2012/7/20 更新版 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン (2011 年改訂版) Guidelines for Clinical Cardiac Electrophysiologic Studies(JCS 2011) 合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本小児循環器学会,日本心臓病学会,日本心電学会,日本不整脈学会 班 長 小 川 聡 班 員 相 澤 義 房 青 沼 和 隆 国際医療福祉大学三田病院 立川メデイカルセンター 高 月 誠 司 慶應義塾大学医学部循環器内科 筑波大学大学院人間科学総合科学研究 科循環器内科学 高 柳 寛 獨協医科大学越谷病院循環器内科 中 里 祐 二 順天堂大学医学部附属浦安病院循環器内科 家 坂 義 人 土浦協同病院循環器内科 平 井 真 理 名古屋大学医学部保健学科 石 川 利 之 横浜市立大学附属病院循環器内科 井 上 博 富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二 奥 村 謙 弘前大学大学院医学研究科循環呼吸腎 渡 辺 一 郎 日本大学医学部内科学系循環器内科分野 協力員 岩 佐 篤 新東京病院循環器科 大 西 哲 NTT 東日本関東病院循環器内科 臓内科学 久 賀 圭 祐 筑波大学大学院人間総合科学研究科 加 藤 貴 雄 日本医科大学内科学 循環器内科 鎌 倉 史 郎 国立循環器病研究センター心臓血管内科 小 林 義 典 東海大学医学部八王子病院循環器内科 熊 谷 浩一郎 福岡山王病院ハートリズムセンター 里 見 和 浩 国立循環器病研究センター心臓血管内科 栗 田 隆 志 近畿大学医学部循環器内科 丹 野 郁 昭和大学医学部内科学講座循環器内科 小坂井 嘉 夫 千里中央病院心臓血管外科 学部門 小 林 洋 一 昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門 池 主 雅 臣 新潟大学医学部保健学科 庄 田 守 男 東京女子医科大学循環器内科 永 瀬 聡 岡山大学大学院医歯学総合研究科循環器内科 杉 薫 東邦大学医療センター大橋病院循環器内科 藤 木 明 静岡赤十字病院循環器科 住 友 直 方 安 田 正 之 順天堂大学循環器内科学 日本大学医学部小児科学系小児科学分野 (構成員の所属は 2011 年 8 月現在) 目 次 改訂にあたって…………………………………………………… 3 Ⅰ.電気生理検査に必要な設備,技術,知識………………… 4 1.はじめに ………………………………………………… 2.機材および設備 ………………………………………… 3.技術と知識 ……………………………………………… 4.放射線被ばく …………………………………………… Ⅱ.洞結節機能…………………………………………………… 1.はじめに ………………………………………………… 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 4 4 5 7 8 8 8 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 9 4.臨床的意義 ……………………………………………… 10 5.判断基準 ………………………………………………… 10 6.治療の適応 ……………………………………………… 10 Ⅲ.房室ブロック…………………………………………………11 1.はじめに ………………………………………………… 11 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 11 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 11 4.臨床的意義および判断基準 �����������12 1 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 5.治療の適応 ……………………………………………… 13 Ⅳ.脚枝ブロックおよび心室内伝導障害………………………13 1.はじめに ………………………………………………… 13 2.心室内伝導障害の心電図診断 ………………………… 14 3.電気生理検査の適応 …………………………………… 14 4.電気生理検査の方法 …………………………………… 14 5.臨床的意義 ……………………………………………… 15 6.判断基準 ………………………………………………… 15 Ⅴ.早期興奮症候群………………………………………………15 1.はじめに ………………………………………………… 15 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 18 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 19 4.臨床的意義 ……………………………………………… 20 Ⅵ.房室回帰性頻拍以外の上室頻拍……………………………20 1.はじめに ………………………………………………… 20 2.房室結節リエントリ性頻拍 …………………………… 21 3.心房頻拍 ………………………………………………… 22 4.洞房結節リエントリ性頻拍 …………………………… 23 Ⅶ.心房粗動………………………………………………………23 1.はじめに ………………………………………………… 23 2.電気生理検査の臨床的意義 …………………………… 23 3.電気生理検査の適応 …………………………………… 24 4.電気生理検査の方法 …………………………………… 25 Ⅷ.心房細動………………………………………………………26 1.電気生理検査の臨床的意義と適応 …………………… 26 2.心房細動起源の同定 …………………………………… 27 3.肺静脈マッピング ……………………………………… 27 4.心房細動の維持に関与する不整脈基質に関連した 電気生理検査 …………………………………………… 28 Ⅸ.心室期外収縮…………………………………………………28 1.はじめに ………………………………………………… 28 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 29 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 29 4.臨床的意義 ……………………………………………… 29 Ⅹ.非持続性心室頻拍……………………………………………30 1.はじめに ………………………………………………… 30 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 30 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 31 4.臨床的意義 ……………………………………………… 31 5.治療の適応 ……………………………………………… 32 ⅩⅠ.持続性心室頻拍 ……………………………………………32 1.定義と機序 ……………………………………………… 32 2.持続性心室頻拍の分類 ………………………………… 32 3.電気生理検査の目的 …………………………………… 33 4.電気生理検査の方法 …………………………………… 33 ⅩⅡ.Brugada 症候群………………………………………………35 1.はじめに ………………………………………………… 35 2.心電図分類と診断基準 ………………………………… 35 3.電気生理検査の適応 …………………………………… 36 4.電気生理検査の実際とその判断基準 ………………… 37 ⅩⅢ.特発性心室細動………………………………………………37 1.右室流出路起源 VT から誘発される特発性心室細動 … 38 2.早期再分極症候群 ……………………………………… 38 3.Short coupled variant of torsade de pointes …………… 39 2 4.QT 短縮症候群 ………………………………………… 39 5.何ら心電図異常を認めない特発性心室細動 ………… 40 ⅩⅣ.QT 延長症候群 ………………………………………………40 1.はじめに ………………………………………………… 40 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 40 3.臨床的意義 ……………………………………………… 40 4.治療の適応 ……………………………………………… 41 ⅩⅤ.器質的心疾患に伴う心室細動 ……………………………41 1.はじめに ………………………………………………… 41 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 41 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 42 4.臨床的意義 ……………………………………………… 42 5.判断基準 ………………………………………………… 42 6.治療の適応 ……………………………………………… 42 ⅩⅥ.原因不明の失神 ………………………………………………42 1.はじめに ………………………………………………… 42 2.失神の出現頻度 ………………………………………… 43 3.失神の分類 ……………………………………………… 43 4.失神の予後 ……………………………………………… 43 5.失神の診断 ……………………………………………… 43 6.電気生理検査の適応 …………………………………… 45 7.電気生理検査の方法 …………………………………… 46 8.電気生理検査の臨床的意義 …………………………… 46 9.電気生理検査の判断基準 ……………………………… 47 10.治療の適応 …………………………………………… 47 ⅩⅦ.心肺蘇生後の患者……………………………………………47 1.はじめに ………………………………………………… 47 2.電気生理検査の役割 …………………………………… 47 ⅩⅧ.抗不整脈薬の治療効果判定 ………………………………48 1.はじめに ………………………………………………… 48 2.徐脈性不整脈に対する抗不整脈薬効果の判定の ための電気生理検査 …………………………………… 48 3.徐脈性不整脈に対する抗不整脈薬効果の評価の ための電気生理検査の適応 …………………………… 49 4.頻脈性不整脈に対する抗不整脈薬効果の判定の ための電気生理検査 …………………………………… 49 5.頻脈性不整脈に対する抗不整脈薬効果の評価の ための電気生理検査の適応 …………………………… 51 ⅩⅨ.不整脈の外科的治療法 ……………………………………51 1.はじめに ………………………………………………… 51 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 52 3.疾患別各論 ……………………………………………… 52 4.まとめ …………………………………………………… 55 ⅩⅩ.小児の不整脈 ………………………………………………55 1.はじめに ………………………………………………… 55 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 56 3.方法 ……………………………………………………… 56 4.臨床的意義 ……………………………………………… 56 5.判断基準 ………………………………………………… 56 6.治療の適応 ……………………………………………… 57 ⅩⅩⅠ.心臓再同期療法 ……………………………………………58 1.はじめに ………………………………………………… 58 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 58 3.電気生理検査の方法 …………………………………… 58 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 4.臨床的意義 ……………………………………………… 58 5.判断基準 ………………………………………………… 58 6.治療の適応 ……………………………………………… 59 ⅩⅩⅡ.心臓ペースメーカ植込み …………………………………59 1.はじめに ………………………………………………… 59 2.電気生理検査の適応 …………………………………… 60 ⅩⅩⅢ.アブレーション ……………………………………………60 1.はじめに ………………………………………………… 60 2.アブレーションを前提とした電気生理検査の目的 … 60 3.WPW 症候群 …………………………………………… 61 4.房室結節リエントリ頻拍(AVNRT) ………………… 61 5.心房頻拍 ………………………………………………… 62 6.心房細動 ………………………………………………… 62 7.心室頻拍 ………………………………………………… 63 8.心室細動 ………………………………………………… 63 文 献……………………………………………………………… 64 (無断転載を禁ずる) 改訂にあたって カテーテルアブレーション,植込み型除細動器(ICD), ながら,本ガイドラインに記載する内容との整合性の確 心臓再同期療法(CRT)等,近年の不整脈非薬物療法の 認,重複回避に努める,(2)執筆者は旧版に準じるが, 進歩は,これまでの重症不整脈の治療戦略を大きく変え 交代した班員の代わりにはその項目に造詣の深い先生に てきた.しかし一方では,これらの治療法が侵襲的であ 新たな執筆者になっていただく,(3)5 年の歳月で疾患 るがゆえに,適応決定にあたっては短期的,長期的効果 概念の変遷があって,診断,治療への考え方が変わった を含めて十分な検証が求められる.また,突然死に対す 領域については大幅な加筆,修正を加えたことである. る一次予防策としての ICD/CRT の適応拡大が欧米の大 特に(3)については,「心室細動」の項で,近年,早期 規模臨床試験成績から推奨される状況にあって,的確な 再分極症候群や QT 短縮症候群等の新しい概念が加わっ リスク層別化に基づく適応決定が以前にも増して求めら た「特発性心室細動」の項目を新設し,「器質的心疾患 れている. にともなう心室細動」と区別させ,また,Brugada 症候 臨床電気生理検査は,古くは 1969 年の Scherlag らの 群のように,多くの新しいデータベースの集積にもかか His 束電位記録法の確立に始まり,洞結節機能や房室伝 わらず,依然として治療方針決定のための臨床電気生理 導特性の評価で一世を風靡した.その後,His 束電位記 検査の意義に結論が出ないままであるため,著者は変更 録に加えて,早期刺激法の導入が不整脈の発生機序の解 となったものの概ね旧版のままの適応基準が残された項 明に計り知れない貢献をし,抗不整脈薬の薬効の検証法 もある.また,慢性心房細動に対するアブレーション適 としても臨床的意義が確立されて来た.さらには不整脈 応が増している状況で,焼灼部位の同定のための電気生 発生源の同定等への応用がアブレーション治療の導入へ 理検査の適応も変遷しており,同じ著者が加筆している. とつながっていった. 検査を実施するための適応基準(クラス分類)は旧版 こうした経緯を踏まえ,2004–2005 年度合同研究班(山 で採用されている方式に準じて改訂を加えた.ただし, 口厳班長)報告として「臨床心臓電気生理検査に関する エビデンス不足により必ずしも合意の得られていない点 ガイドライン」が 2006 年に発表され,不整脈の診断, については,班員間で議論を加えた上で現時点での考え 治療法の決定,予後の判定に心臓電気生理検査をいかに 方を載せることにしたが,今後さらに改訂が必要になる 利用するかの指針となってきた.今回は 5 年ごとに見直 こともあり得る. されるガイドラインの「部分改訂」として,新たに研究 日進月歩の領域において 5 年ごとに改訂するガイドラ 班が組織され,1 年間をかけて改訂作業を行ってきた. インに,何処までの内容を盛り込むかの選択には難しさ 今回の改訂にあたって留意した点は,(1)並行して策定 がある.あくまでも現時点で,不整脈・心臓電気生理の が進んでいる「不整脈の非薬物治療ガイドライン」,「カ 第一線で活躍されている班員の英知を結集した内容であ テーテルアブレーションの適応と手技」の進捗状況を見 ることを留意した上でご利用いただければ幸いである. 3 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) その他特殊なものとして,ヘイローカテーテル Halo Ⅰ 電気生理検査に必要な 設備,技術,知識 catheter(三尖弁輪電位マッピング用カテーテル)は, 心房粗動のアブレーションに際して三尖弁輪の興奮旋回 の 方 向 を 明 ら か に で き る. ラ ッ ソ カ テ ー テ ル Lasso catheter(電極がついた先端の部分が投げ縄様になって いる)は肺静脈入口部の電位を記録するために考案され 1 たもので,心房細動の肺静脈起源を明らかにするために はじめに 用いられる.バスケットカテーテルは心内に球形のカテ ーテルを展開するタイプで,バスケットはそれぞれ 8 ~ 心臓電気生理検査を行うにあたって,必要と考えられ 1) る設備,技術および知識についてまとめる . 2 機材および設備(表 1) 1 電極カテーテル 2) 10 極の電極のついた 5 ~ 8 本のスプラインを有する.バ スケットカテーテルによる多点同時電位マッピングは異 所性興奮の発生部位決定に有用である. 2 X 線装置 電極カテーテルの挿入および操作には X 線透視が必 要で,心臓血管造影室で行われる.術者が電極カテーテ 電極カテーテルには多くの種類があるが,基本的な機 ルを操作するには,透視画面と心腔内電位のモニター画 能は心腔内電位の記録と心筋の電気的刺激である. 面を同時に確認できることが必要である.また,電極カ 成人に使用する電極カテーテルの太さは通常 5 ~ 7F テーテルの操作に詳細な立体的位置の把握が必要な場合 であり,電極数は 2 極から 20 極のものを用いる.細い が多いので,biplane 透視が望ましい. カテーテルは細い血管から挿入可能であるが,トルクが 伝達しにくく,操作性は太いカテーテルに比べて劣る. 3 記録装置 電極間距離は 5 ~ 10mm の等間隔のもの,双極電極の間 心腔内電位の記録には,フィルターにより周波数帯を 隔が 2 ~ 10mm,それぞれの双極の電極間が 2 ~ 10mm 選択し,増幅器により電位の大きさを調整する.His 束 のもの等,種々ある.電極の間隔が広がれば広範囲の心 電位を含め心腔内電位記録には,通常 30Hz から 500Hz 筋電位が記録されるが,局在性の診断は難しくなる.間 のバンドパスフィルターを用いる. 隔が狭ければ,より限局された部位の電気現象が反映さ 電位を直接記録紙に記録する場合には,時間分解能と れる.カテーテルの素材によりトルク性,柔軟性,屈曲 して 10msec の精度が必須であり,少なくとも 100mm/s 性が異なる.最近の電極カテーテルは先端のカーブが可 の紙送り速度が必要である.ハードディスク,磁気記録 動性(steerable)であるものが多く,操作性は向上して 装置,データレコーダー等に記録を保存しておけば,後 いる.また内腔の空いている電極カテーテルもあり,ガ 日再検討が可能である. イドワイヤーを通したり,圧測定,造影等に利用したり 徐脈性不整脈に対する電気生理検査に必要な記録装置 することが可能である.様々な使用目的に応じて適切な のチャネル数は,体表面心電図Ⅰ,aVF,V1 の 3 誘導, 電極カテーテルを選択する. 心内電位記録は心房,His 束と心室電位の 3 か所の,合 表 1 電気生理検査に必須な設備 設 備 内 容 X 線透視装置 (通常の心臓カテーテルに使用する 二方向のシネ透視ができるとアームの移動の手間がなくアブレーションに有用 一般的設備) 記録装置および電位モニター テープやディスクにデータを記録する.モニター電位は見やすく工夫する 期外刺激,連続刺激が可能なプログラム刺激装置,出力端子は 2 か所以上ある 刺激装置 ことが望ましい アブレーション装置 通電時の温度,パワーの設定ができる.通電中の温度とインピーダンスの変化を観察できる 除細動器 心室細動,心房細動の除細動に必要 体外ペーシング装置 一時的ペーシングに必要 緊急蘇生用器材 挿管,アンビュウバッグ,救急薬品等 4 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 計 6 チャネルで十分である.しかし,頻脈性不整脈が対 象となる場合は,心腔内電位と同時に体表面 12 誘導心 電図の記録が出来るのが望ましい.誘発された頻拍と自 然発作を対比することができて便利かつ有用である. る. 5 スタッフ 術者の他,助手,除細動・静注薬の投与・人工呼吸, 電気生理検査専用の記録装置の多くは,多チャネル記 等の患者管理(医師),記録装置・刺激装置の操作(医 録を A/D 変換しハードディスクおよび光ディスクに保 師あるいは臨床工学士),全身管理の担当(医師,看護 存するシステムであり,近年の記録装置のハードウェア 師等),X 線透視装置等の操作(放射線技師)を行うス はパソコンあるいはワークステーションで,記録,表示, タッフが必要である.検査の標的となる不整脈,患者の 解析はソフトウェアを利用して行うものがほとんどであ 状態等によって異なるが,医師は 2 ~ 4 名が必要である. る.同時記録のチャネル数は 30 以上から,さらに 120 スタッフはあらゆる緊急事態,合併症に対応できる技術 を超える装置もある. と知識を有していることが必要である(表 2)2). 最近では,electroanatomical mapping system のように カテーテルにより記録される電気現象と解剖学的位置を 3 技術と知識 同時に解析することにより,三次元的に興奮時相を表示 する activation map,電位波高を表示する voltage map 等 3) 電気生理検査を実施するにあたって必要と考えられる が利用できる .この目的には,多電極アレイ・カテー 技術と知識をまとめた(表 3,4).欧米では習得に必要 テルを用い,電極が心内膜面と接触しなくても解析可能 な最低限のトレーニングに関して勧告もなされている 4). なシステム(non-contact mapping system)も利用される. 我が国では,植込み型除細動器および心臓再同期療法に また上記システムと CT 画像を用いて三次元マッピング ついては研修制度があるが,電気生理検査については認 の精度をより高くする工夫もなされている. 4 刺激装置 電気生理検査では,心房・心室各所に対するプログラ ム刺激が行われる.プログラム刺激では,連続刺激およ び単発~ 3 連発までの期外刺激が行われる.刺激の間隔, パルス数,刺激パルスの強さと幅がプログラム可能であ り,刺激出力部位を複数設定できる装置が望ましい.期 外刺激の連結期の調節は手動で変更する以外に,自動で あらかじめプログラムできる装置もある. 洞周期よりわずかに短い周期で一定の幅の刺激パルス (通常は 2msec)を加えて,心筋が興奮する最小の刺激 強度を閾値という.電圧か電流の強度で表示する.通常 は刺激閾値の 2 倍の出力で刺激を行う.洞調律において 各種の伝導時間の測定を行った後に,目的によって心房 連続刺激,心房期外刺激,心室連続刺激,心室期外刺激 を行う.刺激部位は必要に応じて,心房(右房,左房) 表 2 電気生理学的検査に必要なスタッフ スタッフ 内 容 医 師 術者,助手,刺激装置の操作および記録装置の 操作,患者の管理等 看 護 師 カテーテルの準備,介助等 放射線技師 X 線透視装置の操作等 臨床工学士 記録装置の操作,ペーシングの補助等 表 3 電気生理検査に必要な技術 • 経皮的に血管を通した右心系,左心系への電極カテーテル の挿入(内圧測定法,冠動脈造影法,心室造影法等も含める) • 挿入した電極カテーテルの目標部位への安全な移動操作 (His 束領域,冠静脈洞,流出路,弁輪部等) • 心腔内の電位記録とプログラム刺激法による伝導時間と不 応期測定,頻拍の誘発と停止,旋回路のマッピング • 合併症の認識と対処 • 体外式除細動の使用法 • 抗不整脈薬の使用法 • 静脈麻酔法 • 救急処置 および心室(右室心尖部,右室傍 His 束領域,右室流出路, 左室等)から選択する.房室伝導能の評価,不応期の測 定,頻拍性不整脈の誘発および停止,徐脈性不整脈の誘 発等を行う.一般に,刺激のプロトコールを強化(連続 刺激の頻度の増加,期外刺激の連結期の短縮)すれば臨 床的な不整脈も誘発されやすくなるが(感度が増加), 非臨床的な不整脈も誘発されやすくなる(特異度が低 下).したがって,症例および目的とする不整脈によって, どのような刺激プロトコールを行うか考慮する必要があ 表 4 電気生理検査に必要な知識 • 適応と禁忌 • 合併症 • 心腔内電位の解析 • 心臓プログラム刺激 • 各種不整脈の特徴と電気生理検査の意義 • 頻拍回路・機序の同定方法 • 抗不整脈薬の作用機序 • アブレーション • 電気的安全性や放射線被ばくに関する認識 • 直流除細動 5 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 定制度がない(現在,制度化に向けた作業が進められて 図1 伝導時間と不応期の測定 いる). 1 S1 カテーテル挿入と操作 Atrium A1 心臓の各部位に電極カテーテルを挿入するためには, AV node 様々な血管経路と穿刺部位等の特徴を理解しておく必要 His bundle がある(表 5). 2 検査のための心臓電気生理学 S1 Ventricle S1 A1 S2 A1 A2 H1 H1 H1 H2 V1 V1 V1 V2 H1H2 ①伝導時間 心臓の電気生理検査が His 束電位の記録から始まった 5) ことには,房室伝導時間の測定という目的があった.体 表 面 心 電 図 で も RR 間 隔,P 波 幅,PQ 時 間,QRS 幅, FRP QT 時間の測定がなされるが,それらに加えて電気生理 検査では AH 時間,HV 時間が測定できる(図 1).AH ERP 時間は His 束領域の心房興奮から His 束電位までの時間 で,主に房室結節の伝導時間に依存する.HV 時間は His 束から体表面心電図 QRS 波の開始までの時間で, A 1A 2 ERP: effective refractory period 有効不応期 FRP: functional refractory period 機能的不応期 His 束,脚,Purkinje 線維,心室に至る経路全体の伝導 時間を反映する. effective refractory period)と呼ぶ. ②不応期 心房から心室への伝導路(主に房室結節)の有効不応 心筋活動電位の特徴は第 2 相のプラトー相が存在する 期の測定も頻繁に行われる.この場合には機能的不応期 ことである.そのため一度興奮した心筋細胞は再分極相 (FRP; functional refractory period)も測定される.房室 に至るまで再度興奮できない状態となり,これが不応期 結節の FRP は,心室への伝導が生じる最小の H1H2 間隔 にあたる.この不応期の測定は心房や心室に対する電気 (HV 伝導時間が一定の場合には V1V2 で代用される)で 生理検査でしばしば行われる. ある. 不応期は通常基本刺激の間隔(S1S1)に依存するため, ERP と FRP の測定は房室伝導曲線を描くと理解しや 一定の間隔の基本刺激を 8 発行い,最後に早期刺激(S2) すい(図 1 下).横軸は A1A2 間隔を,縦軸は H1H2 間隔を を加える方法が用いられる(図 1 上).S1,S2 による心 表わす.最初は A1A2 の短縮と一致して H1H2 が短縮する 房興奮は A1,A2,心室興奮は V1,V2 と表記する.早期 が,次第に H1H2 の短縮の程度が減少し,ERP の直前の 刺激で心房や心室を興奮させることができない最大の刺 A1A2 では逆にそれまでより延長する.これは A2 の早期 激 間 隔(S1S2) を 刺 激 部 位 の 有 効 不 応 期(ERP: 性が増すにしたがって A2H2 時間がより延長する性質(減 衰伝導)を示すことによる. 表 5 カテーテルの到達部位と穿刺経路 穿刺部位 到達経路 右房 上・下大静脈 すべての静脈 His 束 右心系 大腿静脈 左心系(大動脈弁基部) 大腿動脈 冠静脈洞 上・下大静脈 前腕静脈 鎖骨下静脈 内頸静脈 大腿静脈 左房 経心房中隔 大腿静脈(右) 逆行性 大腿動脈 右室 上・下大静脈 すべての静脈 左室 逆行性(経大動脈弁) 大腿動脈 経心房中隔 大腿静脈(右) 部位 6 3 不整脈の診断と治療 機序が判明していない頻拍発作に対しては誘発試験を 行う.通常は,期外刺激法を用いて不応期に至るまで刺 激間隔を短縮して行く.頻拍が誘発された場合には,頻 拍周期よりわずかに短い周期で連続刺激を加えエントレ インメントを試みる.リエントリ機序を診断すると同時 に頻拍回路の同定に有用である. 4 合併症と救急処置 救急用薬剤,補助呼吸装置,除細動器等が必要である. 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 電気生理検査とアブレーションにおける合併症の種類と 頻度を表 6 および表 7 にまとめた 4 皮膚の変化(紅斑等)は早期のものは数時間で発現す る が,2 ~ 3 週 間 後 に 発 現 す る も の が あ る の で 10),13), 6),7) . 2Gy 以上の照射を受けた場合には 1 ヵ月後に背中の皮膚 放射線被ばく の状態について調べる.電気生理検査を繰り返す場合に は,皮膚障害のリスクが高くなるので注意する 13). 循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライ ン 10) が本学会から公表されているので参考にされたい. ②内臓の障害 最も被ばく線量の多い臓器は肺である 13).晩期の放射 電気生理検査では透視に伴い患者,術者ばかりではな 線障害として発癌のリスクがあり,60 分の透視で生涯 く検査室にいるその他のスタッフに放射線被ばくが起こ の致死性悪性腫瘍の発生は 0.03 ~ 0.06 %増える 13).あ りうる.検査時間が長くなる場合には,被ばく線量が多 るいは 1,000 人あたり 1 人という推測もあるが 12),電気 くなる.一般に電気生理検査での総透視時間は 10 分を 生理検査のみでは総透視時間が少ないのでこのリスクは 超えることはまれで,電気生理検査(心房細動以外のア 小さい. ブレーションを含む)では冠動脈造影に比べ放射線被ば く線量は低く 11),心房細動アブレーションの被ばく線量 は冠動脈インターベンションと同程度である 12). 1 スタッフの被ばく X 線照射野ばかりではなく,患者の体内を通過する際 に X 線があらゆる方向に散乱する結果,検査室内にいる 患者の被ばく スタッフが被ばくすることになる.斜位の場合には X 線 管側にいる術者の被ばくが増える.被ばく量は距離が増 ①皮膚の障害 X 線が背部から照射されるので,背中の皮膚の紅斑~ 壊死が問題となる 2 10) .皮膚の放射線障害発生の閾値は すにつれて指数関数的に減少するので 13),患者やX線管 から離れることで被ばく量を減らすことができる. 2Gy であり,汎用されている透視装置ではおおよそ 60 障害としては白内障,甲状腺機能低下,白血球減少, 分間の透視で皮膚の吸収線量が 2Gy になる 13) .一般に 生殖器官への影響等が問題となる.プロテクター(背中 電気生理検査のみでは総透視時間は 10 分程度のことが も覆うタイプ)を着用し,術者はネックガード,ゴーグ 多く,この閾値に達することはまずない. ルも着用する.カテーテル操作中はできるだけ手や腕を 直接照射しないよう注意する. 表 6 電気生理検査の合併症(文献 8 より改変引用) 合併症 発生頻度(対象 1,000 例) 死 亡 1(0.1 %) 動 脈 損 傷 4(0.4 %) 血栓性静脈炎 6(0.6 %) 著 明 な 血 腫 2(0.2 %) 動 脈 塞 栓 1(0.1 %) 肺 塞 栓 3(0.3 %) 心 臓 穿 孔 2(0.2 %) 低 血 圧 20(2.0 %) 表 7 副伝導路のカテーテルアブレーション例における合併症 (文献 9 より改変引用) 合併症 発生頻度(対象 5,247 例) 死 亡 4(0.08 %) 心タンポナーデ 7(0.13 %) 心 嚢 水 貯 留 10(0.19 %) 脳塞栓,一過性脳虚血発作 8(0.15 %) 大動脈弁穿孔 4(0.08 %) 僧 帽 弁 損 傷 2(0.04 %) 冠動脈の損傷 3(0.06 %) 穿刺部位の大出血や血管損傷 3(0.06 %) 完全房室ブロック 9(0.17 %) 3 透視時の被ばく線量を減らす対策 表 8 に掲げる対策により患者,スタッフの被ばく線量 を軽減するよう努める. 表 8 被ばく放射線を減らす対策(文献 12 より改変引用) • 機器 パルス照射 画像収集レートを下げる(15 フレーム / 秒) 最終イメージ提示 非透視機器(CARTO,Ensite Navx 等)の利用 • 術者の対応 透視野を絞る 透視時間を減らす(間欠的透視) 拡大透視を避ける イメージ増倍管を患者に近づける X 線管は患者から離す • スタッフの防護対策 プロテクター ネックガード,ゴーグル 直接照射野に身体を入れない 含鉛アクリル板 7 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) Ⅱ 1 洞結節機能 はじめに 洞結節機能は,洞結節固有の自動能,周囲の洞房接合 部の伝導能および洞結節に対する自律神経,の 3 者の影 響を受ける.自動能は,洞結節内のペースメーカ細胞の 自発的な脱分極に起源を有し,通常は他の伝導系より脱 分極頻度が高いことにより,心臓全体の歩調取りとなる. 洞結節に生じた自発的興奮は,洞房接合部を介して周辺 の心房へ興奮が伝導する. 洞結節の自動能や洞房伝導能の障害による徐脈が原因 で,失神,眼前暗黒感等の中枢神経症状を呈するものが 洞不全症候群(洞結節機能不全)であり,ペースメーカ 植込み症例の約半数を占める. 洞結節電位が体表面からは記録できないことにより, 洞結節機能評価は,心電図,ホルター心電図等を用いて 表 9 洞結節機能に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.失神,めまい,眼前暗黒感等の症状を有する洞結節機 能不全で,症状との関連が心電図,ホルター心電図等 の非侵襲的検査では証明できない患者 クラスⅡ a 1.失神,めまい,眼前暗黒感等の症状を有する洞結節機 能不全で,症状との関連が心電図,ホルター心電図等 の非侵襲的検査によって証明されており,他に房室伝 導障害あるいは頻拍症等を合併する患者 2.徐脈頻脈症候群で頻脈に対する必要不可欠な薬剤によ り徐脈の悪化を来たす患者 3.無症状の洞機能不全で洞機能不全を増悪させるおそれ のある薬剤の投与が必要な場合 クラスⅡ b 1.失神,めまい,眼前暗黒感等の症状を有する洞結節機 能不全で,症状との関連が心電図,ホルター心電図等 の非侵襲的な検査によって証明されており,その原因 が他の疾患に対する薬物治療の影響であることが疑わ れる患者 2.洞結節機能不全が疑われる患者で,抗不整脈の投与に より,洞結節機能の低下が顕在化できると考えられる もの クラスⅢ 1.