8 9 第4 6回中国 ・四国精神神経学会 地 方 会 報 告 第4 6回中国 ・四国精神神経学会 7回 目の入院 となった.修正型電気 けいれ ん療法 によ 日時 :2 0 0 5年 1 0月 2 7日 ( 木)・2 8日 ( 金) り軽快 した後, リチウムを付加 したが,外泊中に幻覚 妄想が再燃 した. リチウムを増量 した ところ,症状消 場所 :大和屋本店 失 し退院 となった. その後, リチウム と抗精神病薬 を 会長 :田通 敬貴 ( 愛媛大学) 併用 して 3年経過 したが,症状 の再発 はな く外来通院 中である. 座長 :上野 修一 ( 徳島大学) 1. 診断 ・治療 に苦慮 した統合失調症の一例 ○亀 岡尚美1 ) ,友竹 正人2 ) ,谷 口隆 英2 ) ,大 森哲郎2) ( 1) 秋田病院,2) 徳島大学大学 院ヘルスバ イオサイエ ンス研 究部情報統 合医学講座精神医学) 1 8歳男性. 自生 思考 に対 して特異 な対処行動 を示 した統合失調症の一例 を報告 した.雑念が浮かぶ と訴 え, それを打 ち消すために大声 を出 した り全身 に力 を 入れ るなどのパターン化 された不穏行動 を とることが 主な症状であった.その症状 が強迫観念 ・ 強迫行動 に 類似 していたため強迫性障害 との鑑別 を要 した.仲間 関係構築の失敗,比喰表現理解の困難 さを窺わせる様 子 もみ られ,広汎性発達障害 も疑 われた.経過 中 に 「 気が飛 んで くる」「 TV か ら攻撃 され る」 とい う了解 不能 な発言や被害関係妄想が出現 し統合失調症 と診断 【 考察】幻覚妄想 を基盤 とす る昏迷状態 をエ ピソー ド性 に繰 り返 した統合失調症 に リチウム併用療法が有 効であった.本症例のように操 うつ症状がみ られな く て も,エ ピソー ド性の経過が顕著 な場合, リチウムの 有効性が示唆 される. 3. 当院での新規抗精神病薬の使用状況 について ○片 桐 秀 晃,福 本 拓 治,揮 雅 世,岡 田 剛,中原光史,小 山田孝裕,村 岡満太郎 ( 大慈会三原病院) 日本で も 1 9 9 6年 リスペ リドンが登場 して以来,覗 在では 4種の新規抗精神病薬が使用可能 とな り,統合 失調症の治療 に対 しての抗精神病薬 の選択基準が変化 しつつある. しか し, その変化 は諸外国に比べ遅 く, 多剤併用療法か ら抜 け出せない とい う指摘 もある. そ こで当院での現状 を把握するべ く,当院入院中の統合 9 9 8年か ら 2 0 0 4年の間に 4回 失調症圏患者 に対 して 1 実施 した処方調査の分析 を行 い,主 に新規抗精神病薬 した.ha l ope r i dol投与 にて不穏行動 は幾分軽 減 した が その頻度 に変わ りが なか った.pa r oxe t i neの併 用 を開始 した ところ自生思考および衝動的な不穏行動が 見 られな くなった.統合失調症の うつ症状 や強迫症状 外路症状 の軽減がなされているか という疑問 について 検討 した.結果の概略 は,( 彰新規抗精神病薬 の使用の の使用状況お よび新規抗精神病薬 の特徴 とされ る錐体 に対 し SSRIが奏効する例があることは知 られてい る 増加,( 塾抗精神病薬の多剤併用の改善,( 参抗 コリン薬 が,本症例 においては統合失調症 の自生思考あるいは 衝動性 に対 して SSRIが有効 である可能性 が示唆 され の併 用の減少,④錐体 外路症状 の緩 和,⑤ BPRSの 改善 などが認 め られた.今後 はこれ らの よい変化 を継 た もの と考 えた. 続 してい くために新規抗精神病薬 をいか に使 い こなし 2. リチウム併用療法が有効だ った統合失調症の一 例 てい くかが課題 になると思われた. 4. 統合失調症におけるオランザ ピンの体重変化, ○中瀧 理 仁 ,住 谷 さ つ き1 ) ,大 森 哲 郎 2) 1) 糖質及び脂質代謝への影響 について ( 1 )徳島県立中央病院精神神経科,2 )徳 島大学大学院精神医学分野) ) ,滞 雅 世 1 ) ,片 ○福 本 拓 治1 ) ,岡 田 剛1 桐秀 晃1 ) ,小 山 田孝 裕 l),中 原光 史 1),町 【 症例 】3 2歳男性.2 4歳時 に発症 し統合失調症の診 )( 1) 大 意 会 三 原 野彰 彦2 ) ,村 岡消 太郎 1 断にて 5年間で 7回の入院歴がある.些細 なライフイ ベ ン トをきっかけに再発 し幻聴 に支配 された行動や亜 病院,2) 済生会広島病院心療内科) 今 回オ ランザ ピンを内服 している統合 失調症 1 2例 昏迷 をきたすが,数週間で改善 しエ ピソー ド間にはほ とん ど症状 を認めなかった.6回 目の入院時 には抗精 ,血糖 値, 服 前 と内服 6カ月後 にお ける体 重,BMI 神病薬 に反応せず,修正型電気 けいれん療法 を行い寛 HbAI c ,中性脂肪,血清総 コレステ ロール値 を測定 解 したが,退院後 4週 で再び,幻覚妄想が活発 とな り し比較検討 した.体重 はオランザ ピン内服前後で有意 ( 男性 9例,女性 3例) を対象 としてオ ランザ ピン内 9 0 2 0 0 7)1 09巻 1号 精神経誌 ( な増加 を認 め,平均体重増加量 は 4. 2kgだった.血 れ も当院入院中の統合失調症,非定型精神病,抑 うつ 清総 コレステロール値 も有意な増加 を示 したが,中性 状態の患者 に DVT の合併 を経験 した. これ らの症例 脂 肪 は有 意 差 を 認 め な か っ た. ま た,血 糖 値, では,臥床傾向,隔離 ・拘束,向精神薬 による過鎮静 HbAI cは 6カ月の観察期間では有意差 を認 めなか っ が血栓形成 に関与 した と考 えられた.