ティグ溶接 1.概 要 スパッタ、ヒュームが発生せず、アークの安定性が極めて良好で、外観、形状に優 れた高品質なビードが得られます。溶接電流と溶加ワイヤ量が連動しておらず、これ らの溶接条件を独立、任意に選定できる特長があるため、パイプ周溶接等の全姿勢溶 接や、裏波溶接に用いられています。 また、低電流域でのアーク安定性やスパッタが発生しない特長をいかして、薄板の 溶接などにも適用されています。 2.溶接作業の要点 軟軟鋼鋼・・ 級級高高張張力力鋼鋼︵︵テティィググ溶溶接接︶︶ 490 N/mm2 1)溶接用電源 定電流特性(もしくは垂下特性)の直流電流をタングステン電極 − (DCEN) で使用するのが一般的です。 2)シールドガス 使用するアルゴンなどの不活性ガスはピットやブローホールを防止し、溶接部 の酸化を防ぎます。アルゴンガスに不純物が含まれると、タングステン電極先 端部の消耗が早くなるため、溶接用高純度アルゴン(JIS K1 1 0 5に定められる アルゴンガス) を使用してください。配管系についても、経路が長い場合には、 ゴム製のホースではシールドガス中の水分が増加する場合があるため、金属管 やテフロンチューブを使用することが好ましいです。 シールドガスの流量は、無風状態で1 2〜1 8 /minが適当です。また、裏波溶 接を行う場合は、裏波の酸化を防ぐためにできるだけバックシールドを施して ください。 3)タングステン電極 一般に直流電源では1〜2%トリア入りタングステン電極が用いられます。 電極棒の先端が消耗し劣化してくるとアークの集中性が悪くなりますので、グ ラインダー等により研削仕上します。 4)電極の突出し長さとアーク長 溶接部のシールド状態を良好に保ち、かつ電極先端や溶融池がよく見えるよう にするため、シールドノズルからのタングステン電極の突出し長さは一般に5 mm程度が適当です。アーク長は1〜3mm程度が適当で、長すぎるとシール ド不良の原因になり、またアンダカットが発生しやすくなります。 5)開先部の清掃 ティグ溶接は特に開先の汚れに敏感です。溶接部のスケール、さび、水分、油 脂類等の付着物はピットやブローホール、アーク不安定などの発生原因になる ので充分に除去してください。 6)防風および換気 ティグ溶接は風の影響を受けやすいため、屋外等では防風対策を施してくださ い。また、室内などでは酸欠防止のため適度に換気をしてください。 トーチ角度10〜20゜ 溶接方向 トーチ タングステン電極 電極突出し長さ 溶加棒 Arガス (下向溶接概要図) ビード 棒角度 15〜30゜ 母材 アーク長 ―9 0―
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