日本型DMO形成による観光地域づくり

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日本型DMO形成による観光地域づくり
2016年4月14日
業務企画部所属審議役 中村欣央
1.国内宿泊観光市場の状況
・国内客の動向
・インバウンドの動向
2.海外における観光地域活性化の取組
3.日本型DMO形成に向けて
(参考)リスクマネー供給による観光地域活性化∼DBJの取組事例∼
1
1.国内宿泊観光市場の状況
2
国内宿泊観光市場の状況 ∼わが国人口の長期推移
全国の年齢3区分別人口の推移 (1884年→2060年)
 高齢化比率(65歳以上の老年人口が総人口に占める比率)は1960年頃までは4∼5%台で推移しているが、1970年に高齢化社会の目安と言われる
7%を超え、2010年には超高齢化社会の目安と言われる21%を超えた(23.0%)。今後、高齢化比率は上昇を続け、国立社会保障・人口問題研究所
2014年1月公表「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」によれば、2060年には およそ4割に達する見込みにある。
 戦後増加してきた生産年齢人口比率(15∼64歳の生産年齢人口が総人口に占める比率)は1990年に69.5%とピークに達し、その後、2010年には
63.8%に減少、2060年にはおよそ5割にまで減るものと見込まれる。また、第二次大戦前後に35%近くあった14歳以下の年少人口比率は戦後減少傾向
が続いている。
全国の年齢3区分別人口の推移
(1884年→2060年)
上段の棒グラフ及び折れ線グラフは、絶対数(単位:千万人)。下段の図表は年齢3区分
別人口の比率(単位:%)。
推計
(千万人)
ピーク
ピーク
ピーク
ピーク
1884 1888 1898 1908 1920 1930 1940 1947 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060 (年)
5.7 5.5 5.5 5.3 5.3 4.8 4.8 4.8 4.9 5.3 5.7 6.3 7.1 7.9 9.1 10.3 12.0 14.5 17.3 20.1 23.0 26.8 29.1 30.3 31.6 33.4 36.1 37.7 38.8 39.4 39.9
高齢化比率
生産年齢人口比率 62.6 60.8 61.7 60.5 58.3 58.7 58.5 59.9 59.7 61.3 64.2 68.1 69.0 67.7 67.3 68.2 69.5 69.4 67.9 65.8 63.8 60.7 59.2 58.7 58.1 56.6 53.9 52.4 51.5 51.2 50.9
年少人口比率 31.6 33.7 32.8 34.2 36.5 36.6 36.7 35.3 35.4 33.4 30.0 25.6 23.9 24.3 23.5 21.5 18.2 15.9 14.6 13.7 13.1 12.5 11.7 11.0 10.3 10.1 10.0 9.9 9.7 9.4 9.1
(備考) 総人口には年齢不詳も含むため、各年齢階層人口の合計値は総人口に一致しない
(出所) 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2014」、国立社会保障・人口問題研究所2014年1月公表「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」より作成
3
国内宿泊観光市場の状況 ∼直近の状況
 全国の年間宿泊需要は、近年、増加傾向で推移し、2015年には、5億人を突破した。
 直近の増加要因は、外国人の増加に加え、団塊の世代の退職による旅行需要の増加によるものと見られる。
【国内延べ宿泊客数の推移(2007∼2015年度)】
(万人)
(年)
(出所)観光庁「宿泊旅行統計調査報告」
(注)2010年第2四半期より、悉皆調査に移行したため、2009→2010に大幅増となっている。
4
国内宿泊観光市場の状況 ∼直近の状況
全国の人口ピラミッドの推移 (2010年→2025年)
年齢階層別人口(5歳区分、男女計、2010年)
(百万
人)
0∼14歳
1,684万人
(▲919万人)
(▲360万人)
65歳∼
2,948万人
(▲77万人)
(+1,702万人)
団塊の世代
0∼14歳
1,324万人
15∼64歳
8,173万人
団塊ジュニア世代
(百万人)
団塊の世代
年齢(5歳階級)
括弧内人数は1985年
からの増減
年齢階層別人口(5歳区分、男女計、2025年)
括弧内人数は2010年
からの増減
総人口 12,806万人
総人口 12,066万人
15∼64歳
7,085万人
65歳∼
3,657万人
(▲1,089万人)
(+709万人)
団塊の世代
団塊ジュニア世代
年齢(5歳階級)
(備考)
(出所)
2010年は、国勢調査報告(国籍・年齢「不詳人口」をあん分補正した人口)人口による。
総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所2012年1月公表「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」より作成
5
国内宿泊観光市場の状況 ∼直近の状況
宿泊観光旅行者数
宿泊観光旅行消費単価
(単位:万人)
宿泊観光旅行消費額
(単位:円)
(出所)観光庁「旅行・観光消費動向調査」
6
(単位:百万円)
国内宿泊需要の見通し
 国内宿泊需要の長期的な見通しを邦人宿泊旅行延べ参加回数で予測すると、生産年齢人口等の推移から、2010
年から2030年(20年間)で▲16.9%減少するという結果になった。
 但し、当面(今後2∼3年)は、人口の多い団塊の世代の退職に伴う需要増により、増加傾向で推移するものと見ら
れる。
 いずれにしても、高齢化の進展により、国内需要に関しては、高齢者ニーズへの対応が重要となる。
【邦人宿泊旅行延べ参加回数の予測(全国、2030年まで)】
(百万回/年、百万人)
(兆円)
700
180
予測
160
600
500
140
400
120
宿泊旅行延べ参加回数
300
生産年齢人口
100
2010年138百万回
→2030年115百万回
実質GDP(右目盛)
200
80
100
国立社会保障・人口問題研究所予測→
0
60
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
15
20
(備考)延べ参加回数=宿泊旅行参加率×参加回数(参加者平均)×人口
(出典)日本観光協会「観光の実態と志向」、内閣府「国民経済計算」、厚生労働省「人口動態統計」、
国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」より作成
25
30
(年)
ln(邦人宿泊旅行延べ参加回数)=−8.809+1.306×ln(生産年齢人口)+0.295×ln(実質GDP)−0.195×パソコン普及率
(1.703) (2.134) (-1.939)
補正R2=0.793 推計期間:1974年∼2009年 ()内はt値
7
訪日外国人増加の背景
訪日外国人客増加の背景には、アジアの中間層拡大による旅行需要の増加や円安等の
経済的要因に加え、訪日プロモーションやビザ免除・要件緩和などの政策的要因、および
LCCを始めとする航空路線等の拡大がある。
【訪日外国人増加の要因】
経済的要因
アジアの中間層拡大による旅行需要の増加
為替
(円安)
政策的要因
訪日プロモーション
(ビジット・ジャパン事業)
ビザ免除・要件緩和
消費税免税制度の拡充
その他
航空路線(LCC含む)・クルーズの拡大
他国のリスク回避
(テロ・感染症等)
(出所)各種資料
8
グローバルな観光市場の成長見通し
 世界の観光市場は、経済成長とグローバル化の進展に伴い、今後とも大きく拡大す
ることが期待され、2030年には18億人に達する見込み(下図)。
 今後のグローバルな観光市場の成長を牽引するのはアジア太平洋地域であり、世界
のシェアは大きく上昇することが見込まれる(右図)。
【国際観光客到着数の実績値と予測値】
(単位:百万人)
2,000.0
実績値
予測値
1,800.0
18億人
1,600.0
1,400.0
14 億人
1,200.0
1,000.0
9.4億人
800.0
600.0
400.0
200.0
0.0
1980
1990
1995
欧州
アジア太平洋
2000
2005
南北アメリカ
2010
中東
2020
アフリカ
(出所)UNWTO Tourism Towards 2030 Global Overview
9
2030
訪日外国人旅行者の動向