幸 い,PEに発 たが,1例 のみ高血糖 を生 じて中止 した症例が存在 し 展 した症例 はなかった. この経験 か ら VTE予防の重 た.今回の結果は前回の 3カ月の観察期間での結果 と 要性 を改 めて感 じたが,先のガイ ドラインには精神科 ほぼ同様 の結果 となった.今後 も症例 を追加 し,長期 領域 に関する項 目は挙 げられていない. そ こで,今回 間の観察 を行 ってい く予定である. われわれは, 自験例の検討 とともに文献的考察 を行 い, 精神科領域 における VTEの危険因子 の強度 に関す る 座長 :森信 繁 ( 広島大学) 試案 を作成 したので報告する. 5 . Tandos pi r omeが有効 であ った遅発性 ジスキネ ジアの 2例 7 . ダン トロレン,抗 けいれん薬の効果 な く,けい れん重積発作 を併発 した悪性症候群の一症例 ○中野啓 子1 ) , 日笠 ○和気洋介 1・ 2 ) ,吉 田英統 1) ( 1) 倉敷 中央病 哲1 ) ,松 岡龍 雄1 ) ,野 院心療 内科 ・精神科,2) 岡山大学大学院 間 陽子1 ) ,藤 田康 孝1 ) ,竹 林 医歯薬学総合研究科精神神経病態学教室) 秀人2) ( 1 )NPO呉 医療 セ ン ター ・中 国 遅発性 ジスキネジアの治療 は非常 に難渋する事が多 い が,近 年 で は 5 ‑HTI A受 容 体 作 動 薬 で あ る Bus pi r oneによる治療報告が散見 されている.今 回, ‑ 遅発性 ジスキネジアが出現 した統合失調症の 2例 に 5 HTI A受容体作動薬 である t andos pi r oneを追加投与 実1 ) ,新 野 がんセ ンター精神科, 2) 島根大学医学部 精神神経学講座) 0代 の男性. アル コール依存症 お よびアル 症例 は 5 4年間精神病院 に入院 中,消化管 コール精神病 にて 2 穿孔疑いにて当院へ転院 となった.いったん内服中止 し,不随意運動が軽減 したため報告す る.発表 と関係 し術後 5日後 より少量の抗精神病薬のみを再開.その ない部分 は一部変更 して記載 した. 後,無動,拒絶,カタレプシーを認 めたため抗精神病 【 症例 1 】64歳女性.1 2年間の継続治療歴 あ り.少 薬 を増量 した ところ,発熱,発汗が出現.悪性症候群 な くとも 1年前か ら遅発性 ジスキネジアが出現 してい と診断 しダン トロレンの投与 を開始 した. ダン トロレ た.Ta ndos pi r one60mg/日の追加投与 ( 3 0mg/日で は無効) にて 4週間後 には不随意運動が軽減 していた. れん,発熱が出現.ダン トロレン,抗 けいれん薬の投 3歳女性.2 3年間の継続治療歴 あ り.少 な 【 症例 2】6 与 を続 けたが次第 にけいれん重積状態か ら呼吸不全 に くとも 2年前か ら遅発性 ジスキネジアが出現 していた. 至 り,人工呼吸下での全身管理 を要 した.悪性症候群 Ta ndo s pi r one60mg/日の追加投与 ( 3 0mg/日で は無 効) にて 4週間後 には不随意運動 は軽減 していた. 【ま とめ】遅発性 ジスキネジアがみ られた 6 0歳代女 性 の統合失調症 2例 にて t andos pi r oneによ り不随意 発症 か ら 2 0病 日後軽快退院 となった.けいれん重積 運動 は軽減 した.症例集積 を含め,有効性の長期的な しまう可能性がある. このため薬物の効果が乏 しい と 検討が必要 と考 えられた. 発作 を伴 った悪性症候群 に対 して, けいれんの改善 に はダン トロレン,抗 けいれん薬 はかな らず Lも有効 で はな く,効果発現 を期待 している間に症状 が悪化 して きには早期 に人工呼吸下での全身管理 を導入す ること 6. 精神科入院中に深部静脈血栓症 を合併 した 3例 一一‑精神科領域 における予防ガイ ドラインの試案‑ ○田 村 達 辞,小 沼 杏 坪,清 水 ンにより発熱,亜昏迷症状 は改善 したが,喧吐, けい が望 ましい と考 えられる. 8 . 骨髄異形成症候群 を合併 した統合失調症の一例 賢,加 藤 ○岸本英樹,菅野佐和子,諸隈‑辛,片 岡 亮,田丸千波 ( 医療法人 せ のがわ瀬野川 賢一,掛 田恭子,井上新平 ( 高知大学 医 病院) 学部附属病院神経科精神科) 突然死 を引 き起 こす肺血栓塞栓症 ( PE) とその主 3歳男性.X‑1 2年 ( 21歳)の職場検診 を 症例 は 3 な原因 とされ る深部静脈血栓症 ( DVT) は連続 した 契機 に再生不良性貧血 と診断 され,保存的治療 を受 け VTE) と総称 さ 病態 と捉 え られ,静脈血栓塞栓症 ( ていた. れ る.手術 ・外傷 ・長期臥床 ・出産等が VTEの危険 X‑1年 ( 3 2歳)11月 に Y 病院 で骨髄移植 の前処 因子 とされてお り,昨年, 日本血栓止血学会な ど関連 置開始後の無菌室内で幻覚妄想出現 し,移植中止.同 1 0学会 か ら予防ガイ ドライ ンが発表 された.精神科 院の精神科受診, リスペ リドン 2mg+クロルプロマ 領域 において もVTEの報告 は増加 してお り,われわ ジン 2 5mgで加療 開始.以後,当院当科及 び血液 内 91 i 7f4 6回中国 ・四国精神神経学会 科で加療 を受 けていた. X 年 3月に慢性硬膜下血腫穿頭洗浄術の既往 あ り. X年 7月 に幻 覚 妄 想 増 悪 し,当科 に入 院 ( 入院 時 :PLTO. 5万/ 〟 ,RBC1 67万/ 〃J ,Hb5. 1g/ d/ , WBC21 0 0 最大量 としてオ ランザ ピン 2 0mg+ ハ ロペ リドール 1 8mgで加療 を行 ったが,効果 を認 めなかった.3 8 o Cを超 える発 熱 ・消化管 出血 ・汎血 / 〃 J ) . 球減少の増悪 も合併 し,内服薬 を漸減 し,ハ ロペ リド ール 6mgまで減量 となった.