エネルギーとしての体脂肪 糖質の不足が疲労の一因 肝臓グリコーゲンの減少 →血中グルコース濃度の低下(低血糖) 筋肉グリコーゲンの枯渇 だから、 運動前にグリコーゲン貯蔵量を増やしておく (グリコーゲンローディング) また、運動中に糖質を補給する (スポーツドリンク) 70% VO2maxでの運動時のエネルギー源。運動の後半で筋肉グリコーゲン が減少したときは、摂取した炭水化物が血糖値を維持し、主要な炭水化物 エネルギー源となる。 血糖値 維持される 必要あり %エネルギー消費量 脂肪 血中ブドウ糖 筋肉グリコーゲン 運動時間(時間) Coyle 1992 脂質とは? •水に溶けずエーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶ける •例:サラダのドレッシングは混ざらず分離する •単純脂質:中性脂肪(3つの脂肪酸とグリセロール) •複合脂質:リン脂質、糖脂質 •誘導脂質:ステロール(コレステロール、性ホルモン、副腎 皮質ホルモン) 動物体内では、 •皮下や内臓周囲に貯蔵脂肪(エネルギー源、衝撃緩衝) •血液中や脳、神経などの細胞の構成成分として存在(細胞膜 の構成成分として重要) 脂肪 (中性脂肪、トリグリセリド、TG、トリアシルグリセロール) グリセロール 脂肪酸 脂肪酸の種類によって性質 (液体だったり固体だったり)が異なる 脂肪酸 必須脂肪酸 細胞膜の構造 糖鎖 脂肪酸 構築 たんぱく質 末梢 たんぱく質 脂質 シス形脂肪酸とトランス形脂肪酸 食後 脂肪:Triacylglycerol グリセロール 脂肪酸 脂肪酸 消化管 消化・吸収 脂肪酸 血中 グリセロール+脂肪酸 脂肪に再合成 2つの脂肪酸 たんぱく質・リン脂質とともに リポたんぱくを形成 リポたんぱくリパーゼ 血中から取り込み 脂肪組織 筋肉など 再合成・貯蔵 グリセロール 脂肪酸 脂肪酸 脂肪酸 絶食時・運動時 血中 グリセロール 遊離脂肪酸 血中へ放出 血中から取り込み 脂肪組織 筋肉など 貯蔵脂肪の分解 脂肪酸 グリセロール 脂肪酸 脂肪酸 貯蔵脂肪の分解を刺激 エピネフリン、グルカゴン、カフェイン 脂肪酸 酸化 エネルギー 体内に貯蔵されているエネルギー量 糖質 含量 (g) エネルギー量 (kcal) 肝臓グリコーゲン 48 192 筋肉グリコーゲン 189 756 3 12 10,800 97,200 5,400 21,600 血液グルコース 脂肪 たんぱく質 体重60 kg、体脂肪率18%、筋肉量27 kgと仮定 運動で消費するエネルギーの概算法 • 走運動:体重 (kg) 1 移動距離 (km) • 50 (kg) x 1 x 40 (km) = 2,000 kcal • 歩行運動:体重 (kg) 0.5 移動距離 (km) • 50 (kg) x 0.5 x 5 (km) = 125 kcal 三大栄養素によるエネルギー生産経路 たんぱく質 糖質(炭水化物) 1,000 kcal デキストリン ペプチド ブドウ糖(グルコース) アミノ酸 クエン酸 回路 脂肪 100,000 kcal 脂肪酸 A sparing effect of increased plasma fatty acids on muscle and liver glycogen content in the exercising rat Rennie, MJ et al. Biochem J 156: 647-655, 1976. 血漿遊離脂肪酸 血漿遊離脂肪酸濃度を上昇させておくと 筋肉グリコーゲンの消費が節約された グリコーゲン 大腿四頭筋; 赤筋 ヒラメ筋 大腿四頭筋; 白筋 Rennie, MJ et al. Biochem J 156: 647-655, 1976. 血漿遊離脂肪酸濃度を上昇させておくと 肝臓グリコーゲンの消費が節約された Rennie, MJ et al. Biochem J 156: 647-655, 1976. 血漿遊離脂肪酸濃度を上昇させておくと 血中ブドウ糖濃度の低下が抑制され 疲労困憊するまでの時間が延長した Effects of increased plasma fatty acids on glycogen utilization and endurance Hickson, RC et al. J Appl Physiol 43: 829-833, 1977. 血漿遊離脂肪酸濃度を上昇させておくと 筋肉グリコーゲンの消費が節約され 疲労困憊するまでの時間が延長した Hickson, RC et al. J Appl Physiol 43: 829-833, 1977. 体脂肪の少ない選手では体脂肪の エネルギーは少ないか? • 体重50 kg • 体脂肪率 7% • 体脂肪量 3.5 kg = 3,500 g • 体脂肪の貯蔵エネルギー 3,500 g x 9 kcal/g = 31,500 kcal • フルマラソンでの消費エネルギー 2,000〜2,500 kcal • 体脂肪にフルマラソン12〜15回分のエネルギー ①脂肪を利用して糖質を節約 ②糖質補給で低血糖防止 したがって、 脂肪を利用ながら 糖質を補給するといいのでは? 