2014 年オバマ大統領一般教書演説の概要

2014 年オバマ大統領一般教書演説の概要
昨夜東部時間 9 時 10 分に始まったオバマ大統領のスピーチは、経済の安定性、雇用拡大、中産
階級の向上が国内政策の主要点であり、平等がテーマであったと思われる。昨年の一般教書演
説で提起した幾つかの同じ議題を再度強調し、議会の協力を要請すると同時に、大統領の権限、
または大統領令を駆使することを宣言する瞬間が数回あったことが特徴であった。外交政策は
アフガニスタン、シリア、イランの現状と外交業績および方針について、また、アジア太平洋
地域の支援について語った。基本的には、オバマ氏のスピーチは 11 月の中間選挙を意識した党
派色の強い民主党のスローガンをアピールしたものであり、選挙戦は始まったことを示唆した。
また、米国の強さを強調し、議会の力を訴え、確信的であり、改めてオバマ氏は雄弁であるこ
とを感じさせる力強いスピーチであった。
オバマ氏は最初に、米国は基本的に強いことを語り、アメリカは 30 年以上卒業率が最も高こと、
過去 4 年間で 800 万の新規雇用が拡大し、自動車製造労働者は世界で最も低燃費車を生産し、
外国からの石油依存の減少に貢献したと述べた。農村部の医師は、初めて、母親が支払い可能
な範囲で幼い子供の喘息を治療するための処方箋を与えた。また、議会および市民の努力の結
果として、5 年以来最も低い失業率となり、住宅市場は跳ね返りがあり、製造部門は 1990 年代
以来初めて雇用が拡大し、石油の国内生産は海外からの輸入を減少させるほど増大し、初めて、
「世界各国のビジネス.リーダーは、『中国はもはや投資する世界一の国ではなく、アメリカで
ある』と宣言した」と述べた。
オバマ氏は、政策の違いによる政府閉鎖は、米国の信頼を脅かし「民主主義の最も基本的な機
能」を妨げるものであるとし、それは国民にとって正しいことではないと指摘した。又、超党
派の予算交渉の努力には感謝を表明しながらも、予算の妥協は新たな危機を作るのではなく、
雇用創出につながるべきであると指摘し、バランスを保つ方法で赤字を削減しながらも将来の
ための投資をもっとするべきであると主張した。
また所得格差、機会向上の低迷、失業しているアメリカ人もまだ多いことを指摘し、中産階級
を強化し、中産階級への梯子を昇る機会を築くための具体的で合理的な提案をしたいと述べ、
必要であれば、「立法の手順なしに、私はより多くのアメリカの家族のための機会を拡大する」
と述べた。また、ミシェル夫人が学校、ビジネス、および地元のリーダーとのパートナーシッ
プにより 30 年以来、初めて子供の肥満を減少させた為、将来健康保険料を減少させると述べた
。そのような業績を例に、ミシェル夫人と副大統領夫人ジル·バイデンは共同で、約 40 万人の
退役軍人や軍の配偶者を雇用または訓練するため、雇用者を激励する運動を展開していると語
った。また、ホワイトハウスは、高等教育へのアクセスの不平等を減らすため、すべての勤勉
な子供が大学に通い成功するため 150 の大学、企業、非営利団体は具体的な約束を果たすため、
大学の機会サミットを組織化したと発表した。
また、 機会の向上を強調し、「機会の最良の指標は良い仕事へのアクセスである」と述べ、
経済のスピードが上がるにつれ、「今年はもっと労働者を雇用する予定があると企業は言って
いる」と語った。更に、50%以上の大手の製造会社は海外からの仕事を国内に戻すと言ってい
ると述べ、 国内に仕事を戻す企業に対して減税し、逆にアウトソーシングする企業には増税す
るなどの税制改革を促した点で、昨年とほぼ同じ提案を再度強調した。更に、輸送、水路のイ
ンフラ整備をすることで 300 万の雇用を保護する法案を今年の夏議会が制定するよう促した。
更に、オバマ氏は先日ノース.キャロライナで発表した大学と企業との連携により、ハイテク製
造研究に関する計画について語ったが、米国がハイテクで世界をリードする構想について再度