身体的危機状態回復後 に精神症状軽快 し,第 1 1 3病 日に退院 となった. 座長 :渡辺 義文 ( 山口大学) 9. 当 科 に お け る 修 正 型 電 気 け い れ ん 療 法 ( mECT)の現状 と課題 ,下 ○片 岡腎‑1 ) ,岸本 英樹1 ) ,掛 田恭 子 1) 寺 信 次1 ) ,加 藤邦 夫1 ) ,井 上 新平 1 ) ,近 藤 1 ) 高知大学医学部附属病院神経 近江2) ( 科精神科,2) 清和病院) 0 01年 8月 よ り,清和病院で は 2 0 0 4年 6 当科で は 2 月 よ りサイマ トロンを用 いた mECT を行 ってお り, 2 0 0 5年 9月 までに両機関 において mECT を施行 した 2 4例 について,その診 断 ・回数 ・転 帰 ・有吉事 象 ・ 0 麻酔薬等 について調査 した.診 断 は うつ病性障害 2 例,統合失調症 3例,持続性妄想性障害 1例であ り, 9例 中改善 1 2例 ( 1クー ル平均施 行 回数 当科 で は 1 7. 8回),清和 病 院 で は 9例 中改 善 8例 ( 同 6回)で あった.当科では軽度の頭痛や効果不充分のための中 断例 2例,発作不発 による中断例 5例 を認めた一方で, 清和病院ではけいれんの遷延化 ( 1例)や強 い発作後 病態把握や経過観察,予後予測 に有用 と考 えられてい る.近年,修正型電気痩撃療法 ( m‑ ECT)に伴 う, 血圧上昇や頻脈や徐脈 な どの心機能の変化 に関す る報 ECT によ り心臓 ポ ンプの機能 告が散見 され るが,m‑ 低下が生 じるか は明確でない.今 回,我々 は m‑ ECT と BNPの血中動態の変化 について検討 した. なお, BNP検査 については患者家族の同意 を得て行 った. 6年度 に島根大学医学部附属病院精神 【 方法】平成 1 科神経科で m‑ ECT を施行 した症例 ( N‑6) を対 象 ECT施行前後で血中 BNP濃度 を測定 した. に,m‑ ECT施行前後 での血 中 【 結果】いずれの症例 もm‑ BNP濃度の大 きな変化 は認 めなかった. ECT に よる BNPの血 【 結論】 この結果 か ら,m‑ 中動態の変化が ない ことか ら,m‑ ECT に よる心臓 ポ ンプの機能低下 は生 じない可能性が高い と考 えられた. l l . てんかんに合併 した うつ病 に対 して m‑ECT が有効であった一例 ○高石住専,佐々木 高仲,和 田 健, 日域 広昭,三船禎子 ( 広島市立広 島市民病 院 精神科) 9歳93 J 阻 5 0歳頃か らうつ病 として精神科 症例 は 6 ク リニ ックへ通 院 していた.X年 6月 よ り記 銘力低 下,疎通性不良が出現 し,9月 には全身 けいれんを来 た して精査のため当科入院 となった.脳波異常 な どか らてんかん と診 断 し, カルバマゼ ピンを中心 とした薬 物療法で疎通性 などは改善 しけいれん発作 も抑制 され た.X+1年 6月 よ りうつ病 相 を反 復 し,Ⅹ+2年 4 月 には再燃のため当科へ 4回目の入院 となった.ア ミ 2例) を認 めた. これは両機関で使用 されて せん妄 ( トリプチ リン 1 5 0mgにオ ランザ ピン 7. 5mgを追加 す るな どして も改善せず,十分 なインフォーム ドコン い る麻酔薬 の相違 ( 当院 ;プ ロポフ ォール,暗和 病 院 ;チオペ ンタール)が最 も大 きな要因であると考 え ECT セ ン トの上,抗 て んかん薬 を継 続 しなが ら m‑ を施行 した.短パルス波刺激器 では十分 なけいれん波 られた. また,安定 した メンテナ ンス ECT を行 えて が出現せず,5回目か らサイン波刺激器 を使用 し,計 いるのは清和病院 に長期入院中の 1例のみであ り,今 後の課題 と考 えられ る. 1 0. 修正型電気癌撃療法 における ヒ ト脳性ナ トリ 1 1回の施 行 で著 明 に改善 した.て ん か ん の併 存 は ECT の絶対的禁忌で はな く,抗 てんか ん薬 を継続 し なが ら慎重 に ECT を施行す る ことは可能 と考 え られ, ウム利尿ペプチ ドの血中動態の変化に関する検討 若干の考察 を含めて報告する. ○川 向哲也,宮 岡 剛,宇 谷悦子,安 田英 1 2. 電気 けいれん療法 ( ECT)が効果 的であ った 彰,岡崎 四 方,安 川 玲,佐 藤 勝,棉 軽度認知槻能低下 を伴 う難治性脳梗塞後中枢性痔痛の 1例 垣卓司,堀 口 淳 ( 島根大学 医学部精神 医学講座) ) ,橋 本 ○大 仙 隆 治 l 学l ) , 山本 和 央 1 ) ,土 【は じめ に】 ヒ ト脳 性 ナ トリウ ム利 尿 ペ プ チ ド 屋 健2 ) ,渡辺 義 文l )( 1 )山 口大 学 医 学 ( BNP) は心臓か ら分泌 され るホルモ ンの一種で,そ 部高次神経科学講座 , 2) 山口労災病院神 経科) の血中濃度の上昇 は心臓 ポンプの機能低下 を早期 に反 映 し,病態の変化 を鋭敏 に表現することが知 られてい 症例 は 71歳 の男性.X‑1年 に左 被 殻,淡蒼 球, る. したがって血中 BNP濃度の測定 は心不全の早期 内包,視床 を中心 とした脳梗塞 を発症.2週間後 よ り 9 2 麻痔側である右半身の痔痛が出現 し,脳梗塞後中枢性 痔癖 と診断 された.脳外科での保存的治療にて難治の ため,Ⅹ 年 2月に ECT 目的にて当科入院 した.右上 下肢,体幹 に強度の持続性痔痛 を認 め,安静臥位 にて も痔痛の訴 えは強 く,座位保持 は 5分間 しか可能でな 精神経誌 ( 2 0 0 7)1 0 9巻 1号 座長 :氏家 寛 ( 岡山大学) 1 4. 