静岡県読み聞かせネットワーク 全体研修会

No.19 2014.3.31
読書から子供たちに生きる力を
静岡県読み聞かせネットワーク中部地区 副地区長 山 本 ひ さ 枝
静岡県読み聞かせネットワー
ていけるようお手伝いができたらよいと思います。
ク は、 平 成 1 4 年 に 発 足 し、
そして、ボランティア同士が、尊重し合う心をもって意
13年目を迎えました。
見交換をし、共通理解して取り組むと良いと思います。情
読み聞かせネットワーク主催の
報を共有して、人間関係を良好に保って活動スムーズにで
講演会、フェスティバル、ステッ
きるようにしなければ、継続していくことに意義があるの
プアップ講座、広報活動に取り
に継続できなくなります。一冊の本を通して共有できる時
組んでまいりました。
間を味わい、楽しみ、幸せな気持ちになって欲しいと願っ
子どもたちには、自ら学び、考え、相手を思いやる心、
ています。素晴らしい本に触れることによって、子どもた
いわゆり「生きる力」が必要です。この力を育てていく
ちの心の豊かさや広がりは、育っていくのだと思います。
有効な手段の一つが読書週間の確立だとおもいます。そ
本の世界に子どもを引き付けるものは、理屈や教訓では
の役割が、読書ボランティアの存在では、ないかと思い
なく、その本の醸し出すにおいや雰囲気なのではないで
ます。
しょうか。そしてそれを児童期に十分味わうことが、これ
読み聞かせは、聞き手が存在して初めてできます。絵
からの本との関わりの土台となるに違いありません。とあ
本が好きな人なら誰にでも手軽にやることが出来ます。
る方が言っていました。
子どもたちが興味・関心のある本、そして読み手がおも
喜びや悲しみなど情緒的なことばが、お話を通して子ど
しろかった本、心を動かされた本から始めればきっと楽
もの心と体に実感として育っていくとおもいます。子ども
しんでくれると思います。
が、楽しむ読書を経験すれば生涯にわたって本を読む楽し
家庭内ではあまり問題はないと思いますが、学校、図
みを享受できることとおもいます。子どもたちの健やかな
書館のおはなし会では、学校・先生方の意向・児童・生
成長を願って、素晴らしい本を届けていきたいですね。私
徒のプライバシー、選書、著作権の問題も含め気をつけ
たちボランティアは、子ども読書活動を応援するために、
なければいけない事がたくさんあります。私たちボラン
学校、家庭、地域の連携協力体制を深め、広めていき
ティアも自己研鑽を重ね、子どもたちに良い本を手渡し
たいと思います。
1
静岡県読み聞かせネットワーク 全体研修会
講演会 子どもの科学の本が拓く世界
講師 池上理恵氏 ( 静岡自然を学ぶ会代表 )
共催:静岡県立中央図書館 ふじのくに文化の丘フェスティバル
日 時:平成26年11月9日(土)13:30 ~ 15:30 会場 静岡県立中央図書館
参加者:愛知県や神奈川県など、県外からの参加者も
あり池上さんの講演が今の時代に期待されて
いるんだなと感じました。( 参加者65名 )
池上さんの信条( 科学よみもの観) 世界にむけてのばした手をしっかり握って、
いっしょに考えてくれるのが子どもの科学の本です
だいじなのは、 問いかけること、
自分の気持ちに耳を澄ますこと 同じ一枚の紙でも、 そのままの時の弱さと「 ギザギザ」 折をした時の強さの違いを実践して見せながら
の好奇心を誘い、 話の糸口として参加者を引き込んでいきました。
子どもの好奇心と優しく付き合うことの大切さを、 ニワトリの有精卵をかえそうとして何度も息子さんと一
緒に挑戦したお話しも、 感情的になったり、 お勉強だったりが全くなく極普通の生活の中でなされて楽しむ
という、 子どもの興味があるもや想像したりするものを、 絵本につなげていくことに大変興味をもち、 とて
も大切な事だと思いました。
「 ダンゴムシ」 の絵本の見比べも大変面白く、 一冊だけでなく何冊か比べて見ることも大切で、 子どもが
何かに好奇心を持った時には、 同じテーマの本を借りてきて、 体験といったりきたりしながら、 くらべよみを
楽しみなが、 その概念をゆっくりと育むことが大切
ともいわれました。 また、 池田さんが恐竜=骨たちは語る1を翻訳され見えてきたこともあり、 ますます科
