「成長への挑戦」 モノづくり・仕組みづくり Corporate Profile 「成長への挑戦」 を合言葉に 本格的なモノづくり・仕組みづくりに邁進します 1875 (明治8) 年の創業以来、当社は銅山開発を起点に、時代の要請に応 えるべくさまざまな事業を展開してきました。事業領域は金属から機械、 電子材料、化成品などへと多様化し、企業理念である「変革」 「創造」 「共存」 をもとに、社会の豊かさと安全をあらゆる面から支える役割を担ってきた と自負しています。 しかし、21世紀に入った現在、社会環境は大きく変化し、グローバル な競争は激化する一方です。そうしたなか、当社は競争に耐えられる企 業となるべく 「成長への挑戦」を合言葉に、圧倒的なシェア獲得を目指し て戦略を 推進しています。 代表取締役社長 相馬 信義 分社化によるグループ経営体制を採用し、事業持株会社である古河機 械金属株式会社を中核とした「古河機械金属グループ」として歩みを開始 したのもその一環です。 そして、当社が何よりも重要視しているのが、本格的なモノづくり・ 仕組みづくりの追求です。創業以来130 年以上にわたって一流の製品を生 み出してきたメーカーである当社にとって、モノづくりの原点に回帰す ることこそが、競争力向上に直結し、企業価値の最大化をもたらすもの であると確信しています。 当社グループは、今後とも競争力向上とともに社会への貢献を念頭に 置き、お客様、株主、取引先、従業員をはじめとする多様なステークホ ルダーの皆様とともに邁進していく所存です。 *「古河グループ」 古河グループの歴史は、日本の鉱山王といわれた古河市兵衛が銅山事業を創業し たことにはじまります。以後、事業の発展と多様化によって、日本のみならず世界 において、産業界の各分野で活躍する古河グループ各企業が誕生しました。 現在、古河機械金属 (株) 、古河電気工業 (株) 、 (株) ADEKA、横浜ゴム (株) 、富士 電機ホールディングス (株) 、富士通 (株) 、日本軽金属 (株) 、日本ゼオン (株) 、朝日生 命保険 (相) 、 (株) みずほコーポレート銀行の10社からなる理事会社と会員会社をもっ て任意団体である古河三水会を構成し、グループ各社の協調を図り、相互の連携の 強化に努めています。 銅山の開発で培った技術と精神を受け継ぐ 今日の古河機械金属グループの発展を語るには、創業者であ やがて、輸入機械の整備や部品製造もみずから行うようにな る古河市兵衛 (1832-1903) を抜きにして語ることはできません。 り、機械そのものも生産するようになりました。鉱山で使用す 1875(明治 8) 年、市兵衛は新潟県草倉銅山経営で創業を果たし、 るさく岩機、泥水を排水するポンプ、鉱石を粉砕する機械、水 翌々年に経営をはじめた栃木県足尾銅山では画期的な鉱山技術 処理技術、排ガス処理技術、銅の副産物である濃硫酸や希少金 を次々に導入することで、その後の発展の糸口を得ました。 属の生産など、現在、古河機械金属グループが世界的なシェア 鉱山技術は、単に鉱石を採掘して銅を取り出すことにとどまりませ を占めている製品のルーツがここにあります。 ん。鉱石の運搬、給排水、水処理、副産物の処理、そしてそれらの 1905(明治38) 年には古河鉱業会社が発足。それまでの個人経 動力源としての発電所建設など、あらゆる工業分野の粋を集めた 営から会社経営に移行すると同時に、足尾銅山の発展を基盤とし 総合技術であるといっても過言ではありません。市兵衛は足尾銅山 て、さまざまな産業へと多様化の道を歩みはじめました。現在、古 の経営のために、明治工業史に特筆されるほど、当時最先端であっ 河機械金属グループをはじめとして、ハイテク家電、通信、金融な た欧米のハイテク工業技術を惜しみなく投入していきました。 どの各分野で日本の産業界をリードする古河グループ*各社が、そ 鉱石運搬のための軌道や索道、コンベアの導入、日本最初の のような背景の中から誕生していきました。分野は異なっても、そ 水力発電所建設と坑内外の電化、圧縮空気や電気を使ったさく こには市兵衛が銅山開発で培った技術と精神が脈々と受け継が 岩機、洋式製錬技術の導入などは、そのほんの一例です。 れています。 最先端技術の沿革 ・トンネル掘削 ・土木工事 ・資源開発 足尾銅山の最先端技術 探鉱技術 掘削技術 測量技術 深度掘削技術 掘削技術 運搬・選鉱技術 鉱石運搬技術 排水処理技術 浮選技術 粉砕技術 分級技術 脱水乾燥技術 泥水輸送技術 鋳造品製造技術 トンネルドリルジャンボ 手持ち式さく岩機 ポンプ シールドポンプ ・鉱山、砕石 ・製錬所 ・製鉄所 ・各種工場 産業機械製品の 主要技術へ 粉砕技術 ボールミル チューブボールミル ・製錬所 ・製鉄所 産業機械製品の 主要技術へ 排ガス処理 技術 電気集じん器 電気集じん器 ・電気銅 ・金 ・銀 ・硫酸 金属製品の 主要技術へ 自熔製錬 技術 自熔炉 足尾銅山 ・各種工場の排水処理 ・上下水処理場 ・トンネル工事現場 産業機械製品の 主要技術へ 排水処理 技術 製錬技術 自熔製錬技術 硫酸製造技術 汚泥スラッジからの 副製品製造技術 排ガス処理技術 捕集煙灰技術 ロックドリル製品の 主要技術へ エレクトリック技術の融合 電気銅 ・電子デバイス用 ・LD用、LED用 電子材料製品の 主要技術へ 高純度金属ヒ素 銅山の開発で培った技術と精神を受け継ぐ 1 温故知新の精神を支えにして多様化への道を歩む 1875年の創業以来、130年以上の歴史を持つ当社は、めまぐ である「モノづくり」にアイデンティティと誇りを持つことが るしく変わる社会環境のなか、いつの時代にも、その先端を走 重要であると考えています。 る企業として揺るぎない地位を維持してきました。 また、当社は社会・環境への貢献を最重要視しています。明 1918 (大正7) 年には、現在の古河機械金属グループの前身と 治・大正時代、周辺環境に配慮をするという発想が希薄であっ なる古河鉱業株式会社が設立されました。足尾銅山で培った技 た当時において、足尾銅山には世界最高の環境対策が講じられ 術や製品は、古河鉱業株式会社のもとで、多様な分野に展開・ ました。足尾は、いわば日本における環境対策の実験場となり、 応用されていきました。そして、1989 (平成元) 年、社名を古 その過程で開発された公害防止技術や副産物回収技術、そして 河機械金属株式会社に変更するとともに、 「変革」 「創造」 「共存」 社会への奉仕の精神は、かけがえのない財産となって今に受け を企業理念として、変革期における新しい企業価値の向上に努 継がれています。 めてきました。 21世紀に入り、当社はさらに多様化するニーズに応えるた 社名は変更されても、古河機械金属のルーツは銅山経営にあ め、各事業部の分社化を実施しました。新しく発足した古河機 り、そこで開発された技術や製品が形を変え、現在もなお当社 械金属グループは、原点回帰と自己変革をキーワードとして、 の競争力を支えています。そうした伝統を踏まえたうえで、変 エクセレント・カンパニーから、さらに一段上のベスト・カン 革期にある今だからこそ、温故知新の精神のもと、当社の原点 パニーを目指します。 足尾銅山の技術を多様な産業分野へ 古河機械金属グループ 産業機械事業 古河産機システムズ株式会社 一般産業機械の製造販売事業 および建設工事事業 ・ポンプ ・環境機械 ・破砕機、 粉砕機、 造粒機 開発機械 (ロックドリル) 事業 古河ロックドリル株式会社 土木建設機械の製造販売事業 ・ブレーカ ・クローラドリル ・ ドリルジャンボ ユニック事業 古河ユニック株式会社 車両搭載型クレーンの製造販売事業 ・ユニッククレーン ・ユニックキャリア 金属事業 古河メタルリソース株式会社 非鉄金属の製造販売事業 ・電気銅 ・金 ・銀 ・硫酸 電子材料事業 古河電子株式会社 電子材料の製造販売事業 ・高純度金属ヒ素 ・ガリウムリン多結晶 化成品事業 古河ケミカルズ株式会社 化学工業品の製造販売事業 ・亜酸化銅 ・硫酸 塗料セグメント 塗料事業 株式会社トウペ 各種塗料の製造販売事業 ・塗料 不動産 セグメント 不動産事業 古河機械金属株式会社 オフィスビル・マンションの建設・分譲・ ・不動産 仲介・斡旋、 その他付帯サービス 燃料セグメント 燃料事業 古河コマース株式会社 石油・石油化学製品、 LPG、 石炭、 コークス、 骨材などの販売 ・石油製品 ・LPG、 コークス その他の セグメント その他の事業 新規開発製品の販売、 運輸業など ・新規開発製品 研究開発 管理部門など 研究開発本部・各管理部門 研究開発部門、 環境管理部門、 管理部門など 機械セグメント 金属セグメント 古河鉱業株式会社 探鉱技術 運搬・選鉱技術 製錬技術 その他技術 2 電子化成品 セグメント 温故知新の精神を支えにして多様化への道を歩む 変革期に対応する新しい経営体制 古河機械金属株式会社は、多様化するお客様の要望にお応え リソース」が承継。