Vol.43,No.1

I
SSN 0
3
8
6
-9
5
9
8
学
樹
栄
樹
究
VOLA3 NO.
1
2001
Ja
paneseJour
nalo
fSchoolHe
al
t
h
学校保健研究
J
pnJSc
hoolHe
al
t
h
日本 学 校 保 イ
建学 会
2
0
0
1
年 4月2
0日発行
軍
票
萱
目
故
菜
第4
3
巻
第 1号
次
唐津秀雄先生 の ご逝去 を悼 む
日鮎
百
川上 吉昭
健康教育 と福祉教育
特集論文 :薬物乱用防止教育
[
垂二
二
重]
勝野 星吾
学校 にお け る薬物乱用 防止教育
-研 究 の動 向-
論 説
石川 哲也
我 が 国にお け る薬物乱用 防止教育 の変遷
厘二重]
和田
活
中学生 にお ける有機溶剤乱用 の実態 とその生活背景
市村 囲夫,下村 義夫,波速 正樹
中 ・高校生 の薬物乱用 ・喫煙 ・飲 酒行動 と規範 意識
-1
99
2年千葉県調査 よ り- ・
・
-
-
----2
6
[
垂=萱]
吉本佐雅子,鬼頭 英明,石川 哲也,川畑 徹郎,和 田
活,
西 岡 伸紀,勝野 寅吾
薬物 乱用 防止 システムに関す る国際比較研 究 第 1報
・
・
・ -・
・
5
0
イギ リス にお ける青少年 の薬物乱用 の実態 お よび総合 防止対策 につ いて ・
・
・
・
・ --- -・
-
=
-
門田新一郎
児童 の ライ フス タイル と健康状況 に関す る調査研 究
一 週休 2日制 を踏 まえた検討堀 田 法子,古田 真司,村桧 常司,松井 利幸
中学生 ・高校 生の 自律神経性 愁訴 と生活 習慣 との関連 につ いて
毛利 清美,杉 田 克生
重複 障害 児 に対す る 「
健康 の保持 」の指 導
.
I
- --- --・
8
3
一 医療相談 にお ける よ りよい学校 ・医療機 関 ・家庭 の連携 を探 る一 ・
I
- =-・
・
[
亘二
重]
第4
8回 日本学校保健学会 の ご案 内 (
第 2報 )
第4
8回 日本学校保健学会演題 申込書
日本学校保健学会評議員 の選 出につ いて- 選挙管理委員会公示日本学校保健学会被選挙権保有 者名簿
「
学校保健研 究」投稿規定 の改正 につ いて
〔
お知 らせ〕
◎「第 9回JKYB健康教育 ワー ク シ ョップ報告書」発行 のお知 らせ
◎シ ンポ ジウム 「
思春期 の ライ フスキル (
心 の能力) を育 てる」 ・
◎第 1
0
回J
KYB健康教 育 ワー クシ ョップ
-
-
学校保健研究
J
pf
lJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
故 唐津秀雄 先生 略歴
1
908年 4月1
0日生
1
9
3
4年 3月 金沢医科大学卒業
1
9
5
6年 5月 金沢大学医学部公衆衛生学専攻生修了
1
95
9年 1
1月 医学博士 (
金沢大学)
1
9
3
4年 4月 医務衛生 に関す る事務嘱託 (
市谷刑務所)
1
9
3
4年 7月 市谷刑務所保健技手
1
9
3
4年 8月 金沢刑務所保健技手
1
9
35
年1
0月 保健技師 神戸刑務所勤務
1
9
3
8年 3月 金沢医科大学副手嘱託
1
9
3
8年 7月 学校衛生技師 愛媛県学校衛生技師
1
9
42年 4月 愛媛県立教貝保養所長
1
9
46
年 4月 刺令第1
9
3号 に依 り地方技官
1
9
4
8年 3月 愛媛県教育部体育課長
1
9
49
年12月 文部教官
愛媛大学講師
1
9
5
0年 4月 愛媛大学教授 (
教育学部)
1
96
5
年 7月 愛媛大学評議員 (
1
9
7
4年 3月まで)
1
9
7
4年 3月まで)
1
9
7
0年 4月 愛媛大学教育学部長 (
1
9
7
4年 4月 愛媛大学名誉教授
1
9
7
4年 4月 桃 山学院短期大学教授 (
1
9
79
年 3月まで)
2月 9日 脳塞栓 によ り逝去 さる.享年 9
2
歳
2
0
0
0年 1
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2001
故 唐津秀雄先生のご逝去 を悼む
唐津秀雄先生は,1
0日余 り痛いに伏せ ,2000年12月 9日に脳塞栓でお亡 くな りにな りました. こ
こに謹んでご冥福 をお祈 り致 します.
先生は,学校保健の学問的 自立一教育保健学 としての構築- を主張 され,そのための研究対象 と
方法の独 自性 ・固有性 を追求 してこられました.その きっかけは,戦前,先生が学校衛生技師 とし
て愛媛県 に赴任 された頃,竹村-先生の 「
算術 にも学校衛生はある」 という主唱が強 く脳裏に記銘
9
49年愛媛大学の教師になられ,学校保健 とは何かを問い直 した時,先づア
されていたようです.1
プローチ として取 りあげたのが 「
学習」で した.
それは,教師の仕事や養護教諭の専門性 を支えるためにも,学校保健の学問的自立のためにも,
更には本学会に個有の レ-ゾン ・デー トルを確かめるためにも,決 して間違ってはいなかったと先
0年頃,学校保健関係者か ら教員養成系大学の教職科 目に学校保
生は述べ られています. また,196
健の必修化 を求める声が出されるなかで,学校保健が教育科学 として成立 しうるだけの独 自の学問
的な蓄積があるのか と問われたことにもよるで しょう.
,
,
学習の衛生に関する 2, 3の問題」 (
1
961
) 「
人間
先生は,それ以後 もその問いを自らに課 し 「
,
196
4),教育生理学の構想についての-試論」(
1
96
8) 「
教育保健学-の模索」(
1
973),
形成の生理」(
1
979) など,そ して1
984年には 「
教育法学的学校保健論の試み」の論述は76歳の
「
教育保健論」 (
高齢で書かれた ものです.研究の息の長 さと同時に,教育現実が求める実戦的課題にどう答えるか
と間いつづけられた研究者 としての姿勢 に敬服いた します.
先生の提唱 されていることは,学校保健の 「
独 自性」 をほこる 「
学問体系」 を構築 しようとする
ものではな く,学校保健の仕事 ・養護教諭の仕事に役立ち,学校保健ならではの質的な個性 をもっ
た研究を発展 させ, しか も多 くの仲間に共有 される学問を構築 しようとするものです.先生のい く
,
教育保健学序説」 (
1
99
0) として発刊 され
つかの論文は,沢山信一 さん (
吉備国際大学)によ り 「
ています.
先生は,その序説の自序の中で 「
新 しい学校保健学一私は教育保健学 と呼びたい一構築のために
は,未だ提言の域 を出ていないのであ り,云わばアピールにす ぎないとも云えるものであるか ら,
お読み下 さる同学の方々にお願い したいことは,同 じ意図を持 った実証的研究を 1つでも多 く蓄積
してほしい ということである」 と結んでお られます.
最後に唐津秀雄先生は,青年医師のころより小林多喜二の直筆 による 「
我々の蛮術 は 飯 を食え
ない人に
とっての料理の本で
」(
1
931
.l
l
.1
0)を終生大切 にされ,教育研究 ・
あってはならぬ.
大学運営 ・診療活動に励 まれ,92歳の生涯 を閉 じられました.合掌
(
向井康雄)
学校保健研究 J
pnJS
c
ho
oIHe
al
t
h43;2
001
健康教育 と福祉教育
川 上 吉 昭
He
a
l
t
hEduc
a
t
i
o
na
ndWe
l
f
a
r
eEduc
a
t
i
o
n
Yo
s
hi
ha
r
uKa
wa
ka
mi
指導要領の改正に伴い,高等学校の学習科 白
として 『
福祉』 と 『
情報』が組み込 まれる.お
そ らく時代のニーズによってのことと思 うが,
長い歴史をもつ学校保健の内容の 1つに,公衆
衛生学や,予 防医学 を根幹 とした健康教育が
綿 々として教授 されて きたのに・
-?.今何故福
祉 なのか- ?
最近の時代 を風潮 しているのか毎度読み開 き
T革命,高齢社会,痴呆老 人,
す る言葉 に,I
介護保険,医療事故,少年犯罪-等々がある.
ことに高齢社会による介護問題,医療費の増加
等 を視中にいれ,高校教育の指針 として改正 さ
れた もの と思 う.
ところで,今 まで小学校か ら大学 までの教育
の中で行われていた健康教育には,福祉 という
言葉は使われないまで も,その意図は含 まれて
いた. もともと福祉 (
We
l
f
a
r
e
) とはWe
l
LWe
l
l
-be
ng,We
i
u
ne
s
s
の意味 を もち (
健康,満足,
l
f
a
r
eとWe
l
l
は語 源
幸 福,福 利,救 済-),We
的に似ているr
?. もしか したら福祉 と健康 は同
じなのでは- と思 う次第.一方, 日本国憲法第
2
5
条 にも 「
すべての国民は,健康で文化的な最
低 限度の生活 を営 む権利 を有す る.
」に続 き,
「
国は,すべての生活部面 について,社会福祉,
社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めな
ければな らない.
」 と掲 げている.ではここで,
越生健康で文化的な最低限度の生活 を営む墜型
空重且, また選壁社会福祉,社会保障及び公衆
衛生の向上及び増進に努めなければならないの
前者 は国民個人であ り,
か ?.その答 えは 「
後者は国である」 (?).大概の人はそ う回答す
るに違いない.す なわち 「
生存権 は国民 にあ
り,国には生活の向上に努める義務があるのだ
-」 と.確かに,それが正解か もしれないが,
残念 なが らここには国民個人に諌せ られている
努力義務が欠けている.
要するに,健康教育にして も福祉教育 にして
ち,他人事のように思い,病気 になった ら,あ
るいは貧困や障害者になった ら保健,医療,福
祉の厚生政策に頼れぼ -の如 く,所謂 『
棚か ら
ボタ餅』的に理解 され, 自ら健康 を増進 し, 自
ら福祉 について努力 をする励みの強調が低かっ
,
,
た結果か もしれない.
筆者の反省にもなるが,少な くとも平成 4年
重では,健康教育の教師を養成する仕事に携わ
り 「
人は如何 にしたら健康で長生 きできるか」
をテーマ とした科学的研究を行ってきた. しか
しその後,縁あって福祉大学に籍 を置 くことに
な り,現在は 「
健康福祉」について模索 してい
る. この意図は,前述 したように,健康 も福祉
も国民全員に与えられた権利であ り,且つ努力
義務である以上,今 までのような弱者救済的な
保健や福祉だけではな く,健常者にも焦点をあ
てた福祉,所謂 『
転ばぬ先の福祉』を構築する
ことである.端的に述べれば,今 までの健康教
育について,健康福祉の見地か ら更に検討 を加
えなければならないものと思 う.
今後 『
福祉』の教科 を担当する教師は,おそ
らく大学において広 く福祉や介護を修得 した人
達であろうが,手元にある大学の社会福祉 に関
するシラバスを検分する限 り,老人福祉,障害
者福祉,生活保護,母子及び寡婦等々と, もっ
ぱら弱者 を対象 とした福祉の考え方や制度を述
べている.確かに現今の社会情勢では,弱者 を
救済することは当然であって,そのための考え
方,制度,手技等 を科 目として教授することは
必要 なことであろう. しか し対策的な社会福祉
の理解だけで,果たして日本の将来に向かって
の福祉社会 (
健康福祉社会)を樹立で きるであ
ろうか.
学校保健学会に所属する会員には,医師,看
護婦 (
士),薬剤師,保健婦 といった医療関係
者や,養護教諭,保健体育教諭などの教育者が
多数登録 されているが,残念なが ら社会福祉士
や介護福祉士の先生方の入会は少 ない.これ も
保健,医療,福祉の縦割 り3本の禍なのであろ
うか.
従来の健康教育が,健康の維持 ・増進に関わ
る理論 と実践の教育であるならば,これこそ今
後 の福 祉 教 育 の柱 で なけれ ば な らない と思
う. 1つの提案であるが 『
健康福祉』 とい う
科 目があって もよいのでは・
-と思 うこの頃であ
る.合掌.
(
東北福祉大学 教授)
,
,
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1;5-1
4
総 説
学校 における薬物乱用 防止教育
一研究の動向一
勝
野
兵
書
兵庫教育大学 生活健康系教育講座
Pe
r
s
pe
c
t
i
ve
so
fSc
ho
o
l
ba
s
e
dDr
ugAbus
ePr
e
ve
nt
i
o
n
Shi
ngoKa
t
s
uno
Di
v
T
s
i
ono
fEpi
de
mi
ol
o
g
yan
dHe
al
t
hEdu
c
at
i
o
n,
De
par
l
me
nto
fHe
al
t
hSc
i
e
nc
e
s
,Hy
o
goU7
Z
t
'
v
e
r
s
i
yo
t
fT
e
ac
he
rEdu
c
at
i
o
n
Ke
ywo
r
ds:dr
uga
bus
eprevent
i
on,s
c
ho
o
トba
s
e
d program,pri
mary prevent
i
o
n
薬物乱用防止,学校教育,第一次予防
は じめに
改訂はわが国の薬物乱用防止教育にとって極め
て大 きな意義を持つ ものである.わが国の教育
わが国では1
989年 (
平成元年)の学習指導要
システムの特徴 はしか し一方で,教科 ごとの縦
領によって学校 における薬物乱用防止教育が明
割 りによる教科間,教師間の連携の欠如や教育
確 に制度化 された. これにより中学校では1
993
的働 きかけの効果を単に知識の量のみで評価す
年(
平成 5年)度か ら,高等学校では1
99
4年 (
平
るという傾向 も生みだしてきた.新 しい学習指
成 6)年度か らすべての中学校,高等学校にお
導要領 において 「
総合的な学習の時間」が設定
いて薬物乱用 に関する指導が実施 されるように
されたのはこの反省に立つ ものであ り,薬物乱
用防止教育において も教育的働 きかけを 「
薬物
なった1
)
. しか し,その後第三次覚せい剤乱用
期 と呼ばれる覚せい剤 を中心 とした薬物乱用の
を使用 しないという具体的な行動」にいかに結
流行が起 こった.1
995年 (
平成 7年)か ら始 まっ
びつけるか という観点が重視 されている.
た薬物乱用の増加 は現在 も続いてお り,低午齢
薬物乱用が深刻な欧米諸国では薬物乱用防止
化 と女性への浸透 という危険な兆候を伴 うもの
である2).このような近年の薬物乱用 の拡大 を
のための総合的戦略 (
St
r
a
t
e
gy)が構築 され,
これに基づ いて教育 プログラムが作 られてい
背景に,1
99
8年 (
平成 1
0年)の小学校および中
る4),5)
・
6)
・
7
)
. これ らのプログラムは行動科学理論
学校の学習指導要領改訂 ,19
99年 (
平成1
1
年)
を中心に した包括的な内容で構成 され,ステッ
の高等学校の学習指導要領改訂では,薬物乱用
プごとの具体的な目標設定 とその効果を客観的
防止 に関する指導のさらなる充実が図 られた3).
に評価するシステムを含むものである.わが国
わが国の教育 システムは文部科学省 を中心 に
と欧米諸国では社会 ・文化的背景が異な り,ま
各都道府県教育委員会,学校が緊密 な連携 を持
た教育 システムにも違いがあるが,総合的な戦
ち,Na
t
i
o
na
l Gui
de
l
i
neである学習指導要領の
略に基づ く教育プログラムの作成,行動科学理
方針の もとで全国的にほぼ均質の教育が行われ
論の取 り入れ,効果 を客観的に評価するための
ることが特徴である.従って,学習指導要領の
システムは,新 しい学習指導要領のもとでのわ
6
学校保健研究
J
pnJSc
h
o
oIHe
al
t
h43;2
0
01
が国の薬物乱用防止教育にも参考になるもので
処 (
予防的介入)が 目標 となる.すなわち治療
ある.
的環境のなかで教育を継続する機会を保証 しよ
本論では薬物乱用防止教育に関する先行研究
うとする.このように 5つの領域 はそれぞれの
の多い米国を中心 に,薬物乱用防止教育の研究
具体的 目標 を持ち,その達成のための異なった
の動向をまとめた.
方法を持つ.
米国の薬物乱用防止教育の変遷と特徴
9
5
0
年代か ら1
9
6
0
年代 にかけて第一
米国では1
次予防の立場か ら心臓病や癌の死亡率低減のた
薬物汚染の深刻な米国では児童,生徒,学生
めの禁煙教育が積極的に行われた.この喫煙予
を対象 とした薬物教育が,たばこやアルコール
防教育は 「1.知識 ・認識の領域」 を重視 した
を含む薬物乱用 を抑 える最 も本質的な方法であ
学校教育の伝統 的手法が中心 となった もので
0
年以上 にわたって様々
るという観点か ら過去 1
あった. しか し,大がか りで熱心な働 きかけに
l
o
)
・1
1
)
.薬物乱用防止 に
な試みが行われてきた8,9)I
もかかわ らず,若年者の喫煙率は低下するどこ
ko
s
ki
は 「1
.知
関す る教 育 的働 きか け をBu
ろかむ しろ上昇 したため,知識のみを重視 した
2.意識 ・態度 と対
識 ・認識に関する領域」,「
旧来の教育手法はたばこ,アルコールを含む薬
3.行動 に関す る領
人関係 に関す る領域」,「
物乱用の防止には有効ではないと考えられるよ
4.環境 に関する領域」,「5.治療 に関
域」,「
うになった.そ こで これに代 わる もの として
1.
す る領域」の 5つの領域 に分 けてい る12).「
「
2.意識 ・態度 と対人関係 に関す る領域」,
知識 ・認識の領域」では依存性 を持つ薬物の種
「3.行動に関する領域」,「4.環境に関する
類,化学的特性,薬理作用 (
身体および精神 に
領域」 を重視 した包括的な薬物乱用防止教育プ
及ぼす影響),薬物乱用の結果 としての社会的
ログラムが開発 された.これ らのプログラムは
危険などについての知識 を増す ことによって薬
基本的に, 1.危険なもの, 自分に都合の悪い
物乱用の危険を認識 させ,薬物乱用 を予防する
と考えられるものを拒否 した り,それに抵抗 し
2,意識 ・態度 と対人関
ことが 目標 となる.「
た りする能力 ・方法 (
スキル) を教える, 2.
係の領域」では児童,生徒,学生ひとりひとり
ロールプレーイングなどの手法により,友人 ・
Se
l
fEs
t
e
e
mの確立), 仲間,家族などか らの誘いの手口とそれを断る
に自己の価値 を認識 させ (
社会のなかでの自分 自身 と他人の価値お よびそ
方 法 を学 ぶ, 3.ス キ ルの獲 得 に対 す る賞
の相互関係の重要性 を気づかせることによって
質, 4. 日常生活のなかで学んだスキルを生か
薬物乱用防止に結びつけることが 目標 となる.
す (
普遍化), とい う内容で構成 され,児童.
「3.行動に関する領域」では友人 ・仲間,衣
生徒参加型のプログラムが主流 となっている.
族,あるいはマスメデ ィアなどを通 じた社会か
らの薬物乱用-の誘惑 (
社会的圧力)に抵抗で
きるような能力 (
スキル)を会得することによっ
薬物乱用防止教育プログラムの構成と内容
Le
a
r
ni
ngt
oLi
veDr
ugFr
e
e1
3)は米国教育省
4. が学校 における薬物教育のモデルになるものと
て薬物乱用 を予防す ることが 目標 となる.「
環境 に関する領域」では学校における学級活動,
して提示 したプログラムであ り,このプログラ
クラブ活動,ボランティア活動などの特別活動
ムの中に上記の新 しい包括的な薬物教育の戦略
や学校 を取 りまく地域の環境の整備によって薬
をみることがで きる.
物乱用 を予防することが 目標 になる.そ して最
5.治療 の領域」では学校,家庭,あ
後 に,「
Le
a
r
ni
ngt
oLi
veDr
ugFr
e
eでは,薬物に関
する教育を子 どもの発育 ・発達段階に対応 して
るいは社会ですでに暴力,無断欠席,薬物乱用
内 容 を幼 稚 園 か ら 3年 生, 4年 生 か ら 6年
などの様 々な問題を起 こして しまった児童,坐
2年生 (
こ
坐 , 7年生か ら 8年生, 9年生か ら1
荏,学生が対象 とな り,その早期発見 と早期対
0
年
のうち 7年生か ら 9年生は日本の中学生,1
勝野 :学校における薬物乱用防止教育
7
生か ら1
2年生は高校生に対応す る)の 4つに分
割 している.文末の資料 は各段階の 目標,授業
計画の内容,カリキュラム領域 を示 したもので
ある.
薬物乱用防止教育の評価 と有効性
ス (
Me
t
a
-Ana
l
ys
i
s
) によってプログラムの有
効性が定量的に比較分析 されるようになってい
る15).メタ ・アナ リシス とは報告 された各 プロ
グラムの数億か ら効果の大 きさ (
Ef
f
e
c
tSi
z
e)
を算出 して比較する分析法であ り,効果の大 き
さはプログラム実施群の平均値 (
プログラム実
米国では薬物乱用防止教育プログラムの妥当
施前後の喫煙,飲 酒,あるいは薬物乱用者の出
性 と有効性 を客観的に評価 しようとする試みが
現率の差の平均値)か ら対照群の平均値 を差 し
enbur
yらは米国内で広範囲
行われている.Dus
7の薬物
に実施 されている学校 をベース とした4
引 いた もの を対照群 の標準偏差 (
Hedge
s'
gな
どのプール した標準偏差を用いることが より望
乱用 防止教育 プログラムにつ いて比較 を行 っ
ましい1
6
り で割って求め られる.実際の分析で
た14). 4
7のプログラムの うち,有効性 について
は各プログラムの対象人数の違いを補正 して効
評価が行われているものは1
0(
21
%) に過 ぎず, 果 の大 きさが比 較 され る.図 1はTobl
e
r
が米
他のプログラムでは有効性 についての評価が行
国 とカナダの学校 において実施 された1
06の薬
われていなかった.評価が行われた表 1に示す
物乱用防止教育プログラムについてメタ ・アナ
1
0のプログラムのうち, 8つのプログラムにお
リシスによる分析 を行 った結果である17
)
.社会
いて実施後 喫煙 あ るい は薬物 の乱 用 が減 少
的要因に焦点をあてた社会的学習理論に基づ く
し, 6つプログラムでは少な くとも 2年間にわ
学習プログラムや包括的なライフスキル教育プ
たってその効果の持続が認め られた.評価研究
ログラムのような児童 ・生徒参加型プログラム
の結果,最 も長期 にわたって効果が認め られた
は知識や意識 ・態度面を中心 とした児童.生徒
のはLi
f
eSki
l
l
sTr
a
i
ni
ngPr
ogr
a
m (
LSTプログ
ラム)であった. このように薬物乱用防止教育
不参加型プログラムに くらべて有効性が高いこ
プログラムについては,単に実施するだけでは
このように薬物乱用防止教育プログラムには,
そ の 有 効 性 を評 価 す る た め の厳 密 な計 画
な く,その有効性 について評価 を行 うことが重
とが示 されている.
要であると指摘 され,現在ではメタ ・アナリシ
(
St
udy De
s
i
gn)が求め られるようにな り,
これまで評価 システムを持たなかった他の薬物
表 1 評価が行われた米国の薬物乱用防止教育
プログラム
乱用防止教育プログラムにも導入が図られてい
Al
c
o
h
o
lMi
s
us
ePr
e
ve
nt
i
o
nPr
o
j
e
c
t
DARE
証 されたLSTなどのプログラムは米国の一般の
**
Gr
o
wi
ngHe
a
l
t
hy
Kno
wYo
urBo
d
y'
'
if
L
eSk
i
l
l
sTr
a
i
ni
ng
Pr
o
j
e
c
tAl
e
r
t
Pr
o
j
e
c
tNo
r
t
hl
a
nd"
So
c
i
a
lCo
mpe
t
e
nc
ePr
o
mo
t
i
o
nPr
o
gr
a
m
STAR'
'
Te
e
na
geHe
a
l
t
hTe
a
c
hi
ngMo
du
l
e
s
''
∼
*
* 少なくとも2年間にわたって効果がみ られた
プログラム
Dus
e
nbur
y,L Fa
l
c
o
,M.
,a
nd La
ke A.
:∫
Sc
h
o
o
IHe
a
l
t
hVo
l
.
6
7
,1
9
9
7
る. しか し,その一方で,有効性が客観的に実
ug
学校 に広 く行 き渡 ってお らず,む しろDr
Abus
eRe
s
i
s
t
anc
eEduc
a
t
i
o
n(
DARE)のよう
に厳密な評価 システムを持たないためその有効
性が明 らかでないプログラムが広範囲に実施 さ
れているという皮肉な現実がある.LSTなどの
プログラムは研究者主導で開発 され,DAREは
警察によって開発 されたことがその背景にある
と考えられるが,米国では評価分析の結果その
有効性が明 らかにされている薬物乱用防止教育
プログラムをいかに一般の学校 に広めるか,あ
るいは逆に既に広範囲に実施 されているプログ
ラムの有効性 をいかに検証するかが課題 となっ
学校保健研究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h43;20
01
効果の大 きさ
0.
2
5
02
0
0.
1
5
01
0
005
000
苅捜のみ
意臨 ・鮫皮のみ
社会的要因
知扱+恵挽 ・態度
包ほ的ライフスキル
プログラムの穏類
図 1 薬物乱用防止教育プログラムの種類と効果の大きさ
To
b
l
e
r
,
N.
S
.
:
Me
t
a
a
na
l
y
s
i
so
fAd
o
l
e
s
c
e
n
tDr
u
gPr
e
v
e
n
t
i
o
nPr
o
g
r
a
ms
,
NI
DARe
s
e
a
r
c
hMo
n
o
g
r
a
p
h
,
1
9
9
7
ている.なお,DAREに関 してはMi
nne
s
o
t
a
9
7
5
年に始 ま り2
0
年以上にわたって毎年実施
は1
のPe
r
r
yらのグループによって学校 と地域全体
での取 り組みを組み合わせたDAREPLUSプロ
されている調査であ り,薬物乱用 に焦点を絞っ
ている点に特徴がある.薬物乱用防止教育プロ
ジェク ト (
Dr
ugAbus
eRe
s
i
s
t
a
nc
eEduc
a
t
i
o
n
グラムを含む薬物乱用防止対策の総合的評価に
+pl
a
ya
ndLe
a
r
ni
ngUnde
rSupe
r
vi
s
i
o
n) に
ついての評価研究が始め られている18).
は前者が用い られることが多い.
薬物乱用のモニタリングと
新 しい疫学的知見
J
o
hns
t
o
nの グル ー プ のBa
c
hma
nらは1
9
7
6
年
9
9
6
年 までの 「
TheMo
ni
t
o
r
i
ngt
heFut
ur
e
か ら1
St
udy」資料 をもとに多変量解析 (
重回帰分析)
を行い,マ リファナ乱用 という危険行動に関与
薬物乱用防止教育 プログラムの有効性 に関す
.図 2はこれ
する要因について分析 している21)
る個別の研究 とは別に,米国では青少年の薬物
をまとめた ものである.従来,薬物乱用の背景
乱用の実態に関する全国規模の精密な疫学調査
要因として学業成績,学校の欠席率,夜間外出
(
モニタリング)が行われてお り,薬物乱用防
などの生活の乱れ (
生活習慣要因)や時代的要
止プログラムの総合的な評価指標 を提供 してい
c
hma
nらは マ リ
因が 重 視 され て きた が,Ba
t
i
o
na
ll
ns
t
i
t
ut
eo
n
る.その代表的な調査がNa
0
%未
ファナ乱用 に対する生活習慣の寄与率は2
Dr
ug Abus
e(
NI
DA ;米国薬物乱用研究所)
c
hi
ga
n大学社会科学研究所
の支援 を受けたMi
o
hns
t
o
nのグループによる 「
TheMo
ni
t
o
r
i
ng
のJ
9
)とC
e
nt
e
r
sf
o
r Di
de
a
s
e
t
he Fut
ur
e St
udyJ1
Co
nt
r
o
la
ndPr
e
ve
nt
i
o
n(
CDC;米国疾病管理
l
beらによるYo
ut
hRi
s
kBe
予防セ ンター)のKo
満,時代要因は 3%未満に過 ぎず,これ らの要
因 よ りむ しろ中 ・高校生 ひ と りひと りのマ リ
ファナ乱用の危険に対する認識や拒否的態度が
実際の乱用 と関連性が強いことを明 らかにした
6
.
0
%∼4
7
.
0%)
.
(
寄与率3
青少年期に特徴的な危険行動のひとつ として総
J
o
hns
t
o
nらは この分 析 結 果 を踏 ま え て,
「
TheMo
ni
t
o
r
i
ngt
heFut
ur
eSt
ud
y」の1
9
7
5
年か ら1
9
9
9
年 までの2
5
年間の調査結果をプロッ
過去 1
トしてい る (
図 3)19). 乱用 の指標 は 「
合的な立場か ら捉 えている.これに対 し,前者
ケ月の間にマ リファナを乱用 した者の出現率」
ha
vi
o
r Sur
ve
i
l
l
a
nc
e Sys
t
e
m20)である.後者は
1
9
9
0
年 という比較的最近始め られ,薬物乱用 を
勝野 :学校における薬物乱用防止教育
9
であ り, この指標 は現在乱用 を行 っている者の
リフアナ乱用が危険である」 とい う認識 を持つ
9
7
5
年,米 国の
指標 となる.調査 が開始 された1
高校生 は4
2
%か ら3
4% まで大 き く低下 した.乱
高校生の約2
7
%がマ リフ ァナを乱用 していたが,
用拡大の背景 にはこの ような乱用 の危険性 につ
その後数年の うちに乱用 は著 しく拡大 して1
9
7
8
いての認識 の低下があった と考 え られる. この
年 には3
7
% を越 えるようになった. この間 「マ
ような深刻 な状況 に直面 して1
9
7
8
年か ら米国で
寄与率(
%)
生活習慣 (A) :
鰻、成拭.欠席率,アルバイ ト時間/過.
収入/軌 夜間外出/過.宗致
態度 ・謎捻 (a) :
マ リファナ乱用 に対す る拒否的態度
マ リファナ乱用の危険についての詔重
畳
時代要因 (C) :
各年のマ リファナ乱用の全E
i
l
平均
「
2
5
4
3
10
0
1
生活習 絹
(A)
軽度 .捻絶
(B)
時代要因
(C)
A+C
8年生
1
5.
3
36.
0
1
.
9
1
7.
1
36.
1
1
0年生
1
2年生
1
8.
2
1
8,
7
470
448
2.
8
1
.
6
20.
9
20.
2
47.
448
B+C
図 2 申 ・高校生のマリファナ乱用に関連する要因
Ba
c
h
ma
n
n
,
J
Ge
ta
l
.
Ame
r
i
c
a
n∫Pub
l
i
cHe
a
l
t
hVo
l
.
8
8
,
1
9
9
8
退去 1ケ 月の乱用
乱用の免 放任怪物
入牢 しやす さ
%
%
一
o
o
9
0
80
7
0
6
0
5
0
4
0
3
0
20
1
0
0
75
7
7
r
7
9 81 闇
関
野
●
8
9 91 闇
で5 T
9
7 99
図 3 高校生のマ リファナ乱用 と危険についての認識および入手 しやすさ
Th
eMo
n
i
t
o
r
i
n
gt
h
eFu
t
u
r
eSt
u
d
y,
1
9
7
5
-1
9
9
9L.
D.
J
o
hn
s
t
o
ne
ta
l.
,
NI
DA,
USA
1
0
学校保健研究 JpnJSchooIHeal
t
h4
3;2
0
0
1
は学校における薬物乱用防止教育 を含めた様 々
必要があること.
」,高等学校では 「
喫煙,飲酒,
な角度か らの対策が強力に行われた.その結果
薬物乱用に関する適切 な意志決定や行動選択が
は直ちに乱用の危険性 に対する認識の上昇に結
必要であること.
」な ど発育 ・発達の段 階に対
びつ き,1
9
91
年には高校生の約80%が正 しい認
応 して具体的な指導内容が示 されている.薬物
識を持つに至った.マ リファナ乱用 という危険
乱用防止に関する指導は小学校の段階か ら始め
行動は乱用の危険性 に対す る認識の上昇に 1年
ること, また単に知識 を教えるのみでな く喫煙,
遅れて減少 し始め,1
9
92
年には1
2% にまで低下
飲酒を含めた薬物乱用 とい う危険な行動 をしな
した.総合的な対策が有効に働いたのである.
いという具体的な行動に結びつ く指導が必要で
しか し,この成果のため薬物乱用防止対策の手
あることなど,わが国学習指導要領の示 した目
がゆるめ られたため,乱用の危険性 に対する認
標 は世界各国の学校 における薬物乱用防止教育
識 はまたす ぐに低 下 し,それ に対応 してマ リ
にも共通するものである. しか し,この 目標達
ファナの乱用は再び増加 した.そ して1
9
9
7年以
成は容易ではな く,世界の学校で熱心な様々の
降の現在,米国では約5
8%の高校生がマ リファ
試みが続けられている.ここでは薬物乱用防止
ナ乱用の危険性 を認識 してお り,実際の乱用者
教育プログラムの有効性 について最 も先進的な
は2
3%程度 という状態が続いている.図 3には
研究が行われている米国のプログラムについて
マ リファナの入手 しやす さも示 されている.こ
紹介 した.米国で得 られた新 しい知見は既に,
の調査が始め られてか らの2
5年間,米国では高
わが国の薬物乱用防止教育プログラムにも盛 り
校生の約9
0%が 「
マ リファナを手に入れようと
込 まれている2
22
7
)
.我 々は米国以外の欧州やア
思えばいつでも手に入る」 と考えている状況が
ジア諸国の薬物乱用防止教育についても比較研
続いてお り,マ リファナが極めて身近な存在 と
究を進めている.そこで得 られた知見について
なっている.この 「
TheMoni
t
or
i
ngt
heFut
ur
e
は別の機会 に報告 したい.
St
udy」の結果は,危険な薬物が身近 にあって
もひとりひとりがその乱用の危険性 をしっか り
文
献
認識 しておれば,明 らかに乱用 は減少すること,
1)文部省 :学習指導要領.1
9
8
9
すなわち予防的な働 きかけが有効であることを
2)勝野最吾 :思春期の薬物乱用の実態 と対策.
示 している. しか し,この結果はまた,予防的
思春期学 Vo
l
.1
7 41
5
4
2
1
,1
9
9
9
働 きかけが弱 まるとす ぐに乱用の危険性 に対す
3)文部省 :学習指導要領.1
9
9
8,1
9
9
9
る認識は低下 し,乱用が拡大することも示 して
4)勝野最吾他 :薬物乱用防止教育の国際比較研
お り,薬物乱用防止教育 を含めた予防的働 きか
究 Ⅰ.学校教育学研究Vo
l
.9,1
5
5
-1
6
3
,1
9
9
7
けは常に手 を抜 くことな く繰 り返 し行 うことが
5)勝野最吾他 :薬物乱用防止教育の国際比較研
重要であることを示 している.
おわ りに
わが国では新 しい学習指導要領 によって小学
校の段階か ら薬物乱用防止教育 を始めることが
明示 され,小学校では,高学年において 「
喫煙,
飲酒,薬物乱用などの行為 は,健康 を損なう原
究Ⅱ.学校教育学研究Vo
l
,1
0,1
1
7
-1
2
2
,1
9
9
8
6)勝野最吾他 :欧州諸国における薬物乱用防止
教育 につ いての施策 に関す る調査研 究報告
書.1
9
9
8
7)勝野最吾他 :諸外国におけるライフスキル教
育に関する調査研究 報告書.1
9
9
9
因 となること.
」,中学校では喫煙,飲酒,薬物
8)USDe
pa
r
t
me
nto
fEduc
a
t
i
o
n:Dr
ugPr
e
ve
n
t
i
o
nCur
r
i
c
u
l
a
.1
9
8
8
乱用の健康への有害性 とともに,「
その ような
9)USDe
pa
r
t
me
nto
fEduc
a
t
i
o
n:Sc
ho
o
lwi
t
h
o
ut
行為 には個人の心理状態や人間関係,社会環境
が影響することか ら,それ らに適切に対処する
Dr
ugs
.1
9
8
8
1
0
)WHI
TEHOUSE:USDr
ugCo
nt
r
o
lSt
r
a
t
e
g
y.
i
F
l
勝野 :学校における薬物乱用防止教育
1
9
9
2
i
c
e
s
,
Na
t
i
o
na
lI
ns
t
i
t
ut
e
so
fHe
lt
a
h:TheMo
ni
t
o
r
l
l
)WHI
TEHOUSE,
:
Ame
r
i
c
a2
00
0
.1
9
9
2
i
ng t
he Fut
ur
e
,Na
t
i
ona
lSur
ve
y Re
s
ul
t
so
n
1
2
)Buko
s
ki
,W.
J
.
:A Fr
a
me
wo
r
kf
o
rDr
ugAbus
e
Dr
ugUs
e
,1
9
7
5
-1
9
9
9
.2
0
0
0
Pr
e
ve
nt
i
o
nRe
s
e
a
r
c
hi
nDr
ugAbus
ePr
e
ve
nt
i
o
n
2
0
)Ka
nn,L e
ta
l
,
:Yout
hRi
s
kBe
ha
vi
o
rSur
ve
i
l
-
I
nt
e
r
ve
nt
i
o
n Re
s
e
a
r
c
h:Me
t
hodo
l
o
gi
c
a
ll
s
s
ue
s
,
l
.
l
a
nc
e
-Uni
t
e
dSt
a
t
e
s
,1
9
9
9
,
.J
.Sc
ho
o
lHe
lt
a
h,Vo
NI
DA,
Re
s
e
a
r
c
hMo
nogr
a
phi
n1
9
9
1
.1
9
91
7
0
,2
71
-2
85
,2
0
0
0
1
3
)US De
pa
r
t
me
nto
fEduc
a
t
i
o
n:Le
a
r
ni
ng t
o
Li
veDr
ugFr
e
e
.1
9
8
8
D.
,a
ndO'
Ma
ll
e
yP
2
1
)Ba
c
hma
n,
J
.
G.
,
J
o
hns
t
o
n,L.
M.
:Expl
a
i
ni
ng Re
c
e
ntI
nc
r
e
a
s
ei
n St
ude
nt
s
t
1
4)Dus
e
nbur
y,L.
,Fa
lc
o,M.
,a
ndLa
ke
,A.
:A Re
-
Ma
r
i
j
ua
naUs
e
:I
mpa
c
t
so
fPe
r
c
e
i
ve
dRi
s
ksa
nd
vi
e
wo
ft
heEva
l
ua
t
i
o
no
f4
7Dr
ugAbus
ePr
e-
Di
s
a
ppr
o
va
l
,1
9
7
6t
hr
ough 1
9
9
6
.Ame
r
i
c
a
n∫
.
Ve
nt
i
onCur
r
i
c
ul
aAva
i
l
a
bl
eNa
t
i
o
na
l
l
y.J
.Sc
ho
o
l
He
a
l
t
h,
Vo
l
.6
7
,1
2
7
-1
3
2
,1
9
9
7
.
:St
a
t
i
s
t
i
c
l Me
a
t
hods
1
5
)Hedge
s
.L a
ndOl
ki
n,Ⅰ
Publ
i
cHe
lt
a
h,
Vo
l
.
8
8
,
8
8
7
1
89
2
,1
9
9
8
2
2
) 日本学校保健会 :喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用 防止
に関する指導の手引 (
中学校編).1
9
9
5
f
o
rMe
t
a
-a
na
lys
i
s
.Ne
w Yor
k:Ac
a
de
mi
cPr
e
s
s
,
1
9
85
2
3
) 日本学校保健会 :喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用防止
1
6
)Hedge
s
,L.
:Ad
va
nc
e
si
nSt
a
t
i
s
t
i
c
a
lMe
t
hods
2
4
) 日本学校保健会 :喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用防止
f
o
rMe
t
a
-a
na
lys
i
s
.I
nCo
r
dr
a
y.D.a
ndLi
ps
e
y,
M.
,eds
.Eva
l
ua
t
i
ona
ndSt
a
t
i
s
t
i
c
a
lRe
vi
e
w Anl
,ll
,
Be
ve
r
l
yHi
l
l
s
,CA,1
9
8
6
nua
l
.
Vo
1
7
)To
bl
e
rN.
S.
:Me
t
a
-a
na
l
ys
i
so
fAd
o
l
e
s
c
e
ntDr
ug
Pr
e
ve
nt
i
o
n Pr
o
gr
a
ms
.NI
DA Re
s
e
a
r
c
h Mon0
gr
a
ph: Me
t
a
-a
na
l
ys
i
s o
f Ado
l
e
s
c
e
nt Dr
ug
Abus
ePr
e
ve
nt
i
onPr
ogr
a
ms
.1
9
9
7
に関する指導の手引 (
高等学校編).1
9
9
6
に関する指導の手引 (
小学校編).1
9
9
7
2
5
)日本学校保健会 :薬物乱用防止に関する指導一
指導資料 (
中学校覇).1
9
9
7
2
6
)日本学校保健会 :薬物乱用防止に関する指導一
指導資料 (
高等学校霜).1
9
9
7
2
7
) 日本学校保健会 :薬物乱用防止教育指導着用
ビデオ,2
0
01
1
8
)Pe
r
r
yC.
L.e
ta
l
.
:
TheMi
nne
s
ot
aDAREPLUS
Pr
o
j
e
c
t
:Cr
e
a
t
i
o
n Co
mmuni
t
y Pa
r
t
ne
r
s
hi
pst
o
Pr
e
ve
nt Dr
ug Us
ea
nd Vi
o
l
e
nc
e
.∫
.Sc
ho
o
l
He
lt
a
h,
Vo
l
.
7
0
,8
4
-8
8
,2
0
0
0
1
9
)U.
S.De
pa
r
t
me
nto
fHe
a
l
t
ha
ndHumanSe
r
v-
連絡先 :〒673
-1
49
4 兵庫県加東郡社 町下久米
9
42
-1
兵庫教育大学生活 ・健康系教育講座 (
勝野)
U.
S.
Depar
t
mentofEducat
i
on
ACURR暮
CUL
U州 J
v
t
ODE
LF
ORP
RE
VE
NT
J
ON
B
]
匿
良民関目
鵬 官
⑥』
B
W匿圏陶R
B
厨悶匡匡
アメリカ合衆国 数奇省
予防のためのカ リキュラムモデル
串物 に依存 しない生き方を学ぶ
ー
j
E
ト
頒薄蔀藤頚 冷 J
p n J SchooIH
e
a
lth
4 3 ;200(
・特 に友情 を尊重 し学び続 けるとい う将来への志向性 をのばす
ほとん どの人々が適法な薬物 を使 って いな いことを知 る
1. 自分 自身の良いところ (
長所)を知る
2.医薬 品 と遵法な薬物 との違 いを見分 ける
3.他人を助 ける社会的技能をのばす
4.友情 につ いて学ぶ
5.感情 につ いて知 り,それが どのよ うに
行動 に影響 を及 ぼすかを知 る
6.薬 をも らって も良 い (安全な)人を見分 ける
7.ひと りひと りが気 をつ けな ければな らない
ことに資任感 を持つ
8.人は問題 にぶつかる ことがあ り,そんな時 には
助 けを求めて も良い ことを知る
目標
8.保健体育
6.理科
7.語学
1.美術/音楽
2.理科
3.保健体育
4.社会
5.語学
カリキュラム飯域
・仲間 と上手 につきあい,その圧力 (
誘惑) に対す る上手な対処の方法を学ぶ
子供が問題 に直面することがある ことを知 り,そ してその間題 に関 して
助 けを求めて もよいことを知る
授業計画
・他人を助 けることの大切 さを理解する
誰か ら薬 を もらった ら適切であるか を知 る
4.語学
4・情報源や質閏が信頼できるか どうかを評価する方法
学 会 学 学 学
数 社 語 科 語
56 7 8 9
10・決断することが もた らす短期及び長期の帰結 を理解す る 10.数学
11・健全な友情 に必要な要因を知 る
11.社会
12・ス トレスに対処する戦術 と技能を向上 させ る
12.保健体育
評価 をする
5.薬物使用が社会 に与える経済的損失 (
支出)を理解する
6・個性を保 ち,同時 に友人 とグル ープでつきあ う方法 を知 る
7.他人を助 けることの大切 さを理解する
8.決断 に至 るため に科学的論拠 を用 いる
9.情報源 としての映画,テ レビ,音楽 に対 して批判的 に
を知る
どのよ うに我々を守るか理解する
1.語学
2.理科
3.社会
l・仲間 にNoと言えるよ うになる
カリキュラム飯域
2・薬物 の名前やそれ らが どのよ うに売 られているか学ぶ
3・我々が どのよ うに法律 に影響を及 ぼ し,そ して法律が
E
l
確
授業計画
・拒絶,欲求不満,失望,失敗な どへの対処 の方法 を向上 させる
ski
l
l
)を身 につける
・仲間か らの誘惑を うま <断る技能 (
・友情 を理解する
医薬品 と遵法な薬物の遠 いを知る
・遵法な薬物 とそれ らの影響 につ いての情報 を得 る
・遵法な化学物質の名前を知 る
全般的な 日額
4-6年生
幼稚園か ら 3年生
全般的な 日額
第 3牽
第 2牽
l
一一l
C
l
J
辱 喝 ︰傭 薄 8
;汝耳か灘 春 野 遍 等首 浮 城
子 ども (
子孫)
・今決 めたことと将来の結果の関係 を理解 する
・個人の存在 についての肯定的 な考 え方 を向上 させ る
11.理科
1
2.社会
ll.決定 を下 す時. どの よ うに科学的方法 を用 いるか を学 ぶ
1
2.薬物使用 に関 しての政策 や法律 について学 ぶ
を及 ぼすのか を理解 する
9.社会
1
0.語学
8.語学
5.芸術
6.理科
7.保健体育
9.他 人 を助 けるよ う若者 にすすめる
1
0.今決 めたこ とが長期間にわた って ど うの よ うに影響
見分 ける
6,薬物 が身体 に与 える影響 について知 る
7.健康 な生活 にお ける身体活動の重要性 を知 る
8.仲間 か らの薬物使用の誘 いに うま く対処 す る方法 を
3.薬物使用 が犯罪や経済 に もた らす影響 を知 る
4.将来の 目標設定の しかた を学ぶ
5.情朝源 と しての人の信頼性 を評価 す る
3.数学
4.社会
2.音楽 や ビデ オ,映画 .TV.広告 な どの メデ ィアの
メッセージを見分 け評価 する
1,社会
2.美術/音楽
カリキュラム領域
1.家族 と家族 の結束の重要性 を認識 す る
目標
授業計画
・問題 に対処 するための援助 が受 け られる人,機 関,施設 な どを知 る
カリキュラム領域
適法薬物使用の法的な帰結 を理解 する
社会
適法事物の身体 に及 ぼす影響 を知 る
理科
成長には時間がかかることを理解 する
語学
生 まれて くる子 どもに対 するアルコールや
保 健 体育
他の薬物の有害 な作用 を理解 する
5.薬物使用 を勧めるような作 り話や きまり文句
5.語学
があることを理解 する
6.薬物使用 を勧 めるような友人や社会の圧力に
6.美術/音楽
うま く対処 する方法 をみつ ける
7.ステロイ ド使用の身体 および精神 に及 ぼす影響 を知 る 7.保健体育
8.薬物使用 が個人の経済的資産 に及ぼす影響 を理解 す る 8,数学
目標
授業計画
・自己の価値 を肯定的に見る感覚 をのばす
・社会 に対する自分の費任 ある行動の重要性 を理解 する
・健全 な対処法に関する戦略 を向上 させる
・自分 自信のモラル,倫理 を理解 する
・人々に影響 を及 ぼす、 モデル となるような人 を批判的に評価 する
・仲間の誘惑 に対 して断 る技術 を身につける,そ してなぜ 「NO 」
と言 うことが大切 であるかを理解する
健康
・仲間 か らの誘惑 を断 る技能(
ski
l
l
)を高 める
・自 らの教育 を続 けてい くことの重要性 を理解 す る
将来の勉学 (
学歴)
仕事
・適法 な薬物 の使用の もた らす結果 について知 る
・以下のことについての薬物使用の影響について知 る
・薬物使用の危険性 を知 る
目標
9-12年生
7-8年生
・薬物 が身体 とその機能 にいかに影響 す るが を知 る
目標
第 5章
第 4章
ト⊥
Jゝ
傭弗素薄雪 冷
J
pn
JS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h4
3
;2001
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2
001;1
5-25
論 説
我が国における薬物乱用防止教育の変遷
石
川
哲
也
神戸大学発達科 学部
De
ve
l
o
p
me
n
to
fS
c
h
o
o
lDr
u
gEd
u
c
a
t
i
o
ni
nJ
a
p
a
n
Te
t
s
uyal
s
hi
ka
wa
Fac
ul
yo
t
fHI
L
ma
nDe
v
e
l
o
pme
ntKob
eUni
v
e
t
・
S
i
y
t
I
nt
hi
sr
e
po
r
t
,Is
umma
iz
r
e
dt
hede
ve
l
o
pme
nto
fdr
uge
duc
a
t
i
o
ni
ns
c
ho
o
l
s
.Sc
ho
o
ld
r
ug
e
duc
a
t
i
o
ns
t
a
r
t
e
da
f
t
e
rt
heWo
r
l
dWa
rI
Ii
nJ
a
pa
n.
I
n1
9
5
8
,t
hec
o
ur
s
eo
fs
t
udywa
spubl
i
s
he
dbyt
heMi
ni
s
t
r
yo
fEduc
a
t
i
o
n.
Ma
t
t
e
r
sc
o
nc
e
r
ni
ngdr
uga
bus
ewe
r
ema
i
nl
yt
a
ughti
nt
hes
ub
j
e
c
t
so
fhe
a
l
t
ha
ndphys
i
c
a
le
duc
a
t
i
o
na
tj
uni
o
rhi
ghs
ho
o
t
.Thec
o
nt
e
nt
ss
ho
ul
dbeha
ndl
e
dwe
r
et
het
o
xi
ce
fe
c
t
so
fa
bus
e
ddr
ugso
n
me
nt
l he
a
a
l
t
h.Thet
ypeo
fdr
ugsde
s
c
r
i
be
dwa
s
,ho
we
ve
r
,o
lyna
n
r
c
o
t
i
c
s
.Thi
sdi
dno
t丘t
t
hef
ac
to
fdr
uga
bus
ebe
c
a
us
eme
t
ha
mphe
t
a
mi
neha
dbe
e
nmo
s
tpo
pul
a
r
l
ya
bus
e
ddr
ugi
n
J
a
pa
n.I
n1
9
6
7
,t
hec
o
ur
s
eo
fs
t
udywa
sr
e
vi
s
e
da
ndt
hede
s
c
r
i
pt
i
o
no
fa
mphe
t
a
mi
net
ype
s
t
i
mul
a
nt
swa
sa
dde
di
nt
hea
r
e
ac
o
nc
e
r
ni
ngdr
uga
bus
ei
nhe
a
l
t
ha
ndphys
i
c
a
le
duc
a
t
i
o
n.
Dr
uge
duc
a
t
i
o
nwa
s
,ho
we
ve
r
,s
t
r
uc
ko
utf
r
o
mt
hene
wl
yr
e
vi
s
e
dc
o
ur
s
eo
fs
t
udyi
n1
9
7
7
.
Dur
i
ngt
hepe
r
i
o
do
ft
hec
o
ur
s
eo
fs
t
udy,dr
uga
bus
ea
ndt
her
e
l
a
t
e
dpr
o
bl
e
mswe
r
eno
tt
he
s
ub
j
e
c
tunde
ra
no
bl
i
ga
t
i
o
nt
ot
e
a
c
hi
ns
c
ho
o
l
s
.
I
n1
9
8
9
,t
hec
o
ur
s
eo
fs
t
udywa
sr
e
ne
we
da
ga
i
n.Thec
o
ur
s
eo
fs
t
udyde
s
c
r
i
be
dt
ha
tt
he
ha
r
mf
ule
fe
c
t
so
fpa
intt
hi
nne
r(
o
r
ga
ni
cs
o
l
ve
nt
s
)a
ndt
ho
s
eo
fna
r
c
o
t
i
c
sa
nda
mphe
t
a
mi
ne
t
ypes
t
i
mul
a
nt
ss
ho
ul
dbet
a
ug
h ta
tj
uni
o
rhi
h s
g
c
ho
o
la
nda
ts
e
ni
o
rhi
h s
g
c
ho
o
l
,r
e
s
pe
c
t
i
ve
l
y.Tho
s
er
e
vi
s
i
o
nr
e
瓜e
c
t
e
dt
hei
nc
r
e
a
s
eo
fdr
uga
bus
e
.
Re
c
e
nt
l
ydr
uga
bus
ei
sr
a
pi
dl
yi
nc
r
e
a
s
i
nga
mo
ngado
l
e
s
c
e
nt
swi
t
hde
c
r
e
a
s
i
nga
geo
fi
ni
t
i
a
t
i
o
n.Thei
nc
r
e
a
s
ege
ne
r
ll
a
yc
ll
a
e
d"
Thet
hi
r
dpe
r
i
odo
fs
t
i
mul
a
ntd
r
uga
bus
e
"
.Tor
e
s
po
nd
t
ot
her
e
c
e
nti
nc
r
e
a
s
eo
fdr
uga
bus
e
,t
hene
wc
o
ur
s
eo
fs
t
udy,whi
c
hwa
sr
e
vi
s
e
di
n1
9
9
8
,
pr
e
s
e
nt
e
dt
ha
tdr
uge
duc
a
t
i
o
ns
ho
ul
dbes
i
t
ua
t
e
ds
ys
t
e
ma
t
i
c
a
u
yi
nt
hes
c
ho
o
lc
ur
r
i
c
ul
um
f
r
o
mt
hel
e
ve
lo
fe
l
e
me
nt
a
r
ys
c
ho
o
lt
ot
hel
e
ve
lo
fs
e
ni
o
rhi
h s
g
c
ho
o
la
ndt
ha
tno
to
nl
yt
he
kno
wl
e
dgeo
nha
r
mf
ule
f
f
e
c
t
so
fdr
ugs
,butl
as
ol
i
f
e
-s
k
i
l
l
s
;c
o
mmuni
c
a
t
i
o
ns
ki
l
l
s
,c
o
pi
ngs
ki
l
l
s
orma
f
s
s
me
di
aa
ndr
e
f
us
a
ls
ki
l
l
sa
ga
ins
tdr
ugse
t
c
.
,S
ho
ul
dbeha
ndl
e
di
ns
c
ho
o
ldr
uge
duc
a
t
i
o
n.
-
-
No
wi
nJ
a
pa
n,dr
uge
duc
a
t
i
o
ns
ui
t
st
ot
hef
a
c
to
fdr
uga
bus
ei
no
urs
o
c
i
e
t
ya
ndo
c
c
upi
e
s
a
ni
mpo
r
t
a
ntpo
s
i
t
i
o
ni
ns
c
ho
o
l
s
.
Ke
ywo
r
ds:dr
uge
duc
a
t
i
o
n,he
a
l
t
ha
ndphys
i
c
a
le
duc
a
t
i
o
n,
c
o
ur
s
eo
fs
t
udy,
l
i
f
e
s
ki
l
l
s
薬物乱用防止教育,保健体育,学習指導要領, ライフスキル
1
6
p
nJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
学校保健研究 J
「中 ・高校生 を中心 に薬物乱用 の危険性 を啓発
1.はじめに
し,青少年 の薬物乱用傾 向 を阻止す る.
」 と し,
教育 の重要性 を指摘 している.
1992年 (
平成 4年)以来,我が 国においては
覚せ い剤事犯 に よる検挙者が増加傾 向を示 して
これ らの 目標や教育課程審議会答 申 (
1998年
いる. このため政府 はこの時期 を 「
第三次覚せ
(
平成 1
0年) 7月) を受 けて,文部省 は1998年
い剤乱用期」 と位置づ け, この傾 向に歯止 めを
(
平成 1
0年)及 び1999年 (
平成11年) に改訂 さ
か け,我が国において薬物 のない社会 を作 るた
れた学習指導要領 において は,小 学校1
)
段 階か
め ,1997年 (
平 成 9年),内 閣総 理大 臣 を長 と
ら薬物乱用 防止 について指導す ることとした.
す る薬物 乱用 対 策推 進 本 部 を設 置 し,1998年
中学校2
)
,高等学校 3)において もその内容の充実
を図っている.
(
平成 1
0年) 5月 「
薬物乱用 防止 5カ年戦略」
この様 な一 連 の流 れか ら見 て も,諸外 国 の
を策定 した.そ して,その 目標 の一番面 目には
表 1 薬物乱用防止に関する学習指導要領の変遷 (
小学校)
小学校学習指導要領
小学校指導書体育編 .小学校学習指導要領解説体育編
昭和
(
1
9
53
8年)
3年
昭和
(
1
9
64
8年)
3年 ウ(
て知ること.
2)
飲食物の選び方
酒,たばこ,コーヒーなどと健康
理解
健康な生活の組み立てについて
させる (
第と
5健康障害につい
学年)
昭和
(
1
9
7
7
5年)
2年
平成元年
(
1
988年)
0年
平成1
(
1
99
8年)
(
3) 病気の予防について理解できる
(
3) 病気の予防
ようにする (
第 5 .6学年)
ウ 生活行動がかかわって起こる病気の予防
ウ 生活習慣病など生活行動が主な要 国 薬物乱用については,シンナーなどの有機溶剤を
因となって起こる病気の予防には,
取 り上げ,一回の乱用でも死に至ることがあ り,臥
栄養の偏 りのない食事や口腔の衛生
用を続けると止められなくな り,心身の健康に深刻
など,望ましい生活習慣を身に付け
ることが必要であること.また,輿
煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,
な影響を及ぼすことを理解できるようにある.また,
薬物の乱用は法律で厳 しく規制されていることや,
乱用 される薬物には党せい剤など様々なものがある
桝
3健康を損なう原因となること.