老齢初発の I c t als t uporの 1 例 ○門家 千穂 l) ,北 村恵子1 ) ,藤本康 之l ) ,蘇 本 明1),岸本 由紀2 ) ,高橋正幸3) ( 1 )独 立行政法人岩国医療センター精神神経科, DR0 . 5と軽 か った.他 に右片麻 痔,運動性 失語,C 度認知機能低下 を認 めた.計 1 5回の全身麻痔下 での 2 )高岡病院,3 )県立岡山病院) 9歳 の男性.既往 にけいれん発作 や意識消 症例 は 6 ECT を施行 した.臥位での痔痛 の訴 えは全 くな く, 0 ‑1 5分間可能 となった. 座位保持 は 1 s ualanal ogs cal eの点数の改善 はみ 本症例 では vi られ なか った もの の,患 者 の 日常行 動 観察 か らは ECT によって痔痛がかな り軽減 してい ることが うか が えた.認知機能低下 のある患者での痔痛評価 には, 客観 的指標 を用 いた評 価 が重 要 で あ る と同 時 に, ECT は認知機能低下 を伴 った中枢性痔痛患者 に も問 題 な く行 い うると思われた. 1 3. 昏 迷 状 態 に対 して 無 け い れ ん 性 電 気 療 法 ( mECT)が著効 した SLEの 1例 ○坂東仲 春1 ) ,山西 一成1 ) ,多 田量 行1),大 山知代2) ( 1 )国立病 院機構善通寺病院精 失 はなかった.不眠にてニ トラゼパム 1 0mg, レボメ プロマジン 2 0mgを処方 されていた.あ る日突然失 綜 し,翌 日警察 に保護 された.自宅 と反対方向に歩 き, 途中で引 き返 して一晩中線路沿いを歩 いたがなぜそう 神神経科,2) 同内科) 今回我々 は,ステロイ ドパルス療法や抗精神病薬 に 全 く反応 な く昏迷状 態 にまで至 った SLEの女性 に, mECT が著効 した 1例 を経験 したので文献的考察 を 入院時は妊娠 1 6 加 え報告す る.症例 は 32歳 の妊婦 ( 過).精 神 病 の遺伝 負 因 はないが妹 ( 31歳)が SLE のため加療 中.短大卒業後 コンピューター関連 の会社 に就職.22歳 の時 SLEが発症 したが, ステロイ ドパ ルス療法や免疫抑制剤 によ り寛解 に至 り,以後 プレ ド 7年 1 ニ ゾ ロ ン 5mgのみで経過 良好 で あ った.H 1 月下旬 より急 に 「 会社 の人達が組織的 に自分を監視 し 「 人 が入れ替 わ る」 と言 い出 し H1 7年 2月 て い る」 1 7日不穏,錯乱状態 となったため当科紹介 され入院 となった.免疫学的指標や補体 を含 む血液検査では軽 度 甲状腺 ホルモン上昇以外 に異常な く,髄液検査で も したかわか らない, と家人 に語った.帰宅後,強直間 代発作 を起 こし救急受診.入院後 も軽度の意識障害 は 遷延 し,脳波にて右側 に優位で左右差 はあるが,全般 性の赫徐波複合が連続 していた. また,入院時 より両 側の水平方向の眼振 を認 めた.頭部 CT では多発性脳 梗塞,慢性虚血性変化が認 め られた.脳血流 シンチグ ラフ ィーでは小脳梗塞が疑われた. フェニ トインの静 注により意識障害,脳波所見 とも改善 した.今回のエ ピソー ドは何 らかの脳症 による I ct als t uporと考 えら れた.脳症の原因 としては多発性脳梗塞が挙 げられ る が, 内服 中のニ トラゼパムに誘発 された可能性 も考 え られた. 1 5. 痴呆 を呈 さず,ペ ニシ リン大量療法 にて異 常 行動が改善 した神経梅毒の症例 ○波 田 紫1 ) , 日域 広 昭2 ) ,和 田 健2),≡ ,佐々木 高 伸2) ,山 船 禎 子2 ) ,高橋 佳 幸2) 脇成人 1) ( 1) 広島大学附属病院精神神経 科,2) 広島市立広島市民病院精神科) 症例 は 5 0代男性.主訴 は行動異常 ( 道徳観欠如, 0年前,尿道 か ら膿が出た こと 児戯 的な行動) .X‑2 が あ ったが放置 して いた.X年 6月,意識消失発作 を呈 し,A病院 を救急で受診 し,頭部 CT,脳 波検査 を施行 されたが異常 なかった.同時期 より,仕事上の ミスが多発 し, ワインを盗んで帰 る,無謀運転で警察 一般検査,I gG i nde xや Ⅰ し6は正常範囲内であった. ステロイ ドパルス療法や抗精神病薬 に反応 な く,一時 につか まるな ど,道徳観,倫理観が欠如 し,児戯的, 脱抑制的な行動が 目立 つよ うにな った.X年 1 2月, は昏迷状態 となったが m‑ECT を行 った ところ著効 した . B病院精神科受診.経過や呂律困難か ら神経梅毒が疑 われ,確定診断 と治療 目的で,当科紹介入院 となった. 神経学的には膝蓋腰反射の低下の他 に異常 を認 めず, HDS‑ Rは 2 6点であった.入院後髄液検査 な どを行 い診断確定 した後,抗精神病薬による鎮静 とペニシ リ 4 00万単位/日を計 2回投与 し,行動異常 は改善 ン G2 した.比較的早期 に適切 な診断及び治療 を行 えた こと が改善 に寄与 した と考 えられた. 9 3 第 46回中国 ・四国精神神経学会 1 6. 特異な MRI画像 を呈 した NPSLEの 1例 ○長尾茂人,小野陽一,山田了士,黒 田重 利 ( 岡山大学大学 院医歯薬学総合研 究科 座長 :中込 和幸 ( 鳥取大学) 1 8 . 幻覚妄想 や気分変動 を伴わず,不安焦燥 の強 い昏迷状態 を来 た した一例 ○三船禎子,佐々木 高伸,和 田 健, 日域 精神神経病態学教室) 症 例 は2 8歳 の 女 性.X‑1年 SLE と診 断 さ れ, 広昭,高石佳幸 ( 広島市立広島市民病 院 PSL内服 を継続 していた.X年 6月 2 0日に過量服薬 し,救急外来 を受診 し ERに入院.翌 日当科 に転科. 症例 は 2 7歳女性.2 2歳時,姉 の 自殺 を機 に自責感, 転科時は軽度意識障害,抑 うつ気分が認め られ,血液 不眠等の症状が出現.