2014 年度 早稲田大学 法学部 (英語) 解答解説 Ⅰ 解答 (1)1G 2K 3I 4C 5H 6J 7F (2)1E 2D 3E (3)1B 2D 3B (4)1B 2D 3E 解説 (1)早大法学部の特徴的な問題で、例年通り、評論文の各段落の要約文を選択させる問題。全体的に標準レベ ルだと思われる。 1. 特に第3文の For some people ~と、それに続く第4文の For others ~の対比部分に注目すれば、Gの「人々 の、動物の価値に関する様々な気持ちや信条」が述べられていることが分かる。 2. 第3文~第5文に「動物を食べたり、薬物の実験に利用すべきでない」「家畜、動物園、牧場は存在すべき ではない」 「動物は野生状態から離れるべきではなく、できるだけ自由にしておくべきである」とあり、 「人 間は動物を所有したり、利用したりせず、ただ自由にさせるべきである」というKの主張に一致する。 3. 第1文に「動物は人間のようなきちんとした権利を有していない」 、第4文に「人間以外の動物も道徳的に は重要ではあるが、人間ほど重要ではない」とあり、 「動物に人間と同じだけの権利があるとは思っていな い人の考え」というIに一致する。 4. 第3文に「動物は人間の生活の質に利益を与えてくれる」、第4文に「人間は、感覚を持つ動物がきちんと 扱われている世界の方が、より幸福を感じる」とあり、「動物に対して敬意を払って扱う方が、人間も幸福 であると思っている人の考え」というCに一致する。 5. 第3文に「行動のプラスマイナスは結果によって判断するが、そもそもどんな結果プラスとするのかが問題」 、 第4文に「喜びをプラス、苦しみをマイナスとしても、きちんとした理由付けがない」とあり、「ある行動 の結果がプラスかマイナスか、動物の苦しみは人間や他の動物の利益によって正当化されるかどうかは決め 難い」というHに一致する。 6. 第1文に「動物を、あらゆる点で尊重されるべき、人間と同等の生物とする革新的な考えを訴えている」と あり、「愛玩動物であれ有害動物であれ野生動物であれ、全ての動物は人間と同じ扱いを受けるべきである と思っている人の考え」というJに一致する。 (2)本文の内容に一致しないものを選択させる問題。出題方法から考えると消去法使っても構わない。 1. Eに「家畜や労働動物や檻の中の動物は除くが、野生動物は自由に生きられるようにすべきである」とある が、野生動物だけ扱いを別にするという主張は記述がない。 2. 「動物の幸福を訴える人が、動物の権利を訴える人と異なる点」が問われているが、第3段落第2文に「動 物は痛みや苦しみを感じられるという考えでは両者は同じ」とあるため、Dの「動物は痛みや苦しみを感じ ないと考えている点で」は誤り。 3. 「動物をどう扱うべきかという問題がどんな問題につながるか」が主に問われているが、第7段第6文に「人 間同士の命の価値の区別をすることになる」とあり、Eの「一部の人間の命は一部の動物の命と同程度の価 値があるかどうかという問題」は誤り。other animal lives の部分が other human lives (others) であ れば問題ない。 (3)下線を引いた語の意味を問う問題。やや難しいかも知れない。 1. vilified は「けなされる」という意味なので given a bad name「悪口を言われる」が正解。killed as pets もヒントになる。 2. awkward「ぎこちない」とは何をするのが難しいという意味なのかをきいている。後の questions という名 詞がヒントになって、resolve「決着をつける」のが難しい問題だと分かる。 3. unpalatable は「趣味に合わない」という意味なので、distasteful「趣味に合わない」が正解。 Copyright (C) 2014 Johnan Prep School (4)アクセントのある位置の母音が他の語と異なるものを選択させる問題。全て平易。1はBのみ[ei]で、そ の他は[æ]。2はDのみ[i:]で、その他は[e]。3はEのみ[ei]で、その他は[i]。 Ⅱ 解答 (1)1C 2E 3C 4D 5D (2)1A 2A 3A (3)D (4)1E 2B 3E 解説 (1)1は、本文の内容に一致しないものを選択させる問題。全て標準的である。 1. 「オリンピックのような巨大スポーツイベントを招致するとどうなるか」 。第1段落第2~4文にプラス面、 第5文にマイナス面が述べられている。他の選択肢はプラス面を述べ、allows「可能にさせる」can「あり うる」may「かも知れない」などの表現を用いて「可能性」に留めているのに対し、Cだけは「結局は予想 以上の費用がかかるだけでなく、利用されない施設の建設につながってしまう」というマイナス点のみを「断 定」し、本文中にあるプラス面が全く反映されていない。 2. 「オリンピックのようなイベントのために作られた交通インフラ」に関して。