№9「低血圧」

低血圧」
№9「低血圧」
東 順子の症例研究
(平成 16 年 5 月 9 日の田園調布教室「東順子のからだ講座」における講義録)
血圧は、高すぎると危険です。例えば血管が切れる、詰まるということが、脳や心臓と
いった重要な器官で起きた場合などです。実際、つい最近まで日本人の死因の第 1 位は高
血圧を原因とする脳卒中でしたから、高血圧に関しては多くの専門家が熱心に研究してい
ますし、高血圧に関係する本もたくさん出ています。
ですから、「血圧が高い」というと、「それは大変だ!」と、本人のみならず医者も家族
も知人友人親戚縁者まで、あーしろ、こーしろ、何が効く、これが効くと百家争鳴、寄っ
てたかって血圧を下げようとします。
そういう風潮を、日陰からじぃっと、少しうらやましそうに見ているのが低血圧患者で
す。低血圧は命に別状ないからとか、むしろ長生きするとか、長生きするけどボケやすい
とか、いやもうすでにボケてるんじゃないか?とか、冷たくからかわれるだけで、医者に
行ってもロクに薬ももらえず、
「生活を規則正しくして、ちゃんと栄養のあるもの食べてね」などと、説教されるのがオ
チ。「血圧が低い?だからどうしたの?」とでもいわれそうな、世間の冷たい風当たり。
何を隠そう、私は低血圧です。ものすごく体調の良いときで最高血圧が 110mmHg 程度。
夏場で、疲れたときなどは最高で 85mmHg とかです。でも、30 歳ではじめて低血圧と診
断されて、低血圧歴 20 年を越えているせいか、85mmHg でもけっこう普通に生活してい
ます。血圧を測って、表示された数字を見て気持ちが悪くなるという程度。もともとポヨ
ヨンな性格なので気づかないのかもしれませんけど。
しかし、低血圧という症状に対する、世間一般の理解が足りないのは確かです。そのせ
いか、本人さえもよくわかっていないことが多いのです。
30 歳で起立性低血圧になった私は、医者に行っても薬さえもらえず、帰り道に薬局に寄
って、気休めでもいいから何か買おうと思いました。薬局のおばさんが自信満々に出して
きたのは、レバーなんとかという名前の、鉄分を補給する健康食品でした。今考えればあ
れは、貧血の人のためのものでした。
私は低血圧ではあるけれども、貧血ではなかったのです。薬屋さんでさえそのへん混同
しているのです。私はといえば、当然何の疑いもなく、そのレバーなんとかを毎日せっせ
と飲んで、でもぜんぜん良くなる気配もないのでやめてしまいました。そして今日に至る
のです。
ですから、まず低血圧について勉強しなければならないのは私自身です。その上で、で
きることなら、低血圧に関する誤解や無理解を少しでも解消したいという気持ちで、今回
の講座をすすめていきたいと思います。
1
低血圧とはどういう
低血圧とはどういう状態
とはどういう状態か
状態か
低血圧と
低血圧と低血圧症
血圧の数値に関して、例えば高血圧なら、WHO の基準とか、WHO と ISH (国際高血
圧学会)が合同で発表した基準などの、国際基準がありますが、低血圧にはそうしたもの
はありません。
一応の目安として、成人では最高血圧が 100mmHg 以下(110mmHg 以下という場合も
ある)
、最低血圧が 60mmHg 以下を低血圧としていますが、最低血圧はふつう問題にしま
せん。厳密にいえば、これは「低血圧」の基準です。しかしこれだけでは病気とはいいま
せん。症状があって初めて「低血圧症」という治療の対象になるのです。
例えば、私自身もそうですが、最高血圧が 85mmHg でも特に困った症状がないのであれ
ば、立派な低血圧であっても「低血圧症」とはいいません。逆に、普段高血圧気味の人が
急に血圧が下がって、それが 110mmHg 程度の正常範囲だったとしても、めまいやだるさ
などの低血圧症状を起こすことがあり、その場合には低血圧症患者としての治療をするこ
とになります。
起立性低血圧
姿勢によって血圧の変動が大きい場合があります。寝た姿勢から立ち上がったときに、
最高血圧が 20mmHg 以上下がる場合を「起立性低血圧」といって、普通の低血圧とは区
別して考えます。起立性低血圧は、血圧の調節がうまくいっていない状態です。高血圧の
人も、正常の人も、低血圧の人も、起立性低血圧になる可能性があります。
理論的な
理論的な血圧の
血圧の最低限
血圧は低い分には命に別状ないといっても、低すぎれば死んでしまいます。人間のから
だを維持するために最低必要な血圧はどのくらいかを考えて見ましょう。
生命維持のために最終的に必要な臓器は脳と、その脳に血液を送る心臓です。
もともと「血圧」というものの第 1 使命は、心臓より高いところにある脳に血液を送る
ということですから、では脳に血液を送るには最低どの程度の血圧が必要なのでしょうか。
その人の体格によって多少の違いはありますが、脳は心臓より約 50cm 上にあります。血
液の比重は水とほぼ同じですから、500mmH2O(水を 500mm 押し上げる)だけの圧力が
必要ということになります。これを水銀に換算しますと、水銀の比重は水の 13.6 倍ですか
