Cine Vivo - IMAGICAウェスト

2013 年
12 月 23 日(月)
No.3743
IMAGICA ウェスト
4K フィルムスキャンシステム「Cine Vivo」が稼働
リアルタイムで高品質・コストパフォーマンスの高いサービスを可能
㈱ IMAGICA ウェストは 1 日、自社開発した 4K 対応フィル
ムスキャンシステム「Cine Vivo(シネ・ヴィーボ)」のサービ
スを開始した。「Cine Vivo」は、同社が創業以来培ってきたフ
ィルムラボとしてのノウハウと、長年にわたるポストプロダク
ションとしての経験をベースに自社開発したもの。 フィルムに
やさしい をコンセプトとし、スーパー 35mm 相当の CMOS
イメージセンサーやウェットゲートの採用により、4K RAW を
含む 1 秒 24 コマのリアルタイムスキャンを実現。フィルムの
ゴミや傷を自然なカタチで軽減、タイミング色補正データ等の
活用により、後処理のカラーグレーディングの効率性を高め
ることで、旧作映画・記録映像の DCP 化やデータ保存のほか、
新作映画・CM におけるフィルム撮影による映像制作にも適し
た、高品質でコストパフォーマンスの高いワークフローを提供
1 日から稼働した 4K フィルムスキャ
ンシステム「Cine Vivo」
」
していく。
コンセプトは フィルムにやさしい
4K 対応のフィルムスキャンシステム開発に関する構想は約 3 年前からあったという。
フィルムプロセスグループ デジタルアーカイブ テクニカルコーディネーターの大迫和秀氏は
〈フィルムアーカイブ作業におけるフィルム補修などの技術を用いて、「旧作フィルムなどのネガ原
版をスキャンしたい」「リアルタイムでスキャンをしたい」ということが発端です。さらに、高ま
りつつある 4K テレシネ/スキャンのニーズへの対応を含め、約 1 年かけて開発を進めました〉と
する。
また、システム内部のフィルムプロジェクタを製作したイメージサービス部 技術担当部長の徳
江豊氏は、かつて IMAGICA でテレシネ機「ムービートーン」の製作に携わった。
〈今回はその技術的なベースを活かしてスキャナーの開発を進めました。状態の悪いフィルムに
おいても走行の安全性に配慮した上で画止まり(レジストレーション)を高め、
ウェットゲート(収
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録中、フィルムを溶剤に浸して質感を向上するとともに、ゴミや傷を取り除く技術)の採用とあわ
せ、スキャナーにふさわしいドライブ(機構)を、試行錯誤しながら最適化しています。フィルム
に極力負担をかけないテンション制御と送り制御に注意を払っています〉と徳江氏。 納期短縮やコストパフォーマンス向上に寄与
営業部第一営業グループ 課長の廣瀬英志氏は〈これまで、ネガ原版は一度プリントしてからテ
レシネにかけていましたが、「Cine Vivo」の開発によって、
直接スキャナーにかけることができるフィルムの幅が広がり
ました。フィルムにダメージを与えることなくリアルタイム
の取り込みができること、ウェットゲートの採用により、後
処理のパラ・傷消し、グレーディング作業を軽減できること
などもあわせて、大幅なスケジュール短縮化が可能だと考え
ています。テレビシリーズなどで「50 本を一挙にあげて欲
しい」といったご要望に対して、より短い納期で仕上げられ
ることは、
大きなセールスポイントだと考えています〉。また、
フィルムプロセスグループ テレシネ カラリストの鴻池忠晃
氏は〈フィルムは、常に新しいフォーマットに対応できる良
さを持っています。Cine Vivo によって 4K 収録も可能にな
後列左から:廣瀬英志氏、鴻池忠晃氏、
大迫和秀氏
前列左から:二星正樹氏、徳江豊氏
った今、さらに世の中に素晴らしいものを提供できると考えています〉と語る。
4K RAW のリアルタイム収録も可能
さらに、4K 対応の 16bit CMOS イメージセンサー搭載による「4K RAW」への対応も大きな特
徴だ。廣瀬氏は〈新作映画や CM のスキャニングだけでなく、アーカイブにおいても収録した 4K
RAW データから HD にダウンレゾリューションして HD マスターを作成するというニーズが出
てきています。フィルムルックを求める制作者にも「4K データで保存しておけば、将来の 4K の
DCP や 4K CM にも対応できる」とアピールできます〉とする。
フィルムプロセスグループ テレシネ カラリストの二星正樹氏は〈2014 年に始まる 4K 実用化
試験放送に対応しておくためにも、4K ワ−クフローを確立させておく必要があると考えました。