学の本のおもしろさを実感されたようです。
~子どもにとって科学のほんとは?~
○あこがれをかき立て、 この世界には面白いものがいっぱいあると感じさせてくれる。
○未知の世界に足を踏み入れる時、 手をつないでいてくれるもの。
○興味への手がかりになるもの。 ○概念をはぐくむもの。
~おとなにとって科学のほんとは?~
○
新鮮な目で学びなおす機会を与えてくれる。 ⇒新しい分野の入門書
○
子どもの好奇心に寄り添い、 やさしく付き合う。
など、 おとなにとってこどもの目線になって、 気長に子どもと付き合うことがとても大切なことだなと、 あま
りにもスピード化した現在にまったをかけられた思いでした。
2
[ 知の三態 ]・・情報・知識・知恵
情報は受け渡しできる。
知識は情報を系統立てて構築されたもので、これも理解を通して受け渡しできる。
しかし、知恵は自分の興味と知識をつなげて自分で育てるもの、受け渡しができない。
子どもの好奇心に火をともすような知恵を育てる本が増えて欲しい。
水原洋城 ( 霊長類研究者・日本科学読物賞選考委員 )
~子どもの科学の本のリスト~
「 よわいかみ つよいかたち」「 植物記」「 鳥さんとんで」「 ホネホネたんけんたい」
「 つばさをもった恐竜族」「 ダンゴムシ みつけたよ」「 うみのダンゴムシ・やまのダンゴムシ」「 ダンゴムシ」
「 ぼく、 ダンゴムシ」「 恐竜―骨たちは語る」「 化石はおしえてくれる」
「 恐竜のなぞ」「 海辺の宝もの」「 たまごとひよこ」「 たまごのひみつ」
「 科学のふしぎなはなし365」「 科学読み物データバンク98」「 科学よみものの 30 年」
「 本と自然と私たち」「 子どもと楽しむ自然と本」「 今、 知りたい地球と人間」
「 本から自然へ自然から本へ」「 科学の本っておもしろい」「 続 ・ 科学の本っておもしろい」
「 科学の本っておもしろい第3集」「 科学の本っておもしろい第4集」
「 新 ・ 科学の本っておもしろい」「 科学の本っておもしろい 2003 ~ 2009」
「 図書館でそろえたいこどもの本3 ・ ノンフィクション」
「 こどもにすすめたいノンフィクション」「 しらべ学習の科学の本 1000 冊」
「 読んでみない科学の本」「 子どもと楽しむ科学の絵本 850」「 科学する絵本」
「 かがくする絵本100」「 大人も読んで楽しい科学読み物90冊」
~池上理恵氏プロフィール~
東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒業。1989年「静岡自然を学ぶ会」を設立し、
自然科学を楽しく学ぶ活動を続けている。1995年には「科学あそびミュウ」を設立、
あそびと科学の本をつなげるワークショップもおこなっている。
翻訳「恐竜―骨たちは語る!」(玉川大学出版部), 共訳「あまがえるさん、なぜなくの?」
( さ・え・ら書房 )。共著「科学あそび大好きー子どもと楽しむ手引き」( 科学読物研究会編
連合出版 ) 共著「科学の本っておもしろい 2003-2009」等。
3
会員の活動展示と仲良し同期3人組写真展
期 間 : 9月1日 ( 金 ) ~9月10日 ( 日 ) 会場 : 静岡県立中央図書館展示室
~ 活動紹介 ~
~写真展~
4
・ ・ ステップアップ講座 ・ ・ 「 こどもの本の選書」 西部地区:平成25年9月 6 日(金)袋井市立図書館 東部地区:平成25年9月25日(水)伊豆の国市立中央図書館
講 師:静岡県立中央図書館 鈴 木 由 美 さん
こどもの本の選書について、
鈴木由美さんのお話を伺いました。昔からお馴染みの「あかずきんちゃ
ん」のお話も、今ではストーリーはいろいろ、絵本作家も大勢の方がおられて選書に迷うほどです。
講師の鈴木由美さんは図書館からたくさんの「あかずきんちゃん」の本をお持ちになり、それぞれの
違いを説明してくださいました。参加者のみなさんは大変興味深く本を選んでは、納得されていまし
た。とてもいい研修会となりました。
(写真:赤ずきんちゃんの絵本いろいろ)
夏の子ども図書スペシャル 谷田山親子自然教室 日時;平成25年8月10日 ( 土 ) 場所:静岡県立中央図書館と谷田山散策