内容の取扱い
(
7) 内容の 「
G保健」の(
3)
のウの薬
物については,有機溶剤の心身へ
の影響を中心に取 り扱 うものとす
日常の生活行動の積み重ねによっては生活習慣病
が起
こった り,好奇心か ら喫煙,飲 酒,薬物乱用を
ことにも触れるようにする.
はじめる場合などが多 く見 られることから,自分の
健康は自分で守るという意識を高め,健康によい生
活行動を自ら実践することが必要であることを理解
(
注)年号は学習指導要領が告示 された年号 を示 してお り,指導書及び解説はその年号 とは異なっている.
1
7
石川 :
我が国における薬物乱用防止教育の変遷
表 2 薬物乱用防止に関する学習指導要領の変逮 (
中学校)
中学校学習指導要領
昭和 33年
(
2) 精神衛生 (
第 3学年)
(
1
95
8年) ア 精神の健康
中学校指導書保健体育編
6 精神衛生
(
1) 不健康な精神 と不適応な行動
生活,社会生活
や精神
によって精神の健康がそこなわれる
ると望
る.
ことや酒,たばこ,麻薬などの乱用
ことおよび精神の健康がそこなわれ
ることを知
精神の健康は,身体の健康,家庭
を健康
ましくない行動
らせ,精神の健康の意義
に保つ必要を理解
と密接 をしがちにな
な関係がある
させ
昭和 44年
(
1
9
69年)
b 酒,たばこ,麻薬などの害
(
4) 健康な生活の設計 と栄養 (
第 2 4 健康な生活の設計 と栄養
学年)
(
ア) 薬品の種類
栄養,薬品 .噂好品,疲労 .休養
薬品は病気を予防 し,または治療することなど
などと健康 との関係 を理解 させ健康
を主たる目的として作 られたもので正 しく用いる
な生活設計ができるようにする.
ことによって人間の健康に大 きく寄与 しているが,
ウ 薬品 .噂好晶 と健康
薬品のなかには特殊の成分を有するもの もあるの
薬品 .噂好品の種類の大要を知 り,
で,その使用法や保管にはじゆうぶん注意 しなけ
特に,麻薬,覚せい剤,催肥割,抗
ればな らないことを知 らせ る.薬品は,法律 に
生物質ならびに酒,たばこなどと健
よって取 り扱い上の観点か ら医薬品や,医薬部外
康の関係について理解すること.普
品などに,また,薬品の効力によって毒薬,劇薬,
た,代表的な農薬,毒物および劇物
普通薬などに分類 される.このほか薬品には,作
と健康の関係 についても知ること.
用や形か らいろいろな種類があることを知 らせる.
麻薬,覚せい剤,催眠剤,抗生物質はその成分の
特性上,習慣性,耽溺性が生 じやす く,中毒 した
場合には心身の健康が著 しくそこなわれ,激 しい
副作用 を起 こす場合 もある.さらに,これ らの薬
品は必ず医師の指示によって正 しく用いなければ
ならないことを法律で規定 していることを知 らせ
る.一般用薬品について も,服用量や時刻その華
の注意を守って用いるほか,濫用,多用を避け,
その用途に照 らし正 しく用いることがで きるよう
にする.
昭和 52年
(
1
9
77年)
3 傷害の防止 と疾病の予防
3 傷害の防止 と疾病の予防
ウ
疾病の発生要因とその予防
更に,噂好品としての煙草の常用及び過嘆による
健康障害について知 らせるとともに,医薬品 として
の麻薬,覚せい剤の誤った用い方による健康障害に
1
8
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
中学校学習指導要領
平成元年
(
1
9
89年)
中学校指導書保健体育編 .中学校学習指導要領解説保健体育編
(
4) 疾病の予防について理解を深め イ 喫煙,飲酒,薬物乱用 と健康
させる.
薬物乱用については,シンナーを取 り上げ,その
イ 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為
主成分である トルエ ンなどを吸引すると,中枢神経
は,心身に様々な影響を与え,疾病
が麻痔 し,酷酎状態 となり,知覚異常 .幻覚作用が
の要因ともなること.
起こり,最悪の場合には呼吸機能が停止 して死亡す
ること,また,依存性が強 く連用により肝臓や脳に
影響 を与えることを理解 させる.さらに,人格にも
影響を及ぼすこともあることを知 らせる.
平成1
0年
(
1
99
8年)
(
4) 健康な生活 と疾病の予防につい ウ 喫煙,飲酒,薬物乱用 と健康
て理解 を深めることができるよう 悼) 薬物乱用 と健康
にする.
薬物乱用については,覚せい剤や大麻を取 り上げ,
ウ 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為
は,心身に様々な影響を与え,健康
を損なう原因となること.また,そ
のような行為には,個人の心理状態
や人間関係,社会環境が影響するこ
とか ら,それらに適切に対処する必
3要があること.
内容の取扱い
(
8) 内容の(
4)
のウについては,心身
への急性影響及び依存性について
取 り扱 うこと.また,薬物は,覚
せい剤や大麻等を取 り扱 うものと
する.
摂取によって幻覚を伴った激 しい急性の錯乱状態や
急死などを引き起こすこと,薬物の連用により依存
症状が現れ,中断すると精神や身体に苦痛を感 じる
ようになるなど様々な障害が起 きることを理解でき
るようにする.
また,薬物乱用は,個人の心身の健全な発育や人
や責任感の発達を妨げるため,暴力,性的非行,犯
罪など家庭 .学校 .地域社会にも深刻な影響を及ぼ
格の形成を阻害するだけでなく
,社会への適応能力
すこともあることを理解できるようにする.
喫煙 .飲酒 .薬物乱用などの行為は,好奇心,な
げや りな気持ち,過度のス トレスなどの心理状態,
周囲の人々の影響や人間関係の中で生 じる断 りにく
い心理,宣伝 .広告や人手のし易さなどの社会環境
などによって助長されることを知 り,それらに適切
(
注)年号は学習指導要領が告示 された年号 を示 してお り,指導書及び解説はその年号 とは異なっている.
例 4-6)を見 て も,薬 物 乱 用 防止 教 育 は,今 後 も
容の推移 を表 1- 3に示 した. また,学習指導
益 々重要 な教育課題 となる と考 え られる.
要領等 に記載 されている薬物 の種類の推移 を表
本報告 は,薬物乱用 防止教育の一層の充実 に
資す るため,戦後 の学習指導要領の変遷 を中心
4に示 した.
(
1
) 戦後か ら1957年 (
昭和 3
2
年)まで
に学校 における薬物乱用 防止教育の変遷 をまと
1947年 (
昭和 22年)学校 体 育 指導要 綱7)が文
める とともに,時代 的背景 を踏 まえて考察 を加
部省 よ り発行 され,体練科 か ら体育科 とな り小
えた.
学校か ら大学 まで 「
運動」 と 「
衛生」が課せ ら
2.薬物乱用防止教育の変遷
れたが, これ らの中には薬物乱用防止 に関す る
記述 はない.その後,中等学校保健計画実施要
学校 における薬物乱用 防止教育は,主 として
領 (
試案) (
1949年 (
昭和 24年))
8
)
,小学校保健
教科体育 ・保健体育 の 「
保健」 において指導 さ
計画実施要領 (
試案) (
1
950年 (
昭和 25年))9)が
れて きた.
文部省か らだ されてい るが, この中にも薬物乱
学習指導要領 における薬物乱用 防止教育の内
用 防止 に関す る記述 はない.
1
9
石川 :我が国における薬物乱用防止教育の変遷
956年 (
昭和 31年) には,高等学校学
また ,1
誤 った使用 によって事故 を起 こさない ようにす
習指導要領 ユ0)が発行 されたが, この中に も薬物
旦 (
下線部 は学習指導要領の文言 をその まま引
用 した もの ;以下 同様) との内容が盛 り込 まれ
乱用 防止 に関す る記述 はない,
1
95
8年 (
昭和 33年) に小学校学 習指導要領 1
1
)
た・ また ,「
(
2
)精神 の健康」の単元 で廼」を
ぽこ,麻薬 な どの乱用が明記 されてお り初めて
及 び中学校学習指導要領1
2
)
が ,1
96
0年 (
昭和 35
学習指導要領 に薬物乱用防止 に関す る内容が盛
午) には高等学校学習指導要領1
3
)
が告示 された.
り込 まれた.
(
2) 1
958
年 (
昭和 33
年) ∼1
968年 (
昭和 43年)
これ らの学習指導要領 は 目標 ,内容等今 日の株
式の原点 となる もの とされている.
(
3) 1
969年 (
昭和 44年) ∼1
9
76年 (
昭和 51
年)
1
969年 (
昭和 44年) に告示 された中学校学習
1
95
8年 (
昭和 33年) に告示 された,中学校学
4)にお い て は,「
(
4) 健康 な生 活 の設
指導 要 領1
習指導要領 にお いては,「
5 病気 の予 防」の
計 と栄養」 の単元 において薬品 ・晴好品の種類
単元で医薬 品の正 しい利用 の しかたや医薬 品の
の大要 を知 り,特 に,麻薬,覚せ い剤 ,催 眠剤,
表 3 薬物乱用防止に関する学習指導要領の変遷 (
高等学校)
高等学校学習指導要領
5
年
昭和3
(
1
9
6
0
年)
(
5) 公衆衛生
昭和4
5
年
(
5) 生活 と健康
(
1
9
7
0
年) ア 家庭生活 と健康
国 医薬品や食品添加物 と消費者
昭和5
3
年
(
1
) 心身の機能
(
1
9
7
8
年) ウ 欲求と適応規制
平成元年
(
1
9
89
年)
高等学校学習指導要領解説保健体育編
(
5
) 公衆衛生
b 母子衛生 .家族計画 .国民優生
国民優生については,その意義 .重要性 .対策な
どについて扱 う.なお,特に性病やアルコール中毒
の予防の国民優生に対する意義を扱い---.
.
(
1
) 家庭生活 と健康
エ 医薬品は,主として疾病を治療 し,予防するもの
であること,及びその種類 さらには,それが製造か
ら販売までの流通過程 までが薬事法によって規制さ
れていることを理解 させる.また,我が国における
医薬品の使用状況を知 らせ,その乱用や多用によっ
て起こる弊害について知 らせる.
3 内容の取扱い
「
欲求 と適応規制」の項については,これと関連
して未成年者に見 られる飲酒,喫煙や麻薬,覚醒剤
などの使用の害についても触れる.
(
1
) 現代社会 と健康
(
1
) 現代社会 と健康
イ ---.
,また,喫煙や飲酒,莱 イ 生活行動 と健康
物乱用 と健康の関係,医薬品の正
しい使い方について理解 させる.
(
イ) 喫煙や飲酒,薬物乱用 と健康
喫煙や飲酒のほか,例えば大麻,覚せい剤など
の薬物の乱用が心身の健康や社会に及ぼす影響に
ついて理解 させ,健康に好ましくない行動は避け
るという態度を身に付けることが重要であること
を理解 させる.
(
ウ) 医薬品と健康
医薬品の有効性や副作用について理解 させ,そ
2
0
学校保健研究 J
p
I
l
JS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
高等学校学習指導要領
高等学校学習指導要領解説保健体育編
(
1) 現代社会 と健康
(
1
) 現代社会 と健康
(
1
9
9
8
年) イ ----喫煙,飲酒 に関す る適切 な イ 健康 の保持増進 と疾病の予防
平成 1
1
年
9) 医薬品の正 しい使用,薬物乱用 と健康
意志決定や行動選択が必要であるこ (
と.
医薬品の有効性や副作用及びその正 しい使用法に
薬物乱用は心身の健康な どに深刻
ついて理解で きるようにする. また, コカインなど
な影響 を与 えることか ら行 ってはな
の麻薬,覚せい剤 などの薬物の乱用が心身の健康や
らないこと. また,医薬品は正 しく
社会 に及ぼす影響 について理解で きるようにする.
る気持 ちや社 会の規範 を守 る意識 の低 下,周 囲の
人々か
さらに,薬物乱用の背景には,
らの誘い,断 りに くい人間関係
自分の体
といった不適
を大切 にす
る必要があること.
3使用す
内容の取扱い
(
1
) 内容の(
1
)
のイの喫煙,飲酒,薬
切 な社会環境 などがあることを取 り上げ,薬物乱用
物乱用 については,疾病 との関連, を決 して行 わないことが必要であることを理解でき
る.
(
注 1) --州 は筆者が付 した ものであ り,文章が続いていることを示 している.
(
注 2)年号 は学習指導要領が告示 された年号 を示 してお り,指導書及び解説 はその年号 とは異 なってい
表 4 学習指導要領等 に取 り上げ られている薬物の種類の推移
1
9
5
8
年∼1
9
6
7
年 1
9
6
9
年∼1
9
7
6
年 1
9
77年 ∼1
9
8
7
年 1
9
8
8
年∼1
9
9
7
年
小
中
高
小
中
r
珂
小
中
高
麻薬
中
高
○
有機溶剤
覚せい剤
小
◎
◎
⊥
ゝ
△
◎
△
△
1
9
9
8
年以降
小
局
◎
◎
◎
○
◎
◎
◎
○
大麻
中
年は小学校学習指導要領が改訂 された年代か ら次の改訂 までの間を示す
◎は学習指導要領 に具体的な薬物名が記載 されているもの
○ は指導書,解説書 に具体的な薬物名が記載 されているもの
△は学習指導要領 に薬物乱用の内容がないが指導書,解説書のみで記載 されているもの
抗 生物 質 な らび に酒, た ば こな ど と健 康 の関係
の改 訂 にお いて は,小 学校 , 中学校 及 び高等学
につ いて理解 す る こ と と して い る.
校 の学 習指 導 要領 か ら薬物 乱用 防止 に関す る内
さ らに,1
9
6
8
年 (
昭和 4
3
年 ) の小学 校 学 習指
導要領1
5
)
にお い て は,潤 , た ば こ, コー ヒー な
容が 見 られ な くな った1
6
)
1
7
)
1
8
)
中学 校 指導 書 保 健 体 育館 1
9
)
及び
高等学 校 学
どと健康 につ い ての記述 が あ る.
習指 導 要 領 解 説 保 健 体 育 編 20
)
にお い て麻 薬 ・党
(
4
)1
9
7
8
年 (
昭和 5
2
年 ) ∼1
9
8
8
年 (
昭和 63年 )
1
9
7
8
年 (
昭和 5
2
年) 及 び1
9
7
9
年 (
昭和 5
3
年)
せ い剤 が示 され て い るのみで あ る.
(
5
)1
9
8
9
年 (
平 成元 年 ) ∼1
9
9
7
年 (
平 成 9年 )
石川 :我が国における薬物乱用防止教育の変遷
21
1
989年 (
平成元年)の改訂 においては,中学
導要領 に明記 された.取 り上 げ られた単元 は
校及び高等学校 において薬物乱用に関する内容
「
精神の健康」であ り,酒やたばこと同様に依
が再度登場 して くる2
1
)
2
2
)
2
3
)
存 という概念で扱 っている1
2
'
.当時は 「ヒロポ
(
6
)1998年
ン国を滅ぼす」 といわれ,薬物の精神毒性や依
(
平成 1
0年)以降
1
998年 (
平成 1
0年)及び1
999年 (
平成1
1
年)
存性が大 きな社会問題 となっていた3
0
'
.このた
に告示 された学習指導要領2
4
)
2
5
)
2
6
'
においては,
め,精神の健康 において取 り上げられたものと
小学校段階か ら薬物乱用防止 について指導する
考える. しか し,ここでは,薬物は麻薬のみが
とともに,中学校,高等学校 において も薬物乱
取 り扱われてお り,1
957年以降覚せい剤の乱用
用防止教育の一層の充実を囲っている.
は押 え られて くる ものの当時我が国で問題 に
3.考
察
乱用 される薬物の中で も,あ-んは江戸時代
なっていた覚せい剤に関する記述はない.
指導学年 は,第3
学年 である】
2
)
.当時 は,中
学生の麻薬乱用事犯が多いという事実はないが,
より厳 しい規制がなされていたが,その他の薬
高等学校進学率 は50%程度31
)
であるため,中学
物であるモルヒネ, コカイン等が規制 されたの
校 における指導 を考慮 したとも考えられる.
は1
920年 (
大正 9年)の 「
モルヒネ,コカイン
及び其 ノ塩類 ノ取締二関スル件」(
内務省令第41
1
96
0年 (
昭和35年)に告示 された高等学校学
習指導要領においては薬物乱用防止に関する記
早)である.その後,1
930年 (
昭和 5年)には, 述はない.ただ し,アルコール中毒に関 しては
モルヒネや コカイン等を麻薬 と称 して 「
麻薬取
「
公衆衛生」の単元の国民優生で扱 っている13).
締規則」が制定 された㌘)
. しか しこれ らは,国
1
969年 (
昭和44年)に告示 された中学校学習
際間の条約に基づ くものであ り,第二次世界大
指導要領においては,覚せい剤や麻薬,催眠剤
戦前 は,我が国においては,薬物乱用 は皆無で
を取扱い,心身の健康 とのかかわ りについて指
あった と言える28).このため,戦前の 「
衛生」
導するようになっているl
t
)
.
の指導項 目に薬物乱用の用語は見 られない29).
この改訂では じめて覚せい剤が指導内容 とし
また,1
95
0年 (
昭和25年) までに作成 された
て示 された1
'
1
'
. 覚せい剤 は1
969年 (
昭和44年)
学校体育指導要綱,中等学校保健計画実施要領
以降増加 に転 じる.催眠剤が取 り上げ られたの
(
試案)及び小学校保健計画実施要領 (
試案)
は,1
960年 (
昭和35年)頃か ら,若者の間にい
には薬物乱用防止に関する記述 はない卜 9)
わゆる 「
睡眠薬遊び」が広 まり社会問題 となっ
ところが,覚せい剤 は,戦後,薬事法により
劇薬 として売買の規制はあった ものの ヒロポン
ていだ 8
)
3
0
)
ため と考えられるが,「
睡眠薬遊び」
の名称で一般に販売 されていたため,この乱用
正で急速に沈静化 していった.
は,1
963年 (
昭和 38年)の薬事法施行規則の改
951年 (
昭和
が拡大 をして きた2
8
)
.このため,1
1970年 (
昭和45年)の高等学校学習指導要領
26年)に 「
覚せい剤取締法」が制定 され,所持
には,医薬品の記述はあるが,薬物乱用につい
も使用 も禁止 となった.そ して,1
95
4年 (
昭和
ては記載がない3
2
)
.小学校 においては,潤,た
29年)には55,6
64人 とい う最高の覚せ い剤事
ばこと健康 につ いて指導す るようになってい
犯の検挙者 をだす こととなった.
この様 な背景であったが ,1
956年 (
昭和31
年)
る15㌧ 1
969年 (
昭和44年)以降,覚せい剤事犯
で検挙 される者が増加 を続け,第二次覚せい剤
に発行 された,高等学校学習指導要領にも薬物
乱用期 と呼ばれる時代 に入る2
8
)
.また,青少年
乱用防止に関する記述はない10'.
のシンナーの乱用が問題 とな り1
972年 (
昭和47
195
8年 (
昭和33年)に小学校学習指導要領及
年) には毒物及び劇物取締法により吸引や所持
び中学校学習指導要領が告示 されたが,この時
な どが規制 され ることとなるが,補導人員 は
初めて,薬物乱用 として麻薬が中学校の学習指
1
982年 (
昭和57年) まで増加 を続けることとな
2
2
学校保健研究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h4
3;2
0
01
る2卜2
3
)
.この時期 は覚せい剤が中学生 にまで広
る.
しか し,1
9
7
7
年 (
昭和5
2年)の中学校学習指
まり深刻な状態になるとは予想で きない時期で
導要領か らは,薬物乱用 に関する指導内容が削
あったため,中学校の学習指導要領に覚せい剤
除された1
7
)
.ただ し,中学校指導書保健体育編
の記述は見 られない.青少年の薬物乱用の主流
には,医薬品としての麻薬 ・覚せい剤の誤った
である有機溶剤は,この改訂では じめて登場 し
用い方による健康障害について も取 り扱 うよう
て くる22).
配慮するとの記述がある1
9
)
.1
9
7
8年 (
昭和5
3年)
1
9
92
年 (
平成 4年)以来覚せい剤事犯による
の高等学校学習指導要領解説保健体育編におい
検挙者が三度増加 を始め,今 日,「
第三次覚せ
ては,内容の取扱いの 「
欲求 と適応規制」の項
い剤乱用期」 と称 されるようになった.
で麻薬,覚醒剤について触れるよう記述 してい
このため,1
9
9
7年 (
平成 9年)内閣総理大臣
る20). しか し指導書,解説 は学習指導要領のよ
を長 とす る薬 物 乱 用 対 策 推 進 本 部 を設 置
うに法的な拘束力があるもの とは見なされてい
ない.
カ年戦略」を策定 し国を挙げて,薬物乱用防止
これは,各教科の授業時数が1
0%程度削減 さ
し,1
99
8年 (
平成1
0年) 5月 「
薬物乱用防止 5
に取 り組 んでいる.そ こでは
「
青少年期 は,
れ,いわゆる 「ゆとりの時間」が設けられた.
たばこ (
ニ コチ ン),潤 (
アルコール)を含 め
このため各教科 においては内容の精選が図 られ,
た依存性薬物 を使用するきっかけが起 こりやす
保健においても大幅な精選が行われた.また,
い時期であ り, また,心身の発育 ・発達途上に
概念 を身に付ける学習 との考え方が徹底 し,内
あるため,依存状態に移行 しやす く,人格の形
容の構造化が図 られたため詳細 な指導内容 を示
成が妨げられるなど薬物の影響が探刻 なかたち
さな くなったためである.
で現れやすい. したがって,初等中等教育段階
その後,覚せい剤事犯 は増加 を続け,1
9
如年
か らの薬物乱用防止に関する指導が,極めて重
(
昭和5
9年)には2
4,
3
7
2人 もの検挙者 をだすに
要な意義を持つ.現行の学習指導要領は,高等
至った33).また,未成年者の喫煙や飲酒が社会
学校及び中学校では教科丁 保健体育」において
問題 となって来たため,文部省 は,これ らに対
指導内容が明示 されているが,小学校では教科
する指導を含め教師用の指導資料 を作成するこ
「
体育」の保健領域 において指導内容 として薬
ととし,財団法人 日本学校保健会 において 「
喫
物乱用防止については示 されていない.このた
煙防止に関する保健指導の手 引」の小学校版3
4
)
め,学習指導要領の改訂に当たっては,小学校
(
小学校 は薬物乱用が含 まれない),「
喫煙 ・飲
酒 ・薬物乱用防止に関する保健指導の手引」中
においても,薬物乱用防止について指導する方
向で検討する.
」 と指摘 されている.
成,それぞれの
このため,文部省においては薬物乱用防止教
学校に無償配付 し,薬物乱用防止教育の充実を
図った.
育を総合的に推進することとなった.薬物乱用
1
9
89
年 (
平成元年)に改訂 された,学習指導
この様な背景 を受けて,1
9
9
8年 (
平成1
0年)
要領は,この様な背景を受け,中学校及び高等
及び1
9
9
9年 (
平成1
0年)に改訂 された学習指導
学校の学習指導要領に薬物乱用防止に関する内
要領においては,小学校段階か ら薬物乱用防止
容が再び登場 してきている.そ して,その取扱
について指導することとなった2
4
)
.
学校版3
5
)
及び高等学校版3
6
)
m
防止教育における文部省の取組みを表 5に示す.
いも高校では 「
現代社会 と健康」の単元で,中
指導する薬物 は,小学校ではシンナーなどの
学校では,「
病気 の予防」の単元で,生活行動
有機溶剤 を中心 に覚せい剤 にも触れ2
7
)
,中学校
とのかかわ りで指導するようになった.指導内
では,覚せい剤,大麻 を25),高等学校ではコカ
容は,中学校 は有機溶剤,高等学校は大麻,栄
インなどの麻薬,覚せい剤などを取 り扱 うよう
せい剤 な どの薬物 を取 り扱 うこととなってい
に している2
6
)
.この様 に,今 日的な課題である
石川 :我が国における薬物乱用防止教育の変遷
2
3
表 5 薬物乱用防止教育への文部省の取組み
1 現状
近年の青少年の薬物乱用の問題 については,中 ・高校生の覚せい剤事犯検挙者数が高水準で推移 し
てお り,依然 として予断を許 さない状況である.
また,先般,総理府か ら発表 された 「
薬物 に関す る世論調査」の結果において も,若い世代ほ ど自
分の周囲に薬物乱用者や薬物へ の誘惑が多い一方で薬物問題-の関心度が低いことが明 らかになるな
ど,極めて深刻 な問題である.
2 政府における取組
こうした状況にかんがみ,政府では平成 9年 1月に薬物乱用対策推進本部 (
本部長 :内閣総理大臣,
副本部長 :文部大臣ほか) を設置.平成 1
0年 5月には 「
薬物乱用防止玉か年戦略」 を策定 し,青少年
の薬物乱用傾向を阻止すること等 によ り,早期 に第三次覚せい剤乱用期 を終息 させ るよう,政府全体
として緊急 に対策を講ず ることとした.
文部省では,同支部の 「
青少年対策 ワーキンググループ」 を主催 し,関係省庁 と緊密 な連携 を図 り
つつ児童生徒等-の薬物乱用教育の充実に取 り組 んでいるところ.
3 学校や地域社会における薬物乱用防止教育の充実
文部省 としては,学校や地域社会 における薬物乱用防止教育の充実 を図るため,以下について,那
道府県教育委員会等に対 して徹底.
(
1
) 「薬物乱用防止教室」 については,教師のみならず暫察職員や麻薬取締役官OB等の専門家が一体
となって指導することによる効果が認め られることか ら,関係機関等 との密接 な連携 を図って積極
的に開催 を進めること. また,今後すべての高等学校及び中学校において年
1回は薬物乱用防止教
室 を開催するよう努める とともに,地域の実情 に応 じて小学校 において も薬物乱用防止教室の開催
を推進すること.
(
2) 学校のみ らなず家庭,地域社会が一体 となって薬物 について生部 ことがで きるよう,各教育委員
会 において学校への支援体制の強化 ・充実 を図るとともに,社会教育施設等 において地域住民 を対
象 とした薬物乱用防止 に関す る講座の開設や相談窓口の設置 を行 うなど,その機会の提供や場の整
備等 に努めること.
(
3) PTAや青少年関係 団体等 と充分・
に連携 ・協力す るな ど,地域社会が一体 となってこの間題 に取
り組むこと.
4 教育課程の改善
平成 1
0年 7月の教育課程審議会答申において,小学校段 階か ら薬物乱用防止 について指導するよう
盛 り込 まれたところ.
これを受けて改訂 された,新学習指導要領 においては,新たに,小学校の教科 「
体育」において も,
薬物乱用防止 に関する指導 を行 うとともに,中学校及び高等学校 において も,その指導内容を充実.
5 文部省の施設 (
平成 1
2
年度)
(
1
)児童生徒の覚せい剤等 に対す る意識調査
(
新規)
(
2) 薬物乱用防止教育指導着用 ビデオの作成 ・配布
(
新規)
(
3) 薬物乱用防止教室の推進
(
継続)
(
4) シンポジウムの開催
(
継続)
(
5) 薬物乱用防止教育教材の作成 ・配布
(
継続)
(
6) 競技場等の大型デ ィスプ レイシステムを活用 した広報啓発活動
(
継続)
(
7) 中学生 ・高校生用パ ンフレッ トの作成 ・配布
(
継続)
(
8) 研修会の開催
(
継続)
(
9) 薬物乱用防止教育支援体制整備 ・活用モデル推進地域事業
(
継続)
文部省資料 よ り
2
4
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
覚 せ い剤 につ い て は,小 ・中 ・高 すべ ての学校
9
9
9
3)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
段 階で取 り扱 う よ うになった.
4) 中井-士 :EU (
欧州連合)における薬物 問題
さ らに今 回の改訂 の大 きな特 徴 は,知識 だ け
の現況 と対策 (
その 1),NEWS LETTER第5
2
で な く薬物 乱用 が起 こる人 間関係 や社 会環境 に
号 6-1
7,麻薬 ・党せ い剤乱用 防止 セ ンター,
まで 目を向 け これ らに対 処 す るス キ ルが必 要 な
2
0
0
0
こ とを理解 させ よ う と してい る点 で あ る とい え
5)WHO :WORLDDRUGREPORT,1
9
9
7
よ う2
42
6
)
6)TheWhi
t
eHous
e:The
Na
t
i
o
na
lDr
ugCo
nt
r
o
l
この よ うに,薬物 乱用 防止教 育 は今 回の学 習
St
r
a
t
e
ge1
9
9
8
指 導要 領 の改訂 に よって我 が 国 の薬 物 乱用 の実
7)学校体育指導要綱,文部省 ,1
9
47
態 や社 会 の要 求 に合 った学 習 内容 とな った とい
8) 中等学校保健計画実施要領 (
試案),文部省,
え よ う. しか し,指 導時数 の 問題 は未 だ解 決 さ
1
9
49
9)小学校 保 健 計 画 実 施 要 領 (
試 案),文 部 省,
れ て い ない.
4.ま と め
1
9
5
0
9
5
6
1
0
)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
薬物乱 用 防止 教 育 は,戦後 始 まった もの で あ
l
l
)小学校学習指導要領,文部省 ,1
9
5
8
り, 当初 は, 中学校 にお い て精 神 へ の害 につ い
1
2
) 中学校学習指導要領,文部省 ,1
9
5
8
て指導 す る内容 であ った. しか もそ の取 り上 げ
1
3)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
9
6
0
方 は,麻 薬 のみ を取 り上 げてお り, 当時 の実態
1
4
) 中学校学習指導要領,文部省 ,1
9
6
9
とは異 なってい た とい え る. そ の後 の改訂 で覚
1
5
)小学校学習指導要領,文部省 ,1
9
6
8
せ い剤 が指 導 内容 となって い る.
1
6
)小学校学習指導要領,文部省 ,1
9
7
7
977年 (
昭和 5
2年 ) の改訂 で は,学
しか し,1
習指 導要領 か らそ の記述 が な くな った.
薬物 乱用 防止 に関す る内容 は ,1
989年 (
平成
1
7)中学校学習指導要領,文部省 ,1
9
7
7
1
8
)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
9
7
8
1
9
) 中学校指導書保健体育編,文部省 ,1
9
7
8
元 年) に はその後 の薬物乱 用 傾 向 に即 して ,新
2
0
)高等学校学習指導要領解説,文部省 ,1
9
7
9
に学 習指 導要領 の 内容 と して示 され, 中学校 に
9
8
9
21
)小学校学習指導要領,文部省 ,1
は有機 溶剤 が加 わ った. また, 高等 学校 学 習指
2
2
) 中学校学習指導要領,文部省 ,1
9
8
9
導 要領 に初 めて 内容 と して示 され た.
2
3
)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
9
8
9
年
,「第 三 次 党 せ い剤 乱 用 期」 と呼
2
4)小学校学習指導要領,文部省 ,1
9
9
8
ばれ る時代 に入 り小 学校段 階か ら薬物 乱用 につ
2
5
) 中学校学習指導要領,文部省 ,1
9
9
8
い て指 導 す る よ うにな り,そ の取 り上 げ方 も,
2
6
)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
9
9
9
薬物 乱用 が起 こ る人 間関係 や社 会 環境 に まで 目
2
7
)桐原弘毅 :薬物取締法令 の変遷等,警察論集
そ して現 在
を向 け, これ らに対 処す るス キ ルが 必要 な こ と
を理解 させ よ う と してい る.
1
998年 及 び 1
999年) の学 習 指 導要 領 の
今回 (
改 訂 に よって薬物 乱用 防止教 育 は我 が 国の薬物
乱用 の実情 に合 わせ た指 導 内容 となった とい え
る.
4
6:l
l
,9
5
-1
2
2
,1
9
9
3
2
8)竹花豊 :薬物対策の課題,警察論集4
6:ll,1
-2
2,1
9
9
3
2
9
)財泊 本学枚保健全編 :学校保健百年史,卜2
9
0,
柳 日本学校保健会 ,1
9
7
3
3
0)和 田清 :依存性薬物 と乱用 ・依存 ・中毒 ,1
8
-
参考文献
1)小学校学習指導要領,文部省 ,1
9
9
8
9
9
8
2) 中学校学習指導要領,文部省 ,1
0
0
0
2
5,星和書店,東京 ,2
31
)教育改 革 の推 進 :文部 時報 :1
3
3
1
,1
6,文部
省 ,1
9
8
7
9
7
0
3
2
)高等学校学習指導要領,文部省 ,1
石川 :
我が国における薬物乱用防止教育の変遷
33) 麻薬 ・覚せ い剤行政報告 :厚 生省 医薬安全 局
麻薬課 ,6
4
,1
9
9
8
2
5
保 健 指 導 の手 引,柳 日本 学 校 保 健 会,東 京,
1
9
8
8
34) 小学校 喫煙 防止 に関す る保健指導 の手 引,柳
日本学校保健会,東京 ,1
9
8
6
35) 中学校喫煙 ・飲 酒 ・薬物乱用 防止 に関す る保
健指導の手引,柳 日本学校保健会,東京 ,1
9
8
7
36) 高等学校 喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用 防止 に関す る
(
受付
0
0.l
l
. 2 受理 0
1
.4.1
4
)
連絡先 :〒6
5
7
-5
8
01 神戸市灘 区鶴 甲 3-l
l
神戸大学発 達科 学学部 (
石 川)
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
01;2
6-3
8
原
著
中学生における有機溶剤乱用の実態 と
その生活背景
-1
9
9
2
年千葉県調査 より一
和
田
清
国立精神 ・神経 セ ンター
精神保健研究所
薬物依存研究部
Pr
e
v
a
l
e
n
c
eo
fS
o
l
v
e
n
tl
n
h
a
l
a
t
i
o
na
mo
n
gJ
u
n
i
o
rHi
g
hS
c
h
o
o
lS
t
u
d
e
n
t
si
nJ
a
p
a
na
n
d
Th
e
i
rBa
c
k
g
r
o
u
n
dLi
f
e
s
t
y
l
e
:
Re
s
u
l
t
so
fCh
i
b
aP
r
e
f
e
c
t
u
r
eS
u
r
v
e
yi
n1
9
9
2
Ki
yo
s
hiWa
da
Di
v
i
s
l
ono
fDr
ugDe
pe
n
de
nc
eRe
s
e
ar
c
h,
Nat
i
onall
ns
t
E
'
(
l
L
t
eO
fMe
n
t
alHe
al
t
h,
Nat
i
onalCe
nt
e
ro
fNe
ur
ol
o
g
yan
dPs
y
c
hi
at
l
T
,
Thepr
e
va
l
e
nc
eo
fs
o
l
ve
nti
nha
l
a
t
i
o
n,a
ndi
t
sc
o
r
r
e
l
a
t
i
o
nt
oc
e
r
t
a
i
nl
i
f
e
s
t
yl
ec
ha
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
s
wa
ss
t
udi
e
di
n6
,1
1
5s
t
ude
nt
se
nr
o
l
l
e
di
n1
4j
uni
o
rhi
ghs
c
ho
o
l
si
nChi
ゎapr
e
f
e
c
t
ur
ei
n1
9
9
2
.
Al
i
f
e
t
i
mepr
e
va
l
e
nc
eo
fs
o
l
ve
nti
nha
la
t
i
o
nwa
sf
o
undi
n2.
5
%o
fma
les
ub
j
e
c
t
s
,1
.
2
0
/
oo
ff
e
ma
l
es
ub
j
e
c
t
sa
nd1
.
9% o
fa
l
ls
ub
j
e
c
t
s
.Thepr
e
va
l
e
nc
eo
fs
o
l
ve
nti
nha
l
a
t
i
o
no
ve
rt
hepa
s
t
ye
a
rwa
s1
.
8%,0
.
9
%a
nd1
.
4%,r
e
s
pe
c
t
i
ve
l
y.Li
f
e
t
i
mepr
e
va
l
e
nc
eo
fa
l
c
o
ho
ldr
i
nk
i
ngwa
s
f
o
n di
u
n7
8
.
4%,7
2
.
8% a
nd7
5
.
6
%,r
e
s
pe
c
t
i
ve
l
y.Li
f
e
t
i
mepr
e
va
le
nc
eo
fc
i
ga
r
e
t
t
es
mo
k
i
ng
wa
sf
o
undi
n3
0
.
7
%,1
4.
9
%a
nd2
2
.
9
%,
r
e
s
pe
c
t
i
ve
l
y.Ther
e
gul
a
r
i
t
yo
fl
i
f
e
s
t
yl
er
hyt
hm wa
s
mo
r
es
i
gni
Bc
a
nt
l
ydi
s
t
ur
be
di
nLi
f
e
t
i
meUs
e
r
swhoha
da
bus
e
ds
o
l
ve
nt
sa
tl
e
a
s
to
net
i
me
t
ha
ni
nNo
n
-Us
e
r
swhoha
dne
ve
ra
bus
e
ds
o
l
ve
nt
s
.Sc
ho
o
ll
i
e,f
f
a
mi
l
yl
i
f
ea
ndf
r
i
e
nds
hi
ps
we
r
el
e
s
ss
i
gni
f
i
c
a
nt
l
ypl
e
a
s
a
nti
nLi
f
e
t
i
meUs
e
r
st
ha
ni
nNo
nUs
e
r
s
.Al
c
o
ho
ldr
i
nk
i
ngwi
t
h
pe
e
r
s
,a
tf
or
ma
l pa
r
t
i
e
so
ff
r
i
e
ndsa
nda
f
t
e
raba
t
ha
ndc
i
ga
r
e
t
t
es
mo
ki
ngha
das
t
r
o
ngr
e
l
a
t
i
o
ns
hi
pwi
t
hs
o
l
ve
nti
nha
la
t
i
o
n.Kno
le
w
dgeo
fha
r
mf
ule
f
f
e
c
t
so
fs
o
l
ve
nti
nha
la
t
i
o
nwa
sno
t
di
r
e
c
t
l
yr
e
l
a
t
e
dt
os
o
l
ve
nti
nha
l
a
t
i
o
n.Thea
ut
ho
rs
ugge
s
t
st
ha
tf
a
mi
l
yc
o
he
s
i
o
nma
ybea
n
i
mpo
r
t
a
ntf
a
c
t
o
ro
fpr
e
ve
nt
i
o
nf
o
rs
o
l
ve
nti
nha
l
a
t
i
o
ni
nJ
a
pa
na
ndt
ha
te
duc
a
t
i
o
nf
orc
ha
ngi
ngbe
ha
vi
o
r
sa
swe
l
la
sf
o
rkno
wl
e
dgei
sne
c
e
s
s
a
r
y.
Ke
ywo
r
ds:s
o
l
ve
nta
bus
e
,a
lc
o
ho
ld
r
i
nki
ng,c
i
ga
r
e
t
t
es
mo
ki
ng,j
uni
o
rhi
gh
s
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
有機溶剤乱用,飲酒,喫煙,中学生
Ⅰ.はじめに
有機溶剤の乱用 (
「シンナー遊び」
) は,1
9
6
7
的障害 を きた して精神病 院 を受診 した1
3
8人 を
調査 した福井 ら2
)
は,有機溶剤 の乱用 開始年齢
は1
4歳か ら1
6
歳に全体の6
1
%が集中 してお り,
年以降,青少年 間では,わが国最大の薬物乱用
しか も,1
6
歳以前 に開始 した者 は全体の7
5
.
4
%
問題である1
)
.有機溶剤 を乱用 した結果,精神
に ものぼることを指摘 している. この指摘 は,
27
和 田 :中学生 における有機溶剤乱用の実態 とその生活背景
有機溶剤の乱用が中 ・高校生 と深 く結びついて
て,1
99
2
年に地域性 を考慮 して選ばれた千葉県
お り,予防的観点か らは中学生に対する対策の
4
校の生徒 を対象に行われた自記
の公立中学校 1
重要性 を強 く示唆するものである. しか しなが
9
9
0年調査
式調査の結果である.この調査は,1
ら,乱用経験率 を中心 に,その実態 を調査研究
と同様に,単に有機溶剤乱用経験率を調べるだ
した報告は予想以上に少ない.
けではな く,生徒の 日常生活の規則性,学校生
96
8年 に計 4枚 の中学 ・高校
野見 山 ら3
)
は,1
活,家庭生活,友人関係 をも調査すると同時に,
の生徒 を対象に,尿中馬尿酸濃度の測定及び自
喫煙 ・飲酒の実態 をも調査 し,中学生における
記式調査 により有機溶剤乱用経験率を調査 し,
有機溶剤乱用の実態 を包括的に把握することに
.
0% に有機溶剤 の
馬尿酸濃度測定では全体の3
よって,中学生に対する有機溶剤乱用防止対策
乱用が疑われ, 自記式調査では経験率は1
2
歳で
のための基礎資料 に供することを目的 としたも
3% , 1
3歳で 1% , 1
4歳で 1
.
5
%,1
5歳で
4%,1
6
歳で8.
5%であった と報告 してい る.
9
7
0年頃に, 2中学校 の 3
また,松 下 ら4
)
は,1
年生6
85人に対 して尿中馬尿酸濃度の測定 を実
2%,女 子 の5.
8%,全 体 の
施 し,男 子 の3.
4.
4% に有機溶剤の乱用が疑 われた と報告 して
のである.本稿では, この調査結果を有機溶剤
乱用の経験の有無か ら比較することによって,
有機溶剤乱用経験者の諸特徴 を明 らかにしよう
と試みた.
Ⅱ.対象と方法
い る.そ れ 以 外 に は,北 村 ら5
)
が,1
9
6
8年∼
本調査 は地域特性 を考慮 して選ばれた千葉県
1
9
81
年にわたる学校精神衛生活動 を通 して知 り
4
校 の原則 的 に全 生徒 を対 象
の公 立 中学校 1
得た諸情報 をもとに,有機溶剤乱用経験率は男
9
9
2年1
0月∼11月に実施 した自記式調査で
に,1
.
7% ,女子 で0.1
%,全体 で1
.
4%で あ っ
子 で2
4校 と1
9
9
0年 に実施 した同
ある (
表 1).この1
9
9
3
たことを報告 してい る.また,呉 ら6
)
は,1
2
校7
)
とには重複 はない.調査
種 の調査対象校 1
年に都 内の公立中学校 4校の生徒 に対 して自記
項 目は日常生活の規則性,家庭生活,学校生活,
式調査 を実施 し, シンナーなどの薬物の生涯経
友人関係,喫煙 ・飲酒 ・「シンナー遊 び」につ
1
%,女子 で1
.
2%,全体 で は
験 率 は男 子 で4.
いての意識 ・実態について構成 されてお り,全
2.
7%であった と報告 している. しか しなが ら, 41間より成っている.調査用紙には個人を特定
これ らの報告は対象校が限定 されてお り,地域
で きる項 目はな く,記入 を終了 した生徒は,同
性等広が りをもった視点か らの有機溶剤乱用経
時に配布 された封筒に用紙 を入れ,封をし,ク
験率 とは言えない限界 を持っている.
ラス毎の回収用封筒に用紙 を投函 し,クラス毎
9
9
0年に地域性 を考慮 して選ばれ
筆者 らは,1
の回収用封筒は学校毎にまとめ られて,国立精
神
・神経セ ンター精神保健研究所薬物依存研究
2
校 の生徒 5
,
2
4
0人 に対
た千葉県 の公立中学校 1
して, 自記式調査 を実施 し,有機溶剤乱用の生
部に回収 され,そこで初めて開封 された.
.1
%,女子で0.
9
%,全体
9.
4%
涯経験率は,男子で2
以上の手続 きにより,計画 した対象の7
.
5
% であったことを報告 した7
)
.同時に,
では1
に当たる6
,
11
5人か ら回答が得 られた (
表 1)
.
有機溶剤乱用経験者群では,非経験者群 に比べ
統計処理に当たっては,分析毎に当該項 目に
て, 日常生活の規則性が有意に乱れてお り,学
関する回答が空自のケースは無効 とした. した
校生活,家庭生活,友人関係において も好 まし
がって,分析毎に母数は多少異なっている.ま
くない傾 向が有意に強い ことを示 した7
)
.さ ら
た,分析 は,基本的には,「シンナー遊 び」を
に,中学生 における有機溶剤の乱用は喫煙経験
これまでに 1回で も経験 したことがあると回答
率8
)
,仲間 との飲酒経験率9)10)と強 く結 びついて
いることも指摘 した.
をこれまでに 1回も経験 したことがないと回答
本報告 は,1
9
9
0年 の千葉県調査 の継 続 と し
した者の群 を非経験者群 として,これ ら 2群間
した者の群 を経験者群 とし,「シンナー遊び」
2
8
学 校保 健研 究
「シンナー遊び」にこれまでに誘われたことの
での比較 を行 った.有意差の検定 には x2分析
s
he
r
の直接確率法を用いた.
及びFi
Ⅲ.結
J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
01
,
あると回答 した者の割合 (
生涯被誘惑率) 「シ
ンナー遊び」 をこれまでに目撃 したことのある
果
,
と回答 した者の割合 (
生涯 目撃率) 「シンナー
1.有機溶剤乱用の実態と意識
1)有機溶剤乱用の経験率
「シンナー遊 び」 をこれ までに 1回で も経験
したことがあると回答 した者の割合 (
生涯経験
遊び」 をしている者 をこれまでに身近に知って
いると回答 した者の割合 (
生涯周知率)を表 2
に示 した.生涯 目撃率及び生涯周知率は,男子,
女子,全体のいずれにおいても,学年が進むに
翠), この 1年 間で 「シンナー遊 び」 を経験 し
したがって有意に増加 していた.生涯被誘惑率
たことのあると回答 した者の割合 (1年経験率),
では,女子及び全体で学年による有意差が認め
表 1 対象
域
対
性
特
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
5
日
U
H
り
6
F:
3,
1
0
4 3,
01
0
全体
全体刷
生徒 数(
B
)
0
(
A/B)×1
35598712297889 3
0
7
4
6
3
5
6
8
1
0
7
8
2
4
1
7
7
不明
6473289741121
女子
0
1
0. 山間部
ll
. 農村 部 +新 興住 宅地
1
2. 県都 中心 部
1
3. 山間部
1
4. 漁村 部
全生徒
全生徒
全生徒
全生徒
各学 年 2組 ずつ
全生徒
全生徒
全生徒
全生徒
全生徒
各学 年 1組 ず つ
全生徒
全生徒
各学 年 1組 ず つ
男子
0
首都 圏近郊 +新 興住宅地
純 農村 部
首都 圏近郊 +新 興住宅地
大都 市周辺部 +新興住宅地
純 農村 部
県都周辺部
大都 市 中心部
地 方都市 中心 部
地方都市周辺部
象
65027801525289
99
71
591
474
2
13
43
42
41
2951
8.
9.
地
62
87
0
09
51
675
13
69
72
46
3
71
0
65
5
3
23
1
48
432
164
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
全学年在籍
有 効 回答 数
学校 N
o
,
表 2 「シンナー遊び」の実態
男
子
女
1年生 2年生 3年生 全体
(
n)(
1
03
0)(
1
06
0) (
99
7) (
3
0
87)
生 涯 経験 率
11
1
1
1
% 1.
8
★(
m,
t
)
生 涯被 誘 惑率
% 1.3
2.
5
2.
7
1.
5
1
.
8
(
n)(
1
02
5)(
1
05
6) (
99
0) (
3
071
)
'
'
(
i
,t
) %
2.
1
3.
6
3.
5
3.
1
(
n)(
1
01
5
)(
1
0
4
8) (
9
82) (
3
0
45
)
'
*(
m,
i
,
t
)%
生 涯周 知 率
2.
0
(
n)(
1
02
8)(
1
06
0
)(
99
8) (
3
0
86
)
1年 経験 率
生 涯 目撃率
3.
5
1
8.
8 2
2.
3 2
5.
2 2
2.1
(
n)(
1
02
7
)(
1
06
2) (
9
89) (
3
0
7
8)
.
'
(
m,
i
)
I
(
i
)%
4.
2
8.
9
8.1
7.
1
子
1年生 2年生 3年生 全体
全
体
1年生 2年生 3年生 全体
1
95
7
)(
21
01
)(
2
0
3
4
)(
6
0
92
)
(
92
7) (
1
0
41
)(
1
0
36
)(
3
0
0
4) (
0.
9 1
.
2 1
.
5 1
.
2
1
.
4 2.
4 1
.
8 1
.
9
(
926
)(
1
0
41
)(
1
0
36
)(
3
0
03) (
1
95
4)(
21
01
)(
2
0
3
5)(
6
09
0
)
0.
5 1
.1 1
.1 0.
9
0.
9 1
.
9 1
.
3 1
.
4
(
92
0) (
1
0
35)(
1
031
)(
2
9
86) (
1
9
45
)(
2
0
91
)(
2
02
2)(
6
05
8
)
1
.
7 3.
4 3.
6 2.
9
1.
2 3.
2 3.
7 2.
7
(
91
4) (
1
0
32)(
1
02
6
)(
2
97
2) (
1
92
4)(
2
0
8
0)(
2
00
9
)(
6
01
8)
1
6.
4 1
9.
7 2
2.
7 1
9.
7
1
3.
8 1
7.
1 2
0.
4 1
7.
2
(
9
23)(
1
03
7)(
1
03
3
)(
29
9
3) (
1
95
0)(
2
09
9
)(
2
02
3
)(
6
0
72
)
5.1 9
.
2 8.
6 7.
7
6.1 9.
5 9.
0 8.
3
∼:p<0.05,…:p<0.01 (x2検定),m -男子 ,f-女子 ,t=男子 +女子
全体 には性別不明者 1名 を含 む
29
和 田 :中学 生 にお け る有機 溶剤 乱 用 の実態 とそ の生 活背 景
,
られたが,男子では有意差が認め られなかった. 認め られた. また 「シンナー遊 び」が法 によ
生涯経験率では男子で学年間による有意差が認
り禁 じらていることについてどう思 うかを尋ね
め られ, 1年経験率では男子及び全体で学年に
よる有意差が認め られた.
9%前後が 「当然だと
験者群では,男女 ともに8
2)有機溶剤乱用 による健康への害知識
思 う」 を選択 したのに対 して,経験者群では,
た結果にも,両群間で有意差が認め られ,非経
4.
2%,女子の4
8.
6%が 「
法律で決めず
「シンナー遊 び」 による健康- の害 について, 男子の3
「
知っている」 を選択 した者の割合 を非経験者
に,個人の 自由にすべ き」であるを選択 してい
た.
.
群 と経験者群 とで比較 した (
表 3)
男子 で はフラ ッシュバ ックを除けば,害 を
「
知っている」 を選択 した者の割合は非経験者
4)有機溶剤乱用者に対する認識
群で高い傾向にあったが,女子では,知ってい
有機溶剤乱用者に対 して, どう考えているか
についての結果 を表 5に示 した.
るを選択 した者の割合 はすべての質問項 目にお
男子,女子,全体のいずれにおいても,非経
0
%前後の者が 「自分には無関係の
いて経験者群の方で高かった.また,全体で も, 験者群では9
「
フラッシュバ ックについては,経験者群の方が
人」 を選択 したが,経験者群では 『シンナー
「
知っている」 を選択 した者の割合 は有意に高
かった.
遊び』する気持ちがわかる」 を選択 した者が少
3)法的規制に対す る考え
法によ り禁 じられている 「シンナー遊び」に
6.
8% にものぼった.回答の分布には,男
者が5
なか らずいた.特に女子では,それを選択 した
ついて, どう思 うかについて尋ねた結果を表 4
チ,女子,全体のすべてにおいて有意差が認め
られた.
に示 した.男子,女子,全体のいずれにおいて
また 「シンナー遊 び」を している人 と親 し
,
4-95
%の者が 「
禁 じられ
ち,非経験者群では9
くなることについては,非経験者群では男子の
ているか ら,すべ きではない」 を選択 したのに
6.
8%,女子 の
対 して,経験 者群 で は男子 の3
7
4.
4%,女子の66.
4%,全体の7
0.
4%が 「
親し
くな りた くない」 を選択 したのに対 して,経験
21
.
6%,全体の31
.
9%が 「
禁 じる必要はない」
を選択 し,両群間での回答の分布 には有意差が
8.
2%,女子の6
7.
6
%,全体の
者群では男子の3
47.
8%が「シンナー遊びだけでは決めた くない」
表 3 「シンナー遊び」の害について知っている者の割合 (
%)
秤
鵬 ㈲
碇
秤
普 )
験 %
経
ー
.
巨
」
コ
ノ
秤
鮒 ㈲
舵
.I
秤
者 )
験 %
経
(
L
L
.
「
」
「
ワ
非経験者群
(
%)
4 9
1 0
05
1
9
7
n=3
0
0
4
n≡3
0
0
4
n=2
9
8
7
n=3
0
0
0
7 1 1 6
急性中毒死
精神病状態
無動綴症候群
フラッシュバック
':p<0
.
05,**:p<0.
01 (
Fi
s
herの直接確率法)
急性中毒死 :「シンナー遊 び」で死亡することがあることを知っていますか ?
全体には性別不明者 1名を含む
精神病状態 :「シンナー遊び」 を繰 り返す と,何 もないのに物が見えた り (
幻視),実際には何 も聞こえないのに,声が聞こえた
り (
幻聴),誰 も何 とも思っていないのに,人が 自分の ことを非難 している と思い込んだ り (
妄想)する状態 (
精
神病状態)になることがあるのを知 っていますか ?
無動桟症候群 :「シンナー遊び」 を繰 り返す と,何事 にも関心が持てな くな り,結果的に学校 を欠席 しが ちにな り, どんな仕事
に就いて も,長続 きしな くな り,それでいて,い らい らしやす く, ち ょっとしたことで興奮 しやす くなること (
無
動橋症候群 ,動因喪失症候群)があることを知っていますか ?
,
フラッシュバ ック :「シンナー遊 び」の結果,幻視,幻聴が出るようになって しまうと,それを治療 して も,その後 「シンナー
遊び」を していな くて も,疲れ ・ス トレス ・飲酒等 によって,幻視,幻聴,妄想が再出現すること(
フラッシュバ ッ
ク)があることを知ってい ますか ?
3
0
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
を選択 した. 回答 の分布 には,男子 ,女子 ,全
1
4.
9% ,全体 で 22.9% であった.喫煙 す る事へ
体 のすべ て において有意差が認 め られた.
の好 奇心 ・欲 求及 び喫煙経験 につ いての質問 に
2,有機 溶剤乱用 と喫煙 との関係
対す る結果 を表 6に示 した.非経験者群 と経験
1) 喫煙 の実態
者群 とで は回答 の分布 に明 らか な違 いが認 め ら
喫煙 の生涯経験 率 は,男子 で 3
0.
7% ,女子 で
れた. また,喫煙経験 では,非経験者群 での喫
表 4 「シンナー遊び」に対する認識 (
%)
子
男
「シンナー遊び」 について どう思
うか ?
禁 じられているか ら,すべ きで
はない
うか ?
当然だと思 う
しかたのないことだと思 う
子
全
体
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
n-2
9
9
4
n-7
6
m-2
9
5
0
n-3
7
n-5
9
4
5*
* n=1
1
3
9
4.
1
5
1.
3
9
5.
3
4
3.
2
9
4.
7
4
8.
7
3.
2
1
1
.
8
2.
6
3
5
.
1
2.
9
1
9.
5
2.
7
3
6.
8
2.
1
2
1
.
6
2
.
4
31
.
9
* *
禁 じられてはいるが,それほど
大 きな問題ではない
禁 じる必要がない
「シンナー遊び」の禁止をどう思
女
n-3
00
4*
* n=7
6
* *
m=2
9
5
7*
* n=3
7
n-5
9
6
2* n-1
1
3
*
8
8.
8
6.
3
4
4.
7
1
0.
5
89
.
4
6
.
7
2
4.
3
1
8.
9
89
.
1
6
.
5
3
8.
1
1
3.
3
麻薬 ・覚せい剤 と違って,禁止
しな くてもよいのでは
0.
8
1
0.
5
0.
5
8.
1
0.
7
9.
7
法律で決めずに,個人の自由に
すべ き
4.
0
3
4.
2
3.
3
4
8.
6
3
.
7
3
8.
9
検定)
*:p<0.
0
5,*
*:p<0.
01 (x2
全体には性別不明者 1名 を含む
表 5 「シンナー遊び」をしている人に対する認識 (
%)
子
男
女
子
体
全
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
n-2
9
9
8
n-7
6
n-2
9
49*
* n-3
7
n-5
9
4
8
91
.
9
46
.
1
8
9.
4
2
9
.
7
9
0.
6
4
0.
7
7.
3
2
5.
0
9.
9
5
6
.
8
8.
6
3
5
.
4
関心があ り,近づ きたい
0.
8
「シンナー遊び」 をしている人 と,
親 しくなることについてどう思 う n-2
9
9
9
か?
7
4.
4
親 しくな りた くない
2
8.
9
0.
7
1
3.
5
0.
8
2
3.
9
n-76
n-2
9
5
2
n-3
7
3
5.
5
6
6.
4
1
0.
8
7
0.
4
2
7.
4
2
3.
4
3
8.
2
3
2
.
4
6
7.
6
2
7.
9
4
7.
8
2.
1
2
6.
3
1
.
3
21
.
6
1
.
7
2
4.
8
「シンナー遊び」 をしている人に
ついて, どう思 うか ?
自分には無関係の人
「シンナー遊び」する気持 ちが
わかる
* *
* *
「シンナー遊び」だけで決めた
くない
親 しくな りたい
*
*:
p<0.
01 (
x2
検定)
* *
* *
n-1
1
3
n=5
9
5
2*
* n=1
1
3
全体には性別不明者 1名を含む
3
1
和田 :中学生における有機溶剤乱用の実態とその生活背景
3)喫煙 に対す る認識
煙 生 涯 経 験 率 は,男 子 で29.
6%,女 子 で は
喫煙 をどう認識 しているかについての質問に
1
4.
0%,全体では21.
8%であったのに対 して,
対す る回答 を表 8に示 した.
経験者群では,順 に76.
3%,86.1
%,79.5% と
健康面か ら喫煙 をどう思 うかについては,2
明 らかな違いが認め られた.
