会社概要 - コマツ

4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 1
会社概要
会社概要
会社名
コマツ(登記社名:株式会社 小松製作所)
創立
1921年(大正10年)5月13日
本社所在地
〒107-8414
資本金
701億円 従業員数
連結 28,522名 単独 11,488名
東京都港区赤坂二丁目3番6号(コマツビル)
※資本金および従業員数は2000年3月末日現在。資本金は1億円未満切り捨て
主な事業
建設・鉱山機械、エレクトロニクス、産業機械の事業を中心に、建設・住宅
関連、運輸・物流機器、金属素材、さらに、ソフトウェア、金融、サービス
関連などの事業を展開
2000 年3月期決算(1999 年4月∼ 2000 年3月)
売上高
連結1兆 556 億円 単独 4,414 億円
※1億円未満切り捨て
本報告書について
●本報告書のデータ開示対象期間は、1999年4月1日∼2000年3月31日です。
●本報告書では、コマツ主要事業分野である建設・鉱山機械事業を中心に環境保全活動を紹介しています。なお、エレ
クトロニクス事業、産業機械事業に関しては、それぞれ独立したページを設け、その活動概要を紹介しています。
●本報告書でデータ開示の対象としている生産事業所、ならびにその表現は以下のとおりです。
コマツ生産事業所:以下の4事業所を示します。
粟津工場【特機事業本部、産機事業本部、コマツ工機(株)、コマツメタル(株)を含む】、大阪工場、小山工場
【コマツカミンズエンジン(株)、(株)アイ・ピー・エー、コマツキャステックス(株)[小山]、エキシマレーザ
事業部、コマツリマン(株)を含む】、真岡工場
コマツグループ生産事業所:上記4事業所に以下の11事業所を加えた事業所を示します。
エレクトロニクス事業本部【小松エレクトロニクス(株)を含む】
、小松ゼノア(株)
【
[立川]
[埼玉]
[郡山]の3
事業所】
、コマツ電子金属(株)
【
[平塚]
[宮崎]
[長崎]の3事業所】
、小松フォークリフト(株)
、コマツエンジニ
アリング(株)
[粟津]、コマツハウス(株)、コマツキャステックス(株)[氷見]
海外生産事業所:以下の18事業所を示します。
米州コマツカンパニー【[チャタヌガ][キャンディアック]の 2事業所】、コマツマイニングシステムズ(株)、コ
マツブラジル(有)
、コマツメヒカーナ(株)
、英国コマツ(株)
、コマツハノマーグ(株)
、コマツマイニングジャー
マニー(有)
、ファイコマツインダストリーズ(株)
、コマツインドネシア(株)
、バンコックコマツ(株)
、小松常
林建機公司、小松常林鋳造公司、小松山推建機公司、エルアンドティーコマツ(株)、アドバンスト・シリコン・
マテリアルズ(株)【[モーゼスレイク]
[ビュート]の2事業所】、台湾小松電子材料股 有限公司
海外を含むコマツグループ生産事業所:上記33事業所すべてを示します。
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 1
目次
トップメッセージ ………………………………………………………………………………………………2
コマツ地球環境憲章 ……………………………………………………………………………………………3
1 活動の概要 …………………………………………………………………………………………………4
1.1
事業活動における環境影響と保全へのアプローチ ………………………………………………4
1.2
環境行動目標と1999年度実績 ………………………………………………………………………6
1.3
環境会計 ………………………………………………………………………………………………8
2 環境マネジメント ………………………………………………………………………………………10
2.1
コマツの環境管理体制 ………………………………………………………………………………10
2.2
環境監査 ………………………………………………………………………………………………11
2.3
ISO14001 ……………………………………………………………………………………………12
2.4
教育・訓練 ……………………………………………………………………………………………13
3 自然と共存する商品、サービスの提供 ………………………………………………………………14
3.1
お客さまの環境活動へのソリューションの提供 …………………………………………………15
3.1.1 環境を保全する建設機械・技術の提供 ………………………………………………………15
3.1.2 環境改善技術 ……………………………………………………………………………………21
3.2
製品とサービスの環境負荷の低減 …………………………………………………………………22
3.2.1 燃費の向上 ………………………………………………………………………………………23
3.2.2 排気エミッションの低減 ………………………………………………………………………24
3.2.3 騒音・振動の低減 ………………………………………………………………………………25
3.2.4 環境負荷物質の低減 ……………………………………………………………………………26
3.2.5 リサイクル可能率の向上 ………………………………………………………………………27
3.2.6 バイオオイルの開発 ……………………………………………………………………………28
3.2.7 ゴムシュー履帯のリサイクル …………………………………………………………………28
3.2.8 リマン ……………………………………………………………………………………………30
4 生産における環境保全 …………………………………………………………………………………32
4.1
生産における環境保全活動 …………………………………………………………………………32
4.2
省エネルギー …………………………………………………………………………………………33
4.3
オゾン層保護 …………………………………………………………………………………………34
4.4
資源有効利用活動 「ゼロエミッション」活動 …………………………………………………35
4.5
環境に優しい生産技術 ………………………………………………………………………………36
4.6
法規制の遵守と汚染予防 ……………………………………………………………………………37
4.7
グリーン購買 …………………………………………………………………………………………38
4.8
物流における環境保全 ………………………………………………………………………………39
4.9
海外生産事業所における取り組み …………………………………………………………………40
5 エレクトロニクス事業における環境活動 ……………………………………………………………42
6 産業機械事業における環境活動 ………………………………………………………………………44
7 企業市民としての社会貢献 ……………………………………………………………………………46
8 生産事業所別環境データ ………………………………………………………………………………48
環境への取り組みの歩み ……………………………………………………………………………………50
主要関係会社 …………………………………………………………………………………………………50
読者アンケート ………………………………………………………………………………………………51
環境報告書に関する第三者審査報告書 ……………………………………………………………………53
1
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トップメッセージ
1991年に、私たちは「地・求・人です KOMATSU」というコーポレートメッセージを発表しました。このことばに
は、コマツが世界の人々と地球から求められる企業でありたいという思いが込められています。
これを実現するためにコマツは、「地球環境」を経営の根幹に関わる問題としてとらえ、自らの事業活動はもとよ
り、お客さまの環境問題に対して、創造的で品質の高いソリューションを提供します。
コマツの主力商品である建設・鉱山機械は、資源開発、社会インフラストラクチャーの整備など、豊かで快適な生活
を実現するために使われています。しかし、一方で建設・鉱山機械が製造・使用・廃棄される過程で環境に負荷を与
えることも事実です。したがって、これらの環境負荷の低減をはかっていくことは、社会の一員として当然のことです。
私たちは、まず、環境負荷の低減をめざすお客さまの環境活動に対して、創造的なソリューションを提供すること
を大切な責務と考えています。これによって、豊かで快適な生活空間の創造への寄与と同時に、美しい自然環境を未
来へ伝えていくことに貢献できる企業であり続けたいと思っています。
また、技術開発の観点からは、環境問題の効率的な解決方法は問題の原点に立ち返ることが重要です。そのことに
より、従来ややもすると余分な費用のかかることだと思われていた環境対策を、経済的にも合理性のある技術ソリュー
ションとして提供できるようになるはずです。このような考え方でチャレンジすれば、環境問題が技術革新を促す触
媒になると同時に、コマツの将来の事業成長の原動力になると確信しています。
環境への対応の 3 番目は生産における環境保全活動です。大気や土壌、水は生産活動の影響を極めて受けやすい存
在です。そのため、
「できることからやる」のではなく、「やるべきことをすべて」に積極的に取り組んでいます。
これまで私たちは、アニュアルリポートをはじめ、さまざまな場面で環境活動について発表してきました。本年度か
ら年次報告書として「環境報告書」を発行し、毎年定期的に報告します。研究開発や生産活動、マーケティング、事
業開発などさまざまな活動のなかでの環境への取り組みの実績と将来めざす方向を具体的に明らかにしていきます。