Eは「招致都市には、 (建て た施設などを)イベント終了後に取り壊すのに莫大な費用がかかる」だが、第7段落第2文に「維持する (maintain)費用が年間何千万ドルもかかる」という記述はあるものの、取り壊す(demolish)という記述 はどこにも見られない。 3. Cに「ヨーロッパ人は Lake Placid オリンピックの方が Innsbruck オリンピックよりも記憶に残っている」 だが、第5段落第4~5文には「Innsbruck を思い出せる=30%弱」「Lake Placid を思い出せる=24%」と あり、逆であることが分かる。 4. Dに「Barcelona オリンピックはスペインの地方自治体と連邦政府に合計 60 億ドルの費用を負担させた」と あるが、第6段落第4文を見ると「スペイン中央政府は 40 億ドルの借金をし、さらに地方自治体は 21 億ド ルの赤字となった」とあり、 (およそ)60 億ドルという数値は、必要経費の総額ではなく、赤字(借金)分 を示していることが分かる。 5. 「オリンピックのようなイベントを招致するかどうかを検討している都市や地域はどうすべきか」をという もの。Dに「非経済的なメリットが経済的なメリットを上回ることはめったにないのだということを認識す べき」と、経済的メリットの優位性を述べているが、第8段落第3文に「経済的及び非経済的価値は複雑で あり、状況によって変化しやすい」というように、簡単に優劣が決められないことが述べられている。 (2)文中の空所に適語を補充させる問題。標準的である。 1. 後続文で、訪問客がもたらす具体的な経済効果が見積もられていることから考えて appraised「見積もられ る」が正解。すぐ前にある probably「多分」もヒント。 2. 前段落までは理論上の話であり、後続文で、現実には必ずしも理論通りにはいかないことが述べられている ため、否定的方向をもつ departs from「~から外れる」が正解。 3. その前にある gain「利益」のパラフレーズ(=言い換え表現) 。従って benefits「利点、利益」が正解。 (3)著者の考えの要約を選ばせる問題。これは少し難しかったかも知れない。評論文は序論(第1段落)で「テ ーマ提示」を行ない、結論(最終段落)で「まとめや筆者の主張」をするので、この文章では特に第1段落と第 8段落に注目する。第1段落では「オリンピック等の招致のメリットとデメリット」が述べられ、第8段落では、 「単純に結論が出せない問題であること」、さらに、招致候補地のすべきことが need to, should, do well to などの「筆者の主張を表す語句」を用いて「土地利用法を慎重に決する」 「イベント終了後の施設やインフラの利 用を最大にする」 「妄想に惑わされず、時間をかけてしっかりまじめにその地域の長期的な開発目標にも目を向け る」のように、イベント終了後にまで目を向ける必要性について明示している。これと矛盾しないのは「招致を 決める前にメリットとデメリットの両方を注意深く考えなければならない」とあるD。 (4)下線部の語句の意味を問う問題。標準的なレベルである。 Copyright (C) 2014 Johnan Prep School 1. raise their profiles は「自分の目立ち具合を上昇させる」の意味なので、Eの make them better known 「自分をもっと良く知ってもらう=知名度を上げる」が正解。 2. unsavory は「道徳的に好ましくない」の意味なので、Bの not ethical「道徳的でない」が正解。 3. white elephants とは、後続文の説明にあるように「建設に莫大な費用がかかり、他の目的に流用ができな い施設」のことであり、Eの very expensive yet relatively useless「高価だが比較的使い道のない」が 正解。 Ⅲ 解答 (1)D (2)E (3)C 解説 (1) 「{物事が人に}感銘を与えるような」という形容詞は impressing ではなく impressive が正しい。 (2)Why go...?は Why {do you} go...?の省略形であり、誤りではない。 (3) 「到着する」は make ではなく make it 又は arrive が正しい。 Ⅳ 解答 (1)E (2)A (3)C 解説 (1)very は原則として過去分詞を修飾しないのでEが答え。much spoiled とすれば問題ない。 (2)before は、後に「期間」を表す語句は続かず、 「時点」を表す語句が来なければならないので、Aが答え。 (3)from the school ではなく absent from school が正しいので、Cが正解。 Ⅴ 解答 1E 2D 3H 4B 5G 6F 解説 動詞 pull+副詞(又は前置詞)タイプのイディオム問題。やや難しいかも知れない。 1. pull out ~ で「~を引っ張り出す、引き抜く」の意味。