銀行業界における、 深刻なグローバルアナリティクス 人材不足

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ハイパフォーマンス研究所
銀行業界における、
深刻なグローバルアナリティクス
人材不足
Elizabeth Craig、Charlene Hou、Brian F. McCarthy共著
2013年1月
ハイパフォーマンスの実現へ
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
大手銀行は、成熟市場において様々なプレッシャー
を受ける一方、新興市場では大きな可能性を見出し
ています。新たなグローバル経済下で成功を掴むに
は、顧客行動に対する深い洞察、徹底したリスク管
理、及び銀行業務モデルの改革に取り組む必要があ
ります。
この実現には高度なアナリティクスが不可欠です。
しかしながら、アクセンチュア・ハイパフォーマン
ス研究所の調査が示すように、的確な業務判断を行
うために必要な統計解析や定量分析、情報モデル
技術を駆使できる人材、つまり「アナリティクス人
材」の深刻な需供ギャップが顕在化しています。
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銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
競争環境の変化
2008年の金融危機後、銀行業界の環境
は一変しました。厳しい経済環境、グ
ローバリゼーション、または技術革新
に代表される様々な要因が企業に変革
を強いていますが、同時に新たなビジ
ネスチャンスをもたらしています。す
なわち、顧客は商品やサービスに関す
る豊富な情報を瞬時に得ることが可能
となり、安価で利便性も高いしかも自
分にあったサービス求めています。一
方、株主側は、真の構造改革を通じた
コスト削減を銀行側に求め、また、よ
り厳しくなる規制は銀行の財務報告と
コンプライアンスに対してより厳格な
要件を課しています1。
こうした課題を抱えながらも、これら
を逆手に取ることのできる銀行には、
大きなチャンスがあるといえます2。
例えば、世界的な高齢化が進む中に
あっては、自宅を担保にしたリバース
モーゲージ(英国では「エクイティリ
リース」という)商品など高齢者の
ニーズをふまえた金融商品・サービス
への需要が高まるでしょう。また、情
報・通信分野の技術革新は、オンラ
インバンキング、モビリティ、クラウ
ドコンピューティング、ATM技術、金
銭のデジタル化、アナリティクスと
いった分野で金融機関が差別化を図る
ための新たな方法をもたらします。更
に、新興市場経済の急成長は新たな購
買層を生み、資産管理、リテールバン
キング、住宅ローン、投資サービスへ
の需要を後押しするでしょう。
ビジネスモデル全体に高度なアナリ
ティクスを組み込むことにより、銀
行は課題に対応しながら、好機を捉
えられるようになります。予測的ア
ナリティクスから導き出された洞察
を活用することで、より収益性の高
い顧客と良好な関係を構築したり、
より効率的にリスクを管理・軽減
することが可能になると同時に、ビ
ジネス戦略を変革することができま
す 3。本リサーチが焦点を当てている
のは、銀行の預金業務と貸出業務に
おけるアナリティクスです。これら
の業務は、長きにわたりデータ分析
に基づいて行われてきましたが、リ
アルタイムでの予測的アナリティク
スの導入により、その状況は変化し
つつあります。
銀行が精緻なアナリティクス・ケイ
パビリティを構築するためには、技
術インフラ、プロセス、ガバナン
ス、人材、企業文化といった重要な
分野への投資が必要となり、なおか
つ全社規模でのケイパビリティの開
発には、各部門に分散している膨大
なデータを統合する必要がありま
す。また、アナリティクスを組織全
体の主要ビジネスプロセスに深く組
み込むことも必要になってきます。
そして何より重要なのは、未利用の
データから有用な情報を抽出し、成
果に繋げられる優秀な人材の確保と
いえます。
金融機関が求めている人材とは、定
量的スキルや専門的スキルといった
希少な技能とビジネス手腕を兼ね備
え、手元のデータを活用してモデ
リングを行い、洞察を導き出せる人
材です。例えばソーシャルメディア
のデータといった、無秩序に氾濫す
る膨大なデータに根気良く取り組
み、その中から顧客との強力な関係
を築く新しいチャンスや、リスクを
軽減する機会を見出せるスキルと好
奇心を持つ人材です。モバイル取引
やジオローカライズなど、モバイル
機器を通じて収集された顧客情報を
有効活用できる技能と想像力を持つ
人材も必要でしょう。また、顧客
インテリジェンスやミクロ・セグ
メンテーション、予測的モデリング
を駆使して、リスクを最小限に抑え
つつ利益を最大化するのに最も効果
的な商品群を特定する能力も求めら
れます。
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金融機関が求め
ている人材とは、
定量的スキルや
専門的スキルといっ
た希少な技 能
とビジネス手腕を
兼ね備え、手元の
データを活用し
てモデリングを行
い、洞察を導き出
せる人材です。
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
このレポートでは、銀行の主要事業
である顧客取引において、洞察に基
づいた意思決定を行うために高度な
アナリティクスがいかにパワフルな
ツールとなり得るかをご紹介してい
ます。しかしながら、アナリティク
スの活用には課題もあります。本レ
ポートでは、アナリティクス分野の
人材不足がもたらす影響についても
説明しています。
3つの必須事項
新たな競争環境を勝ち抜くために
は、より収益性の高い顧客を獲得・
維持し、より多くの商品を販売す
る一方で、リスクとコストを抑える
ことが必要となります。この手法自
体には特に目新しさはありません
が、今までと違う点は、目標達成に
おいて高度なアナリティクスが持
つ潜在能力の高さ、そして必要性の
高さにあります。更にハイパフォー
マンスを実現するためには、既存の
顧客管理戦略やリスク管理戦略をた