公表し、「アメリカ製」の構想に基づく雇用拡大と経済向上の法案を議会が支持するよう要請
した。
雇用拡大の最要因の一つは、アメリカのエネルギーに力を入れることであると述べた。また、
「数年前に私が発表したエネルギー政策は効力を発揮している」とし、「アメリカは十数年前
よりエネルギー自立に近づいている」と述べた。また、議会は外国産の石油から天然ガスに移
行することで環境を保護することを強調し、将来の世代のため連邦土地を保護するため大統領
の権限を駆使すると語った。また、天然ガスだけではなく、米国はソーラー.エネルギーでも世
界のリーダーになっていると述べた。米国の家庭またはビジネスは 4 分毎にソーラーを導入し
ているとし、「賢い税政策でこの進歩を続けよう」と促した。また、米国のエネルギー政策は
雇用を拡大し、地球をもっと清浄で安全にし、「過去 8 年間で米国は地球上の他のどの国より
も炭素汚染を削減した」と述べた。しかし、気候変動が原因で西部地域は旱魃の被害、海岸地
域は洪水の被害を受けているため、緊急に二酸化炭素排出量の新たな基準を定める必要がある
と指摘し、「気候変動は事実である」と明言した。
オバマ氏は、経済成長に関して真剣であるなら「壊れた移民システム」を改正しなくてはなら
ないと述べた。また、共和党および民主党も同じように移民改正法に取り組みたい意志がある
ことは理解しているとし、「独立した経済学者は、移民改革が我々の経済を成長させ、次の 20
年間で、ほぼ 1 兆ドルの赤字を縮小すると言っている」と語った。この国の文化を勉強し、
この国に貢献する移民の夢を満たすため投資すれば、ビジネスには魅力があり、全ての人のた
めの雇用を創出するとし、行動する「時がきている」と鼓舞した。
また労働者のスキルを向上させるため地域の短大と民間企業の協力体制による訓練プログラム
を提案し、失業している労働者に仕事の機会を与えることで、失業保険の改革はより早く実施
することが可能であると述べ、現在 160 万人に拡大した失業者に失業保険の受益延長をするよ
う要請し、勤勉なアメリカ人に「彼らに機会を与えなさい」と 3 回繰り返し要請した。また、
全ての子供に「世界級の教育にアクセスする機会を保証することで明日の労働力に備える」こ
とを提案した。負債に苦しむ学生が多い学生ローンの改革を行ったため、今日、大学資格を取
得する若者は増えていると述べ、幾つかの大学では、新たな経済のための問題解決、批判的思
考、科学、技術、工学、数学のスキルを持つ学生を育てるため、教師をサポートする教育投資
の重要性を強調した。また 次の 4 年間で、99%の生徒が高速ブロードバンドへ接続できるよう
にすることを昨年約束したと述べ、FCC、アップル、マイクロソフト、スプリント、ボライゾ
ンのような企業の支援を受け、15,000 以上の学校と 2,000 万人の学生に今後 2 年間で、赤字を
追加せずそれを可能にすると発表した。基本的には全てのアメリカ人に教育のチャンスを与え
け、スキルを磨き、平等の機会を与えることを強調した。
また、話題は女性に対する平等の機会に移行し、「今日女性は労働力の 50%を占めているが、
賃金は男性 1 ドルに対して 77 セントである。これは間違っている」と指摘し、「女性は同等の
仕事に対して、同等の支払いを受ける資格がある」と主張した。 全ての女性に平等の機会を与
えるため、議会、ホワイトハウス、ビジネス、ウォール街が共に取り組もうと促し、「女性が
成功すれば、アメリカは成功すると信じている」と述べた。また、大半の女性は低賃金の仕事
を抱えているとし、アメリカ人は圧倒的に最低賃金の引き上げを支持していると述べた。また
、「今日の最低賃金はロナルド. レーガンの時代より 20%少ない」ため、貧困の家族を引き上
げるためには重要であるとし、現行法の最低賃金を$10.10 に上げることを要請した。すでに 5
