1 工事実績集 2 3 発刊にあたって ショーボンド建設およびグループ各社は、 創業以来一貫して構造物の メンテナンスに携わってまいりました。 現在では橋梁、 トンネル等の道路 構造物をはじめとし、鉄道、電力、港湾、建築など公共インフラ、民間イン フラの双方を広くカバーし、補修 ・補強に関する工法や製品の開発から、 販売、 施工まで一貫した体制で皆様のニーズにお応えしております。 高度成長期に大量に建設された橋梁、トンネルなどの社会資本ストック が、今後次々と建設から50 年を迎えます。これらの長寿命化や老朽化対 策が、より一層重要性を増すことは間違いありません。 しかしながら、構造物のメンテナンス業務では、構造物の経年劣化状 況が一つ一つ違うように、 施工に当たっては個々の構造物にふさわしい 施工を行わなければなりません。 そのためには、 多くの経験と専門知識 が必要となります。 私たちは創業以来、約50年にわたり補修・補強の業務一筋に携わって まいりました。 この度、ここに、約15年間の代表的な工事実績を集めました。 メンテナンス工事も多様化、大型化し、幅広い工事実績を有しているこ とがおわかりいただけると思います。 今後一層重要性を増すこの分野において、多くの経験と実績、専門知識 を有するショーボンド建設およびグループ各社が少しでもお役に立てるこ とを願っております。 平成 23年 3月 4 ■目次 ◉ 発刊にあたって …………………………………………………………………………………………………… 3 ◉ 昭和39年 新潟地震で被災した昭和大橋の復旧工事と40年後の健全度追跡調査……………………… 8 分野 橋梁 件名 床版取り替え 新設橋梁における工期短縮型合成床版 新設橋梁の床版にウルトラパネル (鋼コンクリート合成床版) を採用 特許 NETIS ページ 工法 ● ● 外ケーブルを用いた合成桁の床版取り替え 14 合成桁の床版取り替えに外ケーブル工法を採用 重交通下での鋼コンクリート合成床版による床版取り替え トラス橋の床版取り替えにスーパー床版 (鋼コンクリート合成床版) を採用 場所打ち合成床版による床版取り替え 合成桁の床版取り替えに場所打ちのスーパー床版 (鋼コンクリート合成床版) を採用 鋼コンクリート合成床版を用いた上部工の架け替え (拡幅) 老朽化した橋梁上部工 (主桁、床版) の床版取り替えにスーパー床版 (鋼コンクリート合成床版) を採用 工期短縮した床版取り替え工事 一部が曲線橋となった橋長155mの橋梁の床版取り替えにスーパー床版 (鋼コンクリート合成床版) を採用 複雑な線形を有する橋梁の床版取り替え工事 複雑な線形を有する橋梁床版の取り替えにスーパー床版 (鋼コンクリート合成床版) を採用 耐震補強 特殊変位制限装置設置 橋梁の耐震対策としてせん断ストッパー (変位制限装置) を採用 緩衝チェーンによる落橋防止工事 落橋防止工事において緩衝チェーンを採用 ● ● 16 ● ● 18 ● ● 20 ● ● 22 ● ● 24 ● ● 28 ● ● 30 座屈拘束ブレースを用いた耐震補強工事 32 アーチ系橋梁の耐震対策として座沓拘束ブレースを採用 特殊主桁連結装置による落橋防止工事 橋梁の耐震対策として緩衝ベルト、 緩衝チェーン (桁連結装置) を採用 ニールセンローゼ橋の耐震補強工事 海上架設による特殊橋梁の耐震補強工事 鋼斜張橋の耐震補強工事 高速道路に架かる鋼斜張橋 (橋長 885m) の耐震補強工事 鋼製橋脚の耐震補強 鋼製橋脚43基の耐震補強工事 (短冊鋼板補強、 隙間あけ鋼板巻き立て補強) 10 ● ● 36 38 40 44 5 分野 橋梁 件名 補修・補強 特許 NETIS ページ 工法 支承の長寿命化工事 鋼製支承の長寿命化対策として支承若返り工法を採用 橋梁の大規模拡幅工事 橋梁の拡幅工事 (11.0m → 20.8m) ツインプレートとウルトラパネルを採用 ● 保存会のある著名橋の補修工事 竣工後 65年経過した橋梁 (著名橋) の補修 中越地震により被災した橋梁の災害復旧工事 地震により被災した鋼橋の復旧 (主桁端部、 支承取り替え) RACシート工法によるひび割れ補修 振動の大きな都市内高架橋の高欄補修にRACシート工法を採用 ● 都市内高架橋のコンクリート片はく落防止にハイブリッドシート工法を採用 歴史ある橋梁の劣化防止 歴史あるコンクリートアーチ橋の長寿命化対策にスパンガード工法 (シラン系) を採用 橋梁の支承取り替え工事で、高さ制限に応じてSNゴム支承 (機能内蔵型ゴム支承) を採用 48 ● 50 ● 54 56 ● 全長700mの立体橋におけるはく落防止工事 コンパクト支承への取り替え工事 ● ● ● 60 ● 64 ● 66 ● 68 高速道路における壁高欄改修工事 70 高速道路規制内の狭隘部で、 かつ道路、 鉄道の交差部で地覆高欄および遮音壁の改良工事 2.3km におよぶ裏面吸音板設置工事 ▲ 72 新設橋梁(PCボックス) に裏面吸音板を設置。併せて上り線下り線間の目地部に特殊止水工法を採用 〈申請中〉 CFRP成形板による床版上面補強 張り出し床版の上面補強にCFプレート埋設工法を採用 ● ● 特殊地覆を用いた橋梁改修工事 76 老朽化した橋梁に軽量のスーパー地覆 (鋼製地覆) を採用 RCゲルバーT 桁橋の耐震補強工事 RCT桁橋の耐震補強のため桁を連続化。その補強にCFプレート埋設工法を採用 橋梁新設 橋梁の新設工事 橋梁の新設 (工期短縮のためプレキャスト部材を採用) 74 ● ● 78 80 6 ■目次 分野 橋梁 件名 橋梁新設 排水桝補修 トンネル 覆工コンク リート補修 特許 NETIS ページ 工法 歩道橋製作・架設 82 狭隘部に架かる歩道橋の製作架設工事 特殊排水桝の設置工事 道路橋床版の配水管まわりの劣化を防ぐため、 ショーボンドMS (特殊排水桝) を採用 ● 半透明な板材によるトンネル内のコンクリート片剥落防止 トンネルの覆工コンクリート片はく落防止にハイブリッドパネル工法 (半透明板) を採用 ● 86 ● 88 断層破砕帯に位置する道路トンネルの補修・補強 90 断層破砕帯にある道路トンネルを補強 (ロックボルト、鋼板接着、裏込注入) 防災 落石防止 ロックシェッドの新設工事 新設のロックシェッドにウルトラシェッド (鋼コンクリート合成床版) を採用 スノーシェッドをロックシェッドに改造 既設のスノーシェッドを、 ウルトラシェッドを利用してロックシェッドに改造 スノーシェッドの改築 既設スノーシェッドの部材を極力利用して、 ロックシェッドに改築 ● 92 ● 94 ● 96 エネルギー吸収型落石雪防止柵設置 100 急傾斜地対策としてリングネット工法 (エネルギー吸収型落石防止柵) を採用 建築 柱補修 屋根補修 耐震壁設置 梁・柱 打直し 東京大学を耐震補強 102 建築物の耐震補強に特殊繊維補強工法を採用 特殊塗材による遮熱塗装工 104 既設建築構造物の遮熱対策として、特殊塗り材を採用 大阪城天守閣改修工事 106 大阪城改修工事で耐震対策として1階から4 階までの柱、梁補強および耐震壁設置工事 阪神淡路大震災により被災した建築物の改修 阪神大震災で被災した建物のひび割れ補修、 および耐震壁、 柱、 梁の補強工事 ● 108 7 分野 農水 件名 水路補修 農業用水路の老朽化対策 農業用水路の老朽化対策 (内面補修) として AGモルタル工法を採用 特許 NETIS ページ 工法 ● ● 農水用大型幹線水路の補修 112 大型農業用水路の目地補修に応力機能目地工法を採用 港湾 塩害対策 上下水 防食対策 景観対策 風化対策 その他 設備新設 溝蓋補修 経済性を考慮した電気防食工法による塩害対策 コンクリート橋の塩害対策として、補強 (CF補強) と電気防食 (e-Line・V ) を採用 汚水幹線の防食対策 下水道の汚水幹線補修にモルタル吹き付け、 PSシート工法 (防食パネル工法) を採用 シンボル岩の景観保全対策 侵食、風化の進んだ海上のシンボル岩を補修 (景観保全) 駅前デッキ設備新設工事 駅前ペデストリアンデッキ新設工事における各種設備設置工事 地域住民の要望に応えたグレーチング補修工事 住民苦情の原因であったグレーチングのがたつきを24時間で補修 110 ● ● ● 114 116 118 120 122 ◉ 補修工学研究所…………………………………………………………………………………………… 124 〈2011年 3月現在〉 126 ◉ NETIS登録工法一覧……………………………………………………………………………………… ◉事業所所在地一覧……………………………………………………………………………………………… 127 8 ▲写真-1/被災した昭和大橋 被災した昭和大橋の復旧工事と40年後の健全度追跡調査 【構造物名】 橋梁(新潟県) ■復旧工事までの経緯 ● 1964 年 5月 (昭和 39 年 5月) ■ 完成年度:昭和39 年度 ● 1964 年10月 復旧工事開始。床版に発生したひび割れ総延長 新潟・昭和大橋完成。 2,427mすべてに、 エポキシ樹脂系接着剤を注入。分 橋長:306.5m/全幅員:24.8m/12径間 /単純活荷 割した各床版間には、打ち継ぎ嵩上げ用接着剤を塗 重合成桁橋。 布し、 コンクリートを打設して一体化した。 ● 1964 年 6 月 ● 1964 年12月 新潟にマグニチュード 7.5 の地震が発生。 昭和大橋は12 径間のうち、5径間が傾斜落下。落 下部工の補修・補強後、 12月に工事完了、交通解放 された。 下した床版には無数のへアクラックが発生、 この状態 での再使用の可否、 および補修方法等が検討された。 ● 1964 年 8 月 補修工法の検討。補修工法確認のため、本施工と 同様のひび割れ樹脂注入作業が行われた。 ● 1964 年 9月 載荷試験を実施。実荷重1050kN (推定) まで載荷し、 今回の復旧工法で安全と認めうる、 との試験結果を 得た。 ▲写真-2/平成16年12月撮影 9 ■復旧工事 1径間を3分割にして陸揚げされ た床版の、総延長 2,427mのひび 割れすべてに、 ひび割れ注入用エ ポキシ樹脂系接着剤を注入。 分割した各床版間には、 打ち継ぎ ■ひび割れ注入 ひび割れ部をVカットし、注入 嵩上げ用接着剤を塗布し、 コンク 接着剤を充填。ひび割れ補修 パイプ設置後、 エポキシ樹脂系 リートを打設して一体化した。 を行った。 ■床版の一体化 ひび割れ補修後、 3 分割された 床 版 を再 架 設し、打 ち 継ぎ面に嵩上げ用 エポキシ樹脂系接 着剤を塗布後、 コン クリートを打設して 一体化した。 コンクリート床版下面のひび割れ発生状況と補修図(第 6 径間) ■復旧後の健全度追跡調査 20年後 昭和59 年 1984年 30年後 平成 8 年 1996 年 40年後 平成16 年 2004年 外観等の変状調査 構造的に支障をきたしている箇所は見られず、健全である。 載荷試験 落橋の影響は見られない。 合成効果も充分に確認され、 復旧後 20 年を経過した昭和大橋は、 健全であると考察された。 コアによる試験 0.04mm 以下のひびわれおよび鉄筋の周囲にまで、 エポキシ樹脂系接着剤が確認でき、 付着力 も充分であった。 床版外観調査 経年劣化は多少あるが、供用に問題のない状態。 載荷試験 各径間とも同程度の合成桁としての性能を保持している。 コアによる試験 外観目視観察では異常なし。中性化はほとんど進行していない。また、補修時に使用したエポ キシ樹脂系接着剤が中性化の進行を完全に抑止していることを確認。 EPMA分析では、 骨材界面やひび割れ周辺のマイクロクラックにまで、注入材が浸透しているこ とを確認。樹脂の付着力の低下は見られず、コンクリートは良好な状態。 床版外観調査 前回調査時と同等の状況であり、良好な状態。 載荷試験 測定値は前回とほぼ一致しており、健全な状態。 コアによる試験 中性化深さの進行は遅く、圧縮強度も問題なく、コンクリートは健全な状態。 樹脂の注入状況は、目視および EPMA 分析から、注入材が骨材周辺や微細な気泡にまで充填 されていることが確認された。 ▲ひび割れ補修部の現況 ▲打ち継ぎ部の現況 ▲主桁載荷試験 ▲中性化状況 ▲40年経過した床版から 採取したコアの分析 10 新設橋梁における工期短縮型合成床版 【構造物名】 橋梁(北海道) ▲写真-1/クレーンによる床版架設 ■ 完成年度:平成11年度 ●工事目的 橋梁の架け替え。 ■工事概要 本工事の技術的課題として、 【ウルトラパネル/NETIS番号 TH-020041-V/ 特許工法】 充填してできる鋼コンクリートサンドイッチ構造の合 成床版である。 ❶全体工期の短縮 ❷上部工軽量化による耐震性能の改善 ❸建設コストの低減 「ウルトラパネル」は、以下の特長を有している。 ❶床版重量がRC床版に比べて軽くできるので、主桁、 ❹耐用年数の向上 下部工、支承、落橋防止、基礎工等のコストが低 が挙げられたが、当社が北海道開発局開発土木研 減できる。 究所と共同開発した「ウルトラパネル」 (NETIS 番号 TH-020041-V 特許工法) が採用された。 「ウルトラパネル」は、工場で特殊高力ボルトおよび 高力高ナットにより、厚さ6mmの上下鋼板を締付け、 鋼殻を作製し、鋼殻を現場へ搬入後主桁上に特殊 高力ボルトで接合し、内部に高流動コンクリートを ❷RC 床版に比べ、型枠、支保工等が不要となるため、 工期短縮が可能。 ❸鋼板が上下に配置された合成構造となっているた め、同厚のRC 床版に比べて剛性が著しく大きい。 11 ▲写真-2/レーザー切断および孔明状況 ▲写真-3/ 高力高ナット設置完了 ▲写真-4/ 組立完了 ▲写真-5/クレーンによる床版架設状況 ■主桁接合部 H.T 特殊ボルト M22 上添接板 t=6mm (SS400) 上鋼板 t=6mm (SS400) H.T 特殊ボルト M22(高ナット使用) 高流動コンクリート t=150mm 6 150 162 2%直線勾配 6 ナット止め金具 B 下鋼板 t=6mm (SS400) ■添接板接合部 上添接板 t=6mm (SS400) H.T 特殊ボルト M22 H.T 特殊ボルト M22 (高ナット使用) 上鋼板 t=6mm (SS400) 高流動コンクリート t=150mm 6 150 162 6 ナット止め金具 A 【図-1/ ウルトラパネル構造一般図】 下鋼板 t=6mm (SS400) 12 ▲写真-6/搬送装置設置状況 ▲写真-7/床版送り出し装置設置状況 ▲写真-8/ウルトラパネル搬送状況 ▲写真-9/ 特殊高力ボルト締め付け状況 ■搬送装置による架設 搬送装置 ■搬送装置詳細図 ウルトラパネル 床版送出し装置 油圧ジャッキ ガイドローラー 搬送方向 ■床版送り出し装置(自走式) 平面図 送り出し装置 側面図 油圧ジャッキ ウルトラパネル チェーン 主桁 誘導輪 主桁上フランジ 誘導輪 【図-2/ウルトラパネル搬送装置】 送り出し装置 13 ▲写真-10/ 注入および確認管設置状況 ▲写真-11/ 高流動コンクリート打設状況 ◀写真-12/施工前 ▲写真-13/施工後 14 ▲写真-1/ 完成 外ケーブルを用いた合成桁の床版取り替え 【構造物名】 橋梁(山形県) ■ 完成年度:平成 7 年度 ●工事目的 部分的に床版陥没が発生した合成桁橋の床版の取り替え。 ■工事概要 合成桁は床版が主桁の一部となっているため、 床版取り替え工事においては桁下に支保工を設置 するのが一般的だが、本工法は合成桁の床版打換 で床版に軸力が導入され、床版の耐久性向上にも有 効である。 床版にはプレキャスト床版「SBパネル/ PCタイプ」 を用いた。 え時に発生する主桁の応力度超過を、桁下に取り付 桁端部の下面に設ける PC 鋼棒定着用の鋼製ブラ けたPC 鋼棒を緊張することにより相殺する工法で ケットは、特殊な高張力万力を用いて仮定着し、 工事 ある。 完了後には撤去できる構造とした (特許工法) 。 加えて、完成時 (合成後) にPC鋼棒を撤去すること この特殊な高張力万力への軸力の導入はトルクレ 15 ▲写真-2/ 施工前 ▲写真-3/ 施工前・床版下面 ▲写真- 4/ 定着部 ▲写真-5/PC 鋼棒の緊張 ■緊張力導入イメージ図 ■緊張力解放イメージ図 【図-1/ 緊張力導入イメージ図】 ンチにより管理する。 (写真-4) 本技術は建設省土木研究所および東北大学と共 同で開発したことから、工事は建設省の「パイロット 事業」 として実施された。 本工法は、熟練工でなくても施工ができ、支保工 設置や主桁補強に比べて工期短縮も図れるという 利点を持っている。 ▲写真- 6/パイロット事業 現場見学会 16 重交通下での鋼コンクリート合成床版による床版取り替え 【構造物名】 橋梁(群馬県) ▲写真-1/ 完成 ■ 完成年度:平成12年度 ●工事目的 損傷したトラス橋床版の鋼コンクリート合成床版 (スーパー床版) による取り替え。 【スーパー床版/NETIS番号 TH-010010-A/特許工法】 ■工事概要 床版を取り替えるにあたり、日交通量が約 3万台 あり、大型貨物車輌も多い橋梁であるため「夜間・ 片側交互通行」 での施工が可能な床版が要求された。 また、死荷重増加を極力抑える等の条件があった ため、縦桁を増設することで床版支間を現況より 短くすることで床版厚を薄くできる「スーパー床版」 (NETIS番号 TH-010010-A 特許工法) が採用された。 ▲写真-2/ 施工前 17 ▲写真-3/スーパー床版 工場製作 ▲写真-4/ 既設床版撤去 ▲写真-5/スーパー床版の設置 ▲写真-6/板バネの取付状況 ▲写真-7/ 仮復旧 【図-1/ 現況断面図】 ▲写真-8/ 配筋完了 (スタッドジベル溶植) 【図-2/ 打替後断面図】 18 場所打ち合成床版による床版取り替え 【構造物名】 橋梁(広島県) ▲写真-1/ 床版鋼殻設置 ■ 完成年度:平成 21年度 ●工事目的 橋梁の耐震補強および上下部工補修 (単純合成鈑桁3連) 。 【スーパー床版/NETIS番号 TH-010010-A/特許工法】 ■工事概要 本橋梁は単純合成桁構造であり、床版取り替え時 主目的は耐震補強工事であったが、上下部工とも には上フランジの座屈対策として、当初計画では支 に塩害やアルカリ骨材反応による損傷が見られたこ 保工を築造し、かつ、新規床版の受け桁に受け板を とにより、大規模な対策を実施することになった。 溶接する構造となっていた。 工事概要は以下の通りである。 しかし、以下のような問題が懸念された。 (図 -1) ❶耐震補強工 :落橋防止装置設置 ①支保工が築造できるのは渇水期のみであり、大幅 ❷上部工改修 :床版取り替え、支承取り替え、塗装 塗り替え ❸下部工補修 :躯体補修 (断面修復、 コンクリート保護) ここでは場所打ちコンクリートを用いた合成床版 による床版取替工を中心に述べる。 な工期延伸が必要。 ②河川内に構造物を築造するため水質への影響が 懸念。 ③古い既設桁に受け板を現場溶接することによる 品質のばらつきと熱影響。 そこで、既設桁とはハンチプレートを介して高力 19 ▲写真-2/ 完成 【図-1/ ベント設置図(参考図)】 22(19) ボルトで一体化でき、しかも合成床版の下面鋼板が 主桁の一部として有効になるため、支保工を設置 する必要のない「スーパー床版」 (NETIS 番号 TH- 1.5% 10~11(13) 010010-A 特許工法) を用いることにより、 工期とコス 普通TCB M22×80(S10T) トを大幅に短縮できた。 10 6 G 底鋼板 t=9(SS400) (40)45~55 ハンチプレート 120 (40)45~55 (200)210~230 50 200 50 【図-2/ 受け板の施工図】 【図-3/ 合成部詳細図】 20 鋼コンクリート合成床版を用いた上部工の架け替え (拡幅) 【構造物名】 橋梁(山口県) ▲写真-1/ 完成 ■ 完成年度:平成 12年度 ●工事目的 老朽化した鋼桁橋の上部工架け替え。 ■工事概要 【ウルトラパネル/NETIS番号 TH-020041-V/ 特許工法】 既設の上部工はすべて撤去するため、 下部工を 主桁、床版の劣化が激しく、上部工すべてを架け 拡幅することにより主桁本数を増やし、橋梁幅員を 2.7m 広くすることが可能となった。 替えることとなった。 桁高を押さえる必要性から合成床版の鋼板を主 施工は、旧橋の撤去→下部工拡幅→支承設置→ 桁の一部として活用可能な、鋼コンクリート合成床版 主桁架設→床版架設→床版コンクリート打設→橋 「ウルトラパネル」 (NETIS 番号 TH-020041-V 特許 面工の手順で行った。全面架け替えと比較して大幅 なコスト削減となった。 工法) が採用された。 【図 -1/ 断面図】 ▲写真-2/ 施工前 21 ▲写真-3/ 既設床版撤去 ▲写真-4/主桁地組 ▲写真-5/主桁架設 ▲写真-6/主桁現場溶接部 ▲写真-7/ 床版架設 ▲写真-8/床版架設 ▲写真-9/ 高流動コンクリート打設用注入管設置 ▲写真-10/ 高流動コンクリート打設完了 22 工期短縮した床版取り替え工事 【構造物名】 橋梁(宮崎県) ▲写真-1/スーパー床版架設状況 ■ 完成年度:平成 18 年度 ●工事目的 一部が曲線橋となっている橋梁の床版取り替え。 【スーパー床版/NETIS番号 TH-010010-A/特許工法】 ■工事概要 本橋梁は昭和41年に架設され、 昭和50~52年に かけて鋼板接着補強された橋梁であるが、補強鋼板 の浮きが進行したため、工期短縮と高耐久性を考慮 ❷合成床版の橋軸方向の長さを同一とすることにより、 型枠や床版製作の作業を単純化した。 ❸施工を四分割施工とすることにより、曲線部に要 する製作時間ロスをなくした。 して鋼コンクリート合成床版「スーパー床版」 ( NETIS 番号 TH-010010-A 特許工法) による床版取り替え を行った。 交通条件は終日片側交互通行である。 以下のような対策により工期を短縮 (7ヵ月) した。 ❶平面線形にクロソイドが入り、縦断勾配、横断勾配 も複雑に変化した橋梁であったため、3次元レー ザースキャニングによる事前測量を行い、測量時 間を短縮した。 ▲写真-2/ 完成 23 ▲写真-3/ 施工前 ▲写真-4/ 完成 24 ▲写真-1/スーパー床版架設状況 複雑な線形を有する橋梁の床版取り替え工事 【構造物名】 橋梁(沖縄県) ■ 完成年度:平成 20年度 ●工事目的 塩害と経年劣化により損傷したRC床版の取り替え。 【スーパー床版/NETIS番号 TH-010010-A/特許工法】 ■工事概要 塩害による劣化が進行した床版の取り替えで、取 り替え面積は約2200㎡である。 橋梁形式は単純合成 I 桁および単純非合成箱桁 橋である。 本橋は複雑な線形であり、この線形に対応できる 床版であることが床版選定の大きなポイントであった。 今回採用となった「スーパー床版」 (NETIS 番号 TH- 010010-A 特許工法) は、 下面に鋼板(t = 9.0) を 有する鋼コンクリート合成床版で、比較的容易に線形 への対応が可能である。 加えて本橋は縦断勾配、横断勾配もかなり複雑 であり、当初設計では高さ変化に対応できるように、 パネル本体にハンチプレートを取り付ける構造と なっていた。 しかし現場での煩雑さを考慮して、 桁の上フランジ に鋼製台座を設置する構造に変更した。 鋼製台座と桁の接合は、桁フランジの厚さ変化に も対応できるようにすみ肉溶接とした。 (図 -1) 25 ▲写真-2/ 既設床版撤去前 ▲写真-3/ 既設床版撤去 ▲写真-4/ 床版架設完了 ▲写真-5/ 床版架設完了 ▲写真-6/ 完成 26 【図-1/ 鋼製台座・高さ調整鋼材部分詳細】 ▲写真-7/ 鋼製台座設置完了 【図-2 / ハンチ部断面図】 27 ▲写真-8/ 横倒れ防止鋼材取付 ▲写真-9/床版搬送治具 (チルローラー等) ▲写真-10/床版搬送状況 ▲写真-11/ 床版架設状況 塩害地区であることから、 下面鋼板の塗装が重要 であるが、耐久性に優れ、現場施工性が良好な塗装 仕様 (表-1) を採用した。 現場では2種ケレン、水洗い後に、所定の塗装工程 でエアレススプレーにて塗装を行ったが、現場施工 性もよく施主より高い評価を得た。 ▲写真-12/ 塗装完了 (床版下面) ■表-1/ 床版下面鋼板の塗装仕様 施工 工場塗装 現場塗装 工程 塗料または素地調整 g/㎡ μm 用具 ─ ─ 200 15 スプレー ─ ─ スプレー 1 素地調整 ブラスト:1 種ケレン 2 -1 1次防錆材 無機ジンクリッチプライマー 3 素地調整 2 種ケレン:水洗い 4 下塗り1 層 有機ジンクリッチペイント 600 75 スプレー 5 下塗り2 層 変性エポキシ樹脂 300 60 スプレー 6 下塗り3 層 変性エポキシ樹脂 300 60 スプレー 備考 製品ブラスト 7 中塗り ポリウレタン系中塗り 175 30 スプレー 8 上塗り 無機質系塗料 150 30 スプレー 28 特殊変位制限装置設置 【構造物名】 橋梁(青森県) ▲写真-1/ 完成 ■ 完成年度:平成 20 年度 ●工事目的 橋梁の耐震補強(変位制限構造)。 【せん断ストッパー/NETIS番号 KT- 060126-A】 ■工事概要 ひとつの変位制限装置で、橋軸方向、橋軸直角方 向いずれの方向にも有効となる特殊変位制限構造 「せん断ストッパー」 (NETIS 番号 KT- 060126-A) の設 置である。 施工手順をフローチャートに示す。 ▲せん断ストッパー概念図 ▲写真-2/ 新タイプせん断ストッパーを設置したM橋 29 準備工 下部工ブラケットの製作 図面および現場調査結果を基に、下部ブラ ケットを工場にて製作する。 下部工ブラケットの取付 せん断ストッパー本体の高さを考慮して取 り付ける。 ▲写真-3/ 調整プレートとストッパー部の固定 現場孔明 主桁の温度伸縮量を考慮してポット部の取 付位置を決定する。 調整プレート取付 ▲写真-4/ 調整プレートとブラケットの固定 セットボルトで調整プレートとストッパー部・ ポット部を固定する。 せん断ストッパー取付 ストッパー部をブラケットに、ポット部を主 桁に固定する。 完 成 ▲写真-5/主桁とポット部の固定 30 ▲写真-1/ 完成 緩衝チェーンによる落橋防止工事 【構造物名】 橋梁(宮城県) ■ 完成年度:平成17年 ●工事目的 落橋防止。 ■工事概要 「緩 衝チェーン」 (NETIS番号 SK-980036-V 特許 工法) は、 ゴムで被覆されたショックレスチェーンを使 用した落橋防止装置のため、地震時の衝撃力を大 幅に緩和して橋梁本体を落橋から守ることができる。 橋台 (橋脚) や橋梁本体に取り付けるブラケットの 形状は他の工法と比較してコンパクトで、障害物が あってもチェーンのリンク数を変更することで、比較的 自由に取付位置を選択することができる。 【緩衝チェーン/NETIS番号 SK-980036-V/特許工法】 また主たる部分がチェーン構造のため、動く方向 の自由度が高く斜角の影響を受けないというメリッ トもある。 以下に工程写真を示す。 31 ▲写真-2/ 鉄筋調査 ▲写真-3/ 削孔 ▲写真-4/ アンカー定着 ▲写真-5/ 橋台側ブラケット取り付け ▲写真-6/ 孔明 ▲写真-7/ 主桁側ブラケット取り付け ▲写真-8/ 現場塗装 ▲写真-9/ 緩衝チェーン設置 32 座屈拘束ブレースを用いた耐震補強工事 【構造物名】 橋梁(福島県) ▲写真-1/ S 橋:完成 ■ 完成年度:平成 20年度 ●工事目的 耐震補強。 ■工事概要 座屈拘束ブレースを用いた2橋の耐震補強である。 2橋の概要は以下の通りである。 【S 橋】 ❶ S 橋について 本橋の主要工種は、 既設下横構の座屈拘束ブレー スへ取り替える工事であり、そのために架設した足 場が写真- 4である。既設下横構ガセット部での作 上路式逆アーチ橋 業がメインであるため、 アーチ水平部材間を1ブロッ 二重鋼管座屈補剛タイプ:52 基 クとして、上下の下横構取替を一連の工程(既設下横 設置箇所:下横構、端支柱対傾構、アーチリブ 構撤去→既設ガセット撤去→新設ガセット設置→座 【M 橋】 5 径間連続 V 脚ラーメン箱桁橋 十字心材鋼管コンクリート補剛タイプ:20 基 設置箇所:V 脚横構 屈拘束ブレース設置) で施工するため、アーチリブ間 は全面足場とした。 また、下横構撤去→即日座屈拘束ブレース設置を 実施し、 下横構の無い時間を最小限に留めた。 既設下横構の撤去および座屈拘束ブレースの取 各橋梁について施工のポイントについて述べる。 り込み状況については、設置位置が作業床を貫通し ポイントとしては、補強部材取り付け (部材交換) 順 ているため、一部の手摺・足場板を一時撤去~再設 序を考慮した作業足場の設置方法である。 置を繰り返して行った。 33 ▲写真-2/ 施工前 ▲写真-4/ 架設足場 ○:現場作業箇所 ▲写真-3/ 足場架設完了 ▲写真-5/ 作業状況:座屈拘束ブレース搬入 (1本目) ▲写真-6/ 作業状況:座屈拘束ブレース搬入(2 本目) (二重鋼管座屈補剛タイプ) ▲写真-7/ 座屈拘束ブレース設置完了 34 ▲写真-8/ 架設足場・吊り元ワイヤー ▲写真-10/ 架設足場・施工時 ❷ M橋について 本橋の場合はV脚箱桁間の水平部材も交換して 座屈拘束ブレースを設置するため、吊り元は上部工 よりワイヤーを使用した。 また、本橋は斜角が大きいV脚ラーメンであるこ とから、雛段足場の段を高さ1.8 m 間隔に設置し、 現場作業が無理なく施工可能な足場を架設した。 施工については、足場を工夫したこともあり部材 撤去~新設部材搬入がスムーズに行えた。 