第1号となるこの報告書では、これまでの活動をまとめると同時に、1999年度の活動を中心に報告します。
1999年度の主な取り組みと成果は以下のとおりです。
●「環境を保全するための建設機械の開発」
●「環境マネジメントシステムの構築」
●「中期環境技術目標の設定と対応」
●「省エネルギー目標の設定と対応」
●「ゼロエミッションへのチャレンジ開始」
本年度の報告書の作成に当たっては、関係者で多くの議論を重ね最善の努力を行い、また第三者による審査を受け、
信頼性と透明性の確保に努めました。
コマツは21世紀に向けて自らの環境問題の解決と、お客さまの環境問題解決のために今後ともいっそうの努力を継
続します。この報告書に対するみなさまの率直なご意見をお待ちしています。
2000年5月
2
株式会社小松製作所
株式会社小松製作所
代表取締役社長
コマツ地球環境委員会委員長/専務取締役
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 7:11 PM ページ 3
コマツ地球環境憲章
地球環境憲章
コマツは様々な商品やサービスを社会に提供することを通して、
人々の豊かな生活の実現に貢献してきました。
しかし、世界は工業化の進展と人口の増大により地球規模の環境問題に直面しています。
人類は、豊かで快適な生活を世界に拡げていきながら、あらゆる生命を支えているこの地球を大切にし、
その美しい自然環境を子孫へ伝え残していかなければなりません。
いま、私たちにとって社会の持続的な発展を図っていくことが大きな課題になっているのです。
こうした考えを明確にし、良き企業市民として社会的責任を果たしていくため、
事業活動の指針となる地球環境憲章を定めました。
【基本理念】
コマツは、これまで培ってきた技術を結集し、
さらに向上させて、豊かに自然と共存できる商品やサー
ビスを社会に提供することにより、人々のより良い生活の実現と自然環境の調和に貢献します。また、
社員一人ひとりが環境との関わりを認識し、社会の人々との相互信頼のもと、地球的視野に立った環境
保全活動を継続的かつ着実に推進し、企業の発展と環境保全の両立を図っていきます。
【行動指針】
環境基準
事業活動にあたり、事業所が立地する国・地域の法令・規制および関連する国際協定を
遵守することはもとより、環境への影響度を適切に評価し、
必要に応じ自主基準・規定を作成し、環境保全に努めます。
技術開発と移転
地球環境保全に役立つ技術の研究を積極的に推進し、
有益な技術はグループで活用するばかりでなく、グループ外への積極的な移転に努めます。
社会活動
国際社会の一員として環境保全活動に積極的に参加すると共に、
環境保全活動への社員の自主的な参加を支援し、
事業活動上の諸問題について社会各層との対話を促進し、相互理解と協調に努めます。
広報・啓蒙
環境保全活動について積極的に広報・啓蒙活動を行うと共に、
製品の適正な使用方法、再資源化、廃棄方法などに関する情報の提供を行います。
推進体制
「地球環境委員会」は環境問題に対する対応方針を策定し、グループ内に周知のうえ、
総合的に環境保全活動を推進します。
各事業部門は担当組織を明確にし、規定に基づき環境保全活動を行うと共に、
実施状況を定期的に評価し、これを確実に遂行します。
1992年3月制定
3
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1 活動の概要
1.1 事業活動における環境影響と保全へのアプローチ
コマツは、建設・鉱山機械分野を中心に、エレクトロニクス
コマツでは、このような状況認識に基づき、1992年に「コマ
および産業機械分野などで事業活動を行っています。コマツは
ツ地球環境憲章」を策定。全従業員が一丸となって、コマツが
これらの事業領域において、
「コマツ地球環境憲章」のもと「自
できること、していかなくてはならないことを考え行動を開始
然と共存する商品、サービスの提供」と「生産における環境保
しています。
全」の2つの面において、環境保全活動を推進しています。同時
に、企業も地球の一市民という考えから、
「企業市民としての社
自然と共存する商品、サービスの提供
会貢献」にも積極的に取り組んでいます。
お客さまの環境活動へのソリューションの提供
建設工事では、建設廃棄物が大量に発生します。建設廃棄物
コマツと環境との関わり
は産業廃棄物全体の中でも大きな比重を占めているため、その
コマツと環境との関わりは、お客さまの環境活動に貢献する
ソリューションを提供すること、および自社の事業活動におい
処理の改善が求められています。また、建設工事で掘削された
建設発生土もその処理について課題を抱えています。
て次の点で環境負荷を低減することです。
こうした現状に対して、コマツでは「現場内で発生した建設
①生産段階における原材料・資材・燃料の消費
廃棄物や建設発生土は現場内で処理し再利用する」という「現
②製造工程での化学物質の使用
場循環型工法」のコンセプトのもとに環境保全建設機械を開発
③製品使用段階でのエネルギー、副資材類の消費とそれに
しました。これにより、建設工事にともなう総合的なリサイク
ともなう環境負荷物質発生
ルの推進をはかると同時に、廃棄に関する物流コストの大幅低
減、廃棄移動中のCO2 ・騒音・振動発生の低減に貢献しています。
④製品使用段階での振動・騒音発生
⑤製品廃却段階での環境負荷物質発生
建設機械製品のライフサイクルと環境との関わり
生産における環境保全
燃費の向上CO2 低減
販売・サービス
製品
生産
(メーカー)
CO2
排気エミッションの低減
使用
(お客さま)
環境負荷物質の低減
材料
リマン品
リユース部品
中古部品
使用済み油脂類
フィルタ
エネルギー利用
再生業者
エネルギー利用
鉄・非鉄金属
解体
(処理業)
ダスト
環境負荷物質の低減
4
ゴム
プラスチック
廃油
リサイクル率の向上
使用済み車両
騒音
振動
騒音・振動
の低減
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製品とサービスの環境負荷の低減
企業市民としての活動
建設機械の使用段階では、大気、水、土地、人に対してさま
コマツでは 1962 年より継続的に、「日本花の会」に対する支
ざまな環境影響をおよぼします。建設機械が稼働すると大気に
援を行っています。
「日本花の会」ではこれまでに300万本の桜
二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などが排出されるほ
の苗木を配布するなど、花と緑を広げる活動を通じて、早くか
か、騒音や振動が発生します。また、不適切な取り扱いによっ
ら地球環境美化に取り組んできました。
ては燃料や不凍液による水系への影響、オイルなどの環境負荷
1991 年には「コマツグリーン基金」を設立、経常利益の 1 %
物質による土壌への影響も考えられます。サービス時や製品廃
を下限として、地球環境を中心とした社会貢献活動に使ってい
却段階での環境負荷もあります。
ます。具体的には「日本花の会」の継続支援、
「フローラルコマ
コマツは、こうした建設機械の使用・サービス・廃却段階で
ツ」
(社員の手で事業所周辺に花を植える活動)など、環境美化
の環境影響を改善する技術の開発・提供を、従来からの環境技
活動のほか、インドネシアにおいて熱帯林再生のプロジェクト
術開発活動に加えて、
「LCAに基づく中期環境技術目標」を設定
を進めるなど、地球緑化に対しても取り組んでいます。
して積極的に行っています。具体的な活動は以下のとおりです。
①燃費の向上
②排気エミッションの低減
③騒音・振動の低減
④環境負荷物質の低減
⑤リサイクル可能率の向上
⑥バイオオイルの開発
⑦ゴムシュー覆帯のリサイクル
⑧リマン
生産における環境保全
コマツは、生産活動にともなう環境影響を低減するために環
境保全目標を各工場ごとに設定し、次の各項での環境保全活動
温室での育苗(インドネシア)
に取り組んでいます。
①省エネルギー
②オゾン層保護
③資源有効利用 「ゼロエミッション」活動
④環境に優しい生産技術の開発
⑤法規制の遵守と汚染予防
⑥グリーン購買
⑦物流改善
コマツは、これらの活動を「世界標準」ととらえ、内外を問わず
生産活動を行っているすべてのグループ企業で実施しています。
育苗プラント
(財)日本花の会は、1962 年 4 月に設立された、桜と花の美しい環境づくりを進めている団体
です。
5
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1 活動の概要
1.2 環境活動目標と 1999 年度実績
「コマツ地球環境憲章」をより具体的に企業活動に反映させ、
着実に推進するため、分野別に「環境行動計画(取り組み方針)
」
め、年度ごとに「活動目標」を設定し達成状況をフォローして
います。
を策定するとともに、各段階での取り組みを確実に実行するた
環境マネジメント
取り組み方針
1999年度目標
活動結果
1. 推進体制の確立
ー
●地球環境委員会設置
(
2. 環境活動計画の着実な推進
計画決定と推進
●
3. 全社的な環境
国内グループでの集計
●機能別ガイドラインを策定し国内グループの集計を完了
●環境会計
1991年 2月)
、地球環境憲章策定(1992年 3月)
1999 年度環境報告書発行、環境会計導入
コマツ内では財務会計システムと連動
マネジメントの充実
●環境報告書の発行
企画案策定および発行
●
2000 年 5月発行
研究・開発分野
取り組み方針
1999 年度目標
活動結果
1. 環境保全型建設機械の開発
市場導入
●ガラパゴスリフォレBR200Tの開発・市場導入
・排気エミッション改善
・ 燃費改善
着実な規制対応
確実な導入
●EPA 第二次規制対応のエンジンの導入を順次準備中
●騒音・振動低減
技術開発推進と確実な導入
●低騒音デバイスを油圧ショベル2機種に採用
●中期環境技術開発目標の設定
2005、2010年度の目標設定
●設定と対応開始
