第 1 章 緒論 1. 1 研究の背景 20 世紀は科学技術が急速に発達した世紀であり、様々な分野で技術革新が大きく進んだ時 代でもあった。そして、これまでに多くの材料が開発されてきたが、必ずしも地球環境に好 ましいものだけでは無かった。特に、高度成長期以降は工業製品を大量生産、大量消費する ことでその経済活動を支えてきたため、廃棄物の発生量の増大、資源の枯渇という問題が生 じ、環境面への影響を考慮した新材料が求められるようになった。 一般廃棄物のほとんどは焼却処理により減量・減容化され、無害化処理されてから最終処 分場で埋め立て処分されてきた1)。しかし、近年では有害重金属、ダイオキシン、環境ホル モンなどによる汚染や廃棄物に関する問題が顕在化したことで、最終処分場に対する社会的 イメージが悪化し、周辺住民の不安や不信感を払拭できないでいる。そのため、新規の最終 処分場の確保が困難となり、埋め立て処分の限界という問題に直面している。 このような逼迫した状況を踏まえ、大量生産・大量消費・大量廃棄する経済社会の転換を 目指し、平成 12 年には循環型社会形成推進基本法2)が成立し、翌年完全施行された。この法 律の第二条によると、循環型社会とは「製品などが廃棄物になることを抑制し、資源の循環 的な利用を促進して廃棄物の適正な処分が確保されることにより、 天然資源の消費を抑制し、 環境への負荷ができる限り低減される社会」のことをいう。この法律では、生産者と消費者 の責任が明確にされ、循環型社会の構築を目指すキーワードとして 3Rと呼ばれる、物質の 発生抑制(Reduce)、再利用(Reuse)、再資源化(Recycle) が円滑に行われることを経済的な助 成や科学技術の振興などにより支援するものである。また、最近では個別物品の特性に応じ た規制として、廃棄物の減量、再資源化、有効的な利用を目的とした容器包装リサイクル法 や家電リサイクル法が施行されている。このように 21 世紀は循環型社会の構築が重要な課 題となっている。 産業廃棄物の処理の流れと総排出量、再利用量、中間処理量および最終処分量について Fig.1-1 に示す。わが国の産業廃棄物の総排出量は平成 12 年度の実績3)、4)を見ると年間約 4 億トンに達している。その 45%にあたる約 1 億 8,000 万トンが再生利用されていて、44%は 中間処理により減量化されている。そして、残りの 11%にあたる 4,500 万トンが最終的に埋 め立て処分されている。現在、廃棄物発生の抑制や処理技術の開発により最終処分量は減少 傾向にあるものの依然として多く、最終処分場は数年分の容量しか残っていないことから、 この状況はもはや一刻の猶予も許されないものとなっている。そこで、最終処分量をさらに 減少させるためには廃棄物の有効利用率を高めることが不可欠である。さらに、エコブラン ドとして確立しているリサイクル製品の普及を促進し、廃棄物の用途を開発・拡大していく ことに努めなければならない。産業廃棄物の種類別の発生量および有効利用量をFig.1-2 に示 す5)-10)。高炉スラグや製鋼スラグの発生量は多いが、ほぼ有効利用されている。これに対し 1 て、汚泥系の廃棄物の有効利用率は 40~70%に留まり、特に建設工事に伴って発生する建設 副産物である建設汚泥はリサイクルが進展しているものの、有効利用率は依然として低い。 また、再資源化が困難なものもあるため、廃棄物の種類によっては再生利用率が低いものも あり、なお改善の余地があるので、これらの分野への更なる応用・開発研究の進展が期待さ れている。 環境親和性に優れた材料の代表としてセラミックスが挙げられる。セラミックスの主要原 料であるSiO2やAl2O3は天然に豊富に存在し、石英や長石、粘土鉱物などが昔から利用され ている。また、排出される廃棄物の中にはSiO2やAl2O3を主成分とするものが多いので、セ ラミックス原料として再利用できる可能性が考えられる。 このように、循環型社会の構築に向けた更なる取り組みとして、廃棄物の最終処分量の減 少が肝要となる。そのためには、今まで再生利用率が低かった廃棄物を有効利用することに より、資源として再生していくことが重要である。