'99 統一自治体選挙政策集 政策 Q&A 地域に、自治体に、 人間の絆をつくり 創造的福祉社会を 実現しよう '99 統一自治体選挙政策集 政策 Q&A CONTENTS はじめに I 三つの意義と争点 市場経済に対する社会的制御を強めます 市民の連帯と協働で地域公共空間を創造します 自治体を市民の管理機関から共同調整機関に改革します II 五つの基本政策 引きき出そう、地域のヒト、モノ、技術――めざせ地域循環型経済の再生 創ろう、木々の匂い、ぬくもりのある街 つなごう、地域と地域、地域と世界――一人ひとりを大切に、みんなが共に生きる街 社会の安全ネットの形成――参加・分権・生活型の安心できるしなやかな福祉社会へ 変えよう、慣習、馴れ合い政治――住民の自己決定権が保障される豊かな自治 III 政策実現の五つの基本的手段 地方分権の推進・強化 地方分権を保障する税財政基盤の整備 多角的・多重的地域民主主義の確立 政策評価システムの確立 自治体の自己改革 IV 政策 Q&A 〈経済・産業、情報、労働、農林水産、地域振興、エネルギー〉 Q1 与党を抜けても何でも賛成して以前と変わらないのではないですか。 Q2 「消費税をあげたから不況になった」、だから消費税 3%にもどすべきではないですか。 Q3 社民党は金融法案に賛成しましたが、なぜ銀行を救済しないといけないのですか。 Q4 恒久(制度)減税問題にどう対応しますか。 Q5 地域産業の振興と自立的な地域活性化にどう取り組むのですか。 Q6 地域の情報化をどのように進めますか。 Q7 郵便貯金の民営化論がありますが、社民党の考えを教えてください。 Q8 中小企業への貸し渋りにどう対応しますか。 Q9 社民党は、女性起業家をどう支援しますか。 Q10 空き店舗の目立つ商店街をどう活性化するのですか。 Q11 過去最悪の雇用失業情勢が続いていますが、社民党の雇用対策の重点は何ですか。 1 Q12 社民党が考える雇用創出策は何ですか。 Q13 季節・出稼ぎ労働者の職業と生活の安定をどう図りますか。 Q14 労働者派遣法案が国会に出されてしますが、どう対応するのですか。 Q15 労働者の味方といいながら、労働基準法の改正になぜ賛成したのですか。 Q16 農林水産業における担い手間題にはどう対処すべきですか。 Q17 新たな農業基本法に向けた社民党の考え方を教えてください。 Q18 山が荒れていますが、山をどう守っていくのですか。 Q19 社民党が提案している日本型デカップリングについて教えてください。 Q20 都市と農山漁村の共生をどう進めていきますか。 Q21 水産業をどのように振興していくのですか。 Q22 東京一極集中、地方中核都市への人口集中と、地方・地域の過疎化にどう対処します か。 Q23 離島地域、半島地域の振興をどう進めますか。 Q24 安全性を考えると、原子カ発電所の増設はやめるべきではないですか。 Q25 核燃料サイクル推進の政府の方針に対する考え方はどうあるべきですか。とくに世界 の先進国が相次いで撤退している中で、核燃料サイクルの開発に日本だけが固執する必要 があるのですか。また熱核融合によるエネルギーの利用技術の開発は、慎重に行う必要が あるのではないですか。 Q26 21 世紀の日本を支えるための基礎科学研究の充実にどう対処するのですか。また地域 分散型のエネルギー政策をどう確立しますか。自然エネルギーの開発にどのように取り組 みますか。 Q27 宇宙開発は壮大な無駄ではないですか。 〈公共事業、災害対策、都市計画、文化、環境、消費者、交通〉 Q28 公共事業の見直しに、どう取り組むのですか。 Q29 「街づくり」に対する国による規制や行政指導が多すぎると思いますが,いかがです か。また、都市計画に住民が参加するべきだと考えますが、どう取り組むのですか。また、 地域開発と環境保全を調和的に進めるために、環境行政を地方に分権化すべきではないで すか。 Q30 「街づくり」は自治体のプランで進めるべきで、国による規制や行政指導が多すぎる と考えますが、いかがですか。 Q31 障害者、高齢者が住みやすい住宅づくりをどう進めますか。シルバーハウジングもも っと進めるべきではないですか。 Q32 地震災害対策をどう進めますか。また、昨年は大雨で大きな被害が出ましたが、災害 対策はどうしますか。 Q33 土地対策(地価、利用形態)にどう取り組みますか。社民党の住宅政策の基本は何で すか。これからの公営賃貸住宅のあり方をどう考えますか。 Q34 首都機能の移転をどのように進めるのですか。首相官邸の新築は移転をする気がない ことの表れではないですか。 Q35 地域の文化活動やスポーツ・レクリエーション活動をどう振興していきますか。 Q36 地域の文化財をどう保存していくのですか。 Q37 ごみ処理政策の基本は何ですか。民営化についてどう考えますか。 Q38 ごみ処理の広域化・大型化についてはどう考えますか。 Q39 産業廃棄物の処理場建設が大間題となっていますが、産業廃棄物の処理はどうします か。 Q40 産業廃棄物を遠隔地・過疎地で処理することに規制が必要ではないですか。 Q41 ダイオキシンが大きな問題となっていますが、ごみ焼却に伴う環境破壊にどう取り組 みますか。 Q42 リサイクル社会の形成が必要と考えますが、どのように進めますか。 2 Q43 開発者任せの環境アセスメントが住民の生活環境を悪化させています。業者任せの環 境アセスメントでなく住民参加型の厳しいものにすべきではないですか。 Q44 電気自動車やハイブリッド車などの低公害車の導入をどのように進めますか。 Q45 地域の貴重な緑地やわき水・里山(さとやま)を守っていくためには、どう取り組み ますか。 Q46 環境重視の税制へ変えていくべきではないですか。 Q47 異常渇水に備えて、どのような対策をとりますか。水不足の際の住民の生活用水、事 業用水の確保をどう進めますか。自治体が河川の水質を維持するために要した費用につい ては、同じ流域にある複数の自治体問で互いに請求できるようなシステムが必要ではない でしょうか。社民党の水政策を教えてください。 Q48 多国籍企業の活動は国民生活にどういう影響をもたらしていますか。 Q49 安全性に心配がある遺伝子組み換え食品についてどう対応するのですか。 Q50 消費者契約法が必要ではないですか。 Q51 社民党の交通政策の基本は何ですか。 Q52 公共交通優先社会をどのように築いていきますか。 Q53 都市の通勤ラッシュへの対策をどう進めますか。 Q54 交通の需給調整規制の廃止によってどういう影響がありますか。 Q55 地方のバス路線をどう守っていくのですか。 Q56 社民党の進めているオムニバスタウンとは、どういうものですか。 Q57 社民党の進める LRT とは、どういうものですか。 Q58 障害者や高齢者が交通機関の利用を容易にするために、社民党はどう取り組んでいる のですか。 Q59 交通事故をどのように防止していくのですか。 Q60 交通事故の被害者の感情を考えると、交通犯罪の量刑は軽くありませんか。 Q61 駅周辺の放置自転車の解消をどう進めますか。 Q62 社民党は国鉄長期債務処理法案になぜ賛成したのですか。 〈人権、子ども、教育、女性、国際、防衛〉 Q63 日本が、国際的にも人権先進国と呼ばれるためには、どんな取り組みが必要ですか。 Q64 人権を確立するためには、新たな人権擁護システムが必要ではないでしょうか。 Q65 在日外国人の人権確立には、どう取り組みますか。 Q66 「組織的犯罪対策法案」には、なぜ反対なのですか。 Q67 子どもの人権をどう確立していきますか。 Q68 子どもの買春や子どもポルノを禁止する法案が論議されていますが、どんな内容です か。 Q69 いじめの問題や不登校、高校中退の急増などについて、どんな対策が必要ですか。 Q70 少年犯罪への、社民党の対応を教えてください。 Q71 分権・自治による学校づくりと開かれた教育行政に、どう取り組みますか。 Q72 市民の学習機会を保障するために、地域の図書館を、どう充実していくのですか。 Q73 学校給食のあり方について、どう考えますか。 Q74 女性がいきいきと暮らしていくために、どう取り組んでいきますか。社民党の女性政 策を教えてください。 Q75 社民党は選択的夫婦別姓の導入を主張していますが、一部に根強い反対の声について、 どう考えますか。 Q76 男女共同参画基本法案について、どう考えますか。また男女平等社会を地域からつく っていくには、どうしますか。 Q77 働く女性を守る重点施策は何ですか。 Q78 女性労働力が期待されていますが、女性の社会参加を,どう進めますか。 Q79 自衛隊および在日米軍の基地が存在することによる周辺住民の生活への影響に、どう 3 対処しますか。 Q80 社民党は、 「日米防衛協力のための指針」 (新ガイドライン)について、どう考えてい るのですか。 Q81 なぜ、「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)関連法案に反対なのですか。 Q82 新たな「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)に基づく「周辺事態安全確 保法案」と、自治体や民間との関わりについてはどうですか。 Q83 自衛隊の国連軍参加についてどう考えますか。 〈税制、医療・介護・福祉〉 Q84 アジア政策についてどう考えますか。 Q85 消費税をどのように改革していくのですか。 Q86 総合課税制度(社民党的には「公平番号制度」)について、どう考えますか。 Q87 財政再建をどのように進めていくのですか。 Q88 介護保険制度を円滑に実施し、「保険あって介護なし」との心配がないようにするた め、どう取り組みますか。 Q89 少子社会、高齢社会を迎えて、年金制度は維持できますか,社民党の年金改革プラン を教えてください。 Q90 少子化の現象に対して、いかなる対策が必要ですか,また、自治体の役割は何ですか。 Q91 親の労働形態の多様化に伴い、保育所・学童クラブの充実が必要と思いますが、どう 対処しますか。 Q92 安心して受診できる医療制度を確立していくために、医療保険制度をどのように改革 していきますか。 Q93 安心できる暮らしといいながら、医療費を上げたのは社民党ではないのですか。 Q94 安心して老後を送ることができ、生き甲斐がもてる社会を築くために、どう取り組み ますか。 Q95 高齢者の雇用延長、再就職問題をどう進めますか。 Q96 ノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害者の自立をどのように支援してい きますか。 Q97 母子福祉対策をどのように強化しますか。また、生活保護制度をどう改善していくの ですか。 〈自治・分権、地方税財政、政治改革〉 Q98 社民党は地方分権をどう進めていきますか。 Q99 社民党は市町村合併について、どう考えますか。 Q100 社民党は住民投票について、どう考えていますか。 Q101 社民党のいう「自治体改革」とは、どのようなものですか。 Q102 情報公開は、住民に開かれた行政のために不可欠ですが、どのように進めるのです か。 Q103 NPO 法が制定されましたが、どんな内容ですか。自治体レベルでは NPO をどう支援 していくのですか。 Q104 社民党の主張する「自治体議会改革」とは、どのようなものですか。 Q105 在日外国人にも自治体議会への参政権を認めるべきではありませんか。 Q106 国籍条項問題をどう考えますか。 Q107 地方財政が危機に陥っているといわれますが、どのように打開しますか。 Q108 地方財政制度をどのように改革しますか。 Q109 地方税制の改革をどのように実現しますか。 Q110 住民基本台帳法改正にどう対応するのですか。 Q111 国民のプライバシーをどのように守っていきますか。 Q112 警察官の不祥事が相次いでいますが、警察の改革をどう進めますか。 Q113 犯罪被害対策をどう進めますか。 4 Q114 Q115 政治家の汚職が跡を絶ちませんが、政治改革をどう進めていくのですか。 「洋上投票」について、どう考えますか。 はじめに 私たちは日々の生活の場である自治体の政治、経済、社会、文化政策、そしてこれに重 大な影響を与える中央政府の政策を検証し、何を改革し 21 世紀に継承・発展・創造させる か、20 世紀最後のこの年、 1999 年に行われる統一自治体選挙で選択しなければなりません。 とくに国境の障壁が低くなり、加えて非資本主義ブロックであった旧ソ連・東欧圏が崩 壊したことで世界は単一の資本主義市場と化し、それぞれの国の対外的経済関係と国内経 済は表裏一体のものとなりつつあります。これに歩調を合わせて政治も社会も文化も接近 し同質的関係の深まりが目立ちつつあります。このような経済を軸とした広範な分野での グローバル化の進展は一国の主権や国家の役割に重大な変化を与える半面、自治体、地域 の国際的重要性を高めています。つまり世界の動向が地域、自治体にも多大な影響をもつ と同時に、自治体、地域のあり方も世界的影響をもちつつあります。これが 20 世紀最後の 90 年代の特徴といえます。このように自治体、地域のあり方が国内はもとより国際的にも 重要性をもつことは、首長、議員の選挙も一自治体にとどまらず、世界的にも影響する可 能性をもつことを意味します。このことはエポック(例えば沖縄県知事選挙)な事例を除 けば、これまであまり例のなかったことです。 したがって今回の統一自治体選挙は、ひとりわが国の自治体、地域の政治、経済、社会、 文化に限らず、地球大の規模でのオルターナティブ(これまでの単なる延長線上とは違う もう一つの道)を選択する大きな意義をもつものです。 このような基本的意義に加え、この選挙は以下に示すような重要な課題についても具体 的改革の道筋を示さなければなりません。 ①ますます激しくなる競争社会に対抗する公正と連帯に基づく自治体・地域の社会的・ 公共的安全システムの確立。 ②そのための市民と自治体の「公・民協働」による地域公共空間の形成。 ③そうした地域公共空間形成の核となる自治体の自己革新と地方自治制度改革。 ④中央政府の行政責任を自治体に転嫁する側面をもつ地方分権を排し、市民の自己決定 権の保障としての地方分権の推進。 ⑤深刻な不況によって引き起こされている地方財政危機の制度的解決による市民福祉の 財政基盤の確立。 ⑥市民の自己決定権の保障としての多角的・多重的地域民主主義制度の確立。 I 三つの意義と争点 市場経済に対する社会的制御を強めます 私たちは、いまはびこる「市場原理万能論」によって競争社会の真っ只中に置かれてい ます。 地球規模で資本が自由勝手に活動する、いわゆるグローバル化は市場競争を激しいもの とし、資本は競って企業のリストラによる首切り・賃下げを加速させています。とくにわ が国のそれは、アメリカ的経済基準への適合、つまりアメリカン・スタンダードこそグロ ーバル化の神髄と見なしているため、「市場原理」を万能視する極めて異常な経済社会政策 が自民党政府によって進められています。「社会的制御」による適正な「市場競争」を維持 しつつ、市民生活における社会的・公共的安全システム(医寮、年金、介護、身障者保護、 保育、高齢者・子ども・女性に優しい街づくり等)との調和を図っているヨーロッパの社 5 会民主主義政党の経済社会政策と、わが国における新・旧保守主義とネオ・リベラリズム の混在する自民党、自由党、民主党との大きな相違点はここにあります。 中央政府や自治体の役割を再編・縮小することで公共サービスを資本に切り売りし、市 民には「自立」・「自助」による自己責任を押しつける「公・民」関係の見直しと改変が社 会経済の最適基準を達成すると考えるのは時代錯誤もはなはだしいといわざるをえません。 事実このことはすでにレーガンやサッチャーの新保守主義路線の破綻によって証明されて います。20 年遅れでこの道を歩もうとする新・旧保守主義の自民、自由両党やネオ・リベ ラリズムを標榜する民主党の政策では、個々の政策では一定の相違点はあっても市場競争 の真っ只中に市民を追いやる点では本質的相違はありません。 私たちは「市場原理万能論」に立つ競争万能社会とそれを推進する例外なき「規制緩和」 に反対し、市場経済に対する社会的制御を強め、人間性の復権と市民の不安なき生活の向 上を図ります。したがってこの選挙は自治体、地域から市民と協働・連帯し、市場経済に 対する制御を進めるか、それとも自治体行財政に対する市場経済の一層の浸透による公的 サービスの縮小と市民の負担増を許し、社会的不安の増大を助長させるか、重大な選択を 迫る選挙です。 同時に、この選挙は地域経済にもオルターナティブを求める重要な選択の場であります。 大型店の進出による既存商店街の衰退はフェイス・トゥ・フェイス(小売店主と消費者の 対話)の買物の機会を奪ったばかりか、地域文化の衰退にも拍車をかけています。また江 戸時代から営々と築かれてきた商工業の技術、伝統的地域文化等地域の自然的、技術的諸 資源の大手資本による収奪は経済の地域循環を阻害することで、かえって地域経済の効率 性を低下させています。このことは大消費地向けの農業生産物の生産・流通・消費システ ムによるコスト高をみれば明らかでしょう。しかもそうした過程は市民の健康にも憂慮す べき問題さえもたらしています。自治体を媒介した地域循環型経済システムを生産者、技 術者、市民の手でつくり上げるか、グローバル化による地域経済の衰退をさらに助長させ るか、地域経済のあり方についてもこの選挙は重要な選択を迫るものといえます。 市民の連帯と協働で地域公共空間を創造します 私たちの日々暮らす自治体、地域は市民にとって十分な公共空間として形成されなけれ ばなりません。 「学び」、「育み」、「働き」、「楽しみ」、「助け合い」、「創造し」、「安らぐ」場。それが地域 であり、そのような人間の多様な営みの織りなす空間。それが地域公共空間です。バスを はじめとする地域公共交通の衰退、子どもを落ちこぼす教育、障害者の自由に歩けない街、 時間をかけて作り出されてきた地域の伝統技術や文化・芸能、そして営々と研磨されてき た中小企業の精密な技術の衰退、農業・林業の衰退、既存商店街の空洞化、鉄とコンクリ ートに象徴される都市開発、親水や散策とはおよそ無縁な環境など地域公共空間は極めて 貧困です。そればかりかこうした空間は市場競争が激しくなればなるほど疲弊していく現 状にあります。 この選挙は、市民の連帯、協働による自治体と市民の新たな「公・民協働」関係を充実 することをとおして地域公共空間を形成するか、それとも市場原理万能論によって地域公 共空間をこれ以上に非人間的にしてバラバラな無機的空間とするかを問う選挙です。 自治体を市民の管理機関から共同調整機関に改革します 自治体は市民が創り、決定し、運営する市民の政府であり、その目的は地域公共空間の 充実にあります。つまり市場経済では十分なサービスができなかったり、また市場に委ね ては公平・公正なサービスが確保できない分野を供給する政府。それが市民の政府である 自治体の役割です。つまり自治体は市民の社会的・公共的安全システムを支える市民に最 も近い基礎的公共機関であり、しかもこの役割は内外の市場競争が激化すればするほど拡 大させる必要があります。 6 私たちはかつて社会党として 1960 年代から 70 年代において、自治体のこうした役割を 発揮させるため、革新首長を先頭に自治体改革の運動に取り組んできました。この成果は、 ①自治体とは中央政府の下請け機関ではなく市民の政府であることを具体的政策をとおし て実感させたこと、②その核心は老人医療の無料化に見られるように高度成長から取り残 された市民に対し、中央政府に先駆けて行われた福祉行政を中心とする政策の先導性にあ ったこと、③企業との公害防止協定に見られるように先進的環境保全行政を進め、企業利 益中心から市民の健康・安全を重視する社会転換を促進したこと、等によく示されていま す。しかしこうした改革が革新首長を中心とするいわば「上からの改革」にとどまり、自 治体の機構、行財政運営、職員の意識改革、市民参画の制度的保障など自治体の全面改革 にまで発展させることはできませんでした。「革新自治体運動」から「自治体革新」への転 換を求められたのもここに理由があります。 自治体改革のこうした歴史的経緯や成果を踏まえ、一方では「競争原理」がますます横 行し自治体行財政にもその波が押し寄せているとき、私たちに求められる自治体改革は、 自治体を市民の政府として、地域公共空間の形成と市民の社会的・公共的安全システムの 身近な機関として、その役割を大きく転換することにあります。この選挙は、自治体を依 然として市民・地域の管理機構として温存・強化するか、それとも市民の自発性に依拠し、 NPO(非営利組織)やボランティアをはじめとする市民との連帯と協働を推進するコーデ ィネート(共同調整)機関に転換させるか、自治体の役割を根本的に見直し転換すること にあります。 II 五つの基本政策 引き出そう、地域のヒト、モノ、技術 ――めざせ地域循環型経済の再生 バブル経済の崩壊に瑞を発する未曾有の大不況が日本経済を襲い、不況を克服し生活に 安心を取り戻すことが喫緊の課題となっています。地域においても商店街の空き店舗の増 加に見られるように、地域経済の疲弊・崩壊が街の活力を低下させています。これまでの ゼネコン中心・中央主導の公共事業も一向に効果が上がらず、国と自治体の借金を増やす ばかりとなっています。 地域の雇用づくりや地場産業の発展をどのように進めていくのか。これまでの大プロジ ェクト誘致型、公共事業依存・開発中心の地域振興の失敗はすでに明らかです。にもかか わらず旧態依然とした発想による対策が横行し、自治体同士に企業から選ばれる競争をさ せようという政府のやり方では、地域の未来はありません。 大量生産、大量消費、大量廃棄によって経済成長を進めることはもう時代に合いません。 緩やかな成長を前提とした地域に根ざす生活・経済・社会システムへの転換を進めます。 そのため、社民党は、人間の共生・連帯の場としての地域を大切にし、地域の循環型経 済を確立していく、もう一つの地域振興のあり方を提案します。環境や福祉関連の事業な ど、地域の内発的発展、地域経済の再生に役立つ事業(本来の「公共」事業)によって、 地域から経済を下支えすることが必要です。 地域のヒト、モノ、技術を引き出すため、新規産業の育成や、地域住民・女性起業家の 支援を進めます。定年帰農者を支援し、地域社会の活性化も推進します。中低所得者層や 中小企業、ベンチャー企業に公正に融資することを義務づける日本版「地域再投資法」を 展望し、地域金融機関の育成にも取り組みます。暮らしに身近な産業構造の構築、地域全 体の需要に積極的に応えていくようにします。地域の商工業と農林水産業の連携を進め、 地場産品の生産・加工・流通を一体的に行えるようにします。 創ろう、木々の匂い、ぬくもりのある街 7 ゆとりと豊かさを実感できる社会をつくるためには、日々の暮らしの基盤となる生活環 境・住宅・交通・文化情報関係の社会資本を、高齢者や子ども、障害者など誰にでも使い やすいように、質・量ともに整備することが必要です。そのためには、住民の意見や利用 者のニーズが的確に反映されるよう、地方分権を進めることが欠かせません。公共事業も、 経済成長至上目的から、環境を大切にし、国民生活の下支えとなる、福祉・環境・生活・ 情報を重視する新しい質の公共事業に改革しなければなりません。どこにでもあるような、 どこでも同じようなといった、これまでのような画一的な箱物・道路整備、鉄とコンクリ ートに偏重するのではなく、地域の個性を活かした木々の匂い、ぬくもりのある街を市民 とともに創っていく必要があります。伝統文化・技術やその街のもっている匂いを大切に した街づくりを進めていきます。同時に、従来型の公共事業も、高齢者、障害者、子供に やさしい生活道路を重点にしたり、障害者が車椅子に乗ったまま街を散策できる道路づく りをしたりという、弱者の立場を大切にした事業に転換し、バリアフリーの街づくりを進 めます。 いままではベッドタウンであるとか、工業地帯であるとか街を機能によって分ける政策 が行われてきました。しかしこれからは、住民全体で自分たちの街のことを考えられるよ うに、「住む人が誇りをもてる街」、「職住遊学のバランスのとれた街」を創ります。 情報・通信インフラといった新しい社会資本整備を農村部にも普及させ、生活・福祉・ 医療・教育など住民の生活に密着した利用ノウハウの開発とそのための人材育成を進めて いくことも必要です。地域の人々の労働能力、技術力の向上や、事業を担える地域に根ざ した人材の育成も不可欠です。 また、土地の利用や取引、環境保全、安全性確保などの規制を的確に実施して、企業活 動を優先した従来の方式を転換し、消費者・生活者優先に改革していきます。自治体のあ らゆる政策や事業は環境と密接に関連をもち、すべての仕事は環境と関わっています。市 民とともに地域から環境を守っていく責任が自治体にはあります。そのため、環境自治体 宣言や環境基本条例の制定を進めるとともに、ISO の環境管理監査制度の導入や、水資源の 保全やリサイクル行政の確立をはじめ、自治体のすべての施策を環境の視点から見直し、 環境自治体づくりを進めます。 つなごう、地域と地域、地域と世界 ――一人ひとりを大切に、みんなが共に生きる街 自治体の存在意義は、自治体に居住したり滞在したりしている人の人権を保障し、安心 して暮らせる社会をつくることにあります。人種差別撤廃条約の批准を踏まえ、地域社会 においても差別撤廃に向けた努力が払われなくてはなりません。また、いま多くの外国人 とともに私たちは地域で暮らしています。国際化に対応して、外国人に開かれた国、外国 人に対する差別と偏見のない社会をめざすことも重要です。異文化との共生が地域づくり の大きな柱とならなければなりません。 こうした観点から、社民党は、法の下の平等や個人の尊重を謳う日本画憲法の精神を踏 まえ、すべての人びとがお互いに人として尊重し合い、共に生きる社会の実現を地域から めざします。人権を擁護し、高齢者・障害者や外国人に対する差別と偏見をなくすためノ ーマライゼーションや国際交流を積極的に進めるとともに、両性の平等を基礎に男女が政 治・経済・社会・家庭のあらゆる分野で共に支え合う国づくりを地域から進めます。また、 画一的な教育を改め、個性が大切にされる教育の実現を図ります。 また、ポスト冷戦時代において、 「平和の時代」の展望を地域からつくり出すため、自治 体の果たす役割はますます大きくなっています。住民の福祉の増進が自治体の基本的役割 であり、自治体が地域を代表して市民の利益を守る役割を積極的に果たすため、社民党は、 分権・自治に立脚した自治体の平和政策の展開に取り組みます。具体的には、非核自治体 国際会議などへの積極的な参加、「非核自治体宣言」を推進するとともに、平和国際交流や 平和教育の推進など非核・平和理念の具体的政策展開と体制整備を図るため、自治体の平 8 和政策の基本となる「平和自治条例」の制定に取り組みます。また、 「国際自治体連合」へ の加盟や、ジュネーブ条約追加議定書に基づく「無防備地域宣言」などを進めます。平和 憲法を活かし、率先して軍縮を行い、国際軍縮のリーダーシップを発揮するとともに、地 域の歴史や伝統を活かした自治体レベルの交流や NGO との相互協力、民際外交を進めなが ら、生活、人権、環境などの分野において、民衆の目線で細やかな貢献を行っていきます。 社会の安全ネットの形成 ――参加・分権・生活型の安心できるしなやかな福祉社会へ 少子社会・高齢社会を展望すると、「創造的福祉社会」−安心できるしなやかな福祉社会 の創造が急がれなくてはなりません。私たちのめざす「創造的福祉社会」における福祉と は、「与えられる福祉・恩恵としての福祉」ではなく、「市民の絆で支え合い、創り上げて いく福祉・幸福追求権としての福祉」です。応能負担原則の所得課税を基幹税として堅持 しつつ、「創造的福祉社会」を支える基盤の税財政を充実します。また、不公平(金持ちや 大企業ほど有利な)税制の大胆な見直しや、土地や株などへの資産課税の充実・適正化に も全力で取り組みます。 少子社会・高齢社会は、社会的費用ばかりが増大し活力が停滞する社会では決してあり ません。負担・停滞といった暗いイメージばかりが強調されますが、私たちが考える社会 は、一人ひとりが参加することによって生活に密着した福祉を創造し支え合う、明るい社 会です。福祉、健康、医療などの分野における新たな雇用の創出や産業の発展によって、 高齢者や障害者が生き甲斐をもてる福祉社会を築きます。 もちろん自治体がそのために重要な役割を果たします。画一的で押しつけではなく、利 用者本人の自由な選択に基づく福祉、誰もが享受できるサービスの提供、自治体や国が責 任をもって公助と共助、自助を適切に組み合わせながら進めるようにします。社会的に弱 い立場にある低所得者、障害者、難病患者、お年寄りなどの方々には、きめ細かな配慮を 行い、公平・公正の原則を貫きます。年金の水準を将来にわたって維持するとともに、医 療保険制度の国民負担増を認めません。 変えよう、慣習、馴れ合い政治 ――住民の自己決定権が保障される豊かな自治 市民の要求に根ざした政治や地域の特性を活かした産業・経済を確立するために、分権・ 自治は不可欠の手段です。地方分権推進委員会の累次の勧告に基づき地方分権推進計画が 決定され、地方自治法をはじめとする関係法律が約 500 本以上改正されることになってお り、99 年の通常国会は「地方分権国会」でもあります。 地方分権推進委員会の成果と限界も明らかになってきました。中央主導の分権ではなく、 「地方発の分権」をめざします。分権は、国と自治体の関係にとどまらず、自治体と市民 の関係を変えていくことを求めています。