石川県能登島ガラス美術館だより 第15号

第15号
湖氷−閉じ込められた気泡− 1987年
ガラスの波に光が溶ける−涛−
心の風景 部分 1992年
1990年
ガラスと光の造形 '90−Ⅱ 部分 1990年
現在開催中の展覧会
2009年2月7日(土)∼ 6月15日(月) 休館日:3月17日(火)、4月21日(火)、5月19日(火)
企画展 現代ガラスアート・正木友梨 ―自然からの贈り物― もともと雪や氷、ガラスが好きだったと
作品を制作しています。
さんが制作時から構想していた特定の方向
語る正木友梨さんは、結婚後、たまたま催
正木さんは、板ガラスを自らの手で波形
からの照明が当てられることで、光が透過
事場で見かけたステンドグラスの実演で、
などの複雑な形に切り抜き、サンドブラス
した部分が板ガラスの色味である緑色に、
ガラスがカットされる瞬間を見て、ガラス
ト(ガラス面に人口の砂を圧搾空気で吹き
光が反射した部分は白く光り、幻想的な輝
との運命的な出会いを感じ、全くの独学で
つけて被膜していない部分を削る加工)で
きに包まれます。
創作を始めた異色の現代ガラス作家です。
ガラス面に透明、半透明、不透明の微妙な
本展では、気泡が閉じ込められた湖や波
1986年の個展でガラスのインスタレーシ
階調を与え、それらを重ね合わせることで
をイメージした作品をはじめ、ダイナミッ
ョン(場所や空間全体を作品として体験さ
静的な時間の移ろいや躍動的な動き、また
クで力強い独特の存在感を放つ作品を21
せる芸術)を発表して以来、自然をテーマ
は三次元的な立体感などを表現する独自の
点展示します。自然や宇宙がもつエネルギ
に、約30㎝四方の小品から建築と一体と
手法を確立しました。
ーを光の躍動として見せる正木友梨さんの
なった大規模なものまで、板ガラスによる
サンドブラストで削られた部分は、正木
作品をどうぞ、ご覧ください。
1
平成21年度の事業計画
平成21年度の展覧会事業
平成21年度の普及事業
●6月15日(月)まで開催 休館日:4月21日(火)、5月19日(火)
企画展 現代ガラスアート・正木友梨 ―自然からの贈り物― 5月2日(土)∼4日(月・みどりの日)は、 自然からの贈り物 をテーマに、七尾市
民の有志が展示作品に生花をします。展示室いっぱいに広がるガラスオブジェと生花
のコラボレーションにより、華やかに彩られた展示空間をご覧ください。
●6月20日(土)∼9月13日(日) 企画展 ガラスびん展−時代をうつすガラスたち−
保存や運搬に便利なものとして私たちの
生活になくてはならない“ガラスびん”。
日本では明治期にはいってからガラスびん
が本格的に製造されました。本展では、ボ
トルシヰアター館長の庄司太一氏が30年
以上にわたって収集してきたコレクション
の中から明治、大正、昭和にかけて製造さ
れたガラスびんを展示し、素朴で温かみの
あるガラスびんの魅力を紹介します。ま
た、環境問題につながる今日のガラスびん
ボトルシヰアター館内風景
事情についても紹介します。
●9月19日(土)∼10月25日(日) 平成21年度市町村立美術館活性化事業 第10回共同巡回展
北海道立近代美術館ガラスコレクション
ガラス工芸の精華―ガレから現代ま ―
地域創造の助成を受け、瀬戸市美術館、
日立市郷土博物館、はつかいち美術ギャラ
リーとの4館協同事業展を開催します。北
海道立近代美術館の所蔵品からエミール・
ガレやルネ・ラリックをはじめとする優品
約110点を選りすぐり、16世紀のヨーロ
ッパのガラス器から現代に至るオブジェま
ガラス工場風景文花器 エミール・ガレ
1900年
で、ガラス工芸の華麗な展開を紹介しま
す。美術館の全室の展示になります。
能登島ガラスコレクション展Ⅰ 色彩のパレード (仮題)
ガラスは原料に金属の酸化物を加えるこ
とで様々な色に発色します。作り出される
色数は2万色とも言われ、透明なガラスは
微妙な色彩を最も美しく表現できる素材で
す。また、ガラスは、光を透過、反射する
ため、その色は、光の具合によっても印象
が違ってきます。本展では、ガラスの発色
や着色技法などに触れながら、ガラスの色
をテーマに当館収蔵品の見どころを紹介し
ます。
●2010年3月20日(土)∼6月14日(月) 能登島ガラスコレクション展Ⅱ ガラスのかたまり (仮題)
当館の収蔵品である現代のガラス作品の
中から ガラスのかたまり をテーマに、
独特の質感と存在感をもつ鋳造によって作
られた作品をご紹介します。
どっしりとした量感がありながら重力を
感じさせず、厚みによって微妙に色の濃淡
を変化させ、また透明な内部空間に美の幻
影を生み出す
壁 張慶南 2002年
2
ガラスのかたまり
的な魅力を紹介します。
5月9日㈯、10日㈰ わくわくワークショップ
母の日に贈ろう!