だ改良するだけでなく、分析によっ
て得られた洞察を活用して、全く新
しいビジネスモデルを構築していか
ねばなりません。
ロイヤリティのある、
収益性の高い顧客の獲得
銀行事業の成功は、ロイヤリティの
ある収益性の高い顧客を掴めるかど
うかにかかっています。しかし、ア
クセンチュアが米系銀行の顧客を対
象に最近行った調査では、その日時
点で、一般的な顧客層の30%が「浮
動」の状態にある、つまり、その銀
行で利用するサービスの数を減らす
可能性や、取引先銀行自体を変える
可能性があるということが明らかに
なりました4。顧客は複数の銀行を試
しながら比較し、価格感応度を高め
ている傾向にあります。こうした行
動は、ブランドへのロイヤリティや
信頼の崩壊を示唆しています。主導
権が銀行から顧客に移ったことで、
銀行は利益を確保することが難しく
なっています。そこに追い打ちをか
けるように、消費者保護の規制強
化、新しいテクノロジーによる銀行
のチャネルの多様化、新規参入組が
提供するバラエティ豊かな商品や
サービスの登場などが重なり、経営
状況は更に厳しくなっています5。
その結果、銀行は顧客志向を加速せ
ざるを得なくなっており、これまで
の商品中心アプローチからの大幅な
軌道修正を迫られています。それに
は顧客を包括的に把握する必要があ
ります。例えば、各顧客セグメント
の行動や選好、その顧客に提供する
商品・サービスのラインナップ、
更にはその顧客がもたらす収益など
を、現在の視点と顧客ライフサイク
ル全体を通した長期的な観点から理
解することが必要です。このような
状況にあって、アナリティクスの活
用は大変有効です。何故なら銀行は
顧客を的確にセグメント化できるよ
うになり、ニーズに合った商品や
サービスの開発、機能・インタラク
ション・価格の最適化、適切なチャ
ネルの組み合わせを通じたソリュー
ションの拡充などが可能になりま
す。更に顧客ロイヤリティ、満足
度、生涯価値、成長への効果を正確
に評価する、より優れた指標も確立
できるようになります。
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リスク管理の厳格化
2008年、一部の国の銀行セクターが
崩壊寸前となり、損失額が数十億ド
ルに及んだことは、複合リスクを予
想することの難しさを改めて実感さ
せる出来事でした。精緻なリスク・
モデリングを中心に据えたリスク管
理が行われていたなら、このような
事態が起きたでしょうか。一般に金
融サービス企業は、リスク管理をコ
ア能力としてではなくコンプライ
アンスの問題として捉え、縦割り型
の管理を行ってきました。しかしな
がら本来銀行は、機能、信用、流動
性、市場、及びその他様々なリスク
因子を網羅しながら、全社規模でリ
スク・エクスポージャーを測定・管
理し、リスク管理を業績評価や報酬
に組み込まねばなりません。
状況が刻々と変化する現代、銀行に
求められるのは、自社のビジネスを
常に把握する能力です。高度なアナ
リティクスは、銀行が流動性やリス
ク・エクスポージャーを把握して、
迅速かつ効果的に調整を行い、損失
を最小限に抑えながらビジネスチャ
ンスを最大化するのに役立ちます 6。
包括的なリスク管理手法を用いて、
行内組織横断の情報を処理・分析
し、複雑なリスク因子を画期的な方
法で統合することができれば、より
効果的なパフォーマンス管理が可能
となります。急増するデータへの対
応や、特に欧米で規制強化が進んで
いるレポーティング要件への対応を
も可能にします。
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
ビジネスモデルの革新
アナリティクスが持つ潜在能力は、
既存戦略の高度化だけに留まりませ
ん。アナリティクス・ケイパビリ
ティを駆使して一歩先を行く銀行
は、データから得られた洞察を活用
し、サービスの提供方法や、顧客の
サービスの利用方法を変え得る画期
的なビジネスモデルを検討するでしょ
う。こうした新たなビジネスモ
デルを採用することで、リテール
銀行は顧客行動の変化に対応でき
るようになるため、小売業者、テ
クノロジー関連企業、携帯電話会
社、ベンチャー企業といった新規参
入組に対し、ペイメント事業での競
争力を高めることが可能になります7。
総合的なアナリティクスによっ
て、更に効果的に顧客のニーズを把
握し満たすことが出来るだけでな
く、個々の顧客が好む取引チャネル
を考慮に入れながら、複数のチャネ
ルを通じて顧客と良好な関係を築け
るようになります。
銀行における
アナリティクス
人材の重要な役割
銀行業界では、様々な部門の社員
が日常的にデータ解析を行ってい
ますが、その全てがアナリティク
ス人材というわけではありません。
例えば、多くのクレジットアナリス
トの仕事は、財務諸表分析を通じて
借り手の弁済能力の評価を行うこと
です。また、銀行に所属する数多
くの金融リスク・アナリストは、
市場崩壊、新しい規制、その他の
リスク要因による影響の研究・分
析・管理を行っています。
アナリティクス人材の役割はこれら
とは異なります。彼らの仕事は、精
緻な分析アプリケーションを開発・
活用し、データから示唆に富んだ
洞察を抽出することです。これら
の洞察を活用することで、戦略・運
営・方策上のより優れた意思決定が
可能となり、ビジネス成果を高め
ることができます。銀行に必要な
のは、3種類のアナリティクス人材
です。具体的には、データから洞
察を抽出するための複雑なモデル
を構築するアナリティクスサイエン
ティスト、これらの統計モデルをビ
ジネスの課題に応用するアナリティ
クスエキスパート、そしてアナリティ
クスのモデルとアルゴリズムから
得られた結果を自らの専門知識と組
み合わせ、行内各部門で活用できる
洞察を導き出すアナリティクススペ
シャリストです。
(各アナリティクス
人材の職務内容例については、
「人材
募集:アナリティクス専門職」をご
覧ください。)
市場でこれらの人材を見つけるこ
とは、益々難しくなっています。
これは、ほぼすべての業界で、こ
の希少な能力を求める企業が増加
しているためです。こうした状況
から、銀行がアナリティクス人材