●環境負荷物質低減
確実な導入
●環境負荷物質使用ガイドラインの社内規格化完了
3. EcologyとEconomyの両立
グル ープ内の知恵の集約
●社内ネットを活用した「環境フォーラム」の設置・運営
4. 長期的視野に立った環境技術の研究
計画策定と実施
●計画に基づく実施
2. 建設機械
環境負荷の低減
6
●ディーゼルエンジン環境対応
●超高圧燃料噴射システム( HPI )
でクラス最小燃費達成
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調達・生産分野
取り組み方針
1999 年度目標
活動結果
1. 環境マネジメントシステム:海外を含むコマツグループ
生産事業所で2001年度末までにISO14001認証取得
6事業所で認証取得
●
2. 省エネルギー:エネルギー使用量(原油換算)の生産
金額原単位を2010年度に1990年度比で15%改善
対前年度比 1 % 改善
●対前年度比
3. オゾン層保護:
特定フロン、1.1.1-トリクロロエタンの使用全廃
ー
●
4. 資源有効活用
モデル事業所で
活動計画策定
● ゼロエミッション活動
(廃棄物
処分量を2010年度にゼロレベ
ルにする)推進
5. 環境に優しい
生産技術の開発
6. 法規制と社内基準の
● 機械加工におけるドライ切削の
2000 年4月までに海外生産事業所を含め 6 事業所の認証取得
0.8%の改善達成 1990 年度比12.5%の改善達成
1995 年度に全廃 引き続きハロンおよび代替フロンの削減
活動を推進
●小山工場をモデルとし
2003 年度にゼロレベル達成とする活動
計画を策定し、活動を展開
●コマツ生産事業所として
1990年度比68%の削減達成
1999年度末までに、対象設備の約 50%(346台)に適用完了
確実な設備導入
●
ー
●コマツ生産事業所は
適用拡大
● 有機塩素系洗浄液の使用全廃
1998年度に全廃
国内グループ生産事業所は1997年度比
遵守
(環境負荷物質の低減)
87% の低減
20基対応
●20基完了し、140基中107基の対策完了
ガイドライン発行
●『グリーン購買ガイドライン』を発行
調達先に提示し環境対応を推進
総合輸送システム開発
●開発完了 2001年度運用開始
6 拠点で実施
●タイ、米国、英国、中国の6拠点で実施
1999年度目標
活動結果
監査員の教育
●国内44拠点のディストリビュータ*、117人に教育実施
2. コンポーネントのリマン体制確立
世界 6地域確立
●6地域設立完了
3. ゴムシューの再生技術と実施体制の確立
再生センター 2カ所確立
●再生センター2カ所確立
(再生実施:
● 設置後20年以上の地下タンクに
ついて、2001年度末までに恒久
対策を実施
(コマツグループ生産事業所)
7. グリーン購買:
調達先の環境配慮事項を明確にし、推進する
8. 物流における環境保全
● 重量物の物流に関する企業の枠
をこえた国内総合輸送システム
を開発
● 梱包材再利用による省資源化・
廃棄物減量化を推進
(2000 年度までに海外12 拠点)
販売・サービス分野
取り組み方針
1. 環境マネジメント
システム
●ディストリビュータにおける
自主監査体制の確立
3,000セット)、再生技術確立
ディストリビュータ:地域において、販売・サービスに関するすべての業務を委託する会社。
7
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 8
1 活動の概要
1.3 環境会計
コマツは、1999 年度から環境会計を導入したのにともない、
1999 年度の環境会計
今回の環境報告書よりその内容を公開します。なお、環境会計
1999 年度の環境会計は、環境コストについて、投資が 1,502
については国際的な基準がないため、1999 年 3 月に環境庁より
百万円、費用が 12,580 百万円となりました。また投資について
公表された「環境保全コストの把握及び公表に関するガイドラ
は、(1)直接環境負荷低減コストがそのうち 87% を占め、費用
イン(中間とりまとめ)
」に準拠しています。
については(4)環境R&Dコストがそのうち51%を占めています。
また効果については、①環境負荷抑制、経済効果として②実
環境会計の導入
コマツは、継続的かつ効果的な環境保全活動を実施し、その
質効果、③環境リスクの回避および④利益寄与を対象としてい
ます。③環境リスクの回避および④利益寄与については、考え
活動の内容とそれに要したコストおよび効果をお客さまや株主
方および定量的把握についてさらに検討を行う必要があるため、
の皆さまなどすべてのステークホルダーに開示するため、1999
本年度は主要事項を記述情報により表しています。またこれら
年度から環境会計を導入しました。
の効果以外に、社会的効果として、お客さまがコマツの製品を
その定義や分類について世界的に統一された基準はありませ
んが、基本的には 1999 年 3 月に環境庁より公表された「環境保
使用する状況での、製品が与える環境負荷の抑制と、お客さま
が負担する経済効果も期待できます。
全コストの把握及び公表に関するガイドライン(中間とりまと
め)」に準拠し、機能部門ごとにガイドラインを制定しました。
導入に際しては、まずモデル事業所で試行を行い、疑問・問題
点を解決したのち、国内グループ生産事業所に展開しました。
新環境会計システムの構築
2000年2月、環境会計と財務会計システムとを連動させる「環
境会計システム」を構築しました。これにともない、今後の集
計からは1999年度より精度を高めるとともに、海外生産事業所
を含めグローバルで信頼性の高いコストデータを集計し、順次
情報開示していく予定です。
8
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1999年度環境保全コスト
環境保全コストの分類
投資
費用
1
費用*1
主な内容
(百万円)
投資額* 主な内容
(百万円)
(1)直接環境負荷低減コスト
内訳
5,056
1,314
①公害防止コスト
755
②地球環境保全コスト
349
● 最終排水処理設備の能力向上投資*
2
● コジェネレーションシステム更新投資
2,515
●大気・水質汚染、
騒音振動防止設備等の維持管理費
(人件費、償却費など)
1,123
●コジェネレーションシステム等の省エネルギー設備
● 省エネルギー対策投資
③廃棄物処理・リサイクルコスト
209
(2)環境に係わる管理コスト
の維持管理費
(人件費、償却費など)
1,418
● 鉱滓プラント導入投資
10
422
7
281
●廃棄物処理費用
●環境マネジメントシステム維持費用
●環境に関する教育費用
(3)製品等の使用・廃棄にともなう
環境負荷低減コスト
●製品の使用・廃棄にともなう環境負荷低減のための
技術費用
94
(4)環境R&Dコスト
● 鋳物ダストリサイクル技術の研究設備
6,416
(5)環境関連社会的取り組みコスト
22
(6)その他環境保全関連コスト
55
●製品の環境負荷低減のための研究・開発費(主にエンジン)
●環境を保全する建設機械の研究・開発費
投資
303
●緑地推進、
工場美化などのための費用
●環境報告書作成、ほかの宣伝費用
103
● 地下水浄化装置投資
12,580
1,502
総計
●土壌、地下水汚染に関する調査・対策費用
*1 投資、費用ともに、金額は百万円未満を四捨五入して表示しています。
*2 コマツ電子金属における排水処理設備関連の投資を示します。
1999年度環境効果
経済効果
環境負荷抑制効果
環境負荷項目
CO2 排出量*1
削減量
(t/年)
対前年比
増減率(%)
実質効果*2
-7,418
-7.8
省エネルギー
層別
省資源
廃棄物削減ほか
水使用量
廃棄物発生量*1
123,765
1.0
-2,490
-4.5
有価物売却
総計
効果金額
(百万円)
328
688
254
238
主な内容
環境リスクの
回避効果*3
利益寄与効果*3
コジェネレーションシステム導入
1999年度、法律 ・環境保全建設機械事業収入
単結晶シリコン再利用
違反につながるよ
うな事故、汚染は
ありませんでした。
1999年度、訴訟
費用は発生しませ
んでした。
鉱滓処理プラント導入
シリコンくず売却益
・製品の環境負荷低減による
付加価値向上などの事業収
入(エンジンなど)
・リマン事業収入
1,508
*1 CO2排出量および廃棄物発生量の絶対値は生産量の増大により増加していますが、生産金額あたりの排出量および発生量は減少しています。
(4.2 省エネルギーおよび4.4 資源有効利用活動「ゼロエミッション」活動を参照ください。)
*2 設備投資による効果は、設備導入後3カ年分を計上しています。今年度の効果には、1997年度∼1999年度の投資分を含みます。金額は百万円未満を四捨五入して表示しています。
*3 環境リスクの回避効果と利益寄与効果については、記述情報として記載しました。考え方と効果の把握については、今後さらに検討を進めていきます。なお、利益寄与効果について記述内容に
関連する事業の1999年度の売上高はそれぞれ次のとおりです。
・環境保全建設機械事業
77億円
・エンジン事業 377億円(エンジンは建設機械の動力源として、建設機械事業全体に関わりますが、上記売上高はエンジン・油機事業本部のエンジンについての社外および社内振り
替えを含むコマツグループ向け売上高の合計を記載しています。)
・リマン事業 社会的効果*
75億円(全世界のリマン事業の1999年1月∼12月の売上高を記載しています。)
1
環境負荷抑制効果
実質効果
・環境循環型工法による環境負荷の低減
・廃棄物処理費用等の削減
・製品が与える環境負荷の低減
・運転経費や維持費の節約
・リマン事業による廃棄部品の低減
・修理費低減
*1 お客さまがコマツの製品を使用する状況での社会的効果についても、記述情報として主な事項を記載しました。
9