成長分野である電子化成品セグメントのう すると同時に、国境を越えたグローバルな企業間競争に勝ち抜 ち、電子材料事業は「古河電子」が、化成品事業は「古河ケミカ くため、事業の選択と集中による事業再構築、財務体質の改 ルズ」が、それぞれ承継しています。 善・強化に努めてきました。 不動産セグメントは事業持株会社である「古河機械金属」が そして、新たな経営のあり方として、分社化によるグループ 引き続き事業を継続。燃料セグメントは「古河コマース」が承 経営体制を採用。機械セグメント、金属セグメント、電子化成 継し、事業を継続しています。 品セグメントなどに属する各事業を分社化し、事業持株会社で 分社化によって、スピーディな意思決定が実現し、お客様の ある古河機械金属を中核とした「古河機械金属グループ」とし ニーズをより的確に把握することが可能になるとともに、変革 ての経営体制に移行しました。 期におけるグローバルな競争激化にも対応できる体制を整える 機械セグメントのうち、産業機械事業は「古河産機システムズ」 ことができました。 が、開発機械(ロックドリル) 事業は「古河ロックドリル」が、ユニッ また、各事業がそれぞれ自立した法人となったため、各社が損 ク事業は「古河ユニック」が、それぞれ承継し、グループの中核 益責任を持って事業を推進することにより、以前にも増してコスト削 をなしています。 減、省エネルギーを追求する意識が向上。各社の事業にシナジー グループ創業時の事業である金属セグメントは「古河メタル 効果が生まれ、グループ全体の経営体質強化に貢献しています。 産業機械事業/ 古河産機システムズ株式会社 開発機械(ロックドリル)事業/ 古河ロックドリル株式会社 ユニック事業/ 古河ユニック株式会社 金属事業/ 古河メタルリソース株式会社 電子材料事業/ 古河電子株式会社 化成品事業/ 古河ケミカルズ株式会社 塗料事業/ 株式会社トウペ 不動産事業/ 古河機械金属株式会社 燃料事業/ 古河コマース株式会社 変革期に対応する新しい経営体制 3 時代の要請に応えて多様に進化した技術 当社は銅山経営から得られた技術を、時代の要請 探究心であるといっても過言ではありません。 に応えて、さまざまな分野に展開してきました。そ 現在、当社グループが製造・販売している各種機 うして生まれた技術や製品は、時代の変化に応じて、 械製品も、高度な設備のもとで生産している電子材 姿を少しずつ変えながら進化を続けています。 料も、一朝一夕で誕生したわけではありません。一 現在の古河機械金属グループを支えているのは、 つひとつの製品の歴史をたどっていくと、そこには 明治時代に当時の最先端機器を導入した先駆者たち 創業以来130 年以上の歴史を持つ当社ならではの の先見の明であり、旧来の技術に満足することなく、 技術継承のストーリーを見ることができます。 新しい技術・製品の開発を進めてきた技術者たちの ■ 低コスト、低公害の画期的な自熔製錬法 銅山経営に必要な技術の一つに、銅鉱石から金属銅を取り出す製錬技術が あります。明治以降に一般化した製錬法は、炉内部でコークスを燃焼させて 銅鉱石を熔解する「熔鉱炉式製錬法」でした。 これに対して、フィンランドのオートクンプ社から技術を導入し、独自の 改良を加えて完成させた画期的な製錬法が、 「古河・オートクンプ式自熔製 錬法」です。銅鉱石に含まれる硫黄と鉄の酸化熱を利用して熔かすため、燃 料を必要としない操業が可能となり、製錬コストの大幅削減が実現しました。 また、環境汚染の原因となる亜硫酸ガスが高度に回収できると同時に、効率 的な硫酸の製造が可能となりました。第一号機は1962 (昭和37) 年に稼動を開 始。この自熔製錬法は世界のトップレベルの製錬技術として高く評価され、 現在でも国内外の施設で広く採用されています。 古河・オートクンプ式自熔炉 ■ 高機能・高耐久性のポンプを生んだ鉱山の排水処理技術 銅山をはじめとする鉱山や炭鉱では、排水設備の能力が作業の成果や効率 を大きく左右します。当社では、足尾銅山において選鉱場から構外処理場にスラ リー (石、泥、金属などの固形物が混在する水) を排出するために、社内向けの ポンプ製造を大正時代より着手し、戦後は一般市場にも販売を開始しました。 当社のポンプの最大の特長は、銅山で培ったノウハウをもとに、過酷な水 条件においても、耐久性に優れスムーズに送水できる点にあります。現在で は、多様化する要望に応えて、さまざまな用途のポンプを開発・製造。各種 工場における排水処理や、下水処理場の汚泥輸送として使用されているほか、 シールドトンネル工事の土砂輸送として、具体的には東京湾横断道路 (アク アライン) 、つくばエクスプレスの地下トンネル、トルコ・ボスポラス海峡 下水処理場やトンネル工事に使用されるポンプ 横断トンネルなどで使用され、今ではさまざまな排水処理インフラに欠かせ ない存在となっています。 4 時代の要請に応えて多様に進化した技術 *セヴェロムイスクトンネル工事 2001年、 ロシア連邦東部、厳冬の地を走る第2シ ベリア鉄道(バム鉄道)の長大トンネル、 「セヴェ セヴェロムイスクトンネル 長さ15.3km ロムイスクトンネル」が貫通しました。他の地域と は隔絶され、冬はマイナス40度、夏はプラス40度 第2シベリア鉄道 ウスチクート ニジニュアンガルスク セヴェロパイカルスク と気温の変化も激しく、 しかもマグニチュード1∼4 アムール川沿いの コムソモーリスク の地震が年間360回も発生するという厳しい自 然環境にある地域です。そうした過酷な環境にお けるトンネル工事に、当社のトンネル機械が活躍。 高い耐久性と機能性を実証しました。 バイカル湖 ■ 手持ち式さく岩機から大型ドリル機械へ 銅山の近代化に欠かせないのが掘削技術の向上です。創業当時は手掘りだっ た足尾銅山に、輸入さく岩機が導入されたのは1885(明治18) 年のことでした。 やがて、輸入機械の修理や交換部品製造のために足尾に工場が建設されます。 そして1914 (大正3) 年、日本人の体格にあった手持ち式さく岩機の国産化に 成功。当社は、さく岩機のトップメーカーへの道を歩みはじめます。 ロシア ー セヴェロムイスクトンネル工事 セヴェロムイスクトンネル 時代が進み、 さく岩機の技術を活かし、 山岳トンネル工事の火薬装填用の孔を掘削 1985年、 ロシア連邦の北部、 長さ15.3km 厳冬の地を走る第2シベリア するトンネルドリルジャンボを開発。国内トンネル工事の大半で使用され、具体的には JR (旧国鉄) の八甲田トンネルや青函トンネル、関越自動車道の関越 トンネル、海外で ウスチクート ニジニュアンガルス は第2シベリア鉄道における世界屈指の難工事であったセヴェロムイスク トンネルク 鉄道(バム鉄道)が開通しま アムール川沿いの した。その過酷な環境におけ コムソモーリスク るトンネル工事に、当社のトン セヴェロパイカルスク ネル機械が活躍。高い耐久 工事 *などに実績を残してきました。また、 インフラ整備や露天掘り鉱山においても、 バイカル湖 火薬装填用の孔を下向きに掘削する油圧クローラドリル、岩盤を破砕する油圧ブレー 性と機能性を実証しました。 インフラ整備や鉱山開発現場で活躍する各種さく岩機製品 カなど、 さく岩機の技術を応用した製品が世界各地で活躍しています。 ■ 時代の要請に合わせて進歩を続ける 「ユニック」 今や、車両搭載型クレーンの代名詞ともなっているユニックは、戦後復興 期の1961 (昭和36) 年に誕生しました。輸送と荷役作業が1台の車両で可能にな ることで、作業の効率アップに大きく貢献。その後も、吊り上げ能力のアッ プや長尺ブームによる作業エリアの拡大、ラジコンやリモコン装置による省 力化など、つねに時代の要請に合わせた製品開発を進めてきました。 