2) 喫煙 に対す るイメージ
群間には回答の分布 に明 らかな違いが認め られ,
喫煙 に対 して どの ようなイメージを持 ってい
非経験者群では 「
吸 うべ きでない」 を選択 した
るかについての質問に対す る回答の結果 を表 7
者 が 男 子 で71.
8%,女 子 で76.
8%,全 体 で
に示 した.男女 ともに,「
臭いが嫌 だ」「
健康 に
7
4.
3%であったのに対 して,経験者群では 「
か
良 くない」 とい うイメージは,非経験者群 に有
まわない」 を選択 した者が男子で36.
8%,女子
格好 いい」「
男
意 に強 く,道 に 「
臭いがいい」「
で37.
8%,全体で37.2% にのぼった.
大人 っぽい」 とい うイメー ジは,経
らしい」「
法規制 と喫煙 について も結果は同株であ り,
格好悪 い」
験者群 に有意 に強か った. また,「
非喫煙群の男子の78.
3%,女子の81.
8%,全体
とい うイメージについては,男女 ともに非経験
未成年者の喫煙 は)禁 じられて
の80.
0% は,「(
者群で強い傾向が窺 われたが,男子では有意差
いるか ら吸 うべ きでない」 を選択 したのに対 し
が認め られなかった.
て,経 験 者 群 で は,男 子 の42.1
%,女 子 の
%)
表 6 喫煙-の態度 ・経験 (
男
女
子
全
体
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
n-7
4
n-2
9
5
0*
* n=3
6
m-5
9
31
*
* n-1
1
0
1
6
.
7
n=2
9
6
0**
86
.
0
1
1
.
9
1
.
7
0.
4
2
4.
6
m-5
9
5
7
7
8.
1
1
8.
4
2.
4
1
.
0
n-2
9
8
0
* *
31
.
3
71
.
6
n-2
9
9
6*
* n-7
6
7
0.
4
2
3.
7
2
4.
8
2
8.
9
3.
1
1
4.
5
1
.
7
3
2.
9
8
3.
3
n-3
6
1
3.
9
41
.
7
2
2.
2
2
2.
2
*
*:
p<0.
01(
Fi
s
he
r
の直接確率法,およびx2
検定)
*
*
2
5 1 5.0 0 5
.
1
75 =
n 20 33 17 29
喫煙 してみたいと思ったことがあ
るか ?
ある
喫煙経験
ない
何回かある
ときどき吸う
毎 日のように吸う
子
全体には性別不明者 1名を含む
表 7 喫煙に対するイメージ (
0
/
o
)
男
女
子
全
非経験者群
経験者群
非経験者群
経験者群
非経験者群
n-2
9
7
9
6
.
2*
*
5
4.
4*
*
7
9.
0**
1
2.
6
8.
5*
*
5.
5
1
5
.
0**
n=7
5
2
8.
0
3
3.
3
46
.
7
9.
3
3
3
.
3
2
8.
0
3
4.
7
n-2
9
5
4
2.
7*
*
7
6
.
2
85
.
3*
*
1
9
.
5
5
.
4
2.
1
**
1
1
.
3**
m=3
7
2
4.
3
3
7.
8
5
4.
1
2.
7
2
7.
0
2
1
.
6
4
0.
5
m=5
9
3
4
4.
5**
6
5
.
3
8
2.
2*
*
1
6
.
0*
7.
0*
*
3
.
8¥
革
1
3
.
2*
*
* *
辛:p<0.
0
5,*
*:p<0.
01(
Fi
s
he
r
の直接確率法)
* *
**
* *
* *
体
経験者群
2
1 8.8 1 1 3 9 6
1
: 26 34 49 7.31 25 36
n
臭いがいい
臭いが嫌だ
健康に良 くない
格好悪い
格好いい
男 らしい
大人っぽい
子
全体には性別不明者 1名を含む
3
2
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
,「シンナー遊び」の生涯
%が 「
禁 じる必要 はない」
51.
4% ,全体の45.1
(
表 9). この高 さは
,「未成年者 に対 す る喫煙禁
経験 に関わ らず ,「
冠婚葬祭時」
「
家族の晩酌時」
を選択 した. また
止 をどう思 うか ?」 とい う質問に対 しては,罪
における飲酒の生涯経験率の高 さに由来す ると
経験者群では男子の59.
8% ,女子の61.
9% ,全
考え られる (
表 9)
.「冠婚葬祭時」での飲酒経
8% が 「
当然 だ と思 う」 を選択 したのに
体の60.
験 は女子及び全体では,非経験者群の方が高 く
対 して,経験 者 群 で は男 子 の42.1% ,女 子 の
なってお り,女子では非経験者群の方が有意に
48.
6% ,全体 の44.
2% が 「
法律で決めず,個人
高かった.
一方
の 自由にすべ き」 を選択 し,回答の分布 には明
,「風 呂上が りに」「クラス会,打 ち上げ
」「仲 間 といる時」の飲酒経験率 は,男
らかな違いが認め られた.
等の際
3.有機溶剤乱用と飲酒との関係
チ,女子,全体のすべてにおいて,経験者群で
1)飲酒の実態
有意に高かった (
表 9).
2)飲酒 に対す る認識
飲酒の生涯経験率 は,男子で78.
4% ,女子で
法規制 と飲酒 について も,2群間で有意な違
72.
8% ,全体で75.
6% であった. また,非経験
者群では,男子で78.1% ,女子 で72.
6% ,全体
いが認 め られ た (
表1
0).男子,女子,全体 の
で75.
4% であ り,経験者群では,男子で92.
0% ,
すべ てにおいて,非経験者群 では
4.
6% ,全体で92.
9% であ り,男子,女
女子で9
の飲酒は)禁 じられてはいるが,時 と場合 に応
「
(
未成年者
チ,全体のすべてにおいて,飲酒の生涯経験率
じてか まわない」 を選択 した者が最 も多 く,経
は経験者群の方が有意に高かった. しか し,そ
験者群では 「
禁 じる必要がない」 を選択 した者
もそ もの生涯経験率 自体 は両群 ともに高かった
が最 も多かった. また,未成年者に対す る飲酒
%)
表 8 喫煙に対する認識 (
男
子
非経験者群 経験者群
健康面から喫煙をどう思うか ?
n=2
9
7
8**
吸うべきではない
71
.
8
少々ならかまわない
2
3.
3
かまわない
5.
0
n-2
9
9
6
未成年者の喫煙をどう思うか ?
禁 じられているから吸うべ きで
7
8.
3
はない
禁 じられてはいるが少々ならか
1
3.
7
まわない
7.
9
禁 じる必要がない
未成年者に対する喫煙禁止をどう
n-2
9
9
6*
*
思うか ? (
%)
5
9.
8
当然だと思う
2
5.
7
しかたのないことだと思う
未成年者だけが吸えないのはお
4.
2
かしい
法律で決めずに,個人の自由に
1
0.
2
すべ き
* *
*
*:p<0.
01 (x2検定)
n-7
6
3
5.
5
2
7.
6
3
6.
8
n-7
6
女
子
全
体
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
n=2
9
45
n=3
7
7
6.
8
2
4.
3
2
0.
4
3
7.
8
2.
7
3
7.
8
n-2
9
5
2*
* n-3
7
n-5
9
2
4*
* n=1
1
3
7
4.
3
31
.
9
2
1
.
9
31
.
0
3.
8
3
7
.
2
a-5
9
4
9* n-1
1
3
* *
*
3
5.
5
81
.
8
2
4.
3
8
0.
0
31
.
9
2
2.
4
1
3.
7
2
4.
3
1
3.
7
2
3
.
0
4
2.
1
4.
5
51
.
4
6.
7
45
.
1
n-2
9
5
5*
* n-3
7
n-5
9
5
2
n-7
6
**
n-1
1
3
2
5.
0
1
9.
7
61
.
9
2
6
.
1
1
6
.
2
1
8.
9
6
0
.
8
2
5
.
9
2
2.
1
1
9
.
5
1
3.
2
3
.
4
1
6
.
2
3
.
8
1
4.
2
42.
1
8.
6
4
8.
6
9
.
4
4
4.
2
全体には性別不明者 1名を含む
3
3
和田 :中学生における有機溶剤乱用の実態とその生活背景
の禁止 自体 につ いて も,男子 ,女子 ,全体 のす
べ て にお いて 2群 間で 明 らか な違 いが認 め られ,
起床 時 間,就 床 時 間の規則性 ,及 び朝食摂取
率 を表11に示 した.
非経験 者 群 で は 「当然 だ と思 う」 と 「しか たの
男子 ,女子 ,全 体 のすべ て にお いて,経験 者
ない こ とだ と思 う」 とが括抗 して最 も多 く選択
群 で の規 則性 及 び摂取 率 の低 さが 明 らか で あ っ
され たの に対 して,経験 者群 で は 「
法律 で決 め
た.
ず に,個 人 の 自由にすべ き」 を選 択 した者 が多
2)学校 生活
0).
か った (
表1
学校 生活 を ど う捉 えて い るか,及 び部活動へ
4.生 活 背景 につ いて
の参加 状 況 を表 1
2に示 した.
学校 生 活 で は,男 子 ,女子 ,全体 で , 2群 に
1) 日常 生 活 の規則性
%)
表 9 飲酒経験 とその機会 (
男
飲酒生涯経験率
冠婚葬祭時
家族の晩酌時
風 呂上が りに
クラス会,打 ち上げ等の際
仲間 といる時
女
子
体
全
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
n-2
9
7
6*
* n-7
5
7
8.
1
9
2.
0
n-2
9
4
8*
* n-3
7
7
2
.
6
9
4.
6
n-5
9
2
5* n=1
1
2
7
5
.
4
9
2
.
9
n-2
9
7
6
4
8.
8
4
0.
1
9.
0串
*
7.
4**
1
6
.
6*
*
n=7
5
5
0.
7
4
6.
7
3
2.
0
2
6.
7
5
4.
7
n-2
9
6
0
47.
6車
3
7.
2
7.
3車*
7
.
5*
*
1
7.
8*
*
m-3
6
2
9.
7
4
0.
5
4
0.
5
3
5.
1
7
3.
0
*
n-5
9
2
5*
*
4
8.
2
3
8.
6
8.
2
7.
4
1
7.
2
約
* *
2
1
エ8.6 8 5 7
1
ニ 胡 44 34 29 6
n
飲酒の機会
子
**
全体 には性別不明者 1名 を含む
*:p<0.
05
,容*:p<0
.
01(
Fi
s
he
rの直接確率法)
表1
0 飲酒に対す る認識 (
a
/
a)
男
子
女
子
体
全
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
n=2
9
9
9
n-7
5
n-2
9
5
9*
* n=3
7
1
2
n-5
9
5
9* n-1
禁 じられているか ら飲 むべ きで
はない
3
8.
5
1
8.
7
3
4.
4
8.
1
3
6.
5
1
5.
2
禁 じられてはいるが時 と場合 に
応 じてか まわない
51
.
0
3
0.
7
5
8.
9
4
3.
2
5
4.
9
3
4.
8
禁 じる必要がない
1
0.
5
5
0.
7
6
.
7
4
8.
6
8.
6
5
0.
0
n-2
9
9
9
n-7
6
n-2
9
5
6
n-3
7
4
0.
2
3
8.
0
1
8.
4
1
8.
4
3
9.
7
41
.
4
1
3.
5
2
7.
0
4
0.
0
3
9
.
7
1
6
.
8
21
.
2
未成年者 だけが飲めないのはお
か しい
7.
9
1
3.
2
6.
7
1
3
.
5
7
.
3
1
3.
3
法律 で決めず に,個人の 自由に
すべ き
1
4.
0
5
0.
0
1
2.
2
4
5.
9
1
3
.1
4
8.
7
未成年者の飲酒 をどう思 うか ?
未成年者 に対する飲酒禁止 をどう
思 うか ?
当然 だ と思 う
しかたのないことだ と思 う
x2
検定)
*
*:p<0.
01 (
* *
* *
* *
*
n-5
9
5
6* n-1
1
3
*
全体 には性別不明者 1名 を含む
3
4
p
nJS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
学校保健研究 J
関わ らず ,「どち らか と言 えば楽 しい」 を選択
有意差 はな く,男子及び全体では非経験者群で
した者が最 も多かったが,「あ ま り楽 しくない」
有意 に高かった.「
相談事 ので きる友人 はい る
「
全 く楽 しくない」 を選択 した者 は経験者群 に
か ?」 とい う質問 に対 しては,「いる」 を選択
多 く, 2群 間では回答の分布 に有意差が認め ら
した者の割合 は,男子,女子,全体のすべてに
れた.部活動への参加状況では,男子,女子,
おいて,非経験者群で高 く,男子,全体では有
全体 に関わ らず , 2群 とも 「
積極 的に参加 して
意に高かった.
いる」 を選択 した者が多か ったが ,「
参加 して
4)家庭生活
家庭生活 に関す る質問の結果 を表1
4に示 した.
いない」 を選択 した者 は経験者群 で多 く,回答
「
家族全員での夕食頻度」
「
父親 との夕食頻度」
の分布 には有意差が認め られた.
3)友人関係
友人関係 についての結果 を表 1
3に示 した.
「
親 しく遊べ る友人 はい るか ?」 とい う質問
「
母親 との夕食頻度」 は,男子,女子,全体の
すべてにおいて,非経験者群で頻度が高 く,有
意差が認め られた.ただ し,男子,女子,全体
に対 しては,「い る」 を選択 した者の割合 は,
ともに,2群 に関わ らず,「
父親 との夕食頻度」
女子では経験者群でやや高い傾向が窺われたが
は 「
家族全体での夕食頻度」 よ りも低 く,論理
1 日常生活の規則性 (
%)
表1
男
子
女
子
全
体
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
ふだん起床時間がほぼ一定してい
る率
ふだん就床時間がほぼ一定してい
る率
n-3
0
0
4*
* n-7
6
8
5.
7
6
3.
2
n-2
9
96*
* n-7
5
5
7.
8
3
8.
7
n-2
9
6
0単
車 n-3
7
8
9.
9
7
3.
0
n-2
9
48
n-3
7
6
1
.
4
2
4.
3
n=1
1
3
n=5
9
6
5
8
7.
8
6
6.
4
n-5
9
45帝 n-1
1
2
5
9.
6
3
3.
9
ふだんの朝食摂取状況
ほとんど毎 日食べる
ときどき食べる
ほとんど食べない
n-2
9
9
7
8
4.
4
9.
5
6.
1
n-2
9
5
9
8
5.
9
9.
6
4.
5
*
*
57 1 6 3
n
* *
*
瑚 -5.9.5
n-7
6
6
3.
2
2
5
.
0
1
1
.
8
37 2 6 2
ニ 2.L 6
m6 2 1
* *
* *
* *
n=1
1
3
6
2.
8
2
3.
9
1
3
.
3
全体には性別不明者 1名を含む
の直接確率法,およびx2検定)
*
*:p<0.
01(
Fi
s
he
r
表1
2 学校生活 (
%)
男
子
女
子
全
体
非経験者群 経験者群
非経験者群 経験者群
学校生活は楽 しいか ?
とても楽 しい
どちらかといえば楽 しい
あまり楽しくない
まったく楽 しくない
n-3
0
0
0*
* n-76
3
2.
4
1
3.
2
5
0.
6
40.
8
1
3
.
2
2
5
.
0
3.
9
21
.
1
n-2
9
5
7*
s n-3
7
3
9.
2
2
7.
0
45.
0
3
5.
1
1
2.
7
2
1
.
6
3
.
1
1
6
.
2
n-5
9
5
8*
*
3
5.
8
4
7.
8
1
2.
9
3.
5
部活参加状況
積極的に参加 している
消極的に参加 している
参加 していない
n-2
9
89*
* n=7
6
6
8.
4
42
.
1
1
9.
9
3
4.
2
1
1
.
7
2
3.
7
n-2
9
41
6
6
.
7
21
.
3
1
2.
0
n-5
9
3
1*
*
6
7
.
5
2
0.
6
1
1
.
9
*
*:p<0.
01(
x2
検定)
* *
n-3
6
4
4
.
4
2
5.
0
3
0.
6
3
2
1 7 9 9 5 1 9.3 9
1
.
1
: 17 38 23 19 = 42 31 25
n
n
非経験者群 経験者群
全体には性別不明者 1名を含む
3
5
和田 :中学生における有機溶剤乱用の実態 とその生活背景
表1
3 友人関係 (
%)
男
子
非経験者群 経験者群
親 しく遊べ る友人はいるか ?
いる
n-2
9
9
5*
* n-7
5
9
5
.
8
81
.
3
相談事 ので きる友人はいるか ?
いる
n-2
9
61
*
* n-7
6
8
0.
2
6
4.
5
**
:
女
子
非経験者群 経験者群
n-2
9
5
2
9
6
.
1
n-2
9
3
4
9
0.
2
n-3
7
9
7
.
3
n=3
7
8
6.
5
体
全
非経験者群 経験者群
n-5
9
4
7幸 n=1
1
2
9
5
.
9
8
6.
6
n-5
8
9
6** n-1
1
3
8
5
.
2
7
1
.
7
孝
全体 には性別不 明者 1名 を含 む
p<0.
01 (
Fi
s
he
rの直接確率法)
表1
4 家庭生活 (
%)
男
子
非経験者群 経験者群
どち らともいえない
うま くいっていない
悩 み事がある とき,親 と相談す る
か?
n-3
0
0
3**
n-7
6
n-2
9
6
4S
n-3
7
n-5
9
6
8*
* n-1
1
3
7.
2
2
2.
4
2
8.
5
6
.
6
6.
6
2
1
.
1
1
2.
0
2
6.
8
2
6,
6
8.
1
2
4.
3
1
0.
8
9.
6
2
4.
6
2
7.
5
7
.
1
1
2.
4
1
7.
7
41
.
9
6
5.
8
3
4.
5
5
6.
8
3
8.
3
6
2
.
8
よ くす る方 である
どち らか と言 えばす る方である
どちらかと言えばしない方である
ほ とん どしない方である +親が
いない
01 (x2
検 定)
*:p<0.
0
5,**:p<0.
3
1
2
9
1 8 5 2 0 5 1 0 1 7 1 0 1 8 8 0 3 1 0 5,4 1
1
.
.
1
.
,
1
.
,
1
: 24 3.14 15 42 : 18 8.11 17 45 : 34 9.17 6.32 : 38 29 32
n
n
n
n
うま くいっている
手
*
家庭 は 「うま くいっている」か ?
喪
ほ とん どな し
*
5- 6回
3- 4回
2回前後
帯
*
串
革
*
*
34 6 4 2 1 9 47 5 7 9 2 7 29 9 8 8 0 6 54 5 0 4
ほ とん ど毎 日
- 17 は 瑚 -5.l 1
- 19 1.瑚 -2.11 13 5.6.瑚 -0.-3 6
瑚 -6.l 1
n
n
n
n
ほ とん どな し
母親 との夕食頻度 (
過当た り)
非経験者群 経験者群
37 8 0 2 9 0 35 4 9 0 6 1 37 8 1 3 1 6 36 1 3 6
ニ 7. 6.8.7. ニ 1.2.0 8.7 ニ 7.8.4 8 1. ニ 6.3.0
m3
1 1 2 n3
2
3 n3
2
2 n3 3 3
5- 6回
3- 4回
2回前後
*
*
7
4
*
*
94 3 9 5 8 5 95 6 9 3 7 5 鵜 2 8 1 0 8 5
7 9 7 4
ほ とん ど毎 日
非経験者群 経験者群
体
全
- -9 1
-.瑚 -6.10 12 5.5.瑚 -0.-2 6
V
n -7.10 -0 17 13.稲
n -5.l 1
n
n
ほ とん どな し
父親 との夕食頻度 (
過当た り)
子
76 4 3 2 2 0 76 8 5 9 1 7 75 3 7 3 3 3 73 7 4 9
ニ 8.5.3.3.0. こ し 0.7.1.8 ニ 3.0.3.5.7. ニ 9.㌢ 2
n1
l 1 5 nl 1
2 4 m3 1 1
3 m3 2 3
5- 6回
3- 4回
2回前後
等
*
*
3(
*
*
86 4 9 9 4 3 92 4 5 6 7 8 83 6 7 5 9 3 96 2 3 4
ほ とん ど毎 日
- 16 14.硝 -5.l -2 18 1
-.瑚 -9.12 -5 4 7.硝 -0.-3 6
招 35.l 1
n
n
n
n
家族全員 での夕食頻度 (
週当た り)
女
全体 には性別不 明者 1名 を含 む
3
6
学校保健研究 Jpf
lJS
c
hoolHe
al
t
h43;2
0
01
的矛盾が認め られた.
うとする試みは妥当なことと思われる,
」 に対す
「
家庭 は 『うま くいっている』か ?
本調査 による有機溶剤乱用の生涯経験率は男
る回答では,男子,女子,全体 に関わ らず,罪
.
5
%,女 子 で1
.
2
%,全 体 で は1
.
9
%で
子 で2
経験者群では 「うまくいっている」 を選択 した
.この結果 は1
9
9
0
年の同調査結
あった (
表 2)
者が多 いの に対 して,経験者群 で は 「うま く
果7)より,わずかなが らの増加傾 向を示 してい
「どちらともいえない」
「うまくいっ
いっている」
る.当時,有機溶剤の乱用が急激 に増減 したと
ていない」の 3つが括抗する結果であった.
いう報告はな く,この微増は,本調査の対象校
「
悩み事がある とき,親 と相談す るか ?」 に
つ いては,男子,女子,全体 のすべ て におい
サ ンプリングが適切であったことを示唆 してい
ると考えられる.
て, 2群 に関わ らず,「ほ とん どしない +親が
一方 , 1年経験率は,調査の直近 1年間での
いない」 を選択 した者が最 も多 か った. しか
経験率であるため,調査時点での乱用流行の勢
し, 2群閥での回答の分布には有意差が認め ら
いをより敏感に反映すると考えられる.衷 2に
れ,全体 としての相談頻度は非経験者群で低い
示 した 1年経験率は,男女を問わず,生涯経験
ことが示唆 された.
率 と接近 してお り,このことは,有機溶剤の乱
Ⅳ.考
察
薬物乱用状況を表現するデー タとして,わが
国では薬物事犯者数が使われてきた. しか し,
薬物事犯者は薬物乱用者の氷 山の一角に過 ぎな
用開始が中学生の年代 に多いことを示唆 してお
4
歳か ら1
6
歳に集
り,有機溶剤乱用開始年齢が1
中 していると報告 した福井 ら2)の指摘 を裏付 け
る結果 として解釈で きる.
4
.
3
%が誘われて初
また,有機溶剤乱用者の7
いことは自明であ り,一般住民,一般学生等 を
回使用 を始めている1
2
)
ことを考 えると,生涯被
母集団としたデータが必要である. しか し,逮
誘惑率が生涯経験率 より常に高いことはもっと
法性薬物の使用 (
乱用) 自体が違法行為である
もであるが,表 2の結果 を利用 した生涯経験
ため,その ような調査は個人の違法性 を暴露す
.
3
8
-0
.
9
7(
全体で0
.
6
6
)
率/生涯被誘惑率は0
る一面を有 してお り,困難を極める.そこで,
現在,世界的に用い られている方法 としては,
であ り,中学生にとっての誘惑 と実行の結びつ
きの強 さが示唆される.
n
i
t
o
r
i
n
gTh
eFu
t
u
r
eS
t
ud
yl
l
)に代表
米国のMo
されるような,妥当なサ ンプリングに基づ く,
2
0
%前後 (
表 2)であったことは,有機溶剤の
個人の匿名性 を保証 した上での自記式調査であ
乱用が中学生にとって,それな りに身近な問題
る.
であることを示唆 している.
しか し,特 に違法性に関 した自記式調査の最
さらに,生涯 目撃率が学年,男女に関わらず
1
-表1
4
)
生活背景に関する本調査の結果 (
表1
大の問題点は,その結果の真偽は誰にもわか ら
は,1
9
9
0
年調査7
)
と同様 に,有機溶剤乱用経験
ず,結果 としての数字 自体 には絶対数的意味合
者群における日常生活の規則性の低 さ,学校生
いは望めないという限界がある. したがって,
活及び家庭生活の満足度の低 さ,友人関係の貧
同 じ手法にもとず く調査を継続的に繰 り返す こ
困さを顕著に示 した.
とによって,結果の増減 トレン ドを把捉するこ
とが第一義的利用価値 となる.
ただ し,上記の手続 きにより得 られた結果は,
9
9
0
年調査 の結果 を 「『
孤
かつて,筆者は,1
独 な彼 ら』の姿 を浮かび上が らせ る.彼 ら-・
にとって,学校生活は楽 しい ものではない. し
増減 トレン ド上の不 自然 さがない限 り, 目的 と
か も,家庭生活には 『
一家団 らん』 としての食
する事態の近似的状況をそれな りに表現 してい
卓 も少ない.--- ・
--親は相談相手 とは言え
ると考えられる. したがって,その結果 を利用
ない.結局彼 らの行 く所 は,彼 らにとって受け
して,有機溶剤乱用経験者の一般像 を把握 しよ
入れて くれたと感 じられる 『
仲間』であ り,こ
3
7
和 田 :中学生 における有機溶剤乱用の実態 とその生活背景
の 『
仲間』は必然的に学校か ら 『
はみ出 した』
そ もそ も,有機溶剤乱用の原因には家族のあ
仲間によって構成 されるグループ (
その代表が
り方の重要性が指摘 されてきた.特に単親家庭
非行 グループ) と言 うことになる.-- 『
非行
)
,和 田1
9
)
は1
5歳以
のハ イ リス ク性が注 目され18
グループ』に 『シンナー遊び』はつ き物である. 前での親 との離別がハイリスクになっているこ
結局彼 らはそこで 『シンナー遊び』を経験する.
0
歳以前に親 との離別 を
とを指摘 しなが らも,2
-
-・ 『シンナー遊び』経験者にとって 『シンナー
0
%に しか過
体験 した有機溶剤乱用者は全体の3
遊び』 とは,孤独 な人間を受け入れて くれるグ
ぎないことをも指摘 している.そこで注 目され
ループに入 るための通行手形的役割を果た して
るのが 「
家族性の希薄 さ」1
9
)
であ り,仕事上帰
いると筆者 は考 えている」1
3
)
と論 じた.今回の
宅の遅い父親の存在 と結果 としての母子の共生
調査で も,有機溶剤乱用経験者群では 「『シン
傾向1
9
)
である.その ような家庭 を和 肝 o
)
は 「
精
ナー遊び』 をする気持ちがわかる」 と答えた者
神的単親家庭」 と称 している.
5
.
0
%,女 子 で は5
6
.
8
% もい た
が,男 子 で は2
本調査 による家族全員での夕食頻度は,男女
(
表 5)事実は,この推論 を支持するものであ
に関わ らず,有機溶剤乱用経験者群で明 らかに
り,有機溶剤乱用経験者の求めているものは,
低 い.この ことは単親か どうか に関わ らず,
受容感 と帰属感であろうとい う筆者の推論1
.
1
)
の
-査証 となっている.
いると考えられる.特 に,父親 との夕食頻度が
0に示 した有機溶剤乱用経
しか も,表 6-表 1
家族全員での夕食頻度 よりも低いという論理的
験 と喫煙 ・一部の飲酒 との強い結びつ きも,上
4) は,1990年調査7)で も認め られた
矛盾 (
表1
結果であ り,中学生にとって夕食時の家族 とい
記解釈の仲間との関係の中で考えることがで き
「
家族性の希薄さ」 に結びつ く可能性 を秘めて
る.未成年者にとって,飲酒 ・喫煙 ・有機溶剤
う概念か らは,父親ははず されているという日
乱用 はすべて法により禁止 された行為であ り,
常的問題性が強 く示唆 される.
法の順守性 に関わる問題である.本調査 による
中学生に限 らず,我々を取 り巻 く今 日の社会
衣
法の順守性は,有機溶剤乱用 (
表 4),喫煙 (
環境 は,種 々雑多 ともいえる情報過多社会にあ
8)
,飲酒 (
表1
0
)の順 に有機溶剤非経験者群
る.特 に依存性薬物問題は,やや もすれば,人
で も許容度が増 しているが,有機溶剤乱用経験
間としての好奇心 を くす ぐるような一部のマス
者群 と非経験者群 との対比では,いずれにおい
メデ ィア優位に情報が流 されるきらいがある.
て も,有機溶剤乱用経験者群での法の順守性の
したがって,正 しい知識を青少年に教 え込む不
低 さが明 らかである.
断の努力が必須であろう. しか しなが ら,薬物
8
.
8
%は有機
和 田 ら12)は,有機溶剤乱用者の5
乱用問題には知識が行動に結びつ くとは限 らな
溶剤の初回使用前に,すでに非行 グループと何
いという重要な課題がある.本調査において も,
7
.
8
%は友人,知人
らかの関係 を有 してお り,6
非経験者群の方が 「
知っている」 と有意に答え
等 に薬物乱用者 を持っていたと報告 しているが,
た害知識はむ しろ少な く,女子では,尋ねた害
有機溶剤乱用 と喫煙 ・一部の飲酒 との結びつ き
のすべてにおいて,経験者群の方が 「
知ってい
ち,仲間との結びつ きか らくる法の順守性の低
る」 と答えた者が多かった (
表 3) ことは,こ
の問題の切実 さを強 く示唆 している.そのため
ユ
5
)
を窺わせる.
さと一体化 している傾向8)
ただ し,喫煙 ・飲酒に関 しては,仲間及び法
の順守性以外 に,大人の影響 も考慮する必要が
にも,知識 を行動に結びつける試みが重要 と考
えられ る 21).
ある.中 ・高校生の喫煙者の周囲には親を含め
同時に,
「
『シンナー遊び』をする気持ちがわ
て喫煙者が有意 に多 (1
6
)
1
7
)
,中学生の飲酒 は冠
かる」 と答えた者たちの 「
わかる」 と感 じてい
)か ら
婚葬祭や晩酌の影響 を強 く受 けている9)10
である.
る気持ちの内容 を大人が理解で きるか どうか も,
予防,介入の両面において重要なポイン トにな
3
8
学校保健研究 J
pnJSc
ho
o
IHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
るで あ ろ う.
本稿 で示 した調査 結 果 は,薬物 乱用 問題- の
対 応 には,各 家庭 は も とよ り,教 育機 関, 医療
機 関,司法 ・取締 機 関等 各種 領域 の連携 が必須
で あ る こ とを強 く示 唆す る結 果 で あった とい え
よ う.
謝
辞
本調査研 究 は平成 4年度厚生科学研究費補助金
(
麻薬等総合対策研究事業)「
薬物依存の社会医学
袷,精神 医学 的特徴 に関す る研 究」 に よった.調
査 に協力 いただいた対象校 の皆様,調査 実施 に向
けて力添 えをいただいた千葉県学校保健会,千葉
県教育庁学校教育部学校保健課 の方 々に深謝 した
い.
文
献
1)和 酎 青 :依存性薬物 と乱用 ・依存 ・中毒.p
p.
1
7
-3
6,星和書店.東京.2
0
0
0.
2)福 井進,和 田晴,伊橡雅 臣 :最 近の有機 溶剤
依存 の臨床 的 特徴-有機溶剤乱用 ゐ現状 と問
5:1
0
7
-1
31
,1
9
89.
題点.精神保健研究 3
3)野見 山一生,野見 山紘子 :有機 溶剤 乱用 の疫
学. 日衛誌 2
4:4
5
4
-45
8,1
9
6
9
.
4)松 下敏夫,上 田忠子,三角順 一 :中学生 の有
8:2
7
6
機 溶 剤 乱 用 に 関 す る研 究. 日衛 誌 2
2
8
3,1
9
7
3.
5)北村 陽英,北村 栄一,福 永 知子,他 :中学 生
7
年 間の学校精神衛生活動 よ
の有機溶剤吸引-1
り.児童青年精神医学 とその近接領域 2
6:1
8
3
-2
00,1
9
85.
6)呉鶴 , 川 田智恵子,山崎喜 比 古,吉 田事 :中
学生 におけ る薬物使用経験 ・未経験者 の心理社
会的要因.学校保健研究 3
7:2
1
0
-2
1
9,1
9
9
5.
7)Wada
,K.
a
ndFukuLS.:
Pr
e
va
le
nc
eo
fvo
l
a
t
i
l
e
s
o
l
ve
nti
nha
l
a
t
i
ona
mongJ
uni
orhi
h s
g
c
ho
o
ls
t
ude
nt
si
nJ
a
pa
na
ndBa
c
kgr
o
undl
i
f
e
s
t
yl
eo
fus
8
:
89
-1
0
0
,1
9
9
3.
e
r
s
.
Addi
c
t
i
o
n,8
8)wa
da
,KりPr
i
c
e
,R.
K.a
ndFukui
,S.:Ci
ga
r
e
t
t
e
s
mo
ki
nga
nds
o
l
ve
ntus
ea
mo
ngJ
a
pa
ne
s
eAdo
1
e
s
c
e
nt
s
.Dr
uga
ndAl
c
o
ho
lDe
pe
nd
e
nc
e
,46
:1
3
7
-1
45
,1
9
9
7.
9)wada
,K.
,
Pr
i
c
e
,
R.
K.a
ndFukui
,
S.:Re
le
f
c
t
i
ng
Adul
tDr
i
nki
ngCul
t
ur
e
:Pr
e
va
l
e
nc
eo
fAl
c
o
ho
l
Us
ea
nd Dr
i
nki
ng Si
t
ua
t
i
o
nsa
mongJ
a
pa
ne
s
e
J
uni
orHi
ghSc
ho
o
lSt
ude
nt
si
nJ
a
pa
n
.J
o
ur
na
lo
f
St
udi
e
so
nAl
c
oho
l
,5
9
:3
8卜3
8
6
,1
9
9
8
.
1
0)和 田清 :中学生 における飲 酒-飲 酒文化 の反
4:
映- . 日本 アル コール ・薬物 医学会雑 誌 3
3
6
-4
8,1
9
9
9.
l
l
)J
o
hns
t
o
n,L.
D.
,0'
Ma
l
l
e
y,P.
M.a
ndBa
ch
ma
n,
∫
.
G∴Na
t
i
ona
lSur
ve
yRe
s
ul
t
so
nDr
ugUs
ef
r
o
m
TheMo
ni
t
o
r
i
ngTheFut
ur
eSt
udy,1
9
7
5
-1
9
9
8
.
NI
DA,
NI
HPubl
i
c
a
t
i
o
nNo
.9
9
-4
6
6
0
,1
9
9
9.
1
2
)和 削 寿,福井進 :薬物依存 の発生 国 をめ ぐっ
3:6
3
3
-6
42,1
9
91
.
て.精神医学 3
1
3
)和 田清 :有機溶剤乱用発生 の社 会 的背景一青
少年 に と り有機溶剤 とは何 か-.アル コール医
療研究 8 :1
7
9
-1
8
4,1
9
9
1
.
1
4
)和 酬 青 :薬物 関連精神障害 に関す る医療 の現
状 と問題点一有機溶剤乱用 ・依存 を中心 に-.
暫察学論集 4
6:1
7
8
-2
0
5,1
9
9
3.
1
5
)和 田活 :有機 溶剤 と党せ い剤 乱用一依存 と
社 会 問 題-非 行,犯 罪 の背 後 に あ る もの-.
Cl
i
ni
c
a
lNe
ur
o
s
c
i
e
nc
e 9:6
46
-6
4
8
,1
9
9
1
.
1
6
)西 岡伸 紀,岡田加奈子,市村 国夫,ほか :育
少年 の喫煙行動 関連要因の検討- 日本青少年 喫
J
ASS)の結果 よ り- .学校保健研 究
煙調査 (
3
5:6
7
-7
8,1
9
9
3.
1
7)高橋 浩之,川端徹朗,西 岡伸 紀,ほか :青 少
年 の喫煙行動規定因子 に関す る追跡調査. 日本
公衛誌 3
7:2
6
3
-2
71
,1
9
9
0.
1
8
)永野 潔 :有機溶剤乱用者 とその親世代 にみ
られ るアル コール症 との関連 についての研究.
ア)
I
,コール研究 と薬物依存 2
7:2
9
7
131
2,1
9
9
2.
1
9
)和 田活 :有機溶剤乱用 と家族.精神保健研 究
4
0:1
3
-1
7,1
9
9
4.
d礼k.a
ndFukui
,S∴De
mogr
a
phi
ca
ndSo
2
0
)Wa
C
i
a
lCha
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
so
fSo
l
ve
ntAbus
ePa
t
i
e
nt
si
n
J
a
pa
n.TheAme
r
i
c
a
nJ
o
ur
na
lo
nAddi
c
t
i
o
ns
3:1
6
5
-1
7
6,1
9
9
4.
2
1
)川畑徹 朗 :喫煙 ・飲 酒 ・薬物乱用 防止 にお け
るライフスキ)
i
,
学習の進め方.スポー ツ と健康
3
0:1
6
-1
9,1
9
9
8.
(
受付 00. 9.28 受理 01. 2. 1)
連絡 先 :〒272
-0827 千 葉 県 市 川 市 国府 台 17-3
国立精神 ・神 経 セ ンター (
和 田)
学校保健研究
J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2001;39-49
中 ・高校生の薬物乱用 ・喫煙 ・
飲酒行動 と規範意識
市
村
国
夫*
1下
村
義
夫*
2渡
追
正
樹*
3
*
l
常磐短期大学
*
2岡山大学教育学部
*
3
東京学芸大学
Ha
r
mf
u
lSubs
t
a
nc
eAbus
e
,
Ci
ga
r
e
t
t
eSmo
ki
ng,
Al
c
o
ho
lDr
i
nk
i
nga
nd
Pe
r
c
e
i
ve
dNo
r
msa
mo
ngJ
uni
o
ra
ndSe
ni
o
rHi
h Sc
g
ho
o
ISt
ude
nt
s
Kuni
ol
c
hi
mur
a*
l Yo
s
hi
oShi
mo
mur
a*
'
2 Ma
s
a
kiWa
t
a
na
be
*3
"Tok
i
waJu
ni
orCol
l
e
ge
*
2F
ac
ul
yo
t
fEduc
at
i
on,Ok
a
yamaUni
v
e
r
s
i
y
t
*3
TokyoGak
l
L
ge
iUni
v
e
r
s
i
y
t
Thepur
po
s
eo
ft
hi
ss
t
udywa
st
oi
nve
s
t
i
ga
t
et
hea
s
s
o
c
i
a
t
i
o
no
ft
hepr
e
va
l
e
nc
eo
fha
r
mf
u
l
s
ubs
t
a
nc
ea
bus
e
,C
i
ga
r
e
t
t
es
mo
ki
nga
nda
l
c
o
ho
ldr
i
nki
ngwi
t
hpe
r
c
e
i
ve
dno
r
msa
mo
ngj
uni
o
ra
nds
e
ni
o
rhi
ghs
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
.Thi
ss
t
udywa
sc
o
nduc
t
e
di
n1
9
9
7a
nd1
9
9
8a
t5j
uni
o
r
hi
g
hs
c
ho
o
l
s(
8
7
62
ndgr
a
de
r
s
)a
nd 7 s
e
ni
o
rhi
g
hs
c
ho
o
l
s(
2,
0
2
82
ndgr
a
de
r
s
)i
nt
woc
e
nt
r
ll
a
yl
o
c
a
t
e
dr
ur
lc
a
i
t
i
e
s
.Thea
no
nymo
usque
s
t
i
o
nna
i
r
eme
a
s
ur
e
de
xpe
r
i
e
nc
e
sa
ndbe
ha
vi
o
r
a
lpr
o
s
pe
c
t
sc
o
nc
e
r
ni
ngha
r
mf
uls
ubs
t
a
nc
ea
bus
e
,C
i
ga
r
e
t
t
es
mo
ki
nga
nda
l
c
o
ho
ldr
i
nki
ng.
I
ta
l
s
oc
o
nt
ine
a
das
c
leo
a
fpe
r
c
e
i
ve
dge
ne
r
l no
a
r
m(
l
li
t
e
msi
nc
l
ude
dhuma
nr
e
l
a
t
i
o
ns
,s
o
c
i
a
lc
us
t
o
msa
nde
t
c
.
,Kuz
ee
ta
1
.
,1
9
8
7
)a
nd 7s
pe
c
i
f
i
cno
r
msc
o
nc
e
r
ni
ngc
i
ga
r
e
t
t
e
,a
l
c
o
ho
l
,
a
ndha
r
mf
u
ls
ubs
t
a
nc
e
s
.
The
r
ewa
ss
i
gni
ic
f
a
nta
s
s
o
c
i
a
t
i
o
no
ft
hes
c
o
r
eo
fpe
r
c
e
i
ve
dge
ne
r
lo
a
rs
pe
c
i
f
i
cno
r
mswi
t
h
t
hee
xpe
r
i
e
nc
ea
ndpr
o
s
pe
c
t
so
fha
r
mf
uls
ubs
t
a
nc
ea
bus
e
,c
i
g
a
r
e
t
t
es
mo
ki
nga
nda
lc
o
ho
l
dr
i
nki
ng.Tho
s
ewhoha
dne
ve
rus
e
ds
ubs
t
a
nc
e
si
nc
l
udi
ngc
i
ga
r
e
t
t
ea
nda
lc
o
ho
ie
s
t
e
e
me
d
l
y,
ge
ne
r
a
lno
r
m hi
ghl
ya
nds
odi
dt
ho
s
ewhoha
dpr
o
s
pe
c
to
fno
tus
i
ngs
ubs
t
a
nc
e
s
.Si
il
m
a
r
t
ho
s
ewhoha
dne
ve
rs
mo
ke
dno
rdr
unke
s
t
e
e
me
ds
pe
c
i
f
i
cno
r
mshi
hl
g
y.Tho
s
ewhoha
d
us
e
dbo
t
hc
i
ga
r
e
t
t
ea
nda
lc
o
ho
lo
rha
dus
e
dc
i
ga
r
e
t
t
eo
nl
ye
s
t
e
e
me
ds
pe
c
i
f
i
cno
r
msl
o
w.
Se
ni
o
rhi
ghs
c
ho
o
lbo
ysha
dhi
ghe
rs
c
o
r
eo
ns
ubs
t
a
nc
e
s
pe
c
i
点cno
r
mst
ha
nj
uni
o
rhi
gh
s
c
ho
o
lbo
ys
,whi
l
ej
uni
o
rhi
h s
g
c
ho
o
lbo
ysha
dhi
ghe
rs
c
o
r
eo
nc
i
ga
r
e
t
t
eo
ra
l
c
o
ho
トs
pe
c
i
五c
no
r
mt
ha
ns
e
ni
o
rhi
ghs
c
ho
o
lbo
ys
.Gi
r
l
sdi
dno
te
s
t
e
e
ms
pe
c
i
f
l
Cno
r
msl
o
we
rt
ha
nbo
yse
xc
e
ptj
un
i
o
rhi
g
h s
c
ho
o
lg
ir
lwhoha
dus
e
dbo
t
hc
i
ga
r
e
t
t
ea
nda
l
c
o
ho
lo
rha
dus
ec
i
ga
r
e
t
t
e
o
nl
y.The
s
er
e
s
ul
t
ss
ugge
s
tt
ha
tpe
r
c
e
i
ve
dno
r
mi
so
neo
ft
hec
r
i
t
i
c
a
lde
t
e
r
mi
na
nt
so
fs
ubs
t
a
nc
ea
bus
ea
ndt
ha
tno
r
ma
t
i
vee
duc
a
t
i
o
ni
sa
ne
f
f
e
c
t
i
ves
t
r
a
t
e
gyf
o
rpr
e
ve
nt
i
ngs
ubs
t
a
nc
e
a
bus
e
.
Ke
yWo
r
ds:pe
r
c
e
i
ve
dno
r
m,ha
r
mf
uls
ubs
t
a
nc
ea
bus
e
,c
i
ga
r
e
t
t
es
mo
ki
ng,a
lC
o
ho
ldr
i
nl
i
i
ng,
j
ni
u
o
ra
nds
e
ni
o
rhi
ghs
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
規範意識,薬物乱用,喫煙,飲酒,中 ・高校生
学校保健研究 J
pnJSc
hoolHe
al
t
h43;2
0
0
1
40
Ⅰ はじめに
薬物乱用防止教育において重要な要素 となるこ
とが指摘 されてお り4
)
,拒否スキル トレーニ ン
近年わが国における薬物乱用の深刻 な状況の
グよりも規範学習の方が高い教育効果が得 られ
下,平成 9年に薬物乱用対策推進本部が薬物乱
た とい う報告 もある7
)
.また伝統 を重ん じるな
用防止瓦か年戦略 を作成 したl
)
.その中で学校
どの社会規範-の反発が薬物乱用を含む問題行
等において喫煙 ・飲酒を含む薬物乱用防止教育
動の背景にあることも指摘 されている8).わが
の充実が述べ られている.青少年に対す る薬物
国の青少年の薬物乱用に関する調査では,高校
乱用防止教育プログラムの開発は緊急 を要する
0
%が薬物 (シンナー ・大麻 ・覚せい剤)
生の約2
課題である.従来我が国では,欧米の薬物乱用
の使用 を 「
本人の考えにまかせればよい」 と回
防止教育あるいは喫煙 ・飲酒防止教育の内容 と
答 してお り9
)
,このような意識が本人は もちろ
方法の導入が図 られて きた.近年の薬物乱用防
ん周囲の人を薬物へ容易に接近 させる要因とな
止教育 (
飲酒,喫煙 を含む)プログラムを比較
りうることが予想 される.
した報告 でば ー
4
)
,薬物 に関す る適切 な情報,
本研究では,薬物乱用防止教育の内容や方法
周囲の人やメディアなどによる社会的影響,拒
を検討する上で,青少年の規範意識が実際の薬
否スキル トレーニ ングなどを含むプログラムが
物乱用 とどのような関係 をもつのか,またそれ
数多 く紹介 されている. しか し教育効果に関 し
は咲煙,飲酒 とはどのように異なるのかを明 ら
ては,必ず しも一貫 した結果が出ていない.ま
かに し,薬物乱用防止における規範教育の可能
た薬物乱用 に関 して厳 しく規制 されている日本
性 について検討することを目的 とした.
では,喫煙や飲酒に関 して寛容であるが,欧米
では国によって喫煙あるいは飲酒に関 して否定
Ⅱ 対象および方法
的であった り,薬物使用 に関 しては自己使用に
調査 は,中核都市 (
関東および中国地区) 2
ついては認めた りなど, 日本 よりも寛容 な国も
市 において,中学校 5校 の 2年生8
7
6
名 (
以下
ある5). したがって,欧米で開発 された薬物防
中 2)
,高校 9校 の 2年生2
,
0
2
8
名 (
以下 高 2)
,
止プログラムをそのまま用いるのでな く, 日本
計2
,
9
0
4
名 を対象 に実施 した.調査方法 は自己
の薬物乱用 ・喫煙 ・飲酒の実態や社会的 ・文化
記入式質問紙法であ り,教室での集合調査であ
的背景を考慮 したプログラム開発 を図る必要が
る.回答の秘匿性 を保護するために無記名調査
あるといえよう.
とし,▲
かつ回答後に生徒 自身が調査票を封筒に
規範は集団の行為 を統制す る機能をもち,隻
入れて封 をしてか ら,教師が回収 した.有効回
団の維持や 目標達成において重要な役割 を果た
答数 (
率)は中 2で8
6
6(
9
8
.
9
%),高 2で2
,
0
1
8
していると言われる6
)
. 帰属す る集団に よって
(
9
9
.
5
%)であった.調査時期は1
9
9
7
年および
1
9
9
8
年の 2,3月であった.
規範が異なれば,行動へ及ぼす影響 も異 なって
くる.欧米諸国とわが国における法的規制や社
調査 内容は,薬物乱用 (
大麻 ・シンナー ・覚
会的 ・文化的背景の差異は,規範意識の違いと
せい剤),喫煙,飲酒 に関す る経験,現在の行
して表れ,青少年の行動 と社会的態度の形成に
動お よび将来の行動予測,そ して一般的な規範
影響 を及ぼす と考えられる.薬物乱用の背景に
意識 と薬物乱用に関する規範意識,その他につ
それぞれの集団の もつ規範が存在 しているなら
いてである.薬物乱用の経験では,過去 1回以
ば,社会的 ・文化的背景,あるいは規範意識 と
上の使用経験の有無についての質問に加 え,過
の関連で薬物乱用防止教育を考えてい く必要が
去に使用 したい と思った経験 について 「
使用 し
あろう.
,
,
たい と思ったことがある」 「
ち ょっと使用 した
,
薬物乱用防止 においては 「
不法 な薬物 は使
いと思 ったことがある」 「
使用 したいと思った
用するべ きではない」 という規範意識の育成は
ことはない」 「
わか らない」の 4つの選択肢で
,
市村ほか :中 ・高校生の薬物乱用 ・喫煙 ・飲酒行動と規範意識
41
質問 した. また喫煙 と飲酒 については,過去 1
方 とも経験お よび喫煙のみ経験 している群 (
輿
回以上の経験の有無 と過去 1カ月間における 1
煙 ・飲酒経験群),飲酒のみ経験 している群 (
飲
回以上の経験 について質問 した.将来の行動予
酒のみ経験群),喫煙 と飲酒の両方 とも経験 し
測 については,大麻, シンナー,覚せい剤のそ
ていない群 (
非経験群)の 3群 に分け, さらに
れぞれについて,これか ら先使用するか どうか
性差 を考慮 し 6群 に して, 6群間の規範意識 を
を,「きっ とす る」,「たぶ んす る」, 「わか らな
比較 した (x 2検定). また学年 と喫煙 ・飲酒 ・
薬物乱用防止 に関す る規範意識 との関連 も調べ
,
,
い」 「たぶん しない」 「きっ としない」の 5段
階評定で尋ねた.同様 に喫煙 と飲酒について も
2
0
歳時の行動予測 を 5段 階評定で質問 した. さ
らに薬物乱用,喫煙,飲酒のそれぞれについて,
最初の使用の きっかけ,使用 したことのある場
所 について も質問 した.薬物乱用の経験,行動
の将来予測,使用の きっかけ,使用 した場所 な
どにおける学年お よび性 による回答の割合の差
を検討す るために, x 2 検定 を行 った.
一般的な規範意識 については,久世 らによる
11
項 目か らなる一般的な規範意識 に関す る尺度
を用 いた10).久世 らによる と規範 とは 「
多 くの
人々に共有 されている価値基準 と,その実現の
ためにとられるべ き行為の様式」であ り,その
た (x 2検定).
解析 には岡山大学総合情報セ ンターのACOS
3
7
0
0に搭 載 され て い るSPSSプ ロ グ ラ ムパ ッ
.
2
2
版 を使用 した.
ケージ2
Ⅲ 結
果
1.喫煙 ,飲酒 ,薬物乱用の経験
喫煙,飲酒,薬物乱用 を経験 した とす る割合
を表 1に示 した.喫煙経験者の割合 は男子の中
2で2
4.
6
%,高 2では4
9
.
9
%と学年進行 に伴 っ
p<0
.
0
1
).女子
て約 2倍 の増加 が み られ た (
では申2で 1
0
.
7
%,高 2で2
4.
8
%と経験率は男
p<0
.
0
1
)
,学年
子 に比べ て低 率 で あ ったが (
規範が内面化 された ものが規範意識 とされる.
進行 による増加傾 向は男子 と同株であった.現
この尺度の各項 目は,親子や先輩後輩 などの上
毎
在喫煙 している者 (
過去 1カ月間の行動で 「
下関係や,伝統 ・慣習,儀礼 な どを尊重す る傾
数 日,吸 った」
) は高 2で は男子
日吸 った」+「
向を測定 している.回答 は,例 えば 「
親などの
,「非常 に賛成である」∼
2
2
.
2
%,女子7
.
0
%を示 し,中 2に比べ て高率
p<0
.
01
).飲 酒経験 者 の割合 は中
で あ った (
2,高 2それぞれ男女合わせて5
8
.
2
%,8
4
.
1
%
「
非常 に反対である」の 5段 階評定 となってお
であ り,学年差 は認め られたが性差はみ られな
目上の人の意見 には したがったほ うが よい」 な
どの各項 目に対 して
り,各段 階に 1- 5点の得点 を与 え,規範意識
かった.現在飲酒 している者 (
過去 1カ月間の
が高 くなるように得点 を算 出 している.本研究
数 日,飲 んだ」
) の割
行動 で 「
毎 日飲 んだ」+「
の分析 にあたっては,久世 らの方法に従い11
項
1
.
9
%,女子2
7
.
7
%と中 2に比
合 も高 2で男子 3
目の得点の平均値 を尺度得点 (
規範意識得点)
p<0
.
0
1
)
.
べて高率であった (
とし,校種別性別 に平均値 を求めた10). さらに,
喫煙,飲酒, シンナー遊びの経験お よび薬物乱
用 に関す る行動予測 と規範意識得点 との関連 を
検討 した (
一元配置分散分析).
今 回の調査ではこれ ら一般的な規範意識項 目
薬物乱用 の経験 につ いて は,大麻 は中 2で
0
.
9
%,高 2で0
.
7
%, シ ンナ ー は 中 2で2
.
8
%,
高 2で2
.
1
%,覚せい剤 は中 2で0
.
8
%,高 Zで
0
.
4
%と回答 してお り,いずれの経験率 も高 2
よ りは中 2が高 い値 を示 した (
p<0
.
0
1
)
.な
に加 え,喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用防止 に関す る規
お中 2で無回答が多かったため, ここでは経験
例 えば 「
覚せい剤 は使
範意識 について 7項 目 (
の有無だけではな く無回答 を含めて検定 を行っ
うべ きで はない」) を設定 し,同 じく 5段 階評
た. また中 2では女子 よ りは男子 において経験
定で回答 させた.そ して, これ までの喫煙や飲
率が高率であ り,高 2ではシンナー遊びの経験
酒経験 との関連 をみ るために,喫煙 と飲酒の両
p<0
.
0
1
).実 陛 の
のみ に性 差 が認 め られ た (
42
学校保健研 究
J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2001
経験 とは別に,薬物乱用 をしてみたいと 「
思っ
らない」の回答率の合計はそれを上回っていた.
.
5
-9
.
2
% という値 を示 し
た」 とする回答は,3
た.
使用場所 については,喫煙 と飲酒では中 2,
高 2ともに 「自宅」が最 も高率であった.また,
2.喫煙 ,飲酒 ,薬物乱用のきっかけと使用 し
友だちの家」 と 「
欽酒店,カラオケ,
高 2では 「
た場所
ディスコ」 も,中 2に比較 して高率であった.
喫煙,飲酒,薬物乱用の経験者 において,そ
友だち
シンナー遊びでは,中 2は 「自宅」が 「
れ らのきっかけを表 2に,使用場所 を表 3に示
の家」 に比べて高率であった.高 2では中 2と
した.なお薬物乱用では経験率の低い大麻 と覚
せい剤は分析か ら省いてある.喫煙の きっかけ
友だちの家」の方が高率で
は逆転 してお り,「
あった.
友人にすすめ ら
は 「
好奇心」,「なんとな く」,「
3.喫煙 ,飲酒 ,薬物乱用の将来予測
れて」の 3つの回答率が他の項 目に比べて高率
将来の行動予測については表 4に示す とお り
であった.また,飲酒では 「
家族にすすめ られ
0才になった時に喫煙 しているとする
である.2
て」 とする回答が最 も高率であ り,次に 「
好奇
回答 は中 2男子,高 2男子,中 2女子,高 2女
心」,「なんとな く」であった.喫煙,飲酒 とも
0.
9
%,2
7.
5
%,6
.
3
%,7
.
9
%で
子でそれぞれ2
に学年,性において顕著な差はみ られなかった.
あった.なお大麻,シンナー,党せい剤の使用
シンナー遊びについては, 申 2では回答が分散
については,これか ら先 「きっとする」あるい
友人にすすめ られて」 と
してお り,高 2では 「
は 「
たぶんする」 と回答 した割合は,いずれ も
0
%以上 を占めていた.
「
好奇心」の 2項 目で7
2%未満であった.
いずれの行動 も人か らの勧めが高い回答率を占
好奇心」,「なん とな く」,「わか
めていたが,「
表 1 喫煙,飲酒,薬物乱用の経験について
中学生 2年生
項
目
対象者数 :n
男子
女子
高校生 2年生
男子
計
4
3
5
43
1
8
6
6
n(
%)
n(
%)
n(
%)
1
)
女子
計
1
0
5
9
9
5
9
2
01
8
n(
%)
n(
%)
n(
%)
1
) 2
)
喫煙 について
1
-1.喫壇経験
卜 2. 1カ月間の喫煙経験
1
0
7(
2
4.
6
)
2
5(5.
7
)
46(
1
0.
7
) 1
5
3(
1
7.
7
) 約
9(2.
1
) 3
4(3.
9
) H
5
2
8(
49
.
9
) 2
3
8(
2
4.
8) 7
6
6(
3
8
.
0
) ** *
*
2
3
5(
2
2
.
2
) 6
7(7.
0
) 3
0
2(
1
5
.
0
) " *
*
1
) 2
3
4(
5
4.
3
) 5
0
4(
5
8.
2
)
2
7
0(
6
2.
8
6(
1
9.
8) 5
7(
1
3.
3
) 1
43(
1
6.
5
) *
8
9
5(
8
4.
5
) 8
0
3(
8
3.
7
) 1
6
9
8(
8
4.
1
)3
3
8(
31
.
9
) 2
6
6(
2
7.
7
) 6
0
4(
2
9
.
9
) * *
*
飲酒について
2
-1.飲酒経験
2
-2. 1カ月間の飲酒経験
串
大麻 について
3
-1.大麻使用の経験
3
-2.大 麻 を使 用 した い と
7(1
.
6
)
2
0(4.
6
)
1(0.
2
)
1
2(2.
8)
8(0.
9
) *
車 1
0(0.
9
)
3
3(3
.
7
)1
1
9(
l
l
.
2
)
4(0.
4) 1
4(0
.
7
)- *
*
6
6(6,
9
) 1
85(9.
2
) *
*車
*
1
8(4.
1
)
2
9(6.
6
)
6(1
.
4)
3
0(7.
0)
2
4(2
.
8
) 串
♯
5
9(6
.
8
) *
3
5(3.