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 10
2 環境マネジメント
2.1 コマツの環境管理体制
コマツは、
「コマツ地球環境憲章」に基づき「自然と共存する
戦略検討会
商品、サービスの提供」
「生産における環境保全」を実現するた
会社経営上の重要事項に関する基本方針、基本計画、基本戦
めの環境管理体制を構築。研究・開発・生産段階から製品使用・
略の検討、審議などを行う最高機関です。戦略検討会は、常勤
廃棄段階にいたる環境負荷の低減に努めています。
の取締役で構成されています。
環境管理体制の概要
JM(ジャストミート)21委員会
コマツグループは、環境問題を経営課題と考え、1991 年に地
「社会と社員に開かれた会社づくり」を、次の 2 つのテーマに
球環境委員会を設置。その翌年には地球環境憲章を策定し、環境
ついて具体的な方策を検討する機関です。JM21委員会は社長を
保全活動に着手しました。そして現在は、次のような組織体系の
委員長とし、取締役、執行役員で構成されています。
もとで、グループ全体で環境への取り組みを推進しています。
会社経営に関わる事項は「戦略検討会」「JM21 委員会」が、
①社会と会社のよりよい関係に関する事項
②社員と会社のよりよい関係に関する事項
個々の課題は「地球環境委員会」が担当。地球環境委員会で決
コマツグループの「地球的視野に立った環境保全活動を継続的
定された方針・施策は、各執行役員により機能別に展開され、さら
かつ着実に推進」という基本理念は、当委員会で決定されました。
に各事業所の推進責任者により徹底されます。また重要なテー
マについては、機能部門ごとに傘下に専門家による分科会、キー
パースン、ワーキンググループなどを設け、横断的な活動によ
り環境課題の解決をはかっています。
地球環境委員会
コマツの環境保全施策の最高決定機関です。環境担当役員を
委員長とし、各事業部門を統括する執行役員で構成され、原則
年 4 回開催しています。ここでは、「地球環境憲章」に基づく具
体的な「環境活動計画」の策定をはじめ、環境保全に関するコ
マツグループ全体の方向づけを行っています。
環境管理体制
社 長
研究・開発部門
全社統括部門
(技術統括部)
生産部門
営業・サービス部門
戦略検討会
JM21委員会
事業部門
環境・システム事業本部
関係会社
海外生産事業所
研究部門
地球環境委員会
(環境担当役員)
環境委員会
環境管理推進グループ
開発部門
開発会議
環境技術分科会
生産部門
生産技術会議
環境管理担当者連絡会
環境・省エネ分科会
購買会議
キーパーソン制度
ロジスティクス会議
ロジスティクス担当部課長連絡会
事業所環境管理委員会
環境推進チーム
販売・サービス部門
国内商品会議
支社サービス連絡会
ディーラー会サービス部会
:環境管理責任者
10
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 11
2 環境マネジメント
2.2 環境監査
環境マネジメントシステムを有効に運用し、環境パフォーマ
れた専門家で構成された監査チームが地球環境委員会の決
ンスを改善していくうえで、環境監査は重要な活動です。コマ
定に基づき行う環境社内監査の 2 段階により環境監査を行
ツは、内部監査と外部監査の2段階で行い、課題を抽出し改善活
う。
動につなげています。
このうち、社内監査については、1997年からの3年間ですべ
事業所ごとに最適な監査手法を導入
ての認証未取得事業所を一巡することとし、1999年度には残り
1997 年、小山工場にて ISO14001 認証を取得したことを契機
に、環境監査体制の見直しを行いました。
の4事業所(真岡工場、実用試験部、小松ゼノア・郡山工場、コ
マツハウス)の監査を実施しました。コマツでは、これらの監
ISO14001認証取得事業所と未取得事業所について、次に示す
とおりそれぞれにもっともふさわしい環境監査手法を定めまし
査結果を各事業所の経営トップに報告するとともに、環境およ
び環境マネジメントシステムの改善に活用しています。
た。充実した内部監査と、外からの客観的かつ専門的視点によ
内部監査は、自主監査員にとって、事業所間のノウハウの共
る厳しい監査の組み合わせが、必要不可欠であるとの判断に基
有化、相互研鑚の場としても機能しています。また監査トレー
づくものです。
ニングコースを随時開催し、内部監査員の養成をはかっていま
す。
● ISO14001認証取得事業所:
年 1 回の全部門にわたる内部監査と、外部認証機関による
一方、非生産事業所である販売・サービスを担当するディス
半年ごとのサーベイランス審査および 3 年ごとの更新審査
トリビュータについては、2000年度より自主監査員による内部
により環境監査を行う。
監査の実施をめざし、1999 年度には全国 44 拠点のディストリ
ビュータで自主監査員の育成を行いました。
● ISO14001認証未取得事業所:
社内認定の自主監査員による内部監査および、全社から選ば
環境監査の手法
地球環境憲章
Plan
地球環境委員会
Action
各生産事業所
環境マネジメントプログラム
経営層による見直し
Check
Do
実施・運営
更新・サーベイランス審査
内部監査・改善
社内専門家による監査
外部認証機関
社内監査
ISO14001認証取得済み事業所
ISO14001認証未取得事業所
11
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 12
2.3 ISO14001
2 環境マネジメント
コマツは、体系的な環境保全活動を推進するために、国内外
の事業所で環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認
証取得を積極的に進めています。1999 年度末現在、国内すべて
の生産事業所、6カ所の国内グループ生産事業所、6カ所の海外
生産事業所で認証を取得しました。
国内すべての事業所で認証取得を完了
コマツは、事業活動が環境に与える影響を評価し、継続的に
環境負荷を改善するための経営の仕組み(EMS :環境マネジメ
ントシステム)の構築を進め、実行してきました。その中で、環
境保全への体系的な取り組みを強固にし、環境マネジメントの
質を高めるには、国際規格であるISO14001の活用が有効なツー
ルであると考え、グループとして早くからその認証取得を積極
的に推進してきました。その結果、1997年 5 月から 2000年 4 月
真岡工場におけるISO14001審査風景(2000年3月)
にかけて、国内のすべての生産事業所でISO14001認証を取得し
ました(事業所内関係会社を含む)
。
コマツの経営の基本である「品質と信頼性」のもと、永年に
一方、国内のグループ生産事業所は、1998年2月から2000年
3月にかけて7事業所*1 が認証を取得し、残り3事業所について
わたって培われてきた「P(Plan)-D(Do)-C(Check)-A(Action)
」
も2001年度の早い時期に取得を完了する計画です。また海外生
になります。
サイクルを回す活動が、
「環境」を加えてさらに充実されたこと
産事業所では、1998年12月から2000年2月にかけて6事業所が
コマツは、今後も国内外の関係会社に対し、コマツの環境マ
認証を取得し、残り12事業所についても2001年度末までに取得
ネジメントシステムや環境技術支援などを積極的に展開してい
を完了する計画です。
きます。
ISO14001 認証取得状況と計画
生産事業所の認証取得状況
40
年度
計画
コマツ
実績
31
30
12
事
業
所
数 20
1997
1998
1999
●真岡工場
●小山工場
●粟津工場
国
グループ
内
●大阪工場
●小松フォークリフト栃木工場
*1
*2
●エレクトロニクス事業本部
●小松フォークリフト神戸工場
●コマツキャステックス
●コマツ電子金属
・長崎工場
●コマツエレクトロニクス
*2
●コマツ電子金属
・平塚工場
16
海外生産事業所
海外
6
10
2
10
5
0
6*1
3
グループ生産事業所
●英国コマツ
●アドバンスト・シリコン・
●米州コマツカンパニー・
マテリアルズ・モーゼスレイク
チャタヌガ
●エルアンドティーコマツ
6
●米州コマツカンパニー・
4
●小松常林鋳造
キャンディアック
3
3
4
1997
1998
1999
コマツ生産事業所
2001 年度
*1 小松フォークリフト神戸工場は、ISO14001認証取得後移転統合したため、
現在は6事業所
12
●コマツ電子金属
・宮崎工場
6
*1 1999年7月 小松フォークリフト栃木工場へ移転統合
*2 エレクトロニクス事業本部とコマツエレクトロニクスは同一サイトで取得
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 13
2 環境マネジメント
2.4 教育・訓練
環境保全活動は、全社レベルでの理解と活動を通じて初めて
効果を上げることが可能となります。そのためコマツでは、全
従業員を対象にした教育により自覚を高めるとともに、環境影
響の大きな業務に従事する従業員に対しては、必要とされる作
業手順の教育・訓練を徹底しています。
自覚と手順の両面で教育・訓練を実施
コマツは、地球環境保全活動への理解と確実な実施のために、
各層向けにさまざまな環境教育を実施しています。全従業員を
対象とした教育・訓練として、職能教育コースでの一般環境教
育を行っていますが、これ以外に下表のとおり環境教育コース
を開催しています。また、環境影響の大きな業務に従事する従
業員には、マニュアルを使用した現場教育(OJT)や異常時の処
水質異常の発生を想定した実地訓練
置訓練を実施しています。
本社環境教育コースとしては、工場の環境専門員を育成する
コースやISO14001認証取得のための解説1日コース、ISO14001
の内部監査員を育成する 2 日コース、販売会社・レンタル会社の
さらに各職場では座学ではなく、現場で、環境影響の大きな