州は最低賃金引き上げ法案を通過していることにも触れ、市長、知事、州議員は連邦政府の議
会が行動することを待つ必要はないと述べ、「今後数週間で、私は彼らの連邦政府の資金で採
用されている従業員に少なくとも時給$10.10 の公正賃金を支払うことを連邦政府の請負業者に
要求するため大統領令を発行する」と宣言した。
また「今日のほとんどの労働者は年金がない」と指摘し、年金だけでは十分ではないため退職
年金を保存する措置も考慮する必要があると述べた。 労働者が彼らの退職貯蓄を開始できるよ
うな新しい方法を生みだすことを財務省に指示すると述べた。更に、議会が援助する意志があ
れば、富豪層には減税し、ほとんど中産階級には何もしていないという逆構造の税制度を修正
し、すべての国民が IRA(個人年金貯蓄制)にアクセスすることを提供すれば職場での預金が
可能であると提案した。
経済的安全性の最後の要点として、オバマ氏はアフォーダブル.ケア.アクト(ACA)に触れ、
万一、貴方が聞いていない場合のため伝えるが、我々は「壊れた健康保健システムを修正して
いる過程である」とユーモラスに述べ 、26 歳以下の 300 万のアメリカ人は両親の保険プランに
加入でき、900 万人以上が ACA 下の医療保険またはメディケイドに署名したと報告した。また、
すでに病気を患っているため保険加入を拒否される人口層はゼロになったことを強調し、医療
保険を保持していない全てのアメリカ人が 3 月 31 日までに加入できるよう援助することを要請
した。
加えて市民権の意味を強調し、昨年投票権が弱体化したことについて超党派の協力でこれを強
化できた前例を語り、其の努力を支持し、投票に 1 時間以上待つ必要がない投票権の改革を提
案した。更に、市民権とは、毎日直面している銃の暴力に対抗することであると述べ、「罪の
ないアメリカ人が映画館、ショッピングモール、サンディ.フックのような学校に行くことを妨
げている悲劇をこれ以上起こさないための努力をし続けている」と語ったが、銃規制を促す具
体的な表現を避けた。
最後に幾つかの外交政策について語り、「米国民の自由と米国の安全のために自分の生命をリ
スクに晒して生きる非常に優れた軍隊および民間人がいる」として、就任した当時 180,000 人
のアメリカ人がイラクとアフガニスタンで奉仕していたと述べた。現在、イラクからの軍隊は
既に撤退し、アフガニスタンからは 60,000 以上の兵士はすでに帰国したと語った。今後、「独
自のセキュリティのため我々の軍隊はアフガン軍を支援する役割に移動した」ため、「私たち
の使命は今年末までに完了する」と述べ、「アメリカの最も長い戦争」は最終段階に入ったこ
とを報告した。また、アフガニスタン政府が、交渉に基づく保障協定に署名した場合は、 アフ
ガン勢力の訓練と援助のため、およびアルカイダの残党を追放する対テロ作戦を支援するため
、小規模のアメリカ軍隊は NATO の同盟国と一緒に当地に残ることになると説明。また、「ア
フガニスタンとの関係は変わるが、テロリストは私たちの国に対する攻撃を開始しないという
我々の決意は変わらない」と述べた。
また、シリアに関しては「テロリストのネットワークの問題を拒否する反政府軍を支持する」
と述べ、自国ではサイバー攻撃などの新たな脅威に対抗するため防衛の強化を維持すると語っ
た。防衛予算の改革として、軍隊の男女の保護を強化し、将来の使命を成功させるため必要な
投資をしなければならないと主張し、「警戒しなければならない」と指摘した。しかし、リー
ダーシップと安全保障は軍隊のみに依存できないとの強い信念を表明し、アメリカ人を危機に
晒す方法で軍隊を利用することは避けるとの立場を再度強調した。また、「積極的かつ攻撃的
」にターゲットをより絞って、テロリストのネットワークを追求し、外国のパートナーの能力
を構築することで、米国は「永久的な戦時体制」から移行する必要があると語った。また 「結
果を考慮せず海外で攻撃している」と海外の人々が批判的であれば安全ではないため、「無人