の需給バランスを深く理解し、ス
キル戦略やソーシング戦略の充実
を図ることの重要性が益々高まっ
ています。ここで考慮すべきは、
アナリティクス人材を配置できる部
門・部署はどこか、そして十分な人
材が確保できるか、という点です。
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チーフ・アナリティ
クス・オフィサー
分析力の高い組織を目指す銀行に
は、部門横断的なアナリティクス・
ケイパビリティを開発することの重
要性を認識し、アナリティクスを積
極的に活用できる組織作りを牽引す
るリーダーが必要です。
銀行はこれまで長きにわたり、リス
ク、財務、顧客評価、コンプライ
アンスといった部門で、かなりの数
のアナリストを採用してきました。
しかしながら、インフラ上の制限、
縦割り型の組織、緻密さを欠くモデ
リングといった要因により、こうし
た部門は、銀行が競争力を維持する
ために必要としている洞察に富んだ
アナリティクスを提供するには至っ
ていません。
新しい傾向として、財務、リスク、
マーケティング、顧客に関するアナ
リティクスを統合し、部門横断型の
アナリティクス・ケイパビリティを
構築するチーフ・データ・サイエン
ティストまたはチーフ・アナリティ
クス・オフィサーを置くという方法
が導入されています。これらのリー
ダーは、アナリティクスを重視する
企業文化の醸成を促進するととも
に、各チームが収集したデータやア
ナリティクスによって得られた洞
察を、複数のチーム間、及び全社
規模で共有できるような体制を構
築します。彼らは、リスク、オペ
レーション、財務、マーケティン
グ、販売の各部門の意思決定に必要
な情報をアナリティクスが提供し得
るということを知っています。更
に、様々な部門から実務能力、解析
能力、データ処理能力を持つ人材を
集めてチームを編成し、より総合的
な方法で重要な問題に取り組むこと
ができるのです。
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
人材募集:アナリティクス専門職
アナリティクス
サイエンティスト
アナリティクス
エキスパート
アナリティクス
スペシャリスト
アドバンストアナリティクス担当
副社長
意思決定管理事業分析マネージャー
リスクマネジメント情報システム及
びスコアリングアナリスト
職務内容:
• 意思決定管理チームを指揮し、顧客
志向で収益性の高い成長を促す、
堅牢で現代的なアナリティクスソ
リューションを提供する
• 高 度な定量法を駆使し、デジタル
世界における消費者体験、顧客の
マインドセット、ロイヤリティ、
選択、及びブランドの資産価値を
モデリングする
必要条件:
• 機 械学習、統計学、マーケティン
グサイエンス、オペレーション
ズリサーチ、計量経済学、確率的
ファイナンス、分散/並列コン
ピューティング、デジタルメディ
アアナリティクス等の分野で有名
教育機関の博士号を取得(ポスド
ク可)、及び一流学術誌や学会で
の発表経験
• 博 士号取得後、高度な定量分析及
びデータマイニングの技術やツー
ル(SAS及び/またはR、Matlab、
Mathematica、ILOG等その他のモデ
リングパッケージ)の分野において
6~9年の経験
• 高 度な統計的手法(多変量、離散
選択、コンジョイント分析、確率
的モデル)、モデル構築、機械学
習(ベイズ法、強化学習)及びオ
ペレーションズリサーチ(待ち行
列、整数計画法、動的計画法)等
における情熱と高い技術能力
• 技 術的思考やアイデアを同僚や上
層部にわかりやすく明確に伝える
能力
職務内容:
• 個 人向けローン商品に新規顧客を
呼び込み、既存顧客のライフサイ
クル管理を改善・強化するのに役
立つ、データ駆動型のアナリティ
クスソリューションを提供する
• 反 応モデル、利益モデル、市場セ
グメンテーションの枠組みやツー
ルを開発・維持・改良する
• 新しいデータソースを探り、個人向
けローンのキャンペーン効果を高
める新しいコンセプトやアイデア
を常に模索する
必要条件:
• 文学/理学修士
• ハ イペースな環境で複数の作業を
同時にこなし、最小限の指示を得
るだけでプロジェクトを主導する
能力
• ビ ジネスイニシアチブを遂行する
ために、部門間の確固としたパー
トナーシップや関係を築く能力
• S AS/SQLプ ロ グ ラ ミ ン グ 技 能 、 統
計的概念に関するしっかりとした
理解、高度なスプレッドシートス
キル
• 優 れたプレゼンスキルとコミュニ
ケーションスキル
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職務内容:
• リ スクマネジメント情報システム
及びアナリティクスチームをサ
ポートする。このチームはデータ
ウェアハウスと高度な統計的ツー
ル(SASやMacro SQL等)を使って
ベンチマーク比でのポートフォリ
オの運用成績を追跡するのに適し
た経営情報システムの設計と構築
を担う
• データ抽出、データの完全性調査、
及びデータとポートフォリオの分
析を行い、得られた洞察を上層部
に提供する
必要条件:
• 文学士/理学士
• 高い分析力と優れたMISスキル(SAS
の知識、プログラミングまたは
コーディングの経験があれば尚
良し)
• データベース環境に精通し、問題解
決能力が高いこと
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
世界の銀行業界
におけるアナリ
ティクス職
アクセンチュア・ハイパフォーマン
ス研究所では、1年間にわたる調査
を行い、アナリティクス人材に関す
る雇用の創出と、市場での技能の可
用性についてのデータを収集・分析
し、必要な人材を企業が適切なタイ
ミングで見つけられるかどうかを検
証しました8。また、この調査の一環
として、銀行の主要なアナリティク
ス分野を手がける専門アナリティク
ス・グループの規模の評価を行いま
した。調査対象は、リテール銀行、
商業銀行、投資銀行、中央銀行であ
り、対象分野は、預金業務及び貸出
業務に限定しました。アナリティ
クスが活用されている分野は、リス
ク、不正行為、信用リスク、クレジッ