失神,めまい,眼前暗黒感等の症状を有する洞結節機 能不全で,症状との関連が心電図,ホルター心電図等 の非侵襲的検査によって証明され,他に房室伝導障害 あるいは頻拍症等を合併していない患者 2.無症状の洞性徐脈 非侵襲的に行われる. 洞結節自動能の亢進による洞頻度の増加は交感神経緊 図所見と症状との関連が明らかでないときには,ホルタ 張,発熱,甲状腺機能亢進症および不適切洞頻脈(IST; ー心電図,モニター心電図等の長時間記録による非侵襲 inappropriate sinus tachycardia)等で認められる. 的な検査が行われるが, それでも明らかでない場合には, 1 電気生理検査による洞結節機能評価(洞結節回復時間, 分類 洞房伝導時間,固有心拍数)を行うことが有効である. 洞不全症候群は,(1)持続性洞徐脈,(2)洞停止ある 電気生理検査では,洞結節機能評価に加えて上室性頻脈 いは洞房ブロック,(3)徐脈頻脈症候群,の 3 つの病型 性不整脈の有無,房室伝導障害の有無,室房逆行伝導の に分類される 2 14) . 原因 これら洞結節機能不全は,洞結節細胞の減少・組織の 線維化,等の病理学的変化を基盤に発生し,慢性的に進 有無等についても検討し,治療方針,薬物選択あるいは ペースメーカ治療におけるペーシングモード決定の参考 とする必要がある. 2 電気生理検査の適応 行性に経過する.洞結節あるいは洞房伝導領域自体の機 能障害により生じる内因性機能障害と,洞結節機能に対 失神,めまい,眼前暗黒感等の原因が洞結節機能不全 する自律神経系の調節障害,あるいは他の疾患に対する にあることが疑われるが,徐脈と症状の関連が心電図, 薬物治療によって生じる外因性機能障害とに分類され ホルター心電図等の非侵襲的検査では証明できない場 る. 合,電気生理検査の適応となる.徐脈と症状との関連が 3 8 診断 心電図,ホルター心電図等の非侵襲的検査によって証明 され,他に房室伝導障害あるいは頻拍症等の合併がない 洞徐脈と症状との関連を証明することが重要である. 患者や,無症状の洞性徐脈では,一般に電気生理検査の 心電図で徐脈と症状との関連が証明されるものにおいて 必要性は低いと考えられる. は一般に電気生理検査による洞結節機能評価の適応にな さらに,診断に難渋する原因不明の失神例に対して, らない(表 9).洞結節機能不全が疑われるもので心電 左前胸部に小切開を加え,ループ式心電図記録計を皮下 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン に植え込む極めて侵襲の少ない方法により失神時の心電 すなわち,A1A2 間隔=[心房→洞結節への伝導時間] 図記録を行う方法も導入され,詳細な検討が可能となっ + SCL +[洞結節→心房への伝導時間].したがって, ている. A1A2 間隔- SCL =[心房→洞結節への伝導時間]+[洞 房室ブロックも含めた「徐脈性不整脈」に対する電気 結節→心房への伝導時間]が往復の洞房伝導時間 生理検査の適応については,「不整脈の非薬物治療ガイ ドライン」に記載されている 15). 3 (SACT)となる. ②心房早期刺激法(Strauss 法) 電気生理検査の方法 洞調律周期のおいて十分に早期の心房期外刺激(A2) を加えると,A2 は洞結節が自発興奮する前に洞結節を 通常は,高位右房,His 束部,右室心尖部に 4 極電極 カテーテルを置き,プログラム刺激装置によりペーシン 脱分極させるので,洞周期がリセットされる.A2 とそ の後の最初の洞結節興奮による心房興奮(A3)間隔は, グおよび記録を行う.心血管系,洞結節機能,自律神経 [A2A3 間隔]=[心房→洞結節への伝導時間]+ SCL + 系に影響を与える薬剤は,術前半減期の 5 倍以上前に中 [洞結節→心房への伝導時間]となる.すなわち,A2A3 止しておく 16). 1 間隔- SCL =[心房→洞結節への伝導時間]+[洞結 洞結節回復時間 (SNRT; sinus node recovery time) 節→心房への伝導時間] この式から,心房連続刺激法(Narula 法)と同様に往 復の洞房伝導時間(SACT)が求められる 20). 洞結節近傍の高位右房に置いた電極カテーテルから洞 調律の頻度よりも速い頻度(約 10 心拍 / 分速い頻度から 開始して,20 心拍 / 分ずつ 200 心拍 / 分まで増加させる) で,30 秒間ペーシングを行うことにより洞結節自動能 4 薬理学的自律神経遮断法 (pharmacologic autonomic blockade) 硫酸アトロピン 0.04mg/kg およびプロプラノロール の 抑 制(overdrive suppression test) を 行 い,overdrive 0.2mg/kg の静注により薬理学的に自律神経が遮断され の最後の刺激による心房波から最初の洞性心房波出現ま て,自律神経の影響を除去した洞結節固有の機能が評価 での時間を,洞結節回復時間(sinus node recovery time; さ れ る 21). 自 律 神 経 遮 断 後 の 心 拍 数 を, 固 有 心 拍 数 17) SNRT)とする .種々のレートにおける測定値の最長 (intrinsic heart rate; IHR)とする. の値をその症例の SNRT とする. 2 修 正 洞 結 節 回 復 時 間(CSNRT; corrected sinus node recovery time) 5 洞結節電位直接記録法 (sinus node electrogram; SNE) 電極カテーテルを上大静脈と右房の接合部後方に置い 洞周期(SCL; sinus cycle length)による影響を除去す て,感度を上げてフィルターを直流レベルから 50Hz に るために修正洞結節回復時間(CSNRT; corrected sinus セットする.洞結節電位は,P 波に先行する緩徐な電位 node recovery time)を測定する.SNRT から SCL を減じ として記録される 22). て(CSNRT = SNRT - SCL)求める 3 18) . 洞房伝導時間 (SACT; sinoatrial conduction time) ①心房連続刺激法(Narula 法) 基本洞調律より約 10 心拍 / 分速い頻度で連続 8 拍のペ 6 洞房伝導時間直接測定法 洞結節電位の upstroke の立ち上がりから,P 波の開始 点までの時間を直接法による SACT とする 23),24). 7 洞結節不応期 (sinus node refractoriness) ーシングを行うことにより洞周期は持続的にリセットさ 心房期外刺激の連結期を短縮させることにより,洞結 れるため,ペーシング停止後の回復洞周期(ペーシング 節の不応期にあたると,A1A3 間隔は洞周期に一致する. によって生じた最後の心房波[A1]と最初の洞結節興 この連結期を洞結節不応期(sinus node refractoriness) 奮によって生じた心房波[A2])の間隔)は,逆行性の とする 25). 洞房伝導時間(心房→洞結節)と,基本洞周期(SCL)と, 順行性の洞房伝導時間(洞結節→心房)の合計になる 19). 9 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 4 (overdrive suppression test)によっても,必ずしも洞機 臨床的意義 能不全が明らかにならない例もある.特に徐脈頻脈症候 群における心房細動停止後の長い洞停止時間と,SNRT 洞結節機能検査のなかで最も有効であり,広く行われ ている検査は, (修正)洞結節回復時間である 26)-28).し かし,持続性洞徐脈の症例では,洞結節回復時間が高度 (CSNRT)との間に相関が認められないことがある. 3 洞房伝導時間(SACT) の延長は示さないこともあり 29),30).(修正)洞結節回復 心房連続刺激法(Narula 法)と心房早期刺激法(Strauss 時間の延長は,洞不全症候群の 35 ~ 93 %で認められ 法)で測定された SACT はほぼ一致する 19).洞結節電位 .Overdrive suppression の機序には不明な点も 直接記録法による SACT は,正常洞結節機能例では 46 が,ペーシング後の洞周期の延長は洞結節自動能 ~ 116msec,洞不全症候群では 110 ~ 126msec 以上であ の抑制を反映する.むしろ,長い洞停止の機序は主とし る 24).直 接法 による SACT は,Strauss 法お よび Narula て洞房ブロックであるとの報告もある 33),34).徐脈頻脈 法による SACT と良好な相関を示す. る 18),30),31) ある 32) 症候群において臨床的に認められる心房細動停止後の洞 停止時間と,洞結節回復時間との間には,相関が認めら れるとの報告 35),36)と,相関関係を否定する報告がある 37). 4 固有心拍数(intrinsic heart rate; IHR) 正常値は, (118.1 -年齢)× 0.57 の± 14%(45 歳未満) 洞不全症候群の 40 %に,洞房伝導時間の延長が認め あるいは± 18 %(45 歳以上)である.固有心拍数が正 られる 38)が,持続性洞徐脈の症例では,ほとんど延長を 常値未満である例は「内因性洞結節機能障害」と判定さ 示さない 39),40).したがって,洞房伝導時間測定の感度 れ,正常値にある例は「自律神経調節障害」と判定され は高いとはいえない 37),38) .洞房ブロックあるいは徐脈 る 21). 頻脈症候群では,78 %の症例で洞房伝導時間の延長を 示す 30).単に洞房伝導時間が延長しているだけで,臨床 的に明らかな症状を伴う洞房ブロックがない症例におけ 5 洞結節不応期 (sinus node refractoriness) る臨床上の意義は不明である. 洞結節不応期は正常例では 250 ~ 380msec であり,洞 薬 理 学 的 自 律 神 経 遮 断(pharmacologic autonomic 不全症候群では 500 ~ 550msec で有意差が認められる 25). blockade)法は,内因性の洞結節機能障害を明らかにす ることが可能であり,洞結節機能評価の感度を上げるこ とができると考えられている 6 治療の適応 39) . 洞結節電位記録の臨床的意義は確定されていないが 35), 前記の判断基準の正常値から逸脱する異常値を示した 洞結節電位の記録により overdrive による洞結節回復時 例のすべてが,ペースメーカ植込み等の治療を必要とす 間の延長が,自動能の抑制であるのか,洞房伝導の抑制 るわけではない.洞結節機能検査はあくまでもその異常 であるのかの鑑別に有用である 40). 値と症状との関連が証明されることによって初めて,ペ 洞結節不応期(sinus node refractoriness)の臨床的意 ースメーカ植込みの適応決定の有効な手段となる.治療, 義については確立していない. 特にペースメーカ植込みの適応における電気生理検査に 5 判断基準 よる洞結節機能検査値の評価は,施設によって異なって おり,ペースメーカ植込みの適否と予後との関連の追跡 調査研究が困難であるために,現在までエビデンスとし 下記に,洞結節機能の各指標の判断基準を示す. 1 洞結節回復時間(SNRT) 正常値は,基本洞周期(sinus cycle length; SCL)によ って影響されるが,おおよそ 1,500msec 未満である 30),41). 2 修正洞結節回復時間(CSNRT) SCL による影響を除去したものが CSNRT であり,正 常 値 は 550msec 未 満 で あ る 30),37). 高 頻 度 ペ ー シ ン グ 10 て確立されたものはない. 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン His 束心電図におけるブロック部位に基づいて以下の Ⅲ 房室ブロック ように分類される. 1.AH(His 束上)ブロック 房室結節内の伝導遅延もしくは伝導途絶 2.BH(His 束内)ブロック 1 はじめに His 束内の伝導遅延もしくは伝導途絶 3.HV(His 束下)ブロック His 束遠位部以下の伝導遅延もしくは伝導途絶 1 房室ブロックの定義 2 電気生理検査の適応 房室ブロックとは,心房から心室へ刺激が伝達される 際に,刺激伝導系のいずれかの部位(房室結節,His 束, 失神,めまい等の原因として房室ブロックが疑われる His-Purkinje 系)において,伝導の遅延または途絶が認 ものの因果関係が不明な場合は電気生理検査の適応とな められるもの,と定義される. る.また房室ブロックでペースメーカ植込みがなされた 2 房室ブロックの原因 症例で,その後も失神,めまい等の症状があり,その原 因として他の不整脈が疑われる場合も適応となる(表 先天性と後天性に大別される.先天性では修正大血管 10). 転位や心室中隔欠損を伴う心奇形等に合併することが多 洞不全症候群も含めた「徐脈性不整脈」に対する電気 い.後天性では伝導系を含む心筋の虚血,炎症,変性, 生理検査の適応については,「不整脈の非薬物治療ガイ 外傷等が原因になる.後天性房室ブロックは,一般に加 ドライン」に記載されている 15). 齢に伴う変性,線維化等の,いわゆる特発性ともいうべ き原因の明らかでないものが多い.その他,二次的なも 3 電気生理検査の方法 のとして,虚血性心疾患,心筋症,心筋炎,薬剤性,膠 原病,サルコイドーシスに伴うもの等が挙げられる 42). 3 房室ブロックの分類 房室ブロックは重症度に基づいて以下のように分類さ れる. ブロック部位の診断をはじめ,不応期測定,下位中枢 の安定性評価および潜在性ブロックの誘発を行う 43). 1 His 束電位図記録 His 束電位を記録することにより,刺激伝導系の各部 第 1 度房室ブロック:PR 時間が 0.20 秒以上に延長 第 2 度房室ブロック a.Wenckebach 型ブロック(Mobitz Ⅰ型) PR 間隔が漸次延長して房室ブロックが出現し, ブロック回復後の PR 間隔がブロック直前の PR 間隔よりも短縮する 周期を繰り返す b.Mobitz Ⅱ型ブロック PR 間隔の延長を伴わずに突然房室ブロックが 出現する c.2:1 房室ブロック 房室伝導比が 2:1 のブロック d.高度房室ブロック 房室伝導比が 3:1 以上のブロック 第 3 度(完全)房室ブロック 房室伝導が完全に途絶し,房室解離を示す 表 10 房室ブロックに対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.失神,めまい,眼前暗黒感等の症状の原因として房室 ブロックが疑われるが因果関係が不明な場合 2.第 2 度もしくは 3 度房室ブロックに対してペースメーカ が植込まれた症例で,ペースメーカ治療後も失神,め まい,眼前暗黒感等の症状が存在し,その原因として 他の不整脈が疑われる場合 クラスⅡ a 1.ペースメーカの適応のある房室ブロック症例で洞結節 機能の評価が必要な場合 2.Mobitz Ⅱ型第 2 度房室ブロック・3 度房室ブロックおよ び 2 枝または 3 枝ブロックの症例でブロック部位の同定 および洞結節機能の評価が必要な場合 クラスⅡ b 1.無症状の房室ブロックで伝導障害を悪化させるおそれ のある薬剤の投与が必要な場合 クラスⅢ 1.失神,めまい,眼前暗黒感等の症状と房室ブロックと の関連が心電図で明らかにされている場合 2.症状のない 1 度房室ブロック,Wenckebach 型第 2 度房 室ブロック 11 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 位における伝導時間測定と伝導遅延・途絶部位の診断を 硫酸アトロピン,クラスⅠ a 抗不整脈薬負荷等による 行う.これにより房室ブロックは AH,BH,HV の 3 つ 房室伝導の変化等の評価を行う.アトロピンで伝導改善 の部位に分類できる. が得られない場合は,房室結節以下の刺激伝導系に器質 2 的障害が及ぶことが示唆される.一方,クラスⅠ a 薬は 漸増性心房ペーシング法 His-Purkinje 系に直接作用し,潜在性伝導障害を顕在化 房室結節 Wenckebach 型ブロックおよび His-Purkinje する.薬剤投与により HV 時間が 2 倍以上に延長する場 系における第 2 度以上のブロックが出現する心拍数を確 合,もしくは HV 時間が 100msec 以上に延長する場合, 認するために行う.本ペーシング法は房室結節以下の順 さらには 2 度以上の房室ブロックが出現した場合は His- 行性伝導能の評価に用いられるが,多くの場合,房室結 Purkinje 系の器質的伝導障害を示唆する.低用量でブロ 節 Wenckebach 型ブロックが出現するペーシング拍数は ックが誘発されれば診断意義は大きい.現在,使用され 検査時点での迷走神経緊張状態をみているもので,本質 る薬剤(使用量)はシベンゾリン(1.4mg/kg),ジソピ 的な房室結節伝導能を示すものではない.一般的には, ラミド(1.0mg/kg)46),プロカインアミド(10mg/kg)47) 110 心拍 / 分以下の低頻度刺激で AH の Wenckebach 型ブ 等である. ロックが出現する場合は房室結節内の伝導は異常と考え られる.また,His 束下(HV)の伝導においては,ペ 4 臨床的意義および判断基準 ーシング拍数にかかわらず 2 度以上のブロックの出現を 異常とみなす 44).150 心拍 / 分以下の刺激頻度でブロッ ブロック部位により,その臨床像が異なるため,予後 クが認められる場合は,不応期の異常延長(> 400msec) や治療方針決定という観点からも,部位診断は重要であ であり,His 束下の伝導能の障害を意味する 3 45) . 漸増性心室ペーシング法 荷心電図等による診断には限界があり,確定診断には電 気生理検査が必要である. 室房伝導の有無を確認する目的で行われる.室房伝導 第 1 度房室ブロックでは刺激伝導系のいずれかの部位 の存在は血行動態面での悪影響等の問題があり,ペース で伝導遅延が認められるが,大部分は房室結節内(AH) メーカ治療に際しても評価が必要である. で,自律神経(迷走神経)の緊張に伴う機能的(可逆的) 4 心房期外刺激法 ブロックである 45).しかし,His 束内や His 束より遠位 でも伝導遅延が認められることがある.これらは,AH 心房,房室結節,His-Purkinje 系の有効不応期の測定 ブロックとは異なり,その原因として特発性,もしくは を行うが,障害があれば正常に比べ異常な延長が認めら 虚血や炎症等の二次的な原因による線維化や変性等,何 れる. らかの器質的障害が存在するものと考えられている.脚 5 オーバードライブ抑制試験 枝等 His 束以下の部位での伝導障害を合併することもま れではない.したがって,たとえ第 1 度房室ブロックで 心房オーバードライブ抑制試験では,心房を頻回刺激 も,BH または HV ブロックの場合は,さらに高度の房 した後の最大洞機能回復時間を測定することによって洞 室ブロックへの進展の可能性が高く,とりわけ失神発作 機能の評価を行う.これはペースメーカ治療に際してペ 等の既往例では注意深い経過観察が必要である.また, ーシングモード決定に必要である.一方,心室オーバー 抗不整脈薬の投与等に際しても注意が必要である.特に ドライブ抑制試験では,心室頻回刺激後の下位補充中枢 脚ブロックを伴う第 1 度ブロックを認めた場合は,ブロ 自動能の安定性評価,あるいは潜在性ブロックの誘発 ック部位診断のため電気生理検査が不可欠である 48). (overdrive suppression of conduction)等を評価する. 6 12 る.標準 12 誘導心電図や Holter 心電図,運動・薬物負 薬物負荷試験 第 2 度 Wenckebach 型ブロックの大多数は,自律神経 (迷走神経)の緊張に伴う機能的(可逆的)ブロック で 49),50),ブロック部位は His 束上である.His 束内,His 発作性房室ブロック等でどうしても診断が確定しない 束下でみられることは比較的まれな現象であり 51),何ら 際に行う.薬剤負荷試験法では常に高度房室ブロック誘 かの器質的障害が存在していることを示唆している.そ 発の危険性があるため,ベッドサイドでは行わず,必ず の場合,運動負荷等心房拍数の増加に伴い,房室伝導の 電気生理検査時に心室ペーシングが可能な状況下で行う 増悪を認めることが多く 52),53),ほとんどの例でさらに べきである. 高度房室ブロックへ進展する. 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 第 2 度 Mobitz Ⅱ型ブロックは His 束内あるいは His 束 1 度もしくは第 2 度のブロックを合併した場合は,間欠 下の器質的伝導障害が原因とされる.運動負荷や硫酸ア 的 3 枝ブロックの出現が考えられる.この場合は,電気 トロピンに対して,伝導は不変あるいは悪化する.さら 生理検査が必須であり,HV 時間が 100msec 以上に延長 に高度の房室ブロックへの進展が高率に認められる. している例,毎分 150 以下の心房刺激で HV ブロックが 2:1 房室ブロックは,Wenckebach 型の進行か Mobitz 出現する例,心房期外刺激法による His-Purkinje 系の有 Ⅱ型の進行かの判断が難しく,2:1 房室ブロックは特 効不応期が 450msec 以上に延長する例等は,3 枝ブロッ 殊なタイプとして独立して扱われることが多い.伝導比 クへ進展する可能性が高い 58). が安定して 2:1 伝導を示す場合,いずれの部位におい ても発現し得るため,ブロック部位の正確な診断には電 5 治療の適応 気生理検査による His 束電位図記録が必要である. 高度房室ブロックでは,ブロック部位が His 束上で機 房室ブロックに対するペースメーカ治療の適応につい 能的原因によるものであれば硫酸アトロピンで伝導が改 ては,日本循環器学会ガイドライン 2010–2011 年度版「不 善するが,BH,HV ブロックではこのような改善は望 整脈の非薬物治療ガイドライン」に記載されている 15). めず,より高度のブロックまたは完全房室ブロックへ移 行する.高度房室ブロックの臨床像はブロック部位より 下位の補充中枢の安定性,すなわち,補充調律の出現部 位とその頻度に依存している.補充調律拍数はブロック Ⅳ 脚枝ブロックおよび心室内伝導障害 部位が下位になるほど低下しより不安定であり,AH ブ ロックに比して BH,HV ブロックでは Adams-Stokes 症 候群や心不全症状が出現しやすい 54),55). 1 はじめに 第 3 度ブロックでは,QRS 波は基本的に下位中枢から の補充調律であることから,ブロック部位が下位である 脚枝ブロックおよび心室内伝導障害は,日常の診療で ほど臨床像は悪化する 56). 遭遇することの多い心電図異常であるが,健常者にも多 通常,AH ブロックでは,補充収縮は房室結節の伝導 くみられ,単なる心電図学的異常に過ぎないものから突 途絶部位直下で His 束近傍から出現するため,QRS 波は 然死を生ずるものまで多彩であり,適切な判断が要求さ 正常である.まれに心室から補充収縮が出現することも れる.この病態には,刺激伝導系の His 束,右脚,左脚 あり,この場合の QRS 幅は広くなる.また,元来脚ブ および Purkinje 線維網が関係する. ロックが存在していれば補充収縮が His 束近傍からであ っても QRS 幅は広くなる.成人の第 3 度 AH ブロックの 1 His 束 20 ~ 50%では幅の広い QRS を伴うことが報告されてい 房室結節から連続しており,長さは 10 ~ 20mm,幅 る 57).房室接合部の心拍は毎分 45 ~ 55 前後の頻度であ は 2 ~ 3mm である.まず,僧帽弁輪を心房中隔に固定 るが自律神経の緊張に左右され,アトロピンやイソプロ させている非常に堅固な線維性構造である中心線維体を テレノール等の投与では増加する等,変動が見られる. 貫通する(His 束穿通部).その後,心室中隔上部を前 明らかな自覚症状を伴わないことも多いが,中には長時 方に少し進み(非分岐部),左右の脚に分かれる(分岐部). 間心停止による失神発作等が認められることもある.第 His 束分岐部は,心室中隔上部の左室側あるいは膜性中 3 度 BH ブロックでは,正常幅の QRS 波を示すのが一般 隔下縁にあり,数 mm にわたり左脚を分岐した後,前方 的であるが,約 20 ~ 30%の例で QRS 幅の延長を認める に向かい右脚に移行する.His 束の障害は,心電図上は とされる 55)-57) .HV ブロックの補充収縮はすべて幅の 広い QRS 波を示す.HV ブロックの中でしばしば問題と なるのは 2 枝ブロックから 3 枝ブロックへの移行であり, その際は完全 HV ブロックとなる.2 枝ブロックは,右 房室ブロックとしてみられることが多いが,脚ブロック の形を呈することもある. 2 右脚 脚ブロック+右軸偏位もしくは右脚ブロック+左軸偏位 右脚はまず右室の心内膜側を走り,いったん心筋層に であり,臨床的には後者が多いが,必ずしもすべてが 2 潜行した後に右室前乳頭筋に至り,Purkinje 線維網へ移 枝ブロックから 3 枝ブロックへ進展する経過をたどるわ 行する.右脚は直径約 1mm,全長約 5cm の細長い 1 本 けではない.2 枝ブロックが存在する例で,進行性に第 の筋束であり,線維群をなす左脚に比べて障害を受けや 13 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) すい. 3 左脚 左脚は His 束から分枝した後,左室中隔面から左室自 由壁に向かう複数の線維群となる.左脚の形態について は左脚前枝と後枝の 2 枝とする説,中隔枝を含めた 3 枝 とする説,明らかな分枝はなく扇状に分布しているとい う説があり,いずれも組織学的に確認されている 59)-61). 左脚の形態には個体差が大きいが,心電図学的には左脚 を前枝と後枝の 2 枝に分類するのが一般的である.左脚 前枝は左室の前壁寄りに分布する長く薄い構造の線維群 で,左室流出路から左室前乳頭筋の基部に向かって分布 し,Purkinje 線維網に移行する.左脚後枝の線維は短く 幅広く厚い構造で,心室中隔から左室後乳頭筋の基部へ 向かい Purkinje 線維網へと移行する.線維の構造上,左 脚後枝に比べ左脚前肢の障害の出現頻度が高い. 4 Purkinje 線維と心室作業筋 Purkinje 線維は心室心内膜下で交錯し,心室作業筋と 接合する.Purkinje 線維の障害からも心室内伝導障害が 生じるが,障害されやすい部位は Purkinje 線維と心室作 業筋の接合部位である.QRS 波は心室作業筋の興奮に より形成されるが,最初に興奮する部位は脚に接してい る心筋でなく,Purkinje 線維と心室作業筋の接合部位で ある.したがって,右室では前乳頭筋の基部に近い心尖 部から,左室では心室中隔の中央部と左室自由壁の前方, 左室自由壁の後方の傍中隔が最も早く興奮する. 2 心室内伝導障害の心電図診断 4 電気生理検査の方法 表 11 心室内伝導障害の心電図診断基準 (1)完全右脚ブロック ① QRS 幅が,最も広い誘導で 0.12 秒以上 ,陰性 T 波 ② V1 誘導における rsR' 型(時に Rsr',Rr' 型) ③ V5,V6 や I 誘導における QRS 波の終末部に幅広い S 波お よび aVR の lateR 波 (2)不完全右脚ブロック ① QRS 幅が,最も広い誘導で 0.12 秒未満 ,陰性 T 波 ② V1 誘導における rsr' 型(時に rsR 型) (3)完全左脚ブロック ① QRS 幅が,最も広い誘導で 0.12 秒以上 ② V5,V6 や I 誘導における幅広い notch または slur のある R 波 ③Ⅰ,V5,V6 誘導における q 波の欠如 ④ V1 ないし V2 における QRS 波の終わりの幅広い S 波 (4)不完全左脚ブロック ① QRS 幅が,最も広い誘導で 0.12 秒未満 ② V5,V6 や I 誘導における幅広い notch または slur のある R 波 ③Ⅰ,V5,V6 誘導における q 波の欠如 (5)左脚前枝ブロック ① QRS 幅が,最も広い誘導で 0.12 秒未満 ② QRS 軸は- 45 度以上左方 ③Ⅰ,aVL 誘導で qR(または R)型 ④Ⅱ,Ⅲ,aVF で rS 型 (6)左脚後枝ブロック ① QRS 幅が,最も広い誘導で 0.12 秒未満 ②臨床的に右室肥大,肺気腫,広範囲側壁梗塞や垂直心が なく,QRS 軸が+ 110 度以上右方 ③Ⅰ,aVL 誘導で rS 型 ④Ⅲ,aVF で qR 型 (7)右脚ブロック+左脚前枝ブロック 完全右脚ブロックの①,②+左脚前枝ブロックの②,③ (8)右脚ブロック+左脚後枝ブロック 完全右脚ブロックの①,②+左脚後枝ブロックの②,④ (9)非特異的心室内伝導障害 QRS 波が 0.12 秒以上を示すが,右脚ブロックあるいは 左脚ブロックの形態を認めない 表 11 に心室内伝導障害の心電図診断基準を示す 62). 右脚あるいは左脚が障害されたものを脚ブロックとい う.左脚前枝あるいは後枝の障害を分枝ブロックという. 2 枝(両脚)ブロックは,右脚ブロックに左脚前枝ブロ ックあるいは左脚後枝ブロックを合併した心電図所見を 示す.3 枝が障害された場合を 3 枝ブロックとよび,心 電図上は 2 枝ブロックの所見に第 1 度あるいは第 2 度房 室ブロックを伴ったものをいう. 3 電気生理検査の適応(表 12) 脚枝ブロックおよび心室内伝導障害例における房室ブ ロックへの進展のリスク評価には,心内電位記録と心臓 電気刺激による電気生理検査が有用である 8). 14 表 12 脚 枝ブロックおよび心室内伝導障害に対する電気生理 検査の適応 クラスⅠ 1.脚枝ブロックあるいは心室内伝導遅延のある患者で, 失神,痙攣,めまい,ふらつき等の脳虚血症状がある がその原因が不明の患者 2.WideQRStachycardia で,脚ブロックあるいは心室内伝 導障害を伴う上室頻拍と,心室頻拍との鑑別が必要な 患者 クラスⅡ a 1.なし クラスⅡ b 1.脚ブロックのある無症候性の患者で,伝導障害を増大 または房室ブロックを誘発するおそれのある薬剤の投 与が考慮されている患者 2.無症候性の心室内伝導障害を有する患者 クラスⅢ 1.症候性の患者で,その症候と心室内伝導障害との関連 性が心電図所見等により除外される患者 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 右房,His 束電位記録部位および右室に電極カテーテ (1)2,3 枝ブロックでは,HV 間隔が 55msec 以上. ルを留置する.洞調律時に His 束電位図の AH および (2)150/ 分以下の心房連続刺激で生ずる HV 間のブロ HV 間隔を計測する.His 束電位記録には,4 極以上の多 ック 71). 極電極カテーテルを使用する.次に,心房連続刺激に対 (3)His-Purkinje 系の有効不応期が 450msec 以上. する HV 間隔の反応,心房早期刺激による His-Purkinje (4)プ ロ カ イ ン ア ミ ド 負 荷(300 ~ 1000mg, 静 注 ) 系の有効不応期,QRS 波形の変化や電気軸の変化,等 により,HV 間隔が対照時の 2 倍以上,あるいは を測定し,心室内伝導系の機能評価を行う. 100msec 以上の延長(正常では,HV 間隔の延長 潜在的な心室内伝導障害の評価には心室連続刺激によ は 20%以下である),または,His 束内や His 束以 る His-Purkinje 系の伝導障害誘発(overdrive suppression 下の 2 度ないし 3 度のブロックの出現.対照時, of conduction)および薬物負荷が有用である 63)-66).心 プロカインアミド投与後,あるいはリドカイン(1 室内伝導障害患者に合併する脳虚血症状の原因として, ~ 2mg/kg,静注)投与後の心室連続刺激による 2 房室ブロックの発生ではなく心室頻拍も考慮にいれる必 度ないし 3 度のブロックの出現. 要がある 67) .特に HV 間隔が延長している患者では,房 (5)心室プログラム刺激による心室頻拍,心室細動の 室伝導系の検査に加えて心室プログラム刺激を行い頻脈 誘発. 性不整脈の誘発を試みることにより,徐脈性不整脈に加 えて頻脈性不整脈の評価も行う. 5 臨床的意義 心室内伝導障害例では,重篤な房室ブロックへ移行す る例もあるため,房室ブロック出現のリスクを検討する ことは重要である.そのためには,QRS 波形で診断さ ペースメーカ植込みの適応に関しては,2006 年改訂 版「不整脈の非薬物療法ガイドライン」に記載されてい る 15). Ⅴ 早期興奮症候群 れた伝導障害部位とは異なる残りの心室内伝導系におけ る伝導異常の有無を検索することが必要である.心室内 伝導障害に第 1 度房室ブロックを合併している場合は, 1 はじめに 伝導が途絶されていない心室内伝導系に伝導遅延が依存 する可能性を示唆する所見である.2 枝ブロックの患者 早期興奮症候群は,心室興奮が正常な房室伝導から予 における HV 間隔は,残存した 1 枝の伝導時間を示して 想されるよりも早期に出現する疾患群で,典型的には, いる.しかし,多くの第 1 度房室ブロック例の伝導遅延 顕性 Wolff-Parkinson-White(WPW)症候群のように心 部位が房室結節であること,実際に心室内伝導系に遅延 電図で心室早期興奮を反映する PR 時間短縮,デルタ波, があっても必ずしも第 1 度房室ブロックを示さないこと QRS 間隔延長を示す.早期興奮症候群は副伝導路に起 等,予後の判断には限界がある.脚ブロック例に対する 因するものが多いが,PR 時間短縮を認めるものの QRS 平均 30 か月の観察では,HV 間隔≧ 100msec では約 25 波は正常である Lown-Ganong-Levine(LGL)症候群や %が第 2 度~第 3 度房室ブロックに移行する 68).第 3 度 副伝導路を有していても心電図所見は正常なもの 房室ブロックの予後の予測に対して,HV 時間の測定の (Mahaim 線維の一部等)も一般に本症候群に含められ 感度は高い(82%)が,特異度は低い(63%)69).また, る. 2 枝ブロックを伴う患者における突然死の原因の多く 本項における WPW 症候群とは,特に断りのない限り, は,完全房室ブロックの発生ではなく,むしろ心室性頻 発作性頻拍症の有無にかかわらず,Kent 束の順行性伝 脈性不整脈であるとの報告があり 70),心室内伝導障害の 導に起因する特徴的心電図所見である PR 時間短縮,デ 評価のみではなく頻脈性不整脈についても評価すること ルタ波および QRS 間隔延長を有する顕性 WPW 症候群 が必要である. とする. 6 判断基準 WPW 症候群は,1930 年に米国の Wolff と White およ び英国の Parkinson の共著による「Bundle branch block with short P-R interval in healthy young people prone to 下記の場合に伝導障害があると判定する. paroxysmal tachycardia」と題する 11 例の本症候群に関 15 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) する論文から命名された 72).それまでにも Wilson らが なわち,減衰伝導特性を有しかつ右室を早期に興奮させ 症例報告をしている(1915 年) .Wolferth らは Kent に る副伝導路の存在が考えられ,Mahaim 線維に起因する 73) より報告されていた筋束である Kent 束(1893 年にラッ ことが想定された.