アンゴラ

Highlight
ハイライト
2
地雷除去機の新しい展開
「平和な大地」
の復興に向け、
地雷除去機がアフリカ大陸で始動
しました。この訪問で、アンゴラでは対人地雷のみな
運転指導とメンテナンス指導を行いました。また、納
らず大型地雷や仕掛け地雷もカンボジアなどに比べ多
入後も現地のトレーニングセンターで技術指導を溶接
く、開発中の新型対人地雷除去機の適用が必要なこと
補修方法も含め入念に行いました。現在は、道路工事
が分かりました。
の前工程としての地雷除去作業などに地雷除去機が使
大型地雷(左)と仕掛
け地雷(右)
。仕掛け
地雷は、トリッピン
グワイヤを引っ掛け
る と 爆 発 し 700 個 の
鋼球が飛び散る。
日本人には遠くてなじみの薄いアフリカ。そんなアフリカの国々では部族間対立などで地雷汚染が広がっています。山梨
用されています。
日立建機雨宮社長は、その汚染状況に対応できる地雷除去機を開発してきました。そして、2007 年 8 月に新型対人地
雷除去機をアンゴラに2 台納入。地雷除去機がアフリカ大陸で稼動を開始しました。
山梨日立建機での技術指導
ます。1999 年にオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)が
今回のアンゴラへの納入で 56 台の地雷除去機がカ
発効されましたが、未加盟国も多く地雷は使用され続
ンボジア、ベトナムなどの世界 6 カ国で稼動すること
けているのが実情です。
になりました。今後も地雷被害の撲滅に向けて、納入
機の順調な稼動のサポートを行うとともに、アフリカ
アフリカの地雷汚染
大型地雷による重機被害
ピラミッドでなじみのあるエジプトは、第2次世界大
戦で激戦が繰り広げられた北西部の砂漠地帯と中東戦
争の舞台になったシナイ半島などの東部地域を中心に世
界で一番多い約2,300 万個の地雷が残されていると推定
されています。また、アフリカのその他の国々でも、モザ
ンビーク、スーダン、エチオピア、ソマリアなどで部族間
対立などによる内戦が起こり、地雷汚染が広がりました。
山梨日立建機雨宮社長とアンゴラの子供たち
中でも27年間内戦が断続的に続いたアンゴラは、約700
万個の地雷が残されていると推定されています。
使用され続ける地雷
地雷は、戦車の防御兵器として開発されました。第 2
次世界大戦中は 3 億個以上の地雷が都市、陣地の防衛
エジプト
エル・アラメイン
(第2次世界大戦の激戦地)
シナイ半島
(中東戦争の舞台)
る小型地雷として対人地雷が開発されました。そして、
スーダン
ソマリア
エチオピア
けない地雷除去機の開発を目指してフレールハンマ式
の新型対人地雷除去機の開発に取り組んでいました。
2006 年に行ったカンボジアでの現地試験では、大型地
雷の爆発に対しても耐久性があり、約2∼ 3 時間で簡単
な溶接補修をすれば連続して使用できることを確認し
ました。この成果とそれまでの納入実績により、フレー
ルハンマとロータリカッタ(従来タイプ)の 2 種類のア
タッチメントが装着可能な対人地雷除去機を 2 台アン
ゴラ政府より受注することができ、2007 年 8 月にアン
ゴラに納入しました。アンゴラ政府の社会復興大臣な
Column
地雷除去プロジェクトから
生まれる子供たちの国際交流
アンゴラでの技術指導期間中、山梨日立建機雨宮社長
は現地の小学校や地雷被害者のリハビリセンターを訪れ、
日本の小学生たちから託された絵や折り鶴を届けました。
また、帰国後は、アンゴラの子供たちからお返しに贈られ
た絵を日本の子供たちに届ける一方、アンゴラの実情をビ
デオや写真で紹介しました。
雨宮社長は、地雷被害の実情を子供たちに伝え、平和の
大切さを訴えるために日本中の小・中学校を中心とする講
演活動を意欲的に展開しており、2007 年度の回数は 64
ストレーションを行い絶大な評価を得ました。
回に達しています。未来を担う世代に、平和について考え
てほしいというその願いは、そのまま日立建機グループの
納入式典に先立つ 5 月、INAD(国家地雷除去院)から
メッセージでもあります。
派遣された 7 名のアンゴラ人技術者に山梨日立建機で
ベトナム戦争の時にこの対人地雷の使用目的が大きく
変わり、兵士を殺すのではなく大怪我を負わせ、その
などの地雷汚染国に地雷除去機を納入していきます。
2002 年から大型地雷が爆発しても大きな損傷を受
どが出席した納入式典では、対人地雷除去機のデモン
用として使用されたとされています。また、この防衛
用の大型地雷の除去防止のために、その周辺に敷設す
現地技術指導
アンゴラ
モザンビーク
救護も含め敵の戦力ダウンを図ることに対人地雷が使
用されるようになりました。また、対人地雷は安価で
14
その使用が容易であることから、数多くの内戦や紛争
アンゴラに新型対人地雷除去機を 2 台納入
で使用され世界に地雷の汚染が広がることになりまし
アンゴラは、アフリカ大陸の南西に位置しダイヤモ
た。現在、世界のおよそ 90 の国や地域に約 1 億 1千万
ンドなどの多種多量の鉱物資源を産出します。近年の
個の地雷が埋められていると推定されています。地雷
資源ブームからアフリカの中でも最も発展が期待され
は戦争が終わっても被害者を待ち続けますので、その
る国です。
被害は子供を含む非戦闘員にも及びます。現在でも毎
山梨日立建機雨宮社長は、内戦が終結した 2 年後の
年およそ 2 万人の人が被害に遭っていると言われてい
2004 年にはアンゴラを訪れその地雷汚染状況を把握
(左)
アンゴラの小学校訪問
(左下)
リハビリセンター訪問
(右下)
山梨市立山梨小学校訪問
対人地雷除去機デモンストレーション
日立建機グループ CSR 報告書 2008
15