共催:静岡県立中央図書館 参加者 親子11組
子どもたち、夏休みの楽しみの一つの虫採りを静岡県立中央図書館と共催で企画しました。
当日は暑い中集まった親子は、まずはお部屋で、カブトムシのお話やビデオ、虫の絵本のよみきかせ
などを受けて、虫探しに出発しました。帰ってからは,クイズや館長さん育てたカブトムシ、倉前さ
んの手作りおもちゃ、折り紙アートなどお土産もいっぱいでした。
虫採り散策
絵本読み聞かせ
5
伝えよう 図書館の力 広げよう 新たな可能性
平成25年度 第21回 静岡県図書館大会
日 時:平成25年10月28日 ( 月 ) 会 場:グランシップ
目 的:毎年開催されるこの大会の目的は、県内の図書館関係者及び読書活動に携わる人々をはじめ、広く図書館
に関心をもっている人たちが集まり、生涯学習の拠点として、地域住民の拠点の学習・文化活動において
果たすべき役割やその可能性を探る。さらに読書活動の一層の発展を目指して研修し、参加者相互の交流
を深めることにより、
「読書権しずおか」を全国に情報発信する。
主 催:静岡県教育委員会、静岡県図書館協会、静岡県読書推進運動協議会
開会式では主催者のあいさつの後、
表彰式があり優秀な学校・団体(個人)が表彰をうけました。その後「図
書館とまちづくり」をテーマに、地域を元気にしている図書館活動をされている方などをパネラーに活発
な話合いがなされました。
午後は7分科会に別て、行われました。第3分科会に参加したので報告いたします
第3分科会「子どもと読書」~わたしの木、こころの木~いせひでこの世界~
講師 : 絵本作家 いせ ひでこ 氏
内容:絵本「ルリュルおじさん」など「木」をモチーフに多くの絵本を出されている「いせ ひでこ」氏、お話は主として、
3.11以降に創作された「最初の質問」
「チェロの木」
「木のあかちゃんズ」などの創作過程のお話を伺うことがで
きました。また、「大事な言葉が失われていっております、今こそことばが大事なのではないでしょうか」とも言わ
れました。とても印象的だったのは、飯舘村の子どもたちへ本を送った際、全員にメッセージカードを添えるために、
365種類あまりの絵を3日間で描きあげたとも言われました。
シンポジウム 地球社会を共にいきる
~こどものまなざしから考える ワーク ・ ライフ ・ バランス~
日時:平成25年9月30日 ( 月 ) 12:30より 会場:静岡県男女共同参画センターあざれあ
共催:内閣府・
(一社)国際女性教育振興会県支部・ソースの会・みらい子育てネット静岡市・静岡 YWCA
・あざれあ交流会議
第1部は・静岡県内の幼保園・認定こども園の視察研修から感じだこと。
第2部は「子どもを取り巻く地域と幼稚園~スウェーデン・日本・静岡~」
第3部は子どものまなざしから考えるワーク・ライフ・バランス」でした。
静岡県読み聞かせネットワークの代表として、第2部にとこは幼稚園の稲葉園長と対談をさせていただき、
よい情報をたくさんいただきました、私からも地道な地域活動の継続の中にも大切なことが、たくさんある
ことを発言させていただきました。
次代を担う子どもたちが育つ環境づくりは、地域と地球規模で考える必要がありますね。
6
ボランティア
活用しましょう
静岡県読書ガイドフック『本とともだち』
静岡県教育委員会では、『本とともだち』
シリーズとしてあかちゃん版・小学生版
中学生版の3種類を県内の子どもたちに
配布しています。
いずれも対象年齢に合わせた本のガイド
ブックですが、それぞれにアイデアが盛り
込まれています。
どもたちに配布されます。今年度8年ぶりに
あかちゃん版は、母子手帳と同じ大きさで
改訂され収録されている作品が一新されまし
下敷き替わりにもなるようにラミネート加
た。学校図書館の使い方も記されており、学
工
校図書館の利用指導に活用されています。
がしてあります。また、QR コードを携帯電
中学生版は、絵本からヤングアダルトの作
話で読み取れば、より詳しい本の紹介ホー
品、古典文学まで収録され、中学生の幅広い
ムページにアクセスできるように工夫され
読書ニーズに応えるよう編集されています。
ています。
中学生版も新1年生に配布されます。