しかしながら,このような心電図所 トで発見し 1914 年にヒトでも報告)が本症候群の原因 見では,房室結節と束枝の副伝導路に起因するものはむ として,1933 年に Kent 束説を提唱した .その後本症 しろ少なく,多くは右房と右脚を結ぶ減衰伝導特性を有 候群における心電図所見は詳細に検討され,Rosenbaum する副伝導路に起因することが 1980 年代中頃に報告さ ら 75) や Ueda ら 74) 76) により心電図所見に基づいた分類がな された. Permanent form of junctional reciprocating tachycardia WPW 症 候 群 に 対 す る 電 気 生 理 検 査 は,Durrer や (PJRT)は,longRP’type の頻拍が反復を繰り返すか長 Wellens らにより 1960 年代後半から開始され 77),78),同 期に持続するもので,1975 年に Coumel により報告され じ 1960 年代の後半には副伝導路の外科的離断術が Duke 房室結節リエントリに起因すると考えられたが,その後 大学グループや我が国の岩らにより開発された 79),80). 1978 年に,Gallagher らにより減衰伝導を有する副伝導 岩は世界初の WPW 症候群に対する外科手術における心 路 に よ る 正 方 向 性(orthodromic) 房 室 回 帰 性 頻 拍 内膜アプローチ法を開発した.1980 年代初めから WPW (atrioventricular reciprocating tachycardia) (AVRT)がそ 症候群に対してカテーテルアブレーションが行われた の機序であることが報告された 92). が,当初は直流通電が用いられ 81),1980 年代後半から Kent 束をはじめとしたこれらの副伝導路等は先天的 高周波通電が用いられるようになった 82),83). に存在するものであり,複数の種類の副伝導路が併存す LGL 症 候 群 は,1952 年 に,Lown,Ganong お よ び ることもあるため診断が困難となることがある. Levine の 3 人が共著で,PR 時間短縮(0.12 秒以下),正 常 QRS 波および発作性の頻脈性不整脈を合併する症例 1 疫学等 をまとめて報告したことに由来する 84).本項での LGL 地域健康集団における WPW 症候群の検出頻度は,人 症候群は,特に断りのない限り,PR 時間短縮,正常 口 1 万 人 あ た り 6 ~ 40 人(0.06 ~ 0.4 %) で あ る 93),94). QRS 波および発作性の頻脈性不整脈を有するものとす 男 性: 女 性 比 は 1:1 ~ 2:193),94), 心 臓 性 急 死 は 0 ~ る.WPW 症候群が Kent 束に起因するのに対し,LGL 0.0025/patient-year(約 0.001 とするものが多い)であ 症候群の成因については,James 線維,心房- His 束副 る 93),95),96).WPW 症候群の約 10 %でデルタ波が消失す 伝導路,房室結節低形成,房室結節伝導亢進(EAVNC; ること,および 20 %前後の症例で頻拍発作が生ずるこ enhanced atrioventricular nodal conduction),あるいは房 とが報告されている 97).山梨県における 3 年間の小学校・ 室結節二重伝導路の速伝導路(fast pathway)の伝導亢 中学校・高校への全入学生を対象とした心電図検査では, 進等が挙げられ,PR 時間短縮については複数の成因が 小学生と中学生に比し,高校生で WPW 症候群の罹患が 考えられている. 多く男女差はなく,副伝導路は左室自由壁に多いと報告 Mahaim 線維に起因する早期興奮症候群の概念は 1980 されている 94).WPW 症候群と異なり,LGL 症候群およ 年代中期に大きく変化した.Mahaim が 1930 年代末に び Mahaim 線維に起因する頻拍の詳細な疫学的検討は乏 His 束から心室筋へ至る線維束を病理組織学的に報告し しい.LGL 症候群では,PR 時間短縮を原著の 0.12 秒以 た(その後すぐに房室結節に起始部を有する線維束も含 下とした場合に,一般人の 2 ~ 4%がこれを満たすこと .1975 年に Mahaim 線維に起因す も報告され,PR 時間は自律神経や薬物の影響も受ける ると考えられる心室早期興奮を呈した症例が報告され こと,あるいは心電図を通常の記録速度(25msec)で記 85),86) むようになった) た 87) .Mahaim 線維を有する症例の心電図は,PR 時間 録すると P 波の電位が低くなだらかであることから,0.02 が正常範囲で,QRS 波がほぼ正常範囲あるいは種々の 秒程度の測定誤差が生じ得ることも指摘されている 98). 程度の早期興奮を示し,多くは左脚ブロック型を呈する. PR 時間短縮の成因のうち,James 線維,心房- His 束副 頻脈発作時には,左脚ブロック型を呈し,左軸偏位を示 伝導路および房室結節低形成等は病理学的所見に基づく すことが多い 88) .電気生理検査では,心房刺激頻度増加 診断であり,房室結節二重伝導路および EAVNC は電気 に従い AV 時間は徐々に延長し,減衰伝導特性を示すと 生理検査に基づく診断であるため,標準 12 誘導心電図 ともに体表面心電図における早期興奮の程度も増強す のみから PR 時間短縮の成因に関わる診断は困難であ る.AV 時間の延長は AH 時間の増加よりも少なく,HV る. 時間は短縮するか His 束電位が QRS 波内に埋没する.す 16 れた 89)-91). 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 2 WPW 症候群の分類 3 ① PR 時間短縮・デルタ波・QRS 間隔延長等の特 徴的心電図所見の有無による分類 順行性減衰伝導特性を有する副伝 導路(Mahaim 線維)の分類 (1)結節-心室副伝導路(nodoventricular bypass tract) , (2)結節-束枝副伝導路(nodofascicular bypass tract), 1.顕性 WPW 症候群:副伝導路(通常 Kent 束)の順 (3)束 枝 - 心 室 副 伝 導 路(fasciculoventricular bypass 行性伝導を有し,特徴的心電図所見を有する tract),(4)心房-束枝副伝導路(atriofascicular bypass 2.潜在性 WPW 症候群:副伝導路は存在するが,そ tract),(5)心房-心室副伝導路(atrioventricular bypass の順行性伝導を有さず逆行性伝導のみを有し特徴 tract)等に分類され得るが,(4)の心房-束枝副伝導路 的心電図所見を有しない が大多数(90 %)を占め,他の副伝導路は比較的まれ 3.間欠性 WPW 症候群:特徴的心電図所見が間欠的 とされる 101).(4)と(5)は通常順行性伝導で減衰伝導 を示し,逆行性伝導を有しない.(5)には,心室端が三 に出現する 尖弁輪から数㎝の右室前壁にある長い伝導路と弁輪部に ②顕性 WPW 症候群の心電図所見による分類 ある短い伝導路の 2 種がある 101),102).(3)によるリエン 1.Rosenbaum の分類 75) トリ性頻拍は生じないとされる.現在,Mahaim 線維は (1)A 型:V1 で R パターン 順行性減衰伝導特性を有する副伝導路の総称として用い (2)B 型:V1 で rS パターン られているが,副伝導路の近位端と遠位端を明示した方 2.上田の分類(C 型を追加し,A・B・C 型に分類) 76) (1)C 型:V1 で QS あるいは QR パターン 3.Rosenbaum の分類や上田の分類の A 型は左室側に, がよいとの意見もあり,今後再検討される可能性もある. 4 合併する不整脈 B 型は右室側に,C 型は中隔に副伝導路が存在す WPW 症 候 群 の 10 ~ 30 % に 頻 脈 発 作 が 認 め ら れ ることが多い. る 97),103)-108),最も高頻度に合併する不整脈は正方向性 4.典型的な心電図所見の有無による分類 房室回帰性頻拍(orthodromic AVRT)であり,頻脈の (1)古典的 WPW 症候群(副伝導路は Kent 束):PR 70%を占める.心房細動は,10 ~ 38%の患者にみられる. 時間< 0.12sec,QRS 間隔≧ 0.12sec,デルタ波 逆方向性房室回帰性頻拍(antidromic AVRT)は,4 ~ 存在 10 %の患者において出現する.Orthodromic AVRT は房 (2)非定形的 WPW 症候群(副伝導路は Mahaim 線 室結節を順行し副伝導路を逆行するリエントリ回路のた 維 等 ):PR 時 間 ≦ 0.12sec,QRS 間 隔:0.10 ~ め,頻拍中はデルタ波を認めない.Antidromic AVRT は 0.12sec,小さなデルタ波,あるいは PR 時間> 逆に,副伝導路を心房から心室へ伝導するリエントリ回 0.12sec,QRS 間隔> 0.12sec,デルタ波が存在 路のため,頻拍中は QRS 間隔が延長する.複数の副伝 洞調律時の顕性 WPW 症候群における PR 時間と QRS 導路が存在すると,順行路と逆行路の組み合わせで 間隔は,洞結節から副伝導路までの距離や房室結節を介 QRS 波形の異なった房室回帰性頻拍が出現することが する順行伝導と副伝導路の順行伝導の時間関係等で規定 ある.顕性 WPW 症候群に心房細動が合併すると,高頻 される. 度かつ不規則な心房興奮が房室結節と副伝導路の双方を ③副伝導路の存在(推定)部位による分類 99) 順行し,両者が様々な割合で融合した QRS 波が形成さ れるため偽性心室頻拍と呼ばれ心室細動に移行すること や電気生理検査所見等か がある.Ca 拮抗薬やジギタリスのような房室結節の伝 ら,副伝導路の存在(推定)位置を「左側壁」のように 導を抑制したり副伝導路の伝導性を亢進させる薬物は禁 詳細に表現することも多い.アブレーションのデータに 忌である. 基づき,心電図Ⅰ・Ⅱ・aVF・V1 誘導等におけるデルタ LGL 症候群における発作性の頻脈性不整脈について, 最近は,Gallagher の分類 波開始 20msec のデルタ波の極性による副伝導路部位推 原著では paroxysmal rapid heart action と表現されている 定のアルゴリズムが Arruda ら 100)により報告され,近年 が,発作性上室頻拍に限定すれば PR 時間短縮の成因と 利用されている. 併せ,房室結節リエントリ性頻拍とする考え方が多い. LGL 症候群における頻脈性不整脈では,心房細動や心 房粗動の合併も報告されており,房室伝導の亢進により 17 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 心房細動時に心室細動が惹起された症例も報告されてい る 84),109),110) を有する WPW 症候群患者に対する電気生理検査の有用 性については広く合意が得られている. . PJRT は減衰伝導を呈する伝導速度の遅い副伝導路(多 「不整脈の非薬物治療ガイドライン」15)にも述べられて くは後中隔に存在)を介する orthodromic AVRT の特殊 いるように,カテーテルアブレーションは WPW 症候群 な型で,long RP’type の頻拍が反復するか長期に持続す の根治が可能であり, QOL 改善にも医療経済的観点 る(「Ⅵ.房室回帰性頻拍以外の上室頻拍」の項を参照). からも優れた治療である.したがって,初回の重篤な発 Atriofascicular や atrioventricular pathway を 形 成 す る 作で多くの人命にかかわる可能性のあるパイロットや Mahaim 線維は,通常右房右室間に存在し,左脚ブロッ 運転手等の特に安全性を要求される職業人は,無症状 ク型 wide QRS の antidromic AVRT で左軸偏位を呈する であってもカテーテルアブレーションの社会的適応とな ことが多い. る 15),105),111),112).これらの特殊な職業に従事する患者に 2 おいては,無症状であっても治療方針決定のために電気 電気生理検査の適応(表 13) 生理検査の適応があると考えられる 106). 前述のごとく,地域健康集団における WPW 症候群の ACC/AHA により電気生理検査およびカテーテルアブ 突然死頻度は必ずしも高くないこと 77),113),114),現在の電 レーションに関するガイドラインが 1995 年に公表され, 気 生 理 検 査 で は 本 症 候 群 の 突 然 死 に 対 し negative WPW 症候群の電気生理検査の指針として広く受け入れ predictive value は高いものの positive predictive value は られている 106).しかしながら,早期興奮症候群として 高くないこと 103),115),116),および心臓カテーテル検査に 電気生理検査の適応をまとめたガイドラインはなかっ は一定の合併症の危険があることから,症状を有しない た.今回,既存の WPW 症候群に対するガイドラインを WPW 症候群の症例では,表 13 のクラスⅡを除いて電 踏まえ早期興奮症候群の電気生理検査の適応としてまと 気生理検査の適応とされていない 106),108),117).初回発作 めた.しかし,電気生理検査の安全性の向上,ハイリス が重篤な場合があるので,小児あるいは若年者から壮年 ク 群 の 診 断 基 準 の 確 立 や 突 然 死 に 対 す る positive 期の症状を有しない WPW 症候群例に電気生理検査を施 predictive value の改善が得られれば,適応も変化する可 行し,心房細動あるいは房室回帰性頻拍が誘発される例 能性がある 103). においては,予防的カテーテルアブレーションが有用で 地域における一般住人における WPW 症候群の突然死 あるとする報告がある 118)-120).しかし,これは現在では の頻度は,0 ~ 0.0025/person-year 前後であり,WPW 症 まだ一般化された治療戦略とは考えられていない 117),121). 候群全体では突然死の頻度は高くはない 93),95),96).しか 一方,最近の米国における小児循環器医を対象としたア しながら,心停止から蘇生された若年症例の 10 %以上 ンケート調査では,症状を有しない WPW 症候群の治療 こと 法決定のために電気生理検査を実施しているものは 84 から,心停止,原因不明の失神発作,頻拍発作等の既往 %に上っている 122).症状を有しない WPW 症候群にお に WPW 症候群が認められたとする報告もある 108) いても,患者が過度に心配することのないよう配慮しつ 表 13 WPW 症候群に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.副伝導路に対するカテーテルアブレーションや手術療 法のための評価を受ける患者 2.心停止の既往や原因不明の失神発作を有する患者 3.症状を有する患者で,不整脈の機序や副伝導路および 正常伝導路の電気生理学的特性を知ることが適切な治 療法の決定に役立つ場合 クラスⅡ a 1.症状を有しない患者で,心臓突然死の家族歴があるか, 重篤な発作が多くの人命に関わる危険度の高い職業や 生活環境にあり,副伝導路の電気生理学的特性や頻拍 誘発性の有無を知ることがその後の生活設計や治療の 決定に役立つと考えられる患者 クラスⅡ b 1.他の理由で心臓手術を受ける患者 2.症状はないが,本人が検査を希望する患者 クラスⅢ 1.上記クラスⅡ以外の症状のない患者 18 つ,初回発作が致死性であることが頻度は低いながらあ り得ることを告知し,カテーテルアブレーションにより WPW 症候群は根治できる可能性が高いこと,および各 施設における電気生理検査やカテーテルアブレーション の合併症等についての情報を適切に提供し,患者の自己 決定権を尊重することが大切である 123)-125).LGL 症候 群は,原著に従い本項の定義では頻拍症を有することか ら,症状を有する場合は,電気生理検査の適応と考えら れるが,PR 時間短縮のみで頻拍と症状を有しない例に おいては,一般に適応でないと考えられている 110).し かし,PR 時間短縮例で心房細動等合併時に心室細動発 生が報告されていることは注意を要する.PJRT は反復 する頻拍を有することが多く,Mahaim 線維に起因する 可 能 性 の あ る 非 定 形 的 WPW 症 候 群 は, 従 来 の 顕 性 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン WPW 症候群の電気生理検査の適応に準ずる. 3 電気生理検査の方法 up 現象を認め,房室結節リエントリ性頻拍が LGL 症候 群 に お け る 頻 脈 性 不 整 脈 の 機 序 と す る 報 告 も あ る. EAVNC は,200/ 分以上の心房ペーシングで 1:1 の房室 伝導が保たれる場合,あるいはこれに以下の 2 点,洞調 1 WPW 症候群 律時の AH 時間が 60msec 未満で,1:1 房室伝導を示す 最も速いペーシング周期でも AH 時間の延長が 100msec WPW 症候群における Kent 束の部位診断には,電気生 以下の場合に診断されるが,正常の房室結節機能の上限 理検査における心房あるいは心室電位の最早期興奮部 であるとする考えもある 110),129),130). 位,房室あるいは室房伝導時間や副伝導路電位等が用い られる 126).心内電位の単極誘導も副伝導路付着部位の 3 Mahaim 線維 決定にしばしば利用され,同部位では PQS 型の心内電 Kent 束は,通常伝導速度が速く減衰伝導を示さない 位波形が記録される 127).房室あるいは室房伝導時間は副 が,約 8 %の Kent 束は減衰伝導を示す 103).伝導時間の 伝導路の走行(斜走)や伝導特性等により変化し得る 127). 長 い Kent 束 は 減 衰 伝 導 を 示 す も の( い わ ゆ る slow 複数副伝導路が存在する頻度は 5 ~ 33%で 126),127),近接 Kent)が多い 131).Mahaim 線維も減衰伝導を示し,その した複数副伝導路の診断には詳細なマッピングを要す 多 く は 当 初 報 告 さ れ た nodoventricular/ る.房室回帰性頻拍の誘発には心房あるいは心室からの fasciculoventricular pathway よ り も atriofascicular/ 早期刺激法が用いられる.例えば,orthodromic AVRT atrioventricular pathway を形成する.Mahaim 線維は逆行 の心房刺激による誘発には,副伝導路の順行性有効不応 性伝導を有しないことが多く,中隔を除く三尖弁輪に存 期が房室結節の順行性不応期よりも長いことが必要であ 在することが多い.また,房室結節リエントリ性頻拍や る.副伝導路の心房端近位部刺激,複数の早期刺激や連 他の副伝導路を合併することもある 101).Mahaim 線維の 続刺激で誘発可能になることもある.また,orthodromic 心房端付着部位の診断は,Mahaim 線維が逆行性伝導を AVRT の心室刺激による誘発には,副伝導路の逆行性有 有することが少ないため傍 His 束刺激法では困難なこと 効不応期が房室結節の逆行性不応期よりも短いことが必 が多く,三尖弁輪の詳細なマッピングで副伝導路電位 要である.副伝導路の順行性および逆行性伝導能を評価 (Mahaim 電位)や刺激-デルタ波間隔最短部位の同定 するために,副伝導路の有効不応期や伝導ブロック誘発 によってなされる.頻拍をリセット可能な心房単一早期 心 拍 数 が 測 定 さ れ る. 順 行 性 有 効 不 応 期 が 220 ~ 刺激の刺激時間(リセットゾーン)が,Mahaim 線維の 270msec 以下の症例はハイリスク群とする報告がある. 心房付着部位近傍で最大になることから心房付着部位を ハイリスク群の診断基準は現在確立されていないが, 推定できる 132).副伝導路を介する頻拍中に房室解離が Kent 束の順行性有効不応期が 250 あるいは 270msec 以 認められれば,房室結節と束枝の副伝導路が示唆される. 下,複数副伝導路,Ebstein 奇形合併例は,一般にハイ 心房-心室副伝導路のうち,三尖弁輪部の順行性減衰伝 リスク群として受け入れられている 95),103),106).自然発作 導特性を有する短い副伝導路(心室端が弁輪部に存在) あるいは誘発による心房細動時の最短 RR 間隔について と長い副伝導路(心室端が三尖弁から数 cm の右室前壁 は 220,240 あるいは 250msec 以下をハイリスク群の基 に存在)の鑑別が必要である.長い副伝導路では,心室 準とするものがある 11),103),128).電気生理検査で,心室応 興奮がすべて副伝導路由来時(maximal preexcitation) 答の早い心房細動や房室回帰性頻拍が誘発される場合 に心室最早期興奮部位が右室心尖部で体表面心電図 や 117)-119),心房細動が誘発され Kent 束順行性有効不応 QRS 波に先行する.長い心房-心室副伝導路では心房 期が 300msec 以下の場合もハイリスク群であるとの報告 刺激時の V-H 時間と V-RBB 時間が心房-束枝副伝導路 もある 2 128) . LGL 症候群 LGL 症候群の PR 時間短縮は AH 時間の短縮(AH 時 間 60msec 以下)に起因し HV 時間は正常範囲にあるこ とが多い.心房頻回刺激に対する AH 時間は,軽度に延 (心室端は moderator band 付着部位近傍で右脚枝に連な る)のそれに比して長く,短い心房-心筋副伝導路は逆 行性伝導で減衰伝導を示す房室副伝導路が後中隔に多い のに対し右室自由壁に多いとされる 101),102). 4 PJRT 長するもの,高頻度刺激で初めて延長するもの,全く延 PJRT では,頻拍が反復するため,頻脈誘発性心筋症 長しないものが認められる.心房早期刺激法では jump (tachycardia induced cardiomyopathy)を呈することがあ 19 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) る.PJRT は,減衰伝導特性を有し逆行性にのみ伝導す よる治療方針の決定に重要な検査法である.これらの問 る Kent 束に起因し,副伝導路は後中隔に存在すること 題が克服されるとともに,電気生理検査がより安全に施 が多く,頻拍中の P 波は,Ⅱ,Ⅲ,aVF および V6 誘導 行できるようになると,本症候群における電気生理検査 で陰性を示すことが多い.このため非通常型房室結節リ の適応も変わる可能性がある. エントリ性頻拍との鑑別を要するが,頻拍中の His 束不 応期に一致した心室刺激が心房を捕捉(心房早期興奮現 象:atrial preexcitation phenomenon)すれば,PJRT であ る(「Ⅵ.房室回帰性頻拍以外の上室頻拍」の項を参照). 4 臨床的意義 Ⅵ 1 房室回帰性頻拍以外の上室頻拍 はじめに WPW 症候群における高周波カテーテルアブレーショ ンの成功率は高く,治療効果も著しいことから,我が国 発作性上室頻拍には,心房粗細動を除く心房筋由来(洞 において急速に普及した.WPW 症候群に対するアブレ 房結節を含む)の頻拍,房室接合部由来の頻拍,さらに ーションの適応に関しては,「不整脈の非薬物治療ガイ 副 伝 導 路 を 介 す る 房 室 回 帰 性 頻 拍(AVRT; atrio- .また,高周波カテーテ ventricular reciprocating tachycardia)が含まれる 133).こ ルアブレーションの適応は電気生理検査の適応と共通す の項では既に WPW 症候群の項で述べられた房室回帰性 ドライン」に記載されている る点がある 15) 15) .したがって,高周波カテーテルアブレー 頻拍を除く上室頻拍について述べる. ションを前提とした電気生理検査においては,被ばく線 上室頻拍の分類と機序,心電図の特徴を表 14 に示す. 量の減少や患者への侵襲時間の短縮等の理由から,副伝 機序としてリエントリが多いが,不適切洞頻脈(IST; 導路の離断に主眼が置かれる傾向にある.さらに, 現在, inappropriate sinus tachycardia),心房頻拍,房室接合部 電気生理検査に基づいたハイリスク群の診断基準が確立 頻拍には triggered activity あるいは自動能亢進が機序と されておらず,電気生理検査は本症候群の突然死に対し 考えられるものもある. negative predictive value は 高 い も の の,positive 発作性上室頻拍は心電図において通常は narrow QRS predictive value は高くないという問題点もある.早期興 (QRS 幅< 120msec)を示す.心室内変行伝導を伴うと, 奮症候群における電気生理検査は,informed consent を QRS 幅が広くなるので心室頻拍との鑑別が重要になる. 得た適応のある例で,副伝導路の電気生理学的特性の評 また心室頻拍に分類される脚- Purkinje 線維由来の頻拍 価およびその数と部位あるいは不整脈の誘発性の同定に ではしばしば QRS 幅が 120msec 未満の narrow QRS 頻拍 頻拍発生起源 洞結節 洞結節,心房 心房 房室接合部および 心房の一部 房室接合部 心房,伝導系, 心室,副伝導路 表 14 発作性上室頻拍(narrow QRS 頻拍)の分類とそのメカニズム 頻拍の種類 RP 間隔と PR 間隔の関係 リエントリ 生理的洞頻脈 RP > PR 非適切洞頻脈 RP > PR 洞房リエントリ RP > PR + 異所性心房頻拍 RP > PR 心房内リエントリ性頻拍 RP > PR + アデノシン感受性頻拍 RP > PR + 房室結節リエントリ性頻拍 + 通常型:slow-fast P on QRS * 1 RP > PR 非通常型:fast-slow RP ≦ PR まれに RP > PR 非通常型:slow-slow 発作性接合部頻拍 不定* 2 非発作性接合部頻拍 不定 房室回帰性頻拍 RP < PR + 正常副伝導路 *3 RP > PR + slow Kent 束(PJRT) 撃発活動 + 自働能亢進 + + + + + + * 1:通常型房室結節リエントリ性頻拍では心電図上 P 波が QRS 波に重なる.Ⅱ,Ⅲ誘導で pseudoS 波,V1 誘導で pseudo r’波を認める. * 2:接合部性頻拍では房室結節でのブロックにより房室解離を示すことが多い.1 対 1 の心房興奮がある場合 P 波の位置は QRS 波 の中か,その前後に認めることが多い. * 3:伝導速度の遅いケント束を室房伝導路とする permanent form of AV reciprocating tachycardia(PJRT) . 20 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 図2 発作性上室頻拍鑑別のフローチャート(文献103より改変) P波同定の可否 Yes No RP間隔の検討 長いRP間隔(RP>PR) 短いRP間隔(RP<PR) RP>70ms 心房頻拍 PJRT 稀有型AVNRT(fast-slow型) RP<70ms 房室回帰性頻拍 心房頻拍 稀有型AVNRT( slow-slow型) 通常型AVNRT (slow-fast型) PJRT:Permanent form of AV junctional reciprocating tachycardia AVNRT:AV nodal reentrant tachycardia を呈するために鑑別に注意を要する 8).上室頻拍機序の 型頻拍(slow-fast 型)が多いが,順行路として速伝導路, 解明のためには,まず頻拍中,頻拍停止時および洞調律 逆行路として遅伝導路で構成される頻拍(fast-slow 型), 時の心電図波形の P 波形について詳細に比較検討するこ および順行路および逆行路のいずれも遅伝導路のみで構 とが重要である(図 2) .P 波の形態,P 波と QRS との位 成される頻拍(slow-slow 型)もある.fast-slow 型およ 置関係からある程度の機序の推測が可能である.不適切 び slow-slow 型は稀有型房室結節リエントリ性頻拍に分 洞頻脈,洞房結節リエントリ性頻拍,心房頻拍では,頻 類される 103).病理組織学的には房室結節は Koch 三角に 拍中の RP-PR 関係は頻拍周期と房室伝導能により規定 存在する compact AV node,および compact AV node 周 される.通常は RP 間隔> PR 間隔の long RP’ 頻拍を呈 囲に存在する傍結節組織(perinodal tissue)からなる 135). するが,PR 間隔は経時的に変化する. 傍結節組織のうち三尖弁輪を後下方に伸びる posterior 房室結節リエントリ性頻拍では回路の違いあるいは伝 extension は遅伝導路を形成するが,実験的にも 136),ま 導方向の違いにより,P 波と QRS 波との位置関係が異な た臨床的にも 137)遅伝導路は単一束ではなく複雑な構造 る 134).出現頻度が最も高い通常型頻拍では,心房興奮 を呈する可能性が指摘されている.また速伝導路は組織 の時相が心室興奮と一致するため P 波が QRS 波に重な 学的には明確には同定されていないが,compact node の るが,稀有型では long RP’ 頻拍となることもあり,こ 前上方に接続する 138).心電図では,表 14 のごとき特徴 の 際 は 心 房 頻 拍,permanent form of AV junctional を有する. reciprocating tachycardia(PJRT)との鑑別が必要になる. 本頻拍に対する治療法として高周波カテーテルアブレ 2 房室結節リエントリ性頻拍 ーションの安全性,有効性が確立されていることから, 一般的にはアブレーション前の確定診断のために電気生 理検査が適応となる(表 15).またアブレーションを行 房室結節リエントリ性頻拍(AVNRT; atrio-ventricular わない場合でも,至適薬剤の選択,あるいは薬剤効果判 nodal reentrant tachycardia)は房室回帰性頻拍と並び, 定に電気生理検査が用いられることがある. 頻度の高い上室頻拍の 1 つで,女性に多く認められる. 電気生理検査では,他のリエントリ性上室頻拍との鑑 房室結節に接続している速伝導路(fast pathway)およ 別が重要である.通常型房室結節リエントリ性頻拍であ び遅伝導路(slow pathway)が旋回路となる.順行路と れば,心房早期刺激法により,連結期の短縮に伴う速伝 して遅伝導路,逆行路として速伝導路で構成される通常 導路から遅伝導路への順行伝導の乗換え(jump-up 現象: 21 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 表 15 房 室回帰性頻拍以外の上室頻拍に対する電気生理検査 の適応 クラスⅠ 1.有症候性の頻拍で,治療方針選択のため,頻拍の発生源, 機序,電気生理学的特性等の情報が必要な患者 2.薬物治療よりも,カテーテルアブレーションを希望す る患者 3.脳虚血症状を伴う頻拍 クラスⅡ a 1.動悸発作があり,その原因として心拍数等から上室頻 拍が疑われるが,心電図等で確認されていない患者 2.抗不整脈薬投与が必要な上室頻拍で,薬剤投与により 洞結節機能,房室伝導能等が抑制される可能性のある 患者 3.症状のない頻拍の診断 クラスⅡ b 1.発作性上室頻拍の薬効評価 2.カテーテルアブレーション後の慢性期評価 クラスⅢ 1.迷走神経刺激操作,薬物治療により容易にコントロー ルされる頻拍で,アブレーションの適応のない場合 な頻拍回路を形成し,頻拍持続中に経路を乗り換えるこ とがある.この場合,頻拍周期と R-R 間における心房興 奮のタイミングが突然変化する. 3 心房頻拍 心房頻拍(AT; atrial tachycardia)は頻拍の維持に房室 接合部や心室が関与しない,左右心房筋由来の頻拍と定 義される.頻拍の機序により,撃発活動を含む異常自動 能 に よ る 異 所 性 心 房 頻 拍(EAT; ectopic atrial tachycardia),マイクロおよびマクロリエントリによる 心 房 内 リ エ ン ト リ 性 頻 拍(IART; intra-atrial reentrant tachycardia)に分類される.心房内リエントリ性頻拍は 非通常型心房粗動との区別が問題となるが,一般的に頻 拍周期が 260msec 以上のものを心房内リエントリ性頻 拍,260msec 未満のものを非通常型心房粗動と呼ぶ 143). 連結期を 10msec 短縮させることにより房室伝導時間 [AH 時間]が 50msec 以上延長する)により二重伝導路 る. の存在を明らかにするとともに,jump-up 現象に伴う頻 また,局所に対する高周波通電により根治し得る心房 拍の誘発を確認する.通常心房最早期興奮は前中隔(ヒ 頻拍は巣状心房頻拍(FAT; focal atrial tachycardia)と呼 ス束領域)に認められ,心房興奮の時相は心室とほぼ一 ばれることもあり,異所性心房頻拍とマイクロリエント 致する.他の機序の頻拍との鑑別には,心室筋がこの頻 リ性心房頻拍が含まれる.洞房結節リエントリ性頻拍も 拍の成立および維持に関係がないことを証明すればよ 広義には心房頻拍に含まれる.巣状心房頻拍には好発部 い.心室筋の関与がないことは,ヒス束が不応期である 位が存在するが,分界稜起源性心房頻拍(cristal atrial 時期に与えられた心室単発早期刺激により,頻拍周期が tachycardia)144)の他,房室弁輪 145),左房後壁,左心耳等 影響されないことで確認される 139).偶然生じた房室ブ 心房筋に加えて,上大静脈 146),冠状静脈洞 147),肺静脈 148) ロック(HV ブロック)によっても頻拍は持続する.一方, 等血管に迷入する心筋組織が頻拍の源になることがあ 心房からの比較的遅い単発早期刺激でも,刺激部位によ る. ま た, 巣 状 心 房 頻 拍 の 中 に は 少 量 の ATP(2 ~ っては頻拍がリセットされることがあることから,頻拍 5mg)により停止可能で,Koch 三角部(前方および後方) 回路の一部に心房筋を含む可能性が指摘されている 140) . に最早期興奮部位が認められる ATP 感受性心房頻拍の 稀有型房室結節リエントリ性頻拍では fast-slow 型で 存在が指摘されている 149).機序はリエントリと考えら も slow-slow 型でも,頻拍中の最早期心房興奮部位は一 れ,その回路の一部に傍房室結節組織が含まれるか否か 部を除いて後中隔,冠状静脈洞近傍に認められることが が議論されている. 多い.心房興奮の時相は,前者では R-R 中間点よりも後 マクロリエントリによる心房頻拍は,先天性心疾 ろ,後者では前に認められる.したがって,前者では 患 150),151),弁膜症 152)等に対する外科的治療による心房 PJRT と心房内リエントリ性頻拍との鑑別が,後者では 切開 術 後に 出 現する 切 開線周囲 を旋 回する incisional AVRT との鑑別が重要である.頻拍中の心房興奮順序, reentry を 機 序 と す る こ と が 多 い. ま た,Maze 手 術 や 頻拍中の心房および心室単一早期刺激に対する反応を注 Radial 手術 153)等心房細動根治を目的とした複雑心房切 意深く観察する.