ナノポーラスカーボンの合成
籾殻炭をアルカリ賦活することにより、ナノポーラスカーボンを合成した。
アルカリ賦活種として、水酸化カリウム(KOH:ナカライテスク、純度 85%以上)
を用いた。粒径 106 m 以上の籾殻炭 5.0 g と KOH 25.0 g を全体が均一になるよ
うに 100 ml ビーカー内で固相混合した。Fig. 2-7(a)に籾殻炭と KOH の混合物の
仕込み状態を示す。混合物をムライト坩堝 (TOP、B 型 30 ml) に導入した。そ
の上部をセラミックスウール (イソウール: イソライト工業) 4.5 g で密封した。
更にそのムライト坩堝を SiC 製坩堝に導入後、周囲を粒子炭で覆い、セラミッ
クスウールで Fig. 2-7(b)に示されるように密閉した。Fig. 2-7(c)に高速昇温炉の外
観を示す。ムライト坩堝を仕込んだ SiC 坩堝を電気炉(モトヤマ、SH-1415C)に
て昇温速度 8 ℃/min、850 ℃で 2 h 焼成処理を行った後、昇温炉内を冷却した。
Fig. 2-8 にアルカリ賦活処理における電気炉内の昇温パターンを示す。加熱終了
時における冷却速度は 850-500 ℃の温度範囲で 3、8、32、953 ℃/min とした。
Fig. 2-9(a)にアルカリ賦活を行った後にムライト坩堝から回収された溶融塩を示
す。溶融塩は、純炭素質と水溶性の炭酸カリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素
カリウムを含む物質である。Fig. 2-9(b) に示されるように、これら水溶性の塩を
洗浄・中和を行うために溶融塩を目開き 53 m の篩内で水洗した。pH 試験紙を
用いて pH9 を示すまで純水を用い、pH7 を示すまで水道水を用いた。中和され
60
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
た試料は、乾燥器にて 120 ℃、24 h の条件で乾燥処理を行った。乾燥処理は Fig.
2-9(c)に示されるように、目開き 53 m の篩内に静置し、穴を開けたアルミホイ
ルで覆った状態で行った。乾燥後の試料の収率は 10%程度であった。以上の籾
殻炭の合成とアルカリ賦活処理、水洗・洗浄処理、乾燥処理により得た試料を
ナノポーラスカーボンとした。
2-2-3
ナノポーラスカーボンの SEM 像、EDX 像観察及び元素分析
ナノポーラスカーボンの微細形状の観察及び元素分布評価にはエネルギー分
散型 X 線分光器(EDX:JED-2201F、日本電子)付き電界放射型走査電子顕微鏡(FE
-SEM:JSM6700F、日本電子)を使用した。試料表面にオートファインコータ
(JFC-1600、日本電子)を用いて Pt を約 5 nm 蒸着した。表面観察と元素分析は、
加速電圧 15 kV、エミッション電流 10 mA、照射電流 11×10-9 A の条件で行った。
また、ナノポーラスカーボン内の SiO2 の含有量は、EDX スペクトルを ZAF 法
を用いて解析することにより算出した。まず、ZAF 法により Si 単体の重量%を
算出した。試料中の Si の重量%C の算出式を以下に示す。
C = G × Cstd × K
(2-1)
K=
(2-2)
I / Istd
G = GZ × GA × GF
(2-3)
G は補正係数、Cstd は標準試料中の元素の重量%、K は試料の特性 X 線強度 Istd
と標準試料の特性 X 線強度 I の強度比とした。また、補正係数 G は、算出式(2-3)
に示されるように、原子番号補正係数 GZ、吸収補正係数 GA、蛍光補正係数 GF
の積として算出された。以上の計算より算出した Si の重量%より、全ての Si が
SiO2 として試料中に存在しているものとして、SiO2 の重量%を算出した。
61
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
2-2-4
ナノポーラスカーボンの TE像、SAED 像観察
電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM:JEM-2010、日本電子)を用いてナノポー
ラスカーボンの TEM 像、制限視野回折(SAED)像を観察した。加速度電圧は
200 kV とした。
2-2-5
ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
ナノポーラスカーボン試料の比表面積、細孔構造と細孔径分布(PSD)、細孔容
積は 77 K における N2 吸着等温線を解析することにより求められた。N2 吸着測
定は高精度比表面積・細孔径分布測定装置(Belsorp-max, 日本ベル)を用いて行わ
れた。測定装置の外観を Fig. 2-10 に示す。N2 圧力を P、N2 飽和蒸気圧を P0 とし、
相対圧力 P/P0 = 0-1.0 の範囲で測定が行われた。得られた吸着等温線から比表面
積 SBET は Brunauer-Emmett-Teller(BET)法[10]を用いて算出された。BET プロッ
トは N2 吸着等温線の相対圧力 P/P0 < 0.1 の範囲で作成し、外挿線の傾きから単
分子層吸着量を求めた。単分子層吸着量から比表面積を求める際、N2 の占有断
面積を 0.162×10-18 m2 とした。全細孔容積 Vtotal は、相対圧力 P/P0 = 0.99 におけ
る N2 吸着量と液体窒素の密度(0.807 g/cm3)から算出された。ミクロ孔の PSD は
Micro-pore (MP)法[11]を用いて解析を行った。ミクロ孔容積 Vmicro は t-plot 法[12]
を用いて算出した。
62
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
2-3
2-3-1
結果と考察
ナノポーラスカーボンの外観
Fig. 2-11(a)、(b)に籾殻炭とナノポーラスカーボンの外観写真を示す。籾殻炭は、
数 100 m 程度の粒径を有する光沢のある板状粒子であった。ナノポーラスカー
ボン試料は、数 10 m 程度の粒径を有する光沢のない粒状粒子であった。籾殻
炭、ナノポーラスカーボン試料はいずれも脆く、指で押しつぶすと容易に粉末
状に粉砕された。また、ナノポーラスカーボンの機械的強度において、KOH 賦
活時の冷却速度の違いによる差異は見いだせなかった。
2-3-2
ナノポーラスカーボンの表面 SEM 像、EDX 像観察
Fig. 2-12(a)、2-13(a)に籾殻炭と冷却速度 32 ℃/ min の条件で合成されたナノポ
ーラスカーボンの表面 SEM 像及び EDX 像を示す。Fig.2-12(a)の籾殻炭の表面
SEM 像において、籾殻炭粒子が籾殻由来の形状を有しており、数 100 m〜数 m
の粒径サイズに破砕されているのが確認された。表面 SEM 像 Fig. 2-13(a)より、
ナノポーラスカーボンの形状は、籾殻炭がさらに破砕された形状に変化し、粒
子表面の籾殻由来の形状が破壊されていることが確認された。これより、アル
カリ賦活により、籾殻炭の表面構造が変化したことが示された。EDX 像より、
籾殻炭及びナノポーラスカーボンの表面における元素分析を行った。分析対象
とした元素は、炭素(EDX-C)、シリコン(EDX-Si)、カリウム(EDX-K)とした。Fig.
2-12(a)の籾殻炭の EDX 像より、炭素とシリコンの信号が強く検出されているこ
とが確認された。さらに、シリコンは籾殻炭表面全体を覆うように存在してい
ることが確認された。これより、シリコンは、籾殻が本来含有するシリカ成分
であると考えられ、籾殻炭表面全体を覆うように存在しているものと推測され
る。一方、Fig. 2-13(a)に示されるナノポーラスカーボンの EDX 像より、炭素の
63
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
信号が試料全体から検出され、シリコンの信号はわずかに分布するのみとなっ
た。これより、ナノポーラスカーボンの表面近傍のシリカ成分はアルカリ賦活
により減少したことが示された。さらに、ナノポーラスカーボンの表面構造の
形状変化は、シリカ成分の除去によるものと推測される。Fig. 2-12(b), 2-13 (b)に
示された籾殻炭とナノポーラスカーボンの EDX スペクトルから、炭素(C)、酸素
(O)、シリコン(Si)のピークが確認された。カリウムのピークは籾殻炭にのみ確認
された。籾殻炭の EDX スペクトルにおいて、シリコンと酸素のピーク強度が炭
素のピーク強度に対して相対的に高く検出された。一方で、ナノポーラスカー
ボンの EDX スペクトルでは、シリコンと酸素のピーク強度が炭素のピーク強度
に対して相対的に低く検出された。これらのピーク強度から、籾殻炭とナノポ
ーラスカーボンにおける炭素とシリカの含有量を ZAF 法により算出した。籾殻
炭では炭素が 59.8 wt.%、シリカが 40.1 wt.%、0.01 wt.%がカリウム等の微量成分
であった。一方、ナノポーラスカーボンでは、炭素が 96.9 wt.%、シリカが 3.0 wt.%、
0.1 wt.%が微量成分であった。これより、籾殻炭内のシリカがアルカリ賦活によ
り約 93%除去されたことが示された。
2-3-3
ナノポーラスカーボンの TEM 像、SAED 像観察
Fig 2-14(a)、(b)に籾殻炭とナノポーラスカーボンの TEM 像と SAED 像を示す。
籾殻炭では、TEM 像のコントラストが強く、観察方向に対して厚みのある構造
であることが見受けられた。籾殻炭を形成する基本構造がグラフェンの積層し
た炭素クラスターとすると、この厚みはグラフェンの積層によるものと考えら
れた。籾殻炭の SAED 像より、2 つのデバイシェラーリングが確認され、それぞ
れ中心からの距離は、0.24、0.15 nm であった。これら中心からの距離は結晶構
造における面間隔に相当する。Riemeijer がポーラスカーボンに対して同様に電
64
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
子線回折像を観察し、0.218-0.280 nm の面間隔において(100)と(101)にそれぞれ
帰属されるとした[13]。ナノポーラスカーボンの回折線像において、中心に近い
リングの距離がこれに相当すると考えられる。さらに、ナノポーラスカーボン
のような乱層構造を主体とする炭素材料では、網平面の積層に規則性がない、
または c 軸方向の規則性が曖昧であるため、(100)と(101)の判別がつかず、(10)
とされる[14]。従って、中心から 0.24 nm の距離にあるデバイシェラーリングは
(10)に帰属された。次に、中心から 0.15 nm の距離にあるリングは、Czigany ら
が報告した黒鉛とグラフェンの(110)と(112)に帰属された 0.12 nm 付近の面間隔
に近い[15]。(100)と(101)と同様に c 軸方向の規則性がないため、(11)と帰属され
る。従って、中心から 0.15 nm の距離にあるデバイシェラーリングは(11)に帰属
された。観察された籾殻炭の SAED 像内のデバイシェラーリングの境界は極め
て曖昧であり、試料の結晶性が低いと見受けられた。これより、グラフェンは
規則正しく積層しているわけではなく、ランダムに様々な方向で折り重なって
いるものと推測された。さらに、グラフェンの面内構造も純粋な六員環で構成
されておらず、欠陥を含んでいるものと予想された。ナノポーラスカーボンの
TEM 像ではコントラストが弱く、籾殻炭よりも薄い構造であることが見受けら
れた。これより、グラフェンの積層数が籾殻炭よりも少ない炭素クラスターが
ナノポーラスカーボン内で形成されていると推測された。ナノポーラスカーボ
ンの SAED 像より、籾殻炭と同様に 2 つのデバイシェラーリングが確認された。
中心からの距離は、それぞれ 0.21、0.12 nm であった。籾殻炭と同様に、Riemeijer
と Czigany らが報告した面間隔と面指数を参考にすると、回折像の中心から 0.21
nm の距離にあるリングは(10)、0.12 nm の距離にあるリングは(11)に帰属された
[13-15]。さらに、ナノポーラスカーボンの回折像内のリングの中心からの距離
は、Czigany らが報告した黒鉛とグラフェンの面間隔 0.24、0.12 nm に近く、籾
65
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
殻炭よりも結晶性が高く、規則性のある積層構造をナノポーラスカーボンが有
していると推測された[15]。
2-3-4
ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
KOH 賦活における冷却過程並びに冷却速度がナノポーラスカーボンの細孔構
造にどのような影響を与えるのかを 77 K における N2 吸着等温線を解析するこ
とにより調査した。Fig. 2-12 に籾殻炭と KOH 賦活により合成されたナノポーラ
スカーボン試料の 77 K における N2 吸着等温線を示す。ナノポーラスカーボン
の N2 吸着等温線は IUPAC の分類[16]と、相対圧 P/P0 < 0.1 における急激な吸着
量の増加すなわちミクロ孔充填現象[17]から、Langmuir 型であることを確認した。
一方、籾殻炭はナノポーラスカーボン試料と比較して、相対圧力の全範囲にお
ける N2 吸着量が極めて小さいことが確認された。これより、ナノポーラスカー
ボン試料がミクロ孔構造を有し、籾殻炭ではミクロ孔構造が未発達であること
が示唆された。ナノポーラスカーボンの吸着等温線において相対圧力 P/P0 > 0.1
における吸着量の緩やかな増加はメソ孔とマクロ孔に対する N2 の吸着を示して
いる [18]。冷却速度 3-32 ℃/min の条件で合成されたナノポーラスカーボンにお
いて、相対圧 P/P0 > 0.1 での吸着量の増加率は冷却速度の違いに関わらず、緩や
かであった。これより、冷却過程の冷却速度は、ナノポーラスカーボンのメソ
孔発達への影響は小さいと考えられる。次にナノポーラスカーボンの細孔構造
