インドにおける訪日観光プロモーション参加について(報告) 財団法人自治体国際化協会シンガポール事務所 CLAIRシンガポール事務所では、2011年2月に行われた観光庁・日本政府観光局(JNTO) のインドにおける観光プロモーションに参加し、日本各地の観光PR等を行いましたので、そ の内容について下記の通り報告します。 ≪参加催事名≫ 1 旅行博「OTM(Outbound Travel Mart)」/ムンバイ・デリー 2 旅行会社向けセミナー「Premium Japan Seminar」/ムンバイ・デリー 3 映画セミナー「JAPAN INDIA Film initiative」/ムンバイ 4 Visit Japan 現地推進会/デリー 1 旅行博「OTM(Outbound Travel Mart) 」 (1)OTM 概要 OTM(Outbound Travel Mart)は外国旅行に関する業界関係者向けのインドの主要な見 本市であり、現地の旅行会社や一般顧客が多数来場します。なお、今回参加した OTM では、 インド国内旅行を対象とした TTF(Travel&Tourism Fair)が同時開催されていました。 Fairfest Media Limited 主催。 (URL http://www.ttfotm.com/otm/index_otm.html) (2)開催状況 【OTM ムンバイ】 催 事 名:OTM Mumbai(Outbound Travel Mart Mumbai) 日 時:2011 年 2 月 18 日(金)~20 日(日) 11:00~19:00(2 月 19 日 15:00~19:00 は一般来場者向けにも開放) 場 所:Bombay Convention & Exhibition Centre Goregaon (East), Mumbai 来場者数:約 15,000 人(TTF、OTM 合計。うち 10,000 人が業界関係者。主催者発表。) 【OTM デリー】 催 事 名:OTM 日 Delhi(Outbound Travel Mart Delhi) 時:2011 年 2 月 24 日(木)~26 日(土) 11:00~19:00(2 月 25 日、26 日 15:00~19:00 は一般来場者向けにも開放) 場 所:Ashok Hotel(Hotel Ashok, 50B Chanakyapuri, New Delhi 110021) 来場者数:約 7,500 人(TTF、OTM 合計。うち 4,500 人が業界関係者。主催者発表。) -1- (3)館内の様子、来場者の状況 会場には、インド国内外から参加した各国の政府観光局(NTO)や旅行会社、ホテル関 係者、クルーズ会社、レンタカー会社がブースを連ね、旅行関係者やメディア関係者等が多 数来場しました。一部時間帯は一般向けにも開放され、家族連れの姿も見られました。 旅行会社のブースでは、ネパール、ドバイ、タイ、マレーシア、シンガポール、エジプト 及び近隣のリゾート地等の紹介が散見されました。 インド国内の旅行を PR する TTF の会場は、ムンバイにおいては OTM と同一会場内、 デリーにおいてはコンベンション・ホールに隣接する屋外の仮設テントに設けられ、インド 国内の旅行会社や各州の政府観光局がインドの各地方への旅行を宣伝していました。 【政府観光局(NTO)出展状況】 カナダ フィリピン イスラエル タイ (Exhibition Directory 参照): ・ムンバイ、デリー両方に出展 ・・・カナダ、中国、ハンガリー、日本、マカオ、 メキシコ、フィリピン、セーシェル、タンザニア ・ムンバイのみ出展 ・・・チェコ、エジプト、香港、トルコ、インドネシア、 ネパール、タイ、ブータン、韓国、ケニア、イスラエル ・デリーのみ出展 ・・・シリア、台湾、ロシア 等 各国政府観光局の出展ブース (4)VJ(ビジット・ジャパン)ブースについて 観光庁・JNTO が設置した VJ ブースでは、訪日旅行に関する総合案内窓口として、旅行 先としての日本の認知度向上やニーズ把握を図るため、観光パンフレットの配布(日本の各 地方自治体、宿泊施設、鉄道会社等) 、来場者からの質問全般への対応、DVD の上映、旅行 業者へのアンケートを行いました。VJ ブースは、日本の自然や風景、街並み等の鮮やかな 写真がディスプレイされていました。 また、ブース内には商談テーブルを設け、日系の旅行会社等の担当者が、来場者から次々 と寄せられる具体的な問合せに応じました。OTM ムンバイでは、札幌市が出展し、さっぽ ろ雪まつりや一面の花畑の写真を配置し、多くの来場者の目を引いていました。 