そして、既存の方法だけではなく新規の 有効利用法を考え、更なる用途の拡大を図ることが必要となる。 1. 2 既往の研究 本研究では結晶化ガラスの原料としてキラや製紙汚泥を用いる。そこでこれらの廃棄物の 有効利用と結晶化ガラスに関する既往の研究を以下に示す。 1. 2. 1 キラの有効利用 愛知県瀬戸地区、岐阜県多治見地区は瀬戸焼や美濃焼などの陶磁器の産地として有名であ り、東海地域は古くから窯業産業が盛んである。この地域は良質な鉱石、粘土資源が豊富に 存在するためにケイ砂、木節粘土および蛙目粘土などがガラスや陶磁器などの窯業原料とし て採掘されている。これらの原料を水簸工程により精製した際に、キラと呼ばれる副産物が 大量に発生している。キラには、ケイ砂を精製する際に発生するものと粘土を精製する際に 発生するものがある。そのため、化学組成にはある程度幅があるが、SiO2とAl2O3の合計は 約 90%となる。キラは瀬戸地区だけでも年間約 50 万トン発生し、通常は産業廃棄物の指定 を受けて採掘場に埋め戻し処分されている。 現在、キラの有効利用法の開発は東海地域で盛んに行われていて、主にセラミック原料へ の応用が試みられている。しかし、キラを単独で用いることはほとんど無いので有効利用率 は低く、そのほかに窯業廃土、陶磁器のくず、下水汚泥や石炭灰、石灰水洗ケーキなどの廃 棄物などと混合して、多孔質セラミックス11)、12)やレンガ13)、タイル14)などの製品が製造され ているのみである。 1. 2. 2 製紙汚泥の有効利用 近年、古紙リサイクルが盛んに行われるようになり、再生紙の製造工程で製紙原料として 2 リサイクルされなかった微細繊維、填料、顔料が排水処理工程で汚泥として発生し、その量 はリサイクルへの関心の高まりと共に増加している。この他にも、パルプ製造工程や製紙工 程など様々な工程で汚泥廃棄物が発生している。製紙汚泥に含まれているものは主に無機物 の炭酸カルシウム、タルク、カオリンおよび有機物のセルロースである15)。汚泥の再利用は 一部で行われているが、残りは焼却して減量・減容化され、製紙汚泥焼却灰として最終処分 場で埋め立て処分されている。 製紙汚泥焼却灰の有効利用法として普通セメントの原料16)への利用が挙げられる。その他 に軽量骨材16)、製鋼用保温剤と酸化防止剤17)、土壌改良材18)、固形燃料19)、超微細孔構造を 持つマイクロポーラスマテリアル20)などへの利用が検討され、実用化されているがまだ一部 に過ぎず、古紙の利用率が増加すれば製紙汚泥の発生量の増加も考えられるので、今後、用 途開発、市場拡大が一層必要となる。 1. 2. 3 その他廃棄物の有効利用 無機系の産業廃棄物は主にSiO2、Al2O3、CaO、MgO成分から成り、現在では様々なもの に有効利用されている。例えば鉄鋼スラグは、鉄鋼製造工程において発生する廃棄物で、CaO とSiO2を主成分としている。鉄鋼スラグは高炉スラグと製鋼スラグに分類され、高炉スラグ にはAl2O3、MgOなども含まれている。このスラグは高炉内で鉄鉱石をコークスで還元して 銑鉄を製造する過程で生成する副産物で、セメント原料、路盤材、骨材などに利用されてい る21)、22)。一方、製鋼スラグは高炉で製造された溶銑やスクラップを転炉および電気炉で鋼 にする製鋼工程で生成する副産物で、FeやMnなどの金属元素が酸化物の形でスラグ中に取 り込まれている。また、40‐60%含まれるCaOが水蒸気や炭酸ガスに触れると体積が 2 倍に 膨張して崩壊しやすくなるため、その利用は道路の路盤材や埋め立てなどの用途に限られて いるのが現状で、ほぼ 100%有効利用されている高炉スラグと比較して有効利用率を高める 必要がある21)、23)。 ごみ焼却灰には小石、砂、ガラスや陶磁器片、金属片が混入しており、組成的にはSiO2、 Al2O3、CaOを主成分としているが、Fe2O3もかなり含まれている。ダイオキシンや有害重金 属の混入が問題視されているため、ほとんどが埋め立て処分されていて有効利用率は低く、 ごく一部の無害化さらに溶融スラグにして資源化されたものは骨材、路盤材などに用いられ ている22)、24)。 下水汚泥は下水道の普及と共に増加し、そのほとんどが焼却処理されている。