ら、
500÷13.6≒36.8mmHg
最低(拡張期)血圧でも 36.8mmHg ということになります。しかし実際には、この程度の
血圧では低すぎて、普通の生活はとても無理だと思われます。
2
血圧が
血圧が低いとはどのような状態
いとはどのような状態か
状態か
講義録「血圧のメカニズム」で使った図を使いな
がら説明します。(右図)
①心臓によってくみ出された血液は動脈に運ばれ
ます。ひしゃくは心臓の働きを示しています。
②ひしゃくから注がれた血液は動脈タンクの水か
さを上げます。この瞬間に血圧(水かさ)は最も
高くなります。これが最高血圧に相当します。
③心臓が拡張期に入ると、ひしゃくは静脈のタン
クから次の血液を汲みます。この間、動脈の血液
は抵抗となる血管を通って静脈側へ流れ込みます。
このため、動脈タンクの水かさは次第に下がって
きます。
④次の心拍によって、血液が再びタンクに注がれる直前に、水かさは最も低い値を示しま
す。これが最低血圧となります。
1 心拍間の水かさの変化が「脈圧」であり、また、1心拍中の平均的な水位が「平均血
圧」ということになります。
血圧は、1 回拍出量(ひしゃくの大きさ)、心拍数(ひしゃくで汲み出す頻度)、末梢臓器
の抵抗、血管の弾力性(動脈タンクの太さ)などによって変動することが、この図から直
感的にわかるかと思います。
ここで、どんなときに血圧が下がるかというと、
1)1 回拍出量が少ない(ひしゃくが小さい)…心臓のポンプの力が弱い
2)脈拍が少ない(ひしゃくでくみ出す頻度が少ない)…徐脈(これはめったにない)
3)動脈の血管抵抗が小さい(動脈タンクが太い)…血管が柔らかい
4)末梢の血管抵抗が小さい…末梢血管の収縮が弱い
5)静脈の血管抵抗が小さい…静脈の収縮が弱く、心臓に送り込む血液量が少ない。→1 回
拍出量が少ない。
6)全体の血液量が少ない
一般の低血圧で最も多いケースは、1)低心拍出量症候群と、5)静脈に血液がたまって
いる(静脈うっ血)です。
いずれにしても、血液を全身に送り出すためのパワーである血圧が低いということです
から、からだのいろいろなところで「血液不足」が起こります。
低血圧症とは、
血液がからだの隅々
供給されないために起
結局、低血圧症とは
とは、血液がからだの
がからだの隅々まで
隅々まで十分
まで十分に
十分に供給されないために
されないために起こる
さまざまな症状
さまざまな症状と考えることができます。
3
低血圧の
低血圧の種類
低血圧も、高血圧と同じように次のような分類をしています。
本態性低血圧:原因不明の慢性低血圧。二次性を除いた低血圧。
二次性低血圧:原因になる病気がある場合。
①急性一過性の障害…心臓や血管の働きが急に弱ったときや大出血の後など。
例)心筋梗塞、やけど、激しい下痢・嘔吐、腸閉塞、急性中毒
②慢性持続性の障害…中枢神経・末梢神経の障害、心臓・血管障害、代謝内分泌疾患等
例)がん、慢性伝染病(肺結核など)
、貧血、白血病、甲状腺機能低下、肝硬変など
低血圧と
低血圧と貧血
立ちくらみやめまいなどの症状が似ているので混同されがちですが、別のものです。
低血圧:血液循環が円滑におこなわれず、脳やからだの末端への血流が悪い状態。
貧血 :血液中の赤血球、またはヘモグロビンが足りない状態。原因は主に、鉄不足のた
めヘモグロビンを作れないことで、そのため赤血球が酸素を十分に運べない状態
です。貧血とは、血液の質の問題です。
低血圧と貧血を合併している場合もありますが、高血圧で貧血という場合もあります。
違いを調
いを調べるには血液検査
べるには血液検査をすればすぐわか
血液検査をすればすぐわかります
をすればすぐわかります。
ります。
手軽に調べるには、献血ルーム
献血ルームにいきましょう。献血の前に、血圧や血液の比重など、
基本的な検査があります。もし、「比重がちょっと足りませんね」といわれたら、それは
貧血状態ということです。女性で、生理中や生理の後などに一時的に貧血になることもあ
ります。
起立性低血圧
起立性低血圧とは、寝た姿勢から立ち上がったときに、最高血圧が 20mmHg 以上下がる
場合。つまり、体位の変換によって起きる低血圧のことで、一般的な低血圧とは分けて考
えます。
普通に腰掛けたときの血圧が正常血圧、低血圧、高血圧のすべての人に起こりえます。
この場合も普通の低血圧と同じように次のように分類されます。
本態性起立性低血圧…原因疾患がない場合
二次性(
二次性(症候性)
症候性)起立性低血圧…原因疾患がある場合
起立失調症候群・
起立失調症候群・起立性調節障害・
起立性調節障害・起立直後性低血圧
起立性低血圧では、寝た姿勢から立ちあがったときに最高血圧が 20mmHg 以上下がる
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ことが条件です。一方、起立失調症候群では、そこまでの血圧変動はありませんが、体位
の変換によって、起立性低血圧と同じような症状が起きます。
また、起立失調症候群は、小児、思春期に多く見られます。小児に起こる場合、起立性
