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平成22年度図書館職員等研修講座(児童サービス研修)分科会記録
日時:平成22年9月10日(金)
会場:岡山県立図書館多目的ホール他
第1分科会∼絵本∼
Aグループ
『まめうしくんとものまね』
お話を聞くと言うよりは、参加して一緒に楽しむ本。
『みみかきめいじん』
ことばのリズムが良い。透明人間が「誰かな?」という期待を込めて見られる。
『くさをはむ』
穏やかでほんわかしているが、時間と場所がバラバラしていたり、細かいつぶやきの表
現が難しく読み聞かせには使いにくい。
<まとめ>
「あきやまただし」「かがくいひろし」の2人の作家の本は、子どもの反応が良く読み聞
かせによく使われる本。読み手も聞き手も体全部を使って一緒に楽しむことができる。
絵本の読み聞かせの流れの作り方。子どもが飽きてきたら、子どもが惹きつけられる本
を選ぶ。司書(図書館)が学校に行く時には、先生からのリクエストにも応えるが、プ
ラス季節感やテーマを入れて色々な本を持っていくが、目の前の生徒に合わせてお話を
選ぶ。ストーリー展開がハッキリしているものは読みやすい。物語についていけない子
には科学絵本をあえて持ってくる。(意識して入れると良い)
Bグループ
『しろいかみのサーカス』
紙という身近なものの中に色々な表情がある。特に紙を丸めて石を乗せるページは、自
分もやってみたい!という興味を持たせる。
『あいうえカメレオン』
写真をふんだんに使い、カメレオンの生態について詳しくわかりやすく描いている。カ
メレオンの生命力が感じられ、図鑑よりも使いやすいのではないか。
『ひみつのカレーライス』
子どもの願望をそのまま表現している。気むずかしそうなお父さんが真剣に面白いこと
をするユーモア。食べ物が美味しそうに描いてある。
『うちゅうたまご』
イラストレーターでもある著者独特の色彩感覚の絵。子どもの落書きに近い絵で、アー
ト好きの大人にも人気がある。
『まねっこでもいいから』
読み聞かせには難しい。重いテーマで軽々しく扱えない。提供の場を選ぶ。万人に読み
聞かせる本ではなく注意が必要。書いてあることは深い。
<まとめ>
絵本の中にも対象が子どもとは思えないものがある。また、読み聞かせに向くもの向か
ないものがある。向かないものの中にも、ぜひ読んで欲しいものはある。重いテーマを
扱ったものだったり、子どもが自分からは手に取りにくい装丁だったりするが、子ども
の周りにいる大人(司書や学校司書)がそれぞれの本の内容をしっかり理解し、提供の
機会を待って紹介したい。司書が自分の目でしっかりと見て、評価をすることが大切だ
と感じた。
Cグループ
評価した資料
『むかしむかし とらとねこは』
繰り返しがあり、読みやすい。読み聞かせに良く、子どもを惹きつける。
『皇帝にもらった花のたね』
米国の作者。教訓を訴えやすい。細かい絵があり、読み聞かせの後にじっくり絵を見て
もらいたい。
『ないしょのともだち』
細かな絵が可愛く、女の子が興味を持ちそう。読み聞かせよりじっくり見る本。
『きんぎょ』
少人数なら読み聞かせしたい。大人向けにも良い。金魚が所々に隠れていて、近くでじ
っくり読んで欲しい。
『かあさんをまつふゆ』
テーマが重い。高学年からは一度は読んで欲しい。お母さんの出稼ぎの話し。外国を知
るためにも読んで欲しい。親子でも読んで欲しい。手渡さないと読まない本だと思うの
で、手渡したい。
Dグループ
『ちきゅうのためにできる10のこと』
しかけ絵本で見せやすい。読み聞かせに使いやすい。テーマがハッキリしていて、かつ
身近で伝えやすい。
『考える絵本』シリーズのうち「死」「こころ」「悪」
子ども達に馴染みのないテーマを考えるキッカケになる。図書室におき、授業にも使い、
司書も薦めたい。
『少年の木』『むこう岸には』
「戦争と平和」についてというテーマがハッキリしていて薦めやすい。
『いそっぷのおはなし』
昔からあるイソップの話が、今風な絵でわかりやすく描かれている。
第2分科会∼よみもの∼
Aグループ
評価した資料
『天山の巫女ソニン』
ソニンの成長がわかる本。小学生でも読めるファンタジーと冒険の要素があり好奇心を
かきたてる内容。装丁は線書で地味で中学生には少し抵抗があるかもしれない。
ただ、そこに本があるというのではなく、司書が読んで 、「ここが良かったよ 」、「ここ
が良いんじゃない?」という出し方が出来るのではないか。
『ケニー&ドラゴン』
ドラゴンは男の子が好き。ケニーは本を良く読んでいて発想が豊かなうさぎで、問題も
平和的に解決する。
表紙の絵はインパクトがあり興味をそそる。内容も想像力をかきたて良い。
司書がよく読み込んで、コーナーにおいたり、担任や国語の先生へPRしても良い。
<まとめ>
道徳感がしっかりしていると、どんな本を読んでも良いのでは。読んで欲しいと読みた
い本は違う。
Bグループ
評価した資料
『かりんちゃんと十五人のおひなさま』
文と絵の作者が一緒なので内容と絵が合っていて良い。子どもに人気があり読みやすい。
『ギャングエイジ』
読みやすく面白いあっという間に読める。
