JSPS Strasbourg Office Quarterly / 2010-11 No.4 日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター活動報告 (2011 年 1 月~3 月) 【欧州議会のあるイル川のほとりにて 左:日仏大学会館及び JSPS ストラスブールセンター職員一同、右:練馬区より寄贈された日本の桜】 年が明けると、ヨーロッパの暗く長い冬も終わりに近づき、少しずつ春の気配がしてきます。3月にはクロ ッカスや水仙等春の訪れを告げる花々が咲き始め、屋外で過ごす人々の数もぐんと増えてきました。ストラ スブールにある欧州議会の周辺には日本の練馬区(東京)から寄贈された 60 本の桜が美しく咲き誇っていま す。ストラスブールの桜は日仏友好、平和の象徴です。2011 年度も日仏学術交流、ますますの友好関係構築 のために JSPS ストラスブール研究連絡センターは、日仏大学会館と協力して業務に取り組んでいきたいと思 います。先の東日本大震災で被害に遭われた地域の方々が一日も早く日常生活を取り戻せますよう心よりお 祈り申し上げます。 日仏大学会館及びストラスブール大学(UDS)との Joint Seminar の開催 ストラスブール大学や日仏大学会館と共催で、日仏の研究者を招待して、様々なテーマで学術セミ ナーを開催しています。2011 年 1 月から 3 月までの間に、 以下のセミナーを日仏大学会館にて実施しました。 1 月 13 日(木)第 92 回学術セミナー 講演者:神庭信幸(独立行政法人東京国立博物館学芸研究部保存修復課長) 講演タイトル: 「東京国立博物館における保存の取り組み」 ” Practice of Conservation of the Tokyo National Museum” <講演概要> わたしたちの使命は、東京国立博物館が所蔵するおよそ 12 万件の文化財 の保存と公開です。保存と公開の両立を図るためには、包括的な保存が必 要となります。それは、長期的な見通しの下で予防と修理を的確に実践す ることです。わたしたちは、これまでの経験と最新の研究成果を用いた臨 床保存の実践を通じて、文化財に生じた劣化・損傷の診断と修理、保存環 境の把握と改善など、診断・予防・修理に日々取り組みながら、包括的保 存の実現を目指しています。 【講演者の神庭信幸氏】 1 2 月 3 日(木)第 93 回学術セミナー 講演者:中力えり(和光大学現代人間学部准教授) 講演タイトル: 「日本の少数言語」” Les langues minoritaires au Japon” <講演概要> 日本では現在、大多数の人が日本語を使用しているとはいえ、アイヌ語や琉球語などの少数言語も存在して いる。日本の言語状況について概観した後、沖縄の例を中心にみていきながら、少数言語をめぐるさまざま な課題と可能性について考察する。 【講演者の中力えり氏】 【セミナー会場の様子】 3 月 10 日(木)第 94 回学術セミナー 講演者:Mireille Matt (国立農業研究所グルノーブル主任研究員; ストラスブール大学前国際担当副学長)、 Jean-Marc Jeltsch (ストラスブール大学企業担当副学長) 講演タイトル: 「日仏の大学における研究活動の評価について」 ”La valorisation de la recherché universitaire: un regard croisé entre la France et le Japon ” <講演概要> フランスや米国同様日本でも、知的創造活動の権利を最大限に 保護するために特許庁が設けられている。特許庁は、発明等の 知的創造活動に係る企業の商業的成功や短期的な付加価値を 守るために設けられた。しかし、この方法は日仏両国にとって 限界があるため、より幅広い学術的知識が社会に普及するよう なモデルが検討されてきた。本講演では、日仏両国が知的創造 活動の知識の普及を社会的貢献という観点からどのように発 展させてきたかについて示したい。 