PCAインドウィークリー

PCA インド ウィークリー
2006年3月22日号
今週のインド動向
今週のインド経済
経済は成長過程、州政府は早目の予算消化を−チダンバラム蔵相
印中年間貿易額、2007 年には 200 億ドル超え
エルニーニョ効果でモンスーンは平年並み
今週のインド産業・企業
スター女優と組んだシチズンの腕時計が大ヒット
エア・インディアとインディアン航空の合併検討
バンガロール地下鉄工事、着工へ
今週のインド政治
米国、原子力法改正法案を議会に提出
今週のインド社会---こんなことが起きている
インドの富豪、総資産額で日本を抜く
金融外資大手がインド人大学院生を高額報酬でリクルート
インド株式ウイークリー・レビュー(2006/3/13∼3/17) 利食い売りで乱高下するも、最高値を更新
今週のコラム-----現代インド事情 “インド NOW !”
第 61 回............................................................................................................................................................................ 空の渋滞
隔週インド講座-----インドをもっとよく知ろう
第 30 回............................................................................................................................ インド人の国民性の鏡「ホーリー」
製作・著作 ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社 www.pcaasset.co.jp
掲載記事の無断転載を禁じます。
〔当資料に関しご留意いただきたい事項〕
当資料は、ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社が、インドの政治、経済、文化等にかかる一般的な情報をご紹介するために株式会社インド・ビジネス・センターの協力により任意に作成した資料です。
当資料は、特定のファンドへの投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼できると判断される材料を使い、十分な注意を払って作成しておりますが、弊社及び株式会社インド・ビジネス・センターは、その
正確性、完全性をお約束するものではありません。また、【産業・企業】等の項目において掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたものであり、個別銘柄の売買の推奨を意
図したものではなく、当グループ外国法人による組入れを示唆するものでもありません。
2006年3月22日号
今週のインド経済
経済は成長過程、州政府は早目の予算消化を−チダンバラム蔵相
チダンバラム蔵相は上院予算審議の回答で 13 日、各州は自州に配分された予算を未消化で持ち続けず
新年度入りしたその日から消化して欲しいと訴えた。ヒンドゥー紙が伝えたところによれば、チダンバラム蔵相
は、州政府が中央政府からの交付金を有効に消化していないと指摘すると共に、中央政府の各省でも、新年
度の 9 ヵ月以内に予算の 66%を消化できなかった場合には、何らかの罰則の適用を行なうと述べた。予算を
早目に執行すれば資金が民間に回り、経済の活性化に繋がる、というのが蔵相の言い分。政府補助金はこ
こ 3 年で 7,400 億ルピーから 1 兆 1,344 億ルピーと、5 割以上も増加しており、交付金の支出による民間の消
費需要喚起、経済の拡大を期待してのもの。また、経済成長には農業の発展が欠かせないとし、農業関連
投資は万難を排して行い、それを妨げるものには容赦しないと述べ、8%成長達成とその維持に対する並々
ならぬ決意を見せた。
印中年間貿易額、2007 年には 200 億ドル超え
カマル・ナート商工相は 3 月 16 日、インドと中国の間の年間貿易額が 2007 年までに 200 億ドルを超えると
の見通しを明らかにした。これは中印両国政府が掲げてきた目標よりも 1 年早まっている。商工相の発言は、
ニューデリーで開催された印中合同ビジネスフォーラムの席で行われた。同フォーラムには中国の薄熙来商