3
)
6
2(5.
9
)
8(0.
8
) 43(2.
1
) *
* *
*
6
8(7.
1
) 1
3
0(6
.
5
)一 幸
*
6(1
.
4
)
1
6(3.
7
)
1(0.
2
)
1
4(3.
2
)
7(0.
8
) *
*
3
0(3
.
5
) 約
6(0.
6
)
7
9(7.
4)
2(0.
2
)
8(0.
4) - *
書
4
4(4.
6
) 1
2
3(6
.
1
) *
* *
*
思 った ことがある
シンナーについて
4
-1. シンナー遊 びの経験
4
-2. シンナー遊 びを したい
と思 ったことがある
覚せい剤 について
5
-1.党せ い剤使用 の経験
5
-2.党せ い剤 を使用 したい
と思 ったことがある
*:p<0.
05,*串:p<0.
01
)
3
-2,4
-2,5-2 :「
思 った ことがある」
十「ち ょっ と思 った ことがある」の割合
・*印 は 1)性差 , 2)学年差が認め られた項 目 (
c
hi
s
qua
r
et
e
s
t
43
市 村 ほか :中 ・高校 生 の 薬 物 乱 用 ・喫煙 ・飲 酒 行 動 と規 範 意 識
表2
喫煙 ,飲 酒 ,薬 物 乱 用 の きっか け
喫煙 の きっかけ
中学 2年
目
項
高校 2年
1
5
3
∩(
%)
2
9(
1
9
.
0
)
7(4.
6
)
8(5
.
2
)
5
0(
3
2
.
7
)
4(2.
6
)
3(2
.
0
)
o
(0.0)
3
5(
2
2,
9
)
6(3.
9
)
l
l(7.
2
)
対象者数 :n
l 友人にすすめ られて
家族 にすすめ られて
友人, (
家族)以外 にすすめ られて
好奇心
かっこいいので
大人の気分 を味わいたい
やせ るため
なん とな く
わか らない
その他
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
I*印は学年差が認め られた項 目 (
c
hi
-s
qua
r
et
e
s
t
表3
飲酒の きっかけ
中学 2年
中学 2年
目
対象者数 :n
高校 2年
中学 2年
5
0
4
1
6
9
8
n(
%)
n(
%)
n(
%)
2
1
8(
2
8.
5
)*
事 2
0(3.
9
)1
9
1(
l
l
.
2
)
1
9(2
,
5
)
1
7
4(
3
4.
5
)5
2
4(
3
0.
9
)
l
l(1
.
4
)
2
0(3
.
9
) 6
1(3
.
6
)
3
01(
3
9
,
5
)
1
1
9(
2
3.
6
) 41
8(
2
4.
6
)
3(0.
6
) 2(0.
2
)
1
5(2
.
0
)
7(0.
9
)
1
9(3
.
7
) 2
4(1
,
4
)
2(0.
3
)
1
2
8(
1
6.
8
)
7
6(
1
5.
0
)2
9
9(
1
7
,
6
)
1
2(2
.
3
) 4
6(2
.
7
)
1
7(2.
2
)
4
5(5
.
9
)
6
8(
1
3
.
4) 1
3
5(7
,
9
)
7
6
6
高校 2年
2
4
4
3
(
%)
n(
%)
4(
1
6.
7
) 1
8(
41
.
9
)
(0.0)
o(0.
0
) o
2(8.
3
) 1
3(
3
0
.
2
)
4(
1
6.
6
)
4(
1
6.
6
)
6(
2
5.
0
)
5(
l
l
.
6
)
3(6
.
9
)
6(
1
4.
0
)
*:
p<0.
05
,*
*:
p<0.
01
)
喫煙 ,飲 酒 ,薬 物 乱 用 の場 所
喫煙 の場所
項
シンナー遊びのきっかけ
飲酒の場所
高校 2年
中学 2年
シンナー遊 びの場所
高校 2年
中学 2年
高校 2年
1
5
3
7
6
6
5
0
4
1
6
9
8
2
4
4
3
n(
a
/
o)
n(
o
/
a
)
n(
a
/
o
)
n(
%)
n(
o
/
a)
n(
a
/
a)
2
5(4.
9
)
8
5(5
.
0
)1
5(
6
2
.
5
)
1
3(
31
.
7
)
1 学校 内
3
5(
2
2.
8
) 2
43(
3
1
,
7
)
2 自分の家
9
6(
6
2.
7
) 5
5
3(
72
.
3
) *
* 45
3(
89
.
8
)1
51
5(
89
.
2
) *
3 友だちの家
5
5(
3
5.
9
) 5
0
8(
6
6
.
3
)
4 欽酒店, カラオケ,デ ィス コ
42(
2
7.
4) 4
48(
5
8.
6
) H
*
H
1
3
2(
2
6
.
1
)1
21
8(
7
1
.
7
) *
*
9(
3
7.
5
)
*
21(
4
8.
8
)-
1
0
7(
21
.
2
) 81
7(
4
8.
1
) =
・
*
印は学年差が認め られた項 目 (
c
hトs
qua
r
et
e
s
t *:p<0.
05
,**:p<0
.
01
)
表4
喫 煙 , 飲 酒 , 薬 物 乱 用 につ い て の 将 来 予 測
中学生 2年生
項
目
対象者数 :a
高校生 2年生
男子
女子
計
男子
女子
43
5
43
1
8
6
6
1
05
9
9
5
9
n(
a
/
a)
n(
%)
n(
%) 1
)
n(
0
/
o
)
n(
0
/
a
)
計
2
01
8
n(
%) 1
) 2
)
2
0
歳 になった時の喫煙
91(
2
0.
9
) 2
7(6.
3
)1
1
8(
1
3
.
7
)H
2
9
2(
2
7.
5
) 7
6(7.
9
)3
6
8(
1
8.
3
)H H
2
0
歳 になった時の飲酒
2
7
3(
6
2
.
8) 2
7
3(
6
3.
3
)5
4
6(
6
3
.
1
)*
7
9
5(
7
5.
0) 7
8
6(
82
.
0
)1
5
81(
7
8.
3
)H H
これか ら先 ,大麻 を使用す る と思 う
7(1
.
6
)
2(0.
5
)
9(1
,
0
)1
1
3(1
.
2
)
これか ら先, シンナー遊 びをす る と思 う
7(1
.
6)
3(0,
7
) 1
0(1
.
1
)-
6(0.
6
)
これか ら先,覚せい剤 を使用す る と思 う
8(1
.
9
)
5(1
,
2
) 1
3(1
.
5
)*
3(0.
3
)
9(0.
4
)★
1
4(1
.
3
) l
l(1
.
1
) 2
5(1
,
2
)=
・*印は 1)性差 , 2)学年差が認め られた項 目 (
c
hi
-s
qua
r
et
e
s
t 事:p<0.
0
5,手書:p<0.
01
)
将来予測 (
%):「きっ とす る」
+「たぶんす る」の割合
6(0.
6
) 1
9(0.
9
)書
*
**
4
4
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
4.喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用 と一般的な規範意識
との関連
高 2ごとに示 したのが図 1- 1と図 1- 2であ
る.方法で述べ た喫煙 ・飲酒経験群,飲酒のみ
喫煙,飲酒,薬物乱用の経験 と規範意識得点
経験群,非経験群 に分け,それぞれ男女別 に喫
との関連 について示 したのが表 5- 1である.
煙 ・飲酒 ・薬物乱用 を行 うべ きではない とい う
なお大麻お よび覚せい剤 の経験 については経験
回答率 を示 している.中 2では,非経験が全般
率 の億 が低 率 で あ っ た の で分 析 か らはず し
的に回答率が高 く,規範意識が高かった (
規範
た.20歳時の飲酒予測 を除いて,喫煙,飲酒,
意識 の全項 目でp<0.
01).次 に飲 酒 のみ経験
薬物乱用のすべての項 目と規範意識得点 との間
群で規範意識が高かったが,飲酒に関す る規範
p<0.
01
). 喫煙,
に有 意 な関連 が み られ た (
意識は低かった.喫煙 ・飲酒経験群は他の群 に
飲酒, シンナー使用の経験がない群で規範意識
比べ て,薬物乱用 に関す る規 範意識が最 も低
得点が高かった. また,喫煙,飲酒,薬物乱用
かった.高 2で もほぼ同様 な傾向がみ られた.
についての行動の将来予測 と規範意識得点 との
しか し,中 2と高 Zを比較 した場合,薬物乱用
関連 を示 したのが表 5- 2であ る.「
吸 ってい
に関す る規範意識で,覚せ い剤では中 2,高 2
飲 んでいない」,「
使用 しない」 な どの
ない」,「
の回答率がそれぞれ82.1
%,87.
4% , シンナー
回答,つ ま り,将来使用 しない とする回答群で
では82.
7%,87.
7% ,大麻では82.1
%,86.
7%
規範意識得点が高 く,喫煙,飲酒,薬物乱用 と
であ り,高 2が 中 2よ り高か った (
すべ てp<
01
).一方,「
規範意識 との関連 を認めた (
中 2の飲酒 を除 き, 0.
年齢 に関係 な くタバ コを吸 うべ
p<0.
01). た だ し高 2の飲 酒,大 麻,覚 せ い
きでない」では,中 2,高 2の回答率がそれぞ
剤 の将来予測 では,「わか らない」 とす る回答
6% であ り,同株 に,「
同年齢 の
れ62.5%,51.
群 において,最 も規範意識が低かった.
人,飲酒すべ きでない」では5
0.
8%,21.
9% で,
喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用防止 に関す る規範意識
喫煙や飲酒に関す る規範意識では申 2の方が高
7項 目と喫煙や飲酒の経験群 との関連 を中 2,
01
). また,喫煙 ・飲 酒
か った (
す べ てp<0.
表 5- 1 喫煙,飲酒,薬物乱用の経験 と規範意識得点との関連
中学 2年生
項
目
対象者数
男子 女子 計 1
)2
) 男子 女子 計 1
)2
)3
)
4
3
5 4
31 86
6
1
0
5
9 9
5
9 2
01
8
9
2
3
7
2
3
1
3
3
5
2
3
6
2
3
3
2
3
3
1
3
3
0
3
9
1
3
0
2
3
9
1
3
1
2
3
4
7
2
3
8
2
1
7
2
1
1
3
6
1
3
9
0
3
1
9
2
5
5
2
5
9
2
0
2
3
7
0
3
6
2
3
4
3
3
3
3
3
6
3
3
4
2
3
4
3
3
6
1
3
7
2
3
0
2
3
4
3
3
3
0
3
1
1
3
7
9
2
6 2
2
2
3 3
3
4
り
ん2
3 3
9 2
0
2
3 3
1
0
3
4
1
3
1
9
2
7
0
3
5
1
3
1
0
3
喫煙経験 (1カ月間)
o 喫煙経験なし
1 1カ月間,全 く吸っていない
2 1カ月間,(
「
毎 日」
+「数 日」
)吸った
3 わからない
飲酒経験 (1カ月間)
0 飲酒経験なし
1 1カ月間,全 く飲んでいない
2 1カ月間,(
「
毎 日」
+「数 日」
)飲んだ
3 わからない
シンナー遊びの経験
1 1度もない
2 ある
高校 2年生
*- 3.20 3.24 3.22 **- 1
3.
2
6 3.
2
6 3.
2
6*
2.
6
1 2.
5
5 2.
5
9
2.
8
5 3.
2
3 2.
9
3
One
-wa
y;1)項 臥 2)性差, 3)学年差 (
*
*:p<0.
01
)
4
5
市村ほか :中 ・高校生の薬物乱用 .喫煙 ・飲酒行動と規範意識
表 5- 2 喫煙,飲酒,薬物乱用の行動予測と規範意識得点との関連
中学 2年生
項
目
対象者数
1
)2
) 男子 女子 計 1
)2
)3)
1
05
9 9
59 2
01
8
3
1
3
6
2
3
1
1
3
0
2
3
1
1
3
3
2
3
5
1
3
0
1
3
8
1
3
1
3
3
0
3
3
1
3
3
3 2
0 2
6
1
9
Jq
r
33
8
4 9
0 1
2
3 3 3
5 2
5 2
2
1
3 C
J3
6
1
3
9
0
3
1
2
0
2
3
1
2
3
9
1
3
5
2
3
7
2
3
5
2
3
2
3
5
2
3
0
2
3
0
3
3
5
3
3
5
2
0
2
3
9
2
3
4
1
3
6
2
3
7
2
3
5
2
1
3
3
2
3
3
0
3
3
0
3
3
7
2
3
2
3
3
5
1
3
0
0
3
0
2
3
2.
65 2.
5
8 2.
6
3 ** - 2.
5
8 3.
2
4 2.
80
2.
91 2.
81 2.
87
2.
83 2.
93 2.
85
3.
2
7 3.
2
7 3.
2
7
3.
2
2 3.
25 3.
2
3
2.
3
7 2.
82 2.
5
5*
*- 2.
88 3.
26 3.
05
2.
9
3 2.
61 2.
82
2.
86 2.
89 2.
87
3.
2
8 3.
2
7 3.
2
8
*
辛
2.1
8 2.
36 2.
22 *
*- 2.
71 3.
5
2
2.
96 2.
7
8 2.
89
2.
82 2.
89
3.
2
8 3.
2
8 3.
2
8
3.
2
4 3.
25
7 4 4
9 8 2
2 2 3
きっと吸っている
2 たぶん吸っている
3 わからない
4 たぶん吸っていない
5 きっと吸っていない
2
0歳になった時の飲酒
1 きっと飲んでいる
2 たぶん飲んでいる
3 わからない
4 (
「きっと」
+「たぶん」
)飲んでいない
これから先,大麻を使用すると思うか
1 (
「きっと」
+「たぶん」
)使用する
2 わからない
3 (
「
たぶん」+「きっと」
)使用 しない
これから先,シンナー遊びをすると思うか
1 (
「きっと」
+「たぶん」
)する
2 わからない
3 (
「
たぶん」
+「きっと」
)しない
これから先,覚せい剤を使用すると思うか
1 (
「きっと」
+「たぶん」
)使用する
2 わからない
3 (
「
たぶん」
+「きっと」
)使用 しない
1
計
435 431 866
6
9
2
5
8
2
9
9
2
2
0歳になった時の喫煙
男子 女子
高校 2年生
*
*--
* *
-
-
3.
2
3 3.
25 3.
2
4
One
-wa
y;1)項目, 2)性差, 3)学年差 (
*
*:p<0.01
)
経験群の中 2の女子で薬物乱用 に関す る規範意
識が もっ とも低かった.
Ⅳ 考
た. この 1カ月間に喫煙の経験がある,すなわ
ち現在喫煙 している割合 は15.0% であ り,高校
察
での喫煙が常習喫煙 につながることが考 えられ
る. また 「
薬物 を使 ってみたい と思った」 とす
今 回の調査対象者の喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用行
/
o弱であ り, これ も過去の調査1
4
)
と
る回答 は100
動 の実 態 と過 去 の大 規 模 調 査 とを比 較 す る
ほぼ一致 していた. したが って,喫煙,飲酒,
と1卜 13),中 2については喫煙経験率 と飲酒経験
薬物乱用 に関す る経験や行動の実態はこれまで
率 ともに今 回の調査 はやや低 い億 を示 していた.
の大規模調査 と類似 した結果 を示 してお り,本
また過去 の大麻, シンナー,覚せ い剤 の使用経
調査 の対象者 は一般的な中高生 ととらえること
験率 と,全体の傾向 として,顕著 な差 はみ られ
がで きる.
なかった.高 2において も,他 の喫煙 と飲酒 に
これまでの青少年 における薬物乱用 に関す る
,「薬物 を使 うことは個人の 自由」
ついての大規模調査 と比較 して,結果 に顕著 な
調査 において
差がない といえよう.ただ し,高 2では20歳時
とい う回答の高 さが報告 されてお り,特 に高校
に喫煙す ると予測 している回答 は18.3% であっ
生 においては15-20% 程度の生徒がそのように
4
6
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h43;2001
回答 率
(
「
非常に賛成である」+「
やや賛成である」
)
0
2
0
4
0
6
0
8
0
1
0
0%
覚醒剤は使う
べきでない★
★
シンナー遊びをするべきでない★
★
大麻は使用すべきでない★
★
同年齢の人,タバコを吸うべきでない★★
+
年齢に関係なく,タバコを吸うべきでない★
★
喫煙・
飲酒経験群 (
男103名)
=・
〇日
,
/
(
女 4
5
名)
-l
E
>.
・飲酒のみ経験群 (
男175名)
同年齢の人,飲酒すべきでない★
★
--日--
年齢に関係なく,飲酒すべきでない★★
J
,
(
女1
9
3
名)
.
・
.
・
.
汁.
・
.非経験群
(
男157名)
・
-M
・
-. ,
(
女1
9
3名)
(hi
s
qua
r
et
e
s
t 経験群間の差 *
*:
p<0
.
01
)
・
c
図1
- 1 喫煙,飲酒の経験 と規範意識 との関連 (
中学 2年生)
回答 率
(
「
非常に賛成である」十「
やや賛成である」
)
0
2
0
4
0
6
0
8
0
1
0%
党醒 剤は使う
べきでない★
★
シンナー遊びをするべきでない★★
大麻は使用すべきでない★
★
同年齢の人,タバコを吸うべきでない★
★
年齢に関係なく,タバコを吸うべきでない★
★
同年齢の人,飲酒すべきでない★
★
・
.
・
一〇
- 喫煙.
飲酒軽験群 (
男526名)
一一・
〇日
,
/
(
女2
3
6名)
一・
E
>-飲酒のみ経験群
・
・
四・
/
/
(
女56
7名)
-一
・
x
H1
1
(
女1
5
6名)
(
男3
8
2名)
年齢に関係なく,飲酒すべきでない★
★
,
(h
i
s
qua
r
et
e
s
t 経験群間の差
c
**:
p<0
.
01
)
図1
- 2 喫煙 ・飲酒の経験 と規範意識との関連 (
高校 2年生)
回答 してい る9
・
1
5
)
.反社会的 な行動 で あ る薬物
群で薬物乱用防止 に関する規範意識が低 いこと
乱用 に関 して,規則 を遵守するよ りも個人的な
が認め られた.従来 よ り喫煙や飲酒が薬物乱用
判断 を優先する生徒が少 な くない. この ことは
への入 口 (
ゲー トウェイ ・ドラッグ) として機
規範意識 に関連 していることを示す もの と考 え
能す ることが指摘 されている1
6
)
.本研究で明 ら
られる.喫煙,飲酒, シンナー遊 びの きっかけ
かになった青少年時の喫煙 ・飲酒の高い経験率
については, これまでの調査 と同様の結果がみ
に加 え,喫煙や飲酒 を経験 している群ほ ど喫煙,
好奇心」や 「なん とな く」が多 い
られたが ,「
飲酒,薬物乱用 に関す る規範意識が低い とい う
背景 にも,規範 を遵守す る意識の低下が予想で
結果 は,喫煙や飲酒への規範意識低下が薬物乱
きる.本調査では薬物 を使用 してみたい とす る
用へ の規範意識の低下につながっている可能性
回答が 1
0
%弱であった.経験 した割合 よ りも高
が うかが える.
率であることか ら,実際の経験が な くて も状況
青少年期の発達過程 においては,親か らの 自
によっては乱用する可能性があることが推察 さ
立や仲 間か らの信頼 を得 るために,伝統的な規
れる.
範へ の反発 を強め,そこか ら問題行動が生 じる
また本研究において,特 に喫煙 ・飲酒経験者
1
7
)
. これ は青少年期 に
こ とが指摘 されてい る8・
市村ほか :中・高校生の薬物乱用 ・喫煙 ・飲酒行動と娩範意識
み られる正常な発達過程の中で現れるものであ
4
7
講が高まって も,薬物乱用 をしているような友
り,規範意識の低下は決 して特異な現象ではな
人集団に係わっている場合 は,む しろそちらの
い.本研究では,シンナー遊びの経験者に加 え, 規範に左右 されることも予想 される.これ らの
特 に中 2でみ られた傾向だが,将来薬物 を乱用
点に関 しては, さらに研究を進めてい く必要が
するという予測者において,一般的な規範意識
あると考え られる.
が低かった.このことは規範意識が著 しく低下
また薬物乱用に関する規範意識において,中
することと薬物乱用 とが密接 に関連 しているこ
2女子の喫煙 ・飲酒経験群は他の群に比較 して
とを裏づけていると考えられる.一方,高 2に
規範意識が最 も低いという結果であった.過去
み られた傾向で,将来薬物 を乱用するか どうか
の調査 においても,女子の方が薬物乱用を誘わ
「
わか らない」 とする回答群で,規範意識が低
れた経験率が高い,あるいは女子において薬物
い傾向も認め られた.喫煙や飲酒経験 において
乱用 に対 して関心が高いことが指摘 されている
も 「わか らない」 とする回答群で規範意識が低
が1
4
)
,本研究の結果 もそれ らを支持するもの と
かった.現状認識や将来展望について判断で き
考えられる. また未成年者の覚せい剤取締法違
ない,暖味な判断をする者ほど規範意識が低い
反の送致人員では,近年女子の比率が高いとい
ことが推察 され,「
わか らない」 とす る回答群
う実態 もある20).本研究の結果は,女子におい
は 「
将来薬物 を乱用する」危険性が大 きいこと
て薬物乱用の リスクが高いことを示す ものとい
が予想 される.規範意識の低下が薬物乱用に直
えるだろう.
接つながると断定で きないが,青少年期 に規範
今回の調査では,規範意識 と薬物乱用の経験
意識が著 しく低下する集団で薬物乱用の可能性
および将来予測 との間に関連が存在することが
が大 きい という本研究の結果 とともに,薬物 を
示 された. しか し規範を遵守す るか どうかに対
使用 しやすい環境,心理的な状況,また他の危
しては,その時の状況に左右 されること1
9
)
,隻
険行動の存在 などと関わって薬物乱用 を促す と
団の種類や性質が異なることが影響すると考え
考えるべ きであろう18).
られる.今後は様 々な条件下での規範意識を測
ところで本研究 とこれまでの調査 による結果
定す ることや,青少年が帰属する一般社会,衣
との間で異なっている点 として,高校生 よりも
庭,学校,友人などにおける規範意識を測定す
中学生の方が薬物乱用防止に関する規範意識が
ることが必要ではないか と思 われる.それ に
低い ということが挙げ られる.従来,青少年期
よってさらに詳細 に規範意識 と薬物乱用 との関
では年齢の上昇 とともに規範意識が低下すると
係が明 らかになって くると考えられる.
い う傾 向が指摘 されてい る9
・
王
5
)
. しか し本研 究
最後に本研究の結果を踏 まえ,今後の薬物乱
では逆の結果が得 られた.その理由として,秦
用防止教育の方向性について述べたい.前述 し
物乱用が反社会的な行動であることを中学生 よ
たように,欧米においては薬物乱用防止教育の
りも高校生で理解 されていることが推察で きる.
中では規範の教育は重要な要素 とされ,長期的
つ まり,わが国では薬物乱用に対 して批判的な
な教育効果 をあげるための決め手になるという
規範が存在するため,社会 との接点が多 くなる
指摘 もある4).本研究において規範意識 と薬物
ほど,大半の生徒がその影響を受け,薬物乱用
乱用 との間に関連性が認め られ,わが国におい
に関する規範意識が高 まると考えられる. しか
て も規範意識 を高めることが薬物乱用防止教育
し一般少年 よりも非行少年の方が社会 との係留
の中で重要な役割 を果たす と期待で きる.特に
を確保 している面が多い との報告 もある1
9
)
.ま
一般的な規範意識 と薬物乱用 との間に関連がみ
た本研究において,中学生 よりも高校生の方が
られたことか ら,薬物乱用防止教育のみならず,
友人の家で喫煙,飲酒,薬物乱用 を経験 してい
学校教育全般,さらには家庭や地域において も,
る割合が高いことか ら,た とえ一般的な規範意
規範についての教育力 を高めることが求められ
4
8
学校保健研究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
るだろう.
内容 となると考え られた.
また, これまでの青少年の規範意識 に関する
調査では,問題行動 を起 こす青少年 (
非行少年)
においては,大人の規範意識 とのずれ,家族や
本研究は,平成1
0,1
1
年度科学研究費補助金基
Cx
2)「
薬物乱用 ・飲酒防止教育に関するカ
盤研究(
学校 の規範 よりも仲間集団の規範 を優先す る傾
リキュラム開発」 (
課題番号1
0
6
8
02
9
3,研究代表者
向があること,逸脱行為が他人に迷惑 をかけて
市村国夫)によって行われた.
いるとい う意識が低 いな ど,特徴的な結果が報
文
告 されてい る19
,
2
1
)
.規範 の教育 において は,規
献
範 を遵守す ることだけを指導するのではな く,
1)薬物乱用対策推進本部 :薬物乱用防止五か年
同 じ集団の人々との閏の コミュニケー ションを
戦略 (
教育関連部分),学校経営,4
3
(
9
)
,1
0
3-
高め,その集団にとって規範がなぜ大切 なのか,
1
1
0,1
9
9
7
規範か ら逸脱す ることで誰 にどの ような影響が
2)Ha
ns
e
n,W.
B.
:Sc
ho
o
卜ba
s
eds
ubs
t
a
nc
eabus
e
あるか をきちん伝 えることを重視 した教育 プロ
pr
e
ve
nt
i
o
n:ar
e
vi
e
wo
ft
hes
t
a
t
eo
ft
hea
r
ti
n
c
ur
r
i
c
ul
um,1
9
8
0
-1
9
9
0
,He
a
l
t
h Educ
a
t
i
o
n Re
-
グラムの開発が必要になるだろう.
Ⅴ ま と め
s
e
a
r
c
h,7,
4
0
3
-4
3
0
,1
9
9
2
nd Sa
i
l
e
s
,I
.
:Co
nt
e
nt a
nd
3)Bo
s
wo
r
t
h,K.a
本研究では,薬物乱用防止教育の内容や方法
t
e
a
c
hi
ngs
t
r
a
t
e
gi
e
si
n1
0s
e
l
e
c
t
eddr
uga
bus
e
を検討す る上で,青少年の規範意識が実際の薬
物乱用 とどのような関係 をもつのか, またそれ
pr
e
ve
nt
i
o
nc
ur
r
i
c
ul
a
,J
o
ur
na
lo
fSc
ho
o
lHe
a
l
t
h,
6
3
,2
4
7
-2
5
3
,1
9
9
3
は喫煙,飲酒 とはどの ように異 なるのかを明 ら
ndFa
l
c
o
,M.
:El
e
ve
nc
o
mpo
4)Dus
e
nbur
y,L.a
かにす るため,中学生 2年生お よび高校生 2年
ne
nt
so
fe
f
f
e
c
t
i
vedr
uga
bus
epr
e
ve
nt
i
o
nc
ur
r
i
c
-
生 を対象 に質問紙調査 を行 った.
ul
a
,6
5
,
42
0
42
5
,1
9
9
5
その結果,一般的な規範意識得点 と喫煙,飲
5)法務総合研究所 :諸外国における薬物犯罪 と
酒,薬物乱用の経験お よび将来予測 との間に関
その取締 りの現状,平成 7年版犯罪自書一薬物
連がみ られた.すなわち,経験 との関連では,
喫煙,飲酒, シンナー使用の経験がない群で規
犯罪の現状 と対策-,3
5
7
-3
9
4,大蔵省印刷局,
1
9
9
5
範意識得点が高 く,行動の将来予測 において も
l
,∫
.a
nd
6)He
ws
t
o
ne
,M.
,St
r
o
e
be
,W.
,Co
do
「
使用 しない」 とす る回答群で規範意識得点が
St
e
phe
ns
o
n,M.(
e
d)
:I
nt
r
oduc
t
i
ont
os
o
c
i
a
lps
y-
高かった.
c
ho
l
ogy:aEur
o
pe
a
npe
r
s
pe
c
t
i
ve
,Ba
s
i
lBl
a
c
we
l
l
.
また喫煙 ・飲酒 ・薬物乱用 に関する規範意識
Lo
ndo
n,1
9
8
8,末永俊郎,安藤清志 (
監訳),社
との関連では,飲酒 ・喫煙 のいずれ も経験 して
会心理学概論- ヨーロピアン ・パースペクティ
いない群 において規範意識が高かった.逆 に,
ブ- 2,1
6
5
11
7
0,誠信書房,東京,1
9
9
5
.
喫煙 と飲酒の両方 とも経験お よび喫煙のみの経
7)Ha
ns
e
n,WB.& Gr
a
ha
m,I
.
W.
:Pr
e
ve
nt
i
nga
ト
験 している群 は,薬物乱用 に関する規範意識が
c
oho
l
,ma
r
i
j
ua
na
,a
ndc
i
ga
r
e
t
t
eus
ea
mo
ngado
-
最 も低かった.中 2と高 2を比較 した場合,高
1
e
s
c
e
nt
s
:pe
e
rpr
e
s
s
ur
er
e
s
i
s
t
a
nc
et
r
a
i
ni
ngVe
r
-
2では薬物乱用 に関す る規範意識が高 く,逆 に
s
use
s
t
a
bl
i
s
hi
ngc
o
ns
e
r
va
t
i
veno
r
ms
,
Pr
e
ve
nt
i
ve
喫煙や飲酒に関す る規範意識では中 2の方が高
Medi
c
i
ne
.2
0
,
41
4
-4
3
0
,1
9
9
1
かった.
以上の結果か ら,薬物乱用 と規範意識 との間
8)J
e
s
s
o
r
,R.
,Cha
s
e
,∫
.
A.
,Do
nova
n,J
.
EJPs
yc
ho
s
o
c
i
a
lc
o
r
r
e
l
a
t
e
so
fma
r
i
j
ua
naus
ea
ndpr
o
bl
e
m
に関連があることが明 らかにな り,規範 に関す
dr
i
nki
ng i
n ana
t
i
o
na
ls
a
mpl
eo
fa
do
l
e
s
c
e
nt
s
,
る教育が今後の薬物乱用防止教育の重要 な教育
Ame
r
i
c
a
nJ
o
ur
na
lo
fPubl
i
cHea
lt
h,7
0
,6
0
4
-61
3
,
4
9
市村ほか :中 ・高校生の薬物乱用 ・喫煙 ・飲酒行動と規範意識
1
9
8
0
1
6
)呉鶴,山崎喜比古 ,川 田智恵子 :日本 にお け
9)総務庁青少年対 策本部 :青少年 の薬物認識 と
る青少年の薬物使用 の実態 お よびその説明モデ
非行 に関する研究調査 ,1
9
9
8
1
0
)久世敏雄,和 田実,鄭 暁斉 ほか :現代青年の
1
9
9
8
規範意識 と私生活主義 につ いて,名古屋大学教
5:8
7
0
8
8
2
,
ル の検 証, 日本 公 衆 衛 生 雑 誌 ,4
1
7)Do
no
va
n,
J
且,
J
e
s
s
o
r
,
R.a
ndCo
s
t
a
,
F.
M.
:Ad
o
-
育学部紀要一教育心理学- ,3
5
,2
1
2
8
,1
9
8
8
l
e
s
c
e
ntHe
a
l
t
hBe
ha
vi
o
ra
ndCo
n
ve
nt
i
o
na
l
i
t
y
-
l
l
) 薬物依存 ・中毒者 の疫学調査お よび精神 医療
Unc
o
nve
nt
i
o
na
li
t
y:AnExt
e
ns
i
o
no
fPr
o
b
l
e
m-
サー ビスに関す る研 究班 :中学生 にお ける 「シ
gy
,1
0
,5
2
6
1
,
Be
ha
vi
o
rThe
o
r
y,He
a
l
t
hPs
yc
ho
l
o
1
9
9
1
.
ンナー遊 び」・喫煙 ・飲酒 につ いての調査研究,
平成 8年度厚生科学研究費補助金,1
9
9
7
1
2
)尾崎 米厚,箕輪 最澄,鈴 木健 二,和 田清 :中
高生 の飲 酒行動 に関す る全 国調査, 日本公衆衛
生雑誌 ,4
6:8
8
3
8
9
3
,1
9
9
9
1
3
)尾崎米厚,箕輪 其澄 :わが 国の中 ・高校生 の
喫煙 実態 に関す る全 国調査 (
第 1報)中 ・高校
0:3
9
4
8
,
生 の喫 煙 率, 日本 公 衆 衛 生 雑 誌 ,4
1
9
9
3
1
4
)総務庁行政監察局 :薬物乱用 問題 に関す るア
ンケー ト調査,1
9
9
8
1
5
)文部省体育局学校健康教育課 :児童生徒 の覚
せ い剤等 の薬物 に対す る意識等調査報告書,文
部省 ,1
9
9
7
.
1
8
)Ne
wc
o
mb,M.
D.
,Be
nt
l
e
r
,P.
M.
:Sub
s
t
a
nc
eu
s
e
a
nd a
bus
ea
mo
ng c
h
i
l
d
r
e
na
nd t
e
e
na
g
e
r
s
.
Ame
r
i
c
a
nPs
yc
ho
l
o
gi
s
t
,
4
4
,
2
4
2
2
4
8
,
1
9
8
9
1
9
)総務庁青少年対策本部 :青少年 の規範意識形
成要因に関す る調査研究,1
9
9
3
2
0
)法務省法務総合研 究所 :平成10年版犯罪 自書,
大蔵省印刷局,東京 ,1
9
9
8
2
1
)総務庁青少年対策本部 :規範意識 と非行 の深
9
8
9
化 との関係 についての調査研究,1
0
0.1
0.3
1 受理 01. 3. 9)
連絡先 :〒3
1
0
-8
5
8
5 水戸市見和 143
0
-1
常磐短期大学 (
市村)
(
受付
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
01;5
0-6
0
報 告
吉
薬物乱用 防止 システムに関す る国際比較研 究
第 1報 イギ リス における青少年 の薬物乱用 の実態
お よび総合 防止対 策 につ いて
本
佐雅子 *
1
,鬼
和 田
頭 英 明*
2
,石 川 哲 也*
3
,川 畑 徹
晴*
4
,西 岡 伸 紀 *5,勝 野 最 吾 *5
鳴門教育大学
*1
2
文部省
串
3神戸大学
*
朗 *3
生活健康系教育講座
体育局
学校健康教育課
発達科学部
人 間発達科学科
*
4
国立精神 ・神経セ ンター精神保健研究所薬物依存研究部
5兵庫教育大学
*
生活健康系教育講座
Cr
o
s
s
na
t
i
o
na
lSt
udyo
nDr
ugAbus
ePr
e
ve
nt
i
o
nSys
t
e
m
(
1
) Tr
e
nd
so
fDr
ugMi
s
us
ea
ndNa
t
i
o
na
lDr
ugCo
nt
r
o
l
St
r
a
t
e
gyi
nBr
i
t
a
i
n
Sa
c
h
i
k
oYo
s
h
i
mot
o*1 Hi
d
e
a
kiKi
t
o2 Te
t
s
uyal
s
hi
ka
wa*3 Te
t
s
ur
oKa
wa
ba
t
a串3
Ki
yo
s
hiWa
da*4 No
bukiNi
s
hi
o
ka5 a
ndShi
ngoKa
t
s
uno
*
*
串5
"De
par
t
me
nto
fHe
al
t
hSc
i
e
nc
e
s
,Nar
L
i
t
OUni
v
e
T
・
S
i
yo
t
fEdu
c
at
i
o
n
*
2Di
v
i
s
i
ono
fSc
hoolHe
al
t
hEdu
c
at
l
'
on,Ph
y
s
T
'
c
alEdu
c
a
t
i
o
na
n
dS
por
tBur
e
au
,Monb
u
s
y
o
*3
De
par
t
me
nto
fHe
al
t
hPr
omot
i
on,Fac
u
l
yo
t
fHu
me
nDe
v
e
l
o
pme
nt
,Kob
eUl
u
'
v
e
r
s
i
y
t
*
4Di
v
i
s
t
'
ono
fDni
gDe
pe
nde
nc
eRe
s
e
ar
c
h,Nat
i
onalI
ns
t
i
t
ut
eo
fMe
nt
alHe
al
t
h
,Nat
i
on
alCe
nt
e
ro
fNe
ur
ol
o
g
ya
n
dPs
y
c
h
E
'
ai
T
y
5 De
l
Wf
me
ntO
fHe
al
t
hSc
i
e
nc
e
s
,Hy
o
goUl
u
v
e
r
s
i
yo
t
fTe
ac
he
rEdu
c
at
i
on
*
Asapa
r
to
fc
r
o
s
s
na
t
i
o
na
ls
t
udyo
ndr
uga
bus
epr
e
ve
nt
i
o
ns
ys
t
e
m,Weha
di
nve
s
t
i
ga
t
e
d
t
hef
a
c
to
fdr
ugmi
s
us
ea
nds
t
r
a
t
e
gyf
o
rt
a
c
kl
i
ngdr
ugmi
s
us
ea
mo
ngyo
ungpe
o
pl
ei
nBr
i
t
a
i
na
ndr
e
vi
e
we
dt
het
r
e
ndso
fdr
ugmi
s
us
ea
ndna
t
i
o
na
ld
r
ugc
o
nt
r
o
ls
t
r
a
t
e
gy.
Thef
a
c
t
sa
ndt
her
i
s
kf
a
c
t
o
r
so
fdr
ugmi
s
us
ea
mo
ngyo
ungpe
o
pl
e
,whi
c
hha
dbe
e
n
s
ho
wnbyt
hel
a
r
gepo
pul
a
t
i
o
ns
ur
ve
ys(
ma
i
nl
yf
r
om 1
9
9
4t
o1
9
9
8)a
r
ea
sf
o
l
l
o
ws
:
pr
〟g∫e
xpe
r
i
me
nt
a
t
i
o
n wa
ss
t
i
l
ls
pr
e
a
di
ng a
mo
ngt
heEngl
i
s
h po
pul
a
t
i
o
n,pa
r
t
i
c
ul
a
r
l
y
a
mo
ngt
heyo
ung(
unde
r2
5ye
a
r
s
)a
s3
4% o
fl
lt
o1
5ye
a
r
s
-o
l
dsa
nd5
5
%o
f2
0t
o2
4ye
a
r
s
o
l
dsha
vet
r
i
e
di
l
l
e
ga
ldr
ugs
.Thef
i
r
s
tdr
ugus
ewa
sbe
c
o
i ngyo
m
unge
ra
nds
c
ho
o
lc
hi
l
dr
e
n
we
r
el
i
ke
l
yt
os
t
a
r
tus
i
nga
r
o
undt
hea
geo
f1
3o
r1
5ye
a
r
so
fa
ge
,
i
npa
r
t
i
c
ul
a
r
,a
mo
nggi
r
l
s
.
Ca
nna
bi
swa
se
a
s
i
l
yt
hemo
s
tc
o
mmo
nl
y-us
e
ddr
uga
mo
ngyo
ungpe
o
pl
e
.Thene
xtmo
s
t
wi
de
l
yus
e
ds
e
to
fdr
ugs
a
mphe
t
a
mi
ne
s
,po
ppe
r
s
,LSDa
nde
c
s
t
a
s
y,a
st
ho
s
edr
ugsi
nc
l
udi
ngma
gi
cmus
hr
o
o
ma
r
ec
a
l
l
e
d"
Da
nc
edr
ugs
"
.Fo
ryo
n gpe
u
o
pl
e
,t
he
r
ewe
r
es
t
r
o
ngl
i
nks
be
t
we
e
ndr
ugspr
o
bl
e
ma
nd,s
o
c
i
o
-e
c
o
no
mi
ca
ndl
i
f
e
s
t
yl
eva
r
i
a
bl
e
s(
f
r
o
mt
hepo
o
r
e
s
ta
nd
r
i
c
he
s
tho
us
e
ho
l
ds
,une
mpl
o
yme
nt
,
o
ut
-o
トho
mel
e
i
s
ur
ea
svi
s
i
t
i
ngt
oac
l
ubo
rpub,
s
mo
ki
ng,
dr
nki
i
ng)
.Thef
a
c
to
fdr
ugm
is
us
ebyyo
ungpe
o
pl
er
e
i
nf
o
r
c
e
st
hei
mpo
r
t
a
nc
ef
o
rs
c
ho
o
lo
f
ke
e
pi
nga
ppr
o
a
c
he
st
odr
uge
duc
a
t
i
o
n.
I
n1
9
9
8
,t
hego
ve
r
nme
ntl
a
unc
he
di
t
st
e
n
-ye
a
rs
t
r
a
t
e
gy,Ta
c
kl
i
ngDr
ugst
oBui
l
daBe
t
t
e
r
5
1
吉本ほか :薬物乱用防止 システムに関する国際比較研究
Br
i
t
a
i
n,bui
l
di
ngo
nt
hepr
e
io
v
usg
ov
e
r
nme
nt
'
ss
t
r
a
t
e
gyTa
c
kl
i
ngDr
ugsTo
ge
t
he
r(
1
9
9
5
)
.
Thene
ws
t
r
a
t
e
gyma
i
nt
a
i
nst
hec
o
mmi
t
me
ntt
oc
o
o
r
di
na
t
i
o
no
fl
o
c
a
ls
t
r
a
t
e
g
i
e
sbyDr
ugAc
t
i
o
nTe
a
ms
,C
o
mmi
t
st
hego
ve
r
nme
ntt
ot
het
a
s
ko
fe
xa
mi
ni
ngbe
s
tpr
a
c
t
i
c
ei
na
l
la
r
e
a
so
f
t
hedr
ugs
t
r
a
t
e
gy.Thes
t
r
a
t
e
gyha
df
o
ure
l
e
me
nt
sf
o
ryo
ungpe
o
pl
e
,c
o
mmuni
t
i
e
s
,t
r
e
a
t
me
nta
nda
va
i1
a
bi
ht
y.Thes
t
r
a
t
e
gyf
o
rt
hemo
s
ti
mpo
r
t
a
nte
l
e
me
nt
,"
Yo
ungpe
o
pl
e
"
,ha
vea
ke
yo
b
j
e
c
tt
ohe
l
pyo
ungpe
o
pl
er
e
s
i
s
tdr
ugmi
s
us
ei
no
r
de
rt
oa
c
hi
e
vet
he
i
rf
ul
lpo
t
e
nt
i
a
li
n
s
o
c
i
e
t
ya
ndapr
o
gr
a
mmeo
fa
c
t
i
o
ni
nc
l
ud
i
nge
duc
a
t
i
o
nf
o
rs
c
ho
o
l
.
Ke
ywo
r
ds:dr
ugmi
s
us
e
,br
i
t
a
i
n,a
do
l
e
s
c
e
nt
s
,dr
ugc
o
nt
r
o
ls
t
r
a
t
e
gy
薬物乱用,イギ リス,青少年,薬物対策
緒
言
(
Cr
o
s
s
-na
t
i
o
na
lSt
udy,Cr
o
s
s
c
ul
t
ur
a
lSt
udy)
は有効な手法のひとつ となる.著者 らは1
9
9
2
年
今 日,薬物乱用の拡大, ことに若年層 と女性
より薬物乱用防止に関する総合対策および学校
への浸透は世界各国に共通 してみ られ,現代社
における薬物乱用防止教育に関する国際比較研
会における最 も深刻な健康問題お よび社会問題
究を行 っている.イギ リスは欧州諸国のなかで
となっている.欧米では青少年の薬物乱用の生
も国をあげて総合的薬物乱用防止対策を進めて
涯経験者率 (
一度で も薬物乱用 を経験 した者の
いる国であ り,著者 らの主な研究対象国のひと
出現率)は,アメリカで5
7.
5
%,オース トラリ
つである.本報ではイギ リスにおける青少年の
アで5
2
%,イギ リスでは4
9
% と極めて高率であ
薬物乱用の実態お よび総合防止対策について報
る卜 3).わが国 も平成 7年度以降覚せ い剤 乱用
告する.
が急増 して現在第 3次覚せい剤乱用期 にあるが,
わが国で も薬物乱用の若年化 と女性への浸透が
著 しい4
)
.薬物乱用 に対 しては薬物依存 の特性
資料と方法
イギ リスでは薬物乱用の実態を把接 し,それ
か ら,薬物 に手 を染めることその ものを防止 し
をベースにして総合 防止対策がたてられている.
ようとする第一次予防が最 も本質的な防止策で
薬物乱用防止のための国家的戦略作成を目的 と
ある.この観点か ら,薬物乱用の きっかけが起
した定期的な実態調査は1
9
9
0
年代 に本格的に開
こることが多 く,また発育 ・発達過程にあるた
始 された.本研究では1
9
9
2
年か ら2
0
0
0
年にかけ
め薬物の有害な影響が深刻な形で現れる青少年
ての 8年間に,イギリス薬物依存研究所 (
I
SDD;
に対 しての教育 を通 じた働 きかけ-薬物乱用防
I
ns
t
i
t
ut
ef
o
rt
heSt
udyo
fDr
ugDe
pe
nde
nc
e
),
イギ リス教育 ・雇用省 (
De
pa
r
t
me
nto
fEduc
a
t
i
o
na
ndEmpl
o
yme
nt
) を中心 とする薬物乱用
止教育-が,世界のいずれの国においても薬物
乱用防止対策の中心に位置づけ られている.
薬物乱用は全地球規模の社会現象であるが,
防止関連機関を訪問 し,担当者に対するインタ
それぞれの国,社会の持つ歴史,文化,地理的
ビューを行 うとともに,薬物乱用の実態調査お
環境 により複雑 な影響 を受けるため多様な流行
よび総合防止対策に関する資料収集を行った.
パ ター ンを持つ ことが特徴である.このため各
収集資料は経年的に整理 し,イギ リスにおける
国の薬物乱用防止対策は様々であ り,学校の薬
薬物乱用防止の現状 を青少年を中心にまとめる
物乱用防止教育の位置づけ,内容,実施方法な
とともに,総合 防止対策の戦略を分析 した.
ども異なる点が多い. このような特性 を持つ薬
本報では以下の調査報告 を主な資料 とした.
物乱用防止教育において,実行可能で有効 なプ
(
1
) Br
i
t
i
s
hCr
i
meSur
ve
y(
BCS)報告5 7) :
BCSは薬物乱用 の実態 を把捉す るため に
ログラム を構築す るためには,国際比較研 究
5
2
学校保健研究 J
pf
lJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
表 l イギリスの1
6
-2
9
歳および1
6
-5
9
歳の年齢
Ho
me Of
f
i
c
e(
内務省)が実施 した全国的
層における薬物乱用者の出現率
(
%)
l
a
ndとWa
l
e
s
の1
6
歳
疫学調査 で あ る.Eng
9歳,約 1万人の抽出サ ンプルを対象
か ら5
1
9
9
4
年
1
9
9
6
年
1
9
9
8
年
とし,1
9
9
4年か ら隔年で世帯調査 (
Ho
us
e
1
6
- 1
6
- 1
6
- 1
6
- 1
6
- 1
6
Ho
l
dSur
ve
y) として実施 されている.
2
9
歳 5
9
歳 2
9
歳 5
9
歳 2
9
歳 5
9
歳
(
2
) Of
f
i
c
ef
o
rNa
t
i
o
na
lSt
a
t
i
s
t
i
c
s(
ONS) に
生涯経験者率 43
よる児童 ・生徒 調査 報 告8
・
9
):ONSの調査
最近1年間経験者率 2
3
は1
1
歳か ら1
5
歳 の児童 ・生徒 約5
,
000人 を
最近1
ケ月巻線 者率 1
4
対象にして1
9
9
8年実施 された.喫煙,飲酒,
(
BCSの1
9
9
4,1
9
9
6
,1
9
9
8
年の調査結果から作表)
薬物乱用に関す る調査である.
(
3
) イギ リスにおける喫煙の動向1
0
):oNSに
よりまとめ られた1
9
7
6年か ら1
9
9
6
年 までの
6歳以上 ,ONSの調
ある.調査 の性質上BCSは1
喫煙 に関する統計調査結果の報告である.
査は1
1
歳か ら1
5歳の学齢期の児童 ・生徒 を対象
としている.
(
4
) イギリスにおける飲酒の動向1
1
):ONSに
よりまとめ られた1
9
76年以降の飲酒に関す
99
4年 か ら1
9
9
8年57
)
の結 果 を
表 1はBCSの1
1
6
-2
9歳 と1
6
-5
9
歳の年齢層別に分けて示 した
る統計調査結果である.
(
5
) Ta
c
kl
i
ngDr
ugst
oBui
l
daBe
t
t
e
rBr
i
t
in:TheGo
a
ve
r
nme
nt
'
sTe
nYe
a
rSt
r
a
L
e
gyf
o
rTa
c
kl
i
ngDr
ugsMi
s
us
el
2
':1
9
9
8年
4月に発表 された薬物乱用防止1
0カ年戦略
についての白書である.
王.イギリスにおける薬物乱用の実態
1.薬物乱用の動向
ものである.まず,1
9
9
8
年の現状 をみると,1
6
これまで
-5
9歳の全年齢層では生涯経験者率 (
一度で も薬物乱用 を経験 した者 の出現率)は
3
2%,最近 1年経験者率 (
最近 1年間に薬物乱
用を行った者の出現率)は1
1
%,そ して最近 1
ケ月経験者率 (
最近 1カ月間に薬物乱用 を行っ
た者の出現率)は 6%である.なお,依存性薬
物乱用の場合,最近 1年経験者率は 「
現在乱用
を行 っている者の割合」,最近 1ケ月経験者率
違法行為である薬物乱用の実態 を知ることは
は 「
常習的に乱用 を行っている者の割合」 を示
極めて難 しい.このため各国は様々な手法を用
す指標 になると考えられている.薬物乱用は若
いてその実態把按に努めているが,多 く用い ら
年層で著 しく,1
6
-2
9
歳の年齢層に限ってみる
れているのは(
1
)
個人を対象 とした質問紙法によ
と,生涯経験者率は4
9% となる.イギ リスでは
る疫学調査 ,(
2)
違法薬物の押収量および件数,
この年齢層の国民の約半数,約500万人が薬物
(
3)
薬物関連法規違反検挙者数 ,(
4)
薬物依存者の
乱用 を経験 していることになる.そ して最近 1
治療に関する実態調査である.イギリスにおい
ケ月経験者率 をあわせて考 える と,その1
/3は
て も基本的にこの 4種類の方法で薬物乱用の実
常習的に乱用 を続けている者である.1
9
9
4年か
態把握が試み られている.最初にこれ ら 4つ指
ら1
9
9
8年にかけての推移をみると,1
6
-2
9
歳の
標で捉 えられたイギ リスの薬物乱用の動向をな
がめてみる.
経験者率,最近 1ケ月経験者率のいずれの指標
1)疫学調査による薬物乱用の実態
イギリスでは薬物乱用 に関す る種々の疫学調
ud
yDe
s
i
gnの
査が行 われてい るが,明確 なSt
もとに経年的に全国規模で実施 されている調査
i
t
i
s
hCr
i
meSur
ve
y(
BCS)と
は内務省 によるBr
ONS)による児童 ・生徒 の調査報告 で
統計局 (
年齢層での薬物乱用者は生涯経験率,最近 1年
でみて も,緩やかではあるが増加傾向にある.
2)違法薬物の押収量および件数
1
99
7
年,警察お よび税関による違法薬物の押
収件 数1
3
)
は1
3
9,
1
7
4
件 に上 り,前年 よ り1
4%増
加 した.その うち2
4,
71
8
件がクラスAの薬物 (
コ
カイ ン,クラ ック,ヘ ロイ ン,LS
D,MDMA;
5
3
吉本ほか :薬物乱用防止システムに関する国際比較研究
Ec
s
t
a
s
y,
Me
t
hadone
,
Mor
phi
ne),
11
9,
491
件が ク
覚 せ い 剤 ;Amphe
t
a
mi
ne,大
ラ スBの 薬 物 (
6
3
0
件が ク
蘇 ;大麻草,大麻樹脂等 を含 む),2,
ラスCの薬物 (
その他 の違法薬物)である.覚
せ い剤 の押収件数 は1
8,
5
7
5
件,押収量 は3
.
3ト
ンにな り,1
9
9
5年の押収量の 3倍以上 に増加 し
た. このイギ リスの覚せい剤 の押収量 は世界の
5
%にあた り,1
9
96
年 ,1
99
7年で
総押収量の約2
この登録 システムではヘ ロイン乱用者が最 も
9
9
5年 で は全 登 録者2
/3 (
2
4,
5
3
0人)で
多 く,1
ある.Me
t
hado
ne (
ヘ ロイン類似の合成麻薬)
乱用者 は1
6,
65
4人 (
47
%)である. また, コカ
イ ン依存 者 は3
,
35
7人で前年 よ り8%増加 した
0%未満である.静脈注射 によ
が登録者全体の1
1
9
8
8年6
8%,
る薬物乱用 は減少 しつつあるが (
1
9
95
年51
%), この方法で薬物 を乱用 した者 の
は世界で第一位 の座 を占めている14).ヘ ロイ ン
半数以上が依然 として静脈注射 を用いて薬物乱
の押収量 も増加 してお り,前年の約 2倍 となっ
用 を行 っている.
た.大 麻 押 収 件 数 は1
06,
75
3件 で,押 収 量 は
以上の ように,薬物乱用 に関する各種の指標
1
9
9
5年 の約 3倍 の1
5
0トン に上 っ た.MDMA;
は,イギ リスでは薬物乱用が社会の広い範囲に
Ec
s
t
a
s
yの押収量 は1
9
9
6年前 まで は増加 す る傾
9
97年 には前年度 の約 1
/3まで
向が あったが ,1
減少 した. また,L
S
Dの押収量 も前年 の約3/4
9
歳以下の青少
及んでいること,特 に,近年の2
示 している.
に減少 した.
2.青少年 における薬物乱用の実態
3)薬物事犯
1
9
9
5
年 に検 挙 され た薬 物 事 犯 の 総 数 は
年における薬物汚染が深刻 な状況にあることを
薬物乱用の若年化 は世界的な傾向であるが,
イギ リスにおいて も違法薬物の乱用 は若年層 に
1
1
3,
0
0
0人であ り,その5
7% を2
4歳以下 の青少
高頻度にみ られる.そこでBCSお よびCNSの調
年が 占める13
)
. また,検挙者の9
0%が男性 であ
査結果 をもとに, イギ リスの青少年 における薬
る.検挙者の うち約半数 に警告 ,2
2
% に罰金,
物乱用の実態 について さらに詳 しく触れる.
9% に収監刑が下 された.平均収監期 間は2
2.
9
月である.この1
99
7
年の薬物事犯数は1
991
年の
1)薬物乱用者の性,年齢分布
.
5
倍 に当たる.薬物事犯 の大 部分 (
7
8%)
約2
も新 しい調査結果 を性別 , 4区分の年齢層別に
は大麻 に関連す るものである. 1
99
7年の薬物の
1
-1
5
歳の結果は
示 した ものである.それぞれ1
ONS8,9),1
6
-5
9
歳 の結 果 はBCS
7
)
か ら引用 した.
薬物乱用者の出現率 は,全体 としてみると1
6
-1
9歳 ,2
0
-2
4歳の年層で高い.両年齢層の男
6
-2
4歳 についてみると生涯経験者
女 を併せた1
2%,最近 1年間経験者率は2
9
%,最近 l
率は5
密輸 に関す る犯罪は1
7,
6
0
4件であ り,1
991
年度
の約 3倍 に上った.
4)薬物依存者の治療 に関す る実態調査
イギ リスでは内務省 によって薬物依存者の登
録が行われている.登録 されているいるのは逮
表 2は1
9
9
8年 に実 施 され たBCSとONSの 最
捕 された り,医療機関で治療 を受けている者な
7,
1
6
4人が登録 されてお り,前年 に くらべ
点で3
表 2 イギ リスにおける薬物乱用者の性別 ・年齢
層別の出現率 (
%)
て 9%増加 したユ5).登 録 され た薬 物 依 存 者 の
1
1
1
1
5
歳1
6
1
9
歳2
0
2
4
歳2
5
2
9
歳3
0
5
9
歳
40% (
1
4,
7
3
5人)が新規登録者であ り,新規登
男 女 男 女 男 女 男 女 男 女
子 子 子 子 子 子 子 子 子 子
9
9
5年の時
どで薬物依存者の一部ではあるが ,1
録者の割合はこの数年ほぼ一定である. また,
21
歳未満の登録 された薬物依存者 は1
991
年か ら
1
9
95
年の間で 8%か ら1
1
% に増加 した,1
99
5
年
に新規 に登録 された薬物依存者の うち21
歳未満
0% に上 り,1
9
91
年の1
4% に くらべて増
の者 は2
加 した.
生涯経験者率 3
63
25
54
26
44
85
63
63
02
1
最近1
年間経験者率 1
21
03
52
73
72
22
9l
l 7 4
最近1
ケ月問経験者率 7 62
51
92
41
21
7 6 4 2
(
l
l
-1
5
歳の結果 はONSの1
9
9
8
調査か ら,1
6
-5
9
歳の結果はBCSの1
9
9
8
調査から作表)
5
4
学校保健研究
カ月経験者率は1
9
%である. この結果か ら,1
6
-2
4歳の年齢層の青少年では一度で も乱用 を経
験 した者のうち約5
5
%の者は現在 も乱用 してお
J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
は年齢層によって異な り,年齢が低い程,女性
の薬物乱用者の比率が高 くなる傾向がある.例
えば生涯経験率についてみると,男女比は2
5
.
6(
5
6% :3
6%),
2
0
-2
4歳で1
.
3(
6
4% :
2
9歳で1
歳 で1
.
3(
55
% :42
%),1
1
…1
5
48%),1
6
-1
9
1(
3
6% :3
2%)である.この傾向は最近
出現率は全体 として1
6
-2
4歳 よ り低い. しか し, 歳で1.
1年間お よび最近 1カ月経験者率において も認
この年齢層 を詳 しく見ると,生涯経験者率は1
1
め られる.
歳1
5
%,1
2
歳1
9%,1
3歳3
0%,1
4歳4
4%,1
5歳
2)乱用 される薬物
61
%であ り,1
3か ら1
5
歳にかけて薬物乱用者出
イギ リスにおいて もハ シ ッシュを含 む大麻
現率が急激に上昇する. この結果は薬物乱用の
7%が常習的に乱用 していると推定で き
り,約3
1
-1
5
歳の年齢層では薬物乱用者
る. より若い1
開始が1
3-1
5
歳に起 こ りやすいことを示 してい
る.