グラスでお花アレンジメント 自然からの贈り物 にちなみ、5
月の母の日に合わせ、グラスにお
花の簡単アレンジメントをします。
6月27日㈯、28日㈰ わくわくワークショップ
ガラスびんで作る スノー・ドーム
ガラスびんに小物を入れてオリジナルのスノー・ド
ームを作ります。空きびんの持参はお一人一個まで。
7月18日(土)、19日(日)
わくわくワークショップ
空きびんをリメイク 海の小物入れ
ガラスびんにシー・グラスや貝殻
などを貼り付けて小物入れにリメ
イクします。空きびんの持参はお
1人一個まで。
9月22日(火・祝日)、23日(水・祝日)
わくわくワークショップ
「華麗なるガラス彫刻に挑戦!
削って作るオリジナルグラス」
展示作品にちなみ、電動ルーターという工具を用い、
ガラスをけずってオリジナルのグラスを作ります。
10月3日㈯、4日㈰ わくわくワークショップ
現代ガラス作家・池本一三さ
ん、西悦子さんによるお楽し
みワークショップ「エミー
ル・ガレもびっくり!世界に
ひとつのガラスアート」内容
の詳細は、HPやチラシに掲
載します。
11月21日㈯、22日㈰
SCENE 0212 /池本一三/2003年
わくわくワークショップ
スワロフスキービーズで作る 冬のアクセサリー
スワロフスキービーズを使
ってシックな色合いのガラ
スアクセサリーを作ります。
12月19日㈯、20日㈰ わくわくワークショップ
ガラスビーズで作るクリスマス飾り
ガラスビーズで天使などのモチーフを作り、クリス
マスを彩るリースやストラップにします。
1月16日㈯、17日㈰
わくわくワークショップ
鮮やかな紐とガラス玉で作る 吉祥結び
中国伝統のおめでたい吉祥結びにガラス玉を組み合
わせ、つるし飾りやストラップを作ります。
●10月31日(土)∼2010年3月15日(月) ラスト・ダンス トゥーツ・ジンスキー
2000年
4月18日㈯、19㈰ わくわくワークショップ
板ガラスで作る押し花ペーパーウェイト
自然からの贈り物 にちなみ、板ガラスの間に梅や
桜などの花びらをはさんでペーパーウェイトを作り
ます。
の神秘
2月20日㈯、21日㈰
わくわくワークショップ
景色を楽しむ ビー玉万華鏡作り」
ビー玉をレンズにした万華鏡
を作ります。映りこんだ風景
が不思議な模様になって見え
てきます。
3月27日㈯、28日㈰
わくわくワークショップ
ガラスの器に閉じ込めよう!夢や思い出いろいろね
ガラスのかたまり 展にちなみ、ガラスの器に思い
出の写真や好きな物を入れ、透明なロウで閉じ込め
ます。
●出張&リクエスト ワークショップ
リクエストは館内で、出張は七尾市内の公共施設
で、ご都合にあわせたワークショップを実施しま
す。①実施期間:10月∼3月 ②受付人数:7名以
上∼約40名 ③メニュー:ガラス彫刻、絵付け、ガ
ラスモザイクの貼り付け ④要予約:実施月の1ケ
月前までに
●イベントの開催
展覧会の内容にあわせたイベントやガラス素材に
親しんでいただくためのイベント、市民参加型のイ
ベントなどを、年間通じて開催します。詳細は、展
覧会チラシやガラ美通信、HPにて随時ご案内しま
す。
●ギャラリートーク開催
当館では、各展覧会で定期的に作品解説を行って
おりますが、お客様のご要望にあわせた展示解説、
概要説明もお受けしています。ご利用を希望する方
は、事前に電話にてお申し込み下さい。
平成20年度の事業報告
平成20年度の主な展覧会事業
平成20年度 ガラス美術館の足あと
●特別展 藤田喬平 雅の夢とヴェニスの華 会期:2008年3月8日(土) ∼ 5月11日(日) *休館日4/15(火) 入館者数:14,363人
日本ガラス界をリードし、ガラス芸術とガ
ラス教育の両面において貢献してきたガラス
作家藤田喬平氏(1921−2004年)。本展で
は、初期の流動ガラス、琳派の装飾様式を彷
彿とさせる「飾筥」の連作、ヴェニスで制作
した花器や茶道具、そしてダイナミックなオ
ブジェなど約150点を展示し、1964年から
2004年まで藤田氏の40年間の足跡を追いま