小学生版は新しく小学校1年生になる子
作品紹介
月へ アポロ 11 号のはるかなる旅
作 / B・フロッカ/訳 / 日暮雅通/出版社 / 偕成社
(47p)
絵本やフィクションなど、児童書は年間に 4000
1969 年 7 月 20 日、アポロ 11
冊前後発刊されていますが、ちょっと気になっ
号は、人類を初の月面着陸に導
きました。発射から帰還までの
一週間を刻々と再現した絵本で、
精緻なイラストが素晴らしい一
冊。小学校中から
た作品をご紹介します。
すずめのくつした
作 / ジョージ・セルデン/画 / ピーター・リップマン
乳牛とともに 農家になろう1
訳 / 光吉郁子 /出版社 / 大日本図書(74p)
作 / 農村漁村文化協会/出版社 / 農文協編(36p)
「写真絵本農家になろう」シリー
少年アンガスとすずめの物語。
アンガスのひらめきが、とん
ズの一巻目。酪農家の日々の様
子を生き生きと伝えています。
でもない騒動に…誰もが暖か
私たちの命をつなぐ大切な仕事
な読後感を感じる一冊。小学
に携わる農家の魅力を伝える好
校低から
著。小学校高から
7
「かぐや姫物語」 ~富士山の煙は?~
むかし、むかし、さぬきの造(みやつこ)という竹取りのおじいさんがいた。野山に入
りて竹をとり、いろんなことに使って暮らしていた。
ある日のこと、山に竹を取りにはいると、光っている一本の竹があった。ふしぎに思い
その竹を切ってみると、中に親指ほどの美しい女の子が座っていた。その女の子を手の平
にのせ、家に持ち帰ると、おばあさんは「これはなんとかわいらしい」と言ってたいそう
よろこんだ。
女の子を「かぐやひめ」と名づけ、二人はそれはそれは大切にして育てた。かぐやひめ
は三月ほどで美しい娘に育った。いつもかぐやひめのからだからは光をはなち、夜になっ
ても家の中はあかるかった。かぐやひめのひょうばんは、村から村へとひろがり五人の公
達が求婚してきた。かぐやひめは五人に結婚の条件として難題を突きつけた。
それは、「天竺の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」
「火ねずみの皮衣」
「龍の首の球」
「つばくら
めの子安貝」と、いずれも珍しい宝もの物ばかりで手に入れることはできなかった。
うわさは京の都までとどいて、帝の耳に入った。帝はかぐやひめをそばにおいておきたい
ので、つれてくるようにと使いの者を出した。使いの者がかぐやひめの家につくと、夜中
でも家中が明るくかがやいているので「なぜ、ひとばん中火をともしているのか」と聞く
と「この子のからだから光が出ていますでな」とおじいさんがいった。
かぐやひめは、どんなにいわれてもことわ
りつづけたので、使いの者はしかたなく帰っ
ていった。今度は、帝が大勢の家来をしたが
えてやってきた。帝はどうしても、かぐやひ
めを都につれていくといった。
かぐやひめは「わたしは、月からきた者で
す。もうすぐお迎えの使者がやつてきます、
かえらなければなりません」かぐやひめは今
までのおれいをいうと、不死のくすりをわた
し月からの迎えの車にのって、帰っていった。
帝はかぐやひめがいないのなら、なんでこ
の薬がいるものかと、一番天に近い山、富士山へ兵をつかわして、不死の薬をもやしてしまっ
た。その煙が富士山からのぼりつづけたのです。
( はんちくこしょう / パヌチウクーニャン )
かぐや姫物語は「物語の祖 ( おや )」といわれ、日本で一番古い物語です。なお、中華人民
共和国四川省のアバ・チベット族に「斑竹姑娘」( はんちくこしょう / パヌチウクーニャン )
といって、竹藪を世話する少年がいて、切った竹から美しい女の子が生まれ、求婚者には
無理難題を押し付けるが、その難題がかぐや姫物語とそっくりで非常の興味があります。
「 斑 竹 姑 娘」
発行日:平成 26 年 3 月 31 日 発行者:飯野紀代子
発行所:静岡県読み聞かせネットワーク事務局 飯野 TEL・FAX 054 - 245 - 5843
ホームページ http://www.s-cnet.ne.jp/~nde06253 /
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