以後当科外来へ通院 していたが, 検査で は SLEは活動期 ではなか ったが,脳 波で全般 軽度 の抑 うつや 自責感情 が消長 していた.2 7歳時, 性 に ♂波が出現,頭部 MRIで は前頭葉皮質下白質に 家の改築工事 をきっかけに不安焦燥 の強い昏迷状態 を 造影効 果 の み を淡 く認 め る病 変 が 散在 してい た. 呈 し当科入院 となった.夜間の不眠不穏が強 く, 日中 NPSLE と診断 し,mPSLのパルス療法 を行 い,精神 症状 と脳波の著明 な改善 を認 め,MRIで は一部 改善 を認 めた.NPSLEの MRI所見 で大脳皮質下 白質 に 造影効果のみを病変 とす る NPSLEは これ まで に報 びf luni t r az e pam の点滴 にて積極的 に鎮静 を行 い,支 4病 日よ り次第 に昏 持的 に対応 して経過 をみた.第 1 2病 日には自宅 へ退院 とな った. 迷状態 を脱 し,第 4 告 が な く,本 症例 に特 徴 的 な所 見 で あ った.一 方 入院中明 らかな抑 うつや気分の高揚,幻覚妄想等の異 ac e t az ol a mi de負 荷 SPECT の 結 果 s ubc l i ni c alに全 般性の血管障害が存在 してお り,本症例 の MRI所見 は,血管性浮腫に至 らない BBBの透過性冗進 による 常体験 は露呈 しなかった.本症例 は明 らかな昏迷状態 もの と考 えられた. する. 1 7 . うつ病 を疑 い入院後,せん妄 の進行 を認 め, 葉酸投与によ り軽快 した一例 ○宮崎哲 治1 ) ,村上 伸 治 l) ,力丸満 恵2) ,. 堅 ,松 下 兼 宗1 ) ,滞原 田真 司2 ) ,村上龍 文2) 精神神経科) l ope r i dol及 も自制が保 てない状態 であったた め,ha を呈 した ものの,操作的診断基準の中の主要な診断名 には合致 しない と考 えられ,若干の考察 を加 えて報告 1 9 . 気分安定 薬 と ri s pe r i doneの併用療法 が著 効 した r api dc yc l e rの 1例 ○沼 田周助,谷 口隆英,大森哲郎 ( 後 島大 学精神科) 光彦 1),中川彰子 1) ,青木省三 1) ( 1 )川崎 医科大学附属病院精神科学教室,2) 同神 Rapi dcyc l e rの診断基準 を満たす双極 Ⅰ型 障害 の i s pe r i done( RI S)の併 操病 に対 して気分安定 薬 と r 経内科学教室) 用療法が著効 した一例 を経験 したため,若干の考察 と 4歳,男性.頭痛,発熱,全身倦 怠感,抑 症例 は 7 共 に紹介す る. うつ感,食欲不振が出現 し希死念慮 も認 めるようにな 3歳,男性.X‑1 2年 ( 2 1歳時) に抑 うつ 症例 は 3 り他院 より紹介 され, うつ病 を疑 い当院精神科に即 日 症状 出現す る も自然軽快.X‑8年対人恐怖, アル コ 入院 となった.入院当初 より抑 うつ感情 に乏 しく胃癌 ール依存症 と診 断 され,他病 院精 神科 に通院 開始. 手術歴 もあったため,身体疾患の検索 を行 ったが,特 X‑3年 当院 に転 院.X‑2年 9月頃 よ り操症状 出現. に問題 はなかった.精査 と並行 して抗 うつ薬投与 で経 その後 うつ病相,操病相 の出現 を繰 り返 した.X年 過 をみたが症状軽快せずせん妄 を認 めるようになった. 11月頃 よ り再 び操病相 が出現 し,通院治療が困難 に 脳波検査で徐波の混入,髄液検査で代謝性脳症を疑い, な っ た た め 入 院.入 院 後 VPA ( 1 80 0mg)+CBZ 当院神経内科 に転科 となった.SPECT では両側 前頭 ( 1 0 00mg)で治療 す る も症状 改善 せ ず,q uet i api ne ( QTP)7 0 0mgを併用 し操症状消 失.強 い眠気 を訴 えるた め QTPを減r Hl :した ところ媒症状 再燃.QTP を RI SI Omgに変更後媒症状 は消失 し,Ⅹ+1年後 5 月初旬退院.退院後 も約 3ヶ月寛解 を維持 している. 葉 と側頭葉連合野 に強い血流低下 を認めた.血液検査 で葉酸値が低下 してお り,葉酸欠乏 による代謝性脳症 と考 え,葉酸の内服投与 を開始 した ところ,せん妄だ けでな く当初の諸症状 も軽快 し退院 となった.粁榊 症 状の鑑別診断に於 いて,葉酸欠乏の可能性 に も注意す るべきと考 えられた. 精神経誌 ( 2 0 0 7)1 09巻 1号 9 4 2 0. Cyc l o s por i mとの併用 にて,l i t hi um投与 中止 を余儀 な くされた双極性障害の一例 2 2. 入院 にてグループホーム導入 を行 った意味性 痴呆の一例 学 1),岡本 泰 昌l),渡 辺清 美 1),高 ○樫林哲雄,兵頭隆幸,鉾石和彦,福原竜 ) ,熊谷 見 浩1 ) ,山下 英 尚1 ) ,山脇 成人 1 和彦2) ( 1 )広島大学病院精神神経科,2 ) 治,小 森 憲 治 郎,池 田 学,田 辺 敬 資 ( 愛媛大学医学神経精神医学) ○淵上 同第二内科) 【目的】意味性痴呆 は失語症状 に加 え,性格変化や l i t hi um の有用性 は広 く知 られ てい る. しか し,至適 行動異常 も伴い,介吉 敷 看護が困難 な疾患 とされてい る.