社民党は、自治体を国の下部機関・地域管理機 構から、地域サービス機構・地域社会のコーディネーター(調整役・助っ人)へと転換す ることを自治体改革の課題として掲げて行動します。地域のことは地域で決めるのが原則 です。そのため市民の自治を基本に、多角的・多重的な地域民主主義制度を確立します。 条例づくりや行政サービスも市民の参加に基礎を置いた、フイードバック可能なやわらか な仕組みにします。 一方、地方財政は、戦後第 3 の危機にあります。しかも本格的な分権時代を前にして、 税財源の国から自治体への移譲は焦眉の課題となっています。同時に、介護保険の実施を 目前に控え、真に市民が必要とする事業への自治体の歳出構造自体の転換、福祉自治体づ くり・環境自治体づくりといった課題への対応も迫られています。 増大する需要と窮乏化する財政的圧力をてこに、福祉の抑制や市民負担の引き上げ、自 治体の行政サービスの再編を迫る動きがあります。しかし、社民党は、自治体を市民の生 活を守る「とりで」・安全ネットとして位置づけ、市民の連帯・協働によって社会的制御活 9 動を進めていきます。 もちろん、自治体が市民の信頼を勝ち取れるよう徹底した自己革新を遂げなければなら ないことはいうまでもありません。社民党は、自治体改革の先頭に立ち、市民の自己決定 権が保障される豊かな自治の展開をめざして取り組んでいきます。 III 政策実現の五つの基本的手段 地方分権の推進・強化 地方分権は市民の自己決定権を保障する手段です。同時にそれは市民自立と自治体を市 民の政府とする基礎条件でもあります。したがって自治体が名実ともに市民の政府として 中央政府から自立した存在となることを保障するとともに、地域公共空間形成の内容とあ り方、これを実現していくための市場経済に対する社会的制御など地域の諸課題を市民み ずから決定し、運営し、その効果を検討するための法的根拠と手続を整備すること、ここ に地方分権の意義があります。したがってこの地方分権は明治以来のわが国の諸制度とそ の下で形成されてきたこの国のこれまでのあり方を市民、自治体を出発点に根本的につく り変えることを意味する壮大な改革です。 こうした立場から村山内閣の下で設置された「地方分権推進委員会」は、今日まで 5 次 にわたる「指針勧告」を内閣に行い、1999 年度には具体的な法改正が行われることになっ ています。この間「指針勧告」は自治体に対する中央政府の「関与」の縮小を地方分権の 戦略課題とし、明治時代から延々と続いてきた機関委任事務制度(自治体の長を中央政府 の機関と見立てる制度)を廃止するなど、憲法に定める「地方自治の本旨」の実現に大き く寄与してきました。しかし省庁の抵抗や村山内閣から自民党の橋本、小渕内閣へと政権 が交代するたびに「指針勧告」の内容も後退を重ねています。このような後退を許すなら 当初の意義は失われ、地方分権は市民の自立・自助、自己責任のみが残るばかりか、地方 分権を実質的には否定する「受け皿論」によって市民意思とはかけ離れた市町村合併しか 残らないことになりかねません。これでは本来の目的である市民の自己決定権の保障とし ての具体的制度改革(例えば住民投票制度の創設)、あるいは地方自治の制度的基盤である 税財源の移譲を含む財政基盤の改革などは全く顧みられないことになります。 私たちは、市民の政治的・社会的・経済的自己決定権を保障する手段としての地方分権 を推進します。そのため通常国会で審議される予定の約 500 本の改正法案を厳しくチェッ クしつつ法改正を促進します。また憲法に規定する「地方自治の本旨」を実現し、自治体 を市民の政府とするため「地方自治基本法」の制定を図ります。 地方分権を保障する税財政基盤の整備 自治体に対する中央政府の「関与」が廃止・縮小されても中央政府による税財政を通じ たコントロールが温存される限り地方分権は成り立ちません。このため私たちは以下のよ うな税財政改革を図ります。 ①中央政府 7、自治体 3 の現行税財源の配分を、実際の財政の支出状況(中央政府 3、自 治体 7)に見合うよう税財源を自治体に移譲します。 ②このためまず市町村においては、その基幹税目を個人所得課税および固定資産課税を 中心に改めます。具体的には国税である所得税と個人住民税を市町村所得税として統合し、 おおむね課税所得 3000 万円以上の所得者についての課税は国税とします。 ③都道府県の基幹税目は法人事業税と消費・流通課税とし、とくに税収の安定を図る意 味で一定規模以上(1 億円)の法人に対する事業税については利子・賃貸料、賃金等を課税 標準とする外形標準課税に転換します。 ④以上の基幹税目の改革によって自治体の自主財源は充実され地方交付税の交付団体は 大きく減少し、交付団体はおおむね全自治体の 3 分の 1 程度となり、その配分内容も各種 10 補正を駆使した多様な配分内容から基本的行政施策中心の配分に転換することが可能とな ります。こうした改革と合わせその配分を中央政府および自治体の共同事務とするため、 中央政府代表、自治体代表ならびに学識経験者による地方財政委員会を設け公正な配分を 図ります。 ⑤国庫補助支出金については、中央政府が全国的に実施しなければならない事業を除き、 廃止あるいは統合補助金化し、財政の紐付きを排除します。 ⑥地方債発行の許可制は廃止するとともに、その公社債市場の整備を図ります。そのた め信金、信組、労金、農協、郵貯、第二地銀による地方債市場を育成し、資金の地域循環 機能を高めます。 ⑦地方財政の基本的性格(大小さまざまな自治体財政の総和)を踏まえ、基幹的税目を 中心に地方税財政に多大な影響を及ぼす税財政制度の改革については代替財源の保障を基 本原則とします。 多角的・多重的地域民主主義の確立 市民の自己決定権を保障するためには、市民みずから多様な民主主義制度をとおして自 治体運営に参画することが必要です。このことは産業廃棄物、原発、軍事基地をはじめと する地域の多くの課題について住民投票が強く求められていることからも明らかです。し たがって私たちは、以下に示すようにこれまでの全国画一的住民自治制度を排し、多角的・ 多重的市民参加・自己決定制度を創設します。 ①議会制度については、議員定数、選挙制度等を自治体が自由に条例で定めます。 ②地域の多様な階層を反映する議員構成となるよう、市民の立候補しやすい議会制度に 改めます。すなわち公的機関や民間企業に在籍する職員については在職中の立候補の自由 を保障し、当選した場合でもそうした機関での就業を保障します。 ③自治体の職員については、在職する自治体以外の居住する自治体について立候補なら びに議員活動を保障します。 ④以上の改革を踏まえ、こうした制度の定着動向を勘案したうえで議員の報酬制につい ては、議会開催日の出席を基本に実費弁償制に改めます。 ⑤住民投票制度を創設します。その場合、付すべき案件ならびに諮問的住民投票か意思 決定の住民投票かは条例で定めます。またそれ以外の課題(条例の制定改廃を含む)につ いても有権者の 5 分の 1 以上の署名要求があれば住民投票に付するものとします。 ⑥現行の議会と首長部局の分離制については、自治体の条例で議員も行政執行に参画で きる執行委員会制を自治体が選択できるようにします。 ⑦情報公開条例の全国化を進めます。 ⑧被選挙権、選挙権の年齢を引き下げます。 このような改革に加え、多様な市民による共生と連帯によって地域公共空間の形成、社 会的・公共的安全システムを保障・充実させていくためには、これまでのような日本国籍 のある者だけに政治参加を限定する閉鎖的政治をオープンにする必要があります。このた め私たちは、在日外国人で 3 年以上居住する者の議員に対する立候補権、つまり「地方参 政権」を保障することが重要であり、そうした権利保障を展望した在日外国人会議など自 治体独自で行われている参加制度を重視します。 ところで、社会的・公共的安全システムの直接的担い手が自治体の職員であることはい うまでもありませんが、豊かな地域公共空間を形成していくためには、こうした自治体職 員を中核としつつも、これにさまざまな経験や意欲をもつ市民を加えた協働サービス体制 を整備する必要があります。このため雇用、年金、公務災害等に対する保障制度の確立を 踏まえたパート労働的常雇用職員制度の創設を図ります。 政策評価システムの確立 財政危機の深化に合わせ、「無駄の排除」の観点から政策評価がいくつかの自治体で進行 11 しています。しかし企業と異なり自治体における政策評価の基本はあくまでも施策の社会 的有効性を評価するものであり、北海道における「時のアセス」も、企業経営システムを 取り入れた三重県の「行政改革システム」も、求められる政策評価システムの一つの側面 にすぎません。 私たちは徹底した情報公開を前提とする政策形成過程に対する市民の参画、個別施策の 社会的有効性、自治体の行政施策全体における個々の施策の有効性を市民、有識者、職員、 サービスの受給者を中心に判定する政策評価システムを確立します。 また議会も政策評価機構の一機関であるとの立場から、議員調査権の保障、自治体共同 の外部監査機構の創設など現行システムの強化・拡充を進めます。 自治体の自己改革 自治体が市民との共同調整機関としてその役割を高めていくためには、その行政機構も また住民のニーズに沿って柔軟に改変される必要があります。また財政運営においても予 算書をはじめとして市民にわかりやすいものとする必要があります。このため私たちは以 下のような基本的改革を進めます。 ①自治体の部、課ごとの業務量の科学的計量、新規施策の企画・実行のための必要な職 員数など部・課の改変も含め、定期的に行政機構を見直します。 ②財政においても個々の事業の財源内容とその進捗度および財政支出(フロー)と資産 (ストック)を明示します。 ③議会を情報公開条例の対象とするとともに、会議の公開制、本会議、委員会の議事録 の作成と公開、市民の傍聴しやすい夜間議会の開催、小・中学校、公民館等を利用した地 域での夜間議会の開催、質問者・答弁者名の入った議会公報の作成・配布等、自治体の自 己改革を進めます。 ④福祉オンブズパーソン等、市民の社会的・公共的安全システムの円滑な実施を図るた め、主要な行政別オンブズパーソン制度を創設します。 さらに自治体の職員にどのような市民を採用するかは首長固有の権限であるとの原則に 立ち、在日外国人の「地方参政権」の保障と並んで、職員採用についても特別職を除いて 在日外国人の公務員採用を推進します。 IV 政策 Q&A 引き出そう、地域のヒト、モノ、技術――めざせ地域循環型経済の再生 Q1 与党を抜けても何でも賛成して以前と変わらないのではないですか。 社民党は、 自社さ連立政権で政策形成能力の高さを示し、 被爆者援護法や NPO 法案など、 自民党単独政権下ではなしえなかった多くの成果を生み出しました。また、ロッキード事 件で有罪となった議員の入閣問題に対し、国民とともに毅然たる態度をとり、橋本政権に 政治倫理・道義上のけじめもつけさせました。 閣外協力を解消したのは政治腐敗防止の問題や新ガイドライン関連法制などをめぐって 「政策の合意と信頼関係」が崩れたからです。すなわち党の理念と政策の実現が困難にな ったと判断したのです。私たちは、一貫して社会民主主義に基づいた政策を国民に訴えて いるのであり、与党や野党という立場によって政策を使い分けるということはありえませ ん。 しかし、連立与党において党が取り組んできた課題や政策には責任があります。みずか らが参加した政策や法案に対し、野党になったことだけを理由に反対するとすれば、あま りにも無責任であり、無定見のそしりを免れません。今後、党が関与していない政策・法 12 案に対しては鮮明な立場をとります。 また、 「なんでも反対」するのが「野党」だという先入観は捨て去らなければなりません。 社会的弱者やお年寄り、女性の権利と豊かな暮らしに資するのであれば、政府法案であっ ても賛成の立場をとります。しかし、国民の権利を奪い、弱者にしわ寄せがいくような政 策には断固として反対します。現在の政府・自民党は既得権益の擁護ばかりで旧来の姿に 逆戻りしてしまっており、社民党としては鮮明に対決していきます。 社民党は国民とともにあり、ともに平和で民主的な 21 世紀を築くことを訴えます。その 「政策の優位性」はこの政策集から読み取れるはずです。 Q2 「消費税を上げたから不況になった」 、だから消費税を 3%に戻すべきで はないですか。 96 年 4 月から消費税率が 3%から 5%に引き上げられましたが、その時には 5 兆 5000 万 円の減税が先行して実施されています。しかも引き上げられた 2%のうち 1%は地方の税源 として市民福祉の向上のために活用されています。昨年(98 年)は、消費を拡大するため に合計 4 兆円の減税も行われましたが、消費は拡大せず景気は一向に回復する兆しはあり ません。このことからも深刻な景気停滞が消費税率の引き上げによって起きているのでな いことは明らかです。社民党は現在の不況は、年金や介護など老後への不安、雇用に対す る不安、貸し渋りへの不安など、国民の生活に対する先行き不安にあると考えています。 この不安を解消し国民が安心できる将来を保障していくための政策こそが行われなければ ならないのです。 消費税率を 3%かゼロにすべきだという議論が自由党から出ていますが、2 年後には消費 税率を 5%以上に引き上げることが前提であり納得できるものではありません。消費税の一 部は地方の主要税源として活用されていますし、少子高齢化の進展を考慮に入れると、消 費税は福祉や雇用への使途を明確にしていくことこそ焦点化すべきです。もちろん自由党 も福祉目的税化に言及はしています。そうであるなら余計、景気対策とリンクさせて消費 税率を云々すべきではありません。福祉は景気の善し悪しによって左右されることがあっ てはならないからです。社民党は、消費税率の 3%への引き下げやゼロに凍結するといった 方法は賢明な選択ではないと考えます。 社民党は、逆進性緩和のための「戻し金制度」の創設や「益税」解消のためのインボイ ス制度の導入など消費税自体の改革に全力で取り組みます。 Q3 社民党は金融法案に賛成しましたが、なぜ銀行を救済しないといけない のですか。 社民党は、昨年の第 143 臨時国会で「金融再生関連法案」と「金融機能早期健全化緊急 措置法案」に賛成し法案は成立しました。まず、強調しておかなければならないことは、 これらの法律は決して個別の銀行救済を目的としたものではないということです。もちろ ん公的資金の注入が、個別金融機関の救済であってはならないことは当然のことです。公 的資金は、合併等によって自己資本が悪化した銀行や、経営の状況が悪化していない銀行 が優先株式等を引き受けたことによって、国際基準による自己資本比率が改善されず、そ のため地域の経済や地場産業、雇用、健全な借り手(健全な中小企業)保護に重大な影響 が出るような場合に注入されるものです。経営が成り立たない銀行については、国の特別 公的管理下におかれるか、ブリッジバンクに移行することになります。 一部の政党が、「公的資金注入は行うべきではない」「すべては銀行の責任で行うべきだ」 という主張をしていますが、これは極めて疑問です。なぜなら、この主張の根底には「市 場は万能」という考えがあるからです。はたして市場は万能でしょうか。社民党はそうは 考えません。 民間の金融機関は地域経済への影響力を含め、さまざまな企業(そこで働く従業員を含 13 む)と関係をもっています。多くの人々が預金もしています。その意味で銀行は、あくま で民間とはいえ「公的性格」も合わせもっています。金融再生関連法や金融機能早期健全 化法は、銀行と関係をもつ人々や中小企業を守るための法律であり、そのために金融機関 への公的資金の注入を行うものです。 Q4 恒久(制度)減税問題にどう対応しますか。 現在の深刻な景気の停滞をもたらしている消費不況の根源的な要因は、単純な可処分所 得の低迷といった要素よりは老後の不安や雇用不安などに象徴される(先行きの)生活全 般に対する不安にあると考えるべきではないでしょうか。暮らし優先の施策を重視する姿 勢を鮮明にするためにも、安心できる生活設計と表裏一体の関係にある年金や介護制度な どの再構築が、大幅減税の実施よりも優先されなくてはならないのです。 そのうえで、制度減税を実施する場合の不可欠の前提として、納税者番号制度(「公平番 号制度」)を導入し、適正な所得の捕捉体制を整備するとともに、所得課税の総合課税化を 税率構造の見直しに合わせて図る必要があります。 なお、94 年の「税制改革」では、社民党の強い主張が入れられ、教育費や住宅費など一 番物入りとなる世代に当たる年収 700 万∼1000 万円の中堅サラリーマン層に重点を置く 3.5 兆円の恒久減税が行われました。この結果、約 600 万円以上の層は、消費税の 2%引き上げ に伴う負担増よりも、減税効果の方が大きいことが政府の試算によっても明らかになって います。この事実からも、なぜ今、大幅減税が生活不安対策よりも上位に置かれる必要が あるのか疑問です。この認識に立つならば、可処分所得の実態を踏まえた整合的な制度減 税の規模とは、自然増収や不公平税制の是正で「間に合う」範囲・規模でよいことになり ます(当面は景気動向も踏まえて赤字国債の充当もやむをえませんが)。 また、社民党は、応能負担原則が追求できる個人所得課税を基幹税とする立場を堅持し ます。したがって、個人所得課税の半減構想に象徴されるような大幅減税至上主義には与 することはできないし、将来にわたって、消費税率のアップによって減税財源を確保する ことには明確に反対です。 Q5 地域産業の振興と自立的な地域活性化にどう取り組むのですか。 社民党は、変化に対するスピードと独創性を誇る中小企業と、女性をはじめとする地域 住民や市民の NPO による創業・経営を中心に、人材・資金・技術の総合的支援を行い、 「循 環型経済」「高齢社会」「高度情報通信社会」といった 21 世紀を展望した、健全で活力ある 地域社会を構築します。 地域住民への開業支援は地域密着型の産業構造を展望するうえで重要です。とりわけ、 高齢社会をひかえ、給食や配送サービスなど介護福祉分野における地域での開業支援は急 務です。 また、景気に左右されない、力強い創造的な地域産業を構築することが重要です。業種 別の設備近代化などハード面のみならず、個別企業の経営資源などソフト面にわたる総合 的な支援を行います。技術開発、商品開発、人材確保、設備投資、新分野進出、市場調査 などさまざまな段階において、中小企業の情報ネットワーク化、産学連携体制の整備など に取り組みます。 そして、建設業界をはじめ中小企業は、大企業との事業規模による圧倒的格差を前提と せざるをえません。下請取引の適正化、官公需発注の義務づけ、分野調整法の改正・運用 強化が不可欠であるとともに、中小企業基本法については、中小企業の定義などを見直し ます。 さらに、安易なプロジェクト・イベント誘致には明確に否定し、魅力ある安定的な雇用 の場の確保と自立した地域経済の実現を図ることが重要です。鋳造、金型等ものづくりを はじめとする地場産業に対して、熟練工の養成・確保、産業集積の推進、研究開発等、学 習の振興など総合的かつ計画的な振興支援を推進し、あわせて工業集積地域の活性化など 14 を図ります。 Q6 地域の情報化をどのように進めますか。 テレビ電話やパソコン普及による生活基盤型情報通信のネットワーク化を強力に推進す ることが急務です。とりわけ、高齢社会等への対応に不可欠な迅速性に富む「安心・安全 ネットワーク」を整備するため、テレビ電話やパソコンの地方自治体からの各家庭への無 償貸与を進めます。また、電気通信の地域格差を是正するため、移動通信用鉄塔施設整備 事業を拡充し、携帯・自動車電話等が全国どこでも使えるようにします。 ある自治体では、97 年からテレビ電話を全世帯に導入し、試験的に行政サービスが行わ れています。このテレビ電話の導入で、医師や看護婦、保健婦がテレビ画面を見ながらお 年寄りに健康面でのアドバイスをしたり、母親の子育て相談に乗ったり、教育現場でも活 用(不登校児への登校の呼び掛け)されています。また、この各家庭のテレビ電話は、行 政案内や各種サービス、買物、娯楽などさまざまな映像による情報も呼び出すことができ ます。このテレビ電話の設置によって、この自治体は大いに活気づいているのです。 社民党は、中小都市や過疎地域の各家庭に対して、テレビ電話やパソコンを地方自治体 から無償貸与するため、現行の基盤整備・高度化事業の大幅拡充を行い、通信端末を購入 する地方自治体に対して国が全額補助を行うなど、必要な財政措置を講じます。(注) 各家庭に貸与された、たった 1 台のテレビ電話が、村の活性化ばかりか、福祉や教育対 策にもなり、当初は思いもしなかった景気対策としての効果まで出てくるのです。従釆型 のような中央官庁主導の大規模公共事業による景気刺激策ではなく、情報通信分野を重視 した分権型の対策が必要です。 (注) 通信端末 15 万円など×1.5 万世帯(中堅都市)×200 市町村= 5000 億円(300 万世帯に対応)/年 Q7 郵便貯金の民営化論がありますが、社民党の考えを教えてください。 郵便貯金の民営化や郵便、貯金、簡易保険の郵政三事業の分割などを行えば、とくに過 疎地域など不採算地域での店舗維持が難しく、サービスに支障が出るのみならず、撤退を 余儀なくされることは明らかです。改めて指摘するまでもなく、三事業はそれぞれ国民生 活と密接不可分の事業を行います。国民に最も身近な基礎的通信手段の「郵便」 、簡易で安 全で確実な貯蓄手段の「為替貯金」 、加入時無審査・職業無制限・即時払いの「簡易保険」 はそれぞれ、国営事業としての積極的な意義をもちます。 国民生活に最も身近な存在となっている郵政三事業は、 小学校とほぼ同数の全国 2 万 4000 余の郵便局によって支えられ、寝たきりのお年寄りや障害者など社会的弱者の方々への福 祉施策を展開するなど、全国あまねく公平にサービスを提供しています。また、国民の税 金を一切使わない独立採算制をとる郵政事業は、厳格なコスト意識の下、三事業一体の効 率的な運営が行われています。今後、高齢社会にむけ、郵便局ネットワークの更なる有効 活用により、各種行政サービスをひとつの窓口で一括して手続できる「ワンストップ行政 サービス」など情報・安心・交流の拠点として、21 世紀の郵政事業が期待されています。 先の省庁再編・財投改革について分割・民営化に反対の立場で取り組んだ社民党は、郵 政三事業を地域生活のライフライン・サービスとして位置づけ今後ともネットワークの維 持、発展に努めます。全国あまねく公平かつ効率的な郵政サービスを展開するためには、 国営・非営利・三事業一体で運営することによってはじめて可能といえましょう。 Q8 中小企業への貸し渋りにどう対応しますか。 昨年来たび重なる貸し渋り対策を講じてきましたが、長引く不況を背景に、依然として 広範な貸し渋りがやみません。 「金利引上げ」 「担保保証条件の厳格化」 「審査期間の長期化」 などについて、相当数の中小企業が懸念・不安を示しています。(注)不良債権処理や金融 15 ビッグバンのため、今後とも中小企業をとりまく金融環境は予断を許しません。 貸し渋りの原因は、銀行がバブル崩壊以降の不良債権処理にもたついてきたことにあり ます。貸し渋りの責任は銀行自身にあり、経営者の経営責任を徹底追及します。また、こ の間、経営の順調な企業へも新規・追加融資を渋ったり、貸し渋り対策を債権回収に悪用 するなど、金融機関本来の使命を放棄したかのような対応が、とりわけ大手銀行に見られ ました。広範かつ陰湿な貸し渋りを行う金融機関に対しては、厳しく対処します。 そして、喫緊の課題は、政府系中小企業金融機関をはじめ中小企業向け融資や、信用保 証協会など信用補完制度の一層の拡充・充実です。とくに無担保・無保証人での保証と融 資は中小企業の円滑な資金繰りに不可欠であり、特別小口保証やマル経融資などを大胆に 拡充します。また、ある自治体が実施した、無担保・無保証の自治体による直接融資制度 は、地元中小企業者から高い評価を受けています。各地の自治体でも独自の貸し渋り対策 を積極展開するとともに、財政措置を含めた国の支援を実行します。 さらに、土地を中心とする物的担保によって行われる現行の融資審査は、中小企業者や 新規開業者にとっては、極めて厳しいのが現実です。特許をはじめとする知的財産権を担 保にした融資制度に転換することも必要です。 (注) (97.12) (98.3) (98.6) (98.9) 貸し渋り倒産(帝国データ) 57 79 80 70 (件数) 金融機関貸出残高(日銀) 0 -1.7 -2.4 -2.7 (前年同月比) 資金繰り Dl(中小公庫) -17.8 -27.2 -30.6 -29.8 (「余裕」−「窮屈」) Q9 社民党は、女性起業家をどう支援しますか。 高齢社会を目前にし、生活者としての視点や発想を活かした商品・サービスが地域社会 に受け入れられており、みずから創業することを希望する女性や企業を経営する女性の数 も急増しています。(注)他方、初めて女性経営者に言及した 98 年の中小企業白書も指摘 するとおり、経営者として女性が社会で活動する際には、依然として女性であるがために 「借入が困難」「信頼度が低い」など、差別や偏見に基づくさまざまな障害が山積していま す。 このため、地域に暮らす女性、子育て後の女性、学校卒業後の女性など、新規開業に意 欲旺盛な女性に対する積極的な支援を行うことが喫緊の課題です。各種研修・経営相談、 優先的な融資・債務保証、税制上の優遇措置などを創設・拡充し、トータルな女性起業家 支援策を確立します。 開業前の創業者研修や経営指導員による経営相談など、一層の拡充を行うとともに、地 域住民に広く PR して、利用しやすい制度にすることが重要です。また、経理・財務やマー ケティングなど起業家をサポートするスタッフの育成や派遣を充実し、人材情報ネットワ ークを構築します。 また、女性の新規開業に対しては、国として優先的な融資・債務保証を実施するととも に、日本版「地域再投資法」 (金融機関に対し、低所得者や小ビジネスに公正融資を求める) を展望して民間金融機関にも積極的な開業支援を求めます。とくに、マル経融資(国民金 融公序における無担保・無保証融資)における開業資金の貸付制度において、女性起業家 を優先対象として追加、位置づけます。 さらに、中小企業者から高い評価を受けている交流事業や起業支援塾、直接貸付制度等、 すでにいくつかの市町村等で独自に実施している施策について、各自治体でも積極的に実 施するとともに、国による財政支援を行います。 創業者の性別構成比(95 年経営状況実態調査) 男性 96%、女性 6%(1985 年以降) 業種別女性比率(96 年国民金融公庫) 飲食業 29%、個人向けサービス業 19%、小売業 15% 16 Q10 空き店舗の目立つ商店街をどう活性化するのですか。 全国の商店街の約 4 割で空き店舗が全店舗の 1 割以上を占めるほど、商店街の疲弊は深 刻です。(注)衰退著しい各地の中心市街地の活性化や商業活性化を支援する市街地活性化 対策を大胆に講じます。 「中心市街地活性化法」では、各自治体が創意工夫を活かした空き店舗対策や施設整備 などの具体策を実施し、国は補助金や税制面で優遇措置を講じることになっています。費 用の半額が国の補助になる基本計画策定には、すでに 100 を超える市町村が名乗りを上げ ています。また、商工団体や第三セクターが設立するタウンマネージメント機関(TMO) は、街づくり専門家の養成・派遣や調査研究費の助成などを受け、空き店舗に地域で必要 な業種の誘致、駈車場やごみ処理施設など施設整備、宅配サービスなど共同ソフト事業な ど活性化事業を展開することができます。 また、無秩序な大型店進出は地域社会を破壊するだけです。改正「都市計画法」では、 市町村が中小小売店舗地区等を設定し、大型店が出店できない地域を定めることができま す。また、大店法に代わる「大店立地法」では、自治体が生活環境保全の観点から大型店 の出店に変更を求める権限をもっています。すでにこのルールを先取りする形で独自要綱 を制定する自治体も現れ、大型店に駐車・駐輪場の整備やごみ対策などで住民説明や自治 体協議を義務づけています。 これら「街づくり三法」を積極的に活用して地元主導の商店街活性化を行い、一連の支 援施策を一層拡充して、地域住民と共生する魅力ある街づくり、健全で活力ある中小小売 業者を支援します。 (注) 4 人以下 5-9 人 10-19 人 20-29 人 30-49 人 50 人以上 計 (97 商業統計表、%) 商店数増加率 販売額構成比 Q11 -26.9 21.7 13.1 19.3 72.6 17.6 86.2 8.8 66.4 8.2 74.7 24.3 -17.5 (97 年/82 年) 100 (97 年) 過去最悪の雇用失業情勢が続いていますが、社民党の雇用対策の重点は 何ですか。 国民の生活実感に根ざし、かつ暮らし優先の施策を重視する姿勢を鮮明にするためにも、 一般会計からの積極的な財政出動を伴う万全の財源措置を講じつつ、 「失業を生まない、つ くらない」ための「緊急雇用対策」の実現に全力を上げます(国政の最重要課題として政 策の総動員を行いたい)。 最大の政策目標は、雇用不安の発生を事前に予防する施策の充実であり、この観点から、 「雇用調整助成金利度」の助成期間の抜本拡充に取り組みます(現行は再指定を含めて最 大 200 日→時限的に 2 指定期間のフル適用とし、教育訓練と休業を合わせて最大 400 日の 支給へ)。 また、深刻の度を増す来春新卒者の内定状況を踏まえ、実効性ある新卒者対策の一環と して、有給のインターンシップ制度(注)の創設や、より厳しい状況下に置かれている女 性の雇用環境の改善に資する措置として、女性を新たに雇い入れた企業に対する(女性向 け)教育訓練に係る経費助成なども講じていきます。 