V脚箱桁間の既設水平部材も撤去しての座屈拘 束ブレース設置のため、撤去の順番、設置の順番に 注意を払いながら施工した。 ▲写真-9/ 架設足場・調査時 ▲写真-11/ ブレース設置完了 (十字心材鋼管コンクリート補剛タイプ) 35 ▲写真-12/ 作業状況:V 脚箱桁間の水平部材搬入 ▲写真-13/作業状況:V 脚箱桁間の既設水平部材撤去 36 ▲写真-1/ 完成 特殊主桁連結装置による落橋防止工事 【構造物名】 橋梁(千葉県) ■ 完成年度:平成 21年度 ●工事目的 落橋防止。 ■工事概要 【緩衝チェーン/NETIS番号 SK-980036-V/特許工法】 芯出し・墨だし工 上部工の耐震補強対策として、落橋防止工を施 工したが、上部工と下部工の連結は「緩衝チェーン」 横桁補強板取り付け工 (NETIS番号 SK-980036-V 特許工法) 、上部工間の 連結は 「緩衝ベルト」 とした。 横桁貫通孔切断工 「緩衝ベルト」 は、連結材に衝撃力緩和機能を有す るアラミド繊維を使用しているため、特殊な緩衝装 現場孔明工 置が不要である。かつ従来工法であるPCケーブル タイプと比較すると❶軽量で構造がシンプルであり、 素地調整工 重機等を使用しないため、狭い空間でも施工が可 能であり❷構造上、定着用ブラケットがコンパクトで ブラケット取り付け工 ある等のメリットがある。 施工手順および施工写真を示す。 緩衝ベルト取り付け工 37 ▲写真-2 / 緩衝ベルト取付状況 ▲写真-4/ 緩衝ベルト取付完了 【図 -1/ 緩衝ベルトの構成】 ▲写真-3/保護カバー取付状況 ▲写真-4 / 緩衝ベルト取付完了 (ブラケット部) 38 ▲写真-1/ 完成 ニールセンローゼ橋の耐震補強工事 【構造物名】 橋梁(三重県) ■ 完成年度:平成20年度 ●工事目的 橋梁の耐震補強。 ■工事概要 工事は耐震補強工事で、以下の工種であった。 海上施工においては 「航路を妨げない」 「養殖施設 に干渉しない」などの制約があり、地元漁港との協 ❶落橋防止工:8基 議が重要となり、また、悪天候に伴う作業中断の制約 ❷変位制限構造:4基 として、以下の場合には作業を行わないとの指示が ❸段差防止構造:4基 あった。 本橋梁は海上橋であり、かつ車道幅員が 6.5mと ①風速が10m/S を超えたとき 狭いことから、A1側の施工は海上施工 (クレーン付き ②高波が現れ始めたとき (高波1m 以上のとき) 台船) との指定であった。 ③台風の影響が現れ始めたとき 39 ▲写真-2 /台船による海上施工 ▲写真-3/ブラケットの取込み ▲写真-4/ ブラケットの取込み・架設 ④視界が 1000m 以下のとき 施工はブラケットの取り付け完了後に、 PCケーブル を設置するものであったが、1ピースあたり5.6tとい う重量であり、慎重な施工となった。 特にブラケットの横取り装置として、写真- 5に示す ように垂直補剛材を利用し、3tチェーンブロック 〔 (本 体 24kg + 揚程増チェーン15kg) / 組〕 を4 組設置した。 ▲写真-5/ブラケットの横取り用 3t チェーンブロック 40 ▲写真-1/全景 鋼斜張橋の耐震補強工事 【構造物名】 橋梁(兵庫県) ■ 完成年度:平成 21年度 ●工事目的 耐震補強。 ■工事概要 東神戸大橋は 3 径間連続鋼斜張橋 (橋長885m、 幅員13.5m×2層) であり、耐震補強工として以下の 工事内容であった (詳細設計付き) 。 ❶塔部緩衝装置工:16 基 ❶塔部緩衝装置工(海 P185、海 P184) 塔部緩衝装置は、塔水平梁部に設置した積層ゴム ダンパーと主構 (下弦材) の格点部に設置した鋼製ブ ラケットを拘束ケーブルで接続した構造である。 (写真-2、図 -2) 。 本橋は支承がすべて可動というオールフリー構造 ❷端橋脚部負反力ケーブル支承工:4 箇所 のため、橋軸方向の変位を制限するために積層ゴム ❸橋軸変位制限装置工:4 基 ダンパーを設置したが、詳細設計では新たな照査波 ❹ウインド支承補強工:2 箇所 を追加し、地震時応答解析を行った。 ❺落橋防止装置工:24 箇所 ❻鋼製橋脚補強工:6 基 設置箇所は主構と塔水平梁の間隔が2500mm程 度と狭隘な空間であったが、積層ゴムダンパー、およ び鋼製ブラケットがかなりの重量であるため、 クレー 上記工種より❶塔部変位制限装置と❷端橋脚部 負反力ケーブル支承工について述べる。 ンの配置と吊り能力を考慮して、部材を分割して架 設する設計を行った。 41 主塔部の橋軸変位制限装置と緩衝装置 海 P185、184 主塔部 (3-3) 海 P187 端橋脚 (1-1) 海 P182 端橋脚 (6-6) 【図 -1/ 東神戸大橋の落橋防止対策概念図】 ▲写真-2/ 塔部の橋軸方向変位制限装置 【図 -2/塔部の橋軸方向変位制限装置】 42 ▲写真-3/ 積層ゴムダンパーと拘束ケーブル ▲写真-4/ 積層ゴムダンパー架設・組立状況 【図 - 3/積層ゴムダンパー】 拘束ケーブル (16 m) は1本あたり4.6t (ケーブル 2.9t、 ピンコネクター 1.7t ) となった。 ❷橋脚部負反力ケーブル支承工(海 P182、海 P187) 負反力ケーブル支承は、 端橋脚 (海 P182、 海 P187) 架設は吊支持材を用いたが、 ピンコネクターのバラ の既設ペンデル支承が万一破損した場合の浮き上 ンスを考慮するとともに、 クレーンの吊り能力も考慮 がりを防止する対策として、1橋脚につき2箇所設置 して軽量化を図った。 (写真-5、図 -4) した。 また、景観性を考慮して橋梁本体と同色のコー ティングとした。 構造は上下の定着ブラケット (主構側と橋脚梁部) とブラケット間をつなぐケーブルで構成されている。 (写真-7) 上下部構造間の地震時相対変位(最大 850mm) を想定し、 ケーブル定着部の折れ曲げを緩和するため に、 ブラケットには偏向具を設置している。 負反力ケーブルは、動的解析の最大張力がケーブ ル降伏耐力以下としており、SPWC φ7×187 ( 直径 120mm) を使用した。 ケーブル 1本あたりの重量は1. 2t である。 負反力ケーブルも本体のケーブルと同色のコー ティングを行った。 【図- 4/ケーブル架設状況】 43 ▲写真-5/ケーブル架設状況 ▲写真-6/ケーブル架設状況 ▲写真-7/ 端橋脚部の負反力ケーブル支承 44 ▲写真-1/ 東側全景 (完成) 鋼製橋脚の耐震補強工事 【構造物名】 橋梁(福岡県) ■ 完成年度:平成 18 年度 ●工事目的 鋼製円柱橋脚の耐震補強。 ■工事概要 は橋脚内部に作業に必要なスペースが確保できな 隙間あけ鋼板 巻き立て 裏当て板 (FB 50×3.2) 排水管 貫通孔 いという理由により採用されず、 本工事では 「短冊鋼 5,800 892 板補強」 および「隙間あけ鋼板巻き立て補強」 による 耐震補強工法が採用された。 施工数量は橋脚補強工:43基 (鋼材重量 / 57t ) で ある。 工法概念図を図-3、図-4に示す。 4,253 根巻きコンクリート φ1300 【図-1/ 補強一般図】 補強範囲 4539 の耐力が不足してしまうこと、また 「縦リブ補強工法」 554 充填工法」 は柱基部の曲げ耐力は向上するが、基礎 排水管貫通孔 1726 あるが、比較的施工が容易で経済的な 「コンクリート マンホール 1400 鋼製橋脚の耐震補強工法にはいくつかの工法が 45 ▲写真-2/ 西側全景 (完成) ●:施工箇所 国際線ターミナル 【図-2 / 施工平面図】 補強鋼板 t =16 補強鋼板 t = 9 鋼板間隙 8mm 内部充填無し 既設橋脚外径 1300 既設橋脚外径 1300 【図-3/ 短冊鋼板補強図】 【図-4/ 隙間あけ鋼板巻き立て図】 46 ▲写真-3/ 鋼製定規 ▲写真- 4/ 仮固定状況 ▲写真-5/溶接状況 ▲写真- 6/ 仮設状況 ❶工場製作 補強鋼板 660 枚(65t) の曲げ加工は、曲げ精度を 確認するため鋼製定規(写真-3) を作製して行った。 隙間あけ鋼板の上端部 (図-6) は、 フィンガーシール を流し込み、 下端部(図 -7)は注入孔より注入し密閉 した。 鋼板端部は溶接時の歪みを考慮し、鼻曲げ(予想 される歪みを打ち消すように逆に曲げること) といわ れる処理を行った。 また、鋼材は材質・板厚が当初12種類と多かった ため、施主の承諾を受け、板厚を5種類に統一し、管 理等の負担を軽減した。 ❷取り付け作業 1枚目 3 枚目 補強鋼板の取付は、 下段より行った。 4tユニックにて鋼材を取り込み、 補強鋼板に溶接し たアングルをボルトで仮留めし (写真-4) 、 隙間・ルート 4枚目 間隔の調整を行った。 現場溶接は各段毎 (図-5) に下部側から本溶接を 行った。 (写真-5) 1段目 【図-5/ 鋼板割振図】 47 ◀写真- 7/ 完成 バックアップ材 隙間あけ鋼板 巻き立て 【図-6/上端部詳細図】 バックアップ材 コーキング材 (シリコン系) 100 100 50 注入孔 10 シール材 (フィンガーシール) シール材 (フィンガーシール) 30 20 既設橋脚 100 プライマー塗布 隙間あけ鋼板 巻き立て 20 シール材 (フィンガーシール) 89 100 コーキング材 (シリコン系) 隙間あけ鋼板 巻き立て 20 既設橋脚 既設橋脚 ブラケット t=16 89 【図-7/下端部詳細図】 20 40 60 【図-8/受けブラケット詳細図】 48 ▲写真-1/ 完成 支承の長寿命化工事 【構造物名】 橋梁(秋田県) ■ 完成年度:平成 22 年度 ●工事目的 支承の防錆。 ■工事概要 金属支承は、錆が発生し支承の内部まで進行す れば、支承の移動機能や荷重支持機能が失われ、支 承本体の取り替えを余儀なくされる。 従って支承本体の機能が喪失する前に、最善の防 錆処理を実施し機能回復をはかれば、支承の寿命 をのばすことが可能となる。 【支承の若返り工法/NETIS番号 HR-100013-A】 防護シート工 潤滑性防錆材注入 ブラスト処理 金属溶射 支承の若返り工法 樹脂コーティング (封孔処理) 「支承の若返り工法」 (NETIS番号 HR-100013-A) は、支承の移動機能を確保し、防錆に対する耐久性 に優れた工法である。 中塗り 上塗り 後片付け 塗装工 (オプション) 49 ▲写真-2/ 潤滑剤注入 ▲写真-3/ ブラスト処理 ▲写真-4/ 亜鉛アルミ合金溶射 ▲写真-5/ 封孔処理 ▲写真-6/ 施工前 ▲写真-7/ 完成 50 ▲写真-1/ 完成 橋梁の大規模拡幅工事 【構造物名】 橋梁(岩手県) ●工事目的 橋梁の大規模拡幅。 ■工事概要 当該橋梁を含む路線は 4 車線化が進められてお り、本橋梁がボトルネックとなって朝夕の渋滞が常態 化していた。 そのため交通渋滞を早期に解決することを主目 ■ 完成年度:平成16 年 【ツインプレート工法 /NETIS番号 TH-030027-A / 特許工法】 【ウルトラパネル/NETIS番号 TH-020041-V/特許工法】 両側に片側1本づつの主桁は架設可能) もので、橋長 は 515mあり、かなり大規模な拡幅工事である。 この様な場合、一般的には隣接して新しく橋梁を 建設したり、拡幅する場合でも拡幅部橋梁を架設し て、縦目地を設けて隣接させることがほとんどである。 的とし、現状の車線数 (2車線) を確保したまま施工 しかしながら、橋梁の新設となると下部工からの 可能で、できる限り工期を短縮できる工法が必要と 新設となり工期も長くなるとともに膨大な費用が必 なった。 要となる。 拡幅規模は、歩道部を含む有効幅員を11m から 20m に広げる (下部工幅員には余裕があり、現橋の また、拡幅部橋梁を隣接架設する場合にはキャン バー調整がかなり難しいという問題があった。 51 現況断面 拡幅後断面 【図-1/ 一般断面図】 添接板 ウルトラパネル ツインプレート 既設主桁 新設縦桁 【図-2/ ウルトラパネル / ツインプレート連結図】 新設床版 既設床版 主桁孔明 床版コア削孔 鋼殻架設 補強鋼板設置 主桁との合成 高力ボルト締付け 高流動コンクリート打設 モルタル・樹脂注入 連結部鋼板設置 高力ボルト締付け 高流動コンクリート打設 そこで種々検討した結果、工期が短縮でき、現行 ルトからなるサンドイッチ構造の合成床版「ウルトラパ の車線を確保して施工が可能で、死荷重の増加も少 ネル」 ( NETIS 番号 TH-020041-V 特許工法) とすること なく、はつりガラなどの「産業廃棄物」 を大幅に削減 で、軽量かつ高耐久性の床版とした。 できる構造が採用された。 図-2 に示すとおり、既設部の床版は上下面に補強 鋼板を取付け、貫通ボルトで固定する「ツインプレー ト工法」 ( NETIS番号 TH-030027-A 特許工法) で補 強することにより、廃棄物を発生させることなく、新 設床版と同等の床版とした。 拡幅部は上下鋼板とコンクリート、固定用高力ボ また、ツインプレート工法の鋼板とウルトラパネルの 鋼板を連結することで、縦目地を作らずキャンバー差 が調整できる一体構造とした。 52 ▲写真-2/ 新設床版・施工前 ▲写真-3/ 新設床版・主桁孔明 ▲写真-4/ 新設床版・パネル架設 ▲写真-5/ 新設床版・パネル連結 ▲写真-6/ 新設床版・打設管設置 ▲写真-7/ 新設床版・高流動コンクリート打設 ▲写真-8/ 新設床版・養生 ▲写真-9/ 新設床版・設置完了 53 ▲写真-10/ 既設床版・施工前 ▲写真-11/ 既設床版・削孔 ▲写真-12/ 既設床版・溝はつり ▲写真-13/ 既設床版・下面鋼板設置 ▲写真-14/ 既設床版・吸水防水材設置 ▲写真-15/ 既設床版・ボルト配置 ▲写真-16/ 既設床版・上鋼板設置 ▲写真-17/ 既設床版・設置完了 54 ▲写真-1/ 完成 保存会のある著名橋の補修工事 【構造物名】 橋梁(山形県) ■ 完成年度:平成 16 年度 ●工事目的 竣工後 65年経過 (昭和14年完成) し、 保存会が守り続けてきた橋梁を、 外観を変えることなく補修・ 補強する。 ■工事概要 橋梁形式はRCゲルバー T桁橋 7径間と、鋼ポニー トラス桁橋 3径間である。 ここでは、塗装塗替工、支承取替工 (可動側) 、 コン クリート高欄更新について述べる。 しいこと、 ②リベット構造で、小さな部材の組み合わ せとなっているため、電動工具によるケレン作業が ■表-1 素地調整 当初設計 変更後 3 種 Cケレン 1 種ケレン ❶塗装塗替工 下塗り 1 層 変性エポキシ樹脂塗料 有機ジンクリッチペイント 表-1に示すとおり、 当初設計では3種Cケレンを行っ 下塗り 2 層 変性エポキシ樹脂塗料 エポキシ樹脂塗料 た後、変性エポキシ樹脂塗料4 層、ポリウレタン樹脂 下塗り 3 層 変性エポキシ樹脂塗料 エポキシ樹脂塗料 塗料2層を施工するという仕様であった。 