委託先管理概要教育 - NEC通信システム

委託先管理概要教育
日本電気通信システム株式会社
1.1版
ES2P13-0001-CS34-0001
本講の目的
 現在の企業では、コスト削減・リソース補完・技術補完等の目
的から、作業を外部へ委託する範囲が広がっています。パート
ナー(委託先)を適切に管理して、質の良い成果物を納品して
もらうことが、プロジェクト成功の大きな要因であると同時に、
内部統制による法遵守という側面においても、委託先管理は
重要な活動のひとつに位置づけられます。
 本教育コースは、プロセス改善の視点から、本来どのような委
託先管理が求められているかを事例を交えてご紹介します。
一般的な委託先管理の活動(プラクティス)を再認識していた
だき、「委託先にやってもらうこと」ではなく、「(高品質な成果
物を得るために)発注側である皆さんがやらなければいけない
こと」を学び、受講者皆さんの業務改善に寄与することがこの
コースの目的です。
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目次
1. はじめに
1. 本講の受講者
2. 本講の内容とスケジュール
3. 本講のルール
2. 業務委託の種類
1. 日本における開発委託の現状
2. なぜ委託先(パートナー)が必要なのか
3. プロセスモデルにおける委託先管理
1.
2.
3.
4.
5.
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CMMI-DEV
CMMI-ACQ
Automotive SPICE
ISO 26262
共通の推奨事項
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4. 委託先管理の事例集
1. 委託先との依頼事項
2. 委託先の評価
(参考)委託先の選定方法
5. 発注側に必要な能力
1.
2.
3.
4.
発注側に必要な能力
コスト低減
リソース補完
技術補完
6. さいごに
1. 今回学んだこと
2. より深く学びたい方へ
2.2.日本における開発委託の現状
▌ 委託元ー委託先で、抱えている課題は異なる。
 立場が変われば、当然言い分も変わるが・・・
▌ 委託先のコストが高い?
 委託する業務に必要な能力と、委託先が保有する能力が一致しているか?
 最良なパートナーを選ぶことができているか?
 コストだけで委託先を評価していないか?
▌ 委託先の品質管理が難しい?
 受け入れる成果物の品質基準を定め、事前に合意できているか?
 委託先の進捗管理が適切にできているか?
▌ 委託先が抱える課題は品質に影響しないか?
 仕様の共有ができているか?
 委託先が開発するに十分な情報を提供できているか?
 委託先の成果物(受領物)を明確に定義し、合意できているか?
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3.1.CMMI−DEVの外注管理プロセス
SG1:供給者合意を確立する
SG2:供給者合意を満たす
SP1.1
SP2.1
調達の種類を決定する
供給者合意を実行する
供給者の進捗報告書
供給者レビューの資料
処置項目の追跡記録
納入文書類
調達の種類の一覧
SP1.2
供給者を選定する
選定された(されなかった)
作業成果物の一覧
比較・決定
実 績
市場調査
候補の一覧
好ましい供給者の一覧
候補の長所短所
評価基準/調査の記録
選定の論理的根拠
引合い資料及び要件
供給者(委託先)
進捗及び
実績を
監視
SP2.2
SP2.3
調達した成果物を
受け入れる
SP1.3
供給者合意を確立する
受け入れテスト手順
受け入れテスト結果
是正処置計画
契約書
作業記述書
契約書
合意の覚書
ライセンス合意
成果物
発注者(委託元)
発注者
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成果物の移行を
確実なものにする
移行計画
トレーニング報告書
支援および保守の
報告書
移行準備OK!
供給者
受け入れOK!
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選定されたプロセス一覧
成果物統合
3.3.A−SPICEの取得プロセス群
潜在的
サプライヤー
A
B
ACQ.14
E
D
提案依頼
要件仕様書
コミットメント/合意文書
提案依頼書
提案募集(CFP)
/入札募集(ITT)
サプライヤー
候補一覧
契約
コミットメント/合意文書
契約書
契約レビュー記録
性能
安全
安全
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発注者
契約書
サプライヤー
(委託先)
ニーズ
・期待
進捗及び
実績を監視
コミットメント/合意文書
進捗ステータス記録
変更依頼
分析報告書
プロジェクト要件
コミットメント/合意文書
検収基準
契約書
要件仕様書
品質
基準
サプライヤー監視
ACQ.13
法的および管理要件
コーディ
環境
ング
影響
規約
評価
ACQ.4
実 績
ACQ.12
利害関係者グループリスト
要件仕様書
妥当性確認結果
サプライヤー資格認定基準
サプライヤー評価報告書
サプライヤー候補登録
サプライヤーの決定
契約合意
技術要件
サプライヤー資格認定
スキル、品質、・・・
ISO9001、
ISO16949、
etc.
ACQ.3
ACQ.11
ACQ.15
C
所有権
・責任
区分
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要件仕様書
リスク対策依頼
契約書
各種
法律
潜在的
なリス
ク
関係部署の
情報ニーズ
選定された
プロセス
ライフサイクル
WBS
5.1.発注側に必要な能力
パートナーを活用して目標とするQCDを達成するためには、
発注側にも能力が必要である。
自社製品開発
自社(発注側)
発注側の
能力が重要
コスト低減
リソース
補完
技術力
補完
委託先
納期
委託先に求めるもの
コスト
品質
コスト低減
リソース確保
発注側に必要な能力 •アーキテクチャ
•プロセス
•コードの品質パフォーマン •品質保証
管理のポイント
ス
•受け入れコードメトリクス
技術力補完
•プロジェクト管理
•相手を尊重した管理
5.2.ケース1:コスト低減の場合 (1/3)
▌自社の社員の工数を使うより、安価なパートナーを活用して
コストを低減する場合
例)
 国内のソフトハウス
 中国、フィリピンなどのオフショア
▌よくある課題
 上流工程を任せられない。
 頼んだこと以上を期待できない。
 期待する品質のモノが納入されず、後戻り作業が多発して、結
局、コストが嵩む。
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5.2.ケース1:コスト低減の場合 (2/3)
▌成功のヒント
 単純作業に依託範囲を限定する
 疎結合なソフトウェア構造として、切り出す部分のインターフェ
ースを固定する
 定量的な受け入れ基準を定義し、品質を客観的に評価する
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5.2.ケース1:コスト低減の場合 (3/3)
ソフトウェア・アーキテクチャ
個別アプリケーション
個別アプリケーション
設計書
調達の対象
調達先へのインプット
Java
Java
設計・コーディングガイド
ライブラリ
Java
レイヤ3
共通アプリケーション
注: JSLは、ソースコード規模に
相当する尺度
レイヤ2
基本アプリケーション
A社
B社
C社
コスト
xx円/時
xx円/時
xx円/時
品質
xx件/JSL
xx件/JSL
xx件/JSL
調達先からのアウトプット
OS
レイヤ1
戦略面でのポイント
 調達対象:プログラム
 Javaプログラマーのみに焦点
 ソフトハウスから多数いるプログラマを
柔軟に選定
 品質、コストのバランスで選定
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受入指標 コードメトリクス(複雑度、凝集度、結合度)
技術面でのポイント
 システムコアと共通部品は内製
調達部分も設計までは内製
 ソフトウェアアーキテクチャに基づき
設計ガイド、ライブラリ等を提供
 受入指標に、複雑度、凝集度等を
定義しプログラム品質を確保
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管理面でのポイント
 アメーバ経営を導入し、徹底した業績
管理でマネージャが主導権
 コストパフォーマンスの悪い供給者は他
の供給者と替える!(マネージャ)