国際経営史 I 6 第6講 アメリカの産業革命 1.概要 ・世界一の大国アメリカ ・世界有数の大企業を生んだアメリカ ・大航海時代以来,欧米各国(イギリス,フランス,スペイン,オランダなど)の植民地だった ・17∼18 世紀,欧米各国はアメリカ植民地内で戦争を繰り返し,次第にイギリスが北米大陸での支 配権を獲得する ・イギリスは,17 世紀∼18 世紀前半にかけて,13 植民地を建設(1607 年バージニア,1732 年ジョ ージア)。国家としてのアメリカの母体となる ・砂糖法(1764 年),印紙法(1765 年),ボストン茶会事件(1773 年)などを経て 1776 年独立宣言。ア メリカ合衆国となる 2.初期の経済発展 ①綿花輸出 ・19 世紀初頭はイギリスなどで産業革命が本格化していた時代 ・繊維製品の原料となる綿が必要とされた ・アメリカ初期の発展(1850 年代頃まで)は,綿花の輸出が発展を支えた ②奴隷制プランテーション ・豊富な土地と希少な労働力 ・特に南部の植民地(バージニア,ジョージア,カロライナなど)で,黒人奴隷を用いた大規模農業 を行い,綿花,砂糖,コーヒーなどを生産,輸出 1 13 植民地 奴隷を売却, 奴隷を購入 綿花を購入 3.西漸運動 ①概要 ・19 世紀初期(1820 年頃)から,東部に入植した入植者が,西部に進出し始める ・西部への入植者は,小麦,トウモロコシを中心とした農業生産を行った ②要因 ・世界的な食糧需要 ・小麦,トウモロコシの生産 ・アメリカ北東部での食糧需要,人口が増加していたヨーロッパでの食糧需要 ・輸送路の発展 ・1850 年代までは,ミシシッピ川と運河を用いた輸送が主 ・1850 年代以降,鉄道建設が本格化。西部と北東部,南部が繋がれる ・北東部で進行した工業化 ・北東部では,次第に工業化が進む(1820 年代から) ・中心産業は繊維産業(綿製品)であり,それに衣料品(製靴,男性用衣料品)などが続いた ・消費財生産を中心とした工業化,機械,鉄鋼などの産業は 1860 年代頃から急速に発展 2 国際経営史 I 6 4.奴隷制と南北戦争 ①概要 ・1861∼65 年にアメリカで起こった内戦 ・奴隷制の存廃,自由貿易か保護貿易か ②要因 ・南部: 奴隷制のプランテーションで綿,砂糖,タバ コを生産。ヨーロッパに輸出することで繁栄 していた →奴隷制廃止に反対,自由貿易を求める ・北部: 工業化が進み,奴隷より技能のある労働者を 必要としていた。またヨーロッパから安価な 工業製品が流入しないように保護貿易を望む →奴隷制度廃止に賛成,保護貿易を求める ③経緯 ・1860 年に,奴隷に反対の態度をとるエイブラ ハム・リンカーンが大統領に当選 ・南部の諸州(ミシシッピ,フロリダ,アラバマ, ジョージア,ルイジアナ,テキサス)が,合衆 国を脱退。アメリカ連合国を結成 ・戦争は北軍の勝利。1863 年にリンカーン大統領は奴 隷解放宣言」を発し,奴隷は法的には解放された 3 出所) Wikimedia commons. 今日のキーワード ・アメリカの初期の経済発展を支えたものは何だったか: ・「西漸運動」とは何か: ・アメリカ南北戦争の原因は何か: <これまでの講義資料について> 以下のアドレスで以前の講義資料をダウンロードできます。 http://web.me.com/wada_mac/@study 最上部の「講義資料」からダウンロードして下さい。 4
© Copyright 2024 Paperzz