【Mirreile Matt 氏(左)、Jean-Marc Jeltsch 氏(右)】 3 月 14 日(月)第 95 回学術セミナー 講演者:尾中篤(東京大学大学院総合文化研究科教授) 講演タイトル: 「国際化学オリンピックを日本で初めて開催して」 ”Our First Experience in Hosting International Chemistry Olympiad in Japan” <講演概要> 第 42 回国際化学オリンピックが昨年 7 月 19 日から 28 日まで東京で開催された。国際化学オリンピックは 1968 年チェコスロバキアで始まって以来、毎年開催国を変えて開かれている。実はこの大会への日本の高校 生の参加は 2003 年からと意外に遅かったが、ホスト役が参加 8 年目で回ってきた。野依良治組織委員長の 下で我々は3年以上かけて開催準備をしてきた。大会期間中の様子はもちろん、準備の様子もお話しする。 2 【セミナー参加者集合写真】 【講演者の尾中誠氏】 3 月 15 日(火)第 37 回 UDS/JSPS ジョイントセミナー 講演者:中村尚武(立命館大学特任教授) 講演タイトル: 「晶性フェロセン誘導体の構造論的研究」 ”Structural study of liquid crystalline ferrocene derivatives” <講演概要> 分子内の柔軟鎖炭素数を系統的に変化させた多数の一置換フェロセン誘導体の分子構造を解析し、分子構造、 分子形状と液晶発現との関係を考察した。その結果、棒状の分子形状が液晶発現に有利であるという定説が 確認された。また、一置換体と同じメソゲン基を二個有する二置換フェロセン誘導体の構造解析結果と一置 換体のそれとを比較検討する中で、一置換体の構造は二置換体のそれの半分と類似していることが明らかに なり、どちらか一方の構造が未解析の場合、対応する解析済みの構造から推定可能であることを示した。二 置換体の分子構造では、S型、U型に加えてZ型構造を新規に見出し、これらを紹介した。 【左:左セミナーの様子、中:講演者の中村尚武氏、右:司会者の Prof. Marc Drillon ストラスブール大学 IPCMS 研究所長】 3 月 21 日(月)第 96 回学術セミナー 講演者:川村浩一(元富士フィルム主任研究員、 Université de Haute Alsace) 講演タイトル: 「近代社会を支える光化学」 ”Industrialized Society and Light. How important is the photochemistry in our daily life” <講演概要> 光は生物の存在にとって必須のものである。しかし、人類はそれをたんに受容 するだけでなく、それを化学反応の中に取り込むことにより、非常に大きな社 会の発展を可能にしてきた。演者は富士フイルムにおいて30年以上にわたり、 半導体レジストなどの光に感光する材料の開発に携わってきた。本講演では光 がいかに近代社会のわれわれの生活の周りで活躍しているかを説明し,そこに 【講演者の川村浩一氏】 使われている化学反応の内容を簡単に説明する。 3 フランスの大学、グランゼコール、研究機関への訪問:JSPS 事業説明会・JSPS 同窓会支 部会の実施 当センターでは、フランス各地の大学・研究機関を訪問し、大学幹部や研究者と直接に対話を行って JSPS の事業紹介を行うと共に、各地の JSPS 同窓会ネットワークの拡充に努めています。 2 月 2 日(水) Université de Haute-Alsace(ミュールーズ)訪問 ミュールーズはアルザス地方の最南、スイスとの国境近くに位置する町で、9 世紀には既にその起源があっ たとされています。18 世紀以降、特に繊維工業で栄え、多くの美しい布織物を産み出してきました。現在は 工業都市の名残を残し、繊維博物館、自動車博物館、壁紙博物館等多くの博物館があることで知られていま す。 オットアルザス大学は、1822 年にフランスで最初に創設された化学のエンジニアリングスクールを起源とし、 その後繊維のエンジニアリングスクール等が加わり、1975 年に現在の形となりました。学生約 8,000 名、教 員 512 名の中規模大学です。人文言語学部、ビジネス・経営学部、法学・社会科学部、応用科学・工学部の 4 学部の他、3 つのエンジニアリングスクールや数々の研究所を有しています。 