した。藤田氏が表現する色彩豊かなガラスの
世界に、多くの来館者が魅了されました。
●企画展 びいどろ・ぎやまんー江戸時代の和ガラスの粋と美ー 会期:2008年7月19日(土) ∼ 9月29日(月) *会期中無休 入館者数:16,527人
江戸時代末期、江戸で切子を広めたガラス
問屋の加賀屋の祖が、能登半島出身者であっ
たことから、能登半島地震の復興を記念して、
神戸市近郊で所蔵されている江戸時代のガラ
ス器約100点を展示しました。
江戸時代のガラス器は、現在のクリスタル
ガラスの倍の鉛成分を含む特殊な鉛ガラス
でできていました。 びいどろ は、ガラス生
地の色が薄緑を帯びたもので、 ぎやまん は、
無色透明なものを意味したといわれています。
展示品の中には、朝顔の形を杯にした薄吹
4月 ギャラリートーク開催
ワークショップ 飾りビン作り
5月 収蔵品展Ⅰ 巨匠たちのガラス彫刻 始まる
ギャラリートーク開催
ワークショップ 初夏のアクセサリー作り
6月 ミニギャラリー
ガラスと花 開催
フラワーアレンジ
メント 開催
ギャラリートーク
開催
ワークショップ オリジナル花瓶作り
7月 企画展 びいどろ・ぎやまん―江戸時代の
和ガラスの粋と美― 始まる
ワークショップ
ガラス絵付け
模擬結婚式
総合学習による美術館の
調査・学習
(御祓中学校生徒)
8月 トンボ玉デモンストレーション開催
神戸市立博物館主幹学芸員岡泰正氏による
公開講座開催
ギャラリートーク開催
透明おもちゃで
遊ぼう 開催
9月 ワークショップ
ガラス彫刻
10月 収蔵品展Ⅱ 中国清朝のガラス工芸 始まる
ギャラリートーク開催
ワークショップ アジアン結びストラップ作り
出張ワークショップ1回開催
NHK全館撮影
(12/3NHK教育
放映予定)
きの酒器や、複雑で緻密な文様を棒状の工具
で丹念に手彫りした豪快な切子の鉢などがあ
り、涼しげで洒落た意匠に見入るお客様がた
くさんいらっしゃいました。
平成20年度の主な普及事業
●文化庁平成20年度芸術拠点形成事業(ミュージアムタウン構想の推進)
みてふれて!中学生のためのとっておきガラス工芸体験
会期:2009年1月下旬∼3月上旬
能登島ガラス美術館、有限会社能登島ガ
ラス工房、七尾市立能登島中学校が協力し、
地域の子どもたちに本格的にガラス工芸を
11月 ギャラリートーク開催
ワークショップ アジアン結びアクセサリー作り
出張ワークショップ4回開催
リクエストワークショップ2回開催
12月 イベント クイズでめぐる美術館 開催
ワークショップ クリスマス飾り作り
出張ワークショップ3回開催
リクエストワークショップ1回開催
NHK教育 ミューズの微笑み-ときめき美術館- 放映
1月 文化庁 平成20年度芸術拠点形成事業
(ミュージアムタウン構想の推進)
『みてふれて!中学生のためのとっておきのガラス工芸体験』開催
ギャラリートーク開催
ワークショップ
ちぎり絵
サンドイッチ作り
楽しんでもらうことを目的に行いました。
今回が初めての試みでしたが、子どもたち
からは授業を通じてガラスに対する新たな
発見や感動を得たとの感想があり、まずは
事業の第一歩を踏みだしました。
対象/能登島中学校1年生29名
内容/サンドブラスト技法を用いた作品鑑
賞、作品制作
●出張ワークショップ
市内の子供会や公民館活動に浸透しつつ
ある出張ワークショップ。今年度は保育園
からの要請が多数ありました。左記の写真
透明おもちゃで遊ぼう 開催
2月 企画展 現代ガラスアート正木友梨 -自然か
らの贈り物- 始まる
ギャラリートーク開催
ワークショップ アロマキャンドル作り
3月 イベント 文化庁 平成20年度芸術拠点形成
事業(ミュージアムタウン構想の推進)
『みてふれて!中学生のためのとっておきの
ガラス工芸体験』中学生の作品展示
ギャラリートーク開催
ワークショップ 自然のアートグラス作り
出張ワークショップ1回開催
リクエストワークショップ1回開催
自衛防災訓練
は、 モザイクガラスを貼るフォトフレー
ム作り
です。保育士が補助する事で園児
でも簡単に出来るメニューです。