2006 年に販売を開始した低燃費・低騒音クレーン「U-can ECO シリーズ (中 型・大型トラック架装用クレーン) 」は、従来の約半分のエンジン回転数で性 能を発揮する「エコポンプ」の採用によって、大きなCO2 削減効果と経費削減 効果を実現し、2007年度省エネ大賞 (省エネルギーセンター会長賞) を業界で 初めて受賞しました。このようにユニックは、つねに進歩を続けています。 時代とともに進化するユニック製品 ■ 製錬時に生じた副産物が貴重な資源へと変身 銅鉱石を製錬する際には、濃硫酸や希少金属などの副産物が生成されます。 こうした副産物は、当初は不要物として扱われていましたが、科学の発達と ともに貴重な資源として利用価値の高いことがわかってきました。当社は副 産物の一つであるヒ素に着目し、大正時代初期に国内随一の亜ヒ酸製造技 術を確立しました。当時ヒ素はガラスや農薬などに利用されていましたが、 その後、半導体材料として注目され、当社では1961 (昭和36) 年に高純度金属 ヒ素の開発に着手しました。現在では 99.999995%の高純度金属ヒ素の生産 を可能にし、国内外においてトップシェアを確立しています。高純度金属ヒ素 は、携帯電話の高周波電子デバイス、DVDのピックアップレーザーダイオー ド、信号機などの発光ダイオードに欠かせないガリウムヒ素半導体の材料と して用いられ、高度情報化社会の進展に貢献しています。 高純度金属ヒ素(左上) と使用されている最終製品 時代の要請に応えて多様に進化した技術 5 古河機械金属グループのビジョンと戦略 21世紀に入り、企業を取り巻く経済環境や社会環 成長を支えることが予想される事業です。この2つの事 境の変化は激しさを増しています。そうした変化のな 業を車の両輪とすることで、一気に成長の速度を上げ、 か、当社グループは 「成長への挑戦」 を合言葉に、競争 他に圧倒的な差をつけることが可能になると考えます。 力アップと圧倒的なシェア獲得というビジョン実現の そして、この戦略のベースとなるのが、本格的なモノづ ために、さまざまな戦略を推進しています。 くり・仕組みづくりの追求です。当社グループの最大の強 中長期的な戦略の核心は、機械セグメントと電子化 みは、 130 年以上にわたって一流のモノをつくり続けて 成品セグメントに経営の重点を置くことにあります。 きた点にあります。モノづくりの追求こそが企業価値の 機械セグメントは戦後の当社グループの成長を担って 最大化をもらたすものであり、変革期にある今こそ、そ きた事業であり、電子化成品セグメントは近い将来、 の原点に立ち返ることが必要であると認識しています。 ■ 機械事業の海外展開を促進 FURUKAWA ROCK DRILL EUROPE B.V. 機械セグメントにおいては、国内の需要が一段落したこともあり、海外進 泰安古河机械有限公司 出を促進します。なかでも海外での需要拡大を期待されているのが開発機械 泰安古河随車起重机有限公司 FURUKAWA ROCK DRILL KOREA CO., LTD. (ロックドリル) 事業です。わが国においては、道路や鉄道建設といったインフ ラ整備が一巡していますが、世界全体ではそうしたインフラ整備が進行中の 国もまだまだ多く、当社グループが強みとする油圧ブレーカや油圧クローラ FURUKAWA ROCK DRILL USA ドリルの需要も旺盛です。また、世界的な鉱物資源需要を背景に、資源国で は鉱山開発が活況で、大規模な露天掘りの鉱山で使用される大口径のクロー ラドリルやダウンザホールドリルなどの大型製品は今後大きな需要が期待さ FURUKAWA ROCK DRILL (SHANGHAI) CO., LTD. れます。 FURUKAWA UNIC (THAILAND) CO., LTD. こうした環境のなか、インフラ整備、資源開発の両分野において、すでに 参入している安定市場 (欧米) 、急成長市場 (中近東、中国など) における販路 世界展開を推し進める海外関係会社 拡大を進めるとともに、インド、ロシアなどの新規市場の開拓を進めていき ます。当面の目標として、油圧ブレーカ、油圧クローラドリルの世界シェア ■世界で活躍する当社の機械製品 を、現在の30%から40%に拡大することを目指します。 ユニック事業についても、国内市場がすでに飽和状態にあるため、海外展 開を本格化させ、世界5極 (北米、欧州、ロシア・CIS 諸国、アジア・オセア ニア、中近東) を中心とした海外販売を強化していきます。海外では折り曲 げ式クレーンが主流ですが、軽量で操作性に優れたユニッククレーンの認知 中近東 度を上げることによりシェア拡大を図ります。 産業機械事業においては、グループ内の海外展開力を活用しながら、スラ リーポンプ、粉砕機、造粒機などを中心に、まずはアジアから海外市場の開 拓を図ります。 欧州 ロシア 6 古河機械金属グループのビジョンと戦略 ■ 電子材料事業では新素材を早期事業化へ ■将来期待されている次世代電子材料 電子材料事業 (電子化成品セグメント) においては、次世代半導体材料とし 熱電変換モジュール て期待されている窒化ガリウム基板の事業化を進めています。 窒化ガリウム基板は、 ブルーレイなどの青紫LD (レーザーダイオード) 、 次世代照明と して期待されている高輝度白色 LED(発光ダイオード) 、 さらには電気自動車の パワーデバイスなどに期待される次世代半導体材料で、近い将来需要が急速に拡 大してくると予想されています。当社は、窒化ガリウム事業の早期立ち上げを図り、こ の分野でイニシアチブをとることを目指します。 その他、 乳がん検診装置などへの応用が期待されている LuAG (ルテチウムアルミ ニウムガーネット) 結晶、廃熱を電気に変える熱電変換材料などの開発・実用化を 窒化ガリウム基板 引き続き推進します。 LuAG結晶 ■ 「本格的なモノづくり・仕組みづくり」を実現 当社グループでは、130 年以上にわたるモノづくりの伝統を受け継ぎ、圧 倒的な存在感を持って競争を勝ち抜くために、 「本格的なモノづくり・仕組 みづくり」をキーワードとして、さらなる技術・製品の開発に取り組んでい ます。当社グループがつくる製品は、一時的な流行や環境変化に売上げが左 右されるのではなく、売れるべくして売れる一流品でなくてはならないとい うのが、全社員の共通した認識です。そのため、コア技術を自社グループで 開発することを原則としています。スピーディな技術開発のために、M&A も一つの選択肢ではありますが、基本は自社開発であるべきと考えます。 また、モノづくりをマネジメントする社内の仕組みづくりも積極的に進め ます。製品ごとの縦割りの生産体制の見直し、部品や関連製品のグループ内 各工場で進められている本格的なモノづくり での製作・調達、海外子会社やグループ関連会社の有効利用などにより、グ ループ間のシナジー効果を最大限に生かし、生産性の向上を図ります。 プロフェッショナルな人材育成のために 当社グループの戦略を確実に遂行し、 ビジョンを実現するため には、幅広い知識と素早い対応力を持つプロフェッショナルな人 材が必要です。 そうした人材を育成するために、 階層別研修、 専門・職能別研 修を定期的に実施することにより、つねに切磋琢磨の機会を設 けています。 加えて、 自己啓発プログラム、 コーチ制度、 目標管理制度、 社内 公募制といった教育・人事制度を充実させることで、社員のスキ ルアップと意欲向上をバックアップしています。 モノづくりを支える専門・職能別研修 古河機械金属グループのビジョンと戦略 7 産業機械事業 古河産機システムズ株式会社 古河産機システムズ株式会社は、各種スラリーポンプ、破砕 として誕生しました。 機、粉砕機、造粒機、スクリーンなどの産業機械製品と、電気 2006 年には、産業機械の名門として100 年以上の歴史ある大 集じん器や汚泥処理装置などの環境関連製品、鋼橋梁をはじめ 塚鉄工株式会社が傘下に入り、2008年に合併しました。 「破砕」 とする鉄鋼構造物などの製造・販売を行っています。 「粉砕」 「分級」 「造粒」 といった豊富な技術と優れた製品群が新た 産業機械のルーツは、明治時代に設立された足尾銅山の鉱山 に加わり、多様なニーズに対応できる体制が整いました。 機械修理部門にさかのぼります。その後も、鉱山に使用する各 今後とも、コア技術を強化するとともに、競争力の高い製 種機械の開発と技術革新に取り組みながら、産業機械分野の事 品・技術の開発を進めることによって、グローバル化への対応 業を展開してきました。 を図ります。また、サービスにもいっそうの力を入れることで、 古河産機システムズ株式会社は 2004年に設立。