焼却灰の化 学組成は用いられる凝集剤が無機系か有機系かにより大きく異なる。主な成分はSiO2、Al2O3、 CaO、Fe2O3であるが、無機系の場合には沈殿剤として用いる水酸化カルシウムの影響のた めCaO成分が多くなる。有効利用率は 60%程度で、セメント原料の他に路盤材、舗道用ブロ ック、タイルなどの建設資材、肥料や土壌改良剤などの緑農地用に有効利用されている22)、25)。 そのほか、石炭灰、廃ガラスなどはセメント原料やセラミック原料として利用拡大が図られ ている26)。ただし、セメント原料への受け入れはもはや限界に近いため、それ以外への再利 3 用が強く望まれている。 また、これらはガラスの原料として、結晶化ガラスへの応用が試みられている27)-32)。しか しながら、これらの廃棄物は着色成分となるFe2O3やTiO2を比較的多く含むことから、作製 した結晶化ガラスが着色するため、用途が限られてしまう。利用範囲を拡大するためにも、 結晶化ガラスの原料にはなるべく着色成分量の少ない廃棄物の利用が望ましい。 1. 2. 4 結晶化ガラス 特殊な組成のガラスを再加熱して微細結晶を析出させ、元のガラス状態では得られない機 能を持たせた結晶とガラスより成る複合材料を結晶化ガラスという。1957 年にCorning社の Stookeyにより開発された結晶化ガラスが工業的な生産に初めて成功したものであった33)。 これは核形成剤としてTiO2を添加したガラスを再加熱することにより、結晶核の生成能が向 上し、その上に微細な結晶を析出させることで高強度の結晶化ガラスが得られる利点を有し ていた。結晶化ガラスは結晶化の機構により体積結晶化(bulk crystallization)ガラスと表面 結晶化(surface crystallization)ガラスの 2 種類に分類される。 体積結晶化ガラスには核形成剤を必要とし、ガラス中に均一に分散された結晶核により、 微細な結晶がガラス全体に均一に析出している。核形成剤にはAgやPt等の金属、TiO2やZrO2 が知られていて、 それ自身が最初に結晶として析出して主要結晶相の結晶核生成を促進する。 一方、P2O5やフッ化物はガラスの分相を促進する22)、34)。体積結晶化ガラスの結晶化には 2 段階の熱処理が一般的であり、最初に核形成、次に結晶成長のための熱処理が行われる。 表面結晶化ガラスは核形成物質を必要とせず、ガラス表面を核として析出した結晶が内部 に向かって成長して結晶相を形成している。一般に、生成する結晶は体積結晶化ガラスより も大きく、数 mm 程度にまで成長する。結晶化には核形成のための熱処理を必要とせず、結 晶成長のための熱処理が行われる。 ここで、幾つかの特徴的な機能をもつ結晶化ガラスについて説明しておく。ゼロ膨張結晶 化ガラスは、熱膨張係数がおよそ‐10~20×10‐7/oCの範囲の結晶化ガラスであり、ほとん どが体積結晶化ガラスに属する。その中で最も広く使用されているのはLi2O-Al2O3-SiO2系の 結晶化ガラスである。Fig.1-3 にLi2O-Al2O3-SiO2系の状態図を示す35)。Li2O-Al2O3-SiO2系に はeucryptite (Li2O・Al2O3・2SiO2)、spodumene (Li2O・Al2O3・4SiO2)およびpetalite (Li2O・ Al2O3・8SiO2)などの結晶が存在する。これらの結晶はSiO2結晶の誘導体であり、β-quartz固 溶体やβ-spodumene固溶体などSiO2と固溶体を形成する。これらの固溶体結晶には、加熱に より収縮する負の熱膨張係数を有した方向が存在し、結晶全体として負あるいは非常に小さ な熱膨張を示す36)、37)。結晶成長のための熱処理温度を変化させると析出する結晶相は異な り、850‐950℃で熱処理するとβ-quartz固溶体が析出した透明結晶化ガラスが得られ、1100 ‐1200℃で熱処理するとβ-spodumene固溶体が析出した白色結晶化ガラスが得られる。これ らの結晶をガラス中に析出させると結晶の熱膨張と残存ガラス相の熱膨張が相殺されてゼロ 膨張に近い結晶化ガラスになる38)、39)。一般に結晶化度は高く、前者は約 70 mass%、後者は 4 約 90 mass%である40)。