第3章6~第3章7 [PDFファイル/279KB]

第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
<第3章
現況と課題・施策の方向と事業>
6 誰もが住みよいまちづくり
第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
6 誰もが住みよいまちづくり
~誰もが住みよく、誰もが使いやすいまち~
「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」という言葉が、近年、様々なメディアで
紹介されています。
「バリアフリー」という言葉は、もともと建築の分野で使用されていた言葉でした。
実際、障害のある人やない人、高齢者や若者、子どもや妊婦など誰もが容易に認識でき
る障壁は、建物の入口などの段差、階段、あるいは、車いすを使用している人をはじめ誰
もが使いやすい多機能トイレの未整備など、目に見えたり実感できる「物理的障壁」です。
そして、バリアフリーという手法は、そのような障壁を取り除く手段として認知され定着
してきました。バリアフリーという考え方は、誰もが住みやすい、使いやすい建物を求め
る過程で生まれてきたものと言えます。
更に誰もが住みやすく、使いやすい建築物を目指す「バリアフリー」や「ユニバーサル
デザイン」の考え方は、建築物だけでなく、道路・公園も含めるようになり、近年では、
都市環境を整備する際は、都市空間あるいは「まち」をまるごとバリアフリー化・ユニバ
ーサルデザイン化する動きに変わってきています。
行政や事業者、住民がこのような動きに賛同し、建物やまちのバリアフリー化・ユニバ
ーサルデザイン化が図られてきてはいるものの、まだまだ物理的障壁によって不便を感じ
ることが多く、整備の推進が求められています。
ここでは、
「誰もが住みよいまちづくり」の基本方針の下、「人にやさしい家づくりの推
進」と「人にやさしい都市空間の整備」を基本目標に施策の方向と事業を定めます。
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
目標①人にやさしい家づくりの推進
~誰もが快適に生活できる空間に~
人が生涯の大部分の時間を過ごす場は「住宅」です。充実した生活を送るためにも、快
適な住宅は不可欠です。
これまでは、住宅の建築時において必要なニーズや機能を付加して家が建てられる場合
がほとんどでしたが、高齢化の進展とともに、誰もが将来、歳をとり運動機能が低下する、
あるいは体が不自由になる、更にはそれに伴う在宅介護の必要が見込まれるなどの考えと、
子どもや孫を安心して育てられる環境という視点をもって、住宅について考える時期に差
しかかっています。
将来を見据えた誰もが安心して暮らせる家というものは、障害のある人だけの問題では
なく誰もが直面する問題として認識する必要があります。
一般住宅、公営住宅を問わず建築にあたっては、誰もがいつでも(いくつになっても)快
適に使用できるよう設計段階から配慮することが必要であるとともに、誰もが快適に暮ら
せる家を建てられるように支援することが必要です。上越市ではバリアフリー住宅、ユニ
バーサルデザインを取り入れた住宅の普及に努めていきます。
1 住みよい家づくりの推進
○ 在宅で生活する高齢者の自立を推進するため、住宅リフォームを支援しま
す。
○ 障害のある人が住み慣れた住宅で安心して自立した生活を送られるよう、
住宅リフォームを支援します。
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
目標②人にやさしい都市空間の整備
~まちをまるごとユニバーサルデザイン~
公共施設などの建物や都市は、様々な人が集まり、様々な人が利用するところです。
障害のある人やない人、高齢者や若者、子どもや妊婦など、すべての人の利用が完全に
確保されるということは非常に難しいことですが、それにできる限り近づけていくことは
可能です。
誰もが利用できる建物や都市の実現には、様々な人のニーズを把握することが重要です。
すべての人の意見聴取、意見の具現化は不可能ですが、これらの実態をとらえ、できるだ
け多くの人のニーズを把握することが必要不可欠であり、施設やまちづくりの設計も含め
たデザイン段階からの情報開示性の強化や、様々な人が参加し協議できる機会をより多く
つくっていくことが必要です。
おおやけ
公共施設は、公共という名が示すとおり、 公 に供するものであり、誰もが使えるものに
なっていなくてはなりません。また、そのためには公共施設が存在する都市空間全体が人
にやさしい機能を持っていることが必要になります。人にやさしい都市空間の整備は前述
のように多様なニーズの把握と様々な人達の参画があって、はじめて実現するものです。
上越市では施設の新設時に、地元説明会の開催やパブリックコメントの実施、広報紙に
よる情報提供などを通して様々な市民の意見聴取やどのような経緯でその施設が計画され
設計されているのかを明示するとともに、平成 19(2007)年に策定した「公共建築物ユニバ
ーサルデザイン指針」に適合したすべての人の利用に配慮した施設になるよう努めていま
す。また、都市空間全体のコーディネート(まちづくり)についても、地元住民あるいはこ
れを中心に構成される「まちづくり協議会」や「地域協議会」との連携により、誰もが利
用しやすく豊かさを感じられる都市空間の創造に努めています。
しかし、既存の公共施設の中には、障害のある人や高齢者などへの配慮、ユニバーサル
