報告書(pdf 1.25MB) - 徳島県立総合大学校「まなびーあ徳島」

「農」と「食」の再生-農工商連携・6次産業化ビジネスモデル研究
中山間地域における薬用植物関連産業の振興に関する基礎調査
徳島県立総合大学校
とくしま政策研究センター
主任研究員
水野則夫
研究員
福壽由法
1.はじめに
1-1.中山間地域における葉タバコ生産の縮小
地域社会において、人口減少や高齢化が言われて久しい。特に、中山間地域においては
コミュニティを持続することさえ難しいほどの弱体化を招くなど、人口減少や高齢化は地
域社会に甚大な影響を及ぼしている。
徳島県の中山間地域においては、古くから葉たばこの生産が盛んに行われ、地域におけ
る重要な産業となり、地域住民の収入源として生活を支えてきた。しかし、国民の健康意
識の高まりやたばこ税引き上げ等により、製品タバコの販売量は減少傾向が顕著であり、
日本たばこ産業(JT)から平成24年度も葉たばこの廃作が実施されるなど、葉たばこ
生産農家は転作の検討を余儀なくされている。
(出典:日本たばこ産業(株)資料
葉タバコ耕作面積と耕作者数)
しかし、葉たばこと同程度の収入を確保できる転換作物を見つけることは容易ではなく、
このままでは中山間地域における耕作放棄地の大幅な増加が懸念されるだけでなく、離農
により地域住民のコミュニティからの離脱を招き、地域社会の維持存続にも甚大な影響を
与えかねない。
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1-2.中山間地域の地域財産である薬用植物
徳島県の中山間地域において、葉たばこ以外にどのような地域産物が産出されていたの
であろうか。代表的地域である徳島県西部の祖谷地域を例にすると、東祖谷山村史から多
様な薬用植物が産出されていたことが読み取れる。
[東祖谷山村史より抜粋]
(注)毒性のある薬用植物を含む。
強壮剤
ナルコユリ、ヤマイモ、クズ、ビナンカズラ、マタタビなど
苦味健胃剤
キハダ、ニガキ、センブリ、リンドウなど
芳香性辛味健胃剤
サイシン、サンショウ
鎮痙鎮痛薬
トリカブト、ハシリドコロ、エンゴサク、クサノオウ
収斂剤
ゲンノショウコ、キンミズヒキなど
止血、吐血薬
アカネ、エンジュ、クチナシ
腫物、創傷、打撲症薬 オトギリソウ、オミナエシなど
鎮咳薬
オオバコ、ナンテン
キョ痰薬
トチバニンジン
利尿薬
ウツボグサ、ダイコンソウ、イタドリなど
皮膚病薬
シシウド
農用殺虫薬
バイケイソウ、アセビ、ヤブツバキなど
1-3.中国との関係悪化に伴う影響懸念
一方、日本と中国との間では領土問題が尖鋭化し、従来では考えられない問題も表面化
してきた。例えば、代表的な薬用植物である生薬については、その原料の約8割は中国か
らの輸入であり、もし中国が生薬原料の輸出を差し止める事態となった場合、日本国民の
生活に甚大な影響を与えかねない。
(レアプラント(希少植物)問題)
(出典:日本漢方生薬製剤協会・生薬委員会調査報告資料)
こうしたことから、生薬原料は調達が困難になるとの懸念が広がり、価格は上昇傾向に
ある。このため、大手漢方製薬メーカーは日本国内で生産拡大を進めており、北海道夕張
市に100%出資子会社を設立、生薬原料の生産・加工・保管拠点の整備を進めるメーカ
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ーや、東北・九州の地方自治体と提携し主要な生薬原料である甘草の栽培プロジェクトを
進めるメーカーなどがある。
(出典:日本漢方生薬製剤協会・生薬委員会調査報告資料)
1-4.高齢化社会到来による健康意識の高まり
現在新聞の広告欄を見ていると健康食品の広告が無い日はないのではないだろうか。高
齢化社会の到来により、健康食品に対する国民のニーズは高まっており、特定保健用食品
と特定保健用食品を除く健康食品の市場は全体で約2兆円の規模であり、今後の予防医学