調節障害(OD=オーディー)といいます。起立失調症候群(起立性調節障害)では、低血
圧を伴わない場合もあります。
起立直後の血圧低下が正常限界を超えて大きい人や、症状が 1 ヶ月以上も続く場合を起
立直後性低血圧(INOH=アイノー)といいます。これもまた、小児や思春期に多い症状
ですが、成人にも見られます。
起立失調症候群(
起立失調症候群(起立性調節障害=
起立性調節障害=OD)
OD)
自律神経失調症のひとつで、立ちくらみが主な症状です。思春期前後に多く、家族性が
認められます。症状による診断基準がつくられています。朝起きられなかったり午前中調
子が悪いので、不登校と間違われることもあります。
治療は、昇圧剤や自律神経調整剤を服用します。
起立性調節障害(
起立性調節障害(OD)
OD)の診断基準
診断基準
大症状
小症状
小症状
A.立ちくらみ、あるいはめまいを
a.顔色が青白い
起こしやすい
B.立っていると気持ちが悪くなる。
ひどくなると倒れる
C. 入浴時あるいは、いやなことを
見聞きすると気持ちが悪くなる
D.少し動くと動悸あるいは息切れ
がする
E.朝なかなか起きられず、午前中
調子が悪い
b.食欲不振
c.強い腹痛を時々訴える
d.倦怠あるいは疲れやすい
e.頭痛をしばしば訴える
f.乗り物に酔いやすい
g.起立試験で脈圧の狭小 16mmHg 以上
h.起立試験で収縮期血圧低下 21mmHg 以上
i.起立試験で脈拍増加 1 分 21 以上
j.起立試験で立位心電図の TH の 0.2mV 以上の
減高、その他の変化
判定:
判定:大 1、小 3/大 2、小 1/大 3 以上で
以上で器質性疾患を
器質性疾患を除外できた
除外できた場合
できた場合を
場合を OD とする
5
起立直後性低血圧
Instantaneous Orthostatic Hypotension
:INOH(アイノー)
ふつう、起き上がったり、立ち上がったりす
るとき、一時的に血圧が低下します。正常な場
合は、すぐに調節機能が働きますので、本人も
健常者▲
特に気づかず、からだに何の影響もありません。
しかし、この血圧低下の幅が大きい場合や、長
期間続く場合は、起立直後性低血圧という病気が
疑われます。これを INOH(アイノー)といいま
す。
成人にもありますが、小学校高学年から中学生、
起立直後性血圧(軽症型)▲
高校生に最も多く発症します。中学生での発症率
起立直後に血圧低下
は、7~8%。
症状:立ちくらみ、ふらふら、目の前が暗くなる、
だるい、頭痛、動悸、脳循環不全の症状などがあ
ります。
慢性疲労感は 9 割の人に認めます。
ひどい人は、起立中に脳貧血をたびたび起こし
たり、強い倦怠感のために起床が困難になります。
寝た姿勢では症状が軽減するので、一日中ごろ
起立直後性血圧(重症型)▲
起立中ずっと低血圧
ごろと横になっていたりします。
また、一日の生活リズムが乱れる傾向があります。7 割に入眠障害(寝つきが悪い)があ
り、朝起きが困難。春から夏に悪化し、寒い時期に改善する傾向があります。
原因:起立時の血圧低下に対する反射性の交感神経活動が低下しているために、血圧を調
節している細動脈が十分に収縮せず、血圧が低下することが考えられます。
自律神経を
自律神経を復習しよう
復習しよう
起立性低血圧をはじめ、
「血圧」ということを勉強していくと、どうしても「自律神経」
という機能を抜きには考えられなくなってきます。血圧を含め循環系の調節にかかわって
いるのが自律神経だからです。しかし、高血圧も、低血圧も、更年期障害も、結局「自律
神経失調症」というかたちで十把一からげにされる傾向があり、逆に物事をわかりにくく
させるように思います。それで、私はなるべく「自律神経」という説明を使わないように
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しているのですが、この機会に、自律神経について復習しておくのも良いかと思います。
血圧は、さまざまな外的条件によって変動します。例えば暑い季節、汗で水分を失い、
皮膚の血管が広がるために、血圧が低下します。血圧が下がると、からだの血流が乏しく
なりますので、いろいろな症状となって現れるのです。
本来血圧は、身体的、精神的変化などに順応するために、上がったり、下がったりしま
す。このような血圧の変化には、血管が広がったり、縮んだりして対応していますが、そ
の拡張、収縮の命令を血管に伝達するのが自律神経です。
この自律神経の作用が過度であったり、逆に不足である場合には、適切な血圧の維持が
できなくなってしまうことがあります。血管がひろがれば、血管の内圧、すなわち血圧は
下がります。また、もともと血圧の低い人では、ふだんからこの自律神経の活動性が弱い
のではないかと推定されています。
自律神経は、血管だけでなく、発汗、唾液の分泌、胃腸の働き、脈拍…など、からだの
さまざまな機能を調節しています。低血圧はさまざまな条件によって起こりますが、自律