さらに,薬物乱用の開始年齢の若年化 に関 し
99
5
年に健康
ては次の ような調査報告がある.1
(
ca
nnabi
s
,マ リフ ァナ)が最 も多 く乱用 さ
れる薬物であ り,乱用 される薬物の8
0%以上を
占めている. しか も大麻乱用者の4
0
% は同時に
他の薬物 も乱用する多剤乱用者である.
表 3は1
1
-1
5歳 ,1
6
-2
4歳,1
6
-5
9
歳の年齢
He
a
l
t
hEduc
a
t
i
o
nAu也o
r
i
t
y;HEA)
教育委員会 (
が実施 した調査1
6
)
では1
2
-1
3
歳の 9%が薬物乱
層における薬物乱用者出現率を乱用 される薬物
用 を経験 したと答えてお り,乱用経験は年齢が
の種類別に示 したものである.いずれの年齢層
上がるに したがって上昇 し,1
4
-1
5歳では3
00
/
0,
1
5
-1
6
歳では3
70
/
Oに達 している. これ らのデー
においても,何 らかの違法薬物 を乱用 した者の
タも近年 の薬物乱用 の若年化 を示 してお り,
た.1
6か ら59
歳 までを合わせた年齢層でみると,
1
9
9
5
年 の1
2
-1
3歳 の薬物 乱 用 経験 率 は 8年前
(
1
9
87
年) 1
5
-1
6
歳の薬物乱用経験率 とほぼ等
しい.
イギ リス人の2
5
0
/
O
が大麻 を一度は乱用 した経験
大麻 を乱用 していたことになる.この結果は一
次に性差についてみると,いずれの年齢層に
度で も大麻乱用 を経験 した者の3
6
%が現在で も
おいて も男性の薬物乱用者出現率は女性 より高
大麻乱用 を続けていることを示 している.1
6
-
うち約8
0%が大麻 (
Canna
bi
s
) を乱用 して い
を持 ち (
生涯経験者率), 9%が この 1年 間に
0% にな り,
2
4歳の若年層に限ると,この億は約6
い.また,一度で も薬物 を乱用 した者の うち常
結局1
6
-2
4歳の大麻乱用経験者の約半数は現在
習的な乱用に移行 している者の割合 (
最近1ケ
月経験者/生涯経験者) は男子では2
1
%であ り, で も大麻乱用 を続けているという現状が明 らか
にされた. また,l
女子の1
5
% より高い.薬物乱用 にみ られる性差
l
-1
5
歳の義務教育年限にあ
表 3 イギリスの1
1
-5
9
歳の薬物種類別の乱用者の出現率 (
%)
1
1
-1
5
歳
1
6
-2
4
歳
1
6
-5
9
歳
(
l
l
-1
5
歳の結果はONSの1
9
9
8
調査から,1
6
-5
9
歳の結果はBCSの1
9
9
8
調査から作表)
931111日
1
リ
51
075542
2
3
7J0
り
l53459
り]
42
11
71
21
15
2
4
11
違法薬物のいづれか一つ以上
0
1211 111
1
L
Ca
nna
b
i
s
Amph
e
t
a
mi
ne
Po
ppe
r
s
LSD
Ma
gi
cMu
s
hr
o
o
m
Ec
s
t
a
s
y
6766664
2
3
生涯経験者率 最近1
年間経験者率 生涯経験者率 最近1
年間経験者畢 生荘経験者率 最近1
年間経験者率
55
吉本ほか :薬物乱用防止 システムに関する国際比較研究
る生徒 で もその2
6
%が大麻の乱用 を経験 してい
る.
が一過的に乱用 を経験す る薬物 という感覚で捉
れているが,これ らの最近の調査デー タを過去
え られてい る. 1
9
9
4年 のBCSの調査5)で は1
6
1
9
歳の 2%が過去 1年の問に有機溶剤乱用 を経
験 しているが,2
5
-4
4
歳では現在有機溶剤 を乱
の もの と比べ ると社会階層や生活状況 に関係 な
用 している者はいない とい う結果が得 られてい
同様の結果は1
9
9
5
年のHEAの調査1
6
)
で もみ ら
0%以上増加 して
く,大麻乱用 はこの数年間で5
る.有機溶剤の生涯乱用経験者の割合 は1
6
-1
9
お り,現在 のイギ リスでは1
1
-2
4
歳のすべての
歳の女子 8%,男子 6%であった. また,いわ
若者が大麻乱用の危険にさらされていると言 っ
ゆる 「
Ha
r
dDr
ug」と呼ばれるコカイン,クラッ
て も過言ではない状況にある.
ク,ヘ ロイ ンの乱用 は上記の薬物 に比べて少な
上記の ように,イギ リスでは乱用 される薬物
く,いずれ も生涯経験者率は約 1
% (
1
6
-5
9
歳)
0
年 間で最 も注
の大半 を大麻が 占めるが, この 1
程度である.多 くの調査 はヘ ロイン乱用がほぼ
意 を要す る変化 は,いわゆるダンス ドラッグと
頭打 ちにな ってい るの に対 して コカイ ン,ク
t
a
mi
ne(
覚せい剤),LSD,Ec
呼ばれるAmphe
s
t
a
s
y (
MDMA)などの薬物の乱用が若者 を中
ラック乱用 は増加傾向にあることを示 している.
心 に急激 に広がったことである. これ らの薬物
「
Ha
r
dDr
ug」乱用 も若年層で高率である傾向
がみ られる. 1
6
-5
9
歳全体では 1%がヘ ロイン
の乱用 は1
6
-2
4歳の年齢層 に集 中 していること
を, 1%が クラックを, 4%が コカインを乱用
が大 きな特徴である.表 3に示す ようにこの年
してい るの に くらべ ,ll-1
5
歳 の年齢層 で は
t
a
mi
ne (
覚せ い
齢層 の乱用経験 者率 はAmphe
4%がヘ ロイ ンを, 3%が クラックを, 6%が
刺)2
1
%,LSD1
2
%,Ec
s
t
a
s
y(
MDMA)1
1
%で
コカインを乱用 している.
ある.最近 1
0
年間のこれ らの薬物の若者への浸
薬物 を乱用す る方法の うち静脈注射 による乱
透 は極 めて激 し く,乱用 者 はAmphe
t
a
mi
neで
5
-1
6
歳 を対象 とした調査では男
用 は少 ない.1
約 2倍 ,LSDで約 4倍 ,Ec
s
t
a
s
yで約 7倍 となっ
.
7
%,女子で0.
6
%が静脈注射 による薬物
チでO
た. ダンス ドラッグ乱用の最近の傾向で特 に注
乱用 を経験 した と答 えている.
意 を要す る点 は,いったんこれ らの薬物の どれ
かに手 を染 めると,す ぐ他 の薬物の乱用 を始め
3.薬物乱用 と社会 ・家庭環境要因および ライ
フスタイル
るとい う多剤乱用傾向が著 しい ことである.多
1)青少年 における薬物乱用の関連要因
剤 乱 用 は この 3つ の薬 物 に留 ま らず ,Ma
gi
c
幻覚 きのこ)やPo
ppe
r(
Amyl
-a
nd
mus
hr
o
o
m(
but
y1
-ni
t
r
i
t
e
)の乱用,大麻 の乱用へ も容易 に
会 ・家庭環境の要因お よびライフス タイルにつ
拡大 している.
少年 に関す る部分 をみ ると, まず,薬物乱用者
Ma
gi
cmus
hr
o
o
mとPo
ppe
r(
Amy1
-a
ndbut
yl
-ni
t
r
i
t
e
) は新 しい ダ ンス ドラ ッグ と して最 近
乱用 している者 は新興都市 に在住する者 に多い
BCS (
1
9
9
8
)
7
)
の調査では薬物乱用 に関わる社
いて分析 している. このなかか ら1
6
-2
9
歳の青
出現率 は居住地域 によって異 なる.現在薬物 を
若年層その乱用が広 まっている薬物である. こ
3
%).繁華街,人 口移
(
最近 1年 間経験者率4
れ らの薬物の乱用 に関 してはその実態が不明で
動の少ない地域,発展途上の地域 など他の地域
あ っ た が ,1
9
9
8
年 のBCS調 査 で は1
6
-2
4歳 の
の最近 1年間経験者率 は約 2
5
%でこれに くらべ
1
7
% がPo
ppe
rを,1
1
% が Ma
gi
cmus
hr
o
o
mを
乱用 してい る こ とが明 らか に され,現在 で は
ると低 い.薬物乱用 は家庭 の経済状態 とも関連
Ec
s
t
a
s
yやLSDよ りむ しろ これ らの薬物 の乱 用
所得家庭 の青少年 における薬物乱用者出現率は
が広範 に行 われてい る とい う実 態が 明 らか に
5
% と高い. しか し,3
0,
0
0
0ポ ン ド以上の高
約3
なった.
所得家庭の青少年 において も薬物乱用者出現率
有機溶剤 は, イギ リスでは学齢期の子 ども達
している.家庭 の収入 が5
,
0
0
0ポ ン ド未満の低
0
% と高率である.最 も薬物乱用者が少 な
は約3
5
6
いのは,その中間の1
0
,
0
0
0
-3
0,
0
0
0ポ ン ドの収
学校保健研究
J
p
nJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h43;2
0
0
1
2)飲酒
入がある家庭の青少年であった.全体 としてい
イギ リスでは成人の9
0
%以上が大な り小 な り
わゆる中間層の家庭の青少年が最 も薬物乱用経
飲酒 している.イギ リスの法律では 5歳未満の
験が少 ない とBCSは結論づ けている.有職,無
飲酒のみが法律で禁止 されているため学齢期の
職 は薬物乱用の背景要因 として知 られている.
児童 ・生徒 の飲 酒 その もの は違法 で はない.
イギ リスでは職に就いている青少年において も
ONSの動向報告 は 1)
,女性 の飲酒量が増加 して
その2
5
% は何 らかの薬物乱用 を経験 しているが,
い ることを最近 の問題 点 と して上 げてい る.
無職の者ではこの億 はさらに4
0% に上昇す る.
1
9
9
0
年 と1
9
9
6
年の飲酒者 (
1
6
歳以上)の飲酒量
を比較す ると男性では1
6
.
3 uni
t
/過 (
1 uni
t
純
アル コー ルの1
0
ml
の相 当)か ら1
6
.
0とむ しろ
減る傾向があるが,女性では5
.
3
か ら6
.
3と飲酒
量が増えている. また,探酒す る者 (
男性 :2
1
4
uni
t
/週以上)は男性 で
uni
t
/週以上,女性 :1
9
9
0
年 ,1
9
9
6
年両年で2
7
% と変わ らないが女
は1
1
%か ら1
4
% に増加 している.
性では1
薬物乱用 にお よぼすライフス タイルの要素 と
して婚姻状況 も検討 されている.独 身者 におけ
る最近 1年間薬物乱用者率 は3
1
%であったが,
結婚/同棲 あるいは離婚/維別 している者では約
1
7
% とむ しろ少 ない. さらに余暇の遊 びについ
て項 目,「この 1週間に夜出かけた」 「この 1カ
月に昼食 にパ ブに行 った」,「この 1カ月に夕食
にパ ブに行 った」,「この 1カ月にクラブに行 っ
た」 において, これ らの頻度が週 3回以上の者
1
9
9
6
年 には 「
AI
c
o
po
ps
」 とか 「
So
f
t
アルコー
ル飲料」 と呼ばれるアルコール飲料 (
イギ リス
はその約半数が現在薬物 を乱用 していたことが
o
c
h,Tbi
c
khe
adの名称で売 られている)
ではHo
認め られた (
週 3回以下の者では約2
0
%).BCS
8
歳未満の若年齢層 をターゲ ッ トに販売 さ
が ,1
は,独 身者の青少年,ことに職 のない青少年 は
れていることが大 きな社会問題 となった.生徒
クラブやパブへの出入 りす る機会が多 く, ダン
(
l
l
-1
5
歳) の飲酒者率 (
最近一週間以内飲酒)
9
8
8
年2
0
%か ら1
9
9
6
年で2
7
%に上 り,飲酒量
は1
.
5
倍 に増加 した. この増加傾 向はことに
も約 2
1
5
歳の女子で著 しく,1
9
9
6
年では5
5
%の者が最
ス ドラッグなどの薬物 に関わる危険が高い と指
摘 している.
青少年の飲酒や喫煙 は薬物乱用の重要 な危険
Ri
s
kFa
c
t
o
r
)である.BCS(
1
9
9
6 ) 6)の調
因子 (
近一週間以内に飲酒 していた.
査 において も飲酒 と喫煙の リスクが分析 されて
6
-2
9
歳の年齢層で飲酒 をほ とん どしな
いる. 1
(
港) イギ リスでは1
6
歳未満の未成年 にたばこ
を売ることが禁止 されている.飲酒に関 し
い群で現在薬物 を乱用 している者 は1
5
%である
ては 5歳未満の小児 にアルコールを与える
9
% とその割合が増
に対 し,飲酒 をする群では3
事が禁止 されてお り, また特別の許可な く
加す る. さらにHe
a
vyDr
i
nke
r
群では薬物乱用
飲酒 目的で酒場へ 自由に出入 りで きるよう
者出現率 は7
0
%にも上 り,危険度は 4倍以上 に
になるのは1
8
歳以上である.青少年の飲酒
6
-2
9
歳の年齢層で喫
なる.喫煙 について も,1
に関する法律 には地域差がある.例 えば北
煙 をす る群の薬物乱用者出現率 は喫煙 をしない
8
歳未満の酒場への立 ち
アイルラン ドでは1
群 に くらべて高い (
喫煙群,お よび非喫煙群の
入 りを禁止 しているが,他地域では立ち入
0
%お よび1
5
%)
.
最近 1年間経験者 はそれぞれ4
りその ものは禁止 されていない.
BCS (
1
9
9
6
)の調査か らも青少年の飲酒,咲
煙が危険度の高い ものであることが示 されたが,
3)喫煙
0
0
0
年 までの国家 目標のひと
イギ リスは西暦2
イギ リスで はONSが飲 酒,喫煙 に関 して ま と
0% まで減少 させ
つ に喫煙率 (
シガ レッ ト)を2
めているので,その資料 をもとに,イギ リスに
9
9
6
年 のONS
る こ とを挙 げて い る. しか し,1
おける青少年の飲酒,喫煙 について追加的に触
れてお きたい.
の動 向報告州では男性 の2
8%,女性 の2
7
%が喫
煙 (
シガ レッ ト)してい るこ とが明 らか にな り,
5
7
吉本ほか :薬物乱用防止 システムに関する国際比較研究
この 目標達成の困難 さが改めて浮 き彫 りにされ
た.
用い られていない.学校教育のなかで も薬物乱
用防止教育 「
Educ
a
t
i
o
nf
o
rt
hePr
e
ve
nt
i
o
no
f
イギリスでは若年層での喫煙率が全体 に高 く, Dr
ugAbus
e
」ではな く,薬物教育 「
Dr
ugEdu我が国とは異なって女性の喫煙者が男性 より多
いのが特徴である.1
5
歳では男子の常習喫煙経
s
us
e
,Dr
ug Educ
a
t
i
o
n」が使われている.Mi
c
a
t
i
o
nなどの用語 はイギ リスを含め ヨーロッパ
験率は2
8
%であるのに対 して女子では3
3
%であ
圏,オース トラリアなどで用い られている.こ
る.若年者の喫煙 を防止するため,イギ リスで
の背景には社会問題 としての薬物乱用に対する
は1
1
-1
5
歳のより低年齢層の喫煙率 を1
9
9
4年 ま
考え方がアメリカ合衆国やわが国とは異なるこ
でに 6%以下に抑 えることを目標 にした喫煙防
止対策が展開された. しか し,l
l
-1
5
歳の常習
とがあると考えられるが,この考察は別報で行
いたい.
喫煙率は1
9
8
6
年か ら1
9
9
6
年の1
0年間に男子では
0カ年戦略
1)薬物乱用防止 1
7%か ら1
1
%に,女子では1
2
%か ら1
5
%にな り,
皮肉なことにこの期間に喫煙率はむ しろ増加 し
た.
Ta
c
kl
i
ngDr
ugst
oBui
l
daBe
t
新 しい白書 「
t
e
r Br
i
t
a
i
n:The Go
ve
r
nme
nt
'
s Te
n
Ye
a
r
St
r
a
t
e
gyf
o
rTa
c
kl
i
ngDr
ugsMi
s
us
e
J
1
2
)
では薬
Ⅱ.イギ リスにおける薬物乱用防止総合戦略
物乱用のない,健康で信頼で きる社会を作 るこ
とを目的に,薬物の需要 と乱用の危険性 を抑制
イ ギ リス で は1
9
9
4
年1
0月,前 政 権 の メ イ
することを目指 している.新 しい白書はこの 目
ジャー内閣が1
9
9
5
-1
9
9
8
年にかけての新 しい薬
的のためには,教育お よび福祉,医学 ・健康科
Ta
c
kl
i
ngDr
ugsT0
物乱用防止に関する自書 「
学,法制,経済などの様々な分野の連携 により
ge
t
he
r
:A s
t
r
a
t
e
gyf
o
rEngl
a
nd1
9
9
5
-1
9
9
8
」
1
7
)
地域 ごとにDr
ug Ac
t
i
o
n Te
a
msを設置 して総
合的な薬物乱用防止対策を展開する必要がある
を発表 し,この枠組みの もとで薬物乱用の実態
把握,違法薬物の需要 と供給の抑制に関する総
合的な対策を実行 した.
と強調 している.
薬物乱用防止1
0カ年戦略は,(
1
)
青少年の薬物
1
9
9
8
年 に国連は国際薬物統制に関する国連特
防止 :青少年が社会において能力 を十分に発揮
別総会 を開催 した18).そ して,これを契機 に し
出来るようにするため,青少年が薬物乱用に打
て世界各国の薬物乱用 に対する協調 した取 り組
ち勝つ よう支援する.(
2)
地域の安全 :薬物乱用
みが本格的に開始 されている.同年,アメ リカ
に関わる反社会的および犯罪的行動か ら地域 を
合衆国では 「
TheNa
t
i
o
na
lDr
ugCo
nt
r
o
lSt
r
a
t
-
3)
薬物依存の治療 :薬物問題を克服 し,
護る.(
1
9
)
を,わが国では
e
gy,1
9
9
8
:A Te
nYe
a
rPl
a
nJ
健康で犯罪のない生活ができるようにする.(
4)
「
薬物乱用防止五か年戦略」 を策定 し,国 レベ
薬物供給抑止 :イギリス社会において違法薬物
ルでの新たな薬物乱用防止対策を開始 した.イ
の売買 を絶滅する.の 4つを薬物乱用防止対策
ギ リスでは1
9
9
8
年 4月にブレア内閣が薬物乱用
の柱 としている.このうち,青少年への働 きか
けは第-番 にあげられ,薬物乱用防止対策のな
0カ 年 戦 略 を 策 定 し,先 の 「
Ta
c
ki
i
ng
防 止1
1
7
)
をもとに新 しい自書 「
Ta
c
kDr
ugsTo
ge
t
he
r
:
」
1
i
ngDr
ugst
oBui
l
daBe
t
t
e
rBr
i
t
a
i
n:TheGo
ve
r
nme
nt
'
sTe
n
-Ye
a
rSt
r
a
t
e
gy f
o
rTa
c
kl
i
ng
ユ
2
)
を発表 し,これにもとづいて
Dr
ugs Mi
s
us
e
」
す基本方針の もとに,「
2
5
歳未満 の青少年の違
総合的な薬物乱用防止対策を展開 している.な
法薬物乱用者率 (
最近 1カ月および最近 1年間
秦,イギ リスでは薬物乱用 を意味する公用語 と
の乱用) を低減す る.
」 ことを具体的 目標 とし
して 「
Mi
s
us
e
」が用 い られてお り,ア メ リカ
ている.そ して,この 目標 を達成するために表
合衆国や我が国で用い られている 「
Abus
e
」は
5に示す ようなAc
t
i
o
n Pr
o
gr
a
mが提示 された.
かで も最 も重要視 されている.
2) 青少年に対する薬物乱用防止対策
青少年に対す る薬物乱用防止対策は表 4に示
5
8
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h43;2001
表 4 青少年に対す る薬物乱用防止に関する基本方針
・青少年,そ して青少年 に関わる家庭,地域のすべて人々が薬物乱用その ものを防止 し,また薬物乱用が
もた らす様々な問題に立ち向かい解決するという姿勢 を持つ ようにする.
・薬物乱用防止 に必要な情報,スキル,お よび支援 は青少年の年齢や環境 に合わせた方法で提供する.ま
た,薬物乱用の危険性が高い集団にも好策が行 き届 くよう,特別に配慮 をする.
・薬物乱用防止は早い時期か ら始める.小学校の段階では,ライフスキル獲得のための総合的なアプロー
チを,青少年に対 しては発育 ・発達 に応 じて適切 な内容のプログラムを作成する.これ らのプログラム
は学校 における学習,仕事,仲間の集 まり,そ してよ り広範囲な地域 における取 り組みなどさまざまな
機会を通 じて実施する.
・薬物乱用防止 を目的に国と地域の有機的連携 システムを構築する.
表 5 青少年対する薬物乱用防止Ac
t
i
o
nPr
o
gr
a
mme
・違法な薬物乱用の危険性 と有害性 に関す る信頼で きる情報 を青少年,保護者および周囲の人々に提供す
る.その際,アルコール,たばこ,有機溶剤などの薬物 も関連 させる。
・薬物に関する教育は 5歳か ら始め,教科の授業お よび教科外の授業 を通 じて薬物乱用に対抗で きるスキ
ルを学ばせる。スキル獲得のためのより総合的なアプローチはPe
r
s
o
na
lSo
c
i
a
la
ndHe
a
l
t
hEduc
a
t
i
o
n(
定
期の授業カリキュラムではないが各教科授業 に取 り込んで展開される.ライフスキル学習 を中心 とした
指導)で行 う.指導 にあたっては,1
9
9
8
年 にイギ リス教育 ・雇用省が提示 した教育指導要領を参照する.
・地域 において,青少年が薬物乱用 に手 を染めることのない社会的 ・文化的環境 を作 る.その際,国及び
地方 自治体の薬物乱用防止 に関する広報,情報 を積極的に利用する.
・違法薬物や他の薬物 (
アルコール,たばこ,有機溶剤)の乱用に関わ らない,青少年の健康なライフス
タイルおよびそれに向けての積極的な活動 を促進する.
・薬物乱用の問題あるいは危険を抱 えている青少年に対 して適切な特別の対策 (
介入)を行 う.
・文化的背景,性,人種 に係わ らず,すべての青少年が適切 な薬物乱用防止プログラムを受けることがで
きるようにする.
・薬物乱用の予防およびそれに関連する教育活動で優れていると認め られたものを具体的なモデルとして
広める.
表 6 包括的モニタリングシステムの構成
・5歳以上の青少年を対象にした薬物乱用 とその関連要因に関する綜合的調査.
・常習的薬物乱用者における乱用パ ター ンの調査 ・研究.
・予防お よび教育プログラムの成果に関する長期追跡調査.
・薬物乱用 に係わる社会的要因に関する長期的モニタリング.
・薬物乱用に対する効果的な予防法および教育 ・指導法に関する調査.
表 7 評価 の観点
・2
5
歳未満の青少年において違法薬物の乱用者 (
最近 1カ月お よび最近 1年間に乱用)の割合が低減 したか.
・5歳-1
6
歳の青少年において薬物乱用の危険性 と有害性 についての知識が高まったか.
・薬物乱用の開始年齢を遅 らせることがで きたか.
・薬物 に関係する事件による学校か らの離脱 を減少 させ ることがで きたか.
・2
5
歳以下のヘロインの乱用者を減少 させることがで きたか.
・薬物乱用の危険性が高い生活環境 にいる青少年一学校か ら追放 された者,仕事 を怠 ける者,犯罪肴,
ホーム レス,薬物乱用者の子供-への情報およびサー ビスの提供 を増やすことがで きたか.
5
9
吉本ほか :薬物乱用防止システムに関する国際比較研究
らの調査研究結果か ら,薬物乱用防止対策にお
t
i
on Pr
ogr
a
mを具体的に立案す る際
また,Ac
に必要な基礎的情報 を提供すること,その有効
いて,青少年は最 も重要な対象であ り,学校に
性 を評価することを目的 とした包括的モニタリ
おける薬物乱用教育が極めて重要であることが
ングシステムの整備が進め られている.表 6,
指摘 された.
表 7はモニ タリングシステムの内容 と評価の観
点 をまとめたものである.
1
99
8年,イギ リス内閣は新たに薬物乱用防止
1
0カ年戦略 を策定 し,その対策 を示 した白書
このように,イギ リスでは薬物乱用防止 1
0カ
「
Ta
c
kl
i
ng Dr
ugst
oBui
l
d aBe
t
t
e
rBr
i
t
a
i
n:
年戦略の もとで薬物乱用防止のため総合的取 り
The Go
ver
nment
'
s Te
n-Ye
a
r St
r
a
t
egy f
or
組みが始め られている.その成果が明 らかにな
るにはしば らくの時間が必要であるが,イギリ
Ta
c
kl
i
ng Dr
ugsMi
s
us
e」を発表 した.イギリ
スの薬物乱用防止対策はこれをベースにして展
スにおける今後の薬物乱用防止総合対策の進展
開されてお り,薬物乱用のない健康で信頼で き
を見守 り,今後わが国およびアメリカ合衆国に
る社会 を作 ることを目指 している.薬物乱用防
おける薬物乱用防止総合対策 との比較検討 を試
みたい.
止1
0カ年戦略は青少年の薬物乱用防止,地域の
ま と め
安全 (
薬物乱用のない地域),薬物依存 の治療,
薬物供給抑止の 4つを柱 に構成 されている.そ
してそのなかで も青少年の薬物乱用防止は最重
我 々は青少年に対する有効な薬物乱用防止教
要課題に位置づけ られ,学校教育を通 じた系統
育プログラムを作成する目的か ら薬物乱用防止
的な働 きかけ…薬物乱用防止教育-へ大 きな期
教育の国際比較研究を行っている.本報告 はそ
待が寄せ られている.
の一環 として,イギリスの薬物乱用の実態 と背
イギ リスの総合的な薬物乱用防止対策では,
景要因を青少年を中心に調査するとともに,イ
ギ リスの新 しい薬物乱用防止1
0カ年戦略につい
具体的な到達 目標が設定 されていること,その
目標への到達度を評価するためのモニタリング
て調査 し,まとめた ものである.
システムがAc
t
i
on Pr
ogr
a
mmeとセッ トにされ
イギ リスでは薬物乱用が深刻 な広が りを見せ
て整備 されていることが特徴であ り,これ らの
てお り,青少年 ことに25
歳以下の若年層が乱用
点はわが国の薬物乱用防止対策にも大いに参考
になるものである.
流行の中心 となっている.薬物乱用は1
0歳代,
2
0歳代の青少年に蔓延 してお り,一度で も薬物
本研究は文部省科学研究費補助金 (
国際学術研
を乱用 したことがある者は1
1
-1
5
歳の年齢層で
究)「
欧米における薬物乱用防止に関する総合シス
は3
4%,2
0
-2
4歳では55
% に達 している.薬物
テムの調査研究 (
課題番号0
4
0
41
0
5
4
)
」1
9
9
2
-1
9
9
4,
乱用 を始める年齢 も若年化する傾向があ り,最
文部省委託調査研究 「
欧州諸国における薬物乱用
近では1
3
-1
5
歳で乱用 を始める者が多い. また,
防止教育についての施策に関する調査研究」1
9
9
8,
若年層では女子の乱用者が多い という危険な傾
および文部省科学研究費補助金 (
基盤A) 「
諸外国
向がみ られる.青少年が乱用する薬物 はその約
における薬物乱用防止教育に関する調査研究 (
課
8
0%が大麻であ り,次いでダンス ドラッグと呼
題番号1
1
6
9
1
0
8
3
)
」1
9
9
9
…2
0
0
1
によるものである.
t
a
mi
ne
,
Poppe
r
,
LSD,
ば れ る 薬 物 群 ;Amphe
文
献
Magi
c Mus
hr
oo
m,
Ec
s
t
a
s
yの乱用が多い.青少
年の薬物乱用 は,低収入の家庭 と高収入の家庭
1)Uni
t
e
d Na
t
i
o
na
lI
nt
e
r
na
t
i
o
na
lDr
ug Co
nt
r
o
l
双方で多 く, また無職,独 身,クラブやパブの
Pr
o
gr
a
mme
:Wo
r
l
dDr
ugRe
po
r
t
,0Ⅹf
o
r
dUni
-
出入 りが多い者,飲酒お よび喫煙者で高頻度に
ve
r
s
i
t
yPr
e
s
s
,1
9
9
7
み られ,薬物乱用に関連す る社会 ・経済的環境
2)Co
mmun
i
t
yEpi
d
e
io
m
l
o
g
yWo
r
kGr
o
up:Epi
-
やライフス タイル要因が明 らかにされた. これ
de
mi
o
l
o
g
i
ct
r
e
nd
si
ndr
uga
b
us
e
,U.
S.De
pa
r
t
-
6
0
学校保健研究 J
pnJSc
h
o
oIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
me
nto
fHe
a
l
t
ha
ndHuma
nSe
r
vi
c
e
s
,Na
t
i
o
na
l
Ⅰ
ns
t
i
t
ut
e
so
fHe
a
l
t
h,1999
r Ma
j
e
s
t
y'
s st
a
t
i
o
ne
r
y Of
f
i
c
e
:Ta
c
kl
i
ng
1
2)He
Dr
ugst
oBu
i
l
daBe
t
t
e
rBr
i
t
a
i
n:Thego
ve
r
3)Ra
ms
a
y,M.
,Pa
t
r
i
dge
,S.a
ndByr
o
n,
C
.
:
Dr
ug
yr
e
s
u
l
t
sf
r
o
mt
he
mi
s
us
ed
e
c
l
a
r
e
di
n 1998:Ke
n
-
me
nt
'
sTe
n
Ye
a
rSt
r
a
t
e
g
yf
o
rTa
c
k
l
i
ngDr
ug
s
l
,1
99
8
Mi
s
us
e
,
TheSt
a
t
i
o
ne
r
yOf
f
i
c
e
,
Apr
i
Br
i
t
i
s
h Cr
i
meSur
ve
y,Ho
meOf
f
i
c
eRe
s
e
a
r
c
h
1
3)Co
r
ke
r
y,J
.
:Dr
ugs
e
i
z
ur
ea
ndo
f
f
e
nd
e
rs
t
a
t
i
s
-
93
,
Lo
nd
o
n:
Re
s
e
a
r
c
h,
De
ve
l
o
pme
nt
Fi
nd
i
ng,
No
.
a
ndSt
a
t
i
s
t
i
c
sDi
r
e
c
t
o
r
a
t
e
,
Ho
meOf
f
i
c
e1999
nd
o
n,
TheSt
a
t
i
c
s
,
St
a
t
i
s
t
i
c
lBul
a
l
e
t
i
n,1999/8Lo
4)警察庁霜
平成11
年度版瞥察 自書
1
9
99
,1
999
t
i
o
ne
r
yOf
f
i
c
e
i
t
e
dNa
t
i
o
na
lOf
f
i
c
ef
o
rDr
ugCo
nt
r
o
la
nd
1
4)Un
5)Ra
ms
a
y,M.a
ndPe
r
°
y,AJDr
ugmi
s
us
ed
e
c
l
a
r
e
d
:
r
e
s
u
l
t
so
ft
he1994Br
i
t
i
s
hCr
i
meSur
ve
y,
Cr
i
mePr
e
ve
nt
i
o
n:
Gl
o
ba
li
l
l
i
c
i
tdr
ugt
r
e
nd
s1999,
Uni
t
e
dNa
t
i
o
nPub
l
i
c
a
t
i
o
n,1999
Ho
meOf
f
i
c
eRe
s
e
a
r
c
hSt
ud
y,No
.151
,Lo
nd
o
n:
1
5
)Th
eI
ns
t
i
t
ut
ef
o
rt
heSt
ud
yo
fDr
ugDe
pe
nd
-
-
Ce
,1
996
Ho
meOf
r
l
e
nc
e(
I
SDD)
:Dr
ug mi
s
u
s
ei
n Br
i
t
a
i
n
,I
SDD,
ms
a
y,M.a
ndSpi
i
l
e
r
,A.
:Dr
ugmi
s
us
ede
6)Ra
1
996
c
l
a
r
e
di
n1996:l
a
t
e
s
tr
e
s
ul
t
sf
r
o
m Br
i
t
i
s
hCr
i
me
1
6)He
lt
a
h Educ
a
t
i
o
n Au
t
h
o
r
i
t
y:Dr
ug Us
ei
n
Sur
ve
y,Ho
meOf
f
i
c
eRe
s
e
a
r
c
hSt
udy,No
.172,
Lo
nd
o
n:
Ho
meOf
f
i
c
e
,1
997
t
i
o
na
lDr
ug
s
Engl
a
nd
Re
s
u
l
t
so
ft
h
e 1995 Na
ms
a
y,M.
,Pa
t
r
i
dge
,S.
:Dr
ug mi
s
us
ede
7)Ra
Ca
mpa
i
gnSur
ve
y,
,He
a
l
t
hEduc
a
t
i
o
nAut
h
o
r
i
t
y,
1
99
7
c
l
a
r
e
di
n 1998:r
e
s
u
l
t
sf
r
o
mt
h
eBr
i
t
i
s
hCr
i
me
1
7
)He
r Ma
j
e
s
t
y'
s st
a
t
i
o
ne
r
y Of
f
i
c
e
:Ta
c
kl
i
ng
Sur
ve
y,Ho
meOf
r
l
C
eRe
s
e
a
r
c
hSt
ud
y,No
.197,
Lo
nd
o
n:
Ho
meOf
f
i
c
e
,1
9
99
Dr
ugsTo
ge
t
he
r
:ASt
r
a
t
e
gyf
o
rEng
l
a
nd1995
8)Go
dda
r
d,E.a
ndHi
gg
ina
,V.
:Smo
ki
ng
,dr
i
nk
-
,
TheSt
a
t
i
o
ne
r
yOf
f
i
c
e
,
Ma
y,1995
11
998
1
8) 国際連合広報 セ ンター :国際薬物統 制 に関す
i
nga
nddr
ugu
s
ea
mo
ngyo
ungt
e
e
na
ge
r
si
n
る国連特 別総会-何 が決 まったか- (
こ ユ ヨー
1
99
8 Vo
l
umeI
:Eng
l
a
nd
,Lo
nd
o
n,TheSt
a
t
i
o
n-
99
8, 6月),麻薬 ・覚せ い剤乱用 防止 セ ン
ク,1
f
i
c
e
,1
999
e
r
yOf
ター,東京,2000
9)Of
f
i
c
ef
o
rNa
t
i
o
na
lSt
a
t
i
s
t
i
c
s
:St
a
t
i
s
t
i
c
so
n
1
9)Of
f
i
c
eo
fNa
t
i
o
na
lDr
ugCo
nt
r
o
lPo
l
i
c
y:The
yo
ungpe
o
pl
ea
ndd
r
ugmi
s
us
e
:Eng
l
a
nd
,1
99
8
,
n
Na
t
i
o
na
iDr
ugCo
nt
r
o
lSt
r
a
t
e
gy,1998:A Te
St
a
t
i
s
t
i
c
a
lBul
l
e
t
i
n,2000/18,TheSt
a
t
i
o
ne
r
yOf
-
eo
fNa
t
i
o
na
lDr
ugCo
n
t
r
o
lPo
l
Ye
a
rPl
a
n,OfGc
,2
000
f
i
c
e
Cy
,1
999
l
f
i
c
ef
o
r Na
t
i
o
na
l St
a
t
i
s
t
i
c
s
:St
a
t
i
s
t
i
c
so
n
1
0)Of
s
mo
k
i
ng
:
Eng
la
nd
,1
976t
o1996,
St
a
t
i
s
t
i
c
lBu
a
l
l
e
ndo
n,
TheSt
a
t
i
o
ne
r
yOf
f
i
c
e
,1
998
t
i
n,1998/25Lo
l
l
)Of
f
i
c
ef
o
rNa
t
i
o
na
lSt
a
t
i
s
t
i
c
s
:St
a
t
i
s
t
i
c
so
na
l
-
c
o
ho
l
:1976o
nwa
r
ds
,
St
a
t
i
s
t
i
c
a
lBul
l
e
t
i
n,1999/24
Lo
nd
o
n,
TheSt
a
t
i
o
ne
r
yOHi
c
e
,1
999
(
受付
00. l
l
. 2 受理
01
. 2. 13)
連絡先 :〒772…8502 徳島県鳴門市鳴門町高島
字中島748番
鳴門教育大学
生活 ・健康系教育講座 (
吉本)
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2
001;61-72
面1 ㌻
児童の ライフス タイル と健康状況 に関す る調査研究
一過休 2日制を踏 まえた検討一
門 田 新一郎
岡山大学教育学部学校保健研究塞
ASt
udyo
nLi
f
e
s
t
y
l
ea
ndHe
a
l
t
ho
fPu
pi
l
s
-Ana
l
ys
i
sBa
s
e
do
nt
heFi
ve
d
a
yWe
e
kSc
ho
o
lSy
s
t
e
mShi
ni
c
hi
r
oMo
nde
n
De
par
t
l
ne
ntO
fSc
hoolHe
al
t
h
,Fac
I
L
l
yo
t
fEdu
c
at
i
o
nOk
a
y
amaUni
v
e
r
s
i
y
t
Thepur
po
s
eo
ft
hi
ss
t
udyi
st
oa
na
l
yz
et
her
e
l
a
t
i
o
ns
hi
p be
t
we
e
npupi
l
s
'
1
i
f
e
s
t
yl
ea
nd
he
lt
a
ho
nt
heba
s
i
so
f丘ve
da
ywe
e
ks
c
ho
o
ls
ys
t
e
m.Thes
ub
j
e
c
tma
t
t
e
rf
o
ra
na
l
ys
i
si
s3
01
f
l
f
t
h-a
nds
i
xt
h
-ye
a
rpupi
l
so
fe
l
e
me
nt
a
r
ys
c
ho
o
l
s
.
I
nOc
t
o
be
r1
9
9
9
,t
heque
s
t
i
o
nna
i
r
ewe
r
egi
ve
no
nFr
i
da
ya
ndSa
t
ur
da
yunde
rt
hec
ur
r
e
nt
k.
f
i
ve
-da
ywe
e
Ther
e
s
ul
t
swe
r
ea
sf
o
l
l
o
ws:
1)8
7
%o
ft
hepupi
l
swe
r
ei
nf
a
vo
ro
f丘ve
da
ywe
e
ks
c
ho
o
ls
ys
t
e
m ma
i
nl
yi
nt
e
r
mso
fpl
a
y,
r
e
s
ta
ndr
e
c
o
ve
r
yf
r
o
mf
a
t
i
gue
.
2)The
i
rl
i
f
e
s
t
yl
epr
o
ve
dt
obea
c
c
o
r
di
ngt
ot
heda
yo
ft
hewe
e
k.OnSa
t
ur
da
y,unhe
lt
a
hy
a
c
t
i
vi
t
i
e
ss
uc
ha
si
na
de
qua
t
ephys
i
c
a
le
xe
r
c
i
s
e
,nobr
e
a
kf
a
s
ta
ndl
o
ngho
ur
so
ft
e
l
e
vi
s
i
o
n
wa
t
c
hi
ngwe
r
eo
bs
e
r
ve
d.
3)Thea
ve
r
a
genumbe
ro
ft
he3
0i
t
e
mso
fs
ub
j
e
c
t
i
ves
ympt
o
mswa
s5
.
1f
o
rFr
i
da
ya
nd4.
0
f
o
rSa
t
ur
da
y.
4)OnSa
t
ur
da
y,t
het
i
mea
l
l
o
c
a
t
i
o
no
ft
he
i
rda
i
l
ya
c
t
i
vi
t
i
e
sa
ndt
her
e
gul
a
r
i
t
yo
fme
a
l
t
a
ki
ngwe
r
ec
l
o
s
e
l
yr
e
l
a
t
e
dt
ot
henumbe
ro
ft
he
i
rs
ub
j
e
c
t
i
ves
ympt
o
ms
,whi
c
hwe
r
ei
nc
r
e
a
s
e
dbyunhe
a
l
t
hya
c
t
i
vi
t
i
e
s
.
l
s
,
l
i
f
e
s
t
yl
e
,he
a
l
t
h,
s
ub
j
e
c
t
i
ves
ympt
o
ms
,
魚ve
da
ywe
e
ks
c
ho
o
l
Ke
ywo
r
ds:pupi
s
ys
t
e
m
児童, ライフス タイル,健康, 自覚症状,週休 2日利
Ⅰ 緒
言
て きていることか ら,国民一人一人が健康に対
する意識 を高め,健康的なライフスタイルを実
立は,生涯にわたる健康づ くり対策の基盤 とし
現で きるような学校健康教育の推進が期待 され
ている1).
て,学校保健の重要な課題 となっている.そ し
一万 ,2
0
0
2
年度か ら導入 される学校完全週休
児童期 における健康的なライフスタイルの確
て,児童を取 り巻 く社会状況の変化は,体力 ・
2日制によって,学齢期にある児童生徒 は,学
運動能力の低下,生活習慣病の兆候,不登校な
校での生活か ら家庭 を含む地域社会での生活の
ど,彼 らの心身の健康問題 を多様化 ・複雑化 し
比重が さ らに増 えて くることになる2・3). した
6
2
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
がって,家庭や地域社会での生活行動要因はこ
持 ち帰 らせ,週休 2 日の週の金曜 日と土曜 日
れまで以上に彼 らの心身の健康 に影響 を及ぼす
(
休 日)の就寝前にその 日のライフスタイルと
ことが考えられることか ら,学校健康教育だけ
健康状況 を記入 させた.調査は,主に選択式 と
でな く,児童期か らの家庭教育や地域社会にお
し,一部記述式 とした.
ける健康教育の推進が必要である4).そのため
には,週休 2日制を踏 まえて児童のライフスタ
0月 8日(
金), 9日(
土)
調査時期は,1999年 1
である.
イルと健康状況 との関連 を把握 し,ヘルスプロ
3.調査内容
モーションの視点に立った健康増進対策が必要
調査内容は,週休 2日制に関する意識調査 と,
金曜 日と土曜 日のライフスタイルと健康状況に
であると考える.
において,児童生徒 の 自覚
著者 は,既報518)
症状ない しその訴えを彼 らのライフスタイルを
関する調査である.ライフスタイルと健康状況
に関する調査は 2 日間とも同 じ内容 とした.
反映 した心身の状態,すなわち,健康状態の指
1)週休 2日制に関する意識調査
標 として捉 え,児童生徒の健康的な生活行動の
週休 2 日制の賛否 とその理由,及び,土曜 日
あ り方を検討 してきた.そ して,睡眠時間の不
の過 ごし方について調査 した.
2) ライフス タイルに関する調査
(
1
) 生活時間
などの不健康 な生活行動は, 自覚症状の訴え数
昨夜の就床時刻,今朝の起床時刻,昨夜の睡
を増加 させることか ら,児童生徒の主体的な健
康管理能力 を育成するための学校健康教育の必
眠時 間,テ レビ視聴 時間,家庭 学習時閏,運
動 ・スポーツ実施時間,通塾時間について調査
要性 を指摘 して きた. これ までにも,児童生徒
のライフスタイルと健康状況 との関連 を検討 し
した.睡眠時間は,記述式 とした就床時刻 と起
床時刻か ら算出 した.
た報告は数多 くなされているが,それ らの報告
(
2) 食事の摂取状況
は児童生徒の一般的, 日常的な傾向を分析 した
ものであって,週休 2 日制 を視野に入れて児童
朝食,昼食,夕食,間食 (
夜食を含む)の摂
生徒の生活行動要因 と自覚症状の訴えなどの健
取状況 と間食の種類について調査 した.
3)健康状況に関する調査
康状況 との関連 を検討 した ものはみ られない.
(
1
) 健康意識
そこで,本研究では,小学校の児童 を対象に,
週休 2日制に関する意識調査 と,週休 2日制の
昨夜の寝つ き,今朝の 目覚め,朝の排便,今
日の体調 について調査 した.
過の金曜 日と土曜 日 (
休 日)の生活時間や食事
(
2) 自覚症状
の摂取状況などのライフス タイル,及び,健康
産業疲労研 究会9
)
の 「自覚症状 しらべ」30項
意識や 自覚症状 などの健康状況に関する調査 を
行い,週休 2日制 との関連 を踏 まえて検討 して
目を用いて調査 した. この調査は,調査時点に
みた.
おける自覚症状の有無 をしらべ るものであるの
で,本調査では,質問形式 を 「
今 日,次のよう
Ⅱ 研究方法
なことがあ りましたか」 というふ うに修正 して
用いた.
1.調査対象と分析対象
N市内の公立小学校 2校 の 5, 6年生男女計
4.資料の集計 と分析
資料は学年別 ・性別を一括 して全体で集計 し
335名 を調査対象 とした.その内,資料の収集
た.
名 を分析対象 とした.
で きた301
2.調査方法と調査時期
生活時間,食事の摂取状況,健康意識に関す
質問紙調査による留置法によって実施 した.
る調査項 目は, 2-4段階にカテゴリー化 して
集計 した.
各小学校の学級担任 を通 じて調査用紙 を児童に
足,長時間のテ レビ視聴,運動不足,朝食欠食
6
3
門田 :児童のライフスタイルと健康状況に関する調査研究
自覚症状3
0
項 目の項 目別訴え率は,対象集団
表 3に,生活時間の曜 日別比較 を示 した. 7
の人数に対する訴え数の百分比 (
%)で求めた. 項 目中 6項 目で有意の差がみ られた.土曜 日は
また,訴え数については,各個人の訴え数の度
金曜 日に比較 して,昨夜の就床時刻が 「
1
2時以
数分布か ら 3段階にカテゴリー化 した.
後」,今朝の起床時刻が 「9時以後」,昨夜の睡
各調査項 目の曜 日別比較,及び,項 H間のク
「
眠時間が 1
0時間以上」,テレビ視聴時間が
「
1
時間未満」,家庭学習時間が 「していない」,逮
ロス集計 については, x 2検定 を行 い,危険率
5%以下 を有意の差 (
関連)があるものとした. 塾時間が 「2時間以上」がそれぞれ多 くなって
Ⅲ 結
いた.運動 ・スポーツ実施時間は曜 日差はみ ら
果
れず,土曜 日で も「していない」が3
6.
5
% となっ
ていた.
i.週休 2日制に関する調査
2)食事の摂取状況
1)週休 2 日制の賛否 とその理由
週休 2日制に対する賛否では,「
賛成」が2
6
2
,
表 4に,食事の摂取状況の曜 日別比較を示 し
名 (
87.
0%) と多 く 「
反 対」が1
0名 (
3.
3%),
た.朝食,昼食,夕食,間食 (
夜食を含む) と
「どち らで もない」が2
6
名 (
8.
6
%) となって
いた.
もに,曜 日差はみ られなかった. しか し,土曜
表 1に,週休 2日制 に賛成の理由(
複数回答)
を示 した.「自由な時間が増 える」 (
75.
2%)が
,「のんび りで きる」(59.5%)
最 も多 く,次いで
となっていた.
日は金曜 日に比較 して,朝食 を 「
食べ ない」
(
ll
.
0%),昼食 を 「
食べない」 (
4.
0%),間食
を 「
食べ ない」 (
2
2.
6
%)がやや多 くなってい
た.
3)間食の種類
,「学校が楽 しい」
8名,
「
休みはつ まらない」 6名,
「
友達 と先生
日,土 曜 日ともに同様 の傾 向が み られ 「ご
に会えない」 5名などとなっていた.
飯 ・パ ン ・めん類Jが3
7.
7-4
0.
9% と最 も多 く,
反対の理由 (
複数回答)は
表 5に,間食の種類 を曜 日別に示 した.金曜
,
,
,
数回答) を示 した.「
友達 と遊ぶ」 (
6
7.
8%)が
次 いで 「
清 涼 飲 料 ・ジ ュ ー ス類」が3
3.
99.
2-3
0.
5
%
3
5.
0% 「アイス ク リーム類」が2
となっていた.
最 も多 く,次 い で
3.健康状況
2) 週休 2日制による土曜 日の過ごし方
表 2に,週休 2日制の土曜 日の過ごし方 (
複
,「か らだ を休 ませ る」
1)健康意識
(
5
5.
8%) となっていた.
2.ライフスタイルの曜日別比較
1)生活時間
表 6に,健康意識の曜 日別比較 を示 した.今
朝の 目覚めで有意の差がみ られ,土曜 日は金曜
表 1 週休 2E
沌U
に賛成の理由 (
%)N-2
6
2
表 2 週休 2日制の土曜日の過ごし方 (
%)
N=3
0
1
1.自由な時間が増える
2.のんびりできる
3.たくさんの友達と遊べる
4.からだの疲れがとれる
5.家族と外出できる
6. たくさん眠れる
7.運動 ・スポーツができる
8.勉強する時間が増える
9.家の手伝いができる
1
0
.その他
7
5
.
2
5
9
.
5
5
6
.
9
4
8
.
9
4
2
.
0
4
0
.
5
3
4
.
0
9
.
5
8.
8
6
.
1
(
複数回答)
1.友達と遊ぶ
2.からだを休ませる
3.家族と外出する
4.運動 ・スポーツをする
5.勉強をする
6.読書をする
7.塾に行 く
8.家の手伝いをする
9. ボランティア活動をする
1
0
.その他
888239 3 333
75
3 1
3 28
6
58
47
36
15
1 1
(
複数回答)
6
4
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
表 3 生活時間 (
%)N-3
01
昨夜の就床時刻
無回答
今朝の起床時刻
2. 7- 8時
3. 8- 9時
4. 9時以後
無回答
昨夜の睡眠時間
2. 8- 9時間
3. 9-1
0時間
4.1
0時間以上
無回答
無回答
家庭学習時間
無回答
1. していない
運動 ・スポーツ
実方
馴審問
2.3
0分未満
3.3
0-6
0分
4.6
0
分以上
無回答
通塾時間
無回答
日 に 比 較 し て,朝 の 目覚 め が 「良 か っ た」
(
40.
5%) が多 くな って い た. また,土 曜 日に
34.
2%) もや や 多 く
は朝 の排 便 が 「あ っ た」 (
な ってい た.
1
0
0
<
p
1.行っていない
2. 1時間未満
3. 1- 2時間
4. 2時間以上
5
0
0
<
p
1. していない
2. 1時間未満
3. 1- 2時 間
4. 2時間以上
5
0
0
<
p
テ レビ視聴時間
1. 1時間未満
2. 1- 2時間
3. 2- 3時間
4. 3時間以上
1
0
0
<
p
1. 8時間未満
2
H
り
0
0
<
p
1. 7時以前
x
1
0
0
<
p
1. 1
0時以前
2.1
0-1
1時
3.l
l
-1
2
時
4.1
2
時以後
6 5 2 6 0 9 2 3 3 3 6 9 9 9 7 3 3 3 5 7 2 2 0 0 7 5 9 3 9 3 7 7 3 6 7
2
9 7
6 1
5 1
2 3
1 3 0 3 4 6 4
1 1
6 2
2 3
1 1
72
7 3
0 2
0 2 8
23
1 8
1 2 1
1 2
4 1 5
1 3 2 3
8
金曜 日 土曜 日
目
9 9 6 0 7 6 8 7 3 7 6 5 2 6 0 3 3 3 8 3 9 5 6 7 3 2 0 6 6 7 4 3 6 0 7
1 4
3 2
5 8 0 2
53
2 2
0 4
5 1 3
9 3
9 2
6 1
3 1 0
1 3 3 9 2 7
9 3
8 1
5 3 2 4
6 4 5 0 1
2
1 2
7 8 8 3 2
1 1 2
項
2) 自覚 症 状
(
1
) 自覚症 状 の項 目別 訴 え率
表 7に, 自覚症 状 の項 目別 訴 え率 の曜 日別比
校 を示 した.土 曜 日は金 曜 日に比較 して ほ とん
6
5
門田 :児童のライフスタイルと健康状況に関する調査研究
どの項 目の訴 え率 が低 くな ってお り,3
0項 目中
5項 目で有 意 の差 が み られ , 4項 目で それ に近
い傾 向が み られ た. しか し,土 曜 日で も 「4.
-21.
9% と高 い訴 え率 を示 して いた.
(
2) 自覚症状 の訴 え数
図 1に, 自覚症状 の訴 え数 の度数分布 を曜 日
あ くびが で る」,「6. ね む い」,「
1
0.横 にな り
01
名 中77
別 に示 した.土 曜 日は訴 え数 「o」が 3
たい」,「7. 日が つ か れ る」 の 4項 目で は42.
9
名 (
25.
6%) と最 も多 く,金 曜 日は訴 え数 「2」
が 44名 (
1
4.
6%) と最 も多 くな ってい た.30項
表 4 食事の摂取状況 (
%)N-3
01
目
項
1.食べた
朝食
2.食べ ない
無回答
1.食べた
昼食
2.食べ ない
無回答
無回答
1.食べた
間食
2.食べ ない
無回答
9
2.
4
7.
0
0.
7
8
7.
4
1
1
.
0
1
.
7
9
4.
0
2.
7
3.
3
9
4.
7
4.
0
1
.
3
9
4.
7
1
.
0
4.
3
9
7.
0
0.
7
2
.
3
7
8.
4
1
9.
9
1
.
7
7
3.
1
2
2.
6
4.
3
港)間食には夜食 を含 む.
注)曜 日別比較では,朝食,昼食,夕食,間食 と
もに有意差な し.
土 曜 日は4.
0(
4.
9) とな ってお り,有 意 の差 (
t
検 定 ,P<0.
01) が み られ た.
図 2に, 自覚症 状 の訴 え数 の カテ ゴ リー別 の
表 5 間食の種類 (
%) (
複数回答)
種
類
1. ご飯 ・パ ン ・めん類
2.清涼飲料 ・ジュース類
3.アイス ク リー ム類
4. ビスケッ ト・スナック菓子類
5.牛乳 ・乳製 品
6.あめ ・チ ョコ レー ト類
7.果物
8.ケーキ類
9.その他
表 6 健康意識 (
%) N=3
01
目
項
無回答
今朝の 目覚め
無回答
….
' 孟書芸三雲
無回答
1
0
<
p
今 - 体調
1
0
<
p
た 答
た つ回
つか 無
あ な
1 2
腰
彰
の
朝
1.良かった
1
0
0
<
p
1.良かった
2. まあ良かった
3.良 くなかった
2 2 3 3 52 0 3 2 1 7 2 56 6
4 4
1 8 1
5
4 4
6 6 3 4
0 8
0 1 3
4 6
4 1 3
4
4 1
昨夜の寝つ き
58 6 0 9 8 9 3 6 4 一 2 2 6 0
3 5 6 4 3 5 8 1 2
7 7
2
3 8
0
3
48 1
4 4
3 4 1
1.良かった
2. まあ良かった
3.良 くなかった
金曜 日 土曜 日
金曜 日 土曜 日
n=2
3
6 n-2
2
0
9 0 7 5 7 7 55 5
0
5 3
2 3
0 2
7 2
2 2
05 4
4 3
2.食べ ない
土曜 日
7 9 2 2 4 8 8 1 8
7 3
3 2
9 2
9 2
5 2
0 2
0 2 6
3
1.食べた
夕食
目の平 均 訴 え数 は金 曜 日は5.
1(
標 準 偏 差 4.
9),
金曜 日
6
6
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
表 7 自覚症状の項 目別訴え率 (
%)N-3
0
1
1.頭がおもい
1
0
く
p
51
0
00
<<
pp
1
0
<
p
1
.頭がいたい
2
2
2
.肩がこる
2
3
.腰がいたい
2
4.いき苦 しい
2
5
.口がかわ く
2
6
.声がかすれる
2
7
.めまいがする
2
8.まぶたや筋肉が ピクビクする
2
9
.手足がふるえる
3
0
.気分がわるい
1
0
0
く
p
1
7
.することに間違いが多 くなる
1
8
.物事が気にかかる
1
9
.きちんとしてい られない
2
0
.根気がな くなる
5
0
0
<
p
l
l
.考えがまとまらない
1
2
.話をするのがいやになる
1
3
.いらいらする
1
4.気がちる
1
5
.物事に熱心になれない
1
6
.ちょっとしたことが思いだせない
x2
l11
0
0
000
<<<
ppp
2.全身がだるい
3.足がだるい
4.あ くびがでる
5.頭がぼんや りする
6.ねむい
7. 日がつかれる
8.動作が ぎこちない
9.足 もとがたよりない
1
0.横になりたい
O66962 9639 6636603 663 3900006636
54
21
43
7 2
1762
8 1
163
11
21
50
01
08 1
L7
I4
155
I79547
1
16
14
11
1 1
金曜 日 土曜 日
目
0631989332
3
6
9
6
6
2
0
6
3
3
6
6
3
6
3
66376
51
51
68
98
3853
4 8
91
263
17947
61
41
52
71
41
41
50
51
42
11
21
171
1 2
項
注)各項 目の訴え率は,「
今 日,次のようなことがあ りましたか」 と
いう質問に回答 した者の割合である.
割合 を示 した.土曜 日と金曜 日の訴 え数 の度数
覚め,朝 の排便 ,今 日の体調 の 4項 目ともに有
分布 と平均 訴え数か ら,「0- 1」,「2- 5」,
意の差がみ られ,健康意識 の低 い者 は 自覚症状
「
6以上」 の 3段 階 に区分 して比較 してみ る と,
土曜 日に訴 え数の少 ない者が多 く,有意の差が
み られた.
3)健康意識 と自覚症状 の訴 え数 との関連
表 8に,土曜 日の健康意識 と自覚症状 の訴 え
数 との関連 を示 した.昨夜 の寝つ き,今朝 の 目
の訴 え数が多 くなっていた.
金曜 日の健康意識 と自覚症状 の訴 え数 との関
連 において も,4項 目とも土曜 日と同株の傾 向
がみ られた.