デザインの理解が不足していたために、
「誰でも利用できる」、
「ユニバーサルデザイン」の
視点が欠けているものも尐なくはなく、これらについても改善に努めていく必要がありま
す。
また、同時に市民や事業者の意識の醸成を図り、民間の施設についても誰もが利用でき
るものにしていかなければなりません。公共施設だけが人にやさしくなる、あるいは民間
施設だけが人にやさしくなっても意味がありません。すべての施設が人にやさしい施設に
なることで、人にやさしい都市空間を生み出すことができます。
県の「福祉のまちづくり条例」制定以来、上越市では、公園工事の施工の際にはバリア
フリーを念頭に人にやさしい公園づくりを進めています。しかし、市内の公園すべてが障
害のある人や高齢者にとって利用しやすいとは言い難い状況にあります。
誰もが利用できる公園や憩いの場の整備は、単に個人が楽しみ、憩える場所を提供する
だけでなく、様々な世代や立場の人々が集まり、交流を通じて、互いが理解し合える場を
提供するという一面もあります。誰もが交流できる地域の中心という意味からも、公園や
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
憩いの場の整備は人にやさしいまちづくりの推進に欠かせない要素です。
1 誰もが利用できる公共施設の整備
○ 市の施設を誰もが安全・安心で快適に利用できるようにするため、公共建築物
ユニバーサルデザイン指針に基づく整備を推進します。
○ 民間の公共的施設が誰もが使いやすい施設となるよう、新潟県福祉のまちづく
り条例に基づき協議や指導、助言を行います。
○ 誰もが利用しやすい都市公園の整備を進めます。
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
<第3章
現況と課題・施策の方向と事業>
7 誰もが移動しやすいまちづくり
第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
~家と家、家とまち、人と人をつなぐ「道」の整備を目指して~
平成 6(1994)年建設省(現:国土交通省)で策定された「生活福祉空間づくり大綱」は、
21 世紀初頭を念頭においた「福祉インフラ」の整備のあり方についてまとめたものです。
ここでは、道路・鉄道・港湾などの産業基盤の社会資本、学校・病院・公園・社会福祉施
設などの生活関連の社会資本整備、いわゆる「インフラ整備」を障害のある人、高齢者は
もとより、子ども、女性等をとらえた幅広い視点で展開し、単なる物理的障壁の除去にと
どまらず生きがいの創出、健康の増進といった高次のノーマライゼーションの理念を目指
し「福祉インフラ」の整備を図っていくこととしています。言い換えれば、建物・施設だ
けでなく、道路も含めた都市空間のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化の必要性を
示したと言えます。
また、平成 12(2000)年 11 月に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の
円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)、平成 18(2006)年 12 月に「高齢者、障
害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)が施行されました。高
齢者や障害のある人などの公共交通機関を利用した移動の利便性・安全性向上の促進を目
指し、鉄道駅舎等の旅客施設や車両のバリアフリーの推進、鉄道駅舎等の旅客施設を中心
とした一定の地区で、周辺の道路、都市公園等のバリアフリー化の重点的・一体的な推進
などが盛り込まれており、ここでも建物・施設と道路・公共交通機関の一体的なバリアフ
リー化、ユニバーサルデザイン化が示されています。
家と家、家と施設、家とまちをつなぐとともに、出会いを生み、交流を生み、人と人、
心と心をつなぐ誰もが利用しやすい道・移動手段の整備を進めることが必要です。そして、
人と人、心と心をつなぐ道は、誰もが安全に安心して暮らせるまちづくりの推進のために、
様々な分野で整備していかなければなりません。
ここでは、
「誰もが移動しやすいまちづくり」の基本方針の下、「歩道・道路の整備」と
「公共交通網の整備」を基本目標に施策の方向と事業を定めます。
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
目標①歩道・道路の整備
~誰もが安全・安心に移動できる空間の確保~
上越市は、拠点地区や各種プロジェクトを支援する道路、あるいは交通結節点へのアク
セス道路などを優先的に整備しているほか、災害防止、交通安全、通園・通学路関連道路
なども整備を進めています。
今日、車社会の中で、子ども達の安全・安心を支える通学路の歩道整備の要望が多く寄
せられています。歩道本来の機能である「安全な歩行者空間の確保」という観点から、通
学路はもちろんのこと、幹線道路で自動車交通量が多く交通事故発生の恐れのある区間や
駅、公園周辺など多くの人が集まる場所の整備を優先的に行ってきました。しかし、十数
年前に整備されたマウンドアップ型※の歩道の多くは、幅が狭く、車道と段差があるために
宅地への乗り入れに勾配が生じるなど、障害のある人や高齢者には利用しにくい状態にあ
ることから、誰もが安心して利用できる歩道の整備が課題となっています。また、健康を