当日は、まず、Prof. Alain Brillard 学長を表敬訪問し、同大学の特色や取り組みについて説明をいただくとと もに、日本学術振興会の国際交流活動や広く日仏学術交流について意見交換を行いました。Briallard 学長か らは、産業革命以後、地場産業で栄えてきたミュールーズの歴史的背景から、オットアルザス大学の強みが 繊維工業から発展したマテリアルや化学分野の研究であること、科学と人文社会系学問の複合分野にも力を 入れていること、国際面では海外の 200 の大学と協定を結び、日本の長崎大学とも協力関係にあること等説 明がありました。懇談の際には、Prof. Karin Dietrich-Chénel 国際担当副学長も同席し、フランス人研究者が利 用できる日仏の研究者交流プログラムについて、本会より説明を行いました。 左【意見交換の様子:右が Alain Brillard 学長】 右【光化学・高分子工学研究所にて:左から Prof. Christelle Delaite 高分子化学研究室長、Prof. Céline Croutxe-Barghorn 分子・高分子光化学 研究室長】 意見交換の後、Brillard 学長及び Dietrich-Chénel 副学長の案内により、光化学・高分子工学研究所及び生物有 機化学研究室を訪問しました。光化学・高分子工学研究所では、Prof. Céline Croutxe-Barghorn 分子・高分子光 化学研究室長より、高分子化学、光化学の応用技術を用いた企業との連携について、また、Prof. Christelle Delaite 高分子化学研究室長から物理化学高分子ポリマーについての研究内容の紹介がありました。同研究所 は、学生も含め全体でスタッフが 40 名程度と規模は大きくないものの、地元企業との提携はもちろんのこと、 筑波大学、千葉大学、大阪府立大学、群馬大学等日本の学術機関や企業とも協力し、グローバル規模で産業 4 とより深く結びついた研究に広く貢献しています。続く生物有機化学研究室への訪問では、Prof. Celine Tarnus 研究ユニット長により、同研究室が有機化学、分析化学、微生物学の特色を生かした学際的な研究を行って いることの紹介がありました。 左【生物有機化学研究室訪問:左から 2 番目 Prof. Karin Dietrich-Chénel 副学長、左から 3 番目 Prof. Celine Tarnus 生物有機化学研究室ユニ ット長、右から 2 番目 Prof. Brillard 学長】 右【事業説明会で JSPS の事業紹介をする多田副センター長】 引き続き、研究者、ポスドク、博士課程の学生等を対象に、日本学術振興会の事業説明会を行いました。事 業説明会では、JSPS の事業紹介の後、JSPS 事業経験者である Prof. Jean-Baptiste Donnet 名誉教授及び Prof. Jacques Streith 名誉教授(元 JSPS フランス同窓会事務長)により、数回にわたる日本の大学訪問(北海道大 学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学等)が自らの研究者としての仕事や 興味の幅を広げるためにとても良い刺激であったことが話され、参加者からは外国人特別研究員プログラム 等への応募方法や応募資格など、具体的な質問が相次ぎました。また、説明会に出席していた Prof. Michel Faure 人文系博士課程研究科長等とも意見交換を行うことができました。 左【左:Prof. Jacques Streith 名誉教授(JSPS OB)、右:Prof. Jean-Baptiste Donnet 名誉教授(JSPS OB)】 右【説明会会場の様子】 2 月 8 日(火) INRA (Institut National de la Recherche Agronomique) Colmar(国立農業研究所コルマ ール)訪問 コルマールは、アルザス地方の中部に位置し、西のボージュ山脈、東のライン河に囲まれた人口 67,000 人の 地方都市です。