神経の働きが良くない場合もその重要な条件の一つなのです。
脳から出
から出る 3 つの神経系
つの神経系
運動神経系…脳から出された命令が脊髄を通り、末梢神経に伝えられ、最終的には筋肉に
伝わって筋肉が収縮することによって、命令が終わる。
(脳から末梢へ:遠心性刺激)→随意「動物神経」
感覚神経系…例えば皮膚を針でつついたりすると、その刺激が皮膚の下の末梢神経に伝わ
り、脊髄を通って、大脳に伝えられ、そこで「痛い」という感覚を理解する。
(末梢から脳へ:求心性刺激)→随意「動物神経」
自律神経系…伝達様式は運動神経と同じ遠心性だが、意思によってコントロールできない。
自動制御システム。→不随意「植物神経」
自律神経が制御する働きを「調節」といいます。調節には 2 種類あります。
平時…脳からたえず全身に対して自律神経を介して命令が出ている状態。単に「調節」
有事…なんらかの事態がおこったときにはたらく機能。
「反射性調節」
例)胃に何か食べ物が入ってきた場合。
①食べ物が入った刺激で胃から情報が出される。→迷走神経→自律神経中枢
②中枢から命令が出て、胃に伝えられ、胃がゆるんで食べ物を受け入れる態勢を整え
る。(反射性調節)
例)皮膚
①皮膚が温度変化を感じる →体性感覚神経→自律神経中枢
②中枢から命令が出て、
a)暑ければ皮膚の血管を開き、汗を出す
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b)寒ければ皮膚の血管を収縮させ、立毛筋を収縮させる(鳥肌)
自律神経の
自律神経の中枢とは
中枢とは
循環や
循環や胃腸の
胃腸の働き:脳幹にある延髄
体温や
体温や血糖:視床下部
呼吸:脳幹部
排尿、
排尿、排便、
排便、ペニスの勃起
ペニスの勃起など
勃起など:骨盤内の腰髄、仙髄
交感神経と
交感神経と副交感神経
自律神経の機構は 2 つの系統に分かれています。交感神経と副交感神経です。
一般的に見ると、交感神経と副交感神経の 2 つは、ほとんどの臓器や組織を神経支配して
おり、それぞれの神経が相反する作用を伝えることによって、拮抗しあいながら、臓器や
組織の働きを調節しているのです。
これらの調節機能が正常に働かないときに、さまざまな症状が現れるのです。
自律神経の
自律神経の働きはどんなことで乱
きはどんなことで乱れるか
器質的な
器質的な変化:自律神経の神経細胞や神経線維などの組織そのものが破壊されたりしてい
る場合。(少ない)
機能的な
機能的な変化:自律神経の組織そのものには組織破壊はないにもかかわらず、その働きが
弱かったり、働き方のバランスがわるかったりする場合。(多い)
機能的
機能的な変化は
変化は何故起こるか
何故起こるか
①もともと自律神経の働きが弱い
例えば血管を収縮させる交感神経の働きが弱ければ、血管は十分に収縮しませんので
血圧は低くなります。
②年をとること
一般的に年齢とともに交感神経の働きが強くなり、副交感神経は弱くなるとする説が
あります。年齢とともに血圧が高くなるのは、動脈硬化によって血管が硬くなるからと
いうこともありますが、血管を収縮させる交感神経の働きが相対的に強くなるためだと
する説もあります。
ところが、逆に、年齢とともに血圧が低くなる人も少なくないのです。つまり、年齢
とともに交感神経の活動性が鈍くなっている可能性が考えられます。
(高齢者に起立性低血圧が多い)
③バランスが崩れる
例)暑い盛りに頭からクーラーを浴びつづけると、からだが異様にだるくなる。
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→頭部では冷たい風を浴びるために自律神経が頭部の皮膚を温める反応をするのに
対し、逆にからだの方では、暑いために皮膚を冷やそうとする反応を起こすから。
外界からの相反する温度刺激のために、自律神経の中枢が適切な命令を出すことが
できず、命令間に対立が生じてしまう。
④精神的な影響
緊張すると、血管は収縮して血圧は上がります。「手に汗握る」といった、精神的発汗
もあります。逆に、緊張が全くない状態では、交感神経はあまり働かないので血圧が下
がります。
個人差
平時のときの活動性、有事のときの反応性、その命令を受ける臓器や組織の感受性にも、
かなり個人差があります。
血圧が
血圧が低いとき、
いとき、自律神経はどうなっているか
自律神経はどうなっているか
交感神経の活動性が落ちている
副交感神経の活動性が高くなっている:例えば頸動脈や大動脈弓にある「圧受容器」が敏
感すぎるとき。
(圧受容器は、血圧が上がったときに感知して、その情報を脊髄にあ
る心臓血管の中枢に伝える。その結果血圧が下がる=高血圧を防ぐ機能)
交感神経の
交感神経の働きを高
きを高めるには
●精神的緊張を与える
●反射性調節を利用する:「体性―循環反射」皮膚に与えられた刺激が体性感覚神経によ
って脳へ伝えられ、その結果交感神経を刺激して血管を収縮さ
せるという反射。(乾布摩擦、温冷浴など)
起立性低血圧のメカニズム
起立性低血圧のメカニズム
