特許法施行令の一部改正令案

特許法施行令の一部改正令案
1.議決主文
特許法施行令の一部改正令案を別紙のとおり議決する。
2.提案理由及び主な内容
インターネットの普及に伴い、全ての形の電気通信回線を通じて誰もが利用可能となっ
た発明と同一の発明は、特許を受けられないというなどを内容とする「特許法」が改正(法
律第 11654 号、2013.3.22 公布、2013.7.1 施行)されることにともない、法律の委任によ
って規定された電気通信回線の範囲に関する規定を削除し、職務発明補償を活性化するた
め、職務発明補償の優秀企業として選定された企業の特許出願が優先審査を受けられるよ
う、関連規定を見直す一方、出願人などの個人情報の保護強化に向け、公開の情報及び登
録広報に掲載される出願人、または発明者の住所掲載の範囲を申請に応じて一部のみを掲
載するなど、現制度の運営上の問題を改善・補完するためである。
3.主要討論課題
な し
4.参考事項
関係法令:省略
予算措置:別途の措置は必要無し
合意:該当機関無し
その他:1)立法予告(2013.4.10~5.20)
2)行政規制:
5. 意見提出
特許法施行令一部改正令案についてご意見のある団体、または個人は、2013 年 5 月 20
日までに次の事項を記載した意見書を特許庁長(参照:特許審査政策課長)に提出してくださ
い。また、立法予告案の全文は韓国特許庁ホームページ(http://www.kipo.go.kr)にてご確認
できます。
イ.立法予告事項についての項目別の意見(賛成と反対、その理由)
ロ. 名前(法人や団体の場合、その名称と代表者の名前)、住所と電話番号
ハ. その他の参考事項
特許法施行令の条文別改正理由書
1.電気通信回線の規定を削除(案第 1 条の 2)
□改正内容
◦インターネットの普及にともない、大多数の技術公開が大統領令で定める電気通信回線
でないその他の電気通信回線(naver ポータル等)を通じて行われているという環境の変化を
反映し、
-全ての形態の電気通信回線を通じて公衆が利用できる発明も刊行物に掲載された発明と
同様に先行技術の地位を与える必要があり、
-大統領令で定める電気通信回線規定が特許法(第 29 条第 1 項第 2 号)から削除されたため、
委任関連の下位法令の見直しが必要
□改正内容(2013.7.1 施行)
◦法律の委任にともない、電気通信回線の範囲を規定していた条文(特許法施行令第 1 条の
2、実用新案法の施行令第 2 条)を削除
<特許法施行令第 1 条の 2>
現行
改正案
第 1 条の 2(電気通信回線の範囲)「特許法」
<削除>
(以下「法」という。) 第 29 条第 1 項第 2
号及び、法第 129 条第 2 号において「大統
領令で定める電気通信回線」とは、次の各
⇒
号のいずれかに該当する者が運営する電気
通信回線をいう。
1.~4.(省略)
2.請求範囲の記載方法要件の合理化(案第 5 条)
□改正理由
◦施行令(第 5 条)では、特許法(第 42 条第 8 項)に基づいた特許請求範囲の記載方法の要件
*を規定している。
*第 1 項(独立項と従属項との関係)、第 4 項(引用請求項の番号記載)、第 5 項(引用請求項
の択一的な記載)、第 6 項(マルチ引用請求項の引用禁止)など
-現行の規定において従属項*を記載する際には、引用する項を特定するために引用する項
の番号を記載するよう強制(第 5 条第 4 項)しているが、
*独立項を限定するか、付加して具体化する項
→(例)第 1 項:エンジン;第 2 項:第 1 項においてアルミニウムで作られたエンジン
-独立項が他の項を引用する時には、従属項の記載要件と異なり、項の番号を記載しなけ
ればならないという規定がなく、その見直しが必要である。
<問題の事例>
第 1 項:エンジン(engine)(独立項)
第 2 項:第 1 項においてアルミニウムで作られたエンジン(従属項)
第 3 項:削除
第 4 項:前述した項のうち、いずれの項のエンジン燃料がガソリンであるエンジン(従属
項)
第 5 項:サンルーフ、ミッション及び前述した項のうちいずれの項のエンジンを持つ自
動車(独立項)
※第 4 項の第 1 項(独立項)のエンジン燃料をガソリンと限定し具体化する項(従属項)である
が、引用する項の番号を記載していないため、記載方法の違反による拒絶の対象
※第 5 項(独立項)は、他の項を引用しているが、項の番号を具体的に特定していないため、
不明確であるものの、
従属項(第 4 項)と異なり、記載方法の違反による拒絶対象ではない[た
だし、実務的には、引用が不明瞭という理由(法第 42 条第 4 項第 2 号)による拒絶対象]
□ 改正理由
◦
他の請求項を引用する全ての請求項(従属項のみならず、独立項も含める)に対し、引
用する項を具体的に特定させる。
<特許法施行令第 5 条>
現行
改正案
第 5 条(特許請求範囲の記載方法)④従属項
第 5 条(特許請求範囲の記載方法) ④他
を記載する時には、独立項、又は他の従属
項のなかから 1 か 2 以上の項を引用しなけ