かわいらしい木組みの家々の街並みが残り、クリスマスシーズンにはフランス国内やドイツ 5 から多くの観光客が訪れます。 国立農業研究所コルマールは、博士課程の学生も含め 100 名と小規模ですが、農学、生化学、分子生物学、 昆虫学、遺伝子学、ワイン醸造学、植物生理学、ウイルス学の専門家が協力してブドウ樹栽培、ワイン品質 研究を推進しています。3,000 ㎡の温室・実験施設、55 ヘクタールの畑、4 つの異なる土壌のブドウ畑 15 ヘ クタールで実際にブドウを育て、また、ワイン作りをしながらの実地研究を行っています。研究面では、ス トラスブール大学―INRA 連携研究室を持ち、また、上述のオットアルザス大学、その他のフランス各地に ある国立農業研究所とも積極的に連携しています。 今回の訪問は、Francis Karst ストラスブール大学教授・ブドウ樹栽培・ワイン品質研究前ユニット長による、 中谷陽一 JSPS ストラスブールセンター長の講演会企画をきっかけとして行われました。講演会に先立ち、ま ずは、JSPS の事業説明会を開催しました。フランス人研究者が応募できる外国人特別研究員や外国人招へい 研究者の事業概要、当センターの今後の活動予定等を紹介したところ、皆熱心に耳を傾けていました。 引き続き、中谷センター長による講演会が行われました。 講演者:中谷陽一(JSPSストラスブール研究連絡センター長、CNRS名誉主任研究員) “Origin and Evolution of Biomembranes” 「生体膜の起源と進化」 30 数億年前に地球上に生命体が誕生したとされているが、 それ以来、 生物は地球環境の変化などに応じて様々 な進化を遂げてきた。この多様な生命体は、形は違っても全く同じ仕組みを共有している。全ての生物は細 胞を基本単位としており、それは脂質の二重膜という物理的境界によって外界から区別されている。原始細 胞膜はどのように生成したのであろうかについての分子レベルでの仮説が提唱された。 左【中谷センター長による事業紹介の様子】 右【国立農業研究所コルマールの前で 左から 1 番目:Prof. Francis Karst、右から 3 番目:Dr. Philippe Hugeney、右から 2 番目:Dr. Marc Ficher、右から 1 番目:Dr. Raymonde Baltenweck】 続いて、INRA コルマールのブドウ畑及びワイン醸造実験所を訪問しました。醸造実験所では INRA コルマー ルで収穫されたピノ・ノワール等のブドウがどのようにしてワインになるのか、その醸造過程を見学するこ とができました。Dr. Marc Ficher の案内の下、ブドウ圧搾機械、発酵用のステンレス製・樫の木製の樽を見学 し、ブドウの品種、土壌や育ち方だけでなく、発酵温度や空調管理等様々な条件が重なって異なる味のワイ ンができあがるとの説明を受けました。 6 次に Dr. Philippe Hugeney ブドウの第二次代謝物研究室長の案内で同グループの研究室を訪問しました。同研 究室では、ブドウのべと病等の病原菌に対する自然の防御機能における二次的代謝作用の役割を研究する他、 ブドウの発酵過程におけるアロマの生合成のメカニズムの理解を目的としたワインの香り成分分析を行って います。訪問では、実際にアロマを分析する HPLC、ガスクロマトグラフィー、質量分析装置等を見学する ことができました。 さらに、ウイルス学・病原菌の伝染研究チームの研究室も訪問しました。ブドウ樹には、生まれつきウイル スやカビなどに対する抵抗力を持っている木と持っていない木があり、抵抗性を示すブドウの遺伝子解析を することによってその機構を解明することが同研究室の目的です。Dr. Véronique Brault 主任研究員から、べ と病の原因となるカビ Plasmopara viticola を添付して培養した種々の品種のブドウの葉について、抵抗力を持 つ場合と持たない場合でどういう違いがみられるのかについて、顕微鏡や分析装置を用いたデモンストレー ションを見せていただきました。