雇用の安定は元気のある企業(本来的な意味での雇用吸収力を有するのは収益企業に限 られる)に期待することが多いことから、単なる「新規雇い入れ助成金」(黒字・赤字に関 係なく給付される)等の大幅上乗せにとどまることなく、失業者の積極的な採用企業に対 する優遇税制の創設に取り組みます。 同時に、倒産など雇用の激変によって生じる労働者の生活不安に的確に対処するため、 可能な限り(最大限)のセーフティーネットを張ることを最優先し、この観点から、訓練 延長給付(最長 2 年)の積極適用をはじめ、内職等の従事者も対象とできるように未払賃 金の立替払い制度の改善と拡充を進めます。また、深刻な不況の直撃を受けざるをえない 日雇労働者についても、失業手当受給要件の緩和など助成措置のかさ上げを図ります。 (注)インターンシップ=学生が社会人の仕事や職場を知って就職活動などの参 17 考にするため、企業などで短期間、仕事をすること。アルバイトとは区別され、 アメリカで盛ん。 Q12 社民党が考える雇用創出策は何ですか。 ベンチャー企業等の新産業の育成を力強く支援できる税制等の総合的な施策を講じ、民 間の雇用吸収力の最大限の発揮をめざします。同時に、公的関与による雇用機会の創造も 重視します。急速に進む少子・高齢化に柔軟かつ能動的に対応していくためには、福祉型 の新たな経済産業構造への大転換と併せ、福祉ヒューマンパワーを積極的に養成するとと もに、市民の NPO などとも連携した健全で活力ある高齢社会を創造していくことが「時代 の要請」ともなっています。 この理念に基づき、社民党は、福祉ヒューマンパワーの身分保障を確立し、雇用機会を 確保します。具体的には、俸給表策定など必要十分な所得保障を含む待遇改善を早急に進 め、安定したサービスの提供と福祉水準を維持しうる身分保障を確立するとともに、福祉 人材センター等の拡充や絶対的に不足している福祉関係施設の新増設などに取り組みます。 このような身分保障と雇用機会という車の両輪を確固たるものにし、2010 年までに 100 万 人規模のホームヘルパー等の雇用創出を図ります。 日本の将来を担う子どもたちには人間性あふれる環境の下で学習できる機会が保障され るべきとの考えから(教育は未来への先行投資) 、学習ニーズにきめ細かく応えるとともに、 いじめ等の子どもをめぐる問題の解消を図るために、小・中学校教員の積極採用を進め(当 面は 25 万人の雇用創出を図りつつ、中期的には 45 万人の雇用創出をめざす)、30 人学級の 早期実現に取り組みます。 また、公共事業における「雇用収縮」の改善を図るために、政府または地方公共団体の 行う公共事業の発注においては、雇用情勢に顕著な改善が見られるまでの当分の間、受注 事業主に対して失業者の雇用を促進する措置を義務づけることにします。 Q13 季節・出稼ぎ労働者の職業と生活の安定をどう図りますか。 季節労働者対策の基本は、年間をとおして働く場を確保すること(通年雇用)によって 季節的失業を防止し季節労働者の雇用の安定を図っていくことに尽きます。寒冷地等の気 候・風土に適合した雇用機会の創出を支援するために、「地域雇用開発助成金」や「通年雇 用安定給付金」の抜本拡充を図ります(助成率等の引き上げなど)。 出稼ぎ労働者の生活を守るための取り組みは、出稼ぎの皆さんの権利確立を図ることを 目的とした組織化を支援するなど(全国出稼組合連合会の結成)、一貫して社民党の重要政 策になっています。その成果は、出稼ぎ労働者の安定就労の促進と福祉の増進を図るため のさまざまな施策の実現として実を結びました。例えば、①就労経路の正常化を図るため の「出稼労働者手帳」交付、②就労条件の改善向上など受入れ体制の整備を行うための「関 係事業所台帳」の作成等による雇用契約の明確化や労働朱件の適正化、③職業安定所と基 準監督署との相互通報制度の確立による賃金不払いの救済対策の徹底−などを進めること ができました。 しかし、不況の長期化によって、健康管理の軽視をはじめ、このような前進面がないが しろにされるおそれも懸念されます。社民党は、出稼組合連合会との連携を強化して、出 稼ぎ労働者の権利侵害が行われることがないよう、監視活動等を徹底していきます。 同時に、社民党は、出稼ぎをしなくてもすむ地域経済をつくる施策を最優先するととも に、地元での安定した就労機会を確保する観点から(安心できる家庭生活を営んでいくた めにも)、地域雇用開発等促進法に基づく助成措置などの積極的な活用や、中高年齢層が新 たな雇用機会に適合する職業能力を身につけるための施策の充実にも取り組みます。 Q14 労働者派遣法案が国会に出されていますが、どう対応するのですか。 同法改正の最大の目的は、労働者派遣を臨時・一時的な「労働力受給調整」としての機 18 能を発揮させるために、派遣対象業務の自由化という、現行派遣法の構造を根本から変え るところにあります(現行の 26 業務のみを認めるポジティブリスト制度から、原則自由の ネガティブリスト化への変更)。 このような法改正が、過去最悪の失業率を記録している雇用情勢等を〝説得材料〟に、 「失業なき労働移動(転職)」の決め手として推進されていくことは大問題です。なぜなら、 規制緩和の大合唱の前に派遣の自由化を急ぐあまり、派遣労働者の権利保障がないがしろ にされているからです。例えば、派遣先の都合次第で十分な保障もなく雇用が打ち切られ るばかりでなく、育児・介護休業などの手当もされず、低賃金労働を我慢させられること にもなりかねません。このまま推移すれば、派遣の自由化が、より効率的な「労働者の使 い捨て」を促進し、正社員のリストラや事業主が雇用責任を負わなくてもすむ派遣型への 置き換えが主流になるのは必至といえます。 したがって、社民党としては、①派遣先(受入れ企業)の責任を明確化し、不当な理由 による雇用の打ち切りに対しては派遣先が直接の雇用責任を負う、②派遣労働者が性や年 齢、障害の有無によって差別されないように労働条件の均等待遇を確保するとともに、社 会保障の通用対象とする、③派遣労働者の個人情報保護のルールを確立し、本人の情報開 示請求権や修正ないし削除を求める権利を保障する−など、必要な法的規制を講じつつ、 労働者派遣法の改悪を阻止し、将来の評価に耐えうる「あるべき法改正」に取り組みます。 Q15 労働者の味方といいながら、労働基準法の改正になぜ賛成したのですか。 社民党は、当初から、労働者の権利と生活・健康を守るために労基法のより質の高い水 準での修正を求める方針で首尾一貫して努力してきました。 また、改正原案においても、時間外労働の上限基準の法的効力・裁量労働の一定の拡大 防止規定など、社民党の「修正 7 項目」をはじめ、労働契約締結時に文書により明示すべ き事項の拡大・退職事由の明示義務化など、労働契約の「入口と出口」での労働関係の明 確化を図り紛争の予防に寄与する内容−等々、労働者の要請に沿う骨組みも盛り込まれて いたことも軽視されてはならないのです。したがって、「まず反対ありき」という立場とは 元々相容れないといえました。 この〝尺度(判断基準)〟に基づき、①育児・介護等の家族的責任を有する女性のみの 激変緩和措置の確立(「女性のみ保護規定」が失効した後の現行 1 年 150 時間水準の 3 年間 の維持)と、 「ポスト激変緩和措置」としての時間外労働の男女共通の免除請求権の創設に 目処が立ったこと、②深夜業に従事する労働者の就業環境の改善・健康管理の推進(自主 的な健康教断の助成)を法律に明記するとともに、深夜労働時間を質的・量的に規制しう る「数値基準」を含めた実効ある抑制方策の道筋が明らかになったこと−など、社民党が 主張してきた論理補強を加えたうえでの新たな前進面をもつ修正が追加されたため、賛成 するに足る条件が整ったと考えたのです。 しかし、労基法改正問題の最大の争点の一つでもあった裁量労働制をみても(業務・労 働者の範囲など)、中央労働基準審議会の専門家協議に委ねられるなど積み残された課題も 多いといえます。社民党は、その結論が未組織労働者等の声を十分に反映したものとなる よう、不退転の決意を固め、引き続き全党的な取り組みを進めていきます。 Q16 農林水産業における担い手問題にはどう対処すべきですか。 現在、農業従事者の高齢化が進み、95 年には 42.3%にのぼるなど深刻な状況となってい ます。一方で新規学卒就農者はわずかに 2000 人(96 年)です。林業、水産業も同様の傾向 を示しており、このまま事態を放置すれば、日本の農林水産業は壊滅的な状況に至ること は確実です。 これまで以上に幅広い層からの就農を促進し、新たな担い手を育成するために、青年就 農促進法が中高年齢者も施策の対象とするよう改正されましたが、状況を根本的に解決す るに至ってはいません。そのため社民党は、担い手確保のため多様な経営体への就農を保 19 障し、所得、社会保障を充実させるとともに、青年・中高年就農者の自立経営への助成を 拡充強化します。 具体的には、①若い人たちが魅力を感じることができるような農林水産業の基盤整備の 推進、②新規就農対策としての無利子貸付制度の充実・拡大、③学校教育で農業現場での 体験学習などの推進、④大学や専門学校で農業を学ぶ学生に対して、就農した場合返還免 除される新たな奨学金の創設、などを図ります。これまで社民党の取り組みで、自治体と 農業団体の協力関係を強め、新規就農者の受入れ体制づくりを進めるとともに、地域段階 で実施可能な「無利子貸付制度」や「研修費返還免除」措置を実施してきましたが、引き 続き取り組みを進めます。また、農林水産業に果たす女性の役割を重視し、女性がいきい きと活躍できるよう支援を強化します。 Q17 新たな農業基本法に向けた社民党の考え方を教えてください。 地球環境の汚染、21 世紀には 100 億人にも達するといわれる世界人口の増加などによっ て、農地の減少、水資源の枯渇などが進行しています。このままでは、深刻な食料と水の 危機に直面し、21 世紀が「飢餓の世紀」となるでしょう。そのため地球規模の危機、すな わち、人口・食料・環境問題を解決することが、農業に課された新たな役割であるといっ ても過言ではありません。 社民党は、これまで一貫して日本農業の再建に取り組んできましたが、農業を取り巻く 新たな状況を踏まえ、他党にさきがけて新たな農政の理念とその政策目標を明らかにして きました。社民党は新たな農業基本法において、①国内農業生産を基本とする食料の安全 保障の確立、②安全な食料を安定的に供給する持続可能な農林業の推進、③農業、農村の もつ多面的機能の発揮、④WTO・国際社会に果たす役割と対応について明確にすべきと考 えています。具体的な政策展開にあたっては、①食料自給率については、国の責任で明示 (当面 50%)すること、②家族農業を基本とした環境保全型農業づくりを進めることを基 本に据え、③国は自給確保と環境保全に必要な直接所得補償政策や農用地と担い手対策の 助成事業を進め、④地域農業振興計画は自治体が策定し、必要な助成はまとめて国が交付 するほか、農用地や担い手の確保についても自治体の自主的行政を国がバックアップする ようにします。 また、世界の食料安全保障と農業の公益的機能の確立に向けて、新たな貿易ルール、コ メの貸借などアジア地域の食料安全保障機構の確立も急務です。 Q18 山が荒れていますが、山をどう守っていくのですか。 日本は国土の約 7 割(67%)が森林で覆われている世界有数の森林国です。森林は、雨 が多く急峻で急流が多い地形の特徴に対応し、自然の貯水機能を果たすことでこうした自 然条件を緩和し、土壌侵食や洪水の防止など国土保全の役割を果たしています。この森林 のもつ公益的機能などについては、39 兆円にものぼる外部経済効果があるとの評価もあり ます。 現在、日本の森林のうち人工林は、保育・間伐の対象となる 35 年以下のものが約 7 割を 占めています。しかし、木材価格が低迷する一方で間伐経費が増大するなどによって、間 伐が遅れており、自然災害や病虫害に弱い森林となる可能性があります。また天然林もさ まざまな森林施業が必要となりますが、その維持管理が厳しい状況にあります。 そのため、森林のもつ国土保全、環境保全、水資源涵養などの公益的機能をどう発揮さ せるか、さらに森林資源を循環的に有効利用することで木材生産機能をどう発揮させるか が、緊急の課題となっています。そのため社民党は、まず林業、林産業の活性化による山 村の振興など、国有林、民有林が一体となった「新たな流域管理システム(機構)」が機能 するよう、①抜本的な予算措置を行うとともに、②流域ごとの活性化協議会が活力をもっ て動き出せるよう、幅広い構成とし、③実行拠点として「森林・林業・環境保全総合事務 所(仮称)」を設置するなど、「民・国一体」で、地域の自主的な力を基礎とした森林づく 20 りを進めます。また、森林を守り育てる人材を育成するとともに、雇用の拡大を図ります。 Q19 社民党が提案している日本型デカップリングについて教えてください。 農業経営を安定させるための所得政策には、農産物の価格を一定に保つことで間接的に 農家所得を補償する価格支持政策と、市場価格にかかわりなく政府が生産者に直接支払う ことを中心とする直接所得政策、いわゆるデカップリングと呼ばれるものがあります。価 格支持政策の場合、農家全体にゆき渡りますが、価格を一定に保つためには国境措置など で農産物の輸入を制限しておかなければなりません。しかし農産物の自由化・関税化が進 む中で価格支持政策の展開が困難となっています。一方で直接所得政策は、政策目的に応 じて対象が選定できるため、効率よく補償することができます。 社民党は、こうした直接所得政策の利点を踏まえるとともに、10 年前から農業のもつ公 益的機能を重視した日本型デカップリングの導入を求めてきました。具体的には、①コメ など主要食料の需給と価格安定は国で行い、生産調整と組み合わせた所得補償と政府買入 れ、低落時に備え収入保険を含む制度の導入、②中山間地域における直接所得補償制度は 構造・所得・環境政策を通じた制度とし、自給率向上に資するため平坦地の大豆、麦など に適用する、③経営安定のため、雇用と所得確保につながる個別経営、農業生産法人、第 三セクターなどの農産加工産業への低利融資、税制面での支援、などを盛り込んだ制度で す。私たちは、WTO 次期交渉にも耐えうるような日本型デカップリングの実現に向けて取 り組んでいますが、これまで一部自治体にみられる「棚田保全」や「第三セクター」への 助成など、自治体独自の補償と助成政策を広げ、それを背景に政府に要求実現を迫ること が大切です。 Q20 都市と農村漁村の共生をどう進めていきますか。 農地・森林は、自然の貯水機能の役割を果たすとともに、水資源の涵養、自然環境・景 観の維持、水田における水質の浄化などの機能をもっています。経済効率を重視するあま り、こうした農地・森林の役割は軽視されがちでしたが、地球規模の環境問題をどう解決 していくかが問われたとき、このような公益的機能が改めて評価されることとなったので す。農林水産業の再建がたんに農山漁村の課題であるのみならず国民的課題であることも ここに理由があります。社民党はこうした問題意識から、都市と農山漁村が共生し、国土・ 環境を守り魅力ある地域社会をめざします。 そのために、①環境や景観に配慮した「農村計画」を策定し、生産基盤と生活環境の一 体的整備を進め、無株序な開発から農村社会を守り、豊かなみどりを次代に引き継ぐ、② 農村での滞在型保養(グリーン・ツーリズム)や滞在型市民農園(クライン・ガルテン) など、農山漁村の良さを活かした都市と農村との交流事業の支援、③自然景観や町並み、 田園風景を保存するため地域を指定し農家民宿などへの助成を行うとともに、乱開発を防 ぐ、④有機栽培や安全な食料の産直運動、地場生産・地場消費のための少量多品目の生産 と流通システム確立などへの支援、などを進めます。さらに、自治体レベルで実現可能な 「都市と農村の交流」を活発にし、政府の助成政策の確立を図ります。 Q21 水産業をどのように振興していくのですか。 社民党は漁場の環境を守り、水産業の振興を図るため、まず新海洋秩序の下での資源管 理を徹底します。つくり育てる漁業の推進に向けて TAC 管理体制(TAC 法に基づく「漁獲 可能量制度」 )の整備と環境保全のための栽培漁業や養殖業対策を強化するとともに、排他 的経済水域内の資源保存に向けた取り縮まり体制の強化に努めます。 漁業系統の経営基整を強めるため、漁協合併の推進と基金の創設など総合対策事業を推 進するとともに、産地市場機能強化に向けた関連施策も充実します。産地市場の価格形成 力の強化に向けては、漁協を主体とした産地市場の統合を促進するとともに、流通加工施 設の整備、水産物調整保管事業などを進めます。また、漁港施設の整備、沿岸漁場整備を 21 はじめ、一層の漁業生産基盤整備に力を注ぐとともに、都市に比べ著しく立ち遅れた漁業 集落環境の整備を進めます。 さらに、国際漁業協力の推進、新漁場の開発、海外漁場の確保を進めるほか、新海洋秩 序の下における水産技術の開発と試験研究を拡充するほか、小型漁船安全対策も進めます。 Q22 東京一極集中、地方中核都市への人口集中と地方・地域の過疎化にどう 対処しますか。 東京など大都市への集中は、農村から第二次産業への労働力の移動など、「先進国」に追 いつき追い越せという国家的取組みを中央集権的に追求してきた結果です。しかし今日、 この大都市集中の結果として、地方の深刻な過疎化を招いただけでなく、大都市部に公害 や交通渋滞、地価高騰などを引き起こし、経済効率の面からも行き詰まりを見せています し、逆にこうしたことを原因として大都市部の中心部にも過疎化現象を引き起こしていま す。 このため東京都心部に集中している行政機関や国会を地方へ移転させることで一極集中 を是正しようという立場から、政府も行政機関の移転を進めています。国会でも社民党の 努力で国会移転決議が行われ、国会にも国会機能等移転調査会が設けられました。しかし、 国会が移転し、行政機能が地方へ移転したとしても、地方分権が実現しなければ、また新 しい一極集中か起こることが心配されます。一極集中の是正には地方分権の徹底した推進 の発想が求められます。 地方分権は、国から地方に大胆に税財源を移譲し、地域の自主性により総合的に地域振 興を図ることでもあります。この結果、大都市においては過密から生じる諸課題、地方に おいては過疎化に伴う諸課題等が重点的に取り組まれることとなり、首都機能の移転等の 努力と相まって、一極集中といわれる行き過ぎが是正されるのです。 これまでの行政は、近代化のための効率性を優先し、中央集権的な運営が行われ、自治 体を国の出先機関のように扱ってきました。しかし、その結果は全国規模では東京一極集 中、地方規模でも都市集中を生み、他方で地方を疲弊させ過疎化を進行させました。今日 改めて、地域社会の未来は住民自身の手で計画立案し、魅力ある自治を創造することが求 められています。このために、地方分権をさらに一層推進し、国に集中してきた権限を自 治体に移すとともに、これに伴う地方財政制度の充実強化や、国税の一部の地方税への組 み替えなど地方税制の拡充を行い、自治の確立を推進します。 Q23 離島地域、半島地域の振興をどう進めますか。 離島地域は、国土の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等の点で重要な役割を担っ ていますが、四方を海に囲まれ狭小かつ隔絶した環境にあって、本土に比べて社会生活基 盤の整備が立ち遅れています。このため、1953 年には離島振興法が制定され、4 回にわた る強化改正を経て現在に至っています。しかし、離島振興施策の内容は、基盤整備などの ハード面に偏りがちでした。情報通信の整備、高齢者福祉・医療等の充実、観光資源の整 備・開発・保全などのソフト面の施策を重点的かつ総合的に展開して、離島振興の充実を 図ります。 三方を海に囲まれ、幹線交通体系から離れた半島地域は、社会生活基盤の整備という点 で地理的に不利な条件にあります。このため 1985 年に 10 年間の時限立法として半島振興 法が制定され、1995 年にさらに 10 年間延長され、実際に財政、金融および税制上の優遇措 置が講じられてきました。しかし依然として、人口の減少、高齢化の進行などの厳しい状 況が続いています。このため、今後とも半島振興策の充実強化を図ることが必要となりま すので、半島地域の総合的かつ広域的な振興を図ります。 Q24 安全性を考えると、原子力発電所の増設はやめるべきではないですか。 高速増殖炉「もんじゅ」の火災事故や東海村再処理工場の火災爆発事故、さらには輸送 22 容器データ改ざん事件など、原子力にからむ一連の不祥事により、原子力政策や原子力産 業への国民の不信と不安は強まるばかりです。 社民党は、太陽光発電やコジェネ(熱電併給)など地域分散型の再生可能なエネルギー の開発・利用、および住宅・交通システムなどの省エネを大胆に推進します。同時に、化 石燃料の効率的利用を推進する中で、脱原発・脱プルトニウム社会をめざし、原発の新・ 増設やプルサーマルの導入・推進は認めません。 脱原発社会に向け、今後の原子力政策の第 1 の課題は、徹底した情報公開です。原発事 故に関する情報公開はもちろん、および電源開発促進対策特別会計による委託費・補助金・ 交付金など、原子力にからむすべての行政情報を公開することが急務です。第 2 に、原子 力防災については、市町村を主体に、防災計画の策定・実施を着実かつ円滑に行うことが 原則と考えます。原子力防災の内包する矛盾を解明する中で、脱原発・脱プルトニウム社 会をめざす多様な諸運動と連携して、21 世紀の安全・安心の日本を創造します。第 3 に、 原発立地にあたっては、地域住民の多様な意思が最大限尊重されるよう、公開討論会や公 開説明会などをたんなる立地推進のための形式的手順としてではなく、当該地域社会の長 期にわたる問題であるだけに、地域住民や周辺の住民も含めた関係者が安心し、納得する 形での十分に開かれた議論の場を保証し実現するとともに、制度面でも住民投票条例の制 定・積極的な実施等に取り組みます。 原子力発電には、大量の核廃棄物の発生が不可避であるばかりか、チェルノブイリのよ うな重大事故がひとたび発生すれば、人間や環境への影響、さらに経済にも深刻な影響を 及ぼします。このように人類の豊かな未来と背反する諸問題が厳然と横たわるのみならず、 実際には割高な発電コストの重圧が、欧米各国を原発撤退へと向かわせている世界的潮流 を科技庁や通産省、電力会社など原発推進の立場に立つ人びとは直視すべきなのです。 Q25 核燃料サイクル推進の政府の方針に対する考え方はどうあるべきです か。とくに世界の先進国が相次いで撤退している中で、核燃料サイクル の開発に日本だけが固執する必要があるのですか。また熱核融合による エネルギーの利用技術の開発は、慎重に行う必要があるのではないです か。 核燃料サイクルとは、原子力発電の燃料に関わるウランの採鉱、精錬、濃縮、燃料への 加工、運搬、使用済み燃料の処理、高速増殖炉によるプルトニウムの再生産などの一連の 過程をいうものです。それによって海外に偏在し限られたウラン資源の効率的な再利用技 術を確立することで、原子力発電を準国産エネルギーにするという〝夢の技術〟の構想な のです。しかし高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏出事故や東海村再処理工場の爆発 事故など一連の動燃の事故は、この計画・構想に急ブレーキをかけました。そればかりか 最近では、原子力発電の将来性への疑問や核軍縮などから原子力工学の魅力が減退し、若 手研究者が育ちにくくなるなど、原子力の平和利用のためにこれまで蓄積してきた知見や 運用のノウハウですら継承することも困難をきたし、現に稼働している原発の保守・運用 や、原発を安全に廃止していく技術の確保という観点からも、原子力発電技術そのものに すら関係者の間でも危惧が拡がっています。 また、使用済み燃料を再処理して取り出すプルトニウム燃料は、高速増殖炉で燃やすと エネルギー効率がよいとして増殖炉の研究・開発が進められてきましたが、プルトニウム の放射能寿命(半減期)が極めて長く、毒性が極めて強く、ウラン燃料に比べて危険性が より高く、しかも原子爆弾の材料への転用が容易であることなどから、核燃料サイクルの 技術開発への根源的疑問も提起されています。 最近は、軍縮・反核の国際的潮流の中で、核燃料サイクルの採算割れがはっきりし、欧 米諸国ではその開発が放棄されつつあります。使用済み核燃料の再処理を今後も続行すれ ば、危険なプルトニウムを大量に抱えこみ、核不拡散のうえから世界各国から疑惑の目で 23 見られかねません。再処理によって生み出される高レベル廃棄物の貯蔵管理についても、 まったくメドがついていません。原子力発電を今日直ちに廃棄することは困難であるかも しれませんが、社民党は自然界に広く存在している、再生・循環エネルギーに着目して、 代替エネルギーの利用技術の開発に全力を注ぎ、「脱原発・脱プルトニウムの日本の創造」 を目標として掲げ、原子力発電所を順次廃止していくべきだと主張しています。同時に、 現に稼働している原子力発電所については徹底した保守、安全運転を確保して、重大事故 の発生を回避するために、これまで〝絶対に安全です〟〝重大事故は起こりません〟と強 弁してきた行政機関や電力会社に対し、21 世紀を担う子どもたちも含めた日本のすべての 人びと・国民に対する、責任ある説明、アカウンタビリティの実行を強く求めています。 原子力発電所を廃止した場合には跡地の安全性を確保することが重要です。原子力発電 所の存続・廃止にかかわらず、プルトニウム等の放射性物質を安全に管理することが重要 であり、このための研究・開発は進められねばなりません。そのための若手研究者の確保 を重視するべきです。 熱核融合については、核燃料サイクル以上に夢物語のレベルの構想です。研究開発段階 の ITER ですら、数兆円という巨額の費用を必要とするといわれています。安全性はまった く確立されておらず、熱核融合の平和利用の実用化のために、国際協力の下〝人類の夢〟 を実現するのだと強弁しても、これに多額の国家予算を注ぎ込むのは、現段階では、〝壮 大な浪費〟としかいいようがありません。 Q26 21 世紀の日本を支えるための基礎科学研究の充実にどう対処するので すか。また地域分散型のエネルギー政策をどう確立しますか。自然エネ ルギーの開発にどのように取り組みますか。 21 世紀の日本を創造的でダイナミックな社会とするため、科学技術の振興を「未来への 先行投資」と位置づけて、積極的な政策展開が求められています。とくに新産業創出のた めの基礎科学研究の重要性が増しています。そのためには、すでに閣議決定されている科 学技術政策大綱に示されたとおり、政府の研究開発投資をできるだけ早く倍増する必要が あります。また、地球環境問題への対応など科学技術による国際貢献に配慮した政策の展 開も求められています。 社民党は、具体的には、①創造的基礎的研究の充実強化と人材育成など科学技術振興基 盤の整備、②バイオテクノロジー研究など国民生活の質の向上に資する科学技術の推進、 ③地球観測衛星の開発など先端科学分野の研究・開発の推進、④安全確保と平和利用を前 提としたエネルギーの安定確保、⑤情報通信社会を支える基盤技術の拡充−などを進めま す。 技術革新と新産業の創出も大事です。日本の産業の空洞化、さらには「技術立国」を支 える研究開発機能の空洞化までもが懸念されてきました。わが国の経済社会の活力を維持 し、住宅関連分野、医療・福祉関連分野、環境関連分野、情報・通信関連分野など新規経 済分野の開拓、産業空洞化の抑制を図るため、とくに民間研究開発の安定的・持続的拡大、 また、リスクが高く実施が困難な基礎的独創的研究開発への取り組み等を促進します。ニ ューフロンティア産業の開拓によって、雇用の大幅な拡大を図ることが、21 世紀の「豊か な社会の創造」を支える未来への先行投資なのです。 原子力、宇宙、海洋が人類の英知で挑戦する三大フロンティアといわれてきましたが、 原子力に偏向した予算配分を大胆に転換し、自然エネルギーに着目した重点投資を実施す べきです。 Q27 宇宙開発は壮大な無駄ではないですか。 今日の科学は、一見無駄とも思える基礎科学研究の積み重ねの中で、「発見」を繰り返し ながら築かれてきました。その応用・利用によって人類の生活を根底から変えてきたので 24 す。放送衛星や気象観測衛星などに大きな貢献をしている宇宙利用技術の研究・開発は、 もはや明らかに無駄の世界を脱し、応用科学の域に達しています。 社民党は、日本としても独自技術の研究・開発を進めるとともに、国際的な共同開発、 共同利用研究に日本が積極的に参加し、人類共同の財産ともいうべき基礎科学研究、技術 開発のフロンティアで、日本も重要な役割を果たすべきだと考えています。 ただし、原子力の平和利用や宇宙の平和利用に関する国内的諸法規、国際的諸法規は、 憲法の精神に照らして厳格に守られなければなりません。軍事スパイ衛星や周辺諸国に精 神的脅威のみならず、軍事的・物理的脅威を与える戦闘機などへの空中給油システムの導 入など、論外です。 創ろう、木々の匂い、ぬくもりのある街 Q28 公共事業の見直しに、どう取り組むのですか。 これからの公共事業は、借金を次世代につけ廻しせず、より暮らしやすい安心、安全の 日本の社会を子や孫の世代に引き継ぐために、財政構造改革を断行したうえで、とくに環 境や資源に配慮した社会資本整備を進めるなど、景気対策と一体のものとして取り組みま す。地方分権(国と地方の役割分担)と公共投資の関係では、地方の役割分担の比重を高 め、暮らしの安定と安全に寄与する事業に重点化します。 