環境管理者を育成する半日コースなど、グループ企業のレベル
業務に従事する従業員に対して、監督者がマニュアルを使用し
た現場教育(OJT)を実施し、正しい作業手順およびこれを逸脱
に合わせたコースを準備しています。
また各工場環境管理部門の環境教育コースとしては、コマツの
したときの環境への影響、事故・緊急事態への対応方法などを
環境保全活動やISO14001への理解を深める基礎教育、環境関連法
徹底しています。万一の事故・緊急事態に対して機敏に抜けな
規やそれに基づく届け出実務などの教育コースを準備しています。
く対応できるように、実地訓練も実施しています。
環境教育コース(一般環境教育を除く)
主催
コース名
対象者
1999年度受講者数
本社
環境専門教育(3年ごと)
環境ISOの概要
内部監査員の訓練
ディストリビュータ環境教育 環境専門員(コマツ&関係会社)
管理者(コマツ&関係会社)
環境監査員(コマツ&関係会社)
管理者(コマツ販売会社など)
18(1998年度)
22
16
117
工場環境
管理部門
環境基礎教育
環境ISOの概要解説
内部監査員育成
法規制・届け出教育
管理者・一般
管理者・一般
環境監査員
一般
561
946
108
32
環境関連資格保有者数
資格名称
保有者数
必要数
公害防止管理者 253
54
エネルギー管理者 37
15
環境マネジメントシステム審査員 11
−
13
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 14
3 自然と共存する商品、サービスの提供
コマツは、環境保全の一つの進め方として、建設廃棄物をリ
コマツの技術は「EcologyとEconomyの両立」を実現
サイクルしてお客さまのコスト負担を減らす「環境保全型建設
機械」を積極的に開発・提案しています。またすべての環境対
策に対して、技術革新によってコスト負担を抑える努力をして
Ecology
います。この「EcologyとEconomyの両立」という発想により、
コマツは環境保全に関する技術開発を推進しています。
環境保全技術
&
Ecology と Economy の両立
コスト
地球温暖化、オゾン層破壊、廃棄物の不法取り扱いといった
Economy
地球規模の環境問題の多発にともない、環境対策は緊急の課題
とされています。また、環境問題そのものも変化し、たとえば
従来排気ガスの課題であった窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素
(CO)
、炭化水素(HC)
、パティキュレート(粒子状排出物)対策に
加えて、現在は二酸化炭素(CO2)対策も優先度の高い課題です。
このように刻々と変化する環境問題への対応として、速やか
コマツならではの技術で活動を推進
に環境対応製品を導入・使用することが求められています。し
Ecology と Economy の両立の代表的な一例が、「環境保全型建
かし、環境対応製品がお客さまのコスト負担を増やすものであっ
設機械」の提供です。たとえば、コマツが関わる建設工事の分
ては、普及に時間がかかり地球環境への貢献は限られたものと
野では、多くの建設廃棄物や建設発生土が生じます。これをど
なってしまいます。たとえば、CO2 低減であれば環境対策とお
のように処理するかについては、建設関係者にとって環境とコ
客さまの燃料コスト低減が直結し、適切な省燃費装置を開発す
ストの両面で非常に大きな課題となっています。
れば速やかに普及します。しかし、NOx 対策のように、従来の
この課題への一つのソリューションとして、コマツは「現場で
技術対応ではお客さまのコスト低減につながらない事象、ある
破砕しできるだけ現場内で再利用する」ことを提唱しています。
いは相反する事象については、そのままでは経済的に普及しに
現場で発生した伐採材、転石、不良土は現場で破砕あるいは改質
くく、技術革新にチャレンジすることによってはじめて、環境
し、現場で再利用する。このもっともシンプルなリサイクルシス
負荷とコストを同時に低減することが可能になります。
テムが、建設工事と環境との関わりを変えようとしています。
このように技術革新によって、EcologyとEconomyの両立する
また、コマツでは、汚染土壌の処理、採石場における廃棄物
領域を拡げ、地球規模での環境改善に役立つ環境対応製品の導
リサイクルなど、コマツならではの技術を生かした環境保全シ
入を進めようとするのが、コマツの「Ecology と Economy の両
ステムを導入または開発し、お客さまの環境活動へのソリュー
立」のポリシーです。
ションを提供しています。
Ecology と Economy を生み出す環境フォーラム
環境に配慮した商品の開発にあたっては、生産コストを上げな
コマツでは、多岐にわたる専門知識をもった人々の視点・知恵・
いことが重要なテーマとなります。どんなに優れた製品でも、あま
知識・アイデアを集め、つなげ、発展させていくことを目的に、
りにも高価であればお客さまは導入できません。継続的な環境対
1999年度から社内のネットワーク上に「環境フォーラム」という
応を実施するためには、環境保全と競争力強化の両方を同時に満
全社共通のデータベースを設けました。
たすことのできる「技術」を新たに生み出すことが必要となります。
「環境フォーラム」では、
「環境に優しい」と思われることであ
そうした「技術」を生み出すには、従来と全く異なった視点で
れば、どんなアイデアや考え方でも気楽に書き込んでいくことが
物事を見つめ、求められていることの本質を知り、新たな発想で
できます。コマツの「EcologyとEconomy の両立」は、このよう
研究開発に取り組むことが重要です。しかし、従来のものの考え
にネットワーク上のブレーンストーミングで多くの分野の専門家
方の延長線上ではなかなか解決が困難なことも事実です。そこで
の知恵を結集した結果だともいえます。
14
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 15
3 自然と共存する商品、サービスの提供
3.1 お客さまの環境活動へのソリューションの提供
コマツでは、工事現場での廃棄物を現場内でリサイクルする
一方、このような廃棄物を埋め立てる最終処分場も残余年数
現場循環型工法を実現するために「自走式破砕機ガラパゴスシ
が少なくなってきており、新規設置も難しい状況下にあるため、
リーズ」を商品化し、建設工事にともなう環境保全と工事のトー
従来の方法にとらわれないリサイクルの方法を確立することが
タルコスト削減の両面に貢献しています。
求められています。そこで建設省などでは工事発注者へのリサ
イクルを義務づけるなど、早くからリサイクルの推進を提言し
3.1.1
てきました。
環境を保全する建設機械・技術の提供
廃棄物の動向
建設業界の動向
建築物の解体工事や道路工事など、私たちが社会基盤を整備
昨今、建設業界に対する工事費削減の圧力は強くなっていま
していく建設工事からも廃棄物は発生しています。このような
す。このような状況下で、廃棄物処分コストの増大は各社の収益
建設工事から発生するコンクリートガラや廃木材などの廃棄物
を圧迫することにつながります。そのため、現場からの廃棄物量
は、一般に建設廃棄物(建設副産物)と呼ばれ、産業廃棄物全
を削減しコストを抑制するための、合理的でコストの安い廃棄物
体の中でも大きな比重を占め、不法投棄問題として報道される
処理方法の導入が、建設業界から強く求められています。
ことも多い厄介ものです。また油圧ショベルで掘削された土も、
その大部分は軟弱な建設発生土であるため、そのままでは再利
用できず、廃棄物として処理しなければなりません。
建設廃棄物種類別発生量(1995年度)
産業廃棄物発生量(1994年度)
飲料・飼料・たばこ製造業
7,377(1.8%) 食料品製造業
11,856(2.9%) その他の業種
36,657(9.0%)
建設業
化学工業
17,928(4.4%) 76,931
(19.0%)
窯業・土石製品製造業
19,425(4.8%) 全国計
405,455 農業
74,878
千t
(18.5%)
パルプ・紙・紙加工品製造業
24,917(6.1%) 建設発生土量(1995年度)
その他(廃プラスチック・
紙くず・金属くず)
100(1%)
建設発生木材
600(6%)
民間土木
1,800(4%) 建築
4,300
(10%)
建設混合廃棄物
1,000(10%)
建設汚泥
1,000(10%)
アスファルト・
コンクリート塊
3,600(36%)
全国計
9,900
万t
コンクリート塊
3,600(37%)
鉄鋼業
30,081(7.4%) 全国計
44,600万
m3
公共土木
38,400(86%)
鉱業
30,793(7.6%) 電気・ガス・熱供給・水道業
74,610(18.4%)
出典:総合的建設副産物対策
出典:建設省・建設副産物実態調査
出典:建設省・建設副産物実態調査
建設工事のコスト構成変化(イメージ)
最終処分場残余年数
3.5
3.0
3.0
残
余 2.5
年
数 2.0
︵
年
︶ 1.5
工事単価の低下
3.1
2.7
2.6
粗利
2.3
2.0
1.6
金
額
処分費
処分費の増加
1.0
0.5
0
直接
工事費
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
年度
出典:日経コンストラクション2000.1
1990
年度
1999
15
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 16
現場循環型工法の導入(ゼロエミッション型建設工事へ)
け小規模な段階で破砕処理することができれば、環境への影響
道路の新設工事は、伐採や掘削によって伐根・伐採材、転石
を抑えることができるだけでなく、工事のトータルコスト削減
や不良土などが大量に発生します。従来は、これらの建設廃棄
に効果があるからです。そのため、
「現場内リサイクル機」は次