2005 年に古 社会に貢献できる企業を目指します。 河機械金属株式会社の産業機械事業を承継し、新たな事業会社 小山工場 (栃木県) 栃木工場(栃木県) 主要製品 8 スラリーポンプ 破砕機 粉砕機 造粒機 電気集じん器 汚泥処理装置 鋼橋梁 スクリーン 産業機械事業 ■ ポンプ 鉱山における排水処理を目的として、大正時代に自家用ポンプを開発して以来、当 社のポンプ製造は100年以上の歴史があります。なかでも、固形物のまじった液体を 輸送するスラリーポンプ、下水処理用の汚泥ポンプなど、高耐久性と高機能性が求め られる現場において非常に高い評価を受けています。さらに、用途別にさまざまなタ イプのポンプを揃えている点が当社の強みです。 公的機関から一般企業まで幅広い納入実績があり、各種工場での排水処理、浄水場 や下水処理場、トンネル工事現場などで活躍。トルコのボスポラス海峡横断トンネル、 東京湾横断道路 (アクアライン) 、首都高中央環状線、つくばエクスプレスなどの地下 トンネル工事現場で採用され、さまざまな排水処理現場で貢献しています。 シールドポンプ ■ 破砕機、粉砕機、造粒機 製鉄、化学、非鉄金属鉱業などで使用される破砕機と粉砕機、固形燃料や薬品など の成形工程に使用される造粒機を製造・販売しています。 近年では環境対策の分野でも、当社の産業機械が活躍。石炭の乾燥粉砕、粉炭と木 材チップを混合した新複合燃料の製造、都市ゴミ焼却場での焼却残渣や溶融スラグの 粉砕など、代替エネルギー開発や環境保全の分野においても、大きな貢献をしています。 竪型微粉砕機「NE ミル」 機械振興協会会長賞受賞 気流式微粉末製造装置(ドリームミル) 空気の流れによって食品や薬品な どの粉末を製造します。粉砕時の熱 の発生が抑えられ、物質の変性を可 能な限り起こさずに微粉末化できるメ リットを持っていることが評価され、 2007 関係会社 年度には財団法人機械振興協会主 催の第5回新機械振興賞において「機 古河キャステック株式会社 2003年設立。耐熱・耐摩耗鋳物を製造・ 販売。足尾銅山の工作課時代から100年 以上の伝統と鋳造技術を継承しています。 群馬環境リサイクルセンター株式会社 2001年設立。感染性廃棄物を主体とし た産業廃棄物の焼却処理を行っています。 複合材鋳物 群馬環境リサイクルセンター 械振興協会会長賞」を受賞しました。 産業機械事業 9 開発機械 (ロックドリル) 事業 古河ロックドリル株式会社 古河ロックドリル株式会社は、インフラ整備、鉱山開発など 当社グループにおけるさく岩機の歴史は古く、足尾銅山に導 において、 「掘る」 「砕く」作業に不可欠な開発機械の製造・販売 入された輸入さく岩機のメンテナンスにその源を発し、日本人 を行っています。 の体格にあったさく岩機を独自開発したのが始まりです。以後、 古河ロックドリル株式会社が扱っている製品は、道路や鉄道 積極的に技術開発を進め、つねにさく岩機のトップメーカーとし の山岳トンネル掘削に多くの実績を持つトンネルドリルジャン て業界をリードしてきました。 ボ、岩盤掘削やコンクリート破砕に使用する油圧ブレーカ、土 1961 (昭和36) 年、専門販売会社として古河さく岩機販売株式 木工事や露天掘りにおいて岩盤に孔をあけるクローラドリルな 会社を設立。2005年には、古河機械金属株式会社のさく岩機 ど、広い範囲にわたっており、開発機械の専門メーカーとして、 生産工場である高崎工場および吉井工場と統合し、社名を古河 これまで国内外のインフラ整備や開発事業に大きな貢献を果た ロックドリル株式会社に改めて現在の事業会社となりました。 してきました。 高崎工場(群馬県) 吉井工場(群馬県) 主要製品 油圧ブレーカ 圧砕機 トンネルドリルジャンボ 油圧クローラドリル ダウンザホールドリル 鉱山用ドリルジャンボ 10 開発機械 (ロックドリル) 事業 ■ トンネルドリルジャンボ ■ 油圧ブレーカ ■ 油圧クローラドリル トンネルドリルジャンボは、トンネル掘削 油圧ブレーカは、油圧ショベルなどの 下向きの孔を岩盤にあける自走式機 現場で発破用火薬を装填する孔を掘る機 アタッチメント製 品で、岩 盤 の 掘 削、 械で、国内外の石灰鉱山、採石場、土 械です。道路や鉄道の山岳トンネル工事で 岩石の小割、コンクリートの破砕など 木・建設現場などで使用され、現在、 数多くの実績があり、陸上トンネルとして日 に使 用されています。さまざまなニー 世界シェアトップの30 %を占めていま 本一の長さを誇る東北新幹線の八甲田トン ズに対応するため小型ブレーカから岩 す。刻々と変化する岩盤の状態に応じ ネルをはじめ、新幹線のトンネル工事では 盤掘削用の超大型ブレーカまで取り揃 て最適なさく孔状態を維持する機能を 7 割近いシェアを占めています。その他、 え、高品質・高信頼性の油圧ブレーカ 持ち、孔曲がりの少ない、正確かつス 関越自動車道の関越トンネル、山梨リニア を世界各地に供給しています。現在で ピーディな掘削技術が評価され、イン 実験線の笹子トンネル、第 2シベリア鉄道 は世界トップシェア30%を誇り、土木・ フラ整備や鉱山開発現場で需要が拡大 のトンネルでも使用され、国内外の山岳ト 建設現場など世界のインフラ整備に貢 しています。 ンネル工事現場で活躍しています。 献しています。 トンネルドリルジャンボ 油圧ブレーカ 油圧クローラドリル 関係会社 足尾さく岩機株式会社 1989年設立。空圧さく岩機・小型油圧ブ レーカなどを製造。 さく岩機工場は足尾銅 山時代からあり、 日本で最初に国産さく岩 機を開発した原点でもあります。 テイクル株式会社 1959年設立。建設機械用トラックローラな どを製造・販売しています。 FRDいわき株式会社 1972年設立。空圧クローラドリルなどを製 造しています。 FURUKAWA ROCK DRILL USA 1990年設立。アメリカ合衆国・オハイオ州に 本社を置き、 さく岩機などを販売しています。 FURUKAWA ROCK DRILL EUROPE B.V. 1998年設立。オランダ・ユトレヒト市に本社 を置き、 さく岩機などを販売しています。 FURUKAWA ROCK DRILL KOREA CO., LTD. 2003年設立。韓国・京畿道華城市に本社 を置き、 さく岩機などを販売しています。 FURUKAWA ROCK DRILL EUROPE B.V. FURUKAWA ROCK DRILL (SHANGHAI) CO., LTD. 2006年設立。中国・上海市に本社を置き、 さく岩機などを販売しています。 FURUKAWA ROCK DRILL USA 開発機械 (ロックドリル) 事業 11 ユニック事業 古河ユニック株式会社 古河ユニック株式会社は、車両搭載型クレーン 「ユニッククレーン」 の一角獣「ユニコーン」 の力強いイメージが込められています。 を製造・販売しています。ユニッククレーンは、 トラックや船舶にクレーン 1987 (昭和62) 年に古河機械金属グループ傘下に入り、1989 を搭載することによって、 「吊る・積む・運ぶ・作業する」 という一連の (平成元) 年に社名を古河ユニック株式会社に変更しました。 作業を、画期的なまでに効率化した荷役機械です。当社の製品は国 2005年には古河機械金属株式会社のユニック生産工場である 内トップシェアの47%を占めており、 「ユニック」 という愛称は、 わが国にお 佐倉工場を統合し、現在に至っています。 いて車両搭載型クレーンの代名詞となるほどの知名度を得ています。 当社では、ユニッククレーンの製造開始以来、その基本的な 古河ユニック株式会社の前身である共栄開発株式会社は、1961 機能と形を受け継ぎつつ、たえまなく改良を続けています。今 (昭和36) 年に国産初の車両搭載型クレーンを開発。 このとき付けられ 後は、海外へも積極的に展開すると同時に、荷役作業の効率化、 た 「ユニック」 という愛称には、世界のすべての人びとのクレーン 「ユニ 作業中の安全性向上、そして環境問題への貢献を念頭に置いて、 バーサルクレーン」 でありたいという願いとともに、その形に似た伝説 さらなる新しい機能の開発を目指します。 佐倉工場(千葉県) 主要製品 ユニッククレーン ミニ・クローラクレーン 12 ユニック事業 ※「ユニック」 「UNIC」は古河機械金属株式会社の登録商標です。 