財源と公共事業の関係では道路特別会計の見直しの検討を含め、総合的な公共事業財源 を確保します。 国の直轄体制と公共事業では、暮らしに密着した自治体への移譲を促進する方向で検討 を進めます。国の出先組織、職員の身分、発注・監督・検査の権限委譲を含む抜本的検討 に着手します。建設省の出先機関、国土地理院、研究機関の独立行政法人化は、雇用の不 安を招かぬようにするなど慎重に扱います。 公共事業においても民間活力の活用によって効率的・効果的に事業を進めることが可能 です。社会資本整備に民間の資金と能力を活用することは、21 世紀の公共事業のあり方と して不可欠です。この観点から推進法案を自民党、新党さきがけと三党共同で国会に提出 していますが、社会資本整備に民間の資金と能力を活用することは、21 世紀の公共事業の あり方再編成の一環として重要ですが、三党案が十分なものとはいえませんので、国会で の十分でかつ慎重に検討を深める必要があり、この観点から PFI 推進法案の成立をめざしま す。 景気動向と公共事業の関連については、経済対策の効果が出てくるものと期待しており、 年度計画の前倒し実施を過去最高のペースで実施していくべきです。しかし、公共事業の 経済波及効果の政府の数値は高すぎると認識しています。福祉関連事業など雇用の創出に つながる分野の公共事業は経済波及効果が高く、景気回復と 21 世紀に向けた社会投資とし ての役割を担っていると考えます。 過疎過密と公共事業については、地方と大都市圏の格差はやむをえない面もありますが、 昨今は U ターン、J ターンなど、公共事業を軸とした社会資本整備水準のみでなく、より総 合的に住環境を重要視する評価が定着してきています。中央対地方といった固定観念にと らわれることなく、豊かだった日本の〝田舎〟の活用を蘇生させるという意味での「地域 社会の再創造」の観点から、過疎・過密問題に取り組みます。 公共事業は、地元中小向け発注を増やすべきですが、下請け、孫請けに加えて丸請け、 丸投げ、さらに上請けなどという事例もあり、中小企業への配分比率だけにこだわるのは 無理があります。財政改革と公共事業の関係については、借金を次世代につけ廻しせず、 より暮らしやすい安心、安全の日本の社会を子や孫の世代に引き継ぐことが大切です。と くに環境や資源に配慮した社会資本整備を進めることで景気対策と一体のものとして取り 組む必要があります。道路特別会計の見直しを含め、総合的な公共事業財源を確保するべ 25 きです。公共事業を総点検し、不要、不急の事業、費用対効果の不鮮明な事業については 計画そのものを見直し、年度末に工事が集中するなど不効率、不公平な運営は是正します。 地方分権(国と地方の役割分担)の観点から、地方の役割分担の比重を高め、暮らしの 安定と安全に寄与する事業に重点化する必要があります。暮らしに密着した自治体への移 譲を促進する方向で、国の直轄体制と公共事業のあり方の検討を進めます。国の出先組織、 職員の身分、発注・監督・検査の権限の移譲を含む抜本的検討に着手します。 Q29 「街づくり」に対する国による規制や行政指導が多すぎると思いますが、 いかがですか。また、都市計画に住民が参加するべきだと考えますが、 どう取り組むのですか。また、地域開発と環境保全を調和的に進めるた めに、環境行政を地方に分権化すべきではないですか。 「街づくり」には、なによりも東京一極集中是正と地方分散の促進が肝心です。生活に 必要な基盤を整備しバランスのとれる範囲で都市の成長を促し、住みやすさを最優先した 住宅・都市政策を進めます。 東京一極集中を是正し、各種の都市機能の地方分散を進めるため、地方分権の推進と首 都機能の移転に取り組みます。同時に、東京と同じように都市中心部への過度の集中が進 んで弊害が生じている地方都市についても、バランスのとれた地域の計画立案を促します。 生活環境や住民サービスの地域格差を是正し、地域の活力を活かした街づくり・村おこし を進めて、過疎・離島・半島・山村地域、豪雪地帯など、地域の自然特性などを活かした 振興を図ります。 地域開発は住民の判断・計画立案への参加が重要です。同時に地域は日本の、アジアの、 そして世界の地球の一部であるとの基本認識に立って、地球上の全生物および地球そのも のと共生する視点をもち、そのために個別の地域がどのような貢献ができるのか、を常に 一体のものとして計画される必要があります。 社民党は、自治体が地域の実情を考慮して地域開発を行う場合、地域における開発行為 の条件や方法などに地域住民の意思が十分反映されるよう配慮すべきだと思います。この ことは、国家プロジェクトとして行われる大規模開発にとどまらず、小規模開発において も配慮されなければならず、審議過程の全面公開や住民意思の尊重は不可欠です。ただし、 自治体や地方議会などの一部有力者によって、その人たちに都合の良い開発などの不正が 心配されますので、計画段階から地域住民に公開された審議、住民の同意などガラスばり の行政運営が保証されなければなりません。 Q30 「街づくり」は自治体のプランで進めるべきで、国による規制や行政指 導が多すぎると考えますが、いかがですか。 基本的には、国土の骨格となる幹線道路や鉄道、空港など広域的な観点から調整する必 要のあるもの・国民の基本的権利に係るもの以外は、すべて自治体が決定すればよいこと で、国による規制や行政指導は不要です。 とくに、住民にとって身近な「街づくり」である土地利用計画、宅地開発や建築規制に 関する計画、規制の内容については、国による規制や行政指導が多すぎますから、大胆に 地方分権を進め、その仕組みが住民にもわかりやすいものとなるように、抜本的な見直し を進めます。 そのためにも、さまざまな自治体が独自の条例や指導要綱で行っているような各種の「街 づくり」のルールは、安易な規制緩和論に惑わされることなく、地域の住民の手で大事に 守り育てていくことが必要です。また、そうした自治体独自のルールを育てていくために は、公正で透明度の高い、技術的にも合理性の高いものにしていく努力が欠かせません。 そのための自治体のマンパワーの確保など、自治体の計画・執行能力を高めていくことも 重要な課題です。大量生産、大量消費、大量廃棄という一方通行の使い捨て型生活様式か 26 ら、再利用、再生利用という資源循環型の社会へ移行しなければ、資源・エネルギーは確 実に枯渇します。とくに自然の許容量を超えた廃棄物の処分場は、人間社会も自然をも破 壊しています。こうした分野では、しっかりとした社会的規制は不可欠で、野放しにする ことは許されません。 Q31 障害者、高齢者が住みやすい住宅づくりをどう進めますか。シルバーハ ウジングももっと進めるべきではないですか。 人にやさしい街づくりを推進します。「人にやさしい」ということは、高齢者や障害者な どハンディキャップをもつ人々も安心してあたりまえの人間的生活を送れるように、福祉 の街づくりを進めるということです。そのため、現在の硬直した公共投資の配分比率を見 直し、住宅や街づくりの基盤整備に重点投資するようにします。具体的には、幅の広い歩 道の整備、歩道の段差の解消、視覚障害者誘導用ブロックの設置、障害者用トイレの整備、 電線類の地中化、公共施設でのエレベーターの設置、リフト付きバスなど交通手段の確保、 などの政策立案とその積極的実現に努力します。 Q32 地震災害対策をどう進めますか。また、昨年は大雨で大きな被害が出ま したが、災害対策はどうしますか。 大地震による被害を軽減し、災害状態に適切に対応するため、正確な情報を信頼しうる 情報源から、速やかにゆがむことなく住民に伝えることが必要です。このため災害発生の 事前情報や地震発生時の第一報についての情報公開が進められなければなりません。 地域の危険度や過去の地震事例の知識、防災知識、個々人の心得、被害想定などを日常 繰り返し住民に知らせ、自分たちの住む地域における危険の可能性を知り、心構えや準備 ができるよう方向づけることが必要です。 社民党は、地震を科学的に予知するための観測体制と予知のための研究・開発の推進、 地震時のパニックを防止するための情報伝達体制の整備、消防・救難・救命体制の充実、 日常からの自治体間の情報連携の強化、避難公園の拡張・増設、避難誘導体制の確立と避 難訓練の効果的な実施、防災体制の共同整備などに重点を置いて災害に強い街づくりに努 力します。また大都市部では公務員の自区内居住率が低く、長距離通勤が増えており、い ざというときの不安があります。自治体の深夜待機要員の確保や 60 分以内に登庁できる職 員の確保を進め、非常時の対応に万全を期します。 社民党は 98 災害対策本部を 98 年 9 月 3 日に設置し、関係省庁から被災状況の報告を受 け、防災行政の問題点の解明を進めました。また、福島、岩手、茨城、栃木、奈良の 5 県 に現地視察調査団を派遣し、自治体、党組織の協力を得て被災現場を視察して、防災行政 の不備から救援・復興の谷間に取り残された被災住民の悲痛な声に耳を傾けるとともに、 地方自治体から域内の被災概況、救命・救援・復興の取組み状況を聴取しました。経済林、 施設農業の被災調査に加えて、台風 7 号の強風による国宝=室生寺五重塔の風倒木による 損壊=など文化財の防災の問題点についても視野を広げ、問題点の解明にあたりました。 さらに対策本部では、福島、栃木についてフォローアップのための現地調査などを実施 して、救命・救援・復興各段階における現行の防災行政の改善・充実のための問題提起を 行い、被災住民の立場にたった社民党らしい政策提言をとりまとめ、 「復旧から復興へ」を 発表しています。 Q33 土地対策(地価、利用形態)にどう取り組みますか。社民党の住宅政策 の基本は何ですか。これからの公営賃貸住宅のあり方をどう考えますか。 土地については、土地の公共財としての性格を重視した政策を進めて、的確な土地利用 規制を実施します。利益を生む土地には適正な負担を、生活のための土地には負担軽減を 図ります。住宅については高齢になっても住み続けることのできる、真にゆとりある住宅 27 を国民に保障します。住宅供給市場においては、住宅の質と性能に応じた適正な価格形成 をめざします。公的な援助が必要な人には、所得に応じた公的家賃負担でゆとりある賃貸 住宅が供給できるよう、家賃補助を質・量ともに拡大します。 「土地は基本的に国民全体の共有財産である」との認識に立って、土地基本法を抜本改 正し、土地の売買による不労所得など土地にかかわる資産格差の解消をめざします。汗水 たらし一所懸命に働いても、家一軒買うことができない社会は、とうてい豊かな社会とは いえません。こうした観点から国土利用計画法の改正もめざします。個人住宅は、税込み 年収の 2 倍程度で購入できることが望ましいでしょう。土地代を除けば一戸建ての建築費 は坪単価 60 万円で建て坪 20 坪 1200 万円程度だからです。土地が国民全体の公共財である との認識に立てば、そのために公共賃貸住宅を大量に建設し、妥当な家賃で供給すること で、住宅購入価格を適切な水準に政策的に誘導できます。 土地の値段が下がりすぎているとはいえませんし、できる限り下がったほうがよいと考 えます。土地は本来国民共有の財産であり、所有権より利用権を、私的利用より公的利用 を優先する考え方です。都市近郊に位置するというだけで「土地成金」が出現する現実は、 土地の売り手、買い手の双方に悲劇をもたらすだけでなく、公共財としての土地の性格を ゆがめるものと考えます。 Q34 首都機能の移転をどのように進めるのですか。首相官邸の新築は移転を する気がないことの表れではないですか。 国会等の首都機能の移転は、地方分権の推進と併せて、21 世紀の日本の政治経済や文化 のあり方にまで大きな影響を与えるものです。国土政策の観点からも、首都機能の移転は、 東京一極集中を是正し多極分散型の国土形成を進めるための最重要課題であり、また東京 の街づくりを進めるうえでも、住みやすさを最優先した都市構造を実現する第一歩です。 移転先地の選定などは慎重に検討しなければなりませんが、基本的な枠組みについては 早急に結論を出すことが必要です。このため、国会議員と学識経験者で組織した国会等移 転調査会が設置され、首都機能を移転するための諸課題について積極的に検討を進め、候 補地の視察など調査を進めています。 なお首相官邸の新築については、戦前に建てられた現在の建物が老朽化して機能が低下 しているため、情報化時代に対応した機能の強化とも併せて、早急にその更新を行う必要 があるもので、首都機能の移転そのものを妨げるものではありません。 Q35 地域の文化活動やスポーツ・レクリエーション活動をどう振興していき ますか。 地域での文化活動、スポーツ・レクリエーション活動が非常に活発になっています。し かも「見る楽しみ」「聴く楽しみ」と同時に、それ以上に「参加する楽しみ」「つくる楽し み」へと活動の幅が広がっています。こうした活動の振興を図っていくためには、市民の 自主的活動を尊重し、発展させるための条件を保障した文化行政でなければなりません。 そこで社民党は、地域での文化活動の具体的な推進は、例えば市民文化祭などは市民が 参加し、企画・立案の主体となって進め、行政は財政面などの支援を行うといった体制を 確立します。また、文化会館、公民館などの施設の運営なども、市民が主体となった運営 方式を導入し、市民のさまざまな文化に対するニーズを市民みずからの創意工夫で具現化 する仕組みをつくります。 最近名画を上映する映画館がどんどん閉館する一方で、大画面で「風と共に去りぬ」「カ サブランカ」や「市民ケーン」などを見てみたいというニーズは決して少なくありません から、市民が企画する映画上映会をやるのもよいのではないでしょうか。 休日をスポーツなどで過ごす市民が増える一方で、各種のスポーツ施設は予約で一杯で す。そのために自治体レベルで、市民が参加して「地域スポーツ活性化計画(仮称)」を策 28 定し、施設整備はもちろん、学校の体育施設の開放などを推進し、誰もがスポーツを楽し める環境をつくっていくことが必要です。 Q36 地域の文化財をどう保存していくのですか。 日本の文化、歴史的遺産を次代に引き継ぐために、文化財保護施策の充実が求められて います。城郭、寺院、神社などといった建造物はもちろん、かつての面影を残す町並みも それ全体を歴史的環境として捉え、住民生活との調和を図りつつその保存を進めなければ なりません。文化財も私有財産であるケースが多くありますから、修復など保存に必要な 費用について住民に過度の負担がかからないように行政の支援が不可欠です。また、文化 財の保存によって地域住民の生活に不便をきたさないよう配慮することも必要です。 また近年、国土開発の進展に伴って、埋蔵文化財の存在が予想される場所での工事件数 も増加しています。この場合、事業者からは発掘調査の迅速化、調査費負担軽減などの要 望がある一方で、発掘調査にあたるスタッフの少なさ、調査費が限られていることなどか ら十分に調査ができない現状もあります。そのため業者負担を軽減するためにも、工事に 伴って行う調査ではなく、学術調査を充実させる体制確立が必要です。あらかじめ遺跡の 存在がわかっていれば、計画段階でそれを避けることができるからです。 文化財は学術研究の史料でもあります。保存の点を配慮しつつ、市民が見学できるよう にすることはもちろん、歴史学や考古学の研究に有意義なかたちで保存することが大切で す。現在「天皇陵」は宮内庁が管理しており、研究者すら原則として立ち入ることができ ません。今後発堀調査等ができるよう検討すべきです。 Q37 ごみ処理政策の基本は何ですか。民営化についてどう考えますか。 社民党は、ごみ処理政策の基本は、国民一人ひとりが「ごみを出さない」ことだと考え ています。そのうえで、ごみが出ないよう資源として再利用できるものについては再使用 を進め、あらゆるものをリサイクルします。最終的に出たごみについては分別を徹底して 処理を行います(リサイクル、ダイオキシンの項参照)。資源循環型の社会システムをつく るためには、廃棄物処理とリサイクルを総合する「ごみの基本法」を制定すべきだという 主張がありますが、社民党も賛成です。 なお、ごみ処理に関わる費用が自治体の財政を圧迫していることから、政府は家庭ごみ 処理の「民営化」を検討しています。市場競争を通じて処理費用を削減することと、処理 費用の有料化が主な狙いです。社民党はごみ処理の技術に関わる分野については、企業間 の競争にゆだね低廉で高性能な機器や製品が開発されるべきだと思います。しかしごみの 収集処分という公益性の高いものは、本来市場のメカニズムにゆだねてはならない分野で あり、自治体が市民サービス向上の観点から、その充実を図らなければならない問題です。 したがってごみ処理の民営化については反対します。 なお、ごみ処理の有料化については各方面から議論のあるところですが、住民のごみ問 題に対する意識を喚起するという意味では、住民からごみ処理に関わる費用を徴収すると いうことも一つの方法かもしれません。 Q38 ごみ処理の広域化・大型化についてはどう考えますか。 厚生省は、ダイオキシン対策と熱利用の観点から、ごみ処理の広域化・大型化を打ち出 しました。しかしこれは、リサイクルやごみ質の改善でダイオキシン対策を進めようとす る自治体の方針や、焼却に依存しないごみ処理システムを模索していこうとする方向とは 異なり、社民党は賛成できません。 まず、ダイオキシンの濃度は焼却炉を大型化しても低くは抑えられません。高温焼却や 集塵機入り口温度を低く抑えるなどの燃焼管理、バグフィルターの設置等が必要なのです。 ごみの減量やプラスチックの徹底分別を行い、ごみ質を改善して濃度を抑えた自治体もあ ります。 29 大型焼却炉は炉内を一定の温度に保たねばならず、ごみを常時燃焼させ続けなくてはな らないという欠陥があります。廃棄物発電も同様であり電力の安定供給のためにはごみの 集中が前提となります。したがって焼却炉の大型化は、ごみの減量やリサイクルを大きく 後退させることにもなりかねないのです。また多くの地域では、災害時やメンテナンス(補 修・点検・管理)時の応援協定、緊急時の広域支援体制を整備しており、予算を無駄遺い してまで大型化を進める必要は今のところありません。 「ごみを遠隔地で処理する」広域化は、ごみ問題への都市住民の関心が稀薄になると同 時に、山間部や過疎地域等へごみを押しつける結果になるという危険性があります。ごみ の広域処理にあたっては、隣接する自治体が主体的に互助の精神を発揮し、処理施設を一 つの地域に集中させることなく、地域の実情にあった適正規模の計画を策定するべきです。 Q39 産業廃棄物の処理場建設が大問題となっていますが、産業廃棄物の処理 はどうしますか。 産業廃棄物の不法投棄や不適正処理など、産廃施設や処理に対する住民の不信や不安は 全国に広がっており、中間処理施設建設、最終処分場建設に反対するうねりも大きくなっ ています。そのため産廃をめぐる国と自治体・住民間の係争も絶えません。 産廃施設にかかわる権限は現在厚生省にあり、その厚生省が「住民の意見を聞いている と産廃施設の設置は進まない。だから基準を満たしているものは直ちに認可すべし」とい うスタンスで自治体を指導していますので、必然的に住民との間にトラブルが発生するこ とになります。多くの自治体が国と住民との間で板挟みになり、苦しい対応を迫られてい るというのが実情です。したがって社民党はまず、産廃施設にかかわる権限を地方自治体 に移譲し、自治体が住民の健康に配慮したきめ細かい環境対策をとれるようにします。ま た、施設周辺の住民が安心して生活できるよう現行の環境基準を、乳幼児や子どもを基準 としたものに見直します。環境基準を厳格にすることによって、施設建設の要件をさらに 厳しくできるからです。また現行の廃掃法(廃棄物の処理および清掃に関する法律)では、 産廃施設の設置について、関係住民ができる行為は意見書の提出だけであり、住民の意見 が行政に反映できるという保障はありません。施設の建設にあたっては「住民の同意を必 要とする」という法改正も必要です。さらに厳格な分別に基づく処理を進めるとともに、 新設施設については操業開始時から追跡点検(悪臭、大気汚染、河川汚染、土壌汚染等の 調査・点検)を行い、既設施設についても定期点検の間隔を短縮するなど住民の納得でき る環境調査を実施します。産業廃棄物の排出抑制や減量、資源化・リサイクルにも取り組 みます。 Q40 産業廃棄物を遠隔地・過疎地で処理することに規制が必要ではないです か。 産業廃棄物対策で大きな問題となっているのが、遠隔地・過疎地における不法投棄や処 理場設置です。都市部で処理できないごみや産業廃棄物が、住民密度の稀薄な山村に、狙 い打ちをする形で押しつけられています。この現状を早急に改善しなければなりません。 そのためにはまず、産業廃棄物の処理の実態を自治体が的確に把捉することが必要です。 しかし実際には収集・運搬業者は広域業であるにもかかわらず、許認可は都道府県という 個別自治体にあること、そのためマニュフェスト(産業廃棄物管理票)の偽造が横行し、 ごみの正確な流れと符合しないことなどが、自治体の実態把捉を困難にしています。 ごみの流れを正確に把握し、マニュフェストの偽造や産廃の不法投棄や山村地域への流 出を防ぐためには、自治体が相互に連携し合い、ごみの追跡調査を広域で行えるようにす るとともに、処理計画も広域で立てるなど、自治体の連合による対策の推進が必要です。 同時に不適正処理・不法投棄をした排出業者の責任を明確にすることはもちろん、都市 部の産廃を山村依存から脱却させていく施策も推進します。 30 改正廃掃法で「住民の意見提出権」が盛り込まれ、違反業者の罰則も強化(罰金最高 1 億円)されたことから、厚生省は自治体に対して、条例や指導要綱で設けている「住民同 意条項」を廃止するよう指導しています。現在のところ自治体の大半はこれを拒否し継続 することにしていますが、今後どうなっていくかは予断を許しません。市民の強力な運動 や監視がなければ、「住民参加」は後退を余儀なくされることになります。こうした問題を 起こさないためにも、産廃問題に限らず、自治体が環境保全についての決定権をもつべき であり、地方分権を推進する必要があります。 Q41 ダイオキシンが大きな問題となっていますが、ごみ焼却に伴う環境破壊 にどう取り組みますか。 ダイオキシンはその 9 割がごみの焼却過程で発生するといわれています。ごみを高温燃 規等で焼却する場合にはダイオキシンの発生量は低レベルに抑えられるといわれています が、日本にはまだ小規模の焼却施設が多く、つい最近までは野炊きも規制されず放置され たままでした。したがって、ダイオキシンの排出実態が正確かつ詳細に把捉されているわ けではありません。早期規制や対策にあたってはまず何よりも排出実態や人体・健康への 影響等を多面的に調査し、実態を解明する必要があります。また当面の対策としては高温 ごみ焼却施設の建設を促進するとともに、ごみ焼却一辺倒に頼ってきた廃棄物処理行政を 見直し、ごみの減量・リサイクルを進めます。 ダイオキシンは、スーパーのラップ(塩化ビニル)、家庭用のラップ(塩化ビニルデン) などを焼却する際にも発生します。私たちの身の回りは、ダイオキシンが発生する製品で あふれているといっていいでしょう。したがってごみの焼却にあたっては徹底した分別を 行い、ダイオキシンの発生原因となる物質の焼却規制を行うとともに、使用抑制も視野に 入れて対応します。また、工場などが使用・排出する化学物質の種類や量を公開させる「環 境汚染物質排出・移動登録(PRTR)制度」を早急に導入します。 これまでわが国は、企業が製品を大量生産し、それを国民が消費し、使用済み製品は大 量廃棄するという構造の下で、産業的にも経済的にも発展し、私たちは「豊かな生活」を 享受してきました。しかしこの循環構造からそろそろ脱却する時期にきています。ダイオ キシン・環境ホルモン、複合汚染など、従来とは異なった新たな公害の発生を防ぐために も、これまで「欲望」の達成におかれてきた私たち自身の視点を、「生命」を大切にする視 点へと切り替え、私たちの生活を根本的に見直していくことが求められています。そのた め義務教育過程に「環境教育」を導入し、自然や環境の大切さを子どものうちから教育す るシステムを整備します。 Q42 リサイクル社会の形成が必要と考えますが、どのように進めますか。 リサイクル社会の形成を展望する場合、大量生産→大量消費→大量廃棄というこれまで の経済や産業のあり方を根本的に変革し、「ごみを出さないこと」を基本とすることが重要 です。社民党の努力によって家電リサイクル法が成立し、2001 年からテレビ、冷蔵庫、エ アコン、洗濯機の 4 種類の製品についてリサイクルが義務づけられることになりました。 これをさらに進め業務用文書から自動車の部品まであらゆる分野のリサイクルシステムを 確立します。飲料容器についてはデポジット制度を導入するなど、再生可能な資源回収を 促進します。また、再生資源の需要を拡大させる誘導政策を行いリサイクルの輪を完結さ せます。「出たごみ」についても資源として再利用するなど、ゼロエミッション(ある産業 で排出される廃棄物を、別の産業の原料として使い、地球全体の廃棄物をゼロにしようと いう計画)を貫徹します。また主要なエネルギーを化石燃料や原子力から、再生利用可能 エネルギー(太陽光、風力、バイオマス等)に転換していくこと、フロンや環境ホルモン などの有害人工化学物質に代わって自然物質の利用を促進することも重要です。そのため 開発・使用・排出の抑制・禁止を図ることはもちろん、疑わしい物質は使用せず厳重な監 視下に置きます。 31 こうした施策を有効に機能させていくためには、環境関連分野(リサイクル業、廃棄物 処理業)の新規産業を創出していかなければなりませんし、そのための支援が必要です。 社民党は太陽光発電など新エネルギーやコジェネレーション等を導入する事業者・施設・ 地域・自治体に対する支援も行いながら、リサイクル社会を築いていくための環境を整備 していきます。 Q43 開発者任せの環境アセスメントが住民の生活環境を悪化させています。 業者任せの環境アセスメントでなく住民参加型の厳しいものにすべき ではないですか。 昨年(1997 年)、長年の懸案であった環境影響評価法(環境アセス法)が成立しました。 施行されるのは 99 年の 6 月からです。日本は OECD(経済協力開発機構)加盟 29 カ国中、 環境アセス法がない唯一の国でした。まだ不十分な点が多く、遅きに失したとはいえ、基 本的には一歩前進したものといえます。 環境アセス法は、調査対象事業として道路、ダム、鉄道、飛行場、発電所(発電所は環 境アセス法の扱いではなく、通産省所管の電事法の中での扱いになる)等の、規模が大き く環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を指定するとともに、対象事業そのものも 拡大しました。また環境基本法が対象するすべての項目、生態系保全や産業廃棄物なども 調査の対象となります。 また、意見を提出したい住民の範囲も地域の限定が取れ、どこに住んでいても意見を提 出することができることになりました。自治体の中には、川崎市や東京、神奈川、埼玉、 北海道、岐阜などのように、独自に条例や指導要綱による地方アセスを定め、情報公開の 早期の義務づけや住民参加を進めているところもあります。環境アセス法の不備を補完し、 住民の参加をより一層促進していくためにも、各自治体が独自の地方アセスを策定してい くことが必要です。 なお、成立したアセス法は、事業アセス(事業を実施した場合の環境への影響調査)だ けで、戦略アセス(政策や開発計画そのものへの評価)が入っていません。住民参加の保 障も、環境への影響をより低減していくための措置も不十分です。アセス法の施行は 1999 年からですが、社民党はアセス法をさらに強化していく観点から、同法の早期見直しも視 野に入れて対応を進めます。 Q44 電気自動車やハイブリッド車などの低公害車の導入をどのように進め ますか。 社民党の努力によって、現在、低公害事を購入する人に対する購入助成制度と税の優遇 措置が講じられています。あるメーカーのハイブリッド車(太陽光とガソリンの混合車) を例にとりますと、購入価格は約 210 万円です。このハイブリッド車から太陽光発電部分 を取り除いたガソリン車としての価格が約 160 万円です。現在の制度は、この本体価格の 210 万円からガソリン車としての価格 160 万円を引いた額 50 万円の 2 分の 1(25 万円)を 購入者に助成するというものです。また取得税については 5%が 2.6%に引き下げられてい ます。 社民党はこの助成制度をさらに拡充します。助成額を現行の 2 分の 1 から 4 分の 3 に引 き上げるとともに、取得税をゼロにします。逆に環境への負荷が大きい自動車や大型車に ついては、税負担を重くします。 こうした購入にあたっての助成制度や、取得税に軽重を設けることによってユーザー(購 入者)を誘導し、低公害車の普及を促進します。また自治体や中央省庁などへは、低公害 車の購入と利用を義務づけるとともに、企業へも協力を求めます。 Q45 地域の貴重な緑地やわき水・里山(さとやま)を守っていくためには、 32 どう取り組みますか。 開発によって、地域の貴重な緑地が失われたり、わき水が枯渇したりすることのないよ う、環境アセスメント(環境への評価)を徹底するとともに、行政への住民参加を促進し ます。地域の自然をどのように守るかということは、直接的には個別自治体とそこに居住 する住民が判断すべきことであり、中央省庁の干渉は排除されなければなりません。 