物や建設発生土を搬出・廃棄していましたが、コマツでは、現
のような基本構造としました。
場で再資源化し再利用する「現場循環型工法」の導入を考えま
①自走できるクローラ式走行装置(履帯など)
した。その基本となったのは、
「現場で破砕しできるだけ現場内
②破砕装置(クラッシャーなど)
で再利用する」ための「現場内リサイクル機」の開発です。
③破砕対象物を破砕機に運ぶ供給装置(ホッパ・フィーダ)
現場にリサイクル機を持ち込むことができれば、現場内でリ
サイクルが効率的に行えます。具体的には、伐根・伐採材はチッ
④破砕物の排出装置(ベルトコンベア)
⑤パワーユニット(エンジン)
プ化しマルチング材や吹き付け材に、転石は路盤材に、不良土
そして1992年度には、
「家屋の解体工事から発生するガラを現
は改良し路床材に再利用できます。その結果、廃棄物の発生量
場で破砕し、現場内で盛土材として再利用する」というニーズに
そのものを削減できるだけでなく、新材(資源)の節約や運搬
対応するインパクトクラッシャー搭載の「ガラパゴスBR60」を
のための物流エネルギーの節約など環境面で保全に大きく寄与
商品化。続いて、シリーズ化を進め、1999年度には自走式木材
することができます。また、コスト面においても廃棄物処分費、
破砕機「ガラパゴスリフォレBR200T」を商品化しています。い
新材購入費、物流費を低減できるため、工事のトータルコスト
ずれも、リサイクル推進の流れを受けて非常に高い評価を得てい
を大幅に下げることが可能となります。
ます。
コマツは、この現場循環型工法を実現する現場処理型リサイ
現場循環型リサイクル機械「自走式破砕機ガラパゴスシリーズ」
クル機械を、
「自走式破砕機ガラパゴスシリーズ」と名づけてい
現場循環型工法を考える場合、廃棄物の発生現場へ持ち込む
ます。ダーウィンの進化論で有名なガラパゴス島から命名した
ことが可能で、しかも処理能力のあるコンパクトな機械が必要
このシリーズ名称には、地球環境の保全に貢献するという願い
です。廃棄物発生の源流(発生現場)にさかのぼり、できるだ
が込められています。
1992年度に初めて商品化されたガラパゴスBR60
16
1999年度に商品化されたガラパゴスリフォレBR200T
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 17
ガラパゴスによる現場循環型工法
法面緑化
伐 採
掘 削
伐採材
盛 土
転石
舗 装
再資源化
不良土
伐採材
自走式木材破砕機
マルチング材
転石
自走式破砕機
路盤材
不良土
自走式土質改良機
路床材
従来の工法
伐 採
掘 削
伐採材
法面緑化
現場外へ移動処理
運 搬
転石
不良土
盛 土
舗 装
廃 棄
現場外で採取し搬入
運 搬
新材採取
17
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 18
ガラパゴスのシリーズ化
このガラパゴスシリーズは、1999 年度までに国内で通算約
私たちは、現場循環型工法需要の拡大に合わせてさらに商品
1,400台、海外で約150台が販売され、現場循環型工法のキーマ
を拡充し、現在ではシリーズ全体で16機種を自社開発。機械単
シンとして国内外の工事現場で環境保全活動に貢献しています。
体として、あるいは周辺機器とのシステム化によるミニプラン
さらに廃家電製品や廃タイヤなど、工事現場以外の処理場への
トとして、現場に最適な形態で稼働を続けています。
導入にも関心が高まっています。
リサイクル建設機械のラインアップ
自然石
コンクリートガラ
アスファルトコンクリートガラ
混合廃棄物
粗大ゴミ
建設発生土
(残土)
木質系廃棄物
ガラパゴス
BR200T
ガラパゴス
BZ200など
ガラパゴス
BR300S など
ガラパゴス
リフォレ
BR210JGなど
ガラパゴス
リテラ
BR1600JG
(受注生産)
BR250RG など
BR500JGなど
すべてのガラパゴスを現場でサポート
自走式ベルコンBM 2014C
18
自走式ふるい機 BM3618S
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 19
ガラパゴスの導入①:コンクリートガラ、アスファルトコンクリートガラ、
ガラパゴスの導入②:木質系廃棄物分野
従来、建設工事から発生する伐採樹木は、そのほとんどが野
自然石分野
コンクリートガラやアスファルトコンクリートガラはその大
焼き処分されていました。しかし、野焼き禁止の法規制化とダ
部分が石からできているため、鉄筋や木くずなどの異物を除去し
イオキシン問題発生にともない、近年そのあり方が大きくクロ−
破砕・選別すれば、道路の下層路盤材や構築物の裏込材、埋め戻
ズアップされています。
し材などとしてリサイクルできます。また最近では、150∼250mm
その解決策として、コマツは伐採樹木のチップ化を提案して
程度の中塊に破砕・選別し、河川の護岸工事などにも使用され始
います。チップ化した破砕材には、伐採斜面への散布マルチン
めています。
グ材、燃料といったそのままの利用方法と、堆肥やボード類へ
の材料といった利用方法があります。
建設省富士砂防工事事務所 富士山「大沢崩れ」溶岩土石流発生現場除石工
事(静岡県)
除石作業で発生した溶岩土石を破砕しスクリーンでふるい分けることにより、
0∼50mmの細かい土石は道路の路盤材や住宅などの盛土材として、50∼150mm
の粗い石は海岸の浸食防止養浜工事材としてリサイクルされています。
▼
大沢扇状地に堆積した
溶岩土石
50∼150mmの砕石を
養浜工事材として使用
土地造成工事での伐採材処理工事
従来、野焼き処分していた土地造成時に伐採した樹木の枝葉や根株などを、
現場で細かくチップ状に破砕することで、植林地へ撒いたり、チップや堆肥
原料としてリサイクルすることが可能となります。
▼
破砕後のチップ
マルチング材として
利用
19
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 20
ガラパゴスの導入③:建設発生土分野
そのためコマツでは、発生土をその場で固化材と混合し改良
現場で掘削された土は含水率が高いため、従来はこれを定置
する現場循環型土質改良工法を開発し、ガラパゴスシリーズの
改良プラントに運搬し改質処理していました。しかし、定置改
一環として商品化しました。これにより、現場で採取した土は
良プラントの絶対数が慢性的に不足している現状では、発生現
現場でリサイクルされ、盛土材として再度現場で活用すること
場からプラントまでの運搬距離が長くなり、環境面と工事トー
が可能となります。
▼
タルコストの両面で問題が生じています。
日本道路公団中国支社 中国横断自動車道地盤改良工事(島根県)
現場で掘削された土は含水率が高くそのままでは使用できないため、発生土
をその場で固化材と混合し改良することで、盛土材としてリサイクルしてい
ます。従来の工法に比較して、混合品質に優れ作業効率も向上しています。
完成した地盤改良工事
ガラパゴスシリーズの受賞実績
ガラパゴスシリーズは、環境保全に貢献する建設機械として、
各方面より評価され、表彰を受けています。
商品
表彰名
受賞
名称
ガラパゴス
平成7年度 再資源化開発事業等表彰
通商産業大臣賞
自走式破砕機(ガラパゴス) (財)クリーン・ジャパン・センター
開発事業
ガラパゴス
第21回優秀環境装置表彰
日本産業機械工業会
会長賞
自走式解体ガラリサイクル車 (社)日本産業機械工業会
(ガラパゴス)
ガラパゴスリテラ
平成10年度 再資源化開発事業等表彰
通商産業環境立地局長賞
自走式土質改良機
「ガラパゴスリテラ」の開発
ガラパゴスリテラ
平成11年度 日本建設機械化協会会長賞
奨励賞
ガラパゴスリテラ
平成11年度 優秀省エネルギー機器
日本機械工業連合会
会長賞
ガラパゴスリテラ
エネルギー・資源学会第13回技術賞
(東京ガスと共同申請)
20
JGA技術賞
自走式土質改良機
リテラBZ200の開発
自走式土質改良機
(リテラBZ200)
主催
(財)クリーン・ジャパン・センター
(社)日本建設機械化協会
(社)日本機械工業連合会
移動式改良土プラントによる (社)日本ガス協会
発生土のリサイクル
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 21
3.1.2
□
硬い鉱物結晶となって安定化します。また、
「セメント固化」な
環境改善技術
どの方法に比べ、土壌などの処理対象物の特性もほとんど変化
重金属汚染土壌処理技術「アパタイト処理」
しません。
コマツ・ゼネラルアトミックス・エンジニアリング*は、1998
なお、1998 年度に環境庁の委託業務として実施した「土壌汚
年より米国から重金属汚染土壌処理技術を導入し、事業展開し
染浄化技術確立・実証調査」の結果、これまでの重金属汚染処
ています。
理方法「化学的不溶化」に対し、
「アパタイト処理」の優位性が
この重金属汚染土壌処理技術は、汚染土壌中の有害な重金属
を水に溶けない鉱物結晶「アパタイト」に変化させ、外部に漏
示されました。また、1999 年度は、東京都内において汚染土壌
の無害化処理に適用されました。
れ出さないよう固定・無害化するというもの。代表的なアパタ
イトとしては、水酸化アパタイトCa5(PO4)3OHがあり、たとえ
ば、鉛(Pb)などの+イオン金属の場合、水酸化アパタイトの
Ca と置換され、分子式は、Ca5-nPbn(PO4)3OH(ただし、n は 5
以下)となります。
置換された同形構造アパタイトも、もちろん鉱物結晶として
のアパタイトの基本特性をもっています。そのため、いわゆる
従来から行われてきた「化学的不溶化」処理とは異なり、酸性
からアルカリ性の広い範囲で溶出しないばかりでなく、非常に
ガラパゴスリテラとの組み合わせによる六価クロム汚染土壌の浄化事例
採石場廃棄物のリサイクル で商品化しました。この添加剤は中性なため、従来のアルカリ