務相も出席。ナート、薄の両氏はフォーラムに先立って開かれた印中合同経済グループの第 7 回協議の共
同議長も務めた。この協議が行われるのは実に 6 年ぶりになる。
薄商務相は「今回は中国の WTO(世界貿易機関)加盟後初の協議」と位置づけ、中印貿易額が世界の貿
易総額の 20%以上を占めていた「過去の栄光」を「再現」したいと述べた。一方、ナート商工相は現在の印中
貿易は品目が限られていると指摘。「インドからの対中輸出は原料や資源産業の製品が中心。貿易額を伸
ばすためには、品目の拡大が必要になる」と語っている。
エルニーニョ効果でモンスーンは平年並み
農業国インドは、モンスーンの出来(雨量)によりその年の経済成長が大きく左右されるが、ロイター通信
が 10 日、インド気象庁の長期予報として報じたところによれば、太平洋上で発生するエルニーニョ現象が今
年は観測されており、そのため多湿の天候が期待でき、今年のインドの降雨量は平年並みになろうとのこと。
同庁によると、過去 1988 年と 1999 年にエルニーニョ現象が観測されており、その際には平年並みかそれ以
上の雨量があり、「一般的にエルニーニョ発生の年は降雨量の心配なし」と分析している。
インドの今年度経済成長率は 8%を超える予想だが、インドで約6億人もの人が従事する農業の出来が非
常に重要になり、チダンバラム蔵相は、二桁経済成長率達成には農業の年間成長率を 4%以上にする必要
があると述べている。インフラ未整備のインドにあって、農業は神様ならぬ雨だのみ。今年も十分な雨が降り
経済成長率 8%以上を目指すインド政府の後押しをするかエルニーニョ現象、といったところ。
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2006年3月22日号
今週のインド産業・企業
スター女優と組んだシチズンの腕時計が大ヒット
人気女優カリーナ・カプール(25)をイメージキャラクターに起用したシチズンが、腕時計の売上を伸
ばしている。「デカン・ヘラルド」紙によれば、「カリーナズ・コレクション」と名付けられた腕時計 15 タイ
プのうち 3 種は在庫切れ。これはシチズンが 5 年前に現地法人を設立して以来初めての事態だとい
う。同社がカリーナを「ブランド大使」に起用したのは昨年 8 月で、契約期間は 3 年だが、さっそくその
効果が現れた形だ。「カリーナズ・コレクション」の価格帯は 9,500-2 万 4,000 ルピーで、真珠貝をあし
らった文字盤とスワロフスキのクリスタルガラスが特徴。バンドには金メッキを施したブレスレット型
や皮革型がある。このシリーズの大ヒットにより、売上の男女比率がこれまでの 70:30 から 55:45 と大
きく変化。売上額も前年比 35%増える見込みだ。シチズン・ウォッチ・インディアでは、今回の成功を
男性向け市場でも再現しようと、現在、インドの国民的スポーツであるクリケットのスター選手の起用
を検討しているとか。
エア・インディアとインディアン航空の合併検討
インドの国営ナショナル・フラッグ・キャリアー、エア・インディア(AI)と国内線が主である国営イン
ディアン航空(IC)合併の決定が今年度中に行われるかもしれない。両社合併で 130 機を有するメガ
航空会社になるが、パテル民間航空相は「KLM とエール・フランス、ルフトハンザとスイス・エアーと
いった世界的な航空会社の再編に加え、ジェット・エアウェイズとサハラ・エアラインズのインド企業
同士の合併等を考慮すれば、今回の提案は非常に筋の通ったものだ。両社の持てる力を最大限に
発揮することが必要」と述べている。インド地場通信社の情報として、フィナンシャル・プレス紙が 16
日、伝えたもの。同大臣はまた、実現には閣議決定が必要だが、「次年度にでも実現させたい。両航
空会社は共同運航などによる効率化などの検討に入っている」とも述べている。激化する航空会社
間の競争に打ち勝つには、非効率とお粗末なサービスで鳴る国営航空2社の抜本的改革は待った
無し、というところか。なお、両社とも株式公開を予定しているが、その際インド政府は保有株の
20-25%放出を予定している。
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2006年3月22日号
バンガロール地下鉄工事、着工へ
バンガロール地下鉄事業が関係閣僚会議で了承され、バンガロール・メトロ鉄道(BMRCL)は 3 月 10 日、