これらを用いても PJRT が否定できな 開術後に出現する心房頻拍の機序も解明され,アブレー 141) を用いて,室房伝導が房室 ションによって根治できる例が増加している.一方,心 結節- His - Purkinje 刺激伝導系か,slow Kent 束を介す 房切開とは無関係なリエントリによる心房頻拍はまれと るものかを鑑別する. 考えられてきたが,近年のマッピング技術の向上により, また心房早期刺激により速伝導路,遅伝導路に加えて 心房切開が行われていない左房内にも複雑なリエントリ 中間路(intermediate pathway)を有する房室結節三重 回路を形成し得ることが示された 154). 伝導路の存在が明らかとなる例がまれにある 142).多彩 心房頻拍に対する電気生理検査は,有症候性で,治療 い場合は,傍ヒス束刺激 22 洞房結節リエントリ性頻拍も広義には心房頻拍に含まれ 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 選択のために頻拍の機序,発生源等の情報が必要な場合 に適応となる(表 15).しかし,前述したごとく心房頻 拍はその機序,発生源が多様で,その的確な診断はしば しば困難であることから,カテーテルアブレーションを Ⅶ 心房粗動 前提とした電気生理検査の適応については慎重であるべ きである.機序が複雑で,また頻拍源へのアプローチが 困難なケースに対しては,心房頻拍に対する電気生理検 1 はじめに 1 定義 査や Brockenbrough 法を含む左房アプローチの経験を十 分に持ち,最先端のマッピング機器を備えた施設で施行 されることが好ましい. 4 洞房結節リエントリ性頻拍 洞房結節リエントリ性頻拍(SANRT; sinoatrial node reentrant tachycardia)は洞房結節内,あるいは洞房結節 心房粗動は,心房レートが 240 ~ 440 拍 / 分の規則正 しい上室頻拍と定義される. 2 分類 心電図上は,心房レートが 240 ~ 340 拍 / 分と比較的 に加えて結節周囲心房筋を回路に含むリエントリ性頻拍 遅い Type 1 粗動と,340 ~ 440 拍 / 分と速い Type 2 粗動 と定義されるが,比較的まれな頻拍でその発生率は全上 に分類され 159),Type 1 粗動はさらに下壁誘導において 室頻拍の 1 ~ 3 %にすぎない 155),156).また,他の上室頻 典型的な陰性鋸歯状の粗動波を呈する通常型粗動と,陽 拍を合併することがあり,電気生理検査時に偶然発見さ 性粗動波等通常型以外の粗動波を呈する非通常型粗動に れることも多い 156).頻拍中の 12 誘導心電図 P 波形態は, 分類される.Type 1 粗動の多くは,下大静脈と三尖弁輪 洞調律中のそれに酷似している.この点で,不適切洞頻 間の解剖学的峡部(CTI; cavotricuspid isthmus)を含む 脈との鑑別が重要となる.洞房結節リエントリ性頻拍は 三尖弁輪を興奮が周回する右房内リエントリを機序とす リエントリを機序とするため,プログラム刺激により再 る た め 160)-162), 峡 部 依 存 性 心 房 粗 動(CTI-dependent 現性をもって誘発,停止が可能であるのに対し,不適切 atrial flutter)とも呼ばれる(図 3A)103).峡部依存性心 洞頻脈は異常自動能を機序とするために,プログラム刺 房粗動では,右房内の興奮旋回が反時計方向であれば陰 激による誘発および停止が不可能である点,洞房結節リ 性鋸歯状の粗動波を,時計方向であれば陽性の粗動波を エントリ性頻拍は,アデノシン投与により停止可能であ 呈する.非通常型心房粗動には右房上部(upper loop るが,不適切洞頻脈では徐拍化はするものの停止は不可 reentry)や右房自由壁,左房におけるリエントリを機序 能である点等,プログラム刺激および薬物に対する反応 とするものもある 154),163),164).Type 2 粗動は心房細動に が異なることで鑑別される 157),158) .また,洞房結節リエ 近い頻拍で,その機序は個々の例で異なる.一方,開心 ントリ性頻拍と近傍の組織由来の巣状心房頻拍では,P 術既往例に合併しやすい心房粗動は,峡部依存性粗動の 波の形態が類似している点で鑑別が必要である.その中 こともあれば右房壁の切開創を周回するリエントリ性頻 で上大静脈起源の心房頻拍と,比較的上部の分界稜起源 拍(incisional reentrant tachycardia165),( 図 3B) の こ と 性心房頻拍(cristal atrial tachycardia)との鑑別が重要 もある. であるが,洞調律 P 波に比して前者はⅡ,Ⅲ,aVF 誘導 で陽性 P 波高が大きく,逆に後者では低いことが鑑別点 2 電気生理検査の臨床的意義 となる. 電気生理検査は,前述した頻拍との鑑別による治療方 心房粗動は心房細動と同様に 60 歳以上の男性に多く, 針の決定を必要とする場合,あるいはカテーテルアブレ 基礎心疾患や開心術の既往を有する例を認めることが多 ーションの術前精査のため適応となる(表 15).この領 いが,基礎心疾患を有さない孤立性の場合も少なくない. 域に対するカテーテルアブレーションは洞房結節機能不 心房細動に合併する場合も多く,またⅠ群抗不整脈薬, 全や横隔神経麻痺を来たすリスクがあるので,発生を未 特にⅠ c 群薬投与後に粗動化する場合も認められる(Ⅰ 然に防ぐためにも術前の電気生理検査による評価が必要 c 群薬心房粗動)166). である. 心房粗動の症候は粗動時の房室伝導に依存する.心房 レートが 300 拍 / 分の場合,2:1 房室伝導を示すと心室 23 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 図3 心房粗動の分類 機能的ブロック 右 房 自 由 壁 SVC SVC 左房 左房 IVC 三尖弁輪 IVC 解剖学的峡部 切開創(瘢痕組織) (A)峡部依存性心房粗動 (cavotricuspid isthmus-dependent atrial flutter) レートは約 150 拍 / 分となり,動悸,呼吸困難,胸痛, 心不全あるいは血圧低下等を来たす.運動時や房室伝導 が促進している場合は 1:1 伝導のために心室レートが 300 拍 / 分にも達し,血圧低下,失神,心室細動の誘発, 等の危険な状態に陥る場合がある.頻脈に基づく症状は 軽度であっても,2:1 伝導が持続すると頻脈誘発性心 筋症となり心不全に陥りやすくなる.一方,4:1 伝導 で心室レートが 100 拍 / 分以下になると無症候となる場 合が多い.血栓塞栓症のリスクは心房細動の約 1/3 とさ れる 167).したがって無症候であっても,心房粗動は放 置することができない不整脈である. 心房粗動に対する電気生理検査の意義は,粗動の診断 と同時に発症機序,すなわちリエントリ回路を明らかに することであり,その結果に基づいて,ほとんどの例で 粗動はカテーテルアブレーションにより根治される.心 表 16 心房粗動に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.心房粗動を含む頻拍発作が疑われるが心電図で確認さ れていない例に対する診断を目的とした電気生理検査 2.カテーテルアブレーションを目的(前提)とした心房 粗動に対する電気生理検査 3.心房粗動停止のための高頻度心房ペーシングを目的と した電気生理検査 クラスⅡ a 1.非通常型の心房粗動でカテーテルアブレーションによ り根治される可能性が高い心房粗動に対する電気生理 検査 2.他の上室頻拍に対する電気生理検査中に生じた持続性 心房粗動に対する電気生理検査 クラスⅡ b 1.カテーテルアブレーションやペーシング治療を前提と しない心房粗動に対する電気生理検査 クラスⅢ 1.カテーテルアブレーションやペーシング治療を希望し ない心房粗動患者に対する電気生理検査 房細動を合併した例では,粗動に対するカテーテルアブ アブレーション治療を前提とした電気生理検査の適応と レーションと抗不整脈薬の継続使用により心房細動自体 なる.カテーテルアブレーションの適応については, 「不 の発生率が低下することも報告されている 166),168) .心房 整脈の非薬物治療ガイドライン」15)を参照されたい. 粗動に対する電気生理検査およびカテーテルアブレーシ 心房粗動の停止を目的した治療において,抗不整脈薬 ョンにより,心房細動の薬物治療を容易にする可能性が が無効または使用できない場合,あるいは直流通電が使 ある. 用できない場合,高頻度心房ペーシングを目的とした電 3 電気生理検査の適応 症状より頻拍発作が疑われるものの頻拍時の心電図が 記録されていない例では,診断および発症機序の検討・ 確定を目的とした電気生理検査の適応となる(表 16). 心房粗動が心電図で確認されている例では,カテーテル 24 (B)切開創を周回するリエントリ性頻拍 (incisional reentrant tachycardia) SVC=上大静脈,IVC=下大静脈 気生理検査が行われる.Ⅰ群抗不整脈薬との併用により 停止効果が高まる 169). 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 4 向はどうかを判断する(図 4C,D).さらに峡部依存性 電気生理検査の方法 であることを確定するため,粗動中に粗動レートより 10 ~ 20 拍 / 分速いレートで CTI からペーシングを行い, 1 エントレインメント現象を観察する.図 5A に示すよう 峡部依存性心房粗動の診断 に,ペーシング中の粗動波および心房内興奮様式と各部 Type1 粗動(通常型心房粗動)のほとんどは CTI を含 位の電位波形が粗動中のそれらと同一で,しかもペーシ む三尖弁輪を周回する右房内リエントリを機序とする. ング終了後の粗動第 1 拍目(図内の*部分)までの間隔 そこで三尖弁輪に沿った興奮様式を観察するため,20 (post-pacing interval)が粗動周期に等しい場合は,エン ~ 24 極の Halo 電極カテーテルを図 4A,B のように三尖 トレインメント(entrainment with concealed fusion また 弁輪に沿うような形で配置する.高位右房,ヒス束部お は exact entrainment と呼ばれる)が確認され,CTI はリ よび冠静脈洞へも電極カテーテルを配置する.洞調律例 エントリ回路に含まれると断定される 170).一方,これ では高位右房または冠静脈洞より期外刺激法および頻回 らが満たされない場合(図 5B),CTI はリエントリ回路 刺激法を行い,心房粗動を誘発する.刺激頻度が高すぎ に含まれないか,粗動はリエントリ以外の機序によると ると(例えば 300 拍 / 分以上)心房細動を誘発すること 考えられる(峡部非依存性心房粗動).なおペーシング がある.心房粗動が誘発された場合,まず Halo カテー レートが高すぎると(例えば粗動レートより 30 拍 / 分以 テルの電位の伝播様式から峡部依存性かどうか,旋回方 上高い場合),ペーシング刺激からの興奮がリエントリ 図4 SVC 心 房 中 隔 冠静脈洞 IVC 解剖学的峡部 A.電極カテーテル配置の模式図. Ⅱ V1 Halo 19-20 17-18 15-16 13-14 11-12 9-10 7-8 5-6 3-4 1-2 Isthmus CS 5-6 CS 3-4 CS 1-2 LAO Haloカテーテル 右 房 自 由 壁 三尖弁輪 峡部依存性心房粗動の診断 215ms B.電極カテーテルの透視像(左前斜位像) . aVF V1 19-20 17-18 15-16 13-14 11-12 9-10 7-8 5-6 3-4 1-2 CS 9-10 CS 7-8 CS 5-6 CS 3-4 265ms 200msec C.反時計方向旋回型通常型 (峡部依存性)心房粗動 D.時計方向旋回型通常型 (峡部依存性)心房粗動 25 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 図5 解剖学的峡部からのエントレインメント PACE Ⅱ aVF V1 Isthmus Halo 19-20 17-18 15-16 13-14 11-12 9-10 7-8 5-6 3-4 1-2 CS 9-10 7-8 5-6 3-4 1-2 St S PACE S 275 * S 275 S S S 250 S 250 290 275 275 290 265 * 250 A.峡部依存性心房粗動 250 305 * B.峡部非依存性心房粗動 回路に逆行性に進入し,特にペーシング部位近傍の電位 頻拍の可能性が高い 154).電気生理検査はリエントリ回 波 形 が 変 化 す る の で 注 意 を 要 す る(entrainment with 路または起源となるフォーカスの同定を目的とし,この fusion または manifest entrainment と呼ばれる)170).心房 ためには三次元マッピングシステム(CARTO または 粗動が誘発されない例や誘発されてもただちに心房細動 EnSite/NavX システム)を用いた粗動中の興奮伝播様式 に移行する例では,CTI がリエントリ回路に含まれるか の解析が有用である 172),173).右房内リエントリのみでな どうかの確認は困難となる.粗動から細動に移行しやす く左房内リエントリや異常自動能に起因することも多々 い例では,Ⅰ群抗不整脈薬の静注により粗動を安定させ あり,両心房の詳細なマッピング手技に精通しておく必 ることができる場合もある. 要がある.リエントリ回路またはフォーカスが同定され 2 カテーテルアブレーションの効果 の確認 峡部依存性心房粗動は CTI を線状焼灼し,両方向性伝 導ブロックを作成することにより根治される.CTI にお ける両方向性ブロックの確認は再発防止の観点から極め れば,カテーテルアブレーションの至適通電部位を個々 の例で同定する. Ⅷ 心房細動 て重要である 171).具体的には,洞調律時に冠静脈洞お よび低位右房自由壁よりペーシングを行い,Halo カテ ーテルを用いた右房内伝導パターンの観察により,CTI での両方向性ブロックを確認する(図 6) . 3 26 峡部非依存性心房粗動 1 電気生理検査の臨床的意義と 適応 心房内の局所あるいは大血管(多くは肺静脈)で生じ 峡部依存性心房粗動に比して,機序の確定およびカテ る高頻度の異常興奮が,心房細動開始のトリガーとなる ーテルアブレーション治療は困難なことが多い.開心術 ことが報告されて以来 174),心房細動に対する電気生理 既往例では右房壁の切開創を周回するリエントリ性心房 検査が行われるようになった.肺静脈に対するアブレー 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 図6 解剖学的峡部における両方向性ブロックの確認法 CS pacing 前 後 LLRA pacing 前 後 S S Ⅱ V1 Halo 19-20 17-18 15-16 13-14 11-12 9-10 7-8 5-6 3-4 1-2 CS 5-6 CS 3-4 CS 1-2 S V A S A V V A V A 冠静脈洞(CS)(左)および低位右房自由壁(LLRA)ペーシング(右)時の 右房内興奮伝播がアブレーション後変化している ションが心房細動の根治には最も有効であることから, た心房電位の興奮順序から心房細動起源を推測する方 電気生理検査も肺静脈マッピングが中心となっている. 法 175)がある.心房細動開始時における高位右房と His 束 近年,心房細動アブレーションの発展とともにその適応 間における心房興奮時間の差が洞調律時のそれより大で は発作性から持続性,慢性心房細動へと拡大してきた. あれば,右房~上大静脈起源を疑い,冠静脈洞遠位部の しかし,持続性,慢性心房細動に対しては肺静脈隔離だ 心房興奮が冠静脈洞近位部のそれより先行していれば, けでは不十分であるため,心房細動の維持に関与する心 左側肺静脈起源を疑う. 房内異常基質を標的とするアブレーション法や心房の線 状アブレーション法も考案され,その有用性が報告され 3 肺静脈マッピング ている. 2 心房細動起源の同定 肺静脈内では,far-field の左房電位と高振幅でスパイ ク状の肺静脈電位が記録される.肺静脈遠位部と肺静脈 -左房接合部からそれぞれプログラム刺激を行うと,肺 発作性心房細動の起源の同定には,まず,検査開始時 静脈遠位部の有効不応期の方が肺静脈-左房接合部より から自然に心房細動が出現している場合には,そのトリ 有意に短縮しており,肺静脈遠位部から近位部への伝導 ガーとなる心房性期外収縮の起源を同定する.しかし, 時間の方が近位部から遠位部のそれより有意に長い 176). 心房細動が自然に出現しない場合には,イソプロテレノ このことから,肺静脈心筋には不応期の不均一性や ールの静脈投与により心房細動を誘発する.それでも誘 anisotropy 等の伝導特性を有する組織の存在が示唆され, 発されない場合は,心房頻回刺激を高位右房あるいは冠 リエントリを形成する基質になり得ると判断される 176). 静脈洞から行い,ペーシング終了後に自然に出現する心 肺静脈内複数起源の存在,肺静脈狭窄の危険性から, 房細動のトリガーを同定する.ペーシングで誘発された 現在では局所起源に対するアブレーションは行われてい 心房細動が 5 ~ 10 分間持続した場合は電気的除細動を ないため,起源を同定するための肺静脈マッピングも通 行い,その直後に自然に出現する心房細動を観察する. 常行われない.肺静脈に対するアブレーションが,巣状 高位右房,His 束,冠静脈洞のカテーテルから記録され アブレーションから肺静脈隔離へと移行したのに伴い, 27 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 電気生理検査の対象は,肺静脈入口部が中心となってい を標的とするアブレーションが考案された 180).GP の存 る.肺静脈入口部にリング状カテーテルを留置し,肺静 在部位を,頻回電気刺激(50msec,パルス幅 10msec) 脈入口部全周の肺静脈電位を同時記録する.左肺静脈で での vagal response(一過性の房室ブロック)の出現を は冠状静脈洞遠位部からのペーシングにより肺静脈電位 もって同定し,同部位での高周波通電を行う. GP アブ を顕性化し,左房-肺静脈間電気的進入部位を同定する レーションの効果は,頻回電気刺激での vagal response ことができる 177).しかし,最近ではこの左房-肺静脈 の消失によって確認できる. 間電気的進入部位を選択的に焼灼する電気生理学的アプ ローチより,肺静脈全周を非選択的かつ連続的に焼灼す る解剖学的アプローチが広く行われるようになった. リング状カテーテルを肺静脈内に置けば電気的肺静脈 Ⅸ 心室期外収縮 隔離を証明できる.すなわち肺静脈電位の消失により左 房から肺静脈への進入ブロックを,肺静脈内ペーシング により肺静脈から左房への進出ブロックを確認できる. 1 はじめに 1 定義 また,洞調律と解離した肺静脈心筋由来の異所性自動能 が観察されれば,肺静脈入口部における両方向性伝導ブ ロックが確認できる. 4 心房細動の維持に関与する不 整脈基質に関連した電気生理 検査 下位における興奮)が生じるものを心室期外収縮 (ventricular extrasystole), あ る い は 心 室 早 期 収 縮 (ventricular premature contraction)という.すべての心 室期外収縮が危険なわけではないが,一部の心室期外収 心房細動の持続中に心房内で記録される特殊な心房電 縮,特に連結期の短い場合は心室頻拍や致死的な心室細 位(CFAE; complex fractionated atrial electrograms) を 動のトリガーとなり得る. 標的とするアブレーション法が考案された 178) .CFAE は, 2 つ以上の振れからなる fractionated な電位あるいは連続 2 原因と機序 し た 基 線 の 振 れ を 示 す 電 位, 非 常 に 短 い 周 期( < ほとんどの例で原因は不明である.明らかな基礎心疾 120msec)の心房電位と定義される 患を有さない症例にも生じる.機序は,リエントリ,異 178) .ただ,この定 義は主観的要素が多く,現在定量化が試みられている. 所性自動能,および撃発活動による.運動で誘発あるい CFAE は伝導遅延,リエントリ回路の pivot point,局所 は増悪する右室流出路起源の連続する心室期外収縮ある の driver の興奮等を反映していると考えられている. いは非持続性心室頻拍の機序は,撃発活動であると考え CFAE のアブレーションにより心房細動が停止すること られている 181).右室流出路起源の心室期外収縮は一般 があるが停止しない場合もある. には予後が良いとされているが,特発性心室細動や多型 線状アブレーションにより,心房細動の周期長が延長 性心室頻拍が誘発されることもある 182).カテーテルア することが観察される.線状アブレーションによって心 ブレーションを前提として,心室期外収縮のマッピング 房細動の維持に関与するランダムリエントリ回路が分断 を目的とする電気生理検査の適応がある 183). され,より大きなリエントリ回路に変化していくためと 考えられている.周期長が徐々に延長し,ついに心房細 3 分類 動が停止し洞調律化するか,マクロリントリ性心房頻拍 心室期外収縮の重症度は,血行動態および生命に対す へと移行する場合がある 179).CFAE や線状アブレーシ る 危 険 性 に よ り 判 定 さ れ る. 重 症 度 の 分 類 と し て, ョンを施行する場合には,冠静脈洞あるいは左右心耳内 Lown らによる分類が用いられる(表 17)184). における心房細動周期長の変化を観察しながらアブレー ションの効果を評価する必要がある. 28 基本調律の心周期よりも早く心室興奮(His 束よりも 4 血行動態に対する影響 左心房心外膜側に存在する 5 か所の自律神経節(GP; 拡張期の短縮による心室充満の不足,先行する心房収 ganglionated plexi) が 肺 静 脈 か ら の 心 房 細 動 発 生 や 縮の欠如,等により拍出量が減少する.心室期外収縮が CFAE の成因に重要な役割を果たしていることから,GP 頻発すると,血行動態が悪化し心不全を発症し得ること 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン grade 0 1 2 3 4a 4b 5 表 17 心室期外収縮の重症度分類 心室期外収縮 なし 1 時間 30 個以下 1 時間 30 個以上 多形性 2 連発 3 連発以上 早期 R on T 3 電気生理検査の方法 1 心室内マッピング 心 室 期 外 収 縮 の 起 源 部 位 を 同 定 す る 方 法 で,pace mapping と activation mapping がある 194). ① pace mapping が知られてきた 185). また心機能の改善を目的とした両室 電極カテーテルによりペーシングを行い,12 誘導心 ペーシング例でも,心室期外収縮が頻発すると効率が低 電 図 の 波 形(QRS 波 形, 極 性, 波 高,notch 形 状, 下し血行動態に悪影響をおよぼし得る 186). upstroke slope 等)の一致する部位を検討する.波形の 2 電気生理検査の適応 一致する誘導数を pace mapping score とする.10 以上一 致していれば,起源部位に電極が近接していると考え る 195)-198). 心室期外収縮のみでは生命予後に対する危険性は少な く電気生理検査の適応にはならないが,自覚症状が強い ② activation mapping 患者,期外収縮の頻発により心不全を伴う患者,R on T 電極カテーテルから記録される心室興奮の,12 誘導 等危険性が高いと考えられる患者,心室細動が心室期外 心電図の QRS 波の立ち上がりに対する先行度(msec) 収縮によって繰り返し誘発される患者等,心室期外収縮 をマッピングする方法である.少なくとも 10 ~ 15msec のリスクの評価すなわち一次予防が必要とされる患者, 以上先行しており,かつ単極電位が急峻な QS パターン あるいは頻発する心室期外収縮のために左室機能が低下 を呈していれば,起源部位に近接していると考えられる. した患者では,カテーテルアブレーションを目的とした 183),187)-193) 電気生理検査の適応となる(表 18) . 2 起源の推定 右室流出路以外の起源として左室流出路,僧帽弁輪, 三尖弁輪,左室乳頭筋等からの報告があり,期外収縮の 起源の推定に 12 誘導心電図を用いたアルゴリズムが報 告されている 199)-203). 表 18 心室期外収縮に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.なし クラスⅡ a 1.期外収縮による症状が強い患者,頻発することにより 左室機能低下を伴う患者,薬物治療が無効か副作用の ため使用不能の患者,R on T など危険性が高いと考え られる患者で,カテーテルアブレーションが考慮され る患者 2.心室細動が,同一箇所の心室期外収縮によって繰り返 し誘発される患者で,心室期外収縮に対するカテーテ ルアブレーションが考慮される患者 3.心筋梗塞等の基礎心疾患を伴う患者で失神や動悸の既 往があり,加算平均心電図が強陽性の患者 クラスⅡ b 1.持続性心室性不整脈が誘発された場合の薬物効果判定 2.基礎心疾患がない患者で, 心室期外収縮が頻発しており, 加算平均心電図で心室遅延電位が記録される患者 クラスⅢ 1.基礎心疾患を伴わなわないか,基礎心疾患を有してい ても左室機能が比較的保たれており(EF > 40%) ,症状 が軽度か全くなく,連発,R on T がなく,持続性心室 頻拍あるいは心室細動が誘発される危険性がないと考 えられる患者 3 薬剤の効果 電気生理検査により期外収縮の機序が明らかになれ ば,有効な薬剤を選択しやすくなる 204).電気生理検査 中に抗不整脈薬あるいは ATP を静注し,その効果を検 討する 205)-207). 4 心室期外収縮の誘発 心室期外収縮が出現しない場合は,カテコラミン(イ ソプロテレノール,アドレナリン)等を用いて誘発を試 みる. 4 臨床的意義 心室期外収縮に対する電気生理検査の意義としては, 期外刺激に対して単形性リエントリあるいは多形性リエ ントリを生じやすい,不応期や伝導速度の部位によるば 29 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) らつき等の患者側の要因すなわち substrate の評価があ の連結期は 600msec より短く(心拍数 100/ 分以上で), る.明らかな心室頻拍あるいは心肺蘇生の既往のない冠 30 秒以内に停止するものを非持続性心室頻拍という 219). 動脈患者,低心機能患者に対して,電気生理検査による 心室プログラム刺激による評価の価値がいくつかの臨床 2 原因 試験で検討されたが 208)-210),患者背景,基礎心疾患, 非持続性心室頻拍の原因疾患としては虚血性心疾患 心室刺激プロトコール等が異なっており,一致した指針 (冠動脈疾患),拡張型あるいは肥大型心筋症,催不整脈 を得るには至っていない.基礎心疾患を伴わない患者の 性右室心筋症,心筋炎,心臓弁膜症,先天性心疾患等が 予後は一般には良好である 211) が,頻回あるいは多源性 あり,非持続性心室頻拍はあらゆる心疾患に生じ得る. の心室期外収縮では,予後が不良である場合もある 212). さらに一過性の原因として電解質異常(特にカリウム), 冠動脈疾患患者では心室期外収縮は独立した予後規定 自律神経異常,薬物による影響等がある.一方,器質的 因子であり,心室期外収縮は心室頻拍あるいは心室細動 心疾患や一過性の原因のない例に生じる特発性の非持続 の誘発因子として考えられる.抗不整脈薬により心室期 性心室頻拍もある.非持続性心室頻拍の生じる機序とし 外収縮を抑制すれば心臓突然死が減少すると考えられて ては自動能亢進,撃発活動,リエントリ等が考えられて いた(心室期外収縮抑制仮説).フレイカイニド,エン おり,基礎にある病態によって異なる.虚血性心疾患の カイニド,モリシジン等のクラスⅠ c 群を中心とする抗 うち,心筋梗塞急性期では非持続性心室頻拍から容易に 不整脈薬とプラセボとの大規模対照試験 CAST(Cardiac 心室細動へ移行することがある.急性期には持続性単形 Arrhythmia Suppression Trial)において,抗不整脈薬に 性心室頻拍よりも多形性心室頻拍が生じやすい.心筋梗 よる治療群で有意に死亡率が増大したことによって心室 塞急性期には梗塞周囲の残存心筋の電気的不安定さがあ 期外収縮抑制仮説は否定され,Ⅰ群抗不整脈薬では必ず るために自動能亢進が生じやすい.さらに微小領域で不 しも予後の改善は期待できない 213)-217). 応期と伝導時間の不均衡が生じるために機能的リエント 心室期外収縮は心室頻拍あるいは心室細動の誘因とし リも生じ得る.一方,陳旧性心筋梗塞による虚血性心筋 て臨床的な意義があり,また近年植込み型除細動器の進 症,あるいは非虚血性心筋症においては,障害心筋領域 歩により心室細動発作直前の心腔内心電図の解析が進 に伝導遅延をおこす組織があればマクロリエントリ性頻 み,心室頻拍あるいは心室細動のトリガーとしての心室 拍を生じ,単形性非持続性心室頻拍が発生し得る. 期外収縮の役割が再認識されている.特殊な不整脈とし て,心電図が正常である例において連結期の短い心室期 3 分類 外収縮によって誘発される特発性心室細動がある 218). 非持続性心室頻拍は,以下に分類される. 特発性心室細動の既往があり,同一の心室期外収縮によ (1)単形性非持続性心室頻拍 って心室細動が誘発されることが確認されている患者で (2)多形性非持続性心室頻拍 は,心室期外収縮に対するカテーテルアブレーションに (3)torsades de pointes より心室細動が治療される可能性がある.このような例 では,カテーテルアブレーションを前提とした心室期外 2 電気生理検査の適応 収縮のマッピングを目的とする電気生理検査の適応があ ると考えられる 183). 非持続性心室頻拍を示す症例に対する電気生理検査の 目的は,通常の電気刺激により持続性心室頻拍が誘発さ Ⅹ 非持続性心室頻拍 れるか,心室細動が誘発されるか,あるいは電気刺激に よりその他の不整脈が誘発されるかの確認にある.した がって,非持続性心室頻拍に対する電気生理検査の適応 は,持続性心室性不整脈が疑われる症状がある場合,持 1 はじめに 続性心室性不整脈が生じる可能性を検討する場合,薬剤 投与により非持続性心室頻拍が消失するかあるいは悪化 して持続性心室性不整脈が誘発されるようになるかどう 1 定義 心室起源の異所性興奮が 3 発以上連続して出現し,そ 30 かの確認,心電図では非持続性心室頻拍が記録されてい ても失神や眩暈・胸部不快感等の自覚症状があり,他の 不整脈が関与している可能性のある場合,等である. 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 2001 年に公表された不整脈の非薬物治療ガイドライン 15) 患がなくても多形性で,連結期が短い非持続性心室頻拍 では,非持続性心室頻拍に対する電気生理検査によるリ を示す例の一部で突然死が報告されている 220).明らか スク評価を次のように定めている. な器質的心疾患や電解質異常等の可逆的因子,QT 延長 クラスⅠ や WPW 症候群等の電気的異常がないにもかかわらず, 1.原因不明の失神発作と左室機能低下を有する冠動 心室細動を生じる特発性心室細動例は軽微な心電図異常 脈疾患,拡張型心筋症に伴う非持続性心室頻拍 を示すことがあり,突然死を起こす例の識別に役立つ可 クラスⅡ a 能性がある.さらに心室細動が生じる前に多形性非持続 1.非持続性心室頻拍症例で,基礎心疾患を有する場 性心室頻拍を生じていることが多く,この時点で対処す 合 れば予後は改善される可能性がある. クラスⅡ b 心筋梗塞例に生じる非持続性心室頻拍についての検討 1.なし は多い.冠動脈疾患例では持続性心室頻拍から心室細動 非持続性心室頻拍に対する電気生理検査の適応は前述 へ移行する例のあることが知られている.非持続性心室 したとおりであり,上記のリスク評価を考慮すると表の 頻拍のある例に,持続性心室頻拍が生じる可能性がある ようなクラス分類が提唱される. かどうかを検討するために電気生理検査が用いられる. 3 電気生理検査の方法 Buxton ら 221)は非持続性心室頻拍が記録された冠動脈疾 患で,電気生理検査によって持続性心室頻拍が誘発され ない例では突然死の危険性が低く,持続性心室頻拍が誘 非持続性心室頻拍が記録された症例を対象に心室刺激 発される例では突然死の危険性が高いという.さらに, を行い,持続性心室性不整脈の誘発を検討する.刺激法 左室駆出率が 40 %以下で持続性心室頻拍が誘発される として心室早期刺激,心室頻回刺激がある. 例の予後は,抗不整脈薬治療の有無にかかわらず悪かっ 心室早期刺激は 500msec あるいは 400msec 間隔で与え たと報告している.また,冠動脈疾患に罹患し,左室駆 られた 8 拍の基本心室刺激後に,単発(S1S2),二連発 出率が 40 %以下で自覚症状のない非持続性心室頻拍を (S1S2S3),あるいは三連発(S1S2S3S4)早期刺激を与える. 示す 1,480 例を対象に,非持続性心室頻拍の 1 日の出現 S1 が基本刺激であり,S2 は単発早期刺激,S3 は二連発早 回数,持続時間,心周期を検討した MUSTT 研究 222)では, 期刺激,S4 は三連発早期刺激である.早期刺激(S1S2) 自然発症の非持続性心室頻拍の心電図所見からは,持続 は心室筋の有効不応期になるまで挿入され,S3 刺激を入 性心室頻拍が誘発されるか否か予測不可能であったが, れるときの S1S2 刺激間隔は有効不応期より僅かに長い刺 加算平均心電図による心室遅延電位が強く検出される例 激間隔を設定する.有効不応期直前の早期刺激により, では,持続性心室性不整脈の誘発率が高かった. 組織の一部に伝導遅延が生じ,リエントリ回路が形成さ 拡張型心筋症においては,突然死した症例の 75 %に れる基質があると,リエントリによる持続性心室頻拍あ 24 時間で 20 回以上の非持続性心室頻拍がみられたが, るいは心室細動が誘発される. 生存例あるいはうっ血性心不全による死亡例ではそれら 早期刺激で心室持続性不整脈が誘発されないときには の所見はみられなかったことが報告されている 223).ま 心室頻回刺激(バースト刺激)を行う.頻回刺激の刺激 た,拡張型心筋症の突然死例では,Lown 分類 4 度以上 間隔 S1S1 は 150/ 分から開始し,1 回の頻回刺激ごとに 10 の心室性不整脈が 64 %にみられたのに対し,生存例で 心拍 / 分ずつ,心室筋が有効不応期に入るまで S1S1 間隔 は 8 %,うっ血性心不全による死亡例では 9 %であった を短縮させる.刺激間隔が短くなるほど刺激時間は短く という 224).したがって,拡張型心筋症では非持続性心 する. 室頻拍を含めた心室性不整脈の出現例の予後が悪いこと これらの心臓電気刺激は右室心尖部および右室流出路 を示している.非持続性心室頻拍を生じた拡張型心筋症 から行い,必要であれば左室からも刺激する. においては心臓電気刺激で持続性心室頻拍が誘発される 4 臨床的意義 ことは少なく,予後に影響しないことが指摘されている 219). さらに,time-domain 法による加算平均心電図解析で得 られた心室遅延電位陽性例と持続性心室頻拍誘発率には 非持続性心室頻拍の予後は基礎にある疾患の病態に左 強い相関はあるが,自然発症の不整脈事故は遅延電位陰 右される.