GC/MSによる 指定薬物及び医薬品成分等の スクリーニング分析法

GC/MSによる
指定薬物及び医薬品成分等の
スクリーニング分析法について
環境衛生科学研究所 医薬食品部
○菅野尚子 隅 春菜 岩切靖卓 渡辺陽子
今津佳子 小和田和宏 上村慎子(現 工業技術研究所)
健康危機対応(健康被害発生時の対応・未然防止)
健康被害の恐れがあるため取締りの対象となるもの(薬事法)
無承認無許可医薬品
(医薬品成分を含有する健康食品)
健康被害(死者も)
N-ニトロソフェンフルラミン、甲状腺、センナ(葉)、
シブトラミン、フェノールフタレイン…(ダイエット食品)
シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、
アミノタダラフィル、ヨヒンビン…(強壮用食品)
多成分同時分析
スクリーニング分析(LC/MS法)
H17~18 試験法の開発
H19 標準作業書作成・運用
分離不能、
分析不可能項目も
H25/3、H26/1
指定薬物
包括指定による
(違法ドラッグ・脱法ハーブ)
規制強化
健康被害(死者も、県内菊川市でも)
病院・報道・警察関係者も
暴走車による事故(愛知、京都、大阪…) 分析精度が
合成カンナビノイド(中枢神経系への作用) 高く効率的な
→麻薬・覚醒剤のゲートウェイドラッグの恐れ スクリーニング法
の確立
国が通知法提示
国立衛研の測定例
・LC/MS(PDA)法
・GC/MS法
【H24-25研究】
併用で精度向上
①GC/MS分析法の確立
地衛研での検査体制が必要 ②市販品での実態調査
GC/MSによる指定薬物と医薬品成分の
に活用
2
同時スクリーニング分析法で迅速化・効率化
GC/MS法が必要
危機管理への対応における
スクリーニング分析法について
指定薬物
LC/MS法
GC/MS法
健康食品
9 国の通知試験法
9 標準作業書整備
(H19/5)
9 標準作業書整備
(H19/7)
(H19/7)
9 国の通知試験法
(H19/5)
定めていない
その他の方法:TLC、NMR、検鏡等
LC/MS法とGC/MS法の比較
長
9
LC/MS法
所
難揮発性、熱不安定
な化合物の分析が
可能
9
GC/MS法
9
所
MSから構造情報は
得られない
9
イオン化しない物質
の分析が難しい
フラグメントイオン 9
分析可能な化合物の
のピークから分子の
範囲が限られる
構造がわかる
9
短
ピーク分離能が高い
(ED治療薬成分や
ステロイド等の高沸点
化合物は分析が難しい)
スクリーニング分析方法
添加回収試験
試料100mg
メタノール10mL
超音波処理
STD(10~12種類)各20μg
↓減圧乾固及びN2パージ
↓
+
試料100mg
↓
+
メタノール1mL超音波抽出(5分)
メンブランフィルター濾過
メンブレンフィルターろ過
↓メタノール10倍希釈
↓
※RT基準成分:カフェイン
GC/MS測定(60分/1分析)
•
•
•
•
•
カラム:DB-1MS(30m×0.25mmi.d.,膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム,0.7mL/min
注入口温度:200℃,スプリットレス
イオン化法:EI法
カラム温度:80℃(1min)-5℃/min-190℃(15min)-10℃/min-310℃(5min)
調査した医薬品成分【36成分】
1 p-アセトフェネチジン
13
シブトラミン塩酸塩
25
フェンフルラミン
2 アマンタジン塩酸塩
14
シンナリジン
26
フルオキセチン塩酸塩
3 アミノピリン
15
スルフィンピラゾン
27
プロカイン塩酸塩
4 イソクスプリン塩酸塩
16
チクロピジン塩酸塩
28
プロゲステロン
5 イミプラミン塩酸塩
17
テトラカイン塩酸塩
29
(±)-プロプラノロール塩酸塩
6 エテンザミド
18
トリヘキシフェニジル塩酸塩
30
ブロムヘキシン塩酸塩
7 カルバマゼピン
19
トリミプラミンマレイン酸塩
31
ペントキシフィリン
8 グアイフェネシン
20
N-ニトロソフェンフルラミン
32
マジンドール
9 クレマスチンフマル酸塩
21
ニフェジピン
33
ミノキシジル
10 クロルフェニラミンマレイン酸塩
22
パパベリン塩酸塩
34
メキシレチン塩酸塩
11
ケトチフェンフマル酸塩
23
ヒドロキシジンニ塩酸塩
35
メラトニン
12
ジフェンヒドラミン塩酸塩
24
ビペリデン塩酸塩
36
ヨヒンビン塩酸塩
添加回収試料のTIC
試料:コラーゲン加工食品
Cf:カフェイン
11
9 23
(1)
Cf 13
6
2
(2)
7 32
29 15
28
20
3
26
5
17
27
4
22
21
19
(3)
Cf
1
34
14
30
24
Cf
8
25
10
12
16
33
18
31
35
36
添加回収試験結果(n=3)
杜仲茶
コラーゲン加工食品
本年度の試買検査の状況【スクリーニング試験】
LC/MS法に加え、GC/MS法を試験的に適用した
調査対象:ハーブ製品15品目、痩身用健康食品28品目
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
・・・・
LC/MS分析
指定薬物
検出疑い
薬事課へSTD
入手依頼
ハーブ製品2品目から
指定薬物(4-フルオロメトカチノン)を検出
ハーブ製品A
RT 12.4分
国通知の参照データ(相対保持時間、
GC/MSマススペクトル)とも一致
ハーブ製品B
RT 12.4分
健康食品28品目では
医薬品成分が検出されず
試験した痩身用健康食品の例(TIC)
Cf
まとめ
9 GC/MS法を用いた医薬品成分のスクリーニング法を検討した結果、
医薬品成分の大部分において良好な添加回収率が得られ、精度の
高いスクリーニング試験として十分に機能しうるものであると考
えられた。
9 本法に適用する試料溶液は、原則としてLC/MS用の試料溶液を
10倍程度希釈すればよいため、試買検査で必須のLC/MS法に加え、
GC/MS法も同時並行で実施することが可能であった。
9 本年度の試買検査において本法を適用したところ、ハーブ製品15
品目中2品目において検査実施時での指定薬物が検出され、痩身
用健康食品28品目では医薬品成分が検出されなかった。