6
7
門田 :児童のライフスタイルと健康状況に関する調査研究
N-301
ロ金曜 田
口土曜 日
01
3
2
4
5
6
7
8
9 10
以上
訴え数
注)訴 え数の1
0以上は一括 して示 した。
図 1 自覚症状の訴え数の度数分布
N=
=301
0%
20%
40%
60%
80%
1
00%
図 2 自覚症状の訴 え数の曜 日別比較 (
%)
表 8 土曜 日の健康意識 と自覚症状の訴え数 との関連 (
%)
項
目
人
1.良かった
昨夜の寝つ き
2. まあ良かった
3.良 くなかった
数
。∼ 1
警誓
6以上
x2
n-1
3
3
n-1
3
9
n= 1
9
45
.
1
3
6.
0
5.
3
3
6.
8
3
6
.
0
4
2
.
1
1
8.
0
2
8.
1
5
2
.
6
p<0.
01
46.
7
3
6
.
6
1
0.
0
3
8.
5
3
5.
9
3
3.
3
1
4.
8
2
7.
6
5
6.
7
p<0
.
01
今朝の 目覚め
2. まあ良かった
3.良 くなかった
n-1
2
2
n-1
45
n- 3
0
朝の排便
…:雲芸≡た
n
n≡1
1
0
9
喜
4
3
8
2
:
5
6
3
3:
;
2
壬
・
.
芸
p<o・
0
5
1.良かった
n-1
0
3
n-1
2
5
n= 2
6
5
6
.
3
2
9.
6
3.
8
3
0.
1
4
4.
0
1
9.
2
1
3.
6
2
6.
4
7
6.
9
p<0
.
0
1
1.良かった
今 日の体調
2. まあ良かった
3.良 くなかった
6
8
学校保健研究 J
pnJS
c
7
z
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
表 9 土曜日の生活時間及び食事の摂取状況と自覚症状の訴え数との関連 (
%)
項
目
1.食べた
2.食べない
n-2
6
3
n= 3
3
3
9.
9
2
4.
2
3
6
.
9
3
3.
3
…:芸芸 い
n≡2
冒
≡
3
…:
…
…;
:
…
…
芸:
喜
1
0
<
p
n-1
1
0
n- 4
8
n- 3
7
n- 9
6
2
5
0
0
<
p
昼食
1.していない
分未満
2.3
0
分
3.3
0-6
0
分以上
4.6
0
x
5
0
0
<
p
運動 ・スポーツ実施時間
n= 5
5
m- 6
4
n- 49
n-1
2
8
6以上
8430 4342 6197 24
82
51
70
78
6 32
60
5 3
1
4 1
28
13
32
11
24
1234
テレビ視聴時間
n- 6
9
n=1
1
8
n- 5
2
n= 5
5
雪空
7875 0898 0368
73
93
23
4 4
03
18
03
24
63
2 3
3
43
4
今朝の起床時刻
溝間間上
未時時以
間 2 3間
時 ∼ ∼時
l123
1. 7時以前
2. 7- 8時
3. 8- 9*
4. 9時以後
.∼ 1
5705 6970 4746
33
40
5 3
63
43
2 6129
4
52
J
44
3433
人 数
p<o・
0
5
注)生活時間と食事の摂取状況の項 目の中で自覚症状の訴え数 と有意の関逮,又は,それに近い傾向がみ
られたものを示 した.
0 金曜日の生活時間と自覚症状の訴え数との関連 (
%)
表1
項
人 数
x2
6以上
5
0
0
<
p
2558
42
94
54
5
2
4.ライフスタイル と自覚症状の訴え数 との関
n= 6
6
n-1
3
2
n- 7
7
n- 2
4
警誓
5588
14
83
30
5
2
1.1
0時以前
1
時
2.1
0
-1
時
3.l
l
-1
2
4.1
2時以後
。∼ 1
2083
42
22
03
3
2
昨夜の就床時刻
目
0に,金曜 日の生活時間 と自覚症状の訴 え
表1
連
数 との関連 を示 した.昨夜 の就床時刻でのみ有
表 9に,土曜 日の生活時間及び食事の摂取状
意の関連がみ られ,就床時刻の遅い者は訴 え数
況 と自覚症状の訴 え数 との関連 を示 した.生活
が多 くなっていた.金曜 日には食事の摂取状況
時間では,今朝の起床時刻,テ レビ視聴時間の
と訴 え数には関連はみ られなかった.
2項 目で有意の関連がみ られ,起床時刻の遅い
者,テ レビ視聴 時 間の長 い者 は訴 え数が多 く
Ⅳ 考
察
なっていた. また,運動 ・スポー ツ実施時閏の
2002年度か ら導入 される学校完全週休 2日制
少 ない者 は訴 え数が多 くなる傾向がみ られた.
は,児童のライフス タイル をさらに変化 させ,
食事 の摂取状況では,朝食 と昼食で有意の関連
学校での生活か ら家庭や地域での生活 を一層増
がみ られ,食べ ない者 に訴 え数が多 くなってい
た.
加 させ ることになる. したがって,週休 2日制
を踏 まえて児童のライフス タイルと健康状況 と
門田 :児童のライフスタイルと健康状況に関する調査研究
6
9
「
1
0時間以上」 と長 くなる者が多い と考
の関連 を検討す ることは,学校保健の課題 とし
時間が
てだけでな く,家庭や地域での健康増進対策 を
えられた.そ して,土曜 日で も運動 ・スポーツ
検討する上 において も重要な課題であると考 え
6.
5
%,「
3
0
分未満」が1
5.
9
%
を「していない」が3
られる1・4㌧ 特 に,児童期の健康増進対策は,坐
と併せて過半数 となっていたことや,テ レビ視
涯にわたる健康教育の基盤 として最 も重視 され
0
%以上 となってい
聴時間は 「3時間以上」が4
なければな らない と考 え られる. これまでに も,
たことか ら,一層の運動 ・スポーツなどの身体
著者 は,小学校の児童 を対象 に,生活意識 ・行
活動の推進が必要 と考え られる.一方,食事の
動 な どのライフス タイル と自覚症状 な どの健康
摂取状況では,曜 日差 はみ られなかったが,土
状況 との関連 を検討 して きたが,それ らは一般
1
.
0
% と金曜 日
曜 日にも朝食 を 「
食べ ない」が 1
袷, 日常的な生活調査5・6)であって,週休 2日制
よ りもやや多 くなっていた り,昼食 も 「
食べな
に視点 をあてた ものではなかった.そこで,本
.
0
%み られ るな ど,健康 的でない食事
い」が4
研究では,小学校の児童 を対象 に,週休 2日の
の摂取状況にある者が少 な くなかった.この よ
過の金曜 日と土曜 日 (
休 日) に質問紙調査 によ
うに,遅寝遅起が原因 と推察 される身体活動の
る留置法で,2日間の生活時間 と食事の摂取状
不足,長時間のテ レビ視聴,朝食や昼食の欠食
況な どのライフス タイル と,健康意識 と自覚症
などは,児童の健康的なライフス タイル とは言
状 な どの健康状況 を調査 し,併せて,週休 2 日
えず, この様 な生活行動要因は児童の健康状況
利 に関す る意識 を調査 してみた.
にも少 なか らず影響 を及ぼ していると考 えられ
る
週休 2 日制に関す る意識では,その賛否 と理
由及 び土曜 日の過 ご し方 について調査 してみた.
健康 状況 と生活習慣 との関係 につ いて は,
その結果,週休 2日制 には児童の 9割近 くが賛
Br
e
s
l
o
w,J
の 7項 目 (
睡眠時間,喫煙,適正体
成 していたが,主 な理由は,遊び,休養,疲労
重,飲酒,スポーツ,朝食,間食)が代表的な
回復 を期待 した ものであった. また,土曜 日の
もの としてあげ られている4
)
.児童の場合 もこ
過 ご し方 もほぼ同 じ様 な内容 となっていた.健
れ らの項 目に関心 を持たせ,健康生活 を実践 さ
康増進対策 として推進 されている運動 ・スポー
せ,主体的に健康管理がで きるような知識 と科
5
%前後 と期待 したほ ど
ツの実施 をあげた者 は3
学的認識 を育成す ることは健康教育の重要な課
多 くなかった.
題である.そのためには, これ らの生活習慣が
最近の児童 には睡眠不足,朝食欠食,長時間
健康状況に及ぼす影響 について把捉 してお く必
のテ レビ視聴,通塾 な どによって不定愁訴 など
要があると考 える. ここでは,児童の生活行動
の 自覚症状 を訴 える者が多い と言われているが, 要因 として重要 と考 えられる生活時間 と食事の
週休 2日制が休養や疲労回復 のための ものであ
摂取状況 を取 り上げ,週休 2日制 を踏 まえなが
るな らば,本来の健康増進対策 とは言 えない.
らライフス タイル と自覚症状の訴 え数 との関連
完全週休 2日制 に併せて今回改訂 された学習指
を中心 に検討 してみた.
)
は,児童の ライフス タイルにゆ と りと
導要領10
心 身の 自覚症状 ない し訴 えは,パ ー ソナ リ
充実 をもた らす ことを目的 とした ものであるの
ティ ・システムと彼の生活全体お よび訴えが行
で,家庭及び地域での運動 ・スポーツ,ボラン
われる状況 を変数 とする全人格 的な表現 として
テ ィア,社会奉仕 などの積極 的,行動的な活動
の側面がある川とされている.そ こで,著者 は,
を一層推進す る必要があると考 える.
これ までに も自覚症状の訴 えを児童の生活行動
生活時間 と食事の摂取状況の曜 日別比較では,
を反映 した心身の状態,すなわち,健康状態の
生活時間の差が大 きく,特 に土曜 日は,昨夜 の
指標 と して捉 えて検討 して きた5-8). 自覚症状
1
2時以降」 と遅い者が多 く,今朝
就床時刻が 「
調 査 に はCMI12),THIi3),CFS
I
1
4,1
5)な ど種 々 あ
の起床時刻 も 「9時以降」 と遅 くなって,睡眠
るが,本研 究で用 いた産業疲労研 究会9)の 「自
70
学校保健研究 J
pf
lJS
c
h
ooIHe
al
t
h43;2
001
覚症状 しらべ」は,他の調査 に比べて項 目数が
3
0項 目と比較的少な く,児童が訴えやすい項 目
も多 く含 まれていることか ら小学生にも適用で
きると考えられる. また,この 「自覚症状 しら
べ」は,調査時点の 自覚症状の有無をしらべ る
ものであることか ら,これまでは 「
ふだん,次
のようなことが よくあ りますか」 という質問形
るものと考えられる.
そこで,週休 2日制 という視点に立って,坐
活時間及び食事の摂取状況 と自覚症状の訴え数
との関連 を曜 日別に検討 してみた.その結果,
金曜 日は昨夜の就床時刻でのみ関連がみ られ,
就床時刻が11
時以降と遅い者は自覚症状の訴え
数がかな り多 くなっていた.一方,土曜 日は今
式 に変 えて用 いて きた5 8).本研究では,金曜
朝の起床時刻,テ レビ視聴時間,運動 ・スポー
日と土曜 日の訴 え数の比較 を行 うことを考 え
ツ実施時間,朝食 と昼食の摂取状況で有意又は
て,2日間とも就寝前に 「
今 日,次のようなこ
それに近 い関連がみ られ,今朝 の起床時刻が
とがあ りましたか」 という質問形式で調査 した.
「
9
時以降」,テレビ視聴時間が 「
3
時間以上」,
0
項 目の平均訴 え数は金曜 日は5
.
1, 運動 ・スポーツ実施時間が 「していない」,朝
その結果 ,3
0となってお り有意の差がみ られた. 食,昼食を 「
土曜 日は4.
食べ ない」 とした者は自覚症状の
この訴え数は, 2日間ともこれまで調査 して き
訴え数がかな り多 くなっていた.このように,
たふだんの訴え数に比べてかな り少な くなって
土曜 日は自覚症状の訴え数は少な くなっている
いた5
,
6
)
.これは質問形式の違いによるもの と推
にもかかわ らず,生活時間や食事の摂取状況 と
察 されるが,本研究の方が調査方法か らみて,
の関連が多 くみ られたのは,週休 2日制による
児童の訴えをより具体的に捉 えていると考えら
休 日の生活行動が健康的でないことを反映 して
れる. しか し,訴え数の少ない土曜 日でも 「あ
いるもの と考えられる.
ねむい」 「
横にな りたい」
くびがでる」 「
がつかれる」の訴え率は42
.
9
-2
1
.
9
% とかな り
るために,生活時間や食事の摂取状況などのラ
,
,
,「
目
平日 (
月∼金曜 日)は,学校生活が中心であ
高 くなっていた.このことは,土曜 日の健康的
イフスタイルは,健康的であるか否かは別にし
ではないライフスタイルの影響 と考えられる.
て,学校の始業時刻や時間割などの生活時間に
自覚症状の訴え数を健康指標 とするためには, 拘束 されて,比較 的規則 的である と考 えられ
る2-3).そのことが金曜 日の自覚症状の訴え数を
健康意識 との関連をみてお く必要 もあると考 え
る.そこで,本研究では,健康意識 として,昨
多 くしているにもかかわ らず,生活時間や食事
夜の寝つ き,今朝の 目覚め,朝の排便,今 日の
の摂取状況 との関連を少な くしていると考えら
体調の 4項 目を取 り上げ,曜 日別比較 と自覚症
れる.そ して,平 日のゆとりのない生活行動の
状 との関連 をみてみた.健康意識には,今朝の
反動が,休 日である土曜 日の生活行動を不健康
目覚めのみ曜 日差がみ られ,土曜 日に今朝の 目
なものにして, 自覚症状 との関連 を多 くするも
0.
5
% と多 くなっていた.
覚めが 「
良かった」が4
の と推察 される. このことは,週休 2日制に賛
しか し,朝の排便が 「なかった」が土曜 日で も
成する理由や土曜 日の過 ごし方に,遊び,休養,
6
4.
1
%み られるなど,土曜 日の健康意識は必ず
しも高 くなかった. 自覚症状の訴え数を土曜 日
と金曜 日の訴 え数の度数分布か ら 「0- 1」,
疲労回復が多かったことか らも考えられる.
状況を週休 2日制を踏まえて検討 してみると,
,
以上のように,児童のライフスタイルと健康
「2- 5」 「6以上」に 3区分 し,健康意識 と
休 日の土曜 日は金曜 日に比較 して自覚症状の訴
の関連をみてみると,これ らの健康意識は,土
え数は少な くなっていた. しか し,土曜 日には
曜 日,金曜 日ともに自覚症状の訴え数 との関連
健康的でない生活行動の者が多 く,生活行動要
がみ られ,健康意識の低 い者 は訴 え数が多 く
因と自覚症状の訴え数 との関連が多 くみ られた
なっていたことか ら,本調査方法で捉 えた自覚
ことか ら,週休 2日制の導入にあたっては,学
症状の訴え数 も健康状態の指標 として用い られ
校 と家庭, さらには,地域 とが一体 となった健
7
1
門田 :児童のライフスタイルと健康状況に関する調査研究
康増進対策 と健康教育の推進が必要であると考
え られた.
以上の ように,児童 は週休 2日制に賛成 して
いるが,遊 び,休養,疲労回復 を期待す るもの
Ⅴ 要
が多かった. ライフス タイル と健康状況 には曜
約
日差がみ られ,土曜 日には自覚症状の訴え数は
小学校 の児童 301名 を対象 に,週休 2日制 を
少 な くなっていたが,生活時間や食事の摂取状
踏 まえたライフス タイル と健康状況 に関する調
況 に問題点が多 くみ られた.休 日の健康的では
休 日) に
査 を週休 2 日の週の金曜 日と土曜 日 (
ない生活行動 は自覚症状の訴 え数 を多 くするこ
行い,生活時間や食事の摂取状況 と自覚症状の
とか ら,週休 2日制 を視野 に入れた健康増進対
訴 えとの関連 を中心 に検討 した.
策 と健康教育の充実が必要であると考えられた.
塙 を終わるにあたって,調査 にご協力いただ
結果 は,以下の とお りである.
0% と多
1)週休 2日制の賛否では,賛成が87.
,「自由な時 間
くなっていた.賛成 の理 由 は
,
,
のんび りで きる」 「た くさんの
が増 える」 「
友達 と遊べ る」が過半数 と多 くなっていた.
いた長峰市立仁 田小学校,小 島小学校の諸先生
方並 びに児童 に感謝の意 を表 します.
参考文献
,「友
1)保健体育審議会 :生涯にわたる心身の健康の
達 と遊ぶ」 「
か らだを休 ませ る」が過半数 と
保持増進のための今後の健康に関する教育及び
多 くなっていた.
スポーツの振興の在 り方 について (
答 申),ス
2) 週休 2日制 の土曜 日の過 ご し方では
,
3)生活時間では,就床,起床,睡眠,テ レビ
視聴,家庭学習,通塾 に曜 日差がみ られ,辛
ポーツと健康,2
9
(
l
l
)
,5
0
-9
2
,1
9
9
7.
2)NHK放送文化研 究所 :日本人の生活時間 ・
日と休 日の生活行動 の違いが大 きかった. し
1
9
9
5-NHK国民生活時間調査∼,日本放送出版
か し,運動 ・スポー ツに曜 日差 はみ られず,
-1
1
0,1
9
9
6
.
協会,79
土曜 日で も 「していない」が36.5% み られた.
4)食事 の摂取状況では曜 日差 はみ られなかっ
た. しか し,土曜 日には朝食 を 「
食べ ない」
が11.0% とやや多 くなっていた.
3) 日本子 ども家庭総合研究所編 :日本子 ども資
3
49
0,1
9
9
8.
料年鑑 (
第六巻),KTC中央出版,43
4)公衆衛生審議会 :生活習慣病に着 目した疾病
対策の基本的方向性について (
意見具申),栄養
5)健康意識では曜 日差 は少 なかったが,土曜
日には 目覚めが 「
良かった」40.5% ,排便が
「あった」34.2% とやや多 くなっていた.
6) 自覚症状の訴 えでは曜 日差がみ られ,30項
(
5)
,2
8
5
-2
9
0,1
9
9
7.
学雑誌,55
5)門田新一郎 :小学生の健康 と食生活 との関連
について∼簡易質問調査法による検討∼,幼小
児健康教育研究, 5(
2
)
,5
9
-6
9,1
9
9
6
.
目の平 均 訴 え数 は金 曜 日5.1,土 曜 日4.0と
6)門田新一郎 :小学生の健康状況に関連する要
なっていた. しか し,土曜 日で も 「
あ くび
因の検討∼自覚症状の訴え数 と行動要因との関
ねむい」 「
横 にな りたい」の訴 え
がでる」 「
連 に つ い て∼,岡 山 大 学 教 育 学 部 研 究 集
率 は42.9-28.9% 高 くなっていた.
録 ,9
1
,9
5
-1
0
4,1
9
9
2.
,
,
,
7)健康意識 と自覚症状の訴 え数には,土曜 日
7)門田新一郎 :中学生の健康状態 と食生活 との
と金曜 日ともに関連がみ られ,健康意識の低
関連について∼簡易アンケー ト調査による検討
い者 は訴 え数が多 くなっていた.
∼,栄養学雑誌,41
(
5)
,2
0
9
-2
2
2,1
9
8
7
.
8) 土曜 日には,生活時間及 び食事の摂取状況
と自覚症状 の訴 え数 には関連が多 くみ られた.
8) 門田新一郎,奥田久徳,平岡幸夫 :中学生の
生活管理に関する研究∼疲労 自覚症状 と体力及
遅い就床,遅い起床,長時間のテ レビ視聴,
び生活行動 との関連について∼,日本公衆衛生
運動不足,欠食 な ど健康 的でない生活行動の
(
1
0
)
,6
5
3
-6
6
0,1
9
8
7.
雑誌,34
者 は訴 え数が多 くなっていた.
9)産業疲労研究会 :産業疲労の 「自覚症状 しら
7
2
学校保健研 究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
ベ」 (
1
9
7
0
) に つ い て の 報 告,労 働 の科 学 ,2
5
2
2
5,1
9
7
6.
1
4)越 河 六 郎,藤 井 亀 :「
蓄 積 的 疲 労 徴 候 調 査」
(
6
)
,1
9
7
0.
1
0)文 部 省 :小 学 校 学 習 指 導 要 領,大 蔵 省 印 刷
(
CFSI
) に つ い て,労 働 の 科 学 ,6
3
(
5)
,2
2
9
2
46,1
9
8
7.
9
9
8.
局 ,1
l
l
)鈴木庄 亮 :自覚 症 状, 田中恒 夫 ・江 口篤寿編 ,
1
4
-1
31
,1
9
7
6
.
健康調査 の実際,医歯薬 出版 ,1
1
2
)深 町健 ,金久 卓 也 :日本 版 コ- ネル ・メデ ィ
1
5
)越河六郎 :CFS
I(
蓄積 的疲労徴候 イ ンデ ック
3
(
4)
,1
45
ス) の妥 当性 と信頼性 ,労働 の科 学 ,6
-1
5
7,1
9
91
.
カル ・イ ンデ ックス∼そ の解 説 と資料∼,三京
(
受付
屠 ,2
19,1
9
7
6.
1
3
)鈴木庄 亮 ,柳 井 晴 夫,青 木 繁伸 :新 質 問紙 調
00.1
0.1
6 受理
の 紹 介,医 学 の あ ゆ み ,9
9
(
4)
,2
1
7
査 票THI
莞
責
三
三
責
岡 山大 学 教 育学 部 (
門 田)
慕.
、
ふ
、♪
.
惑箪
豪
要
一
表 米き
、、
闇
苦
01
. 2.1
3)
連絡先 :〒700
-8530 岡 山市 津 島 中 3-1-1
`
/
主
事三
三
車
スター トした介遜保険についても紹介o
t総論 I
l人口 .保健統計 ‖ 生活環境と保健
翻
I
V
蜜環境保全 V国民栄養 V
I
食品衛生
VH疫学 V川 母子保健 l
X学校保健 X産業保険 Xt成人保健 .老人保健 XIL精神保健
XH 地域保健活動 XI
V衛生行政 X
V社会保障 .社会福祉
二
責
三三 栄養還 ;
iI盤 衆 衛 竪 琴
,
5
0
0
円
(
税別)村
松宰
/
梶
本
雅
俊
.
編B
5
.
1
6
6
頁.
定価
:
本体2,
4
0
0
円(
税別)
苦
三 幸
三
箆.
編B
5
.
1
7
4
頁.
定
価:
本
体
2
竹
本泰一郎/密藤
新
を
わテ
さ
たる保健活動の
キス
らに充実o
ト.社会福
立
流祉
れ
ち、
を介
総
と護
合
ら福
的
え祉
に
る理
公
、精
解
衆神
衛
し
保
生
、
健
生福
学
涯
の祉
最
に法
論も
わ
かり
や
すく
紹
介
o
健康と病気の成り
学校保健研 究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2
001;7
3-82
中学生 ・高校生の自律神経性愁訴 と
生活習慣 との関連について
堀
田 法
子1,古
田 真
司2,村
粉
骨
,枚
司 2
井 利 幸2
名古屋市立大学看護学部 1
愛知教育大学教育学部2
Re
l
a
t
i
o
ns
hi
pbe
t
we
e
nVe
ge
t
a
t
i
veCo
mpl
a
i
nt
sa
ndLi
f
e
s
t
yl
e
i
nt
heJ
uni
o
rHi
gh/
Hi
ghSc
ho
o
lSt
ude
nt
s
No
r
i
koHo
t
t
al
,
Ma
s
a
s
hiFur
ut
a
Z
,Ts
une
j
iMur
a
ma
t
s
u2,
To
s
hi
yukiMa
t
s
ui
2
1Nago
y
aCi
y Ur
t
u
'
v
e
l
・
S
i
y Sc
t
h
oo
lo
fNur
s
i
n
g
al
E
l
o
n
ZFac
uL
yo
t
fEdL
i
C
at
i
on
,Ai
c
hiU'
u
'
v
e
r
s
i
yo
t
fEdu
c
Thepr
e
s
e
nts
t
udye
xa
mi
ne
dr
e
l
a
t
i
o
ns
hi
pbe
t
we
e
nve
ge
t
a
t
i
vec
o
mpl
a
i
nt
sa
ndl
i
f
e
s
t
yl
eby
aque
s
t
i
o
nna
i
r
es
ur
ve
yo
fi
,
45
8j
uni
o
rhi
h a
g
ndhi
ghs
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
.Thel
i
f
e
s
t
yl
ei
t
e
msi
nc
l
ude
ds
l
e
e
pi
ngho
ur
s
,br
e
a
kf
a
s
t
,me
lt
a
i
me
s
,e
a
t
i
ngbe
t
we
e
nme
a
l
s
,a
nunba
la
nc
e
ddi
e
t
,e
xe
r
〟
c
i
s
e
.Sub
j
e
c
t
swe
r
ec
l
a
s
s
i
f
i
e
da
sha
vi
nge
i
t
he
ra po
s
i
t
i
vel
i
f
e
s
t
yl
e
"o
ra"
ne
ga
t
i
vel
i
f
e
s
t
yl
e
.
"
Ther
e
s
ul
t
swe
r
ea
sf
o
l
l
o
ws
:
1.Oft
he43ve
ge
t
a
t
i
vec
o
mpl
inti
a
t
e
mso
nt
heque
s
t
i
o
nna
i
r
e
,t
ho
s
ef
orwhi
c
ht
he
r
ewe
r
e
t
hehi
ghe
s
tnumbe
ro
fc
o
mpl
a
i
nt
swe
r
et
hes
a
mea
mo
ngma
l
ea
ndf
e
ma
l
ej
uni
o
rhi
gha
nd
,
""
s
t
i
だne
c
ka
nds
ho
ul
de
rmus
hi
ghs
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
:`
s̀
o
me
t
i
me
sf
e
e
lwe
a
r
ywi
t
h払t
i
gue
c
l
e
s
,
"a
nd"
mo
t
i
o
ns
i
c
kne
s
s
.
"Fe
ma
l
e
sha
dmo
r
et
henumbe
ro
fve
ge
t
a
t
i
vec
o
mpl
a
i
nt
st
ha
n
di
dma
l
e
s
,a
ndt
he
r
ewe
r
emo
r
ea
mo
nghi
ghs
c
ho
o
ls
t
ude
nt
st
ha
nj
uni
o
rhi
ghs
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
.
i
f
e2.Thenumbe
ro
fve
ge
t
a
t
i
vec
o
mpl
a
i
nt
swa
sgr
e
a
t
e
ri
ns
t
ude
nt
swhoha
da"
ne
ga
t
i
vel
s
t
yl
e"wi
t
hi
na
nyo
ft
hel
i
f
e
s
t
yl
ei
t
e
ms
.Amo
ngs
t
ude
nt
swi
t
ha`
ǹe
ga
t
i
vel
i
f
e
s
t
yl
e
,
"i
t
e
ms
f
o
rwhi
c
ht
he
r
ewe
r
eas
i
gni
f
i
c
a
nt
l
ygr
e
a
t
e
rnumbe
ro
fve
ge
t
a
t
i
vec
o
mpl
a
i
nt
swe
r
es
l
e
e
pngho
i
ur
s
,
br
e
a
kf
a
s
t
,
a
ndme
lt
a
i
me
sa
mo
ngj
uni
o
rhi
gha
ndhi
hs
g
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
.
3.43ve
ge
t
a
t
i
vec
o
mpl
inti
a
t
e
mswe
r
ef
a
c
t
o
r
a
na
l
yz
e
di
nt
o5f
a
c
t
o
r
s
:"
f
a
t
i
guea
ndl
i
s
t
l
e
s
s
-
ne
s
s
, gas
t
r
o
i
nt
e
s
t
i
na
ls
ympt
o
m,
'
‥ c̀
a
r
di
o
pa
l
musa
ndve
r
t
i
go
,
""
s
ki
na
ndva
s
o
mo
t
i
o
n"
a
nd"
s
ho
r
t
ne
s
so
fbr
e
a
t
h.
'
'
Thef
a
c
t
o
rs
c
o
r
e
sf
or5f
a
c
t
o
r
st
e
nde
dt
obehi
ghe
rf
o
ra
lmo
s
ta
l
ll
i
f
e
s
t
yl
ei
t
e
msi
ns
ub
j
e
c
t
s
it
w
h"
ne
ga
t
i
vel
i
f
e
s
t
yl
e
s
.
"Oft
he
s
e5f
a
c
t
o
r
s
,"
f
a
t
i
guea
ndl
i
s
t
l
e
s
s
ne
s
s
"wa
st
hemo
s
tc
o
mmo
n,a
ndwa
sr
e
l
a
t
e
dt
ou
f
e
s
t
yl
e
.Ne
xt
,"
c
a
r
di
o
pa
lmusa
ndve
r
t
i
go wa
sr
e
l
a
t
e
dt
ol
i
f
e
s
t
yl
e
.
"whi
c
hi
sr
e
l
a
t
e
dt
oe
xThe
r
ewe
r
enof
a
c
t
o
r
sf
orma
le
so
nl
y,whe
r
e
a
s"
s
ho
r
t
ne
s
so
fbr
e
a
t
h,
e
r
c
i
s
e
,
wa
saf
a
c
t
o
rf
o
rf
e
ma
le
so
nl
y.Thel
i
f
e
s
t
yl
ei
t
e
mr
e
l
a
t
e
dt
ot
hegr
e
a
t
e
s
tva
r
i
e
t
yo
ff
act
o
r
swa
ss
l
e
e
pi
ngho
ur
s
.
7
4
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
Ke
ywo
r
ds:j
uni
o
rhi
h s
g
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
,hi
h s
g
c
ho
o
ls
t
ude
nt
s
,l
i
f
e
s
t
yl
e
,
vege
t
a
t
i
vec
o
mpl
a
i
nt
s
中学生,高校生,生活習慣, 自律神経性愁訴
はじめに
近年,中 ・高校生に疲労感や心身の不調 など
した検討 もほとんどみ られていない.そこで今
回,申 ・高校生の自律神経性愁訴の特徴 を明 ら
かにし,生活習慣 との関連 を中学生 と高校生で
の不定愁訴 を訴 える ものが増加 してい る1tZ).
比較検討することを目的 とした.その結果,若
不定愁訴 とは, 自律神経系の変調 による機能性
干の知見を得たので報告する.
の障害を有する場合 にみ られる身体 ・精神の不
Ⅰ 調査方法
定 な愁訴のことである3). 自律神経系 は心 と体
を連結するルー トであ り,情動ス トレスが加わ
l.調査対象
6
8名,女子4
47
愛知,広島県下の中学生男子 5
ると,大脳新皮質 よ り末梢器官に伝達 され様 々
な症状 として現 れ る4 5).中 ・高校生の ような
名,高校生男子 1
81
名,女子2
6
2名の合計 1
,
45
8
思春期は,心身が急速 に発達するため不安定な
名である.
時期であることか ら,現代社会の不規則 な生活
2.調査方法
習慣や生活環境 は, 自律神経系に過敏に影響 さ
れることが考えられる.
9
97
年 7月である.
調査時期は1
小倉1
)
は,頭痛,腹痛,気分不良の 3主訴 の
0年間で 3倍 に増加
要因として,心理的要因が2
した ことを報告 し,小牧 ら2
)
は,福 岡県 の中 ・
無記名 自記式の質問紙調査 を用いて行った.
3.調査内容
自律神経性愁訴および生活習慣である.
1) 自律神経性愁訴
高等学校の約 7割弱の学校が,内科系主訴 を訴
の中か ら
阿部3)によるもので, 日本語版CMI
える生徒の割合が最近 4, 5年で増加 している
自律神経に関係の深い項 目をピックアップし,
という. このように現代の中 ・高校生の健康不
さらに乗 り物酔いや季節による変動などの新 し
9
7
0年
調の訴えは,増加の一途 を辿っている.1
3
項 目の 自律神経性愁訴である.
い項 目を加 えた4
後半か ら今 日まで,申 ・高校生の健康状態 と生
3
項 目の質問について 「はい」 または 「
い
この4
,
活習慣 の関連 をみた先行研 究 には,小倉 ら6 8'
いえ」のいずれかに答える様式 とした.
門田91
1
1
)
,高倉12-15)の研 究が あ り,健康状態 と
しての疲労 自覚症状や心身の不調 など様々な症
2)生活習慣
状は,睡眠時間や朝食摂取状況などが影響 して
閏,朝食,食事時間,偏食,間食,運動の 6項
Br
e
s
l
o
wの健康習慣 の基準 を参考21
)
に睡眠時
いることを報告 している.不定愁訴や健康不調
目の 日常生活状況 を調査 した.各項 目を 3-5
などの主観的健康状態の指標 には,CMI(
コ-
段階で質問 し,選択する様式 とした.
)
, 日本 産
ネル ・メデ ィカル ・イ ンデ ックス)16
業衛生学会産業疲労研究会の疲労 自覚症状 しら
THI)18),蓄積 的疲労
ベユ
7
)
,東大式健康調査票 (
,
」
」「8時 間」「7時
睡眠時 間は 「9時間以上
」
間 「6時間 「5時間以下」の 5段階,朝食は
」
」
時 々食べ る 「
食べ ない」,
「ほぼ毎 日食べ る 「
」
CFSI
)1
9
)
,抑 うつ性 自己評価 尺 度
徴 候 調査 (
やや不規則的で
食事時間は 「
規則 的であ る 「
(
SDS)
2
0
)などが用い られている.
先行研 究では,健康状 態 の指標 として,阿
不規則である」,間食は 「ほとんど食べ
ある 「
3
項 目を用いた
部3
)
が考案 した自律神経性愁訴4
ややある 「ない」の選択肢 を各々
は 「
ある 「
ものはみ られず,また,中学生 と高校生 を対比
設定 した.運動については 「
週に 3回以上運動
」
」
」
」
時 々食べ る 「
ほぼ毎 日食べ る」,偏食
ない 「
」
7
5
堀田ほか :中学生 ・高校生の自律神経性愁訴と生活習慣 との関連について
週 に 3回未満 運 動 す る」「
運動 しない」
す る」「
Ⅲ 結
の 3段 階 の質 問 と した.
4.調査分 析方 法
果
1.生活習慣
「
好 ま しい生 活 習慣 」 と 「
好 ま し くな い生 活
1) 自律 神 経性 愁 訴
43項 目の 自律 神 経 性 愁 訴 に つ い て,愁 訴 が
習慣 」 に再 カテ ゴ リー化 した もの を表 1に示 し
「あ る」 と回答 した もの の項 目数 を 自律神 経性
た. 睡 眠時 間 は, 中 ・高校 生 と も,約 40-45%
愁 訴数 と した. さ らに ,43項 目の 自律神 経性 愁
が 「
好 ま し くない習慣 」 で あ った.朝 食 は約 1
5
訴 を因子 分析 し, 5つ の 因子 を抽 出 した.
-20% ,食事 時 間 は約 50% , 間食 は約 80-90% ,
2) 生活 習慣 の再 カテ ゴ リー化
偏 食 は約 70-80% が 「
好 ま し くない習慣 」で あ っ
睡 眠時 閏,朝 食 ,食事 時 問, 間食 ,偏 食 ,運
た.運動 は, 中学生 と男 子 高校 生が約 1
5-30% ,
動 につ いて , 3- 5段 階 で 回答 した もの を,蘇
好 ま し くない習慣」 で
女子 高校 生 は約 60% が 「
本2
2
)
の健 康 習慣 の基 準 を参 考 に 「
好 ま しい習慣 」
あ った.
と 「
好 ま し くない習慣 」 に再 カテ ゴ リー化 した.
2.43項 目の 自律神 経 性 愁訴 の愁訴率 と愁訴 数
デー タは,数億 化 してパ ー ソナ ル コ ンピュー
43項 目の 自律神 経性 愁 訴 の愁 訴率 を表 Zに示
ター に入力 し,分析 に は統 計解析 パ ッケー ジ ソ
した.愁訴 率 の最 も高 い項 目は, 中 ・高校 生 と
フト 「
HALBAU」 を用 い た.
もに 「
35. 疲 れ て ぐった りす る こ とが あ る」 で
0-60% にみ られ,次 いで 「1
9.肩 や首筋 が
約5
こ る」 「
43. 乗 り物 に よ う」 で あ った. 中学 生
表 1 中学生お よび高校生の生活習慣
中
学
男子
生
女子
高
校
男子
生
女子
睡眠時間
好 ましい習慣 (7, 8時間)
好 ましくない習慣 (9時間以上 , 6時間以下)
33
4(
61.
5
) 235(
55.
3) 11
3(
62.
8) 1
41(
5
4.
2
)
2
09(
3
8.
5
) 1
90(
4
4.
7) 67(
37.
2) 11
9(
45.
8)
朝食
好 ましい習慣 (
ほぼ毎 E
I
食べ る)
426(
7
7.
9
) 3
49(
81.
2
) 1
52(
84.
0) 22
3(
86.1
)
好 ましくない習慣 (
時々食べ る,食べ ない)
1
21(
2
2.1
)
81(
1
8.
8)
29(
1
6.
0)
36(
1
3.
9
)
食事時間
好 ましい習慣 (
規則的)
256(
47.1
) 2
07(
48.
6
)
91(
5
0.
8) 1
35(
5
2.
1
)
好 ましくない習慣 (
やや不規則的,不規則)
2
88(
52.
9) 21
9(
51.
4)
88(
49.
2
) 1
2
4(
47.
9
)
間食
好 ましい習慣 (
ほ とん ど食べ ない)
好 ましくない習慣 (
時々食べ る,ほぼ毎 日食べ る)
1
01(
1
8.
5) 5
0(
l
l.
6
) 39(
21.
5
) 3
0(
l
l.
6)
4
46(
81.
5) 3
81(
88.
4) 1
42(
7
8.
5
) 2
2
8(
88.
4)
偏食
好 ましい習慣 (
ない)
好 ましくない習慣 (
ある,ややある)
1
57(
2
8.
8) 91(
21.1
) 6
2(
3
4.
3
) 80(
3
0.
9)
38
8(
71
.
2) 3
40(
7
8.
9) 11
9(
65.
7
) 1
7
9(
6
9.
1
)
運動
好 ましい習慣 (3回以上す る)
好 ましくない習慣 (3回未満する,全 くしない)
註 1)数字は人数, ( ) は%
46
4(
85.
0) 29
7(
69.
2) 1
32(
73.
4) 9
7(
3
7.
7)
82(
1
5.
0) 1
32(
3
0.
8) 48(
26.
6
) 1
6
0(
6
2.
3)
7
6
pnJSc
j
z
o
oIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
学校保健研究 J
表2
43
項 目の自 律 神
1.いつ も耳鳴 りがす る
3.心臓がお きえつ け られる
4.動博が気 になる
5.心臓が狂 った ように早 く打つ
6. よく息苦 しくなる
7.人 よ り息苦 しい
8.時々座っていても息切れがする
9.夏で も手足が冷 える
1
0.手足 の先が紫色 になる
ll.いつ も食欲がない
1
2. はきけがあった りはいた りする
1
3. 胃の具合が悪 くて困 る
1
4.消化が悪 くて困る
1
5. いつ も胃の具合が悪 い
1
6.食後や空腹 時に胃が痛 む
1
7. よ く下痢 をす る
1
8. よ く便秘 をす る
1
9.肩や首筋が こる
2
0.足がだるい
2
1.腕がだるい
2
2
.皮膚が非常に敏感でまけやすい
23.顔がひどく赤 くなることがある
24.冬 で もひ ど く汗 をか く25. よく皮膚 に章麻疹がで きる
26. よくひどい頭痛がす る
27. いつも頭が重いか痛むためきがふさぐ
2
8.急に体があつくなったり冷たくなる
29. たびたびひ どいめ まいがす る
3
0.気が遠くなり倒れそうな感じになる
31.今 までに 2回以上,気を失った
32.体のどこかにしびれや痛みがある
33.手足 がふ るえることがある
3
4.体がカーとなって汗がでることがある
35.疲れて ぐった りすることがある
36.時に夏になるとひどく体がだるい
37.学枚へ行 くと疲れきってしまう
3
8.朝起きるといつも疲れきっている
39. ちょっと運動 しただけで疲れる
40. ご飯が食べ られないほど疲れる
41.気候の変ノ
化で体調がかわる
42.特異体質と医者にいわれたことがある
43.乗 り物 によう
愁訴の愁
(n -1
0
1
5
)
子
女
子 男 女差
(
n= 5
6
8
) (a -447
)
24 (4
.
2
) 28(6.
3
)
1
0
1(
17
.
8)1
2
0(
26
.
8
) ***
7
6(
13
.
4) 7
5(
16
.
8
)
2
6(4.
6
)
5
0(
ll
.
2
) ***
2
5(4.
4) 2
6(5.
8
)
4
4(7.
7
) 5
8(
13
.
0
) **
3
6(6.
3
) 1
6(3.
6
)
1
3(2.
3
) 1
6(3
.
6
)
27
(4.
8
) 46(
1
0.
3
) **
1
0(1
.
8
)
2
1(4.
7
) *
2
7(4.
8
)
2
9( 6
.
5
)
3
0(5.
3
) 3
0(6
.
7
)
4
3(7.
6
) 4
6(
1
0.
3
)
7(3.
2
4(4.
2
) 1
8
)
.
5
) 1
8(4.
0
)
1
4(2
4
6(8.
1
) 43(9.
6
)
6
0(
10
.
6
)
3
0(6.
7
) *
4(
1
6.
6
) ***
2
9(5.
1
) 7
2
4
4(
43
.
0
)2
5
3(
5
6.
6
) ***
1
6
0(
28
.
2
)1
3
6(
3
0.
4
)
18
.
8
) 9
2(
2
0.
6
)
1
0
7(
5
7(
10
.
0
) 8
4(
1
8.
8)- *串*
4
3(7.
6
) 6
8(
1
5.
2
) ***
4
) 2
8(6
.
3
)
42(7.
3
5(6.
2
) 5
3(
l
l.
9
) *串
6
7(
ll
.
8
)
6
3(
1
4.
1
)
2
5(4.
4
) 36(8.
1
) *
1
7(3.
0
) 4
0(8.
9
) ***
6(
15
.
1
) 86(
1
9
.
2
)
8
8
3(
14
.
6
) 7
8(17.
4
)
2
6(4.
6
) 2
4(5
.
4)
8
)
2
5(5
.
6
)
5
0(8.
62
(
10
.
9
) 7
0(
1
5
.
7
) *
7
7(
13
.
6
) 8
0(17.
9
)
50
.
9
)2
7
4(
6
1
.
3
) **
2
8
9(
1
7
2(
30
.
3
)1
8
5(
41
.
4) 串**
3
0(
2
9.
1
) *
23
.
1
)1
1
31(
1
1
7(
20
.
6
)1
1
5 (25
.
7
)
12
.
7
)1
0
7(
2
3.
9
) ***
7
2(
2
6(4.
6
) 31(6.
9
)
1
1
3(
19
.
9
)1
3
9(
3
1
.
1
) 串串串
8
) 23(5.
1
)
1
6(2.
2
0
4(
3
5.
9
) 21 (
49
.
0
) 串*察
中学生
男
2.心臓が しめつ け られ る
経 性
9
訴
率
高校生
(
n-443)
子
女 子
男 女 差 中 ・
高差
(n - 1
81
) (n =2
6
2
)
7(3.
9
) 1
4(5.
3
)
35
(19
.
3
) 7
8(
2
9.
8
) *
2
3(
1
2
.
7
) 3
8(
2
2.
1
) *
1
2(6
.
6
)
2
4(9.
2
)
1
2(6
.
6
)
1
0(3.
8)
1
6(8.
8
)
2
9(
l
l
.
1
)
l
l( 6
.
1
) 1
6(6.
1
)
7(3.
9
) 7(2.
7
)
l
l(6
.
1
) 3
3(
1
2.
6
) *
2( 1
.
1
) 1
8(6.
9
) **
7(3.
9
) 7(2
.
7
)
△
8(4.
4
) 1
9(7.
3
)
1
6(8.
8
) 4
9(
1
8.
7
) **
△△
1
0(5
.
5
) 1
8(6
.
9
)
1
2(6.
6
)
2
1(8.
0
)
A△
1
4( 7.
7
) 4
8(
1
8.
3
) 串*
△△
3
2(17.
7
) 44(
1
6
.
8)
A △△△
6( 3.
3
) 81(
3
0.
9
) ***
△△ △
7
4(
4
0.
9
)
1
5
9(
6
0.
7
) *串*
5
8(32.
0
) 9
3(
3
5.
5
)
3
3(18.
2
) 4
8(
1
8.
3
)
1
8(9.
9
) 6
7(
2
5.
6
) *車*
△
1
3( 7.
2
) 41(
1
5.
6
) *
1
8(9.
9
) 1
0(3.
8) *
9(5.
0
) 2
6(9.
9
)
1
3( 7.
2
) 3
4(
1
3.
0
)
1
7(9.
4
)
2
6(9.
9
)
A
7(3.
9
) 2
2(8.
4
)
2
1(
l
l
.
6
) 31(
l
l
.
8
)
△
2
5(
1
3.
8
) 43(
1
6.
4
)
1
4( 7.
7
) 2
0(7.
6
)
1
2( 6.
6
) 1
7(6.
5
)
19
(
1
0.
5
) 3
5(
1
3.
4
)
3
9(
21
.
5
) 4
2(
1
6.
0
)
A
9
8(
5
4.
1
)
1
6
0(
6
1
.
1
)
6
1(
3
3.
7
)
1
1
0(
4
2.
0
)
5
4(
2
9.
8
) 9
3(
3
5.
5
)
4
9(27
.
1
) 5
6(
2
1
.
4)
2
8(
1
5.
5
) 8
4(
3
2.
1
) ***
△
1
2(6.
6
)
2
4(9.
2
)
5
5(
3
0.
4
) 9
7(
3
7.
0
)
A A
o(0.
0
) 4(1
.
5
)
△
6
7(37
.
0 1
2
3(
46
.
9
)*
男
)
註 1)数字 は人数, ( ) は%
註 2)検定は x2
検定で, 中学 ・高校生別 に男女 を比較 した. *p<0.
05 **p<0.
01 ***p<0.
001
また,男女別 に中学生 と高校生 を比較 した.男子 :Ap<0.
05 AAp<0.
01 AAAp<0.
001
女 子 :△p<0
.
05 △ △p<0.
01 △△ △p<0.
0
0
1
7
7
堀田ほか :中学生 ・高校生の自律神経性愁訴と生活習慣 との関連について
表 4 生活習慣別 自律神経性愁訴数
と高校 生 を比較 す る と,男 子 で は, 中学生 に有
意 に愁 訴 率 が 高 い項 目は み られ なか っ た が ,
「
警まご 、
慧
「1
5」「
1
7」「
27」「
3
4」「
41
」 は高校 生 に有 意 に
1
1
」「
29」「
42」
愁 訴率 が 高 か った.女子 で は, 「
が 中学 生 に ,「
1
3」「
15
」「
16」「
1
7」「
1
8」「
22」
男 睡眠時間 3
3
4 4.
8 4.
22
0
96
.
15
.
5 ***
「
39」 が高校 生 に有 意 に愁 訴率 が 高か った.男
女 と も, 中学生 よ り高校 生 に有 意 に愁 訴率 の高
r
n
wまし諾 いg
s芸」検定
食事時間 2
5
6 4.
6 4.
42
8
85
.
95
.
0 **
1
01 4.
7 4.
4
4
2
64
4.
.
84
4.
.
3
1
5
7
7
2
46
4 5.
2 4.
7
4
4
65
.
4 4.
8
1
2
15
6
.
94
5
.
6 *車串
3
8
8
.
5
.
9
8
25
.
85
.
0
い項 目は多 か った. また,男 女 を比較 す る と,
間食
チ
学
中 朝食
偏食
中学 生 で は 「
1
7」 が 男 子 に,「2」「4」 「6」
坐 運動
な ど1
9項 目が女子 に,高校 生 で は 「
24」 が男 子
女 睡眠時間 2
5
7 6.
65
.
71
9
0 7.
96
.
0*
に ,「2」「3」「9」 な ど1
2項 目が 女 子 に有 意
に愁 訴 率が 高 か った. 中 ・高校 生 ともに,男 子
よ り女子 に有 意 に愁 訴率 が 高 い項 目は多 か った.
自律 神 経性 愁 訴 数 は,表 3に示 す よ うに, 中
学 生 よ り高校 生 にや や多 く,男 子 よ り女子 に有
表 3 中学生お よび高校生の 自律神経性愁訴数
n
中学生
高校生
学
21
9 8.
26
.
3 喪喪*
81 9
.
07
.
0*
*
3
81 7
.
05
.
6
3
4
07
.
25
.
7
1
3
2 8.
3 6.
5
**
罪 睡眠時間 1
1
35
.
5 5.
7 6
76
.
2 5.
9
意 に多 か った.
男
食事時間 2
0
7 6.
1 5.
2
チ
中 朝食
3
4
9 6.
7 5.
5
間食
5
0 8.
3 7.
2
偏食
9
1 7.
1 6.
4
坐 遊動
2
9
7 6.
6 5.
4
子
M SD
女
n
子
M SD
検定
568 5.
2 4.
7 447 7.
1 5
.
8 ***
1
81 5.
8 5
.
8 262 7.
8 5
.
8 ***
註 1)n-人数,M -自律神経性 愁訴数 (
4
3
項目
D
の 自律神経性愁訴の訴えた数)の平均値 ,S
-標準偏差.
千 朝食
1
5
25
.
3 5.
5 2
9 8.
4 6.
4
食事時間 9
15
.
4 5.
7 8
86
.
2 5.
8
校
r
司 間食
偏食
坐 運動
**
3
9
9
.
31
1
4
26
6
.
15
6
.
1
6
24
5.
.
24
5.
8
1
9
.
2
.
7
1
3
2 5.
5 5.
5 4
8 6.
96
.
4
女 睡眠時間 1
41 6.
95
.
31
1
9 8.
86
.
3
*専
食事時 間 2
1
3
5
8
.
2
2
4
.
9
.
3
チ
Ji
L朝食
2
36
7.
.
75
5
.
71
3
68
8
.
66
6
.
6 **
校
同
間食
偏食
3
0 8.
5 6.
02
2
8 7.
05
.
6
8
0 7.
55
.
51
7
9 7.
96
.
0
註 2)検定は t検定で,男女差 をみた. *
p<0.
0
5
・*
p<0.
01
***
p<0.
0
01
性 別 中学 ・高校 生 の比較 で は有意差 は な
かった.
3.自律 神経 性愁 訴 数 と生 活 習慣
睡 眠時 間,朝食 ,食事 時 間, 間食 ,偏 食 ,運
註 1)a-人数,M -自律神経性 愁訴数の平均値,
SD-標準偏差.
好 ま しい習慣」 と 「
好
註 2)検 定 は t検定で 「
ましくない習慣」の 自律神経性愁訴数 を比較
,
.
05**p<0.
01***p<0.
0
0
1
した.*p<0
動を 「
好 ま しい習慣 」 と 「
好 ま し くない習慣」
の もの に分 け, そ の 自律 神 経性 愁 訴 数 を表 4に
示 した. 「
好 ま し くな い習慣 」 の 方 に有 意 に 自
律 神 経性 愁 訴 数が 多 か った生活 習慣 は, 中学 生
で は,睡 眠時 間,朝食 ,食事 時 間,女子 はそ れ
ス 回転 を用 い て 5つ の 因子 を抽 出 した. 4
3項 目
に加 え運動 ,高校 生 で は,男 子 が 朝食 ,女 子 が
の 自律 神 経性 愁訴 と因子負荷 量 を表 5に示 した.
睡 眠時 間 と食事 時 間であ った.
各 々の 因子 の 因子 負 荷 量 が 0.
3以 上 の もの を選
4.因子 分析 によ る 自律神 経 性愁 訴
び , 5つ の 因子 につ い て は,以下 の よ うな解釈
男女計1
,
45
8名 の デ ー タを用 い て ,43項 目の
を与 え た. 第 1因子 は 因子 負 荷 量 の 高 い 順 に
自律神 経性 愁 訴 の 因子分析 を行 い,バ リマ ック
「
20」「
36」 「
21
」「
37」 「
3
8」 「
35」 な ど の 1
0項
7
8
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
表5 4
3
項 目の自律神経性愁訴の因子分析 による因子負荷量
第 1因子
第 2医卜
子
(
疲れ・
だるい) (胃腸)
2
0
.足がだるい
3
6
.時に夏になるとひどく体がだるい
2
1.腕がだるい
3
7
.学校へ行 くと疲れ きって しまう
3
8.朝起 きるといつ も疲れ きっている
3
5
.疲れて ぐった りすることがある
3
9
.ちょっと運動 しただけで疲れる
2
7
.いつ も頭が重いか痛むためきがふさぐ
1
9
.肩や首筋がこる
41.気候の変化で体調がかわる
1
3
.胃の具合が悪 くて困る
1
5
.いつ も胃の具合が悪い
1
4
.消化が悪 くて困る
1
6
.食後や空腹時に胃が痛む
1
7
.よく下痢 をする
2.心臓が しめつけ られる
3.心臓がおきえつけられる
3
0
.気が遠 くな り倒れそうな感 じになる
2
9
.たびたびひどいめまいがする
2
3
.顔がひどく赤 くなることがある
2
2
.皮膚が非常に敏感でまけやすい
2
5
.よく皮膚に葦麻疹ができる
3
3
.手足がふるえることがある
7.人より息苦 しい
6.よく息苦 しくなる
8.時々座っていても息切れがする
1.いつ も耳鳴 りがする
4.動博が気 になる
5.心臓が狂ったように早 く打つ
9.夏で も手足が冷える
1
0.手足の先が紫色になる
ll.いつ も食欲がない
1
2
.はきけがあった りはいた りする
1
8.よく便秘 をする
2
4
.冬で もひどく汗をか く
2
6
.よくひどい頭痛がする
2
8.急 に体があつ くなった り冷た くなる
3
1.今 までに2
回以上,気を失った
3
2
.体の どこかにしびれや痛みがある
3
4.体がカー となって汗がでることがある
4
0.ご飯が食べ られないほど疲れる
4
2
.特異体質 と医者にいわれたことがある
4
3
.乗 り物によう
0
.
6
1
2
2
0
.
5
8
5
6
0
.
5
6
8
9
0
.
5
1
5
7
0
.
5
0
6
5
0
.
4
5
1
1
0
.
3
4
6
5
0
.
3
3
8
4
0
.
3
3
4
5
0
.
3
2
6
7
0
.
0
7
3
9
0
.
1
1
5
5
0
.
0
4
7
0
0
.
1
5
8
0
0
.
0
3
9
4
0
.
0
6
5
5
0
.
0
9
3
1
0
.
2
0
4
4
0
.
2
8
4
9
0
.
1
2
1
9
0
.
1
5
4
9
0
.
0
8
7
0
0
.
1
4
0
3
0
.
0
7
6
3
0
.
2
2
4
4
0
.
0
9
0
2
0
.
1
3
2
4
0
.
1
1
1
1
0
.
0
7
7
6
0
.
1
5
9
8
0
.
0
8
2
1
0
.
1
8
3
8
0
.
1
3
9
5
0
.
0
6
3
8
0
.
1
4
7
2
0
.
2
1
7
9
0
.
0
9
0
4
0
.
0
7
1
6
0.
1
7
9
9
0
.
1
8
6
4
0
.
2
4
4
7
0.
0
5
7
8
0.
1
6
5
4
6
.
7
4
4
0
6
.
7
4
4
0
0.
0
5
0
5
0
.
0
3
5
9
0
.
1
1
5
0
0
.
1
2
0
0
0
.
1
2
4
7
0
.
0
0
3
5
0
.
1
2
2
9
0
.
2
2
9
1
0
.
0
4
9
4
0
.
1
6
1
6
0
.
6
9
6
3
0
.
6
4
7
1
0
.
4
7
6
5
0
.
3
8
5
4
0
.
3
1
7
9
0
.
0
1
6
5
0
.
0
4
2
2
0
.
1
1
0
1
0
.
1
0
6
3
0
.
1
0
7
9
0
.
1
4
3
0
0.
0
9
41
0
.
0
9
6
7
0
.
0
9
9
6
0
.
1
0
0
6
0
.
1
9
7
1
0
.
1
4
8
7
0
.
1
0
1
2
0.
0
3
7
3
0
.
1
6
5
1
0
.
1
3
8
9
0
.
1
3
5
9
0
.
2
5
1
6
0
.
2
2
7
0
-0
.
0
1
8
9
0
.
2
2
0
4
0
.
1
4
2
7
0
.
1
0
7
3
0
.
0
9
7
5
0
.
0
0
0
9
0
.
1
1
9
2
0
.
0
6
7
1
0
.
0
4
2
1
4.
6
1
0
4
1
1
.
3
5
4
5
因子の寄与率 (
%)
累積寄与率 (
%)
註 1)因子分析 :回転後の因子負荷量 (
直交回転)バ リマ ックス法
第 3因子
第 4因子
第 5因子
(
心臓・
めまい) (
皮膚 ・血管) (
息苦 しい)
0
.
0
1
2
1
0
.
1
7
8
1
0
.
0
2
0
7
0.
1
2
9
9
0
.
1
0
2
2
0.
1
7
0
0
0
.
1
1
9
7
0
.
3
1
1
0
0
.
0
8
9
7
0
.
1
7
2
4
0
.
0
9
6
9
0
.
0
0
9
4
0
.
0
8
9
5
0
.
0
8
9
6
0
.
0
4
6
1
0
.
5
2
9
2
0
.
4
8
3
6
0
.
4
3
1
9
0
.
4
0
9
8
0
.
0
8
3
7
0
.
0
0
5
0
-0.
0
3
8
5
0.
0
9
9
4
0
.
0
5
6
5
0
.
2
0
5
8
0
.
1
5
6
0
0.
1
4
6
1
0
.
2
6
4
6
0
.
2
5
9
1
0.
1
4
8
1
0
.
1
3
0
4
0
.
1
2
1
0
0
.
1
7
8
5
0
.
1
1
0
4
0
.
0
5
8
9
0
.
2
8
6
4
0
.
2
0
7
0
0
.
2
0
2
4
0
.
0
9
3
0
0
.
1
2
8
2
0
.
0
8
8
4
0
.
0
5
8
7
0
.
1
2
2
7
3
.
9
4
9
8
1
5
.
3
0
4
3
0
.
2
1
7
3
0
.