自律神経について復習しましたが、それを踏まえて、あらためて起立性低血圧を考えます。起立
性低血圧には次のようなパターンがあります。
直後型:立つとすぐ倒れる(老人に多い)
心臓自体の交感神経(自律神経)に問題がある
遅延型:立った後、10 分くらいかけてじわじわ血圧が下がり、ついに倒れる(若い人に多い)
脳の血圧中枢(血圧のコントロール・センター)に問題がある
中間型:その中間
これらの本質的原因は自律神経系の障害=起立時の自律神経反射の不調であると考えることが
できます。
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立ち上がったときの自律神経反
がったときの自律神経反射
自律神経反射と起立性低血圧
①寝た姿勢から立ち上がると、血液はからだの下部に下がり、脳へ行く血流が減ってしまう。
それを頸部にある頸動脈洞のセンサーが察知し、自律神経を介して、脳の血圧中枢(血圧の
コントロールセンター)に知らせる。
②脳の血圧中枢はまず、交感神経(自律神経)を介して、心臓を多く打つよう(心拍数を増加
するよう)に命令を出す。
③ところが、心臓がいくら多く打っても(心拍数が増加しても)、そのままでは、血液は地球
の重力により、からだの下部にどんどん下がってしまいます。心臓に還ってくる血液量が少
なくなり、心臓は空回りするだけです。そこで脳の血圧中枢は、末梢の血管に収縮せよとい
う命令を出します。②と③はほとんど同時におこなわれます。
④その結果、末梢の血管にたまっていた血液が血管の収縮によって心臓に還り、心臓は十分な
血液を脳に送ることができます。
こうした反射が正常状態では瞬時におこなわれます。しかし、低血圧の患者さんや起立性低血
圧の患者さんでは、これがうまくおこなわれないため、脳に軽い虚血(脳貧血)が生じ、めま
いや失神などの症状を起こすのです。
朝は特にこの反射が鈍く、時間がかかります。
思春期と初老期に多いのは、思春期は自律神経の
完成期であり、初老期には脳動脈硬化症が潜在
するからでしょう。
さらに、心理的なストレスがかかると、この
状態は一層ひどくなります。ストレスによって、
こうした状態を悪化させる物質が多く出るから
です。
低血圧によって
低血圧によって起
によって起こるさまざまな症状
こるさまざまな症状
めまい・立
めまい・立ちくらみ・失神
ちくらみ・失神
これらの症状は、耳、脳血管、神経、心臓などさまざまな病気に伴って起こることが知られていま
す。低血圧においては、血圧が低下していることにより、脳へ供給される血液が減少するために起
こる症状。特に起立した際に血圧が下がる起立性低血圧では、めまい、立ちくらみは 80%以上に
見られます。重傷の場合には失神することもあり、転倒したり、骨折の危険もあります。
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頭痛・
頭痛・頭重
病院を受診する方の訴える最も多い症状のひとつ。その原因も多種多様。頭痛、頭重感は低血圧
の方の訴える症状としても頻度が高く、血圧が低下していることによって、脳へ供給される血液が減
少するために起こるといわれます。
偏頭痛…「頭痛、めまい」でとりあげます
緊張性頭痛…同
低血圧に
低血圧に伴う頭痛
明確な原因はわかっていません。推定によれば、低血圧の人では、脳にいく血流が少なくなり
ます。そのため脳は、少しでも多く血液が流れるように、脳の血管を拡張するようになります。脳の
血管が拡張すると、二日酔いのようになり頭が痛くなります。その場合、ズキンズキンと痛む場合も
あるし、ずんっ、と重たいという場合もあるようです。しかし、典型的な偏頭痛とも異なりますし、緊張
性頭痛とも異なります。
しかし、低血圧の場合、脳内の変化だけでなく、首から肩にかけての血流も悪くなり、老廃物の処
理がうまくいかず、ますますその部分の循環が悪くなります。首や肩の筋肉のコリが頭痛に影響す
るということもあるようです。
動悸・
動悸・息切れ・
息切れ・胸痛
れ・胸痛
これらの症状は、不整脈や心不全などの心疾患や、気管支、肺など呼吸器の病気、あるいは精
神的な要因によっても起こることが知られています。また、高血圧症によっても起こります。低血圧
では、全身を循環している血液量も減少しているため、心臓がより多くの血液を送り出そうと強く働
くことが、このような症状になると考えられます。
全身倦怠・
全身倦怠・慢性疲労
からだがだるい、疲れやすいという訴えは、ほとんどの病気で見られる症状です。低血圧のほか
に多いのが、貧血、肺結核、肝疾患、糖尿病などです。
朝起き
朝起き不良
朝起きるのがつらく、午前中調子が悪い。人間のからだは、起きて活動しているとき交感神経が
働き、眠っているときには副交感神経の活動が高まります。低血圧の人はこの 2 つの神経のバラン
スが崩れていて、朝起きても元気に活動するだけ交感神経が活動してくれません。
睡眠障害
不眠の原因には、ストレス、生活リズムの変化、薬・嗜好品によるもの、精神疾患、身体疾患など、
いろいろあります。低血圧の場合には生活リズムの不規則が原因になっていることが多いと考えら