ゼロ膨張結晶化ガラスは耐熱衝撃性や耐熱性に優れ、かつ機械的強 度も高いため応用分野が広く、応用例として耐熱食器、電子レンジのターンテーブル (NEOCERAM N‐11:日本電気硝子製)、天体望遠鏡の反射鏡(ZERODUR:SCHOTT製)、 防火戸(NEOCERAM N‐0:日本電気硝子製)などに利用されている22)。 建材用の結晶化ガラスの代表例として、日本電気硝子の「Neopariés」がある。これは核 形成剤を用いない表面結晶化ガラスであり、ガラス粉末を堆積成形させる集積法で作製され る。NeopariésはCaO-Al2O3-SiO2系ガラスを用いて、wollastonite (β-CaO・SiO2)を主結晶相 として析出させたもので、その結晶化過程の模式図をFig.1-4 に示す41)。この方法では、ガラ ス融液を水中急冷してできた直径 1~7mmのガラス粒子を耐火物型内に均一に敷き詰め、加 熱・結晶化させる。ガラス粒子は約 850℃で軟化変形して互いに融着し始め、約 950℃で融 着界面を核として析出した結晶が粒子内部に向かって成長し始める。1100℃で約 1 時間保持 することで結晶化が完了し、表面を研磨すると天然石様の美しい外観を呈する結晶化ガラス が得られる。結晶化度は一般に 30~40%である。Neopariésと天然石の諸性質の比較をTable 1-1 に22)、42)、また、Neopariésの組成をTable 1-2 に示す43)。Neopariésは天然石に比べて高 強度であるため軽量化でき、化学的耐久性にも優れ、再加熱により曲げ加工を行うことがで きるので、ユニークな建築用壁材として利用されている。 結晶化ガラスは近年、情報通信分野でも盛んに使用されるようになっている。例えば、光 ファイバ同士の接続や切り離しを行う光コネクタの部品であるフェレール(GCF:日本電気 硝子製)に使用されている。この主結晶相はβ-spodumene固溶体であり、結晶化ガラスで作製 することで繰り返しの着脱に対する耐摩耗性や耐環境安定性に加えて、線引き加工による高 い生産性が得られる。その他、情報通信分野では磁気記録ディスク、磁気ヘッド基板用の結 晶化ガラスがある。これは高強度、高硬度でかつ薄型で表面の平滑性に優れた結晶化ガラス である。一方、雲母の微細結晶を析出させたマシナブル結晶化ガラスは、緻密で高強度であ り、耐熱性がある上に機械加工性がある。この結晶化ガラスの加工性は雲母のへき開性を利 用して破壊の進行を抑制することにより得られる。また、電気絶縁性も大きいので電気絶縁 材料やスペースシャトルの部品(Macor®:Corning製)などにも利用されている22)。 骨や歯の疾患の治療に用いられている生体活性を示す生体用結晶化ガラスも知られている。 この結晶化ガラスでは、生体中で表面に骨類似アパタイト層を形成して、それを介して骨と 結合する生体活性を示す。apatiteとβ-wollastoniteを析出したA‐W結晶化ガラスは生体活性 と高い機械的強度を示すので、人工骨などに用いられている44)。 1. 3 本研究の目的 これまで述べてきたように、 様々な廃棄物の有効利用に関して多くの研究がなされている。 その中で、無機系廃棄物は一部セラミックスの原料として有効利用されているが、その量は 決して多くは無く、今までの応用分野とは異なる新規の有効利用法を開発して用途を拡大し 5 ていくことが望まれている。 これらの無機系廃棄物をガラス原料として結晶化ガラスへの応用を検討した報告例は多数 あるが、いずれも着色により応用範囲が限られてしまい、用途の拡大に繋がっていない。一 方、着色成分となるFe2O3やTiO2の量が少ない粘土系の廃棄物から結晶化ガラスを作製した 例は無く、様々な分野で利用されている結晶化ガラスのうち、建材用の結晶化ガラスに粘土 系廃棄物を有効利用できれば、廃棄物原料の大量利用と色彩豊かな結晶化ガラスの作製によ る利用範囲の拡大が考えられる。そこで、本研究では、粘土およびケイ砂の精製廃棄物であ るキラに着目し、粘土系廃棄物キラを主原料として、市販品と同等以上の諸特性を有する建 材用結晶化ガラスの作製条件を検討することを目的とした。