STOP! 危険ドラッグ -その疑問、薬剤師が答えます- <FAQ集> 一 般 社 団 法 人 愛 知 県 学 校 薬 剤 師 会 はじめに 本会では、長年、薬物乱用防止活動を推進してきており、学校における薬物乱用防止教室等へ の講師派遣等で成果を上げているところです。 しかし、平成24年頃より違法ドラッグ等の乱用者による深刻な事件・事故等が多発したこと から、国は平成26年7月18日に「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策」として、 ①危険ドラッグの実態把握の徹底とその危険性についての啓発強化 ②指定薬物の迅速な指定と危険ドラッグに係る犯罪の取締りの徹底 ③危険ドラッグの規制のあり方の見直し の3つを取りまとめ、一丸となって乱用の根絶に向けて取り組みを行うとするとともに、平成2 6年7月22日より「規制の有無を問わず、使用することが危ない物質」という意味で「危険ド ラッグ」という新呼称を使用することとしました。 さらに教育関係では、平成26年7月28日に文部科学省スポーツ・青少年局より各都道府県 知事や各教育長宛てに、「薬物乱用防止教育の更なる充実について」が通知され、その中で外部 講師を招いての薬物乱用防止教室開催などを通じて「危険ドラッグ」の乱用防止を児童生徒に徹 底周知していくよう求めています。 その内容については、 (1)学校保健計画に位置付けて、全ての中学校と高校で年1回開催するよう指導されている 薬物乱用防止教室等を通じて、健康被害事例などについての情報を積極的に伝える。 (2)各種の啓発資料(小学生用「わたしの健康」、中学生用「かけがえのない自分・かけが えのない健康」 、高校生用「健康な生活を送るために」 、大学生用「薬物のない学生生活 のために」を活用して、危険ドラッグを含む薬物乱用防止を適切に指導する。 (3)警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師などの活用を図る。 (4)スマートフォンをはじめとするインターネットを介した薬物入手の危険性が高まってい るので、関連サイトの閲覧を防止するフィルタリングを徹底する。 (5)夏休み期間などの節目を捉え、危険ドラッグの危険性について広報啓発活動をする。 とされています。 昨年、指定薬物等の規制の見直しを含め、旧薬事法が新たに「医薬品医療機器等法」として改 正され「危険ドラッグ」への規制が見直されたことはご承知の通りです。本会としても、危険ド ラッグの危険性等についての啓発強化に向けて関係機関等との連係のもと、学校薬剤師が学校で 児童生徒等に対して薬物乱用防止についての啓発を行うだけでなく、地域に密着した健康情報拠 点としての薬局・薬剤師においても健康講座等を利用しての地域住民等への薬物乱用防止につい ての啓発活動の強化を是非図っていただきたく、薬剤師が一丸となって地域の幸せな社会を守っ ていくという姿勢を貫いていただきたいとの願いから、今回新たに、 ①危険ドラッグPP資料 ②リーフレット ③危険ドラッグについてのFAQ集 を作成いたしました。 是非ご活用いただき薬物乱用防止の徹底にご協力いただくようお願いいたします。 ― 危険ドラッグについてのFAQ ― Q 1 「危険ドラッグ」とは何ですか? A:「麻薬」に類似する物質を含み、多幸感や快感を高め、幻覚作用などを得る目的で使 用する製品の総称で、主にインターネット、アダルトショップ等で販売されています。 また、その多くは医薬品医療機器等法上の「指定薬物」を含んでいて、なかには「麻 薬」を含むものもあります。しかし、たとえこれらを含んでいないとしても、その作 用から「無許可医薬品(無承認無許可医薬品)」に該当するとされています。 Q 2 「指定薬物」とは? A:指定薬物とは医薬品医療機器等法で中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を 有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生す るおそれがある物をいいます。 <参考> 「医薬品医療機器等法」 第二条の 15 この法律で「指定薬物」とは、 ・・・厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見 を聴いて指定するものをいう。 (指定手続の特例) 第七十七条 厚生労働大臣は、第二条第 15 項の指定をする場合であって、緊急を要し、あら かじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聴くいとまがないときは、当該手続を経ない で同項の指定をすることができる。 2 前項の場合において、厚生労働大臣は、速やかに、その指定に係る事項を薬事・食 品衛生審議会に報告しなければならない。 Q 3 「包括指定」とは? A:既に販売された化合物を規制すると、別の官能基を持つ類縁化合物が登場するという 悪循環を生じたことから、こうした薬物乱用の悪循環に対する防止策として、指定薬 物制度において「包括規制」が導入されました。 <参考> 1.合成カンナビノイド系(平成25年3月22日に施行) ・775物質のうち、麻薬又は向精神薬に指定されて いる3物質を除く772物質 <包括指定 1 号> 2. カチノン系化合物(平成26年1月12日に施行) ・504物質のうち、麻薬又は向精神薬に指定されて いる9物質を除く495物質。うち21物質は、指 定薬物として既に個別指定されていたもの <包括指定2号> Q 4 「指定薬物」の数は? A:以前は、規制薬物の化学構造式の一部を変更することによって法の規制を逃れたり、 「指定薬物」に指定されてもその所持・使用・購入・譲り受けを規制する法律があり ませんでした。平成25年1月以前に規制されていた「指定薬物」は約90物質しか ありませんでしたが、包括指定が導入されたこともあり、平成27年1月で1400 物質以上(平成27年2月9日現在:1448物質)にまで増加しています。 新たな薬物の出現は止まっていないため、今後も指定される薬物は増加すると思われ ます。 Q 5 「無承認無許可医薬品」とは? A:医薬品医療機器等法に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされていない物質を指 します。こうした物質は、含有量が必ずしも均一でなく、いちどに摂取すると健康被 害を生じるおそれがある量が含まれている場合があったり、不衛生な場所や方法で製 造されたものである恐れもあり、有害な不純物等が含まれている可能性も否定できず、 これによる健康被害については、検出された医薬品様の成分によるものとは限らず、 含まれる不純物等が関係している可能性があります。 そして、危険ドラッグや「いわゆる健康食品」にはこうした「無承認無許可医薬品」 が添加されている場合があります。 Q 6 「危険ドラッグ」の名称の由来は? A:以前は、 「法の網にかからない」という誤解から「脱法(合法)ドラッグ」と呼ばれ、 その後、「違法ドラッグ」とも言われました。しかし、その吸引・飲用者による深刻な 事件、事故が相次ぎ大きな社会問題となったことから、「脱法」「合法」「ハーブ」とい う名称では危険性が伝わらず、乱用を防止できないとして、厚生労働省が警察庁ととも に、いわゆる「脱法ドラッグ」について、これらが危険な薬物であるという内容にふさ わしい呼称を募集、「規制の有無を問わず、使用することが危ない物質」という意味で 「危険ドラッグ」という新呼称に変更し、平成26年7月22日より使用することとな りました。 ※「麻薬」、「薬物」は、法令用語と重なるため使用を控えた。 Q 7 「危険ドラッグ」の歴史は? A:平成7年頃より「麻薬・覚せい剤のように快楽を得られて違法ではないもの」として 「合法ドラッグ」と称して流行し始めました。 当初は違法な薬物に指定されていない成分であったため、安全性が高いドラッグなど と誤解されていたようです。しかし、実際に調査してみると麻薬・覚せい剤と似た成 分を含んでいる事がわかりました。そこで、 「現在の法では違法ではないけど、法の網 をくぐり抜けているだけであり、これらは規制すべき物質である」として、平成12 年に「合法ドラッグ」から「脱法ドラッグ」へと東京都が名称し変更し、規制し始め ました。 その後もこれらドラッグの問題は後を絶たず、平成17年2月に薬事法上の無承認・ 無許可医薬品として取締りの対象を拡大、 「使用目的に係る標榜ぶり如何に関わらず、 事実上人体への摂取が目的とされていると判断される場合は、薬事法上の無承認無許 可医薬品として取締りの対象とする」とされた。