運動時は貯蔵脂肪の分解・動員が活発 筋肉など エネルギー生産 血中 グリセロール 遊離脂肪酸 グリセロール 脂肪酸 脂肪組織 脂肪分解刺激 運動、エピネフリン グルカゴン、カフェイン 脂肪 糖質摂取:貯蔵脂肪の分解・動員が抑制、脂肪再合成 筋肉など 飲料 など エネルギー生産 血中 グリセロール ブドウ糖 糖質摂取 インスリン 脂肪組織 ブドウ糖 グリセロール 脂肪分解刺激 運動、エピネフリン グルカゴン、カフェイン 脂肪酸 αグリセロリン酸 脂肪 インスリンが上昇せず、脂肪組織からの 脂肪酸の動員を抑制しない糖質 筋肉など エネルギー生産 血中 グリセロール 遊離脂肪酸 果糖(フルクトース) ある種のデキストリン 脂肪組織 グリセロール 脂肪分解刺激 運動、エピネフリン グルカゴン、カフェイン 脂肪酸 脂肪 血清グルコース 血清遊離脂肪酸 ○ 水 △ フルクトース □ グルコース 血清インスリン 血清グリセロール Saitoh et al. 1986 脂肪組織脂肪分解 ヒラメ筋 グリコーゲン 肝臓 ○ 水 △ フルクトース □ グルコース Saitoh et al. 1986 後肢の遊離脂肪酸(FFA, Free Fatty Acid)バランス = (動脈血中濃度 - 静脈血中濃度) x 組織血流量 筋肉 血流 0.1 L/min 動脈 FFA 濃度 1000 μEq/L 流入速度 100 μEq/min エネルギー FFA 静脈 FFA 濃度 900 μEq/L 流出速度 90 μEq/min 動静脈差 100 - 90 = 10 (μEq/min) 筋肉に取り込まれてエネルギーとなっていることを示す 運動時のイヌの後肢における脂肪酸バランス フルクトース > グルコース フルクトースあるいはグルコースを経口投与 2.5 取り込み 2.0 1.0 * * * フルクトース * 0.5 0.0 グルコース -0.5 放出 (µEq/kg/min) 1.5 -1.0 -1.5 0 30 60 90 Means ± SD, n = 5, *P < 0.05 120 150 180 min Hamada et al 1993 被験者は フルクトースあるいはグルコースを含んだ飲料を 摂取し運動中のエネルギー代謝状態が調べられた スポーツドリンク「エネルゲン」の研究開発 岡村浩嗣ら New Food Industry 1999;41:1-9. スポーツドリンク「エネルゲン」の研究開発 岡村浩嗣ら New Food Industry 1999;41:1-9. p. 14 呼吸商: Respiratory Quotient, RQ 炭水化物がエネルギーの100%を供給しているとき C6H12O6 + 6 O2 → 12 H2O + 6 CO2 RQ = 6 CO2/6 O2 = 1.00 脂肪がエネルギーの100%を供給しているとき 2 C51H98O6+145 O2 → 102 CO2 + 98 H2O RQ = 102 CO2/145 O2 0.70 スポーツドリンク「エネルゲン」の研究開発 岡村浩嗣ら New Food Industry 1999;41:1-9. 脂肪を利用しながら 糖質補給が 可能になった 65% VO2max :: w 60 % $ 40 5 Plasma FFA Therefore the contribution of pla loric expenditure remained essenti wide range of exercise intensities. metabolism occurred concurrently 筋肉脂肪 bohydrate metabolism, consistent been predicted from previous wor tissue uptake and especially musc 血中遊離脂肪酸 increased roughly exponentially intensity. 25% VO2max Evaluation of Methods ‘ii 20 筋肉グリコーゲン The use of stable isotope tracer s glucose and palmitate turnover is 血中ブドウ糖 0 Whole body oxidation rates of fat -15 30 45 60 75 90 105 120 calculated by indirect. calorimetry. B loo the assumption that VO, and VCO t sue 0s consumption and COB pro 筋肉脂肪 little controversy with respect to no large stores in the body. Howev ties that cause hyperventilation, V tissue CO2 production (13). This c 血中遊離脂肪酸 the overestimation of the rate of and, concomitantly, an underestima (13). Therefore, before the present preliminary study that developed ratio method for the calculation o oxidation during exercise at low to 血中ブドウ糖 15 30 45 60 75 90 105 120 completely independent of the Time (mln) (26). This new method proved tha Fig. 9. Relative contribution of blood-borne and intramuscular sub- oxidation calculated by indirect c strates to energy