オルトフェニルフェノール，ジフェニルの高感度分析

LAAN-A-LC116
SHIMADZU APPLICATION NEWS
島津アプリケーションニュース
L410
No.
“Prominence RF-20A XS”蛍光検出器の応用（その８）
ピリミカーブ，
テトラサイクリン，
オキシテトラサイクリン，
オルトフェニルフェノール，
ジフェニルの高感度分析
Applications by the "Prominence RF-20AXS" Fluorescence Detector (Part 8)
Analysis of Pirimicarb, Tetracycline, Oxytetracycline, o-Phenylphenol,
and Diphenyl at High Sensitivity
蛍光検出器は感度および選択性の高さから，食品ポジ
ティブリスト制度に基づく食品に残留する農薬等の個別
1）
試験法にも用いられています。
個別試験法によるピリミカーブ，テトラサイクリン，オ
キシテトラサイクリン，オルトフェニルフェノール，ジ
フェニルの高感度分析例をご紹介します。
A. Yamamoto Y. Hirao
ここでは，
“Prominence RF-20AXS”
蛍光検出器を用いた，
■ピリミカーブの分析
Analysis of Pirimicarb
ピリミカーブ（Fig. 1）は，N-メチルカルバメート系農
Fig. 2に，ピリミカーブ標準溶液（0.1 μg/L，メタノー
薬のひとつで，主に殺虫剤として用いられます。N-メチ
ル溶解後，希塩酸で希釈）のクロマトグラムを，Table 1
ルカルバメート系農薬の分析には，ポストカラム蛍光誘
に分析条件を示します。個別試験法｢試料溶液の調製｣の
導体化法が用いられますが（｢アプリケーションニュース
手順に基づく定量限界濃度は，
｢抽出法
（1）
｣で4.5 μg/L，
No. L 399｣参照）
，ピリミカーブについては，自然蛍光に
｢抽出法
（2）
｣で1.4 μg/Lとなります。
よる直接検出を行います。
mV
H3C
■ Peak
1. Pirimicarb (1 pg)
2.0
CH3
N
O
N
N
1
H3C
N
CH3
O
CH3
CH3
0.0
Fig. 1 ピリミカーブの構造式
Structure of Pirimicarb
0.0
Table 1 分析条件
Analytical Conditions
: Shim-pack VP-ODS (250 mm L. × 4.6 mm I.D., 4.6 μm)
Column
: Water / Methanol / Phosphate buffer = 1 / 7 / 2 (v/v/v)
Mobile Phase
: 1.1 mL/min
Flow Rate
Column Temp. : 40 °C
Injection Volume : 10 μL
: RF-20AXS Ex. at 312 nm, Em. at 382 nm
Detection
Cell Temp.
: 20 °C
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
8.0
9.0 min
Fig. 2 ピリミカーブのクロマトグラム（0.1 μg/L，10 μL注入）
Chromatogram of Pirimicarb (0.1 μg/L, 10 μL injected)
No.L410
■テトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンの分析
Analysis of Tetracycline and Oxytetracycline
テトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンなど
mV
のテトラサイクリン系抗生物質は，動物医薬品として使
1.50
用されています。
Fig. 3に，テトラサイクリンおよびオキシテトラサイク
■ Peaks
1. Oxytetracycline (100 pg)
2. (System peak)
3. Tetracycline (150 pg)
1.25
リン混合標準溶液（各々 10 μg/L，15 μg/L，メタノール
1.00
で溶解後，1.36 %りん酸一カリウム水溶液で希釈）のク
ロマトグラムを，Table 2に分析条件を示します。個別試
3
1
0.75
験法｢試料溶液の調製｣の手順に基づく定量限界濃度は，
各100 μg/Lとなります。
0.50
Table 2 分析条件
Analytical Conditions
0.25
: Phenomenex Gemini-NX 5 μm C18 110Å
(150 mm L. × 4.6 mm I.D., 5 μm)
: Imidazole buffer * / Methanol = 17 / 3 (v/v)
Mobile Phase
* Imidazole 68.08 g + EDTA·2Na 0.37 g +
Magnesium acetate 10.72 g,
pH 7.2 adjusted with Acetic acid in 1000 mL Water
: 0.8 mL/min
Flow Rate
Column Temp. : 30 °C
Injection Volume : 10 μL
: RF-20AXS Ex. at 380 nm, Em. at 520 nm
Detection
Cell Temp.
: 30 °C
0.00
Column
2
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0 min
Fig. 3 オキシテトラサイクリン（10 μg/L）およびテトラサイクリン
（15 μg/L）のクロマトグラム（10 μL注入）
Chromatogram of a Standard Mixture of Oxytetracycline (10 μg/L)
and Tetracycline (15 μg/L) (10 μL injected)
■オルトフェニルフェノールおよびジフェニルの分析
Analysis of o-Phenylphenol and Diphenyl
オルトフェニルフェノール
（OPP）
およびジフェニルは，
mV
柑橘類に使用される防かび剤です。
7
Fig. 4に，OPPおよびジフェニル混合標準溶液（各々
5 μg/L，10 μg/L，メタノールで溶解後，移動相で希釈）
6
のクロマトグラムを，Table 3に分析条件を示します。個
5
別試験法｢試料溶液の調製｣の手順に基づく定量限界濃度
1
■ Peaks
1. o-Phenylphenol (50 pg)
2. Diphenyl (100 pg)
4
（穀類）
は，
OPP 50 μg/L，
ジフェニル 100 μg/Lとなります。
3
2
2
1
Table 3 分析条件
Analytical Conditions
0
: Shim-pack VP-ODS (150 mm L. × 4.6 mm I.D., 4.6 μm)
: Acetonitrile / Water / Methanol = 1 / 7 / 12 (v/v/v)
containing 10 mmol/L Sodium dodecyl sulfate,
pH 2.3 adjusted with Phosphoric acid
: 1.0 mL/min
Flow Rate
Column Temp. : 40 °C
Injection Volume : 10 μL
: RF-20AXS Ex. at 285 nm, Em. at 325 nm
Detection
Cell Temp.
: 30 °C
Column
Mobile Phase
0.0
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
min
Fig. 4 オルトフェニルフェノール(5 μg/L)およびジフェニル(10 μg/L)
のクロマトグラム(10 μL注入）
Chromatogram of a Standard Mixture of o-Phenylphenol (5 μg/L)
and Diphenyl (10 μg/L) (10 μL injected)
[参考文献]
1）
｢食品に残留する農薬，飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について｣
（平成17年1月24日厚生労働省食安発第0124001号）
（別添）
［最終更新平成22年8月2日］
初版発行： 2010年10月
分析計測事業部
応用技術部
※本資料は発行時の情報に基づいて作成されており，
予告なく改
訂することがあります。
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2010.10

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