さらに、ドラッグの違法性を一般の 人にも認識してもらうため、平成17年9月に「違法ドラッグ」と名称変更されまし た。 しかし違法ドラッグという名称もなかなか浸透せず、ドラッグによる問題はますます 深刻化していったため、平成26年 7 月に「危険ドラッグ」と名称変更をし、更に注 意を促すことになりました。 Q 8 「危険ドラッグ」はどのような形態をしていますか? A:一般に覚醒剤や大麻などの違法薬物とよく似た成分を含むドラッグを指しますが、法 的な定義はなく、乾燥ハーブと化学物質を混ぜたいわゆる「脱法ハーブ」と呼ばれた もののほか、粉末・液体状のものや錠剤等が流通しています。 <代表的な形態分類> ①ハーブ系薬物 麻薬に類似する化学物質等をハーブに付着させたもの ②アロマ系薬物 アロマセラピー(精油、または精油の芳香や植物に由来する芳香を用いて病気の予防や治療、心身 の健康やリラクセーション、ストレスの解消などを目的とする療法)用と称して、偽って販売 ③植物系薬物 幻覚や興奮作用を示す成分を含む植物の種子、葉等の乾燥品、抽出物や樹脂状などの植物を起源と するもの ④試薬系薬物 麻薬や覚醒剤等と化学構造が類似した物質等を実験用化学試薬の名目で販売するもの ⑤ビデオクリーナー系薬物 亜硝酸エステルを成分として、芳香剤・ビデオクリーナーの名目で販売されるもの ⑥飲食物系薬物 主にカプセル、錠剤等の形態でダイエット、アレルギー対策用などと称して販売されるが、実際は 幻覚・興奮等を目的とするもの ⑦その他 バスソルト(入浴時にお風呂に入れたり、肌を擦る時、磨き粉として使用される塩)等の入浴剤と 称して販売、他 Q 9 「危険ドラッグ」の主な成分は? A:覚醒剤に似たカチノン系(興奮系)、 フェニチルアミン系と大麻に似た合成カンナビ ノイド系(鎮静系)の指定薬物が多いが、それ以外にも大麻、無承認無許可医薬品、植 物片(薬効のあるハーブ類、キノコ類等)等があります。 <包括指定 1 号> <合成カンナビノイド系> <包括指定2号> <カチノン系> <フェネチルアミン系> Q10 「大麻」について ・大麻の危険性 A:成分である THC による中枢作用が持続的で精神障害を誘発するとされており、 法律で禁止されています。また、種子についても大麻(マリファナ)栽培免許 を所持しない者が発芽させると犯罪となり罰則が科せられます。 ・大麻の規制は? A:世界を見渡すと医療用大麻が合法化されている国もありますが、日本を含め多 くの国で非合法とされています。さらに、国外犯処罰規定として、平成 3 年、 大麻取締法の改正が行われ、日本国外にて大麻輸出入・栽培・譲渡し・譲受け・ 所持等の行為を行った者についても、日本の法律による処罰対象と(24 条の 8) なっています。 Q11 「合成カンナビノイド」とは? A:大麻成分に似て類似した効果を持ち、大麻より安価に入手でき、スクリーニング検査 では検出できません。また、比較的簡単に構造を変えた薬物を合成できるため、規制 対象外の新物質が次々現れる「イタチごっこ」が続いたため包括指定 1 号となりまし た。 (775-3(麻薬)=772 物質) 合成カンナビノイドは薬理作用・毒性は不明が多く、大麻よりもはるかに危険なもの といえます。 <例>その吸引によって、1都4県で2週間あまりの内に9名を 死亡させた「ハートショット」と呼ばれる製品は致死率が 非常に高い強力な「危険ドラッグ」ですが、合成カンナビ ノイドの1つである 5F-ADB を使用したものと言われ ています。 <5F-ADB> Q12 「α-PVP 系薬物」とは? A:カチノン系薬物には覚せい剤に似た作用があることから急速に種類を増やし、わが 国の危険ドラッグ市場の一画を占める存在となりました。特に 2011 年頃に危険ドラ ッグ市場に登場したα-PVP は、その強い作用から、「バスソルト」と呼ばれて粉末 状で販売されたほか、合成カンナビノイドと合わせて植物片に添加されたり、液体 状の製品に使われたりして、急速に広まりました。 医薬品医療機器等法(旧薬事法)のカチノン包括規制で は、α-PVP 類似物質であるα-PBP などが一括で指定薬 物に指定されて規制されています。 