1
4
4
4
0
.
2
2
7
2
0
.
1
3
4
2
0
.
0
9
0
3
0
.
1
9
2
0
0
.
1
4
1
1
0
.
0
1
3
7
0
.
2
6
3
1
0
.
2
0
1
2
0
.
1
3
3
5
0
.
0
6
3
0
0
.
1
1
1
8
0
.
1
2
5
0
0
.
1
7
6
7
0
.
2
9
9
5
0
.
3
7
0
6
0
.
0
3
6
9
0
.
0
5
6
7
0
.
4
4
7
1
0
.
4
1
3
0
0
.
3
3
5
5
0
.
3
0
4
8
0
.
0
8
9
3
0
.
1
2
4
6
0
.
0
4
3
3
0
.
0
7
9
3
0
.
2
1
7
0
0
.
0
9
3
4
0
.
1
9
3
8
0
.
2
0
2
2
-0
.
0
0
3
4
0
.
0
4
9
0
0
.
1
4
6
4
0
.
1
7
9
0
0
.
0
5
6
0
0
.
2
4
6
6
-0
.
0
1
2
8
0
.
1
8
2
3
0.
2
8
3
3
0.
0
9
1
2
0.
1
5
3
0
0.
0
0
1
9
3
.
7
9
5
9
1
9
.
1
0
0
2
0
.
0
6
1
2
0
.
0
9
3
1
0
.
1
1
4
7
0
.
1
1
3
0
0
.
0
8
1
5
0
.
0
9
4
2
0
.
1
5
7
2
0
.
0
8
5
0
-0
.
0
4
4
2
0
.
1
1
7
5
0
.
0
9
8
0
0
.
0
6
1
0
0
.
0
6
7
6
0
.
0
6
8
0
0
.
0
8
5
9
0
.
1
0
3
6
0
.
1
1
9
6
0
.
1
3
3
2
0
.
1
0
1
7
0
.
0
0
6
4
0
.
0
5
4
2
0
.
0
5
4
5
0
.
1
5
5
4
0
.
6
9
4
2
0
.
5
9
6
3
0
.
3
9
9
0
0
.
1
2
1
9
0
.
2
9
5
1
0
.
1
8
6
5
0
.
0
2
8
8
-0
.
0
0
5
8
0
.
0
2
5
4
0
.
1
1
1
8
-0
.
0
2
0
1
0
.
1
8
7
7
0
.
0
8
8
0
0
.
1
4
6
8
0
.
0
2
2
9
0
.
1
0
2
7
0
.
2
2
8
4
0
.
0
7
0
2
0
.
0
7
4
8
0
.
0
3
6
3
3
.
4
9
3
2
2
2
.
5
9
3
4
堀田ほか :中学生 ・高校生の自律神経性愁訴と生活習慣との関連について
79
表 6 因子得点による 5つの因子 と生活習慣
朝
睡 眠時 間
食
食事 時 間
男子中学生
n-3
3
4
/nこ
こ2
09
=42
6
/
n=1
21
疲れ・だるい -0.17/ 0.06** -0.17/ 0.24
n
* * 容
胃腸
-0.
1
0
/-0.
07
-0.
l
l
/-0.
0
2
-0
.
1
6
/-0.
0
9
0.
0
4
/ 0.
01
心臓・めまい
皮膚・
血管
息苦しい
女子中学生
n-2
3
5
/n…
=1
9
0
疲れ・だるい -0.02/ 0.19*
胃腸
-0.
06
/ 0.
01
心臓・めまい 0.12/ 0.06
皮膚・
血管
0.
05
/ 0.
21
息苦しい
-0.
0
4
/-0.
0
0
男子高校生
n=
=1
1
3
/n=
=6
7
疲れ・だるい -0.02/ 0.03
*
0.
0
1
/-0.
0
3
心臓・めまい -0.17/ 0.07
皮膚・
血管
-0,
1
2
/-0.
1
6
息苦しい
0.
06
/ 0,
07
女子高校生
n-1
41
/
n-1
1
9
疲れ・だるい -0.03/ 0.13
胃腸
0.
1
7
/ 0.
3
5
心臓・めまい -0.03/ 0.17*
皮 膚・
血管
0.
1
4
/ 0.
3
0
息苦しい
-0.
0
9
/-0.
03
胃腸
-0
.
l
l
/-0.
0
3
-0
.
l
l
/-0.
0
4
-0.
1
2
/-0.
1
7
0.
0
1
/ 0.
0
7
n=3
49
/
n=81
0.
0
2
/ 0.
31**
-0.
07
/ 0.
1
6
0.
06
/ 0.
3
0*
0.
l
l
/ 0.
1
3
-0.
0
2
/ 0.
0
2
m≡1
5
2
/
n-2
9
-0.
0
5
/ 0.
3
5*
-0.
0
1
/ 0.
0
5
-0.
1
6
/ 0.
2
8*
-0.
1
4
/-0
.
1
5
0.
0
3
/ 0.
2
2
n=2
23
/
n=3
6
0.
0
4
/
0.
2
7
/
0.
0
5
/
0.
1
9
/
-0.
0
8
/
間
n-2
5
6
/n-2
88
10.
1
8
/ 0.
01車中
-0.
1
3
/10.
0
4
-0
.
l
l
/-0.
0
4
-0.
1
6
/-0.
1
0
-0
.
01
/ 0.
05
n-2
0
7
/n-21
9
-0.
0
4
/ 0.
1
9**
10.
1
3
/ 0.
0
3*
0.
0
5
/ 0.
1
5
0.
0
5
/ 0.
1
8
-0,
0
8
/ 0.
05
n=91
/
n=88
食
偏
食
n=1
01
/n-4
46 n-1
5
7
/
n=3
88
-0.
1
4
/-0.
0
7 10
.
l
l
/-0.
0
8
-0.
1
3
/-0.
0
8 -0
.
1
5
/-0.
07
-0.
1
4
/-0.
0
6 -0
.
1
0
/-0.
0
7
-0.
1
7
/-0.
1
2 -0.
1
6
/-0.
1
2
0
.
01
/ 0.
03 -0
.
06
/ 0.
06
遅
効
n:
=4
6
4
/
n-82
-0.
0
9
/-0.
0
4
-0.
1
0
/-0.
0
2
-0.
0
8
/10.
0
4
-0.
1
2
/-0.
1
9
-0.
0
0
/ 0.
1
4
n=5
0
/
n-3
81
0.
02
/ 0.
0
8
0.
06
/-0
.
0
4
0.
1
9
/ 0
.
0
9
0.
3
7
/ 0
.
0
8
0.
06
/-0.
0
2
n-3
9
/n-1
42
n-9
1
/n-3
4
0
-0.
0
9
/ 0.
1
1
0.
0
9
/一0.
0
6
0.
1
7
/ 0.
0
8
0.
1
5
/ 0.
1
0
10.
01
/-0.
0
2
2
/n=1
1
9
n-6
n=2
9
7
/
n=1
3
2
0.
0
4
/
-0.
0
7
/
0.
0
4
/
0,
0
8
/
-0.
0
8
/
n=1
3
2
/
n-4
8
-0.
06
/ 0.
06
0.
01
/-0
.
01
-0.
1
6
/-0.
0
0
.
l
l
/10.
1
8
-0
-0.
0
0
/ 0.
1
2
-0.
1
0
/ 0.
0
4
10
.
1
6
/ 0.
0
5
-0.
1
8
/-0.
06
-0.
1
9
/-0.
1
3
/ 0.
03
0.
1
8
-0.
2
0
/ 0.
1
2専
一0.
0
2
/ 0.
01
10.
1
3
/10.
06
-0.
1
0
/-0.
1
6
0.
1
6
/ 0.
01
-0.
0
0
/ 0.
0
6
-0.
0
5
/ 0.
1
4
-0.
1
2
/ 0.
0
2
-0.
1
2
/-0.
1
8
01
/ 0.
2
7
-0.
n=1
3
5
/n-1
2
4
/ 0.
2
2* *
-0.
0
9
0.
1
5
/ 0.
3
6
0
.
01
/ 0.
1
2
0.
1
9
/ 0.
2
5
-0.
l
l/-0
.
02
m-3
0
/
n=2
2
8
0.
1
2
/ 0.
05
0.
4
8
/ 0.
21
-0.
05
/ 0
.
0
8
0.
3
5
/ 0
.
1
9
.
05
/-0
.
0
6
-0
n=8
0
/n-1
7
9
0
.
01
/ 0.
0
7
0.
3
4
/ 0.
21
-0.
01
/ 0.
0
9
0.
21
/ 0.
2
2
-0.
1
3
/-0.
0
4
n-9
7
/n=1
6
0
-0.
0
5
/ 0.
1
4
0.
2
4
/ 0.
2
6
0.
1
2
/ 0.
0
2
0.
1
6
/ 0.
2
4
-0.
2
5
/ 0,
0
4**
註1)数字は,好ましい習慣 (
左側)
/好ましくない習慣 (
右側)の国子得点の平均値.nは人数.
註2)生活習慣の各項E
I
別に 「
好ましい習慣」と 「
好ましくない習慣」の因子得点の比較をt
検定で行った.
*p<0.
05 **p<0.
01 ***p<0.
0
01
日か ら構 成 され 「
疲 れ ・だ るい」 に関わ る因子
因子 は
と解釈 した.第 2
「
1
3
」「
1
5
」「
1
4
」「
1
6
」
「
1
7
」の 5
項 目で あ り,「胃腸」 に 関 わ る因子
「2」「3」「
3
0
」「
2
9
」
と解釈 した.第 3因子 は
の 4項 目であ り 「
心臓 ・め まい」 に関 わる因子
と解釈 した.第 4因子 は
「
2
3
」「
2
2
」「
2
5
」「
3
3
」
皮 膚 ・血 管」 に関 わ る因子
の 4項 目で あ り,「
と解釈 した.第 5因子 は
「7」「6」「8」 の 3
最 も多 くの生活習慣 と関連が あ った因子 は,
疲 れ ・だるい」 であ り, 中学生 は,
第 1因子 の 「
睡 眠時 間,朝食,食事 時 間 と,高校生 は,男子
が朝食 と偏 食,女子 が食事 時 間 と関連があ った.
次 いで,生活習慣 と関連が あ った因子 は,第 3
因子 の 「
心臓 ・め まい」 であ り,女子 中学生 は,
朝食 と運動 ,高校生 は,男子が朝食,女子が睡
眠時 間 と関連 が あ った.第 2因子 の 「胃腸」,
息苦 しい」 に関 わ る因子 と解 釈
項 目であ り,「
第 4因子 の 「
皮膚 ・血管」 の因子 は,女子 中学
した.4
3
項 目の 自律神 経性愁訴 か ら,第
生 だ け に関連 がみ られ た. いず れ も,「
好 まし
1因子
∼第 5因子 「
疲 れ ・だ るい」「胃腸 」「
心臓 ・め
皮膚 ・血管 」「
息苦 しい」 がみ いだ され
まい」「
た.
5.因子得点 による 5つの因子 と生活習慣
因子得 点 は, 因子負荷量 か ら対象者 すべ て に
くない習慣」 の方 に有意 に因子得 点が高か った.
第 5の 因子 の 「
息苦 しい」 は,女子 にだけ連
動 と関連が あった.運動 をす る こ とが週 に 3回
息
以上 よ り 3回未満 (しない も含 む) の方 に 「
苦 しい」 の因子が有意 にみ られた.
疲 れ ・だ るい」「胃腸 」「
心
対 し, 5つ の因子 「
一方,生活習慣 の なかで,最 も多種 の因子 と
臓 ・め まい」「
皮膚 ・血管 」「
息苦 しい」 の各 々
関 連 が あ っ た もの は,睡 眠 時 間 で あ り,「
疲
に算 出 された もので あ り,因子得 点が高 いほ ど
れ ・だ るい」「
心臓 ・め まい」「
皮膚 ・血管」 の
その 因子 を感 じてい るこ とになる. 5つ の因子
3種 の因子 と関連が あった. どの 因子 も 「好 ま
と生活習慣 との関連 を表 6に示 した.
し くない習慣」 の方 に有意 に園子得点が高か っ
8
0
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
I
He
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
た.
て鉄欠乏性貧血にな りやすいことが影響 してい
Ⅲ 考
察
1.生活習慣 について
1
9
9
3
年の中学生 ・高校生の生活調査2
3
)
では,
朝食 を毎 日食べ るものは中 ・高校生 ともに約 8
割であ り,睡眠時間は中学生が平均 7時 間4
2
分,
ると推察 される. したがって,これ らの因子が
中 ・高校生にみ られる思春期の代表的な愁訴 と
の解釈がで きると考えられる.
3.自律神経性愁訴と生活習慣 について
自律神経性愁訴数 と生活習慣 との関連では,
睡眠時間や朝食については,中 ・高校生 ともに,
0
分であった.朝食,睡眠時間
高校生は 6時間4
3
)
の調査 と同様な結果であっ
門田9
・
2
4
)
や高倉 ら1211
は,今回の対象 も同様 な状況であった.
た. しか し,運動 については,今回の結果では
2.自律神経性愁訴について
週に 3回以上運動 をする方が 自律神経性愁訴数
門田9
・
2
4
)
の中学 1年 と高校 2年 の疲労 自覚症
は少な く, とくに,女子中学生は顕著であ り,
状,斉藤 ら2
5
)
の中学 2年 と高校 2年の疲労 自覚
既報 とは差異があった.高倉ユ
2
)
は,週 3回以上
症状の報告によると中学生 より高校生に愁訴数
運動するものに慢性疲労 を訴え,北島 ら3
0
)
は,
は多かった.今回の調査 も,同様 な結果であっ
運動選手の方が愁訴 を多 く訴えることを報告 し
た.中学生 より高校生に愁訴が多 くなる理由に
ている.これについては,運動内容や持続時間
は,高校入学後か ら自意識の高 まり,社会的関
などの調査 も考慮 に入れて検討する必要がある.
心の広が り,性衝動のコン トロールなど自我機
次に,因子得点による 5つの因子 と生活習慣
能-の負担が大 きくなることなどが考えられる.
の関連 をみると,因子分析 により抽出された第
の調査,高倉1
5
)
の蓄積
また,小林2
6
)
によるTHI
1因子の 「
疲れ ・だるい」は,中 ・高校生の自
,GHQの調査,門
疲労の調査,斉藤 ら2
5
)
のTHI
律神経性愁訴 としても最 も代表的な愁訴であ り,
調
田2
4
)
の疲労の 自覚症状調査,安 田 ら27)のCMI
さらに,生活習慣 とも最 も関連があった. しか
査 によると,健康不調の訴えは,中 ・高校生 と
心臓 ・
し,第 2因子の 「胃腸」は,第 3因子の 「
もに女子 に訴え率が高いことを報告 している.
めまい」 より,生活習慣 との関連がな く,生活
n28)
,Kr
oe
nkeら2
9
)
は女子
海外 の文献で も,Che
習慣 にはあまり影響 されない と考えられる.便
の方が男子 より自覚症状の訴えが多いことを報
通異常 を主体 とした腹部症状が出現する過敏性
告 し,既報 と同様な結果であった.中 ・高校生
大腸症候群は,思春期の心身症の一つであ り,
のような思春期 は,第二次性徴 を迎え性ホルモ
心因的要素 と密接 に関与 している3
1
)
ことか ら,
ン等の著 しい分泌か ら心身にアンバ ランスが起
「胃腸」の愁訴は,心因的な原因で症状が現れ
こることか ら健康不調などの訴えも多 く, とく
やすい と考えられる. したがって,生活習慣に
「
疲れ ・だるい」と「
心
,
に女子は月経周期の面か らも不定愁訴が多 くな
影響 されやすい因子 は
ることが予測で きる.
臓 ・めまい」であることが明 らかになった.な
43項 目の 自律神経性愁訴 を因子分析 により抽
秦,女子にだけみ られた 「
息苦 しい」 と運動 と
疲
出 した最 も代表的な因子である第 1因子の 「
の関連は,女性ホルモ ンの増加 により皮下脂肪
れ ・だるい」は,今では小学生にもみ られ, 自
が増大する時期であるため,運動不足が呼吸 ・
律神経系 の愁訴の一つ として,学童期か ら更年
循環系-の影響 を強めていることが推察される.
期 に一般的にみ られる愁訴であると考えられる.
一方,最 も多 くの因子 と関連があった睡眠時
第 2因子の 「胃腸」は,思春期心身症の一つの
は, 7- 8時間の睡眠
閏については,高倉 2 13)
症状 として消化器系の症状 もあ り,心 因的な誘
時閏にうつ症状出現度が少 な く, 6時間以下の
因か ら出現する愁訴 と考えられる.第 3因子の
ものにイライラの訴えが多いことを述べている.
1
「
心臓 ・めまい」 は,思春期 による急速な体位
0時間以上のもの
また睡眠時間が 4時間以下 ,1
や運動量の増加,女子の月経 による失血 によっ
は, 7- 8時間の ものよ り死亡率が高いことや
8
1
堀田ほか :中学生 ・高校生の自律神経性愁訴と生活習慣との関連について
また不適当な睡眠時間は心臓 に影響 を与 えると
管」第 5園子 「
息苦 しい」の 5つの因子 を抽出
考え られ,徐波睡眠は身体的疲労の回復 に, レ
した. 5つの因子 の因子得点 は 「
好 ま しくな
ム睡眠は脳や心理的な回復 に必要であると考 え
疲れ ・
い生活習慣」の方が高い傾 向であ り 「
られていることか ら睡眠時閏は 7- 8時間とる
だるい」が最 も多 く生活習慣 と,次いで
,
,
,「心
2)とい う報告がある.今 回の結
ことが望 ま しい3
臓 ・め まい」が開通 していた.なお,女子 にだ
果か ら生活習慣項 目の中で も睡眠時間が最 も自
けみ られた 「
息苦 しい」の因子 は,運動 との関
律神経系 に影響 されることが考 え られ,適切 な
連があった. さらに,最 も多種 の因子 と関連が
睡眠時間をとることの重要性が示唆 された.
あった生活習慣 は,睡眠時問であった. 5つの
自律神経性愁訴の愁訴率の高い項 目や愁訴数
は,中学生 よ り高校生 に多 くみ られが, 自律神
因子 と生活習慣 との関連性 は,高校生 よ り中学
生 に多 くみ られた.
経系 の働 きが生活習慣 と密着 しているのは,高
謝
校生 より中学生, とくに女子中学生であること
辞
が明 らかになった.中学生の生活習慣の見直 し
本質問紙調査に当た り,御理解を頂 きました中
は, 自律神経性愁訴の軽減 に繋がる可能性が高
学校,高等学校の校長先生および,質問紙の配布,
いと推察 される.
回収 して くださいました諸先生方に心か ら御礼申
Ⅳ ま とめ
し上げますとともにご協力 して くださいました中
学校,高等学校の生徒の皆様に深 く感謝致 します.
中学生 ・高校生 1
45
8名 を対象 に, 自律神経性
引用 ・参考文献
愁訴 と生活習慣 について調査 し,申 ・高校生の
自律神経性愁訴の特徴 を明 らかに し,生活習慣
との関連 を中学生 と高校生で比較検討 した.
1)小倉学 :子 どもの心身の健康-その心理 ・社
l:3
7
4
3
,1
9
8
7
会的要因,こころの科学,l
1.生活習慣 については、申 ・高校生 とも,睡
2)小牧元,前田基成,久保千春 :中学校 ・高等
0-4
5
%,朝食は約 1
5
-2
0
%,食事
眠時間は約4
学才
交における生徒の心身の健康状況-養護教諭
時間は約 5
0
%が 「
好 ましくない習慣」であった.
に対する調査か ら-,思春期学,1
3:2
9
7
3
0
3
,
5
-3
0
%,女
運動 は,中学生 と男子高校生が約 1
0%が「
好 ましくない習慣」であっ
子高校生 は約6
た.
1
9
9
5
3)阿部達夫 :不定愁訴の概念 とその実態,治療,
5
2
(
8
)
,9
1
4
,1
9
7
0
2.4
3
項 目の 自律神経性愁訴のなかで,訴え率
,「疲れて ぐった りす ることがあ
る」
「
肩や首筋が こる」
「
乗 り物 によう」であっ
の高い項 目は
た. 自律神経性愁訴数は,中学生 より高校生 に
やや多 く,男子 よ り女子 に有意 に多かった.
,
3. 自律神経性愁訴数 は 「
好 ま しくない生活
習慣」の方 に多かった. とくに睡眠時間,朝食,
食事時間は,中 ・高校生 ともに有意に自律神経
4) 筒井末春,中野弘一 :自律神経失調症,永井
書店 ,P
P卜4
4
,1
9
8
6
5)手嶋秀毅 :ス トレスの生理,ス トレスの科学
4
と健康 河野友信,田中正敏 (
編)朝倉書店,2
6
6
,1
9
8
6
6)黒須洋子,小倉学 :中学生の心身の健康に関
する要因の研究 (
前編)第 2報 学校差 ・学年
差を中心に,健康教室,3
2
(
3
):5
3
6
0
,1
9
8
1
性愁訴数が多かった.生活習慣 と自律神経性愁
7)黒須洋子,小倉学 :中学生の心身の健康 に関
訴数 との関連性 は,高校生 よ り中学生に多かっ
た.
する要因の研究 (
後編)第 2報 学校差 ・学年
4.4
3
項 目の 自律神経性愁訴 を因子分析 し,節
8) 小倉学,岡本照美 :児童の心身の健康に関する
1因子 「
疲れ ・だるい」,第 2因子 「胃腸」,第
3因子 「
心臓 ・め まい」,第 4因子 「
皮 膚 ・血
2
(
5
):3
卜3
6
,1
9
8
1
差を中心に,健康教室,3
諸要因,学校保健研究,2
9:1
7
4
-1
8
3
,1
9
8
7
9)門田新一郎 :中学生の生活管理に関する研究
8
2
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
-疲労 自覚症状 に及 ぼす生活行動の影響 につ い
て- , 日本公衛誌 ,3
2:2
5
-3
5,1
9
8
5
1
9
8
7
平 山編), 日本子
2
3
)水 野清 子 :栄養 ・食 生活, (
1
0
)門田新 一郎,奥 田久徳,平 岡幸夫 :中学生 の
生活管理 に関す る研 究 (
第 2報)一疲労 自覚症
状 と体力お よび生活行動 との関連 について- ,
ども資料年鑑 第 5巻 ,2
3
3,2
5
9,KTC中央 出版,
9
9
6
名古屋 ,1
2
4) 門田新一郎 :高校生 の疲労 自覚症状 と生活意
識 ・行動 との関連 につ いて一数量化 Ⅱ類 を用 い
日本公衛誌 ,3
4:6
5
2
-6
5
9
,1
9
8
7
l
l
)門田新一郎 :中学生 の精神 的健康 に開通す る
要因の検討- 情緒不安定傾 向の塑分布 と不安 ・
悩 み との関連 につ いて- ,岡山大学教育学部研
究集録 ,1
01:2
1
5
-2
2
8,1
9
9
6
2:2
3
9
-2
4
7,1
9
9
0
た検討- ,学校保健研究 ,3
2
5
)斉藤和 雄,岩 田昇,安栄鉄 男,菅野正 人, リ
ス カ ・リナ ・ダルウ イタ :最近 の児童生徒 を と
りま く環 境 とス トレス 問題,学校 保 健 研 究,
1
2
)高倉 実 :中学生 の蓄積 的疲労徴候 と生活 の質,
生活株式の関連 について,民族衛生 ,6
0:3-ll,
1
9
9
4
3
3:5
2
-6
2,1
9
91
2
6
)小林幸子,石井荘子 ,川野辺 由美子 ほか :中
学生の愁訴 出現 に関与す る食生活因子 について,
1
3
)高倉 実,曙原盛遣,新屋信 雄,平 良一彦,≡
輪一義 :高校生 の抑 うつ症状 と健康習慣 との関
8:3
3
5
-3
4
5,
連性 につ い て,学 校 保 健 研 究 ,3
1
9
9
6
9:5
7
3
-5
7
9,1
9
9
0
小児保健研究 ,4
2
7
)安 田道子,加藤京子,丹理子 :CMI
に よる高
校生 の 自覚症状 についての研 究,学校保健研究,
3
4:4
2
6
431
,1
9
9
2
1
4
)高倉 英 , 崎原盛 造,秋坂真 史 ほか :高校 生 に
K.
:The epi
de
mi
o
l
o
gy o
fs
e
l
トpe
r
2
8)Che
n,M.
おける抑 うつ症状 と心理社会的要 因 との関連,
c
e
i
vedf
a
t
i
guea
mong adul
t
s
Pr
e
ve
nt
i
veMe
di
-
学校保健研究 ,3
9:2
3
3
-2
4
2,1
9
9
7
c
i
ne
,1
5
:7
4
-81
,1
9
86
1
5
)高倉 実,平 良一彦,新屋信 雄,三輪 二義 :高
2
9
)Kr
o
e
nke
,K.
,
Wo
od.
D.
a"Ma
nge
l
s
d
or
f
f
,A.
D.
e
t
校生の抑 うつ症状 の実態 と人口統計学 的変数 と
a
l
.
:Chr
oni
cf
a
t
i
guei
npr
i
ma
r
yc
a
r
e
,
J
AMA,2
6
0
:
の関係, 日本公衛誌 ,4
3:61
5
-6
2
3,1
9
96
9
2
9
-9
3
4
,1
9
8
8
1
6
)金 久卓也 ,深 町健 :CMI コ- ネル ・ネデ イ
カル ・イ ンデ ックス
その解 説 と資料,三京房,
1
9
9
7
3
0
)北 島晴夫,赤 塚 順一 :思春期不定愁訴 とその
誘因,思春期学 ,1
2:3
8
4
-3
5
3,1
9
9
4.
31
)筒井末春,芝 山幸久 :学童 ・思春期 の心 身医
1
7
)青竹博 :改訂産業疲労一 自覚症状 か らの ア プ
ローチ一 ,労働科学研究所出版部 ,1
9
9
3
1
8
)鈴木庄亮,柳 井 晴夫,青 木繁伸 :新 質問紙健
学的ケア,南山堂,6
7
-6
8
,1
9
9
3
3
2
)森本兼嚢監訳 :生活習慣 と健康
ライ フス タ
0
9
8,1
9
9
6(
Be
r
k一
イ ル の 科 学 ,HBJ出 版 局 ,6
康 調査 法THI
の紹 介,医学 の あ ゆみ,9
9:2
1
7
-
ma
n,L.
F.
,Br
e
s
l
o
w,L.
:He
lt
a
ha
ndWa
yso
fLi
v
2
2
5,1
9
7
6
i
ng)
-
1
9
)越 河 六郎,藤 井 亀 :「蓄積 的疲 労 徴 候 調 査」
(
CFSI
)に つ い て,労 働 科 学 ,6
3
(
5
):2
2
9
-2
46
,
1
9
8
7
2
0
) 川上憲人 :職場 でみ られ る抑 うつ症状 の リス
クファクター,労働の科学 ,4
2
(
8):1
5
-1
8,1
9
8
7
21
)森本兼嚢 :ライフス タイル研 究の意義 と展 望,
(
森本編),ライ フス タイル と健康 , 23
2,医
9
9
5
学書院,東京 ,1
2
2
)森本兼嚢 :ライ フス タイル と健康
(
受付
0
0. 9. 8 受理 01. 3. 5)
連絡先 :〒4
6
7
-86
01
1.身体
的健康度 と精神 的健康度,公衆衛生 ,5
1:6
3
-71,
名古屋市瑞穂 区瑞穂町字川澄 1番地
名古屋市立大学看護学部 (
堀 田)
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2001;83192
重複障害児 に対する 「
健康 の保持」の指導
一 医療相談 におけるよ りよい学校 ・
医療機関 ・家庭の連携 を探 る毛 利 清
美 *1
,杉
田
克
生*
2
*
l
千葉県立市原養護学校
*
2
千葉大学教育学部 臨床 医科 学
I
ns
t
r
uc
t
i
o
nf
o
r"
He
lt
a
hPr
o
t
e
c
t
i
o
n"i
nChi
l
dr
e
nwi
t
hMul
t
i
pl
eHa
nd
i
c
a
p
-Se
a
r
c
hf
o
rBe
t
t
e
rLi
a
i
s
o
nbe
t
we
e
nSc
ho
o
l
,
Ho
s
pi
t
a
la
ndHo
mei
nMe
d
i
c
a
lCo
uns
e
l
i
ngKi
yo
miMo
ur
i
串
I Ka
t
s
uoSugi
t
a*
2
"chi
baI
c
hi
har
aSc
ho
o
l
f
orMe
nt
al
l
yRe
t
or
t
e
d
2De
par
t
me
nto
fCl
i
f
u
'
c
alMe
di
c
L
ne
,Fac
l
i
l
yo
t
fEdu
c
at
i
o
n,Chi
b
aUm'
v
e
r
s
i
y
t
*
Wes
t
udi
e
da
bo
utme
di
c
a
lc
a
r
et
os
t
ude
nt
swi
t
hmu
l
t
i
pl
eha
ndi
c
a
pa
nds
e
a
r
c
he
df
o
rbe
t
t
e
rl
i
a
i
s
o
nbe
t
we
e
ns
c
ho
o
l
,ho
s
pi
t
a
la
ndho
mei
nme
d
i
c
a
lc
o
uns
e
l
i
ngbye
xa
mi
ni
ngt
hec
ur
r
e
nts
i
t
ua
t
i
o
no
fme
di
c
a
lc
o
uns
e
l
i
ng.Fr
o
m bo
t
ha
s
pe
c
t
so
fs
c
ho
o
la
ndme
di
c
i
ne
,me
di
c
a
l
c
o
uns
e
l
i
ngha
sbe
e
npe
r
f
o
r
me
dma
i
lybys
n
c
ho
o
lt
e
a
c
he
r
sunde
rt
hea
i
dso
fs
c
ho
o
l
-nur
s
e
t
e
a
c
he
r
sa
ts
c
ho
o
l
.The
r
ea
r
e
,ho
we
ve
r
,
l
i
t
t
l
er
e
l
a
t
i
o
ns
hi
psbe
t
we
e
nt
he
m.Mo
s
ts
c
ho
o
lt
e
a
c
h
e
r
sha
da
ni
nf
o
r
ma
t
i
o
na
bo
utt
he
i
rs
t
ude
nt
s
'me
di
c
a
lc
o
ndi
t
i
o
nv
iat
he
i
rpa
r
e
nt
sa
l
t
ho
ugh
t
he
yus
ua
l
l
ypa
s
s
e
dl
i
t
t
l
ec
l
e
a
rme
s
s
a
get
ot
hepa
r
e
nt
s
.
Wea
l
s
of
o
undt
ha
tnoc
o
nc
r
e
t
eque
s
t
i
o
nso
rpr
o
bl
e
msha
vebe
e
npr
e
s
e
nt
e
dt
oa
nydo
c
t
o
r
swhof
o
l
l
o
we
dt
hes
t
ude
nt
s
.I
ti
ss
ug一
ge
s
t
e
dt
ha
tt
hr
e
epo
nt
i
sa
r
ei
mpo
r
t
a
nta
st
her
o
l
eo
fs
c
ho
o
lf
o
rt
hei
mpr
o
ve
me
nto
ft
he
s
e
s
i
t
ua
t
i
o
n,I.a
c
c
o
mpl
i
s
hme
nto
fs
t
a
f
ft
r
ini
a
ngf
o
rhe
lt
a
hc
o
nt
r
o
li
nha
ndi
c
a
ppe
dc
hi
l
dr
e
n,2.
s
ys
t
e
mf
o
rde
mo
ns
t
r
a
t
ngt
i
hes
pe
c
i
a
lr
o
l
eo
fs
c
ho
o
l
-nur
s
et
e
a
c
he
r
s
,3.mut
ua
lunde
r
s
t
a
ndi
nga
ndi
mpr
o
ve
me
nto
fc
o
uns
e
l
i
ngme
t
ho
dsbe
t
we
e
nt
e
a
c
he
r
sa
ndpa
r
e
nt
s
.
-
Ke
ywo
r
ds:mul
t
i
pl
eha
ndi
c
a
p,he
a
l
t
hc
o
nt
r
o
l
,he
a
l
t
hpr
o
t
e
c
t
i
o
n,me
di
c
lc
a
o
uns
e
l
i
ng,
l
i
a
i
s
o
n
重複障害,健康管理,健康の保持,医療相談,連携
Ⅰ.はじめに
養護学校に在籍する児童生徒の障害の重度 ・
の維持増進 を図るための取 り組みの内容を 「
生
生理的管理」「
食事 ・栄養」
活 リズムの確立」「
「身体 ・運動」「
その他」の 5項 目に整理 し,
重複化 に伴い,子 どもたちの生命 を維持 し,健
それぞれの具体的な対応 を 「
学校の中で教員が
康状態の維持 ・改善を図るための指導 (
自立活
動 「
健康 の保持」の指導1
り が重要 となって き
実際にお こなえるもの」 という観点か らまとめ
ている5).
4
)
.米 山は,重度 ・重複障害児 の健康
ている2-
これ らの指導にあたっては,子 どもの障害や
8
4
学校保健研究 J
pnJSc
ho
oIH e
al
t
h4
3;2
0
0
1
病気の状況を知 り,家庭での様子や医療機関で
の治療内容 を把握す ることが重要である6).ま
の図 り方について調査 を行った.
回答形式は,いずれ も無記名による選択式,
た,障害が重いゆえに子 どもたちの健康状態は, 摘出式の方法 を主 とし,-部品等式,自由記述
環境の変化や加齢な どに伴 う体の状態の変化,
式で実施 した.
さらに障害があることによって引 き起 こされる
(
2) 調査期間
二次的障害 (
体の変形 ・拘縮,肥満等)などに
よって,常に不安定な状況下にある.これ らの
1
年 6月∼7月に実
調査 1,2ともに,平成1
施 した.
状況に対応するためにも医療機関や家庭 との連
(
3) 調査方法
携 は不可欠である2)7). とりわけ医療機関か らの
各養護学校長宛に質問紙 を送付 し,同年 7月
医療情報 (
障害や病気の状況,治療内容,学校
1
5日までに回答 を依頼 した.
生活での配慮事項についての情報)は,児童生
2.面接調査
(
1
)調査対象 と内容
徒が学校や家庭で生活 してい く上での指針 とな
り,学校 と家庭の共通理解 を図る基礎情報にな
調査対象は,重複学級児童生徒が基礎疾患で
り得 ることか ら重要な意味を持つ. しか し,こ
4カ所の医師1
7
名
通院 している割合の高い病院1
れまで学校 と医療機関 との情報交換に関 して,
6
名,小児整形外科医 1名)であっ
(
小児科医1
日常行われている主治医-の質問や相談に焦点
た.病院は,養護教諭に各学校の重複学級児童
をあてた研究はほとん ど行われていない.
生徒が基礎疾患で通院 している割合の高い病院
そこで,本研究では,学校か ら医療機関,特
を 2つあげて もらい,その中か ら抽出 した.抽
に主治医への質問や相談 (
以下医療相談)に焦
出にあたっては,一部の地域 に偏 らず,またあ
学校 と医療機
点 をあて,その実態 を調査 し 「
げ られた 2つの病院のうち 1つは含 まれること
関と家庭が どのように連携 してい くことが 『
健
を考慮 した.
,
康の保持』の指導 を行 ってい く上で望 ましいの
か」 という点について,学校の役割 を中心に明
らかにした.
Ⅱ.対象と方法
養護学校か らの相談内容 ・方法,養護学校か
らの相談に対する意見 ・要望等について調査を
行った.
(
2) 調査期間
2
月に実施 した.
本調査 は,平成11
年 9月∼1
l.質問紙調査
(
3) 調査方法
(
1
) 調査対象 と内容
調査対象 とした学校 は,千葉県内で重複学級
9
校であった.
を設置 している養護学校全 2
る質問法で実施 した.
0
年 度重複 学級担 任 (
小学
調 査 1は,平 成 1
6
6
名 を対象 とし
部 ・中学部 ・高等部各 2名) 1
0
年度の実践 を取 り上げ,重複学級児
た.平成1
各病院内で, 1人 2時間程度の個人面接によ
Ⅲ.結
果
1.医療相談の実施状況
2
9
校)か ら回答があっ
調査 した全養護学校 (
童生徒の健康上の課題,主治医への相談状況,
4
7
部で,回
た.重複学級担任か らの回答数は1
医療相談に際 しての保護者 との共通理解の図 り
8
.
6
%であった. また,養護教諭か らの
収率は8
方,養護教諭 との連携状況について調査 を行 っ
た.
9
部で,回収率は1
0
0
%であった.
回答数は2
(
1
) 主治医への相談
調査 2は,平成11
年度に当該養護学校 に所属
4
7
名が担当 して
回答のあった重複学級担任1
9
名 を対象 とした.平成1
1
年度の
する養護教諭2
いた児童生徒455名の うち,医療相談 を実施 し
実践 を取 り上げ,児童生徒の健康把捉や管理の
4
9
%)だった.これは,医師か
たのは233名 (
状況,医療相談における担任や保護者 との連携
らのア ドバイスが必要であると担任が判断 した
8
5
毛利ほか :重複障害児に対する 「
健康の保持」の指導
児童生徒の7
4% にあたった.医師か らのア ドバ
たとしてお り,その数は医療相談前に話 をして
イスが必要である と判 断 しなが らも相談 しな
いた担任の数 と比べて増加 していた.
かった児童生徒の担任 は,主な理由として 「
保
養護教諭全員が,普段か ら担任 と話 し合いを
相談
護者が 自主的に主治医に聞いて くれる 「
もっていた.その中には 「
担任か らあ ま りア
」
したかったがで きなかった」 をあげていた.
1
7名が相談 した内
医療相談 を実施 した担任 1
,
ドバイスを求め られない」 と答えた養護教論が
2名いた.医療相談の前 には,43%の養護教諭
」「食事」
9%の養
が 「
担任か らの申し出があれば」 また3
「
てんかん発作」の相談が特 に多かった.これ
護教諭が 「
積極的に」担任 と話 し合った り,担
体の変形 ・拘縮
容を図 1に示 した.「
は,担任が医師か らのア ドバイスを必要 とする
課題 としてあげた上位三つの内容 と一致 した.
%が 「
保護者に開いて
相談方法は,担任の79
任にア ドバイス した りすると回答 した.
校内での連携について,担任や養護教諭か ら
自由記述で得た意見を表 1にまとめた.
もらう」 をあげてお り,圧倒的に多かった.相
多 くの担任か ら 「
専門的な知識 (
医療の基礎
%が 「
診察 日等 を利用
談頻度は,児童生徒の32
知識 ・病気の正 しい理解等)や技術の向上」の
7%が 「
年 に 1回
して定期的に実施」,次 いで2
必要性 について意見があげ られた.養護教諭に
実施」であった.以下 「
半年 に 1回 「
学期 に
対 して も,研修の必要性や有資格者の必要性 な
」
1回」
「
必要に応 じて」の順だった.
どを求める意見がだされた.一方養護教諭か ら
,「担任が主で,養護教諭はサポー ト(応援)
(
2) 校内での連携
は
6%の担
児童生徒の健康上の課題について,9
にまわる」 と両者の関係 をあげる意見が多 く,
任が普段か ら養護教諭 と話す機会があるとした.
これ らの関係 を基盤 とした情報交換についての
しか し,医療相談前 に話す機会があるとした担
意見がだされた.
7%で,医療相談 を行 う際必ず しも養護教
任 は6
(
3) 家庭 との連携
諭 と話をしていなかったことがわかった.一方,
8%の担任が養護教諭 に結果を話 し
医療相談後8
7%の担任が普段か
健康上の課題について,7
ら保護者 と頻繁に情報交換 をしていた. さらに
1
7人中)
(
医療相談を実施 した担任1
体の変形 ・拘縮
66
食事 てんかん
50 _ 発作
呼吸
2
8 - 排疾 一覚醒一億眠一体温
2
5 リズ ム 調節
21
2
0
#F
8
i
政一 塞慧
図 1 医療相談内容
8
6
学校保健研究 J
p
nJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
表 1 校内での連携に関する意見
項
担
目
任
養 護 教 諭
教員の資質の
・子どもを見る目を養うこと
・ア ドバイスを求められたときに,難 しい
向上
・正
専門的な知識
養護教諭の研修の必要性及び有資格者の
必要性
しい理解等)や技術の向上
(
医療の基礎知識 .病気の
校 内 の体 制
・学校 として,学部として,学級として,
その子を見てい くという姿勢,体制づ く
り
・職員間の共通理解 を図る.(
担任によっ
て意識に差がありうまく情報交換が行わ
れていない)
担任 と養護教
諭との連携
・養護教諭の頻繁な巡回の必要性
・相互の共通理解 とその上での保護者との
共通理解
・養護教諭から必要とする情報が得 られな
・担任が主で,養護教諭はサポー ト(
応援)
にまわることが多い.
=>
保護者との窓口は担当
うまく橋渡 しをしてほしい
課題が多いと自分の力量のなさを感 じる.
普段か ら健康状態等の記録表 をつ けている担任
(
4
) 医療機関 との連携
の5
8% は,記録表 を見せ て話す機会 をもってい
た.
方法 を図 2に示 した.相 談 方 法 は, 5つ のパ
医療相談 を実施 した担任 11
7名が用 いた相談
医療相談では,9
6%の担任が保護者 に目的や
ター ンに分け られた.パ ター ン 1は保護者が担
内容 を説明 していた. しか し,毎 回説明 してい
任の代わ りに主治医に聞 く方法,パ ター ン 2は
た担任 は1
8%であった.医師の回答 を基 に保護
担任や養護教諭が保護者 と同伴 あるいは保護者
者 と話 し合 った担任 の割合 は 「
連絡帳 によるや
の承認 を得て主治医 と面談す る方法,パ ター ン
りと りです ん だ
思った」の理由か ら,相談時に説明を した担任
3は保護者 を通 じて文書で主治医に聞 く方法,
パ ター ン 4は保護者の承認 を得て電話で主治医
の割合 よ りも 6%減少 した.
に聞 く方法,パ ター ン 5は主 に病院や施設併設
」「話 し合 わ な くて も よい と
児童生徒の健康管理 について,7
6
% の養護教
諭が普段保護者 と話 し合 う機会があるとしてい
校で行われている方法で,病棟 な どで直接主治
医に聞 く方法であった.
た.話 し合いは,保護者が来校 している時間を
9
%で圧倒的に
相談実施率は,パ ター ン 1が7
利用 して行 うことが多かった. また,話す機会
高 く,パ ター ン 2が41
% ,パ ター ン 3が 1
7% で
が ない とした養護教諭 も 「
担任 を通 じて
あった.パ ター ン 4の実施率 は 1%で,ほとん
請,手紙などで」 と間接 的ではあるが,保護者
ど実施 されていなかった.
」「電
と関わ りをもっていた.
パ ター ン 3で用い られる文書 について,養護
家庭 との連携 について,担任や養護教論か ら
教諭 に 「
学校 として医師宛 に相談の 目的や内容
自由記述で得た意見では,特 に保護者 と共通理
を書 いた文 書 を作 成 して い るか」尋 ねた とこ
,「所
解 を図 りなが ら連携 してい くことの必要性が多
ろ,6
3
%が作成 してい る と答 えた. また
くあげ られた.
見やア ドバイスを医師か ら文書で もらうことが
で きるか」 については,9
3
%が もらうことがで
87
毛利ほか :重複障害児に対する 「
健康の保持」の指導
パ ター ン 1 (
保護者 を適 して)
[
実施率7
9
%] (複数 回答)
」
れなかった 「
回答の内容が納得いかなかった
(
よくわか らなかった)」 をあげた.
保
護者
相談方法別では,主治医 と話す方法 (
パ ター
5
%が納得することが
ン 2)で実施 した担任の8
主治 医 と面談)
パ ター ン 2 (
[
実施率4
1
%〕
多かった と答えた.以下,保護者に聞いてもら
0
0
/
0
,文書でや りとりす
う方法 (
パ ター ン 1)6
5
%であった.
る方法 (
パ ター ン 3)3
4
%
相談後の様子 を主治医に知 らせた担任 は5
だった.知 らせていない担任 は 「
保護者が話 し
パ ター ン 3 (
文書で)
[
実施率 1
7
%]
て くれると思った」 を主な理由にあげていた.
8
%の養護教諭は何 らかの機会に知 らせ
一万,6
4
%は 「
担任 に任せている」
るとしていたが ,1
、(
持 参)
または 「
行っていない」 と答 えた.
医療 との連携 について,担任や養護教諭か ら
自由記述で得た意見 をまとめ,表 2に示 した.
主治医 と連絡 を取 り合った り,直接話 した り
する機会の必要性 をあげた うえで,医師に 「
学
」
定期的に相談で き
校の様子 を知ってほ しい 「
るとよい」また 「
気軽 に情報交換できるとよい」
といった意見が多かった.
2,学校からの相談に対する医師の意見
(
1
) 相談内容
医師が学校か ら受ける相談内容について表 3
*主 に学校併設の病院や施設の場合 に実施
に示 した. 6割以上の医師が 「
行事参加」
「
て
図 2 学校から主治医への相談方法
んかん」 に関する内容をあげていた.
(
2) 相談方法
きるとした. しか し,なかには文書で もらうこ
文書 で 「
担任 がつ いて (
面
相談方法 は 「
とについて,手数料がかかるとの指摘があった.
読)
」「保護者 を通 して」の三つが主にあげられ
主治医に普段つけている健康観察記録表を見
た.「
電話で」の具体的な相談 は,患者の守秘
1
7
名中2
3
名
せて相談 したことがある担任 は,1
義務によ り受けないとする医師が多かった.
(
2
0
%)だった.この2
3
名が普段つけていた記
相談頻度は 「
保護者 を通 して」が一番多 く,
睡眠 「
食事」が多
録表の内容は 「
てんかん 「
「
担任がついて」の順だった.
以下 「
文書で」
「
睡眠」の両
く,その うち1
1
名が 「
てんかん」
養護学校が併設 されていない病院の医師の多 く
方をつけていた.
が 「
担任がついて」の相談は少 なく 「1ケ月に
医師か らの回答に納得することが多かったか
学校 によっては相談 にこな
1件 に満たない 「
9
%の担任 は納得
どうか担任 に尋ねたところ,6
い」 と述べていた.
することが多かったと答えた,理由 として 「
保
(
3) 相談での健康観察記録表の提示
「
直
護者 を通 して求めていた回答 を得 られた」
学校で普段つけている健康観察記録表を提示
接主治医 と話す ことで求めていた回答 を得 られ
されたことがあったのは 5名で,うち 2名はよ
た」が多 くあげ られた.一方,納得することが
くあると回答 した.提示 される表は,ほとんど
7
%の担任 は,理由として 「回答に
少なかった2
がてんかんの記録表であった.一方で,学校で
保護者の思いが加わ り,求めていた回答が得 ら
,
」 」
」
」
8
8
学校保健研究
J
pnIS
c
l
z
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
表 2 医療 との連携に関する担任,養護教諭の意見
医師の学校理解
・生活の中で子どもについて理解 してもらえるよ
う医師に働きかけていく必要あり.
・医師に学校の様子を見に来てもらってア ドバイ
スを受けたい.
・ちょっとしたことでも相談やア ドバイスをして
くれる協力的な医師の数がまだ少ない.
医師との話 し合い
・主治医と連絡を取 り合った り,直接話 した りす
る機会は必要.
・もっと気軽に,その都度連絡をとって話せるよ
うな関係ができるとよい.
・年度始めなど,最低 1回は医師から話を聞く場
がもてたらよい.
相談の仕方
・子どもの気になる様子を的確に伝えるための方
法の工夫が必要.(
バイタルチェックの数億や
発作の様子をビデオで撮る等)
・積極的に資料等を提供するなどして共通理解を
図る.
・連絡ノー トの活用.
・情報を共有できるシステム作 り.
(
オンラインシステム/電子メール等)
医師との意見の相違について
・行事参加についての認識の遠い.
・専門家 (
医療スタッフ) と教師との危険認識の
違い.
・時には医師の意見を全面的に受け入れにくいこ
ともある.
表 3 相談内容 (2人以上の医師の意見を記載)
内
1
7人中
人数
容
行事参加に関すること (
校外学習 .宿泊学習 .水泳等)
1
3
人
てんかんに関すること (
判別 .対処の仕方 .投薬等)
1
1
人
食事に関すること (
形態 .時間 .姿勢 .畳等)
5人
問題行動に関すること (
多動 .自傷 .反抗的 .不登校等)
4人
医療的援助行為に関すること
4人
リハ ビリに関すること
3人
補装具や車椅子の作成に関すること
3人
日常生活に関すること
3人
姿勢に関すること (
側わん等非対称な姿勢)
2人
記録表 を使用 していることを知 らない医師 もい
た.
(
4) 相談 のなかで困ること
学校か らの相談 で困ることについての意見 を
整 理 し,表 4に示 した.「
質 問 内容 が把捉 しづ
(
5) 医療相談 を受 ける ときに必要 な情報
相談 の際 に,医師が学校 か ら知 らせてほ しい
情報 につ いては, 6割以上 の医師が 「
相談 内容
に関す る具体 的な記録 (
様子 ・回数 ・時間等)」
,「具体性 の あ る質問内容」 と
をあ げた. また
らいこ と」 をあげる医師が多かった. また 「
学
答 えた医師 もいた.
校 との意見の食い違 い」や 「
学校側の意見の裏
(
6) 文書 での相談
付 け として,学校 の都合 を優先 した意見 を求め
られること」 をあげた医師 もいた.
文書で回答す る場合の手 間について,意見 を
まとめる と,次の通 りだった.
毛利ほか :
重複障害児に対する 「
健康の保持」の指導
8
9
表 4 相談の中で困る事項 (2人以上の医師の意見を記載)
項
目
内
1
7人中
容
人数
相談内容 学校側の意見の裏付けとしての意見を求められるとき (
学校の都合を優先した内容)
3人
質問内容 漠然とした質問 (
何が困っているのかわからない .学校の様子が見えない)
8人
絶好的な回答を求められる質問
4人
2人
(
子どもが違うのに)一律の質問内容の文書 ≪
形式的》
相談方法 保護者を介 しているので,相談内容がわか らなかった り,ニュアンスが変わってし 4人
まつたりする
・文書は記録 として残 るため,書 くときには慎
といった意見 もだされた.
重にならざるを得 ない.それだけ時間と労力
Ⅳ,考
を要する.
・基本的に診療中に書 くことが多いため,短時
間での作業 となると負担がかかる.
・漠然 とした質問は答えづ らく,回答 により一
層の時間と手間がかかる.
他 に文書による回答 は 「
学校側 に細かいニュア
」「学校側が納得 し
ンスまで伝 わっているのか
察
今回,学校,医療機関の両側か ら調査 を行っ
た.調査方法の違いか ら,相談内容や相談頻度
など,一概 に両者を比較で きない部分 もある.
しか し,医療相談におけるそれぞれの傾向はつ
かめた もの と考える.
今回の調査では,担任が 「
医師からのア ドバ
ているのか」疑問だとする意見 もあった.一方
イスが必要である」 と判断 した児童生徒の7
4%
で相談は 「
記録 として残る文書で行 うべ きだ」
が医療相談 を実施 していた.一方で実施 しな
という意見 も聞かれた. また,文書に対する手
かった担任 は,理由として 「
保護者が主体的に
数料 は,学校が作成 した質問書に記入する場合,
実施 したかったがで きなかっ
開いて くれる 「
」
一つの病院を除 き請求 されていなかった.
た」 をあげていた.前者は保護者任せ とはいえ,
(
7) 定期的な話 し合いの実施
主治医か ら必要な情報を得ている点では,広義
多 くの担任の 「
年 1回程度の定期的な話 し合
の意味での医療相談を行っていたと考える.問
いの場 を設けたい」 とい う意見に対 し,1
7名中
題は 「
実施 したかったがで きなかった」 と答え
1
4名が実施可能 と回答 した.実施時間について
た担任である.その理由として, 日常の忙 しさ
は 「
診察時間内で」が 7名
,「診察外の時間を
,「必要 に応 じて診察の枠 内
か ら機会 を逸 して しまったなどの担任側の問題
設定 して」が 3名
,
がある一方,保護者 との意見の相違など,保護
で も,時間を設定 して もよい」が 3名,その他
者 との共通理解の問題 も多 く存在 していると考
1名であった.なかには,年 1回だけではな く,
える.保護者 との意見の相違 については,児童
必要に応 じて行 うべ きだとする意見 もあった.
生徒の抱 える健康上の問題についての担任 と保
一方で,主旨はよい と思 うが,実際養護学校 に
護者の認識の違いと捉 えることができる.石井
通 う対象児童生徒が全員実施で きるようにと考
らは
,「家族 も "いつ もと同 じだか ら問題ない"
えると,システムや要綱の作成が必要であ り,
と,健康上の問題点を見過 ごしている」 と述べ
現実的にはかな り難 しいとの指摘があった.
ている8
)
)
.このことが両者の認識の違いに大 き
また,特 に地域性のある病院の場合 は,学校
に主治医を招いて実施 してもよいのではないか
く関係 している要因の一つであると思 う.
校内の連携では,担任が主 とな り,養護教諭
90
学校保健研究
J
pnJS
c
h
oo
IHe
al
t
h43;2001
が応援にまわる関係が明 らかになった.横山 ら
めには,いかに保護者の思い と学校 (
担任,養
は,養護学校 に勤務する養護教論の現状 につい
護教諭 など)の考えを-致 させてお くか,また
ての調査で 「
養護学校 における児童 ・生徒の健
相談にあたって児童生徒の様子や相談内容 (
質
康管理は,養護教諭が直接子 ども達に関わるの
問事項)の共通理解 を図るかが大 きな課題であ
る.
ではな く担任 を通 して行 うことが必要であ り,
担任 との関係が重要である」 と述べ ている9).
しか し,今回の調査では,相談の前に担任か ら
一方,納得 した回答を得やすい方法 として,
必ず しも話 を開いていなかった り,担任か らの
主治医 と面談する方法が有効であるといえるが,
現状 はなかなか実施できていない.その理由と
申し出を待って対応する養護教諭が多かった り
して,出張扱いの場合の旅費の問題,学級 を空
するなど,お互いに歩み寄れていないことがわ
けることの問題,医師との面談時間の問題等が
かった.養護教諭の専門性の発揮 を求める声が
ある.最低年に 1回程度は主治医 と会って相談
開かれるなかで,養護教諭か らは 「
担任 との健
康に対する考え方の違い」があげ られている.
できるような学校側の体制 をとれることが望 ま
れる.
考え方の相違は,担任の障害児の健康管理に対
次に,医療相談で学校に求め られることとし
,「子 ども主体の相談」がある.相談のなか
する見識不足が関係 している と思 う. さらに担
て
荏,養護教諭双方の 「
それぞれの立場で独 自に
には,学校の都合 を優先する内容があるとの指
子 どもの健康管理にあたろうとする姿勢」が,
摘があった.南条は,主治医 との連携の心得 と
お互いに歩み寄れていない原因の一つになって
子 ども
して 「
学校 の立場や事情 は控 えめに 「
」
いるもの と考える.横山らの調査では,養護教
を中心 に,同 じ目的で連携で きるように」をあ
諭の意見 として「
担任か らの情報が もらえない」
げている10).健康の維持 ・向上や学習活動の確
「
担任が児童 ・生徒 と密に関わっているために
保など,なによりも子 どもを一番に考えた相談
養護教諭が関わる間がない」 をあげ,これに対
,
養護教諭の方か ら担任 に提供で きる情報
し 「
であることが重要である.
,「何が
さらに,相談方法の如何 に関わ らず
」「学校では どの よ
な り,技術 な りを もつ必要があるのではない
どの ように困っているのか
か
うに した らよいのか」 を明確 に伝 えることが大
」「担任 と児童 ・生徒 の間に割 って入 るので
何回 (
何分)だった ら
はな く,両者の密接 な関わ りをさらに活用 して, 切である.また,つい 「
児童 ・生徒の健康管理に関わってい くべ きでは
あるか どうか」な ど絶対的な回答
大丈夫か 「
」
ないか」 と述べ ている9).今 回の調査 で も同様
を求めた くなるが,子 どもの体調や周 りの環境
のことがいえる.校内では今後 ます ます養護教
が変われば,おのず と事の有無や回数 ・時間な
諭の専門性が必要 とされる.担任だけでな く,
どの許容範囲も変わって くる. より具体的な場
養護教諭の専門性の向上を図れるような研修の
面 を想定 した質問をすることが必要である.
場 を設けてい く必要があると考える.
,
一方,文書は記録 として残 ることか ら,医師
保護者 を通 して」つ ま り担
相談方法では 「
は,文書で回答する場合には慎重に対応 してい
任や養護教諭の代わ りに保護者が相談 し,回答
る. しか も短い診療時間内に適切な回答 を書か
を戻す形での実施が多いことが確認 された.石
なければならないことか ら,かな り手間のかか
井 らは 「
家族 を通 しての情報伝達 は,"
家妖の
る作業で もある.そこで,文書で回答 を求める
思い" というバ イアスがかか り,正確で詳細 な
ときには, より具体的に,短時間で答えやすい
情報交換がで きない」 としている8
)
が,今 回の
ような質問を用意する必要がある.
調査では,この方法は担任が医師か ら納得 した
また,お互いの意図を確認 しなが ら意思の疎
回答 を得 るための賛否両論 をもっていることが
通 を図るには,直接会って面談するのが一番の
わかった.保護者 を通 して正確 な情報 を得るた
方法である.教員が申し出れば医師の対応は可
9
1
毛利ほか :重複障害児に対する 「
健康の保持」の指導
能であるため,教員の積極的な姿勢が望 まれる.
V.ま と め
以上のことか ら,「
健康の保持」の指導,特
に医療相談において,学校 ・医療機関 ・家庭が
本研究では,医療相談の実態を調査すること
よりよく連携 してい くためには,学校の役割 と
により,学校 ・医療機関 ・家庭のよりよい連携
して,次のことが考えられる.
のあ り方を探った.
医療相談では,医療情報 を扱 う関係上,教員
学校 ・医療機関の両面か ら調査 した結果,校
の医療的な基礎知識や病気 に関する理解が必要
内では,担任が主 とな り,養護教諭が応援にま
不可欠であ る. しか し,現実 には児童生徒 の
わるとい う関係で医療相談が進め られていた.