これまで採石場から発生する無機汚泥は、廃棄物として処分
されていました。しかしコマツは、この無機汚泥に簡単な改良
性の添加剤に比べて環境に優しく、地下水への影響がないこと
が証明されています。
を加えることで、優れた粘土特性と良好な水への溶解性が得ら
さらに1999年度には、新たに水の多い地盤で止水性と排土性
れることを発見。このリサイクル粘土の特性を活用して、地下
を著しく向上させる、掘削添加剤「グラベルコート」を商品化
掘削機械用添加剤をコマツアイエムエンジニアリング*と共同
しました。
添加剤注入サイクル
クリーンダンパー
ムルティ プランタ
水ホースまたは
泥漿ホース
水と添加剤を撹
拌し、ポンプで
圧送する
プラグゾーン 撹拌・プラグ形成
添加剤の注入を
調整
添加剤作液状況
注入
コマツ・ゼネラルアトミックス・エンジニアリング(株)は危険物・有害廃棄物・汚染土壌物質
などの処理、および処理技術や機器の開発・製造・販売を行っています。
コマツアイエムエンジニアリング(株)は、管推進機械の施工指導および掘削添加剤などの製
造・販売を行っています。
21
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 22
3 自然と共存する商品、サービスの提供
3.2 製品とサービスの環境負荷の低減
コマツの主力製品である建設機械は、資源開発や土木・農業
LCAに基づく中期環境技術開発目標(1999年度設定)
など人類の快適な生活を実現するために役立っています。コマ
2005年度
目標値
2010年度
ツではその考え方を一歩進め、人類だけではなく地球そのもの
(1)CO2排出量
に対しても優しい機械づくりの開発に取り組んでいます。製品
の環境への影響については大部分が設計段階で決まるといって
(2)リサイクル可能率
1998年度 PC200-6 … 81%
WA100-3…92%
も過言ではありません。そのためコマツは、建設機械のライフ
(3)環境負荷物質
△50%(1998年度比) △75%(1998年度比)
サイクルアセスメント(LCA)を行い、4項目の「LCAに基づく
(4)ライフサイクルコスト
△20%(1998年度比)
△5%(1998年度比) △10%(1998年度比)
97%以上 99.5%以上
中期環境技術開発目標」を設定、その達成に努力しています。
LCA の導入
0.7m3 油圧ショベルのライフサイクルCO2 排出量
素材
製造
コマツは、1998 年度より社内に研究会をつくり、ライフサイ
クルアセスメント(LCA)への取り組みを開始しました。そして、
使用(10,000h)
廃棄
1
すでに公表されている各分野でのLCA事例を参考に、コマツとし
て実行しやすい方法を構築するための簡易計算方法を標準化して
きました。1999年度は、これをもとに主な製品について、CO2 を
0
100
200
300
400
500
コマツ技術標準に基づく計算結果
600
(t CO2)
対象にしたインベントリー分析を実施し、環境に与える負荷レベ
ルの認識を深めるとともに、4項目の「LCAに基づく中期環境技
術開発目標」を設定し負荷低減のための指針としました。
また、LCAによって判明した圧倒的な比率を占める使用段階の
CO2 排出量については、エンジンだけでなく車体コンポーネント
環境負荷物質
環境負荷物質に関しては、2005年度に半減、2010年度にさら
に半減することを目標としています。そのために不凍液のノン
アミン化、ハンダの鉛使用廃止などを進めています。
を含めた総合的なアプローチにより、低減のための研究開発を推
進しています。コマツは、今後も「Ecology と Economy の両立」
を旗印に、環境保全と製品ライフサイクルコストの低減を同時に
追求し、お客さまに喜ばれる環境対応を進めていく予定です。
ライフサイクルコスト
EcologyとEconomyの両立を実現するため、以下のような技術
開発で、お客さまのライフサイクルコストを下げながら地球環
境に優しい製品を提供していきます。
中期環境技術開発目標
CO2 排出量
CO2 については、国全体の目標値を上まわる10%削減を2010
●オイル・フィルター等の使用寿命の延長による部品費・設備
費用の低減や、再生ゴムシューを低価格で提供するなどの活
動を進めています。
年度までに実施することを目標としています。現在は、2005年度
●リマン事業の展開により再生コンポーネントをリーズナブル
の目標値である5%以上削減を目標に製品の多くを開発していま
な価格で提供すると同時に、コンポーネントの寿命を延長す
す。
るための技術開発に注力します。
● CO2 低減、すなわち燃料費の低減活動を重点的に続けていき
リサイクル可能率
ます。
建設機械のリサイクル率は、自動車や家電製品に比べると従
来から高い値を示しています。そのため、2010 年度のリサイク
消耗品廃棄物量
ル可能率目標値は、完全リサイクルをめざして 99.5 %としまし
消耗品廃棄物についても同様に、2005年度に半減、2010年度
た。また、2005 年度の目標値である 97 %を達成するためには、
にさらに半減することを目標としています。たとえば、オイル、
たとえばパワーショベルではコンクリートカウンタウェイト、ゴ
フィルタ、不凍液については、寿命延長や廃棄量削減、廃棄容
ムシューをリサイクルできるようにする必要があります。2010
易化を進めています。同時に、ホース、ゴムシューなどのリサ
年度の目標値である99.5%を達成するためには、さらに10項目
イクル技術や再生技術により、廃棄物を再資源化するための開
のリサイクル技術開発が必要です。
発にも取り組んでいます。
22
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 23
3.2.1
□
燃費の向上
建設機械のCO2 の発生量は、燃料消費量にほぼ比例します。し
たがって、エンジンの燃料消費量を低減させることは、次の3つ
の効果をもたらす重要なテーマとなります。
①有限な地球資源を守る
②地球温暖化の原因となるCO2 を削減する
③お客さまに対しても、大きな経済的な効果をもたらす
コマツが建設機械などに使用しているディーゼルエンジンは、
ガソリンエンジンに比べて熱効率が高いため、もともとCO2 の発
生を抑制するうえでは有利な内燃機関です。しかしその一方で、
排気ガス中の規制物質の一つである窒素酸化物(NOx)を削減す
新開発の6D170系エンジン
る方策は、一般的には燃料消費率の悪化を招く傾向があります。
そのため、排ガス対策と燃料消費率低減を両立させることが、今
日のエンジン製造者にとっての最大の課題となっています。
次世代建設機械用エンジン制御システム
燃料消費率の低減には、車両トータルでの効率を上げること
コマツは、これまでもディーゼルエンジンの燃料消費率とし
も、非常に有効な手段となります。IPAでは、コマツグループの
ては世界最小レベルを維持してきました。しかし今後は、ます
一員として、コマツの車体特性を理解している強みと、グルー
ます厳しくなるエンジンへの要求に応えるためにもさらなる技
プ内にエレクトロニクス技術をもっていることの強みを生かし
術革新が要求されます。そのためコマツは、1998 年 1 月に世界
て、車両の実作業の中で、エンジンが常に最大効率で働けるよ
最大のディーゼルエンジン専門メーカーであるカミンズ(Cummins)
うな制御システムを開発しています。
社(米国)と共同で、新しい開発会社としてアイ・ピー・エー
*を設立しました。IPA は、常に燃料消費率が世界最小と
(IPA)
なるエンジンを開発し続けることを社是としており、1999 年度
は排ガス対策をする一方で、燃料消費量を低減させるため、以
下に示すような新しい噴射システムの開発などを実施しました。
バリアフリー対応の省エネルギー型
オートマチックトランスミッション
コマツでは、建設機械用エンジン以外でも、燃費の向上に取り
組んでいます。路線バスのバリアフリーに対応した低床型ノン
ステップバスが急速に普及しつつありますが、低床にするため
超高圧噴射システムの開発
2001 年から始まるオフロード機械に対する第二次排ガス規制
エンジンとオートマチックトランスミッションを車両後部に横
置き可能とし、さらに燃費向上のため、アイドリング時にはエ
では、規制値が一段と厳しくなり、従来の燃料噴射システムで
ンジンをストップさせる
達成できる噴射圧では、燃料消費率の低減と排ガス対策の両立
アイドリング・ストッ
は困難となってきます。これを解決するための有効な手段の一
プ・システム対応可能な
つに、燃料を高圧噴射し、燃料と空気の混合を促進して燃料消
省エネルギー型オートマ
費率を低減する方法があります。
チックトランスミッショ
コマツが 2000 年より量産を開始する 6D170 系エンジンには、
ン(ZF-ECOMAT)をコ
テムHPI(High Pressure Injection System)を搭載し、クラス最小
マツ・ゼットエフ・オー
トモーティブ*が生産、
燃費188g/kWhを達成しています。
販売しています。
クラス世界最大の噴射圧 196MPa を可能とした独自の噴射シス
ZF-ECOMAT(ノンステップバス用オートマ
チックトランスミッション)
(株)アイ・ピー・エーは小山工場内に活動拠点をおき、ディーゼルエンジンの開発・研究を行
っています。
コマツ・ゼットエフ・オートモーティブ(株)は大型バス、トラック用オートマチックトランス
ミッションを製造・販売しています。
23
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 24
3.2.2
□
燃費向上技術でもある高圧噴射システムの採用により、パティ
排気エミッションの低減
キュレートの増加や燃費の悪化を防止しています。また、これ
建設機械用エンジンについても1996年から本格的な排ガス規
以外にも、排気エミッション低減のために以下のような開発に
制が始まっていますが、コマツでは他のエンジンに比べて熱効