基礎心疾患のない例に生じる非持続性心室頻 性例と有意差がなかったことが報告されている 225). 拍は,一般に良好と考えられている.しかし,基礎心疾 肥大型心筋症においては,非持続性心室頻拍の有無に 31 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) かかわらず心臓突然死が少ないといわれている.したが 除 細 動 器 の 生 命 予 後 を 比 較 す る MADIT 研 究 229)と って,非持続性心室頻拍を示すだけの肥大型心筋症にお MUSTT 研究 208)の成績が報告され,ともに植込み型除細 いては不整脈治療の適応はなく,意識障害がない非持続 動器により有意に死亡率を減少させることが示されてい 性心室頻拍の予後は良好であり,非持続性心室頻拍は突 る.拡張型心筋症における非持続性心室頻拍治療につい 然死の予測因子とならない.意識障害の既往がない場合 ても,不整脈死の可能性があると判断される例では,植 には,電気生理検査で持続性心室頻拍が誘発された肥大 込み型除細動器の使用が考慮されるべきである. 型心筋症例と誘発されなかった肥大型心筋症例の予後に は,両者に有意差はなかった 226). 病因の如何を問わず,心機能が低下している慢性心不 全例の予後をみると,非持続性心室頻拍が生じている例 Ⅺ 持続性心室頻拍 は非持続性心室頻拍がない例と比較して生存率が有意に (p = 0.0002)低いことが GESICA-GEMA 研究で報告さ れている 227).さらに,心臓突然死は有意に非持続性心 1 定義と機序 室頻拍例で高かった(p = 0.001)が,心不全死につい ては非持続性心室頻拍例と持続性心室頻拍例で有意差は 心室頻拍は心室(His 束および His 束よりも遠位の刺 なかったという.この成績の対象例として,虚血性心不 激伝導系も含む)を起源とする 100 拍 / 分以上の頻拍で, 全が約 40 %,高血圧,アルコール性心筋症,拡張型心 持続性心室頻拍は 30 秒以上持続するか,30 秒未満であ 筋症等による非虚血性心不全が約 60 %であり,心機能 っても血行動態の悪化のため早急に治療が必要とされる 低下例に非持続性心室頻拍が生じる例の予後は不良であ ものと定義される.ほとんどの持続性心室頻拍は基礎心 ると考えるべきである. 疾患を持つ症例に合併し,その機序の多くはリエントリ 5 治療の適応 器質的心疾患のない例に生じる単形性非持続性心室頻 である.他に異常自動能,triggered activity 等によるも のがある. 2 持続性心室頻拍の分類 拍で,連結期が長い場合には治療の必要はない.しかし, 特発性心室細動を生じるような心電図特徴をもつ非持続 持続性心室頻拍は原疾患の有無,頻拍の波形の数, 性心室頻拍例では治療を要する.さらに,心機能が低下 QRS 波形の変化,機序等によって分類される. している器質的心疾患例に生じる非持続性心室頻拍の予 後は不良なので治療を要する. 基礎疾患 非持続性心室頻拍治療にはⅠ群抗不整脈薬が主に使用 単形性の持続性心室頻拍の多くは基礎心疾患を有して されていたが,CAST 研究 228)の報告以後は特に虚血性 いる.しかし一部に明らかな基礎心疾患を伴わない心室 心疾患例に対するⅠ群薬の投与は減少している.CAST 頻拍があり特発性心室頻拍という.ベラパミル感受性の 研究の報告までは,心室性不整脈は危険であるという予 左室起源の特発性心室頻拍,右室流出路起源の特発性心 測のもとに,抗不整脈薬で不整脈を完全に抑制しようと 室頻拍等が代表的である.前者の機序はリエントリであ いう考えが支配的であった.しかし,抗不整脈薬による る.後者の機序の多くは異常自動能あるいは triggered 心機能抑制や催不整脈作用を避けるべきであるという考 activity で,しばしば頻発する非持続性心室頻拍を呈す えから,カリウムチャネル抑制作用とβ-遮断作用をも る. つⅢ群薬のアミオダロンが使用されるようになり,治療 の焦点は生命予後の改善に向けられている.心筋梗塞例 と心不全例を対象とした無作為割付試験の成績では,ア 32 1 2 頻拍波形 単形性心室頻拍(monomorphic ventricular tachycardia) ミオダロンはプラセボに比べ不整脈死と心臓突然死の減 は単一の QRS 波形を示す心室頻拍である.複数の単形 少により総死亡率をわずかに減少させているが,心不全 性心室頻拍が見られる場合は,複数単形性心室頻拍 死や心臓死以外の死亡に全く影響を与えない.心機能が (pleomorphism, または pleomorphic ventricular tachycardia) 低下していて非持続性心室頻拍のある陳旧性心筋梗塞例 と呼ぶ. を対象として,抗不整脈薬(アミオダロン)と植込み型 多形性心室頻拍(polymorphic ventricular tachycardia) 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン は QRS 波形が一定でなく,1 拍ごとに変化する心室頻拍 をいう.単形性心室頻拍から多形性心室頻拍に移行する 4 電気生理検査の方法 ことがあり,多形性心室頻拍はしばしば心室細動に移行 する. 3 実際の手技は以下のごとくである. 起源 1 心室頻拍の誘発 発生起源によって例えば左室の流出路起源というよう 単形性持続性心室頻拍の多くはリエントリを機序と に呼ばれる.心室頻拍の 12 誘導心電図は,起源の同定 し,再現性をもってプログラム刺激により誘発と停止が に有用である. 可能なものが多い(表 20).心室頻拍の誘発に用いられ 3 電気生理検査の目的 電気生理検査の目的は,(1)心室頻拍の診断,(2)機 る刺激プロトコールはほぼ合意が得られている.誘発法 については以下の刺激法がある. ①期外刺激法 序の同定,(3)マッピング,(4)治療効果の判定,等で 心室頻拍の誘発では,3 連発までの早期刺激を加える ある(表 19). ことが一般的で,4 連発早期刺激を用いても診断的な感 単形性持続性心室頻拍では,臨床的に記録された心室 度は上がらず 243)-245),多形性心室頻拍や心室細動等の 頻拍と同一波形の心室頻拍が誘発されるかどうかを診断 非特異的な反応を生じやすい 246)-248).連結期は原則と に用いる.また,電気生理検査で他の wide QRS 頻拍と して不応期に至るまで短縮して刺激する.健常例でも複 の確実な鑑別ができる.プログラム刺激により誘発と停 数の期外刺激を 180msec 以下の短い連結期で加えると, 止ができる,誘発時に期外刺激の連結期と刺激から心室 多形性心室頻拍や心室細動が誘発される割合が多くな 頻拍の第 1 拍目までの間隔が逆相関する,心室頻拍中の る.このため連結期を 180msec 以下としない施設が多い. ペーシングによりエントレイメント現象がみられる,等 心室頻拍の誘発には,その感度を高めるために少なくと の所見があればリエントリ機序が支持される 230)-236). も 2 種類の周期での基本刺激が必要である 231),232),245). マッピングにより病的心筋の有無と範囲,起源や頻拍回 周期 600msec と 400msec で 8 拍の基本刺激を与え,その 路を同定する 234)-236).マッピングは心室頻拍の手術や 後に早期刺激を加える.施設によっては洞調律時にも早 カテーテルアブレーションに際して必須の検査である. 期刺激を加えている. 治療前後で心室頻拍が誘発されるかどうかで治療効果の 判定を行う. ESVEM 試験以来電気生理検査による薬効評価の意義 ②頻回刺激法 洞調律より早いレートで頻回刺激を行い,心室頻拍を ,現在でも ICD に薬物を併用す 誘発する.実際は心室不応期または周期長 210msec まで る時やカテーテルアブレーションの治療効果の判定に用 とし,5 ~ 10 秒間加える.通常早期刺激で誘発されない は小さくなったが いられる 237),238) 239)-242) . 表 19 持続性心室頻拍に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.基礎疾患の有無を問わず単形性持続性心室頻拍が記録 された患者 2.心室頻拍に対するカテーテルアブレーションまたは手 術を予定している有症候性の単形性持続性心室頻拍 3.wide QRS 頻拍 4.原因として心室頻拍が疑われる失神 / めまいを有する 患者 5.持続性心室頻拍に対する薬効および催不整脈作用の評 価 クラスⅡ a 1.カテーテルアブレーション後の追跡評価 2.心筋梗塞後で左室機能低下 (左室駆出率<35%)があり, 持続性心室頻拍の誘発を前提に植込み型除細動器を考 慮する場合 時に用いられる. 表 20 疾患と単形性持続性心室頻拍の誘発率 疾患 誘発率 陳旧性心筋梗塞 90% 拡張型心筋症 75 ~ 100% 肥大型心筋症 低い* 1 催不整脈性右室心筋症 ~ 80% 心筋炎後左室瘤 ~ 100% 心サルコイドーシス ~ 100%* 2 特発性心室頻拍 左室起源 ~ 100% 右室流出路起源 中等度 * 1:拡張型心筋症化した肥大型心筋症では誘発率は高いと 思われる.またしばしば多形性心室頻拍や心室細動が 誘発される危険がある. * 2:疾患の活動性やステロイド治療で修飾されると思われる. 33 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 誘発時の早期刺激の連結期と刺激から心室頻拍第 1 拍 ③刺激部位 目までの間隔は逆相関を示す.また,限られた刺激部位 2 か所以上の部位からの刺激により,頻拍の誘発が促 から誘発が可能である.誘発された心室頻拍は,早期刺 進される 246),249).心室頻拍の誘発には,10 ~ 20%で 2 か 激や頻回刺激によって停止できる.リエントリを支持す 所目の右室(通常 1 か所目は右室心尖部)もしくは左室 る最も有力な所見はエントレインメント現象の証明であ の刺激を必要とし,右室心尖部から 2 つの基本刺激周期 る 232),233).これらは以下の手法で行う. で 3 連発早期刺激を用いて心室頻拍が誘発されない例の 単形性持続性心室頻拍を誘発し,頻拍周期より短い周 58%では,右室流出路から心室頻拍が誘発されている 244) . 期で連続刺激を行い,頻拍レートがペーシングレートに これは心室頻拍が誘発可能な例全体の 22%に相当する. 移行することを確認して中止する.頻拍が停止しない場 右室心尖部および右室流出路から心室頻拍が誘発されな 合は刺激周期を約 10msec ずつ短縮して繰り返す.その い場合,左室からの刺激で 2 ~ 5%に心室頻拍が誘発さ 際,以下の所見を確認する 254)-256). れる 250). (1)融合波形(constant fusion):頻回刺激中,刺激部 位からの興奮波形と頻拍波形との安定した融合 ④刺激強度 刺激強度を上げると心室頻拍の誘発率も高くなる が認められる. 247) , 250) . (2)漸進融合(progressive fusion):ペーシングレー しかし,刺激電流を 5 ~ 20mA の範囲で増すと,拡張期 トを上げると,QRS 波の融合の程度は変化し, 閾値の 2 倍で誘発を試みた場合に比べ心室細動や多形性 よりペーシング波形に近くなる. 心室頻拍の誘発率が高くなることから,5mA 以上の出 (3)復元周期(return cycle):リエントリ回路からの 力は勧められない.また,パルス幅も 2msec 以上では心 順行性に興奮された電位または QRS の復元周期 室細動,多形性心室頻拍の誘発率が増える 245).通常は, は,ペーシング周期に一致する. 拡張期閾値の 2 倍,1 ~ 2msec のパルス幅で刺激が行な (4)刺激中に頻拍が停止した時は,局所の伝導ブロッ クの所見と異なった方向からの短い伝導時間を われる. 伴うペーシングによる捕捉が見られる 232),233),255). ⑤薬剤負荷 リエントリ性心室頻拍では,イソプロテレノールによ って心室頻拍の誘発率は 5 ~ 20%増加する 245),251).これ 遅延後脱分極を機序とする心室頻拍も電気刺激で誘発 はイソプロテレノールが早期刺激の回路への到達の促 されるものがある.頻拍が誘発される場合,刺激周期ま 進,伝導遅延部での伝導回復,不応期の短縮等をもたら たは連結期と頻拍周期は正相関する 252),253).しかし,誘 し,リエントリの成立を促進するためと考えられる.異 発の再現率は低く(50%以下),早期刺激よりも頻回刺 常自動能や triggered activity による心室頻拍はイソプロ 激の方が誘発されやすい. テレノールで自然発生することがしばしばある 252),253). プロカインアミド等抗不整脈薬を頻拍の徐拍化や,多形 性心室頻拍から単形性心室頻拍への移行を促すために用 いることもある. 3 マッピング ①局所電位 単形性の持続性心室頻拍では,心室早期刺激による誘 電極カテーテルを用い,30 ~ 500Hz のフィルターを 発率は高く,90%以上で 1 回の電気生理検査時,または異 用 い て 記 録 す る. 双 極 誘 導 の 場 合 は 先 端 電 極 と 1 ~ なる電気生理検査時に再現性を持って誘発される 245),254). 10mm 近位の電極とで,単極誘導の場合適当なレファレ 疾患によって誘発率は異なる(表 20). ンス電極間とで記録する. 2 機序の同定 ①リエントリ 34 ②異常自動能(triggered activity) 電極間 5 ~ 10mm の電極で記録した場合の正常電位は, 振幅は 3mV 以上で持続時間 70msec 以下である.持続時 間 が 60 ~ 70msec 以 上 の 局 所 電 位 は 異 常 で, 分 裂 波 (fractionated electrogram)あるいは細分波(fragmentation) 単形性持続性心室頻拍がプログラム刺激で誘発される と呼ばれる 234),256).振幅も 0.5mV 以下となり高周波成分 場合の機序はほとんどがリエントリである.心室頻拍の に 富 ん だ 多 相 性 の 電 位 を 示 す. 分 裂 電 位(split 誘発時には,以下の所見が確認できる. potential)は,30msec 以上の等電位間隔を有する 2 つ以 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 上の成分からなる異常電位である.頻拍中に QRS の終 了点より遅れた電位は遅延電位(delayed potential)と 呼ばれ,局所の伝導遅延を示す.頻拍中の QRS 間に認 められる電位は,拡張期電位(diastolic potential)と呼 Ⅻ Brugada 症候群 ば れ, 時 相 の 早 い 順 に early,mid お よ び late diastolic potential とも呼ばれる. このような異常電位は病的心筋を意味しており,リエ 1 はじめに ントリ性心室頻拍ではリエントリ回路に関連する緩徐伝 導部位起源のことがある 234)-236),256).洞調律時の病的心 Brugada 症候群は 1992 年,Brugada らによって報告さ 筋のマッピングや,これらの部位におけるペーシング閾 れた疾患概念であり,右胸部誘導(V1–3)の特徴的な ST 値の検討はカテーテルアブレーションに有用である. 上昇(coved または saddle back 型)と心室細動による突 然死を特徴とする症候群である 262).東アジアの男性に ②脚電位 多く認められ,以前より我が国で知られていたぽっくり 脚電位は正常では His 束電位に 20msec 以上遅れ,心 病との関連が強く示唆されている.チャネル病としての 室波に先行して記録される高周波成分からなる電位であ 病態も注目されており,心筋の Na+ チャネルのαサブ る.脚枝間リエントリ性頻拍や 67) ,ベラパミル感受性の ユニットをコードする SCN5A 遺伝子の変異が 15 ~ 25 左室起源特発性心室頻拍では,回路の同定に有用である. % で 認 め ら れ る 263). 最 近 に な っ て こ れ 以 外 に も, 脚電位記録は,これらのリエントリ性心室頻拍における SCN5A のβ 1 サブユニットや L 型 Ca チャネルのα 1 サ カテーテルアブレーションの前提になる 257),258) . ブユニットとβ 2b サブユニットをコードする遺伝子異 常等が報告されている 264),265). ③頻拍起源または回路の同定 本症候群には症候から見た分類(失神や VF 等の症状 緩徐伝導路はカテーテルアブレーション治療に最も適 を伴う有症候性と,心電図異常を有するが症状のない無 切な部位である.緩徐伝導路であることの証明には,拡 症候性)と,右胸部誘導(V1 ~ V3)の心電図所見から 張期電位が認められる部位からの頻拍中のペーシングに 見た分類があり,電気生理検査の適応とその意義は各々 より融合波を伴わないエントレインメント現象を確認す の状況によって異なる. る 234),236),259). ④ペースマッピング(pace-mapping) 12 誘導心電図で,心室頻拍波形に一致するペーシン 2 心電図分類と診断基準 2002 年 11 月にヨーロッパ心臓病学会から提唱された .リエントリ性心室頻拍では,こ 266) 「Brugada 症候群の診断基準」 によると,Brugada 症候 の部位は緩徐伝導路からの出口に近く,カテーテルアブ 群の心電図は右胸部誘導(V1 ~ V3)で記録される波形 グ部位を同定する 260) の特徴から, (1)陰性 T 波を伴う 2mm 以上の ST 上昇(タ レーションの標的部位となる. イプ 1,coved タイプ),(2)陽性または 2 峰性 T 波を伴 ⑤最早期興奮部位 う J 波≧ 2mm および ST ≧ 1mm(タイプ 2,saddle back リエントリ性心室頻拍であっても,緩徐伝導路が認め タイプ),(3)coved または saddle back タイプで ST 上昇 られない例が多い.この場合心室頻拍中の興奮順序をマ が< 1mm(タイプ 3)に分類されている.この診断基準 ッピングして最早期興奮部位を決める 261) .この場合, では,心電図所見は単なる ST 上昇ではなく,典型的な 周囲の電位が最早期興奮部位とした電位より遅れている coved 型の ST 上昇(タイプ 1)が重要と考えられ,明ら ことを確認することが重要である.カテーテルアブレー か な coved 型 ST 上 昇 の な い も の( タ イ プ 2 と 3) は ションの標的部位となる. Brugada 症候群とは診断しない立場をとっている.その 後に発表された 2005 年の consensus conference において も, 陰 性 T 波 を 伴 う 2mm 以 上 の ST 上 昇( タ イ プ 1, coved タイプ)のみを典型的な Brugada 心電図としてお り 267),我が国においても同様の診断基準を用いる施設 が増えている.一方,2008 年に発表された日本循環器 35 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 学会の「QT 延長症候群(先天性・二次性)と Brugada 268) 気生理学的検討がなされ, 病態の解明に貢献しているが, 症候群の診療に関するガイドライン」 においては 本ガイドラインではこのような研究を主な目的とした電 coved タイプ(薬剤負荷後の所見も含む)を典型的な 気生理検査の適応レベルについては言及しない.また, Brugada 心電図と定義しているが,これには 1 ~ 2mm の 本症候群の心室細動に対する薬物治療には限界があり, J点上昇も含まれており,幅広い診断基準が用いられて その効果を判定するための電気生理検査(薬効評価)の いる 266).この判断には我が国で行われた登録調査(循 意義は小さく,その適応は ICD が使用できない患者に 環器病委託研究)において,非典型的な心電図(non-type 限定される. 1 として分類されている)を呈する Brugada 症候群患者 過去に VF・VT や心肺停止の既往が明らかな Brugada が典型的な群と比して類似した予後を示したこと等が反 症候群に対しては植込み型除細動器(ICD)がクラスⅠ 映されている 267).国際的な潮流としては我が国を含め, の適応であり,電気生理検査によるリスク評価の必要性 最近は consensus conference に沿った診断基準が使われ はない.本ガイドラインでは VT/VF や心肺停止の既往 る方向にある.また,T 波の陰転化を伴わない shield 型 ST が全くない無症候性のもの,あるいは失神等致死的不整 上昇についてはタイプ 1 と同様に取り扱われている 269). 脈の発生が示唆されるが,心電図等の証明がなされてい なお,当初は右脚ブロックの徴候と考えられていた ないものに対する電気生理検査の適応に限定する. QRS 後半の陽性波は,現在は再分極異常に起因する顕 電気生理学的手法を用いた Brugada 症候群のリスク評 著な J 波であると考えられており,このような患者にお 価の意義は,報告によって大きな違いがある.2001 年, ける J 点のレベルは J 波のピークで判定すべきである 266). Brugada らは同症候群に対して EPS を行い,VT/VF が誘 3 電気生理検査の適応(表 21) 発された無症候性の患者において,平均 27 か月のフォ ローアップ期間で 17 %にイベント発生を認め,VT/VF の誘発性とその後のイベント発生が密接に関係するとし Brugada 症候群における電気生理検査の目的は,主に た 270).しかし,Prior らはリスク評価において,VT/VF 多形性心室頻拍および心室細動の誘発の有無に依拠した が誘発された無症候性患者の予後は良好であり,電気生 リスク評価(主に植込み型除細動器適応の判断)である. 理 検 査 の 役 割 は 小 さ い と 発 表 し, さ ら に Eckard ら も 一方,本症候群の病態生理を理解するために,様々な電 Priori と同様の結果を報告し,現在に至るまで論争が続 いている 271),272).2007 年に Paul らは,これまで Brugada 表 21 Brugada 症候群に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.coved 型(タイプ 1)Brugada 心電図(薬剤負荷後を含む) を呈する患者で,心室細動・多形性心室頻拍は確認さ れていないが,失神・めまい・動悸等の不整脈を示唆 する症状を有する場合 2.coved 型(タイプ 1)Brugada 心電図(薬剤負荷後を含む) を呈する患者で,心室細動・多形性心室頻拍の確認や 失神・めまい・動悸等の不整脈を示唆する症状はないが, 若年~中年者の突然死の家族歴がある場合. クラスⅡ a 1.saddle back 型(タイプ 2,3)Brugada 心電図を呈する 患者で,心室細動・多形性心室頻拍は確認されていな いが,失神・めまい・動悸等の不整脈を示唆する症状 を有する場合. 2.saddle back 型(タイプ 2,3)Brugada 心電図を呈する 患者で,心室細動・多形性心室頻拍の確認や失神・め まい・動悸等の不整脈を示唆する症状はないが,若年 ~中年者の突然死の家族歴がある場合. 3.Brugada 心電図(coved 型および saddle back 型)を呈 する患者で,心室細動・多形性心室頻拍が確認されて いるが,植込み型除細動器の植込みが困難な症例にお ける電気生理学的薬効評価 クラスⅡ b 1.Brugada 心電図(coved 型および saddle back 型)を呈 する患者で,心室細動・多形性心室頻拍の記録,不整 脈を示唆する症状,若年~中年者の突然死の家族歴の いずれも認めない場合 36 症候群と EPS との関係について述べられた 15 の論文に ついてメタ解析を行い,この問題の決着を試みた 273). 本論文によると,電気生理検査で VT/VF が誘発された 患者におけるイベント発生のオッズ比は,Brugada らに よると 10.0,Brugada 以外の論文でのそれは 0.77 と報告 され,Brugada らの突出した結果を明らかにした.一方, その後,我が国で行われた委託研究と JIVF 研究におい ても,電気生理検査の役割は明確にされていない 269),274). この大きな解離の理由として,対象患者の抱えるリスク が異なること,電気生理検査のプロトコールの違いがあ ること等が考察されているが,実際のところ,詳細は不 明である. このように電気生理学的なリスク評価の意義は限定的 であり,当初期待されたほどではないとの考えが次第に 広がる中で,イタリアのグループが統一した誘発プロト コール(次項参照)を用いて,その意義を前向きに検証 した 275).合計 166 例の患者が登録され,135 例に電気生 理検査が行われた(平均 30 か月のフォローアップ).同 検査によって VT/VF が誘発されなかった 89 例では,全 くその後のイベント発生が認められず,極めて高い陰性 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 的中率(100%)が示されている.一方,誘発陽性群 46 で行う.誘発方法は基本的に器質的心疾患に伴う持続性 例ではその後,7 例にイベントの発生が確認されている 心室頻拍の心臓ペーシングによる誘発法と同一である. (陽性的中率 15 %).さらに,その後,2010 年にヨーロ 心臓ペーシング法には連続刺激法と期外刺激法がある. ッパのグループ(FINGER Brugada Registry)が Brugada 連続刺激法は自己心拍数よりやや速い刺激頻度でペーシ 症候群に関わるリスク要因を発表した.彼らは 1,029 例 ングを始め,刺激頻度を 10 ~ 20 拍 / 分ずつ上げていく. の Brugada 症候群を登録し,そのうち 638 例に電気生理 期外刺激法は,自己リズムまたは一定の基本周期(Basic 検査(最小連結期 200msec までの最大 3 連発期外刺激を cycle length)で 8 ~ 10 拍ペーシングした後,単一また 心室の 2 か所から入れるプロトコール)を行い,VF の は複数の期外刺激を与える方法である.期外刺激は長い 誘発性と予後を観察した.有症候性も入れた全体の評価 連結期より始め,10 ~ 20msec ずつ短縮し,不応期まで ではあるが,誘発群は非誘発群に比して有意にその後の 行う.基本周期は遅いレートと早いレートの 2 種類の基 イベント発生率が高いことが示されている(年間の発生 本調律で行っているのが一般的である.また,刺激部位 率が 2.3%対 1.2%).しかし,多変量解析を行うと電気生 は心尖部と右室流出路の両方で行い,3 連発期外刺激ま 理検査での誘発性は有意差がなくなったため,彼らは電 で施行している施設が多い.先述したイタリアのグルー 気生理検査の結果よりも失神の既往と自然発生のタイプ プは右室心尖部と流出路の 2 か所から 2 つの基本周期 1 心電図が予後の予測に有用であると結論づけている 276) . (600msec と 400msec)を用いて,2 連発期外刺激までの Brugada 症候群の不整脈基盤を示す ST 上昇は,日内 プロトコールを施行している 275).3 連発刺激を使用する あるいは日差変動することが知られている.自律神経の と非特異的な反応が多くなるためとの判断であるが,こ 影響等を受け,極めて流動的な病態を示す本症候群に対 の穏やかな方法によっても高い陰性的中率が示されたこ して,短時間(30 ~ 60 分程度)で終了する電気生理検 とは注目に値する.しかしながら,我が国における委託 査の限界は明らかである.しかし,的確なリスク評価を 研究では 3 連発期外刺激までの厳しい誘発試験が行われ 行うための判断材料が限定される本症候群にとって,電 たにもかかわらず,VT/VF が誘発されなかった 94 名の 気生理検査は治療法決定を左右する重要な手段であるこ うち,6 名(VF の証明がなされていない群では 76 名中 とは間違いない. の 2 名)にイベントが発生している 269). このガイドラインでは,まず心電図波形から Brugada VT/VF が誘発されてもそれらが自然停止した場合, 心電図(タイプ 1)を呈する場合と,タイプ 2,3 の場合 どのように判定するか(エンドポイント)が問題である. に分ける.次に,心室細動・多形性心室頻拍の既往の有 我が国の委託研究では 10 連発以上の VT/VF が誘発され 無,不整脈を示唆する症状(失神等)の有無,突然死の た場合を陽性としている 269).一方,イタリアのグルー 家族歴(若年~中年)の有無,に分けてクラス分類する. プは 30 秒以上続く頻拍の誘発を陽性としており 275),こ 突然死の家族歴については,海外からの報告ではリスク の陽性基判断準の違いが陰性的中率の違いに反映されて 予測に寄与しないと評価されている 271) .しかし,我が いるのかも知れない. 国における委託研究では突然死の家族歴があった患者に おけるイベント発生率が,それを有さない場合に比して 有意に高いと報告されており 269),人種差も認識されて いる病態であることを鑑み,我が国でのデータを尊重す ⅩⅢ 特発性心室細動 る. 4 電気生理検査の実際とその判 断基準 特発性心室細動は,1987 年に Belhassen らがはじめて 報告したものであり,明らかな基礎心疾患や心電図異常 を認めないにもかかわらず,最も重症な心室細動を発症 するという極端な病態を示す 218).当時は Brugada 症候 Brugada 症候群に対する電気生理検査の目的は,主に 群の特徴は知られておらず,さらにその後,院外心肺停 多形性心室頻拍・心室細動の誘発である.心室頻拍・心 止例の救命率が高くなるに従って研究が進み,Brugada 室細動の誘発には心臓ペーシング法を用いる.刺激装置 症候群以外にも多彩な病態(右室流出路起源 VT,early は出力,基本刺激周期,早期刺激の連結期,および刺激 repolarization syndrome,QT 短縮症候群等のサブタイプ) 数を任意に変えることができるものを用いる.刺激は通 が発見されるに至っている.したがって,現在では顕著 常拡張期閾値の 2 倍の出力,パルス幅は 2msec の矩形波 な一次的電気現象の異常を伴う Brugada 症候群や QT 延 37 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 長(先天性 QT 延長症候群)等はこの範疇に含めないの 以来,大きな注目を集めるようになった 283).彼らは特 が一般的である. 発性 VF に分類される患者の 31%に下壁(Ⅱ,Ⅲ,aVF) 1 右室流出路起源 VT から誘発 される特発性心室細動(表 22) 基礎心疾患を伴わない右室流出路起源 PVC/VT の予後 または左胸部誘導(V4–6)に 0.1mV 以上の QRS-ST 接合 部の上昇が認められたと報告した.また,イスラエルか らの報告によると,早期再分極症候群は ICD 植込み患者 の 3%に,特発性心室細動の 40%に認められている 284). 早期再分極を示す心電図上の定義は,J 点の 1mm 以上 ,まれに心室 の上昇が 2 つ以上の連続するリードで記録されるもの 細動を誘発することがある 280).心室細動発生のリスク で,ST を上昇させる他の原因(虚血,心膜炎等)がな が高いタイプの特徴としては VT 時のレートが速い(240 いことである 284),285).しかし,早期再分極は健常者(特 は比較的良好といわれているが 195),277)-279) ~ 250/m),失神または前失神の既往がある,VT 時の心 に若年男性)にも比較的高頻度(3 ~ 13%)で認められ 電図で QRS 波形が多形性を呈することが挙げられる 280). るため 283)-287),突然死のリスクを予測する因子として このタイプの特発性心室細動は VT 起源に対するアブレ は特異度が低すぎる点が問題であった.最も多くの症例 ーションで根治できる可能性が高く,起源を同定するた を長期にわたって観察した Tikkanen らの報告によると, めの電気生理検査の意義は高い 195),277)-280) . J 点の上昇が下壁誘導またはⅠ,aVL の双方に存在する VF に移行する理由としては,起源からの興奮頻度が もの,下壁誘導での J 点が 2mm 以上上昇しているもの 極めて高いこと,または受攻性の高い基質が心室に存在 にイベント発生率が高いと報告されている 287).2mm 以 している可能性等が考えられる.Noda らは VF の既往が 上を病的な上昇と定義すれば,その特異度は大きく改善 明らかな 16 例に対して電気生理検査による VF の誘発を すると考えられるが,この研究は年余にわたるフォロー 試み,そのうち 1 例に VF が,2 例に多形性心室頻拍が誘 アップがなされ,経時的な ST の変動を網羅した報告で 発されたと述べている(いずれも 3 連発期外刺激) . あることを忘れてはならない.また,Haissaguerre らも 280) 本試験では VF が誘発された患者のみに ICD が適応され VF が証明されている患者の 47%に,下壁と側壁の領域 たが,この患者を含めてアブレーション成功患者に VF に広がる J 点上昇を認めたと報告している 283).さらに J の再発は認められておらず 280),心室自体の受攻性は高 点の形態に注目した報告によると,心室細動を有する患 くないと考えられ,電気生理検査による VF 誘発の意義 者の ST 上昇のパターンは QRS-ST 接合部にノッチ(J 波) は小さい. が存在するものが多いとされる 284),286).ただし,J 波を 2 早期再分極症候群(表 23) 伴うような早期再分極にしても健常人の数%に認められ るといわれており 284),失神等症状のない無症候性早期 脱分極症例のリスク評価の必要性とその実際的な方法に 早期再分極による ST の上昇は健常者にも高頻度で認 ついてはいまだ明確にされていない.また,我が国にお められ,病的意義は小さいと考えられていた.しかし, ける Brugada 症候群に関する委託研究では,典型的な 1993 年にはじめて我が国の Aizawa らが徐脈依存性の顕 著な J 波と ST 上昇を呈する特発性心室細動を報告し 281), 次いで Takagi らが下壁誘導の ST 上昇と J 波を伴う 3 症例 を報告した 282).その後,Haisaguerre らが 2008 年に早期 再分極を特徴とする特発性心室細動の多数例を発表して 表 22 突発性心室細動に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.右室流出路起源の VT から VF への移行が確認されている 例における根治を目的とした電気生理検査 クラスⅡ a 1.心室細動は証明されていないが失神や前失神を有し, 右室流出路起源の PVC/VT を認める例における根治を目 的とした電気生理検査 クラスⅡ b 1.PVC/VT のアブレーションに成功した後の VF の誘発 38 表 23 早期再分極症候群に対する電気生理検査の適応 クラスⅡ a 1.J 波を伴う早期再分極を呈する患者で,VF・多形性 VT は確認されていないが,失神・めまい・動悸等の不整 脈を示唆する症状を有する場合 2.J 波を伴う早期再分極を呈する患者で,VF・多形性 VT の確認や失神・めまい・動悸等の不整脈を示唆する症 状はないが,若年~中年者の突然死の家族歴がある場 合 クラスⅡ b 1.J 波を伴わない早期再分極を呈する患者で,VF・多形性 VT は確認されていないが,失神・めまい・動悸等の不 整脈を示唆する症状を有する場合 2.VF の引き金となる PVC の起源同定と根治を目的とした 臨床電気生理検査 3.