研究方針として省エネルギー化 と用途の拡大を念頭に置き、以下のことを中心に検討した。 ① ガラスの低融点化 既往の研究では 1500℃以上の温度でガラスを溶融しているが、本研究では修飾成分 となる添加物とその添加量を検討することにより 1400℃以下の溶融・ガラス化を設定 して省エネ化を図る。 ② 白色の結晶化ガラスの作製 廃棄物原料を用いて白色化を達成できれば、様々な着色剤の添加により結晶化ガラ スの色を多様化させることができ、利用範囲が拡大すると考えられる。この際、核形 成剤を添加せずに表面結晶化を利用した結晶化ガラスの作製条件を検討した。 ③ 優れた機械的、熱的、化学的性質をもつ結晶化ガラスの作製 市販品の特性を目標値として、ガラス粉末の粒径、熱処理温度と熱処理時間、析出 結晶相と析出結晶量などについて検討した。 1. 4 本論文の構成 本論文は 6 章から構成されている。 第 1 章「緒論」では、廃棄物の有効利用、キラに関する背景と有効利用に対する検討例およ び結晶化ガラスに関する既往の研究をまとめ、本研究の目的と意義について述べた。 第 2 章「キラ‐石灰石系からの結晶化ガラスの作製」では、原料として使用する廃棄物のキ ラの化学組成と含まれる鉱物相を調査した上で、キラに石灰石を混合したCaO- Al2O3- SiO2 系の結晶化ガラスを作製した。特に、熱処理条件と析出結晶相の関係について調査し、結晶 化の活性化エネルギーも算出した。また、作製した結晶化ガラスの機械的、熱的、化学的性 質について調査・検討した。 第 3 章「粒径の異なるガラスの結晶化挙動」では、ふるい分けおよび水簸法によりガラス粉 末を粒度分けし、得られた粒径の異なるガラス粉末を調製し、結晶化に対する粒径の影響に 6 ついて調査した。 第 4 章「キラ‐ドロマイト系からの結晶化ガラスの作製」では、キラに天然産ドロマイトを 混合したCaO-MgO-Al2O3-SiO2系の結晶化ガラスを作製した。熱処理条件と析出結晶相の関 係について調査し、結晶量を定量分析した。また、作製した結晶化ガラスの機械的、熱的、 化学的性質について調査・検討した。 第 5 章「キラ‐製紙汚泥からの結晶化ガラスの作製」では、キラに製紙汚泥焼却灰を混合した 全廃棄物系原料からの結晶化ガラスの作製について検討した。熱処理条件と析出結晶相の関 係について調査し、作製した結晶化ガラスの機械的、熱的、化学的性質について調査・検討 した。 第 6 章「総括」では各章で述べたことを要約し、本研究を総括した。 7 参考文献 1) 環境庁編、 “平成 13 年版 環境白書” 、ぎょうせい(2001) 2) 平成十二年六月二日法律第百十号 3) 環境省編、 “平成 15 年版 循環型社会白書”ぎょうせい(2003) 4) 環境省 報道発表資料(平成 15 年 1 月 24 日) 、 “産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成 12 年度実績)” http://www.env.go.jp/recycle/waste/sangyo.html 5) 鐵鋼スラグ協会、鉄鋼スラグ統計年報(平成 14 年度実績) http://homepage2.nifty.com/SLG/tokei/japan/index.htm 6) 国土交通省、建設副産物実態調査結果(平成 12 年度) http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/refrm.htm 7) 日本製紙連合会 8) 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Strnad, “Glass-ceramic materials” Elsevier, (1986) 42) 日本電気硝子株式会社 結晶化ガラス建材 ネオパリエ カタログ 43) ニューガラスハンドブック編集委員会編、 “ニューガラスハンドブック” 、丸善(1991) 44) 山根正之、他、 “ガラス工学ハンドブック” 、朝倉書店(1999) 9 Total amount 406,000 kt (100 %) Recycled directly Intermediate