また、Dr. Brault 及び Dr. Fréderique Pelsy ブドウ樹栽培・ワイン品質研究ユ ニット長から、残念ながら日本と現在共同研究は行っていないが、日本の異なるブドウ樹の原種もぜひ調査 の対象としたく、将来的には協力できるような体制作りをしたい、との発言がありました。 【ワイン醸造実験所の様子】 【Dr. Véronique Brault(左)による説明の様子】 その他、Prof. Karst、Dr. Pelsy、Dr. Hugueney、Dr. Raymonde Baltenweck ストラスブール大学研究技官らとも 話し合いの場を持ち、JSPS のプログラムを紹介すると共に日仏学術交流に係る意見交換を行い、非常に盛り 沢山な事業説明会となりました。 【Prof. Francis Karst(左)及び Dr. Fréderique Pelsy(中央)への JSPS 事業紹介】 7 【遺伝子組み換えブドウ樹畑の様子】 3 月 8 日(火) Ecole Centrale Paris 訪問 パリ郊外にあるグランゼコール Ecole Centrale Paris を訪問し、JSPS の事業説明会を開催しました。Ecole Centrale Paris は 1829 年、19 世紀の産業革命の最中、産業と密接に結び付いた学術研究を行おうとナントの実 業家 Alphonse Lavallée が私財を投じて学校を作ったのが始まりです。設立から 20 年後には、既に卒業生が当 時最先端のフランスの産業界において多くの主要ポジションを占めるほどになりました。 現在の Ecole Centrale Paris は設立当時と変わらず、産業界と密接に結び付いた応用研究を推進するエリート校 で、1,500 名の工学系学生、130 名の一般修士学生、300 名の職業関連コース修士学生、230 名の PhD 学生、 及び 1,500 名の教職員を抱えています。研究分野は数学、物理学、都市工学、情報システム、プロセス工学、 経営学、エネルギー、人文・社会科学、エンジニアリングリーダーシップ、言語文化、スポーツと多岐に渡 ります。 今回の訪問では、同校国際課のアレンジにより、JSPS の事業説明会の開催及び研究所見学が行われました。 事業説明会では、まず、Marc Zolver 国際課長により、特に日本との交流を中心とした同校の国際活動概要が 説明されました。同校は、東北大学、慶應義塾大学とのネットワーク、また、東京大学、早稲田大学、同志 社大学と修士課程における 9 つの交流があります。また、同校を代表機関として採択されている EU のプロ グラム Erasmusu Mundus では、早稲田大学、慶應義塾大学、東京大学、岡山大学がパートナー機関として加 わり、2011 年の秋から 80 人以上の学生交流を予定しています。 続いて、日本の大学・研究機関と現在共同研究を行っている Dr. Laurent Zimmer(EM 2C 研究員) 、Prof. Frédéric Magoules(応用数学・システム教授)、Prof. Jean-Michelle Gillet(S.P.M.S.教授)、Prof. Jean-Michele Kiat(S.P.M.S. 所長、JSPS OB)により、それぞれの研究内容紹介のプレゼンが行われました。そして、多田副センター長 から、外国人特別研究員事業等を中心とした JSPS の国際事業紹介を行いました。説明会参加者からは、外国 人招へい研究者への申請方法や、日仏交流促進事業(SAKURA プログラム)の申請時期等、具体的な質問が 相次ぎました。 【(左から)Dr. Laurent Zimmer(2 番目)、Prof. Jean-Michelle Gillet(3 番目)、Prof. Frédéric Magoules(4 番目)、Prof. Jean-Michele Kiat (中央)、(右から)Prof. Jean-Hubert Schmitt 副学長(4 番目)、Dr. Marc Zolver(2 番目)】 説明会後、Prof. Jean-Hubert Schmitt 副学長と JSPS の国際事業や同校で行われている日本関 連プログラムについて、意見交換を行いました。 Schmitt 副学長との懇談後は、Prof. Kiat の案内 でまず Structures, Propriétés et Modélisation des Solides (S.P.M.S.) 