都市部の緑地保全については、都市緑地保全法がありますが、それ以外の地域について 明確に規定した法律がない(都市計画法は、市街地に関する法律で広域的な規定がない) ため、自然豊かな場所にリゾートマンションが建設されたり、住民のいない山間部の水源 地に産業廃棄物処理場が建設されたりしており、景観の保全から飲料水までさまざまな問 題を引き起こしています。残念ながら現在の法律で、これらを規制することはできません。 したがって、現行の環境アセス法、廃掃法(廃乗物の処理および清掃に関する法律)、都市 計画法、自然公園法、自然環境保全法など、あらゆる法律を見直し、地域の自然や環境を 守ります。 Q46 環境重視の税制へ変えていくべきではないですか。 適切な指摘です。21 世紀へ向け、私たちが安心できる環境づくりを進めるためには、何 よりも環境行政があらゆる行政の中で最重要視されなければなりません。その行政を支え ていくのが税制であり、環境問題を最優先とする視点から税制も再構築していくべきです。 すなわち、環境への負荷の軽減、環境保全の視点から税・財政のあり方を総合的に見直し、 税のグリーン化を進めます。 また環境税の導入も検討します。環境税としては、炭素税や大型トラック等の自動車税・ 自動車取得税・自動車重量税のあり方を含めて検討します。環境税を導入すると、特定の 産業に膨大な負担がかかり、税の公平さを欠くことになるという指摘もあります。しかし、 環境への負荷の軽減に努力した企業には、補助金を厚くする等の産業政策を実施すれば、 まったく問題はありません。これまでは環境に配慮することは経済的にはマイナスだとい う考えが一般的でしたが、これを転換し、環境を守ることこそ経済的にもメリットになる という政策を導入することが求められています。ドイツではそのようにして企業を環境政 策の方へ誘導してきました。税のグリーン化の基本は、環境への負荷が大きいものには重 く、小さいものには軽くすることであり、それが環境問題からみた「税の公平さ」だと考 えます。 Q47 異常渇水に備えて、どのような対策をとりますか。水不足の際の住民の 生活用水、事業用水の確保をどう進めますか。自治体が河川の水質を維 持するために要した費用については、同じ流域にある複数の自治体間で 互いに請求できるようなシステムが必要ではないでしょうか。社民党の 水政策を教えてください。 渇水対策は、長期的な観点に立って、多様な水資源開発を進めるとともに、常日頃の節 水対策、水需要の抑制が欠かせません。 水資源の開発は、ため池やダムなどの建設による河川水源の利用が主な対策となります が、ダム湖などを保全し、安定した貯水量を確保するためには、水源地域の森林の整備保 全を進め、森林のもっている保水機能の維持・強化を図ります。また、地盤沈下を防止し、 地下水源の枯渇を防止するための地下水採取規制、海水淡水化施設の技術開発、中水道施 設の整備による雨水・再生水利用の促進など、水源の多様化を進めます。 水需要の抑制については、都市化が進行している地域については、既存の水利施設の改 修を進めるなど、農業用水の都市用水への転用を推進し、都市用水についても節水コマの 普及を進めるなど節水を進めます。また、地域の水資源開発の状況に応じて、都市化の速 度を調整できるような都市計画等の長期計画を定めて、街づくりを進めます。 33 水不足の際は、節水を徹底し、乏しい水を分かち合うことになりますが、農業用水や工 業用水などの事業用水を生活用水に転用することも含め、関係者間の利害調整を進めて水 の効率的かつ公平な利用を進めます。 複数の市町村を流れる河川の多くは都道府県や国の管理ですが、河川水面や河川敷など を管理しているだけですから、河川の水質を維持するために市町村が要した費用は、その まま市町村の負担となっています。 こうした費用は、各市町村がバラバラで負担するよりも、流域の市町村が全体で負担し た方が合理的です。例えば、上流の市町村が水源地の森林を維持・保全するために要した 費用については、下流の市町村も負担すべきです。逆に下流の水道事業者が上流に水源か ん養林をもつなど、これまでも負担の調整を図るシステムはありましたが、総合的なもの ではありませんでした。また、上流の市町村には「水源地の開発を凍結しているために地 域の発展が妨げられている」という意見がありますし、下流の市町村には「水田の保水機 能は河川管理上も相当程度貢献しているはずだ」という意見もあります。したがって、将 来的には、それぞれの河川流域単位での総合的な管理システムをつくり、自治体間の負担 の公平を図ることが必要です。 Q48 多国籍企業の活動は国民生活にどういう影響をもたらしていますか。 国際的な投資ルールを整備するため、OECD(経済協力開発機構)において、MAI(多数 国間投資協定)交渉が行われています。MAI の主なポイントは、投資の自由化、投資保護、 紛争解決手続、環境・労働等への配慮の 4 点です。世界経済における投資拡大に対応した 国際的なルールを確立することは急務です。 しかし、交渉では、例えば環境・労働等への影響(投資の誘致による環境・労働基準の 引下げ等)に配慮する規定を盛り込むかどうかについて議論中であるなど、多国籍企業中 心の議論が先行しています。このため、MAI による市民生活へのマイナス影響などが懸念 されています。 例えば、農村では、MAI は外国企業が日本の農地を取得できる途を開き、日本の農業の 衰退を決定的なものとしかねません。また、商店街では、大店立地法により都道府県から 出店を規制された外国企業は、これにより被った損害の補償を求めて日本政府を提訴する ことができます。さらに、地場産業に対する助成金などの優遇措置は協定違反と見なされ ます。 MAI については、こうした懸念・心配が多くあります。 外国企業であっても、日本に事業展開する際には、環境保全や労働条件といった国内の 社会的規制に従うのは当然であり、環境条項や労働権の規定が盛り込まれない協定では困 ります。また、地方分権・地方自治を推進するためにも、自治体独自の施策を拘束するよ うな内容であってはなりません。社民党は、MAI 交渉には慎重に対応します。 Q49 安全性に心配がある遺伝子組み換え食品についてどう対応するのです か。 害虫や除草剤に強い性質が付与された遺伝子組み換え農作物は、94 年以降、大豆やトウ モロコシ、じゃがいもなど 6 作物 20 品目について、厚生省が安全性を確認したとし、輸入 が解禁されています。現在、油や豆腐、マーガリン、揚げ菓子など主に食品の原料として 広く使用され、日本国内で流通しています。 しかし、予期せぬアレルギーなどの発生や、環境へ悪影響を与える可能性などが指摘さ れており、遺伝子組み換え食品に対して消費者は漠然とした不安や懸念を抱いています。 EU では、98 年 9 月より表示の義務化を実施しています。米国・カナダは、表示の義務づけ をしていません。 日本では、厚生省が「安全性の観点からは、表示を義務づける必要はない」との立場を とっています。農林水産省は、商品選択の観点から、表示問題の検討を行っており、98 年 34 にたたき台を示しました。表示方法として、組成や栄養素が従来と違う組み換え食品につ いては義務化、従来と同じ場合は、義務化と任意表示の 2 案を提示しています。しかし、 すでに一部の業者では「使っていない」と逆表示をするなど自主的に表示を行い、各自治 体では学校給食等での不使用宣言を行う動きも広がっています。 遺伝子組み換え食品が現実に流通している実情に鑑み、消費者が区別して購入できるよ うにしなくてはなりません。表示はすべての組み換え種子・飼料・肥料・農作物・食品に 義務づけるべきです。また、表示内容を担保するために、輸出・生産段階での分別、およ び輸入段階での検知を国の責任で行うことが必要です。 Q50 消費者契約法が必要ではないですか。 規制緩和や高齢社会で増加が予想される契約トラブルから消費者を守るため、業者と交 わす契約すべてを対象とする一般的なルールの制定は急務です。現在、英会話教室やエス テサロン、さらにはインターネットを利用した新商売など幅広い分野で起こる契約・解約 をめぐるトラブルは、訪問販売や不動産等の取引ルールを定めた現行の個別の法律では対 応できていません。これらの事例には契約自由が原則の民法が適用されていたため、消費 者保護の観点からの立法が求められていました。 強引な勧誘や不当な内容の契約から消費者を守る「消費者契約法(仮称)」は、民法の特 別法として、また個別業法の上位法として位置づけられます。ポイントは 2 点。契約のプ ロセスで、重要な情報が告げられなかったり、脅迫まがいの勧誘がなされたときは契約を 取り消せること。もうひとつは、消費者の利益を損なう不当な契約条項が無効になること です。 最近では、政府内での検討だけでなく、市民レベルでの議論も活発になり、具体的な論 点が明らかになっています。例えば、契約の不当立証を消費者に負わせるのか、あるいは 業者か。障害者や高齢者など判断力不足につけ込んだ契約は、脅迫まがいにあたるのか。 裁判によらない紛争処理、消費者が利用しやすい調停機関や手続などが整備できないか、 等々です。 製造物責任法(PL 法)制定に産業界や監督官庁が反発したように、消費者契約法にも銀 行や医療などの業界から反発が予想されています。消費者保護強化の観点から、今後の立 法作業の過程を厳しく監視しつつ、早急に制定・施行することが必要です。 Q51 社民党の交通政策の基本は何ですか。 だれもが行きたいところに行けるという「交通の自由」・「交通権」を保障し、安全で快 適な交通システムを確立することが社民党の交通政策の基本です。 社民党は、交通においてなくてはならない「安全、快適、公平」の 3 つの視点を守り、 これまでの経済や産業構造を前提とした交通から脱却し、公共性を基盤に置いた人と地球 にやさしい永続的な総合交通体系の実現に努力します。 そこでは、マイカー中心の交通ではなく公共交通の復権・拡充の方向が強調され、必要 な社会的規制の強化と十分な公的財源の投入による公共交通の立て直しがなされなければ なりません。 社民党は、マイカー依存の車社会から、人、街、環境にやさしい公共交通機関への転換 を図るため、「交通基本法」の制定を訴えています。この基本法は、「交通権」の保障、交 通社会資本の整備基準、公共交通機関の位置づけ、交通機関相互の調整・誘導、費用負担 の原則、交通ナショナルミニマムの基準、公共交通に対する補助の基準、総合交通会計制 度、各モードごとの事業法の統括、交通運輸労働者の最低労働基準、安全性の確保・労働 環境の保護規定などを定めるもので、総合的な交通政策の展開のためになくてはならない ものです。 そして、陸・海・空にわたる横断的・体系的な総合的施策を遂行し、交通関係の投資の 連携の強化や公的資金の効率的配分を行うため、交通基盤財源を一本化し、総合交通会計 35 を創設します。 また、環境に対する負荷の低減、地球温暖化防止の観点から、エネルギー効率がよくCO2 排出量の少ない輸送機開である鉄道・海運の輸送分担率を高める(モーダルシフト)とと もに、公共交通機関への誘導を進めます。 Q52 公共交通優先社会をどのように築いていきますか。 自動車中心の交通システムが、地球温暖化、渋滞・駐車場問題、大気汚染、騒音、交通 事故等のさまざまな問題を引き起こしています。そしてモータリゼーションによって、公 共交通が不便になったり、赤字を抱えるようになったりし、その結果、車を運転できない 人々の移動の自由や権利(交通権)が保障されなくなってしまいました。 大量生産・消費・廃棄型の産業や国土利用のあり方から、循環型・共生の経済社会シス テムに転換していくべきだというのはほぼ共通の認識となっています。環境、福祉の面か らも、マイカー依存を厳しく制限することによって、快適な「人と環境にやさしい交通」 を充実することが求められているのではないでしょうか。 社民党は、脱クルマ社会を展望し、自動車の都心部乗り入れ規制や台数割当制度を導入 するなど、自動車の総量規制に踏み出します。道路に片よった社会的資源の配分を是正し、 環境やエネルギーの点からすぐれた交通手段である鉄道の再活用に取り組みます。 Q53 都市の通勤ラッシュへの対策をどう進めますか。 首都圏におけるラッシュ時の乗車率は 200%以上、通勤時間の平均は 1 時間を超えていま す。また統計をみると最も混雑する時間帯がいずれも朝の 7:30∼9:30 に集中しています。 社民党は、いつでも誰でも利用できる交通機関をめざすため、混雑緩和対策をさらに推 進し、混雑というバリアを解消していきます。 そこで、大量輸送機開である鉄道をはじめとする公共輸送機関の新線建設や複々線化に 対し、国・自治体の助成を行い、輸送力のアップを図るようにします。同時に、車両の増 強や駅ホームの延長、運転本数増加のための信号システムの高度化などの投資を支援しま す。また、各輸送機関に対し通勤・通学時の許容最低基準(最高乗車率)の設定・順守を 求めていきます。 駅における混雑の緩和、乗換えの利便性の向上、高齢者・障害者等の移動の容易化を図 るため、鉄道駅施設の改良や駅前広場の整備、他の交通機関等との連絡の向上などの事業 を支援します。 ピーク時に集中する輸送需要を前後に分散させることも重要です。オフピーク通勤の推 進のキャンペーンや、時差割引制度の検討など利用者の時差通勤を可能にする社会環境の 実現をめざします。 しかし何よりも根本的な解決策は、テレワークの推進や職住の近接です。交通政策、住 宅政策、都市政策の貧困が長時間通勤を生んでいるのです。その地域で生き、暮らし、学 び、働き、楽しめる街をつくることが何よりの解決策です。 Q54 交通の需給調整規制の廃止によってどういう影響がありますか。 需給調整規制とは、参入・退出に関する規制であり、輸送供給力過剰や供給力不足を生 じないよう、輸送秩序を守るため、需要と供給面で運輸省が審査をし免許が与えられたも のが事業に参入でき、当然、退出も勝手に行えないものです。運輸省は、運輸行政の根幹 をなしてきた人・物の流れの全分野における需給調整規制を原則として目標期限を定めて 廃止することを 96 年 12 月の「今後の運輸行政における需給調整の取扱について」で強調 しています。 これを受けて翌 97 年 3 月末に再改定された規制緩和推進計画で、鉄道・貸切バスは 99 年度、乗合バスは遅くとも 2001 年度から需給調整規制の廃止を実施することとされました。 需給調整規制が廃止されれば、優良路線にはクリームスキミング(いいとこどり)の発 36 生や、既存事業者同士の「仁義なき戦い」が起こりえます。一方で、黒字路線からの内部 補助も期待できず、儲からないところは撤退や路線の休止が相次ぎ、住民の足は守れなく なります。 大切なことは、交通手段をもたない人々、財政負担ができない人々の移動の自由をどう 保障するのかということと、利用者保護のための安全確保など必要な規制は残すという考 え方に立つことです。社民党は、運輸行政の規制緩和の影の部分に光を当て、安全輸送の 確保、生活路線維持、事業の安定運営の確保、交通運輸労働者の権利の擁護に全力を上げ ます。需給調整規制の廃止に伴う環境や条件の整備等について、あくまでも生活路線の維 持、安全の確保、事業の安定運営等の前提条件の確保に万全を期すため、その具体的実施 方策と新たな法的規制の確立を要求します。 Q55 地方のバス路線をどう守っていくのですか。 地域住民の生活路線を守るということは、単にそこで交通企業を経営する一事業者の採 算性を超えた「公共性」の問題であると考えます。こうした視点から社民党は、生活必需 路線としての公共交通機関は、国・自治体の施策としてこれを維持すべきだと考えます。 社会的なコスト・効率性からすれば、自動車産業をはじめとする大企業の利益活動に主導 された「私的モータリゼーション」のもたらす負担はそれ以上に巨大です。社会的には公 共交通が圧倒的に優れており、バスの社会的必要性も明確です。公共交通を優先する立場 で、道路目的財源の総合交通財源化を行い、バスの維持・復権のための財源を国・自治体 の責任できちんと手当します。 またバスは人の自由な移動を通じて、文化を伝え、コミュニケーションを保障し、地域 社会の活性化を生み出す重要な役割を果たしています。バスの立て直し・復権も単に交通 の問題ではなく、文化、教育、福祉、生活、地域活性化の観点など広く社会的な視点から の新しい発想と手法で考えられなければなりません。地方の公共交通の衰退は、高齢者・ 障害者・低所得者・子どもなどマイカーをもてない人・使えない人の「足」がなくなるだ けではありません。バスは「住める社会」の象徴であり、隣人生活の解体、地域社会の解 体、仲間とのつながりの断絶をもたらします。これまでの地域振興施策では、バスの維持 の問題は軽視されてきましたが、地域活性化・過疎対策の基本は、公共交通、生活交通の 維持です。そういう意味で、「路線バスは地域の社会的共通資本」という認識で、バスを街 づくりの中心と位置づけます。 社民党は、バス総合活性化対策の充実や過疎バス等への支援を進めるとともに、地域社 会の自覚と責任に基づいて、地域社会の選択でバスを維持するため、自治体、住民、バス 会社の三位一体で連携プレーをとるなどの方策も検討します。 Q56 社民党の進めているオムニバスタウンとは、どういうものですか。 最近、自治体が主体となり、地域住民の日常的な移動のために小型の車両を用いて市街 地を循環する新しい輸送サービスを提供するコミュニティバスの運行が増えています。そ の成功例が武蔵野市の「ムーバス」です。 97 年度から始まった「オムニバスタウン整備」は、マイカーに比べて、環境負荷のソフ トなバスの特性の発揮によって快適な交通、生活の実現をめざすというものであり、バス の多様な社会的意義の発揮によってモータリゼーションの問題点の解消をめざすことをコ ンセプトとしています。コミュニティバスの運行もその中の重要な柱に位置づけられてい ます。バスを活かしてすべての人が利用しやすい交通手段を整備し、渋滞や事故のない、 移動しやすい、人が歩き集える、排気ガスに汚染されないきれいな空気の街をつくろうと いうのが「オムニバスタウン」構想であり、街づくりとして交通政策が捉えられ始めたこ とを示すものです。 そして街づくりとして交通政策を位置づけるのであれば、従来の運輸省、建設省、警察 庁といった縦割りの交通行政を総合的な形にしていかなければなりません。そのため、国 37 のもっている交通行政の権限を自治体に移譲し、地域交通に対する自治体の決定権を拡大 することで、環境と人にやさしい地域公共交通を推進し、自治体の交通政策を確立します。 その一環として社民党はオムニバスタウンを推進するとともに、コミュニティバスの運行 を支援します。 Q57 社民党の進める LRT とは、どういうものですか。 地下鉄の整備は住民や利用者に大きな利便性の向上をもたらしましたが、一方で建設費 の高騰や過剰投資に伴う自治体の財政負担の増大の要因となっており、またお年寄りや障 害者にとっても負担となっています。 そこで社民党は、排ガス抑制・省エネルギーの地域公共交通体系を確立するため、公害 のない安全な大量輸送機関である路面電車の役割を見直し、その活性化を図ることを訴え ています。その核となるのが、LRT(ライトレール・トランジット)です。LRT は、従来の チンチン電車とは異なる新しい中規模交通機関で、高速、専用軌道、郊外直通、低床車両 等の特徴をもっている路面電車です。路面電車は、1 キロあたり数億円と地下鉄や新交通シ ステムに比べ非常に安い費用で敷設できるうえ、階段もなくすぐ乗ることができ、障害者 や高齢者など交通弱者にもやさしい乗り物です。排ガス抑制や省エネルギーにも役立ち、 また乗換えがしやすくネットワーク化も容易であり、小きざみな停留所の設定が可能でニ ーズに応えやすいものでもあります。社民党は、路面電車の延長や新規路線の開設を進め ていくため、軌道の専用化、車両の改善(大型化、低床化、冷暖房完備、ワイドドア化)、 新車両購入や軌道敷設・補修に対する財政支援を確立することに取り組んでいます。都市 計画の一環として、人間中心の街づくりとして車に占領されすぎた街を人間の手に取り戻 すためにも、LRT を支援します。また LRT だけではなく、ガイドウエイバスやスカイレー ル、モノレールなど地域に合った交通システムの導入・整備を推進します。 Q58 障害者や高齢者が交通機関の利用を容易にするために、社民党はどう取 り組んでいるのですか。 これまで交通機関のバリアフリー化は、経営上も直接的な増収に結びつかないため積極 的なものとはいえませんでした。しかし、社会の急速な高齢化の進展に対応し、創造的な 福祉社会を構築するためには、高齢者・障害者はもとより、乳幼児を連れた人や外国人を 含め、誰もが大きな支障を感じることなく自由に移動し、より積極的に社会参加できるよ うな環境づくりを進めることが大切です。 そこで社民党は、従来から移動に係る制約(モビリティ・ハンディキャップ)の克服を 交通政策の柱に掲げ、強く行政に働きかけてきました。鉄道駅の障害者対応型のエレベー ターやエスカレーターの設置に対する国費の補助等による支援やバス車両のバリアフリー 化の助成は、こうした社民党の働きかけの結果です。引き続き駅における段差の解消、エ レベーター、エスカレーター、スロープ等の設置、障害者対応型トイレ、音声ガイドアナ ウンス、誘導・警告ブロック、点字案内板(踏み切りも含む)、転落防止のためのホームド ア、転落検知マット、見やすい案内表示の整備等、人にやさしいターミナルヘの改良や、 ノンステップバスやリフト付き・スロープ付きバスの導入、リフト付きタクシーの導入を 推進します。 また「利用できる交通機関がない」との声に応え、バリアフリー車両によるドア・ツー・ ドア型サービスや公共施設巡回型の STS(スペシャル・トランスポート・サービス)を充実 します。さらに駅前広場や周辺道路、駅ビル等関係方面との連携の下にターミナル周辺整 備を図るなど、地域の街づくりと一体で全体としての円滑な移動を確保します。そのほか、 交通ボランティア活動の普及促進、高齢者等を対象とした割引制度の拡充等のソフト面の 施策を推進するとともに、盲導犬の交通施設・車両への乗り入れを認めるように働きかけ ます。 38 Q59 交通事故をどのように防止していくのですか。 車社会の進展は、急速な交通事故の増加を招き、死傷者の激増をもたらしました。貴重 な人命が年間 1 万人近く失われる悲惨な事故が続発していることは、非常に大きな問題で す。社民党は、交通事故問題は広範囲にまたがる課題であり極めて総合的に捉える必要が あると考え、以下の施策の実現に全力をあげて取り組んでいます。 まず歩行者と車が同じ道を通行することが事故の大きな要因の一つですから、歩車道の 完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、またスクールゾーンの増設やコ ミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先の原則を徹底すると ともに、信号機の高度化を進めるなど「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求します。 次に自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するため、非常に遅れている自転車道の整 備や自転車通行帯の充実を推進していきます。 車対車の事故防止のためには、道路標識や信号機の改善を図るとともに、自動車構造の 一層の向上を進めるため構造基準の強化を図ります。またエアバッグの普及を進めるとと もに、チャイルドシートの義務化や事故の発生につながりやすい運転中の携帯電話の使用 規制も検討します。 社民党は、以上の観点から、年次計画に基づく交通安全施設の整備拡充を着実に進めま す。また、交通安全教育の一層の推進や、自動車教習の強化など運転者対策も充実します。 一方、各省庁の連携を強化するとともに、自治体が独自に交通実態にあった交通安全行 政を行えることを追求します。 Q60 交通事故の被害者の感情を考えると、交通犯罪の量刑は軽くありません か。 交通事故は、毎年 1 万人近い死者と 90 万人を超える負傷者を生み出しています。その結 果、「交通事故不感症」ともいうべき状況になっており、人間よりも物や金を優先させる風 潮が人間の生命に金を払うことで交通事故の処理を完結しようとしているのがあたり前と なっています。しかも女性は男性の 6 割水準にも満たないという逸失利益の算定基準にお ける男女間格差もあります。 97 年秋に世田谷区で起きたダンプカーによる「ひき逃げ」事件は、被害者や遺族に対す る捜査当局の対応に配慮が欠けている実態を明らかにしました。社民党の追及によって、 捜査状況や容疑者の処分結果を説明する制度の導入を政府に行わせることになりましたし、 警察庁も遺族を対象にアンケート調査を行うことになりました。さらに、PTSD(心的外傷 後ストレス傷害)対策も含めた事故被害者や家族の救済策をもっと充実させていきます。 また、死亡事故に関して行政上の処分はわずか免許停止 1 年であり、交通犯罪の裁判の 量刑についても窃盗や詐欺の方が業務上過失致死罪より重くなっており、刑罰としては寛 容にすぎます。しかも検察庁・裁判所は交通犯罪に対する処理方針を寛大な方向へと転換 させています。 社民党は、あくまでも人間の生命が失われたことを基本にすべきであり、寛刑化が交通 犯罪に対する一般的予防効果を弱めているとも考えられることから、事故に相当する刑罰 へと量刑の引き上げを検討します。 なお、行政制裁金制度の導入問題については、社民党は刑事罰を科するものを行政の手 に委ねてしまうこと、警察の恣意・裁量の余地が拡大することなどの理由で慎重に対応す べきであると考えています。 Q61 駅周辺の放置自転車の解消をどう進めますか。 駅周辺に限らず放置自転車や無秩序な自転車の駐車は、自転車を使用する一人ひとりの マナーや公徳心にかかわる問題です。背景には駅周辺における自転車駐車場(駐輪場)の 未整備や最寄りの駅までの交通機関が不十分等といった行政の努力と工夫で解決できる点 39 も少なくありません。 しかしながら自治体単独でこれらすべての問題を解決することは事実上不可能ですし、 交通事業者のみに責任を転嫁するということは、現実的ではありません。こうした観点か ら第 128 回臨時国会では議員立法で「自転車の安全利用の促進及び駐車場の確保に関する 法律」の一部改正を行いました。 この法律の特徴は、自転車等の駐車需要の予想される地域における駐車場設置について の自治体の責務強化や鉄道事業者の協力体制の整備等を定めたものです。この法律によっ て放置自転車等に関する措置の強化に対して、各自治体が条例等を定める際の根拠づけと なるものです。 また自転車の利用と他の交通機関を組み合わせることによって駅周辺部の自転車の利用 を抑制するため、郊外に駐輪場を設けそこから駅へはバスで移動することを内容とする「サ イクル・アンド・バスライド」を推進します。 Q62 社民党は国鉄長期債務処理法案になぜ賛成したのですか。 社民党は、財政構造改革会議で、道路目的財源の活用、無料乗車券を活用した無利子国 債の発行等の主張をするとともに、JR 利用者や交通機関利用者全体の負担、増税による国 民負担は受け入れがたいとの態度で臨みました。しかし、最終的に座長一任となり、たば こ特別税の創設、郵便貯金の協力、年金部分の JR 追加負担を内容とする政府案がまとめら れました。 法案提出の際に社民党は、6 項目(①債務累積の原因究明と関係者の責任の追及・国民へ の十分な説明、②郵貯特会繰入れやたばこ特別税創設に当たっての配慮、③JR 不採用問題 の解決に向けた努力、④JR 北海道・四国・九州・貨物への支援措置、⑤事業団職員の雇用、 ⑥JR 各社・株主の納得を得るための努力の継続)の三党政策責任者の合意を行うとともに、 賛否は留保しました。そして特別委員会では、6 項目の内容や、分割民営化の問題点をただ し、総合交通政策・総合交通会計の確立等を主張しました。 もともと長期債務問題は、国鉄分割・民営化の負の遺産であり、歴代政府の無為無策の ツケにほかなりません。しかし利息が利息を生む長期債務の処理をこれ以上先延ばしすべ きではなく、さまざまな問題を残していながらも、党は政府案の枠組をやむをえないもの として受け入れざるをえませんでした。与野党の膠着状況を打開するため、試案として JR 負担を軽減圧縮するという提案を行い、自由党・自民党と共同で修正を行いました。党の 対応への批判については、厳粛に受け止めます。 法案は成立しましたが、元本償還財源の手当をはじめ課題は多く残されています。党は、 今後も公共交通の再生の視点を重視して対応していきます。 つなごう、地域と地域、地域と世界――一人ひとりを大切に、みんなが共 に生きる街 Q63 日本が、国際的にも人権先進国と呼ばれるためには、どんな取り組みが 必要ですか。 人間の平等を重視するのが社会民主主義の立場であり、社会民主主義そのものといって も過言ではありません。つまり、人間が平等に自由をめざすことができるためには社会が 公正でなければなりません。人間は自分勝手がいつも許されるわけではなく節度が必要で す。その節度を誰もが納得できるようにするためには、人間同士の相互依存、言い換えれ ば連帯が必要です。そして公正と連帯の中で人間が最大限の能力を発揮する自由が必要に なります。すなわちこれが自由・公正・連帯という社会民主主義の基本価値として表現さ れているのです。とするならば社会民主主義の立場からの政策は、人間と人間がわけへだ 40 てられずに共生できる社会をめざすものでなければなりません。 人間と人間との共生、つまり真の平等を実現することは、あらゆる人々の人権を確立す ることから始まります。