フィルムは、データ撮影が主流になっても間違いなく残っていくものであり、映像制作の演出意図
として使うには十分な素質を持ったメディア。特に CM では 4K 収録後のトリミングによるリサイ
ズも大きなメリットです。また、従来のスキャンシステムでは連番の DPX ファイルで書き出しま
すが、データサイズが非常に大きい。4K RAW を選択することで、カラーグレーディング時のリ
アルタイム性が非常にスムーズになるほか、目に見える以上の情報量 を引き出すことが可能です。
フィルムのラチチュードを広範囲にカバーできる 4K RAW 収録が可能なスキャナーは、現状では
「Cine Vivo」だけだと自負しています〉と強調する。
初号プリントの色味を甦らせる/アニメ作品のスキャニングに最適
さらに、ネガ原版からプリントを焼く時に残されたタイミングデータ(RGB をコントロールす
るデータ)を活用することで、当時タイミングに立ち会ったカメラマンが望んだ「初号プリントの
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色味」を甦らせることができる。
大迫氏は〈旧作アーカイブにおける強力な機能だと思います。RGB の光でコントロールするの
でカットごとのバラツキも抑え、後のカラーグレーディングの時間短縮が図れます。そういう意味
でも ネガ原版に強いスキャナー と言えます〉としている。
一方、二星氏は〈Cine Vivo はアニメを間違いなく美しく仕上げる〉と強調する。〈プリントフ
ィルムをスキャンしてもコントラストは回復できません。ネガ原版から 4K RAW スキャンするこ
とで、発色性、解像力、シャープネスに優れた画質を得ることができる。制作者が描きたかった「オ
リジナルのセル画」に近い発色性を復活させることができます。さらに、「面センサー」により 1
コマずつ止めてスキャンしていくので、輪郭もクッキリ出せる。局テレシネのオンエアでは見るこ
とができなかった 全く新しい作品 として次世代に残すことができると思います〉(二星氏)
フィルムスキャニングのイメージを変えたい
IMAGICA ウェストは、今年 2 月に新しいフィルム現像機を導入するなど、映像制作におけるフ
ィルム撮影の存続や、フィルムで制作された貴重な映画や映像を後世に残すために、フィルムラボ
とポストプロダクション併設の強みを生かした技術とサービスを提供してきた。
廣瀬氏は〈Cine Vivo の高品質でコストパフォーマンスの高いスキャニングにより、「コンテン
ツの再価値化」を実現することで、コンテンツホルダーのみなさんがお持ちの「スキャニングには
お金がかかる」というイメージを変えたい。IMAGICA グループとしてこれまで以上に幅広いお客
さまのお手伝いができると確信しています。また、海外も視野に入れた発信もしてきたい〉と話し
ている。
◇ IMAGICA ウェスト http://www.imagicawest.com/
大阪市北区同心 1-8-14 TEL06-6353-1711(代)
映画の日に「フィルム・ビデオ供養」開催
日の目を見なかった素材達に感謝と供養を
㈱ IMAGICA ウェストは 2 日、大阪市北区の本社において毎
年恒例となっている「フィルム・ビデオ供養」を開催した。
「フィルム・ビデオ供養」は、12 月 1 日「映画の日」にあ
わせて毎年この時期に開催されているもので、㈱ IMAGICA が
東洋現像所の時代から継続している行事だという。
当日は、作業上のミス等によって廃棄される予定のフィルム
やビデオテープ素材の一部が祭壇に飾られ、同社の社員・ス
タッフ 1 人 1 人が線香を上げ、頭を下げ、手を合わせた。なお、
一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作社連盟(JAC)関西
支部長の古谷義郷氏もかけつけた。
冒頭あいさつした代表取締役社長の稲土広己氏(←写真)が〈「フィルム供養」は、
私たちの生活の糧であり、本来ならみなさんの技術によって華々しく世に送り出され
るはずだったフィルムやビデオテープに感謝と供養をする日。こうした素材のロスや
失敗を出さないよう心がけ、より多くの素材達が世の中で活躍できるよう努力してい
こう〉とあいさつしたのに続き、今年の第 58 回「映画の日」中央式典で永年勤続功
労章を受けた取締役の平山新二氏が〈京都のとある田舎にある高校を卒業し、当社に
入社して 40 年、上司や先輩の見よう見まねで続けてきた。つまり「よく耐えた人間」
と……〉と会場を沸かせた後、出席者、関係者の健康を祈念するとともに、献杯の音
頭をとった。
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