production during 120 min of exercise at 25% Voz maX cise is valid, including during exe Romijn JA et al (1993) (B) and 65% (A) VO, mBx.Tg, triglycerides. trained subjects, as performed in 運動時のエネルギー基質(白人) SUBSTRATE UTILIZATION エネルギー消費量 3oo v- f/$j Muscle • l Muscle q Plasma q Table 2. Pla at rest, durin Glycogen Triglycerides FFA Plasma Glucose DURING Exercise Intensity, 筋肉グリコーゲン % iTo max 筋肉脂肪 血中遊離脂肪酸 25 65 85 25 65 血中ブドウ糖 85 Values are 65 85 25 exercise at 25 % of V02 max vo2 max. Fig. 8. Maximal contribution to energy expenditure derived from glu運動強度 cose and FFA taken up from blood and minimal contribution of muscle Romijn JA 30 et almin (1993) Am J Physiol 265:E380–E391 triglyceride and glycogen stores after of exercise, expressed as FFA turnove function of exercise intensity. Total amount of calories (Cal) available rates increased from rest to exercise (Table 2). Suggestions have also been made th FFAs across the plasma membrane 運動時のエネルギー基質(白人) エネルギー消費量 筋肉グリコーゲン 血中ブドウ糖 血中遊離脂肪酸 その他の脂肪 運動強度 Figure 4. Energy expenditure and fuel Van selection Loon LJ et al (2001) J Physiol 536:295–304 エネルギー源の酸化速度 タイ人のエネルギー代謝 炭水化物の利用が多く性差はない 運動強度 (% VO2max) Janyacharoen T et al. Eur J Appl Physiol (2009) 107:645-65 %エネルギー消費量 PRE and REL REL). F: gend 最大酸素摂取量の60%での90分間の運動中に of substrate 利用されたエネルギー源の割合(%)(白人) cise. Main ef males ma males). たんぱく質 脂質 炭水化物 男性 女性 Carter SL et al. (2001) Am J Physiol Endocrinol Metab 280:E898–E907 タイ人のエネルギー代謝 炭水化物の利用が多く性差はない 脂質 %エネルギー 消費量 男性 炭水化物 %エネルギー 消費量 女性 運動強度 (% VO2max) Janyacharoen T et al. (2009) oxidation rates could not be calculated for those Table 3 Dietary intake of participants Dietary intake (%) Men Women p value CHO 73.7 ± 1.3 73.4 ± 1.7 0.428 Fat 11.9 ± 1.0 11.5 ± 1.0 0.321 Protein 14.4 ± 1.7 15.1 ± 1.5 0.329 70 ± 7.0 79 ± 8.2 Average glycemic index 0.55 Values are mean ± SE (n = 16 men, 16 women) CHO carbohydrate Janyacharoen T et al. Eur J Appl Physiol (2009) 107:645-65 123 運動生理学的研 究I 366 68.糖 質 食 あ るい は脂 肪 食 を長期 間摂 取 した ラ ッ トに お け る持 久運 動 中 の エ ネ ル ギ ー代 謝 と グ リ コ ーゲ ン ・ロ ー デ ィン グの 効 果 Effects of long-term feeding during execise in rats glycogen dietary of carbohydrate diet or fat diet on the glycogen loading and energy metabolism ○岡村浩 嗣 、菊 地範昭、田口優 子(大 塚製薬(株)佐 賀 研 究所) loading composition •› rat KOJI OKAMURA, (Saga Reserch NORIAKI Institute, KIKUCHI, Otsuka YUKO TAGUCHI Pharmaceutical Co.Ltd.) 