また、α-PVP は麻薬指定、α-PHPP は薬事法で個別に 指定薬物に指定されています。 <α-PVP> Q13 「危険ドラッグ」が広まった原因は? A:違法薬物と化学構造の一部が異なっていたために、以前には薬事法の指定薬物の対 象から外れていたことから、国内で出回り始めた 2007 年頃から「脱法ドラッグ」 「合 法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法アロマ」及び「違法ドラッグ」などの名称で広ま りました。 厚生労働省が平成19年から「指定薬物」制度をスタートさせましたが、主成分の化 学構造の一部を変えて規制の網をくぐり抜ける「新製品」が後を絶たず、 「いたちご っこ(イギリスでは、モグラたたき whack-a-mole)」が続いていました。このため平 成25年に化学構造が似た物質を一括して規制する「包括指定」制度を導入し、更に 平成26年には指定薬物の所持・使用を禁じる法改正も行なわれました。しかし有毒 成分を特定できなければ、指定薬物として規制できなかったことから、検査・鑑定に かかる数カ月の間に販売者・使用者が姿を消したり、名前を変えた「新製品等」が登 場したりする恐れが残ったことで、国の対策が後手に回ってしまったことなどがあげ られます。 Q14 「危険ドラッグ」の販売は? A:危険ドラッグの販売店はネットや路上で取引される覚醒剤や大麻と違って実店舗(ヘ ッドショップ)が多く、ハーブ専門店、雑貨店、アダルトグッズ店など多岐に渡りま す。お香・アロマ・鑑賞用などと称しての販売は規制対象にならないため、堂々と看 板を掲げる店舗やネット通販業者も増えており、大都市を中心に多数の店が確認され ています。 また、SNS やインターネットのネットショップ等が非常に発達して便利さを私達は享 受していますが、その反面、薬物に関しては偽りの情報も多く正しい情報が伝わりに くい面も見られ、こうしたネットを利用した広告、勧誘、販売等が見られます。 さらに、取り締まりの強化で、業者の多くは店舗やネット販売から宅配(デリバリー) に移行し、地下に潜るという状況も見られることから、今後も注意が必要です。 Q15 「危険ドラッグ」のパッケージ表示等について? A:危険ドラッグのパッケージには、 「人体目的使用禁止」 、 「飲用禁止」、 「人体等へのご 使用は絶対にしないでください」といった表示がされているものが多くあります。 しかし、実際に使用している人は、人体に摂取するものであることを認識して購入 しているというのが実態です。一方、販売店もそれを認識しており、医薬品医療機 器法(旧薬事法)に基づいて厚生労働省、警察、自治体が危険ドラッグを販売して いる可能性のある店舗へ立ち入り調査に入った際に、店員に聞いても、 「人体に使用 しないように説明して販売している」と答えることが多く、人体使用は自己責任と 言い訳するケースも多く見られます。 Q16 「危険ドラッグ」の害は? A:危険ドラッグでみられる主な症状としては、 ①急性中毒症状 ②精神依存として薬物探索行動など ③身体依存として各薬物に特有な離脱症状(禁断症状) ④身体障害の症状 ⑤薬物中毒による精神障害 等があります。 「嘔吐が止まらない」、 「瞳孔が開き、突然暴れ出す」 、 「意識が朦朧とした状態となる」 「突然服を脱ぎだし、訳の分からないことを叫ぶ」等の症状により、病院に救急搬送 される例が急増していますが、これらは危険ドラッグに含まれる成分が脳に刺激をも たらし、錯乱等を生み出しているためです。 また、危険ドラッグとして売られているものには、覚せい剤や麻薬に似た中枢神経系 の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用がある成分が含まれており、使用した場合、幻覚、 幻聴、意識消失などの症状や、最悪の場合死亡することもあり、大変危険な薬物とい えます。さらに、統合失調症と似た症状も多数報告されています。 Q17 「危険ドラッグ」への最近の法的規制は? A:旧薬事法が「医薬品医療機器等法」に改正され、平成26年4月1日より、指定薬 物について、医療等の用途に供する場合を除いて、所持・使用・購入・譲り受けが 新たに禁止され、これに違反した場合は、3 年以下の懲役または 300 万円以下の罰金 か、またはその両方が科せられることになりました。 