について、KOH 賦活の冷却過程における冷却速度の影響を確認するために、比
表面積と PSD を BET 法、MP 法により解析した。Table 2-1 にナノポーラスカー
ボンの細孔構造パラメータを示す。合成されたナノポーラスカーボンにおいて、
籾殻炭よりも比表面積 SBET、全細孔容積 Vtotal が大幅に増大したことから、KOH
賦活によって籾殻炭の細孔構造が発達し、ナノポーラスカーボンが合成された
66
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
ことが確認された。加えて、ナノポーラスカーボンの細孔構造は冷却速度の違
いにより変化した。ナノポーラスカーボンの比表面積は冷却速度が 3 から 953 ℃
/min まで増加すると、1813 から 2411 m2/g まで増加した。さらに、全細孔容積
も冷却速度の増加と共に 0.86 から 1.89 cm3/g に増大した。Fig. 2-16 にナノポー
ラスカーボン試料と籾殻炭のミクロ孔の PSD を示す。籾殻炭のミクロ孔は 0.6
nm 付近に僅かに分布していることが確認された。籾殻炭のミクロ孔容積は 0.12
cm3/g であった。一方、冷却速度 3-32 ℃/min の条件で合成されたナノポーラス
カーボン試料のミクロ孔の分布中心は、直径 0.6、1.1 nm 付近に確認された。冷
却速度 953 ℃/min の条件で合成されたナノポーラスカーボン試料のミクロ孔の
分布中心は、0.6 nm の分布は籾殻炭と同程度の僅かな発達が確認され、1.2、1.5
nm 付近が支配的であった。冷却速度が 3、8、32、953 ℃/min と増加するに従っ
て、直径 0.6 nm 付近の微分細孔容積が、2.26、2.48、2.17、0.35 cm3/g・nm と変化
した。同様に、直径 1.1 nm 付近の微分細孔容積は冷却速度が 3、8、32、953 ℃
/min と増加するに従い、1.49、2.88、4.56、5.05 cm3/g・nm と変化した。これより、
冷却速度の変化に対して、直径 1.1 nm 付近のミクロ孔の発達が顕著であった。
これに対して、直径 0.6 nm 付近のミクロ孔は冷却速度 3-8 ℃/min においては、
発達する傾向を示したが、32-953 ℃/min においては細孔が駆逐される傾向を示
した。Table 2-1 に示されるようにナノポーラスカーボンのミクロ孔容積は、籾
殻炭と比較すると、KOH 賦活により大幅に増加した。さらに、ナノポーラスカ
ーボン試料のミクロ孔容積は冷却速度の増加と共に 0.77 から 1.75 cm3/g に増加
した。これらの結果より、合成されるナノポーラスカーボンの最終的な細孔構
造及びミクロ孔構造が KOH 賦活における冷却過程の冷却速度に依存することが
示唆された。全細孔容積中におけるミクロ孔容積の割合は冷却速度が 3-32 ℃
/min に増加するに伴い、90 から 96%に増加した。953 ℃/min では、ミクロ孔容
67
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
積の割合は 3%減少し 93%となった。これより、ナノポーラスカーボン試料の細
孔構造はミクロ孔構造が支配的であり、冷却速度の増加に伴って、細孔構造中
に占めるミクロ孔構造の割合が増加することが示された。以上のことから、ナ
ノポーラスカーボンのミクロ孔構造の形成は、冷却過程における冷却速度に大
きく影響されることが示された。
KOH 賦活の冷却過程における 800-500 ℃間の冷却速度により、ナノポーラス
カーボンのミクロ孔構造が変化した。このミクロ孔構造の変化は、800-500 ℃間
の冷却過程における反応によって形成されたものと考えられる。800-500℃間の
化学反応は反応式[2-2]、[2-3]、[2-4]に表される H2O によるガス化反応、CO と
H2O の反応、K2O と CO2 による K2CO3 の生成反応である。これらの反応でミク
ロ孔構造を改質しうる反応は H2O によるガス化反応である。従って、加熱終了
時までにカリウム化合物による触媒ガス化反応[2-6]、[2-7]により形成されたミ
クロ孔構造に対して H2O によるガス化反応(2-2)が生じ、ミクロ孔構造が変化し
たものと考えられる。Fig. 2-17 に実際の 850-500 ℃の冷却過程における時間に
対する温度変化を示す。冷却速度が 3、8、32、953 ℃/min と増加するに従い、
800 から 500 ℃に温度低下するのに要した時間は、100、44、9、0.37 min であっ
た。これらの時間はカリウム化合物による触媒ガス化反応[2-6]、[2-7]によって
加熱終了時までに形成されたナノポーラスカーボンのミクロ孔構造が H2O によ
るガス化反応[2-2]に曝された時間に相当するものである。これより、冷却速度
953 ℃/min の条件で合成されたナノポーラスカーボンのミクロ孔構造がカリウ
ム化合物による触媒ガス化反応[2-6]、[2-7]のみによって形成されたと仮定した。
加熱終了までにカリウム化合物による触媒ガス化反応[2-6]、[2-7]により形成さ
れたミクロ孔構造モデルを Fig. 2-18(a)に示す。冷却速度 953 ℃/min の条件のナ
ノポーラスカーボンの PSD より、直径 0.646、1.046、1.446 nm のスリット状の
68
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
ミクロ孔が形成されたものとした。このような炭素質表面に対して H2O による
ガス化反応[2-2]が進行すると、Fig. 2-18(b)に示されるような、H2O によるガス化
反応[2-2]が進行すると考えられる。ガス賦活において、H2O は、ミクロ孔内部
にまで拡散しないため[9]、Fig. 2-18(b)のエッジ部の最表面部から徐々にガス化
が進行すると考えられる。H2O による炭素表面のガス化反応[2-2]により、まず、
1.446 nm のミクロ孔が駆逐され、反応時間の増加とともに、Fig. 2-18(c)のような
1.046、0.646 nm のミクロ孔が残るものと予想される。ナノポーラスカーボンの
PSD は、それに準じるように冷却速度の減少と共に、分布中心が 0.6 nm 付近側
にシフトしている。これより、カリウム化合物による触媒ガス化反応[2-6]、[2-7]
で形成されたミクロ孔構造は、KOH 賦活の冷却過程における H2O のガス化反応
[2-2]により、再度改質されることが示唆された。
次に、この現象について賦活過程の各温度域におけるカリウム化合物と H2O
の炭素質に対するガス化反応について、反応速度論的な考察を加える。カリウ
ム化合物と H2O によるガス化反応の反応速度 v1 と v2 は次のように表される。
v1 = -d[K]/dt = -kK[K]
(2-4)
v2 = -d[H2O]/dt = -kH2O[H2O]
(2-5)
本実験において、冷却速度及び 500-800 ℃間の反応時間によって、形成される
細孔構造が異なったことから、500-800 ℃付近において、反応速度 v1 と v2 の大
小関係が変化したものと予想される。Fig. 2-19 に予想される賦活温度と反応速数
の関係を示す。カリウム化合物と H2O のガス化反応におけるそれぞれの反応速
度は、賦活温度の上昇とともに増加する。温度領域 I(500-800 ℃間)では、H2O
の反応速度がカリウム化合物の反応速度を上回っているために、H2O によるガ
ス化反応が支配的に生じる。一方で、温度領域Ⅱ(850 ℃以上)では、カリウム化
合物によるガス化反応が H2O による反応速度を上回り、Fig. 2-19 のに示される
69
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
ように、反応速度の大小関係が逆転する。これより、アルカリ賦活における冷
却過程において、カリウム化合物と H2O によるガス化反応が同時に進行してお
り、800 ℃で両者の反応速度の大小関係が変化するために、形成される細孔構
造に差が表れたものと推測される。
以上の明らかとなった冷却速度の細孔構造への影響と、ガス化反応による反
応速度定数の温度ごとの変化から、800 ℃を起点としたカリウム化合物と H2O
の変化する反応速度を制御することで、緻密な細孔径形成が冷却過程において
可能になることが見出された。
2-4 結論
籾殻から合成されたナノポーラスカーボンのミクロ孔構造における KOH 賦活
の冷却速度の影響について調査した。比表面積は冷却速度が 3-953 ℃/min と増
加するに伴い、1813-2411 m2/g と増加した。ミクロ孔容積も同様に 0.77-1.79 cm3/g
に増加した。これより、ナノポーラスカーボンのミクロ孔構造は冷却速度の増
加に従って著しく変化したことが確認された。これらの結果より、KOH 賦活の
冷却過程における冷却速度によって、H2O によるミクロ孔構造の再改質を制御
し、ミクロ孔構造を細かく制御できる可能性が見出された。
2-5 参考文献
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70
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
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71
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
H2
0.24 nm
0.28 nm
0.646 nm
水素原子
0.34 nm
CO2
0.46 nm
酸素原子
炭素原子
1.046 nm
1.446 nm
Fig. 2-1. 水素及び CO2 吸蔵用ナノポーラスカーボンの構造.
72
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
温度
温度保持
850
800
冷却
500
加熱
室温
時間
Fig. 2-2. 典型的なアルカリ賦活における昇温パターン.
73
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
温度
850℃
800℃
700℃
K2CO3+C → 2K+3CO
2h
K2O+C → 2K+CO
K2O+H2 → 2K+H2O
*
CO+H2O → H2+CO2
C+H2O → H2+CO
K2O+CO2 → K2CO3
500℃
2KOH → K2O+H2O
室温
時間
*
SiO2+2KOH→K2SiO3+H2O
K2O+SiO2→K2SiO3
Fig. 2-3. アルカリ賦活における昇温パターンと賦活反応の関係.
74
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
H2Oによるガス化反応
C+H2O→H2+CO
温度
反応時間
850
800
500
室温
時間
Fig. 2-4. アルカリ賦活における冷却過程における H2O によるガス化反応時間.
75
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
(b)
(c)
(d)
.
Fig. 2-5. 籾殻の調達と籾殻炭の合成.
(a)JA 越後長岡西カントリーエレベーター, (b)籾殻, (c)回転ドラム式籾殻燻炭製
造機, (d)燃焼室概略図.
76
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
Fig. 2-6. 籾殻炭の外観.
77
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
(c)
(b)
Fig
Fig. 2-7. 籾殻炭のアルカリ賦活処理.
(a)籾殻炭と KOH の混合物, (b)ムライト坩堝の SiC 坩堝への導入, (c)高速昇温
電気炉(モトヤマ, SK-2535E-OP)
78
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
温度
加熱終了
2h
850℃
500℃
室温
8 ℃/min
A
B C
冷却速度
A:953℃/min
B:32℃/min
C:8℃/min
D D:3℃/min
時間
Fig. 2-8. アルカリ賦活処理における昇温パターン.
79
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
Fig. 2-9. 洗浄・中和.
(a) 賦活後の生成物(溶融塩), (b)洗浄方法概略図, (c)乾燥処理概略図
80
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
Fig. 2-10. 高精度比表面積・細孔径分布測定装置(Belsorp-max, 日本ベル).
81
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
(b)
Fig. 2-11. (a)籾殻炭と(b)ナノポーラスカーボンの外観.
82
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
(b)
2200
2000
1800
Si
1600
Count
1400
1200
1000
800 CO
600
400
200
0
0.0
K
1.0
2.0
3.0
4.0 5.0 6.0
Energy (keV)
7.0
8.0
9.0
10.0
Fi.g 2-12. 籾殻炭の(a)表面 SEM 像と EDX 像、
(b)EDX スペクトル.
83
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
(b)
2100
C
1800
Count
1500
1200
900
600
300
Si
O
0
0.0
1.0
2.0
K
3.0
4.0 5.0 6.0
Energy (keV)
7.0
8.0
9.0
10.0
Fi.g 2-13. ナノポーラスカーボンの(a)表面 SEM 像と EDX 像、
(b)EDX スペクトル.