爆撃機の使用を慎重に制限した」と述べた。
更に、議会と共に取り組みながら、「国内外で普通の人々のプライバシーは侵害されていない
」としながらも、「情報機関の重要な仕事は、公共の信頼に依存」しているため、「監視プロ
グラムの改革を行う」と述べた。アフガニスタン戦争の終焉に伴い、グアンタナモ湾の刑務所
を閉じる必要がある事も提案した。複雑な脅威がある世界では「強い外交原則」に依存してい
るとし、米国の外交は核物質が悪の手に落ちることを防ぐため 50 カ国以上の国と結集し、冷戦
時代の備蓄を減少させることに成功したと語った。 また、「アメリカの外交は威嚇に裏打ちさ
れているためシリアの化学兵器は排除された」と述べ、「シリアの人々が値する独裁と恐怖の
ない未来の到来」を可能にするため、引き続き、国際社会と協力していくとの方針を語った。
また、イランの核開発を停止する圧力に裏打ちされたアメリカの外交政策は、核開発プログラ
ムの一部を減少させ、初めて「イランはより高いレベルの濃縮ウランの備蓄を排除し始めてい
る」と語った。従ってイランは「先進的な遠心分離機」を導入していない。また前代未聞の視
察は「イランが爆弾を構築していないことを日々確認するのに役立っているとし、同盟国やパ
ートナーは、イランが核兵器を取得することを防ぐため、平和的な目標を共有する可能性があ
るかどうかを知るため交渉に努力している現状を報告した。オバマ氏は「長期的な同意の契約
は、イランは核爆弾を製造しないと米国と国際社会に納得させる検証可能な行動に基づいてい
なくてはならない」述べ、イランは核兵器の脅威が減少していることを強調した。しかし、こ
の交渉を脱線させる結果になるイランに対する経済「制裁法案には拒否権を発動する」と述べ
た。
更に米国は同盟国を支えるアジア太平洋地域に焦点を当てる方針を表明し、フィリピンの台風
の被災者を米国の海兵隊が援助したとき、「私たちはあなたの親切を決して忘れない」、「神
はアメリカを祝福する」と挨拶されたと述べた。米国は「長期的な安全保障を促進する」ため
このような支援を維持するとし、「人種や宗教、信条、または性的指向に関係なく、我々はす
べての人間に内在する尊厳と平等を信じているからである」と語った。
オバマ氏は最後に、アフガニスタンでの大規模な爆弾で頭部を負傷し、危うく一命をとりとめ、
入院後は数ヶ月間昏睡状態であった退役軍人のコーリー.レムズバーグ氏を紹介した。オバマ氏
は D-Day の 65 周記念日にオマハ.ビーチで彼と初めて会ったという。 また、「コーリーはまだ
左目の視力を失ったままであるが、地域社会の看護者の支援を受け、徐々に強くなってきた。
彼は再び、毎日話し、立ち、歩くことを学び始め、この国に再度奉仕することを目指している」
と語った。オバマ氏は「私の回復は簡単ではなかった。何の価値のない生活の中で簡単なこと
は何も無い」との本人の言葉を引用し、「コーリーは今夜ここにいる。彼が愛している軍隊の
ように、彼が奉仕するアメリカのように、一級軍曹コーリー.レムズバーグは決してあきらめな
い、決して止めない」と述べ、二階正面席のミッチェル夫人の隣に着席しているコーリー氏を
オバマ氏が紹介した習慣、全員は一同に立ち上がり、暫くの間、暖かい拍手は室内中に響いた。
オバマ氏は 、「コーリーは、私たちの自由、民主主義は簡単ではないことを思い出させる。
我々は時々、つまずき、 間違いを犯し、イライラし、落胆する」と述べた。米国は200年以上、
進歩のため努力し、個人が業績を達成するための可能性を築き、広げ 、他の国の専制と恐怖か
らの自由を解放し、建国の父は、すべての市民のために憲法を制定し、法の下に正義と公正を
促進してきたと語った。また、全ての国民に繁栄を共有し、平等の機会を開くことは困難であ
るが、我々が明日に向かって共に取り組むならそれは「手の届く範囲にあることを知っている」
と述べ、約70分のスピーチを結んだ。