treatment Disposal directly 80,000 kt (19.7 %) 303,000 kt (74.6 %) 23,000 kt (5.7 %) Residues after treatment Reduced amount 126,000 kt (31.0 %) 177,000 kt (43.6%) Recycled after treatment Final disposal after treatment 104,000 kt (25.6 %) 22,000 kt (5.4 %) Recycled amount Final disposal amount 184,000 kt (45.3%) 45,000 kt (11.1 %) Fig. 1-1. Process flow for industrial wastes 4). Industrial waste Generated amount (kt) Recycled amount (kt) Recycling rate Blast furnace slag5) 24,205 24,205 100 % Steel slag5) 12,168 11,878 98 % Asphalt・concrete mass6) 30,000 29,400 98 % Paper sludge7) 1,470 1,010 69 % Sewage sludge8) 2,047 1,136 56 % Construction sludge6) 8,000 3,280 41 % Coal ash9) 8,810 7,173 81 % Municipal incineration ash10) 5,682 165 3% Fig.1-2. Generated and recycled amount of industrial wastes 5)-10). 10 Fig. 1-3. Phase diagram of Li2O-Al2O3-SiO2 system 35). P: petalite, R: lithium orthoclase, S: spodumene, E: eucryptite (a) no heat treatment (b) 850oC, 0h (c) 950oC, 0h (d) 1100oC, 1h Fig. 1-4. Schematic model of crystallization of the glass particles in surface crystallization of glass-ceramics41). 11 Table 1-1. Various properties of glass-ceramics Neopariés, marble and granite22), 42) Properties Neopariés marble granite 50 17 15 530 150 70-120 3.4 267 26.2 Weight loss in alkali [mg/cm ] 1.3 7.8 2.6 Linear thermal expansion3] [10-6/oC] 6.1 8.0-26.0 5.0-15.0 Density [g/cm3] 2.7 2.7 2.7 Bending strength [MPa] Vickers hardness [HV] 1] 2 Weight loss in acid [mg/cm ] 2] 2 1] 25X25X5mm3 test pieces, 1 mass% H2SO4, 90oC, 24h 2] 25X25X5mm3 test pieces, 1 mass% NaOH, 90oC 24h 3] 30-380oC Table 1-2. Chemical compositions (mass%) of glass-ceramics Neopariés43) component SiO2 Al2O3 CaO B2O3 ZnO BaO Neopariés 59 7 17 1 12 6.5 4 Na2O K2O Sb2O3 3 2 0.5
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