研究所を訪問しました。同研 究所は、エネルギーに関するナノマテリアル、誘電材料、ドラッグデリバリーのための材料、水素技術のた めの材料、の 4 テーマのもとに研究を行っており、日本の早稲田大学や東京工業大学とも固体物理学等の分 野での共同研究を行っています。訪問では、制御された条件における高分解能の放射線技術に関する実験設 備や、熱重量分析機器等を見学することができました。続いて、Dr. Zimmer に Énergétique Moléculaire et Macroscopique, Combustion (E.M2.C.) 研究室を案内いただきました。同研究室の専門は燃焼力学、非平衡プラ 8 ズマ、流体物理学、応用数学で、複数の領域にまたがった実験的アプローチを駆使しながら航空機のエンジ ン等最新技術の開発・応用研究を行っています。また、日本の JAXA、東京工業大学等とも共同研究を行っ ています。 【Prof. Kiat による S.P.M.S.見学の様子】 【Dr. Zimmer に E.M2.C.研究の説明を受ける】 日仏の大学、学術機関の国際交流支援、フランス高等教育機関、日仏大学会館、在ストラスブール 日本国領事館等との連携・協力 当センターでは、フランスにおけるこれまでの活動によって得られた情報やネットワークという資 産を活かし、日仏の学術交流に関心のある両国の大学、研究機関、研究者からの様々な照会に応じています。 また、学生レベルでの日仏交流を促進する日仏大学会館が主催する事業にも積極的に参加・協力を行うとと もに、在ストラスブール日本国領事館との緊密な協力関係の構築に努めています。 1 月 17 日(月) ストラスブール大学の Palais universitaire にて、Alain Beretz 学長主催の新年祝賀会が行われ、中 谷 JSPS ストラスブール研究連絡センター長以下職員が Prof. Marie-Claire Lett 日仏大学会館長(JSPS 仏同窓会長) と共に出席しました。祝賀会では、Beretz 学長より 2011 年におけるストラスブール大学の方針と抱負の辞が述 べられた後、参加者同士で懇談が行われました。研究担 当副学長の Prof. Eric Westhof や、国際担当副学長の Mme. Anne Klebes-Pelissier 、 学 長 室 長 の Mme. Sylvie Lerevre-Dalbin、企画部長の Mme Michèle Debay、化学部 事務長の Mme. Francine Pinard 等大学幹部教職員やストラ スブール都市圏副議長の Dr. Henri Dreyfus も出席し、新 年のあいさつを交わすことができました。 1 月 19 日(水) 左:左より【中谷 JSPS ストラスブールセンター長、Prof. Alain Beretz ストラスブール大学長、Prof. Marie-Claire Lett 日仏大学 会館長】 中谷 JSPS ストラスブール研究連絡センター長がストラスブール大学化学部を訪問し、 Jean-Marc Planeix 学部長と 2011 年 6 月の JSPS フォーラム「日仏合同フォーラム:創造機能化学―国際化学 年 2011 年を記念して」の打ち合わせを行いました。 9 1 月 21 日(金) 岡山大学とストラスブール大 学との間で学術交流協定調印式が行われ、岡山 大学の佐藤豊信副学長、清水耕一経済学部長、 荒木勝大学院社会文化科学研究科長、許南浩医 学部長が、日仏大学会館及び JSPS ストラスブー ル研究連絡センターを訪問され、中谷センター 長及び Prof. Marie-Claire Lett 日仏大学会館長と 日仏学術交流に関する意見交換を行いました。 【岡山大学使節団との意見交換】 1 月 29 日(土) 立命館大学中村尚武特任教授が、JSPS ストラスブール研究連絡センターを訪問され、中谷 センター長よりセンターの概要説明を行いました。 2 月 3 日(木) 上智大学西口由紀教授が、日仏大学会館及び JSPS ストラスブール研究連絡センターを訪問 され、Prof. Marie-Claire Lett 館長と日仏学術交流に関する意見交換を行いました。 