訪日外国人旅行者は、2013年に1,036万人となり、初めて年間1,000万人を突破。2015年も
前年を大幅に上回る伸びで増加し、2,000万人に迫っている。
国・地域別に見ると、アジア地域で8割以上を占めており、そのうち東アジア4カ国・地域で
大半を占める。アジア以外の地域ではアメリカ、オーストラリアからの訪日旅行者が多い。
【国・地域別訪日外国人旅行者数(2015年)】
【訪日外国人旅行者数の推移】
(万人)
1,974
2,000
1,800
1,341
1,200
733
800
600
521
614
835
861
835
679
673
米国, 5.5
豪州,
2.0
韓国, 21.2
★
オセアニア, 2.0
北アメリカ, 6.7
欧州, 4.6
★ タイ, 4.2
1,036
1,000
他欧州,
0.4
★ インドネシア, 1.1
★ マレーシア, 1.6
★ シンガポール, 1.6
1,600
1,400
ロシア, 0.3
イタリア, 0.5
ドイツ, 0.9
フランス, 1.1
英国, 1.4
インド, 0.5
ベトナム, 1.0
フィリピン, 1.4
カナダ,
1.2
836
622
★
香港, 8.1
アジア, 86.7
400
200
中国, 26.4
0
'03
'04
'05
'06
'07
'08
'09
'10
'11
'12
'13
'14
'15
★
(出所)日本政府観光局(JNTO)公表資料をもとにDBJ作成
台湾, 19.5
(注) ★は弊行調査のアンケート対象国・地域
(出所)日本政府観光局(JNTO)公表資料をもとにDBJ作成
10
★
地域別の状況
地域別の状況を見ると、都道府県別の外国人延べ宿泊者数は、東京・大阪のほか、地方
• 北海道の外国人延べ宿泊者数は、東京、大阪に次いで第3位。京都、沖縄、長野、山梨など、観光地を抱える他の府県と比
較しても高水準。
圏では北海道、沖縄に加え、富士山周辺の山梨・静岡などが多い。
外国人宿泊比率では、大都市圏を除くと、山梨、北海道、沖縄のほか、九州エリアが比較
【図表 1】 都道府県別 外国人延べ宿泊者数(2013年1∼12月)(上位13位)
的高くなっている。
【都道府県別 外国人延べ宿泊者数】
0
500
1,000
東京都
0%
愛知県
神奈川県
86
静岡県
75
兵庫県
66
13.5%
13.0%
愛知県
127
山梨県
14.0%
沖縄県
135
福岡県
19.8%
15.3%
千葉県
146
10.9%
福岡県
9.5%
岐阜県
9.4%
神奈川県
8.4%
熊本県
52
7.9%
大分県
7.4%
長崎県
7.3%
熊本県
47
岐阜県
46
和歌山県
長崎県
6.5%
45
奈良県
6.2%
大分県
39
兵庫県
5.9%
広島県
37
滋賀県
5.9%
石川県
32
宮崎県
(注)首都圏⇒茶、関西⇒オレンジ、九州⇒紫、富士山周辺⇒黄緑、その他⇒青
(出所)ともに観光庁「宿泊旅行統計調査(平成26年1月∼12月)」よりDBJ作成
30%
22.9%
北海道
223
25%
25.2%
山梨県
265
沖縄県
20%
10.6%
京都府
295
千葉県
15%
大阪府
371
京都府
10%
東京都
595
北海道
5%
全国平均
1,252
大阪府
長野県
【都道府県別 外国人宿泊者比率】
(万人泊)
5.1%
(注1)外国人宿泊比率=外国人延べ宿泊者数/全延べ宿泊者数
(注2))全国⇒赤、首都圏⇒茶、関西⇒オレンジ、九州⇒紫、富士山周辺⇒黄緑、その他⇒青
11
インバウンド観光の現状: ①日本旅行熱の高まり
DBJでは2012年よりアジア8地域(※1)における訪日外国人旅行者の意向調査を毎年実施(※2)。
日本旅行の人気は、アジア8地域において継続的にトップであり、2015年は第2位のオースト
ラリアに15ポイントも差をつけるなど、圧倒的な人気を見せる。
具体的に検討している割合も上昇しており、2015年は約4割が日本旅行を具体的に検討。
【海外旅行先として希望する国・地域(8地域全体)】
2012年調査
2013年調査
2014年調査
2015年調査
日本
47%
①
52%
①
55%
①
55%
①
オーストラリア
43%
②
42%
②
42%
③
40%
②
韓国
38%
④
41%
③
43%
②
39%
③
ニュージーランド
34%
⑦
37%
⑤
39%
④
37%
④
アメリカ
37%
⑤
37%
⑥
37%
⑦
35%
⑤
スイス
38%
③
37%
④
38%
⑤
35%
⑥
(注)○囲み数字は、旅行希望の順位。
【具体的に日本旅行を検討している割合(8地域全体)】
2012年調査 2013年調査 2014年調査 2015年調査
日本旅行を具体的に
検討している割合
26%
32%
35%
(出所)ともにDBJ・JTBF「アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査(平成27年版)」
(※1)韓国、中国(北京・上海)、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアの8地域。
12
(※2)2015年は(公財)日本交通公社と共同実施。
38%
インバウンド観光の現状: ②地方観光地へも広い関心
ゴールデンルートと北海道への訪問意欲が高いものの、リピーターを中心に地方観
光地への訪問意欲も高い。
特に台湾のリピーターは日本各地への訪問意欲が高く、また地域別では九州エリア
が比較的高くなっている。
(回答はあてはまるもの全て)
全体
回答者→
韓国
2回
以上
中国
台湾
香港
タイ
シンガポール
マレーシア
インドネシア
2回
2回
2回
2回
2回
2回
2回
2回
なし 1回
なし 1回
なし 1回
なし 1回
なし 1回
なし 1回
なし 1回
なし 1回
以上
以上
以上
以上
以上
以上
以上
以上
訪日経験→
なし
サンプル数
1,730
960
富士山
47%
46%
42% 18% 27% 39% 60% 55% 51% 34% 43% 42% 35% 35% 31% 51% 53% 48% 57% 56% 45% 52% 54% 54% 51% 38% 53%
東京
46%
45%
43% 31% 32% 39% 40% 48% 49% 42% 43% 47% 45% 33% 37% 43% 47% 47% 51% 55% 43% 50% 51% 46% 51% 52% 43%
北海道
38%
47%
51% 20% 27% 33% 43% 54% 57% 64% 61% 62% 51% 47% 60% 33% 47% 41% 50% 56% 56% 39% 50% 43% 22% 27% 23%
大阪
34%
39%
42% 26% 32% 38% 32% 37% 45% 49% 46% 54% 43% 31% 36% 30% 43% 37% 32% 35% 39% 33% 49% 50% 32% 43% 38%
京都
26%
37%
41% 19% 30% 41% 30% 41% 41% 42% 46% 53% 36% 26% 34% 23% 39% 36% 23% 31% 44% 23% 45% 41% 25% 37% 34%
沖縄
21%
27%
35% 24% 25% 32% 28% 30% 33% 32% 39% 46% 39% 40% 44% 13% 19% 17% 25% 22% 27% 16% 18% 28% 11% 18% 23%
札幌
15%
25%
33% 23% 27% 41%
8% 20% 21% 29% 30% 37% 19% 22% 34% 17% 26% 29% 13% 24% 36%
広島
10%
11%
13%
9% 15% 17% 10%
福岡/博多
5%
9%
17% 12% 13% 20%
1%
7% 10%
函館
2%
7%
16%
0%
2%
5%
3%
7%
4% 13% 15% 33%
立山/黒部
1%
4%
11%
0%
0%
2%
0%
3%
別府/湯布院
2%
4%
10% 12%
9% 18%
1%
仙台/松島
3%
5%
7%
1%
0%
熊本/阿蘇
1%
3%
11%
2%
飛騨/高山
1%
1%
6%
1%
1回
1,187 167 142 187 174 197 138 135 127 238 124 91
4%
4%
8%
297 238 135 107 235 106 121 339 78
9% 17%
4%
4%
8% 12% 19% 14%
7% 10% 25%
2%
4% 15%
46 318 84
53
9% 27% 30% 15% 25% 23%
8%
8% 11% 13%
9% 20% 13% 18% 17%
5% 18% 15%
3%
7% 13%
4%
6%
9%
5%
6%
9%
5% 12% 21%
1%
4%
7%
2%
8% 17%
1%
5% 11%
0%
2%
2%