れます。
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さらに、低血圧は脳梗塞など致死的疾患の原因にもなり、老人の
老人の痴呆とも関係があるとの報告
もあります。
また、低血圧はアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎や、アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患
アレルギー疾患、過敏性腸症
候群や慢性頭痛、冷え性(しもやけや末梢の疼痛など)、不妊症、関節リューマチ
関節リューマチなどの膠原病
や難治性疾患の
難治性疾患の末期など、さまざまな病気と関係があります。
多くの医師が、低血圧を「気のせい」とする傾向がありますが、低血圧は立派な生活習慣病です。
●立ちくらみ
●めまい
●ふらつき
●頭痛
●頭重
●失神(感)
●眼精疲労
●不眠
●肩こり
●首こり
●動悸
●息切れ
●胸痛
●脈の不整
●耳鳴り
●難聴
●性欲減退(男女)
●インポテンツ(男)
●胃部不快感
●胃のもたれ
●食欲不振
●便通異常
●手足の冷え
●しもやけ
●しびれ感
●下肢のむくみ
(下痢・便秘)
●腰痛
●悪心・嘔吐
(特に夕方)
●下肢静脈瘤
心理的・社会的症状
●不安感
●恐怖感、うつ状態など
●適応不全
(不登校状態、出勤不能状態など)
全身症状
●全身倦怠感
●顔色が悪い
●疲れやすい
●乗り物酔い
●スタミナ不足 ●慢性疼痛
●入浴時不調
(舌痛・肩こり・腰痛など)
●朝起きがつらい●低体温
●午前中不調
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低血圧は
低血圧は長寿か
長寿か
実際、長寿を遂げる例は多いようです。しかし、これは単に低血圧だからというわけ
ではありません。低血圧の人は生まれつき体質が虚弱である傾向があります。
胃腸が弱い、風邪を引きやすい、頭痛持ち、朝が起きられない、どことなく調子が悪
い、疲れやすい、そのわりには緊張しやすい、こうした状態が幼い頃からずっと続いて
きた結果、日々のからだの反応に敏感になり、自己防衛に優れるようになります。すな
わち、からだの調子が悪いと仕事を休んだり、病院に行ったりするということです。そ
の結果長寿を招くといえるのではないでしょうか。
「見えない病気『低血圧症』」永田勝太郎/著 より
二次性低血圧の
二次性低血圧の原因疾患
低血圧を引き起こす原因になる病気には次のようなものがあります。
・栄養失調状態(がんの末期、糖尿病や神経難病の進行した状態、慢性肝炎、肝硬変などのさま
ざまな疾患の末期)
・肺結核などの
肺結核などの慢性感染症
などの慢性感染症
・貧血
・甲状腺機能低下症
・アジソン病
・アジソン病:慢性副腎機能低下症
・シモンズ病
・シモンズ病:下垂体前葉機能低下症→副腎機能低下
・「食後低血圧」
食後低血圧」
・人工透析
低血圧の
低血圧の特徴
低血圧の
低血圧の人は多いのか?
いのか?
わが国の高血圧患者の数は約 2000 万人といわれ、人口の約 17%を占めていますが、低血圧に
関しては、おおむね 1600 万人くらいであろうと予想され、決して少ない数字ではありませんが、十
分な統計データすら見当たりません。
浜松医大の永田勝太郎先生が、大分県の養護教諭の先生方と一緒に、高校生 2428 人を対象
に調査したときは、元気に通学している高校生の 12.2%(男子 6.6%、女子 17.6%)に低血圧が認めら
れました。その後同様の研究を博多の女子高校でおこなったところ、45.0%が低血圧であったという
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報告もあります。
男女差
どちらかというと女性に多い疾患です。これは、女性ホルモンとも関係がありそうです。女性ホル
モンには血管拡張作用があるからです。しかし最近は男性の低血圧が増えているようです。
最近は食肉をやわらかくするために、餌にホルモン剤をよく使うそうです。若い人ほど肉をよく食
べます。さらに運動不足も手伝って、心臓や筋肉を鍛えることも少なくなってきました。そうしたこと
も低血圧の増加に関係しているのではないでしょうか。
年齢の
年齢の特徴
20 代から 30 代の女性によく見られます。
高校生、中学生、最近は小学生にもよく見られるようになりました。
しかし男性では 30 代以上にはあまり多くありません。30 代以上の男性で低血圧の人は、むしろ重
症の人が多いようです。
女性でも妊娠・出産を経て、低血圧が消えていく人もよくあります。更年期以降に、むしろ、高血
圧気味に移行する人すらいます。
お年寄りにもあります。特に、起立性低血圧は、10 代の終わりと、60 歳前後の初老期の人に多い
のが特徴です。
季節性
低血圧の患者さんが悪くなる時期は、春から夏にかけての季節です。特に梅雨の季節は悪化し
ます。冬に冷え性や、しもやけに悩む方もいます。冬に悩む方のほうが重症の低血圧のようです。