日本が人権先進国となるためにはあらゆる政策を人権の視点から 構想することが必要なのです。 そのため社民党は、人権確立の視点から行政機構の改革を進め、人権にかかわる施策・ 事業を統合し、人権擁護に関する施策および調整全般を所管する「人権省(仮称)」の創設 をめざしています。また、性や部落差別、人種、信条などによるあらゆる差別を解消し人 権を確立するために、教育・啓発や人権侵害に対する規制・救済にかかわる施策などを総 合的に推進するための新たな立法制定も求めています。 Q64 人権を確立するためには、新たな人権擁護システムが必要ではないでし ょうか。 現在、法務省の人権擁護機関の一翼を担って、全国で 1 万 4000 名近くの人権擁護委員が 活動しています。しかし、人権擁護委員会が人権擁護に係る機能・権限をもっていないこ とをはじめ、人権擁護委員も一種の名誉職になっており、人権に関する専門的知識や活動 歴をもった人々が必ずしも選任されていないことなどから、差別を解消し人権侵害に対す る被害の救済するために十分に機能を果たしているとはいい難い現状にあります。 また、98 年 11 月に採択された、日本に対する「国連・規約人権委員会」の最終見解でも、 日本の人権擁護委員会が、人権侵害を調査し、申立に対し救済を与えるためのシステムを 欠いていることについて懸念が表明され、新たに独立した機関を設置するよう勧告してい ます。 こうした状況を踏まえ、社民党は現行の人権擁護委員制度を抜本的に見直し、労働三法 に違反した行為に対してその仲裁機関として労働委員会が設置されているのと同様に、人 権侵害を受けた場合の救済機関として国に「中央人権委員会(仮称)」、都道府県に「地方 人権委員会(仮称)」を独立行政委員会として設置することを提案しています。同時に、い まだ批准に至っていない、人権侵害を受けた際の提訴の手続を規定した、国際人権現約 B 規約の選択議定書の早期批准を図ります。 Q65 在日外国人の人権確立には、どう取り組みますか。 かつて日本の侵略行為によって植民地支配を受けた韓国・朝鮮出身者をはじめとして、 日本には外国籍の人々が多数在住しています。社民党は、国籍、民族に関わりなく、日本 に生活する住民として、在日外国人も人間としての尊厳が尊重されるのは当然だと考えま す。そのためには、まず民族固有の文化が尊重されるとともに、行政の意思決定に参加す る権利も保障されなければなりません。 地方自治法では「市町村の区域内に住所を有するものは、当該市町村及びこれを包括す る都道府県の住民とする」(第 10 条)とありますから、地方公共団体の住民はその国籍に 関係ないことは明らかです。しかし、現実には国籍を理由として住民としての権利に関し て在日外国人を差別しているのです。 そのため、まず在日外国人の具体的な諸権利を保障するための関係法整備を含めた措置 が急務です。具体的には、在日外国人の公務員などへの採用を管理職への登用を含め一層 進めることはもちろん、審議機関、諮問機関や教育委員、民生委員、人権擁護委員などへ 在日外国人を登用することも必要です。住民投票などにも参加できるようにすべきです。 さらに選挙権付与についてもまず地方レベルから実現を図っていく必要があります。また、 在日外国人の民族的権利を保障するためには、これまで各種学校として扱われてきた民族 学校・教育を制度的に保障するとともに、外国人学校の卒業生が国立大学に受験できるよ うにするなど、これまでの差別を撤廃しなければなりません。 Q66 「組織的犯罪対策法案」には、なぜ反対なのですか。 41 「組織的犯罪対策法案」は、「通信の傍受」と称して電話等の盗聴を合法化し、「組織犯 罪」の名の下に、労働運動・市民運動を抑圧するもので、社民党は一貫して国会提出に反 対してきました。積極的に反対運動に取り組んできたことでいえば、社民党は唯一反対を 貫いてきた政党です。 法案では、令状によって「通信の傍受」、すなわち盗聴を認めており、いうまでもなく憲 法が保障するプライバシーの権利、通信の秘密を侵害し、憲法の精神を根本から否定する ものです。 また組織的な犯罪には刑を加重するとしていますが、その対象となる「団体」の定義が 曖昧なため、二人以上であればあらゆる人的結合体が含まれてしまいます。しかも通用さ れる罪名には、逮捕監禁、強要、信用毀損、業務妨害、威力業務妨害など、これまで労働 運動・市民運動に対して恣意的に適用されてきた罪名が並んでいます。これでは市民によ るさまざまな運動が「組織犯罪」の名の下に抑圧される危険が大いにあります。 さらに、犯罪収益等による事業経営の支配等を処罰、犯罪収益等の没収および追徴を拡 大し、判決が出る前にそれらの没収保全手続を認めていることも大きな問題です。まず「犯 罪収益等」といってもその範囲が曖昧なため、明確性の原則に反しますし、判決前に没収 保全手続を認めるのは明らかに無罪推定の原則に反します。さらにこれらの措置は、事犯 の特殊性による例外として認められた麻薬特例法の処罰範囲を一般犯罪に拡大するもので、 刑法、刑事訴訟法の原則にも反します。 このようなわが国の刑事法制を根幹から否定しかねない悪法は断固として廃案に追い込 むべきです。 Q67 子どもの人権をどう確立していきますか。 子どもの人権を確立するために、社民党は「子どもの権利条約」の精神を国内の施策で 具体化すべく取り組んできました。そのためには子どもたちが権利の客体ではなく主体で あることを踏まえ、子どもを保護するだけにとどまらず、子どもの権利を保障する見地か ら施策を展開することが大切です。 当面はその条件を整備する観点から、子どもたちの人権が守られ、誰もが、わけへだて なくあらゆる場で、教育、文化を享受し、その担い手としていきいきとした人生を送るこ とができるような教育を推進すべきです。そのためには、教育が平等な形で受けることが できなければなりません。教育を受ける権利が子どもたちに平等に保障されていなければ ならないのです。例えば、障害をもつ子どもともたない子どもが共に学ぶ統合教育の推進 をあげることができますし、同和教育、人権教育を推進し、人権について子どもたちが学 ぶことも大切です。 そのうえで、子どもたちがみずからの生き方をみずから選択することが可能でなければ なりません。子どもたちが未来に希望をもって生きていくためには、自分が、頑張れば頑 張った分だけ酬われる仕組みがなければなりません。しかし現実には、「婚外子」のように 出生による差別が厳存していますし、外国籍であるとか、障害をもっているなど、いわゆ るマイノリティの子どもたちの人権は保障されていないため、関係法の改正はもちろん、 可能なものは条例によっても保障していくことが急がれます。 Q68 子どもの売春や子どもポルノを禁止する法案が議論されていますが、ど んな内容ですか。 現在「児童買春、児童ポルノに係る行為の処罰及び児童の保護等に関する法律案」が国 会に提出されています。この法案は、社民党の呼びかけによって、連立政権当時に設置さ れた「与党児童買春問題等プロジェクトチーム」によってとりまとめられたものです。 社民党は「子どもの権利条約」を日本で具体化するために、子どもの人権を確立する視 点から、この法案づくりにも取り組んできました。なぜなら「子どもの権利条約」には、 性的虐待から子どもを保護し、そのための措置をとることが明記されているにもかかわら 42 ず、国内法が整備されていなかったからです。 さて、この法案は、①児童売春、児童ポルノの規制とその処罰、②児童の権利に関する 教育・啓発を行う責務を国、地方公共団体がもつこと、③児童のケア・リハビリ体制の整 備などを定めるもので、一刻も早い制定が求められます。同時に子どもの人権確立に向け た施策の一層の充実を図るとともに、関係法の再検討も必要です。 なお、一部に「コミックや、イラストを描くだけで処罰されるのではないか」との誤解 もあるようです。単に想像するだけでは犯罪にはなりませんが、絵の場合でも、明らかに モデル(被害者)が実在し、それがビジネスとして行われれば犯罪となります。 Q69 いじめの問題や不登校、高校中退の急増などについて、どんな対策が必 要ですか。 最近「キレる」子どもたちが増えているといわれています。そのことを子どもたちだけ の問題として捉えるだけで、はたして問題解決の糸口がつかめるでしょうか。大人たちの 社会のあり様が、子どもたちにも反映していると考えるべきではないでしょうか。これま で大人は、大人が子どもを教育するという姿勢のみから、大人がつくった教育システムに 適応できるかできないかを評価軸に子どもを見つめてこなかったでしょうか。社民党はこ うした反省に立って、子どもと大人が共に悩み、学ぶという姿勢から、子どもたち一人ひ とりの個性を尊重し、教育現場の問題の解決を図ります。 まず、いじめや不登校などに対して、子どもと正面から向き合える相談要員の養成、確 保や、24 時間子どもサポートシステム(チャイルドラインなど)を整備するとともに、地 域ボランティアや NPO の参加を促進し、子どもの悩みを受けとめ解決できる環境づくりを 進めます。また、本人や周囲の努力にもかかわらず、不登校など学校になじめない子ども たちのために、フリースクールなどの取り組みを支援します。 学校や授業がおもしろくないという子どもたちが多い理由には、現在の学校教育の体制 では、一人ひとりの個性や授業内容の理解度に応じた指導が困難な状況にあることをあげ ることができます。完全学校 5 日制の実施に伴って、ゆとりの中で、みずから学び、考え る力を育むカリキュラムへの改革を進め、さらに、当面 30 人学級の早期実現を図ります。 さらに、子どもたち自身の主体性を活かし、とくに中学、高校では、使用教科書の選定、 校則の策定など学校運営への参加も保障します。 Q70 少年犯罪への、社民党の対応を教えてください。 少年犯罪を厳罰化すべきとの立場から、少年法を改正し処罰の対象年齢を引き下げよう とする動きが活発化しています。こうした動きに対して社民党は、少年法の趣旨に鑑み慎 重な国民的論議が必要だと考えています。 少年法は、少年を取り締まったり処罰するものではなく、少年が健全に成長していくた めに、教育し保護することがその基本理念にあります。この点は、子どもの意見表明権を 尊重し、犯罪を犯した少年についてもその特性を十分考慮した手続を保障すべきとした「子 どもの権利条約」にも合致したものです。 厳罰化を主張する人々は、少年犯罪の激増、凶悪化をその根拠にあげますが、統計的に みて、この間少年犯罪は低水準に推移しており、少なくとも増加したという事実はありま せん。むしろ、確かに凶悪事件もありますが、日本は世界的にみても少年犯罪が少ないこ とを評価すべきではないでしょうか。つまりそのことは少年法が犯罪抑止に有効な役割を 果たしてきたことを示すもので、厳罰化が必要な状況にあるのかどうかは極めて疑問とい わざるをえないのです。むしろ少年犯罪への対応としていま必要なのは、少年非行の原因 やその背景を把握し、解決の方法を導き出すことではないでしょうか。 なお一方で、少年犯罪の被害者はもちろん、犯罪による被害者の人権を保障する立場か ら、犯罪の被害者やその家族が、なんらの救済もなされないまま放置されている現状を踏 まえ、新たな救済制度の確立も急ぐべきです。 43 Q71 分権・自治による学校づくりと開かれた教育行政に、どう取り組みます か。 社民党は、地域に根ざした教育を実現し教育の分権化を進めるために、新たなシステム を具体化します。 まず、地域の特性を活かして新しい教育を進めるために、学習指導要領、教科書検定制 度を見直し、国の役割は必要最小限の教育内容を策定するにとどめ、分権型で多様な教育 のあり方を保障します。 また、地方教育行政に地域住民の意見が反映されるよう教育委員の選出方法を改めると ともに、教育委員会を活性化するためにその自主的な権限を拡大します。画一化された教 育からの転換を図るため、国に「カリキュラムセンター(仮称)」、都道府県に「地域カリ キュラムセンター(仮称)」を設置し、相互に連携しながらカリキュラムの開発、策定、教 科書や副教材に関する研究などを進め、地域の特性に応じて教育ができる体制をつくりま す。 学校は地域コミュニティの拠点の一つとして位置づけ、学校施設の地域への開放を促進 します。例えば、運動場などの休日開放の活発化、学校図書館を地域住民も活用できるよ うにするとともに蔵書を充実させる、空き教室を地域の文化交流の場や可能な場合福祉施 設の役割をも果たす場として活用するなどです。これらを運営するとともに、学校教育を 地域全体で支え、さらに新たな教育のあり方を地域から創造するために、地域住民、生徒、 教職員が共同して学校運営にあたるシステムを確立します。 Q72 市民の学習機会を保障するために、地域の図書館を、どう充実していく のですか。 図書館の設置率は、都道府県では 100%、市では 90%を超えていますが、町村になると 半分にも届いていません。学習機会を平等に保障するために町村での図書館建設を進めま す。財政的に厳しい場合、巡回図書館の充実、公民館、集会所などへの図書室の設置、充 実を先行的に行います。また図書館相互の連携を深め、情報ネットワーク化を進め、既存 の図書、資料の有効活用を図ります。 利用者のニーズに応える図書館とするためには、とくに障害者、子ども、高齢者が利用 しやすいバリアフリー化を推進するとともに、夜間の開館時間延長も進めます。 また、高齢社会を迎え生涯学習のニーズが高まっています。そのため図書館の専門的事 務はこれまで以上に幅広いものとなってきました。今後、図書館司書が図書館を通じて地 域の文化振興を図っていくうえでのコーディネーターの役割を果たすことが求められてい ます。このような新たな状況を踏まえ、それに対応できる人材を育てるために、司書講習 科目を大胆に見直し改正するとともに、研修等の充実を図ります。 Q73 学校給食のあり方について、どう考えますか。 最近、学校給食は勉強机で食べるものという固定観念が打破され、食堂を設ける学校も 出てきています。食堂とまではいかなくても、別の教室をランチルームとする学校も珍し くなくなっています。これからは、教室とは別に学校食堂が設けられ、決められたメニュ ーではなく、一定の栄養価値の水準を満たした複数のメニューの中から、子どもたちが選 択できるような学校給食のあり方を検討すべきです。また日本の伝統的食文化・地域の食 文化に触れる機会を増やすためには、お米のメニューの充実などを進めるべきです。地域 に開かれた学校づくりの観点から、学校給食を地域の高齢者にサービスすることも検討す べきです。 また、子どもたちが健康に育つとともに、食べることを通じて自然とのふれあいをも可 能にするためには、低農薬の野菜や果物などの食材や遺伝子組み換え食品は使用せず、で 44 きるだけ環境保全型農業によって生産された国内産の食材を活用すべきです。食器も有害 食器の排除はもちろん、プラスチック、アルミ製食器から木製食器、強化磁器などへの転 換を進めるべきです。 「教育としての学校給食」を実践するためには、1985 年に文部省から 出された合理化通達を撤回させ、全国的に直営・自校方式の調理も追求すべきです。また、 O-157 対策によって過度な衛生管理がもたらす、調理員への健康被害や過重労働も懸念され ます。学校給食法が施行されて 50 年、今こそ抜本的な見直しを視野に入れ、真剣な議論が 必要でしょう。 Q74 女性がいきいきと暮らしていくために、どう取り組んでいきますか。社 民党の女性政策を教えてください。 女性がいきいきと暮らしていける男女平等社会は、女性が女性固有の身体的条件や社会 的条件によってなんらの不利益を受けることなく、性を理由にしたいかなる差別・暴力も 許されない社会です。そのために社民党は、あらゆる社会通念や慣行を男女平等の視点か ら改めて点検し、包括的な「男女平等基本法」を制定します。同時に女性差別監視や人権 侵害の救済システムなど新たな制度的枠組みをつくります。 また、女性労働が正当に評価され、家庭、地域、職場のあらゆる場で、あらゆる差別を 撤廃するために、男女の賃金格差是正をはじめパート・派遣・有期雇用など、働き方によ る不利益を是正し、育児と仕事を両立させるための託児、保育施設などを充実します。育 児・介護など家庭生活に男女が共同して責任を負えるよう社会制度を整えます。また農山 漁村の女性、自営業で働く女性の労働の経済的評価ならびにその地位の向上を図ります。 地域で利用者のニーズに応えた活動を行う女性起業家や NPO を支援します。さらに女性の 再就職のための制度を確立し、シングルマザーや障害女性の優先雇用制度などの実現も図 ります。 女性が子どもを産むか産まないかを自己決定し、生涯を通じた性と生殖に関する健康・ 権利を保障するための法的整備と施策の確立をめざし、母体保護法、刑法の堕胎罪を撤廃 し、避妊・中絶を含む女性の総合的な健康確保のための新たな立法をめざします。さらに 個人の尊厳と男女平等の視点に立って民法を改正し、選択的夫婦別姓などを実現し、女性 のみにある再婚禁止期間も廃止します。 社民党は、社会のあらゆる場における意思決定に男女が平等に参加できる条件を確立し ます。 Q75 社民党は選択的夫婦別姓の導入を主張していますが、一部に根強い反対 の声について、どう考えますか。 選択的夫婦別姓制度は、個人の尊厳を守り両性の本質的平等を確立する原則の下、女性 の社会進出に伴って起こるさまざまな社会的不利益の解消、進行する少子化への対応、姓 に対する国民意識の変化などからその導入が急がれてきました。 その一方で、頑ななまでの反対論があることも事実です。反対論の大方の趣旨は、民法 を改正して選択的夫婦別姓を導入すれば、日本の伝統や家族の絆が崩壊するというもので す。しかし、夫婦同姓を強制する民法は明治時代に成立したものですし、こうした法制度 が古くからの伝統に則って定められたものではありません。例えばその証拠に、源頼朝の 妻は北条政子と、足利義政の妻は日野富子と習ったはずです。 もちろん日本の伝統を大切にする心をもつことは大いに結構なことです。しかし、一部 宗教界の人々のように、民法改正が国を滅ぼすなどというのは逆に伝統の価値をおとしめ るものでしょう。伝統とは、法律を変えようが変えまいが人の心に常に根づいているもの をいうのではないでしょうか。時の権力や法律から庇護を受けないと成り立たないような ものは、残念ながら伝統とはいえません。 しかも、選択的夫婦別姓制度はそれを強制するものではなく、夫婦が同姓であるべきだ 45 と、双方が合意すればそれでも構わないのです。それなのに、よその夫婦が別姓を選択す るのがけしからぬというのは、大きなお世話というほかありません。しかも怪しげな伝統 なるものを振りかざして、夫婦同姓を強制するのはいかがなものでしょうか。 Q76 男女共同参画基本法案について、どう考えますか。また男女平等社会を 地域からつくっていくには、どうしますか。 政府は、「男女共同参画 2000 年プラン」を策定するとともに「男女共同参画基本法案」 を準備しています。こうした動きは、社民党(旧社会党)による戦後一貫して推進してき た女性の権利保障への取り組みが後押しとなったもので、一定評価できます。 社民党は性差別を解消し、個人の人権を尊重する観点から、政府案を一層充実させると ともに、その推進体制の強化を図ります。 さて、男女平等社会を内実あるものにしていくためには、まず身近なところから変えて いくことが重要です。地域では、生協活動や介護、さらにはさまざまな市民運動など、女 性が担っている分野はたくさんあります。農村でも女性の労働力によって農業が支えられ ているといっても過言ではありません。こうした女性の労働、地域・社会活動を支援し、 これまで以上に女性が社会のあらゆる分野の活動に参加しやすい条件をつくっていくこと が重要です。 また、地域から男女平等社会をつくっていくため、以下のような取り組みを地域全体の 課題として推進します。世界女性会議で採択された行動綱領や、北欧などの男女平等先進 国に学びながら、自治体レベルでも、「男女平等都市宣言」などの宣言採択や、「男女平等 条例」の制定を進めます。自治体の意思決定レベルの役職や審議会の委員等への女性の登 用を進めるため、クォータ制度やポジティブ・アクションの採用も視野に入れます。国の 基本法に合わせ、各自治体で「男女平等基本計画」を作成します。「人権教育のための国連 10 年」などとリンクさせながら、ジェンダーの視点に立った教育を自治体等の職員等に対 して行います。とくに男女差別が根強い自治体等における教育・啓発に力を入れ、差別的 な仕組み・慣行を改めます。 Q77 働く女性を守る重点施策は何ですか。 99 年 4 月から改正男女雇用機会均等法が施行されます。しかし、職場での男女差別が一 掃されている現状にあるかどうか、めざされている理念とはほど遠い実態にあるといわざ るをえません。なかでも、賃金格差の問題は重大です。適正な評価方式を検討し、同じ内 容の仕事に就く男女間で賃金の差が生じないように「同一価値労働同一賃金原則」の確立 をめざします。 同時に、社民党が強く主張して改正均等法に盛り込まれたセクシャル・ハラスメント(性 的嫌がらせ)防止や、事業主が行う「女性の能力発揮を促す積極的な取組み(ポジティブ・ アクション) 」の実効性確保に向け、引き続き性差別禁止法の制定に向けた取り組みを進め ます。なかでも、セクシャル・ハラスメントについては、99 年 4 月から事業主への配慮が 義務づけられることから、発生原因等も含め、改正の主旨が徹底されるように監視活動な どを強めます。 また、時間外・休日労働の規制を建前上のものとせず、労働時間を短縮し、1 日の労働と 生活のサイクルを大切にします。まず、小学校就学前の子どもをもつ親には申請により時 間外・休日労働の免除を、中学校就学前の子どもをもつ親には申請により深夜業の免除を 事業主に義務づける措置を講じます。さらには、女性に固定化されつつある育児休業を男 性も取りやすくする職場環境をつくるとともに、エンゼルプラン等を着実に実施し(とり わけ保育施策の抜本的な拡充による「保育の場」の完全確保と保育料の負担軽減など)、社 会全体が子育てをバックアップできるような施策を進めます。 Q78 女性労働力が期待されていますが、女性の社会参加を、どう進めますか。 46 少子・高齢社会の急速な進展に柔軟に対応できる雇用システムを構築するためには、男 女労働者が仕事と家族的責任(育児・介護等)を両立し、ゆとりをもって家庭・職場・地 域における安心と豊かな生活を享受できるよう支援していくことが極めて重要となります。 この観点から、育児・介護休業を取りやすくする環境整備の一環として、①育児・介護 休業給付に係る所得保障水準の 60%への引き上げ(なお、中期的には支給期間の延長も視 野に入れた検討を進める)、②託児施設等への施策充実の一環としての無認可保育所などに 対する支援強化、③さまざまな就業形態に対応できるように事業所内託児施設を設置する 事業主への助成措置−などを図ります。さらに、社民党が提起してきた「家族介護休暇制 度」の法制化もめざします。 同時に、パート・派遣・臨時雇用など、不安定雇用の形態で働く女性労働者が安心して 継続的に仕事ができるように、賃金や労働時間・社会保障などの差別的な労働条件の見直 しを進め、正当な評価と平等な労働条件を確立するためにパート労働法や労働者派遣法を 改正します。 また、管理職に占める女性の比率を段階的に高める支援奨励策やコース別採用など(間 接差別)に象徴される男女差別を是正する施策に取り組み、男女平等社会の実現を、まず 職場から進めます。その具体化の一歩として、不況のしわ寄せ(悪影響)が強く及ぶ女性 の就業環境の改善を図るべく、女性を新たに雇い入れた企業については、その教育訓練に 係る経費に対する実効ある助成を行います。 Q79 自衝隊および在日米軍の基地が存在することによる周辺住民の生活へ の影響に、どう対処しますか。 生活破壊、睡眠妨害、精神被害、身体被害など飛行機の離着陸訓練に伴う騒音が、自衛 隊および在日米軍の基地周辺・周辺外地域の生活環境に大きな影響を与えています。とく に米軍機の NLP(夜間離着陸訓練)は、「反社会的行為」といっても過言ではありません。 政府は、騒音防止事業による防音工事などを行っていますが、「静かな空を返せ」と訴え る住民にとって、基地被害の補償としてはあまりにも不十分な「付け焼き刃」的対策です。 「日本列島での超低空飛行訓練の禁止」を実現しなければなりません。住民の住む上空で の訓練を行わせないよう、政府に対し積極的にアメリカに働きかけるようにさせます。 加えて、軍用機のニアミスや墜落、落下物による生命・財産の危険、電波障害・振動等 による生活妨害その他、基地に起因する多くの問題があります。社民党は、基地等の区域・ 施設に対する日本の法令(とくに消防法や環境関係法令など)の厳格な適用や自治体職員 の立ち入り、日米地位協定の見直しなどを進め、基地による被害の防止や住民の受けた被 害の救済に努力します。 なんといっても、これらの問題の最高の解決策は、基地の早急な整理・縮小・撤去です。 しかし、米国防省筋は極東米軍の「アジア駐留 10 万人態勢」を 21 世紀にも維持すると いい、「駐留経費負担」を関係各国に求めようとしているようです。いわゆる「思いやり予 算」の中の(在日米軍)提供施設整備予算の段階的縮小を進め、沖縄をはじめとする所在 地域の負担を軽減するため、在日米軍基地の早急な整理・縮小・撤去を推進すべきであり、 そのための対米交渉を進めなければなりません。 自衛隊については、村山内閣で閣議決定(95 年 11 月)した「新防衛計画の大綱」により、 陸上自衛隊の常備自衛官定数を「旧大綱」18 万人から 14 万 5000 人に、基幹部隊では「旧 大綱」12 師団体制から 8 師団体制にと、合理化・効率化・コンパクト化を進めています。 一方、指揮官クラスの数は維持しつつ、「予備自衛官」を募集し一定期間実弾射撃訓練など の軍事訓練を行っている実態からして、ほんとうに自衛隊が縮小されているのか、疑問が 残ります。実質の定員・施設の縮小をめざします。 Q80 社民党は、「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)について、 47 どう考えているのですか。 冷戦の終結により世界的規模の武力紛争が起こる可能性は遠のきました。しかし、94 年 の朝鮮民主主義人民共和国核兵器開発疑惑を契機に、日米両政府は日本周辺地域には不安 定要素があるとの認識から、78 年に策定された「日米防衛協力のための指針」 (ガイドライ ン)の見直しを開始しました(ただし、米国政府は軍事力の展開を行いつつもカーター元 大統領が 38 度線を越えて金日成主席と会談、軍事衝突という最悪の事態を回避した経過、 一方、日本政府は「疑惑」を利用して「朝鮮民主主義人民共和国敵視」「軍事力増強」への 世論操作を続けた経過も認識しておかなければなりません)。 このような中で、社民党は自社さ連立政権の与党三党の一員として見直し作業に参加し ましたが、 ①「周辺事態」に、台湾を含むのかどうか。 ②日本の防衛政策の基本である「専守防衛」の範囲を超えるのではないか。 ③日本国憲法上禁じられた「集団的自衛権の行使」につながるのではないか。 ④日米安保体制の強化につながるのではないか。 ⑤戦闘行為と一線を画された地域での支援が本当に可能なのか。 など、与党協議においてさまざまな疑問を呈してきました。 その結果、全体をとおして「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)は、米国の 世界戦略・アジア戦略を基に日米両国の軍事・外務官僚によって策定された「安保を超え る安保」であり、 「60 年安保条約」の「国会審議なし」の「改訂」につながる危険性を感ぜ ざるをえないことから、社民党は反対を唱えています。そしてこの問題が一つの契機とな って、橋本政権への閣外協力を解消するに至ったのです。 Q81 なぜ、 「日米防術協力のための指針」 (新ガイドライン)関連法案に反対 なのですか。 「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)見直しを受け、政府は「周辺事態安全確 保法案」等 2 法案 1 協定を国会に提出し、現在継続審議となっています。 同法案には、次のような問題点があります。 まず第 1 に、政府案は「周辺事態」の定義を、「わが国周辺の地域におけるわが国の平和 及び安全に重要な影響を与える事態」としているにもかかわらず、閣議決定する「基本計 画」は国会への報告にとどまり、国権の最高機関である国会の承認案件となっていません。 では、「基本計画」を「国会承認」事項に修正すればよいのでしょうか。そういう国会手 続の問題ではないと考えます。「政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのない ように決意」して日本国憲法を創った日本が、「歴史認識の欠陥」を批判されるとともに、 中華人民共和国・大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国をはじめとする諸国国民との国民レ ベルの平和・友好関係構築の努力よりも「アメリカ追随の軍事力強化路線」をとる中で(と くに自・自連立はそうなるでしょう)これら諸国民に対日不快感を植えつける道を拡大す るのが、新ガイドラインと関連法案のもつ意味合いではないでしょうか。小沢一郎・自由 党党首などの一連の動きはこの路線での「改憲」策動と断ぜざるをえません。 第 2 に、「基本計画」策定の根拠となる「情報」は日本政府が主体的に把握・判断できる のでしょうか。「アメリカ情報の追随」ではないという保障がありません。 第 3 に、 「対象地域」が限定されていません。