3% 10% 17% 31%
4%
5% 14%
1%
3%
1%
0%
2%
6%
0%
1%
2%
0%
1%
2%
5%
7%
1%
2% 13%
2%
4% 13%
2%
3%
3%
0%
1%
5%
0%
0%
0%
1%
0%
2%
4%
5% 10%
9%
5%
7%
8%
6%
3%
9%
3%
5%
7%
1%
1%
2%
2%
4%
4%
2%
7%
4%
1%
6%
2%
4%
9%
4%
7% 20%
6%
8% 15%
0%
1%
1%
0%
0%
6%
1%
1%
7%
0%
1%
0%
1%
0%
0%
1%
5%
3%
5% 14%
2%
0%
0%
1%
3%
0%
1%
4%
0%
1%
4%
0%
0%
2%
5%
(※1)上位5項目については赤または黄色で塗りつぶしを行った。
(※2)50の選択肢のうち、15項目を抽出したものである。
13
(出所)DBJ・JTBF「アジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査(平成27年版)」
インバウンド観光の現状: ③〈訪日経験者〉「日本旅行を選んだ理由」
(回答は当てはまるもの全て)
• 日本旅行を選んだ理由は、「日本食」「自然・景観」「温泉」「ショッピング」「歴史・文化」が主流。
• 前回調査と比較すると、「ショッピング」「価格の安さ(ツアー料金や航空運賃等)」が順位を上げている。特に中国、イ
ンドネシア、タイは「ショッピング」への関心が高い。
• 韓国、中国は「渡航時間の短さ」、タイ、インドネシア、マレーシアは「世界遺産」、インドネシアは「科学・技術」を挙
げる割合も高い。
(回答はあてはまるもの全て)
全体
回答者→
韓国
中国
台湾
香港
タイ
シンガポール
マレーシア
インドネシア
理由\訪日経験
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
1回
2回
以上
サンプル数
963
1,190
142
187
197
138
127
239
91
297
135
107
106
122
80
47
85
53
順位
前回
順位
1
1
日本食に関心があったから
46%
52%
28%
36%
45%
46%
42%
42%
38%
59%
60%
72%
50%
55%
46%
64%
60%
60%
2
2
日本の自然や風景に関心があった
から
47%
43%
29%
27%
56%
52%
49%
49%
29%
37%
58%
60%
41%
35%
49%
55%
64%
62%
3
3
日本の温泉に関心があったから
40%
43%
29%
42%
55%
49%
31%
41%
33%
42%
54%
52%
32%
33%
35%
43%
39%
53%
4
6
35%
38%
12%
19%
47%
46%
34%
39%
27%
46%
41%
44%
39%
30%
30%
32%
46%
45%
5
5
37%
34%
14%
22%
41%
41%
35%
42%
29%
24%
49%
50%
33%
31%
43%
40%
66%
51%
6
4
治安が良いから
28%
33%
12%
17%
23%
27%
33%
46%
16%
31%
47%
52%
31%
29%
41%
38%
28%
30%
7
14
価格が安かったから(ツアー料金や
航空運賃等)
22%
24%
20%
19%
16%
14%
20%
31%
24%
26%
27%
25%
29%
25%
28%
28%
15%
26%
8
9
家族や友人等の勧めがあったから
24%
21%
21%
25%
20%
21%
26%
22%
30%
17%
21%
24%
22%
16%
34%
32%
28%
15%
9
7
日本の世界遺産に関心があったから
23%
20%
6%
8%
23%
17%
17%
22%
16%
16%
37%
41%
18%
17%
38%
32%
42%
45%
10
10
渡航時間が短かったから
20%
22%
29%
30%
31%
30%
9%
25%
11%
15%
25%
29%
9%
11%
16%
17%
13%
19%
11
8
直行便があったから
19%
22%
8%
11%
22%
26%
22%
28%
15%
20%
28%
30%
20%
13%
23%
28%
11%
26%
12
11
21%
19%
11%
11%
30%
26%
14%
11%
10%
22%
27%
28%
19%
16%
16%
15%
40%
38%
13
12
20%
17%
6%
6%
25%
27%
10%
12%
8%
13%
32%
33%
13%
9%
20%
21%
49%
55%
14
14
16%
19%
12%
12%
19%
18%
23%
28%
15%
25%
13%
14%
14%
11%
18%
21%
8%
11%
日本でのショッピングに関心があった
から
日本の文化・歴史に関心があったか
ら
日本のファッション、ゲーム、アニメに
関心があったから
日本の科学・技術に関心があったか
ら
価格が安かったから(日本で購入す
る商品の価格等)
(注)上位5項目については赤または黄色で塗りつぶしを行った。
(注2)22の選択肢のうち、上位14項目を掲載した。
14
インバウンド観光の現状:④ 行ってみたい日本の観光地イメージ
(注)国・地域ごとのカッコ内の数値は、 3.(訪日経験別の日本旅行希望者)における日本旅行希望者のみを対象とした割合である。
15
インバウンド観光の現状:④ 行ってみたい日本の観光地イメージ
(注)国・地域ごとのカッコ内の数値は、 3.(訪日経験別の日本旅行希望者)における日本旅行希望者のみを対象とした割合である。
16
インバウンド観光の現状:全国の空港と国際線就航路線
国際線定期便就航
国際線チャーター便就航
出所:国土交通省航空局HPよりDBJ作成
17
インバウンド観光の現状:各地へのクルーズ船寄港回数
2015年のクルーズ船寄港回数
<日本船社、外国船社の合計>
博多259(←115 )、長崎131(←75)、横浜125(←146)、那覇115(←80)、神戸97(←100)、石垣84(←73)
<上記のうち、外国船社>
博多245(←99)、長崎128(←70)、那覇105(←68)、石垣79(←69)、鹿児島51(←29)、神戸42(←32)
※( )は2014年の数値。
(出所:国土交通省)
外国クルーズ客船の経済効果
乗客1人あたりの平均消費金額 約3.8万円
買物場所:土産物店34.0%、DFS 29.9%、コンビニ25.0%、スーパー21.7%、
百貨店18.8%、アウトレットモール12.1%、ドラッグストア9.5%
購入品目:食料品・飲料品48.0%、化粧品18.1%、飲食15.2%、
洋服・バッグ・靴等12.3%、薬品等10.1%、電化製品10.0%
→上海発着クルーズ船の那覇港寄港時(平成24年7月24日)における乗客への
アンケート調査結果
(出所:内閣府沖縄総合事務所調査)
<一定の前提条件による試算>
乗客1人あたりの消費金額:4万円
1隻あたりの乗客数:1,000人
寄港回数:50回
上記のような前提条件による消費効果を試算すると以下の通り。
40,000円☓1,000人☓50回=20億円
18
インバウンド観光振興の意義と期待される効果
 人口減少に伴う国内観光需要の減少とアジアの海外旅行需要の増加を背景に、我が国でもインバウンド観光への期待は高まっている。
 インバウンド観光は、国レベルでは外貨の獲得を、地域レベルでは観光収入や雇用機会の増加、地元企業の成長を、また、国・地域レ
ベルではブランド・イメージ向上や産品の輸出増といった効果をもたらすことが期待される。
インバウンド観光を取り巻く状況
背 景
期 待 さ れ る 効 果
国内の人口減少や
高齢化の進展
【国レベル】
国内観光需要の減少
【脅威】
外貨の獲得(→広義の輸出産業として位置付け)、
旅行収支の改善
インバウンド観光
への期待の高まり
【地域レベル】
インバウンド観光振興
アジアにおける
国外旅行需要の増加
【機会】
観光収入の増加
(日本を含めたグローバル競争)
【地域レベル】
雇用機会の増加、地元企業の成長
アジア諸国の経済成長や
富裕層・中間層の増加
【国・地域レベル】
諸外国との相互理解、国・地域イメージの向上、海外の日本
ファンの増加、産品やコンテンツの輸出増・販売増など
19
インバウンド観光の課題:地方への展開
・インバウンド観光客は現状、ゴールデンルートに集中するも、地
方の観光資源への関心は高く、訪問意欲もリピーターになるに従
い、高まる傾向
・個々の観光地域が、戦略的マーケティングにより、インバウンドを
含む観光客のニーズ把握に基づく品質向上、ブランド形成を行う
ことが重要