の浸透を考えると今後も益々増加するものと考えられている。ご存じのとおり多くの健康
食品には薬用植物が利用されている。
(出典:消費者庁食品表示課資料)
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1-5.医学・薬学・農学・経済学・経営学分野における高等教育機関の充実
徳島県は医学・薬学分野の高等教育機関が早い段階で設置された。特に、薬学分野は県
内2大学に薬学部を有することから、四国の中では産業上比較優位な分野となっているの
ではないだろうか。ただし、農学分野については、唯一高等教育機関がないことから、産
業上不利な分野となっているとも考えられる。
●四国内における医学・薬学・農学・経済学・経営学分野に関する高等教育機関
徳島大学
医学部・薬学部
徳島文理大学
薬学部
四国大学
経営情報学部
香川大学
医学部・農学部・経済学部
高松大学
経営学部
愛媛大学
医学部・農学部
松山大学
薬学部・経済学部・経営学部
高知大学
医学部・農学部
高知工科大学
マネジメント学部
1-6.今回の政策研究において検討する仮説
1ー1~5.まで述べて来た内容を纏めると、県内の中山間地域において、持続可能な
コミュニティづくりを進めるには、地域住民が収入を得る手段として薬用植物を活用した
地域産業の振興が重要ではないだろうか。そのためには、支援機関や推進母体のあり方、
活用する薬用植物の選別、生産・品質管理や加工・商品開発・販売のノウハウ、さらには
非営利活動を通じた地域住民とのあり方などをどのように進めるべきか。
とくしま政策研究センターでは、薬用植物を活用した農工商連携・6次産業化ビジネス
モデルについての基礎的調査を、平成24年度政策研究テーマの一つとして、中山間地域
における社会的課題の解決に向けた方策を検討した。
2.実施内容
具体的には、徳島大学、美馬市、県立農業大学校、農業大学校模擬会社「そらそうじゃ」
等の皆様の協力を得て、薬用植物を活用した中山間地域の農家の所得向上と地域産業の振
興を目的に、農工商連携・6次産業化ビジネスモデル研究会を立ち上げ、薬用植物に関す
る基礎知識習得のための講演会・調理実習の開催や、試作品の商品開発・試験販売などを
実施し、薬用植物関連産業の振興に関する意識醸成に取り組んだ。
●研究会の主な関係者
(共通)
徳島大学
高石理事・副学長 柏田准教授
今林教務助手
(有)日本漢方医薬研究所 片山管理薬剤師
(生産部会)
美馬市
猪口部長
山田課長 川口主幹
徳島大学
清水臨床教授(医療法人東洋病院理事長)
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江口課長
徳島文理大学
瀬川教授(NPO法人山の薬剤師たち理事長)
(有)ハートリング・アイ 佐々木代表取締役
徳島県薬草協会脇町支部
上野支部長ほか
美馬市生薬生産組合
上田組合長ほか
木屋平地区福祉活動計画実行委員会
阿部委員長ほか
美馬つるぎ地区キクイモ栽培加工消費研究会
美馬市社会福祉協議会
三好市
佐和事務局長
三笠代表
小川次長 篠原主事
田本課長
東みよし町 吉岡課長
つるぎ町
春日主任
三好高校
松村校長
佐々木課長補佐
小原教頭 中川主任
県西部総合県民局農林水産部
梅崎部長、河野次長、山田課長、富加見係長
(加工・商品開発・販売部会)
県立農業大学校
安岡校長
山下准教授
村田准教授
奥田准教授
農業大学校模擬会社「そらそうじゃ」 川野社長初めプロジェクトメンバー
料理研究家
浜内千波先生
フードコーディネーター
田中美和先生
徳島商業高校
鈴鹿教諭
徳島商業高校模擬会社「COMCOM」 須原社長ほか
徳島大学生活協同組合
清水専務理事
(株)ハレルヤ・市岡製菓(株) 市岡社長
(株)丸本
中内取締役
徳島商工会議所
中川主任
小松部長 市岡沙織氏
(その他)
県立総合大学校とくしま政策研究センター
加藤所長
徳島県地域振興総局
窪室長
徳島銀行
