エンターテイメントコンテンツの現状(1) ○政府の主張 ・世界のコンテンツ産業は高成長分野 ・アジア太平洋地域のコンテンツ産業は特に高い成長率 ・日本のコンテンツ産業の対GDP比は世界平均や米国より低い ・コンテンツの海外売上規模が低調 ・コンテンツ産業は、「知識社会」において日本を支える重要産業 ★2000年のコンテンツビジネスの市場 - 世界:8241億ドル - 米国:3445億ドル - 日本: 963億ドル(12兆5千億円) 1 エンターテイメントコンテンツの現状(2) ○実際は・・・ ・主要なコンテンツの国内市場で、97年頃を境に縮小傾向が継続 - マンガ:7年連続売上減少 - 雑誌 :6年連続 〃 - ゲーム:4年連続 〃 - 音楽 :4年連続 〃 ・全体的にコンテンツの質が著しく低下 - プロデューサーのレベルの低下 - 粗製濫造 ・国際的な競争力も疑問符 ・権利、人材がハリウッドに流出 2 1 エンターテイメントコンテンツの問題点(1) ○政府の主張 ・問題点 流通事業者が寡占的傾向にあり、制作部門が流通事業者に依存する構造 ↓ 政策部門が流通部門の下請化 ・対応の方向性 ①新しい市場(ブロードバンド、海外市場)を立ち上げ、流通ルート間 の競争を促す ②制作部門を活性化し、資金調達能力の強化や優秀な人材の確保を目指す 3 エンターテイメントコンテンツの問題点(2) ○政府の主張の問題点 基本的な問題認識(流通による制作の支配)は正しいが・・・ ・流通の寡占的傾向を作り出す最大の要因には言及せず - 電波利権 - 再販制度 ・制作サイド内部での搾取・隷属関係には言及せず ・コンテンツの範囲を既存の現代文化に限定 4 2 エンターテイメントコンテンツの問題点(3) ○流通の寡占傾向はいつまで続くのか ・既存メディアはアナログ流通での既得権益の維持を最優先 ・電波利権、再販制度を壊すのは困難 ・BB、ケータイ等の新しい流通経路の普及 ・広告主も既存メディアの広告効果の低下を徐々に認識 →??? ○流通−制作の隷属関係はいつまで続くのか ・現状は流通側に圧倒的な比較優位 ・制作側は産業、企業の体をなしていない 5 エンターテイメントコンテンツの問題点(4) ○コンテンツのネタは無限に存在するのではないか ・流通手段 ・素材 - ファッション、レストラン等の消費文化 - 伝統芸能、生活様式、食、自然等の地方の伝統文化 - 全く新しい素材の出現の可能性 6 3 映画 ・映画の市場は比較的安定 - 2002年興行収入:約2000億円 - 2002年ビデオソフト売上:約5000億円 生産 ・シネコンの普及に伴いスクリーン数大幅増加 ・リメイク権の販売が活発化 邦画製作会社 (130社) しかし・・・ ・興行→配給→製作の順に利益を配分する慣行 の下、製作者に利益が回りにくい 流通 (興行収入の50%は映画館に) 邦画配給会社(4社) 洋画配給会社(35社) ・製作委員会方式の弊害が顕著化 - 製作者が下請化 - 流通事業者の予想収入が製作費の上限に 小売 ○○製作委員会 映画館 出資 プロダクション 製作委託 テレビ局 配給会社 出版社 7 アニメ 生産 元請 制作会社 ↓ (235) 下請 アニメバブルが未だに続くが・・・ ・アニメ自体の市場規模(劇場、テレビ、ビデオ)は 約2000億円程度 ・特にテレビアニメの質は著しく低下 →この4月から枠の数も減少 流通 ・海外ビジネスは今後も拡大の傾向 テレビ局 映画配給会社 OVA 版権ビジネス 玩具 食品 衣料 等 - 米国大手も注目 - 世界のアニメ放送量の6割が日本製 →しかし権利・資金面で問題が存在 ・重層的な下請構造(流通>元請制作>下請制作) →制作側に人材、ビジネス能力が欠如 ・製作委員会方式の弊害 - テレビ局が版権ビジネスを牛耳るケースが多い - 流通での予想収入が製作費の上限に 8 4 音楽 生産 作詞・作曲者 アーティスト 音楽出版社 プロダクション 権利管理団体 JASRAC レコ協 芸団協 等 流通 レコード会社(25) 苦しい状況が継続 →市場が5年で2/3に縮小(6千億→4千億) ⇔新しい市場が台頭(インディーズ、着メロ等) ・再販制度の弊害が顕在化 - 「文化の廉売を避ける」という名目 - レコード会社の怠慢、既得権益への執着 ⇔輸入権の創設 ・制作側は未だに多くをレコード会社に依存 - 資金 - マーケッティング ・メジャーのCD1枚買うと・・・ 小売 レコード店(1000) 放送局 ISP 携帯コンテンツ事業者 カラオケ - レコード会社に55%程度 - 流通に25% - 小売に10% - 作詞・作曲者に6% - アーティストに2∼3% ⇔インディーズ、米国 9 出版 空前の出版不況 →出版市場は10年前と同規模(2兆3千億) 生産 作家 出版社(4400) 流通 全書籍の 7割、 全雑誌の 9割が 取次経由 卸:取次(40) ( 大手2 社で シェア90%) ・市場はどんどん悪化 - 売上の継続的減少 - 書店の倒産、転廃業の急増 - 返品率の増大(40%) (しかし出版社数、新刊発行点数は増加) ・編集者のレベルの低下と粗製濫造 →作品の質が著しく低下 小売 ・再販制度と委託販売制の弊害が顕在化 書店(65%)(2万5千社) コンビニ(20%) - 出版社、小売店の努力不足 - 取次が金融機能と配送機能を持つ矛盾 (出版社の実績に応じた前払い等) 二次市場 ・出版不況への対応として、書籍・雑誌の 貸与権を創設 マンガ喫茶 新古書店 等 10 5 ゲームソフト 生産 ソフトメーカー(150社) - 大手・中堅クラス数十社 - 受託制作会社100社以上 流通による制作の支配などはないのに・・・ ・国内市場規模は頭打ち (2002年の市場規模3300億円) ・米国市場ではゲーム売上>映画興行収入 →しかし日本のソフトはトップ10圏外 流通 卸事業者 小売 量販店 専門店 二次市場 中古ソフト店 ・制作費の高騰 - 1本当たり5∼6億 - 30億を超える作品も ・世界市場での日本勢の弱さが露呈 - 米国のEAはマーケッティング手法を 駆使して17%の世界シェア、流通網 構築や制作会社買収も積極的に推進 - 世界市場での第2グループも米国企業 (アクティビジョン、THQ、テイク) ・オンラインゲームは韓国・台湾勢が強い 11 6
© Copyright 2024 Paperzz