84
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
(b)
Fig. 2-14. TEM 像と SAED 像.
(a)籾殻炭、(b) ナノポーラスカーボン.
85
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
1400
N2吸着量, Va (cm3/g)
1200
1000
800
600
400
953℃/min
32℃/min
8℃/min
3℃/min
籾殻炭
200
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
相対圧力, P/P0
1.0
Fig. 2-15. 籾殻炭とナノポーラスカーボンの 77 K における N2 吸着等温線.
86
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
Table 2-1 籾殻炭とナノポーラスカーボンの細孔構造
冷却速度
(℃/min)
籾殻炭
3
8
32
953
SBET
(m2/g)
220
1813
1978
2374
2411
Vtotal
(cm3/g)
0.17
0.86
1.00
1.29
1.89
Vmicro
(cm3/g)
0.12
0.77
0.94
1.24
1.75
Vmicro/Vtotal×100
(%)
73
90
94
96
93
87
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
dVp/d(dp) (cm3/g・nm)
6.0
5.0
4.0
953℃/min
32℃/min
8℃/min
3℃/min
籾殻炭
3.0
2.0
1.0
0.0
0.0
0.4
0.8
1.2
1.6
細孔直径, dp (nm)
2.0
Fig. 2-16. 籾殻炭とナノポーラスカーボンの PSD.
88
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
900
H2Oによるガス化反応時間
850
953℃/min
32℃/min
8℃/min
3℃/min
温度 (℃)
800
750
0.37 min
9 min
44 min
100 min
700
650
600
550
500
0
50
100
時間 (min)
150
Fig. 2-17. アルカリ賦活の冷却過程における温度変化と
H2O ガス化反応に要する時間.
89
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
(a)
1.446 nm
1.046 nm
0.646 nm
(b)
H2O
C
H2
CO
H2O
CO
H2
C
(c)
1.046 nm 0.646 nm
Fig. 2-18. H2O ガス化反応による細孔構造形成モデル
(a) 加熱終了時のナノポーラスカーボンの構造, (b)H2O によるガス化反応による
ナノポーラスカーボンの構造改質, (b)最終的に形成されるナノポーラスカー
ボンの細孔構造.
90
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
反応速度 v
vK < vH2O
温度領域I
vK > vH2O
温度領域Ⅱ
vH2O
vK
500
800 1100
賦活温度 (℃)
Fig. 2-19. 賦活温度と反応速度 v の関係.
91
第 2 章 KOH 賦活における冷却過程がナノポーラスカーボンの
細孔構造に及ぼす影響
92
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
第 3 章
ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力にカリウム系賦活が
及ぼす影響
3-1 緒言
近年、化石燃料や原子力に変わる新たなエネルギー源の開発が盛んに行われ
ている。理想的なエネルギー源は、再生可能であること、二酸化炭素や大気汚
染物質を排出しない等の特徴を有することが望ましい。水素はこの理想的なエ
ネルギー源の 1 つであると考えられる。水素は、地球上に豊富に存在し、使用
時に汚染物質を排出しないことに加え、炭化水素系の燃料よりもエネルギー密
度(33 kWh/kg)が高いため、極めて理想的なエネルギー担体であると考えられる
[1]。この水素をエネルギー源として利用するために、水素利用技術の開発が盛
んに行われている。水素利用技術の分野は、水素製造、輸送、貯蔵の 3 つに分
けられる。我々は、これらの分野の内、水素貯蔵技術に着眼して研究を行って
きた。
水素を貯蔵する方法は、液体水素、圧縮水素、水素吸蔵合金、炭素材料を用
いた方法がある。液体水素は、23.4 K 以下まで水素を冷却し、液体として水素
貯蔵する方法である。この手法は、極低温を維持し続ける必要があるため、冷
却に必要となるエネルギーのコストがかかってしまう[2]。圧縮水素は、炭素繊
維強化プラスチックで補強した高圧ボンベに 35-70 MPa 程度の圧力で水素を充
填する方法である[2, 3]。この手法は高圧に耐えるために炭素繊維強化プラスチ
ック等を用いた特殊なタンクを使用する必要があるため、貯蔵タンクのコスト
が高くなってしまう。その上、極めて高圧の水素を貯蔵するため、水素脆性破
壊や水素漏洩などの安全面において不安が残る。水素吸蔵合金は、金属材料の
結晶格子の内部に水素が侵入することによって水素を貯蔵する方法である[4]。
93
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
この手法は材料中から水素を放出する際、200 ℃程度まで加熱する必要があり、
その分のエネルギーコストがかかってしまう。加えて、繰り返し使用するごと
に水素吸蔵-放出性能が劣化する欠点があるため、実用上の問題を抱えている。
一方で、炭素材料は軽量かつ繰り返し吸蔵-放出特性にすぐれ、水素貯蔵材料と
して優れた特性を有している。これまで、炭素材料はナノ構造が発達したカー
ボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー、ナノポーラスカーボンの研
究開発が行われてきた[5-9]。
ナノポーラスーボンは、内部に細孔が発達した高比表面積の炭素材料である。
ナノポーラスカーボンは細孔直径 2 nm 以下のミクロ孔、2-50 nm のメソ孔、50 nm
以上のマクロ孔を有している[10]。ナノポーラスカーボンの吸着能力はこれらの
細孔構造によるものである。特にガス分子の吸着では、ミクロ孔やメソ孔が吸
着サイト、流路として作用する[11]。ナノポーラスカーボンの水素吸蔵は、比表
面積、ミクロ孔容積に依存し、特にミクロ孔を発達させることで吸蔵量を増加
させることができる[12]。ナノポーラスカーボンのミクロ孔構造を発達させる手
段として、アルカリ賦活法がある。アルカリ賦活法は、炭素材料のアモルファ
ス炭素クラスターのエッジ部を触媒ガス化反応によりエッチングする手法であ
る[13]。この手法により、炭素クラスター中にスリット状のミクロ孔を形成する
ことができる。我々は、これまでに籾殻由来ナノポーラスカーボンのミクロ孔
容積がアルカリ金属の濃度増加に対して増加する傾向を示し、同様に水素吸蔵
量も増加したことを報告した[14]。
アルカリ賦活法は水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを賦活種として大量に
用いる。これらの賦活種は毒性が高く、多量に廃棄されると環境問題に発展す
る可能性がある。従って、これに代わる環境負荷の小さい賦活種が求められる。
炭酸カリウム(K2CO3)は、一般的に KOH よりも毒性が低く安全に取り扱うこと
94
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
ができる賦活種である[15]。K2CO3 を用いたアルカリ賦活によるナノポーラスカ
ーボンの合成について、報告されている。Hayashi らは、雛豆の皮や堅果の殻か
ら K2CO3 を用いたアルカリ賦活によりミクロ孔が優先的に発達したナノポーラ
スカーボンを合成した[16]。Carvalho らは、K2CO3 水溶液を含侵させた廃石炭を
加熱することでナノポーラスカーボンを合成した[17]。本研究では、K2CO3 と
KOH を用いたアルカリ賦活法により籾殻由来ナノポーラスカーボンを合成し、
細孔構造と水素吸蔵特性を評価した。カリウム系賦活種が籾殻由来ナノポーラ
スカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に与える影響について明らかにした。
3-2. 実験方法
3-2-1 ナノポーラスカーボンの合成
ナノポーラスカーボンは籾殻炭からアルカリ賦活により合成された。籾殻炭
は市販されているものを利用した。アルカリ賦活種として、KOH と K2CO3 を用
いた。籾殻炭とアルカリ賦活種は物理混合された。籾殻炭とアルカリ賦活種の
重量比は 1:3 とした。籾殻炭とアルカリ賦活種の混合物は 850 ℃、2 h の条件
で加熱された。得られたナノポーラスカーボンは純水により中和し、120 ℃、
2
h の条件で乾燥処理を行った K2CO3 と KOH を用いたアルカリ賦活処理によ
り合成されたナノポーラスカーボンをそれぞれ AC-KCO、AC-KOH とした。
3-2-2
ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
アルカリ賦活により得られたナノポーラスカーボンの N2 吸着等温線が
Belsorp-max(日本ベル)を用いて 77 K で測定された。N2 吸着の測定前に、真空排
気下 200 ℃、10 h の条件で脱気処理を行った。ナノポーラスカーボンの比表面
積 SBET は、N2 吸着等温線から Brunauer-Emmet-Teller (BET)法により算出した[18]。
95
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
全細孔容積 Vtotal は、N2 吸着等温線の相対圧力 P/P0=0.99 の時の N2 吸着量から、
密度を液体窒素として算出した。試料のメソ孔の細孔径分布とメソ孔容積 Vmeso
は Ballet-Joyner-Halenda (BJH) 法により求めた[19]。試料のミクロ孔の細孔径分
布とミクロ孔容積 Vmicro は Micro-pore (MP)法により解析した[20]。
3-2-3
ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性評価
ナノポーラスカーボンの水素吸蔵量は、JIS7201 に準じる容量法により測定し
た。Fig. 3-1 に水素吸蔵量測定装置 PCT-C08-01 (ヒューズテクノネット)の概略図
を示す。まず試料管に測定試料として約 0.4 g のナノポーラスカーボンを仕込ん
だ。試料の脱ガス処理を真空排気下(10-3 Torr 以下)、423 K、1 h の条件で行った。
その後、試料管は恒温槽を用いて 298 K に保持された。測定時の条件は水素平
衡圧 0-12 MPa とした。算出において、籾殻炭とナノポーラスカーボンに含有さ
れる SiO2 の含有量を考慮した。籾殻炭とナノポーラスカーボンの SiO2 の含有量
はそれぞれ 40.1、3.0 wt.%とした。
3-3 結果と考察
3-3-1 ナノポーラスカーボンの細孔構造
Fig. 3-2 に試料の 77 K における N2 吸着等温線を示す。これらの試料の吸着等
温線は IUPAC に分類される Langmuir 型を示した[21]。相対圧力 P/P0 < 0.1 にお
いて、吸着量が急激に増加した。これは、試料のミクロ孔内でミクロ孔充填現
象が生じたことを示すものである。相対圧力 P/P0 > 0.1 の領域では、緩やかに
N2 の吸着量が増加した。これは、N2 のメソ孔への吸着を示すものである。Table
3-1 に試料の細孔構造並びに比表面積と全細孔容積を示す。籾殻炭の比表面積は
12 m2/g、全細孔容積は 1.4×10-2 cm3/g であった。AC-KCO と AC-KOH の比表面
96
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
積は 1165、1246 m2/g であった。AC-KCO と AC-KOH の全細孔容積は、それぞ
れ 0.77、0.63 cm3/g であった。これより、カリウム系賦活種である K2CO3 と KOH
を用いて籾殻炭をアルカリ賦活したことで、比表面積が増加したことが示され
た。各試料の比表面積と全細孔容積は、ミクロ孔構造又はメソ孔構造の発達に
伴い増加したことが示唆された。Fig. 3-3 に各試料のメソ孔の細孔径分布を示す。
籾殻炭のメソ孔領域における細孔径分布はほとんど見られなかった。一方、
AC-KCO と AC-KOH のメソ孔は、2、8、20 nm 付近に分布した。Table 3-1 に示
されるように、籾殻炭のメソ孔容積は 1.8×10-2 cm3/g であった。AC-KCO と
AC-KOH のメソ孔容積は、それぞれ 0.39、0.19 cm3/g と算出された。これより、
籾殻炭にカリウム賦活を行ったことにより、メソ孔構造が発達したことが確認
された。
Fig. 3-4 に各試料のミクロ孔の細孔径分布を示す。籾殻炭の細孔径分布は、ミ
クロ孔領域において確認できなかった。AC-KCO と AC-KOH のミクロ孔は、0.6、
1.2、1.4 nm 付近に分布した。Table 3-1 に示されるように籾殻炭のミクロ孔容積
は 2.6×10-3 cm3/g であった。AC-KCO と AC-KOH のミクロ孔容積はそれぞれ 0.47
cm3/g、0.53 cm3/g であった。これより、籾殻炭にカリウム賦活を行ったことによ
り、ミクロ孔構造が発達したことが確認された。 以上の結果から、籾殻炭に対
して K2CO3 賦活するとミクロ孔構造とメソ孔構造が同程度発達し、KOH 賦活す
るとミクロ孔構造が優先的に発達することが見出された。
3-3-2
ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
Fig. 3-5 に 298 K における籾殻炭とナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性を示
す。籾殻炭の水素吸蔵量は、水素平衡圧力の増加と共に増加した。水素平衡圧
力 11 MPa での籾殻炭の水素吸蔵量は 0.16 wt.%を示した。SiO2 含有量を考慮し
97
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
た場合は、0.39 wt.%となった。同様に、ナノポーラスカーボン AC-KCO と
AC-KOH の水素吸蔵量も水素平衡圧力の増加と共に増大した。AC-KCO の最大
水素吸蔵量は、平衡圧力 11 MPa で 0.43 wt.%を示した。SiO2 含有量を考慮した
場合もほぼ 0.44 wt.%となった。一方、AC-KOH は、平衡圧力 11 MPa で 0.57 wt.%
と AC-KCO よりも大きい水素吸蔵量を示した。同様に、SiO2 含有量を考慮した
場合も、ほぼ 0.59 wt.%となった。これらの結果から、メソ孔とミクロ孔が発達
した AC-KCO よりも、ミクロ孔が優先的に発達した AC-KOH の方が室温におけ
る水素吸蔵能力が高いことが確認された。これより、ナノポーラスカーボンの
ミクロ孔は、水素吸蔵能力に対する影響が大きく、メソ孔はほとんど影響を受
けないことが示された。従って、ナノポーラスカーボンのミクロ孔を優先的に
発達させるカリウム賦活種として K2CO3 よりも KOH の方が適当であることが示
唆された。
3-4 結論
K2CO3 と KOH を用いたアルカリ賦活により、籾殻炭からナノポーラスカーボ
ンを合成し、細孔構造と水素吸蔵特性を明らかにした。K2CO3 賦活により合成
したナノポーラスカーボンは、メソ孔とミクロ孔が同程度発達した構造を有し
ていた。KOH 賦活により合成されたナノポーラスカーボンは、ミクロ孔構造が
支配的な構造を有していた。K2CO3 賦活で得られたナノポーラスカーボンの室
温における水素吸蔵量は 0.43 wt.%、KOH 賦活により得られたナノポーラスカー
ボンは 0.53 wt.%を示した。これより、水素吸蔵利用を目的としたミクロ孔構造
を有したナノポーラスカーボンを合成するときに用いるアルカリ賦活種は KOH
が適当であることが示された。
98
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
3-5 参考文献
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Meesoporous Mater., 55 (2002) 63-68.