今回, 自宅での生活が困難 とな り,入院 による精 血中濃度の幅 は狭 く,血中濃度上昇 にて消化署旨 症状や 中枢神経症状,運動機能症状 といった重篤な中毒症状 査 と独特の常同行劫 をコン トロールすることにより, スムーズな施設導入 に成功 した症例 を報告する. on‑ を起 こすた め,排胆 を阻害す る一部 の利尿剤 や n 【 症例】患者 は 6 6歳の女性.5年前 ( 6 1歳)頃か ら 簡単 な名詞が出に くくな り,単語の意味 もわか らな く 双極性障害出者 の気分安定化や病相 予防にお ける s t e r oi dalant i ‑ i nf lammat or ydr ugs( NSAI Ds ) との 併用に注意が必要である. なった.3年前頃 よ り生活が常同的 とな り, また,皿 をなめる等の異常行動が出現 した. このため,当科初 今回,免疫抑制剤である c yc l os por i n投与 によると 考 えられ る血中潰度上昇 を認 め,l i t hi um 投与 中止 に 至 った双極性障害の一例 を経験 したため,文献的考察 診,呼称 障害,了解障害,意 味記憶 の障害 を認 め, MRI ,SPECT の所見 より意味性痴呆 と診断 された. をふ まえて報告す る. 母親が介護施設入所予定であ り,J i I . 者 自身の処遇 を検 座長 :池田 研二 ( 慈圭) 行動 コン トロール,歯科治療,処遇検討 目的で某年 6 2 1 . 在宅 ピック病 患者 へ の非 言 語 的介入 と患者 QOL と介護者ス トレスの変化‑ 介護者立会 いの心 月 3日,当科入院 となった.入院中,会話 は成立せず, 筆談で も意味 は通 じないことが多かった.患者の話 も 討す る必要があ り,歯科治療の必要 もあったため常同 理療法 ( アー トセラピー)の試み‑ ○阿多敏江,寺 田整 司,黒 田重利 ( 岡 山大 学大学院医歯薬学総合研究科精神神経病 態学) 語性錯誤が多 く内容不明の こともあった.糖尿病治療 薬の服薬指導を行い,常同行動 を利用 したルーティー ン化療法の中に 4 6ピースのパズル を組 み込 む ことに も成功 した.グループホーム入所が可能 と判断 され, 本研究で は,無為が目立 ちほぼ全失語 に近い状態の 在宅 ピック病女性患者 と介護者 に非言語の心理療法を 6月 2 3日退院 となった. 施行 し,患者の QOL上昇 と介護者のス トレス減少を 試みた. で著明な異常を認めた Cha r l e sBommets yndr omeの 1例 【 対象 と方法】在宅 ピ ック病 患者 A ( 6 0 , 辛) と介 ○森 秀徳,小野 陽一,寺 田整 司,黒 田重 7. 1. 21 ‑7. 8まで の期 間,1 / Zw の頻 度 護 者 に,H 1 で焼 く 2hのアー トセ ラ ピー ( 1 3回) を施行.評価 利 ( 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 精神神経病態学教室) 彰QOL‑ D と( 参日本版 Zar i t ‑ 8 . は,( 【 結果】患者の QOL‑ D は上昇 し ( 59点 ‑ 6 6点) , 介護者 の Za r i t ‑ 8は減少 した ( 1 1点‑ 4点) . 2 3. 不眠,幻視 を主訴 とし,MI BG s c i nt i gr aphy 1歳の男性.主訴 は不眠 と幻視.7 8歳時 に 症例 は 8 症状が発現,症状持続 により当科受診.意識 は信明, 認知症,パーキンソン症状, 自律神経症状 は認めなか 【 考察】セラピー#7以降,5分間 もジッとしておれ 小人が った.睡眠 は約 2時間で中途覚醒 し,幻視 は 「 なかった患者が,約 1時間集中で きるようになった. 同時に介護者 も 『もっ と緩やかに患者 と共 に生 きてい 数人部屋 に入 って きて,椅子 に座 った り, タンスの中 の洋服 の袖やポケ ッ トに入 り遊んでいる」 とい う内容 ければ長い』 ことを洞察 し, これ まで一 日の全てを介 で あ っ た. SPECT で 後 頭 葉 に血 流 低 下 を認 め, MI BG s c i nt i gr aphyでは H/ M の著明な低下 とwa s h‑ pez i l内服 によ り,覗 outr at eの冗進 を認 めた.done 護 に費や していた生活が,時 には患者 を他者にゆだね ることも許せ るまでに変化 した.介護者立会いのアー トセラ ピーの施行 は,患者 の QOLの上昇 と介護者の ス トレス軽減 に貢献 した. 在 は睡眠が 3 ‑4時間 に延長 し,幻視の出現頻度 も減 少 して きている.本例 は d e me nt i awi t hLe wybodi e s ( DLB)の診 断基準 は満 た さず,現 時点 で の診 断 は Char l e sBonne ts yndr ome( CBS)である.CBSは DLBの初期 であることも多 く,DLBの初期 であれ ば 9 5 邦4 6回中国 ・四国精神神経学会 d o n e p e z i lが有効 であ る.C BSでは DLBの初期 でな くて も S PECTで後頭葉の血流低下 を認 めることがあ Bに特異的な検査 として MI BG s c i n t i ‑ り, よ りDL g r a p h yが有用であった. 2 4 . 石灰沈 着 を伴 うび まん性神 経 原 線 維 変 化 病 ( DNTC)が疑われる 1例 ,石 津秀樹1 ) ,池 田研 二1 ) ,守 ○難 波理可 1) 足, リター ンシステムや移送制度が うま く機能 してい ないなどの諸問題が存在 してい るため, それ らの問題 解決が課題であると考 えられた. 2 6 . 総合病院における精神科診療 ○大 本 芳 範1 ) ,工 藤 良 二1 ) ,劉 貞 一1 ) ,鶴 見征志1 ) ,梅 田知子 1 ) ,水木 泰2) ( 1) 財 1 ) 慈圭病 院,2 ) 田整司2 ) ,黒 田重利2) ( 団医療法人水の木会下関病院,2) 山口県 立病院静和荘) 岡山大学大学院医歯学総合研究科精神神 経病態学) 我々は,下関市内の四つの総合病院で週 に一度非常 勤医師 として出向 し,精神科診療 を行 ってい る. この 症例 は 77歳女性.4 5歳時 に離婚後 は単身生活 を送 っていたため詳細 は不明. 