・さらに、観光地間の連携により、長期滞在が可能な魅力あるルー
ト形成が必要
欧州等における取り組み(DMO等)から示唆が得られる
20
2.海外における観光地域活性化の取組
21
欧州等におけるDMO (Destination Management Organization) とは
DMO(Destination Management Organization)とは、
 観光地域において、関係者の調整の下、観光地域の戦略策定、
観光資源の管理、品質向上等、観光地域づくり全般を担う専門
的組織。
<DMOの主要な機能>
 地域の観光に係る主要な関係者の合意形成、調整。
 各種データの収集・分析によるマーケティングに基づく戦略策定、KPIの設定、プロ
モーションの実施。
 地域全体の観光資源の管理、観光品質の向上を行い、観光地域のブランドを形成。
 上記の活動を行うことにより、地域への観光客のワンストップ窓口を担う。
欧州においては、従来からマーケ
ティング重視の観光地域づくりが行
われており、近年はDMOを中心に
取り組みが一層進展している。
22
観光マーケティングの重要性:①戦略的マーケティングと体制整備
 欧州はじめ、観光先進地域では、観光マーケティング、ディスティ
ネーション・マーケティングの重要性が十分認識され、これを観光振
興策の中心に据えている。
 形態は様々であるが、マーケティングを有効に実施するためには、
専門職員を有する機関・部署を設置し、地域におけるマーケティング
能力を向上させることが重要。
 具体的には、地域における観光の状況を把握し、その発展を一義
的に考える専門のマーケティング担当者を確保・育成する必要があ
り、外部からマーケティング専門家を招聘するとともに、地域におい
ても専門人材の育成を行っていく必要がある。
23
欧州における戦略的マーケティングの取り組み事例
【ドイツ・バイエルン州:マーケティング専門機関の設置】
・既得権やしがらみ、自治体への甘え等を断ち切り、
体系的・戦略的な観光戦略を実行するため、「バイエ
ルン・観光・マーケティング有限会社」という観光マー
ケティング専門機関を設立。
・社長はマーケティングの専門家を外部からスカウト。
【ローテンブルグ市:自治体主導の戦略的取り組み】
・マーケティングについてはエージェント任せに
することなく、最終的には市独自の判断を重視。
・観光担当者の在任期間は長く、権限も大きい。
責任者のリーダーシップの下に強力に策を遂
行できる体制を整備。
・インバウンド観光客の構成比についても留意し、
ドイツ人と外国人は半々となるようとするなど、
全体として満足度を高める戦略を取る。
(出所)ともにバーデン・ヴェルテンベルク州&バイエルン州観光局HP
24
欧州における戦略的マーケティングの取り組み事例
【スイス】
 スイス政府観光局は、観光客の特性や将来性を詳細に分析した上で、その市場の重要性
に応じて、デスティネーション・マーケティングの対象市場を、①優先市場(Priority markets;EU
諸国、米国等)、②アクティブ市場(Active markets;豪州、東欧諸国、カナダ等)、③戦略的成
長市場(Strategic growth markets;中国、インド、中東、ロシア等、)、④発展市場(Developing
markets;ブラジル、南アフリカ等)の4分類に分け、きめ細やかなマーケティング戦略を展開。
【ドイツ:ブライザッハ市(バーデン・ヴェルテンベルグ州)の取り組み】
 ドイツ南西部バーデン・ヴェルテンベルグ州に位置するブライザッハ市は、ワインの産地で有名。
 同市では市の組織であるBreisach-Touristik(BT)が地域の観光振興を担っている。
 BTのトップは、大学で観光とマーケティングを専攻後、ホテル企業のマーケティング部門に勤務し、
1993年から現職を務める。
 BTでは、以下のようなマーケティングに基づく取り組みを実施。
★ ターゲット層(クルーズ客、キャンピングカー、日帰り観光客)毎の顧客属性等を分析。
★ 観光産業の地域への経済効果(観光消費額、地方税収、経済付加価値、雇用)につき、
外部機関への委託を通じて調査・公表。
★ 地元中小ワイナリーに対して観光ビジネス研修等を実施。
25
観光マーケティングの重要性:②地域間の連携
欧州では、地域間の連携により広域でマーケティングを行う取り組
みをインバウンド観光客への対応を中心に実施。
ドイツでは、観光資源を売り出す際、街道をつくり、その街道そのも
のと街道沿いにある都市や名勝を一体として売り出していく、という
手法が広く取られている。ロマンティック街道は、その草分け。
 現在、その取り組みがさらに活発化しており、地域や国境を越え
た観光ルート形成が盛ん。規模が小さく知名度の低い観光地にとっ
ては、観光ルートの形成を通じて、知名度の向上と、単独では難し
い国外向けマーケティングを実施できる効果が期待。
26
今日の欧州における地域間連携の取り組み事例
【欧州文化観光ルート機関 (EICR)】
【Upper Rhine Valley】
【ファンタスティック街道】
(出所)バーデン・
ヴェルテンベルク州
&バイエルン州観
光局HP
(出所)
UpperRhineValley HP
(出所)EICRパンフレット
Upper Rhine Valleyプロジェクトは、ドイツ・フランス・
 EICRは、欧州の地域間における文化
スイスの3カ国を跨ぐ広域観光連携プロジェクト。
観光ルートの形成を支援。
 ファンタスティック街道は、ドイツ南部地域の10の
 EICRが認定するルートは、ワイン、食
都市・地域の連携により開始。
文化、音楽、温泉等の分野で24にのぼる。  何れもアジア等、海外からの観光客を増やすこと
を目的としたもの。

27
観光資源・受け入れ体制の整備:観光品質向上に向けた取り組み
 地域のディスティネーション・マーケティングを行っていく上で、地
域の魅力ある観光資源を十分に把握し、その 特徴・強み を前面
に押し立てていく姿勢が重要。 また、リピーターの確保のためには、
ホテル等の観光関連事業者における受け入れ体制の品質向上も
不可欠。
 近年、欧州等において、観光資源、あるいはホテル、レストラン等
の観光関連施設・事業者に係る認証制度の導入・普及の動きが見
られる。認証制度は、①観光品質への意識向上と品質改善を図る
動きを誘発、②品質表示が外国人観光客の安心感を高める、と
いった効果が期待され、観光地域の競争力確保につながると思わ
れる。
28
今日の欧州における観光品質向上に向けた取り組み事例
スイスQuality Programme(クォリティ・プログラム)は、1997
年にスタート。公共交通機関、ツーリスト・センター、ス
キースクール、ホテル、旅行代理店、レストラン等から、合
計6,031組織がラベルを取得。ラベルは3段階。
 当プログラムは、スイス政府がサポートし、統括組織に
はスイス観光連盟、スイス政府観光局に加え、ホテル、公
共交通、旅行会社、冬季スポーツの業界団体等が加盟、
観光関連の幅広いステークホルダーが関与。
 スイス政府観光局は、クォリティ・プログラムの目標とし
て、①観光産業の品質改善、②一貫した品質基準の策定
とコミュニケーション、③観光産業従事者の品質に対する
意識強化、④観光関連組織間の協力促進、⑤観光客が
歓迎されているという気持ちを持ち、その素晴らしい経験
を周囲に伝えること、を掲げている。
【スイス Quality Programme】

(出所)スイス政府観光局プレゼンテーション資料
【EuropeSpa】
European Spas Association(欧州スパ協会)は、欧州域内共通
のクオリティー・ラベルを作成、欧州域内外からの観光客のス
パ及び関連施設のクオリティーに対する信頼感向上を目指す。
 評価項目は、温泉の水質に加えて、インフラ、安全性、キッ
チン設備等、多岐に亘る。

(出所)EuropeSpa HP
29
観光統計の充実:評価指標(KPI)としての活用
 戦略的なマーケティングを実施するための基礎資料として、観光
統計の整備は極めて重要。
 海外の観光先進地域においては、訪問者数など 数 のデータに
加え、観光消費額や観光客満足度等の調査が実施されており、こ
れらのデータを観光マーケティングの基礎資料として、また観光関
連事業者の経営参考情報として活用。
 近年、海外における各種観光統計は、訪問者数のみならず、訪
問者支出額、雇用創出効果、宿泊数、観光税収入、新規投資額、
訪問者満足度など多岐に亘り、これらはDMOの評価指標( (Key
Performance Indicators、KPI)としても活用されている。
30
海外におけるDMO評価指標(KPI)の事例①
 豪州ニューサウスウェールズ州観光局では、州の観光統計データにつき、「パ
フォーマンス・スコアカード」といった分かりやすい形で公表し、地域の観光経済の