99
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
[17] A.P. Carvalho, M. Gomes, A.S. Mestre, J. Pires, M.B. de Carvalho, Carbon, 42
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45-53.
[21] IUPAC. Manual of symbols and terminology (1972).
100
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
H2
V1
恒温槽
Hydrogen
水素貯留室
Reservoir
V2
試料管
Fig. 3-1. .水素吸蔵量評価装置の概略図.
101
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
600
N2吸着量 (cm3/g)
500
AC-K2CO3
AC-KOH
籾殻炭
400
300
200
100
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
相対圧力, P/P0
1.0
Fig. 3-2. 籾殻炭とナノポーラスカーボンの N2 吸着等温線.
102
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
Table 3-1. 籾殻炭と活性炭試料の細孔構造.
Sample
籾殻炭
AC-K2CO3
AC-KOH
SBET (m2/g)
12
1165
1246
Vtotal (cm3/g)
1.4×10-2
0.77
0.63
Vmeso (cm3/g)
1.8×10-8
0.39
0.19
Vmicro (cm3/g)
2.6×10-3
0.47
0.53
103
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
0.05
AC-K2CO3
AC-KOH
籾殻炭
dVp/d(dp) (cm3/g)
0.04
0.03
0.02
0.01
0.00
0
10
40
20
30
細孔直径, dp (nm)
50
Fig. 3-3. 籾殻炭とナノポーラスカーボンのメソ孔領域における細孔径分布.
104
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
3.5
AC-K2CO3
AC-KOH
籾殻炭
dVp/d(dp) (cm3/g・nm)
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
0.0
0.4
0.8
1.2
1.6
細孔直径, dp (nm)
2.0
Fig. 3-4. 籾殻炭とナノポーラスカーボンのミクロ孔領域における細孔径分布.
105
第 3 章 ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵能力に
カリウム系賦活が及ぼす影響
0.7
AC-K2CO3
AC-KOH
籾殻炭
水素吸蔵量 (wt.%)
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
0
2
4
6
8
10
平衡圧力 (MPa)
12
Fig. 3-5. 298 K における籾殻炭とナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性.
106
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
第4章
4-1
ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
緒言
発電所や工場などの施設において化石燃料を燃焼させた場合に放出される二
酸化炭素(CO2)を削減するため、これを回収・貯留技術(CCS:Carbon dioxide
Capture and Storage)に関する研究が盛んに行われている[1]。CCS とは気体として
大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素(CO2)を人為的に集
め、地中・水中などに封じ込める技術である。CCS 技術として、物理吸着法が
ある。固体吸着材料に CO2 を選択的に吸着させ、分離・回収する方法である。
さらに、圧力を変化させて CO2 を選択的に分離・回収を行う方法を PSA(Pressure
swing adsorption)法という[2]。PSA 法には固体吸着材料による吸着質の物理吸着
現象が利用されるため、低エネルギーかつ低コストに導入できる CO2 回収シス
テムとして注目されている。固体吸着材料には、ゼオライト、炭素材料、メソ
ポーラスシリカ、金属有機構造体(MOF)、共有結合有機構造体(COF)等が用いら
れる[3]。近年、MOF が従来の炭素材料やゼオライトよりも高い CO2 吸着性能を
示す報告がなされている。一方、炭素材料は耐アルカリ性、耐塩基性、高疎水
性、高温安定性、低コスト等の利点があるため、実用面において MOF よりも将
来性があると考えられる[4]。
炭素材料の 1 つであるナノポーラスカーボンは、前段の通り、他の吸着質と
比較して熱的安定性に優れ、低コストに合成できる利点がある。また、ナノポ
ーラスカーボンは、産業廃棄物、木質材料、様々なバイオマス資源から合成さ
れるため、原料種に起因した細孔構造を形成させた状態で合成される[5]。PSA
法に利用される固体吸着材料には、高い CO2 の吸着能力が求められ、ナノポー
ラスカーボンのような炭素材料においては、2 nm 以下の細孔サイズを有するミ
107
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
クロ孔を発達させる必要がある。CO2 の吸着サイトとなるミクロ孔の容積をでき
るだけ大きくし、CO2 の分子径(0.34 nm)に適した細孔サイズを有するミクロ孔を
ナノポーラスカーボン内に形成する必要がある[6,7]。Meng らは、様々なナノポ
ーラスカーボンのミクロ孔の細孔直径と CO2 吸着量を比較し、1-2 nm 付近の細
孔直径を有するミクロ孔において、高い CO2 吸着能力を示す傾向を示唆してい
る[8]。これより、CO2 吸着能力の優れたナノポーラスカーボンの細孔構造モデ
ルは Fig. 4-1 のように、炭素クラスター内のグラフェンシート 3-4 層分のエッジ
が選択的にエッチングされた構造が想定される。賦活によって、このようなミ
クロ孔構造をナノポーラスカーボン内に形成するためには、炭素クラスタのー
エッジ部のガス化によるミクロ孔個々の形成ではなく、個々のミクロ孔の形成
に加えてミクロ孔同士を連結させるガス化反応が必要である。この発達したミ
クロ孔同士を連結するガス化反応は、アルカリ賦活法により達成できると考え
られる。アルカリ賦活において、炭素質原料に添加する賦活種の量を増加させ
ることにより、ミクロ孔領域における細孔径分布の分布中心は、2 nm よりにシ
フトする傾向がある。この性質から、大過剰のアルカリ賦活種を添加した状態
でアルカリ賦活を行うことで、1.0-2.0 nm 付近の細孔直径を有するミクロ孔を形
成できると考えられる。
本章では、籾殻炭から水酸化カリウム(KOH)を用いたアルカリ賦活法により、
CO2 吸着能力の優れたナノポーラスカーボンを合成することを目的とした。まず、
KOH の添加量の細孔構造への影響を明らかにし、ナノポーラスカーボンの細孔
構造と CO2 吸着能力を評価し、CH4/CO2 混合ガス下における CO2 の選択的吸着
能力を評価した。
108
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
4-2 実験方法
4-2-1
ナノポーラスカーボンの合成
ナノポーラスカーボン試料は籾殻炭をアルカリ賦活することにより合成した。
水酸化カリウム(KOH)をアルカリ賦活種として用いた。籾殻炭は 106-355 m に
篩い分けを行った。籾殻炭と KOH の混合物は坩堝に封入した。KOH と籾殻炭
の重量比を 0, 5, 6, 7 倍(RH-R, RH-5, RH-6, RH-7)とした。混合物は 850 ℃、2 h
の条件で加熱された。アルカリ賦活後、試料を pH7 まで中和されるまで洗浄を
行った。中和洗浄後に 100 ℃、24 h で乾燥処理を行い、ナノポーラスカーボン
試料を得た。
4-2-2
ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
ナノポーラスカーボンの比表面積、細孔径分布、細孔容積などの細孔構造パ
ラメータは 77 K にて N2 吸着等温線を解析することにより評価した。高精度比
表面積・細孔径分布測定装置(BELSORP-max, 日本ベル)を使用して 77 K におけ
る N2 吸着等温線を測定した。測定前にロータリーポンプとターボ分子ポンプに
よる真空排気を行いながら、脱ガス処理を 200 ℃、10 h の条件で行った。77 K
における飽和蒸気圧を P0、吸着平衡圧を P として、相対圧 P/P0 に対する N2 吸
着量を測定した。ナノポーラスカーボンの比表面積 SBET は、N2 吸着等温線を
Brunauer-Emmet-Teller(BET)法により解析することより算出した[9]。全細孔容積
Vtotal は相対圧力 P/P0 = 0.99 の時の吸着量と液体窒素の密度(0.807 g/cm3)から算出
した。メソ孔容積 Vmeso は Barett-Joyner-Halenda(BJH)法により算出した[10]。ミク
ロ孔領域の細孔径分布、ミクロ孔容積 Vmicro は Micro-pore (MP)法により解析した
[11]。
109
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
4-2-3
ナノポーラスカーボンの CO2 吸着特性評価
CO2 吸着量は Fig. 4-2 に示される自作したジーベルツ装置を用いて測定した。
吸着装置は前室と試料セルから構成され、ナノポーラスカーボン試料は試料セ
ル(96 ml)内に導入した。ナノポーラスカーボンの脱ガス処理を行うために、V4
を開放後、試料を 423 K、1 h の条件で真空加熱処理を行った。その後、V4 を閉
じて V1, V2 を開放して前室に初期導入圧力 P として CO2 を 2.0 MPa 導入し、V1
を閉じた後 V3 を開放して試料セル内に CO2 を導入した。開放と同時に CO2 圧力
の変化を測定した。測定温度は 293 K、測定時間は 2000 秒とした。2000 秒後の
測定系内の平衡圧力を Ps とした。試料セル内が空の状態(Blank)においても同様
の測定を行い、平衡圧力 Pb を測定した。
ナノポーラスカーボン試料の CO2 吸着量は、ファンデルワールス状態方程式
によるモル体積と圧力の補正を行った後、算出された。ファンデルワールスの
状態方程式は、
(4-1)
で表される。このとき、T は測定温度、n は吸着質のモル数である。モル体積を
Vm=V/n として、(4-1)式は以下のように変形される。
(4-2)
CO2 のファンデルワールス定数は、a=3.592 atm L-2 mol-2、b=0.04267 L mol-1、気
体定数は R=8.206 L atm K-1 mol-1 とし、(4-2)式を P と Vm を変数とする三次方程
式とした。試料室内が空の状態で測定されたブランク平衡圧力 Pb を代入し、
110
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
3 次方程式を解くことにより、モル体積 Vm が求められる。これより、ブランク
平衡圧力 Pb=1.86 MPa、温度 293 K の時のモル体積は 1.86 L/mol と算出された。
試料 1 g 当たりの圧力減少量P (MPa/g)は、
(4-3)
となる。Pb は初期導入圧力 P とブランクの平衡圧力 Pb の差を示し、Ps は試料
セルに試料を導入した場合の初期導入圧力 P と平衡圧力 Ps の差を示す。ms は試
料の重量とした。モル体積 Vm とP より CO2 吸着量は、
WCO2
(4-4)
と表される。Vequ.(=0.255 L)は吸着装置内の容積、MCO2 は CO2 のモル質量(=44 g
mol-1)である。各ナノポーラスカーボン試料における CO2 吸着量は、吸着実験か
ら求めたP を(4-4)式に代入することで算出された。さらに、算出において、籾
殻炭とナノポーラスカーボンに含有される SiO2 の含有量を考慮した。籾殻炭と
ナノポーラスカーボンの SiO2 の含有量はそれぞれ 40.1、3.0 wt.%とした。
4-2-4
ナノポーラスカーボンの CO2/CH4 混合ガス吸着実験
ナノポーラスカーボンの CH4 共存下における CO2 の選択的吸着性能を評価す
るために、CO2 と CH4 がモル比 50 : 50 で混合された混合ガスの吸着実験とガス
クロマトグラフィーを行った。評価するナノポーラスカーボン試料として RH-5
を選択した。混合ガスの吸着測定は、CO2 吸着測定と同様に Fig. 4-2 に示された
ジーベルツ型の装置を用いて行った。測定前に、ナノポーラスカーボンを 423 K、
111
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
1 h の条件で真空加熱処理を行った。温度 293 K、圧力 0.98 MPa とした。測定は、
CO2 ガスの測定手順と同様に行った。吸着測定後、Fig. 4-2 に示されるジーベル
ツ装置内の V3、V4 バルブを開閉することにより、サンプリングバッグ(スマート
パック PA、GL サイエンス)を用いて、試料ガスを採取した。採取した試料ガス
の CO2 と CH4 の濃度はガスクログラフ(GC-2014、島津製作所)を用いて分析した。
ガスクロマトグラフの概略図を Fig. 4-3 に示す。試料ガスの検出器として、熱伝
導度検出器(TCD:Thermal Conductivity Detector)を用いた。カラムは、モレキュ
ラーシーブと樹脂カラムを混合したパックドカラム(WG-100、GL サイエンス)
を用いた。試料ガスはマイクロシリンジを用いてサンプリングバッグから 50 l
採取した後、ガスクロマトグラフに導入した。キャリアガスとして He(純度:
99.9999%以上)を用い、流量を 50 ml/min とした。気化室、カラム、検出器の温
度は、それぞれ 70、40、120 ℃に設定した。試料ガス内の CO2、CH4 の濃度は、
ガスクロマトグラムのピーク面積により算出された。算出は、Fig. 4-4 に示され
た CO2、CH4 の濃度に対するピーク面積の検量線を用いた。
4-3 結果と考察
4-3-1 ナノポーラスカーボンの細孔構造
Fig. 4-5 に籾殻から合成したナノポーラスカーボン試料の N2 吸着等温線を示
す。ナノポーラスカーボン RH-R、RH-5、6、7 の吸着等温線は IUPAC に分類さ
れる I-B 型を示した[12]。I-B 型吸着等温線はミクロ孔構造を有するナノポーラ
スカーボンにおいて観察される。これらの N2 吸着等温線を解析することにより、
比表面積、全細孔容積、ミクロ孔容積、メソ孔容積を算出した。Table 4-1 に算
出結果を示す。KOH を添加せずに加熱処理を行った試料 RH-R の比表面積は 152
m2/g、全細孔容積は 0.14 cm3/g、ミクロ孔容積は 0.004 cm3/g、メソ孔容積は 0.009
112
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
cm3/g であった。一方、KOH を添加してアルカリ賦活を行って合成したナノポ
ーラスカーボン試料の比表面積、細孔容積は大幅に増大した。比表面積は KOH
を用いたアルカリ賦活により 2060-2770 m2/g に増大した。全細孔容積は、
1.67-3.08 cm3/g に増大した。同様に、ミクロ孔容積とメソ孔容積も 1.46-2.27 cm3/g、
1.04-2.67 cm3/g にそれぞれ増加した。これより、試料 RH-5、6、7 は試料 RH-R
よりも比表面積、細孔容積が極めて大きく、アルカリ賦活による比表面積の増
加、細孔構造の発達が顕著であることが確認された。各試料のミクロ孔領域の
細孔径分布を Fig. 4-6 に示す。加熱処理のみを行った RH-R では、ミクロ孔領域
における細孔の発達は見られなかった。一方、RH-5 は直径 1.0-1.2 nm のミクロ
孔の発達が確認された。RH-6 は直径 1.0-1.2 nm 付近のミクロ孔に加えて、1.5-1.7
nm 付近のミクロ孔の発達が確認された。さらに、RH-7 は 1.5-1.7 nm 付近のミク
ロ孔が極めて優先的に発達したことが確認された。Table 4-2 に CO2 吸着を目的
として研究対象となった他のナノポーラスカーボンの細孔構造を示す[7, 13-21]。
これらの試料群の中で本研究のナノポーラスカーボン RH-7 は全細孔容積が極
めて大きいことが確認された。次に試料 RH-R とミクロ孔構造が発達した試料
RH-5、RH-6、RH-7 の CO2 吸着特性を評価した。
4-3-2 ナノポーラスカーボンの CO2 吸着特性
Fig. 4-7 に空の試料セルと試料を導入した試料セルに CO2 を加圧した際の圧力
の経時変化を示す。試料セル内が空の状態を Blank、試料が導入された状態を
RH-R、5、6、7 と表記した。前室から試料セルに CO2 を導入することにより、
測定系内の圧力が経時的に減少し、やがて一定圧力となることが確認された。
このときの測定された初期導入圧力 P と平衡圧力 Pb 及び Ps の差Pb とPs を
Table 4-3 に示す。これらの数値と式(4-3)を用いて圧力変化量P を算出した。
113
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
Table 4-3 に示されるように、RH-5、6、7 の圧力変化量は RH-R と比較して明ら
かに大きいことが示された。さらに、P と式(4-4)を用いて各試料の CO2 吸着量
WCO2 を算出した。Table 4-3 に示されるように、RH-R、RH-5、RH-6 と RH-7 の
CO2 吸着量は CO2 平衡圧力 1.24 MPa において、それぞれ 98、541、656、838 mg/g
であった。試料が含有する SiO2 量を考慮し純粋な炭素量に対する CO2 吸着量と
すると、それぞれ 238、557、676、863
mg/g となった。本研究で合成されたナ
ノポーラスカーボンの CO2 吸着能力は、Table 4-2 に示された報告値であるカー
ボンモレキュラーシーブ(VR-93)に次いで、大きい結果となった。Fig. 4-8 に比表
面積と CO2 吸着量の関係をプロットした。比表面積の増加と共に CO2 吸着量が
増加する傾向が確認された。一方で、比表面積 2220 m2/g の RH-5 よりも RH-6
の方が CO2 吸着量が大きいことが確認された。これより、ナノポーラスカーボ
ンの CO2 吸着能力が比表面積にのみ依存しないことが示された。Fig. 4-9 にメソ
孔容積とミクロ孔容積に対する CO2 吸着量の関係をプロットした。ナノポーラ
スカーボンの CO2 吸着量は、ミクロ孔容積、メソ孔容積と比例関係にあること
が示唆された。特に、CO2 吸着量の増加量はメソ孔の増加量よりもミクロ孔容積
の増加量に対しての方が大きい傾向が示された。これより、CO2 吸着能力はナノ
ポーラスカーボンのミクロ孔構造に強く影響を受けていることが示唆された。
さらに、Fig. 4-10 の挿入図 A に示されるように、ナノポーラスカーボンの平均
の細孔直径 Dave が 1.5-2.22 nm に増加するとともに、CO2 吸着量も同時に増加し
たことが確認された。ナノポーラスカーボンの CO2 吸着能力は、ミクロ孔に強
く影響を受けるが、その細孔のサイズは 2 nm 付近のメソ孔に近い大きさである
ことが予想される。Meng らは、様々なポーラスカーボンの平均の細孔直径と
CO2 吸着量について報告している[8]、Fig. 4-10 に示されるように、平均の細孔
直径が 2 nm 付近に近づくにつれて、CO2 吸着量が増大する傾向があることを示
114
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
した。これより、ナノポーラスカーボンの CO2 吸着能力は、ミクロ孔とメソ孔
の中間程度(2 nm 付近)の細孔に依存し、KOH 添加量が重量比で原料の 7 倍の条
件で合成された RH-7 が、その条件を満たすものと考えられる。
次にミクロ孔内部に吸着した CO2 の吸着状態について考察した。試料のミク
ロ孔内に CO2 が全て吸着していると仮定し、吸着 CO2 密度を算出した。Table 4-1
に示された RH-5、RH-6、RH-7 のミクロ孔容積から、各試料の CO2 吸着密度は、
それぞれ 0.399、0.421、0.374 g/cm3 と算出された。算出された密度は理想的な液
体 CO2 の密度(0.770 g/cm3)の 48-55%に相当した。これより、気体状態の密度
(0.009 g/cm3)より極めて大きい密度であることから、ミクロ孔内に凝集状態で充
填されている、または多層吸着している可能性が示唆された。さらに算出され
た密度は超臨界状態の CO2 の密度(0.469 g/cm3)に近いことから、ミクロ孔内に吸
着された CO2 は超臨界状態に近い状態で存在している可能性が示唆された。
ナノポーラスカーボン内に CO2 分子が実空間より高い密度及び超臨界状態の
密度で吸着されたメカニズムについて考察する。Fig. 4-11 に細孔径 dp=1.1、1.5 nm
のスリット型ミクロ孔内における CO2 分子の吸着状態のモデルを示す。dp = 1.1
nm のミクロ孔では、細孔壁から CO2 分子が受けるポテンシャル曲線がほぼ細孔
中心で重なるため、Fig.1-15(b)に示されるようにポテンシャルの井戸が細孔中心
に偏ると考えられる。さらに、合成されたポテンシャルの最低値は 2 つに分か
れ、CO2 分子はこの最もポテンシャルが深くなる 2 点で束縛されることにより吸
着に至ると推測される。このとき、CO2 分子同士の距離は極めて近い状態になる
ため、分子相互作用により容易にミクロ孔充填現象により 1.1 nm のミクロ孔に
凝集されると考えられる。一方で、dp = 1.5 nm のスリット状ミクロ孔内の CO2
分子は、Fig. 1.15(b)のポテンシャル曲線に準じるとすると、細孔壁に沿うように
束縛されて表面的に吸着することが予想される。このとき、細孔壁表面に吸着
115
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
した CO2 分子間の距離は 0.66 nm 程度であり、CO2 分子の向きが長手方向であれ
ば侵入できる余地があると考えられる。Murata らが主張しているミクロ孔内に
おける協同的ミクロ孔充填現象が生じるとすれば[22]、細孔壁側の 2 つの CO2
分子による分子間相互作用により、3 つめの CO2 分子が Fig. 4-11 に示されるよ
うに、ミクロ孔内に束縛されるために、凝集状態及び、超臨界状態の密度を伴
って吸着したものと推測される。次に前段で算出された CO2 吸着密度と細孔構
造の関係から、CO2 の選択的吸着能力について考察する。CO2 吸着密度は RH-5、
RH-6、RH-7 とで異なる数値を示しており、1.1 nm のミクロ孔が支配的なナノポ
ーラスカーボン RH-5 において 0.399 g/cm3、1.1、1.5 nm のミクロ孔が発達した
ナノポーラスカーボン RH-6 においては 0.421 g/cm3、1.5 nm のミクロ孔が発達し
たナノポーラスカーボン RH-7 では 0.374 g/cm3 と、1.1 と 1.5 nm が発達したナ
ノポーラスカーボンが最も高い密度を示している。一方、最も高い CO2 吸着量
を示した RH-7 の密度は、RH-6 よりも若干低い値を示した。これは、CO2 の束
縛能力及び吸着能力において、1.1 nm のミクロ孔が優れており、1.5 nm のミク
ロ孔は吸着できる空間は大きいが、吸着能力は 1.1 nm のミクロ孔に劣ることを
示している。1.5 nm のミクロ孔は、Fig. 4-11 に示されるようにポテンシャルの井
戸が細孔壁側に偏ることから CO2 分子が細孔壁側に強く束縛される。これより、
1.5 nm のミクロ内の CO2 の吸着密度は細孔壁側が高く、細孔中心では低いこと
が推測される。一方、ポテンシャルの井戸が細孔中心付近に集中する 1.1 nm の
ミクロ孔では、CO2 がミクロ孔の中心に強力に束縛されているため、1.5 nm のミ
クロ孔の細孔壁以上に高密度に CO2 が束縛されているものと考えられる。さら
に、リグニンを原料として同様の方法で合成された 1.1 nm 付近のミクロ孔が支
配的なナノポーラスカーボン(ミクロ孔容積:1.5 cm3/g)において、CO2 吸着量は
695 mg/g、CO2 吸着密度は 0.463 g/cm3 であり、上記 1.1-1.5 nm 付近のミクロ孔が
116
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
発達した籾殻由来ナノポーラスカーボンの吸着性能に類似した特性を示した。
以上の理由より、ナノポーラスカーボンの CO2 の選択的な吸着性能においては、
1.1 nm 付近または、1.1-1.5 nm の間のミクロ孔が有効に作用すると結論付けた。
4-3-3
ナノポーラスカーボンの CO2 の選択的吸着特性
CO2 の選択的吸着特性を評価するために、CO2/CH4 混合ガスを用いた吸着実験
を行った。吸着実験後、試料セル内の試料ガスを採取し、ガスクロマトグラフ
ィーにより、試料ガスの CO2 と CH4 の濃度を分析した。Fig. 4-12 にモル比 50:50
の CO2/CH4 混合ガス(Blank-gas)と、混合ガス吸着実験後に抽出した試料ガス
(Sample-gas)のガスクロマトグラムを示す。ガスクロマトグラムより 3 つのピー
クが確認された。ピーク 1、2、3 はそれぞれ、大気成分(N2、O2)、CH4、CO2 に
帰属された。大気成分である N2 と O2 ピークの検出信号電圧はほぼ変化が確認
されなかった。一方で、CH4 ピークの信号電圧は増加し、CO2 ピークの信号電圧
は減少した。各ピーク面積から試料ガスにおける CO2 と CH4 の濃度は、43.1、
56.9%と算出され、CO2 は単体で 13.8%減少し、CH4 は 13.8%増加する結果とな
った。これより、CH4 共存下において、CO2 が選択的に吸着されたことが明らか
になった。
4-4 結論
籾殻から KOH を用いたアルカリ賦活法により、CO2 吸着能力に有利な 1.0-2.0
nm 付近のミクロ孔を発達させたナノポーラスカーボンを合成し、CO2 吸着能力、
CO2 選択的吸着能力を評価した。KOH の添加量を調整することで、1.0-1.2 nm、
1.5-1.7 nm 付近にミクロ孔が分布したナノポーラスカーボンが合成された。特に、
KOH 添加量が原料重量の 7 倍の条件で合成されたナノポーラスカーボンにおい
117
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
て、1.5-1.7 nm 付近のミクロ孔を選択的に発達させた。ナノポーラスカーボンの
CO2 吸着量は、比表面積、ミクロ孔容積の増加と共に 541-838 mg/cm3 に増大し
た。この時の CO2 吸着密度は、超臨界状態の CO2 の密度に近く、形成したミク
ロ孔内に CO2 が凝集状態で充填されていることが示唆された。さらに、1.1 nm
付近のミクロ孔が支配的なナノポーラスカーボンにおいて、CH4 共存下における
CO2 選択的吸着現象が明らかになった。
4-5 参考文献
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第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
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119
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
1.446 nm 1.046 nm
CO2
0.34 nm
0.46 nm
炭素原子
(rVDW=0.17 nm) エッジ
Fig. 4-1. 二酸化炭素吸蔵用ナノポーラスカーボンの細孔構造.