続いて、平成26年12月17日の一部改正により、厚生労働大臣が「指定薬物と 同等以上に有害な疑いがある」と認めた場合、その販売禁止や広告中止等を命令で きるとともに、その薬物の名称や形状、包装等から同一と認められる製品について も、製造・輸入・販売・譲り渡し・広告などを禁止できることになり、ネット上の 違法広告についてもプロバイダへの削除要請が可能となりました。 違反者には中止を命令でき、それにも違反した場合には1年以下の懲役若しくは10 0万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされています。 東京都や愛知県、大阪府といった大都市を抱える自治体では、独自の条例を制定し、 薬物の規制対象を広げたり指定までの時間を短縮したり、販売等の指導・取締りにあ たって、行政指導で警察官に販売店への立ち入り調査権限を付与するなどの独自性を 盛った対策を打ち出す所も増えています。 Q18 「危険ドラッグ」の取り締まりは? A:平成24年に厚生労働省は、吸引した人が死亡するなどの問題が相次いだことから、 吸引目的を前提とした「たばこ状のハーブは医薬品とする」見解を示し、製造販売を 禁じる指定薬物か否かを問わず、無許可販売に当たると判断し、脱法ハーブは薬事法 に基づく指定薬物になっていないが、店舗だけではなく、自販機等についても取り締 まりを強化しました。 そして、指定薬物の包括指定を導入するとともに、平成26年4月からは指定薬物の 使用・所持等が規制されるようになるともに、平成26年12月17日の医薬品医療 機器等法の一部改正により、新たな危険ドラッグが発見された場合、その製品だけで なく、それと同様の製品についても、指定薬物の指定を待たずに製造・販売などを禁 止することができ、その後の検査・分析を経て指定薬物に指定されれば、改めてさら に厳しく規制されることになりました。 また、全国の税関では数年前から指定薬物などが毎週のように国際郵便などによりキ ロ単位で輸入されているのが発見されていましたが、指定薬物は税関当局が没収でき る輸入禁制品に指定されていないため、発送先に連絡して廃棄するなどの措置しか取 れていませんでした。危険ドラッグの原料の大半は海外からの輸入でまかなわれてい るとみられており、抜本的な水際対策の強化が求められていることから、今、関税法 の改正・施行(平成27年4月予定)が進められています。 Q19 各自治体での「危険ドラッグ条例」の導入状況は? A:危険ドラッグに対する素早い対応が必要との立場から、全国の自治体では危険ドラ ッグ条例の導入がすすめられています。平成26年末において、1都2府12県で 条例が制定され、11県で導入準備中とされています。 医薬品医療機器等法の一部改正により指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然 性が高い薬物も製造・輸入・販売・授与・陳列・広告等について規制の対象となりま した。しかし、使用・所持についての規制はあいまいさが残るため、新規薬物がいち 早く流通する傾向にある地域では、国の指定に先行して次世代の薬物成分をすばやく 特定し、 「知事指定薬物」として規制するとともに、 「知事指定薬物」の販売等の指導・ 取締りにあたっては、行政指導で警察官に販売店への立ち入り調査権限を付与するな どの独自性を盛っている所もあり、こうした早くきめ細かい規制は重要な意味を持つ といえます。そして、新規成分を含む危険ドラッグ製品が大都市から締め出され、次 に地方へと流入する段階においては、国が「指定薬物」として全国で販売規制を行う といった、2 段階の取り組みはとても有効だと考えられます。 Q20 危険ドラッグの乱用の根絶に向けて A:危険ドラッグの乱用は、自らの身体に悪影響を及ぼすばかりか、事故などにより他 人を傷つけることもあり、絶対に許されるものではありません。 「一度だけなら」や 「危なくないから」は「ウソ!」であって、危険ドラッグはゼッタイに「持たない、 もらわない、買わない、使わない」の4つを守り、根絶を目指してください。
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