2 月 7 日(月) アルザス州の 2 名の国際担当官 Mme. Martine Mall 及び M. Olivier Guyot が日仏大学会館を訪 問され、中谷センター長及び Lett 館長から、同会館と JSPS ストラスブール研究連絡センターの活動内容紹介 を行いました。 【西口由紀上智大学教授(中央)】 【2 名のアルザス州国際担当官への活動紹介】 2 月 14 日(月)~18 日(金) 中谷センター長が日本へ一時帰国し、研究機関等を訪問、ストラスブール研 究連絡センターの活動報告・方針説明、学術講演、また、2011 年度開催のフォーラムに関する打ち合わせ・ 紹介等を行いました。以下、概要を報告いたします。 2 月 14 日(月) ・理化学研究所を訪問し、野依良治理事長、古屋輝夫理事、土肥善治社会知創成事業本部長、玉尾皓平基幹 研究所長等幹部や、ストラスブール大学に招へいされた主任研究員らと日仏交流について話し合いました。 ・東京大学を訪問し、大学院理学系研究科の塩谷光彦教授と日仏研究者交流について話し合いました。 2 月 15 日(火) ・日本大学生産工学部を訪問し、日秋俊彦生産工学部次長の司会により「原子細胞膜を求めて」と題した学 術講演を行いました。また、岩村秀特任教授らと化学分野の日仏交流について意見交換を行いました。 10 2 月 16 日(水) ・お茶の水女子大学を訪問し、永野肇教授(元日仏理工科会長)、室伏きみ子元副学長、久保田紀久枝元副学 長と日仏研究者交流について話し合いました。 2 月 17 日(木) ・東京工業大学を訪問し、江口正教授と日仏研究者交流について話し合いました。次いで、宮田清藏特任教 授、雀部博之元千歳科学技術大学長と 2011 年にパリで開催予定の日仏ワークショップ「ナノテク革命~科学 から社会へ―情熱と理性の時」 (JSPS、ENS Cachan 主催)について打ち合わせを行いました。 【(左から)日本大学八嶋建明教授、岩村秀特任教授】 【野依良治理化学研究所長(左)】 【東京大学塩谷光彦教授(左)】 【理化学研究所にて】 【日本大学講演:司会者 日秋俊彦生産工学部次長】 【日本大学高木秀光助手】 お茶の水女子大学【室伏きみ子教授】【久保田紀久枝教授】 【長野肇教授】 1 番右の写真【東京工業大学にて宮田清藏特任教授(中央)、江口正教授(右から 2 番目)、雀部博之教授(左から 1 番目)】 2 月 28 日(月) 内閣府食品安全委員会 畑江敬子委員、食品安全委員会事務局評価課 横地洋課長補佐、同 課 三浦友聡係長が日仏大学会館を訪問され、中谷センター長及び Lett 館長から、同会館と JSPS ストラスブ ール研究連絡センターの活動内容を紹介しました。 3 月 1 日(火) 名古屋大学ヨーロッパセンター Natalie Konomi 特任准教授を団長とする名古屋大学教職員 5 名が日仏大学会館及び JSPS を訪問され、中谷センター長及び Lett 館長から、同会館と JSPS ストラスブール 研究連絡センターの活動内容紹介を行いました。一行からは、JSPS のプログラムやストラスブールセンター 11 の具体的な用務について質問が相次ぎました。 左【(右から)畑江敬子内閣府食品安全委員会委員、横地洋課長補佐、三浦友聡係長】 右【名古屋大学一行 左から 3 番目が Konomi 准教授】 3 月 7 日(月) パリの CNRS 本部にて、2011 年 6 月に開催する日仏合同フォーラム「創造機能化学―国際 化学年 2011 を記念して(COFOC)」に関して、Dr. Chantal Khan-Malek アジア太平洋課長、Dr. Pascal Breuilles 化学研究所国際担当官、Mme. Monique Benoit アジア太平洋課担当官と役割分担等の打ち合わせを行いました。 3 月 7 日(月) パリの CNRS 本部にて、第 6 回日仏先端科学(JFFoS)シンポジウム日仏合同準備会合が開 催され、中谷センター長と多田副センター長がオブザーバーとして参加しました。