120
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
ロガー
CO2
圧力計
V1
V2
V4
排気
V3
水槽 (293 K)
前室
K-熱電対
試料セル (96 ml)
サンプル
Fig. 4-2. CO2 吸着量評価装置.
121
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
Fig. 4-3. ガスクロマトグラフ概略図.
122
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
200
CO2 yCO2 = 373.96x – 3.7522
CH4
ピーク面積 (-)
160
120
80
40
yCH4 = 279.27x – 3.1672
0
0
10
20
30
40
濃度 (%)
50
60
Fig. 4-4. CO2/CH4 混合ガスの検量線.
123
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
N2吸着量 (cm3(STP)/g)
2500
2000
1500
KOH:籾殻炭
RH-R (0:1)
RH-5 (5:1)
RH-6 (6:1)
RH-7 (7:1)
1000
500
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
相対圧力, P/P0
1.0
Fig. 4-5. 77 K における N2 吸着等温線.
124
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
Table 4-1 ナノポーラスカーボンの細孔構造.
KOHと籾殻炭
の重量比
0:1
5:1
6:1
7:1
SBET
(m2/g)
152
2220
2060
2770
Vtotal
(cm3/g)
0.14
1.67
1.93
3.08
Vmicro
(cm3/g)
0.004
1.46
1.60
2.27
Vmeso
(cm3/g)
0.009
1.04
1.49
2.67
Dave
(nm)
1.50
1.87
2.22
125
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
dVp/d(dp) (cm3/g /nm)
12
9
KOH:籾殻炭
RH-R (0:1)
RH-5 (5:1)
RH-6 (6:1)
RH-7 (7:1)
6
1.5-1.7 nm
1.0-1.2 nm
3
0
0.0
0.4
0.8
1.2
1.6
細孔直径, dp (nm)
2.0
Fig. 4-6. ナノポーラスカーボンの細孔径分布.
126
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
Table 4-2 ポーラスカーボンの細孔構造と CO2 吸着量の報告例.
Sample
Source
Specific surface
area (m2/g)
Pore volume
(cm3/g)
CO2 adsorpion
capacity (mg/g)
Ref.
Norit R2030C02
Peat
942
-
255
[13]
Norit RB2*
Peat
946
-
330
[14]
Amoco PX21*
Pitch
3150
1.8
440
[15]
MAXSORB
Pitch
3250
1.79
352
[16]
MAXSORBⅢ
Pitch
3140
2.01
600
[17]
VR-93 (CMS)
Pitch
2895
1.42
900
[18]
RB
Coal
1250
1.22
352
[15]
PCB
Vegetable
1200
0.72
330
[15]
Ambersorb XE 340
Polymer
400
0.34
264
[15]
G-32H
Coconut
897
-
330
[7]
Norit R1 Extra
Peat
1450
0.47
154
[19]
BPL
Coal
1250
0.56
123
[19]
Activated carbon
Coconut
2100
-
119
[19]
Activated carbon
Coconut
1650
-
79
[20]
Activated carbon
2829
1.55
396
[21]
Activated carbon
2461
1.38
440
[21]
Activated carbon
2350
1.30
462
[21]
Activated carbon
2546
1.47
528
[21]
RH-5
Rice husk
2220
1.67
583
This work
RH-6
Rice husk
2060
1.94
673
This work
RH-7
Rice husk
2770
3.08
851
This work
127
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
293 KにおけるCO2圧力 (MPa)
2.0
KOH:籾殻炭
Blank
RH-R(0:1)
RH-5(5:1)
RH-6(6:1)
RH-7(7:1)
1.4
1.3
1.2
1.1
1.0
0
500
1000
1500
時間 (s)
2000
Fig. 4-7. CO2 圧力の経時変化.
128
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
Table 4-3 CO2 の圧力変化と CO2 吸着量.
KOHと籾殻炭の
重量比
0:1
5:1
6:1
7:1
⊿Ps (MPa)
⊿Pb (MPa)
⊿P (MPa/g)
WCO2 (mg/g)
0.778
0.824
0.830
0.789
0.768
0.768
0.768
0.768
0.020
0.117
0.128
0.170
98
541
656
838
129
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
CO2吸着量, WCO2 (mg/g)
1000
T=293 K, Ps=1.170 -1.922 MPa
800
600
400
200
0
0
1000
2000
比表面積, SBET (m2/g)
3000
Fig. 4-8. CO2 吸着量と比表面積の関係.
130
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
CO2吸着量, WCO2 (mg/g)
1000
Vmeso
Vmicro
800
600
400
200
T=293 K, Ps=1.170 -1.922 MPa
0
0.0
1.0
2.0
細孔容積 (cm3/g)
3.0
Fig. 4-9. CO2 吸着量と細孔容積の関係.
131
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
100
WCO2 (wt.%)
CO2吸着量, WCO2 (wt.%)
25
20
15
50
0
10
挿入図A
T=293 K,
Ps=1.170 -1.922 MPa
1.0
1.8
Dave (nm)
2.6
5
0
0
2
4
6
8 10 12 14
平均の細孔直径, Dave (nm)
Fig. 4-10. 報告された様々なポーラスカーボンの CO2 吸着量と
平均の細孔直径の関係 (.挿入図 A:本研究の結果).
132
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
CO2
dp = 1.1 nm
dp = 1.5 nm
0.34 nm
0.46 nm
グラフェンシート
Fig. 4-11. スリット型ミクロ孔内における二酸化炭素の吸着状態.
133
第 4 章 ナノポーラスカーボンの二酸化炭素吸着特性
8
検出信号電圧 (mV)
7
2
6
Blank-gas
Sample-gas
5
4
3
3
2
1
1
0
-1
0
20
40
60
保持時間 (s)
80
100
Fig. 4-12. CO2/CH4 混合ガスと試料ガスのクロマトグラム.
134
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
第5章
リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
5-1 緒言
ナノポーラスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等
の水素吸蔵用ポーラスカーボンの水素吸蔵能力は比表面積、細孔構造に依存す
る。特に2.0 nm以下の細孔直径を有するミクロ孔が水素分子の吸着サイトとして
関与することが報告されている[1]。ポーラスカーボンの細孔及びミクロ孔は、
Fig. 5-1に示されるような炭素クラスターを基本とすると、グラフェンシートの
層間がそれに相当する。水素はグラフェンシートの層間において吸引相互作用
を受け物理的に束縛及び吸蔵されることとなる。グラフェンシートの層間によ
り形成されるスリット型ミクロ孔において、水素吸蔵に最適な細孔径が計算さ
れている。常温において、0.5-0.6 nm付近の細孔が水素吸蔵に適していることが
報告されている[2, 3]。ポーラスカーボンの細孔内での水素ポテンシャルの計算
は、分散力を吸引相互作用とするLeanard-Jones(LJ)対ポテンシャルを元に導かれ
るSteeleのグラフファイトと水素分子間での物理相互作用ポテンシャルにより
与えられる[4]。グラファイトの層間及びミクロ孔の直径が小さいほど相互ポテ
ンシャルの井戸が深くなり、0.5 nmの細孔が最も深くなるとき、最も水素を安定
に吸着できる。さらに、この相互ポテンシャルの深さは、水素の分子振動状態
に影響されるため、温度の影響を受ける。例えば、水素吸蔵時の温度が低い場
合は、安定化するポテンシャルエネルギーの井戸は浅くなり、水素分子が0.5 nm
よりも大きい細孔に対しても吸着することが予想される。Akasakaらは、廃コー
ヒー豆から0.6、1.0 nmの細孔を発達させたポーラスカーボンの77 Kにおける水
素吸蔵において、室温においては、1 wt.%以下の吸蔵量でしかなかったが、77 K
においては、4 wt.%の吸蔵量を示したことを報告した[5]。彼らが報告した水素
135
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
吸蔵量は、ポーラスカーボンのミクロ孔容積に対して比例関係にあり、1.0 nmの
細孔も水素の吸着サイトとして機能していると見受けられた。さらに、吸蔵水
素密度は、液体水素の密度に近い値を示しており、水素はミクロ孔内で凝集状
態で吸蔵されていると予想される。従って、0.6 nmのみならず1.0 nmの細孔を炭
素クラスター内に形成することができれば、極めて大容量の水素をポーラスカ
ーボンに内に吸蔵させることができると考えられる。
77 Kにおいて水素を多量にポーラスカーボンに吸蔵させるためには、0.6-1.0
nm付近のミクロ孔を選択的に発達させる必要がある。炭素質材料に対してアル
カリ賦活を行うことにより、ミクロ孔を発達させたナノポーラスカーボンが合
成される。炭素質原料として、籾殻等のリグノセルロース系の廃棄バイオマス
が用いられる報告例が多く、アルカリ賦活処理を行うことにより高比表面積、
高細孔容積を有するナノポーラスカーボンが合成されることが報告されている
[6]。一方で、リグノセルロース系の炭素質原料から合成されるポーラスカーボ
ンの細孔構造は原料に由来した細孔構造が発達する傾向がある。Gonzarezらは、
原料種(ココナッツ、アーモンド、桃種、プラム種、サクランボの種)ごとのナノ
ポーラスカーボンの細孔構造への影響を調査し、ミクロ孔、メソ孔の発達に差
があることを明らかにした[7]。その中で、ココナッツを原料としたナノポーラ
スカーボンは、比較的メソ孔の発達が軽微で、ミクロ孔の発達が他のナノポー
ラスカーボンよりも顕著である傾向が認められた[7]。いずれの原料種において、
わずかではあるが、リグニンの含有量に差異が認められ、リグニンの含有量が、
細孔構造の発達に影響を及ぼしている可能性が考えられる。メソ孔の発達が軽
微であったココナッツは他の原料種よりもリグニンの含有量が多く、密度が高
く、含有炭素量が多い[7]。これより、材料内のリグニン含有量が多いほど、メ
ソ孔付近の細孔が発達しにくく、ミクロ孔のみが発達しやすいことが予想され
136
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
る。従って、純粋なリグニンを炭素質原料として用いることで、よりミクロ孔
が支配的なナノポーラスカーボンが合成されると予想される。
本章では、Fig. 5-1に示されるような0.6-1.0 nm付近のミクロ孔が発達したナノ
ポーラスカーボンをアルカリ賦活によりリグニンから合成することに着目した。
リグニンは木材パルプ製造過程において排出される副生成物であり、セルロー
スに次いで地球上に多く存在する天然有機化合物である[8]。リグニンを原料と
した、賦活によるナノポーラスカーボンの合成例は多数報告されており[9-14]、
高比表面積、高細孔容積のナノポーラスカーボンが合成される。そこで、本章
では、リグニンを原料として水素吸蔵に適した、0.6、1.0 nm付近の細孔を発達
させたナノポーラスカーボンをアルカリ賦活により合成し、その水素吸蔵特性
を明らかにすることを目的とした。
5-2. 実験方法
5-2-1
リグニン由来ナノポーラスカーボンの合成
リグニンを原料としたナノポーラスカーボン試料は、炭化と賦活の2つのプロ
セスを行うことにより合成された。Fig. 5-2に原料となる廃リグニンを示す。茶
色い粉末状の物質であることがわかる。炭化の前に、炭素質原料であるリグニ
ンを100 ℃、24 hで乾燥した。Fig. 5-3に示されるように、仕込量を200 g秤量し、
SiC坩堝内へ導入した後、セラミックスウールで蓋をした。SiC坩堝を電気炉内
へ静置し、400 ℃、3 hの条件で加熱した。Fig. 5-4(a)に加熱終了後の炭化リグニ
ンの外観写真を示す。炭化リグニンは非常に硬く、黒色を呈した。炭化リグニ
ンの収率は59%であった。Fig. 5-4(b)に示されるように炭化リグニンは粉砕処理
され、粒径を53-355 mに揃えられた後、100 ℃、24 hの条件で乾燥処理が行わ
れた。次に、炭化リグニンに対して、水酸化カリウム(KOH)を賦活種としてアル
137
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
カリ賦活を行った。炭化リグニンとKOHを重量比1:1、1:3、1:5の割合で混合し
た。混合物をムライト坩堝内に封入し、加熱処理を行った。賦活時の昇温パタ
ーンをFig. 5-5(a)に示す。室温から8 ℃/minで850 ℃まで昇温し、850 ℃を2 h保
持したのち32 ℃/minの冷却速度で冷却を行った。合成されたナノポーラスカー
ボンの収率は6.6%であった。合成されたナノポーラスカーボンの外観をFig.