ユニックキャリア ユニックパル ユニックオーシャンクレーン ■ ユニッククレーン ■ ミニ・クローラクレーン ■ 連動ラジコン ユニッククレーン「U-can ECO」 ミニ・クローラクレーン 連動ラジコン トラック搭載型クレーンの代名詞とも言え コンパクトなボディとクローラ走行機能 クレーン本体から離れて操作ができる る 「ユニッククレーン」 は、小型トラック用から でトラックが入り込めない建設現場や不 ラジコン装置。クレーン作業のほか、玉 大型トラック用まで幅広い機種設定と、ニー 整地、屋内作業現場で威力を発揮する 掛け作業や吊り荷補助まで、複数の作 ズに合わせたブーム段数やクレーン容量な ミニ・クローラクレーン。小型トラック (標 業が一人ででき、効率化に貢献する装 ど豊富なラインアップが特長です。 準キャブ 2トンロング車) の荷台に横積み 置として普及しています。連動操作が また、今日では“吊る・積む・運ぶ” という 可能な最小モデル (995kg吊り) から、安 可能なモデルや直感的な操作が可能な 本来の基本性能に加え、環境性に特化した 全装置搭載モデル (転倒防止、過負荷警 ジョイスティックモデル、モーメントリミッ 省エネモデル、操作性を追求したラジコンモ 報装置) まで、幅広い作業に対応できる ター機能を搭載したモデルなど、多彩 デル、安全性を重視したセーフティーモデル クレーンです。 なニーズに応える豊富なラインアップ など、先進的な機能を装備したモデルを を用意しています。 続々とラインアップしています。 省エネ大賞受賞 トラック搭載型クレーン「U-can ECO」 約半分のエンジン回転数で性能 を発揮する「エコポンプ・システム」の 開発により、 最大40%(当社比) もの 燃費低減を実現。その優れた環境 性能が認められ、2007年度には経 済産業省主催の第18回省エネ大賞 において「省エネルギーセンター会 長賞*」を受賞。車両搭載型クレーン として初めての受賞となりました。 *中・大型トラック架装用 販売会社 関係会社 ユニック製品の販売については、 日本全国10地域の販売会社が担当 することで、 お客様に迅速かつ高品 質なサービスを提供しています。 ユニック北東北販売株式会社 ユニック東北販売株式会社 ユニック関東販売株式会社 ユニック静岡販売株式会社 ユニック中部販売株式会社 ユニック岐阜販売株式会社 ユニック兵庫販売株式会社 ユニック中四国販売株式会社 ユニック広島販売株式会社 ユニック九州販売株式会社 FURUKAWA UNIC (THAILAND) CO., LTD. 1997年設立。タイ・ラヨーン県に本社を 置き、車両搭載型クレーンなどを製造・ 販売しています。 泰安古河机械有限公司 2003年設立。中国・山東省泰安市に 本社を置き、車両搭載型クレーンな どを製造しています。 泰安古河随車起重机有限公司 2009年設立。中国・山東省泰安市に 本社を置き、車両搭載型クレーン車 を販売しています。 ユニック事業 13 金属事業 古河メタルリソース株式会社 古河メタルリソース株式会社は、古河機械金属グループの創 2004年、古河機械金属株式会社金属事業の生産部門を分社 業時の事業である金属事業を承継し、電気銅・金・銀・硫酸を 化して、古河メタルリソース株式会社が設立されました。翌 製造・販売しています。 2005年には、古河機械金属株式会社金属事業の販売部門を吸収 金属事業は古河機械金属グループ発祥の事業であり、その歴史 合併することで、製販一体の体制となり、現在に至っています。 は1875(明治8) 年の草倉銅山 (新潟県) 、1877(明治10) 年の足尾銅 足尾銅山は 1973(昭和48) 年に閉山となりましたが、長年に 山 (栃木県) の経営にまでさかのぼります。足尾銅山においては、 さ わたって足尾で培った技術力を背景にして、海外での鉱山事業 まざまな最先端技術が開発されましたが、 なかでも世界トップレ にも積極的に取り組んでいます。また、原料である銅鉱石、銅 ベルとして高く評価されているのが、1962 (昭和37) 年に実用化 スクラップを買い入れ、出資先の小名浜製錬株式会社、日比共 された古河・オートクンプ式自熔製錬技術です。低コスト・低公 同製錬株式会社などに委託製錬をすることで、銅や硫酸などの 害という特長を持ち、国内外の製錬所に広く採用されています。 最適生産体制を構築しています。 小名浜製錬株式会社 (福島県) 日比共同製錬株式会社(岡山県) 主要製品 電気銅 金 銀 足尾製錬株式会社 バツ・ヒジャウ鉱山 原料となる銅鉱石を長期間安定的に 確保するため、 カナダのハックルベリー 鉱山、 ジブラルタル鉱山、 インドネシアの バツ・ヒジャウ鉱山に対して、古河機械 金属株式会社を通して出資するなどし て、海外での鉱山事業に積極的に取り 組んでいます。 バツ・ヒジャウ鉱山(インドネシア) 14 金属事業 関係会社 1987年設立。休鉱山および不動産の 管理を行っています。 大分鉱業株式会社 1954年設立。石灰石の採掘・販売を 行っています。 足尾建設株式会社 1972年設立。土木・建設業を営んで います。 電子材料事業 古河電子株式会社 古河電子株式会社は、ガリウムヒ素半導体の原料となる高純 2005 年、古河機械金属株式会社の電子材料事業を分社化し 度金属ヒ素をはじめ、ガリウムリン多結晶などの各種結晶製品、 て、古河電子株式会社が設立されました。 ラインフィルタ用コア・コイル、窒化アルミセラミックス、レーザー 当社の製品は、そのままの形ではなかなか人びとの目に触れる 用レンズなど、高度情報化社会の進展に欠かせない電子材料の ことがありませんが、どれも現代社会にとって欠かせないもの 製造・販売を行っています。 ばかりです。今後も人びとの生命を守り、暮らしに役立つ素材 当社グループの電子材料事業は、1961 (昭和36) 年に高純度 の開発を進めることで、いっそうの社会への貢献を目指します。 金属ヒ素の研究に着手したことからはじまりました。現在では 高純度金属ヒ素の世界トップメーカーとして揺るぎない地位を築 き上げ、国内需要の大半を供給するとともに、海外にも多く輸 出しています。 ■ 高純度金属ヒ素 情報技術の発展に不可欠なもの の一つに、携帯電話や LD、LED に使われるガリウムヒ素半導体が あります。その原料となるのが高 純度金属ヒ素です。当社では早く からその特性に注目し、世界最高純度である99.999995%(7N5) の高純度金属ヒ素の量産を進めてきました。現在、国内唯一の 製造メーカーであり、そのシェアは世界トップを誇ります。 いわき工場(福島県) 主要製品 高純度金属ヒ素 ガリウムリン多結晶 窒化アルミセラミックス 関係会社 株式会社ウエルネス 1989年設立。医療器具の製造販売 を行っています。 いわき半導体株式会社 1982年設立。ガリウムリン、 ガリウムヒ 素単結晶および基板などを製造・販 売しています。 ラインフィルタ用コア・コイル レーザー用レンズ、光学部品 電子材料事業 15 化成品事業 古河ケミカルズ株式会社 古河ケミカルズ株式会社は、無機工業化学薬品、機能性素材 現在では、硫酸の製造のみならず、船底の塗料原料となる亜酸 など、さまざまな化学製品の製造・販売を行っています。 化銅、水処理用無機系凝集剤として下水道の浄化に用いられる 当社グループの化成品事業の起源は、1935(昭和10) 年の硫酸 ポリ硫酸第二鉄溶液、上水道の浄化に用いられる硫酸バンドな 製造開始にさかのぼります。硫酸は化学・電子部材・鉄鋼・食 ど、幅広い分野の化成品をラインアップしています。さらに機 品加工などの各工業に不可欠の基礎材料として、つねに大きな 能性素材として、塩基性炭酸銅、食品添加物用硫酸第一鉄など 需要のある化学製品です。そして1944 (昭和19) 年に、東亜化学 の製造・販売も行っています。 製錬株式会社 (現株式会社トウペ) の製錬事業を譲り受け大阪 こうした高品質の化学製品を提供することで、目に見えない 製錬所として発足させ、その事業を着実に拡大してきました。 ところで人びとの暮らしを支えるとともに、環境負荷低減に向 2005年には、古河機械金属株式会社の化成品事業を分社化 けた新事業にも注力しています。 することにより、古河ケミカルズ株式会社が設立されました。 ■ 亜酸化銅 亜酸化銅は赤色の粉末顔料で、 船底へのフジツボなどの付着を防 止する船底塗料用防汚剤として使 用されており、当社の製品は国内 50%のシェアを占めています。