2014 年度 早稲田大学 教育学部 (地理) 解答解説

2014 年度 早稲田大学 教育学部 (地理) 解答解説
Ⅰ
解答
問1 A=ベンガル
B=パンジャブ
C=沐浴
D=高潮
E=ペルシア
F=バクダッド
G=武漢(ウーハン)
H=四川(スーチョワン)
問2 a=イ
b=ハ
c=ロ
問3 グラミン銀行
解説
《アジアの河川》
インダス川・ガンジス川、ティグリス・ユーフラテス川、長江とその流域に関する問題。設問のほとんどが基
本的な地名を問うものであり、難易度も容易なものばかりであった。
問1 A=ベンガルとE=ぺルシアの湾名、B=パンジャブとH=四川の地域名、F=バクダッドとG=武漢の
都市名を問う設問である。地図上で河川の流路をたどってゆく学習をしてきた生徒にとっては容易であった
だろう。出題のパターンとしては非常にオーソドックスであるので、大陸ごとの大河川流域についても同様
の学習をお勧めする。
問2 a=バラナシはガンジス川中流域に位置するヒンドゥー教最大の聖地である。近くには仏教の聖地ブッダ
ガヤもある。なお、マッカ(メッカ)はサウジアラビアにあるイスラム教最大の聖地カーバ神殿のある都市
で、イスラム教徒にとって最も重要な巡礼地である。ルンビニはネパールにある仏教の聖地で、釈迦の誕生
地とされる。 b=ブラマプトラ川はチベット高原を水源として、ヒマラヤ山脈を横断し、インドのアッサ
ム地方からバングラデシュに流れる河川である。 c=ホルムズ海峡はペルシア湾の出入口に位置し、オイ
ルタンカーの通航ルートとして重要である。
問3 ムハンマド・ユヌス氏の創設したグラミン銀行は、貧困層に対する少額融資を行うマイクロクレジットと
して知られている。経済循環の末端に置かれていた人々に対し、特に農村に住む女性に、その自立を促した
点で高い評価を得ている。
Ⅱ
解答
問1 B=中国
D=カザフスタン
F=ウズベキスタン
H=アゼルバイジャン
④=e
⑥=c
J=トルコ
問2 ①=c
②=b
③=b
⑤=c
⑦=a
問3 c
解説
《ユーラシア大陸の北緯 40 度線》
大問Ⅰと同様に地名を中心とした空欄補充問題の形式であるが、
北緯 40 度線に沿った地域のアジア部分に関す
る内容が大半であるので、学習対策の遅れがちな中央アジア諸国に関する出題が際立っている。
問1 北緯 40 度線の通過する国々を答える設問。A=北朝鮮は別として、例年は意図的に出題されそうなC=キ
ルギス、E=タジキスタン、G=トルクメニスタン、I=アルメニアなど難度の高い内陸国は、今年度は解
答を省略されているので、全体的に容易なレベルに収まっている。
問2 ①は遼東半島南端の都市ターリエン(大連)である。中国東北地方のシェンヤン(瀋陽)
、山東半島南部の
チンタオ(青島)も、日本と係わりの深い都市であるのでその位置をおさえておきたい。 ②の小麦の栽培、
④の綿花の生産については、ともに内陸の乾燥気候地域で栽培が可能な作物である。 ③のトンホアン(敦
煌)をはじめとする世界遺産の遺跡名は、国名と位置をおさえておきたい。来年以降にここの選択肢中の仏
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教遺跡から出題される確率は高いと思われる。 ⑤は石油である。カスピ海はペルシア湾から連続する産油
地域で、ソ連時代から石油の採掘が行われている。 ⑥のエーゲ海はトルコ・ギリシア間の多島海であり、
数多くの古代遺跡やサントリーニ島のようなリゾート地で知られている海域である。 ⑦はイスラム教であ
る。このオスマントルコの支配が 15 世紀にバルカン半島方面まで及んだため、アルバニアやコソボでは現
在もイスラム教が多数となっている。
問3 北緯 40 度線は日本では秋田の八郎潟、
アメリカ合衆国ではニューヨークの南のフィラデルフィアを通過す
る。赤道や北緯 60 度線の通過する都市についても同様な出題が想定できるので、地図帳を眺めておきたい。
Ⅲ
解答
問1 A=ジブラルタル
E=ニュルンベルク
問2 a=ホ
b=ニ
B=トゥールーズ
C=ユーラン(ユトランド)
D=ハンブルク
F=フランクフルト
G=アゾフ
H=カスピ
c=ハ
d=ヘ
e=ヌ
解説
《ヨーロッパの運河》
ヨーロッパの運河をテーマとした出題。構造平野が広がり河川が滔々と流れるヨーロッパでは、河川間を運河
で結んだ交通網が産業革命期に整備され、現在でも貨物輸送や遊覧船の通航がさかんである。したがって、主要
な河川の流路と都市の立地を要とした地図学習がこの問題の出来を左右する。同様な問題に対処するためにも、