5-5(b)に示す。
5-2-2
リグニン由来ナノポーラスカーボンの細孔構造評価
得られたナノポーラスカーボン試料の細孔構造、比表面積、細孔径分布、細
孔容積を解析するために、温度77 KにおけるN2吸着等温線を解析した。N2吸着
等温線はBelsorp-max(日本ベル)を用いて測定した。測定前に10-4 Paの真空下にお
いて、200 ℃、10 hの条件で脱ガス処理を行った。比表面積SBETと全細孔容積Vtotal
はBrunauer-Emmett-Teller(BET)モデルに基づいて解析された[15]。ミクロ孔の細
孔径分布とミクロ孔容積VmicroはMicro-pore(MP)法を用いて解析した[16]。
5-2-3
リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性評価
ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性はJIS7201に基づく容量法により評価
を行った。評価装置は、カーボン系材料水素吸脱着評価装置PCT-C08-01(ヒュー
ズテクノネット)を用いた。Fig. 5-6に示されるように、評価装置は、試料セルと
水素貯留室により構成され、試料セルは真空チャンバー内にて温調した。温調
は、クライオスタットとステージ内に仕込まれたカートリッジヒーターにより
行った。ナノポーラスカーボンの脱ガス処理は、ターボ分子ポンプによる真空
排気下にて、150 ℃、1 h、の条件で行った。測定圧力範囲は0-12 MPa、測定温
度は298 , 77 Kとした。
138
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
5-3 結果と考察
5-3-1
リグニン由来ナノポーラスカーボンの細孔構造
Fig. 5-7にアルカリ賦活により得られたリグニン由来ナノポーラスカーボン
のN2吸着等温線図を示す。ナノポーラスカーボンの最大N2吸着量はKOH濃度の
増加と伴に増加した。Table 5-1に示されるようにナノポーラスカーボンの比表面
積と全細孔容積も同様にKOH濃度の増加と共に1510-2050 m2/g、0.92-1.27 cm3/g
にそれぞれ増加した。N2吸着量は、相対圧P/P0=0.1以下においては急激な吸着量
の増大を示した。一方、P/P0=0.1-0.9の範囲では、ゆるやかにN2吸着量が増加す
る傾向が確認された。これらの特徴より、得られた吸着等温線がIUPACの分類か
らLangmuir型[17]に分類され、アルカリ賦活によりナノポーラスカーボン内にミ
クロ孔構造が発達したことが示唆された。
次に、ナノポーラスカーボンのミクロ孔構造の解析を行った。Fig. 5-8にナノ
ポーラスカーボンのミクロ孔における細孔径分布を示す。全てのナノポーラス
カーボン試料において、ミクロ孔は0.8-1.1 nm付近に分布した。Table 5-1に示さ
れるように、ミクロ孔容積は、KOH濃度の増加と共に、0.7-1.2 cm3/gに増加した。
これより、KOH賦活倍量が増加と共にミクロ孔構造が発達していることが示さ
れた。ナノポーラスカーボンにおける全細孔容積に対するミクロ孔容積の割合
は、KOH濃度の増加と共に82-93%に増加した。KOH濃度の増加と共に、よりミ
クロ孔構造が支配的な細孔構造がリグニン由来ナノポーラスカーボンで形成さ
れたことが示された。加えて、比表面積、全細孔容積の増加もミクロ孔構造の
発達によるものと推測される。以上より、リグニンから2 nm付近の細孔を形成
せずに、0.8、1.1 nm付近の細孔を発達させたナノポーラスカーボンの合成に成
功した。
139
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
5-3-2
リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
Fig. 5-9に77, 298 Kにおけるナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性を示す。
298 Kでの水素吸蔵量は水素平衡圧力の増加と共に増加した。最大水素吸蔵量は
KOH濃度の増加と共に0.42、0.64、0.59 wt.%と変化した。この水素吸蔵量は、ミ
クロ孔の細孔径分布の0.8 nmにおける微分細孔容積に比例して増加した。これよ
り、298 Kの水素吸蔵量は、0.8 nm付近のミクロ孔に影響されることが考えられ
る。77 Kでの水素吸蔵量は、水素平衡圧力1 MPa付近で急激な増加を示した。KOH
の重量比1:5で合成されたナノポーラスカーボンは、1 MPa以降緩やかに吸蔵量
が増加し、水素平衡圧力10 MPaで6.9 wt.%の吸蔵量を示した。KOH濃度1:1、
1:3の条件で合成されたナノポーラスカーボンは、4 MPa付近で最大吸蔵量は3.6、
4.9 wt.%を示した。Fig. 5-10にナノポーラスカーボンのミクロ孔容積と298、77 K
における最大水素吸蔵量の関係図を示す。298 Kにおける水素吸蔵量は、ミクロ
孔容積の増加に対して0.42-0.59 wt.%と僅かに増加する傾向を示した。一方、77 K
における水素吸蔵量は、3.6-6.9 wt.%とミクロ孔容積に対して線形的に増加する
傾向を示した。
ナノポーラスカーボンの0.8-1.1 nm付近のミクロ孔と水素吸蔵能力について考
察する。Fig. 1-15(a)より細孔幅及び細孔径が0.6 nm付近では、細孔壁の両側から
受けるポテンシャルの井戸が細孔中心で重なり細孔中心で最もポテンシャルが
深くなる。これにより、室温においても水素分子はミクロ孔内に束縛され、Fig.
5-11に示されるように、水素分子は細孔径dp = 0.6 nmのミクロ孔内において、吸
着に至る。このとき、細孔幅と水素分子の大きさの関係から水素分子は細孔中
心に1分子のみ吸着されると推測される。従って、dp = 0.6 nmのミクロ孔は水素
を吸着する能力は高いが、大量に水素を吸着することはできないことが予想さ
れる。dp=1.1 nmの細孔では、細孔容積は大きいが、ポテンシャルの深さがdp = 0.6
140
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
nmのミクロ孔よりも半分程度にまで減少するため、室温において水素分子を束
縛できる能力は低い。一方で、77 Kにおけるナノポーラスカーボンの水素吸蔵
量は6.9 wt.%に達し、ミクロ孔容積に対して線形的に吸蔵量が増大したことから、
dp = 1.1 nmのミクロ孔も吸着サイトとして作用した可能性が示唆された。77 Kの
ミクロ孔内における水素の吸着状態をFig. 5-11に示す。dp = 1.1 nmのミクロ孔で
は、2つの水素分子が束縛され、その分子間の位置関係は極めて近い状態になる
と予想される。このとき、水素は細孔壁からのポテンシャルと分子間相互作用
によるミクロ孔充填現象により、ミクロ孔に充填されるように吸着されるもの
と考えられる。水素分子がミクロ孔内に充填されるとき、密度は気体状態より
も高くなると考えられる。各試料のナノポーラスカーボンのミクロ孔容積と77
Kにおける水素吸蔵量から、吸蔵水素密度を算出した。ミクロ孔容積が0.7 cm3/g
で0.8、1.2 nm付近が発達したナノポーラスカーボンでは51.4 mg/cm3と算出され
た。液体水素の密度が70.1 mg/cm3であることから、吸着した水素の状態は液体
に近い状態で吸蔵されているものと推測される。同様に、ミクロ孔容積が0.90
cm3/gで0.8、1.2 nm付近のミクロ孔容積が発達したナノポーラスカーボンの吸蔵
水素密度は54.4 mg/cm3と算出された。さらに、ミクロ孔容積が1.20 cm3/gで1.1 nm
付近のミクロ孔が支配的な細孔構造を有するナノポーラスカーボンの吸蔵水素
密度は57.5 mg/cm3であった。いずれのナノポーラスカーボンにおいても、吸蔵
水素密度は液体水素の密度(70.1 mg/cm3)に近いため、水素はミクロ孔内に凝集状
態で吸蔵されているものと推測される。さらに、77 Kにおけるナノポーラスカ
ーボンの吸蔵水素密度は、ミクロ孔の細孔径分布が1.1 nmに近づくほど増加した
ことから、77 Kにおける水素吸蔵能力においては、1.1 nmのミクロ孔が0.6 nmの
細孔よりも凝集という点で有効に作用すると考えられる。同様の手法で籾殻か
ら合成された1.1、1.5 nm付近のミクロ孔が発達したミクロ孔容積2.16 cm3/gのナ
141
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
ノポーラスカーボンの水素吸蔵量は6.8 wt.%、吸蔵水素密度は31.4 mg/cm3であっ
た。ミクロ孔容積が前述のリグニン由来のナノポーラスカーボンの2倍程度あり、
1.5 nm付近のミクロ孔が発達しているにも関わらず、水素吸蔵量は同程度、吸蔵
水素密度は半分程度であった。これより、ナノポーラスカーボンの水素分子の
束縛能力及び吸蔵能力は、1.1 nmのミクロ孔が最も有効に作用すると結論付けた。
5-4 結論
紙パルプ工業過程における副産物として生成するリグニンを用いて、KOH賦
活を行い、リグニン由来ナノポーラスカーボンの合成を行った。合成したリグ
ニン由来ナノポーラスカーボンの細孔構造と水素吸蔵特性の評価を行った。合
成時のKOH濃度の増加と共に、比表面積は1510-2050 m2/gに増加した。ミクロ孔
は0.8、1.1 nmで付近の細孔が発達し、ミクロ孔容積はKOH濃度の増加と共に
0.75-1.19 cm3/gに増加した。298 Kにおけるナノポーラスカーボンの水素吸蔵量は
0.42-0.64 wt.%を示した。77 Kでの水素吸蔵量は、KOH濃度の増加と共に3.6-4.89
wt.%に増加した。これより、アルカリ賦活によりミクロ孔が支配的な細孔構造
を有するリグニン由来のナノポーラスカーボンが合成され、その水素吸蔵特性
はミクロ孔構造に依存した。リグニン由来ナノポーラスカーボンが最適な水素
吸蔵用ナノポーラスカーボンとして合成された。
5-5
参考文献
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142
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
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143
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
H2
0.24 nm
0.28 nm
水素原子
0.646 nm
1.046 nm
Fig. 5-1. 水素吸蔵用ナノポーラスカーボンの細孔構造モデル.