⇒
の請求項を引用する請求項は引用される
項の番号を記しなければならない。
ればならず、引用される項の番号を記載す
べきである。
□ 改正の効果
◦第 3 者及び審査官が請求範囲を解釈しやすくするよう、他の項を引用する請求項は、引
用する項の番号の記載を義務とする法令の本来の趣旨に合わせて見直し、法令の適合性を
向上
3.職務発明補償の優秀企業の出願を優先審査(案第 9 条)
□改正の理由
◦職務発明補償制度の活性化、及び企業の自発的な補償文化の定着を図るため、職務発明
補償の優秀企業に対し支援を強化する必要がある。
職務発明補償の優秀企業を支援
-発明振興法(法律第 11690 号、2013 年 3 月 22 日公布、2013 年 9 月 22 日施行第 11 条の 2(職務発明補償の優秀企業に対する支援)①政府は、職務発明補償制度の活性化
を図るため、職務発明補償の優秀企業を選定し、必要な支援を行うことができる。
□改正の内容(2013 年 9 月 22 日施行)
◦職務発明補償の優秀企業の出願を優先審査*の対象にする。
*特許法第 61 条に基づき、大統領令で定める出願(グリーン技術関連出願など)を優先して
審査する制度
<特許法施行令第 19 条>
現行
改正案
第 9 条(優先審査の対象)法第 61 条第 2 行に
第 9 条(優先審査の対象)(現行と同様)
置いて「大統領で定める特許出願」とは、
次の各号のいずれかに該当するもので、特
許庁長が定める特許出願を意味する。
1.~5 の 2(省略)
⇒
<新設>
1.~5 の 2(現行と同様)
5 の 3.
「発明振興法」第 11 条の 2 により、
職務発明補償優秀企業として選定された
6.~11.(省略)
企業の特許出願
6.~11.(現行と同様)
□改正の効果
◦職務発明補償の優秀企業への支援拡大を通じ、職務発明の活性化が可能
4.公報掲載の住所の範囲を限定(案第 19 条)
□ 改正理由
◦
出願(または特許)発明を公開し、研究・投資の重複を防ぎ、公開された技術を通じて
研究開発を促進し、産業発展に貢献することを目的に出願公開制度を運営(特許法第 64 条及
び第 221 条)
-一方、公開の範囲は、大統領令に委任し、特許権者、発明者、及び明細書などを公開し
ている(特許法施行令第 19 条)
※技術の取引などを活性化し、発明者の名誉を高めるため、特許権者と発明者の生命及
び住所を公開している。
◦ただし、インターネットを通じて公開(又は登録)公報に誰でもすぐアクセスできるため、
全ての住所を公開することによって発生するセキュリティ問題に対し、発明者などが継続
的に苦情を申し出ており、
*韓国特許庁の Help Desk などを通じて、年間 5~10 件の苦情が寄せられている。
-大韓弁理士会など、関連機関や専門家を対象にアンケート調査*を行った結果、住所の部
分的公開を求める[出願人の選択(52.4)+法令として強制(27.8%)=80.2%]声が高い。
*オンラインなどによる庁内・外において実施(2012.9、応答者 2669 人)
※出願公開制度の趣旨(発明者の掲載権及び技術取引の活性化など)及び、外国の事例を踏
まえ、住所全体を公開してもいいという意見もあった(13.2%)。
住所公開の範囲
米国
EPO、日本、中国、韓国、WIPO
一部住所記載(94%)
住所全て
◦そのため、出願公開制度の目的と個人情報の保護を考慮した合理的な水準の住所公開範
囲の設定が必要
□改正内容(2014.7.1 施行)
◦出願公開制度の目的と外国の事例を考慮し、出願人(または特許権者)と発明者の住所を
全て公開することを原則とするが、
-出願人(自然人である場合に限る)などの申請*があれば、住所の一部のみを公開
*住所の一部公開申請の手続きは特許庁長が定める(特許庁公報発行業務の取扱規定)
-一方、住所公開の範囲については、出願人などの居住地(国内外等)により、様々な住所
システムがあり、住所公開の具体的な範囲は特許庁長が定める。
※申請がある場合、国内住所は、道路名住所システムに沿って道路名まで表記(案)
<特許法施行令第 19 条>
現行
改正案
第 19 条(特許公報)②登録公告特許公報に
第 19 条(特許公報)②(現行と同様)
は、次の各号の事項を掲載する。
1.次の各目の区分による特許権者の人的
1.特許権者の名前及び住所(法人である場
情報
合には、その名称及び営業所の所在地)
イ.自然人である場合:名前及び住所
ロ.法人である場合:法人の名称及び営業
2.~12.(省略)
<新設>
所の所在地
⇒
2.~12.(現行と同様)
④特許庁長は、第 2 項第 1 号カ目、第 2
項第 3 号、第 3 項第 1 号カ目、または第
3 項第 3 号による住所を掲載するにおい
て、特許権者、出願人、または発明者の
申請がある場合には、その住所のみを掲
載することができる。この場合、その申
請手続き及び住所の掲載範囲は、特許庁
長が定めることに従ずる。
□改正の効果
◦出願公開制度の目的などを活かしながら、出願人などの個人情報を最大限保護できる制
度の設けることができる。