日本発のイノベーションを欧州へ

日本発のイノベーションを欧州へ
日欧・科学技術イノベーションシンポジウム2013開催
本年 3 月,英国とスウェーデンにお
いて,日本化学会が主催する日欧・科学
技術イノベーションシンポジウムを開催
した。
昨年,在英国日本大使館奥篤史一等書
記官(科学技術担当)
,在スウェーデン
日本大使館松本英登一等書記官(経済
周期表を掲げる林大使と吉野博士。左から,伊
藤直樹公使,川上文明旭化成 GM,林景一大使,
吉野彰博士,川島常務理事,奥篤史一等書記官
スウェーデン王立工学アカデミー Bo Normark
氏(司会)
,吉野博士,Kristina Edström 教授
によるディスカッション
会,旭化成の全面的な協力を得て,発案
Environment Technology」の“ET 革命”
から約 2 ヵ月半で開催にたどりつくこ
の時代に入っていると宣言した。ロンド
欧州の科学・技術コミュニティに対し
とができた。スウェーデン・日本基金
ンでは,林景一大使から Opening Remarks
て,科学・技術・イノベーションにおけ
(JSF)Edvard Fleetwood 氏並びにスウェ
で挨拶いただき,司会を務められた伊藤
る日本発の独創性に富んだ地球規模での
ーデン王立工学アカデミー(IVA)の協
直樹公使や英国王立化学会 Robert Parker
貢献を紹介することとした。この趣旨に
力は絶大であり,また日本化学工業協
常務理事ともに,講演会からレセプショ
沿って,持続可能な発展を可能にし,生
会,欧州化学工業会(CEFIC)などから
ン終了まで出席いただき,和やかに歓談
活や社会への多大な影響を及ぼすような
事前アナウンスをしていただいた。
した。またストックホルムでも,渡邊芳
班)との打合せにおいて,日本の科学技
術の成果を紹介する講演会の開催を期待
していることがわかり,そのアレンジと
開催定例化の可能性について検討した。
開催趣旨は,今後の継続性を念頭に,
成果を生み出した日本の研究者を招聘す
吉野博士は講演の中で,1981 年に LIB
樹大使やスウェーデン王立工学アカデミ
る。今回は産業界から,リチウムイオン
の研究を開始し,1985 年に基本的なシ
ーの Bjorn O. Nilsson 会長らが,最初の
電池(LIB)の発明者である吉野彰博士
ステムが完成,1992 年に上市したと経
挨拶からレセプションまで出席いただ
(旭化成株式会社・日本化学会フェロー)
緯を述べた後,技術開発の内容とブレー
き,幅広い関心が示された。
を招聘,
“L i t h i u m - I o n B a t t e r y―T h e
クスルー,今後の市場動向と技術開発の
Inception, Development, and Future”のテ
方向性(電圧を向上するための Bipolar
ーマで講演会が行われた。
電極,非接触型充電)などについて,開
開催準備並びに当日の運営にあたっ
て,両大使館,日本学術振興会(JSPS)
ストックホルムセンター,英国王立化学
発への熱い思いとともに語った。
また,1995 年は IT 革命スタートの年
渡邉芳樹大使と
Björn O.Nilsson
スウェーデン王立工
学アカデミー会長
であり,そして今,まさに「Energy &
Japan-UK/Sweden Science, Technology & Innovation Symposium 2013
ロンドン(3 月 5 日)
場 所
英国大使館
ストックホルム(3 月 7 日)
ヨーテボリ(3 月 8 日)
王立工学アカデミー(IVA) チャルマーシュ工科大学
(CUT)
主 催 日本化学会,大使館,旭化成 日本化学会,旭化成
日本化学会,旭化成
協 力
英国王立化学会
IVA,大使館,JSF,JSPS
IVA,大使館,JSF,JSPS
講 演 者
吉野彰博士
吉野彰博士
吉野彰博士
Prof. Anthony West/Shefield Prof. Kristina Edström/Uppsala Prof. Per Jacobsson/CUT
大学
出席者数 70 名
648
大学
Dr. S. Bjärsvik/Volvo(欠席)
100 名
75 名
化学と工業 │ Vol.66-8 August 2013
主催・協力団体関係者は一様に成功裏
に終了したことを評価し,今後も科学・
技術に関するシンポジウム開催を検討し
ていくこととした。
〔川島信之(日本化学会常務理事)
〕
Ⓒ 2013 The Chemical Society of Japan