Instruction Bulletin Heat Crack Simulation Method Revision 2, Dated August 2016 3MTM スコッチカル TM フィルム 等を貼付した ガラスの熱割れ計算 目次 定義 熱割れ現象について 1) 熱割れ現象とは 2) 熱割れの特徴 熱割れの防止方法 熱割れ計算とその判定 備考 定 義 この Instruction Bulletin は、外壁として用いられる単板ガラスに 3MTM スコッチカル TM フィルム等を貼 付した際の、日射による熱割れ現象について説明したものです。 ここで説明する計算方法は、板ガラス全面にフィルムを貼付した場合のものであり、切り文字等を部分 的に貼付した場合や複数色のフィルムを 1 枚のガラスに貼付した場合には対応しません。このような場 合には適切な計算方法がないため、使用する中で最も厳しい条件(日射吸収率が高いと思われる、など) のフィルムを全面に貼付した場合の計算を行い、代用して下さい。 ここで説明する計算方法は、単板ガラスについてのみの計算方法を説明するものであり、複層ガラス、 合わせガラス等には適用されませんので、ご注意ください。 本計算による結果は厳密なものではなく、目安としてご参考ください。 熱割れ現象について 1) 熱割れ現象とは 外壁に用いられた板ガラスが日光の直射を受けると、照射された部分は吸熱して高温となり、膨張しま す。一方、サッシに飲み込まれた部分や影の部分はあまり温度上昇せず、低温のままとなります。 この低温部は高温部の熱膨張を拘束し、結果としてガラス周辺部に引張応力が発生します。この熱応力は 被照射部と周辺部との温度差、すなわち板内温度差に比例し、ガラスのエッジ強度を超える引張応力が発 生すると熱割れとなります。(図 1 参照) なお、ガラスに 3MTM スコッチカル TM フィルムを貼付した際には濃色のフィルムほど日射の吸収が大 きく、大きな熱応力が発生するため、熱割れは起こりやすくなります。 1/5 Instruction Bulletin Heat Crack Simulation Method 2) 熱割れの特徴 熱割れは一般的に、冬季の晴れた日の午前中に発生しやすい傾向があります。これは、冬季は大気が 澄んでいる日が多く、日射量が特に南面において最大となり、かつサッシ周辺が冷えているためです。 また、熱割れはサッシの取付・構造や影の状態、さらに使用状態などが厳しい条件で複合して発生する ことが多く、発生の仕方はガラスのエッジを起点とし、まずエッジと直角に発生し、それから蛇行する ように進行するのが特徴です。 図 1:熱割れ現象の発生メカニズム 熱割れの防止方法 熱割れを防止するためには、ガラス板内温度差を大きくしない使用状態とすることと、良好な切断と 施工でガラスのエッジ強度を低下させないことが重要です。 *サッシ・カーテンウォールの取付、構造 ・ガラスとサッシのクリアランスは 4mm 以上確保し、ガラスとサッシを出来るだけ断熱します。 ・サッシが熱容量の大きなコンクリートに直付けの場合、日射を受けてもサッシ温度、つまりガラス 周辺部が低温のままとなるので、板内温度差が大きくなり、熱割れのリスクが高まります。 *シール材 弾性シーリング材(ポリファルサイド系、シリコーン系)をおすすめします。パテは断熱性が悪く、水密性 も良くないため、おすすめしません。 *使用状態 次のような使用状態の場合、ガラス温度が非常に高くなり、熱割れを起こす可能性が高くなります。 ・ガラスの内側にカーテンやブラインド、その他遮蔽物があると、ガラスが吸収した熱が放熱されにく くなるため、特にこれらのものを密着させることは避けて下さい。 ・冷暖房用の吹き出しエアーや、強力なライトが直接ガラスに当たると、ガラスのその部分の温度が高 くなることがあるため、避けて下さい。 ・ガラスの内側に反射幕等があると、一度透過した日射が再度ガラスに吸収され、ガラス温度が高く なるため、ご注意ください。 2/5 Instruction Bulletin Heat Crack Simulation Method 熱割れ計算とその判定 熱割れの原因となる熱応力は、使用窓の方位、貼付フィルムの種類、ガラス品種や使用構成の他、日陰 の状態、カーテンの影響、施工条件など、様々な影響を受け発生します。 *熱割れ計算とは 熱応力は、所定の計算式で推定することができ、許容熱応力と比較することで熱割れの危険性があるか どうか判定したり、必要な対策を検討したりすることができます。これを熱割れ計算と呼びます。 なお、一般に北面、北東面、北西面については、日射量が小さく熱割れの可能性は低いため、熱割れ計 算の必要はないと言われています。 *熱割れ計算の実施、ご依頼方法 熱割れ計算は、弊社で実施させて頂いております。指定のフォームをダウンロード頂き、必要事項を 全てご記入の上、弊社の担当営業まで送付しご依頼下さい。 ※未記入箇所がございますと、正しく計算を行うことができません。ご連絡先を含め、全ての項目に ついて、正確にご記入頂きますよう、お願い申し上げます。 ※不明点がある場合、弊社よりご依頼内容について確認させて頂くことがございます。 ※熱割れ計算依頼書は、下記リンクよりダウンロードしご利用下さい。 「熱割れ計算依頼書」のダウンロードはこちらから http://multimedia.3m.com/mws/media/1028881O/instruction_netsuware_request_sheet.pdf 3/5 Instruction Bulletin Heat Crack Simulation Method 図 2:熱割れ計算依頼書(フォーム見本) 4/5 Instruction Bulletin Heat Crack Simulation Method 備考 本計算による結果は厳密なものではなく、目安としてご参考下さい。熱割れ現象の発生有無を保証する ものではございません。 仕様及び外観は予告なく変更されることがありますので、ご了承ください。本書に記載してある事項、技術上の資料並びに勧告はすべて、当社の信頼している実験に基 づいていますが、その正確性若しくは完全性について絶対的な保証はしません。使用者は使用に先立って製品が自己の用途に適合するか否かを判断し、それに伴う危 険と責任もすべて追うものとします。売主及び製造者の義務は不良であることが証明された製品を取り替えることだけであり、それ以外の責任はご容赦ください。本書に 記載されていない事項若しくは勧告は、売主及び製造者の役員が署名した契約書によらない限りは当社は責任を負いません。 3M TM スコッチカル TM は、3M 社の商標です。 5/5
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