人権 「企業価値創造」に向けて 「ヒト由来試料」使用の適否の審査 タケダでは、 「ヒト由来試料(血液、組織、細胞など)」に関して、医薬研究本部 内に「研究倫理審査委員会」を設置し、ヘルシンキ宣言に則り、研究への試料使 用の適否を審査しています。 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」については別に生命 倫理委員会を設置しています。この生命倫理委員会は、男女 6 名の常任委員で 構成され、常任委員の半数以上を社外委員とするよう定めています。 社外委員 3 ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する 人( 6 人中) 生命倫理委員会における社外委員 [人権課題と取り組み] 研究 課題 「ヒト由来試料」の提供者からの事前の自由意 取り組み 生命の尊厳および人権を尊重するポリシ 思に基づく同意(インフォームド・コンセント)の取得 ー・規約を体系づけ、研究活動を推進しています。環境 や、遺伝情報を含む個人情報の保護を徹底すること リスク低減に関しては、 「 武田薬品グループ環境防災 などの、人権の尊重が重要な課題と認識しています。 業務基準」に基づき継続的な取り組みを行っていま また、研究所周辺の地域住民の方に対する健康面で す。また、遺伝的なサンプルのライブラリー利用時に の影響等に関する情報開示や、探索研究において土 は特別な配慮を行うなど、人権に関する課題への取り 壌などから遺伝資源を採取する場合における「遺伝資 組みを着実に進めています。 源へのアクセスと利益配分」などについても、配慮す べき課題と考えています。 開発(臨床試験) 課題 臨床試験の実施にあたっては、予想される効果 4 研究・開発における主な人権関連規則 回 研究倫理審査委員会規則 2011年度 人権関連規則に関する 委員会の開催回数 や起こりうる可能性のある副作用、守っていただく事 項等について十分に説明し、患者さんがその内容をよ く理解されたうえで、同意を得る必要があります。 ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する生命倫理委員会規則 タケダでは、臨床試験に参加していただく患者さん の自由意思を尊重し、安全性を確保するとともに、個 合同遺伝子組み換え実験安全委員会規則 臨床検体取扱実験委員会規則 人情報を保護することが重要な課題と考えています。 取り組み ヘルシンキ宣言の精神をもとに定められた ICH-GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を遵守 ヒトゲノム・遺伝子解析研究の実施に関する規則 し、患者さんの自由意思に基づく同意を得て、各国の 規制要件、社内基準および治験実施計画書に従って臨 遺伝子組み換え実験実施規則 60 Takeda Annual Report 2012 床試験を実施しています。 2 団体 グローバルな 人権ワーキンググループ 参加団体数 また、途上国における臨床試験や、対象者に社会的弱 者が含まれる場合などにも、被験者の人権が損なわれ 課題 医薬品は生命に深く関わるものであり、使用を ることのないよう十分な配慮を行っています。 誤れば、患者さんと社会に対して損害を与えかねませ 関連情報 P.75 コンプライアンス CSRに関する国際的な企業会 員組織「BSR」 、 グローバル・コン パクト・ジャパン・ネットワークの 人権ワーキンググループに参 加しています。 販売 ん。優れた医薬品をお届けするとともに、医薬情報を 適正な手段で的確かつ迅速に提供・収集・伝達すること 調達・生産・物流 は、 タケダにとって基本的な責務と考えています。 課題 グローバル製薬企業として、新興国を含む世界 取り組み 「医療用医薬品プロモーションコード」や のさまざまな地域から資材を調達し、医薬品の生産を 「 医 療 用 医 薬 品 製 造 販 売 業 公 正 競 争 規 約 」を遵 守 行うなかで、労働に関する権利も含め、人権を尊重す し、 「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関す ることが特に求められていると認識しており、サプラ る指針」を定めて、公正なプロモーション活動に努め イヤーに対しても十分留意いただくようお願いする必 ています。 要があると考えています。 さらに、独自のプロモーションコードと規約を定め 生産においては、工場周辺の地域住民の方の健康 て、 「 高い倫理観」に基づく質の高い医薬情報活動を に配慮することが重要な責務であると考えています。 展開し、患者さんの人権の尊重を徹底しています。 また、偽造医薬品対策についても、調達・生産・物流全 般に関わる課題の一つと認識しています。 取り組み サプライチェーン全体における課題に対し ては、2010 年に「 CSR 購買ガイドライン」を制定し、 自らの行動規準を定めるとともに、サプライヤーに対 して期待する事項と行動規範を明記し、取り組みの強 化を図っています。 環境リスクの低減に関しては、 「 武田薬品グループ 環境自主行動計画」を制定し、着実な取り組みを推進 しています。また、偽造医薬品についてのグローバル レベルの対策を進めています。 関連情報 P.64 環境リスクの低減 P.67 CSR購買ガイドライン P.68 偽造医薬品対策 P70 保健医療アクセスへの取り組み Future Outlook 今後の課題と取り組み 人々の「いのち」に携わる製薬業界には、 くすりづくりの各段階において、人権に関わる特 有の課題が存在しています。特に、途上国を含む新興国でビジネス活動を実施するにあたっ ては、今まで以上に人権課題に対する配慮が重要となってきます。タケダでは、ISO26000 やラギー・レポートによる国際的規範となっているフレームを活用して、保健医療アクセスへ の対応を含めた誠実な取り組みを推進します。また、CSRに関する国際的な企業会員組織 「BSR 」の人権ワーキンググループにも新たに参加し、 ここから得られる知見を通して、 グロー バル企業に相応しい取り組みを進めていきます。 「 CSR データブック」 ( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。 http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html Takeda Annual Report 2012 61
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