下塗り 4 層 変性エポキシ樹脂塗料 ─ 現地調査の結果、①前回の塗装塗替工事から3年 中塗り ポリウレタン樹脂塗料 ポリウレタン樹脂塗料 しか経過していないのにもかかわらず塗装劣化が激 上塗り ポリウレタン樹脂塗料 ポリウレタン樹脂塗料 55 ▲写真-2/ 塗り替え後 3年経過した状況 ▲写真-3/ 電動工具用施工隙間のチェック ▲写真-4/ 沓周り状況 ▲写真-5/ジャッキアップ状況 ■橋脚部 ■橋台部 トラス桁部 【図-1】 ▲写真-6/ 現場事務所敷地内での試験施工 仮設ブラケット取付による ジャッキアップ できないことが判明したため、 素地調整を1種ケレン 討を加え、図-1に示すように、橋脚部では固定側支 (サンドブラスト) に変更し、耐久性に優れた塗装を 承に、 橋台部ではパラペットに反力を取ることによっ 行った。 て交通に支障を与えることなく施工を完了した。 ❷支承取替工 ❸コンクリート高欄更新 当初計画では端横桁と垂直材を補強し、 垂直材に 外観を変えないために、実施工に先立って現場事 ブラケットを取り付けた後、 全面通行止めでブラケット 務所内に実物大の高欄を試験施工し、補強筋の位 と端横桁でジャッキアップする計画であった。 置、脱型方法等を確認後施工を行った。 現地調査の結果、添架物の影響や構造面の問題 から、当初案が施工できないことが判明し、また、 全面通行止めではなく終日片側通行で施工するよう 発注者からの指示もあったため、現場状況、構造検 56 ▲写真-1/ 完成 中越地震により被災した橋梁の災害復旧工事 【構造物名】 橋梁(新潟県) ■ 完成年度:平成 17年度 ●工事目的 平成16年10月23日に発生した中越地震によって被災した橋梁(竣工昭和58年、 橋長584.92m/ 全幅員12.5m/連続鋼箱桁橋) の災害復旧工事。 ■工事概要 復旧内容は主桁補修工 (変形部材の交換 40t) 、 支承取替工 (14 基) であった。 と同等以上の引き抜き耐力を確保するものである。 補修工学研究所で行った実験結果を、表-1/表-2 に示す。 主桁補修工では、部材の部分交換を行うために主 桁を仮受けする必要があるが、橋脚 (P5) の天端には ジャッキを設置するスペースがないため、 橋脚前面に 鋼製ブラケットを取り付けて、上部工反力を仮受け する方法で施工した。 ■表-1/PC鋼棒 (φ36×720、 定着長=20φ) の引張試験結果 試験 No. 降伏荷重 引張荷重 最大荷重 (kN) (kN) (kN) 1 1100.8 鋼材降伏 1099.9 鋼材降伏 鋼材降伏 橋脚前面に鋼製ブラケットを取り付ける際、ブラ 2 ケット定着用アンカーの設置が必要となるが、対象 3 1099.0 となる橋脚は橋梁一般図からもわかるように T 型橋 平均 1099.9 1160 1282 破壊形式 脚形式のため、かなり密な配筋であることが予測さ れた。 そこで、既設鉄筋を傷つける可能性を小さくする ために、削孔長を短くできる拡張式アンカー工法 (特 許工法) を提案し、補修工学研究所にて実験的検証 を行い、施工を行った。 (図-2/図-3) 拡張式アンカーはアンカー先端に配置したテー パーナットと拡張した球根状の塊で、コンクリートの 抵抗面積および定着を確保し、従来の棒状アンカー ■表-2/S35CN (M56×400、定着長=7.1φ) のせん断試験結果 試験 No. 降伏荷重 引張荷重 最大荷重 (kN) (kN) (kN) 破壊形式 699 コンクリート部破壊 721.2 コンクリート部破壊 3 769.3 コンクリート部破壊 平均 729.8 1 2 386 578 57 台 橋 A2 脚 橋 P6 橋脚 P7 橋脚 P5 橋脚 P4 橋脚 P3 脚 台 橋 1橋 P1 A 橋脚 P2 橋 長 L=584.92m 200 450 240900 3@80000=240000 3径間連続鋼箱桁橋 320900 4@80000=320000 4径間連続鋼箱桁橋 200 450 450 150 11235 100 10850 250 450 520 単純合成鈑桁橋 至 東京 至 長岡 F M M M H.W.L ▽44.934 ▽〈一〉信濃川 M F M M M F M H.W.L ▽45.225 ▽ 〈一〉信濃川 12500 500 3500 9000 3500 1500 G2 G1 1220 2350 5040 400 2500 3000 600 2360 1520 【図-1/ 橋梁一般図】 ■引張アンカー詳細図 165 (170) 3830 3814 200 2040 730 165 (2014) (削孔長) (170) (拡張長) 1800 200 77 拡張式PC鋼棒 (φ36 SBPR95/120) 530 97 74 貫通PC鋼棒 50 ■側面図 100 拡張式アンカーボルト ■せん断アンカー詳細図 (M56×530~575) 3500 1500 【図-2/ブラケット標準図】 97 1500 410 (削孔長) 10 400 (定着長) 200(拡張長) セメント系注入材 全ネジ加工 400 130 (135) 【図-3/拡張アンカー標準図】 ①ダイヤモンド削孔 φ 77 58 ダイヤモンドコア削孔 粗面仕上 φ 97 ②拡張および粗面仕上 ブラスト 拡張ボアホール 注入材 定着体 ③アンカー定着 アンカーボルト ▲写真-2/ 拡張ブラスト状況 【図-4/アンカー施工手順】 ▲写真-3/ 削孔確認 図- 4 に示すように、先にダイヤモンドコアで所定 長を削孔した後、 サンドブラストにより深部の拡張と 手前側の粗面仕上げを行った。 (写真-2/写真-3) 使用するアンカーボルトにはテーパーナットを用いて いるため、アンカーボルト径に対し削孔径が大きく なり、定着用注入材をエポキシ樹脂とするとコスト高 となるため、無機系の注入材 (デグサマスターフロー 80) を使用した。 また、アンカーボルトの本数が12本/基と多く、定 着にはかなりの精度を要するため (写真-4) 、 アンカー ボルトセットのための鋼板製テンプレートを使用し、 スムーズに取り付けることができた。 定着後、現場でアンカーボルトの引抜試験を行い、 研究所で行った実験と同様な引抜耐力を得ること ができた。 アンカー定着後、鋼製ブラケットの取付けを行い、 ▲写真-4/アンカー定着状況 ブラケット1個の重量は最大で約1.7t (1800 × 1900 × 780) であった。 ジャッキアップ後、ガス切断にて変形した主桁の 一部分 (ウェブ下側と下フランジを桁端から約2m) を 撤去した。 (写真-6/写真-7/写真-8) その後、工場製作された復旧用部材を高力ボルト にて連結した。 59 ▲写真-5/ブラケット取付状況 ▲写真-6/ P5橋脚部主桁変形状況 ▲写真-7/ジャッキアップ、切断作業 ▲写真-8/主桁撤去状況 ▲写真-9/ 完成(P5 橋脚) 60 ▲写真-1/ 完成 RACシート工法によるひび割れ補修 【構造物名】 橋梁(東京都) ■ 完成年度:平成 20年度 ●工事目的 都市内高架橋の補修工事。以下の4つが工事目的。 ❶はく落防止 ❷コンクリート保護塗装 ❸ひび割れ補修 ❹伸縮継手補修 【RACシート工法 /NETIS番号 KT-080013-A/ 特許工法】 ■工事概要 上記の工種のうち、壁高欄かさ上げ部のひび割れ 補修について述べる。 既設の壁高欄には図-2に示すように、約20cmの 嵩上げが行われていたが、写真-2のような規則的な ひび割れが発生していた。 写真からわかるように、この部分は以前に 「コンク リート保護塗膜」 や 「ガラスクロスによるはく落防止」 が施工されていたが、再度ひび割れが発生し、鉄筋 腐食防止やコンクリート片はく落防止の対策が必要 となったものである。 この橋梁は通行車輌による振動も大きく、ひび割 れが常時開閉している状況にあった。 対策としてはひび割れの動きにも追従でき、劣化 因子の侵入も防ぐことが可能で、かつ施工性の良い ものが要求された。 61 【図-1/全体断面図】 R AC シートを打ち継ぎ目から 80mm下まで貼る 高欄嵩上げ部 既設壁高欄 ▲写真-2/ 実際のひび割れ 表 -1 (次項) に示すように、いくつかの工法を比較 検討した結果、 「R AC シート工法」 (NETIS番号 KT080013-A 特許工法) が最適と判断された。 決定にあたっては試験施工を行ない、作業性も確 認している。 以下に施工状況を示す。 下地処理工終了後、写真-3、写真- 4、および図-3 【図 -2/R ACシートによる補修案】 に示すような方法で貼り付けた。 粘着面の取り扱いも考慮して、延長方向は4mを 一単位とした。 62 ■活膜保護塗装面に貼る場合 R AC シート 既存保護塗膜面(活膜) (下地処理) コンク リート 構造 物 ■コンクリート面または劣化した 保護塗装面に貼る場合 R AC シート エポキシ樹脂系パテ エポキシ樹脂系プライマー ▲写真-3/ RACシート施工状況 2 枚目のR AC シート 下地処理 天端で R A C シートを ラップさせる コンク リート 構造 物 1 枚目のR AC シート 【図 -3/RACシート施工図】 ■ 表-1/嵩上げ壁高欄ひび割れ補修対策の工法比較 工法 嵩上げ高欄解体・復旧 R AC シート工法 塗装工法 ハイブリッドシート工法 HB シートを打ち継ぎ目から 100mm 下 まで貼り付ける 現在の嵩上げ壁高欄を取り壊し、 新たにコンクリートを打設する R ACシートを打ち継ぎ目から 80mm下まで貼り付ける 高耐久コンクリート塗装を塗布する 高欄 嵩上げ部 高欄 嵩上げ部 高欄 嵩上げ部 高欄 嵩上げ部 既設壁高欄 既設壁高欄 既設壁高欄 既設壁高欄 壁高欄まで貫通したひび割れは V カットシールを施工する 壁高欄まで貫通したひび割れは V カットシールを施工する 施工 180 日 30 日 40 日 30 日 期間 (高欄100m 当たりの規制日数は 15 日 ) (高欄100m 当たりの規制日数は 2 日 ) (高欄 100m 当たりの規制日数は 3 日 ) (高欄 100m 当たりの規制日数は 2 日 ) 長所 ▶ 特殊粘着シートを用いるた 設けることにより、現況のよう め伸縮性に優れ、高架橋のよ なひび割れを防ぐことができる うに、振動でひび割れが開閉 する場所にも適用できる ▶表面の耐候性フッ素フィルム 短所 ▶嵩上げ高欄撤去から復旧ま により、耐候性に優れる での仮防護柵などの検討が必 ▶ 劣化因子(水分、塩分、CO2 など)の侵入抑制機能に優れる 要になる ▶嵩上げコンクリートの取り壊 ▶工場製品であるため、性能、 し時 や チッピング 時 の 騒 音、 仕上がりの品質が安定している ▶嵩上げ高欄部全体を覆うこ 粉塵などが問題となる ▶ 供用状 態での施工となるた とで、はく落防止効果も期待 め、車両通行時の振動などで できる 誘発目地以外の個所にひび割 短所 れが発生する可能性がある ▶ 他工法に比べ交通規制回数 ▶表面の耐候性フッ素フィルム が多い の色は指定できない ▶マンションなどが隣接してい ▶ 受注生産なので納期に1ヵ るため、騒音作業の時間が制 月かかる 約される 長所 ▶ひび割れ誘発目地を適所に 特徴 長所 長所 ▶中塗り樹脂に特殊変成ポリブ ▶ HB シートはフッ素フィルム・ タジエン樹脂を採用し、伸縮 性に優れ、耐疲労性がある ▶劣化因子(水分、塩分、 CO2 な ど)の侵入抑制機能に優れる 補強用メッシュをラミネートし ているため、防水性・耐候性に 優れ、はく落防止効果がある ▶ガラスクロスなどを樹脂で含 浸する従来のはく落防止工法 短所 と比較して、施工工程が減少 ▶はく落防止効果はないので、 するためコスト削減を図れる 第三者災害が発生する可能性 ▶工場製品であるため、性能、 のある個所への適用には向か 仕上がりの品質が安定している ない ▶こて塗り作業となるため、均 短所 一な塗膜を形成するのに熟練 ▶ほかのガラスクロスを用いた 工法と同様に、静的ひび割れ を要する に対する追従性はあるが、ひ び割れ開閉挙動下での耐久性 に劣る 概算 工事費 約 3700 万円 約 2200 万円 約 1200 万円 約 2000 万円 評価 × ◎ × × 【日経コンストラクション 2009 年 8 月 28 日号掲載】 63 R ACシート ▲写真-4/ RACシート施工完了 ▲写真-5/ RACシート施工完了 (見上げ) ▲写真-6/ RACシート施工完了 補修した箇所が目立たず、 美しい仕上がりになっている。 64 全長700mの立体橋におけるはく落防止工事 【構造物名】 橋梁(東京都) ▲写真-1/ 完成 ■ 完成年度:平成 22 年度 ●工事目的 予防保全として床版、橋脚はり部のはく落防止対策。 【ビックス工法 /NETIS番号 QS-990009-V 】 【ハイブリッドシート工法 /NETIS番号 TH-010017-V/技術審査証明取得】 ■工事概要 工事内容は、 ❶ひび割れ処理工「ビックス工法」 (NETIS番号 QS-990009-V ) ❷断面修復工 ❸床版下面はく落防止工「FVガラスクロスライニング 工法」 ❹橋脚梁部はく落防止工「ハイブリッドシート工法」 (NETIS番号 TH-010017-V 技術審査証明取得) である。 床版下面においては全面吊足場を架設しての施 工であったが、橋脚梁部においては、建築限界によ り足場が架設出来ないため、重交通を鑑み、規制日 数をできる限り短縮できる工法が求められたため、 特殊ラミネートシートによるはく落防止工が採用さ れた。 65 ▲写真-2/クラック処理 施工状況 ▲写真-3/ 断面修復 施工状況 ▲写真-4/FV ガラスクロスライニング工法 施工状況 ▲写真-5/ハイブリッドシート工法 施工状況 ▲写真-6/ 施工前 ▲写真-8/ 完成(脚部:ハイブリッドシート工法) ▲写真-7/ 完成 ▲写真-9/ 完成(床版:FV ガラスクロスライニング工法) 66 ▲写真-1/ 完成 歴史ある橋梁の劣化防止 【構造物名】 橋梁(東京都) ■ 完成年度:平成 21年度 ●工事目的 橋梁の劣化防止対策。 ■工事概要 本橋は昭和14年 (1939年) に完成したコンクリート アーチ橋であり、 その美しさから歴史的な橋梁として 保存が望まれている。 本工事では外観を変えることなく、劣化防止対策 を実施することとなった。 工事内容は、橋脚、橋台、床版、主桁、アーチリブの 各部材において、断面欠損部は断面修復を行い、第 三者に対するコンクリート片の落下が懸念される部位 は剥落防止対策工 (ガラスクロス繊維シート接着工) を、橋梁全体は外観を変えない表面保護工「ニュー 【ニュースパンガード工法 /NETIS番号 QS-100008-A】 スパンガード工法」 (NETIS番号 QS-100008-A) を施 工した。 