「足かせ」があるのでしょうか、ないので しょうか。ないと考えた方がよいでしょう。 「60 年安保」当時の国民的反対闘争に対応する ため日本政府が設定した「足かせ」は、日米両政府等によってなし崩し的に空洞化されま した。「事前協議」はただの一回もなく、「非核三原則」も「二・五原則」となり、 「極東の 範囲」を越えて在日米軍は遠く中東の戦闘に直接出撃している現実があります。これらを 考えると、新ガイドラインと周辺事態法案は形だけ残存している「足かせ」を払拭する「露 払い」になるのではないか、「日米グローバル安保体制」構築になるのではないか、と考え 48 ます。 このほかにも、「基本計画」に活動実施期間の規定がない(始めも終わりもアメリカが決 めるからなのか)、船舶検査活動の実施が「武力の威嚇」と受け取られる可能性があるなど 同法案にはさまざまな問題点があります。憲法に反するおそれがあり国民生活に重大な影 響を及ぼすことから、社民党は到底容認できず反対です。 Q82 新たな「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)に基づく「周 辺事態安全確保法案」と、自治体や民間との関わりについてはどうです か。 周辺事態安全確保法案第 2 条 4 項は、「内閣総理大臣は対応措置の実施に当たり、第 4 条 11 項に規定する基本計画に基づいて内閣を代表して行政各部を指揮・監督する」と定めて います。この「行政各部」なる言葉がいったい何を指すのか、法的根拠は何も示されてお りません。場合によっては、すべての行政機関に対する指揮監督権を定めようとする意図 を感ぜざるをえません。こうなるとこの法案は、戦時中の「国家総動員法」に限りなく近 いものになってしまうのではないでしょうか。 さらに第 9 条は「関係行政機関の長は法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対 しその有する権限の行使について必要な協力を求めることができる」としています。この 条項について政府は、「地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協 力を求めることができるものとするものであり、地方公共団体に対する一般的な協力義務 について定めるものです。これは地方公共団体に対して強制するということでなく、あく までも協力を求めるものであり、国力要請に応えなかったことに対して制裁的な措置をと ることはありません」と、全国基地協議会などに説明していますが、 「協力義務」といいな がら「強制するということではなく」という矛盾した見解になっています。さらに、すで に指摘されているように「必要な協力」の内容を一切提示しないで、いわば無制限・無制 約の協力を求めようとするやり方は地方自治の根幹を否定するものにほかならないと考え ます。 たとえ立法当初は「羊」のごとくであったとしても、時が経てば「虎」のごとく、とな るのではないでしょうか。沖縄の海上ヘリポート建設に反対した大田前知事に対して、橋 本内閣・小渕内閣は地方分権の流れはどこへやら、徹底的に報復措置を取りました。「苛政 は虎よりも猛し」です。今黙っていては何もいえなくなるでしょう。まさに「見ざる・い わざる・聞かざる」という「三猿」の状態が、「安保翼賛体制」の行き着く先です。 社民党は、自治体に対しても、政府に安易に協力するのではなく、地方自治の本旨・住 民の自己決定権を踏まえ、市民の生活と安全を守るという立場を優先した行動をとるよう 求めていきます。 Q83 自衛隊の国連軍参加についてどう考えますか。 武力行使が目的・任務の「国連軍」に自衛隊が参加することは、自衛隊の「海外派兵」、 すなわち武力行使が目的の武装した自衛隊部隊を他国領土、領海、領空に派遣することに なり、日本の防衛政策の基本である「専守防衛」に反するばかりか、自衛のための必要最 低限度を超えるもので、憲法上許されません。 また集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が 直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利の行使にもなり、憲法上 許されません。 社民党は、憲法遵守の立場から、自衛隊の「国連軍」参加には反対です。 Q84 アジア政策についてどう考えますか。 インド、パキスタンが核実験を強行するなど、アジアには不安定な状況が続いています。 49 社民党は、かねてより東北アジア非核地帯構想を提唱し、原水禁などと協力し核軍縮に取 り組んできました。今後とも、各国の平和を願う人々とともに草の根から核廃絶をめざし て、自治体の平和活動を強めます。 日米安全保障体制の強化という二国間同盟重視では、アジアの平和と安定は図れません。 冷戦終結後は多国間安全保障の努力が国際的な潮流になっています。アジア太平洋地域で は、 「アセアン地域フォーラム」 (ASEAN Regional Forum,21 カ国および EC)が、多国間の 安全保障面での対話と協力の唯一の場です。アジアにも「対話・協力」から一歩進めた「欧 州安全保障協力会議」(OSCE55 カ国)のような地域的安全保障機構を構築することが必要 です。 また、食糧、環境、人権について、アジア各地には困難な状況下にある人が多くいます。 これらの問題を解決するために、多様なネットワークを構築します。 社民党はこれまで長年にわたって培われてきた中国との友好関係を大切にし、さらに発 展させます。北方領土問題の平和的解決をめざして日口関係の改善にも努め、ロシア住民 との交流を強めます。朝鮮半島については、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国との対話 の進展を支持し、同時に日朝国交正常化交渉が再開されるように努めるとともに、「朝鮮半 島エネルギー開発機構(KEDO)」における日本の責任を果たします。「情報収集衛星」や TMD の推進には反対します。 また「反省」と「お詫び」を明らかにした 95 年の村山総理談話を踏まえ、戦後補償問題 に誠実に取り組み、アジア諸国との共生を確かなものにします。社会主義インター加盟の 党として、アジアの他の加盟政党との友好協力関係を深め、アジアにおいても社会民主主 義勢力が影響力を広げていくよう、各地域の特性を活かした交流を進めます。 社会の安全ネットの形成――参加・分権・生活型の安心できるしなやかな福 祉社会へ Q85 消費税をどのように改革していくのですか。 社民党は、飲食料品にかかる消費税額戻し金制度の創設を提案しています。この制度は、 飲食料品支出にかかる消費税額を年間の給与所得に応じて払い戻すもので、消費税のもつ 欠陥を是正し、低所得者層に対する逆進性を緩和することに最大の配慮をしたものです。 しかも歳出による給付であり、新しい型の社会保障といってもいい制度です。 戻し金の方法はいたって簡単です。全世帯の飲食料品の年平均支出額(約 92 万円)に、 現行消費税率の 5%を乗じた額の 5 万円を限度に各家庭(世帯単位)に払い戻します。当面、 年間給与所得 780 万円(収入 1,000 万円)までの夫婦子 2 人の標準世帯に 5 万円全額を戻 します。給与所得が 780 万円を超える層については、低所得者層に対する逆進性緩和のた めの制度であることから対象からはずします。なお、年収 400 万円以下の勤労者世帯の年 平均飲食料品支出は約 70 万円ですので、この世帯層にとっては消費税をゼロにするよりも 大きな効果があることになります。 この制度創設に加え、消費税の使途を年金や介護、雇用に優先するという目的を明確化 すること、免税点の適正化など益税の解消、インボイス方式の導入などの改革が必要だと 考えています。 とりわけ 21 世紀の日本の福祉社会を展望する場合、使途を明確にした消費税の果たす役 割は極めて大きなものがあります。したがって景気対策のレベルで消費税が論議されるの は本旨を見失ったものと指摘せざるをえません。福祉は景気の如何によって左右されるも のであってはならず、どのようなときにも人々が安心して生活できるよう、社会のセーフ ティネットとして整備されていなければならないものです。 50 Q86 総合課税制度(社民党的には「公平番号制度」)について、どう考えま すか。 現行税制では、株式譲渡益は売却額の 1.05%、利子は 15%(地方税を加えると 20%)で の源泉分離課税が行われる(課税関係は完結する)一方、勤労所得は累進税率が適用され ることから格段に高い税率が適用されています。 このような勤労所得と資産性所得(不労所得)との課税における不均衡を是正するため には、すべての所得を合算したうえで、累進税率を適用できる総合課税化が追求されなく てはなりません。この趣旨に最もかなう手段として、「公平番号制度」を導入し、所得の適 正把握を行いうる環境整備を早急に完了する必要があります。ただし、「公平番号制度」の 採用、即(直ちに)総合課税制度の実現といった性急な舵取りは、当面は見合わせる方が 政策的な妥当性が強いといえるかもしれません。なぜなら、金融資産等への十分な捕捉体 制が完備されない限り、多様な金融資産の保有手段を有する資産家優遇になりかねないし、 最高税率の引き下げも実行しなくてはならないからです(金融資産も含めて高税率で課税 されてしまうと海外への大規模な資産移転は必至)。 したがって、①「所得の適正把握」を最優先する、②そのうえで、海外まで視野に入れ た租税回避行為や他の資産(金や絵画等)へのシフトが容易な「逃げ足の早い」金融資産 等に対しては、総合課税化を追求すべきか、それとも租税回避行為を誘発しない水準での 分離課税を設定して、課税最低限も機能するその枠内における累進税率の適用を図った方 がよいのか判断を行う(課税最低限以下の非課税世帯などにも 20%の負担を求める一律分 離課税は不公平税制の最たるもの)などの着実な取り組みを進めることこそが、納税者 番号制導入に向けた 逃げを許さない 現実的な対応といえるのではないでしょうか。 Q87 財政再建をどのように進めていくのですか。 財政危機を生んだ真の原因とは何か? 一言でいえば、広範な裁量権と膨大な補助金を 背景とした権力が官僚機構に集中している構造にあります。しかも、行政の情報公開が不 十分であったため、既得権益を護持する不透明な体質を温存させてきたといえます。この 結果、費用対効果という「効率の大原則」をねじ曲げた財政支出が行われてきたのです。 こうした「負」の構造を変革するために、時代の変遷に翻弄されることのない骨太な処方 箋が不可欠です。その要諦は、予算の査定および配分過程の全面的な情報開示といえます。 社民党は、徹底した情報公開に取り組みます(これが民主国家の「世界標準」でもありま す)。 マスコミをにぎわす財政再建論者の際立った特徴は社会保障への冷淡な視線です。しか し、公的負担は、高齢者介護などの多くの分野で個人負担との代替関係にあることも軽視 できません。また、社会保障を歳出の側面だけから捉えるのではなく、 福祉は投資 とい う観点も忘れてはならないといえます。例えば、①市場経済がもたらす社会的不公平や景 気変動に対して、年金等の所得保障政策によって不公平・不安を緩和し、安定した消費活 動が可能に②介護保険の導入により、NPO や民間事業者の活動が活発に、その結果、新産 業の育成および雇用の拡大を促す−などです。 さらには、真の財政再建を断行するためにも、社民党が主張し続けてきた中央集権の財 政構造自体を分権型財政システムヘ転換させていくことに、党の存在価値を賭けたいと考 えます。この決意に基づき、地方の財政赤字の縮小に際して交付税特別会計借入金や財源 対策債等の圧縮だけでなく、一層の「地方自治・分権の推進」の取り組みを進めます。こ の観点からも、不況対策の美名に酔う不必要な規模の大幅減税には与することはできない のです(地域社会を維持していくための「会費的」な性格をもつ住民税を切り刻むことに なります)。 Q88 介護保険制度を円滑に実施し、「保険あって介護なし」との心配がない 51 ようにするため、どう取り組みますか。 社民党は、94 年に日本の政党として初めて公的介護システム、すなわち「寝たきり=寝 かせきり」をゼロにし、自立を支援する介護システムの確立を提案し、一貫して「介護の 社会化」の問題に取り組んできました。安心できる高齢社会のためには、2000 年にスター トする介護保険制度の円滑な実施が不可欠です。「保険あって介護なし」としないため、社 民党を中心に、国の責任で基盤整備を推進する法案修正と本会議決議がなされました。 「保険あって介護あり」とするため急務の課題である基盤整備を進めます。基盤整備・ ヒューマンパワーの養成に対する緊急財政措置を含め、新ゴールドプラン(注)を完全達 成しスーパーゴールドプラン(仮称)を策定します。 また、制度スタート時からの保険料は全国一律 2500 円とし、3 年間据置き、低所得者に 対する保険料・利用料の減免措置など十分に配慮します。介護サービスの質の確保と情報 公開、利用者の権利擁護の確立などが保障されなければなりません。市町村の介護保険事 業計画策定には、社民党の強い主張により、被保険者の意見が明確に位置づけられ、地域 の福祉行政に住民によるチェックが行き届くようにします。 介護保険の導入延期は、基盤整備を先送りにするばかりか、「寝かせきり」老人や家族の 過重な負担を放置するだけです。国が責任をもって介護保険の基盤整備を確実に推進する ことが重要であり、導入延期論は論外です。また、現金給付論や家族ヘルパー論について は、女性を介護労働力として家庭に縛り付けたり、結果的に「老・老介護」の問題を残す ことになります。 (注)新高齢者保険福祉推進 10 カ年戦略・1999 年目標値(96 年実績値) ホームヘルパー:17(11.9)万人、ショートステイ:6(3.9)万人分、デイサービ スセンター:1.7(0.8)万カ所、在宅介護支援センター:1(0.3)万カ所、特別養 護老人ホーム:29(24.9)万人分、老人保健施設:28(14.7)万人分、ケアハウス: 10(2.3)万人分、など Q89 少子社会・高齢社会を迎えて、年金制度は維持できますか。社民党の年 金改革プランを教えてください。 誰もが「暮らせる」年金水準の実現を図り、活力ある高齢社会を築きます。年金は老後 の生活の柱であり各世代から信頼される年金制度をめざします。 社民党は、保険料を引き上げず、給付水準を維持し、その財源として基礎年金の国庫負 担を大胆に拡充すべきであると主張してきました。最終的には全額公費負担方式へと移行 させ、未加入、未納による無年金・低年金の解消を図ります。前回 94 年の年金改正では、 党の主張により、法律の付則と全会一致で確認された付帯決議において、基礎年金の国庫 負担割合の引き上げに道筋がつけられています。 また「男は仕事、女は家庭」という役割分担を前提とした世帯単位の制度を見直し、転 職・退職や子育て、離婚・死別といった多様な女性のライフサイクルに対応した女性の年 金権を確立します。M 字型就労形態やパート労働に代表される性差別的労働が男女の生涯 賃金と年金の格差を生んでおり、こうした労働実態を解消することが大前提です。当面の 課題として検討すべきは、離婚時における厚生年金の報酬比例部分の分割(結婚期間に応 じ 2 分の 1)です。また長期的には、基礎年金の全額国庫負担化を展望する中で、第 3 号被 保険者制度を解消し、個人単位とすべきです。 さらに、働いても「損」にならない年金制度とすべきです。厚生年金の特別給付(報酬 比例部分の支給開始年齢)の引き上げと賃金スライド凍結を許しません。また、年金と雇 用の弾力的な組み合わせが選択できるよう、在職老齢年金制度の改革が必要です。 Q90 少子化の現象に対して、いかなる対策が必要ですか。また、自治体の役 割は何ですか。 52 「子どもは歴史の希望」です。「希望」に手間や金を惜しんでいては未来は切り拓けませ ん。社民党は、子どもたちが生まれてよかったと実感でき、働く方々が安心して産み育て ることのできる環境づくりを進め、社会全体がバックアップできるシステムの構築を含め、 子育て支援策の抜本的強化に積極的に取り組みます。この前提として、子どもを産む、産 まないは、女性自身の自己決定を尊重しなければなりません。また「子どもの権利条約」 の理念を具体化して、「子どもの最善利益の尊重」などを確立します。 まず子育てへの総合的な公的支援システムを確立します。エンゼルプラン(注 1)を着実 に実施し、新エンゼルプラン(仮称)を策定します。乳児・延長保育の充実など多様なニ ーズに対応した子育て支援施策の抜本的強化を行い、児童手当を拡充した「子育て支援給 付」(注 2)を実現し公費を拡充します。 そして子育てと連動・両立した就業・賃金体系へ転換することが重要です。男女ともに、 職業生活と家族的責任を両立させ、ゆとりある労働を実現するため、より質の高い男女共 通の労働条件基準を確立します。また、女性が担っているアンペイドワークを男性も積極 的に担うことが求められます。この観点から、育児・介護休業給付の拡充とともに、子育 てや要介護者を抱える労働者については、深夜労働だけではなく、時間外・休日および変 形労働に対しても、不利益を受けることなく本人の請求で免除する制度を創設します。 さらに、所得保障は国全体の責任ですが、地方分権を進めながら、保育所や学童保育な どは基本的に自治体の責任で進めます。 (注1)緊急保育対策等 5 カ年事業・1999 年目標値(97 年実績値) 保育所運営費・低年齢児受入枠拡大:60(51.3)万人、延長保育促進:7000(3441) カ所、一時保育促進:3000(650)カ所、地域子育て支援センター:3000(428) カ所、放課後児童健全育成事業:9000(6744)カ所、など (注 2)支給対象:義務教育終了までの児童 (15 歳以下 2088 万人)、収入制限:世帯収入 1000 万円以下(全世帯の約 8 割)、 支給月額:第 1 子 1 万/第 2 子 2 万円/第 3 子以降 3 万円、全額国庫負担:3 兆円 Q91 親の労働形態の多様化に伴い、保育所・学童クラブの充実が必要と思い ますが、どう対処しますか。 乳幼児、病児、障害児など保育を必要とするすべての子どもが受け入れられるよう、保 育所の新設・拡充を行い、必要な保育士や給食調理員などの雇用を確保することが重要で す。 病後児保育(乳幼児健康支援預かり)の対象を拡大し、制度の周知を図り、利用しやす い制度にします。また、とりわけ低年齢(0 歳児および 1、2 歳児)保育における保育所待 機児童(約 2.6 万人)を完全解消することが急務です。延長保育を一般化して、すべての保 育所で実現し、対象を拡大します。さらに無認可保育所などへの支援を強化し、保育環境 を改善します。そして、事業所内託児施設を設置する事業主への助成措置を拡充し、親の 多様な就業形態にも対応できるようにします。この観点から、施設の新増改築や設備・用 具の配置など抜本的な基盤整備を行い、保育士をはじめとする子育てヒューマンパワーを 増員し、保育士の配置基準のみならず、子育て支援に関する最低基準について総合的に勘 案する中で、働く方々が安心して子どもを育てられる環境を整備します。 福祉と教育の連携が求められる中、学童保育(放課後児童健全育成事業)を普及・拡充 し、指導員の身分保障・労働条件の確立とさらなる雇用の創出を図ることも急がれる課題 です。また、地域全体での子育て支援を充実する観点から、育児不安についての相談・助 言・支援を行う地域子育て支援センター、および複雑・多様化する子どもの問題に対応す る児童相談所・児童家庭支援センターを利用しやすいものとし、拡充を図ります。 Q92 安心して受診できる医療制度を確立していくために、医療保険制度をど 53 のように改革していきますか。 現在の医療保険制度には、過剰な診療を招く誘因となっている出来高払いの診療報酬制 度、ムダな薬剤の多用や高価な薬剤が使用されがちな薬価制度、すでに医療費全体の 3 分 の 1 を占める老人医療費など、さまざまな問題点があります。 社民党は、場当たり的でない、国民本位の医療改革を実現し、2000 年を目途に医療の質 を重視した抜本的な制度改革を実現します。また、それまでの間、国民の医療費負担増を 一切認めません。 すべての人が最善の医療を受けることができ、患者本位の医療を確立するため「患者の 権利基本法(仮称)」を制定します。医者と患者の双方の合意と納得による「インフォーム ド・コンセント」の確立やカルテやレセプト等の医療情報の閲覧・写しの交付など、医療 における患者の諸権利、および国・自治体や医療機関等の責務などをこの基本法で明らか にします。 また、高齢化等に伴う医療費の当然増は不可避ですが、保障水準を下げることは許され ません。「薬漬け・検査漬け」や「乱診乱療」などムダで危険な医療を是正し、患者に非人 間的な環境を強いる社会的入院などの「ムリ・ムラ・ムダ」を解消します。医療の質を重 視した効率化を進めることにより、医療費の大幅な増加を抑制すべきです。そのうえで、 高水準の医療を国民の納得できる負担により実現を図ります。 社会的に弱い立場の方には、給付と負担の両面で徹底的に配慮し、公正・公平の原則を 貫いて信頼される皆保険制度を守ります。 Q93 安心できる暮らしといいながら、医療費を上げたのは社民党ではないの ですか。 98 年 9 月から、国民の皆さんに重い負担をお願いすることとなった医療費値上げ問題は、 率直にいって自社さ連立政権時における社民党の最大の反省点であることを認めざるをえ ません。当時、社民党は「抜本改革なくして負担増なし」と医療における「ムリ・ムラ・ ムダ」をなくして、効率化を図ることによって医寮費を適正化することを主張し、値上げ に強く反対しました。厚生省の「改正」案は、 「自己負担拡大」による古典的な医療費抑制 政策であり、国民への安易なツケ回しであり、構造改革とはいえないものでした。しかも、 急激な患者の負担増を前提とした国民の容認できる限度を逸脱したものだったにもかかわ らず、日本医師会などの強い圧力によって自民党と民主党がこれを推進したため、阻止す ることができませんでした。社民党は、国民本位の医療という観点から常に対案を示しま したが、多数の力に押し切られてしまいました。この反省から、社民党は医療制度の抜本 改革を訴え、全国各地で国民公聴会を開催しながら、自社さ三党で、医療制度の改革案を まとめました。まとめるまでには、何度も何度も徹夜の大激論が繰り返されました。これ らの成果が自民党および日本医師会によって、歪曲されたり、無視されようとしているこ とは到底容認できません。 高齢社会を迎え、国民医療費の増大は避けられません。保険制度である以上、増大する 医療費に対して国民負担増は必然となります。しかし、それだからこそ「青天井」といわ れる医療費に徹底的なメスを入れ、構造改革を行わなければなりません。社民党は今後と も国民本位の医療をめざして、患者の権利基本法や人権に配慮したうえでの徹底した情報 開示、「薬漬け・検査漬け」医療を招来する出来高払い制の見直し、数兆円に及ぶと見られ る薬価差益を生んでいる薬価制度の見直しなどに取り組んでいきます。 Q94 安心して老後を送ることができ、生き甲斐がもてる社会を築くために、 どう取り組みますか。 高齢社会は暗くて重苦しい社会ではありません。地域住民中心の分権型福祉への転換を 進め、一人ひとりが参加することにより支え合う、生活に密着した福祉社会を創造し、「活 54 力ある高齢化(Active Aging)」を実現します。社民党は、社会保障の充実という社会民主主 義の原点に立ち、高水準の福祉を国民の納得できる負担により実現を図ります。 このため、年金、医療、福祉の分野を総合的かつ国民の側に立って改革を図り、公正・ 公平を貫いた社会保障構造改革を実現します。さらに、安心できる老後の生活は、年金に 代表される所得保障政策だけでは解決できず、生活全般への安心と表裏一体です。狭義の 社会保障の枠を超え、雇用、街づくりや住宅、教育などの施策を連携させ、利用者本位の 視点から国民の多様なニーズに応えうる総合的な対応を図り、タテ割り行政の弊害をなく します。 また、福祉・健康・医療などの分野における新たな雇用の創出や産業の発展により、福 祉型の新たな経済産業構造への大転換が重要です。高齢者の生活基盤を強化し、生き甲斐 につながる雇用機会の創出、労働に支えられた福祉社会を実現します。と同時に、地域住 民の例えば給食や配送サービスなど介護福祉分野での新規開業を積極的に促進するなど、 十分な介護体制を整備します。 さらに、社会的に弱い立場にある低所得者、障害者、難病患者、お年寄りをはじめとし た方々には、社会保障の給付と負担の両面においてきめ細やかな配慮を行います。 Q95 高齢者の雇用延長、再就職問題をどう進めますか。 国民に安心できる福祉サービスを提供してきた社会保障先進国が、いま積極的に取り組 もうとしているのは「労働が福祉を支える」というテーマです。そのためにも、急速な高 齢化が進展する中で、高齢者の方々に長年培った知識や経験を活かし社会を支える側に回 っていただくことは、これからの社会を活気に満ちたものにしていくために重要な課題と いえます。 しかし、不況の直撃を一番受けるのがこの世代でもあり、実効ある施策の展開を早急に 打つ必要があります。 具体的には、「高年齢者雇用継続給付」は社民党が強く求めて実現された施策ですが(95 年施行)、一層の拡充を図ることで 65 歳までの継続雇用を推進するとともに、シルバー人 材センター事業の積極的(多角的)な運用、活用が可能となる組織・資金面の抜本的な強 化を図り、多様な形態による雇用や就業機会の掘り起こしに全力をあげます。 社民党は、引き続き、定年制のあり方を含め、 「65 歳現役社会」を実現するための政策の 積み上げを行います。ただし、老いの進捗に応じた就業形態と密接不可分の関係にあるの が、高齢者の生活費を軽減するような総合的な経済社会政策の実施などによる「生活の安 定」にあることもまた論を俟ちません(高齢者向け公営住宅の整備、公共料金制度の抜本 的見直し、介護機器等の公的なリース制度の創設など)。 「65 歳現役社会」へのソフトラン ディング(軋轢の排除)を図るためには、現在の在職老齢年金の改革をはじめ(働いても 損をしない仕組みへの見直し)、皆年金の目的に合致する年金制度の再構築に社民党の政策 的な優位性を発揮していきます(適正負担と納得保障)。 Q96 ノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害者の自立をどのよう に支援していきますか。 障害者の自立と社会参加のため「完全参加と平等」を進めます。 ノーマライゼーション(共生)の理念に立って、ハンディキャップ(社会的障壁)を超 える共生・連帯の社会を築きます。障害者の日常生活の必要に応じた生活支援、当事者参 加の福祉サービスの充実を図り、自己実現を応援します。 介護保険制度導入に伴っては、介護を必要とするすべての市民が介護を受けられる介護 保険制度を展望するとともに、障害者プラン(注)を早期に完全実施し、すべての地方自 治体に、数値目標を盛り込んだ障害者基本計画の策定を義務づけます。さらに新・障害者 プラン(仮称)を策定します。 また、アクセスの平等を実現するため、交通機関、公共施設、住宅などのバリアフリー 55 化を進めます。障害者専用といった発想、あるいは単なる障害除去ではなく、誰もか使え る総合的なバリアフリーの観点が重要です。点字ブロックをはじめとする福祉の街づくり、 ノンステップバスの普及など交通機関のバリアー解消、半分を洋式トイレにするなど公共 施設の改修・増築など検討すべきです。 さらに、福祉機器の開発・普及、ケアシステムの充実を図るとともに、すべての無年金 障害者問題を解決し、「暮らすこと」ができる障害年金を実現して所得保障を確立します。 また、財産管理にとどまらない充実した老後を支える成年後見人制度を構築するとともに、 日常生活を支援する福祉支援体制を充実して、当事者の自己決定を尊重する支援制度にし ます。 (注)障害者プラン・2002 年目標値(98 年予算べ−ス) グループホーム・福祉ホーム:2(1)万人分、授産施設・福祉工場:6.8(5.4)万 人分、重症心身障害児(者)等通園事業:1300(528)カ所、精神障害者生活訓練 施設:6000(3380)人分、ホ←ムヘルパー:4.5(2.4)万人上乗せ、ショートステ イ:4500(2210)人分、デイサービスセンター:1000(685)カ所、など Q97 母子福祉対策をどのように強化しますか。また、生活保護制度をどう改 善していくのですか。 今後、ますます多様化する女性のライフサイクルに対応した子育て支援など、単親家庭 やシングルマザーヘの生活支援策が必要になります。 まず、児童扶養手当をはじめとする所得保障を拡充します。支給額の引き上げや、所得 制限等の支給要件緩和により、児童扶養手当を大胆に拡充します。また、女性の年金権を 確立する観点からも、現在では基礎年金の保障しかない離婚した妻に対し、夫の報酬比例 部分の年金の 2 分の 1 を分割する経過措置を講じながら、 個人単位の制度へと移行します。 また母子相談員の増員など、母子寡婦福祉法をはじめさまざまな生活支援策を抜本的に 拡充します。圧倒的に少ない母子生活支援施設や福祉センター、休養ホームなどを新・増 改築するとともに、専門的な相談員の大幅増員、保育所への優先入所など、生活支援を必 要とするすべての母子家庭を支援できる体制を構築します。さらに、所得控除などの税制 上の優遇措置や、福祉資金貸付制度の充実を図ります。 生活保護については、現下の未曾有の不況に対応した特例的な措置として、受給基準の 緩和などを検討します。 