.
144
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
Fig. 5-2. リグニン原料.
セラミックスウール
SiC坩堝
リグニンをSiC坩堝へ セラミックスウールで蓋
仕込んだ状態
をした状態
リグニン: 200 g
Fig. 5-3. SiC 坩堝へのリグニンの仕込み方法.
145
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
(a)炭化リグニン:粉砕前
(b)炭化リグニン:粉砕後
Fig. 5-4. 炭化リグニンの外観写真.
146
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
温度
2h
850℃
32℃/min
8 ℃/min
室温
時間
(a)アルカリ賦活における昇温パターン.
(b)リグニン由来ナノポーラスカーボンの外観
Fig. 5-5. アルカリ賦活における昇温パターンとナノポーラスカーボンの外観
147
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
V1
H2
水素貯留室
真空チャンバー
V2
クライオスタット
試料セル
排気
Fig. 5-6. カーボン系材料水素吸脱着評価装置の概略図.
148
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
1200
リグニン炭 :
N2吸着量, Va (cm3/g)
1000
800
KOH
1:5
1:3
1:1
リグニン炭
600
400
200
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
相対圧力, P/P0
1.0
Fig. 5-7. リグニン由来ナノポーラスカーボンの N2 吸着等温線.
149
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
Table 5-1 リグニン由来ナノポーラスカーボンの細孔構造.
Weight ratio of
KOH/Raw*
SBET(m2/g)
Vmicro(cm3/g)
Vtotal(cm3/g)
Raw*
1:1
1:3
1:5
0.4
1510
1750
2050
0
0.70
0.90
1.20
0.01
0.92
1.00
1.27
*リグニン炭
150
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
dVp/d(dp) (cm3/g/nm)
8.0
リグニン炭 :
6.0
KOH
1:5
1:3
1:1
リグニン炭
4.0
2.0
0
0.0
0.4
0.8
1.2
1.6
細孔直径, dp(nm)
2.0
Fig. 5-8. リグニン由来ナノポーラスカーボンの細孔径分布.
151
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
水素吸蔵量 (wt.%)
10.0
リグニン炭 :
KOH
1:5
1:3
1:1
8.0
77K
6.0
4.0
2.0
298K
0.0
0
2
4
6
8
10
平衡圧力 (MPa)
12
Fig. 5-9. 77、298 K におけるリグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性.
152
77 Kにおける水素吸蔵量 (wt.%)
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
0
0.5
1.0
ミクロ孔容積 (cm3/g)
1.5
Fig. 5-10. リグニン由来ナノポーラスカーボンのミクロ孔容積と 77 K における
水素吸蔵量の関係.
153
第 5 章 リグニン由来ナノポーラスカーボンの水素吸蔵特性
dp = 0.6 nm
H2
0.24 nm
0.28 nm
dp = 1.1 nm
H2
グラフェンシート
Fig. 5-11. スリット型ミクロ孔内におけるH2分子の吸着状態.
154
第 6 章 結論
第6章
結論
水素及び二酸化炭素吸蔵に適したナノポーラスカーボンを設計及び合成する
ために、アルカリ賦活によるナノポーラスカーボンの細孔制御、原料とナノポ
ーラスカーボンの細孔構造の関係について明らかにした。
第 1 章では、背景として水素貯蔵技術、二酸化炭素貯蔵技術について述べ、
水素、二酸化炭素の吸着能力の高いナノポーラスカーボンがそれらの技術にお
いて有効利用できることを示した。ナノポーラスカーボンの水素、二酸化炭素
吸蔵能力を向上させるためには、2 nm 以下のミクロ孔をアルカリ賦活により形
成する必要があるが、現行の手法では吸着質に適したミクロ孔の制御に至らな
いとした。この問題の解決のために、アルカリ賦活における冷却速度がナノポ
ーラスカーボンの細孔構造にどのような影響を及ぼすのか、籾殻、リグニン由
来ナノポーラスカーボンの合成と細孔形成について明らかにすることを目的と
した。
第 2 章では、アルカリ賦活における冷却過程の冷却速度が合成されるナノポ
ーラスカーボンの細孔構造に及ぼす影響について明らかにした。アルカリ賦活
の反応温度域が 500-850 ℃であるため、冷却過程であっても 850-500 ℃間では
賦活反応及び炭素質のガス化反応が進行し、ナノポーラスカーボン内のミクロ
孔の形成に影響を及ぼすと予想した。冷却速度の増加と共に、ナノポーラスカ
ーボンの比表面積、細孔容積が増大することが確認され、細孔径分布の分布中
心がメソ孔側(2 nm 付近)にシフトする傾向が得られた。これより、冷却開始の
時点の細孔構造は、2 nm 付近の比較的大きいサイズのミクロ孔が支配的であり、
冷却速度が長くなるにしたがって、H2O によるガス化反応が進行し、2 nm 付近
のミクロ孔が駆逐され、0.6、1.1 nm 付近の細孔のみがナノポーラスカーボンの
細孔構造として残存したと考えられる。以上より、アルカリ賦活の冷却過程の
155
第 6 章 結論
冷却速度を制御することにより、ナノポーラスカーボンの細孔構造を制御でき
ることを見出した。
第 3 章では、炭酸カリウム(K2CO3)を用いたアルカリ賦活により籾殻由来ナノ
ポーラスカーボンを合成し、賦活種に水酸化カリウム(KOH)を用いた場合と比較
した。水酸化カリウムと同条件で賦活を行った場合、比表面積は同程度である
が、発達する細孔に選択性があることが見受けられた。水酸化カリウムを用い
たアルカリ賦活の場合、ミクロ孔が優先的に発達し、一方で K2CO3 はメソ孔が
優先的に発達した。室温における水素吸蔵量はミクロ孔容積の大きい KOH 賦活
ナノポーラスカーボンが K2CO3 賦活ナノポーラスカーボンよりもわずかに大き
い結果となった。これより、室温における水素吸蔵能力において、KOH を用い
たアルカリ賦活によってミクロ孔を発達させることが有効であることが明らか
になった。
第 4 章では、大過剰の水酸化カリウム(KOH)を用いて、アルカリ賦活を行い直
径約 1.5 nm 付近のミクロ孔が支配的な籾殻由来ナノポーラスカーボンを合成し、
ナノポーラスカーボンの CO2 吸着特性、CO2 の選択的吸着能力を評価した。賦
活反応によって発達したミクロ孔は、直径 2 nm 以上のメソ孔に近く、合成され
たナノポーラスカーボンは極めて賦活の進行した状態であり、比表面積は 2770
m2/g に達し、1.5-1.7 nm 付近のミクロ孔の分布中心を有した。比表面積 2770 m2/g
のナノポーラスカーボンの CO2 吸着能力は 293 K において 838 mg/g となった。
さらに、CH4 共存下において CO2 の選択的吸着能力が確認された。以上より、
籾殻を原料とした CO2 吸蔵用ナノポーラスカーボンの合成に成功した。
第 5 章では、選択的に 0.6-1.1 nm 付近の細孔を形成したナノポーラスカーボン
を合成するために、リグニンを原料として選定した。合成されたナノポーラス
カーボンのミクロ孔分布は 0.6-0.8、1.1 nm 付近に分布した。77 K における水素
156
第 6 章 結論
吸蔵量は 6.9 wt.%に達し、ナノポーラスカーボンとしては最も高い吸蔵量を示し
た。これより、リグニンから 0.6-0.8、1.1 nm 付近のミクロ孔を選択的に発達さ
せた水素吸蔵用ナノポーラスカーボンの合成に成功した。
以上のことから、籾殻とリグニンのような本来無秩序な特性を有する原料か
ら、水素と二酸化炭素のミクロ孔充填現象を起こすような細孔構造を有するナ
ノポーラスカーボンを選択的に設計できることを見出した。
157
関連論文発表
1
Transactions of the Materials Research Society of Japan 36(4) (2011) 593-597.
Effect of chemical species in alkali agents on pore structure at activated carbon of
rice husks
Hiroki Ono, Hiroki Akasaka, Ikumi Toda, Hiroe Tanaka, Takuhiro Watanabe, Satoshi
Ooki, Yoshihisa Tanaka, Fujio Takada, Shigeo Ohshio, Shuji Himeno, Toshinori
Kokubu, Hidetoshi Saitoh
2
Transactions of the Materials Research Society of Japan 37(1) (2012) 57-60.
Effect of cooling rate of KOH activation process on activated carbons
Hiroe Tanaka, Ikumi Toda, Hayato Maruyama, Hiroki Ono, Shigeo Ohshio, Hiroki
Akasaka, Yoshihisa Tanaka, Shuji Himeno, Toshinori Kokubu, Hidetoshi Saitoh
3 Transactions on GIGAKU 1 (2012) 01015/1-6.
Effect of Flow Channel on Specific Surface Area of Steam-Activated Carbon
Material from Coffee Bean Wastes
Hiroe Toda, Ikumi Toda, Hiroki Tanikawa, Tomokazu Takahata, Shigeo Ohshio,
Hiroki Akasaka, Shuji Himeno, Toshinori Kokubu, Hidetoshi Saitoh
4 Transactions on GIGAKU 1 (2012) 01016/1-4.
Hydrogen Storage Property of Activated Carbon Fabricated with Lignin
Ikumi Toda, Hiroe Toda, Shigeo Ohshio, Hiroki Akasaka, Shuji Himeno, Manami
Nakaishi, Hidetoshi Saitoh
5
Journal of the Ceramic Society of Japan 121(5) (2013) 464-466.
Effect of potassium agents at activated carbon fabricated from rice husks on pore
structure and hydrogen storage property
Ikumi Toda, Hiroe Toda, Hiroki Akasaka, Shigeo Ohshio, Shuji Himeno, Hidetoshi
Saitoh
158
賞罰
Effect of Cooling Rate of KOH Activation Process on Activated Carbons
(活性炭における KOH 賦活プロセスの冷却速度の影響)
Hiroe Tanaka, Ikumi Toda, Hayato Maruyama, Hiroki Ono, Shigeo Ohshio, Hiroki Akasaka,
Yoshihisa Tanaka, Syuji Himeno, Toshinori Kokubu and Hidetoshi Saitoh
20th Symposium of Materials Research Society of Japan
Certificate of Award for Encouragement of Research of Materials Science
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謝辞
本研究を遂行するにあたり、懇切丁寧なご指導頂きました齋藤秀俊教授、
伊藤治彦准教授、内田希准教授、岡元智一郎准教授、姫野修司准教授に厚く御
礼申し上げます。
また本研究における有益なご助言をいただきました東京工業大学の赤坂大樹
准教授、長岡技術科学大学の村松寛之助教、大塩茂夫技術職員に心から感謝申
し上げます。
また本研究を遂行するに当たり、株式会社ヒューズ・テクノネットの津田
欣範社長、田中好久様には大変お世話になりました。研究における様々なご助
言とご指導いただきまして深く感謝申し上げます。
CVD プロダクツの田中大祐社長には研究のご指導だけでなく、公私に渡り
様々なご助言を頂きました。厚く御礼申し上げます。
研究室配属後、丸山隼人さんには、本研究の基礎となる実験をはじめとする
様々なことを教えて頂きました。小野弘樹さん、渡辺拓寛さん、土屋貴晃君、
山田拓実君、朱傑君、石橋佳国君は、同じ活性炭チームとして共に学び、また
実験の協力をしていただきまして、格別な謝意を表します。
また、斎藤研究室の皆様のご支援に感謝致します。
家事と育児と学業を応援してくださいました活性炭チームの先輩でもあり夫
でもある戸田育民様に心より感謝致します。
最後に大学院進学にあたり、深い理解と協力を与えていただきました
田中照一様、田中幸子様、田中孝尚様、田中功一様、戸田京助様に、深く感謝
致します。
平成 25 年 9 月
戸田 宏枝
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