川真田農業経営アドザイザー
など
●研究会は「生産部会」と「加工・商品開発・販売部会」に分けて開催
第1回
6月5日 自治研修センター
研究会立ち上げ、概要説明(新聞記事)
<生産部会>
第2回
6月21日 徳島大学薬用植物園
徳島大学 柏田准教授による講演と園内視察(新聞記事)
演題「生薬・薬用植物の基礎知識と生薬資源の現状」
第3回
7月6日
美馬市穴吹農村環境改善センター
日本漢方医薬研究所
片山管理薬剤師による講演(新聞記事)
演題「製薬メーカーから見た薬草栽培の未来図」
第4回
8月10日 美馬市木屋平老人福祉センター
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徳島文理大学
瀬川教授(NPO法人山の薬剤師たち
演題「地域経済と地域医療」
第5回
12月13日
美馬市木屋平 谷口公民館
ハートリング・アイ
佐々木佑実代表取締役
演題「和漢食・冬場の食養生」
第6回
2月7日
美馬市穴吹農村環境改善センター
徳島大学
清水臨床教授(医療法人東洋病院
演題「漢方薬とハーブの基礎知識」
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理事長)
理事長)
<加工・商品開発・販売部会>
第2回
6月15日 徳島商業高校
徳島商業高校
鈴鹿教諭による講演(新聞記事)
演題「食品の商品開発」
第3回
7月4日 徳島大学薬用植物園
徳島大学
柏田先生による講演と園内視察
演題「食品と生薬・ハーブ・スパイス」
第4回
7月11日 県立農業大学校
日本漢方医薬研究所
片山管理薬剤師による講演
演題「クスリになる食べ物」
特別講演
8月3日 県立農業大学校
料理研究家 浜内千波氏による講演と商品開発指導(新聞記事)
演題「食の安心・安全と健康について」
商品発表会
9月13日
ハレルヤ本社
ハレルヤと共同で開発した野菜スイーツ商品を発表(新聞記事)
第5回(農大祭) 11月3・4日
県立農業大学校
田中フードコーディネーターによる講演と料理実演(新聞記事)
演題「食材の機能性に着目した料理」
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市場調査
1月27日 徳島市内紺屋町歩道
わくわく日曜市(徳島商工会議所主催)でカキの葉茶の試飲&
アンケート調査
●研究会開催による波及効果
・美馬市生薬生産組合が発足(新聞記事)
・美村が丘(美馬市)に薬草園開園(広報紙記事)
・徳島県が薬用植物の栽培に関する研究会を発足(新聞記事)
・日本医薬漢方研究所(徳島市)が生薬の加工食品を製造・販売(新聞記事)
・キクイモ栽培加工消費研究会(美馬つるぎ地区)がキクイモ生産・加工食品開発
(新聞記事)など
3.まとめ
3-1.考察
本研究会の実施により、次のような方向性を認識するに至った。
●従来の取締りに重点をおいた薬事行政に加え、薬用植物を活用した産業を振興する
といった観点から、行政機関や高等教育機関による中山間地域の農業者や地元関連
事業者の支援体制を拡充・強化する必要がある。
薬関連産業が盛んな富山県を例にすると、富山県にはくすり政策課、薬事研究所、
薬用植物指導センター、富山大学には医学部、薬学部、和漢医薬学総合研究所、県
教育委員会には県立滑川高校薬業科、県立富山北部高校くすり・バイオ科があり、
充実した研究・教育機関の体制となっており、産学官が一体となり薬関連の産業振
興を推進している。
こうした観点からすると、徳島県の農林水産総合技術支援センター企画研究課、
普及教育課、農業研究所、農業大学校、薬務課、保健製薬環境センター、新産業戦
略課、工業技術支援センター、とくしま産業振興機構、西部総合県民局、徳島大学
の医学部、薬学部、農工商連携センター、徳島文理大学の薬学部、県教育委員会の
三好高校など関係部局・研究教育機関の連携推進体制が社会的要請に沿い、十分に
機能しているか再検討する必要がある。