トスコアリング、RFMアナリティク
ス、リザーブアナリティクス、支出
アナリティクス、顧客情報システム
(CRM)、取引、オペレーション、マー
ケティング、チャネル管理、コンプ
ライアンス、潜在顧客の発掘、集金
などの業務です。大手銀行は、アナ
リティクス人材に分類される人員を
数千人規模で抱えており、最大手に
おいては、一行あたり3,000人以上に
達しています。これらの情報を収集
した上で、米国、英国、シンガポー
ル、日本、インド、中国、ブラジル
の7か国の銀行が、調査対象部門にお
いて2010年~15年の間に新たに創出
するアナリティクス職の雇用数を予
測しました。
世界の雇用状況
2010年、調査対象7か国の銀行業界に
おいて、預金及び貸出業務に携わる
アナリティクスサイエンティスト、
アナリティクスエキスパート、アナ
リティクススペシャリストの数は合
計9万4,000人でした。(仮に、多くの
銀行で一般的な、例えば支払いや資
産管理といった、他の業務に携わる
アナリティクス人材を含めると、そ
の数は12万人を超えるものと考えら
れます。)
米国の銀行業界の総資産価値を鑑
みると、米国の銀行が他国に比べ
て多くのアナリストを雇用してい
るのは当然と言えるでしょう。
(図1
参照)しかし驚くことに、中国の
銀行における数も米国とさほど変
わりません。しかも、中国より多
くの総資産を有する英国や日本の銀
行業界よりも、中国の方がアナリ
ティクス人材の雇用数が多くなって
います。インドについても同じこと
が言えます。この状況の背景には、
インドや中国には内資・外資を含め
銀行数が多いという事実がありま
す。更に、多くの成熟市場の多国籍
企業が、インドや中国にデータ解析
部門を置いているというのも要因の
1つでしょう。
図1:銀行のアナリティクス職の雇用数(単位:千人)、2010~15年
アナリティクス職の大部分は米国と中国に存在しており、新規雇用のほとん
どは、この2か国で創出されるものと見込まれます。
7.7
6.7
3.4
1.8
0.3
1.2
32.1
27.3
12.2
8.2
7.8
5.1
米国
中国
インド
英国
日本
ブラジル
0.3
1.3
シンガポール
CAGR
4.4%4.5% 5.1% 4.0% 0.8%4.2% 4.6%
(年平均成長率)
2010~2015年
2010年のアナリティクス職の雇用数
2015年までに新たに創出されるアナリティクス職の雇用数
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
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銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
調査対象である7か国の銀行業界で新
たに創出されるアナリティクス職の
総雇用数は2万1,500となり、2010年か
ら2015年にかけての全体の伸び率は
23%になると考えられます。アナリ
ティクス職の雇用増加は、米国、英
国、日本での全般的な雇用成長率と
は対照的な結果を示しています。こ
れら3か国の全般的な雇用成長率は年
間1%未満であり、日本に至ってはわ
ずか0.2%と予想されています。つま
り銀行は、これの4倍以上のペースで
アナリティクス職を増員していくこ
とになります。
(図2参照)
図2:銀行のアナリティクス職の増加と各国の全般的な雇用成長率、2010~15年
米国、英国、日本のアナリティクス職の雇用数の伸びは、全体の雇用成長率を大きく上
回っています。
円の大きさは銀行業界での雇用数を示す(2010年)
6%
インド
アナリティクス職の雇用増加
米国
5%
シンガポール
4%
中国
ブラジル
英国
3%
2%
1%
日本
0%
-1%
0%
1%
2%
3%
4%
5%
各国の雇用成長率
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
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6%
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
今回の調査で、成熟経済(米国、英
国、日本、シンガポール)と高成長
経済(インド、中国、ブラジル)を
比較した結果、アナリティクス人
材のタイプによって、雇用成長率に
違いが認められました。
(図3参照)
シンガポール、米国、英国の銀行で
は、アナリティクスサイエンティス
トやスペシャリストに比べて、アナ
リティクスエキスパートの雇用が急
速に伸びています。これは、従来と
は異なる意思決定が必要な領域を特
定し、業績改善のためにアナリティ
クスをどこに活用すれば良いかを
提案できる人材に対する、切迫した
ニーズの現れでしょう。先進国にお
けるアナリティクスエキスパートの
需要増加の背景には、海外のアナリ
ティクス担当者を統括する役目をエ
キスパートが果たすことが多いとい
う事実があります。
図3:銀行のアナリティクス職のタイプ別増加率、2010~15年
先進国では、アナリティクスエキスパートの雇用が最も急速に成長す
ると見込まれています。中国とインドで急成長が予測されるのは、ア
ナリティクススペシャリスト職です。
5.1%
シンガポール
6.0
4.2
4.9
米国
成熟経済
タイプ別に見るアナリテ
ィクス人材の新規雇用
5.2
4.2
4.3
英国
4.7
3.8
0.8
日本
0.8
0.8
4.8
インド
4.9
5.2
高成長経済
もちろんこれらの国の銀行にとっ
ては、アナリティクスサイエン
ティストの存在も不可欠です。しか
しながら、サイエンティスト職の雇
用の伸びは、どの国でも比較的緩や
かです。これは、技術の発達によっ
て、かつてはアナリティクスサイ
エンティストの高度な専門技術を必
要とした複雑なモデリングや解析の
業務を、アナリティクスエキスパー
トが行えるようになってきたため
です。
3.8
中国
4.4
4.6
3.8
ブラジル
4.2
4.2
アナリティクスサイエンティスト
アナリティクスエキスパート
アナリティクススペシャリスト