「最低限度の生活」から「生活の質」へと転換し、所得保障政策の みならず、介護・医療・年金など総合的な施策を実施します。 変えよう、慣習、馴れ合い政治――住民の自己決定権が保障される豊かな 自治 Q98 社民党は地方分権をどう進めていきますか。 社民党は、社会党時代から憲法に定める地方自治の本旨の精神にもとづき、地方自治の 確立、地方分権の推進を掲げて運動を展開してきました。その集大成として 92 年にはシャ ドーキャビネットで、地方分権推進委員会の設置と地方分権推進計画の策定を盛り込んだ 地方分権推進法の制定を他党に先駆けて提唱し、各自治体で意見書採択運動を展開すると ともに各党に働きかけ、93 年 6 月には地方分権の推進に関する国会決議を実現しました。 その後、地方分権推進の機運が一気に高まり、村山政権によって 94 年には地方分権推進 法の成立と地方分権推進委員会の設置を実現しました。 地方分権推進委員会は、中間報告に加え、第 1 次から第 5 次までの勧告を行い、機関委 任事務制度の廃止、国の関与の縮小、国・地方係争処理機関の設置などの成果を上げまし た。しかし一方、とくに自民党の力が強くなるにつれ、地方分権が行政改革の一パーツと 56 されてしまったこともあり、住民に身近な自治体への権限移譲、地域の自己決定権の確立、 住民自治の発展という当初の地方分権への期待や目的がゆがめられ、税財政の分権や地方 事務官の扱い、産業廃棄物・土地収用などの事務の扱い、公共事業の扱い、住民投票の制 度化等の面では不十分な結果に終わり、今後に大きな課題を残しました。 一連の分権改革を国と地方の関係の転換に終わらせることなく、住民の自己決定権の保 障、市民的公共性の創造に結び付けていくため、分権と自治の内容自体を住民の側から捉 え返し、自治を現場から再創造していくことが重要です。社民党は、税財政問題に焦点を しぼった第 2 次地方分権推進委員会の設置を求めるとともに、地方自治基本法の早期制定、 地方自治法、地方税法、地方財政法、地方交付税法等の諸法の抜本的見直しに取り組みま す。 Q99 社民党は市町村合併について、どう考えますか。 近年、住民の生活圏域の広がりに伴い、医療、福祉、地域開発、廃棄物処理や環境保全 など一自治体では解決が困難な広域的行政需要が増えていることもあって、市町村合併の 推進の声が大きくなっています。95 年の合併特例法の改正で、議員の定数・在任特例の緩 和、財政特例の拡充、都道府県の責務、住民による合併協議会設置の直接請求条項が盛り 込まれ、その後、97 年 7 月の地方分権推進委員会第 2 次勧告や 98 年 4 月の地方制度調査会 の「市町村の合併に関する答申」で、自主的な市町村の合併をさらに一層推進することが 必要であるとして、さまざまな誘導策が打ち出されています。 しかし、地方の行政経費を安くあげるためとか、規模が大きくないと分権の受け皿にな らないからという理由で市町村合併を推進するというのは本末転倒です。国が権限・財源 を制約しておきながら自立は困難だからといって合併推進を説くのはおかしく、財源なき 分権のつけです。合併による住民サービスの低下や、合併前の地域のアイデンティティの 喪失、周辺部の過疎(ミニ一極集中)をもたらすおそれもあり、また規模や人口が大きけ れば大きくなるほど住民一人ひとりの意見反映が困難になることも考える必要があります。 むしろ規模が小さい方が住民参加や民主主義に適い、住民と政治・行政の距離を短くする ために、県による代行や周辺自治体との連携、他の自治体による支援を活用すべきです。 社民党は、行政の広域化に対しては各自治体が自主的・主体的に対応することが望まし く、合併は、それによって得られる利益と失われる利益とをしっかりと見極め、住民の納 得に基づいて進めるべきであり、住民の決定と地域社会の選択を尊重して対応します。か りに合併する場合も、「遠い行政」にならないよう、地域コミュニティの確立と市町村自体 の権限・税財政の強化が不可欠です。 Q100 社民党は住民投票について、どう考えていますか。 社民党はあらゆる分野で参加の時代にしたいと考えます。いま間接民主主義が活力を低 下させている現実の中で、さまざまの分野で参加・直接制民主主義を大胆に組み込むこと が必要です。新潟県の巻町や沖縄県で原子力発電所や米軍基地の縮小問題について住民投 票の実施を求める住民の声に応えて、住民投票が行われました。また各地で産業廃棄物処 理場の建設、万国博覧会の開催、市営空港の建設等の問題に対して、住民投票を求める運 動が起きています。これらの動きは、自分たちのことは自分たちで決めたいという市民の 自己決定権を求めることの表れであり、住民自治の原点の発露ということができます。 住民投票について衆愚政治であるとか、代議制に反するとかいう批判がありますが、決 してそんなことはありません。住民投票はすべてを他人任せにするのではなく、重要な問 題は主権者として住民が判断しようというものであり、住民投票制度は、主権者たる住民 の直接参加という住民自治の原理に適い、地域民主主義の両輪として代議制をより充実さ せ、民主政治の活性化に資するものであり、同時に自治体の固有課題に対する住民意思の 表示手段です。むしろ最近は議会の側が住民の意識と乖離していることの方が問題であり、 議会の側が積極的に公聴会や住民投票を活用することもあってよいと考えます。 57 社民党は、自己決定権の拡充をめざす地方分権の重要課題として、より積極的な住民参 加の制度が求められていることから、住民生活に重大な影響をもつ問題についての住民投 票の制度化に取り組んでいきます。 Q101 社民党のいう「自治体改革」とは、どのようなものですか。 一連の分権改革は、国と地方の関係を上下・主従関係から対等・協力関係へ転換しまし た。この結果、国の下部機関としての自治体が一定程度自立することになります。しかし 自治体が従来のままのやり方を踏襲していたのでは、「お上」が国から自治体に変わっただ けにすぎません。重要なことは、国と自治体の関係の転換に終わらせることなく、住民と 自治体の関係も転換させ、住民の自己決定権の保障、市民的公共性の創造に結び付けてい くことです。 社民党の提唱する「自治体改革」の眼目は、自治体の役割を根本的に見直し、自治体を 市民の管理機関から、市民との連帯・協働をコーディネート(共同調整)する機関へと転 換していくところにあります。社民党のいう自治体改革は、サービスの切り捨てや職員へ のしわ寄せ、民間営利主義の導入ではなく、公共性・社会的有効性を基本とする分権・自 治の改革です。 自治体内部の日常的な市民自治と市民参加の保障は不可欠です。自治体における計画・ 実施・評価のあらゆる段階で、市民の参加を保障するとともに、市民の意向を行政に反映 する機会を拡充します。そして、情報公開条例の制定と対象範囲の拡充による徹底した情 報公開、行政手続条例の制定による行政手続の透明化、予算書・決算書の内容・様式の改 善、市民オンブズパーソン制度の導入、自治体共同の外部監査機構の創設、市民のニーズ に合致するような定期的行政機構の見直し、施策の社会的有効性を判定するための政策評 価システムの確立、街づくり条例の制定などに取り組みます。また、地域の特性を活かし た市民主体の地域づくりが実現されるよう、自治体の公的責任を明確にしつつ、市民運動・ NPO、民間、有識者、サービス受給者、自治体職員と連携した市民参加の公共サービスを 進めます。 Q102 情報公開は、住民に開かれた行政のために不可欠ですが、どのように進 めるのですか。 住民は、いつ、どこにいても行政運営にみずから参加する権利、そのために不可欠な行 政に関わる正確な情報を知る権利をもっています。こうした権利が保障されるためには、 行政機構の改革はもちろん、あらゆる形で国民が行政を監視するための制度改革によって、 「官僚行政」から「分権行政」への転換を図ることが必要です。社民党は、まず「情報公 開法」を制定し、「お上が教えてあげる」のではなく、私たちが「知る権利を行使」する観 点から、誰もが利用しやすい情報公開を進めます。 「情報公開法」は、他党に先駆けて社民党が粘り強く取り組んだ結果、政府によって法案 が国会に提出されました。法案は、説明責任、すなわちアカウンタビリティの観点を明確 にしたことや、開示請求の対象となる行政文書の範囲を広く設定している点、情報が開示 されなかった場合の不服申立てについて詳細に定めたこと、プライバシーに配慮したこと など、ある程度評価できるものです。もちろん問題がないわけではありません。情報公開 とは住民の知る権利を行使するために行うべきものなのに、法案に「知る権利」が明示さ れていないのは重大な問題です。さらに訴訟を提起する場合、東京地裁・高裁で行われる ことになるため、地方在住者に不利な条件を強いることなど、今後再検討すべき課題を抱 えています。 社民党は、法案の問題点を認識しつつも、むしろわれわれが権利をみずからのものとし、 それをどんどん活用するためにも、一刻も早い法制定を実現します。そしてそれを契機に、 すでに自治体レベルで制定されている条例も、より住民がその権利を行使しやすいように 改めます。 58 Q103 NPO 法が制定されましたが、どんな内容ですか。自治体レベルでは NPO をどう支援していくのですか。 社民党は、各党に先駆けて NPO の社会的意義と役割に着目し、NPO 活動を支援する新た な立法制定を求めてきました。その結果、NPO 法(特定非営利活動促進法)が制定され、 NPO は簡単な手続で法人格が得られることになりました。 法律上 NPO は「特定非営利活動法人」と呼ばれることとなり、保健医療または福祉の増 進、社会教育の推進、まちづくりの推進、文化、芸術、スポーツ振興、環境の保全、災害 救援、地域安全、人権擁護、平和の推進、国際協力、男女共同参画社会の形成促進、子ど もの健全育成などの活動が該当します。これまで NPO は任意の団体にすぎず、制度的にな んの保障もありませんでしたから、活動資金が乏しく組織の維持にも困難が伴っていまし た。スタッフの身分も極めて不安定で社会保険などにも加入することができませんでした。 また資産があっても任意団体のため個人名義にせざるをえないなど、活動の条件がまった く整備されていませんでした。今回の法律によってそれらが解消され、NPO の活動が一層 活発に展開されることが期待されます。 さて、自治体レベルでは具体的にどんな対応が必要でしょうか。NPO 法では、税制優遇 措置が盛り込まれず引き続き検討することになっていますので、むしろ地方から可能な税 制優遇のあり方を先行的に具体化する必要があります。さらにそのことも含め、各自治体 で地域の特性に応じた「NPO 条例」を策定し、行政の諸課題にも NPO が積極的かつ具体的 に関与でき、その活動が保障されるようにすべきです。 Q104 社民党の主張する「自治体議会改革」とは、どのようなものですか。 分権の推進に伴い自治体の意思決定機関であり、住民の立法機関としての自治体議会の 役割は、ますます大きくなっています。しかし、自治体議会に対する市民の信頼感や期待 は十分とはいえません。議会の長である議長の名前をどれだけの住民が知っているでしょ うか。議員に占めるサラリーマンの代表や女性の代表のウエイトはわずかなものであるよ うに、議会の議員の構成と住民の意識の乖離も深刻な問題です。社民党はこれまでの議会 の慣習・馴れ合いを排除し、住民の目線で以下の自治体議会改革に取り組みます。 まず、多様な市民階層が議員となりうるように、議員の選挙制度や定数、議員報酬のあ り方なども見直していきます。そして夜間・休日開催等議会運営の弾力化や傍聴権の保障、 議事録の作成・公開、ケーブルテレビの活用、市民と共同での議会広報紙の作成など、議 会の公開性を高め、開かれた議会をめざします。情報公開条例の対象から議会がはずれて いることも問題であり、議会の全面的情報公開制度を確立します。 さらに、分権に伴う国の関与の縮小は、自治体に対して法令解釈能力、条例作成能力の 向上を要請します。執行部の行動を住民の代表としてきちんと審査するとともに、積極的 に条例をつくるなど機能する議会にするため、議会事務局・図書室の充実、議長の招集権 の確立、議案提出要件の緩和、議決範囲の拡大、審議能力の向上、調査権の積極活用、公 聴会や住民投票制度の活用などに取り組みます。 なお身近な自治体選挙の投票率も低下傾向にあり、地方自治の振興、自治体選挙への関 心の増大、世論の喚起、投票率の向上の観点から、自治体選挙の期日を年 1 回「地方自治 の日」に統一します。 Q105 在日外国人にも自治体議会への参政権を認めるべきではありませんか。 社民党は、社会党時代から外国人住民の地方参政権問題に取り組んできました。「外国人 も住民」であるという立場で、自治体の内なる国際化に対応するとともに、人権・差別問 題の改善を含め自治のあり方・民主主義の内容に変化を迫るものとなり、ひいては地方自 治の充実・活性化、日本社会の変革の可能性を示すことになるからです。 1995 年 2 月に出された「立法で選挙権を付与することは憲法が許容する」という最高裁 59 の判断を受けて、社民党は、まず当面は最高裁の判断で各党の合意を得るようにして扉を 開いていくべきであり、第一歩としての選挙権付与であっても画期的な意義を有するもの であると考えています。もちろん最高裁判断は党の考え方とすべてが一致するものではあ りません。しかし、最高裁判断を積極的に受け止め、何とか各党の合意を得るためには、 ①永住者等の範囲、②特段に緊密な関係、③意思の反映、④公共的事務、⑤選挙権の内 容について、その内容を詰め、まず選挙権(県・市町村の首長および議員の選挙権、直接 請求権)を実現し、それを突破口として今後の運動の展開につなげていきたいと考えてい ます。 その立場から、他党に先駆けて自社さ連立政権時代の与党政治改革協議会に「在日外国 人の地方選挙権の付与」を提案し、与党内合意を追求してきました。しかし、残念ながら 与党内の意見の相違から、合意はできませんでした。この問題の前進を図るため、在日外 国人団体等の要望・意見を承りながら、社民党案づくりを進めるとともに、超党派で議員 立法の取り組みを進めていきます。 Q106 国籍条項問題をどう考えますか。 従来、自治省は、1953 年の内閣法制局見解「公務員に関する当然の法理として、公権力 の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とす る」、および 1973 年の自治省公務員第一課長回答を根拠に、各自治体に対し、外国人職員 の採用について慎重な対応を要請していました。管理職には登用しないとした条件つき撤 廃という川崎市方式についても、任用後に生じるであろう問題を取り上げて批判していま した。 しかし、自治体における外国人の採用問題は、外国人の人権問題、地方自治の問題、ま た国際化時代における行政のあり方の問題です。しかも、本来、①「当然の法理」、「公権 力の行使」、「公の意思の形成」による管理職の登用制限や職種の制限は曖昧であり、根拠 がないこと、②外国籍公務員に対する差別をもたらすおそれがあることになることから、 制限なく国籍条項の撤廃を進めるべきです。 社民党は、当面、採用の門戸を一切閉ざすことに比べ一定の妥当性がある川崎市方式を 支援するなど、自治・分権の観点から、外国人の公務就任権の実質的前進をめざしていき ます。 また社民党は、今後とも、①住民へのサービスが自治体行政の基本であり、国籍を問わ ず有為な人材を幅広く求めることは住民のためになる、②地方自治・地方分権の観点から 地域の自主性・自治体の判断を尊重すべきであることなどから、外国人の公務就任権問題 が前進できるよう、国籍条項の撤廃の取り組みを進めていきます。 Q107 地方財政が危機に陥っているといわれますが、どのように打開しますか。 バブル崩壊に伴う税収の低迷、累次の景気対策による単独事業の拡大や公有地取得の推 進、新ゴールドプランの推進等の少子・高齢化対策などの財政需要の拡大の結果、自治体 は 94 年度以降巨額の通常収支不足に見舞われています。さらにこれまで大量に発行してき た地方債の元利償還が自治体財政を圧迫し始めており、戦後第 3 期目の地方財政危機に直 面しています。 とくに法人住民税・法人事業税の落ち込みが都市型都府県の税収減に大きな影響を与え、 大阪府、神奈川県、愛知県、東京都といった最近まで裕福といわれてきた自治体も準用再 建団体(注)一歩手前という事態となっており、財政危機の深刻さを物語っています。 地方財政危機は、自治体労働者の労働条件の低下・リストラ等を伴いつつ、住民に対し、 自治体公共サービスの切り捨て、福祉の後退、住民への負担転嫁として影響が表れていき ます。しかし、財政危機だからこそ、各自治体における積極的な情報公開のうえに立って、 住民と職員の参加の下で住民の生活を守るとともに、自治体の歳出構造自体を真に住民が 必要とする事業へ転換させるための取り組みを行っていかなければなりません。 60 なによりも自主財源である地方税を強化すべきであり、法人事業税の外形標準課税化や、 地方消費税の配分割合の拡大、地方所得税の創設といった税源移譲にも踏み込んだ改革を 行います。歳出面では、不要不急の大型開発事業の見直しや第三セクター・出資法人への 切り込みが不可欠であり、きちんとした事業評価制度を確立します。地域経済を再生しな ければ自治体財政の再生もありえず、公共事業依存から福祉型の財政構造への改革に取り 組みます。 (注)準用再建団体 地方財政再建促進特別措置法(1955 年)の準用によって財政再建を行う団体。都 道府県の場合、実質収支の赤字額が標準財政規模の 5%を超えると指定を受ける資 格が生じる。指定されると国の指導の下に財政再建計画をつくり財政再建に取り 組むことになるが、単択事業や地方債の発行は厳しく制限され、自主的な財政運 営を行うことができなくなってしまう。 Q108 地方財政制度をどのように改革しますか。 社民党は、分権型財政システムの構築をめざして取り組んでいます。まず地方財政計画 の策定、地方交付税の配分、政府資金による地方債の配分等について、自治体代表、有識 者、自治省で構成する委員会を創設し、自治体の意見を的確に反映するようにします。地 方交付税については、今後とも総額の安定的確保を図るとともに、算定基準・算定方法・ 配分のあり方の見直しを行います。 地方債発行については、自治大臣の許可制度が原則的に廃止され協議制に移行すること になりましたが、地方債の許可制度の廃止に伴う自治大臣との協議制度の運用に当たって は、地方分権の観点に立って財源保障、資金配分に必要な最小限の範囲のものにとどめま す。また、元利償還の割合が標準財政規模の一定割合(例えば 20%)までは、各自治体の 判断を尊重して基本的に地方債の発行を自由化します。将来的に現行の公営企業金融公庫 を自治体銀行に拡充することを検討します。 高金利時代に発行した地方債の利払いが重荷になっていることから、縁故地方債の借り 替えを推進するとともに、政府資金による地方債についても一定利率以上のものは借り替 え措置を講じます。また、公営企業債の改善を図ります。 国庫補助負担金は一層の整理合理化を行います。とくに奨励的補助金については、原則 として廃止し一般財源化を進めるとともに、存続する補助金については統合・メニュー化、 包括補助金化を行い、自治体の自主性を尊重した使い方にします。 Q109 地方税制の改革をどのように実現しますか。 地方自治の強化・地方分権の推進に即した地方税制を確立するため、地方における歳出 規模と地方税収入との乖離を縮小する観点(当面 1:1 をめざす)に立ち、国税から地方税 への税源の移譲を行うことが必須の課題です。 具体的には、まず低・中所得者層への配慮をしながら、住民税を所得税と統合し、北欧 型の「地方所得税」へと改革します。また、都道府県税の中心的存在である法人事業税は、 自治体の課税権強化と地方税源拡充、赤字法人に対する課税の適正化、道府県税収の安定 化、国税の影響の遮断等の観点から、課税標準を付加価値などの外形標準とします。なお 外形標準課税への移行に当たっては、中小企業への影響に配慮し、資本金 1 億円以上の法 人をまず対象とするとともに、外形標準課税と現行所得課税との併用を図るなど、段階的 移行措置を講じます。さらに、自治体においても地域の特性を反映した自主的・効果的な 環境政策への取り組みが課題となっており、道路目的財源を環境税的色彩に改めることを 検討します。 地方税を真に自主財源化するため、自治体の課税自主権を最大限尊重し、地方税条例主 義の徹底、税率決定の自由度の拡大、法定外普通税の許可制度の廃止や法定外目的税の創 設を図り、地域の実情に応じた課税ベースの拡大を図ります。また「地方税調」の開催や 61 住民の地方税条例に関する直接請求権の回復等、住民が税制に関して意思表示できる仕組 みを設けます。 Q110 住民基本台帳法改正にどう対応するのですか。 住民基本台帳ネットワークシステムの導入は、国民のプライバシーの保護および住民基 本台帳制度の基本に関わる制度改正であり、将来の国民の権利・義務に関わる重大な影響 をもたらす法律改正です。したがって、社民党としては日弁連、市民団体等からのヒアリ ングを含め勉強会を幾度ともなく実施し、慎重な検討を続けてきました。自治省に対して、 数々の「問題点」を提起し、自治省もこれらの問題点・疑問の指摘を踏まえたコード変更 の自由化や守秘義務・罰則の強化等の修正・改善を図りました。 しかし、法案審査の最終段階においても、①他の個別法令によるコードの開示に対する 歯止め、②住民票コードの変更の記録の取り扱い、③都道府県の執行機関が含まれること に伴う条例による尻抜けの可能性、④権限のない行政機関による内部データベース作成の 歯止め−の 4 点を含めいくつかの点について重要な疑問が残っていました。したがって、 社民党は法案の提出は了承するが法案自体に対する賛否は保留することになった経緯があ ります。その後も、本人確認情報の意味とコード化・ネットワーク化との関係、行政不服 審査法との関係、住民票コードの利用制限、コードの変更、条例による情報提供の問題点、 住民基本台帳カードの利用範囲、コード化・ネットワーク化とセキュリティ費用等、なお 残る問題点について問題を提起しています。 ネットワークシステムの将来の姿も明確でなく、法案自体の内容および法案によってな されることに対する国民の理解は十分得られていません。社民党は、国会における十分か つ慎重な審議が必要であり、法案が拙速に扱われるべきではないと考えています。 Q111 国民のプライバシーをどのように守っていきますか。 最近、個人情報の流出事故が相次ぎ、深刻な社会問題となっています。このような事故 の最大の要因は野放し的な個人情報の収集・利用にあります。 しかし、1988 年に制定された日本の個人情報保護法は対象範囲が国の保有する情報に限 定されているほか、手作業処理に係るデータが対象外となっているなど、極めて不十分な 内容です。 高度情報化社会に対応した個人情報保護制度を確立するためには、自治体や民間の保有 する個人情報についても十分な保護措置を図るとともに、OECD8 原則や EU 指令などの国 際水準を満たすものでなければなりません。 自己情報コントロール権としてのプライバシーの保護の確立、収集制限の徹底、目的外 利用の規制強化、行政から独立した第三者機関(プライバシー・オンブズパーソン)の設 置、盗難・改ざん等に対するデータ・セキュリティの強化等を盛り込むとともに、マニュ アル処理による個人情報や民間部門が保有する個人情報をも対象とする「包括的個人情報 保護法」の制定に取り組みます。 Q112 警察官の不祥事が相次いでいますが、警察の改革をどう進めますか。 福岡の白紙調書事件、東京での現職警官による収賄や銃器所持のねつ造、参考人手当の 着服、熊本等での会計帳簿の不正、青森での押収品の横流しなど、最近、警察官や警察組 織の不祥事が多発しています。 綱紀粛正を徹底し、再発防止に全力を上げることはもちろんですが、市民生活の安全を 確保し、安心を取り戻すためには、警察の構造自体にメスを入れた改革が必要です。その ため、公安警察から刑事警察にウエイトを移したり、キャリア制度を見直したりするなど の改革を進めます。また、警察の民主的運営と政治的中立性を確保するために重要な機能 を果たすのが公安委員会です。公安委員会が本来の趣旨に立ち返り、市民の代表として警 察をきちんと管理するようにその機能の強化に努めます。同時に公安委員会がより市民の 62 理解を得るため、その活動内容を明らかにする「白書」の発行などを行います。 これまで多くの自治体では警察は情報公開条例の対象外となっていましたが、警察につ いても情報公開条例の対象とするよう条例の見直しを進めます。 Q113 犯罪被害対策をどう進めますか。 最近、オウム真理教による地下鉄サリン事件や和歌山のカレーへの砒素混入事件など、 毒物を使用した犯罪が増えています。一般に毒物を使用した犯罪は、立証や事実関係の究 明が困難で犯人の検挙が容易ではない傾向にあります。 しかし毒物犯罪に巻き込まれた市民にとって、その影響には甚大なものがあります。当 面の治療費や検査費、後遺症の治療、休業の保障、PTSD(心的外傷後ストレス傷害)対策 など、運良く命を取りとめたにせよさまざまな費用が心配となります。これらの被害者の 損害は、本来、加害者の責任で損害を償うべきですが、民事裁判が被害者にとって負担と なっている、勝訴しても加害者に資力がない、また何よりも加害者自体が不明のケースが 多いということなどで、被害者の救済は現実問題としては非常に厳しいものとなっていま す。 犯罪被害者給付金制度がありますが、適用要件は厳しく施策も不十分で、これらの被害 者対策にはあてはまりません。そこで社民党は、犯罪被害者給付金制度を、要件の緩和や 対象の拡充、施策の充実の観点から抜本的に見直し、犯罪被害者の社会復帰の支援や遺族 の生活の保障を進めていきます。 また、女性に対する暴力も大きな問題となっており、自治体に本格的な実態調査を行わ せるとともに、被害女性のための相談窓口の設置・拡充、カウンセリングなどのサービス の充実、警察の専門担当者の配置・充実、被害者のケア・リハビリを行う専門家の育成を 進めます。 Q114 政治家の汚職が跡を絶ちませんが、政治改革をどう進めていくのですか。 「政治改革」の大合唱の結果、衆議院に小選挙区比例代表並立制が導入されましたが、 相変わらず選挙には金がかかり、さまざまな汚職、疑惑、政治家と金にまつわる話は跡を 絶ちません。 死票をなくし民意を反映する公正な選挙制度とするために、衆議院選挙制度を現行の小 選挙区比例代表並立制から、当面、定数 3∼5 人の中選挙区を 150 設け、有権者が 1 票に 2 人以上連記して投票するやり方である「中選挙区複数連記制」に改めます。 また、政・官・財の癒着構造にメスを入れ、政治家とカネの不透明な関係を断つ等政治 風土そのものを変えていくきっかけとなるあっせん利得行為処罰法案や、自社さ三党で提 出した政治改革関連法案の早期成立をめざします。併せて政治倫理委員会の設置や国会議 員の資産公開に対する実効性の確保などを内容とする政治倫理法の制定、企業・団体献金 を禁止するための政治資金規正法附則 9 条・10 条の前倒し実施、政治資金収支報告書等の 謄写の早期の実現に取り組みます。自治体でもあっせん利得行為処罰や実効性のある資産 公開などを盛り込んだ政治倫理条例の制定を進めます。 さまざまな階層の人の政治参加を進めるため、自治体議員および候補者の元の職場への 「復職制度」や、議員活動と就業が両立しうる「兼職制度」を検討します。選挙運動も、 戸別訪問の解禁、立会演説会の開催、インターネットを利用した選挙広報活動の解禁など、 有権者との対話を重視する観点から見直します。一方、拡大連座制について立候補禁止区 域の拡大等さらに強化するとともに、政党助成制度の見直しを行います。また、身体障害 者の方がより簡便に選挙に参加できるよう、投票場案内はがきの点字化や現行の郵便投票 方式の積極的活用を行います。 Q115 「洋上投票」について、どう考えますか。 投票率の低下が大きな問題となっていますが、一方で権利を行使したくてもできない人 63 たちの投票の機会の確保は、一刻も早く解決すべき課題です。 とりわけ日本人船員は、一般の不在者投票制度に加え、指定港・指定船舶における投票 などの特例が設けられていますが、遠洋航海に出港した後に解散があった場合や航海期間 が長い場合、停泊期間が短い場合は事実上投票が不可能です。さらに選挙の公示・告示期 間の短縮により一層むずかしくなっています。 自治省も投票の機会の確保の問題については引き続き検討していくことを表明している ものの、いわゆる洋上投票については、①本人確認・不正の防止が困難、②投票の秘密を 保持できない、の 2 点で否定し続けています。 しかし一方、そうでなければどういう方法で行えばよいのかの検討も不十分であり、行 政の怠慢には目に余るものがあります。選挙権の行使は憲法で保障された基本的人権であ り、公民権の行使ができないことは法の下の平等にも反するといわざるをえません。 さて、洋上投票実現の会や全日本海員組合が共催して「洋上模擬投票」が昨年 11 月に行 われました。船員手帳番号の活用やシールドファックスの利用によって、本人確認や投票 の秘密といった自治省の懸念に十分耐えられる結果が出されています。 社民党は、船員の政治への参加の道を保障するため、洋上投票の早期実現のための公職 選挙法の改正を政治がリーダーシップを発揮して解決すべき課題として、超党派の議員立 法として行うことを呼びかけたいと考えます。 64
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