第 3回 Brother Eagle Sister Sky ~酋長シアトルからのメッセージ

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<No.3>
『Brother Eagle, Sister Sky~酋長シアトルからのメッセージ』
スーザン・ジェファーズ ・ 絵
徳岡 久生 + 中西 敏夫 ・ 訳
(JULA出版局)
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ガールスカウトの活動のなかで、
ネイティブ・アメリカン(以前はインディアンと呼ばれていた人たち)の、
昔から伝えられている言葉などを耳にすることがあります。
特に、自然に対する考え方や、人生についての彼らの言葉は、
時を越えて、民族を超えて、現代に生きる私たちの心にも語りかけてくれます。
この『Brother Eagle, Sister Sky』という絵本は、
『酋長シアトルからのメッセージ』という副題がついている通り、
インディアン(本にある言葉の通りにここでは紹介させていただきます)の酋長であった
シアトルの言葉として、書き留められたり、語り継がれたりしたものを、
アメリカ人のスーザン・ジェファーズが絵本として著したものです。
小学校高学年くらいから自分で読めます。
自然やその中で生きる動物やインディアンを描いた絵も、細部まで楽しめるとともに、
装身具や生活用品などの正確な描写には驚かされます。
ところどころに隠されている絵も楽しむことができる本です。
酋長シアトルは、1790年頃に生まれ、1866年に亡くなっています。
この時期は、アメリカがイギリスから独立した頃で、
ヨーロッパからアメリカに移住してきた白人たちは、東海岸に到着して、
西へ西へと開拓して土地を広げていった頃です。
みなさんもよく知っている「大草原の小さな家」には、
その頃の西部開拓民の生活や苦労の様子が書かれていますね。
でも、ちょっと見方を変えてみましょう。
2万年前の氷河期の頃に長い時間をかけてアジアから移動してきて、
その土地に住みついていたインディアンにとっては、
後からやってきて自分たちの土地を占領していく白人たちは、どんなふうに映ったでしょうか?
インディアンは、昔、1000を越える部族があの広い北アメリカ各地に住んでいたそうです。
その生活は、山や草原で狩をしたり、川や湖や海で魚を獲ったり、
畑で作物を育てたりとさまざまでしたが、
共通していたのは、その考え方でした。
『人間のまわりにあるすべての自然は神であり、神聖な霊が宿っている。』
そして、彼らは、人間もその自然の一部であり、その世界に生かされているひとつの命であり、
すべての命は兄弟姉妹としてつながっていると考えていたのです。
この本に書かれている酋長シアトルの言葉は、
1850年代の中ごろ、彼らの部族が生活していたアメリカ北西部の土地を、
白人の政府がむりやり買い上げようとした時、
シアトルが部族に語り伝えられたこの考えを織り交ぜながら、自分の言葉で語ったものでした。
(ご推察の通り、彼の名前は、今も、アメリカ北西部の都市の名前として残っています。)
「わたしたちは知っている。
血が人をつなぐように、すべての存在は網のように結ばれあっていることを。
人は、このいのちの網を織りだすことはできない。
人はわずかな網のなかの一本の糸、
だから、
いのちの網に対するどんな行為も、自分自身に対する行為となることを。」
「わたしたちの土地を買い取られるならば、
わたしたちと同じに、この地を大切になされよ。」
「あなたがたの子どものまた子どもたちのために、
大地や大気や川を、いつくしみ守られるように、
そして、わたしたちが愛してきたと同じに、この地を愛されるように。」
今、私たちが取り組んでいるチームマイナス6%運動や、地球環境問題を考えるときに、
とても大切なメッセージが込められている本です。
また、「神に対するつとめ」を行うときに、
「いのちあるものを大切に」するときに、
「時間と資源を大切に」使うときに、
そして、自然のなかにいて「スカウツオウン」をするときに、
どうぞ思い出してください。
酋長シアトルのことばを・・・。