ニーズに教員側の知識や理解が必ず しも追いつ
しか し,両者の情報交換 はあま り密にはされて
いていない.担任が知識や理解 を深めるために
いなかった.また医療相談は,主に保護者を通
研鍵 を積むことはもちろんであるが,養護教諭
して実施 されていた. しか し担任は保護者に相
もよ り専門性 を発揮 し,担任 との関係でイニシ
アチブをとることも必要であると考える.それ
談の主旨を明確 に伝 えていない場合が多 く,主
により,お互いの情報交換が活発化 し,児童生
が問題であった.
治医に相談の主旨が的確 に伝わっていないこと
徒の実態 を捉 える目が養われるとともに,主治
これ らの改善 を図るために学校に求め られる
医への的確 な情報提供や質問の実施につながっ
役割 として, 1.障害児の健康管理に関する職
てい くものと思われる.
員研修の充実, 2.養護教諭の専門性 を発揮で
医療相談では,保護者の理解 を得ることが重
要である.相談の多 くが 「
保護者 を適 して」 と
きる体制づ くり, 3.保護者 との共通理解や相
談方法の検討が示唆 された.
い うことであればなお さらである.医師 との情
文
報交換の際に,保護者 を通 して的確な情報 を得
るためには,①担任が養護教諭 と相談 しなが ら,
児童生徒の問題点や相談内容 を整理 し,明確 に
すること,(
9その上で必ず機会 を設けて保護者
に説明 し理解 を得 ること,(
診主治医に相談の主
献
1)文部省 :盲学校,聾学校及び養護学校,教育
要領 ・学習指導要領,1
9
9
9
0
,東洋
2)文部省 :重複障害児指導事例集,3-2
館出版,東京,1
9
8
3
旨が伝 わるように努めることが大切である.記
3)川住隆一 :生命の極めて脆弱な重複障害児の
録表やVTRな どの活用 は,保護者へ の説明や
健康管理に関する課題と研究動向,特殊教育学
主治医への相談の際に,問題点や相談内容 を具
体的に示すための有効な方法である8).
医師との情報交換 を円滑 に行 うためには,棉
談の方法 として 「
保護者 を通 して」だけでな く,
研究,3
6:41
4
9
,1
9
9
8
4)村田茂 :肢体不 自由教育における医療 と教育
の歴史,医療 と教育研究会研究集録 :4
8
-5
1
,
1
9
9
9
必要に応 じて主治医 と面談 した り,文書を用い
5)米山美穂 :重度 ・重複障害児の健康の維持増
た りすることも必要であると考える.主治医 と
進を図るための教育的対応について…文献研究
の面談に関 してあげ られた経費や学級の問題は
に基づ く内容の整理-,日本特殊教育学会第3
5
一概 に論ずることはで きないが,面談について
は十分可能であ り,医師 も望んでいることか ら,
今後積極的に連絡 していけるとよいであろう.
そ うすることが医師の学校理解 にもつなが り,
より的確 なア ドバイスを得やす くするもの と考
える.
回大会発表論文集 :5
0
6
-5
0
7
,1
9
9
7
6)庄司伸哉 :障害の重い子どもとかかわるこつ
一医療的ケア-,肢体不 自由教育,1
2
5:1
6
-1
7
,
1
9
9
6
4:
7)西山公司 :肢体不 自由教育,健康教室,3
2
3
-2
6
,1
9
8
3
8)石井光子,斉藤桂子 :養護学校 と医療機関の
学校保健研究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;
2
0
0
1
9
2
千葉県 立市 原養 護学校 (
毛利)
1
0
)南条敬子 :主治医 との連携 の進 め方,肢体不
0
0. 5. 9 受理 01
. 3. 9)
(
受付
内山
畿
衛
源 (
茨 城大学名 誉 教授 ) 編 著
衆
生
学
A5判二六二頁 定価 二三 1
0円
本番は 「
概念、理論を使 って考える公衆衛生」「
現実 の生活'社会
豊
蓉
愛
車
撃
を変え、改普する公衆衛生」をねら ったも のである。本書が教育'保
育'栄養'福祉等 の関係者、学生 による'公衆衛生 ・学 の理解 や実
践 ・行動 の基礎'入門番としての活用を望む。
蓉
藤沢良知 (
日本栄養 士会 会 長) 普
豊
四六判 一九〇頁 定価 一六八〇円
生活習慣病 の時代に入 って' 一次予防としての健康づ--や食生活
の改善が重要視されていますo予防に使う百円は治療費 の 1万円に等
定 価 二三 1
0円
し いと言われますが、も っと病気 の予防 のため'健康づくり のため日
ごろの食生活を大切にした い。︹
著者 「
はじめに」より︺
大揮清 二他著
内山
清 二著
源他著
源他著
定 価 二 一〇〇円
定 価 二 一〇〇円
定 価 二四 一五円
定価 二九 四〇円
定価 三九九〇円
大滞
学校保健学概論
健康 ・ウエルネスと生活
健康 のため の生活管 理
生活統計 の基礎知識
生活科学のための多変量解 析
定価 五六七〇円
清 二著
学童 の心 理学
大浮
内山
エルキ ンド著 居 場 所 の な い 若 者 た ち
定価 五六七〇円
A ・ゲ ゼ ル著
A ・ゲゼ ル著 青年 の心理学
F
G
kA
#
x.
0
3
:
3
9
4
5
_
6
5
2
6
5
家政教育社
・1
1
2
0
0
1
5 東京都文京 区 目白台3
2
1
4
連絡先 :〒2
9
0
0
0
1
1
千 葉県市 原市 能 溝1
5
1
9
-5
9)横 山由美,金 田鈴江 :養護学校 に勤務す る養
護 教 諭 の現 状,学 校 保 健 研 究 ,3
7:4
8
4
4
9
2
,
1
9
9
6
自由教育 ,1
2
5:5
6
,1
9
9
6
連携 の重要性,第 3回千葉県学校保健学会講演
集 :5
9
6
0
,1
9
9
9
9
3
学校保健研究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h4
3;
2
0
0
1
会 報
第48回 日本学校保健学会のご案内 (
第 2報)
学会長 和 唐
正勝
1.期 日 平成 1
3
年1
1
月1
7日 (
土)1
8日 (日)
2.会 場 栃木県総合文化セ ンター 〒3
2
0
8
5
3
0 宇都宮市本町 1- 8
3.テーマ 学校保健のこれまで とこれか ら
4.企 画
1)特別講演 多田羅浩三先生 (
阪大 ・医 ・公衆衛生)演題未定
2)シンポジウム
シンポジウム 1 これか らの教科 「
保健」 を考える
シンポジウム 2 学校 における "ケア"の役割 と課題を考える
シンポジウム 3 栃木県における学校保健の現状 と課題 (
仮題)
3)学会長講演 和唐正勝 演題未定
4)一般発表 (
口演,ポスターセ ッション)
5)懇親会 (
会場内の レス トラン ;オーベルジュ)
6)その他
5.学会参加費 (
掛 寅集代含む)
1)事前申込 (8月2
0日まで) 7
,
0
0
0円 (
講演集代込み)
(
学生 ・大学院生会費)
(
3
,
5
0
0円) (
講演集代込み)
2)当 日参加
7
,
5
0
0円 (
講演集代込み)
(
学生 ・大学院生会費)
(
4
,
0
0
0円) (
講演集代込み)
3)懇親会費
5
,
0
0
0
円
4)講演集代のみ
3
,
0
0
0
円
6.年次学会事務局 〒3
2
1
8
5
0
5宇都宮市峰町3
5
0
宇都宮大学教育学部保健体育研究室
(
事務局長 :益子詔次,補佐 :千葉芳則)
電話 :和唐 (
0
2
8
6
4
9
5
3
8
0
) 益子 (
0
2
8
6
4
9
5
3
8
1
)
3
年 7月2
3日 (
月)当日消印有効
7.一般発表申込締め切 り 平成1
1)次ページの演題申し込み用紙 をコピー し,必要事項 をご記入の上お申し込み下さい. (
1演題 1枚)
2)その際に発表内容の概要をB5版用紙にご記入の上,同封 して下 さい. (
2
0
0
字程度 ・演題,発表者氏
名を明記)
3)発表内容 は未発表の研究成果に限 ります.発表者 (
共同研究者 も含む)は本学会の会員で,今年度
の会費を納入済みの方に限 ります.非会員の方は至急入会手続 きをおとり下 さい.
4)発表形式は,口演 とポスター発表にします.OH戸,スライ ドは使用できません.
5)演題の採否 は学会長に一任 させていただ きます.発表資料 は発表当 日,各会場の資料受付係にお渡
しください.
8.講演集原稿締め切 り 平成1
3
年 8月2
3日 (
木)当日消印有効
9.原稿送付先 〒3
2
卜8
5
0
5宇都宮市峰町3
5
0 宇都宮大学教育学部
第4
8回日本学校保健学会長 和暦正勝行
1
0
.交通 ・宿泊 事務局では一切取 り扱いません.次号以降の折 り込み用紙に記入の上お申し込み ください.
ll
.英文抄録 (
プロシーデイング)の刊行 については本年次学会で も,学会常任理事会,国際交流委員会
の要望 によ り第4
8
回学会の英文抄録 (
プロシーデイング) を作成いた します.なお,プロシーデイン
グに掲載を希望 される方は,演題 申 し込票の所定欄 にご記入下 さい.プロシーデイングの原稿は平成
1
3
年1
2
月1
4日 (
金) までに, 日本学校保健学会事務局 までご送付下 さい (
当日消印有効).
9
4
学校保健研究
J
pnJS
c
h
o
o
IHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
第48回 日本学校保健学会演題 申込書
椅番で丁寧に書いて下さい. 発表内容の概要 (
2
0
0
字)を同封 して下さい.
*
申込受付 :
用紙発送
月
日 演題番号
: 7.1
発表 日時 :1
8
原稿 受理 :
月
日 会
*欄は記入 しないでください.
AM.
PM
時
備
分
考
場 :1.2 .3.4 .5 .ポス ターセ ッシ ョン
演題名
注)途中での変更 はで きませ ん.
発表者 (
所属機 関)
港)非会員の氏名の前
共同研究者 (
所属機 関)
に△印を付
会員記入けて下
して くだ
さい.
さい.
番
演題 区分
号
第一希望
キー ワー ド (3つ以内)
第二希望
f
Ⅰ
事
一
i
I
f
*
発表者
連絡先
l
ー
住所 :千
氏名 :
でEL:
FAX :
英文抄録 (
プロシーデイング)の掲載を希望する (
)希望 しない (
)(
いずれかに○をつけて下さい)
希望す る方 のみ英 文 タイ トル を記入 して くだ さい.
T
*
発
連
絡
表
先
者
◎一般演題領域 区分
1.原理 ・歴史 ・方法
4.国際学校保健
7.保健指導
1
0
.健康相談 ・相談活動
1
3.疾病予 防 ・健康管理
1
6.食 品保健 ・学校給食 ・栄養
1
9.学校保健組織活動
2.喫煙 ・飲酒等防止教育
5.健康意識 ・健康行動
8.学校安全 ・安全教育
3.発育 ・発達
6.保健学習
ll.健康評価
1
4
.歯科保健
1
7
.健康増進 ・体力
2
0
.学校保健関係職員
1
2
.精神保健
9.性教育 ・エ イズ教育
1
5.心身障害
1
8
.環境保健 ・環境教育
2
1.その他
(
申 し込み にはこのペー ジをコピー して使用 して下 さい)
9
5
学校保健研究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
日本学校保健学会評議員の選出について
会 報
-選挙管理委員会公示一
選挙管理委員会 は役 員選 出規定 によ り,下記の公示 を行 い ます.
公
示
日本学校保健学会役員選 出規定第 2条 によ り,評議員の選 出について次の ように公示す る.
(
1
)期
3年 7月1
0日(
火)
締切 (
ただ し, 7月1
0日の消 印のある もの まで有効 とす る)
日 平成 1
(
2) 有権者
選挙権所有者 には被選挙権者の名簿 を添 えて 6月下旬 までに投票用紙 を送付す る.
(
3) 投
所走 の投票用紙 を使用 し,所定の手続 きに従 い,郵送に よ り投票す る.
票
平成 1
3
年 5月2
3日
なお,以下の ことを念 のため付記いた します.
1.会員 は本会 の 目的 に賛 同 し,所 定の入会金 ・会費 を納入 した個 人お よび組織 とす る.ただ し,会費 を
2年 間納入 しなか った会員 は,その資格 を失 う. (日本学校保健学会会則第 5粂)
2.役員選 出の手続 きは 日本学校保健学会役員選出規定第 2条 に次 の ように示 されている.
(
1
) 有権者 は,選挙有権者名簿 の作 成時 に,その年 皮 の会 費 を納 入 した個 人会員 とす る. (
第 2条 第 2
項)
(
2) 評議員 は,地区別 に,その有資格者 の うち よ り,会員の選挙 に よって選 出す る. (
中略)地 区別評議
第 2条
員の有資格者 は会則第 5条 に定める個人会員で ひ きつづ き 3年以上会員 であった もの とす る. (
第 3項)
したが って,今 回の有権者 (
選挙権 を有す る者) と被選挙権者 (
評議員 の有資格 者) は以下 の ようにな
ります.
3
年 3月3
1日現在で,平成 1
2
年度会費納入の者です.
1.有権者 は,平成 1
2.被選挙権者 は,平成 1
3
年 3月3
1日現在 で,平成 1
0
年度∼平成 1
2
年度 (3か年)の会費完納者です.
3.会員 の所属地 区は,原則 と して,平成 1
3
年 4月 1日現在 の学会本部事務 局登録 の勤務先又 は在籍校 の
所在地 によ ります. このいずれ もな きものは, 自宅住所 によ ります.
日本学校保健学会評議 員選 出のための名簿確認 についてのお願 い
評議員選挙 のための被選挙権所有者の名簿の確 認 を,以下 の ような要領 で行 い ます ので よろ しくお願 い
申 し上げ ます. なお,投票用紙 は 6月下旬 まで にお送 りいた します.
1.引 き続 き 3年以上会員であ った方 (
平 成1
0-1
2
年度の学会費完納者) は,被選挙所有者名簿 に氏名 が
掲載 されてい ます ので,氏名,所属 地区 に誤 りが ないか どうか をご確 認下 さい. なお,名誉会員,賛助
会員 は,選挙権 ・被選挙権 ともにあ りませ ん.
2.氏名,所属地 区が誤 ってい る場合,被 選挙権 が あ るはず なの に名簿 に氏名が ない場合,逆 に被選挙権
3
年 6月 5日 (
必着)
が ない はず なの に名簿 に載 ってい る場合 な ど,異議 や訂正 のあ る方 は,必ず平 成 1
9
6
学校保健研 究 J
pnJSc
h
oo
IHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
までに,下記の選挙管理委員会宛,書 面 (
FAX・E-ma
i
l
を含 む)でお 申 し出下 さい.同 日までにお 申 し
出がない場合 は,名簿 どお り異議 な く認め られた もの とさせ ていただ きます.
3.今号 に公示 してあ る ように,会員の所属地 区は原則 として平成 1
3年 4月 1日現在 の学会本部登録の勤
務先 または在籍校 の住所 に よ ります.ただ し 4月 1日以降の異動 につ いて,学会本部事務局 に対 して平
3年 3月31日まで に届 け出の なか った方 につ いては,旧地区所属 といた しま した.なお,海外会員 の
成1
方々につ きましては,学会本部事務局 のおかれている関東地区所属 となってお ります.
4.各都 道府県の所属地区は以下の とお りとなってお ります.
北海道地区 (
北海道)
東北地区
(
青森 ,岩手,秋 田,宮城 ,山形,福 島)
関東地区
(
新潟,茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈川,山梨)
北陸地区
(
富 山,石川,福井)
東海地 区
(
静 岡,長野,愛知,岐阜 ,三重)
近畿地区
(
滋賀 ,京都 ,大 阪,奈良,和歌 山,兵庫)
中国 ・四国地区 (
岡山,広 島,鳥取,島根, 山口,徳 島,高知,愛媛 ,香川)
九州地区
(
福 岡,佐賀,長崎,熊本,大分,宮崎,鹿児島,沖縄)
3年 5月23日
平成 1
日本学校保健学会選挙管理委員会
〒1
02
-0075 東京都千代 田区三番町1
2
大妻女子大学人 間生活科学研究所内
TEL・FAX 03
-52
75
-9
36
2
Ema
il
日本学校保健学会
bur
e
a
u@j
a
s
h
.
qr
.
j
p
被選挙権保有者名簿
《
地区別》
≪北海道》
真一郎
安
栄
鉄
男
石
井
好二郎
佳
江
岡
安
多香子
門
崎
千
斎
藤
和
雄
酒
井
英
美
佐 々木
胤 別
常
連
佳
子
関
口
昭
平
扇
子
事
由美子
竹
原
順
次
田 村
典
子
津 村
直
芳 美
堂
腰
律
子
中
村
公 也
長谷川
久
丘
人
望
月
書
勝
矢
沢
洋
安
井
友
正 義
吉
田
瑠美子
渡
部
洩
利
恵
我
妻
新 井
猛
一
代
子 孝 美 夫 勤 美 隆
忠
由 和
雅 道
井 沢 キヌエ
島
葉
美 沙子
子
井 兼 笹 園 富 堀 山
浩
荒
稲
瀧 平 場 山 田 口 本
一 子 子 康
生 美 三
由
辛
一川 芝 高 士 本 棟
部 棟 上 木 井 井 多 田
安
秦
基
≪東北》
相
棒
久美子
子
則
明
9
7
学校保健研 究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
子
子
貝
塚
優
神
田
あづ さ
千 賀子
浜
明
密
藤
佐
藤
菅
原
高
崎
l
l
二
】 附
戸野塚
長
峰
早
坂
三
上
面
浮
横
山
夫 教 子 治 良 子 子 子 子 子 子
藤
俊 光 優 裕 敏 厚 紀 事 蕃 和 和
工
小
久 三 人 司 幸 世 裕 議 洋 子
恵
道
越
常 章 義 清 和 雅
大
須
田 敦
子
須
藤
智
幸
一
只
野
喜代美
立
花
弥代子
正
敏
津 内口
恵 子
照
井
玲
子
中 催
多美子
中 塚
晴
克
子
橋
本
和
雄
早
川
三野雄
比左子
古
野
桂
子
堀
寵
ちづ子
由
則
村
田 勝
敬
日 ≠
=
J
I
'
L
=
研
也
安
田 其理子
夫
本
青
木 和
浩
青
木
美
青
木 優 美子
秋
坂
藤 木 貫 藤 田 藤 野 本 藤 木 森 中 浮 谷 田 上
子
伊 植 大 加 木 工 今 坂 佐 鈴 竹 田 中 西 藤 村 師
子
公
子 子 排 生 ゑ 子 美 恵 ヨ 巳 子 信 豊 子 古 道 子
じ
豊 童 誠 隆 ふ 宣 央 幸 ツ 克 暁 政
義 亜 鰻 昭
宣
館
橋 本 田 見 野 藤 林 田 藤 山 浪 身 井 沢 田 田
川
岩
坂 岩 太 数 菅 工 小 榊 佐 杉 竹 立 土 西 平 三 盛
石
伊
藤
順
子
稲
山 貴 代
内
野
秀
哲
遠
藤
巴 子
荻
原
患
小
野
富美子
元
鎌
田 安
久
川
木
村
昭 代
楠
黒
川
修
行
桑
野
三千代
郷
司
文
男
斎
藤
久美子
佐
瀬
一
夫
佐
藤
佐
藤
恵
佐
藤
進
窓 治
理
雄
一
織
曹
夫
憲
美
子
≪
関東≫
山
昌
朝
野
二
聡
阿
部
明
飯
長
喜 一郎
浩
池
田 和
夫
啓 二郎
井
手
義
顕
逸
子
今
関
豊
-
岩
城
浮
子
植
田 誠
治
浦
榎
本
稔
江
大井 田
活
原
有希子
隆
大
岩
弘
太
田 恵美子
太
田
ひろみ
大
仁
子
大
嶺
智
岡
田 加奈子
岡
田
美千子
陽
典
子
岡 本
佐知子
小笠原
紀代 子
荻
静
小
治
原
子
沢
夫
野
純
足
立
己 事
田 澄美子
飯
田 孝
藤
涼
子
飯
五 十嵐
治
代
五 十嵐
益
石
井
荘
子
石
井
一
棟
優
聾
市
村
藤
巨
志
伊
内
陽
子
猪
修
村
辺
野
防
中
田
川
谷
崎
田
方
揮
美
子
恵
五 十嵐
敏
弘
石
井
まゆみ
国
夫
井
筒
次
藤
寿
美
股
俊
入
江
史
子
岩
子
上
靖
子
郎
井
戸
ゆか り
今
井
敏
子
郎
岩
井 浩
一
本
も りえ
上
地
勝
原
す ゞ子
内
山
源
衛
藤
隆
遠
藤
大
国
大
塚
岡
島
岡 部
沖
山
青
海
原
美
女
智津江
戸
香
坂
浮
文 晴 好
子
浅
子
子 彦 子 樹 子 子 子
臼
祥
司
陽
伸 真 典 佳 初 智 哲
贋
浮
隆
生
淳 英 子 子 博 弘 夫 子
隆
梅
倉
麻
喜 成 尚 勝 守 暗 道
宇佐見
朝
上 釆 榎 逢 大 大 岡 岡 荻 尾
上
史
真 理子
貴
京 俊 雄
井
安
幸
二
辺
東
伊 井 今 岩 上 内 浦 円 大 大 岡 岡 緒 小
磯
宏 二 尚 明 子 二 恵 子 子 美 子 子 男
校
茂 芳 浩 幸 悦 子 正 改 組 永
青
費 知
りゑ子
原 羽 野 部 狩 井 谷 藤 上 中 佐 野 井
川
藍 赤 浅 阿 井 石 板 伊 井 今 岩 上
相
枝
檎
田
本
子
勇
清
美
須
隆
雄
花
美恵子
9
8
学校保健研 究 J
pnJSc
h
o
oIHe
al
t
h43;2001
沼
月
子
笠
井
直
美
片
海
美智子
桂
田
宏
美
加
藤
達
雄
加
藤
英
加
藤
真
弓
金
井
茂
夫
子
世
よ志子
亀
尾
昭
口
千
河
口
てる子
河
遊
博
史
城
川
美
佳
菊
池
ヒロ子
岸
本
弘
子
北
川
梅
子
北
川
倣
子
君
羅
浦
木
村
慶
子
村
康
一
工
藤
子
久保 田 登久乃
谷
健
仲
小
泉
綾
小
島
章
子
晶
林
育
枝
小
林
林
恵
子
小
林
小松 崎
賢 仁
小
小
透
採 二 子
磯
鶴
敏
駒
松
木
幡
美奈子
近
藤
い さを
近
藤
洋
子
蔚
藤
郁
斎
藤
とみ子
斉
藤
基
坂
本
玄
坂
元
美板 子
子
夫
竹
毅
佐
見
由紀子
法
子
森
由美子
藤
茂
藤
歌
能
藤
縫
子
本
元
千
田
清
明
藤
昭
塩
崎
純
子
塩
田
瑠
美
鹿
間
久美子
新発 田 香
子
柴
若
光
昭
島
崎
京
子
千
景
田
清
水
み どり
下
川
美
和
下
山
杉
下
知
子
杉
田
先
生
鈴
木
木
鈴
木
加代子
鈴
木
庄
亮
鈴
鈴
木
裕
子
鈴
木
路
津
関
関
根
幸
枝
曽
根
智
史
曽
高
木
高
野
贋
昌
和
房
子
睦
子
高
木
庸
一
高
島
二
陽
高
橋
興
一
高
橋
たつ子
瀧
揮
利
行
竹
田
由美子
田 代
順
子
田
中
千恵子
田
中
ちづ る
田
中
美
田
遵
信 太郎
田都 田
功
和
智恵美
力
塚
田 庸
世
出
原
嘉代子
東海林
鴇
田
一
豊
島
幸
子
戸
田
福
子
辻
冨
田
明
子
豊
川
裕
之
豊
土
井
一
博
道
本
千衣子
内
藤
中
島
玲
子
中
谷
弥栄子
中
西
中
村
泉
中 村
泰
中 村
三
朋
忠
昭
チ
チ
千
草
久
美
早
苗
保
之
恵美子
恭
子
武
彦
和
子
路
子
紀
子
昌
弘
初
美
曙
良
満喜子
登喜江
喜代 次
直
代
なつ み
まゆみ
三南子
正
美
秀
之
央
子
優
子
浩
美
遺
子
今 日子
習
泉
浩
とも子
滋
雄
昭
恵
淳
紀 久栄
輝
恵
洲
美
花
子
徳
夫
和
弘
基
司
正
久
悦
子
ゆ り子
浩
之
一
美
和 雅 洋 悦 良 泰
田
岡 和
1 子 雄 彦 子 規 子
塚
鶴
子
人
己
敏
穂 弘 子 典 誠 子 信 子 子 吾 子
武
保
潤
子
克
茂 遣 使 裕
沢
松
郎
夫 樽 郎 信 誠
滝
高
秀 純 芳 義 博
子
智 幸
裕
一
橋
村
高
中
美抄子
竹 楯 田 谷 田
橋
純
明
文
高
田部井
根
二
竹
佐
翠
佐
潤
二
佐
勝
正
男
はつ子
良
隆
三
林
林
光
則
明 美 晃 子 み 文
井
川
子
光 - 芳
亀
志緒子
茂
幸
英 由
尚 子
合
子
知 己
直 智 審 判 優 尚
田
川
木 熊 小 小 小 小 近 斎 斎 坂 薩 沢
鎌
賀
島 藤 納 合 鍋 志 頭 原 池 玉 林 林 山 藤 藤 田 田 藤 大 戸 水 沼 木 木 板 木 田 橋 神 田 中 中 原 葉 鳥 山 堀 海 鳥 野 村
柿
鹿 加 加 河 河 費 鬼 桐 小 児 小 小 小 近 蔚 坂 楼 低 塩 宍 清 菅 鈴 鈴 開 高 高 高 田 武 田 田 田 千 綱 遠 砥 鳥 中 中 中
昭
原 藤 子 部 名 地 津 村 持 谷 林 林 柳 藤 藤 口 井 藤 村 田 本 高 木 木 口 石 漸 橋 柳 崎 中 中 川 明 岡 郷 部 屠 川 根 村
宣
笠 加 金 軽 川 菊 北 木 剣 小 小 小 小 近 蔚 坂 桜 佐 浮 重 場 末 鈴 鈴 開 高 高 高 高 竹 田 田 谷 千 辻 東 戸 鳥 中 車 中
鏡
9
9
学校保健研 究 J
pnJSc
hooIHe
al
t
h43;2001
西
尾
ひ とみ
節
野
井
真
吾
津
有
司
野
原
則
子
野
栄
一
畑
中
高
子
服
公 子
林
頭
圭
平
昌 子
西
岡
光
世
野
井
友
子
村
良
和
部
恒
明
謙
治
岩
美禰子
東 作
林
倫
子
兵
宗
宏
平
山
素
子
広
瀬
末 々子
いづ み
福
島
紀
子
福
永
茂
介
靖
藤
井
香
藤
江
善一 郎
和
也
藤
田 禄 太郎
二
見
大
介
玲
子
本
多
英
子
前
田
和
子
葉
子
詔
次
馬
場
若
松
本
佳代子
三
木
とみ子
真
一
袈
翰
最
澄
三
原
紀
恭
一
宮
崎
美千子
宮
崎 有紀子
梨
子
向
井
草
生
向井田 紀
佐代子
村
井
文
江
村
木 久美江
拓
恵
元
永
郎
物
部
明
森
岡 加 代
森
田
博
子
文
博
八倉巻
和
子
八藤後
山
崎
一
人
L
L
l峰 公 恵
山
下
最理子
山
山
忠
夫
田 方智子
幸
子
山 村
孝
之
真
咲
湯
浅
弘
子
横
溝
正
幸
横
山
由
美
吉
田
了
青
口 博
幸
武
昭
西
鴨
尚 彦
とも子
野
田
排
幸
子
橋
口
剛
夫
光
男
浜
口
幸
枝
幸
男
春
山
文
子
俊
功
平
館
宏
美
理
絵
広
原
紀
恵
孝
允
福
西
武
子
邦
彦
藤
沢
由美子
久
子
音
川
春
美
美和 子
正
木
健
雄
かや の
絵
波
栄
子
素
美
皆
川
興
栄
宮
崎
藩
美
紀
宮
地
直
丸
樹
武
藤
芳
照
務
村
松
園
江
政
森
子
森
本
基
子
柳
原
雅
恵
山
崎
秀
山
梨
八 重子
本
澄
子
子
横
田
誠
仁
臣
天
野
敦
荒木 田
美香 子
生
駒
千陽子
石
川
淑
異 人
人
純
子
伊
藤
春
夫
井
上
見
勝
代
宇佐 美
愛
子
内
山 真 由美
大
西
真 由実
大
原
薬
子
大
堀
兼
男
小
俣
謙
勝
又
稔
枝
加
藤
恵
子
金
子
修
己
狩
野
美
和
上
岡
洋
晴
亀
山
良
子
木
宮
数
億
はるみ
神
戸
美絵子
木
村
費代子
田 登 一郎
青
松
和
哉
渡
辺
朗
子
和
田
雅
史
也 子 子
素
美 孝
東
岩
夫
吉
雄 龍
伊
木野本
三
江
淳
子
昭
晴 哉 佳 弘 浩
山
浩
彦
量 仲 里
丸
池
二
一子 子 郎 功 子 夫 代 洋
智 太
陽 雅 尚 紘
沢 村 森 谷 田
赤 池 出 岩 大 奥 金 神 橘
Ⅷ
⋮
M
m
別 信 久 美 徳
港 田 上 井 田
東
〃
〃乳M
砲
由充子
文
田 原 田 垣 川 藤 演 井 野
和井内
七木 田
家 石 今 梅 小 加 上 北 久
勝 英 正 正
辺
失蒲 田
本 舟 岡 原 辺 田
雅 美 辛 利
一子 佳 子 春 睦 美 子 樹 勝
剛
山 上 崎 成 本 田 田 村 追 唐
和
正
子
子
子 瑛 嗣 清
紀
l光 美 隆 寿 浩 妙 有
隆
益
美
祥
霊 草 秀
千恵子
聖
川 崎 野 都 田 川 口 西 洋 見 田 田 田 城 田 山 田 崎 田 田 崎 中
清 一郎
本
山
中
島
恭
長 西 野 自 服 原 平 廓 福 藤 舟 前 増 水 宮 宮 向 村 桃 森 柳 山 山 山 湯 若 吉 渡 和
里
川 口 山 谷 渡 田 内 峰 村 輪 崎 部 井 鳥
中 南 板 野 畑 早 樋 平 探 福 藤 堀 真 桧 箕 宮 宮 村 妻 森 森 山 山 山 山 構 音 音 波 和
中
子
山
一
哲
本
1
0
0
学校保健研 究
子
小
林
映
子
坂
井
佐
藤
和
子
佐
藤
祐
清
水
弘 之
下
方
浩
史
杉
浦
菊
代
杉
浦
春
雄
厳
芹
沢
幹
雄
柳
奏
せ
高
山
純
子
窓
秀
田
中
清
子
田
原
淳
子
塚
本
博
之
富
永
祐
民
外
山
恵
子
関
高
城
誠
造
中
村
留美子
中
谷
文
子
西
揮
常 子
西
田
弘
之
浮
明 子
野
谷
昌
子
久
長 谷部
博
子
野
長谷川
子
浦
えい治
松
島
菓
子
水
野
照
久
三
井
淳
蔵
森
倍
森
千
鶴
安
田
子
柳
堀
朋
山
本
章
山
本
貴 美子
青
田
最津子
米
田
勝
朗
渡
部
かなえ
波
速
貢
次
阿 岩 河 瀬 寺 野 向
都 田 田 野 西 坂
秋 池 坂 井 岩 浦
薬 川 持 上 平 井
道
子
司
田
和
夫
口
喜久恵
中
豊
原
香代子
穂
垣
晴
男
屋
幸
郎
本
書
見
村
和
雄
井
忠
征
井
真
美
篤
実
秀
人
田
尾
克
寿美子
藤
内 久美子
桧
尾
美
紀
水
武
藤
紀 久
村
井
菊
紀
島
淑
江
自
千
春
鈴
裕
子
高
宏
一
竹
昌 子
谷
恭
戸
子
武
夫
中
美
代
西
川
羽
良 子
丹
美智子
長谷川
せつ子
林
田
岡
美喜夫
八木 橋
元
一
安
田
干
せ
山
田
知
遠
山
本
浩
子
山 森
昭
子
横
林
慣一郎
驚
嘉
映
渡
追
俊
渡 速 真
弓
和
彦
野
浮
井 谷 桧 井 中 山 迫 田
松
子
健
藤
忍 肇 遊 子 昭
司
浮
木
斉
佐 々木
飯 浦 小 高 中 船
美
真
村
一
しのぶ
子 子 子 子 美 子
禰
合
初
美 順 百 訓 奈 尚
尚
田
かね子
禎
禰 紀 子 子 子 美 子
美
合
美 洋 成 喜 事 百
口
古
見
弘
島
富
樋
加代子
利
小
川 川 下 野 田 瀬 田
サ ヨ子
田
さとみ
田
康
天 池
水
古
力
勝
荒 受 木 高 戸 広 山
早
治
仁 俊 子 司 子 登 修 史 二 士 信 代 昇 俊 力 信 幸 博 司 謙 衛 強 功 子
さ
ま
康 健 安 晴 房
勝
正 利
常
市
節
恭
井
信
淳 治 恵
林
酒
原
田 村
小
沢
木 木 峰 本
熊
田 藤 井 原 石 木 橋 内 橋 田 川 田 村 村
み さは
甲 蔚 楼 篠 白 鈴 高 竹 棚 寺 中 成 二 野 林 藤 堀 三
保
桑 強 坂 爾 下 鈴 高 田 田 鶴 中 長 西 野 花 藤 堀 枚 宮 森 山 山 若 渡
子 子
昭 寿
久
J
pnJSc
F
z
ooIHe
al
t
h4
3;2
0
0
1
≪北陸》
荒
地 秀
明
也
石
樽
清
司
出
井
梨
枝
乾
外
志
今
川
恵美子
入
谷
仁
士
上
野
昌 江
上
延
富久治
榎
本
佑
江
原
悦
子 光 也 芙 美 子
史
哲
育 利 智 弘 直 純
沼
川
川 中 畑
天
石
一
川
豊
石 戎 佐 田 中 峯
孝
秀
栄 位 秀 嘉
史 宝
島 田 阪 橋 川 崎
合子
一 永
宣 智 玉 慶
弘 子 晃 子 子 美 子
恵
章 智
葉 田 川 子 問 丸
東 稲 岡 瀬 丁 長 宮
百
英 樹
≪
近畿》
子
登志 子
道
生
色
谷
純
一
植
本
愛
子
乾
子
色 神 野 野
椅
一 井 上 絵
裕
石
太
五十嵐
田
貴
樹 子 子 夫 子 郎
倉
昌 典 絃 文 滋 良
赤
子
子
1
0
1
学校保健研 究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
管
北
北
小
後
敬
白
杉
田
衣
親
加
藤
果
萱
村
洋
子
菊
地
美奈子
和
美
北
野
美
波
由 美
北
村
李
軒
黒
田
基
嗣
小
西
俊
子
政
英
二
後藤田
恵
美
清
美
桜
井
久
恵
龍
生
白
川
弘
泰
修
一
杉
本
弘
子
真紀子
高
所
和
男
英太郎
竹
田
武
郎
晴
孝
辻
庄
長谷川
ちゆ子
服
坂
東
マサエ
日
藤
井
美恵子
藤
藤
原
寛
松
浦
岡
芳
明
尊
麿
健
文
子
信
行
聖
次
留美子
美代子
博
信
章
子
俊
彦
立
世
耕太郎
二三生
小
熊
桂
代
隆 洋
勝
野
最 吾
谷
仁 士
神 谷
和
せ
畑
徹
朗
神 崎
和
枝
本
章
江
北
尾
清
美
村
映 子
北
村
翰
男
林
悦
木
村
龍
雄
正
宏
子
泉
直 子
肥
壌
山
健
蔵
後
藤
藤
太
堺
み どり
原
順 子
島 井
菅
章
志
宅
幸
恵
須
飼
利恵子
藤
勝 見
染
川
清
橋
洋 子
高
保
敦 子
田
律
子
谷
川
尚 己
田
純
三
鶴
原
常
雄
中
美
尾
修
神
勝
野
加寿子
中 畑 朋
美
井
純 子
新
博
本
勉
長谷川
修一郎
正
播磨 谷
澄
藤
井
最喜子
藤
原
孝
署
平
鏡
子
雄
前
山
直
松
岡
弘
於
本 康
子
三
野
耕
森
井
秀
山
樹
保
八 木
名
康
雄
山
本
京
世
横
尾
能
範
子 由 武 志
吉
山
正
村
善 雄
清 金 兼 啓
本
秋
ひとみ
川
松
部 原 井 原
根
山
山
千
橋
之
阿 石 今 大
山
矢
子
美代子
延
士 導 美 弘 子
生
蘇
子
慶
龍太郎
山
喜代子
崎
車 窓 昭 公 晶
柳
宮
祥
朝
容 子
西
岡
翰 田 下 本 良
岡
丸
里
美
咲 恭
原
松
夫
度
喜
和 英
三
船
松
武
真
成
博
大
万起子
子 子 生 昌 信
西
子
恵 子
脇
絹 秀 康 義 周
中
紀
増
竹
本 本 内 浦 原
美
伸
昭
英
和 志 子 記 輔 子 夫 子 潤 久 子 勉 子 子
清
岡
美智子
肇
陽
正 浩 節 三 大 敬 道 紀
村
忠
二
中
西
長 二 子 子 晴 彦 子 弘 之
中
賢 勇 宣 和 郁 善 允 信 隆
徳
森
哉
久美子
佑
岡
俊
廉
八 重
谷
弘
伴
川
丸
喜
美
中
桧
由 香
田 塘 村 上 原 元 田 田 浦 嶋 畑 下 川 井 本 本
也
慶
岡
小
山 谷 村 牧 部 垣 岡 本 浦 下 山 井 岡 田 平 本 田
玉
田
田
潔
晃太郎
西 和 藤
棉
乃 里江
大 大 小 笠 釜 川 岸 北 木 小 小 斎 佐 新 須 高 多 辻 中 中 永 橋 林 福 藤 堀 松 松 南 三 森 山 山 由
亀
佳代子
道
子 徳 慶 子 子 美
初
川
大
久 良 重 愛 秀 初
小
大
代
田 山 本 原 井 田 本 村 戸
岡
米次郎
郁
太 大 岡 小 金 河 岸 北 木 高 小 後 佐 進 杉 高 竹 辻 冨 中 申 野 花 百 藤 古 松 松 藩 宮 森 柳 山 山
大
江 橋 田 笹 藤 高 野 口 村 本 島 藤 田 石 本 尾 田 城 口
大
≪中国 ・四国≫
荒
川
長
巳
原
昌
江
伊
藤
是み ち
宇都 宮
朝
奈
太
田
武
夫
稔 子 春 夫
美代子
一
康
禎 利
英
立 本 場 友
石
山
足 池 射 大
部
青
雪 雄 子 子
英
美
冨 和 由 泰
阿
男
川 宗 原 田
木 邦
浅 池 伊 太
青
1
02
学校保健研 究 J
pnJSc
h
o
olHe
al
t
h43;2
001
田
小
倉
俊
子
門
田
美千代
田
久
子
小 笠原
鈴
音
聡
小
充
原
内
信
子
川
田
智恵子
貴
志
知恵子
北
窓
隆
喜多村
木
村
達
志
木
村
浩
之
吉
小
海
節
美
国
土
将
平
/
)
、 西
夫
子
良
美
望
尚 平
寛
子
栄
吉谷野
厚
子
小
山
和
斎
藤
美
麿
佐
伯
里英子
子
芝
本
英
博
下
村
美佳子
事
賛
成
文 彦
杉
本
泰
江
代
高
見
京
太
詫
間
晋
平
駒
井
説
後
藤
安津子
塩
見
優
白
山
高
橋
香
武
田
利
恵
武
本
千
恵
多 田羅
裕
子
土
取
洋
子
寺
岡
佐
和
友
定
保
博
中
桐
佐智子
中
丸
弘
子
鳴
瀬
夏
江
野々上 敬 子
信
本
昭
彦
野
村
公
カニ
馬
場
ゆか り
井
多津子
藤
岩
秀
樹
祝
部
大
輔
細
川
つ や子
本
間
聖
康
本
排
方
百
松
浦
弘
子
松
本
健
治
松
三
村
由香里
向
井
康
雄
棟
安
岡
隆
山 神
最
勝
之
山
崎
美恵子
山
崎
早
山
階
優
子
山
本
久美子
山
本
吉
本
佐雅子
柳
修
平
曹 勉
新一郎
崎
美 男 樹 代 三 二 也
田
山
清 彰 武 康 鉱 順 利
門
内
ツルキ
菊
永
茂
美子
木
村
一 彦
司
順 子
小
出
弼
生
美智子
小
林
春
男
義
子
合
田
恵
子
た江
樺
山 信
一
夫
白 石
子
鈴
木
雅
子
ま り子
武
田 則
昭
佐和代
谷
本
智恵子
頼
子
中
永
征 太郎
覚
西
村
洋
子
子
長 谷川
仁
志
祥
隆
三和 子
平
田 和
子
比登美
藤
原
司
章
明
増
谷
昌 巳
公美子
三
木
千代子
日出明
森
忠
繁
立
雄
山 崎
昭
紀
智恵子
山 下
文
代
万喜雄
吉
田
順
一
倍 誠
子
藤
川
村 谷 福 家 成 藤 村 賀 元 崎 川 中 分 山 立
田 優
郎
裕
有 磯 伊 大 音 加 木 古 坂 篠 砂 田 綱 永 羽
原
一
瀬
洋 耕 る 秀 貴 隆 豊
千津子
尾
彦
淑
本 橋 城 常 口 下 本
川
永
二 熊
花
福
厚
美子
つ 義
河
川
郎
米 俊 由 久
小
節
崎 田 野 戸 持 西 木 田 村 山 田 津 折 村 本
崎
尾 銀 河 木 勧 小 郷 坂 下 杉 武 息 豊 西 橋 東 藤 前 方 基 山 山 山
岡
≪九州》
代
千
司
雄
行
千
夫
千 草
藤
雄
内
立翰
平
まき代
大
庭
茂
美
楯
山
哲
治
神
田
久
草
野
美板子
圭一郎
斉
藤
ふ くみ
盛 造
佐
藤
伸
宗 洋
彦
鋤
崎
高
倉
澄
子
夫
鈴
英
高
チ
代
之
袷
淳
仁
美
昭
子
美智子
百合 子
公
治
田
原
靖
昭
堤
行
富
永
妙
子
永
幸
野
村
弓
波多 野
田
1行 道
チ
原
伊
憲 浩
守
昇
1弘 博 正
塞
義 洋
右 野 田 住 藤 本 田 田 中 俊 原
辰
石
一
恵
子
俊
子 治 み
美紀代
丸
樹
野 本 東 田 平 山 田 原 方 宮 木 平
井
一
美
東
天 石 伊 浦 奥 影 北 栗 佐 三
石
吉 田 藤 原 内 斐 津 城 伯 原 藤 良 川 屋 宮
弘
秋 石 伊 上 大 甲 川 金 佐 崎 進 平 谷 照 二
隆
姫 和 正 光 護 功 洋 彰
星
林 大 小 門 静 近 坂 島 住 田 常 西
赤
彰
さとみ
陽 子
健
一
正
治
由紀子
め ぐみ
俊
子
洋
子
浩
子
憲
明
智
子
まゆみ
1
0
3
学校保健研 究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
博 和 恵
富 田 向
一子 治 子 彦 謙
東 福 前 道 本 門 渡
光
泰 高 優 事 尚 書
守
=
ヒ
L
I
場 田 田 坂 原 山 辺
宮
本
敏 幸 正 順
松
馬 深 本 美 餅 森 渡
瀬
也 次 昌 子 次 樹 太
信 春
鹿
鉾之原
元 山 田
美 都 史 子 子 子 正
恵
辰 三 武 芳 利 励 義
高 林 田 城 谷 岡
林 日 藤 牧 宮 森 書
原
文
疋
田 理津子
博
藤
島 和
孝
子
増
井
絢
子
良
峰
於
和
美
瀬
純一郎
百
義
人
司
れい子
輿古 田 孝
夫
辺
猛
渡
子
辺
紀
平成 1
3
年度 (
平成 1
3
年 4月から平成 1
4
年 3月)会費納入のお願い
3月を もって平成 1
2
年度の会費切れ とな りました.同封 の振替用紙 をご利用 の上,個人会員会費7
,
0
0
0円,
0,
0
0
0円,賛助会員会費1
0
0
,
0
0
0円をお支払 い下 さい.
団体会員会費1
尚,退会 を希望 され る会員 は,至急文書 にて事務局 まで ご一報下 さい. と くにお 申 し出のないか ぎ り継
続 とみなされ ます. また,住所変更等が ござい ま した ら,下記変更届 けの所要事項 をご連絡下 さい.
振替 口座
0
0
1
8
0
-271
9
2
9
日本学枚保健学会
銀行 口座
6
0
9
3
4
富士銀行本郷支店 (
普通)4
日本学校保健学会
連 絡 先
森
昭三
〒1
0
2
0
0
7
5 東京都千代 田区三番町1
2
大妻女子大学人間生活科学研究所 内
日本学校保健学会事務局
TEL.
FAX 0
3
-5
2
7
5
9
3
6
2
勤 務 先 。自 宅 住 所 変 更 届
名前
フリガナ
雑誌送付先
住
住所
旧所属
所 〒
新所属
TEL代表/直通
FAX
e
-ma
il
旧 自宅
自宅住所
TEL
自宅住所
新 自宅
TEL〒
FAX
職名
勤務先/自宅
1
0
4
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h43;2
0
0
1
「
学校保健研究」投稿規定の改正 について
平成1
3年 4月1
4日
「
学校保健研究」編集委員会
投稿論文の査読の迅速化 と一貫性 をもたせ るために,投稿規定の改正 を行ないます.なお,改正 された
規定は平成13年 7月 1日以降の投稿論文 より適用 します.
現
規定なし
行
改
正
1
6 審査過程で返却 された原稿が,特別な事情な くして,学会発送 日より3ケ月以上返
却 されないときは,投稿 を取 り下げたものとして処理する.
訂正のお知 らせ
「
学校保健研究」第42巻 6号の482頁の記載において,執筆者か ら事実 と異なる記載 をしたことによる訂
正の申し出があ りました.編集委員会では,記事が本学会総会 におけるシンポジウムのまとめであ り,発
言者か らも執筆者に対 して事実 と異なる旨の申し入れがあったことを考慮 して,訂正の申し出を受理 し,
以下のように訂正いた しますので,ご周知願います.
訂正内容
「
学校保健研究」第42巻 6号482頁右側
(
読)「
養護」は実践の科学である.
11
行目
(
正)「
保健」は実践の科学である.
以上
「
学校保健研究」編集委員会
1
0
5
学校保健研究 J
pnJSc
h
ooIHe
al
t
h4
3;
2
0
0
1
お知 らせ
「
第 9回J
KYB健康教育 ワークシ ョップ報告書」
発行のお知 らせ
昨年 8月に兵庫県伊丹市で開催 された 「
第 9回J
KYB健康教育 ワークショップ」の報告書が発行 されまし
た.ご希望の方は,郵便為替でお申し込み下さい.
郵便振替口座番号 :0
1
1
6
0
2
7
5
3
9
3
加入著名
:J
KYB健康教育 ヨークショップ
代金
連絡先
:本体 1
,
5
0
0
円 (
送料別些 円)-合計と旦
建円
:〒6
5
7
8
5
0
1 神戸市灘区鶴甲 3-1
1 神戸大学発達科学部健康発達論講座
Te
l&Fa
x.0
7
8
8
0
3
J7
7
3
9
川畑徹朗
シンポジウム 「
思春期のライフスキル (
心の能力) を育てる」
開 催
要
領
主催 JKYB研究会 (
代表 神戸大学発達科学部 川畑徹朗)
後援 伊丹市教育委員会 ,国際青少年育成財団日本事務局 (
暮
YFジャパン)
対 象 :教師,保護者 を始め として青少年の健全育成に関心のある方 (
約1
,
0
0
0
名)
日 時 :2
0
0
1
年 8月2
2日 (
衣)1
3:0
0
-1
7:0
会 場 :兵庫県伊丹市立文化会館 「いたみホール」 (
大ホール) (
兵庫県伊丹市宮 ノ前 1- 1- 3)
参加費用 :1
0
0
0円
申し込み受付期限は 7月3
1日といた しますが,定員に達 し次第締め切 らせていただきます.参加費用の
お支払い方法については,参加申し込み受付の時点でお知 らせいた します.
【
申し込み先】
〒6
5
7
8
5
0
1 神戸市灘区鶴甲 3-1
1 神戸大学発達科学部 健康発達論講座 川畑徹朗
Te
l&Fa
x.0
7
8
8
0
3
7
7
3
9
ライ フスキル (
心 の能力) の形成 を 目指す
第1
0
回J
KYB健康教育 ワークシ ョップ
"
楽 しくて,で きる"ライフスキル教育&健康教育プログラムの開発 をめざして !
主催 JKYB研究会 (
代表 神戸大学発達科学部 川畑徹朗)
後援 伊丹市教育委員会
対 象 :一般教諭,養護教諭,栄養士,保健婦,歯科衛生士など約 1
2
0
名(
初参加者7
0
名,参加経験者5
0
名)
日 時 :2
0
0
1
年 8月2
3日 (
木)午前 9時∼2
4日 (
金)午後 5時 (
2日間)
会 場 :兵庫県伊丹市立文化会館 「いたみホール」
参加費用 :1
2
,
0
0
0円 (
一般参加費 :資料費,事後報告書費,懇親会費を含む)
申し込み受付期限は 6月3
0日といた しますが,定員に達 し次第締め切 らせていただきます・参加費用の
お支払い方法については,参加申し込み受付の時点でお知 らせいた します.
【
申し込み先】
〒6
5
7
8
5
0
1 神戸市灘区鶴甲 3-1
1 神戸大学発達科学部 健康発達論講座 川畑徹朗
Te
l
&Fax.078-803-7739
1
0
6
学校保健研究 J
pnJS
c
h
o
o
IHe
a
l
t
h4
3;2
0
0
1
編
集
後
今回は特集 として,「
薬物乱用防止教育」 を取
り上げました.薬物乱用防止教育は,喫煙 ・飲酒
防止教育,エイズ教育などと共に,学校教育現場
での実践が不可欠であることは言 うまでもあ りま
せん.先 日の編集委員会で本学会誌の論文の内容
や性格が話題にな りました.現行の投稿規定では
原著,報告 を重視 してお り,学校教育現場か らの
実践報告が少な くなるという意見が出ました.敬
記
育現場か らの実践報告 を原著,報告 として積極的
に取 り上げる必要性を感 じます.
本学会では,毎年,多 くの養護教諭が学校保健
活動の実践 を発表 されています.演題には学会誌
に投稿 して欲 しいもの も数多 く見受けられます.
本学会誌が21
世紀の学校保健の研究 と実践の架け
橋 となるためにも,学校教育現場か らの投稿 を期
待 しています.
(
門田新一郎)
EDI
TORI
ALBOARD
「
学校保健研究」編集委員会
編集委員長 (
編集担当常任理事)
和唐 正勝 (
宇都宮大学)
編集委員
磯辺啓二郎 (
千葉大学)
小沢 治夫 (
筑波大附属駒場中 ・高等学校)
川上 幸三 (
北海道教育大学函館校)
小阪 栄進 (
金沢市立森山町小学校)
佐藤 祐造 (
名古屋大学総合保健体育科学センター)
佐見由紀子 (
東京学芸大附属小金井中学校)
群馬大学)
鈴木 庄亮 (
瀧揮 利行 (
茨城大学)
宮下 和久 (
和歌山県立医科大学)
百瀬 義人 (
福 岡大学)
盛
昭子 (
弘前大学)
門田新一郎 (
岡山大学)
渡適 正樹 (
東京学芸大学)
編集事務担当
山野 由紀 (
大妻女子大学)
【
原稿投稿先】「
学校保健研究」事務局
学校保健研 究
第4
3
巻
発
行
所
2
0
01年 4月20日発行
第 1号
刷
所
(
会員頒布 非売品)
昭 三
日本 学 校 保 健 学 会
事務局
印
Edi
t
or
i
alSt
a
n
YukiYAMANO
〒1
02
-0
075東京都千代田区三番町1
2
大妻女子大学 人間生活科学研究所内
%3 0
3
-5
275
-936
2
J
a
p
a
n
e
s
eJ
o
u
r
n
a
l
o
fS
c
h
o
o
l
He
a
l
t
h Vo
l
.
4
3 No
.
1
編集兼発行人 森
Edi
t
or
-i
n-Chi
e
f
Ma
s
a
ka
t
s
uWATO
As
s
oci
at
eEdi
t
or
s
Ke
i
j
i
r
oI
SOBE
Ha
r
uoOZAWA
Ko
uz
oKAWAKAMI
Ei
s
hi
nKOSAKA
Yuz
oSAでO
Yuki
koSAMI
Shos
ukeSUZUKI
To
s
hi
yuk
iTAKI
ZAWA
Ka
z
uhi
s
aMI
YASHI
TA
Yo
s
hi
t
oMOMOSE
Aki
koMORI
Shi
n
-i
c
hi
r
oMONDEN
Ma
s
a
kiWATANABE
〒1
02
-0075東京都千代 田区三番町1
2
大妻女子大学 人間生活科学研究所内
電話 0
3
-5
275
-9
36
2
事務局長 大浮 清二
勝 美 印刷 株 式 会社
〒11
2
10002文京区小石川 卜 3-7
平成 十 三年 四月 二十 日
I
SSN03
8
6
-9
5
9
8
Vo
l
ume43
,
Numbe
r1 Apr
i
l
,2
0
01
J
APANESEJ
OURNAL
発行
OF
SCHOOLHEALTH
発行 者
CONTENTS
森
Pr
e
f
a
c
e:
s
hi
ha
r
uKa
wa
ka
mi 4
He
a
l
t
hEduc
a
t
i
o
na
ndWe
l
f
a
r
eEduc
a
t
i
o
n・
・
----・
-・
・ --Yo
-
昭三
Speci
ali
ssues:Dr
ugEducat
i
oni
nSchool
Re
vi
e
w:
Pe
r
s
pe
c
t
i
ve
so
fSc
ho
o
l
-ba
s
e
dDr
ugAbus
ePr
e
ve
nt
i
o
n-----Shi
ngoKa
t
s
uno 5
Ar
t
i
c
l
e
:
印 刷者
De
ve
l
o
pme
nto
fSc
ho
o
lDr
ugEduc
a
t
i
o
ni
nJ
a
pa
n--・
・
----・
Te
t
s
uyal
s
hi
ka
wa 1
5
所
Re
po
r
t
:
Cr
o
s
s
一ma
t
i
ona
lSt
udyo
nDr
ugAbus
ePr
e
ve
nt
i
o
nSys
t
e
m
(
1
) Tr
e
ndso
fDr
ugMi
s
us
ea
ndNa
t
i
o
na
lDr
ugCo
nt
r
o
lSt
r
a
t
e
gyi
nBr
i
t
a
i
n
Sa
c
hi
koYo
s
hi
mo
t
oetal
.5
0
勝美印 刷株 式 会社
Re
s
e
a
r
c
hPa
pe
r
s
:
Pr
e
va
l
e
nc
eo
fSo
l
ve
ntl
nha
l
a
t
i
o
na
mo
ngJ
uni
o
rHi
ghSc
ho
o
lSt
ude
nt
si
nJ
a
pa
na
nd
The
i
rBa
c
kgr
o
undLi
f
e
s
t
yl
e
:
Re
s
ul
t
so
fChi
baPr
e
f
e
c
t
ur
eSur
ve
yi
n1
9
9
2
Ki
yo
s
hiWa
da 2
6
Ha
r
mf
ulSubs
t
a
nc
eAbus
e
,Ci
ga
r
e
t
t
eSmo
ki
ng,Al
c
o
ho
lDr
i
nki
nga
nd
Pe
r
c
e
i
vedNo
r
msa
mo
ngJ
uni
o
ra
ndSe
ni
o
rHi
ghSc
ho
o
lSt
ude
nt
s
Kuni
oI
c
hi
mur
aetal
.3
9
桐錆
棚
学 研究所内
日本学校 保 健学会
J
a
pa
ne
s
eAs
s
o
c
i
a
t
i
o
no
fSc
ho
o
lHe
a
l
t
h
印紙 糊畑 駈網
Re
po
r
t
s
:
ASt
udyo
nLi
f
e
s
t
yl
ea
ndHe
a
l
t
ho
fPupi
l
s
-Ana
l
ys
i
sBa
s
e
do
nt
heFi
ve
-da
yWe
e
kSc
ho
o
l
Sys
t
e
m・
Shi
ni
c
hi
r
oMo
nde
n 6
1
Re
l
a
t
i
o
ns
hi
pbe
t
we
e
nVe
ge
t
a
t
i
veCo
mpl
a
i
nt
sa
ndLi
f
e
s
t
yl
e
i
nt
heJ
uni
o
rHi
gh/Hi
h Sc
g
ho
o
ISt
ude
nt
s・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
No
r
i
koHo
t
t
ae
tal
. 73
I
ns
t
r
uc
t
i
o
nf
o
r"
He
a
l
t
hPr
o
t
e
c
t
i
o
n"i
nChi
l
dr
e
nwi
t
hMul
t
i
pl
eHa
ndi
c
a
p
l
,
-Sea
r
c
hf
o
rBe
t
t
e
rLi
a
i
s
o
nbe
t
we
e
nSc
ho
o
Ho
s
pi
t
a
la
ndHo
mei
nMedi
c
a
lCo
uns
e
l
i
ng
Ki
yo
miMo
ur
ietal
.8
3