【各団体より御提供頂いた観光パンフレット、DVD 等について】 今回の旅行催事出展に際し、CLAIRシンガポール事務所は、 JNTOと共同で各自治体等に観光パンフレット・DVDの募集を 行ったところ、17都道県、17市町、2観光協会より、合計約5,000 部の提供がありました。各地から御提供頂いた観光パンフレッ ト等は、上記VJブースにおいて会期中の各3日間、及び旅行会社 OTM デリー 向けセミナー(後述)にて、来場者への配布・掲示、説明に活 用させて頂きました。また、当事務所にて作成した日本各地の 観光情報ウェブサイト一覧を配布しました。 -2- OTM ムンバイ (5)来場者から受けた質問 VJ ブースに寄せられた問合せは、日本の全般的な情報を求めるものが比較的多くありま した。特定の地域としては、東京、大阪、名古屋等の地名に関する問合せがありました。来 場者の状況、及び質疑応答の中で寄せられた意見等は、概ね次の通りです。 <目的地やニーズについて> ・インドでは、観光を目的とした訪日旅行ツアーの造成は取扱いがまだ僅かであり、 今回出展・来場した旅行会社でもツアーを造成している会社は殆どなかったが、 情報を求めに来る姿からは、日本そのものに対する関心の高さを窺い知ることが できた。 ・旅行会社が顧客のリクエストに応じて商用旅行をアレンジするパターンが多く、 個人の観光では東京近辺やゴールデンルート(東京、大阪、京都、広島)を巡る ものが中心。被爆地となった広島や長崎の知名度は、他地域と比べ相対的に高い。 ・自動車工場の産業視察や科学館の見学、新幹線の乗車体験など、日本の最先端の 科学技術を体験できるような施設を求める声が多数。 ・大型電気量販店での電化製品の買い物も人気。商品は納得すれば購入するが、値 段交渉をするなど料金にはシビアな傾向。 ・有名な史跡等の観光資源はもとより、ティーセレモニー(茶道)等の日本文化を 体験することに興味を示す来場者も多少いた。 <食事について> ・事前にどのようなベジタリアンフード店があるのかをホームページ1などで把握し たいとの声が聞かれた。また、旅館・ホテルなどの一覧表を求める声もあった(ベ ジタリアンフードの提供有無も含む)。 ・ 「日本には食べるものが無い」との思いから、あらかじめ食料品を大量に購入し、 旅先へ持参するなど、食への安心感を得たいという人は多い。気に入った店には 繰り返し通う傾向がある。 ・一方で、旅先ではハンバーガー、フライドチキンなどのファストフード店を利用 するなど、インドの人々にもベジタリアンフードにこだわらない層も存在する。 <移動について> ・インドの方々は旅行先では交通機関を利用し、積極的に歩く人は少ない傾向にあ ると言われる。トレッキングや登山などへのニーズは現段階ではあまり聞かれな い。 ・インドから日本への入国経路については、直行便では東京(成田)、関西国際の 2 通りがある。タイ、シンガポール、香港、上海などのアジアのハブ空港を経由し て日本に入国することも可能。 <その他> ・パンフレットの情報をまとめた CD や DVD は提供していないか。 ・ビジネス・カード(名刺)はあるか(来場者は次々と名刺を求めて来た) 。 ・査証手続はどの旅行代理店が行っているか。 ・伊豆スカイライン、箱根スカイラインの開通時期、富士山の眺望可能時期について。 1JNTO では、2010 年にインド市場向けの新たなホームページを立ち上げており、日本全国の主要都市にある インド料理レストランを 100 ヶ所以上紹介している。http://go-premiumjapan.com/index.html -3- 2 旅行会社向けセミナー「Premium Japan Seminar」 (1)概要 観光庁・JNTO 主催により、ムンバイ、デリー各都市のホテルを会場にして行われました。 TAAI(Travel Agents Association of India:インド旅行業者協会)アウトバウンド取扱旅行会社 の担当者、メディア関係者が参加し、日本の観光に関する情報に熱心に耳を傾けていました。 旅行会社向けセミナー(ムンバイ) 【ムンバイ】 開 催 日: 2011 年 2 月 21 日(月) 会 場: Four Seasons Hotel 参加者数: 137 名 冒頭、TAAI(インド旅行業者協会)側から、 「日本は、食事、ビザ、言葉の問題など、い くつか壁はあるものの、先進的なテクノロジーなど魅力がたくさんある国なので、今年更に 訪日客が増えるよう、期待したい」との挨拶があった後、JNTO から訪日旅行に関する最新 のデータや魅力を紹介するプレゼンが行われ、地元メディアのファムトリップ体験者から、 訪日旅行について発表がありました。