「見える化」を積極的に実施している。
【NSW州観光パフォーマンス・スコアカード(2014年)】
31
海外におけるDMO評価指標(KPI)の事例②
 ニュージーランドでは、国家レベルでも観光関連の統計データの整備が進んでいるが、
同国の著名な観光地であるクイーンズタウンでは、各種統計データーは、事業者のマーケ
ティング活動の基礎資料としても活用されている。
【ニュージーランドの観光統計)】
【統計データの種類】
・Commercial Accommodation Monitor(CAM)
→宿泊施設事業者の統計。宿泊施設の規模や利用率等がわかる。ニュージーラ
ンド統計局が月次で公表。
・Regional Tourism Indicators(RTI)
→国内外の観光消費額が地域レベルでわかる。Ministry Of Business, Innovation
& Employment(ビジネス革新雇用省)が公表。
・International Visitor Arrival(IVA)
→訪問客数、その種別などがわかる。ニュージーランド観光局によって支援され、
ニュージーランド統計局によって月次でレポートが公表される。
これらの統計データを活用して、具体の目標数
値や優先市場の決定を行っている。
32
DMO の組織形態と財源
欧州におけるDMOの組織形態としては、政府機関若しくは官民連携組織の非営利団体
(PPP non-profit)のケースが多い。
DMOの財源については、中央・地方政府からの補助金に加えて、メンバーシップフィー
や独自の商業活動等、財源の多様化が図られている。
【DMOの組織形態】
政府機関
PPP non-profit
PPP profit
民間non-profit
民間profit
その他
未回答
【DMOの財源】
地方自治体
中央政府
EU
州政府
メンバーシップフィー
商業活動
民間スポンサー
ホテル税
20.0
50.9
7.3
7.3
3.6
10.9
10.9
(出所)” Destination Marketing Organizations in Europe “
33
18.1
11.9
7.5
15.0
16.9
14.4
9.4
6.9
DMOの事例:ツェルマット
 スイスのツェルマットにおいては、DMOたるツェルマット観光局とブルガーゲマインデ・ツェルマット(地域共同体)とが中核となり、観光振
興に向けた地域ぐるみの活動が展開、「観光クラスター」が形成されている。
34
海外・国内観光組織の比較
地域の観光組織のあり方は国・地域特性等によって多様であるが、海外の地域DMO
及び日本の観光協会と地方政府の役割は概ね以下の通り分類される。
・米国西海岸はDMにおける地方政府の関与は限定的である一方、日本はそれが
大きく、欧州2ヵ国・豪州・NZはその中間として位置付けられる。
・米国西海岸では地域DMOが独自財源(TID)を有し観光戦略策定も主導するの
に対して、欧州・豪州等では地域DMOは地方政府補助金に依存しており、戦略
策定も地域DMOと地方政府とが協働(官民連携)している色彩が強い。一方、
日本では、国内プロモーション以外のマーケティングや観光戦略策定等は地方自治
体が主導するケースが多く、観光協会の役割は相対的に小さい。
35
海外・国内観光組織の比較
【米国西海岸型】
市場・顧客分析
観光経済の把握・分析
観光商品開発
国内プロモーション
【スイス・ドイツ/豪州・NZ型】
ブランドづくり
海外プロモーション*
市場・顧客分析*
観光経済の把握・分析*
【日本型】
国内プロモーション
ブランドづくり
会員支援
国内プロモーション
観光商品開発
*:広域・国DMOと連携
資金調達
(TID)
地域DMO
地域DMO
パフォーマンス評価
民間企業との連携
民間企業との連携
関係者間調整
関係者間調整
観光協会
パフォーマンス評価
予算配賦、
観光人材の育成・研修*
観光人材の育成・研修
事業への関与
*:広域・国DMOと連携
観光振興計画策定
予算配賦、
地域DMOの運営を監督、
地域DMOの運営を監督、理事会メンバーの派遣
関係者間調整
地方政府
観光振興計画策定
理事会メンバーの派遣
TIDの代理徴収業務
観光施設・インフラの整備・管理
地方政府
市場・顧客分析
地方政府
観光施設・インフラの整備
観光施設・インフラの整備
観光予算の策定
国内プロモーション
観光振興計画策定
【地方政府の役割・地域DMOに対するコントロール】
小
36
観光経済の把握・分析
ブランドづくり
海外プロモーション
イベント開催
観光予算の策定
パフォーマンス評価
大
3.日本型DMOの形成に向けて
37
地方観光地を巡る市場環境の変化とDMOへの期待
【国内市場の動き】
【外部環境の変化】
・人口減少に伴い売り上げ増加が困難
・消費者の旅行ニーズの多様化等により、観光資源
・旅行代理店による大量送客に過度に依拠した従
来型の観光地域の事業者は厳しい状況に置かれ
ている
・アジアの経済成長に伴い、インバウンド観光客の
大幅増加
・観光産業は内需産業から輸出産業に変化、衰退産
業から成長産業への転換が期待
個々の事業者の自助努力に加え、観光地域全体の
努力により、地域として品質向上を図り、当該地域に
対する消費者の評価を高める必要
インバウンド観光客は国内客と異なる要素も多く、地
域全体としての取り組みに加え、マーケティングの重
要性が高い
インバウンド対応、内需の変化各々に対応するためには、マーケティングに
基づく地域一体となった観光地域づくりが必要であり、その主体として、海外
の観光先進地域で重要な役割を果たしているDMOの形成が有効
DBJにおいても、DMOの形成推進と合わせて、観光活性化ファンドによる事
業者へのリスクマネー供給に重点的に取り組むこと等により、インバウンド観
光客の増加に対応した観光地域づくりを支援していく方針
38
日本型DMOの形成に向けて
 日本型DMOは、行政と連携しつつ、経営の視点から地域を総合的にとりまとめ、新たな市場を創造することができる地域マネジメント組織。
<DMOが担う主な機能>
①発地側及び着地側双方のニーズを踏まえた「マーケティング機能」
②観光品質の向上や利害調整を図る「マネジメント機能」
③行政との連携や資金調達、広域ルートを設定する機能
<人材、資金調達>
・日本型DMOに期待される役割を果たすことのできる地域内外のプロ人材を育成・活用することが必要。
・基礎的な費用は国や地方自治体が負担する必要があるが、経営の自由度や弾力的な資金支出を行うため、独自の収益活動による運営
資金の確保や、民間企業との連携などによる多様な資金調達を図ることが必要。
【日本型DMOの概念図】
39
観光地域のマーケティングや地域のブランド戦略
○ 観光協会が現在取り組んでいる事業は、国内のPR活動、会員支援等が中心。観光分野における政
策提言・調査や観光人材育成に取り組む必要性は認識されながらも、取り組めていない。
○ 観光地のマーケティングや地域のブランド戦略は、地方公共団体が担っているのが現状。
観光協会が取り組んでいる事業
観光地のマーケティング・ブランド戦略の担い手
分からない,
0%
20%
40%
60%
80%
その他, 5.9%
100%
外部コンサルタン
国内PR活動(誘客)
5.6%
いない, 5.2%
ト, 0.0%
地域外企業,
他団体との連携/受け入れ体制づくり等
0.0%
地域内企業,
会員支援
3.3%
海外PR活動(誘客)
地方公共団体,
観光協会の代表
46.3%
者, 4.8%
旅行商品開発
地域における観光人材育成
観光協会の役員
会, 10.7%
観光分野における政策提言・調査
分からない
観光協会の職員,
18.1%
(注)アンケートに回答した観光協会等のうち、当該事業を行っている観光協会等の割合
(複数回答)。
(出所:観光庁調査)
40
観光協会の事業計画における定量的な目標設定
○ 観光協会の事業計画において、定量的な目標値を設定していない組織が過半数。
○ 目標値を設定している組織においても、その値は訪問客数・宿泊客数のケースが多く、観光消費額を
目標値としている組織は少数派。
観光協会の事業計画における
定量的な目標設定
定量的な目標値として
設定されている指標
(実数、複数回答)
分からない, 4.2%
0
定量的な目標値を
設定している,
20
40
訪問客数(訪日外国人旅行者を含む)
26.5%
49
観光消費額(訪日外国人旅行者を含む)
30
観光関連雇用数
定量的な目標値を
観光関連雇用賃金
設定していない,
5
2
その他
定量的な目標値を
設定していないが、
分からない
今後設定する予定
である, 11.4%
(出所:観光庁調査)
41
80
61
宿泊者数(訪日外国人旅行者を含む)
58.0%
60
24
4
観光経済を定量的に把握するための調査