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
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銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
シンガポールの銀行では、他の国に
比べて、より高度な役割を担うアナ
リティクスサイエンティストやエキ
スパート職の雇用が急速に伸びてい
ます。これは同国がアナリティクス
のイノベーションハブ及び地域の金
融サービス拠点になりつつあるため
です。
調査対象の国々で、2010~15年の間
に銀行が新たに創出するアナリティ
クスサイエンティスト職の合計は
1,100を超え、合計6,200に達すると
見られています。サイエンティスト
の新規雇用の半分近くは、米国で創
出されると予想されます。これは、
他国に比べ、米国の銀行が常により
多くの上級アナリティクス人材を求
め続けるためです。
(図4参照)同様
に、3,600のアナリティクスエキス
パート職の新規雇用のほとんどが、
米国で創出されると予測されていま
す。
(図5参照)
アナリティクススペシャリストに関
しても、雇用創出数は米国内の銀行
がトップですが、他国との差はさほ
ど大きくありません。新たに創出さ
れる1万6,700のアナリティクススペ
シャリスト職のうち、米国で創出さ
れるのは3分の1に留まっています。
調査対象7か国のアナリティクスス
ペシャリスト職の半分は、中国と
インドの銀行で創出される見込みで
す。
(図6参照)
図4:銀行のアナリティクスサイエンティスト職の雇用数、2010~15年
アナリティクスサイエンティスト職の新規雇用のうち500以上が米国で創出
され、残りの3分の2は、中国とインドで創出されるものと見込まれます。
アナリティクスサイエンティスト
インド、中国、ブラジルの銀行で
は、アナリティクススペシャリスト
の雇用が最も急速に伸びています。
これらの国では、要件を備えた学士
が多いことから、多国籍銀行が基
本的なアナリティクス人材に投資す
る流れが生まれている上、国内銀行
でも、スペシャリストの供給数の多
さを活かして、アナリティクス部門
の増強とアナリティクス・ケイパビ
リティの構築を進めています。これ
らの国の銀行は、エキスパートやサ
イエンティストの拡充も図っていま
す。その理由は、成熟市場と新興市
場両方の銀行が、新興市場に芽生え
つつある新たなビジネスチャンスを
掴むため、こぞってアナリティク
ス・ケイパビリティの発達に力を注
いでいるためです。
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
米国
CAGR
中国
インド
英国
日本
ブラジル シンガポール
4.9%3.8%4.8% 4.3% 0.8%3.8% 5.1%
(年平均成長率)
2010~2015年
2010年のアナリティクス職の雇用数
2015年までに創出されるアナリティクス職の雇用数
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
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銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
図5:銀行のアナリティクスエキスパート職の雇用数、2010~15年
米国では、アナリティクスエキスパートの雇用数が年間5.2%の割合で増加
し、新たに1,500の雇用が創出されます。
アナリティクスエキスパート
8,000
6,000
4,000
2,000
0
CAGR
米国
中国
インド
英国
日本
ブラジル シンガポール
5.2%4.4%4.9%4.7% 0.8%4.2%6.0%
(年平均成長率)
2010~2015年
2010年のアナリティクス職の雇用数
2015年までに創出されるアナリティクス職の雇用数
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
図6:銀行のアナリティクススペシャリスト職の雇用数、2010~15年
アナリティクススペシャリスト
アナリティクススペシャリストに関しては、中国でも米国とほぼ同数の雇用が創出
されます。
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
CAGR
米国
中国
インド
英国
日本
ブラジル シンガポール
4.2% 4.6% 5.2%3.8% 0.8%4.2%4.2%
(年平均成長率)
2010~2015年
2010年のアナリティクス職の雇用数
2015年までに創出されるアナリティクス職の雇用数
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
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銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
浮き彫りになる
需供ギャップ
世界各地でアナリティクス・ケイパ
ビリティを強化している企業が増え
ているため、銀行業界はもとより、
天然資源から電子メディアに至るあ
らゆる業界で、アナリティクス人材
への需要が高まっています。高度な
アナリティクスを採用している組織
から優れたアナリストを引き抜こう
とする企業間での獲得競争は既に始
まっており、銀行は劣勢に立たされ
ていると言えるでしょう。
当研究所が行ったより広範な調査研
究で、対象各国の全業界におけるア
ナリティクス職の雇用成長を分析し
たところ、深刻な需供ギャップが生
じていることが分かりました9。多く
の国で、アナリティクス人材の供給
が雇用成長に追いつかず、人材不足
が発生するものと見込まれます。例
えば、米国では、2015年までに26万人
以上のアナリスト不足が生じる可能性
があります。
(図7参照)
図7:国別のアナリティクス人材の不足と余剰、2010~15年
米国のアナリストの人員不足は、インドと中国で予想される余剰人員の合計
数を上回るものと予想されています。