低血圧の
低血圧の正しい治療
しい治療
ステップ 1 : まず本人
まず本人が
本人が血圧のことを
血圧のことを正
のことを正しく理解
しく理解する
理解する
①血圧とは絶えず変動するものです。たまたま 1 回測定した血圧が高いとか、低いとか、一喜一憂
してはいけません。
日を変え、時を変えて何度も測り、さらに必要に応じて、体位を変えたときの血圧、運動負荷し
たときの血圧、またホルター血圧計による 24 時間血圧の測定などを試みる必要があります。
低血圧の診断に際しては、少なくとも 3 回以上測定し、最高血圧が 100mmHg 以下であること
を確認し、さらに低血圧特有の症状(上記参照)があることを十分確認する必要があります。
②低血圧とはどういう状態で、何を意味しているのかを理解する。
大まかに言えば、心臓から送り出す力が弱いか、血管の送る力(収縮力)が弱いかです。そうな
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るのは、 「他に病気がある場合」 と 「体質的な問題」に分けられます。
③その人の低血圧がどこから来ているのかを大まかに知る
足を読むとよく分かります。
・消化器官の機能低下による栄養失調→全体的なパワーダウン
各消化器官の反射区のチェック。特に「虚証」の兆候が見られる。へこんでいる、シワっぽい、
しこりというよりジャリジャリしたものを感じる、へこんでいる…など。
・循環器官の機能低下
心臓肥大または虚証、リンパ腺の反射区に腫れや痛み、足部脚部のむくみ、手足の冷えなど
・ホルモン系の問題
腎臓、副腎、脳下垂体など
④低血圧からどんな不調が現れるかを大まかに知る。
「低血圧の症状」参照
⑤低血圧を改善することで、生活の質が大幅に上昇することがわかっている
⑥ほとんどの低血圧は生活習慣病であり、施術や生活の改善によってコントロールすることが可能
である、ということを知る。
足の施術と
施術と低血圧
足の施術は血行を促進し、末梢の血管を開きますから、多くの場合、施術後に血圧が下
がります。では低血圧の人は悪化するのではないかというと、別にそういうことはありま
せん。数値的な変化では、数 mmHg 程度の低下が見られることがありますが、今まで血
液不足だった部分に新鮮な血液が供給されるのですから、さまざまな症状の改善が見られ
ます。
低血圧の人は、「血圧を上げる」ということよりも、症状をいかにして改善するかを考
えればよいのです。症状にあわせた重点反射区の施術と、十分に温めること、リラックス
していただくことを心がけてください。
同時に、「低血圧の正しい理解」や「生活療法」などについて、的確なアドバイスをす
ることも、施術者としては大切な仕事だと思います。
低血圧は体質ですから、無理やり変更する必要はなく、低ければ低いなりに快適な生活
ができるということをご理解いただきたいと思います。
ステップ 2 : 生活療法(
生活療法(ライフスタイル・行動
ライフスタイル・行動のチェック
行動のチェック)
のチェック)
1 生活を
生活を規則正しく
規則正しく
睡眠をたっぷりとり、早寝、早起きを心がける。食事は規則正しく摂る。特に朝食は必ず摂る(温
めたミルク一杯でもいいから)
2 疲れたら、
れたら、十分に
十分に休息をとる
休息をとる
疲労をためない。
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午前中は軽い仕事、昼食後は十分な休息、昼寝 30 分くらいしたあと、軽く汗を流すくらいの運動
を 30 分位するのが理想的。午後には必ずティータイム。コーヒー紅茶、日本茶などに甘いもの。
夏場は決して無理をせず、楽しみながらからだを鍛える。
3 調子が
調子が良くても無理
くても無理をしすぎない
無理をしすぎない
治療がうまくいって、体調が良くなるとうれしくなって、ついやりすぎてしまいがち。
4 緊張をできるだけ
緊張をできるだけ減
をできるだけ減らす
緊張と弛緩のバランスをとる。自律訓練法、瞑想、座禅なども効果がある。 音楽療法「聞く音楽
療法」「歌う音楽療法」
5 適度なスポーツでからだを
適度なスポーツでからだを鍛
なスポーツでからだを鍛える
心肺機能を高め、筋肉を鍛えることは循環をよくする。スポーツは楽しみながら。義務感でやって
はいけない。
全身運動:水泳(水中散歩だけでもよい)、ジョギング、ラジオ体操など
6 季節の
季節の移り変わりや気候
わりや気候の
気候の変化に
変化に敏感に
敏感に対応する
対応する
春や秋、季節の変わり目に自律神経の変調をきたしやすい
7 夏は涼しい、
しい、湿気の
湿気の少ないところにいる
ただし、皮膚を十分鍛え、体力をつける努力をする。
8 夏の冷房に
冷房に注意
上着、靴下などの冷房対策。冷房の直下を避けて座る。
9 冬は暖房を
暖房を完璧に
完璧に。着衣を
着衣を十分に
十分に
とにかくからだを冷やさない。
10 立ちくらみ、
ちくらみ、めまいなどの症状
めまいなどの症状がある
症状がある場合