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下図のとおり、地方圏において徳島県は富山県に次ぎ薬関連の産業が盛んな県で
あることから、この分野を徳島県の強みとして戦略的に強化していく必要があるの
ではないだろうか。
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(出典:くすりの富山県)
●薬用植物を活かした地域づくりを進めるためには、薬用植物の生産、加工・商品開
発・卸販売、アンテナ店舗(ネット販売を含む)を一元化した地域住民主体の事業
組織が必要である。
薬膳カフェ・レストラン等への
薬草直接販売ルート開拓
薬草を使った健康食品・飲料・酒類等の
商品開発・販路開拓
事業拠点・組織の整備
試験栽培・加工保管・商品開発・市場調査
アンテナ店舗運営・ネット通販・事業全般管理
試験研究機関・高等教育機関・
行政などによる実施 支援
地域の薬草知識向上
家庭向け薬膳料理の普及促進
漢方生薬の栽培・品質管理技術習得
大手製薬会社との契約栽培
現在、(株)大歩危妖怪村(三好市山城町)(新聞記事)、(株)きとうむら(那賀町
木頭)、(株)四万十ドラマ(高知県)など地域住民が主体となり、地域特産品を生
産・加工・販売する事業組織が設立され、事業活動を活発に行っている。
しかし、最初から地域住民のみの事業組織を設立することは容易でない。まずは、
行政機関の設立援助や資金援助などにより官民共同方式で立ち上げ、その後地域住
民主体の事業組織へ移行する手法が望ましい。徳島県は経済飛躍ファンドを設けて
いる。こうした事業組織がファンドを活用できるよう形態を変更することも検討す
べきである。
ただし、行政機関からの援助はあくまで設立援助や資金援助など後方支援に止め、
事業運営そのものは最初から地域住民が主体となり、事業経営の自立性を確保しな
ければ事業の成功は難しい。
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また、こうした事業主体が活動を持続的に続けていくためには、地域全体が薬用
植物の知識や活用を考え、意識醸成を図る必要があり、そのためには知識の拠点の
支援が絶対的に必要である。先程の例にもあるように、富山県には薬事研究所、富
山大学には和漢医薬学研究所があるほか、岐阜県には内藤記念くすり博物館、高知
県には県立牧野植物園があり、近年牧野植物園は薬用植物を活用した地元企業との
共同事業や、途上国の経済支援と高知県の地域振興を重ねた事業などに積極的に取
り組んでいる。
(新聞記事)
加えて、薬用植物の知識や薬膳料理の普及を進め、地域住民の意識醸成を図る
ことも重要である。こうした活動を進めるには行政機関だけでなく、NPOや社
会福祉法人など非営利組織が担う役割も大きい。現在、徳島県美馬市ではNPO
法人山の薬剤師たち(美馬市木屋平)や社会福祉法人美馬市社会福祉協議会がこ
うした活動に取り組みを始めており、こうした活動に対し積極的な支援が望まれ
る。
●薬用植物の活用というと漢方生薬をイメージするが、まずは生薬原料を使った生鮮
品、1次加工品や健康食品・化粧品等についての産業振興を検討すべきである。
最初から地域住民主体の事業会社が、漢方生薬原料の生産・加工・卸販売を始め
るのは現実的でない。漢方生薬原料については、大手漢方メーカーとの契約栽培か
ら始め、少しずつ生産技術や品質管理の手法を習得していかなければならない。こ
うした意味では、美馬市に生薬生産組合が設立され、大手漢方メーカー向けの契約
栽培を開始したことは現実的な判断といえる。
地域住民主体の事業会社がまず取り組むべきは、生薬原料を使った生鮮品、1次
加工品や健康食品・化粧品などの農工商連携・6次産業化ではないだろうか。こう
したことを積極的に推進し、生薬生産者や地元中小企業を育成すべきである。
例えば、キクイモ栽培加工消費研究会(美馬つるぎ地区)によるキクイモ生産・