○ 観光経済を定量的に把握するための調査を実施している観光協会は2割程度。
○ 観光協会が実施していない場合、地方公共団体が実施しているケースが多い。
実施していない場合、
どこが実施しているか
観光経済を定量的に実施しているか
分からない,
(実数、複数回答)
2.2%
0
50
100
150
地方公共団体
実施している,
21.0%
174
国
21
シンクタンク/コンサルタント
他の観光推進組織
地域内金融機関
10
9
6
分からない
実施していな
どこも把握していない
い, 76.8%
その他
13
9
5
観光地域のマーケティング、地域ブランド戦略、観光経済の把握等については、
地方公共団体に依存している部分が大きいのが現状。
(出所:観光庁調査)
42
200
地方公共団体のマーケティングへの取り組み
○ 地方公共団体の観光予算は、「観光施設の整備・管理の委託」や「補助金」のほか、都道府県においては
「PR活動」への支出が大きい。
○ 「マーケティング(市場調査・ブランド戦略等)」への支出は、ごく僅かとなっているのが現状。
観光関連予算の支出内訳
国内マーケティング
0%
海外マーケティング
20%
40%
2.3
都道府県
22.4
60%
80%
国内PR活動(誘客)
1.2
11.1
100%
国内向けマーケティング(市場調査、ブランド戦略等)
24.6
13.0
海外PR活動(誘客)
海外向けマーケティング(市場調査、ブランド戦略等)
0.5
政令市
0.7
5.7
イベント開催
13.1
51.1
13.9
観光施設の整備・管理の委託
「観光施設の整備・管理の委託」以外の委託金
補助金
0.7 0.1
政令市以外の市町村
7.9
7.9
40.1
17.5
人材育成
内部管理費
その他
(出所:観光庁調査)
43
地方公共団体における観光人員
○ 地方公共団体における観光担当人員は、都道府県・政令市においては相応の人員数となっているが、政令市
以外の市町村においては、「1人以上5人未満」が最多となっており、比較的小規模な自治体においては、限ら
れた人員での業務となっていることが分かる。
○ 観光業務を担当する経験年数は3年以内がほとんどを占め、人事ローテンションの中での配置となっており、専
門人材が育成され、担当している訳ではない。
観光担当人員の平均
経験年数
地方公共団体の観光担当人員数
0.0%
20.0%
都道府県
政令市
40.0%
60.0%
65.2%
12.5%
政令市以外の市町村
80.0%
100.0%
0.0%
21.7%
81.3%
48.4%
1人以上5人未満
5人以上10人未満
30人以上50人未満
50人以上
(出所:観光庁調査)
31.2%
18.8%
20.0%
都道府県
21.9%
政令市
20.0%
政令市以外の市町村 11.8%
10人以上30人未満
1年
44
2年
3年
40.0%
60.0%
43.8%
80.0%
25.0%
60.0%
39.4%
4年
100.0%
9.4%
20.0%
34.9%
5年以上10年未満
7.9%
10年以上
観光協会に対する観光地域づくりへの期待
○ 限られた人員・専門人材の欠如などの状況下、むしろ地方公共団体においては、観光地域づくりに関
するマーケティングやマネジメント機能を観光協会が担うことについて、約8割が「非常に賛成」・「概ね
賛成」となっており、肯定的。
観光協会に、観光地域づくりにかかるマーケティング
やマネジメント機能を持たせることについて
0.0%
都道府県
政令市
政令市以外の市町村
非常に賛成
(出所:観光庁調査)
20.0%
40.0%
80.0%
100.0%
40.4%
36.2%
37.5%
43.8%
47.9%
38.0%
概ね賛成
60.0%
概ね反対
45
非常に反対
分からない
観光協会の現状
○ 観光地域づくりが期待される観光協会の正規職員の平均年収は、200万円以上300万円未満が
最多で、過半数が400万円未満となっており、必ずしも十分な待遇とは言えない。
○ マーケティングかかる部門や担当者の設置・配置についても一部に留まっており、現状では、地方自治
体が期待するような、いわゆるDMOが担うべき機能を発揮できる状況にはない。
観光協会において設置されている部門や
配置されている担当者
観光協会正規職員の平均年収
(実数、複数回答)
0
分からない,
19.0%
200万円未満,
11.5%
50
100
150
200
事業計画の立案
218
国内PR活動(誘客)
209
資金調達(補助金の交付等を受ける)
184
計画や事業実施状況のチェック
700万円以
上, 1.5%
164
関係主体(観光関連企業等)間の調整
600万円以上
700万円未満,
4.1%
200万円以上
300万円未満,
20.8%
158
観光サービスの質の維持・管理・向上
145
販売(旅行商品や特産品の販売等)
142
会員支援
139
海外PR活動(誘客)
500万円以上
600万円未満,
10.4%
118
旅行商品開発
103
観光施設の整備・管理
98
マーケティング(市場調査、ブランド戦略等)
300万円以上
400万円未満,
19.3%
400万円以上
500万円未満,
13.4%
(出所:観光庁調査)
76
危機管理(災害への備え、観光危機管理計画の策定等)
その他
分からない
46
250
43
28
17
観光協会の課題と解決のための方策
○ 観光協会の抱える課題としては、予算不足、人材の質量の不足を上げるケースが約7割。
○ 課題解決のための方策としては、自主財源の創出、補助金の増加、専門人材などを挙げるケースが多い。
観光協会が最も課題と感じること
その他, 4.4%
課題解決のための方策
分からない, 3.3%
組織の役割が不明
0
確、独立性・自主
(実数、複数回答)
100
150
200
50
自主財源の創出
性が不十分,
13.3%
予算の不足,
地方公共団体の補助金の増加
36.3%
民間との連携が不
十分, 1.9%
159
113
地域における専門人材の育成
67
地域資源を活用する多様な主体との連携
63
貴組織への権限委譲
ノウハウ不足,
4.8%
専門人材の不足,
13.0%
人員の不足,
23.0%
(出所:観光庁調査)
47
38
多様な主体を束ねる上部組織づくり
24
外部専門家の登用
23
観光産業のための目的税の導入
22
採用活動の実施
19
その他
13
分からない
13
政府の戦略におけるDMOの位置づけ
 政府の戦略においても日本版DMOの形成促進を位置づけ
「日本の観光のトップランナーとしてふさわしい地企の中から世界に通用する観光地域づくりとマーケティングを行う官民一体の観光地経
営体(日本版DMO)を選定し、政策資源を集中的に投入することとする。」
(→日本再興戦略 改定2015)
「観光地域づくりに当たっては、東京周辺やいわゆるゴールデンルートに集中している訪日外国人旅行者の地域への呼び込み、訪日外
国人が一人歩きできる受入環境の整備、訪日外国人の観光による消費の活性化等のほか、農林漁業や産業遺産など地域独自の観光
資源の磨き上げを通じた魅力ある観光地域づくりが必要である。また、こうした取組を自律的・継続的に実施していくためには、各地域の
特性を生かして、地域ごとに複数の主体の合意形成を行い、定量的・客観的なデータ分析に基づく地域課題の抽出等による戦略的な
マーケティング、PDCAサイクルによる効率的な事業を継続的に推進する主体(日本版DMO)が必要である。」
(→まち・ひと・しごと創生総合戦略)
「地域の観光振興を戦略的に推進する専門的な組織として日本版DMOを確立する」
「・欧米の先進事例も踏まえ、望ましい機能を備えた日本版DMOを早急に育成する。」
「・日本版DMOは、各地域の実情を踏まえ、各市町村・都道府県単位のもの、広域にまたがるものの双方を想定した上で、機能及び組織
体制を3段階に分類し、地域に最適な日本版DMOを育成する。」
「・5年以内に、レベル3を5∼10か所程度、レベル2は10∼30か所、レベル1は50か所程度構築する(各レベルについては「まち・ひと・しご
と創生基本チーム報告書」(平成27年6月12日)を踏まえ設定)」
「・国は、日本版DMOの形成に向けて、総合的かつレベルに応じた段階的な支援措置を実施する。」
「・優良事例の展開等や、地域金融機関による積極的な関与等を促す。」
「・日本版DMOの取組を先導するための人材育成を支援するとともに、人材マッチングの仕組みを創出する。」
「・農林水産業をはじめとした他産業と連携した地域資源のブランド化、新たな中規模市場の開拓等に取り組む人材を確保する。」
(→まち・ひと・しごと創生基本方針2015)
48
(参考)日本版DMOの候補となりうる法人の登録について∼制度概要∼
概要
○ 日本版DMOの候補となりうる法人を観光庁に「登録」。