その後、札幌市がプレゼンを行い、さっぽろ雪まつり や札幌の四季折々の魅力を PR しました。また、札幌市内のインド料理レストランについて も紹介するなど、懸念事項である食に関する情報提供も行い、参加者の関心を集めていました。 質疑応答では、日本への送客に対するインセンティブや、ビザ申請時の提出書類について の質問等が挙がり、率直な意見交換が交されました。その後の商談時間では、会場内に設置 された商談テーブルにて、各々具体的な話合いがもたれました。 【デリー】 開 催 日: 2011 年 2 月 23 日(水) 場 所: The Leela Palace Kempinski 参加者数: 145 名 受付開始後、セミナー開始時間まで、お茶、着物、写真パネル展 訪日旅行経験者の体験報告 (デリー) 示等日本文化を紹介する場が設けられ、参加者の関心を呼んでいました。 観光庁及び TAAI より挨拶があった後、JNTO からプレゼンテーション、そしてムンバイ 同様に訪日旅行を経験したインド人ジャーナリストから体験報告が行われました。そこでは、 日本に対して持っていた「物価が高い」 「ベジタリアンメニューがない」というイメージは、実 際は違っていた、という事などが述べられました。また、CLAIR シンガポール職員から、日本 の地方都市について紹介を行い、新たな旅行需要が喚起されるよう、情報提供を行いました。 -4- 3 映画セミナー「JAPAN INDIA Film initiative」 (1)概要 インドの娯楽として圧倒的な人気を誇るボリウッド2映画の撮影を日本へ誘致することを 目的としたセミナーが、ムンバイ及びハイデラバードの各都市にて開催されました。セミナ ーには、旅行業界関係者らが多数参加し、ロケ地としての日本の魅力と、フィルムコミッシ ョン(FC)による撮影環境等の支援体制等が紹介されました。 (今回は 2011 年 2 月 22 日 (火)にムンバイ市内のホテルで開催された分のみ紹介。 ) (2)内容 観光庁山田審議官から、「日本といえば、桜、富士山、新幹線、食べ物では寿司、天ぷら などが有名であるが、北から南まで様々な気候を持つ日本には、まだインドではあまり知ら れていない様々な地域があることを精力的に紹介していきたい。」とあいさつがありました。 在ムンバイ総領事館持田総領事からは、 「1966 年に公開された『Love in Tokyo』がインド で大ヒットし、テーマ曲『Sayonara』が今日でも親しまれ人気を得ている。世界で最も多 い年間製作本数を誇るインド映画は、インド人にとって旅行先を決める際、大きな誘引力を 持っており、過去ロケ地となったシンガポールとニュージーランドへは、インドからの旅行 者数が急増した。2012 年に日印外交樹立 60 周年を迎えるなか、日本とインドは経済面で も近年関係を一層強めているが、比すると訪日インド人数はまだまだ少ない。映画誘致は、 長い目で見れば相互理解に繋がるという点も非常に重要である。 」との話がありました。 また、監督・女優であるアパルナ・セン氏より、日本で「Japanese Wife」 (2010 年公開)を撮影した当時の様子や苦労点などについて話がありました。 セン氏は、当時文化遺産でのロケを希望したが、利用許可が下りずにロケを 断念したことに触れ、そういった場合にも日本側のサポートを期待したいと 述べるなど、実体験に基づく内容でした。 その後、国内外の映画・映像作品撮影環境向上に取り組んでいる「特定非 営利活動法人ジャパン・フィルムコミッション(JFC) 」から、団体のミッ ションや各種団体とのネットワークを通じた製作支援等について説明が行 ロケ当時の様子を振返 るアパルナ・セン氏 われ、続いて神戸フィルムオフィスとえひめフィルム・コミッションの両フィルム・コミッ ションから、地域ならではの歴史的背景や観光資源、気候といった特徴に触れながら、エキ ストラやスタッフの宿泊支援、許諾申請等のサポート態勢についてプレゼンテーションが行 われました。 それらを受け、映画誘致に関するパネルディスカッションが 持たれました。今後日本での撮影を検討しているというインド の監督からは、ボリウッド映画のひとつの特徴でもあるダンス シーンに登場する、多数のバックダンサーのビザ手続き簡素化 や、撮影機材・衣装の輸送に際する関税免除・手続き簡素化、 撮影隊の滞在資金援助等、実務的な支援を求める声が挙がるな セミナー会場の様子 ど、活発な意見交換が行われました。 2 ムンバイの旧名であるボンベイと、アメリカのハリウッドとを組み合わせた語。 -5- 4 Visit Japan現地推進会 2010 年度からインドが観光庁ビジット・ジャパン事業の重点市場に位置づけられたことを 受け、現地関係者の協力体制を確立し、訪日旅行者の増加を実現するため、デリーにおいて第 1回ビジット・ジャパン現地推進会が開催されました。 日 時:2011 年 2 月 23 日(水)17:00~19:00 場 所:在インド日本大使公邸 会議室 出席者:推進会メンバー…会長・林肇在インド日本国臨時代理大使ほか、在インドの旅行協会、 旅行エージェント、航空会社、メディア、商工会、日本人会等 21 名 (1)概要 冒頭、現地推進会会長である林在インド日本国臨時代理大使か ら、2009 年のインドからの海外旅行者数は約 1,100 万人で、この うち、訪日旅行者数は 58,000 人と他の地域に比べて少ない点、イ ンドは日本にとって重要なパートナーであり、ビジネスや学術、政 府間交流に加えて、観光も重要な要素の一つである点について言 及があり、今後現地推進会メンバーの協力を得て、この状況を打 開していくために貴重な意見を伺いたい、との挨拶がありました。 現地推進会の様子 続いて、観光庁から、 「インドにおけるビジット・ジャパン・ プロジェクトについて」のプレゼンテーションが行われました。プロモーションの柱として、 「認知度向上事業」 (日本のインドレストラン情報を紹介するウェブサイトの設置、インド で著名なウェブサイトでのバナー広告掲載や地元紙への訪日旅行商品広告掲載助成等)、 「誘 客事業」 (旅行博参加や現地旅行者へのセミナー商談会開催等) 、 「調査事業」 (テレビ CM や 映画館での広告や日本におけるインド映画ロケセミナー開催等)の活動が説明され、東京、富 士・箱根、名古屋、京都・奈良、大阪といったいわゆるゴールデン・ルート以外にも様々な新た なルートを提案し、外国人旅行者が参加できるような伝統的な祭、市民マラソンなどのイベント に関する情報も精力的に紹介していきたい、との話がありました。発表のなかでは、「Cool Japan」に関連づけたイベントや国際会議の誘致を進めていくことも、旅行者数増加に繋がる 要素である旨が述べられました。 JNTO からは、インドにおける訪日観光市場の概要について説明が行われました。インド からの年間訪日旅行者数は、2009 年に若干落ち込んだものの、2010 年は 66,819 人(確定 値)となり、訪問先としては、東京が最も人気だが、2008 年と 2009 年を比べた場合、神 奈川、山梨、広島の数が増えており、横浜や富士山、原爆ドーム等を訪れる人が増えている と考えられるとのこと。訪日誘客のため、テレビや映画館での CM や、インド映画誘致セ ミナーの開催等、テレビや映画を用いた試行的プロジェクトを進めているとのことでした。 続いて、在インドの旅行会社から、インドからの訪日旅行者数増加策について意見が述べ られました。インド人の 2 大人気アイテム、「ボリウッド映画」と「クリケット」に触れ、 「韓流」映画人気の影響でアジア各国からの訪韓人口が増加していることや、中国映画の舞 台となった北海道へ中国人観光客が増えた点を挙げ、 「インド市場においてもボリウッド映 画誘致を通じた知名度の向上が肝要。インドの人々にまだ知られていない、日本の美しい自 -6- 然や歴史的な場所、洗練された都市は、映画やテレビの素材としてインドの人々もきっと関 心をもつものであろう。今後は、日本に関する情報誌の発行や商業施設でのフェアの開催、 テレビ CM を通じて日本の認知度を上げ、大手インド旅行会社向けファムトリップを実施 し、さらに日本の地域と協力しながらボリウッド映画のロケ誘致を図っていくべき。 」との 提案がありました。 在インド日本国大使館からは、 「2007 年に観光ビザの、2010 年 12 月にビジネスビザの手 続簡素化が実施されており、取得費用も諸外国に比べて高くはない。また、3 日もあればビ ザは発給される状況であり、こうした情報をもっと周知していきたい」との話がありました。 最後に、訪日旅行促進のための具体的な手法について、ディスカッションが行われました。 ディスカッションでは、インド側参加者からは主に、①ターゲットの設定が重要で、ター ゲット毎に戦略を考える必要があること、②アトラクション(楽しみ)が重要であること、 ③プロモーションの努力を継続することが重要であること、の 3 つの意見が挙げられ、これ に対して、会長から「推進会メンバーの協力のもと、今後も訪日旅行者数の増加策を精力的 に推進していきたい」との旨が伝えられ、閉会となりました。 <主な意見等> ・日本は他国と比べて費用のかかる訪問先であることを再確認する必要がある。 ・安価でなくてもよいので、インド料理レストラン以外でもベジタリアンフードを提供でき るようにしてほしい。