現在の小動物に対する積極的抗がん治療イペットS（タヒボ含有）の担癌犬への臨床効果について藤田道郎1)、島倉秀勝1)、弥吉直子1)、谷口明子2) 長谷川大輔1)、織間博光1) 大川　博3)、安達　実4)、畠中平八4) 外科療法化学療法 1)：日本獣医生命科学大学、2)：ヤマザキ動物看護短期大学 3)：　（株）スケアクロウ、４）：　（株）ウェルネス・アドバンス放射線療法第四の抗がん治療法免疫療法第四の抗がん治療法免疫療法特異的免疫療法ガン抗原ワクチン非特異的免疫療法活性化リンパ球、インターフェロン OK-432、十全大補湯非特異的免疫療法健康補助食品アガリーペット、アガリーペット・サメ軟骨 D-フラクション、etc 健康補助食品を担癌動物に投与するにあたり、重要なポイントは？・in vitroや in vivoによる基礎的検討で腫瘍に対する直接的効果and/or間接的効果があること・嗜好性が良く、服用を動物が嫌がらないこと・自然発生の担癌動物に効果があること 1 イペットS（タヒボ含有） (1錠150mg、丸薬型、直径5mm、高さ3mm）原料：南米ブラジルに生息するノウゼンカズラ科のタベブイア・アベラネダエという樹木の外皮と木質部に挟まれた7mm程度の内部樹皮。作用・発ガンプロモーション阻害作用 (in vitro) (Ueda,S., et al., Phytochemistry 36：323-325,1994) ・腫瘍細胞への直接（アポトーシス誘導）作用と血管新生抑制作用、加えて正常末梢リンパ球にはそれら両作用は見られなかった。 (in vitro) (海老名ら, Biotherapy 12：495-500,1998) ・貪食機能を有する好中球、マクロファージの抗酸化作用を低下させ、リンパ球の細胞性免疫機能を亢進する働きがあり、両作用により疾病の治癒を早める可能性有り。 (in vivo) (津曲ら, 小動物臨床 26：375-380,2007) 腫瘍細胞に対して直接的効果と間接的効果を有する!! イペットS（タヒボ含有） (1錠150mg、丸薬型、直径5mm、高さ3mm）使用経験・Bacowsky,Hによるin vivo検討 ①病状および病期が異なる癌患者12例を対象としたタヒボエキスのQOLに対する影響（摂取30日目、120日目に評価） →身体的および精神的状態が改善（J.New Rem. & Clin. 55：1772-1783 2006) ②手術不能な高度進行肝肉腫患者におけるタヒボ30gエキスの連日経口摂取（摂取前、30、60、90、120、150、180日目に評価 →腫瘍マーカーの高値が低下（J.New Rem. & Clin. 55：1784-1792 2006） ③転移性進行気管支癌患者において化学療法を併用したタヒボ30gエキスの連日経口摂取（摂取前、30、60、90、120、150、180日目に評価 →腫瘍マーカーの高値が低下（J.New Rem. & Clin. 55：1793-1801 2006）検討・１今回の目的自然発生した担癌犬に対する本食品の嗜好性、抗腫瘍効果、血液検査所見、生活の質(QOL）について検討。供試動物：病理組織学的あるいはMR画像的に腫瘍と診断された犬51頭（年齢－1～13歳、平均9.4歳、中央8歳）（体重－2.15～37.8kg、平均15.1kg、中央12.9kg）腫瘍の内訳：鼻腔内腫瘍(15)、口腔内腫瘍(9)、軟部組織肉腫(5) 肥満細胞腫(5)、脳腫瘍(5) 肛門嚢アポクリン腺癌（腰下リンパ節転移）(3) 胸腺腫(2)、リンパ腫、皮膚扁平上皮癌、甲状腺癌炎症性乳ガン、左前肢肉球メラノーマセルトリー細胞腫、前立腺癌各1例給与量：体重5kg未満－1錠、5～10kg未満－2錠 10～20kg未満－4錠、20～30kg未満－6錠、30kg以上－8錠他の治療：制限無し検討項目：嗜好性、抗腫瘍効果、血液検査所見（一般、血液化学） QOLの評価 2 検討・１結　果検討・１結　果嗜好性：全頭において食餌に混ぜても気にすることなく食した。　