同地下鉄 7 キロ分についての具体的な計画を発表した。正式決定は、3 月 23 日に開かれる経済閣僚会議
の席で下される予定だが、実質的に事業はスタートしたと言える。チンナスワミ・クリケット・スタジアムから
ビャパナハリまでの建設工事の入札には、外国勢 15 社を含む建設会社 25 社が参加の意向を表明。実際
の入札への参加企業は、事前審査によりすでに 12 社にまで絞り込まれた。入札結果は今後 2 ヶ月(10 週)
で決まるという。また、ゼネコン(元請け契約社)としては内外の企業コンソーシアム 9 グループが名乗りを挙
げ、これを 5 グループに絞り込む審査が現在行われている。建設用地買収についての公聴会は 9 月までに
本格的に始まる予定。残る問題は、住民が一部路線の変更を求めている約 27 エーカー(約 11 万㎡)の用
地の買収だけとなった。計画全体の予算は 630 億ルピーに決まり、うち 180 億ルピーは州政府が、150 億ル
ピーを中央政府が支出するほか、日本の国際協力銀行も 180 億ルピーを、またインドの金融機関が 120 億
ルピーを融資する。
今週のインド政治
米国、原子力法改正法案を議会に提出
3 月初旬、ブッシュ米大統領が訪印、民生用核技術の協力に合意したが、同合意を実施するための手続
きとして米政府は今月 16 日、原子力法(1954)の改正法案を議会に提出、承認を求めた。同法は、核不拡
散条約(NPT)未締約国に対する核関連技術や軍事転用可能な機器の売却を禁じていることから、インドと
の約束を履行しようとした場合には、修正が必要になるというもの。これに先立ちライス国務長官は 13 日、
ワシントンポスト紙への寄稿で、今回のインドとの民生用核技術協力合意により、世界の安全確保が前進
すると述べると共に、「今回の合意を実行に移すことがインドとのパートナーシップ促進に欠かせぬもの」と
の見解を述べている。一方、最近インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)が行った、インド大手企業代表
250 人を対象とする調査においても、回答者の 92%が「印米原子力協力は、過去 30 年にわたった『核の孤
立』からインドを解放する重要な転機になる」との前向きな見方が出ている。マンモハン・シン首相もブッシュ
大統領の訪印に先立つ 2 月 28 日、米テレビ局のインタビューに答えて、「米国がインドへの民生用原子力
協力に同意すれば、両国の歴史的和解につながり、インドを核の孤立から解き放つことになる」と期待を寄
せていた。
当情報は、インド国内外の情報を総合して掲載しております。
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2006年3月22日号
今週のインド社会---こんなことが起きている
インドの富豪、総資産額で日本を抜く
米フォーブス誌は 9 日、資産 10 億ドル(約 1,170 億円)以上を所有する世界の長者番付を発表した。10
億ドル以上の資産を所有する富豪の総資産額は、インドが 988 億ドルと香港を含めた中国(918 億ドル)や
日本(669 億ドル)を抜いてアジアで最高となった。「富豪の総資産額でインドは、自国の威信を中国に保て
た」とフォーブスはコメント。
なお、富豪の数は日本がアジア最多の 27 人で、インドは 23 人。インドの富豪のトップは世界の鉄鋼王と
なったミタル・スティールのラクシュミ・ミタル会長で総資産額 235 億ドルの 5 位、一方、日本人の首位は武富
士の武井保雄前会長で 107 位となっている。トップは 12 年連続で米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長で、資
産総額は 465 億ドル(約 5.4 兆円、インドの国家予算の 1/3 強)。10 億ドル以上の資産を所有する世界の富
豪の数は昨年より 102 人増えて 793 名。
金融外資大手がインド人大学院生を高額報酬でリクルート
インド経営大学院(IIM)バンガロール校の学生が年収 19 万 3,000 ドル(約 2,000 万円)という就職口にあり
ついた。インディアン・エクスプレス紙によれば、IIM の卒業(見込み)生の初任給としては史上最高額だとい
う。この記録を達成したのは、IIT(インド工科大学)カンプール校を出て、この 5 月に IIM バンガロール校を卒