準備会合では、日仏計 16 名の若手研究者(PGM=Planning Group Members)が長時間に渡り活発な議論を行い、来年フランスにて開催 されるシンポジウムのトピックを選出しました。 【CNRS にて COFOC に関する打ち合わせの様子】 【CNRS にて FoS 準備会合の様子】 3 月 10 日(木) 中谷センター長が Marie-Claire Lett 日仏 大学館長と共に Cellule Formation, Insertion, States, Emploi (FISE)の開所式に出席しました。開所式は、ストラスブー ル大学 Prof. Alain Berez 学長の他、Catherine Trautmann 欧 州議会議員等も参加し盛大に行われました。 3 月 11 日(金) 平成 23 年度外国人研究者再招へい事業 (Bridge Program)の選考会を開催しました。 【Bridge 選考会の様子】 12 3 月 16 日(水) 中谷センター長がパリの Ecole Normale Supérieure de Cachan を訪問し、2011 年 12 月に開催 予定の JSPS 主催ワークショップ「ナノテク革命~科学から社会へ―情熱と理性の時」に関してフランス側コ ーディネータの Prof. Joseph Zyss と打ち合わせを行いました。 3 月 22 日(火) 中谷センター長が Prof. Marie-Clare Lett(ストラスブール大学教授、JSPS フランス同窓会 長)と共に在ストラスブール総領事館を訪問し、菊池孝久首席領事と日仏学術交流に関する意見交換を行い ました。 3 月 25 日(金) 二国間交流事業 JSPS-CNRS 共同研究日本側代表者村中俊哉教授(大阪大学工学研究科)、 フランス側代表者 Dr. Hubert Schaller(ストラスブール大学植物研究所)及び共同研究者 Prof. Thomas J. Bach (ストラスブール大学植物研究所)が日仏大学会館及び本センターを訪れ、同共同研究の進展状況を報告さ れました。本会からは JSPS の国際交流プログラムを紹介しました。 【村中俊哉大阪大学教授ら来会】 【JSPS のオフィスにて 有馬朗人会長(右)】 3 月 27 日(日) 有馬朗人 HFSP 評議会長が佐々木秀樹文部科学省科学技術・学術政策局国際交流官付研究 交流官の随行でセンターを訪問され、中谷センター長より JSPS プログラムの紹介を行った上、広く日仏学術 交流に関する意見交換を行いました。 13 その他 ● 当センターは、2011 年 6 月 23 日~25 日にストラスブールにて、 「日仏合同フォーラム:創造機能化 学―国際化学年 2011 を記念して」 (コーディネータ:西郷和彦高知工科大学教授、Prof. Jean-Pierre Sauvage フランス科学アカデミー会員)をストラスブール大学及び CNRS と共催いたします。フォーラムではノーベ ル賞受賞者の Prof. Jean-Marie Lehn を始めとする日仏を代表する卓越した化学分野の研究者の講演を中心に ディスカッションを行う予定です。以下のホームページより詳細をご覧ください。 http://cofoc.unistra.fr/ また、本フォーラムでは、インターネットテレビによる中継も行う予定です。 ● 2010 年 4 月 1 日から 1 年間本センターに勤務していた濱田直人国際協力員が 3 月末にて帰国し、4 月より熊本大学に復帰することとなりました。フランスでの国際交流活動経験を生かし、日本と世界を つなぐ架け橋となり活躍されることを期待しています。後任は東京大学から斉藤美奈国際協力員が 2011 年 4 月 1 日に着任いたします。 日本学術振興会ストラスブール研究連絡センター/JSPS Strasbourg Office 42a, avenue de la Forêt-Noire 67000 Strasbourg, FRANCE Tel: +33 (0)3 68 85 20 17 / Fax: +33(0)3 68 85 20 14 URL: http://jsps.u-strasbg.fr/ 14
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