Feature 特集 サプライヤー動向 デジタルセクレタリー今月のランキング イノベーター 国内企業インサイド スキルアップ講座 消費者本位の オムニチャネルとは何か セブン&アイ・ホールディングスの大型投資などでオムニチャネルに注目が集まり、対応を急ぐ企業も多い。 しかし、あなたが取り組もうとしている施策は、消費者にとって本当に必要な価値につながるのだろうか。 本誌の調査から、消費者が望む本当のオムニチャネルの価値が明らかになった。(中村 勇介) 「オムニチャネルを実現するには、 含め約50人で構成する新組織で、本格 各社がオムニチャネルの実現へ投資 経営そのものを作り変えていく必要が 的にオムニチャネルの推進を始めた。 を拡大させる中、その推進に躍起にな ある。あらゆる部門が一体となって、 消費者はスマートフォンを使い、オ り、消費者を見失ってはいないだろう 百貨店の売り方を変えていかなければ フラインとオンラインを自由に行き来 か。新しい売り方を開発しても、それ ならない」 して商品を購入するようになった。リ を利用するのは消費者だ。顧客視点が J.フロントリテイリング(JFR)の榎 アル店舗とECサイトがスマートフォ 欠落していては、 成功は見込みにくい。 本朋彦執行役員グループIT新規事業 ンを媒介に急速に融合を始めている。 開発室長は、オムニチャネルは経営戦 新しい消費行動に対応するために、 クーポン、在庫検索にニーズ 略そのものだと語る。同社は、大丸松 大手小売りは投資を拡大している。セ 消費者は、オムニチャネルの実現に 坂屋百貨店や商業施設のパルコを傘下 ブン&アイ・ホールディングスは、オ よって、一体どのような機能の提供を に収める。この3月に社長直下でオム ムニチャネルの実現に約1000億円を 望んでいるのか。本誌は消費者に対し ニチャネルを推進する組織として、グ 投じるとされる。イオンは2016年末 て、オムニチャネルで実現できる機能 ループIT新規事業開発室を設置。専 までに店舗やネットなどどの販売チャ について利用意向を複数回答で聞い 任11人に加え、大丸松坂屋百貨店、子 ネルで商品を注文しても、顧客が指定 た。その結果から、利用したい機能と、 会社のEC(電子商取引)事業会社、ク した好きな場所で受け取れるようにし 利用したくない機能の各上位5項目を レジットカード事業会社などの兼務を て顧客の利便性を高める方針だ。 ランキングにしたのが、 左の表となる。 最も利用意向が高い機能は「ネット と店舗で共通のポイントが使える」で、 消費者が「利用したい」 「利用したくない」 オムニチャネルの機能トップ5 利用したい機能 回答比率 1 ネットと店舗で共通のポイントが使える 79.2% 2 店舗の近くに行くと自動的にその店の クーポンが送られてくる 59.8% 3 店頭の在庫の有無とその数がスマート フォンで閲覧・検索できる 利用したくない機能 回答比率 1 顔写真を登録した店舗では、スマホ で事前決済すれば、店頭では名前も 告げずに顔パスで商品を受け取れる 51.8% 2 店員が持つタブレット端末で、レジ以 外の場所でも決済ができる 34.2% 57.4% 3 コールセンターなどに問い合わせた内 容について、店舗でもアドバイスなど を受けられる 33.0% 28.2% 店舗で在庫がない商品も店員のアド バイスを聞きながらネット経由で買える 27.8% 4 店舗においてカートに入れた商品に応 じたクーポンが配信されてくる 53.2% ネットと店舗で過去の購買情報や利 4 用状況などが共通化されていてスマー トフォンで一覧できる 5 今いる売り場に応じたクーポンが、ス マートフォンを通じて配信されてくる 52.6% 5 79.2%の人が利用したいと答えた。次 に高かったのは、 「店舗の近くに行く と自動的にその店のクーポンが送られ てくる」の59.8%。ポイントやクーポ ンは価値が分かりやすいため、利用意 向も高い。トップ5中4項目を占めた。 残りの1つが、 「店舗の在庫の有無とそ の数がスマートフォンで閲覧・検索で きる」で、57.4%が利用したいと回答 本誌記事の無断複製、無断転載を禁じます。 3 日経デジタルマーケティング 2014.4
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