近年 では海洋汚染防止に対応し、有機錫を使用しない船底塗料に適 した亜酸化銅を開発し、環境配慮型製品として多くの支持を得 ています。 大阪工場(大阪府) 主要製品 船底塗料防汚剤などに使用される亜酸化銅 フェライト用原料などに使用される酸化銅 白色顔料などに使用される酸化チタン 硫酸 16 化成品事業 塗料事業 株式会社トウペ(東証1部、大証1部上場) 株式会社トウペは、環境にやさしい高機能塗料と、高性能 会社の連結子会社となりました。 素材である化成品の製造・販売を行っています。 現在では、耐水性・耐薬品性に優れたふっ素塗料や路面標 塗料メーカーとしての歴史は古く、1915 ( 大正4)年に東亜ペ 示用の道路塗料のほか、粉体塗料、無機塗料などの塗料製品 イント製造株式会社として創立し、1919 (大正8) 年に古河機械 に加え、自動車部品用のアクリルゴムをはじめとする化成品も 金属グループに加わりました。1944 (昭和19)年には製錬事業 取り扱っています。今後は、塗料と化成品を事業の両輪として、 を古河鉱業株式会社 (現古河機械金属株式会社)に譲渡して、 なおいっそう付加価値を高めたビジネスの展開を目指します。 塗料専業メーカーとしての歩みを開始しました。 1993 (平成5)年に社名を東亜ペイント株式会社から株式会 社トウペに変更し、総合塗料メーカーとして高品質な塗料と化 成品を供給しています。また、2009年には、 古河機械金属株式 関係会社 株式会社トウペ製造 2004年設立。 三重、 茨城、 倉 敷、 九州の4工場で塗料及び 化成品を製造しています 三重工場 茨城工場 不動産事業 燃料・その他の事業 古河機械金属株式会社 古河コマース株式会社 不動産事業は、事業持株会社である古河機械金属株式会社が 明治時代、九州筑豊地区の石炭生産にはじまった燃料事業は、1960 展開しています。当社グループの不動産事業への進出は、1957 年代に起こったエネルギー革命により、 石油とその関連製品の販売が中 (昭和32) 年の古河不動産株式会社設立にはじまり、同社は2003年 心となりました。 2008年には、燃料事業を分社化し、1960 (昭和35) 年 に古河機械金属株式会社に吸収されました。 設立の古河石油商事株式会社を前身とする古河コマース株式会社に 現在は、東京、大阪、福岡における所有ビル賃貸、不動産の仲介 承継することで、グループ内の燃料事業を統合しました。 現在では、揮 斡旋などを行っています。事業の主軸となるオフィスビルのインテリ 発油、灯油、軽油、重油、潤滑 ジェンス化を進め、各種設備にも配慮して快適なビジネス空間の提 油、 各種有機溶剤、 LPG、 コー 供に努めています。 クスなどのほか、骨材などの 製品も販売しています。 関係会社 堂島実業株式会社 1963年設立。ビル管理など を行っています。 また、 その他の事業として、 事業化前の新規開発製品の 販売や運輸業などを行って います。 関係会社 古河運輸株式会社 1963 年設立。当社グループ の貨物を中心とした一般貨 物運輸業を営んでいます。 いわき興産株式会社 1984 年設立。不動産管理を 行っています。 塗料事業 / 不動産事業 / 燃料・その他の事業 17 持続可能な社会と企業の発展を目指して 研究開発本部 「本格的なモノづくり・仕組みづくり」を中長期的な戦 研究開発本部 略の一つに据えている当社グループにあって、研究・開 ナイトライド事業室 ● 素材総合研究所 ● 発活動はその根幹を支える重要な業務であると位置づ けています。 機械の振動・騒音制御などの研究開発 通信技術(ZPS)の開発 ●次世代各種機械製品・制御技術、 シミュレーションや要素技術の研究開発 ● 技術研究所 企画部、知的財産室の6つの組織で構成されています。 これらの組織が、機械装置分野から素材・材料分野ま 半導体装置事業室 で、それぞれ関連するグループ各社と緊密な連携をとり 開発企画部 ながら、明日の当社グループを支えると同時に、社会に 貢献するための研究と開発を進めています。 電子材料・関連技術の開発および基礎・応用研究 電子・光学材料の加工技術・応用技術の研究開発 ●素材および大気・水質など環境に関わる受託分析 ● 当社グループの研究開発部門は、ナイトライド事業室、 素材総合研究所、技術研究所、半導体装置事業室、開発 窒化物半導体基板・結晶の開発および製造 知的財産室 ● 電子材料関連 (半導体、液晶パネル、太陽電池など) の製造関連装置開発 ● 研究開発活動全体の方針・戦略立案 マーケティングに基づく新素材や高付加価値製品の開発計画立案 ● ● 知的財産管理 ● ■ ナイトライド事業室 ■ 技術研究所 窒化物半導体材料の研究・開発のために、2008年4月に新設さ 機械、シミュレーション、制御、通信などの技術をもとに、 れました。青紫レーザーダイオードや、白色発光ダイオードなど、 次世代の機械製品や生産技術の開発に向けた研究開発を進めて 幅広い用途が期待される窒化ガリウム基板の量産化に向けた開 います。ブレーカ、クローラドリルなどの騒音低減技術や熱・ 発を行っており、より品質に優れた窒化物半導体デバイス実現 流体シミュレーションによる流体機器の性能向上技術の開発に に貢献していきます。また、窒化物半導体による電子デバイス 取り組んでいるほか、超音波を利用した位置検出技術 (ZPS) の開 用薄膜エピタキシャル成長技術の開発も目指しています。 発を行っています。 ■ 素材総合研究所 ■ 半導体装置事業室 電子材料分野を中心に酸化物単結晶、熱電変換材料、さらに 最先端の化合物半導体薄膜製造装置、クリーンエネルギーの テラヘルツ波などの境界領域技術も含めた研究開発を行ってい 太陽電池用薄膜製造装置、省電力薄型ディスプレイである液晶 ます。当研究所が東北大と共同で開発したシンチレータ結晶で モジュール製造のプロセス装置など、広い意味での電子材料関 あるLuAG (ルテチウムアルミニウムガーネット) 結晶は、次世代核医 連の装置開発を行っています。ユーザーとの協力のもとに、機 学診断装置のMRI-PETやPEM(乳がん検査装置) などへの応用 能性・生産性の高い製造装置の開発を行い、社会に貢献してい が期待されています。また、熱を電気に変える熱電変換材料の開 くことを目指しています。 発を通して、環境・エネルギー問題の解決に貢献していきます。 ■ 開発企画部 研究・開発活動全般に関する取りまとめを行うとともに、 マーケティングに基づく新製品の開発計画立案など、社会や 市場の動向に注意を払いながら、時代の要請に適合した次世 代製品や新素材の開発を提案するという役割を担っています。 また、研究開発の成果をタイミングよく市場に出すためのイン キュベーション活動を行っています。 ■ 知的財産室 研究・開発によって生みだされる知的財産の管理を行ってお り、自社技術の育成に貢献すると同時に、保有技術の社会還元 素材総合研究所 (茨城県つくば市) 18 持続可能な社会と企業の発展を目指して にも努めています。 人材開発 「企業の限りない発展を支えるのは『人』である」—— この方針のもと、プロフェッショナルな人材を開発するため、 当社グループでは各種の人材育成制度を用意しています。 今後は、この制度をさらに充実させることによって、社員が 大いに能力を発揮できる環境を整備し、グループ事業体制の最 適化、そして企業価値の最大化を目指します。 プロフェッショナルな人材を育成 階層別研修 ● 階層別に豊富なプログラムを用意 専門・職能別研修 ● 社員の専門分野や職能ごとに社内外での研修を実施 自己啓発プログラム 人事制度 コーチ制度 社内で実施される教育や研修 社員の主体的な自己啓発や能力開発活動を奨励 ● ● ● 職能資格等級制度を基礎とした人材育成 先輩社員が新入社員のコーチとなり、 1年間マンツーマンで指導 ● ■ 階層別研修 ■ 自己啓発プログラム 新入社員、若手社員・中堅社員、新任管理職、課長職という 社内で実施される教育や研修に加え、社員の主体的な自己啓 階層別に豊富なプログラムを用意して、それぞれに必要な基礎 発や能力開発活動を奨励しています。各種通信講座の紹介のほ 知識の体得に加え、社会環境変化への対応力を養成します。 か、教材・書籍などの紹介・斡旋も行っています。 たとえば、入社3年目を迎えた社員に対する 「総合職若手社員研 通信講座については、 業務に直接かかわるものだけでなく、 各種の 修」は、入社以降の自分自身を振り返り、 現状の自分や職場のあり方 資格取得、語学講座、パソコン関連講座など多彩なメニューのなかか などを点検する研修です。