ラスがきれい
一人で出来た
青いガ
と歓声を
あげながら作り、出来上がったフォトフレ
ームに満足気でした。
3
所蔵品の紹介
黄色朝珠
19世紀 清朝 周長155.0㎝
朝珠とは、礼服の上に身につける装
身具のことです。清朝の皇帝の肖像画
には、皇帝が朝珠に手を添えて描かれ
ているものがいくつか見られます。朝
珠は、珊瑚、翡翠、瑪瑙、琥珀、水晶、
ラピスラズリ、トルコ石などの貴重な
天然石の玉やガラスなどで作られ、階
級や儀式により、色や材質が厳しく定
められていました。
この朝珠は、黄色い珠がガラス製で、
その他の珠は、天然の玉と思われます。
中国清朝では、ガラス玉は、高価で貴
重な玉の替りとして用いられることが
多く、玉の質感に近づけるように制作
され、玉に準ずる美しい宝として扱わ
れたようです。
朝珠の身につけ方は、最も長い垂れ
飾りを背中に下ろし、その左右につい
ている3本の垂れ飾りを胸に下げ、大
きな輪を一連にして首から腰のあたり
まで垂らします。胸前に下ろす3本の
垂れ飾りは、男性は左胸に2本、右胸
に1本垂らし、女性は左右反対の本数
を垂らすことになっています。
珠の数と配置には、定められた様
式があります。首に掛ける珠は、丸
珠27個ごとに大玉が1個入り、丸珠が
全部で108個、大玉が4個連ねられま
す。108という数は、一年の12ヶ月、
24節季、72候を合わせた数を意味し、
大玉は、四季を象徴しています。3本
の垂れ飾りは、それぞれ10個の珠が
連ねられ、一ヶ月の上旬、中旬、下旬
を表しています。
ショップ&カフェ情報
ミュージアムショップ G LASS S ILICA
レストカフェ 玻璃
ショップの名前“シリカ”とは、ガラスの原料を意味する言葉。店内はガラス
アイテムでいっぱいです。
海と庭園が一望できます。四季折々の
風景を眺めてみてはいかが。
スタッフに聞いた
おすすめ商品
正木友梨さんの
ガラス
企画展のため、
特別に制作され
た限定商品で
す。花器、また
はオブジェとし
て使えます。
¥43,000− 内田大輔さんのガラス
*席数:35席 *ラストオーダー:閉店の30分前まで
スタッフに聞いた
おすすめメニュー
松浦あかねさんのガラス 白玉もなかソフト
女性らしい
デザインと
柔らかいフ
ォルムが作
家自身のイ
メージと重
なります。
日常使ってみたいキレイな色使いの
商品です。ロックグラス、ぐい呑
み、一輪挿しなど多種多様取り揃え
ております。
¥3,500−
一輪挿し¥1,365−∼花器¥9,450−
¥530−
サクサクもなかに
ソフトを包み、白
玉と餡を添えた
“和・スイーツ”
です。3種類(抹
茶、黒ゴマ、紫イ
モ)の中から選べ
ます。
インフォメーション
≪入館料≫
個人(高校生以上 800円
団体(20名以上) 700円
中学生以下
無料
*喫茶室、ショップのある棟は、入館が無料です。
*各種割引きについては、直接お問合せください。
≪休館日≫
毎月第3火曜日(祝日の場合翌日休)
年末年始(12月29日∼1月1日)
展示替え期間
≪開館時間≫
午前9時∼午後5時 *入館は閉館30分前まで。
(12∼3月は午後4時30分で閉館)
*喫茶室、ショップの入店も同じです。屋外庭園
は、閉館後に閉園します。
≪交通案内≫
自動車で:能登有料道路徳田大津JCTを
経由し、能越自動車道田鶴浜料金所から
約25分。
電車・バスで:金沢駅から和倉温泉駅まで
特急電車で約1時間。駅前からのとじま
臨海公園行きバスに乗車約20分。美術館
*お出かけの際は、直接、お問合せいただくか、
前下車すぐ。
当館のHPでご確認ください。
飛行機で:能登空港からふるさとタクシー
*ショップ、喫茶室の営業も美術館と同じです。
で約1時間30分。(1,300円)
4
石川県能登島ガラス美術館だより
第15号 平成21年3月発行
編集・発行
石川県能登島ガラス美術館
〒926-0211
石川県七尾市能登島向田町125-10
TEL(0767)84-1175
http://www.city.nanao.lg.jp/glass/index.html