「人と悪霊の雑婚22」 (Autosaved)

「人と悪霊の雑婚」
~創世記連続講解説教 22~
創世記 6 章 1~8 節
序論
1) 第二のトルドットは 6:8 で終わる
 5 章からアダムの記録が続いていた
 10 代目のノアまで続く・洪水の世界背景まで
 5 章は、アダムの男系の子孫をたどっている
 6 章 1~8 は、アダムの女系子孫の堕落について
2) 悪霊の幽閉場所について
① シオール・ハデスの一角に悪霊専用の住処がある
② アブソス(底知れぬところ{新改訳})
 一時的な幽閉場所・出入りは可能
 通常の悪霊の幽閉場所
 黙示録 9:1,2,11、ルカ 8:31(レギオンの懇願した場所)
③ タータラス(暗闇の穴{新改訳})
 永遠に幽閉しておく場所
 創世記 6 章の悪霊のみが幽閉される特別な場所
 メシアの再臨後、白い御座の裁きに直行して火の池に投げ込まれる
本論
Ⅰ.人の女性と悪霊の雑婚(2)
① 多くの場合の解釈
 「神の子ら」をセツの家系の男性、「人の娘たち」をカインの家系の女性と解
釈して、信者・不信者間の人間同士の結婚であるとする
② これに対する反論
 セツ家系の男性にも不信者が、カイン家系の女性にも信者がいたはずである
 文脈をみると、6 章前半は洪水が起こらねばならない必然性を説明しようとし
ている。通常ではありえない非常事態があり、洪水という未曽有の審判が下っ
たと考えるべき
 ヘブル語の「神の子」が意味していることを歴史的に振り返るべき
③ Bneiha-Elohim(神の子ら)とは、OT で常に天使である
 つまり、2 節は堕天使と人間の娘との雑婚を意味している
 「力あるものの子ら」(ベネイ・エイリム)も天使。詩篇 29:1
 「いと高き方の子ら」(ベネイ・エルヨン)も天使。詩篇 82:6
 「神の子ら」も天使。~アラム語。
 良い天使も、堕天使もそう呼ばれる。ヨブ 1:6、38:7
 神のより直接創造されたものは「神の子」と呼ばれている
④ NT では、天使以外にも「神の子」と呼ばれる対象がある
 アダム ルカ 3:38
 信者
ヨハネ 1:12
 イエス様 「ひとり子」~かけがえのない、という意味で創造されたのでは
ないユニークさを現している。
⑤ 古来からのユダヤ人による解釈でもある
 BC.250 年の 70 人訳は「神の天使たち」と翻訳している
 ヨセフス「ユダヤ古代史」で「天使」と翻訳
 エノク書や死海文書も「天使」
 タルグムも「天使」であると説明する
 教会教父時代のオーガスチンとクリソストムスが 6:2「神の子ら」を人間で
あるとの解釈を始めた
⑥ 天使が結婚できるのか、という難題について
 「天にいる天使は結婚しない」(マタイ 22:30)は、良い天使たちのことで
あり、ここの 6:2 は、堕天使である
 人間も地上では結婚するが、天においてはしない
 天使の性別について
 常に若い男性として現れている。マルコ 16:5~7
 天使は霊体を有している
 天使は天使を産む出産能力はないが、ここで超人間的なものを出産
 それがネフィリム
⑦ サタンが雑婚政策を取った理由
 「女の子孫」(3:15)誕生を阻止したかった
 ネフィリムには出産能力がなく、これが広がると地上からは人が絶やされる
ことになる。ロバと馬が掛け合わせてラバとなる例。
Ⅱ.神の反応(3)
① My spirit shall not strive with man forever.
 Strive:yadon:努力する、取り組む~聖書全巻でただ一度だけ出現する語
 二通りの翻訳が可能
 語幹 din からと解釈するなら、罪を抑え込むために「努力した」~エノクや
ノアの警告にもかかわらずに、神の聖霊の働きを表していると翻訳可能。
 語幹 danan からと解釈するなら、「とどまる」~神が人に吹き入れたいのち
の息はとどまらないと翻訳可能(新改訳の場合)。
② 「人の弱いは、120年にしよう」
 洪水までの期間を120年とした
 人が悔い改めることを期待した神の忍耐の時間
Ⅲ.雑婚の結果(4)
① ネフィリム(へ)を70人訳は Gigentes と訳した
 本来のヘブル語の意味は「堕落したもの」
 King Games Versions は、Giants と訳した~「巨人」との誤解が始まった
 Gigantes のラテン語対訳は Titans~半分は神、半分は人の超人
 英語訳にされる時にもとの意味が損なわれ、巨人との理解が広まった
 70人訳は適正。彼ら自身が堕落し、さらに地上を堕落へと追いやった
 「勇士」「名のある者たち」~サイズが大きいのではなく、その能力や賜物
が身体的にも知的にも超人であった
② Were in the earth in those days
 洪水前に存在していたが、今や存在はしていない、と教える聖句
 約束の地へスパイに行った10人の報告は嘘のものである(民数13:33)
③ 創世記とギリシャ神話
 創世記は歴史的な記録であり、ネフィリムについては否定的である
 ギリシャ神話では、創世記の物語を基として、悪霊を善人、そこから生まれた
超人をヒーローとして肯定的に扱っている
④ 新約聖書との関連
 Ⅱペテロ2:4~5
「暗やみの穴」とはタータラス。堕天使をそこに永久に幽閉した。
その時は洪水と関連している。
 ユダ6~7
「暗やみの下」とはタータラス。
大いなる日の裁きとは、「白い御座の裁き」のこと。
ソドムとゴモラの「不自然の肉欲」とは同性愛であり、堕天使と人間の女性の
罪も同様の性的な罪である。
Ⅳ.神の介入(5~7)
① ご覧になられた神
 外的な罪~人の悪が増大し
 内的な罪~その心に計ることがみな、いつも悪いことだけ
 「計る」とは「ヤツァー」で「形造る」(創世記2:8)と同じ語
 人はデザインされて造られたが、その賜物を悪をデザインするために用いた
② 悔やまれた神
 人の視点から悔やまれたように見える~Ⅰサムエル15:11
 神の視点からは悔いることはない~Ⅰサムエル15:29
 神の人に対する行動は、人の従順か不従順化で異なるものとなる
 約束の地へスパイに行った10人の報告は嘘のものである(民数13:33)
③ 神の決意
 人、家畜、はうもの(野獣のこと)、鳥は「血の面から消し去ろう」
 魚は例外~洪水によるさばきゆえに
Ⅴ.ノアの信仰(8)
① 「しかし、ノアは主の好意を得た」(新共同訳)
 周囲の人たちの様な悪には傾かなかった
 神はノアに一方的な恵みを与えた
② ノアの義とは何か
 ノアに罪がなかった、というものではない
 神の言葉を信じることからの義~へブル11:7
結論
信仰による義を相続するために
1) 洪水は裁きとしての必然性があった
2) ノアの信仰の行為(箱舟建造)は120年間、人々に警告を与えた
3) ノアが義人とされたのは、己の正しさゆえではなく、神の恵み
4) ノアはレムナント(残れるもの・真の信仰者)の型である
5) 私たちもまた、「主の前に恵みを得た」のである