業予定の男子院生で、英系金融大手のバークレイズのロンドン勤務アソシエイトにリクルートされた。他に
も、有名金融機関からインド勤務で年収 30 万ルピー(約 780 万円)の内定を受けた学生もおり、この額も国
内勤務の初任給としては新記録とか。IIM バンガロール校が 3 月 10 日に行ったキャンパスでの求職エント
リー受付には 21 社が応募。その中で目立ったのは国際企業のゴールドマン・サックスや BNP パリバ、バー
クレイズ・キャピタル、メリルリンチ、リーマン・ブラザース、ドイツ銀行、ABN アムロ、UBS といった金融外資
大手だった。
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2006年3月22日号
インド株式ウイークリー・レビュー(2006/3/13∼3/17) 株式会社インド・ビジネス・センター
代表取締役 島田 卓
利食い売りで乱高下するも、最高値を更新
先週は 15 日(水)がホーリー*で休場のため 4 営業日であった。週初は前週の勢いを引き継ぎ終値
ベースで前週末比 39 ポイント上げ、初の 10,800 台(10,803.7)を付けるも、翌日は利益確定売りにおさ
れ、前日比 2 ポイント下げている。FII(外国機関投資家)からの資金流入が続いており、これとインド国
内の投資信託が相場形成の牽引車となっている。休日明けの 16 日(木)にはリライアンスなどの大型
株に買い注文が入り、10,900 台をうかがうところまでいき、週末 17 日(金)の日中取引では 10,951.38
の最高値をつけ、11,000 台に手の届くところまできた。しかしながらその後、調整が入り前日比 19 ポイ
ント下げ、10,860.0 で終わった。FII の先週純投資額は4営業日ということもあってか、前週の 3.17 億ド
ルを下回る 2.35 億ドルであった。
*
「ホーリー」はヒンドゥー教の春の祭りで、これが来ると日増しに暑さが増すといわれる。ヒンドゥー暦
パルグナ月の満月の日に行なわれ、秋のディワリと並ぶヒンドゥー教徒にとっては最大の祭の一つ。
午前中は赤や青、緑等の色がついた粉や水を掛け合って春(本当は夏?)の到来を祝い、午後は斎
戒沐浴するという慣わし。
(注)
断り無き限り、株価はムンバイ証券取引所 SENSEX 指数を指す。
2006/3/13∼3/17
高値
10,951.4
↓
SENSEX 指数推移
11,000
10,900
10,800
10,700
10,600
10,500
10,400
10,300
10,200
10,100
10,000
9,900
9,800
9,700
9,600
9,500
9,400
↑
↑
安値
安値
10,761.2
10,761.2
2/16
2/20
2/22
2/24
2/28
3/2
3/6
3/8
3/10
(注)3/15 はインドの祝日ホーリーのため休場
【業種別動向】
8%
【主要銘柄動向】
6%
4%
2%
0%
本
財
資
金
属
IT
ヘ
ル
ス
ケ
ア
財
動
車
久
消
費
自
銀
行
耐
石
油
・ガ
ス
-2%
3/14
3/17
3/13 始値 10,818.9
銘柄
オイル&ナチュラル ガス
リライアンス インダストリーズ
タタ コンサルタンシー
インフォシス テクノロジーズ
ウィプロ リミテッド
ブハルティ テレベンチャーズ
ITC リミテッド
ICICI バンク
ヒンドゥスタン リーバ
バーラト ヘビー エレクトリカルズ
3/17 終値 10,860.0
産業
騰落率
石油開発
6.1%
石油化学
6.0%
情報技術
5.5%
情報技術
-1.2%
通信
0.0%
情報技術
0.2%
たばこ
-1.4%
銀行
-1.3%
多角企業
0.8%
電子部品
-1.6%
先週のインド株式市場は、石油・ガスセクターが4%を超える上昇となり先週のSENSEX指数上昇の牽引役となり
ました。一方、前週、前々週と5%を越える上昇を記録した資本財セクターは反落。▲1.2%となりました。主要企業で
は、オイル&ナチュラルガスはNYの原油価格が高値圏で推移していることが好感され+6.1%の上昇、また、リライア
ンス・インダストリーズも小売業への進出計画が好感され+6.0%のプラスとなりました。
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今週のコラム
現代インド事情
W!