○ 登録された法人(日本版DMO候補法人)に対して、関係省庁連携支援チームを通じて支援。
目的
① 取組目標・水準の提示による日本版DMOの形成・確立の促進
② 日本版DMOの形成・確立を目指す地域の情報を共有することによる支援の重点化
③ 日本版DMO候補法人の間の適切な連携を促すによる各法人間の役割分担がされた効率的な観光地域づくり
登録の枠組み
【登録対象】地方公共団体と連携してマーケティングやマネジメント等を行うことにより観光地域づくりを担う法人
【登録の区分】対象エリアの広さに応じた3区分で登録
○広域連携DMO
・ 複数都道府県に跨がる区域(地方ブロック単位)を一体とした観光地域として、観光地域づくりを行う組織
○地域連携DMO
・ 複数の地方公共団体に跨がる区域を一体とした観光地域として、観光地域づくりを行う組織
○地域DMO
・ 原則として、基礎自治体である単独の市町村の区域を一体とした観光地域として、観光地域づくりを行う組織
(出所)観光庁資料
49
(参考)日本版DMO候補法人登録のフロー
手引き・登録要領の公表
観光庁
DMO形成に係る手引き・登録要領等の公表
募集
日本版DMO形成・確立計画の提出
スケジュール(予定)
11月18日:「日本版DMO」形成・確立に係る手引き・登録要領公表
11月19日∼:各地域での説明会を開催
12月15日:「日本版DMO」候補法人の登録開始
1月∼2月:各地域におけるシンポジウムの開催
地域
DMO機能を担おうとする法人が、DMO形成に
関する計画を作成し、地方公共団体と連名で提出
応募
関係省庁の施策の重点投下
新型交付金による支援
関係省庁をあげて、横の連携を強化し、地域の取組を強力に支援
観光庁による登録
登録法人は
観光庁HPで公表
宿泊施設
飲食店
通信
地域
日本版DMOとしての活動の実施
・日本版DMOを核とした観光地域づくりの
取組の実施
・KPIの設定・PDCAサイクル導入による
自己評価 等
※少なくとも年1回実施し、結果を観光庁に報告。
農林水産業
歴史・景観
まちづくり
「日本版DMO」を核とする
観光地域づくりに対する
関係省庁連携支援チーム
自然観光資源
産業観光
商工業(ふるさと名物)
交通
伝統・文化・歴史
スポーツ
イベント
○関係省庁の支援の重点実施 ○地域からの相談へのワンストップ対応
○支援メニュー集の策定
○現場における課題やニーズの共有
等
50
(出所)観光庁資料
(参考)日本版DMOの形成支援
日本版DMOの手引き
日本版DMOに関する基本的な考え方、国内外の取組事例、支援制度の紹介などを内
容とする「日本版DMO形成・確立に係る手引」を作成・公表。
○ 広く地域に情報提供することで、日本版DMOを形成・確立する取組に高い意欲を持つ
地域を強力に後押し。
○
日本版DMO候補法人の登録制度
○ 日本版DMOの候補となりうる法人を観光庁に「登録」。
○ 登録された法人(日本版DMO候補法人)に対して、関係省庁連携
支援チームを通じて支援。
目的
① 取組目標・水準の提示による日本版DMOの形成・確立の促進
② 日本版DMOの形成・確立を目指す地域の情報を共有することによる支援の重点化
③ 日本版DMO候補法人の間の適切な連携を促すによる各法人間の役割分担がされた
効率的な観光地域づくり
DMOを担う専門人材の育成について
○ DMOの世界的な業界団体であるDMAIのノウハウを活用。
○ 観光地経営を行う日本版DMOで活躍する人材を育成するプログラム
の策定・研修の実施を通じて、地域のニーズに対応。
○ 研修修了者の人材情報をデータベース化。
51
(出所)観光庁資料
観光産業を巡る金融機関の対応とDMO
金融機関
投融資
<従前>
ホテル・旅館
観光施設
土産物屋
<今後>
飲食施設
DMOの形成支援:コンサルティング
+必要に応じたファイナンス
金融機関
DMO
投融資
ホテル・旅館
土産物屋
設備投資を行っても収
益拡大→返済原資の確
保が難しくなる中、融資
判断も慎重になりがち
DMO形成
→観光地域づくりによる
地域のブランド価値向上
観光施設
飲食施設
52
国内の人口減少により、
内需に関しては縮小傾
向。将来見通しは暗く、
成長戦略も描きにくい。
DMOが適切に機能
し、インバウンド増加
が実現することにより、
各事業者の収益基盤
向上により良質な資
金ニーズ、投融資機
会が拡大する可能性。
新しい観光産業振興、観光地域づくりのイメージ
セールス・プロモーション
セールス・プロモーション
連携
広域連携DMO
・地域DMOの支援
旅行代理店など
大手交通事業者・
海外消費者
国内消費者
・マーケティングに基づく広域観光の戦略策定・ブランド形成
・海外向けのマーケティング・プロモーション
地域DMO
地域DMO
地域DMO
・関係者の合意形成、調整
・マーケティングに基づく
戦略策定・ブランド形成
・一元的な情報発信・販促
・関係者の合意形成、調整
・マーケティングに基づく
戦略策定・ブランド形成
・一元的な情報発信・販促
・関係者の合意形成、調整
・マーケティングに基づく
戦略策定・ブランド形成
・一元的な情報発信・販促
ホテル・旅館
飲食施設
飲食施設
飲食施設
土産物屋
土産物屋
土産物屋
交通事業者
交通事業者
交通事業者
観光施設
観光施設
観光施設
:
:
:
53
・・・・・
・DMOの戦略に沿っ
た事業者に対する
投融資
出資
ホテル・旅館
観光ファンド
ホテル・旅館
・DMO形成支援
金
融
機
関
瀬戸内ブランド推進体制におけるDBJの役割
瀬戸内ブランド推進連合
ブランド構築、プロモーションなど
行政 インフラ整備、規制緩和など
事業化を誘発
民間企業など
瀬戸内のブランド化に呼応した商品を開発(テーマ例:クルーズ、食、アート、宿泊施設など)
事業化を誘発
事業化支援組織推進室
発 足 経 緯
 瀬戸内地域の地方銀行7行とDBJは、瀬戸内ブランド推進連合と連携して観光振興を行うた
め、振興策とその組織設計に関する協議の場として「事業化支援組織推進室」を発足
 8行は、H27年12月に下記の新法人およびファンドの設立に関して基本合意
支 援 内 容
 新法人(H28年4月設立予定)を通じた事業化に係るノウハウ提供などの経営支援
 せとうち観光活性化ファンド(仮称、H28年4月設立予定)を通じた資金支援(投融資)
DBJの 役 割
 中立的な立場を活かし、関係者が合意形成を図るためにコミュニケーション円滑化を支援
 新たなビジネスコンセプトの構想に向け、オープンイノベーションの場づくりを支援
(H27年10月、H28年2月に「瀬戸内iHub」を開催。4月以降も継続的に商品開発を支援)
 観光活性化・地域活性化ファンド運営に関するノウハウを提供
54
(参考) リスクマネー供給による観光地域活性化
∼DBJの取組事例∼
55
星野リゾート旅館・ホテル運営サポート投資事業有限責任組合の組成
– 星野リゾート・グループと日本政策投資銀行は、日本国内において旅館・リゾートホテル等の宿泊業を営む企業を投融資対象とした共同運
営ファンドを組成致しました。
– 星野リゾートが有する旅館・リゾートホテル等の宿泊施設オペレーション、ブランディング及びマーケティングノウハウと、DBJがこれまで
培ったファイナンスノウハウや産業調査能力を活用し、国内宿泊事業者が抱える経営課題の解決を目指します
ストラクチャー
ファンド概要
運営ノウハウ提供
コンサルティング
ファイナンス
名称
星野リゾート旅館・ホテル運営サポート
投資事業有限責任組合
ファンド総額
20億円
無限責任組合員(GP)
株式会社H&Dパートナーズ
有限責任組合員(LP)
星野リゾート・グループ
株式会社日本政策投資銀行
組成時期
平成27年12月
存続期間
10年間
折半出資
産業調査
販売支援
新設ファンド運営会社
LP出資
GP出資
LP出資
投資事業有限責任組合
出融資
投資先企業
出融資
投資先企業
出融資
投資先企業
56
観光活性化マザーファンドの組成
観光活性化マザーファンド
内容
設立
2014年(平成26年)4月1日
所在地
東京都千代田区
ファンド総額
52億円
無限責任組合員
(GP)
REVICキャピタル(株)
(株)RD観光ソリューションズ (DBJ・RISA出資)
有限責任組合員
(LP)
(株)日本政策投資銀行 (DBJ)
(株)地域経済活性化支援機構 (REVIC)
(株)リサ・パートナーズ (RISA)
また、地銀と以下の観光ファンドも組成している
・静岡 「しずおか観光活性化ファンド」
・大分、熊本、親和、福岡、宮崎
「九州観光活性化ファンド」
・南都 「奈良県観光活性化ファンド」
57
(株)知床グランドホテルへのメザニンファイナンス
当社概要
案件概要
• 知床グランドホテルによる本館改装の実施。
• 昭和35年に知床ウトロ温泉において創業された旅館
事業者である。
当社概要
• 当社は、世界自然遺産登録を受け、雄大な自然を