血液検査：一般血液検査および血液化学検査は服用前後において著しい変化は見られなかった。 QOLの評価と抗腫瘍効果全51頭中、30日間以上継続して服用した46頭について評価服用期間：30～281日、平均－98.9日、中央87.5日再発または再増大(－) 再発または再増大(＋) 転移(＋)：4頭(8.7%) 転移(＋)：3頭(6.5%) QOLの評価再発または再増大(－)、転移(－)の34頭は良好。残りの12頭は末期に至るまでは良好再発または再増大(＋) 転移(－)：5頭(10.9%) 再発または再増大(－) 転移(－)：34頭(73.9%) 検討・１小　括・嗜好性は問題ない。・血液学的な異常は問題ない・QOLについては維持が期待できる・抗腫瘍効果は他の積極的治療との併用なので評価は困難検討・２各開業動物病院での使用例についての報告 3 各開業動物病院での使用例についての報告・２各開業動物病院での使用例についての報告・１・Ａ病院イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、12歳、雌、体重16kg 乳腺癌（肺転移有り）（全身状態悪化）を手術せずに服用。バイトリルとバキソ併用。　→服用開始10日後時点で全身状態改善腫瘤はソフトボール大からテニスボール大へと退縮腫瘤表面の炎症が軽減・B病院パグ、14歳、去勢済雄、体重7.2kg 下顎骨骨肉腫を3回手術後、肺転移による呼吸促迫が見られ、服用開始。他の併用薬なし。 →服用開始1ｶ月後時点で状態安定。患部の再発は見られず。・C病院雑種犬、13歳、不妊済雌、体重15.5kg 細胞異型が強い平滑筋肉腫（膣発生）。術後服用開始。他の併用薬なし。 →服用開始約70日後時点で局所再発、遠隔転移見られず。嗜好性も良く、ｵｰﾅｰは満足とのこと。・D病院犬、8歳、不妊済雌、体重16.6kg 頭部に肥満細胞腫GⅢ（ステージⅢ）。一時増大時にプレドニゾロン併用、その後本食品単独。 →服用開始約60日後時点でQOL良好、頭部のMCT現在まで増大傾向見られず。転移も見られず。各開業動物病院での使用例についての報告・まとめ使用施設病院および使用症例数 10病院19症例組織学的または挙動的に悪性腫瘍－15例良性腫瘍－1例悪性か良性か不明な腫瘤－3例他の積極的治療を行わず、本食品のみ5例検討・２小　括・嗜好性は問題ない。・QOLについては維持あるいは改善が期待できる。・抗腫瘍効果についても期待できる。 →明らかな抗腫瘍効果：5例手術後、本食品を服用8例 →再発、再増大あるいは転移（－）：8例積極的治療との併用で本食品を服用1例 →再発、再増大あるいは転移（－）：1例 QOLが改善あるいは良好に維持：14例（/15例中） 4 総　括健康補助食品を担癌動物に投与するにあたり、重要なポイントは？・in vitroや in vivoによる基礎的検討で腫瘍に対する直接的効果and/or間接的効果があること →腫瘍細胞にアポトーシス誘導（直接作用）と血管新生抑制作用や細胞性免疫を活性化（間接作用）を併せ持つ。・嗜好性が良く、服用を動物が嫌がらないこと →犬においては嗜好性は問題が無く、服用を嫌がらない。・自然発生の担癌動物に効果があること →①症例数は少ないが、本食品のみで腫瘍退縮が見られた。 ②術後の本食品のみの服用で再発、再増大あるいは転移を抑制している可能性。 ③QOLの改善や維持が期待できる。イペットS（タヒボ含有）は担癌犬に対する健康補助食品として有用ではないかと考えられる。今回、ご協力いただいた動物病院一覧（順不同） D&C獣医科クリニック（茨城県牛久市）ななお動物病院（石川県七尾市）ハート動物クリニック（愛知県豊橋市）今田動物病院（大阪府交野市）牛浜ペットクリニック（東京都福生市）空港通りの動物病院（新潟県新潟市）あさい動物病院（新潟県新潟市）久松動物病院（神奈川県横浜市）にっぱし動物病院（東京都立川市）姫動物病院（福井県福井市）深謝致します。 5