モンク・クッキング(精進料理)はベジタリアンでも食べられる。 ・東京や大阪以外にも日本の訪問先のオプションが紹介されることは、訪日旅行者数の増加 に繋がる。しかし、他国も非常に熱心に誘客事業を展開しており、他国でもショッピング をしたり、温泉に入ったりすることは可能だという点を認識すべき。 ・ターゲットを明確にし、広告宣伝はライフスタイルに合わせて行う必要がある。また、バ ラエティに富んだ日本の魅力を伝えるために、多様なメディアを活用すると良いだろう。 ・共通点を考察してみてはどうか。仏教だけでなくヒンドゥー教も日本と繋がりがあるように思う。 ・インド人の関心が高いクリケット、ボリウッド、ショッピング以外にも、日本の良いとこ ろや特有のものを多方面から紹介してほしい。 (ex. 茶道、礼儀正しさ、着物、原宿、阿蘇 山(活火山) 、日本庭園(特に京都、奈良周辺)等。 ) ・今後も更なるビザ取得の簡素化を望む。 ・言語の問題。英語対応スタッフや多言語での看板表示を望む。 ・ボリウッドも人気だが、テレビドラマも有力。 ・芸者遊びや舞妓さんの映画3はインドでもよく知られている。 ・ハネムーンの目的地として PR していくことも考えられる。 5 終わりに インドは、経済成長4に伴う中間所得者層の増加、そして 2011 年国勢調査結果によると人口 が 12.1 億人を超えるなど、日々拡大し続けている国です。日系企業の進出も活発で、中国と 並んで注目されている国でもあります。 3 4 アメリカ映画の「Memoirs of A Geisha」 (邦題「SAYURI」 )) 2010 年度実質 GDP 成長率 8.5%(インド政府発表値) -7- 現在、インドから日本を訪れる人はビジネス客5が中心となっており、旅行会社が顧客の依 頼に応じてアレンジするパターンが多く、募集型の観光ツアー催行は少ない状況です。観光地 としてはまだ主流とはなっていないものの、今回のインド行程では、日本は科学技術やハイテ ク産業を中心にインドから熱い注目を浴びているということを改めて実感しました。 OTM 会場で伺った旅行会社の話によると、現在のところインドではタイへの観光旅行人気 が高いとのことです。 「航空会社が格安のプロモーションチケットを販売し、買い物や食事、 文化を楽しめるほか、ウォータースポーツ等のアクティビティやサファリなど、子どもも楽し める国であることが理由なのではないか」とのことでした。タイ以外には、ドバイやマレーシ ア、シンガポールも人気があり、より高所得者層はヨーロッパやアメリカを訪れているとのこ とでした。 「インドの家庭でも子どもをとても大事にしているので、親は子どもが行きたいと 言えば、旅行先の選択肢のひとつになる。富士山や京都といった日本の伝統的なイメージもさ ることながら、ショッピング情報や子どもが楽しめる最新のサイエンスミュージアムやアクティ ビティなどの情報についても、今後も情報を発信していってほしい」という声も聞かれました。 訪日旅行を検討する際に聞かれる不安要素として、 「インド料理レストランがない(食べら れるものがあるか) 」という点を多くの人が挙げています(一方で、日本食を積極的に試して みたいと話す人も少なからずいます) 。都市部では比較的容易に見つけることができるインド 料理レストランですが、地方の情報も発信していき、旅行がしにくいというイメージを払拭し ていく取組が大切であろうと感じました。 また、懸念事項のひとつとされるビザ取得については、必要な書類をきちんと提出すれば発 給は他国よりむしろスピーディなようで、実際に旅行会社に話を聞いてみると一層の簡易化を 求める声はあるものの、それほど大きな問題とはなっていない様子でした。 なお、インド映画は、世界的に多くのファンを抱えており、フィンランドがボリウッド女優 を「ブランドアンバサダー」として任命するなど、その人気振りを活用した観光客誘致に各国 が関心を寄せています。映画誘致を図るにあたり、税制優遇措置や資金援助等の実践的な支援 が、製作者側からは求められていました。 当事務所では、今後とも様々な事業を通じてインドに関する情報を収集し、広く提供して参 りたいと考えています。 担当:シンガポール事務所 井口、大塚、小島 2010 年 1-10 月の訪日インド人旅行者数:総数 57,170 人のうち、観光客 18,184 人(31.8%) 、商用客 24,321 人(42.6%)、その他(留学、研修、外交等)客 14,665 人(25.6%)。 (出典:日本政府観光局「JNTO」) 5 -8-
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