剥落防止対策工は、ガラスクロス繊維を接着剤に て貼付けることにより、コンクリート片の剥落を防ぐ 工法である。 コンクリート ネオプライマー (100g/㎡) ネオパテ F(500g/㎡) FV(300g/㎡) ECM ♯200 S FV(200g/㎡) AU-1(120g/㎡) AU-1(120g/㎡) 【図-1/ ガラス繊維シート接着断面概念図】 67 ▲写真-2/ 断面修復 ▲写真-3/ ガラスクロス繊維貼付 ▲写真-4/ ニュースパンガード塗布 ▲写真-5/ 完成 表面保護工は、 1回の塗布でコンクリート内部に シリコーンポリマー防水層を形成する工法で、半 透明の材料のためコンクリート構造物の外観を損 含浸による疎水層 なわないという特徴がある。 コンクリート表面 } 保護層 (シリコンポリマー) 【図-2 / ニュースパンガード断面図】 ▲写真-6/ ニュースパンガードを塗布したコンクリート断面 68 ▲写真-1/全景 コンパクト支承への取り替え工事 【構造物名】 橋梁(滋賀県) ■ 完成年度:平成 18 年度 ●工事目的 損傷の著しい鋼製支承をゴム支承へ取り替え。 【機能内蔵型 SNゴム支承 /NETIS番号 KK-050062-V】 ■工事概要 を選定した。 昭和36年に施工されたピンローラー支承と、昭和 この支承の特長は、 ❶「鉛直力支持機能」 の高面圧 59年に施工された支承板支承の取り替え工事である。 化および 「水平力支持機能」 の内蔵化によるコンパク 取り替え支承の選定条件は以下の通りであった。 ト化、❷製品高さが低い、❸製品の軽量化による施 ❶主桁下フランジと橋台天端面の間隔が150mm 程 工性の向上である。 施工手順をフローチャートに示す。 度。 ❷情報管路等の既設付帯物があり、施工箇所が狭い。 ❸橋梁に63度30分の斜角がある。 施工性および経済性の面から当社が開発した「機 能内蔵型SNゴム支承」 (NETIS番号:KK-050062-V) ▲写真-2/損傷状況 なお、本工事は NETIS 申請技術の試行現場に指 定されており、委員会の視察も行われた。 また、近畿技報「繋」 (近畿技術事務所発行) に先進 技術として紹介されている。 69 ▲写真-3/ 施工前 ▲写真-4/ジャッキアップ ▲写真-5/ 新支承の据付 ▲写真-6/ 完成 1000kN支承 技術名称 新技術 従来技術 機能内蔵型 SNゴム支承 積層ゴム支承 サイドブロック 構造図 すべり部 ベースプレート 出来形 製品重量 積層ゴム 荷重支持部 ベースプレート 橋軸:430mm、橋軸直角:670mm(ベースプレート) 支承高さ:145mm(現状の桁下空間は150mm) ○ 167kg/ 基 ◎ 橋軸:620mm、橋軸直角:1090mm (ベースプレート) × 支承高さ:215mm (現状の桁下空間は150mm) 480kg/ 基 ○ 施工性 コンクリートはつり深さ:41mm はつり量:V=0.53×0.77×0.041= 0.017㎥ ○ コンクリートはつり深さ:119mm はつり量:V=0.72 ×1.19 ×0.119 = 0.102㎥ △ 耐震性 橋軸・橋直・上下全方向に対してゴムの緩衝効果 がある ○ 橋軸および上下方向に対してのみゴムの緩衝効果が ある ○ 経済性 0.9 ○ 1.0 △ 70 ▲写真-1/ 鉄道交差区間 高速道路における壁高欄改修工事 【構造物名】 橋梁(大阪府) ■ 完成年度:平成 16年度 ●工事目的 遮音壁嵩上げと地覆壁高欄の補強。 ■工事概要 近隣住民への騒音対策として、遮音壁の嵩上げ (2mから4mへ) が計画されたが、既設壁高欄の損 傷が著しく (凍結防止材による塩害とアルカリ骨材反 応による複合劣化) 、既設壁高欄および地覆部の打 替えと増設桁による張出し床版補強が必要となった。 工事区間は約400mであり、 国道、鉄道との交差区 間を有している。 施工は遮音壁撤去後に壁高欄の撤去を行うが、 壁高欄部はワイヤーソーを使用し、地覆部は既設鉄 筋を残して人力はつりとした。 撤去完了後、増設桁による張出し床版補強を行い、 所定の配筋の後、コンクリート打設を行った。 腐食の著しい既設鉄筋はエンクローズド溶接を避 け、フック継ぎ手とした。 71 ▲写真-2/ 壁高欄 はつり養生 写真-4/ 国道交差区間▶ 【図 -1/ 標準断面図および既設鉄筋腐食部】 ▲写真-3/コンクリート打設状況 72 2.3kmにおよぶ裏面吸音板設置工事 【構造物名】 橋梁(大阪府) ▲写真-1/完成 ■ 完成年度:平成 21年度 ●工事目的 新設高架橋への裏面吸音板設置および中央分離帯防水工。 ■工事概要 新設高架橋の騒音対策として裏面吸音板を設置 一般的であったが、止水プレートの破損および脱落 等が問題視されていた。 (約49,000㎡) し、 また、 高架橋の上下線間にある隙間 これらの問題解消と橋梁上部工に発生するたわ (20mm) から雨水・ゴミの侵入に伴う裏面吸音板の み・振動を吸収し、かつ柔軟性・耐候性に優れた止 劣化防止と、 交差道路下を通行する車両・歩行者へ 水板を開発し設置した。 (図-1/ 特許申請中) の防護対策として中央分離帯防水工 ( 約1500m) を 設置した。 今回設置した裏面吸音板は、従来の「ルーバータ イプ」 ・ 「パネルタイプ」 と異なり、 発注者が今回の工事 で開発した 「差込タイプ」 の裏面吸音板を設置した。 「差込タイプ」 を選定した理由は、従来工法と比較 すると、 工期で約40%の短縮 (パネル設置時のボルト 締付作業手間等の軽減) 、 製品コストで約35%の低減 (総鋼重の低減) が見込まれたためである。 フローチャートを示す。 中央分離帯防水工は、従来ステンレス製止水プ レートをコンクリートアンカーにて固定する方法が ▲写真-2/完成 73 ▲写真-3/ 裏面吸音板取付・差し込みタイプ 【1日】インサート測量 セグメント下面のインサート位置 測量 【7日】承認図作成 インサート位置を考慮し、縦梁位置等 を調整 ▲写真-4/ 施工完了 【45日】工場製作 【5日】吊り材設置 高所作業車にて吊り材の設置 【8日】足場架設 高所作業車にて仮設 【6日】縦梁設置 部材が軽量 H 形鋼であるため人力 にて運搬・設置 【5日】横梁設置 部材が軽量 H 形鋼であるため人力 にて運搬・設置 【5日】差込みパネル設置 橋軸直角方向における外側より差し 込み設置 【3日】外装板設置 側面外装板 (化粧板) を設置 【5日】完了~足場解体 高所作業車にて解体 ▲写真-5/完成 弾性シーリング材 押さえ金物 t=3 (アルミ合金メッキ) 芯棒打込み式アンカー (丸頭) M5×30 相当品 止水板 (ウレタンPVC) 芯棒打込み式 アンカー (丸頭) M5×30 相当品 押さえ金物 t=3 (アルミ合金メッキ) ▲写真-6/ 中分防水工 【図-1/中央分離帯防水工法概念図】 74 CFRP成形板による床版上面補強 【構造物名】 橋梁(奈良県) ■ 完成年度:平成17 年度 ●工事目的 張出床版上面部の補強。 【CFプレート上面埋設工法 /NETIS番号 KT-070014-A/特許工法】 ■工事概要 による補強工法「CFプレート上面埋設工法」 ( NETIS 従来、張出床版上面部の補強としては鋼板接着工 番号:KT-070014-A 特許工法) で、床版上面を1cm 法や炭素繊維シート接着工法などが行われてきた 程度切削し炭素繊維の成形板を特殊エポキシ樹脂 が、既設床版上面に補強材を設置する工法であるた モルタルで挟み込み、切削前の高さに仕上げる補強 め、舗装厚の減少等による舗装の損傷が問題になっ 工法である。 補強材が床版表面から出ないため、舗装切削時 ていた。 今回施工した工法は、 当社で開発したCFRP成形板 に補強材を損傷しないというメリットがある。 ■施工断面イメージ ショーボンド JH-3 (樹脂モルタル) 舗装 CFプレート (炭素繊維成形板) 硅砂+シート系防水層 …………………………………… 4mm 硅砂+シート系防水層 10mm 2mm CFプレート 約10mm 舗装 床版 4mm 床版コンクリート 【施工断面イメージ図】 ショーボンド JH-3 ( 上層樹脂モルタル) 【補強断面イメージ図】 ショーボンド JH-3 ( 下層樹脂モルタル) 75 ▲写真-1/切削・研掃完了 ▲写真-2/CFR P成形板設置 準備工 床版切削・研掃工 固定ガイド設置 1層目 (下層) 樹脂モルタル打設工 CFRP成形板設置工 2層目 (下層) 樹脂モルタル打設工 硅砂散布工 ▲写真-3/ 補強工完了 ■表-1/工法比較表 工 CFRP 成形板接着工法 法 CFRP接着工法 舗装 樹脂モルタル 概要図 (既設舗装厚 50mmの場合) 工期 ・工程 適用性 品 質 舗装厚 維持管理性 鋼板接着工法 舗装 CFRPシート 舗装 補強鋼板(t=6mm) ボルトキャップ 接着樹脂 CFRP成形版(t=2mm) 40mm 程度 45mm 補強厚 (5層:5.0mm程度) 50mm 10mm 切削 11mm 接着樹脂 (5mm) 不陸修正 樹脂モルタルは CFRP 成 形 板の 接着一体化と床版の不陸修正を 兼 用できる。また、CFRP 成 形 板 1 枚あたりの補強効果は、炭素繊 ○ 維シート1 層に比較して非常に大 きく1枚の施工で対応可能である。 よって工期は短い。 舗 装 の 切 削 後、 床 版の 不 陸 修 正を行った上でエポキシ樹脂を 塗布しなければならない。また、 炭素繊維シートのエポキシ樹脂 △ による含浸接着工程を数回繰り 返す必要がある。よって工期は 長い。 床版下面の鋼板接着と同様の施 工、すなわち、補強鋼板のアン カーボルト固定、周囲のシール、 ○ エポキシ樹脂の注入だけであり、 工期は短い。 作業は、樹脂モルタルの敷設と、 工場製作された CFRP 成形板の ○ 敷き並べの単純作業であり、ミス が少なく品質に優れる。 積層数が多くなることから炭素 繊維シートへのエポキシ樹脂の 含浸不良が生じ、浮きなどが発 生する可能性がある。 △ 補強鋼板の固定後、接着剤(エ ポキシ樹脂)を注入することで、 ○ 既設床版と鋼板を確実に一体化 できる。 床版内に埋め込むため、舗装厚 にかかわらず適用が可能である。 ○ 舗装厚が薄い場合、舗装に損傷 が生じる場合がある。 △ 舗装厚が薄い場合、舗装に損傷 が生じる場合がある。 (舗装厚が 7 ~ 8cm 以上必要である) ○ ・腐食がない。 ・舗装 打換え時に、 CFRP層を破 損する可能性がある。 ・腐食がない。 ・舗装打換え時に、CFRP成形板 を破損する可能性が少ない。 △ △ ・鋼板の腐食に対する対策が必 要である。 ・舗装打換え時に、固定ボルトの △ 損傷に対する注意が必要である。 76 ▲写真-1/ 完成 特殊地覆を用いた橋梁改修工事 【構造物名】 橋梁(鳥取県) ■ 完成年度:平成 14 年度 ●工事目的 橋梁の老朽化による危険防止のための、地覆改良を含めた高欄取り替え。 ■工事概要 多くの橋梁において地覆部は鉄筋コンクリート構 造であり、 その死荷重は約700kg/m である。 そのため地覆改良等を行うと床版補強や下部工 特殊地覆「スーパー地覆」は工場製作であるため 現地施工が極めて簡易であることから、工期を大幅 に短縮することができる。 (コンクリート製の地覆取 り替えと比べて約50%程度の工期短縮) 補強が必要となり、工事が大規模になる場合が多い。 幅員の狭い橋梁においては、増桁等の補強をする 本工事にて使用した特殊地覆は鋼製で箱型構造 ことなく片側50cm 程度の拡幅をすることができる。 となっているため重量が約250kg/m 程度と非常に 軽量な構造であり、床版や下部工に対して負荷を軽 減することが可能である。 施工手順および施工写真を示す。 77 ▲写真-2/ 施工前 ▲写真-3/ コア削孔状況 ▲写真-4/ モルタル打設状況 ▲写真-5/ 鋼製地覆取付完了 事前調査工 既設高欄撤去工 地覆取り壊し工 コアー削孔工 鋼製地覆据付工 無収縮モルタル打設工 樹脂モルタル打設工 高欄設置工 78 ▲写真-1/全景 RCゲルバー T桁橋の耐震補強 【構造物名】 橋梁 (島根県) ■ 完成年度:平成 21年度 ●工事目的 耐震補強。 【CFプレート上面埋設工法 /NETIS番号 KT-070014-A/特許工法】 ■工事概要 RCゲルバー T 桁橋の耐震補強であり、施工した工 種は以下の通りである。 ❶橋脚補強(RC 橋脚の巻き立て) ❷落橋防止工 (落橋防止装置、ゲルバーヒンジ部の PC 鋼棒による連続化) ❸連続化に伴う支点上の主桁補強 (炭素繊維成型 程度切削し、炭素繊維の成形板を特殊エポキシ樹 脂モルタルで挟み込み、切削前と同じ高さに仕上げ る補強方法である。 補強材が表面に出ないため、舗装修繕に伴う切削 を行っても補強材が傷つかないというメリットがあ り、また、規制時間をより短縮するために、エポキシ ■施工断面イメージ 板による主桁補強) 舗装 上記の中から、ゲルバーヒンジ部の連続化に伴う …………………………………… 4mm 主桁補強として 「CFプレート上面埋設工法」 (NETIS 番号 KT-070014-A 特許工法) について述べる。 この工法は、主桁 (床版でも可) 橋面側に補強材が 硅砂+シート系防水層 2mm CFプレート 約10mm 4mm 必要となった場合に有効な工法である。 工法の概要を図 -1 に示す。 ショーボンド JH-3 ( 上層樹脂モルタル) 床版コンクリート この工法は、 主桁上面 (あるいは床版上面) を1cm 【図-1/ 工法概念図】 ショーボンド JH-3 ( 下層樹脂モルタル) 79 ▲写真-2/ 床版切削状況 ▲写真-3/上層モルタル敷均し状況 ▲写真-4/上面完成(全景) ▲写真-5/施工部アップ ■表-1 供試体の種類 樹脂モルタルをMMA 樹脂モルタルとした場合の効 供試体 No. 果確認も補修工学研究所にて完了している。 (試験 結果を表 -2 に示す) 本現場では、片側交互通行を全面通行止めに変更 し27日の工期短縮となった。 CFプレート 種類 弾性係数 樹脂モルタルの 種類 No.1 高強度タイプ 169kN/㎟ JH-3(1:3 配合) No.2 中弾性タイプ 298kN/㎟ JH-3(1:3 配合) No.3 中弾性タイプ 298kN/㎟ MMA 樹脂(1:4 配合) ■表-2 試験結果の一覧 No.1 No.2 No.3 ( 高強度+ JH-3) ( 中弾性+ JH-3) ( 中弾性+MMA) ひび割れ発生荷重 47kN 40kN 36kN 樹脂モルタルのひび割れ発生荷重 73kN 90kN 48kN 降伏荷重 115kN 154kN 130kN 最大荷重 152kN 168kN 138kN 破壊形態(最大荷重時) はく離 はく離 はく離 5342 × 10-6 3226 × 10-6 2693 × 10-6 最大荷重時のCFプレートのひずみ 80 ▲写真-1/ 完成 橋梁の新設工事 【構造物名】 橋梁(秋田県) ■ 完成年度:平成20 年 ●工事目的 橋梁新設。 ■工事概要 河川改修に伴い、既設の橋梁を1径間延伸するた めの橋梁架設工事である。 橋梁形式は単純鋼合成鈑桁橋で、橋長46.5m、 総幅員11.1mである。 隣接する新橋の完成を待って交通を切り回しての 工事であり、工期短縮が求められた。 当初は現場打ちRC 床版で設計されていたが、工 期を遵守すると厳冬積雪期に床版工を施工するこ ととなるため、プレキャストRC床版 (地覆もプレキャ スト) に変更しての施工となった。 【図-1/一般図】 ▲写真-2/ 完成 81 ▲写真-3/ 支承設置 ▲写真-4 / 支保工組立て ▲写真-5/ 主桁架設状況 ▲写真-6/主桁・トルシア高力ボルト1次締め完了 ▲写真-7/ 桁架設完了 (支保工撤去) ▲写真-9/ 場所打ちコンクリート工 ▲写真-8/プレキャスト床版架設 ▲写真-10/コンクリート地覆設置工 82 ▲写真-1/ 橋梁架設工 歩道橋製作・架設 【構造物名】 歩道橋(兵庫県) ■ 完成年度:平成 18年度 ●工事目的 地域住民の悲願であった最寄り駅への最短ルートとなる歩道橋の整備。 ■工事概要 施工内容は、北側部分が「下路式鋼床版単純箱桁 て施工し、場所打ち杭完了後に橋台(場所打ち) 、 鋼製橋脚 (アンカ-フレーム固定) の施工を行った。 橋 (橋長14.4m、 鋼重9.4t) 橋台1基、 既設桁改良一式」。 南側部分が 「鋼床版ラーメン箱桁橋 (橋長104.9m、 鋼重 88.0 t) 深礎杭 5本、 橋台1基、既設桁改良一式」 となっている。 ❶現地測量調査結果を踏まえ、基準高・線形、およ び既設桁との取り合い部の詳細設計を行い承認 を得た後、 原寸検査、材料検査、工場製作を行った。 鋼材は耐候性鋼を使用したが、外観を考慮して 塗装仕様とした。 ❷大型重機の乗り入れが困難な現場であり深礎杭 が採用されている。 深礎杭の掘削は機械掘削と人力掘削を併用し ▲写真-2/ 工場製作工・仮組状況 83 ▲写真-4/ P2 ~ P3 ~ A1 ▲写真-3/ 既設取合い部~ P1 ~ P2 原設計より架設位置を調整。 ( 写真-1 既設取合部~P1~P2 は原設計中心線) 写真-2 P2~P3~A1 写真-2 A1 (深礎杭2基) 平面図 P3 (深礎杭1基) 阪神高速道路 側面図(A1-P2) 69500 60000 38600 6300 跨道部 5700 写真-1 A1 ③ 10cm 単位で調整 支持層 P3 P2 側面図(P1-P2) 断面図 2600 ONランプ 4700 4700 44826 38600 900 既設橋 P2 (深礎杭1基) P1 (深礎杭1基) ① 15cm 高くする OFFランプ 1500 支持層 P2 84 ▲写真-5/深礎杭工 掘削・ライナープレート設置状況 (φ2000、L=13m) ▲写真-6/ 橋脚と頭部桁の接合部 ❸この現場は高速道路のランプ付近に立地し、かつ 幅員の狭い側道も通っているという状況であった が、施工条件としてランプの通行止め、および固 定規制はできないというものであり、ONランプ側 の架設は走行、追越車線とも桁が吊り荷として上 空を横断するため、手前の市道交差点側での一時 通行止規制を行った。 OFFランプ側の架設は、中央分離帯にベントを 2基配置し、 中間桁を張り出して架設、継手完了後、 最後の桁を設置した。 側道部の架設は、アウトリガーが張り出せず、 十分な作業半径が得られないため、45tラフター クレーン 2台による相吊りで行った。 架設完了後、デッキプレートの溶接を行い、高力 ボルトを締め付けてベントを撤去した。 ▲写真-7/ A1 橋台工 85 ▲写真-8/橋梁架設工(P1~ P2)OFFランプ側 ▲写真-9/ 橋梁架設工(P1~ P2)ONランプ側 ▲写真-10/ 橋梁架設工(P2~P3 ~ A1)側道部 ▲写真-11/ 付帯工(アルミ高欄工、薄層舗装工) 86 ▲写真-1/ 施工イメージイラスト 特殊排水桝の設置工事 【構造物名】 橋梁(滋賀県) ■ 完成年度:平成 16年度 ●工事目的 排水桝周囲からの漏水による床版コンクリートの早期劣化防止。 【ショーボンドMS/NETIS番号 KK-050066-A/ 特許工法】 調査工 ■工事概要 舗装改良工事の排水桝取り替え工事において、 排水桝周囲からの漏水による床版コンクリートの早 期劣化を防ぐ目的で開発された特殊排水桝「ショー ボンド MS」 (NETIS番号 KK-050066-A 特許工法) の 改良型が採用された。 当社では、 高架橋の排水桝周辺の床版コンクリート が漏水によって早期に劣化するのを防ぐため、舗装 を浸透してきた雨水が確実に桝本体に流れる特殊 排水桝を開発してきた。 今回、舗装改良工事にあたり、開発した特殊排水 桝の上部のみを製品化した改良型を用いて排水桝 取り替え工事を施工した。設置基数は47基である。 施工はフロ-チャートに示すとおりである。 ポイント❶ 排水桝および角型排水材のタイプ決定 排水桝発注・工場製作 既設舗装の撤去 はつり工 既設排水桝 (上側) の撤去 新設排水桝 MS-J の設置 無収縮モルタルの打設 橋面防水工 角型排水材 (MSエンドレン) の設置 舗装工 完 成 ポイント❷ 87 ▲写真-2/ 施工前 ▲写真-3/ 既設排水桝切断状況 ▲写真-4/既設排水桝部分切断完了 ▲写真-5/ 新設排水桝 MS-J 設置状況 ▲写真-6/ 新設排水桝 MS-J 設置完了 ▲写真-7/ 完成 ポイント❶ (調査工) ポイント❷ ショーボンド MS-J (MS) は、防水層定着プレート端 MS-Jを設置するためには、既設排水桝をMS-Jの 部の高さを床版面に合わせる (または床版上面より 設置高さ分だけ撤去する必要があるが、本工事は規 下げる) ことを基本としている。 制作業のため、作業時間を短縮する必要があった。 したがって、既設排水桝のサイズだけではなく、現 況の舗装厚さ、横断および縦断勾配の確認も必要 である。特に、 竣工図や発注図の舗装厚は、その後 のオーバーレイや線形改良等による舗装厚の変更 を考慮していない場合が多いため、必ず施工前に試 掘を行う。 いくつかの方法を検討した結果、プラズマ切断で既 設排水桝を切断することとした。 88 半透明な板材によるトンネル内のコンクリート片はく落防止 【構造物名】 道路トンネル(千葉県) ▲写真-1/ 完成 ■ 完成年度:平成15年度 ●工事目的 施工後20年以上経過した道路トンネルの、 吹き付けコンクリート片のはく落防止。 (詳細設計付き) 【ハイブリッドパネル工法 /NETIS番号 KT-050009-A】 ■工事概要 はく落対策工法の設計を行う上での設計条件は 以下のとおりである。 ❶幅員が狭い2 車線トンネルであり、トンネル肩部は 頻繁に車輌が衝突しているため、断面減少の小さ いはく落対策工法とする。 ❷自転車および歩行者の通過もあるため、側部吹 は既設覆工の強度が小さいことを考慮し、定着方 式を検討する。 ❹天端部分は、建築限界外であること、照明等の添 架物が存在すること、規制内からの張り出し施工と なることを考慮し施工性の良い工法とする。 ❺特記仕様書で要求されているように、 今後のトン ネル点検になるべく支障のない工法とする。 付けコンクリートの起伏に追従でき、将来的にめ くれのない工法とする。 ❸はく落対象物は、劣化した断面厚の薄い吹付けコ ンクリートのため、背面の既設覆工に定着させる アンカー併用工法とする。また、使用するアンカー 現地調査を行い、 トンネル部位毎の特徴を踏まえ て工法を決定した。概要を表-1に示す。 この中から 「ハイブリッドパネル工法」 (NETIS番号 KT-050009-A)について述べる。 89 ■ FRP成型板設置工 ■繊維シート接着工 【図 -1】 この工法の特長は、半透明な板材を使用している ため、施工後に覆工コンクリートの変状が確認でき、 押し抜き試験においても延性的な破壊形態を示す ことを補修工学研究所で確認した。 またガラスメッシュ入り自己消火性のFRP板であり、 ■表-1 施工部位 部位の特徴 選定工法 建築限界上部 ・ 樹脂の使用は交通解放後の落下が懸念される。 ・下地処理が必要な方法では、 粉塵の飛散防止の養生 が困難である。 FRP成型板を既設覆工に定着したアンカーで固定す る工法(下地処理なし、 樹脂を使用しない) 。 トンネル側面部 ・ 歩行者の通行もあるため、 可能な限り断面減少の少な い工法とする。 ・ 車輛衝突やいたずら等により破損しないように壁面に 密着させる工法とする。 下地処理後、繊維シートを吹き付け面にアクリル樹 脂で接着させ、 既設覆工にアンカーで定着する工法。 肩部車輛衝突部 ・ 現状でも車輛が頻繁に衝突している。 浮いた箇所をはつり取り、 メッシュ筋を設置してポリ マーセメントモルタルで断面修復する工法。 90 ▲写真-1/ 全景 断層破砕帯に位置する道路トンネルの補修・補強 【構造物名】 道路トンネル(京都府) ■ 完成年度:平成11年度 ●工事目的 断層破砕帯に位置し、昭和40年に供用開始された道路トンネルの抜本的な補強。 ■工事概要 主な工種は以下のとおりである。 ❶高圧洗浄 カーボルトには表面が平滑な皿ボルトを使用し、腐 食防止のため材質はステンレスとした。 鋼板の塗装は上塗りまで (7層) を工場塗装とし、 ❷漏水対策工 現場では汚染防止塗料を仕上げ塗装として施工し ❸裏込め注入工 た。 ❹ロックボルト工 ❺鋼板内張工 高圧洗浄後漏水対策工を行ったが、覆工施工目 地部はB-2タイプ、既設導水箇所はB -1タイプとした。 裏込め注入工では、特殊なセンサー (特許工法) を用いて充填確認を行った。 内面補強工として鋼板内張工を施工したが、通常 の鋼板接着では鋼板表面にボルトキャップが出てし まい、建築限界部では支障をきたすことから、アン ▲写真-2/ 現況 91 ▲写真-3/ 高圧洗浄工 ▲写真-4/ 裏込め注入工 ▲写真-5/ロックボルト工 ▲写真-6/ 鋼板内張工 ▲写真-8/ 樹脂注入工 ▲写真-7/ 鋼板内張工 92 ▲写真-1/ 完成 ロックシェッドの新設工事 【構造物名】 ロックシェッド(北海道) ■ 完成年度:平成 13年度 ●工事目的 柱状節理の渓谷に挟まれた国道にロックシェッドを架設。 ■工事概要 北海道開発局開発土木研究所との共同開発に より「鋼コンクリート合成構造を頂版とするロック シェッド (ウルトラシェッド) 」 を開発した。 ウルトラシェッドの構造は上下に鋼板(t=9mm) を有し、 その間 (300mm) を特殊高力ボルトと鋼管で 連結し、正規の位置に設置後、高流動コンクリートを 充填するものである。 構造上の特長は以下の通りである。 ❶コンクリート頂版のような押し抜きせん断破壊を 生じない。 ❷衝撃エネルギーの吸収能力に優れる。 【ウルトラシェッド/ 特許工法】 ❸版として機能するため、衝撃荷重の分布範囲が大 きくなる。 ❹従来のコンクリート頂版と比較して死荷重が小さ く、杭の量が少なくて済み、コストを低減できる。 また、現場施工においても以下のような特長を 持っている。 ❶ハーフプレキャスト工法のため支保工が不要であり、 クレーンによる架設が可能。 ❷型枠の必要がないため、大幅な現場工期の短縮 が可能。 ❸現場管理はボルト締付けと高流動コンクリートの 打設のみであり、品質の管理が容易。 93 ▲写真-2/施工前 ▲写真-3/ 頂版架設工 ▲写真-4/PC鋼棒緊張・ナット固定 ▲写真-5/ 高流動コンクリート打設 ▲写真-6/全景 94 ▲写真-1/ 頂版架設 スノーシェッドをロックシェッドに改造 【構造物名】 スノーシェッド (岐阜県) ■ 完成年度:平成 15年度 ●工事目的 道路防災事業の一環として落石危険区域に位置する既設スノーシェッドを改造し、 ロックシェッド とする。 ■工事概要 構造は、ロックシェッドとして開発された鋼コンク リート合成構造を頂版とするロックシェッド「ウルトラ シェッド」 を、既設のスノーシェッドの上部に載せる構 造である (図-1) 。 施工は全面通行止めを行うことなく、終日片側交 互通行で施工した。 【ウルトラシェッド/ 特許工法】 管ロッドを挿入した後、高圧水による切削とモルタル 注入をほぼ同時に行い、円柱状のコンクリート杭を 掘削作業なしに形成する工法である。 また、落石時や地震時に頂版に作用する水平力を 支持するため、地山側にグラウンドアンカーを設置 し、 タイロッドで連結した。 ウルトラシェッドは高力ボルトで連結された上下 ロックシェッドとするためには地耐力の補強が必 鋼板を架設後、内部に流動化コンクリートを打設す 要であり、谷側基礎底面は高圧噴射撹拌工 (コラム るが、横断勾配が20%もあり、谷側と山側の高低差 ジェット工法) によって補強した。 が 3m 程度であったため、高流動コンクリート打設 具体的には改良区域底面までボーリングし、三重 は部分打設し、順序を下段、中段、上段とした。 95 ▲写真-2/ 施工前 ▲写真-3/架設工 ▲写真-4/ サンドイッチ版(頂版) ▲写真-5/ 敷砂完了 均しコンクリート (別途発注) 敷砂 EPS ハンチ鋼板 タイロッド 鋼合成サンドイッチ板 ハンチ鋼板 変位制限装置 柱上架台 柱上架台 縦梁 下部補強 壁高欄 下部補強 薬液注入工 高圧噴射攪拌工(C JG工) 【図-1/ 横断面図】 グラウンドアンカー 鋼製突起 縦梁 96 ▲写真-1/ 完成 スノーシェッドの改築 【構造物名】 スノーシェッド(福井県) ■ 完成年度:平成 17年度 ●工事目的 既設部材を極力再利用して、スノーシェッドを改築。 (道路線形の変更) 【ウルトラシェッド/ 特許工法】 ■工事概要 スノ-シェッドの施工延長は 17.1m(工場製作: 27.8t) である。 既設のスノーシェッドを検討した結果、山側擁壁 に抱かせたコンクリート製の梁と柱は健全であり、 健全部は極力再利用しての改築となった。 健全部材を再利用した場合、柱間隔が国土交通 省の標準設計を超えることとなり、主構の負担を軽 ▲写真-2/ 施工前 97 ▲写真-3/ 柱・主梁架設状況① ▲写真-4/ 柱・主梁架設状況② 主梁上面延長 主梁セン ター延長 主梁センター延長 5,340 5 340 254 1 755 1 535 243 16,231 8,386 16 231 243 2 982 16 178 8 386 2 797 736 1 505 1 200 500 1,505 480 3,389 4,465 H488x300x11x18(SM490Y) 4 122 4 160 4 465 鋼管杭φ800x12 (STK490) 22 22 2 100 3 389 4 916 4 589 2 489 H600x350x9x12x19(SM490) 16 305 305 2 929 4,916 2,505 2 505 2 705 250 50 3 729 3 479 3,479 339 15,942 15,992 15 942 15 992 10 274 11 213 600 600 1 000 1,000 【図-1/ 標準断面図】 減できる軽量で剛性の大きい頂版が必要となり、 主梁については延長が約14m~16mとなるため、 その要求性能を満足する構造として 「鋼コンクリート あらかじめ地組を行い、谷側柱→山側柱→主梁の順 合成サンドイッチ構造」 の頂版「ウルトラシェッドタイプ」 で架設した。 (写真-3/ 写真-4) が採用となった。標準断面を図 -1に示す。 柱・主梁の架設は全面通行止めで施工を行った。 架設部材は1主構当たり、谷側柱 (鋼管) 、山側柱 (H形 鋼) 、そして柱上面に架かる主梁 (H形鋼) の3部材に 大別される。 主構は全部で 5主構あり、2主構設置時点で横梁 にて連結した。すべての主構、横梁の設置完了後に、 小梁、斜材等の 2 次部材設置を行った。 すべての部材設置後、組立用仮ボルトから本ボル トに交換し、本締めを行った。 98 ▲写真-5/ 頂版架設状況① ▲写真-6/頂版架設状況② ▲写真-7/ 高流動コンクリート打設 ▲写真-8/ 頂版施工完了 ▲写真-9/ 防水施工状況 ▲写真-10/ 舗装施工状況 頂版は全厚16.2cm (上下鋼板は6mm) で、コンクリー ト充填前なので1パネル当たり重量は約1tであった。 架設終了後、頂版内部に高流動コンクリートを充 填打設した。 勾配が大きいため高さ1mの注入パイプを設置 し、3分割して打設し、 自重によるたわみを考慮して 20mmのキャンバーを設けた。 (写真-5/写真-6/ 写真 -7/ 写真-8) 頂版架設完了後、アスファルト塗膜系防水材を塗 布し舗装を行った。 舗装の目的は、落石等があった場合のボルト保護 および頂版に対するクッション材としての緩衝効果 を期待したものであり、舗装材の種類としては大き な勾配に対応できるサンドアスファルトを使用した。 (写真-9/ 写真-10) 99 7 1 02 9 3 72 隔壁設置箇所 隔壁設置箇所 3 673 3 667 3 646 1 504 山側支承位置 山側支承位置 (L1) 山側柱位置 山側柱位置 (L2) 13 921 16 476 (CL) (CL) 谷側支承位置 谷側支承位置 (R1) 3 952 B1 3 918 3 942 3 935 1 500 B2 B3 1 000 B5 B4 【サンドイッチ頂版配置図】 ▲写真-11/ 完成(頂版上面) 100 エネルギー吸収型落石雪防止柵設置 【構造物名】 急傾斜地(広島県) ▲写真-1/落石エネルギー吸収状況 ■ 完成年度:平成11年度 ●工事目的 国道上の傾斜地に落石雪害防止柵を設置する。 ■工事概要 当初設計は 「洞門工法」 であったが、 コスト面を再 検討した結果「エネルギー吸収型落石雪防止柵(リン グネット工法 ) 」 と 「洞門工法」 の併用となった。 現場には既設の防護柵が設置されていることと、 立木をできるだけ伐採しないことが条件提示され、 新規の「エネルギー吸収型落石雪防止柵(リングネッ ト) 」の設置位置が問題となった。 協議の結果、 支柱間隔を10m±1.0mとするなど、 いくつかの工夫を行うことにより、既設防護柵の6m 山側に設置することとした。 足場仮設 アンカー工 グランドプレート設置 支柱建て込み ロープ取り付け リングネット取り付け ワイヤーメッシュ取り付け 101 ▲写真-2/ 仮設および搬入状況全景 ▲写真-3/ 削孔機械設置 ▲写真-4/ ガイド管挿入 ▲写真-5/ ワイヤーロープ、アンカー挿入 ▲写真-6/ 削孔位置出し用冶具 ▲写真-7/ゲビンデスターブ設置 ▲写真-8/グランドプレート設置 ▲写真-9/支柱設置およびリテイニングロープ ▲写真-10/リングネット設置 ▲写真-11/ 完成 ▲写真-12/ 完成 102 ▲写真-1/ 独立柱 巻き付け状況 東京大学を耐震補強 【構造物名】 建築(東京都) ■ 完成年度:平成18 年度 ●工事目的 RC造建築物の耐震補強。 ■工事概要 建築物が「東京大学工学部 7号館」という性格上、 講義中にも施工する必要があり、工事には「低騒音」 「低臭」が要求される。 今回採用されている 「SRF 工法」は、通常柱補強に 用いる炭素繊維等と比較して 「既存の仕上げモルタ ルを撤去しなくて良い」 = 「低騒音」 、使用する繊維が ポリエステル繊維であり 「臭いの少ないウレタン系接 着剤を使う」 = 「低臭」というメリットがある。 工事内容は、SRF 柱補強(17 箇所) 、SRF 壁補強 (2 箇所) 、 RC 耐震壁増設(一式)である。 施工手順をフローチャートに示す。 「SRF工法」 の施工は他の繊維補強で必要な 「含浸」 が不要で、単に補強材を接着剤でムラ無く貼り付け るのみであり、施工性にも優れているが、 強度が小さ いために必要補強量によっては繊維材がかなり厚く なる場合もある。 103 ▲写真-2/ 独立柱 巻き付け完了 巻き付け完了(独立柱) 仕上げ完了(独立柱) ▲写真-4/ 狭合部 巻き付け完了 巻き付け完了(狭合部) ■施工フローチャート 設計図書 準備工 障害物の仮撤去 補強対象面確認 補 修 補修確認 SRF補強材 設置工 SRF補強材設置 仕上げ・清掃 仕上げ工 完 成 ▲写真-3/ 独立柱 仕上げ完了 材料受入 ▲写真-5/ 狭合部 仕上げ完了 仕上げ完了(狭合部) 104 ▲写真-1/ 完成 特殊塗材による遮熱塗装工事 【構造物名】 建築(神奈川県) ■ 完成年度:平成18 年度 ●工事目的 民間工場で働く作業員の作業環境を改善するため、鉄板屋根の遮熱、耐熱性の向上。 ■工事概要 夏期においては40℃にもなる民間工場の出荷セ 太陽光 ンターにおいて作業環境を改善する目的で、鉄板屋 根の遮熱、耐熱性向上の工事が必要となった。 可視光線 赤外線 遮熱 施工面積は約3,200㎡である。 「断熱効果」向上のためいくつかの工法を検討し トップコート た結果、特殊反応型無機質塗材を選定した。 この材料は、中塗材の中に九州南部で産出される 火山性鉱物の微粉末=シラスを熱処理したシラスバ ルーン (中空状) を含有するシステムで確実な断熱効 果が期待できるものである。 断熱 ベース 1mm 厚 素材 赤外線反射型特殊顔料 (シラス・セラミック・ガラス等のバルーン) 中空バルーン 【図-1/ 工法概念図】 105 ▲写真-2/ 高圧洗浄による除去および清掃 ▲写真-3/エアレス吹き付け機で施工 ▲写真-4/エアレス吹き付け機にて施工 ▲写真-5/上塗り 工程は以下の通りである。 ❶下地処理工:強固な付着物や狭隘部の付着物も ■施工後の遮熱効果 施工後の効果を室内温度の変化で確認した。 あったことから、高圧洗浄とワイヤデッキブラシ、 その結果を表 -1に示す。 研磨布を併用した。 (写真-2) 本工事は、2007年 3月に竣工した。表-1から、施工 ❷プライマー工:エポキシ樹脂系プライマーをエアレ ス吹き付け機で施工した。 (写真-3) ❸中塗り工:中空状シラスバルーンを含有したアク リル樹脂系ポリマーセメント塗膜をエアレス吹き 前 (2006 年) と施工後 (2007 年) を比較すると、最高 温度で約3℃低下しており、施工後のメリットが検証 できた。その効果として、工場の従業員は体感温度 の低下を感想として述べている。 付け機で施工した。 順序は凸部の片側を中心に先行して吹き付け、 ■表 -1 室内温度の変化 硬化した後、反対側の凸部を吹き付けた。 これは凹部の隅角部に材料の溜まりを無くし、 溜 月 まり部に発生するひび割れを防止するために行っ た。施工中の管理は、 ウエットゲージによる膜厚測 定と使用量の確認で行った。 (写真-4) 7月 ❹上塗り工:中塗り材を紫外線から保護するための 上塗り材としてエアレス吹き付け機で施工した。 (写真-5) 9月 施工前 施工後 (2006 年) (2007 年) 最低 21.8℃ 19.7℃ 最高 38.2℃ 35.2℃ 最低 18.2℃ 17.2℃ 最高 36.7℃ 33.9℃ 温度 106 ▲写真-1/ 全景 大阪城天守閣改修工事 【構造物名】 建築(大阪府) ■ 完成年度:平成 8年度 ●工事目的 天守閣の耐震対策。 ■工事概要 大規模改修の中で当社が担当したのは以下の2 工種である。 る耐震壁を鉄骨の組み合わせによる鋼製構造で新 設したものである。 1階から4 階までの範囲において各階4面構成で ❶既設の梁を拡幅する梁補強工事。 あり、 この16 面で一本の大黒柱的な役割を果たして ❷鉄骨を用いて壁をつくる鋼製耐震壁新設工事。 いる。 梁のせん断補強は、フラットバーとU字型に折り 曲げた鉄筋を組み合わせた方法で行った。 フラットバーとU字型に折り曲げた鉄筋は溶接に より一体化し、無収縮モルタルを打設して完了であ る。 (図 -1、写真-2) 。 施工範囲は1階から4 階までの梁158本であった。 鋼製耐震壁新設工事は、通常RC造が一般的であ なお、耐震壁の両側の柱は鋼板巻き立てで補強 を行っている。 107 ▲写真-2/ 配筋状況 ▲写真-3/仮組み状況 【図 -1/ 梁補強工事イメージ図】 ▲写真-4/ 塗装完了後の鋼製耐震壁 108 ▲写真 -1/ 完成 阪神淡路大震災により被災した建築物の改修 【構造物名】 建築(兵庫県) ■ 完成年度:平成 7年度 ●工事目的 阪神淡路大震災により、 中間階が崩壊した建築物の改修。 【ビックス工法 /NETIS番号 QS-990009-V 】 ■工事概要 改修工事は、以下のような二種類の工事に大別さ 梁付きスラブ打ち直し工事では、耐震壁の境界梁 は特に短いスパンであり、被災により大きなせん断 れるが、当社が担当したのは❷の工事である。 力を受け損傷し、スラブが盛り上がるほどの被害も ❶崩壊した中間階から上部の解体と新設。 見られた。 ❷地階から 4 階のスラブ、梁、柱のコンクリート打ち また、内部の鉄骨組にもタイプレートの破断が見 直し、既存の耐震壁の増し打ち、ひび割れ注入等。 られたため、スラブを含めた梁の打ち直しを行った。 耐震壁増厚工事は、30 ~50cmの既存耐震壁に 39 ~59cm のコンクリートを増し打ちすることにより、 建物の耐力を向上させた。 (写真-2/ 写真 -3) タイプレートの破断が確認された箇所では、タイプ レートの溶接による追加を行った。 梁打ち直し工事では、地震力に平行な梁、特に短 柱打ち直し工事では、通常のコンクリート打ちを行 いスパンの梁には大きなせん断ひび割れが見られ う前に、損傷の激しい柱ではアングルとフラットバー たので、脆弱部をはつり、無収縮モルタルによる復 を組み立てた鉄骨部材が破断していたため、 ウェブ 旧を行った。 およびフランジの追加を行った。 (写真-6/ 写真 -7/ 写真-8 / 写真-9) ひび割れ補修工事は、耐震壁、柱、梁、スラブに発 生したひび割れに、 エポキシ樹脂注入 「ビックス工法」 109 ▲写真 - 6/ 施工前 ▲写真 -2/ 鉄筋組み立て完了 ▲写真 -3/ 打設完了 ▲写真 -4/ 樹脂注入工事 ▲写真 -5/ 施工状況 ▲写真 -7/ 鉄筋組み立て ▲写真 -8/ コンクリート打設 ▲写真 -9/ 打設完了 NETIS番号 QS-990009-V) を施工した。 (写真-4) ひび割れのうち、震災により部材厚が大きい箇所 (柱、梁) に発生しているものは、部材内部で複雑な 破壊形態を示していると考えられることから、穿孔 + 注入方式が採用された。 ▲写真-10/ 震災による被災状況 110 ▲写真-1/ 完成 農業用水路の老朽化対策 【構造物名】 農業用水路(千葉県) ■ 完成年度:平成20年度 ●工事目的 内面コンクリートが劣化した水路の補修。 ■工事概要 図-1に示す形状の農業用水路の内面コンクリート が劣化し、流量が減少していたため、 コンクリートの 【ビックス工法 /NETIS番号 QS-990009-V 】 ■施工のポイント ❶下地処理工 下地処理は、 「高圧洗浄の圧力を30MPa以上、 下 表面を特殊モルタル「AGモルタル」 (ARIC登録 No. 地の付着力を1.0N/mm2 以上」の規格があり、事前 258 特許取得) で被覆し健全な状態に戻すものである。 に 30MPa、 100MPa、 150MPa の3種類で試験を行い、 補修水路延長は約1900mである。 付着強度を測定した。その結果、施工の能率、工期、 特殊モルタル被覆工以外の工法は以下の通りで 費用の面から100MPa以上が最適と判断し決定した。 ある。 ◉ひび割れ注入工 (ビックス工法 / NETIS番号 QS-990009-V) (写真-2) ❷養生工 養生では、AGモルタル施工時の直射日光を避け、 ◉断面修復工(AGモルタル) 急激な乾燥によるひび割れの発生を抑えることを目 ◉目地処理工(シリコーン #70) :1094m 的として、農業用ビニールハウスを現場で組立てた。 この特殊モルタルは当社と農業工学研究所との 共同開発によるもので、専用プライマーを用いること により耐久性のある表面被覆を作ることができる。 (写真-3) ❸表面被覆工 表面被覆は厚さ10mmの仕様で、側壁は吹付け、 111 ▲写真-2/ 高圧洗浄状況 ▲写真-3/ シート養生 ▲写真-4 /モルタル吹き付け状況 ▲写真-5/ AGモルタル養生状況 ▲写真-6/ 施工前 ▲写真-7/ 完成 150 試験施工後、材令7日と28日の付着強度が建研式 ポリマーセメント系モルタル 平均厚み 10mm ( 最小厚さ 5mm+α) 1,400 ❹確認試験・検査 150 150 底版は左官で行った。 (写真-4) 2,600 250 引張試験機で、規定強度1.5N/mm2 以上あることを 確認した。 (写真-5) 【標準断面図】 150 ポリマーセメント系モルタル 平均厚み 10mm ( 最小厚さ 5mm+α) 【表面被覆断面図】 既設壁側 コンクリート 55 55 既設底版コンクリート 【図-1/断面図】 112 ▲写真-1/ 完成 農水用大型幹線水路の補修 【構造物名】 農業用水路(愛知県) ■ 完成年度:平成 17年度 ●工事目的 築造から約40年を経過し、表面に摩耗等が目立ち、流下機能が低下している農業用水路の機能 回復。 ■工事概要 水路の断面は幅13m、高さ3mの大型幹線水路で あり、 補修延長は約120mであった。 主たる工種は水路内面のモルタル被覆工と、目地 補修工である。 「応力機能目地」 (ARIC 登録 No.231) を使用し、 目地 材設置用の溝切りには特殊なダブルカッターを使用 している。 なお、本工事は「新技術導入推進農業農村整備 事業」 として実施されたものである。 施工は、水路を完全に閉鎖することが不可能で あったため、コルゲートパイプで水を流しながら片 側施工とした。 