維持できるウォーキング(散歩)が注目され、幅広い年代で取り組まれていますが、それに
伴い、安全な歩行者空間としての歩道に、潤いや楽しみを演出してくれる機能を求めるよ
うになってきました。
上越市では、人にやさしい道づくりを進めるため、また、誰もが安全に安心して移動で
きるための歩道や道路を整備します。
※マウンドアップ型:
歩道面と縁石天端の高さが同一である歩道構造。
1 安全な歩道・道路の整備
○ 誰もが安全に安心して移動できる歩道や道路を整備します。
○ 歩行者などの交通の安全確保や街頭犯罪の未然防止を図るため、集落間通
学路の街灯を整備します。
○ 安全な交通環境を確保するため、道路反射鏡や道路標識を整備します。
○ 雁木を生かしたまちづくりを実現するため、雁木の保存を行う個人や法人
などに対し補助金を交付します。
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
目標②公共交通網の整備
~誰もが安心して利用できる移動手段の充実~
誰もが往来し交流するまちをつくるためには、その個々をつなぐ「道」の整備も重要で
すが、誰もがその道の上を進む「足」も重要になります。
障害のある人の多くが自分以外の人が運転する自家用車に頼っています。家族あるいは
友人との助け合いや交流という意味では「自家用車に乗せてもらう」という行為は、非常
に有益なものです。しかし、個人が好きなときに好きな場所へ、また急用で出かけるとい
った場合には、自家用車に乗せてくれる人に対する遠慮や都合もあり、その活動範囲は、
時間的にも距離的にも制限されてしまいます。
このように、障害のある人や高齢者、妊婦や育児中の親、小・中学・高校生や運転免許
を持たない人など、出かけるための有効な交通手段がないために行動範囲が狭められてい
る人は尐なくないものと考えられます。
今、誰もが自由に行動範囲を広げ、多くの人の社会参加を促進するためにも、簡単に利
用できる便利な交通手段が求められており、その地域の住民が「安全」で「安心」して生
活するために必要な移動(モビリティ)を保障する公共交通の役割は大きくなっています。
バス路線は、路線網が広く、多くの場所へ移動でき、市民にとって最も大切な公共交通
機関の一つです。しかし、近年の自家用車の普及により、バス利用者は年々減尐するとと
もに路線バスを維持するための財政負担が増大しています。
しかしながら利用者が減尐しているとはいえ、市民に最も身近な誰もが利用できる路線
バスという視点は重要になってきていることから、地域の実情に即した路線バスの効率的
な運行形態や路線バスに代わる輸送手段を検討する必要があります。
また、鉄道は、市内や県内はもとより長野県及び富山県への重要な交通機関となってお
り、鉄道の特性である大量輸送、定時運行の機能と役割を果たしています。同時に、通勤
や通学、所用や買物など多くの地域住民の生活を支えています。近年のモータリゼーショ
ン※の進展に伴い、地方都市における公共交通の利用者は減尐しているものの、今後とも市
民の生活を保障するための手段としての役割は不変であり、これからも維持していかなけ
ればなりません。
平成 27(2015)年春に予定される北陸新幹線の開業と同時に、信越本線長野・直江津間と
北陸本線直江津・金沢間がJRから経営分離されることとなっています。JRから経営分
離された後の並行在来線においては、新幹線の開業により長野県や富山県への長距離移動
において新幹線にその機能の一部を譲るものの、日常生活の交通手段としての役割は今後
とも存続されなければなりません。また、これらの路線は長い間、市民生活や地域経済を
支えてきた貴重な都市基盤です。あわせて今後、高齢化が進むにつれて、マイカーを利用
できない人のための交通手段や地球環境にやさしい交通手段として、今後さらにその必要
性が高くなっていきます。
しかしながら、この並行在来線は、全国有数の豪雪地帯での運行等に、多額の経費が見
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第3章 現況と課題・施策の方向と事業
6 誰もが住みよいまちづくり
7 誰もが移動しやすいまちづくり
込まれるなど、非常に厳しい経営環境におかれることが想定されます。
これからは、より地域住民に密着した鉄道の運行を行うことにより、利用者を増加させ、
経営の安定化を図ることが、特に重要になります。そのためには、地域住民と一体となっ
た鉄道路線の存続を図らなければなりません。
上越市では、誰もが簡単に利用でき、
「市民の生活交通の確保」の実現に向け、市民、鉄
道・バス事業者、行政等が一体となって運行体制の見直しを図っていくとともに、平成
17(2005)年度に策定した上越市総合交通計画では、「持続可能なまちを育み支える公共交
通」を基本目標に掲げ、
「市民生活を支え、育む公共交通」、
「交流を支え、賑わいを創出す
る公共交通」
「環境にやさしく、コンパクトなまちづくりを支える公共交通」の 3 点によっ
て持続可能なまちを育み、支える公共交通を目指しています。
※モータリゼーション:
自動車が普及し、必需品となる現象。
1 路線バス等の充実
○ 児童生徒の通学や高齢者の通院など、市民の日常生活を支える重要な交通
手段である路線バス等の維持確保を図ります。
2 鉄道の充実
○ 市民の日常生活を支える重要な交通手段である並行在来線の維持・確保を
図ります。
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