データは、各国の全業界における全タイプのアナリティクス人材に関する数値
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
-50,000
-100,000
-150,000
-200,000
-250,000
-300,000
米国
ブラジル
英国
日本
シンガポール
中国
アナリティクス人材の不足
アナリティクス人材の余剰
出典:アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所分析
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インド
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
これまで人材の
獲得を得意とし
てきた銀行で
すが、今後、希
少なアナリティ
クス人材を確保
し、グローバル
な成功を勝ち取
ることができる
でしょうか。
例えば中国やインドのように、アナリ
ティクス人材の十分な供給が見込まれ
ている国でさえ、自分たちのニーズ
に合った特定のスキルを持つ人材を
見つけるのは困難となっています。こ
れまで人材の獲得を得意としてきた
銀行ですが、今後、希少なアナリ
ティクス人材を確保し、グローバル
な成功を勝ち取ることができるで
しょうか。グローバル企業は、ある
特定地域の市場の顧客とその地域特
有のリスクを理解している人材を求
めつつ、クロスボーダー・コラボ
レーションを実現するための「グ
ローバルな考え方」や能力も必要と
しています。
しかし、新興市場においては、こう
したスキルを持つ人材は少なく、仮
に見つかったとしても、多国籍企業
での実務経験を持っていない場合が
多いと考えられます。こうした理由
から、多くの中国企業は、欧米で経
験を積んだ人材を採用し、国際ビジ
ネスの経験を社内に取り込もうとし
ています10。
また、優秀な人材は各地に移動す
る傾向が強まっているため、これ
まで以上に適切な人材がいるかど
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うか予測しづらくなってきていま
す。例えば、成熟市場にいるスキル
を持った人材の多くは、新興市場で
の仕事に将来性を見出して海外に
出てしまうため、母国の企業が人
材不足に陥る、という現象が起き
ています 11 。また、以前なら多国籍
企業は、欧米で経験を積みたいア
ジアの人材を当てにすることができ
ましたが、現在その数は減りつつあ
ります12。更に、レイオフや減給、不
正なビジネス慣行のスキャンダルなど
の影響で、ウォールストリートでの就
職を希望する学士も少なくなってい
ます13。
どの企業も、どの業界も、その市場
特有の人材不足に悩まされていま
す。ただ、1つはっきり言えるのは、
業種・業界を問わず、アナリティク
ス人材の確保は困難である、という
ことです。高まる需要に供給が追い
つかないという状況は、近い将来に
改善される見通しもありません。
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
需供ギャップを
埋める
世界中どこでも、雇用主、教育者、
政策決定者は、重要な能力を有する
人材の不足をどのように解消すれば
良いかと、頭を悩ませています。そ
んな中、これらのステークホルダー
が協力し、アナリティクス人材の供
給層を厚くする方策がいくつかあり
ます。
様々なプログラムに、ビジネスアナ
リティクスの講義を追加するよう大
学に働きかける
ビジネスアナリティクスの専門課程
や資格プログラムは、世界中の大学
で登場し始めています。しかしそれ
だけではなく、全学生に課される必
須科目として、または本格的な副専
攻として、理数系以外の課程にもよ
り多くの統計トレーニングを組み込
んだり、
「従来型」の科学・工学課程
にビジネストレーニングを組み込む
ことで、大学はアナリティクスの技
術を備えた学士を多く輩出できるよ
うになります。
教育カリキュラムの改革を求める
企業は、国の教育・訓練システムの
質を高めるよう政府に働きかけるこ
とで、資格を持った学士を増やすこ
とができます。また教育者と協力し
て、コミュニティカレッジや専門学
校のプログラムがアナリティクスの
キャリアパスへと繋がるよう、しっ
かりとした架け橋を作る、というア
プローチもあるでしょう。例えば、
米国の大学は、アナリティクス関連
分野で毎年5万人に準学士号を授与し
ています。
外国人が在留できる制度を求め、政
府に働きかける
高度な定量技術を持つ外国人が、大
学卒業後に帰国してしまう割合が増
えており、特に修士号や博士号取得
者にその傾向が強く見られます。企
業にできるのは、就労ビザの発行件
数を増やすなど、外国籍の理数系大
卒者を国内に引き止めるための仕組
みを作るよう政府に働きかけること
です。
制度 が大きく変われば、長 期的には
人 材 不足 が 解 消 する可 能 性 は あり
ます が、アナリティクス 人材 の 需 供
ギャップをすぐに埋める特効薬はあ
りません。とはいえ、供 給層を厚くす
る等、アナリティクス人材の求人数を
減らすために、雇 用主 が短 期的にで
きることはたくさんあります。ここで、
当研究 所の調査をもとに、企 業に今
できる実 践 的ステップをいくつかご
紹介しましょう。
既存の人材を最大限に活用する
まず、役割の定義とタスクの割り当
てを見直し、アナリティクスサイ
エンティストが持つ専門性の高い特
殊スキルをより有効活用できるよう
にします。次に、アナリティクスエ
キスパート向けにキャリア開発の機
会を創出し、業務担当範囲を拡大し
ます。新しいビジュアルソフトウェ
アツールの登場やアナリティクス技
術の発達により、これまでアナリ
ティクスサイエンティストが担って
いたタスクをエキスパートが行え
るようになっています。最後に、組
織の中に埋もれている才能、つま
り、高度な定量技術を持ちながら、
アナリティクス業務に就いていない
従業員を発掘します。そのような
人材がいれば、アナリティクススペ
シャリストの役割に就くためのト
レーニングを提供します。
学生や大学のリクルーターの認識を