その結果をふまえて、仕事に取り組む姿勢 ら選択することができ、 受講料を会社が補助している講座もあります。 や、 他者とのコミュニケーションを再確認し、 社会人、 企業人としての素 養を磨きます。 ■ 人事制度 当社グループにおいては、職能資格等級制度を基礎として、社 ■ 専門・職能別研修 員の勤務成績や意欲、能力などを考課し、指導・育成、能力開発、 社員の専門分野や職能ごとに社内外での研修を実施し、各分 適正配置などに努めるとともに、賃金、賞与、退職金や職能資 野に関する幅広い知識や専門スキルの習得を図ります。 格等級の昇格などについても、公平・適正化を図っています。 社外で実施される専門知識講座への参加、公的資格の取得も 大きな変革期を迎えた今日においては、意欲ある人が長期的に安 積極的に奨励しています。また、外部教育研究機関や学会への 心して活躍できる環境整備こそが企業の発展に重要であると考えて 派遣をバックアップして、先端技術や社会環境の動向に造詣が います。 深い人材の育成を目指します。 コーチ制度 長年にわたって続く当社グループ独自の新人教育制度です。 先輩社員が新入社員のコーチとなり、 1年間マンツーマンで指 導。業務の指導だけでなく、 マナーや業界知識の教育に加え、 さまざまな疑問や悩みを解決するサポート役となります。 新入社員は年4回レポートを提出。コーチのほか所属部門 の課長、 事業所長などの役職者がすべてのレポートに目を通し、 コメントを加えます。 この制度は、 社員の成長はもちろんのこと、 将来の人的ネットワーク形成にも大いに役立っています。 中堅社員研修 持続可能な社会と企業の発展を目指して 19 社会的責任 (CSR) 社会・企業の持続可能性という観点から、CSR(企業の社会的 なかでも環境保全に関しては、時代に合った最新の技術によっ 責任)への取り組みは、何にも増して重要な責務であると考えて て最善の策を講じてきました。古くは足尾における煙害対策や水 います。当社グループは、創業以来130年以上にわたって、より 処理対策、高度成長期においては廃水処理装置、電気集じん器 よい製品やサービスの提供を通じて着実に発展してきましたが、 など公害防止技術を海外から導入する一方、公害防止機器の製 その過程において、 つねに社会への貢献と責任を念頭に置いて事 造販売を通じ、企業市民としてその使命を担ってきました。 業を展開してきたことは、当社グループの誇りにするところです。 ■ コーポレートガバナンス体制 ■ コンプライアンス体制 コーポレートガバナンス体制は、意思決定の迅速化と責任の明 当社グループでは、危機管理およびコンプライアンス (法令 確化を図るため、経営の監督機能と業務執行機能を分離した「執 遵守)などに関する重要事項の総合審理を行うことを目的とし 行役員制」を採用しています。当社グループの経営の監督にあ て、危機管理・コンプライアンス委員会を設置しています。委員 たる取締役会は、社内6名、社外1名の合計 7名で構成され、毎 長には会長 (会長がない場合は社長) が当たり、 トップマネジメ 月1回の定例に加え必要に応じて随時開催しています。業務執 ントを実施することでコンプライアンスを着実に推進します。 行にあたる執行役員は16 名 (うち取締役兼任5 名) で構成され、 委員会における審理事項には、危機管理およびコンプライア スピーディな経営を行っています。 ンスに関する基本方針策定・体制整備・教育、潜在的危機の検 経営会議は、 取締役会付議事項および代表取締役決裁に関する重 討、危機管理およびコンプライアンス関連の法令・事例研究や 要事項について審議・決定をする機関です。 また経営役員会は、 毎月 広報対策、コンプライアンス規程に基づく内部調査・再発防止 の業務執行の報告とそれに対する検討・指示などを行う機関です。 策策定、内部通報制度の運用などがあります。 一方、 当社グループでは監査役制度を採用しており、社外監査役 3 コンプライアンスについては、単に法令を守るだけでなく、 名を含む5名の監査役で構成されています。監査役は、 監査役会が定 社会的、倫理的な面においても真摯にして、かつ責任ある行動 めた監査方針に従い、取締役会、経営会議、経営役員会などの重要 をとることが企業の責務と考えています。当社グループでは、 な会議に出席するほか、取締役などからの営業報告の聴取、事業所 「古河機械金属グループ企業行動憲章」および「古河機械金属 や子会社の調査、取締役などの職務執行の監査を行っています。 グループ役職員行動基準」を制定し、グローバルにあらゆる分 また、内部監査機関として監査室を設置し、当社グループの 野で社会に貢献できるよう、全社員の意識徹底を図っています。 経営活動全般にわたり監査を実施しています。 注:人数については2010年3月末現在 コーポレートガバナンス体制 株主総会 取締役会 監査役会 会計監査人 代表取締役 経営会議 経営役員会 委員会 執行役員 (業務執行) 危機管理・コンプライアンス委員会 監査室 当社各部門、 グループ各社 20 社会的責任(CSR) 環境管理委員会 製品安全委員会 開発委員会 ■ 環境保全活動、安全・快適職場づくり 創業以来130年以上にわたって、当社グループは、つねにそ の時代における最新の技術と最善の策を講じ、環境保全に努め てきました。 今日では、事業活動のすべての領域において、全社員が環境 保全活動に取り組むことのできる体制を整えています。2002 年には、地球環境の保全を重要な経営課題の一つとして、全社 員が持続可能な社会の発展に寄与するとした「環境管理基本理 念」を制定。その理念を実践するための具体的な活動事項を定 海岸清掃(福島県いわき市薄磯海水浴場) めた「環境保全行動方針」 とともに、当社における環境保全活動 への取り組みを支えています。2007年には、各社・各所で行 われている活動が、環境保全行動方針などを的確に反映してい るかを確認するために、 「環境・安全監査理念・指針」 を制定。 担当部署による 「環境・安全監査」 を毎年実施することで、環境 保全活動のレベルアッブに努めています。 また、安全で快適な職場環境を形成、維持することも重要な 経営課題としています。そのため 「労働安全衛生基本理念」 およ び「労働安全衛生方針」 を制定し、最良の職場環境で業務を行え 当社社有地内 (愛知県) にある 村指定天然記念物の 「栃の木」 緑化食害防止ネットの設置 (栃木県日光市) 環境・安全監査 環境保全業務担当者会議 るよう、自主管理基準を設け、継続的に管理水準の向上を図っ ています。 今後とも、環境保全活動と生産活動との調和を企業理念とし て、環境に配慮した経営を積極的に展開していきます。 ■ 社会とのコミュニケーション 当社グループは、あらゆるステークホルダー (利害関係者) の 皆様に対して、事業活動への正しい理解を得るため、業績、財 務内容、将来ビジョン、経営戦略、社会活動などについて、迅 速で正確に、そしてわかりやすく開示することを基本姿勢とし ています。 また、透明性のある経営を推進するため、必要に応じて各種 の説明会を開催し、広報物やウェブサイトなどを通じて積極的 な情報開示に努めています。 アニュアルレポート 「株主の皆様へ」 (株主向け報告書) 社会的責任(CSR) 21 暮らしのすみずみに生きる技術と製品 身近で活躍する古河機械金属グループ 「古河機械金属グループって、どんな会社?」−− 社名を聞いただけでは、何をしている会社なのか、ご存じない方も多 いかもしれません。でも、毎日の暮らしをよく眺めてみると、意外なほ ど身近なところで、古河機械金属グループの製品や技術が活躍して います。便利で豊かな生活を実現し、安心・安全な社会を守るために、 その製品や技術は暮らしのすみずみで生かされています。 シールドポンプ 亜酸化銅 スラリーポンプ 汚泥ポンプ 高純度金属ヒ素 22 塗料 コア・コイル 燃料 粉砕機 油圧クローラドリル 電気銅 トンネルドリルジャンボ 鋼橋梁 油圧ブレーカ 高純度金属ヒ素 イラストレーター 泊 明 トラック搭載型クレーン 不動産 暮らしのすみずみに生きる技術と製品 23 沿 革 1875 (明治8) 新潟県で草倉銅山の経営を開始する (創業) 1877(明治10) 栃木県で足尾銅山の経営を開始する 栃木県に足尾銅山機械部門の小山工場を建設する 小山工場では、銅山で使用する ポンプや鉱山機械などを製造。 