加工食品開発、日本漢方医薬研究所(徳島市)によるクコの実を使った加工食品、
池田薬草(三好市)によるクワの葉・ウラジロガシ等を使ったエキス粉末、美郷ク
ワの葉生産組合(吉野川市)によるクワの葉茶、青唐辛子を使った薬味調味料みま
から(美馬市)、きとうむら(那賀町)の柚子エッセンシャルオイル、馬路村農業
協同組合(高知県)の柚子を使った化粧品など、薬用植物を活かした農工商連携・
6次産業化の事例が散見されるようになっている。
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こうした事例がより多く生まれる地域になることが、中山間地域の経済活力を生
むことに繋がる。こうした産業の振興を進める手法として、例えば阿波尾鶏ブラン
ドは、徳島県畜産研究所→種鶏生産組合→生産指定農場→丸本・オンダン農業協同
組合、貞光食糧工業といった事業スキームで、行政と民間が一体となり産業化を図
った結果、地元の重要な産業に成長している。薬用植物関連産業の振興を進めるう
えでも、こうした手法を学ぶことも重要である。
3-2.今後の課題
薬用植物を活用した地域産業の振興を図るうえで、支援機関や推進母体のあり方を除く
とどのような課題が優先するのであろうか。最も重要な課題は、薬用植物の販路を確保す
ること。そのためには市場ニーズをいかに掴むかである。どの時期に、どの地域で(県内
外・海外)、どの顧客が、どの品目を、どの程度の品質で、どの程度の量、どの価格水準
で必要としているのか情報を的確に掴むことにかかっている。
その上で、地域で計画的に生産できる薬用植物の研究・選別、生産技術の確立や量産体
制の構築、生産物の品質保持、物流システムや資金決済システムの構築、ニーズに沿った
商品開発、ブランド構築に向けた広告宣伝の手法、鳥獣害被害対策などをどのように進め
るべきかということになる。
その際、最も効果的な手法は、生産品や開発商品の科学的根拠を明確にすること。そし
て、それを発信すること。今日、誇大な広告や虚偽の記載、医薬品的効能効果をうたった
表示・広告で社会問題を起こしている事例は跡を絶たない。科学的根拠を明確にすること
は、この分野の産業振興には欠かせない課題であり、高等教育機関・保健製薬環境センタ
ー・工業技術支援センターなどの支援無しには解決できない課題でもある。
こうした課題を解決するための事例として、例えば北海道が「北海道フード・コンプレ
ックス国際戦略総合特区」の取り組みの一環として導入する計画の独自の食品機能性表示
制度の創設を参考とするのも一案と考える。
(新聞記事)
この制度は、知事が製品を認証、製品に認証マークを付与し、定めた文言を製品に表示
する。薬事法に接触しないよう効能は表示しないため、科学的根拠については論文を纏め
たサイトを用意し、消費者がインターネットで確認できる仕組みとするものである。
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こうした方向性や課題を認識したうえで、薬用植物を活用した農工商連携・6次産業化
を進め、中山間地域の持続可能なコミュニティづくりに取り組むべきである。現在、徳島
県が進める「薬用植物の栽培に関する研究会」や「とくしま経済飛躍ファンド」、県内大
学等高等教育機関の地域連携活動、産学官連携による「徳島健康・医療クラスター事業」
など、地域の社会的課題の解決に向けた今後の活動に期待したい。
最後にこうした社会的課題解決の支援には、行政機関や高等教育機関運営者の強いリー
ダーシップと組織として継続性を持った粘り強い実行力が必要であり、地域の農業関係者、
地元の薬品・食品等産業関係者やNPOなど民間非営利組織の主体的活動を尊重する形で
民間との協働・連携を進めて行かなければならない。
以
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上