高める
現在、要件を満たす学士のうち、ア
ナリティクス職に就くのはほんの一
握りです。それ以外は、投資銀行
家、コンサルタント、ソフトウェア
デベロッパー、大学教授、研究者
など、他の職業に就いています。多
くの場合、アナリティクス職の雇用
機会を知らないままに、このような
進路決定がなされているのが現状で
す。企業は大学と協力して、アナリ
ティクス職の将来性を学生たちに認
知してもらうような取り組みを実施
するというのも一案です。
アナリティクス職に魅力を感じさせ
る職務の構築
何より大切なのは、アナリティクス
職を、アナリストならではの高度な
専門技術を活かせる仕事にする、と
いうことです 14 。雇用主は、アナリ
ストたちが簡単なレポートを生成す
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るだけでなく、企業目標に直接貢献
できるような難易度の高い仕事に
取り組めるよう、役割の定義付けと
タスクの割り当てを行う必要があり
ます。アナリティクス人材のために
特別な役割とキャリアパスを構築す
ることで、明確な目標、報酬体系、
成長の機会がもたらされます。アナ
リストを組織の標準的なキャリアモ
デルに無理やり当てはめるのではな
く、アナリティクス職のための特別
なキャリアパスを構築することで、
企業はアナリティクス人材を集め、
繋ぎ止めることが可能になります。
労働市場の仲介機関との連携
人材不足が起きている国で、求める人
材の獲得競争に参加しなければならな
い雇用主は、労働市場の仲介機関と連
携を取ることで、求めるアナリティク
ス人材を探すことができます。仲介機
関は、労働市場の「売り手」と「買い
手」を結びつける役目を果たします。
仲介業者の中には、
(Kaggleのようなプ
ラットフォームやyourEncore, Incなどの
ネットワークを通じて)アナリティク
ス人材を一か所に集約し、プロジェ
クトベースで必要なスキルにアクセ
スできる一元的な人材データベース
を構築する業者もいれば、雇用主と人
材を結びつけ、長期またはプロジェ
クトベースでの雇用を支援する機関
StatsCareers.com、oDesk Corporation、
Y-Axis Overseas Careersなど)もありま
す。後者は、仲介機関の従来の役割が
グローバル規模に発展したものと言え
るでしょう。
アナリティクス人材の需供ギャップ
を瞬時に埋める解決策はありませ
ん。しかし、求める人材を発掘する
能力は、銀行にとって欠かせないも
のです。そのため、優れたアナリティ
クス人材を発掘・獲得し、繋ぎと
めるためには、このギャップに対処
するための画期的なスキル戦略とソー
シング戦略が必要となります。し
かし裏を返せば、そこに投資する企
業は、アナリティクス人材が不足し
ているせいで成長戦略を思うように
進められないライバルに、一歩先ん
じることができるということです。
だからこそ銀行は、求める人材を発
掘・獲得するための戦略の策定に今
すぐ取りかかる必要があるのです。
銀行業界における、深刻なグローバルアナリティクス人材不足
執筆者について
Elizabeth Craig ([email protected]
accenture.com)は、アクセンチュア・ハ
イパフォーマンス研究所(ボストン)
のリサーチフェローである。Peter
Cheese及びRobert J. Thomasとの共著
に“The Talent Powered Organization:
Strategies for Globalization, Talent
Management and High Performance”
(Kogan Page, 2007)がある。同氏はまた
“Wall Street Journal”、“Talent Management”、
“Strategic HR Review”、“Journal of Business
Strategy”などにも寄稿している。米ペ
ンシルベニア大学で博士号を取得。
Charlene Hou ([email protected]
com)は 、 ア ク セ ン チ ュ ア ・ ハ イ パ
フォーマンス研究所(ボストン)の
リサーチアナリストである。米ウェ
ルズリー大学で経済学士号を取得。
Brian F. McCarthy ([email protected]
accenture.com)は、アクセンチュア・
アナリティクス金融サービス・ア
ナリティクス部門のエグゼクティ
ブ・ディレクターである。アトラン
タを拠点とし、北米におけるアク
センチュアの金融サービス・アナ
リティクス事業を統括するととも
に、アクセンチュア・アナリティ
クスのグローバル経営陣の一員も
務めている。同氏は企業業績管理
及びアナリティクス分野において
名の知れたソートリーダーでもあ
る。“Journal of Business Strategy”、
“CFO”、“Business Finance”など多数の
出版物に寄稿している。アイルランド
のユニバーシティ・カレッジ・コーク
で統計学修士号を取得。
本調査について
アクセンチュア・ハイパフォーマン
ス研究所では、1年間に渡る調査を行
い、アナリティクス人材に関する雇用
の創出と、市場での技能の可用性につ
いてのデータを収集・分析しました。
本調査は、米国、英国、日本、シンガ
ポール、中国、インド、ブラジルの7
か国と、銀行、保険、通信技術、石
油・ガス、製薬、アナリティクス・
サービスの6業種を対象に行われま
した。
需要サイドでは、経済及び業界の成
長によって創出された雇用数のみを
算入し、退職による雇用は除外しま
した。供給サイドでは、数学、統計
学、オペレーションズリサーチ、そ
の他の定量分野の学士号、修士号、
博士号を持つ大学新卒者に対象を絞
りました。
詳 細については 、クロスインダスト
リー・レポート“Crunch time: How to
overcome the looming global analytics talent
mismatch”(英語のみ)をご覧ください。
本研究レポートの作成にあたり、
Edwin van der Ouderaa並びにAnton L.