擁する知床地区で、「知床グランドホテル北こぶし」
等の温泉旅館を運営しており、同地区において、大
手旅館の一角を占めている。
案件概要
• ロビーの全面的なリニューアルとともに、オホーツク
海を望む「オホーツクラウンジ」及び「足場」テラスを
新設した。
• ロビーの改装を中心とする本館改装工事を対象に、
観光活性化マザーファンドから、リスクマネーとして、
資本性劣後ローン(メザニンファイナンス)を実行。
<対象工事のイメージ>
<取り組みイメージ>
資産
負債
本館改装工事
メザニン
純資産
近時の取り組み
知床での
観光振興
観光ファンド
• ロビーの改装にあたっては、知床地域の着地型観光
商品(ネイチャーガイド)の積極的発信にも配意する
等、滞在型観光及び周遊型観光の育成をも企図。
• 世界自然遺産に登録された多様な自然や生態系を
活用した観光プログラムなど、知床地域の豊かな観
光資源を活かしつつ、地元の食材を活かした料理づ
くり等、サービス向上の取り組みを通じ、顧客への訴
求力を高める取り組みを追求。
案件の
ポイント
• その他、知床への集客強化のため、冬季イベントの実
施や道東3空港への2次交通整備を企画。
• 本件投資は、知床地域の観光活性化を企図する成
長投資である一方、ロビーの改装は、短期的な収益
向上を伴わない非収益投資でもあることから、観光
ファンドが資本に類似した下支えの資金を提供。
• メザニン資金は、一定期間後に既存負債が軽くなっ
た段階において、シニアによるリファイナンスを想定。
58
(有)舩坂酒造店へのメザニンファイナンス
当社概要
当社概要
案件概要
• 元禄年間創業の飛騨高山に事業基盤を有する酒
造兼飲食事業者。
案件概要
近年の動き
業容の拡大
• H21/4、経営主体の変更を契機に、爾後、①日本
酒の高付加価値製品へのシフト、②小売の拡充、
及び③レストランの開業等の施策を通じて、順調に
業容の拡大を果たしている。
高山地区の
観光活性化
• 現在では、高山を代表する酒蔵の一つとして、飛騨
地域の恵まれた湧水を用いて「四ツ星」に代表され
る良質な地酒の醸造を手掛ける。
• また、高山の中心的な観光地である上三之町地区
(歴史的町並み保存地区)において、国内外の観
光客向けに、それら地酒や地域の名産品を提供す
る飲食・物産施設を運営している。
PJ「四ツ星」
の推進
• 本件は、我が国の代表的な観光地の一つである高
山地域の一層の活性化に資する「プロジェクト四ツ
星」に対し、地域のトップバンクである十六銀行と観
光活性化ファンドが協調ファイナンスを実施したもの。
資産
PJ「四ツ星」
案件の
ポイント
• 近時は、有巣弘城社長の経営差配により、酒造り
及び観光の両面で優れた特色を有する高山の地
域性を活かし、杜氏管理による本格寒冷仕込(季
節醸造)と観光客向けの通年醸造の両立を推進す
る「プロジェクト四ツ星」を推し進めている。
59
負債
シニア
メザニン
純資産
観光ファンド
• 当社は、近年実施の設備投資につき、大宗を外部
借入にて賄った結果、業績は順調に拡大しつつも、
CFと返済にややミスマッチが生じていた。
• 本件は、高山の観光活性化を企図するプロジェクト
「四ツ星」に対し、観光ファンドが下支えの資金として、
メザニンファイナンスを提供。
• メザニン資金は、一定期間後に既存負債が軽くなっ
た段階において、シニアによるリファイナンスを想定。
(株)五龍舘へのメザニンファイナンス
当社概要
案件概要
• 当社は、長野県白馬村にて、「ホテル五龍館」及び
「ホテルスクエア」の2館を運営する宿泊事業者。
案件概要
当社概要
• インバウンド客は、「泊食分離」が基本であり、①他施
設の宿泊客の料飲需要を取り込み、②動線の改善
による回転率の上昇を目的として、レストランのリ
ニューアルを実施。
近時の状況
過大投資
新インバウン
ドの増加
設備投資
の必要性
• 過去、長野オリンピック・パラリンピックを見越して実
施した設備投資が、結果として過大投資となり、そ
の設備資金を金融機関からの借入で賄ったことも
あり、過小資本の状態に陥った。
(レストラン全景)
• 近年、白馬村はスキーリゾート地としての積極的な
海外マーケティングが功を奏し、外国人宿泊者数
は著しい増加傾向にある。
• 平成20年に就任した中村ゆかり社長の経営手腕に
より、独自商品の開発や着実なインバウンド対応(を
通じて、安定した黒字を計上している。
(個室(新設))
資産
負債
レストラン
改装資金
シニア
メザニン
(ライブキッチン(新設))
観光ファンド
純資産
• 白馬地域では、ハイシーズンの冬期において、飲食
施設が大幅に不足する状況が顕在化している状況。
• 当社自身は過小資本の状態にはあったものの、①
インバウンド客の飲食需要の取り込み、② 白馬の
観光活性化の観点から、当該需要を取り込むため
の成長投資が必要な状況にあった。
案件の
ポイント
60
• 当社は、業績は順調に拡大しつつも、既存借入金
の返済ピッチに対し、事業CFに余裕はなく、今般の
設備投資を通常借入で賄った場合、CFのミスマッ
チ(返済もたれ)を起こす可能性があったことに加え、
過小資本の状況下、資本の充実が必要であった。
• 本件は、メイン松本信金とともに、観光ファンドが下
支えの資金としてメザニンファイナンスを提供し、①
CFの安定化、②バランスシートの改善を図ったもの。
古民家(歴史的建造物)再生の取り組み
(株)NOTEリノベーション&デザインに対する投融資
(NOTEによる取り組み(篠山市鳥瞰図))
61
古民家(歴史的建造物)再生の取り組み
(株)NOTEリノベーション&デザインに対する投融資
(ストラクチャー)
(社)ノオト
観光活性化マザーファンド
出資
出資
融資
• プロジェクト資金(物件取
得資金・改装資金等)の
大宗については、観光活
性化マザーファンド及び
地元金融機関からの「融
資」にて対応。
(株)NOTEリノベーション&デザイン(新設会社)
買取物件賃貸
サブリース契約
① 固定賃料
② 売上支払
買取費用
賃借料
オペレータ−
宿泊施設運営
レストラン運営
物件買取
リース契
約
宿泊等売上
62
• (社)ノオト及び観光活性
化マザーファンドの出資
により、(株)NOTEリノベー
ション&デザインを設立。
• 地元金融機関による融
資は、①金額(担保評価
の範囲内)、②融資条件
(元金均等返済)の観点
で、古民家再生への取り
組みではボトルネックと
なったが、観光活性化マ
ザーがリスクマネーを提
供し、ディールとして成約。
(株)Yumegurashiの社債引受
当社概要
当社概要
案件概要
• 京都府京都市で新たに実施される古民家再生を担
う事業体として、滋賀県の飲食事業者を設立母体と
して、平成27年8月に設立された旅館事業者である。
施設概要
• 京町屋を改装し、5室の小規模宿泊施設を展開。
• 客室は平均63㎡の広さとなっているほか、全室、客
室露天風呂を備える等、ハイエンドな設えを予定。
今次取り組み
今次PJ
PJにおける
リスク要因
リスク要因
への対応
• 京都二条城に近接する町屋を定期賃貸借契約で
借り受け、自己資金にてリノベーションの上、新たに
高単価宿泊施設の新規開業を企図するもの。
• 今次PJは、立地面及び施設面では一定の競争力が
認められた一方、以下のリスク要因が認められた。
① 事業計画の精緻化不足
② 宿泊オペレーション
③ 集客リスク
(客室イメージ)
(露天風呂イメージ)
分割償還
① 事業計画の精緻化不足
• REVICの観光専門人材(宿泊事業者出身)により、
事業計画の精緻化を支援。
② 宿泊オペレーション
• 上記と同様、REVICを通じた外部専門家の招聘等に
より、宿泊オペレーションの改善を実施。
• また、設立母体(飲食事業)の事業基盤を活用する
ともに、「仕込み」で対応出来るメニューを提供し、飲
食オペレーションのリスクを最小化。
③ 集客リスク
• DBJから(株)一休を紹介。結果として、無償での積
極的なプロモーションを獲得し、集客リスクを最小化。
シニア
対象事業
純資産
案件の
ポイント
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期限一括償還
(社債)
地域金融機関
観光ファンド
普通株式
• 創業者からの出融資、並びに観光ファンド及び地域
金融機関によるシニア・ファイナンスを実施。
• 地域金融機関からの融資額は、保全見合いの金額
に留まっていたが、上述のリスク及び対応策を勘案
の上、観光ファンドから、不足額について、実質的な
リスクマネーとして、期限一括償還(無担保)を提供。
著作権(C)Development Bank of Japan Inc. 2016
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