自社での使用にとどまらず、外 販も行われました。 当社の原点といえる足尾銅山。 産業の発展途上にあった当時の 日本において、銅山経営は基幹 産業といえる存在でした。 1950 (昭和25) 群馬県にさく岩機部門の高崎工場を建設する 1884 (明治17) 足尾銅山の産銅量が日本一となる 高崎工場ではさく岩機が量産さ れ、当社はさく岩機のトップメー カーとしての地位を固めます。 明治17年前後の各銅山の産出量比較 足尾 草倉 1883年 1,090 1,694 1884年 3,847 1,807 1885年 6,886 1,719 別子 吉岡 1,708 123 1,726 219 2,512 612 (千斤) 荒川 尾小屋 407 280 405 380 392 427 注:千斤= 600kg = 0.6トン 出典:明治工業史鉱業編 1885 (明治18) 坑道開さくにさく岩機の使用を開始する 銅山経営においては、当時の最 先端であった欧米の技術を導 入。 さく岩機もその一つであり、 日本では早い段階で足尾が取り 入れました。 1887 (明治20)足尾銅山に工作課を設置し、機械の修理・製作を開 始する 1894 (明治27)福岡県で下山田炭鉱の経営に着手し、石炭部門へ進 出する 1900(明治33)足尾銅山に機械工場を設置し、 機械部門へ進出する 1905(明治38) 個人経営から会社組織に変更し、 「古河鉱業会社」 とする 1906 (明治39) 栃木県日光の細尾発電所が完成する 1911 (明治44) 古河合名会社に組織を変更する 1914 (大正3) 日本で最初にさく岩機を製作する 国産初のさく岩機は足尾で開発 されました。輸入さく岩機は大 きく使いづらかったため、 日本人 の体格に適した小型のさく岩機 の開発が待たれていました。 1918 (大正7)古河合名会社の鉱業部門を独立して、 「古河鉱業株式 会社」を設立する 1920(大正9) 日光電気精銅所を現物出資して古河電気工業株式会 社を設立する 1941 (昭和16)古河合名会社と古河鉱業株式会社が合併し、古河鉱 業株式会社として現在の形態の基礎を完成する 1942(昭和17) 株式の一部を公開する 機械部門を足尾製作所として、足尾鉱業所から独立さ せる 1944 (昭和19)東亜化学製錬大阪製錬所を買収し、大阪製錬所とし て化学部門へ進出する 24 沿革 1951 (昭和26)大阪製錬所で酸化チタンおよび亜酸化銅の製造を開 始する 1954 (昭和29)フィンランドのオートクンプ社から自熔製錬技術を導入する 1956 (昭和31) 足尾製錬所で自熔製錬設備が完成する 1960 (昭和35) 石油販売業務を開始する 1961 (昭和36) 大阪製錬所で濃硫酸の製造を開始する 1962 (昭和37)足尾製錬所で古河・オートクンプ式自熔製錬設備が完 成する 古河・オートクンプ式自熔製錬設 備は、フィンランドのオートクンプ 社の技術に当社が改良を加えた もので、燃料を必要としない点 に大きな特長があり、製錬コス トの大幅削減が実現しました。 スポーツ用ボウリングの開発が完了し、販売を開始する 当時、一世を風靡したボウリングブーム。当社はボウリング設 備の製造を行い、人びとに健康的な娯楽の場を提供しました。 小山工場でクローラショベルの生産を開始する 高純度金属ヒ素の研究開発が完了し、99.999% 製品 の販売を開始する 銅鉱石の製錬段階で発生する副 産物の一つであるヒ素。このこ ろから、半導体の材料として注 目されるようになりました。 1970 (昭和45) 石炭部門から撤退する 1971 (昭和46) 群馬県にボウリング部門の吉井工場を建設する 小山工場でホイールローダの生産を開始する ホイールローダは海外にも多く輸 出され、当社の名前を世界に広 める役割を果たしました。 2000 (平成12) 「機械」 関連の研究機関として技術研究所を新設する 2002 (平成14)「電子材料などの製造装置」 の開発機関として半導体装 置事業室を新設する 2003 (平成15)韓国にさく岩機製品の販売会社「FURUKAWA ROCK DRILL KOREA CO., LTD.」を設立する 古河不動産 (株) を合併し、不動産本部を設立する 中国にユニッククレーンの製造販売のための合弁会 社「泰安古河机械有限公司」 を設立する 中国・山東省泰安市に設立され たユニック事業の関係会社で、 車両搭載型クレーン車などを製 造・販売しています。 1972 (昭和47)福島県に電子材料部門のいわき工場を建設する 英文社名を FURUKAWA CO., LTD. と変更する 1973 (昭和48) 足尾事業所鉱山部を廃止する (閉山) 栃木県に建設機械部門の壬生工場を建設する 1986 (昭和61) いわき工場の高純度金属ヒ素製造設備を増設する 1987 (昭和62)(株) ユニック (トラッククレーン製造) を買収する わが国で、車両搭載型クレーンの 代名詞となっている 「ユニック」 。 日本初の製品を開発した (株) ユニックが当社傘下に入り、翌々 年には古河ユニック(株)と改称 されました。 (株) ユニック製造部門 (千葉県佐倉市) を譲り受け、佐 倉工場とする 1989(平成元)社名を「古河鉱業株式会社」から「古河機械金属株式 会社」に変更する 1990(平成2) アメリカのブレーカ製造会社を買収する 1997 (平成9)オーストラリアに銅製錬会社「PORT KEMBLA COPPER PTY. LTD.(PKC) 」 を設立する タイにユニック製品・部品の製造会社「FURUKAWA UNIC (THAILAND) CO., LTD.」を設立する タイ・ラヨーン県に設立された ユニック事業の関係会社で、車 両搭載型クレーンなどを製造し ています。 1998(平成10)オランダにさく岩機製品の販売会社「FURUKAWA ROCK DRILL EUROPE B.V.」を設立する オランダ・ユトレヒト市に設立され た開発機械事業の関係会社で、 さく岩機などを販売しています。 PKCが運営するオーストラリアの銅製錬所の操業 を休止する 鋳造品事業を古河キャステック (株) へ営業譲渡する ことにより分社する 2004 (平成16)建設機械事業を日立建機グループに売却する 2005 (平成17) 「機械事業」 「金属事業」 「電子化成品事業」 を会社分割に より分社し、古河機械金属グループとして経営体制の強 化を図る 2006 (平成18)中国にさく岩機製品の販売会社「FURUKAWA ROCK DRILL (SHANGHAI) CO., LTD.」を設立する 中国・上海市に設立された開発 機械事業の関係会社で、さく岩 機などを販売しています。 古河産機システムズ (株) より一般機械事業を大塚鉄工 (株) へ営業譲渡し、社名を「古河大塚鉄工 (株) 」へ変 更する 2007 (平成19) 鉱山・土木分野向け建設機械・工具事業において古河 ロックドリル (株) が三菱マテリアル (株) と業務提携する (株) パウデックと窒化ガリウム (GaN) 系半導体エピ基 板事業に関して資本・業務提携する 2008 (平成20)古河産機システムズ (株) が古河大塚鉄工 (株) を吸収合 併する 「窒化物半導体」関連の研究機関としてナイトライド 事業室を新設する 「燃料事業」 を会社分割し、古河コマース (株)に承 継する 2009 (平成21) ナイトライド事業室の開発新棟を小山工場内に建 設する 「金属」 「電子化成品」 関連の研究を集約し素材総合研究 所を新設する 1999 (平成11) 素材総合研究所を茨城県つくば市に移転する 開発中の窒化ガリウム基板は ブルーレイなどの青紫LDに用 いられ、将来的には次世代照 明用の高輝度白色LEDや、電 気自動車用のパワーデバイスな どへの応用も期待されています。 茨城県つくば市に建設され、電 子材料・化学技術に関する研 究・開発、半導体基板加工技術 の研究開発を行っています。 料・化成品の製造販売会社である 塗 (株) トウペを連 結子会社化する 沿革 25 〒100-8370 東京都千代田区丸の内2-2-3(丸の内仲通りビル) TEL: 03-3212-6570 http://www.furukawakk.co.jp C 2009 古河機械金属株式会社 1004-3,000
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