皮, 出向先 の一 つで あ る済生会下 関総 合病 院 の平成 1 6年一年間の リエ ゾ ン受診状況 について ま とめ,栄 7 5歳 頃 よ り健忘,俳個が 目立つ ようにな った.7 6 歳時,近隣 と トラブル となった り万引 き行為がみ られ 表 した.総合病院 における精神科診療の役割 には,敷 居の低い精神科外来や入院患者 に対す る診療がある. 警察 に保護 される事があった.友人の援助で生活 して その他に粁神科救急 として入院の橋波 し役,医療 スタ いたが, 日常生活 に支障をきたす ようになったた め当 ッフへのメンタルヘルスや研修医に対 す る臨床研修指 導 として リエ ゾン精神医学 を体験 させ ることも行 って 院受診 し入院 となった.入院時,記憶障害,見当識障 S‑ R4 / 3 0点.接触性 は良好 だが言語理 害 は高度.HD 解 は不良.多弁で感情変化が激 しく暴言,暴力 も時に 出現 し些細 な事で易窓的 とな りやすかった.神経学的 T検査に 所見,血液学的所見は特記事項 な し.頭部 C て前頭側頭葉の脳萎縮,大脳基底核 と小脳の石灰化 を 認 めた.頭部 MRI検 査 で は前頭葉 の L e u k o a r a i o s i s いる.問題点 として総合病院に精神科 として入院で き る病床がない ことや夜間の総合病院での精神科救急の 問題がある.総合病院では,一週間に一度の診察 に も かかわ らず,患者数 は増加 してお り, また精神保健福 祉士や臨床心理士 も不在であ り,人的 ・時間的制約が 大 きいことも挙 げられ る.総合病院 と串科精神科病院 がみ られた.以上 の所見 よ りDNTCが疑 われた. 蕊 がお互いの不足 している部分 を補 う形で連携 し,地域 た,本症例 は幼少時に鉛の含有が疑われるどうらんの 頻回な使用歴があ り鉛 との関連で興味 ある症例 と思わ 精神科医療 に貢献 で きると考 える. 2 7 . 広江病院精神科デイケアにおける 2 0 0 5年の利 れた. 9 9 5年 ,2 0 0 0年 との比較‑ 用者調査‑ 1 座長 :下寺 信次 ( 高知大学) 2 5 . 平成 1 6年度における山口県精神科救急情報セ ンターの運用実績 ○青木岳也,高松範雄,藤 田 実,小林孝 吉,嵐 千 尋,河合 宏 治,水 木 泰 ( 山 口県立病院静和荘) 山口県の精神科救急 システムは精神科救急情報 セン ター ( 以下,情報セ ンター) を中心 として平成 1 2年 7月に運用を開始 している.運用開始か ら 5年が経過 し,医療機関のみならず行政機関において も情報 セン ターの利用が浸透 して きたが,いまだに課題 は山f i l lし ている.情報センター運用の現状か ら問題点や今後の 課題 を考察 した.当県 における平成 1 6年度 の和判 科 2 3件であ り,約 7割 は通院中 救急郡例 は総発生件数 2 もしくは通院歴 あ りの者だった.情報センター発足当 7倍に増加 初 の一年間 と比較すると総発生件数 は約 1. し,相談機関の割合に変化が認め られた. しかしなが ら輪番病院の空床確保,情報センターのマ ンパワー不 ○長 田 泉 美,野 崎 由 美,宮 崎 夏 江,青 戸 忍,贋江 ゆ う ( 医療 法人義和会広江病 院 精神科) Cと略す) は,精神障害者, 精神科デイケア ( 以下 D 特 に統合失調症の生活障害に対す る リハ ビリ治療 とし て重要で,再発 ・再入院防止効果があるとされている. また,作業所や社会適応訓練事業,就労へつなげる役 割 も担 っている. 当院 DCは,1 9 9 0年 9月 に始 ま り,同年 1 0月大規 模 DCとして認可 された.活動 は,週 6回で,適所期 間や年齢制限は行 っていない.療法形態 は, レク リエ ー シ ョンや S S T,集 団精神療法 と並行 して,2 0 0 4年 か ら就労支援型,生活支援型,作業型 と小 グループ活 6年 目を迎 えた現在,一定 の効果 と共 動 を始 めた.1 Cの現状 と に問題点 も実感 している.今回我々は,D 課題 を捉 えるた めに,2 0 0 5年 6月 1日 と 1 9 9 5年同 日, 2 0 0 0年 同 日の DC利 用者統計 をだ し,生活環境,戟 労経験の有無等 を比較,検討 したので報告す る. 9 6 精 神経誌 ( 2 0 0 7)1 0 9巻 1号 28. 悪性新生物 と精神症状 の関連性 についての検 30. 摂食障害女児の入院治療 における心理療法の 1例 ○謡隈‑平,掛 田恭子,下寺信次,井上新 ○井上佳子,船戸 弘正,秋元隆志,渡 辺義 討 平 ( 高知大学 医学部神経精神病態医学講 座) 心理社会的要素や身体疾患 に伴 う精神症状 など,抑 うつ状態 に影響す る要素 は複雑である. 文 ( 山口大学医学部高次神経科学講座) 主治医 と看護 スタッフによる行動療法的アプローチ に並行 した,臨床心理士 ( 以下 CP) による個人精神 療法の導入が有効であった と考 えられ る症例 を経験 し 2002年 7月〜200 5年 6月末 の 3年間 に当院神 経精 2歳 の女性.同胞 5人 中の たので報告す る.【 症例】1 神科受診歴 のある患者 27 21名 の中に癌の既往が ある 第 4子,一卵性双生児の妹がい る.X‑1年 4月,体 51名であったが,当院入院歴があ り当院 にて ものは 3 死亡 した担癌患者 39名 についてカルテを用いて調査 重 22kg ( 身長 1 4 0cm) とな り,神経性 無 食欲 症 の 診断にて当科入院 となる.