心室細動・多形性 VT が証明されている早期脱分極患者 に対する電気生理学的薬効評価 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン ST 上昇のパターン以外に下壁側壁誘導での早期再分極 の存在が発端者の予後を推察する因子として報告されて おり 269),Brugada 症候群との関連性も示唆されている. Haissaguerre らの報告によると,突然死の家族歴が 16 %に認められており 283),遺伝子レベルの異常も報告さ れているが,Brugada 症候群に最も多い SCN5A ではな く,KATP チャネルをコードする KCNJ8 等が示されてい る 288),289).また,黒人に比較的高頻度で認められると報 告されている 285),287). 表 24 Short coupled variant of torsade de pointes に対する 電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.Short coupled variant of torsade de pointes が証明され ている患者における VT/VF の引き金となる PVC の起源 同定と根治を目的とした電気生理検査 クラスⅡ a 1.原因不明の失神を有し,R on T 型の PVC を認めるが, torsade de pointes の証明がなされていない場合 クラスⅡb 1.R on T 型の PVC を認めるが,症状もなく,かつ torsade de pointes の証明もなされていない場合 早期再分極症候群に対する電気生理学的リスク評価の 意義を検討した報告は少ないが,Haissaguerre らは同症 存在し,その PVC に先行して左室または右室のプルキ 候群に対して 3 連発刺激までの誘発試験を行い,臨床的 ンエ電位が記録されることから,プルキンエ線維の関与 に VF が確認されている患者の 34 %にしか VF を誘発で が示唆されている 292).連結期の短い PVC が発生する機 きなかったと述べている 283) .米国のグループは特発性 序は不明であるが,Nogami らは PVC 起源付近からの人 心室細動の 39 例に電気生理検査による VT/VF の誘発試 工的ペーシングが最も容易に VT を誘発することを報告 験を行い,早期再分極を認める 9 例のうち 4 例に,それ し,PVC の起源とプルキンエネットワークの電気的連 を認めない 30 例のうち 15 例に VT/VF が誘発されたとし 関が重要であると述べている 293).このような特殊な病 ている 286).早期再分極を認める特発性心室細動におい 態を示す PVC をカテーテルアブレーションにより除去 て VT/VF の誘発性が高いわけではなく,その予後推察 できれば VT/VF が根治できる可能性があり,その起源 に果たす役割には限界があると考えられる.しかし, を同定する電気生理検査の意義は高い. Brugada 症候群と同様に的確なリスク評価を行うための 判断材料が限定される本症候群にとって,電気生理検査 4 QT 短縮症候群(表 25) は治療法決定のための重要な手段といってよい.また, Haissaguerre らは早期再分極を呈する領域から発生する 2000 年に Gussak らによってはじめて報告された疾患 PVC をターゲットにアブレーションを施行し,8 例中 5 概念である 294).しかし,その発生頻度は先天性 QT 延長 例に有効であったと報告しているが 283),その有効性に 症候群や Brugada 症候群に比べて極めて希有であり,症 ついては他の試験で検証されていない.したがって,前 候群全体としての病態生理には不明な点が多い.また, 項の右室流出路起源の PVC/VT に関連した VF や,後述 心電図上の電気的異常が明らかであるため,特発性 VF する short coupled variant of torsade de pointes に比べる の範疇に入れず,単独の症候群に分類されることも多い. と,根治を目的とした電気生理検査やリスク評価におけ 同症候群の診断基準は Gaita らが報告した以下の 3 つ, る適応レベルは低い.キニジン等の抗不整脈薬の有効性 (1)QTc が 330msec 以下, (2)器質的心疾患がない, (3) が報告されており 290),電気生理学的薬効評価の意義が 心臓突然死の家族歴が用いられている 295).心室細動以 示唆されるが,その有効性については明確でない. 外に心房細動の合併も多く,乳幼児突然死症候群との関 3 Short coupled variant of torsade de pointes(表 24) 極めて短い連結期を有する R on T 型の PVC から誘発 される多形性 VT であり,1994 年 Leenhardt らによって はじめて報告された 291).診断基準としては,(1)連結 期の短い R on T 型の PVC から発生する多形性 VT また は VF,(2)QT の 異 常 な 延 長 ま た は 短 縮 あ る い は Brugada 症候群を認めない,(3)器質的心疾患を認めな いこと,の 3 つである.その後,電気生理検査を用いた いくつかの検討がなされ,VF を誘発する特異な PVC が 連も示唆されている.発生機序は QT 延長症候群と同じ イオンチャネル機能の異常が報告されている(ただし, 表 25 QT 短縮症候群に対する電気生理検査の適応 クラスⅡ a 1.QT 短縮症候群の診断基準を満たし,心室細動・多形性 心室頻拍は確認されていないが,失神・めまい・動悸 等の不整脈を示唆する症状を有する場合 2.QT 短縮症候群の診断基準を満たし,心室細動・多形性 心室頻拍の確認や失神・めまい・動悸等の不整脈を示 唆する症状はないが,若年~中年者の突然死の家族歴 がある場合 3.QT 短縮症候群の診断基準を満たす患者で,心室細動・ 多形性心室頻拍が確認されているが,ICD の植込みが困 難な症例における電気生理学的薬効評価 39 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) その機能異常は相反している).多くは Ikr または Iks を 本症候群は,臨床的に先天性 QT 延長症候群と後天性 コードする遺伝子異常が外向き K 電流を亢進させるこ QT 延長症候群に分類される.先天性 QT 延長症候群は とが極端に短い活動電位に関与していると考えられてい 遺伝子解析により,心筋細胞におけるイオンチャネルや, る 296)-299).また,Brugada 症候群に類似した心電図波形 これに関係する細胞膜蛋白,調節蛋白をコードする 12 を呈する QT 短縮症候群の症例や Brugada 症候群におい 種類の遺伝子変異がこれまでに報告されており,その有 て既に報告されている Ca チャネルをコードする遺伝子 病率は 1:2000 前後と考えられている 304)-306).先天性 異常も報告されており 300),他の疾患との移行型の存在 QT 延長症候群では 60 ~ 70%の例で遺伝子変異が同定さ が疾患概念をさらに複雑にしている.QT 短縮症候群に れるが,その中で 1 型,2 型,および 3 型 QT 延長症候群 おける電気生理検査によるリスク評価についてはほとん (LQT1,LQT2,LQT3)が全体の 90%以上を占める.後 ど報告がなく,その意義をエビデンスに依拠して記述す 天性 QT 延長症候群は薬剤,低K血症または徐脈等で誘 ることは困難である.ただし,極端に短縮した不応期は 発される QT 延長をさすが,これらの一部においても遺 易刺激性を有していると考えられ,VT/VF の誘発性は 伝子異常が関与すると報告されている 307)-309).一方, リスク評価に有用である可能性がある.治療については 本症候群は浸透率が低く,無症候の潜在性 QT 延長例も VF や心肺停止の確認がなされている症例には ICD の植 多く存在する.これらは,心電図上 QT 延長を認めない 込みが必須である.一方,キニジンが有用であるとの報 が,エピネフリンや QT を延長させる薬剤,電解質異常, 告があり 301) ,ICD の植込みがためらわれるような乳幼 徐脈,運動負荷等により,QT 延長が顕在化し得る. 児では同薬剤を試みてよいが,その薬効評価に電気生理 QT 延長症候群の診断,治療は,遺伝子および心筋イ 検査が必要であるかどうかは明確にされていない. オン電流の理解に基づいて行うことが提唱されている. 5 何ら心電図異常を認めない特 発性心室細動 LQT1,LQT2 では,K チャネルの異常に加え,心事故の 発生に交感神経緊張が関与するため,β遮断薬が第一選 択薬である 310),311).一方,LQT3 では Na チャネル異常に 基づく徐脈依存性の QT 延長が報告されている.このた このカテゴリーに入る疾患群は心電図所見等によって めβ遮断薬は無効とされる場合が多い 305).一部の LQT3 VF 発生前にそのリスクを予測することは不可能である. では Na チャネル遮断作用を持つメキシレチンやフレカ つまり,治療対象となる患者はすべて VF や心肺停止が イニドにより QT 時間が短縮するが 312),313),心拍数増加 明らかであり,かかる事態からの生還者となるため, によって QT 時間が短縮するので,徐脈例ではペースメ VF の原因が不明な場合は ICD クラスⅠの適応となる. ーカ治療が有効とされている 312). したがって,リスク評価のための電気生理検査の適応の 先天性 QT 延長症候群では,薬剤で失神発作,TdP が 臨床的意義は極めて小さい.また,短時間のうちに自然 コントロールされた場合には比較的良好な予後が期待さ 停止したかもしれない VF については,臨床的に原因不 れるが 314),QTc 時間が 500msec 以上,もしくは 2 年以内に 明の失神患者に該当するため,本ガイドラインに示され 失神が生じている例は高リスクと考えられている 304),315),316). ている原因不明の失神患者に対する電気生理検査の項を また,LQT2,LQT3 では LQT1 と比較し,β遮断薬を使 参照されたい. 用しても心事故の再発率が高いと報告されている 311),315). その他に,年齢,性,遺伝子型,変異部位,変異タイプ, ⅩⅣ QT 延長症候群 または機能異常の差によって予後に相違があることが報 告されている 304),317),318).心停止または心蘇生既往例で は,一般に植込み型除細動器の適応となるが,小児例で は経静脈的な植込みが困難な場合がある 319),320). 1 はじめに QT 延長症候群は,心電図上 QT 時間の著明な延長(QTc 時間>450~470msec) を来たし, torsades de pointes(TdP) 2 電気生理検査の適応(表 26) 3 臨床的意義 と呼ばれる特徴的な多形性心室頻拍から,失神,けいれ ん,突然死を生じる遺伝性不整脈疾患である 302)-304). 40 QT 延長症候群における電気生理検査の臨床的意義 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 表 26 QT 延長症候群に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.なし クラスⅡ a 1.原因不明の失神があり,QT 延長を伴う例 クラスⅡ b 1.心停止蘇生例,または心室細動,TdP が確認されている 例 2.突然死や TdP による失神の家族歴があり,心電図上 QT 延長が確認されている例 クラスⅢ 1.QT 延長の原因,誘因が明らかであり,それらの除去, 是正後に QT 時間が正常化する,家族歴のない例 QT の延長が明らかな例では電気生理検査を行う意義が 少ない. 4 治療の適応 失神や TdP の既往がある先天性 QT 延長症候群のう ち,LQT1,ないし LQT2 と判断された場合にはβ遮断薬 が有用である.特に,β遮断薬の服用が可能な LQT1 例 では,QT 延長作用のある薬剤を服用さえしなければ, 仮に心停止の既往があったとしてもその予後は極めて良 好と報告されている 330).LQT3 ではメキシレチンをまず は,他の不整脈疾患に比べると低い 321).先天性 QT 延長 試みるが,徐脈を有し,薬物治療下でも失神発作が頻回 症候群では,安静時の心拍数が少なく,洞結節回復時間が に生じる場合にはペースメーカ植込みも考慮する.良好 正常者に比べて延長していることが報告されている 322),323). なコンプライアンス下での薬物治療にもかかわらず,失 房室結節伝導能は一般に正常で,プログラム刺激による 神発作,TdP を頻回に繰り返す場合や,心停止既往例で 心室性不整脈の誘発率は低い 324) .これは,活動電位持 薬剤不認容か副作用等のため治療禁忌である場合,また 続時間が比較的長い心内膜側からの期外刺激では,貫壁 は Jervell and Lange-Nielsen 症候群の場合は,植込み型 性の不応期のばらつきが生じにくい,または延長した相 除細動器の植込みを考慮する 304),331). 対不応期のため,連結期の短い期外刺激が入りにくいこ 後天性 QT 延長症候群では,誘因を永続的に回避でき とに由来すると考えられている.このため,電気生理検 る場合(徐脈が原因の QT 延長症候群においてペースメ 査を本症候群の予後判定や,薬剤の効果判定に用いるに ーカが植込まれた場合,QT 延長を惹起したⅠ a 群,Ⅲ は一定の限界がある 324) 群抗不整脈薬や,エリスロマイシン等の原因薬剤の投与 . 一方,単相性活動電位(MAP)記録を用いて,従来 を回避できる場合等)には無投薬で経過を観察する. は QT 時間や有効不応期でしか推察し得なかった再分極 過程の評価が試みられている.先天性および後天性 QT 延長症候群では活動電位持続時間の延長や,早期後脱分 極(early afterdepolarization) 様 の Hump が 記 録 さ れ て ⅩⅤ 器質的心疾患に伴う心室細動 おり 325),326),一部で QT 延長症候群の病態解明や,抗不 整脈薬の有効性の検討に本法が利用されている 327). 近年,エピネフリン等の交感神経刺激薬投与時の QT 1 はじめに 時間の反応を用いて,QT 延長症候群の非浸透例や遺伝 子型を判定する方法が報告されている 310),328).本法は遺 心室細動は致死的不整脈であり,電気生理検査はリス 伝子解析を実施し得ない施設においても,かなりの確度 ク判定と治療を目的とする.心室細動に対する予防とし で遺伝子型を決定し得るため,治療に直結する診断法と ては,心室細動による心停止から蘇生された症例に対す 考えられている. る二次予防と,心室細動の既往はないがリスクの高い症 また LQT3 では,同じ SCN5A 遺伝子変異に由来する 例に対する一次予防がある.治療の原則は,植込み型除 Brugada 症候群,家族性心臓ブロック,洞不全症候群, 細動器の植込みや薬物治療であるが,薬物治療が無効で 乳幼児突然死症候群等がオーバーラップしやすい 329) . ある植込み型除細動器の頻回作動,electrical storm およ これらを考慮すると,病歴,神経学的検査,起立負荷試 び一定の心室期外収縮を誘因として心室細動が誘発され 験(head-up tilt test)を含む種々の検査を施行しても, る症例等では,カテーテルアブレーション治療が行われ 失神の原因が不明の QT 延長例においては,交感神経刺 ることがある 182),332). 激薬負荷による QT 延長,または Na チャネル遮断薬負 荷による ST 上昇の有無判定と合わせ,それが心室性不 2 電気生理検査の適応 整脈や徐脈に由来することを除外する目的での電気生理 検査が有用である可能性がある.一方,失神の原因や 心室細動に対する電気生理検査は一般的ではなく,特 41 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 殊な状況で行われる 8). リスク判定のための電気生理検査 1 3 電気生理検査の方法 心室細動の既往を有する症例に対する治療(二次予防) 心室細動を誘発するためのプロトコールに関しては一 に対しては,電気生理検査を実施せずに植込み型除細動 定の見解はない.一般的な心室ペーシング法は,刺激部 器の植込みを行うことが一般的である.これまでの大規 位は右室心尖部と右室流出路の 2 か所において,2 種類 模試験では,電気生理検査ガイドによる薬物治療が植込 の基本刺激周期による 1,2,3 連早期刺激法が標準的で み型除細動器の効果に勝る結果を得られなかったからで あるが,これらの方法はいずれも持続性単形性心室頻拍 ある 208),209),333).これらの項目に関しては,本ガイドラ の誘発を念頭に置いたものであり,心室細動誘発のみを インにおける「心肺蘇生後の患者に対する電気生理検査」 対象とした検査法ではない 6),337). の項に記載されている. 心機能低下例の一次予防に関しては,MADIT Ⅱ研究 334), SCD-HeFT 研究 4 臨床的意義 335) により心室頻拍や心室細動の誘発性 の有無にかかわらず,薬物治療よりも植込み型除細動器 前述したように,電気生理検査による心室細動のリス 植込み症例の生命予後が良好であることが明らかにされ ク判定には限界があり,特に MADIT Ⅱ研究 334)や SCD- た.我が国においては一次予防に関する科学的根拠は乏 HeFT 研究 335)の後には検査の臨床的意義が低くなってい しいが,我が国の疾病構造を考慮した適応基準を設定す る.その一方で,心室細動をカテーテルアブレーション ることは困難であり,現時点では海外でのデータに即し 法で治療できるような症例に対しては,心室細動のトリ て電気生理検査の適応を決定することが現実的である. ガーとなる期外収縮の発生源を検索する目的のため,電 治療のための電気生理検査(表 27) 2 非常にまれな現象ではあるが,一定の期外収縮がきっ かけとなり心室細動が発症されることが報告されてい る 気生理検査は必須でありその意義は大きいが,非常にま れな現象である 332),336). 5 判断基準 336) .このような病態では,心室細動の誘因となる一 定の期外収縮に対するアブレーションにより心室細動の 心室細動誘発を目的として電気生理検査が行われるこ 発生は抑制され,植込み型除細動器の作動回数の抑制や とはまれであり,その判断基準も一定ではない. electrical storm の 回 避 に 有 益 で あ る. 特 に electrical storm に陥った症例では,PCPS や LVAD 等の補助循環装 6 治療の適応 置を使用しなければ生命維持ができないこともあるた め,これらの離脱を計るためにもアブレーション治療を 心室細動の二次的予防としては植込み型除細動器の植 前提とした電気生理検査の意義は大きい. 込みが推奨される.一次的予防としては低心機能症例に 対しては日本の疾病構造に即した治療の適応基準は未だ ない.MADIT Ⅱ研究 334)の適応はやや過剰なインディケ ーションと考えられ,慎重に運用されるべきであると考 えられる. 表 27 器 質的心疾患に伴う心室細動に対する電気生理検査の 適応 クラスⅠ 1.なし クラスⅡ a • 心室細動が同一箇所からの心室期外収縮によって繰り返し 誘発される患者で,心室期外収縮に対するカテーテルアブ レーションが考慮される患者 • 薬 物 治 療 が 無 効 で あ る 植 込 み 型 除 細 動 器 の 頻 回 作 動, electrical storm に対してカテーテルアブレーションが考慮さ れる患者 • 補助循環装置(PCPS,LVAD 等)からの離脱が困難な心室細 動に対してカテーテルアブレーションが考慮される患者 42 ⅩⅥ 1 原因不明の失神 はじめに 失神とは,「脳血流の低下により姿勢を保持できなく なる一過性の意識消失発作であり,消失した意識が自然 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン にかつ完全に回復し,後遺症を残すことがないもの」, [神経調節性失神(反 の原因を Neurally-mediated(reflex) と本ガイドラインでは定義する.失神の原因により重症 射性失神)],Orthostatic hypotension(起立性低血圧), 度および生命予後が異なるので鑑別診断が重要である. Cardiac Syncope(心臓性失神)3 つに分けてそれぞれを 特に心臓性失神は致死的であり,的確な診断と治療が必 細分化している. 要である.その意味では, 電気生理検査の意義は大きい. 4 しかし,原因不明と診断される患者も少なくなく,また 失神の予後 原因が複数にわたる(マルチファクター)患者もある. 特に,徐脈や頻脈で生じる失神には,神経反射(代償性 失神の原因を明らかにすることが予後の判定に重要で 血管収縮の遅延や障害)が少なからず関与すると考えら ある.Kapoor ら 341)の病院内の失神 433 例の統計では, れる. 反射性失神と起立性低血圧が 27%,心臓性失神が 26%, 2 原因不明が 41 %であった.これらの失神の予後は,非 失神の出現頻度(図 7) 心臓性失神に比し心臓性失神で有意に不良で,5 年の死 亡率は 50 %に達する.一方,原因不明の失神の死亡率 失神の頻度は救急室を受診する患者の 3 ~ 3.5 %で, は 5 年で約 30 %と,非心臓性失神の約 23 %と比べ有意 入院患者の 1 ~ 6%を占める.Framingham 研究によると, 差を認めない.Framingham 研究では,心臓性失神は予 5,209 例の 26 年間追跡では失神歴は男性 3.0%,女性 3.5 後不良で,迷走神経性失神は失神を認めない症例群と予 % で あ っ た 338). 同 じ く Framingham 研 究 に よ る と, 後は変わらず,原因不明の失神はその中間の予後を示し 7,814 例の参加者の平均 17 年の追跡では 822 件の失神が ている 339). 観察され,初回の失神の頻度は 6.2/1,000 人 / 年であった. 失神患者の年令分布は 70 歳以上になると急増する 339). 3 5 失神の診断 1 病歴,症状,ルーチン検査から原因 を予測 失神の分類(表 28) 失神の分類は多数報告されているが,2009 年に発表 されたヨーロッパ心臓病学会の失神の診断と治療のガイ 失神の患者が来院した場合,まず病歴,診察,ECG, 340) ドラインによる原因分類を示す (表 28).まず,失神 胸部X線写真,血液検査等のルーチン検査を行う.脳血 図7 年齢別失神患者数 失神患者の年齢分布は70歳以上になると急増する. 25.0 Men Women 19.5 Rate per 1000 Person-Years 20.0 16.9 15.0 11.1 11.1 10.0 5.0 0.0 4.7 2.6 20-29 3.8 3.2 30-39 3.2 3.8 40-49 5.0 5.7 5.4 3.9 50-59 60-69 ≧80 70-79 Age Group(yr) Elpidoforos S. et al. NEJM 347:878-885. 2002 43 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 表 28 失神の分類 1.Reflex (Neurally-mediated) Syncope 反射性(神経調節性)失神 Vasovagal 血管迷走神経性 Situational 状況性 Carotid sinus syncope 頚動脈洞性失神 Atypical Form 非典型 2.Syncope due to Orthostatic Hypotension 起立性低血圧に基づく失神 Primary Autonomic Failure 一次性自律神経障害 Secondary Autonomic Failure 二次性自律神経障害 Drug-induced orthostatic hypotension 薬物誘発性起立性低血圧 Volume depletion 循環血液量低下 3.Cardiac Syncope (Cardiovascular) 心原性失神 (心血管性) Arrhythmia as primary cause 不整脈原性 Bradycardia 徐脈 Tachycardia 頻脈 Drug induced bradycardia and tachyarrhythmias 薬物誘発性徐脈,薬物誘発性頻脈 Structural disease 器質的疾患 Guidelines for the diagnosis and management of syncope(version 2009) European Heart Journal(2009)30, 2631-2671 管性以外が疑われる場合は,ルーチン検査で心疾患の有 性心室細動は,夜間から早朝に出現する.先天性 QT 延 無が鑑別疾患の大切なポイントとなる.次に経過が長い 長症候群の torsades de pointes は起床時や日中,運動時 のか短いのかも重要な鑑別ポイントである.経過が 4 年 に生ずる.NMS はいつでも起こり得るが,排尿,排便 以内の場合は心臓性失神を疑い,それ以上の経過は神経 失神は夜間に起りやすい.迷走神経緊張性失神は午前中 調節性失神(NMS)を疑う 342).失神時の状況や症状は に多く出現する傾向がある. 診断を推測するのに重要である. ①失神時の体位 NMS は前駆症状として,熱感,口渇,空気不足感等 NMS は起立時あるいは座位でのみ生じると考えてよ を感じ,そのときあるいはその直後に,胃部不快感,ゲ い.朝,ラッシュアワー時通勤電車内で立位時の NMS ップ,腹痛,便意,歎息,欠伸,視野のかすみ,動悸, はよく経験される.また,歯科治療中,緩やかな角度の めまいが生じる.その後患者は蒼白となり,瞳孔散大と 座位でも NMS は生じ得る.心臓性失神は体位に関係な 発汗を伴い意識を消失する.前駆症状が 10 秒以上持続 く生じる. する場合には,NMS が強く疑われる 343).失神時,四肢 ②失神を生じる誘因 NMS の生じる状況としては,不快な光,音,臭,痛み, の硬直,振戦,痙攣を伴うこともある.回復後も,嘔気, 振戦,頭痛を訴え,しばしば尿意を催す.心臓性失神は, 動悸,胸痛等の前駆症状がある場合もあるが,短時間で 長時間の起立,長期臥床あるいは座位後の急激な起立, 失神に至る.しかし,NMS のうち,心抑制型失神や状 低酸素,熱,空腹時,脱水時,アルコール多飲後,出血 況失神の場合には,前駆症状が乏しい.また,高齢者の 時等が挙げられる.状況性失神は,排尿,排便,嚥下, 場合にも,前駆症状が乏しいことがある. 咳嗽,運動時に生じる.心臓性失神の生じる状況は,心 室頻拍,心室細動による場合は自律神経緊張の変化のあ 2 失神診断のフローチャート(図 8) る時,例えば起床時や運動中・後に起こる場合がある. 図 8 に,ヨーロッパ心臓病学会の一過性意識消失患者 一方,就眠中にも特発性心室細動が生ずることがあるが, の診断フローチャートを示す.失神の診断においては初 この場合は,失神ではなく突然死に至ることが多い.冠 期評価が最も重要である 340). 攣縮性狭心症による失神では,高度のストレス状態,喫 煙,運動後,起床時等に胸痛後失神に至る. ③失神を生じる時間帯 44 ④前駆症状・失神時の症状 3 Head-up tilt test Head-up tilt test は失神の約 30 %を占める神経調節性 失神の確定診断に有用である.Tilt 台の上で臥位安静を 失神の種類により好発時間帯がある.例えば,上述し とらせた後,60 ~ 80 °の角度の受動的起立を 20 ~ 30 分 たように,冠攣縮性狭心症,Brugada 症候群を含め特発 維持する.原因不明の失神例連続 249 例中,前失神ある 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 図8 失神診断のフローチャート 一過性意識消失の状況と失神 臨床像 いいえ 意識消失があるのか? はい 一過性? 急激に発症? 短時間? 自然に完全に回復? 意識障害 転倒 いいえ はい 昏睡 突然死 の中断 その他 一過性意識消失 外傷性 非外傷性 失神 てんかん 精神性 まれな原因 ESC guideline 2009 いは失神が誘発された陽性例は 68 例,27 %であった. を生じる可能性のある不整脈が記録されても,不整脈患 25 歳未満の若年では陽性率が 53%と高いが,50 歳以上 者 の 失 神 に は NMS が 合 併 す る の で, 失 神 が Adames- では 13 %と低値であった.偽陰性を減少させる目的で Stokes 発作であると即断することはできない.Brignole 薬物負荷(イソプロテレノールまたはニトロール)が行 らの報告 343)では,洞不全症候群の失神には,自律神経 われる.249 例中コントロール状態において Head-up tilt 反射が少なからず関与しているという.血管抑制反応や test が陰性であった 153 例のうち 78 例 51%が陽性で,薬 混合反応を呈した患者では,ペースメーカ植込み後も失 物負荷を行わなかった症例と行った症例を合計すると, 神を繰り返す可能性がある 346).徐脈による失神の治療 148 例,59 %において NMS と診断された 344).しかし, 法はペースメーカ植込みがなされるが,NMS が疑わし 41 %の患者は原因が不明であり,高齢者では原因が特 い症例には積極的に Head-up tilt test を施行すべきと考 定されない率が高い. える.一方,頻脈性不整脈による失神についても神経調 4 植込み型心電用データレコーダと 失神 2009 年 10 月から植込み型心電用データレコーダが保 険償還された.この植込み型心電用データレコーダの利 節反射が関与することがある 346),347).不整脈と NMS は しばしば合併し,両者は相互に関係するので,失神の原 因を注意深く鑑別し治療法を決定する必要がある. 6 電気生理検査の適応(表 29) 用により原因不明の失神患者に対して,従来の診断法(体 外式心電図,Head-up tilt test,電気生理検査)よりも高 失神の原因として不整脈が疑われる患者は電気生理検 い診断率が得られたとする報告がある 345).原因不明の 査の適応となる.器質的心疾患を合併している患者では 患者に対して今後検討されるべき方法と思われる. 不整脈が失神の原因となる頻度が器質的心疾患を合併し 5 不整脈と失神 不 整 脈 に よ る 失 神 す な わ ち Adames-Stokes 発 作 と ていない患者よりも高くなる 348).不整脈が疑われる状 況がなく,器質的心疾患がない患者に対しては電気生理 検査は適応とはならない 348)-350). NMS との鑑別には,失神の生じる体位や症状の出現状 況等が参考となる.Holter 心電図や電気生理検査で失神 45 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 表 29 失神患者に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.失神の原因として症状から不整脈が疑われるが,不整 脈が証明されていない患者 2.非侵襲的検査による評価後も原因不明の失神を有する 器質的心疾患を有する患者 クラスⅡ 1.失神の原因として既に明らかとなっている不整脈の発 生機序を明らかにする場合 2.器質的心疾患はなくかつチルトテスト陰性で原因不明 の失神を反復する患者 3.失神の既往を有するが,器質的心疾患がなく,正常心 電図を示し,動悸の症状がない患者 クラスⅢ 1.失神の原因が明らかで,電気生理学的検査が治療方針 決定に寄与しない患者 を持つ症例の失神は,心疾患のない失神に比べて,より 死亡率が高い 339),342),349),350). 徐脈性不整脈に対して,Fujimura らは,一過性の徐脈 による失神患者の 15 %にしか正確な診断がつかなかっ たために,徐脈性疾患に対する電気生理検査の感度と特 異度は低い,と結論した 351).しかしながら彼らの研究 では,薬理学的負荷は行われていない,また迷走神経反 射による徐脈を除外していない.このことが特異度の低 下に影響した可能性がある.NMS の患者を除外した時, Brignole らの報告では,洞停止または一過性の房室ブロ ックによる失神患者の 86 %に,洞結節またはヒス-プ ルキンエ系の異常が確認された 352).他にも同様の結果 が報告されている 353),354). 7 電気生理検査の方法 上室性頻拍が失神の原因にとなることはまれである 355). 電気生理検査の有用性のひとつは検査中に不整脈の原因 を同定し,カテーテルアブレーションにより不整脈を治 失神の診断のために最低限推奨される電気生理検査の プロトコールを以下に示す 340) 療できることである.失神の原因または誘因として上室 性頻拍が考えられる場合には,電気生理検査の適応があ . (1)心房ペーシングによる洞結節回復時間(SNRT) と修正洞結節回復時間(CSNRT)の測定 (2)ベースラインの HV 間隔と心房ペーシング時の る. 心室頻拍では失神が主症状となることがある.臨床的 な心室性不整脈を誘発するために電気生理検査ではプロ グラム刺激法が用いられるが,この方法の問題点は,疾 His-Purkinje 系の評価 (3)右室内 2 か所かつ 2 つの基本周期による期外刺激 患によって感度と特異度が異なることおよび共通のプロ 法を用いた心室頻拍の誘発 トコールがないことである 356),357).一般的には,プログ (4)心房刺激による上室性頻拍の誘発 ラム刺激法は慢性の虚血性心疾患で単形性心室頻拍を持 8 電気生理検査の臨床的意義 つ患者に対しては感度の高い診断法である 358).多形性 心室頻拍や心室細動の誘発の特異度は,臨床的な背景に 依存する.冠動脈疾患で失神の既往を有する患者におい 46 失神評価目的の患者の約 70 %は電気生理検査で正常 て,心室細動誘発の有無と,患者の生命予後に関連を認 所見を示す.しかしながら, 正常の電気生理検査所見は, めなかった 355).また低心機能の失神患者を対象にした 失神の原因としての不整脈を完全に除外はできない.不 研究では,誘発された心室性不整脈(単形性心室頻拍, 整脈による失神を疑う場合には,さらなる検査が必要で 多形性心室頻拍または心室細動)の有無と植込み型除細 ある.失神の原因が不整脈であることを疑う場合には, 動器の適切作動率,生命予後に関連を認めなかった 359). 12 誘導心電図,Holter 心電図,加算平均心電図,T 波変 一方,Brugada 症候群の患者または特発性心室細動の患 動 解 析 心 電 図(TWA,TWV), 心 拍 変 動 解 析(HRV, 者では,多形性の心室頻拍の誘発は予後予測的価値があ HRT 等),植込み型心電用データレコーダ等の検査が必 るとする報告があるが 340)-363),Brugada 症候群の患者で 要である. は,心室頻拍または心室細動の誘発は予後と関連しない, 失神患者に対する電気生理検査の意義は,器質的心疾 というメタ解析もある 273). 患の有無,重症度あるいは心電図異常に依存する.器質 心室頻拍が誘発されないことの予後予測的価値は,基 的心疾患を有する失神例においては 21 %で心室頻拍が 礎心疾患とその重症度に依存する.冠動脈疾患があって 誘発され,34 %に徐脈性心疾患が確認された.異常な 心機能が保たれている患者では,電気生理検査での非誘 心電図を示す失神例では,3 %で心室頻拍が誘発され, 発性は突然死や心室性不整脈に対して低いリスクを意味 19 %で徐脈性疾患を有していた.