Pichler両氏の多大なる貢献を得た。
執筆者一同、ここに謝意を表する。
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参考文献
1 “Infusing flexibility: Core banking transformation
to rebuild profitability and achieve high
performance,” Accenture, 2010.
2 アクセンチュア・ハイパフォーマンス研究所
の実施した“New Waves of Growth: Unlocking opportunity in the multi-polar world (2011)”の研究で
は、企業が活用すべき経済成長の4大機会とし
て、(1)世界的な高齢化による高齢者向け商品
やサービスの需要増大、(2)世界の天然資源の
窮乏化によって過熱したグリーンセクターの
商品やサービスの需要高騰、(3)情報技術や科
学技術の成熟と収束により生まれる情報、通
信、革新技術における改革、(4)新興市場に由
来する新しい消費者需要、という4つの項目を
挙げている。
3 ”Banking Technology Vision: Technology Waves
That Are Reshaping the Banking Landscape,”
Accenture, 2011.
4 “The new customer imperative: Retaining and
acquiring customers in a changed banking
landscape,” The Point 9, no. 4 (2009).
5 “Customer 2012: Time for a new contract between
banks and their customers?” Accenture, 2010.
6 John McHugh and Edwin van der Ouderaa,
“Predicting the future: Why next-stage analytics
will be a difference maker in financial services,”
The Point 10, no. 8 (2010).
7 “Banking 2016: Accelerating growth and optimizing
costs in distribution and marketing,” Accenture,
2012.
8 Elizabeth Craig, David Smith, Narendra P. Mulani
and Robert J. Thomas, “Where will you find your
analytics talent?,” Outlook, October 2012.
9 Elizabeth Craig, Robert J. Thomas, Charlene Hou
and Smriti Mathur, “Crunch time: How to overcome
the looming global analytics talent mismatch,”
Accenture Institute for High Performance research
report, forthcoming in February 2013.
10 “Winning in China: Building talent
competitiveness,” Manpower, 2010.
11 “Go east, young moneyman,” The Economist,
April 14, 2011.
12 Conrad Schmidt, “The battle for China’s talent,”
Harvard Business Review, March 2011.
13 Julie Steinberg, “On Campus, Wall Street Still
Carries Its Cachet,” The Wall Street Journal, March
29, 2012.
14 Jeanne G. Harris, Elizabeth Craig and Henry Egan,
“How successful organizations strategically manage
their analytical talent”, Strategy & Leadership 38
no. 3 (2010), pp 15-22.
アクセンチュアについて
アクセンチュアは、経営コンサル
ティング、テクノロジー・サービ
ス、アウトソーシング・サービスを
提供するグローバル企業です。25万
7千人以上の社員を擁し、世界120カ
国以上のお客様にサービスを提供し
ています。豊富な経験、あらゆる業
界や業務に対応できる能力、世界
で最も成功を収めている企業に関
する広範囲に及ぶリサーチなどの
強みを活かし、民間企業や官公庁
のお客様がより高いビジネス・パ
フォーマンスを達成できるよう、そ
の実現に向けてお客様とともに取り
組んでいます。2012年8月31日を期末
とする2012年会計年度の売上高は、
約279億USドルでした(2001年7月19
日NYSE上場、略号:ACN)アクセン
チュアの詳細は www.accenture.com
を、アクセンチュア株式会社の詳細
は www.accenture.com/jp をご覧くだ
さい。
アクセンチュア・ハイ
パフォーマンス研究所に
ついて
Copyright © 2013 Accenture
All rights reserved.
Accenture, its logo, and
High Performance Delivered
are trademarks of Accenture.
本文書には他者の所有する商標への言及が含
まれている場合がありますが、そのような商
標の使用は、アクセンチュアによる商標の所
有権の主張ではなく、また、そのような商標
の法的所有者とアクセンチュア間の関連性の
存在を表明あるいは暗示することを意図した
ものではありません。
アクセンチュア・ハイパフォーマン
ス研究所は、独自の調査と分析を通
じて、重要な経営問題やマクロ経済
動向、政治動向に対する戦略的洞察
を生み出す研究機関です。当研究所
の経営調査士は、その世界的な信用
と、経営コンサルティング、テクノ
ロジー・サービス、アウトソーシン
グ・サービスにおけるアクセンチュ
アの豊富な経験を活かし、組織によ
るハイパフォーマンスの実現と維
持について、革新的な調査と分析を
行っています。