行動療法にて順調 に体重回 した. 8kgで退 院 す る も,4月 に は 22 復 し,Ⅹ年 2月 に 2 精 神疾 患 の 内訳 は FO:F2:F3:F4‑1 6:1:l l: 但 し重 複 あ り)で あ り FO,F3,F4で主 に 3分 1 6( kgに減少 し,Ⅹ年 7月当科再入院 となった.再入院 時,患者 は家族や医療者 に対 し非常 に拒絶的であった された.特徴 として若年,又 は女性 で は F4が占める ため,心理面接 はコ ミュニケーションの回復 と治療動 割合が多 く,高齢者では F3が多かった. 機 を高 めることを目的 とし,週 2回 50分,スクイグ 亡 くな る前の精神科受診 日についての検討 で は F3 ルの変法 を用いて行われた.CP と良好 な治療同盟が の患者で,精神科受診が遅れている可能性が示唆 され 形成 され るにつれ,拒絶的であった病棟スタ ッフとの た. 関係 も回復 し, 自らの成長 を手助 けして くれ る対象 と して陽性の感情 を抱 くようになった.退院後中学校 に 座長 :佐々木 高伸 ( 広島市民病院) 29. 生命的危機 を呈 した神経性無食欲症の重症例 について ○三宅典 恵 1) ,宮坂 国光1 ) , 自尾直 子l ) ,古 庄 立弥1 ) ,出本吉彦 l ) ,馬 場麻好2 ) ,高畑 進学 し,体重減少 は認め られていない.当 日は, より 詳 しい治療経過 と文献的考察 を加 えて報告する. 31. 不登校大学生の‑症例‑ 毒 との関連 について‑ イ ンターネ ッ ト中 ○武 久 美 奈 子l ) ,石 元 康 仁 1),大 森 哲 郎 2) 紳‑I )( 1) 県立広島病院精神神経科, 2) ( 1 )徳島大学保健管理セ ンター,2) 徳島 広島大学病院精神科神経科) 大学医学部情報統合医学講座精神医学分 野) ‑2 0% と報告 されて 神経性無食欲症 の死亡率 は 5 0% を超 える低体重 が死 お り,特 にるいそ う率が ‑4 情報化社会の中,多 くの学生がインターネ ッ トを利 亡の転帰 と関連があるといわれている.当科では入院 用 し 「ネ ッ ト中毒」 も増加 してい る. この度, 自 ら 時 にるいそ う率が ‑50% を超 える症例 を過去 5年間 「パ ソコン依存症」 と言い相談 に来た学生 を経験 した. 0例経験 し,3例 の死 亡例 が あった.今 回我々は で2 3歳男性で大学院一年生.研究室 に適 えず 症例 は 2 0% を超 える神経性無食欲症患者で るいそう率が ‑5 一 日の殆 どをネ ッ ト特にオ ンラインゲームに費や して 重度低栄養状態 を認 め,感染症等 によ り生命的危機 を いた. その使用 は自己制御困難で,電源 を切 ることも 呈 し,I CU管理 を必 要 とした症例 を 2例経験 した. ゲームを中断す ることもで きず,強迫的に取 り組 む様 症 例 1:25歳,女性, るいそ う率 ‑5 5%.入 院時 よ 子 はまさに依存症的であった.「ゲーム内で は自己主 り歩行困難 であ り,下腿浮腫著明,低 K血症,貧血, 張がで き居場所がある.技術 を賞賛 される」 と言 う. CU に転 徐脈 ,QT延長 に加 えて肺 炎 を合併 した為 I 仮想空間上の万能感 と現実生活 における無力感の落差 5%. 棟 した.症 例 2:31歳,女性, るい そ う率 ‑6 がネ ッ ト中毒か ら抜 けられない要因 と考 えられた. 近 医 よ り起座 困難 にて当院 I CUへ搬送 された.重症 面接 は毎週行 い治療者 は現実社会上の他者 として関 感染症,排骨神経麻痔 を合併 し,呼吸筋萎縮 にて人工 わ りを続 けた.結果ネッ ト中毒か らは脱 し,実験等現 呼吸器管理 を要 した. ともに集中的な身体管理 により 実の課題 に向 き合 っている. 危機的状況 を脱 した後 に当科病棟で治療 を継続 した. 不登校大学生 は増加 してお り,その一部 はインター 臨床経過及 び当院の死亡例 も加 えて,文献的考察 を加 ネ ッ ト使用上の問題 を抱 えている可能性がある.教育 えて報告す る. 現場 における精神保健的な支援 を考 える上で,重要な 視点 と考 えられた. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org) 97 第4 6回中国 ・四国精神 神経 学会 3 2 . 非専門外来 を受診 す る OCD患者 の臨床特徴 ‑ 「 改善群」 と 「 非改善及び中断群」の比較検討 ,真 田順 子2) ,北 村 ゆ り2) ○石 丸 美 和 子 1) ( 1) 菜 の花 診療 所 心理 室,2) 同心 療 内 科) 薬物療法及び行動療法的アプローチ ( 以下 BT)を 併用 した OCD患者 の臨床特徴お よび治療抵抗性 に関 わる諸要因を検討 した. 3. 5 ‑H1 7. 5までの 4年間 【 対象 と方法】対象 :H1 に当院 を初診 LI CD‑1 0によ りOCD と診 断 され BT を併用 した 3 3例.性別,治療歴,初診時年齢,発症 年齢,家族負国,人格障害合併,病型分類,不合理性 認識 ,SRI・抗精神病薬最大投与量,初診 ・最終確認 BOCS,BDI ,STAI ,BTI s tホーム 時就学就労,Y‑ ワー ク達成 につ0て評価 した. 1年後 Y‑ BOCSが 2 5 % 以上 の改善 を認 めた者 を 「 改善群」 ,BT3ケ月未 , 満で中断 した者 を 「 中断群」 と判定 し 「 改善群」 と 「 非改善及 び中断群」の 2群間で比較 を行 った. 「 非 改 善 及 び 中 断 群」で は有 意 に 【 結 果 と考 察】 BDIが高得点,BTI s tホーム ワー ク達成 不可 で あ っ P<0. 01 )合併 す る欝状 態 へ の対 応 と, 円滑 な た. ( BT導入の重要性が示唆 された.
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