該当箇所は「足元からじゅうたんを引っこ抜かれ た」の意味。 2. pull off ~ で「~を離れる、から逃れる」の意味。 3. pull up で「{車が}停まる」の意味。 4. pull away で「{車がその場を}離れる」の意味。 5. pull oneself together で「冷静になる、気を取り直す」の意味。 6. pull through ~ で「~を切り抜ける」の意味。後の目的語がヒント。 Copyright (C) 2014 Johnan Prep School Ⅵ 解答 1.I sat up all night working on my paper 2.If only I had begun writing it earlier 3.let me have a cup of coffee 解説 例年通り、 与えられた和文を指定された語を用いて英訳する条件英作文であった。 簡単な会話表現の英訳であり、 難易度としては決して高くないが、問題文の指定に「自然な英語」とあるので、普段から数多くの会話表現を意 識的に身に付ける姿勢が必要である。 1. 「起きている」は stay up や sit up で、 「作成する」は「 (作品、仕事など)に取り組む」の work on で表現 する。 2. 「…しさえすればよかった」は if only を用いる。過去のことなので仮定法過去完了である点に注意。 3.直前に Just があり、最後に?が付いていないことから、疑問文ではなく let+O+Ⅴ原形の形を使う。 Ⅶ 解答 According to the chart, the gender gap in median earnings of full time employees in Japan is the second widest, and is far greater than the average among OECD member countries. Unfortunately, I think that Japan’s position in this chart is rather embarrassing and undesirable. I would suggest that in spite of the social reforms and legislative efforts, there remains a strong chauvinistic tendency in Japanese society, hence the gap as shown in the chart. Few companies are willing to provide women with responsible jobs, most employers expect the women to stay at home doing housework. This is not something to be proud of, nor does it reflect well to the rest of the world. In addition, the low-income earnings of women may hinder the future economy of Japan. If the younger female generations are discouraged to work because of the huge gap in earnings, the ensuing shortage of workforce this country faces in the future will become more serious, resulting in not enough working people to support the elderly. This is not a desirable prospect for the future. 解説 日本における男女の収入の格差が、OECD加盟国中2番目に大きく、加盟国の平均値を大きく上回っているこ とを示すグラフを見て、日本の立場をどう解釈するかについて論述する問題。グラフを取り入れた出題形式にな った点は新しいが、社会性の高い問題について、説得的な理由を1つ以上挙げて論じる点は例年通りだった。内 容、論理的展開力共に高度なものが求められており、大学入試の英語による論述問題の中では、最高の難易度の ものに入ることは間違いない。本問で高得点するには、普段から様々な問題について自分の意見を明確に述べる 練習をすること、答案を第3者に読んでもらうことに加え、その意見についての理由付けが、読み手に納得して もらえるかについて判断する客観性を身に付けることがポイントになるだろう。 Copyright (C) 2014 Johnan Prep School
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