正常の心臓で正常の する 364),365).また,ICD を使った低心機能の冠動脈疾患 心電図を有する失神症例では,1%で心室頻拍が誘発さ を有する失神患者を対象とした研究では,プログラム刺 れ,10 %で徐脈性疾患を示した 激法は生命予後や心室性不整脈の再発の予測等のリスク 348) .また器質的心疾患 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 評価に有用であった 366)-369).しかし,非虚血性拡張型 心筋症で原因不明の失神を有する患者に対しては,プロ グラム刺激法の予後予測的価値は低い 370).植込み型除 細動器を使った研究では,非虚血性拡張型心筋症の失神 ⅩⅦ 心肺蘇生後の患者 患者では,電気生理検査陰性であったにもかかわらず, 経過中に高い頻度で心室性不整脈が検出された 371),372). 非虚血性拡張型心筋症で原因不明の失神を有する患者で 1 はじめに は,突然死のリスクが高いので,電気生理検査による誘 発の有無にかかわらず植込み型除細動器の適応であ る 372),373) 9 . 電気生理検査の判断基準 本稿では「心肺蘇生後」例を,心停止後心肺蘇生術が 奏功し血行動態が回復し,さらに再発予防に向けて不整 脈の対処が必要な社会復帰可能例として扱う.我が国に おける突然死患者の状況は,消防庁の平成 6 年から平成 13 年までの統計によれば 374),375),発生率は年間人口 10 以下の所見を呈した場合は,失神の原因として不整脈 万対 59.0 であり,心原性と思われる症例の発生率は約 が強く疑われる. 45%の人口 10 万対年間 26.5 程度,したがって年間 2 ~ 3 (1)洞性徐脈で修正洞結節回復時間が著明に延長して 万人と推定されたが,最近では年間 5 万とされている 376). いる(> 525msec)場合 (2)脚ブロックがあり,かつ HV 間隔が 100msec 以上 米国においては,突然死の原因で最も多いのは心室細動 (62 %)であり,蘇生率は 20 ~ 35 %である 377).単形性 または心房ペーシングあるいは薬理学的負荷で の持続性心室頻拍は 10 %以下とされるが,心室細動に HV ブロックが誘発される場合 心室頻拍が先行することは高率であり,心室頻拍は心停 (3)抗不整脈薬の負荷により完全房室ブロックが誘発 される場合 (4)持続性単形性心室頻拍が誘発される場合 (5)血圧低下を来たす早い上室性頻拍が誘発される場 止の主因である.残りは徐脈,心静止,無脈性電気活動 (PEA; pulseless electrical activity)が占める. 2 電気生理検査の役割 合 心停止からの蘇生例では,電気生理検査によりしばし 失神の原因が不整脈であるか意見が分かれるのは以下 ば持続性心室頻拍が誘発される,これは心停止の原因に の場合である. 心室頻拍が関与することと,心臓には心室頻拍(リエン (1)HV 間隔が 70 から 100msec の場合 トリ)の基質があることを示すものであり,診断的価値 (2)器質的心疾患があり多形性心室頻拍や心室細動が が高い.したがって,電気生理検査の目的は以下のよう 誘発された場合 である. (3)Brugada 型心電図を有し,多形性心室頻拍や心室 細動が誘発された場合 10 治療の適応 1 持続性心室性不整脈(心室頻拍ま たは心室細動)の誘発 心室頻拍または心室細動の誘発により基質の存在を証 明する.心室性頻脈の誘発の手法は,本ガイドラインの 失神の原因が電気生理検査により不整脈と診断された 持続性心室頻拍の項に準じる.心肺蘇生時心室細動であ 場合には,治療の適応となる.治療の目的は,失神再発 った例の 51 %,心室頻拍であった例の 76 %で,持続性 の予防,生命予後と生活の質の改善である.不整脈とし 心室頻拍または心室細動が誘発される 378)-380).Brugada ては,洞不全症候群,刺激伝導系障害,上室性頻拍,心 症候群や他の特発性心室細動でも早期刺激で高率に多形 室性頻脈等いずれの不整脈も失神の原因となり得る. 性心室頻拍や心室細動が誘発されるが,その意義につい ては完全に確立していない 381),382).誘発の有無は,植込 み型除細動器の適応の決定に用いられることがある. QT 延長症候群やカテコラミン感受性多形性心室頻拍で も心停止を来たすが,これらについては該当項を参照. 47 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 徐脈による心停止例では,HV 時間が 100msec 以上の例 や,高頻度心房ペーシングに伴い HV ブロックあるいは His 束内ブロックが誘発される場合には,房室ブロック による心停止が示唆される 383),384).洞不全症候群では, ⅩⅧ 抗不整脈薬の治療効果判定 特にオーバードライブ抑制により頻回刺激直後に心静止 を来たすことがあり,オーバードライブ抑制試験は診断 と治療方針の決定に有用である. 2 マッピングと病態解明 不整脈の基質となる異常心筋を評価する.マッピング 1 はじめに 抗不整脈薬の不整脈に対する効果の判定法には,(1) 自覚症状,12 誘導心電図,ホルター心電図,モニター による心内膜異常電位の有無とその範囲を知ることがで 心電図等で臨床的に判定する方法と, (2)電気生理検査 き,カテーテルアブレーションに有用である(持続性心 による不整脈の誘発により判定する方法(電気生理検査 室頻拍の項参照). [EPS]ガイド治療,と呼ばれる)がある.前者は非侵 QT 延 長 症 候 群 で は 単 相 性 活 動 電 位(MAP; 襲的であるが,頻度の少ない不整脈では判定に時間がか monophasic action potential)を用いた病態の解明が行わ かり,重症度の高い不整脈では不整脈再発による生命に れる.WPW 症候群では,副伝導路の伝導性や不応期が 対する危険性もある.後者は侵襲的であるが,危険性の 明らかにできる 108). 高い不整脈に対しても,カテーテル室で十分な準備と設 3 備のもとで判定することができる.電気生理検査による 治療効果判定 抗不整脈薬の効果の判定は,抗不整脈薬投与前に誘発さ 電気生理検査に基づく抗不整脈薬の効果判定は有効と する報告もあるが 385),386) ,CASH 試験のサブ解析では, れていた不整脈が投与後には抑制されることや,頻拍周 期が延長し血行動態が安定することにより有効と判定さ 心停止蘇生例 285 人の中 134 人で心室性不整脈が誘発さ れる.リエントリ機序による不整脈はプログラム刺激に れ,誘発群で全死亡率は有意に高かったが突然死には差 よる誘発率が高いが,撃発活動による不整脈は誘発され 387) .心肺蘇生後の薬物治療の ても再現性に乏しく,自動能による不整脈では誘発され 効果判定に対する電気生理検査の意義は疑問視されてい にくい.したがって電気生理検査による薬効効果判定に が認められなことからも る 388)-391) 4 . 電気生理検査の適応 はリエントリ性頻拍が適している.抗不整脈薬は,頻拍 の成立因子のうち最も修飾しやすい因子に対して抑制効 204) , 392) 果の高いものを理論的に選択する(Scilian Gambit) . 心肺蘇生後の患者に於ける電気生理検査の適応を表 一方で,抗不整脈薬には,伝導抑制,不応期延長,心機 30 に示す. 能抑制作用等により,既存の不整脈が悪化したり,新た に別の不整脈が発生しやすくなったりする作用がある (催不整脈作用)393).電気生理検査では,抗不整脈薬投 与後の心室頻拍誘発により,催不整脈作用の有無を判定 するが,信頼性は必ずしも高くない 394),395). 2 表 30 心肺蘇生後の患者における電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.心肺蘇生例で,心室性不整脈が原因と考えられる例 2.心肺蘇生例で洞不全症候群,房室ブロックが疑われる例 3.心肺蘇生後の心電図が WPW 症候群で,失神の既往や 動悸を伴うもの クラスⅡ a 1.なし クラスⅡ b 1.心肺蘇生の既往のある QT 症候群の病態の解明 2.心肺蘇生の既往のある Brugada 症候群の心室細動の誘 発 48 徐脈性不整脈に対する抗不整 脈薬効果の判定のための電気 生理検査 洞機能不全,房室ブロック,心室内伝導障害等の徐脈 性不整脈について,抗不整脈薬の投与により悪化する可 能性のある場合や,これらを顕在化させる目的で,抗不 整脈薬の投与を行ったうえで電気生理検査による評価を 行う 204),392).Ⅰ a 群薬のプロカインアミドやジソピラミ ド,Ⅳ群薬のベラパミルを静注し,洞結節,房室結節, 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン His-Purkinje 系の機能を再評価する 396)-398).洞機能不全 気生理検査による予後の追跡で,心停止発生率は不整脈 の原因が内因性か自律神経機能不全あるいは薬剤による 誘発不能群よりも不整脈誘発可能群(ただし,薬剤無効) かは治療法の選択に重要である.自律神経の影響を除外 において有意に高値であり,電気生理検査ガイド治療は するために,硫酸アトロピン 0.04mg/kg +プロプラノロ ) 有用であった 408(図 9).冠動脈疾患で左室駆出率 40 % ール 0.2mg/kg を静注し薬理学的自律神経遮断術を行っ 以下,非持続性心室頻拍を有し,電気生理検査で持続性心 て評価する 399).薬剤の影響が考えられれば投与中止し 室頻拍が誘発された患者を対象とした MUSTT 試験 208) てから評価し,自覚症状との関係を再評価する.無症状 では,電気生理検査ガイド治療群と無治療群にふりわけ, の例で不整脈を増悪させるおそれのある薬剤の投与が必 5 年間の経過観察を行った.電気生理検査ガイド治療群 要な場合にも,電気生理検査により評価を行う.特に基 では,電気生理検査により有効と判定された場合はその 礎心疾患を有する例では重要である. 抗不整脈薬を,無効と判定された場合は植込み型除細動 3 4 徐脈性不整脈に対する抗不整 脈薬効果の評価のための電気 生理検査の適応(表 31) 頻脈性不整脈に対する抗不整 脈薬効果の判定のための電気 生理検査 器を選択した.電気生理検査ガイド治療群では無治療群 に比べ,有意に心臓突然死が抑制された(図 10).しか し電気生理検査によって選択された抗不整脈薬治療群と 無治療群では予後に差は認められなかった.同様に突然 死蘇生例において,薬剤によって致死的不整脈が誘発不 能となっても,誘発可能群と比較して予後が変わらない との報告もある 387).また,心臓突然死の蘇生例を対象 とした CASCADE 試験 412)では,アミオダロンの経験的 投与群とアミオダロン以外の抗不整脈薬の電気生理検査 ガイド治療群とを比較し,アミオダロン群において有意 心室頻拍,心室細動を対象とした電気生理検査ガイド に予後が良好であり,電気生理検査における抗不整脈薬 治療では,プログラム刺激は右室心尖部を含む 2 か所で, の心室性不整脈抑制は,予後と関連が認められなかった. 2 つ以上の基本周期で行うことが一般的である(「持続 アミオダロン以外の抗不整脈薬は,電気生理検査ガイド 性心室頻拍」の項を参照)が,単発期外刺激,2 連発期 で有効と判定されても,予後改善には限界があることが 外刺激で誘発されると再現性が高く 400),3 連以上の期外 示された.電気生理検査による薬効評価法はホルター心 刺激で誘発された場合には再現性が低い 401) .誘発刺激 電図や運動負荷試験等の非侵襲的な評価法に比して,検 数が多くなるほど頻拍の誘発率が高くなる(感度が上昇) 査法としての有効性が高いという報告もある 413),414). が,臨床的には生じない非特異的な不整脈が誘発される Platia ら 415)は心室細動や心室頻拍患者において,心室頻 頻度も高くなる(特異度が低下).薬効評価のための誘 拍の再発と突然死をエンドポイントとすると,電気生理 発試験では,β刺激薬であるイソプロテレノール投与に 検査の陽性的中率と陰性的中率はそれぞれ 88%と 94%, より,薬効評価の特異度が上昇することもある 402).抗 ホルター心電図ではそれぞれ 70 %と 50 %であり,電気 不整脈薬の投薬なしで心室プログラム刺激により誘発さ 生理検査の方が予測率が高いと報告している.一方で れていた心室頻拍,心室細動が,抗不整脈薬投薬下での ESVEM 試験 389)では,486 人の心室性不整脈の患者(電 再試験で誘発されなければ,その後致死的不整脈の再発 気生理検査で心室性不整脈が誘発され,ホルター心電図 は少ない 312),403)-411) .院外心停止蘇生例を対象にした電 で 1 時間あたり 10 以上の心室期外収縮を認める)を対 象に,電気生理検査ガイド治療群とホルター心電図を用 表 31 徐 脈性不整脈に対する抗不整脈薬効果の評価のための 電気生理検査の適応 クラスⅠ a)なし クラスⅡ a 1.無症状の房室ブロック,心室内伝導障害例で伝導障害 を増悪させるおそれのある薬剤の投与が必要な場合 2.無症状の洞機能不全症例で洞機能不全を増悪させるお それのある薬剤の投与が必要な場合 クラスⅡ b 1.洞結節機能不全あるいは房室ブロックで抗不整脈の投 与により異常が顕在化できると考えられる場合 いた薬効評価群に分けて有効な抗不整脈薬を判定して, 不整脈の再発率,死亡率を調査した.電気生理検査ガイ ド治療群では 45 %,ホルター心電図ガイド治療群では 77 %の患者で有効抗不整脈薬が決定されたが,両群間 に不整脈イベントの発生率に差はなかった(図 11).電 気生理検査による薬効評価は,有用であるとの報告も多 いが相反する報告もあり,一定した結論が得られていな い.心臓突然死からの蘇生例,器質的心疾患を伴う低心 機能例における心室頻拍症例等に対する植込み型除細動 49 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 図9 院外心停止蘇生例での予後評価 1.0 心室頻拍誘発可能/薬剤有効群,n=91 0.8 心室頻拍誘発不能群,n=35 累積生存率 0.6 0.4 心室頻拍誘発可能/薬剤無効群,n=36 0.2 1 2 3 4 5 経過(年) 図10 低左室機能,非持続性心室頻拍を伴う冠動脈疾患例での予後評価 0.6 0.5 p=0.04 イベント発生率 0.4 0.3 無治療群 0.2 電気生理検査ガイド治療群 0.1 0.0 0 50 1 2 3 4 5 年 器 の 有 用 性 が MADIT209),AVID416),MUSTT208), 生を抑制するものではないので,不整脈発生の予防を目 CIDS417),CASH418)で実証された.これらに対しては薬 的とした薬物療法の併用は臨床的に重要である. しかし, 物療法よりも植込み型除細動器が第一選択の治療である 器質的心疾患を有する患者の抗不整脈薬治療にはアミオ ことが結論された 15),333),419).しかし,植込み型除細動器 ダロンが第一選択薬であり,また上述したエビデンスに は発症した不整脈を停止させる手段であり,不整脈の発 より,それ以外の薬剤を電気生理ガイドで治療する意味 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 図11 ホルター心電図と電気生理検査による薬効評価法の比較 100 100 ホルター心電図ガイド治療群 ホルター心電図ガイド治療群 電気生理検査ガイド治療群 死亡率︵%︶ 不整脈再発率︵%︶ 80 60 40 電気生理検査ガイド治療群 60 40 20 20 p=0.69 0 1 2 3 4年 は少ないと考えられる.房室結節リエントリ性頻拍また は 房 室 回 帰 性 頻 拍 等 の 上 室 頻 拍 に 対 し て,Vaughn Williams 分類のⅠ群,Ⅱ群,Ⅳ群の薬効評価が以前は行 われていたが 420)-422),最近では薬効評価を行わずにカ テーテルアブレーションを第一選択とする場合が多い. また,洞結節リエントリ性頻拍,心房頻拍,心房粗動症 例の薬効判定に関する有用性の報告は少なく,エビデン スは十分ではない. 5 80 頻脈性不整脈に対する抗不整 脈薬効果の評価のための電気 生理検査の適応(表 32) 0 p=0.23 1 2 3 4年 表 32 頻 脈性不整脈に対する抗不整脈薬効果の評価のための 電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.なし クラスⅡ a 1.持続性単形性心室頻拍における薬効および催不整脈作 用の評価 クラスⅡ b WPW 症候群,房室結節リエントリ性頻拍,洞結節リエン トリ性頻拍,心房頻拍,心房粗動症例の薬効判定 動が 3,277 例,WPW が 3 例,心室頻拍(ドール手術が主) が 97 例,その他 135 例であった.毎年,同程度の不整 脈手術が行なわれているが,心房細動以外の手術件数は かなり少なくなっている.最近,多くの内科医は,薬物 抵抗性の心室頻拍に対して ICD 植込みを行っている.し ⅩⅨ 不整脈の外科的治療法 かし,ICD は心室頻拍の停止治療であり,患者は死の恐 怖はなくなるが,ICD のショックの恐怖は存在し,自殺 者も出たことがある.また,薬剤抵抗性の心室頻拍症に 対するカテーテルアブレーション不成功例で,頻拍が多 1 はじめに 発する場合は ICD の適応でもない.このような症例が 外科手術に送られることはほとんどないのが現状である (日本胸部外科学会の 2008 年の全国調査).外科治療で 近年,カテーテルアブレーションが広く行なわれるよ は,虚血性や特発性の心室頻拍の手術成功率は 90 %以 うになって,不整脈の外科的治療の症例数は減ってきて 上であり,手術が成功した場合は,術後に無投薬で,通 いる.しかし,日本胸部外科学会の 2008 年の調査では, 院する必要もなく,頻拍発作は全くなくなる治療法であ 不整脈外科症例は 1 年間で 3,512 例あり,内訳は心房細 る.他方,WPW 症候群において,カテーテルアブレー 51 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) ションの成功率は 95 ~ 99%と報告されている.正確な 全国統計はないが,日本の累積症例数は 10 万例を超え 図12 マッピング装置(HPM6500) ると考えられ,不成功例は少なく見積もっても 1,000 例 が存在することになる.しかし,2008 年のデータでも カテーテルアブレーション不成功例を外科に紹介された 症例は皆無で,2008 年の全国統計を見ても,WPW 症候 群の手術は合併手術の 3 例のみであった.外科症例が少 なく,不整脈外科医が育たない場合に,結果として外科 に患者が送られない.そのような悪循環が既に起ってい る. 2 電気生理検査の適応 本ガイドラインにおける適応には 2 つの意味がある. その 1 つは不整脈に対する外科手術を行うかどうかの適 応であり,対象疾患は WPW 症候群,房室結節リエント リ性頻拍,心室期外収縮,心室頻拍,心室細動,心房期 外収縮,心房頻拍,心房粗動,心房細動等である.もう 1 つは術中における電気生理検査の適応である.術中の マッピング装置には,体表面マッピング装置を改良して 作製された装置(HPM6500,中日電子社製)(図 12) および各施設で開発,作製した装置がある.これらにお いては,同時に多チャンネルの局所電位を記録,表示す ることが可能である. 3 疾患別各論 1 WPW 症候群 Sealy ら ピングは技術的に困難であるので,体外循環下に心内膜 マッピングの併用を行った方がより正確に副伝導路の部 423) は, 術 中 に 心 表 面 マ ッ ピ ン グ を 行 い, WPW 症候群に対する副伝導路の外科的切断術を世界で 初めて心外膜側から行った.岩ら 424) は同様に,心内膜 在する WPW 症候群では,心内膜マッピングは必須であ る.左側副伝導路 WPW 症候群の心内膜マッピングは, 側から副伝導路切断術を行った.WPW 症候群の非薬物 空気栓塞を起こさないように慎重な操作が必要である. 治療の適応は,high-risk 群(副伝導路の有効不応期が マッピング装置がない等マッピングが不可能である場 250msec 以下)で,カテーテルアブレーションが不成功 合は,術前のΔ波形から,Gallagher らの分類 99)等に基 であった例が手術適応となる.近年は,カテーテルアブ づいて存在部位を推定することにより,副伝導路の推定 レーションの成功率が高くなり,手術を必要とする症例 部位および近傍の弁輪を大きく切離する必要がある. はほとんどない.術中における副伝導路部位のマッピン 手術によるΔ波の消失により,順行性副伝導路伝導の グは,副伝導路の部位を正確に同定するために必須の検 切断が確認される.しかし,逆行性副伝導路伝導の残存 査である.副伝導路の順行伝導のマッピングは,複数副 もあり得るので,心室の頻回ペーシングによる逆行室房 伝導路の可能性もあるので,2 か所以上の心房からペー 伝導の Wenckebach ブロック,あるいは ATP 急速静注に シングを行い,心室のマッピングを行うことが推奨され よる室房ブロックが確認されれば,副伝導路切断に成功 る(図 12,13,14).逆行性伝導のマッピングは,心 したと判断する. 尖部からの心室ペーシングで弁輪付近の心房のマッピン グを行う.A 型 WPW 症候群の逆行性伝導の心外膜マッ 52 位を決定することが可能となる.中隔側に副伝導路が存 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 図13 WPW 症候群における洞調律時の心室表面マッピング 心室期外収縮の多くは右室流出路起源である. (心室を後中隔で切開した展開図) 洞調律 PA LAD 収縮の起源,すなわち最早期興奮部位を同定し凍結する. 4 LV. ANT OM RV. ANT LV. POST RV. DIAPH 心室頻拍 Fontaine ら 425)や Spurrell ら 426)は,初めてマッピング 法を用いて心室頻拍に対する外科的治療を行った.その 後,Hartzler427)により直流通電によるカテーテルアブレ ーションが開始され,さらに,Huang ら 428)により高周 波通電によるカテーテルアブレーションが開発されたた めに,手術適応はカテーテルアブレーション不成功例の みに限定されるようになった.また,カテーテルアブレ APEX ーションの不成功例も含めて植込み型除細動器の適応が 拡大したために,外科的治療の適応となる症例は減少し 図14 右房下壁でペーシングした時の心室表面マッピング (心室を後中隔で切開した展開図) PA LAD 電気生理検査としては心室頻拍を誘発して,図 12 等 のマッピング装置を用いて,心外膜マッピングを行う. OM RV. ANT 外科的切除術は根治的治療であり,薬物治療が不要で生 命予後も極めて良好なので,有用な治療法である. LV. ANT ペーシング た.しかし,不整脈の基質(心室瘤,瘢痕等)に対する LV. POST RV. DIAPH 誘発された心室頻拍により血行動態が不安定になって も,開胸時には体外循環を用いればマッピングが可能で, 心室頻拍の起源の同定が可能である.また,心室頻拍の 起源は一般的に心内膜側に多いが,特発性心室頻拍の起 源は心外膜側にある場合がある.心内膜マッピングは手 技的に困難であり,手製のバルーン電極があるが入手困 APEX 難である. マクロリエントリとマイクロリエントリではマッピン グ方法が異なる.図 15 の中央と左の 2 個のマッピング 2 房室結節リエントリ性頻拍 は全く同じような図になるが,機序は全く異なる.中央 はマクロリエントリであり,狭部の伝導を遮断すれば治 カテーテルアブレーションが不成功である場合や,他 療できる(図右).左はマイクロリエントリであり,マ の心臓手術に附随して行う時に手術適応となる.Koch イクロリエントリの起源部位を破壊しなければならな の三角の中にある遅伝導路を凍結する.術中の電気生理 い. 検査では洞調律時に心内膜マッピングを行い,二重電位 (double potential)を認める部位を同定して凍結を行う. 5 心室細動 しかし,実際は二重電位(double potential)の同定は困 三崎らは心室細動に対する外科治療をマッピングを用 難であり,頻脈発作を誘発して頻拍中に Koch の三角内 いて行ったが,植込み型除細動器が開発されてからは, の三尖弁輪に沿って凍結を行い,頻脈が停止すれば成功 心室細動に対する外科的治療の報告はない. とする.まれではあるが,房室結節の上方に遅延伝導が ある場合もある. 3 心室期外収縮 カテーテルアブレーションが不成功か,他の心臓手術 に附随して行う時に手術適応となる.術中に心室期外収 縮が発生しなければ手術はできない.術中の電気生理検 査としては,心室の心外膜マッピングを行い,心室期外 6 心房期外収縮 理論的には心房期外収縮のマッピングを行い,凍結に よる外科治療は可能であるが,心房期外収縮は生命予後 に関わる不整脈ではないので,実際の報告例はない. 7 心房頻拍 手術適応はカテーテルアブレーションが不成功である 53 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 図15 マイクロリエントリ 心室頻拍におけるリエントリ機序 マクロリエントリ イクロリエントリ 一方向性 ブロック 例,または他の心臓手術に付随して行う場合である.外 極数 253 点)でのマッピングガイドによる maze 手術を 科治療では,詳細な心内膜マッピングが可能であるので, 推奨している.しかし,現実的には心房細動のマッピン 頻拍起源の同定が容易である.しかし,頻拍起源を治療 グが可能な装置を有する施設はほとんどない.Maze 手 するごとに他の部位で再発することがあるので,状況に 術の成否は,術直後に心房細動誘発試験を行い,心房細 よっては周辺を大きく隔離する方法が推奨される. 動が誘発されなければ成功と判断する.しかし術後遠隔 8 期に心房細動が再発することがあるので,判断基準とし 心房粗動 ては信憑性に乏しい. 心房粗動単独では,カテーテルアブレーションの成功 率が高いために,手術適応となる症例はほとんどない. 手術適応になるのは他の心臓手術に付随して行う場合の 1)孤立性心房細動に対して みである.心房粗動には通常型と非通常型とがあり,通 家坂ら 432)の報告では,孤立性心房細動に対するカテ 常型は三尖弁-下大静脈間峡部を介するマクロリエント ーテルアブレーションの成功率は,発作性心房細動に対 リが多く,峡部である三尖弁輪と下大静脈の間を高周波 しては 85 ~ 90%,持続性心房細動に対しては 80%であ 通電により焼灼するカテーテルアブレーションが普及し る.現在では,発作性,持続性いずれの場合もカテーテ ている.当初は,心房粗動に対しても maze 手術が行な ルアブレーションは第一選択と考えられているので,カ われたが,最近は,外科的にもカテーテルアブレーショ テーテルアブレーションの不成功例が手術適応になる. ンの経験を応用して,三尖弁-下大静脈間峡部に対する 手術的治療では開心術を行うので,孤立性心房細動は必 凍結または高周波焼灼が行なわれている. ず 治療 さ せるこ と が要求さ れる. したが って, 左房 9 maze 手術や外科的肺静脈隔離ではなくて,完璧な maze 心房細動 Cox ら 手術を行うべきである. 429) 小坂井ら は,心房細動に対する,maze 手術を発表した. 430) は日本で最初の maze 手術を行った.その後 2)僧帽弁膜症の心房細動に対して maze 手術は種々の改良がなされた.現在,最も多く行 弁膜症に対する手術が主であり,maze 手術は付随手 なわれている不整脈手術であり,これらについて詳細に 術として適応は拡大されるが,結果的に心房細動が治ら 解説する. なければ無意味な処置になるので,適応は慎重に決定す べ き で あ る. 左 房 が あ ま り 大 き く な い( 左 房 径 < ①術中電気生理検査 70mm)場合は,全例が maze 手術適応である.左房が Cox ら 429)の方法による Maze 手術は成功率が高いため に,急速に普及した.しかし,新田ら 54 ②心房細動に対する適応 431) はさらに多点(電 さらに大きくても(80mm >左房径≧ 70mm),心機能 が良い場合は maze 手術の適応である.しかし,低心機 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 能例や強度の癒着がある場合は,簡易な外科的肺静脈隔 5)Radial 手術 離術も選択肢の 1 つである.左房が巨大な場合(左房径 1999 年に新田ら 439)は迷路状に切開するのは非生理的 ≧ 80mm)は成功例がほとんどないので,手術適応には と考え,洞結節を中心に心房を放射状(radial)に切開 ならない. する radial 手術を開発した.さらに,左房後壁の収縮を 得るため,個々の肺静脈を隔離し左房後壁は隔離しない. 3)その他の心臓病に合併する心房細動に対して しかし,Pappone ら 440)は,心房細動の起源として肺静 これらの左房は一般的に小さいので,maze 手術の成 脈内のみならず左房後壁も関与していると述べている点 功率は高くほとんどの症例が適応と考えられる.侵襲を が今後の問題である.最近の成功率は 88%である. 少なくしたい時は,外科的肺静脈隔離術も選択肢の 1 つ 6)肺静脈隔離手術 である. Jais ら 441)は心房細動の起源は肺静脈内にあり,4 本の ③手術手技について 肺静脈を個別に隔離するだけで心房細動の 70 %が治る 1)Cox - maze 手術 と報告した.Sueda ら 442)は手術時に 4 本の肺静脈を左房 Cox らも術後のペースメーカ植込み例が多かったので 後壁を含めて隔離するだけで成功率は 70%であった. 術式の改良を行い,現在 Cox-maze Ⅲが広く行われてい る 433).孤立性心房細動を主な対象とした成績では 98.8 7)低侵襲 maze 手術 %の成功率であった 434).ワシントン大学からは Cox- 最近では低侵襲手術による maze 手術を報告している 443). Maze Ⅳが報告されているが,デバイスの関係で日本で しかし,2000 年に行なった日本のアンケート調査 444)で はあまり普及しているようには思えない. は,洞調律を復元した率は,孤立性心房細動では 55%, 僧帽弁膜症の心房細動では 76 %,先天性心疾患の心房 細動では 91 %,その他の心房細動では 73 %であった. 2)小坂井- maze 手術 1994 年に小坂井ら 430) は,僧帽弁膜症に合併する慢性 個々の肺静脈隔離では,カテーテルアブレーションを超 心房細動に対しても maze 手術が有効であることを報告 えることはできないと思われる.超音波等を用いた Box した.さらに合併手術が多かったので,4 つの改良を行 アブレーションであれば,通常のカテーテルアブレーシ った 435).改良点は,(1)洞機能温存のため洞結節動脈 ョンを超えることは可能であると思われる. を切断しない凍結法の多用, (2)心房利尿ホルモンの分 泌維持のため右心耳の完全温存と左心耳の一部温存, 4 まとめ (3)僧帽弁膜症と同時手術の場合には,拡張した左房の 縮小化, (4)僧帽弁の視野改善の目的で上大静脈の切断, 心房細動の機序を理解し忠実に maze 手術を行なえば, 等である.小坂井- maze 手術では,孤立性心房細動の その成功率は手技の如何にかかわらずほぼ同様である. 95 %,僧帽弁膜症の心房細動の 80 %,先天性心疾患の したがって,手術成績は手技による差より,マイクロリ 心房細動の 92 %,その他の心房細動の 91 %が洞調律に エントリの有無や自動能の亢進の有無等が成績への影響 復した. 因子であり,対象患者による差が大きいと考えられる. 3)左房- maze 手術 1996 年に Sueda ら 436)は僧帽弁膜症に合併する心房細 動に対しては,左房のみ迷路状に切開する簡便法を報告 ⅩⅩ 小児の不整脈 した.成功率は 86 %であったが,三尖弁閉鎖不全を合 併する症例では成功率は低下した. 1 はじめに 4)Compartment 手術 1996 年に Lin ら 437)が開発した術式で,心房を右房, 小児の電気生理検査の方法は基本的には成人と大差は 左房,心房中隔の 3 つ compartment に分割する手術であ ないが,先天性心疾患や先天性心疾患術後例が多く,ま る.Shyu ら 438)は 22 例中 14 例(86 %)において成功し た体格が小さいこと等でカテーテルの数や太さが制限さ ている. れる. 55 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 2 ら左心へのアプローチが容易に行えることもある. 電気生理検査の適応 また小児では,成人とは正常値が異なる.小児の電気 生理検査における正常値を表に示す(表 33)482),483).修 小児における各不整脈についての電気生理検査,原因 正洞結節回復時間は小児では 275msec 以上は異常値であ 不明の失神,心停止蘇生後の患者,薬物治療効果判定, る.洞房伝導時間(Narula 法および Strauss 法)は小児 外科治療,ペースメーカ植込み,アブレーションについ では 200msec 以上は異常値である. ての適応は成人における電気生理検査の適応に準ずる. 小児特有の不整脈としては,先天性完全房室ブロック, 4 臨床的意義 接合部異所性頻拍(junctional ectopic tachycardia),カ テコラミン誘発多形性心室頻拍,先天性心疾患術後の不 小児における電気生理検査の臨床的意義は,(1)頻脈 整脈等がある. 性不整脈のカテーテルアブレーション治療のため頻拍を 先天性完全房室ブロックは,ブロック部位の診断等を 誘発し,起源を同定する, (2)失神,心停止例で心室細動, 目的として電気生理検査が行われるが,成人の房室ブロ 心室頻拍等の頻脈性不整脈と失神の因果関係を推定す ックと適応は同一である. る,(3)失神を伴う房室ブロック,洞機能不全例で失神 接合部異所性頻拍は難治性で,高周波カテーテルアブ と徐脈性不整脈の因果関係を推定する,等である.成人 レーションが可能な他の上室頻拍との鑑別が困難な場合 例と比較して異なる点は,虚血性心疾患に伴う心停止蘇 には,電気生理検査の適応となる(クラスⅡ b). 生例は非常にまれであり,心筋症,心筋炎,QT 延長症 先 天 性 心 疾 患 に 対 す る Mastard 術,Senning 術, 候群,カテコラミン誘発多形性心室頻拍等の不整脈に伴 Fontan 術等の手術後で,種々の心房頻拍を合併する場 う心停止蘇生例が多いこと 484),先天性房室ブロックで 合 150),165),445)-449) や,Fallot 四徴症術後等で心室頻拍を合 併する場合に,予後の判定 450)-456) ,不整脈の機序およ は下位自動能が比較的しっかりしている場合があるこ と,心房細動が非常にまれであること等である. び回路を同定することにより,高周波カテーテルアブレ QT 延長症候群,カテコラミン誘発多形性心室頻拍 481) ーションを行う目的447),457)-478)で電気生理検査を行う (ク に関しては,電気生理検査で不整脈が誘発されることは ラスⅡ a). ほとんどなく電気生理検査を行う意味は少ないが,他の カテコラミン誘発多形性心室頻拍は, 多形性心室頻拍, 心室性不整脈との鑑別,薬剤負荷による診断確定,薬物 2 方向性心室頻拍,心室細動等が運動で誘発され,死亡 治療方針の決定のために行われることがある. 率が 20%にも達する予後不良の疾患である 479),480) .