内面のモルタル被覆工には、 特殊ポリマーセメント モルタルを用いた。 下地処理は高圧水洗で行い、付着力確保のために エポキシ樹脂をプライマーとして使用している。 目地補修工には、 農業工学研究所と共同開発した 【図-1/応力機能目地工法イメージ図】 113 ▲写真 -3/底板表面の切削 ▲写真-4/♯202の吹き付け作業 ▲写真-5/底板のモルタル被覆工 ▲写真-6/ダブルカッターによる目地の切削 ▲写真-7/応力機能目地の挿入・設置工 ▲写真-8/ 応力機能目地の設置完了 114 経済性を考慮した電気防食工法による塩害対策 【構造物名】 コンクリート橋梁(神奈川県) ▲写真-1/上/全景 下/下フランジ付近の損傷 ■ 完成年度:平成14 年度 ●工事目的 再損傷したPCプレテンT桁橋(供用後約35年経過) の補修工事。 【e-Line・V工法 /NETIS番号 HR-030011-A】 ■工事概要 塩害による内部鉄筋の腐食がかなり進行していた ため、電気防食工法を施工し、かつ補強も可能な工 法が要求された。 電気防食 剥落防止 「e-Line・V 工法」 (NETIS 番号 HR-030011-A) は、 電気防食用の線状陽極を幅 8mmの縦溝に挿入固 定する構造となっているため、陽極材間のスペースに 炭素繊維などの補強材を施工でき、また陽極埋め込 PC桁補強 み部が幅8mmと小さいことから、 はつり量が少なく、 工費を削減できるというメリットがある。 【図 -1/ 工法概念図】 115 ▲写真-2/人力施工 ▲写真-4/レールによる機械施工 ▲写真-3/レール機械 ▲写真-5/ 陽極設置状況 (下面) ▲写真-6/完成 116 ▲写真-1/ 完成 汚水幹線の防食対策 【構造物名】 下水道施設(兵庫県) ■ 完成年度:平成 13年度 ●工事目的 汚水の貯留機能を持った幹線における、防食機能の回復。 【PSシート工法/特許工法】 ■工事概要 工事内容は、管路内面補修として「防菌モルタル 吹き付け工 (金網入り) 」、劣化の著しい流入人孔部 補修として、耐酸性に優れ物理的外力にも強度を有 する「PSシート工法」 (特許工法) が採用された。 「防菌モルタル吹き付け工 (金網入り) 」 の標準断面 および工程写真を示す。 (図 -1、写真 -2 ~7) 「PS シート工法」は耐酸性に優れた特殊防食パネ 20 ステンレス溶接金網 φ2.0 100×100 SUS コンクリートアンカー 3 本 /㎡ コンクリート撤去 t =20 の後 防菌モルタル t=20 吹き付け (表面はコテ押し工) ルであり、表面を平滑面とするために特殊なファス ナーで躯体面に定着できる構造となっている。 【図 -1/ 防食塗装 標準断面図】 117 ▲写真-2/ 劣化部除去工(ハツリ工) ▲写真-3/ 漏水処理工 ▲写真-4/ 溶接金網設置工 ▲写真-5/モルタル吹付工 ▲写真-6/ 完成 ▲写真-7/ 施工前 ▲写真-8/ 完成 ▲写真-9/ 施工前 118 ▲写真-1/全景 シンボル岩の景観保全対策 【構造物名】 自然岩(青森県) ■ 完成年度:平成 8 年度 ●工事目的 波浪による浸食や風化により崩壊が進行しているシンボル岩の景観保全対策。 ■工事概要 景観対策としては、岩体に発生している亀裂対策 (雨水等の浸入により岩体内部の風化や亀裂部の強 度低下を防止する) と風化対策(岩自体の風化進行 を防止する) が必要となる。 ❶には接着性と水密性に優れたエポキシ樹脂系 パテ材を用いてシールし、❷には接着性と注入性に 優れたエポキシ樹脂を注入した。 風化対策工としては、❸表層風化部分の固着一体 化と、❹岩自体の風化進行防止を行った。 亀裂対策としては、❶注入不可能な亀裂に対して ❸には、表層風化部分の一体化を目的とし、風化 亀裂シール工を、❷注入可能な亀裂に対しては亀裂 により細分化した岩の隙間に浸透しやすく、一体性 注入工を施工した。 向上の効果が期待される超低粘度のエポキシ樹脂 119 ▲写真-2/施工前 ▲写真-3/ 樹脂吹き付け状況 ▲写真-4/ 完成・白く積もっているのは仕上げに吹いた硅砂 ▲写真-5/ 完成(部分アップ) を吹き付けた。 ❹には、剥がれや樹脂自体の劣化に対する耐久性 のある柔軟型のエポキシ樹脂を吹き付けた。 いずれも最後に、エポキシ樹脂の硬化した表面は、 つやが出るため景観的に好ましくないことから、 つや 消しとして最終工程のエポキシ樹脂が硬化する前に、 乾燥硅砂を散布して完成とした。 ▲写真-6/ 尾側施工部 足場全景 120 ▲写真-1/ 完成 駅前デッキ設備新設工事 【構造物名】 駅前デッキ設備(神奈川県) ■ 完成年度:平成 22 年 ●工事目的 駅周辺の再開発における駅前デッキ設備新設工事。 ■工事概要 首都圏内に位置する駅周辺からのアクセス向上お よび商業機能の集積を目的とした再開発計画事業 の一環として、駅前デッキの改築が行われ、設備の ■屋根材の特長 ❶パネルの大型化が可能。 ❷全体積の約90 ~ 95%が空気であるため、非常に 軽量。 (アルミ板の約1/6、鋼板の約1/10) ❸六角柱集合構造であるため剛性・強度が高い。 新設工事を担当した。 工事内容は、❶橋面タイル工、❷高欄設置工、❸ 表面材 手摺り設置工、❹地覆工、❺シェルター工、❻転落防 アルミ接着 ハニカムパネル 止柵設置工である。 シェルター工における屋根材に使用したアルミ接 着ハニカムパネルは、航空機の軽量化のために開発 されたものであり、航空機をはじめ超高層ビルカー 六角柱の集合体 (蜂の巣状) 表面材 テンウォールにも使用されるものである。 【図-1/パネルイメージ図】 121 ▲写真-2/ タイル張り付け 施工状況 ▲写真-4/ 鉄骨架設 施工状況 ▲写真-6/ 屋根架設状況 ▲写真-8/ 屋根設置完成 ▲写真-3/ 手摺設置 施工状況 ▲写真-5/ 屋根材搬入状況 ▲写真-7/ 夜間作業 規制状況 ▲写真-9/ 転落防止柵完成 122 ▲写真-1/ 完成 地域住民の要望に応えたグレーチング補修工事 【構造物名】 用水路点検用グレーチング(福井県) ■ 完成年度:平成16年度 ●工事目的 普通車通過時でも衝撃音、振動が発生し、地域住民の苦情対象となっていた、用水路点検用の グレーチング溝蓋の補修。 ■工事概要 鋼コンクリート合成スラブ 工場製作 市街地であり、急速施工が必要であったため、 中央 にマンホールを有した鋼コンクリート合成構造のスラブ (スーパー床版の応用/ 約3t ) を工場製作し、既設グ レーチングを撤去後、スラブ受台を現場構築し架設 した。 現場施工に要した時間は24 時間であった。 既設グレーチング撤去工 受台再構築工 鋼コンクリート合成スラブ架設工 舗装工 123 ▲写真-2/ 施工前 ▲写真-3/鋼コンクリート合成スラブ 工場製作 ▲写真-4/既設グレーチング撤去 ▲写真-5/スラブ受台構築 ▲写真-6/ スラブ設置完了 124 補修工学研究所 SHO-BOND Technical Research Institute 経験工学から補修工学へ 当社は、 『化学と土木の有機的な融合から生まれ る技術の土木・建築分野への展開』を基本理念とし、 補修・補強に関する各種技術の研究開発を行ってき ました。 近年、構造物の長寿命化や予防保全などのニーズ が高まり、社会資本を有効に活用するための補修・補 強技術が重要視されています。 これまでの技術と長年培ってきた経験を礎に、社 会のニーズにお応えすべく、これからも高度な補修・補 強技術の研究開発に挑戦し続けます。 ▲250kN移動載荷試験装置 / 航空機用ゴムタイヤを装着し、最長12.5m、最大荷重 250kNで移動載荷試験が可能です。 ▲500kN構造物疲労試験機 / 疲労試験や静的載荷試験が可能で、 工法開発の中核となります。 ▲200kN構造物疲労試験機/極寒から酷暑まで温湿条件に対応 できる補修・補強工法の開発を行います。 125 1 2 3 4 5 ❶研究棟 ❷本館 ❸大型実験棟 ❹移動載荷試験棟 ❺供試体製作棟 ▲電子線マイクロアナライザー(EPMA) あらゆる固体物質の表面分析ができる装置です。物体表面の状態を拡大 して観察でき、元素の存在状態をマッピング(定性、定量が可能) します。 ▲全天候試験室 自然環境を再現し、材料や補修・補強工法の日射、 気温、 降雨、 降雪に対する耐久性を評価する施設で す。気温は -20℃から +60℃の範囲に設定できます。 ▲インストロン万能材料試験機 ▲電位差滴定装置 126 ■ NETIS登録工法一覧 No. 技術名称 〈2011年 3月現在〉 登録番号 技術副題 1 鉄骨ブレース接着工法 CB-020033-A あと施工アンカー工事のない低騒音 ・ 低振 動の耐震補強工法 2 ショーボンド CFRP工法 CG-990058-A コンクリート構造物の補強 3 e-Line・V HR-030011-A 4 機能内蔵型 SNゴム支承 KK-050062-V 水平力支持機能を内蔵したタイプ B ゴム支承 5 高機能排水桝 ショーボンド MS 6 本誌掲載 鉄筋コンクリート構造物の劣化防止対策 (電気防食工法) ページ ● 114 ● 68 KK-050066-A 排水桝周囲からの漏水による床版コンクリート ● の劣化損傷を解消した橋梁用排水桝 86 Kui Taishin-SSP工法 KT-000101-V パイルベント橋脚の耐震補強 7 Wフィルグラウト工法 KT-000149-V 既設構造物の空洞充てん注入工法 8 SR - CF工法 KT-010053-A 炭素繊維シートとCFアンカーによる既存建築 物の耐震改修工法 9 せん断ストッパー KT-060126-A 緩衝機能付き全方向変位対応型変位制限構造 ● 10 CFプレート上面埋設工法 KT-070014-A 炭素繊維成形板を用いた埋設型床版上面補強 工法 ● 74, 78 11 RACシート工法 KT-080013-A 特殊粘着シートを用いた高機能コンクリート劣 ● 化防止表面被覆工法 60 12 SK 導水工法 QS-040006-A 伸縮性材料を用いた新トンネル漏水対策工 13 ビックス工法 QS-990009-V 構造物の補修・補強工法 ● 64, 108, 110 14 落橋防止構造用 緩衝チェーン SK-980036-V 衝撃緩和が可能なチェーンタイプの落橋防止 構造 ● 30, 36 15 スーパー床版 TH-010010-A 橋梁用プレキャスト合成パネル ● 16,18, 22,24 16 ショーボンド ハイブリッドシート工法 TH-010017-V 特殊ラミネートシートを用いたはく落対策工法 ● 64 17 鋼合成サンドイッチパネル TH-020041-V ハーフプレハブ化した鋼 ・コンクリート合成サン ● ドイッチ床版 10, 20, 50, 92,94,96 18 ツインプレート工法 TH-030027-A 既設床版を利用した鋼・コンクリート合成サン ドイッチ床版 ● 50 19 ニュースパンガード QS-100008-A シラン系表面含浸材 ● 66 20 支承の若返り工法 HR-100013-A 潤滑性防錆剤と金属溶射による支承補修工法 ● 48 21 ハイブリッドパネル工法 KT-050009-A 半透明な板材によるトンネル内のコンクリート ● 片はく落防止 88 22 スマートジョイント TH-100030-A 構造高さを抑えた誘導板付き鋼製伸縮装置 28 127 ■事業所所在地一覧 電話番号 FAX番号 本社 〒 103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町 7-8 03-6861-8101 03-6861-8151 補修工学研究所 〒 305-0003 茨城県つくば市桜 1-17 029-857-8101 029-857-8120 北海道支店 〒 003-0004 札幌市白石区東札幌 4 条 2-1-6 011-822-8045 011-841-3252 南東北支店 〒 984-0014 仙台市若林区六丁の目元町 8-1 022-288-1311 022-288-1313 北東北支店 〒 020-0122 盛岡市みたけ 6-4-36 019-641-7335 019-641-7339 東京支店 〒 136-0076 東京都江東区南砂 2-2-17 03-3649-2122 03-3649-2404 東京建築支店 〒 136-0076 東京都江東区南砂 2-2-17 03-3649-2612 03-3649-2442 千葉支店 〒 260-0024 千葉市中央区中央港 1-9-6 043-301-7250 043-301-7241 横浜支店 〒 236-0004 横浜市金沢区福浦 1-6-10 045-782-9811 045-782-9812 関東支店 〒 331-0812 さいたま市北区宮原町 1-501-1 048-651-2126 048-651-4349 北陸支店 〒 950-0868 新潟市東区紫竹卸新町 2020-2 025-272-0432 025-272-0436 名古屋支店 〒 456-0063 名古屋市熱田区西野町 2-70 052-682-2461 052-682-2779 静岡支店 〒 422-8036 静岡市駿河区敷地 2-26-13 054-237-1933 054-237-7820 大阪支店 〒 536-0022 大阪市城東区永田 3-12-15 06-6965-4308 06-6965-4300 大阪建築支店 〒 536-0022 大阪市城東区永田 3-12-15 06-6965-4350 06-6965-4351 京都支店 〒 612-8463 京都市伏見区中島御所ノ内町 35 075-612-3000 075-612-3700 神戸支店 〒 658-0023 神戸市東灘区深江浜町 14-4 078-413-2550 078-413-2559 中国支店 〒 731-5124 082-925-0033 082-922-2392 四国支店 〒 761-8058 高松市勅使町字東川原 1131-1 087-866-0233 087-866-0267 九州支店 〒 812-0016 福岡市博多区比恵町 9-26 092-451-4385 092-451-4390 南九州支店 〒 891-0122 鹿児島市南栄 5-10-14 099-268-3711 099-267-4667 北日本支社 首都圏北陸支社 中部支社 近畿圏支社 中四国支社 九州支社 広島市佐伯区皆賀 3-2-30 ■発行╱ショーボンド建設株式会社 ■編集・デザイン╱平成サービス株式会社 ■発行日╱初版発行 2011年 3月 ◆本誌掲載の記事・写真・図版等の無断転載を禁じています。 2011-03-2000 (L) 128 http://www. sho-bond.co.jp
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