イギリスのマンチェスター運河、ドイツ北部のミッテルランド運河、フランスのマルヌ・ライン運河、アメリカ
合衆国のニューヨークステートバージ(エリー)運河について確認しておくとよいだろう。
1はフランス南部のミディ運河についての文章である。a=ガロンヌ川上流のB=トゥールーズ付近から地中
海へ通じている。トゥールーズはヨーロッパ諸国の企業連合であるエアバス社の生産拠点である。
2はキール(北海・バルト海)運河である。北部にデンマークの位置するC=ユーラン半島の南部にあり、ド
イツの軍港キールから北海へのルートを短縮する目的で建設された。また、半島南部に河口のあるb=エルベ川
の下流にはD=ハンブルクが位置している。
3はマイン・ドナウ運河である。ライン川の支流であるc=マイン川とd=ドナウ川を連結させた運河であり、
文中にもあるように、これによってヨーロッパの二大国際河川が結ばれた。流域にE=ニュルンベルクが、ドナ
ウ川にはレーゲンスブルク、マイン川にはF=フランクフルトがある。フランクフルトはドイツにおける鉄道・
航空交通の要衝で、欧州中央銀行のおかれる欧州経済の中心地でもある。
4はヴォルガ・ドン運河である。黒海の一部であるG=アゾフ海に注ぐe=ドン川とH=カスピ海に注ぐヴォ
ルガ川を結んだ運河である。ヴォルガ川流域のヴォルゴグラード(旧名スターリングラード)は第二次大戦中に
ヨーロッパ戦線の転機の戦いとなった都市で、ソ連とドイツの激戦地である。
Ⅳ
解答
問1 A=グアヤキル
E=パンパ
問2 a=ロ
b=ロ
B=ガラパゴス
C=グランチャコ
F=モノカルチャー
G=サトウキビ
c=ロ
d=イ
D=イタイプ
e=ロ
解説
《南アメリカの地誌》
昨年のカリブ海周辺国に続いて、ラテンアメリカ地域4国の出題となっている。エクアドルとパラグアイに加
えて、大国であり出題頻度の高いブラジルとアルゼンチンについても出題されているので、難易度も標準的なも
のとなっている。大問Ⅰ~Ⅲも内容的には地名を中心とした地誌問題であるので、来年度の受験生は対策として、
出題頻度の高いアメリカ合衆国、ヨーロッパ、中国に加えて、順番的に回ってきそうなアフリカ、オセアニア地
域についての学習をしておくとよいだろう。
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1はエクアドルについての文章である。文中にあるように「赤道」という意味の国名である。首都のキトは高
原に位置するが、現在の最大都市は沿岸のA=グアヤキルである。エクアドルをはじめとして、ベネズエラ、コ
ロンビアなどアンデス山脈の東麓地域ではa=石油を産出し、代表的な輸出品目になっている。また、エクアド
ルはバナナの輸出でも知られている。
2はパラグアイである。国土の大半はC=グランチャコとよばれる平原が広がり、近年は穀物栽培地域として
開発が進んでいる。ブラジルとの国境のパラナ川にD=イタイプダムが建設されている。パラグアイに限らず中
南米諸国の住民の多くは、白人と先住民のb=混血であるメスチソで占められるので、白人が多数のアルゼンチ
ンとウルグアイ、インディオが多めのボリビアとペルー、黒人が多数となるジャマイカとハイチをおさえておく
とよい。
3はアルゼンチンである。ブエノスアイレス周辺の平原はE=パンパとよばれ、温暖で広大な土地が存在する
ことから、ヨーロッパから多くの移民を集めてきた。これらの移民が南ヨーロッパの大土地所有制をもちこみ、
その大規模農園はc=エスタンシアとよばれている。ヨーロッパと季節が逆転することから、ヨーロッパへの輸
出目的で盛んであった小麦の栽培に加えて、近年では世界的に需要の増加しているd=大豆やトウモロコシの生
産も増加している。
4はブラジルである。ブラジル高原南部の土壌と気候が、コーヒー原産地のエチオピア高原とよく似ていたた
め、この地でもe=コーヒー豆栽培が盛んになり、F=モノカルチャーを形成していた。広大な高原地域はサバ
ナ気候が大部分を占めていて、乾季の乾燥が激しく、長らく未開地のままであったが、サンフランシスコ川流域
でのダム建設によって水不足の課題が解消され、牧場や農園の開発が推進されて、景観が大きく変化した。また、
石油・石炭などのエネルギー資源をほとんど産出しないため、ダムによる水力発電とG=サトウキビを原料とす
るバイオエタノールを生産し自動車燃料として利用するなど、
エネルギー政策としては独特な手法をとっている。
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