リア ノジン受容体や carsequestrin 異常により発生し,細胞内 5 判断基準 2+ Ca が過負荷になることにより遅延後脱分極を機序とす る心室頻拍が発生する.発症年齢は 10 歳前後で,安静 接合部頻拍の定義は,narrow QRS と房室解離を伴う 時には特徴的な心電図所見は洞性徐脈のみである.植込 持続性頻拍であり,心室拍数は 140 ~ 370/ 分(平均 230/ み型除細動器の植込みも行われるが,電気生理検査の絶 分 ) を 示 す. 小 児 に 多 く,His 束 か ら 発 生 す る focal ) 対的適応は少ない 481(クラスⅡ b). junctional tachycardia(junctional ectopic tachycardia)103) 3 方法 と 房 室 結 節 か ら 発 生 す る nonparoxysmal junctional tachycardia がある.Focal junctional tachycardia(junctional ectopic tachycardia)には先天性のものと術後に一過性 56 心腔内心電図記録,プログラム刺激による,不整脈の に発生するものがあり,頻拍中に房室解離を伴うか,ま 誘発,房室ブロックの部位診断,洞結節機能,房室伝導 れに 1:1 室房伝導を認める.頻拍の機序は自動能もし 能等の評価方法は成人の場合と同じである.ただし,5 くは撃発活動であり,H 波の先行する narrow QRS 頻拍 歳未満の小児では,同一静脈に合計で 12F を超えるカテ で, 電 気 生 理 検 査 に よ っ て, 誘 発 停 止 が で き な い, ーテルを挿入したり,動脈に 7F 以上のカテーテルを挿 overdrive suppression が認められる,等の所見があれば 入したりすると,血管閉塞の可能性が高くなるため,で 確 定 的 で あ る 103),485). 一 方,nonparoxysmal junctional きるだけ細いカテーテルを選択する.また 1 本のシース tachycardia はジゴキシン等の薬剤,低カリウム血症等に から数本のカテーテルを挿入する方法もある.成人例と 伴うことが多く,頻拍中はほとんど 1:1 房室伝導を呈 異なり乳幼児では卵円孔開存の可能性があり,静脈側か する.頻拍の機序は自動能亢進もしくは撃発活動で,A 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 表 33 小児における電気生理学的指標の正常値 伝導時間 年齢 <2 2~5 6 ~ 10 11 ~ 15 > 15 0~1 2~5 6 ~ 10 11 ~ 15 16 ~ 19 Gillette447) 谷平 475) 洞周期 284 ~ 660 370 ~ 690 361 ~ 797 441 ~ 885 504 ~ 1040 494.2 ± 74.3 602.6 ± 175.2 653.2 ± 131.9 678.4 ± 140.0 814.2 ± 144.4 PR 87 ~ 147 101 ~ 169 108 ~ 172 108 ~ 172 103 ~ 197 121.3 ± 13.6 117.9 ± 6.8 124.0 ± 18.1 131.6 ± 20.0 136.3 ± 18.3 AH 40 ~ 96 45 ~ 101 40 ~ 124 46 ~ 106 43 ~ 135 72.0 ± 10.4 63.3 ± 6.4 70.8 ± 15.5 74.0 ± 18.3 77.0 ± 11.0 HV 15 ~ 55 27 ~ 59 28 ~ 52 25 ~ 57 20 ~ 48 31.2 ± 3.9 33.5 ± 4.3 33.2 ± 6.0 37.5 ± 13.1 37.7 ± 6.6 RAERP AVNERP 148 ~ 395 135 ~ 295 126 ~ 238 288.7 ± 40.6 263.6 ± 62.8 245.6 ± 37.4 AVNERP 228.5 ± 28.6 224.0 ± 7.1 293.3 ± 41.7 279.5 ± 53.2 278.1 ± 40.0 AVNFRP 285 ~ 501 204 ~ 452 195 ~ 359 452.7 ± 80.7 400.8 ± 80.4 324.0 ± 78.7 AVNFRP 321.5 ± 54.4 348.4 ± 76.8 396.2 ± 81.2 411.5 ± 75.9 510.3 ± 101.1 VERP SRT 636.3 ± 119.4 797.5 ± 224.4 855.3 ± 191.1 957.1 ± 206.4 1175.8 ± 206.1 不応期 周期 ≧ 600 450 ~ 599 Gillette447) < 450 ≧ 600 450 ~ 599 谷平 475) < 450 年齢 0~1 2~5 6 ~ 10 谷平 475) 11 ~ 15 16 ~ 19 RAERP:右房有効不応期 AVNERP:房室結節有効不応期 AVNFRP:房室結節機能的不応期 VERP:心室有効不応期 202.1 ± 26.4 179.1 ± 18.3 158.3 ± 22.3 RAERP 160.0 ± 26.5 173.8 ± 32.5 187.0 ± 28.3 184.9 ± 23.1 210.6 ± 29.3 233.4 ± 22.4 208.4 ± 21.3 180.6 ± 20.5 VERP 200.0 ± 27.4 204.3 ± 34.6 211.9 ± 26.5 218.3 ± 30.6 228.5 ± 26.1 波,H 波が先行する narrow QRS 頻拍である. 場合には積極的に治療が必要である. 先天性心疾患術後の頻拍性不整脈は,回路の同定が困 先天性心疾患術後症例も心房粗動が突然死のリスクフ 難で 165),446) ,electro-anatomical mapping 等を積極的に使 用することで,頻拍回路の同定を行うことが可能とな る 165),457),486)-490) 6 . 治療の適応 ァクターとなり得る事が報告されており 503),心房粗動, 心房切開線を旋回する心房頻拍等はカテーテルアブレー ションによる治療の適応である. 先天性心疾患術後の心房細動は脳梗塞等の塞栓症の発 生が多く 504),先天性心疾患に対する根治手術等が必要 である.現在まで,これらの症例に対する抗不整脈薬, Focal junctional tachycardia ( junctional ectopic ワルファリン,肺静脈隔離術等の有効性に関する報告は tachycardia)は術後のものは一過性であることもあるが, ない. 先天性のものは持続性,再発性で,致死的となることも Fallot 四徴症術後等の心室頻拍も,突然死のリスクが あるので,種々の薬剤 491)-495),カテーテルアブレーシ 高く,現在ではカテーテルアブレーションの適応とな ョ ン 495)-498) の 治 療 適 応 で あ る.Nonparoxysmal る 460)-464). junctional tachycardia は基礎病態の治療でコントロール 無症候性 WPW 症候群に電気生理検査を行い,房室回 可能なことが多いが 499)-501),薬剤を使用する必要があ 帰性頻拍もしくは心房細動の誘発される例にカテーテル る場合もある 502) . アブレーションを行った方がその後の不整脈に基づくリ Fontan 術後例では,心房頻拍,心房粗動,心房細動等 スクを減らせるとの報告もあるが 119),日本の現状では の上室頻拍が致死的となり得るため,頻拍を証明できた 一般的とはいえない. 57 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) かにされている 516). ⅩⅩⅠ 現在,一般的に容認されている心臓再同期療法の適応 心臓再同期療法 基準を満たす症例や非侵襲的検査により,この治療法の 有効性が予測できる場合には,侵襲的な電気生理検査の 臨床的意義はない.また,今後は心臓再同期療法の適応 1 拡大,すなわち心不全症状が比較的軽症である場合, はじめに QRS 幅が 130msec 未満の場合,ペースメーカの適応が あり右室ペーシング率が高い場合,左室駆出率が比較的 低心機能症例における左室内伝導障害は,左室収縮様 良好な場合,薬物治療が十分に行われていない場合,等で 式の異常(非同期性収縮:dyssynchrony)を招き心機能 もこの治療法が適用されていくことが予想される 517),518). 低下をさらに悪化させる 505) .左室内の収縮遅延部位(一 そのような状況においても,電気生理検査による急性期 般的には左室自由壁)が心室中隔の運動と同期できるよ の血行動態改善効果が,長期的な効果を予測できる科学 うに電気刺激をして,この非同期性収縮を是正する方法 的根拠に乏しいため,電気生理検査の意義は少ない. を 心 臓 再 同 期 療 法(CRT; cardiac resynchronization therapy)と呼び,心不全に対する新しい非薬物治療と して注目を浴びている 3 電気生理検査の方法 506)-508) . 日本の保険診療におけるこの治療法の適応は,中等度 ペーシング可能なカテーテル電極を右室と冠静脈に留 以上の心不全症状があり(NYHA ⅢまたはⅣ),QRS 幅 置する.冠静脈に留置困難な場合には,左室腔内に留置 が 130msec 以上,左室駆出率が 35 %以下,薬物治療抵 してもよいが,長期的なペーシングを行う場所とは異な 抗性とされているが,この適応基準を遵守したとしても るペーシング部位での検査になるので,極力避けるべき 十分な治療効果が得られない nonresponder が 20 %前後 である.左室ペーシング用カテーテル電極を冠静脈に挿 存在する 509) .左室ペーシングの部位の問題 510) ,心室中 入する場合には冠静脈造影を行い,個々の冠静脈形態と 隔と左室自由壁をペーシングするタイミングの問題 511), ペーシング部位との関係を把握しておく必要がある.左 左室自由壁をペーシングしても心筋収縮が得られないほ 室ペーシングを行う場合には,ペーシング閾値,左室 V ど心筋障害が進行している,等の要因が考えられている 波高以外にもペーシング時の横隔膜トウィッチング(横 が,心臓再同期療法を行うためのデバイス植込み手術が 隔膜直接刺激,横隔神経刺激)の有無を観察する. 侵襲的であり,その成功率も 90 %前後であることを考 自己リズム,右室単独ペーシング,左室単独ペーシン 慮すると 509),植込み後に効果が得られないという事態 グ,両心室ペーシングでの血圧,肺動脈圧,心拍出量, は可能な限り回避すべきである. 動脈圧または左室内圧の dP/dt 等を測定し,また同時に 2 電気生理検査の適応(表 34) 心エコー検査を行い,僧帽弁逆流や左室同期性収縮の変 化等を観察して,血行動態的に有利なペーシング様式を 検討する. 心臓再同期療法に対する電気生理検査の目的は,植込 み手術に先立ちその効果を予測することにある.しかし 4 臨床的意義 ながら,最近では心臓超音波法や MRI 等を用いた非侵 襲的な検査により心臓再同期療法の効果を予測する試み があり 512)-515) ,またこれまでの多くの前向き試験結果 の検討により,この治療法が効果的な症例の特徴が明ら 表 34 心臓再同期療法における電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.なし クラスⅡ a 1.なし クラスⅡ b 1.非侵襲的検査により心臓再同期療法が有効であること を術前に予測が可能な場合 58 心臓再同期療法に際しての電気生理検査の意義に関し ては,徐々に低下している. 5 判断基準 電気生理検査により一時的両心室ペーシングを行い, その結果として得られた血行動態がどの程度改善されれ ば,永久式両心室ペーシング法を用いた心臓再同期療法 の適応になるか否かの判断基準は今のところは明確では ない.また,心臓カテーテル法での急性期効果が慢性期 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン にも永続するか否かも未知である. 6 治療の適応 植込み適応決定上の有用性が高まるわけではない. 徐脈性不整脈を見た場合,常に基礎心疾患の存在を考 える必要がある.基礎心疾患によっては,徐脈は改善し 得る.急性下壁心筋梗塞にはしばしば房室ブロックを合 両心室ペーシングによる心臓再同期療法の適応に関し 併するが,多くは数日以内に改善する 529).心筋炎には, ては既述した通り,現状では中等度以上の心不全症状が 一過性に房室ブロックや洞不全症候群が合併することが あり(NYHA ⅢまたはⅣ),QRS 幅が 130msec 以上,左 あるので,ペースメーカを植え込む前に必要に応じて対 室駆出率が 35 %以下,薬物治療抵抗性の場合とされる 外式ペーシング等を行って,経過をみる必要がある. が,心不全症状が軽い症例(NYHA Ⅰ,Ⅱ),QRS 幅が 筋緊張性ジストロフィ,Kearns-Sayre 症候群,Erb ジ 130msec 未満,心室ペーシングが必要な徐脈性不整脈が ストロフィ(肢帯)および腓骨筋萎縮症等の神経筋疾患 ある症例,ペースメーカ植込み患者で心室ペーシング率 において房室ブロックの合併が知られており 530)-536), が高い症例等に適応が拡大される可能性がある. ペースメーカ植込みの適応を決める上において,電気生 理検査が有用であることがある. ⅩⅩⅡ 心臓ペースメーカ植込み 徐脈,神経調節性失神 343),537)-541),閉塞性肥大型心筋 症における閉塞の改善 542)-545),心不全に対する心室再 同期ペーシング治療による心機能改善 546)-550)を,一時 的ペーシングによって評価することがペースメーカ植込 1 はじめに み適応の決定に有用なことがある. 洞不全症候群に対するペースメーカ植込みでは房室伝 導能が問題であり,房室伝導が不良の場合には,AAI ペ 電気生理検査によるブロック部位の確認はペースメー ースメーカは適応とならない 15),519),551).室房逆行性伝導 カの植込み適応の決定に重要であるが,房室ブロック患 は洞不全症候群の約半数に認められ,心室ペーシングによ 者のすべてにおいてペースメーカ植込み適応の決定に電 る心房負荷の増大,心機能低下を生じるために 552)-559), 気生理検査が必要というわけではない 15),519).一般的に ペースメーカ症候群 560)の原因となり,心房細動の発生 は,房室結節より上位における房室ブロックの予後は良 頻度を高める 558),561)-563).DDD ペースメーカを植込んだ 好であるが,ヒス束内およびヒス束より以下の房室ブロ 場合には,endless loop tachycardia564)の原因ともなるの ックの予後は不良であり,ペースメーカ植込みが必要で で設定に配慮が必要である. ある 68),383),520)-522).房室ブロックに対する電気生理検査 消退が予想され,再発しないと考えられる徐脈性不整 の特異度は高いが,感度は低い.そこで感度を上げるた 脈や明らかにペースメーカ植込み適応のない徐脈性不整 めにⅠ群抗不整脈薬が利用されるが,それでも感度は十 脈,徐脈性不整脈を認めるが,めまい,眼前暗黒感,失 分高いとはいえない 47). 神等の症状が他の疾患によることが明らかで,ペースメ 洞機能評価のための電気生理検査として洞機能回復時 ーカの植込み適応のない場合には,電気生理検査を行う 間 17),18),40),523),524)や洞房伝導時間 19),23),516)が測定される 意味はない.また,ペースメーカ植込み適応となる所見 が,特異度は高いが感度は低いために,電気生理検査に が認められており,診断が明らかな場合に,単なる診断 よって洞不全症候群を完全には否定することはできな を目的にした電気生理検査を行う意味はない. い.Overdrive suppression test の 感 度 を 上 げ る た め に, verapamil,Ⅰ群抗不整脈薬 524)等を用いた薬物負荷が行 われている.洞不全症候群自体の生命予後は比較的良好 であり 525)-527),症状のない洞不全症候群はペースメー カの植込みの適応とはならない 15),519).電気生理検査は, ペースメーカ植込み適応の決定における役割が大きいと はいえないが,洞不全症候群が強く疑われながら確定所 見が得られない場合には,電気生理検査は有用である. 自律神経の影響を除くために薬理学的自律神経遮断 528) が行われるが,それにより電気生理検査のペースメーカ 59 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 2 電気生理検査の適応(表 35) 解剖学的情報を提供する CARTO システムや NaVX シス テムによる electro-anatomical(EA)マッピング法が導 入され,アブレーションにさらに有用な情報が得られる ようになった. ⅩⅩⅢ 1 アブレーション はじめに 2 アブレーションを前提とした 電気生理検査の目的 アブレーションを前提とした電気生理検査は,(1)頻 拍の誘発と診断,(2)アブレーションの標的部位となる 頻拍発生起源および発生回路・発生基質の同定,(3)ア ここ数年間のカテーテルアブレーションの進歩とし て,心房細動アブレーションの適応が,発作性心房細動 から,持続性・慢性心房細動へも拡大されたことがある. 1 頻拍の誘発と診断 そこでガイドラインの改訂にあたって,従来の心房細動 発生機序により誘発法は異なる.異常自動能を機序と トリガーのアブレーションに付加して行われる基質修飾 していれば,イソプロテレノール・硫酸アトロピンの静 アブレーションに必要となる心房細動基質の電気生理学 注,撃発活動(TA; triggered activity)であれば,イソ 的診断・検出法の記載が必要となり,本稿において追記 プロテレノール静注投与下の 500 ~ 300msec 程度の比較 する. 的長い周期での頻回刺激,リエントリであれば,イソプ 高周波カテーテルアブレーションは,高い根治率,低 ロテレノール投与前後の1~3連の早期刺激および い侵襲性,薬物治療からの解放等,有用性が高く,種々 300msec 以下の短い周期での頻回刺激が誘発法として用 の上室性頻拍,心房頻拍,心房粗動や特発性心室頻拍に いられる. おいて広く適応されている.このような意味において, 頻拍誘発時の観察から,頻拍の発生機序に対する手掛 電気生理検査はほとんどの場合,アブレーションを前提 かりが得られる.早期刺激の連結期と頻拍の 1 拍目のい として行われている.すなわち,電気生理検査はアブレ わゆる復元周期(return cycle)が逆相関を示せばリエン ーション手技手順に組みこまれ,両者は不可分となって トリ機序が示唆され,正相関を示せば TA が示唆され いる. る 565),566).A-H 間隔の jump-up と同時に誘発されれば, 近年,アブレーションの適応について,心房細動,非 遅伝導路(slow pathway)を順伝導路とする房室結節リ 通常型心房粗動,器質的心疾患を有する心室頻拍や心室 エントリ性頻拍あるいはリエントリ性心房頻拍(IART) 細動等に新しい展開がみられている.電気生理検査の方 が示唆される.さらに早期刺激の連結期を短縮し,A-V 法論においても新しい展開がみられている.このような ブロックを伴っても誘発されれば,IART であると診断 不整脈に対応すべく,従来の電気生理学的情報に加えて, できる. 表 35 心臓ペースメーカ植込みにおける電気生理検査の適応 クラスⅠ 1.ペースメーカの機種選択や設定のために必要な場合 2.徐脈性不整脈と同時に,電気生理検査が診断もしくは 治療上有用である頻脈性不整脈を合併している場合 3.徐脈,神経調節性失神,閉塞性肥大型心筋症に対する ペーシング治療の有効性を一時的ペーシングにより評 価する必要がある場合 クラスⅡ a 1.めまい,眼前暗黒感,失神等の症状があり,それが徐 脈による症状であることが強く疑われるものの,確証 がない場合 2.将来,ペースメーカ植込みが必要となる可能性が高い 進行性の疾患を有する症例 3.心不全に対する心臓再同期療法の有効性を一時的ペー シングにより評価する場合 60 ブレーション効果の判定等を目的として行われる. 2 頻拍起源部位・発生基質の同定 異常自動能や局所リエントリ(focal reentry)に基づ く頻拍においては,同心円状に興奮が拡がるその中心に ある,最早期興奮部位が起源部位となる.同定法で最も 簡便でよく行われる方法は,1 本のカテーテルでマッピ ングを行う single-catheter 法で,先端電極の心電図フィ ルターを介した単極誘導電位記録を併用する方法であ る.最早期興奮部位では QS 型電位を呈することを用い る.2 本のマッピングカテーテルを交互に動かし,最早 期興奮部位に迫る double-catheter 法も使用される.心室 期外収縮・頻拍の場合は,ペースマッピッングによる同 定も可能である. 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン 器質的心疾患に合併する心室頻拍や心房切開後心房頻 いた場合,アブレーションのエンドポイントである,緩 拍(incisional AT)等のマクロリエントリ頻拍の場合, 徐伝導峡部上のブロックラインの形成が証明できれば, 発生起源部位としてリエントリ回路,特にその緩徐伝導 アブレーション有効の判定ができる. 峡部(slow conduction isthmus)あるいは共通路(central 副伝導路アブレーション後や肺静脈隔離アブレーショ common pathway)の同定が必要であり,エントレイン ン後の確認にイソプロテレノール投与下に 20 ~ 30mg の マッピング法により可能となる 236).すなわち,頻拍時 ア デ ノ シ ン - 3 - リ ン 酸(ATP) の 急 速 静 注 を 行 い, に(1)拡 張 中 期 電 位(isolated mid-diastolic potential) dormant conduction(潜在性伝導)の賦活化による再伝 が記録できる,(2)同部において頻拍より短い周期でペ 導の誘発試験が行われる.この方法により,不完全なア ーシングを行うと,頻拍心電図波形・頻拍時心内興奮順 ブレーション効果による伝導の早期再発を,未然に防止 序に変化がなく,頻拍周期はペーシング周期に短縮され することを期待し実施されている. る,(3)ペーシングを停止すると,局所の復元周期は頻 以下にアブレーションの適応となる,各頻拍について 拍周期に一致して頻拍が再開する,これらの所見が認め EPS のポイントを述べる. られれば concealed entrainment が成立し,緩徐伝導峡部 が同定されたことになる. 3 WPW 症候群 マクロリエントリ頻拍の興奮旋回路は,心房切開後心 房頻拍等では dual-loop リエントリといった複雑な興奮 アブレーションを前提とした電気生理検査では,複数 旋回路を呈することが一般的で,CARTO システム等に 副伝導路の鑑別,Mahaim 束中 atriofascicular Mahaim 束 よるによる EA マッピングが有用である 567) .頻拍時興奮 の鑑別および副伝導路の位置決めが重要となる.複数副 順序が赤→黄→緑→青→紫→赤のカラーグラデーション 伝導路の鑑別は,12 誘導心電図をモニター下にペーシ で示され,興奮旋回路の全貌およびアブレーションの標 ング周期を徐々に短縮し,QRS 波形の変化を観察する. 的部位となる緩徐伝導峡部を,心腔立体画像上に示すこ Atrio-fascicular Mahaim 束の鑑別は,順行性に減衰伝導 とができる. を有し逆行性伝導を伴わない,頻拍時右室心尖部が最早 EA マップシステムは陳旧性心筋梗塞に合併した血行 期心室内興奮部位であることから可能である.Mahaim 動態が不安定で,頻拍時の興奮伝導(activation)マッ 束アブレーション標的部位の決定は,最大の Mahaim 電 ピングが困難な持続性 VT の起源部位同定に,不可欠な 位が記録される三尖弁輪部位である.通常の Kent 束の デバイスとなる 464),568) . 洞 調 律 時 に 行 う substrate 最終的な位置決めはアブレーションカテーテルの双極お mapping(基質マッピング)は,電位波高(voltage)マ よび単極誘導電位によるが,左側であれば冠静脈洞内に ッピングによる低電位領域(low voltage zone)と洞調 10 極多極電極を留置し,右側であれば三尖弁輪周囲に 律時遅延電位(delayed potential)記録領域の同定を目 多極電極を留置し,順伝導時ならびに逆伝導時のフィル 的に用いられる.部位を同定する.低電位領域内の遅延 ターを介さない単極誘導電位の記録が,ピンポイントで 電位記録部位においてペースマッピングを行い,頻拍心 の副伝導路の位置決めに役立つ. 電図と一致を認めれば,興奮旋回路の緩徐伝導峡部とし アブレーション後の効果の判定については,減弱した て同定される. 副伝導路伝導を顕在化させるべく,心房-心室順次ない 後述する長期持続性心房細動アブレーションにおける しは同時基本ペーシング下に可能な限り長い連結期の心 細動基質アブレーションにも EA マップが極めて有用で 室期外刺激を加え,逆行性副伝導路伝導の有無を検討す ある. る必要がある.さらに心室ペーシングおよび心房ペーシ 3 アブレーション後の効果判定 頻拍発生回路の基質である異常伝導路の消失,異常興 奮発生部位の消失や隔離が確認できれば,アブレーショ ン有効と判定できる.また,誘発時に用いた時と同様の, 薬物負荷,プログラム刺激を行っても,頻拍が誘発され ングに1~3γのイソプロテレノール点滴静注下に ATP20 ~ 30mg の急速静注により,順行および逆行性副 伝導路伝導の顕在化を行うことも必要である. 4 房室結節リエントリ頻拍 (AVNRT) なくなれば,原則としてアブレーション有効と判定でき る.房室結節リエントリ頻拍では,単発の房室結節エコ 持続する頻拍を誘発すること,通常型か有意な下部共 ーの誘発はエンドポイントとしてよい.EA マップを用 通 路 を 伴 う 非 通 常 型 か の 鑑 別,fast/slow 型 非 通 常 型 61 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) AVNRT と緩徐伝導後中隔副伝導路を介する房室リエン 異所性 AT と局所リエントリ性 AT とは,以下の点か ト 拍( PJRT; permanent junctional reentry ら鑑別される.前者は持続性または反復性に出現し,プ tachycardia)との鑑別,および心房中隔 Koch 3 角部起 ログラム刺激では誘発されず,ATP5 ~ 10mg の急速静 源の ATP 感受性心房頻拍 149)等との鑑別等が,EPS の目 注により一過性に抑制されるのみである.一方,局所リ リ 頻 的となる. エントリ性 AT は発作性に出現し,プログラム刺激によ 誘発が容易でない症例があるが,アブレーションの効 り誘発が可能で,ATP1 ~ 5mg の急速静注により停止が 果判定のためにも,持続する頻拍の誘発は欠かせない. 可能である 149). 誘発困難な場合,高用量のイソプロテレノール点滴静注 通常型 AFL を除くマクロリエントリ AT においては, 下,さらにはアトロピン 0.5mg 静注を加え,2 連心房早 前述したように EA マッピングが有用である 567).開心術 期刺激,心房・心室頻回刺激を行う必要がある.slow/ に伴う心房切開線や心房カニュレーション部の瘢痕,病 slow 型非通常型 AVNRT は,一見,通常型 AVNRT 様所 的なプロセスで形成された瘢痕,および解剖学的障害等 見を呈し pseudo-common AVNRT ともいわれる.ただし, の伝導ブロック領域間に形成された緩徐伝導峡部の同定 逆行性 slow pathway(SP)の最早期心房興奮は右房後 が可能となる.リエントリ回路の緩徐伝導峡部の確認は, 中隔冠静脈洞入口部において記録されることから,通常 拡張中期 fractionated electrogram の記録および同部での 型の逆行性 fast pathway(FP)と鑑別される.非通常型 concealed entrainment の成立により可能である. AVNRT では下部共通路(lower common pathway)が証 明されることが多いが,心室ペーシング時の V-A 間隔が 6 心房細動 頻拍時の H-A 間隔より,少なくとも 20msec 長いことに よりその存在が示される.Fast/slow 型非通常型 AVNRT 肺静脈あるいは上大静脈起源トリガーによる発作性心 と PJRT との鑑別は,頻拍中ヒス束興奮直後に加えられ 房細動(PAF)に対する,トリガー隔離アブレーション た心室刺激による心房リセットの有無によりなされ,リ の有効性については,既に,確立されている.したがっ セット陽性であれば PJRT と診断される.AVNRT と心 て,PAF に対する EPS の目的は,トリガーの起源部位の 房頻拍とは,頻拍中の心室からのエントレインの有無に 同定である.肺静脈起源が大部分であることから,3 本 より鑑別される.AVNRT は心室からのエントレインが の肺静脈内に Lasso 型 10 極電極カテーテル,上大静脈内 可能であるが,心房頻拍では室房解離がみられる. に多極電極カテーテルを留置し電位モニター下に,息ご アブレーションの標的は,原則として,通常型であれ らえ(バルサルバ手技),ATP30 mg 急速静注を行う. ば順行性 SP,非通常型であれば逆行性 SP であるが,エ さらに 1 ~ 5 γのイソプロテレノール点滴静注下に同様 ンドポイントとしては,SP 伝導の完全消失は必要では の ATP 急速静注を行う.最終的には可能な限り短い周 ない.必ずイソプロテレノール投与下に誘発試験を行う 期で心房頻回刺激を行い,持続性の AF を誘発する.数 と,ほとんどの例において SP 伝導が検出され,単発の 分間持続後,電気的除細動を実施し,直後の AF 再発 房室結節エコーの誘発はエンドポイントとして認められ (IRAF; immediate recurrence of AF)を促し,トリガー ている. 5 の起源を同定する. 最近,長期持続性 AF すなわち,慢性 AF(CAF)に 心房頻拍 もアブレーション治療が行われるようになった.CAF に対するアブレーションの戦略は,PV 起源トリガーを 心房頻拍(AT)に対する電気生理検査の目的は,異 ブロックする CPVI に付加して,興奮旋回の基質修飾法 所性 AT,洞房リエントリ AT(SART)や Koch 3 角起源 を実施するものである.基質修飾法として最も広く行わ 149) 等の局所起源 AT か,通常 れているのは,左房内ラインアブレーションならびに 型心房粗動(AFL)か,その他のマクロリエントリ AT CFAE 電 位(complex fractionated atrial electrogram) 記 かの鑑別を行い,まず,起源部位同定のための戦略を決 ) 録部位のアブレーションである 178( defragmentation と呼 定ことである.それに基づいて,局所起源 AT では最早 ばれる).CFAE 電位は,(1)fractionation 電位,(2)持 期興奮部位の同定,通常型 AFL では下大静脈-三尖弁 続性電位(continuous activity), (3)急速反復電位(short ATP 感受性リエントリ AT 62 輪間峡部における concealed entrainment 成立の確認,そ cycle length ≦ 120msec),等のいずれかの特徴を有する の他のマクロリエントリ AT では興奮旋回路の緩徐伝導 電位と定義され,CFAE 記録部位が AF 時の無秩序興奮 峡部の同定を行うことである. 旋回,あるいは重合する異なる心房筋束間 anisotropic 臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン conduction の要所のマーカーであるとの仮説に基づき標 前 述 し た よ う に, 頻 拍 時 に, 拡 張 中 期 電 位(isolated 的部位とされる. mid-diastolic potential)記録部においてペーシングを行 7 心室頻拍 うと,concealed entrainment が成立し,ペーシング中止 後の局所の復元周期が頻拍周期に一致することが認めら れれば,緩徐伝導峡部が同定されたことになる.VT レ 流出路起源心室頻拍(VT)およびベラパミル感受性 ートが速く血行動態が不安定な場合,VT 時のエントト 左室起源特発性 VT(ILVT)等の特発性 VT においては, レインマッピングが行えないが,CARTO システムを用 メカニズムの解明やアプローチ法の検討が進み,アブレ いた substrate mapping 法(基質マッピング法)が応用さ ーションの有効性の向上に伴い,その適応は増加してい れる 464),568).本法の実際は,洞調律時に心内膜マッピン る.心筋梗塞,心筋症,心サルコイドーシス,不整脈性 グを行い,voltage mapping モードを用い低電位部位(≦ 右室心筋症(ARVC)等の器質的心疾患を基礎とする 0.1mV)を同定し,低電位領域内および低電位領域辺縁 VT においても,EA マップの導入により,アブレーシ において activation mapping モードを用い,洞調律時遅 ョンの適応は拡大している. 延電位の検出により伝導遅延部位を同定する.このよう 流出路起源 VT は左脚ブロック型 QRS 波形と下方軸変 な部位においてペースマッピングを行い,VT 時 QRS 波 位を特徴とするが,12 誘導心電図所見上,Ⅰ誘導の S 波・ 形と一致したマッピング波形が得られれば,同部位が V1 ~ V2 間の移行帯・V1/V2 の幅広い r 波は,左冠尖アプ VT リエントリ回路の共通路(チャネル)ないし共通路 ローチを要し,さらにⅠ誘導の S 波が深くなり,V1/V2 からの出口と同定される. が Rs 型を呈するようになれば冠尖直下の左室流出路ア プローチが必要になる.ペースマッピング,QS 型単極 8 心室細動 誘導電位を呈する最早期興奮の記録,および冠尖アプロ ーチ例ではスパイク状の先行電位の記録等から,起源部 虚血性心疾患や特発性心室細動において,ときに認め 位が決定される. られる反復する心室細動発作(VF),いわゆる, “electrical ILVT では,リエントリ回路内緩徐伝導部位を反映す storm”に対し,VF のトリガーとなる心室性期外収縮 る拡張期電位が左室後中隔基部から中間部方向壁録さ (VPB)のアブレーションが行われる 332),570).Purkinje れ,同部位がアブレーション至適部位となる.アブレー 線維網がトリガー VPB の起源部位となり,リエントリ ション至適部位の決定には VT の誘発は欠かせない.イ 回路の基質ともなる発生機序が考えられ,アブレーショ ソプロテレノール投与下の複数心室早期刺激が誘発に有 ンの有効率も高い.EPS の目的は,トリガー VPB の 12 用である 569). 誘導心電図記録から予めその起源部位を推測してカテー 器質的心疾患を基礎とする VT のアブレーションにお テルを留置し,トリガー VPB を誘発し,VPB に先行し いては,リエントリ回路の共通路となる緩徐伝導峡部を て出現する最大振幅の Purkinje 電位記録部位を同定する 同定する,エントレインマッピング法が行われる 236). ことである. 63 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 文 献 1. 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