がある場合は
場合は、体位変換をゆっくりと
体位変換をゆっくりと
お年寄りが夜間に小用に立つときは、必ず、いったんしゃがむか座り込んで、それから何かにつ
かまり、「一、二、三」と数えてからゆっくりおもむろに立ち上がる。
11 老人で
老人で、立ちくらみ
ちくらみ、
らみ、めまいのある人
めまいのある人は、「杖
、「杖」を使う
恥ずかしがらずに。
12 弾性ストッキング
弾性ストッキング
下肢に静脈瘤のある人は特に。
13 乾布摩擦、
乾布摩擦、冷水摩擦、
冷水摩擦、日光浴
皮膚を鍛える。皮膚の静脈を刺激し、収縮力を強くする。自律神経反射をよくする。
14 朝起きたらお
朝起きたらお風呂
きたらお風呂かシャワー
風呂かシャワー
からだを目覚めさせるため。湯冷めしないようにゆっくりたっぷりつかる。
炭酸系の入浴剤も効果がある。温泉もよい。 シャワー、朝シャンでもよい。
15 入浴後の
入浴後の冷水シャワー
冷水シャワー
足首→膝→腰というように徐々に慣れていく。皮膚を鍛える効果。毎日する。
16 時には転地療法
には転地療法
滞在型のほうがよい。
16
17 食事は
食事は温かいものを中心
かいものを中心に
中心に
野菜は生より煮たものやスープ。根菜類を多く摂る。食べてはいけないものは何もないので、いろ
いろな食材をバランスよく、おいしく食べる。
18 お酒は温めて
19 塩分の
塩分の多い食事(
食事(1 日 20~
20~30 グラム)
グラム)・たんぱく質
・たんぱく質の多い食事、
食事、ミネラルの多
ミネラルの多い食事
※低血圧の参考書には塩を多く摂るように書いてあります。確かに、極端な減塩はいけないで
しょうが、質の悪い食塩を多量に取るのはどうかと思います。むくみがひどくなるのではないで
しょうか。
20 好き嫌いをなくし
いをなくし、
くし、食後は
食後は十分に
十分に休息
低血圧の人に偏食や食の細い人が多い。あわてずゆっくり、マイペースで食べる。
21 チェダーチーズを食
チェダーチーズを食べる
チェダーチーズの中には、血圧をコントロールする物質(チラミン)が含まれている。毎日少しでも
よいから食べる。かなり効果があるらしい。
22 お茶、コーヒー、
コーヒー、紅茶などを
紅茶などを適当
などを適当に
適当に
カフェインは適度に自律神経系を刺激し、心臓の力を高め、血液循環をよくする。甘いものもエネ
ルギー補給に適している。但しどちらも摂りすぎてはいけない。
以上の
以上の項目をまとめると
項目をまとめると、
をまとめると、
●あたためる ●鍛える ●刺激する
刺激する ●リラックス ●栄養
ということに集約されるようです。
ステップ 3 : 薬物療法
ステップ 1、ステップ 2 を実践し、改善が見られなかった場合に、薬物療法になります。
薬理作用
薬剤名
交感神経作動薬(昇圧剤)
エチレフリン、ジヒドロエルゴタミン、ミドドリン、アメジニウム
心筋代謝改善剤
ユビデカレノン(コエンザイム Q10)
向精神薬
抗不安剤(ジアゼパムなど)、軽い抗うつ剤(スピライドなど)
ビタミン剤
VB1、VB2、VB12
漢方方剤
青年:半夏白朮天麻湯など
老人:当帰芍薬散など 紅蔘末の併用も
まず、第 1 ステップ(病理の理解)、第 2 ステップ(生活療法)を実践。十分なインフォーム・ドコン
セントのもとに薬剤を使用。
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おわりに
今回、低血圧について改めて勉強してみて、私自身のことで気づいたのは、
・足がむくみやすいのと低血圧は関係があるかもしれない。
・末梢の血管を刺激する意味で、乾布摩擦や温冷浴などはいいかもしれない。
などです。
それから、いろいろな参考文献で、低血圧の人は虚弱だとか、やせているとか、内向的だとか、緊
張が強いとか、朝が弱いなど、一定の人物像を描かれる傾向がありますが、必ずしもそうではない
ということは、是非わかっていただきたいです。
私も含めて、私以外にも年季の入った低血圧の友達が何人かいますが、みなけっこう元気で押し
が強く、出たがりやで、図太く、早起きして犬の散歩などをしています。
おそらく、低血圧でいろいろ具合の悪い人が病院に行き、お医者さんはそういう人ばかり見てい
るので、ナヨナヨしたイメージを持たれるのでしょう。
とりあえず血圧が低いということは、それだけ血管に負担をかけていないということなら、循環器
系が長持ちすると考えられ、やはり長生きできるのではないかと、改めて自信を深めたしだいです。
以上
参考文献
「低血圧とのつきあい方」
寺本 純/著 講談社/刊
「見えない病気『低血圧』その診断と治療」 永田
¥1,300(別)
勝太郎/著 佐久書房/刊
¥1,200(別)
デジタル版「家庭の医学」時事通信社
インターネット「低血圧 Suport Group」
インターネット「Health クリック」
インターネット「札幌厚生病院循環器科ホームページ」
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