持 久 的 運 動 能 力 の 向 上 に は 、 運 動 開 始 時 に組 織 グ 各 群 の 約 半 数 の ラ ッ ト を1時 間 の遊 泳 運 動 の 前 後 で リ コ ー ゲ ン貯 蔵 量 が 多 い こ と と、運 動 中 に 脂 肪 を利 屠 殺 し た 。 残 りの ラ ッ トに は2時 間 の遊 泳 運 動 を負 用 し て グ リコ ー ゲ ンの 枯 渇 を防 止 す る こ と が重 要 と 荷 し て グ リ コー ゲ ン を 枯 渇 させ た後 高 糖 質 食 を給 与 考 え ら れ て い る。 し、 翌 日1時 間 の遊 泳 運 動 の 前後 で屠 殺 した 。 と こ ろ で 、運 動 中 に利 用 され る糖 と脂 肪 の 割 合 は <結 果> 種 々 の 要 因 に よ っ て 影 響 さ れ る こ と が知 ら れ て い る 脂 肪 食 を7週 間摂 取 す る こ とに よ っ て 、 運 動 開 始 が 、 日常 摂 取 す る 食 事 の 組 成 も その ひ とつ と 考 え ら 時 の 肝 及 び ヒ ラメ 筋 の グ リ コ ー ゲ ンは減 少 した 。 し れ る 。 ま た 、持 久 力 向 上 の た め の 栄 養 処 方 で あ る グ か し 、1時 リ コ ー ゲ ン ・ロ ー デ ィ ン グ の 効 果 に対 し て も 、 日常 質 食 群 で 多 か った(図1)。 の 食 事 組 成 が影 響 す る可 能 性 が あ る。 間 の遊 泳 に よ る グ リコ ー ゲ ンの 減 少 は 糖 ま た 、 一 度枯 渇 した グ リ コ ー ゲ ンの 肝 及 び ヒ ラ メ そ こ で本 研 究 で は 、 脂 肪 食 あ るい は 糖 質 食 を長期 筋 へ の 再 補 充 は 、脂 肪 食 群 に 高糖 質 食 を与 え た と き 的 に 摂 取 した ラ ッ トを 用 い て 、 持 久 的 運 動 中 の エ ネ の 方 が 速 や か だ っ た 。 さ ら に 、 この よ う に し て 再 補 ル ギ ー 代 謝 と グ リ コー ゲ ン ・ロー デ ィ ン グ の 効 果 に 充 さ れ た グ リコ ー ゲ ンの 運 動 中 の利 用 は 、 脂 肪 食 群 つ い て 検 討 した。 で 節 約 さ れ る傾 向 に あ っ た 。(図2)。 <方 以 上 の こ とは 、 日常 摂 取 す る食 事 の 組 成 が 持 久運 法> Sprague・Dawley系〓 質 食(タ ンパ ク 質20%、 リ ー%)あ ラ ッ トを離 乳 直 後 か ら 糖 糖 質69%、 る い は脂 肪 食(タ %、 脂 肪79%)で7週 脂 肪11%、 ンパ ク質20%、 間 飼 育 した 。7週 カロ 糖 質1 動 中 の エ ネ ル ギ ー代 謝 や グ リコ ーゲ ン ・ロ ー デ ィ ン グ の 効 果 に 対 して影 響 す る こ とを示 唆 して い る と思 われ る。 間飼 育後 、 FIG. 1 TIE EFFECTOF F7mtCISE ON TIE TISSIE GLYQOGEN DONTFRTS OF RATS FED 010 OR FAT DIET FOR 71915. Mean±SE *, ** ; sigai f icxntly different between two groups by t-test (*;p<0.05 **<O.01) FIG. z TIE FExr OF (LYOGEN IAIDIIG ON GLYQ)G 4 UTILIZATIONOF RATS FED QI)OR FAT DIET FOR 7 *E13 INKING E RCISE. Metn•}SE *, ** ; sigiificantiy by t-test different (* ; p <O.( bet*een , ** two <O.O1) sroi s 岡村ら 体力医学会1986 以 上 の こ とは 、 日常 摂 取 す る食 事 の 組 成 が 持 法> prague・Dawley系〓 (タ ンパ ク 質20%、 ラ ッ トを離 乳 直 後 か ら 糖 糖 質69%、 脂 肪11%、 カロ 炭水化物食 ー%)あ る い は脂 肪 食(タ ンパ ク質20%、 糖 質1 vs. 脂 肪79%)で7週 間 飼 育 した 。7週 間 飼 育 後 、 高脂肪食 FIG. 1 TIE EFFECTOF F7mtCISE ON TIE TISSIE GLYQOGEN DONTFRTS OF RATS FED 010 OR FAT DIET FOR 71915. Mean±SE *, ** ; sigai f icxntly different between two groups by t-test (*;p<0.05 **<O.01) 動 中 の エ ネ ル ギ ー代 謝 や グ リコ ーゲ ン ・ロ ー デ グ の 効 果 に 対 して影 響 す る こ とを示 唆 して い る 炭水化物食+カーボローディング われ る。 vs. 高脂肪食+カーボローディング FIG. z TIE FExr OF (LYOGEN IAIDIIG ON GLYQ)G 4 UTILIZATIONOF RATS FED QI)OR FAT DIET FOR 7 *E13 INKING E RCISE. Metn•}SE *, ** ; sigiificantiy by t-test different (* ; p <O.( bet*een , ** two sroi s <O.O1) 岡村ら 体力医学会1986
© Copyright 2024 Paperzz