<まとめ>
絵本から読み物への手渡しをどうすれば良いか。
学校の場合:1年生の間から図書の時間等を利用し、絵本ではない本の形態に慣れるよ
うに読み聞かせをしておく。
活字を読む練習が必要な者もいて、この場合は 、「おさるはおさる 」「ぺんぎん探険隊」
「連合マジック」等おすすめ。
予算が限られている中、利用が見込まれるものを選んでしまいがちだが、現物にあたる
ことが大切。時間がかかっても公共図書館等を利用し、しっかり読み吟味し、生徒へ手
渡ししていければ良いと思う。
Cグループ
評価した資料
『ササフラス・スプリングの七不思議』
内容は良いが、装丁が地味で子どもが取りにくい。
『水深五尋』『マルベリーボーイズ』
面白いが、子どもにとって内容が難しい。
『ウィッティントン』
読みにくい。
<まとめ>
子どもは、ゲーム的で刺激的な本を望む。
「良いけど読まれない本」と「良いかは不明だが読まれる本」のどちらを図書館に入れ
るかが検討課題である。
「良いけど読まれない本」については、クチコミ・ブックトーク・テーマ展示等を活用
し読ませる努力をしていきたい。
Dグループ
評価した資料
『園芸少年』
題名から、親近感が持てる。登場人物の描写がしっかりしていて、個性が面白く、最後
まで一貫している。登場人物それぞれの問題解決が図られている 。「友情 」「不登校」等
若い世代に共通するテーマが書かれている。作中で植物が育っていく様が、本自体に生
命観を与えている感がする。
『レッドシャイン』
作者が坪田譲治文学賞受賞で注目されているので別の作品も手に取られやすい。他の作
品とからめて紹介しやすい。テーマと装丁が合っている。
科学に興味をもっている男の子に読みやすい。人物の書き分けがしっかりしている。恋
愛が盛り込まれており、中学生が興味を持っている恋愛と恐い話しという要素にアプロ
ーチが出来る。
『雪だるまの雪子ちゃん』
装丁が行き届いている。童話的で対象を子どもに絞らない、読む者を選ばない作品。
<まとめ>
サイクルが短くすぐに借りられなくなるライトノベルの選書が課題である。
第3分科会∼科学よみもの、調べ学習の本∼
Aグループ
評価した資料
『方言と地図』
本の形が調べやすい(厚みの割に開きやすい)。方言の伝訳の流れ、地形による区切りな
どもわかりやすい。各都道府県の言葉が全ページカラーで紹介されていて分かりやすい。
『わざわざことわざ1∼4』
イラストが、使用例などでなく、言葉そのままで分かりにくい。索引はあるが、分冊さ
れていて使いにくい。解説文が長く、読みにくい。
<まとめ>
イラスト中心のノンフィクション絵本について、大人好みで作られているものが多いよ
うに感じる。イラストの方が好きな子もいるので何冊か入れたい。その世界を知るキッ
カケ「導入」として扱えば有用である。図書館(室)においては、写真のしっかりとし
たものを中心にし、イラストものも何冊か取り入れて、バランス良く構成したい。
Bグループ
評価した資料
『犬たちをおくる日』
犬の処分を通して命の大切さを知る本。日々を淡々と書いている。表紙の写真は愛くる
しく手に取りやすい。本中には処分後の犬の写真がありショッキング。
『命の教室』
やむを得ず捨てる側、獣医師を含め処分に携わる側等多角的な目線で記述されている。
<まとめ>
命・生き方をテーマにした本は、薦めたい年代からは手に取ってもらいにくい。親子で
読んで欲しい。戦争学習の授業のしめで使ってはどうか。これら大切な本をどう手渡し
ていくかが課題。
Cグループ
評価した資料
『周期表』
「目で見る元素の世界」「天文学」「月の大研究」と一緒に紹介すると効果がある。
『うみのダンゴムシ・やまのダンゴムシ』『クローズアップ大図鑑』
写真が良い。
『ホネホネどうぶつえん』
読み聞かせにも向いている。子ども達と生きものの体のつくりの話しをしながら読み聞
かせしたり、紹介したりできる。
『空気と水のじっけん』
普段は目に見えない空気が実験により見えたり感じたりできる。簡単な実験を楽しみな
がら、理解ができる本。
<まとめ>
子どもの科学の本は、最新科学や科学知識と子どもたちを結ぶ媒体になる貴重な分野な
ので、図書館員は出版されたものをしっかり探して見つけることがまず重要。そして子
ども達が楽しみにがらその本とふれ合う工夫がしたい。
Dグループ
評価した資料
『さよなら紛争』
読みやすく文中の言葉も良い。大人になるためのメッセージ指針。装丁も良く中高生に
薦めるのに合っている。心に訴える作品でぜひ子どもに読んで欲しい。本棚に置いてあ
るだけでは取られないと思うので、手渡していきたい本。
『ぼくのものがたりあなたのものがたり』
人種についてわかりやすく書いてある。人の特徴を物語として表現している。聞き手が
自分とは何だろうと考えられる本。読み聞かせにも使えそうである。年齢により受け取
り方が違うのでそれぞれの年齢で読みたい本。
『平和ってなんだろう』
内容は良い。軍隊を捨てた国コスタリカから民主主義・人権・環境について考える。子
どもに手渡したい本。先生に声掛けし、授業等で活用してもらえたら。
<まとめ>
レベルの高い本が多かった。