インドNOW
ネルー大学日本語学科教授
プレム・モトワニ博士
第 61 回 空の渋滞
インド国鉄は、今年度の鉄道予算案で史上初めて料金を 18%も引き下げただけではなく、客離れ
を防止するために航空会社と同様、「マイレージ・サービス」まで導入した。これは今、インドで航空
会社の間で激しい競争があり、場合によって鉄道よりも飛行機の方が安くなっているからである。飛
行機の年間利用者がまだ 1,800 万人で、航空会社が 1 日 1,500 万人という鉄道利用客を奪い取ろう
としているためである。
ここ 2 年間で航空会社の数は急増した。以前からあるジェット・エアー、インディアン・エアラインズ
とサハラ(ジェット・エアーによってすでに買収済み)のほかに、エアー・デカン、スパイス・ジェット、キ
ングフィッシャーが相次いで設立され、来月からゴア・エアーというもう 1 社の参入が決まっている。
インドの航空産業が急速に伸びていることは、エアバスやボーイング機の購入数でインドが今世界
一であることからも明らかである。これらの新しい路線は低コスト便のため、航空券が格安となり(半
年前に予約すれば、1 ルピーでの空の旅が可能である)、利用者が急増したのである。ここ 1 年の年
間飛行機利用者 1,800 万人のうち約 40%が初めての利用者であるといわれている。航空会社がコス
ト削減のために、全体の約 75%の航空券をガソリンスタンドやインターネットで販売している。
一方で、今デリーやムンバイで飛行機が着陸するのに最低 30∼40 分かかる。それはインフラ上
のネック(滑走路が一本しかない)のためである。すでに、両都市の空港の新築が決まっているが、
新空港ができるまで最低 2、3 年はかかる。現在空港はさながら「魚市場」のようで、乗客にとって空
の旅は苦痛である。
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ネルー大学日本語学科教授
プレム・モトワニ博士
第 30 回 インド人の国民性の鏡:「ホーリー」
3 月 15 日はヒンドゥー教徒の 2 大祭の 1 つ「ホーリー」。ヒンドゥー教の暦によって毎年日にちが多
少違うが、たいてい 3 月中旬で、これを境にインド全土が暑くなっていく。この祭は全国的に熱狂的に
祝われ(北部のマトゥラーとバラナシのホーリーが特に有名)、街頭で「グラール」と呼ばれる色粉や色
水を、年齢を問わず、相手構わず掛け合ってみんなが楽しむことが特徴。面白いのは、外国人でイン
ド好きな人が大勢わざわざこの時期にインドを訪れ、この祭りを楽しむ。今日も顔が真っ赤に染まった
西洋人の一人がテレビの取材に「世界には東洋と西洋とインドがあるといっていい。自国でもこんな
に親しみを感じることがない。毎年この祭りに参加したい」と語っていた。
この祭は、まさにインド人の気質を現すものであると思う。インド人は基本的に、遠慮のない人との
交わりや所構わずにどんちゃん騒ぎをすることが好きな国民である。前述の通り、この祭の最大の特
徴は、色粉や色水を相手構わずにかけ合うことである。それは、カースト、宗教、性別、貧富に関係な
くみんなが同じ色に染まるという意味を持つ。だからこそ、外国人でもすぐに仲間に入れるわけであ
る。
それから、この祭のもう 1 つの特徴は、この祭の「オフィシャル・ドリンク」とも言える「バング(大麻の
葉っぱから作った粉)」を飲み(お菓子に混ぜて食べることもある)、1 日中どんちゃん騒ぎをすることで
ある。太鼓を打ちながら町中を回る群がこの祭りの象徴である。それから、このどんちゃん騒ぎの一
環として、夕方に「風刺詩コンテスト」も全国各地で開催される。
とにかく、この日はみんなが日ごろのストレスを忘れ、存分に楽しむのである。インドに近づくには、
この祭に参加してみることが近道かもしれない。
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