難病に負けない“女性の自立”に向けた快適バリアフリー空間 ~リフォー

 難病に負けない“女性の自立”に向けた快適バリアフリー空間 ~リフォーム部門~ お施主様からの要望
運動失調を主要な症状とする進行性の神経変性疾患を発症した60代女性から、
有料老人ホームへ行こうと思っていたが、最愛のご主人が「ずっとそばにいてく
れ」という一言でリフォームを決意。持ちビルの6階(寝室・納戸)と7階(居間・水
廻り)部分で生活をしているが、空いている4階部分に住み替え、専用の居住空
間にしたい。
しかし病気の関係上、ゆくゆくは車椅子、寝たきりと進行していくので家族に気負
いなく 生活が出来るようにしたい。
今までも家族を支えてきた“主婦”として、出来る限り家事は続けていきたい。
またこの病気を理解し、同じ病気の方の改修経験がある会社、担当者にお願い
したい。
①
キッチン施工前
①
キッチン施工後
コメント
もとはキッチン、カップボード、冷蔵庫、食器棚があったスペースに変更し、簡単な
調理・洗濯の「家事スペース」、洗面・入浴の「ユーティリティスペース」に変更し、
限られたスペース及び配管等の制限もクリヤーし実現した。全ての動作に全身の
ふらつきがあるため、椅子に座っての動作や作業、将来車椅子になった時にも対
応可能な空間と使い勝手になりました。全体を明るい内装にし、生活動線全体が
繋がっている「ワンルーム」空間を確保した。当初は80㎡近くある3階を予定して
いたが、防火扉や予算、構造上、小分けされた設計になる問題があった。
①
キッチン入口施工
②
①
キッチン入口施工
③
①
バリアフリーのポイント
サニタリー施工後
①キッチンは手のふらつきがあっても安全な作業が可能な段差の少ないシンクやIH
を採用。事前の動作確認により、椅子や車椅子での作業が可能なカウンター高は
70cmが使いやすいため、キッチン本体の高さを加工。換気扇もリモコンで操作可能
にした。
②浴室は施工階になかったが、入浴をするために他の階に移動は困難なため、
キッチンカップボードがあったスペースに浴室を新設を決定。入浴は浴槽へは入れ
ないため、 浴槽は無くても全身(足も)お湯につかったように温まる「全身シャワー
浴シャワールム」INAXシャワー・ド・バスを採用した。
③トイレは排泄時にふらつきや体が後ろに傾いても、姿勢を安定保持出来るように
トイレの蓋を外し「背もたれ」を採用。
④現在は歩行器を使用していること、病気の特性上狭いところでは壁を両手で伝
わって移動するほうがバランス保持ができるため、段差昇降や引戸や収納扉の開
閉動作のためだけに縦手すりを各所設置。また3階と繋がっている階段室は吹抜け
になっているため手で伝わっての移動や歩行器を使用しているため、ふらついた際
の危険性やバランスを崩したときのことを考慮し、液晶TVスペースと壁面、扉は本
人は使用しないため、開き戸を採用し、手をついたときに身体を持っていかれない
ようにした。
⑤冷蔵庫・洗面・洗濯機は家事などの動線を簡略するためひとつにまとめる。また
病気とお客様の理解度を評価され、家電製品一式と家具の選定、コーディネートも
ライフスタイル・趣向・病気の使い勝手に合わせて行う。お客様本人、ご家族、担当
ケアマネージャー、 ヘルパー、通所リハビリのPT、OT、弊社一級建築士とお客
様に関わる全ての「専門家」と 意見交換を交わしプランニングを行う。
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サニタリー施工前
④
収納・階段面施工前
⑤
収納・階段面施工後
④
素敵なお部屋になってとても嬉しいのは当然ですが、各所使い勝手や機能面、出来
栄えと大変満足しています。
完成するまで見ないようにしていましたが想像以上の出来栄えと便利さを実感してま
す。
バリアフリーリフォームはお客様と疾患を理解していて、経験を積んだ担当者で
なければいけないことが、過去のリフォーム経験と合わせて感じました。
廊下・玄関施工後
全身シャワールーム施工後
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④
サニタリー施工後
↓階段
お施主様からの声
④
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トイレ施工後
建築データ
持ビル9階建 築15年
工事面積 42㎡
工事費 900万円(全体)
(内助成金 障害中規模改修603,800円+介護保険 60,000円※履歴あり)
施工年 2008年2月~3月
施工会社 バリアフリー住宅の設計・施工 一級建築士事務所
担当 富岡
東京都豊島区千川1-9-12
03-5986-2700URL http://www.ii-life.co.jp
担当者のコメント
私自身、高齢者や障がいをお持ちの方々のリフォームは述べ3,500件
②
になりましたが、今回は身体状況・動作確認、設計以外に身体状況
に合わせた家電・家具のコーディネートは更なるスキルアップのため
に喜んでお引受いたしました。トータルコーディネートの経験が出来て私自身お客様に感謝
しております。この仕事は「お客様から学ぶ」ことの繰り返しです。お客様に毎日感謝です。
実は今回のお客様は、前回の第2回のコンペで弊社が優秀賞を頂いた作品のお客様と
同じ難病をお持ちで、更に隣の建物にお住まいという偶然でした。
業者選択をする際もバリ協から資料を取り寄せて、弊社に決めた要因のひとつになったそうです。