Core to core 出張報告書 (Firenze) 150320

 日本学術振興会研究拠点形成事業 ラボ交換型生命医科学研究コンソーシアムの立体展開 Core-to-Core Program “3D Lab Exchange”出張報告書 以下のとおり出張の報告を致します. <所属・出張者> 早稲田大学理工学術院生命科学系基礎実験室・講師 池島宏子 <出張期間> 2015 年 1 月 25 日 ~ 2015 年 2 月 12 日 (17 泊 19 日) <出張先> 国名:イタリア 都市名:フィレンツェ <訪問先> フィレンツェ大学 European Laboratory for Non-Linear Spectroscopy (LENS)研究所 Professor Francesco Saverio Pavone研究室 ホスト研究者:Dr. Anna Letizia Allegra Mascaro <出張目的> 研究出張:フィレンツェ大学 LENS 研究所 Pavone 研究室との共同研究のため <出張概要> 1/25(日)
:00:30 羽田発→05:30 パリ着,7:30 パリ発→9:10 フィレンツェ到着 フィレンツェでは,研究所近くでホームステイをさせて頂きました. 1/26(月)
:早稲田大学より移送したトランスジェニックマウスを用いて,二光
子顕微鏡による in vivo imaging を行いました. 1/27(火)〜1/30(金)
:共同研究者の Letizia が所有する野生型マウスに色素
を注入して,血管およびアストロサイトを染めてレーザー照射によるナノレベ
ルの損傷を与え,時系列を追って二光子顕微鏡による in vivo imaging を行い
ました. 2/2(月)〜2/6(金)
:共同研究者の Letizia が所有するトランスジェニックマ
ウスに色素を注入してアストロサイトを染色し,レーザー照射によるナノレベ
ルの損傷を与え,時系列を追って二光子顕微鏡による in vivo imaging を行い
ました. 2/3(火)フィレンツェ大学 LENS 研究所内でセミナーをさせて頂きました.研究
所内は主に物理学・光工学を専門とした研究員が多数のため,セミナーの内容
がどの程度伝わったか定かでないですが,生物物理学や神経科学を専門とする
研究員とは質疑応答が行われました.また逆に,研究領域が似ている研究員の研
究内容に関する意見も多数求められ,アドバイスを致しました. 2/9(月)〜2/11(水):時系列を追って解析を進めていたマウスの脳を還流固
定後摘出し,レーザー照射によって損傷を与えた領域を切り出し,蛍光免疫染
色法を用いて実験結果の解析を行いました. 2/11(水)19:25 フィレンツェ発→21:15 パリ着,23:25 パリ発→2/12(木)羽
田着,浜松町・東京駅経由で帰宅 再三の麻酔に耐えて,おもし ろい結果をもたらしてくれ たマウス
研究所内で行われた本研究者のセミナーに
参加してくれた聴衆の集合写真 共同研究者の Letizia と最後の晩餐 10.出張総括 理工学術院先進理工学部生命医科学科の井上貴文教授との共同研究として,
二光子顕微鏡を用いたマウス脳内のin vivo imagingを立ち上げました.さらに
この研究を発展させるために,二光子顕微鏡を利用してナノレベルの領域をレ
ーザー照射して損傷を与える手法(laser ablation法)を身につける目的で,
今回フィレンツェ大学のLENS研究所を訪れました. Pavone研究室は,世界に先
駆けてlaser ablation法を導入しており,研究結果を多数の論文に報告してい
ます. 今回,マウス脳内の laser ablation 法の手技手法を教示してもらう過程で,
非常に面白い現象を捉え,未だかつて誰も報告していない結果を得ることがで
きました.今後,引き続き再現実験を行い,さらにこの現象の生物学的な重要性
を明らかにすべく研究を掘り下げて取り組み,必ずや論文として報告をする約
束をして帰国の途につきました. 直接研究を一緒に行った Letizia は,研究に対する姿勢が並外れていると感
じました.朝は discussion から始まり,その日の研究の方向性を決め,実験を
行いながら論文のストーリを考えます.一日の終わりには,次の日の実験計画を
立案し,帰宅したら論文検索をして参考になる情報を集めます.毎日がその繰り
返しでした. 引き続きこの研究室と共同研究を行い,可能であるならまたフィレンツェを
訪れて実験および discussion を重ねたいと願っています. 2015 年 3 月 20 日 早稲田大学理工学術院生命科学系基礎実験室 講師 池島宏子