取り組んでいます。
率の優れたディーゼルエンジンが今後も主力になると考え、そ
のエミッション低減を最優先で進めてきました。なかでも NOx
空冷アフタクーラの採用
とパティキュレート(粒子状排出物)については、一般に、どち
ターボチャージャ付きエンジンでは、加圧により給気が、出
らか一方をよくすると、他方が悪化してしまうという背反関係
力によっては150℃をこえるような高温になってしまいます。こ
にあり、これらの低減を両立させることが技術上の課題となっ
の結果、燃焼温度の高温化によるNOx増加を招くばかりでなく、
ています。
吸入空気密度の低下により、圧力上昇分ほどには性能の改善が
NOx 低減には、燃料の噴射時期を遅延させる方法が広く採用
得られないという問題がありました。
されていますが、これだけでは燃焼が悪化し、パティキュレー
これに対してコマツは、第一次排ガス規制に対しては、エン
トの増加や燃費の悪化を招いてしまいます。そこでコマツでは、
ジンの冷却水を利用する水冷式アフタクーラを採用し、給気温
建設機械の排ガス規制と
ディーゼルエンジンの現状
コマツの低エミッション・ディーゼルエンジン
空冷アフタクーラ
対策前
0.6
パ
テ
ィ
キ
ュ
レ
ー
ト
ターボチャージャ+給気冷却
*1
USEPA 第1段階規制
(1996∼)
0.4
︵
g
/
HPh
︶
0.2
高圧燃料噴射ポンプ
量産中
USEPA第2段階規制
(2001∼)
開発中
燃料促進型FCDピストン
空気流動促進
0
2
4
6
8
*1 USEPA は米国環境保護庁の略です。
24
10
NOx
(g/HPh)
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 25
度を下げて NOx の低減をはかりました。さらに、現在は第二次
排ガス規制に向けて、よりいっそう効果の大きい空冷アフタクー
ラ付きエンジンを開発中です。
3.2.3
□
騒音・振動の低減
コマツでは、騒音を低減するために従来から積極的に開発に
空冷アフタクーラは、エンジンの冷却水よりも低温な外気を
取り組み、すでに従来車よりも10dBも静かな超低騒音の研究車
利用して給気を冷やすため、NOxを低減できるだけではなく、パ
(油圧ショベルPC128UU)を開発しました(周囲7m地点で、従
ティキュレートや燃費の低減にも効果が期待できます。コマツ
来車の騒音値は70dBでしたが、研究車の騒音値は60dB)
。これ
では、すでに一部の機種に空冷アフタクーラの搭載を開始し、第
は人間が聴覚でとらえる騒音を 10 分の 1 まで減らす効果をもつ
二次排ガス規制段階では、多くの機種に空冷アフタクーラを採
ことを意味します。この技術を油圧ショベルに限らず広く適用
用する予定です。
するため、ブルドーザ、ダンプトラックなどのあらゆる量産モ
デルに採用可能な低騒音デバイスの開発を行うとともに、設計
FCDピストンを利用した燃焼室形状の最適化
の標準化を進めています。
パティキュレートを低減するには、燃焼室内での燃料と空気
具体的な対策では、エンジンルームへの空気口からの騒音を下
の混合を促進する必要があります。コマツでは、高強度の FCD
げる吸音ブレード、吸音ベンチレータ、高性能吸音材の採用、排
ピストン採用による燃焼室形状の最適化と、吸入通路形状の工
気管の高性能化などにより、建設機械の低騒音化を推進してい
夫による空気流動促進の組み合わせにより、パティキュレート
ます。1999 年度は、低騒音化デバイスを油圧ショベルの 2 機種
の低減を達成しています。
に採用するとともに、リサイクル化推進のため、建設機械とし
ては初めてPET 繊維の吸音材を採用しました。
第三次排ガス規制への対応準備
2005 年からさらに厳しい第三次排ガス規制が予定されていま
す。コマツでは、第三次規制をクリアするための技術の先行研
究に積極的に取り組んでいます。
規制に適合したエンジンの生産・出荷
エンジン生産部門のある小山工場内に、エンジン環境グルー
プを設立。定期的なエンジン排ガスレベルの検査などにより、常
超低騒音の研究車
(油圧ショベル
PC128UU)
に規制に適合したエンジンが生産・出荷されていることを自主
的に監査しています。
主な騒音対策例
排気口騒音対策
・高性能吸音
ベンチレータ
・多重液路吸音ダクト
排気騒音対策
・大容量2ウェイ
排気マフラー
・サイレンサー内蔵尾管
高性能
複合吸音材
FCD ピストン
吸気口騒音対策
・高性能吸音プレード
エンジン騒音対策
・高剛性シリンダーブロック
・軽量FCDピストン
・吸音材遮音カバー
25
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 26
3.2.4
□□
環境負荷物質の低減
リサイクル困難なプラスチック材料
FRP、塩化ビニール、ハロゲン系難燃処理材の新規用途の使用
コマツは 1988 年にはアスベスト製品の廃止、MSDS*整備な
制限を実施します。特にFRPは、他のリサイクル性のよい材料へ
ど、OSHA*勧告に基づき、いち早くこれらに対応してきました。
の積極的な代替を進めていきます。また、ダイオキシン発生の恐
また、1992 年にはプラスチック部品の分別回収記号刻印を全社
れのある塩素を含む材料に関しても、購買部門、部品メーカーと
で開始するなど、早期に環境対応を心がけてきました。
共同で、塩素フリーな材料に代替する活動を推進しています。
そして1992年の「コマツ地球環境憲章」制定以降、環境保全
に関する意識はさらに高まり、1999 年には、コマツは建設機械
その他のリサイクル困難な材料
の環境負荷を全体的にとらえて評価し、企業として総合的に低
グラスウール、複合材料部品の代替を推進します。吸音、断
減していく活動を開始しました。これにともない、環境負荷物
熱用途で使用しているグラスウールは、ウレタン、PET 材への
質に関しても技術分科会で以下の方針を立て、開発部門に徹底
代替を進めています。複合材料であるゴムシューは、部分補修
することとしました。
の容易なロードライナーのようなリサイクルしやすい構造への
変更や、リサイクル方法自体を検討しています。
全面禁止を明確にする物質
PCB、アスベスト、特定フロンの3物質を特定しました(すで
に禁止済みであるが再確認の意味で設定)
。
コマツは、これらの方針の徹底と標準化(KES*)を 1999 年
度中に実施しました。なお、購入部品に対しても同様な処置が
必要なため、1999 年に発行した『グリーン購買ガイドライン』
使用を限定する物質
重金属などの環境負荷物質(水銀、鉛、カドミウム、ひ素、セ
に「グリーン購買規制対象物質一覧表」という項目を設け、梱
包、包装などの副資材も含めて規制物質を記載しています。
レン、六価クロム、代替フロン、トリエタノールアミン)は、ど
うしても代替の困難な現在の用途(たとえばハンダなど)以外
の用途は使用不可とします。現在の用途に関しても、使用を削
減する努力を鋭意継続します。
環境 KES について
KES(コマツ技術標準)は、コマツの社規、技術標準基本則に
環境 KES は、環境に関する各種標準類の内容を全社で審議し
基づいて社内の技術標準委員会で審議され、技術部門の長により
KESの形に仕上げ、正式にコマツの標準としてコマツグループに
公布されるコマツグループ共通の社内規格です。ISO、JISなどの
公布された独自の標準です。
規格で規定されていない項目や内容についてコマツ独自の技術を
環境KESが制定されるということは企業の目的に環境が位置づ
標準化したものです。これは企業の目的に沿ってつくられるもの
けられることであり、かつ具体的な技術作業の「拠り所」
「守るべ
で、繰り返し行われる技術作業に対し、製品の品質向上・原価低
きもの」として、環境対応へのガイドラインが引かれたことを意
減または技術作業の合理化のための「拠り所」となるものである
味しているといえます。
と同時に「守るべきもの」でもあります。
MSDS: Material Safety Data Sheet 化学物質の安全性に関するデータシート
OSHA:Occupational Safety & Healthy Administration 職業安全衛生局
KES:Komatsu Engineering Standard コマツ技術標準
26
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3.2.5
□
そして、コマツの主力商品である建設機械においても、機械
リサイクル可能率の向上
のライフサイクルに「3つのR」を位置づけ、リサイクル活動を
プラスチック部品に材質識別記号を表示
徹底しています。
1980 年代後半より建設機械の都市土木向け需要が増大し、外
観の意匠性や運転室内の居住性などへの要望が強くなり、これ
リサイクル可能率の向上をめざして
に対応してプラスチック部品が多く使われるようになりました。
さらに1998年には、リサイクル可能率のさらなる向上をめざ
コマツはこの時点で、これらが廃棄されるときを想定して、プ
して以下の「リサイクル可能の定義基準」を設け、社内での認
ラスチック部品に材質識別記号をつけることを、1992年業界に
識の共通化をはかっています。
先駆けて開始しました。
①リサイクルしやすい材料を使用する
②リサイクルしやすい構造を採用する
リサイクルコンセプトを構築
③リサイクルされた材料を活用する
また1993年度には、地球環境保全、資源保護の観点から、コ
④環境負荷物質の使用を削減する
マツのリサイクル活動の基本的な考え方を「3つのR」という表
現でまとめました。
開発部門の取り組み
① Reduce:捨てるものを減らす
開発部門では、この定義基準を具現化するための設計基準を
・消耗品:使用量を減らす
整備する一方で、現在発売中の機種についても試算を行い問題
・耐久財:長寿命化をはかる
点の把握をしています。そして、コマツと関係する材料・部品
②Reuse:そのまま製品、部品として再利用する
専門メーカーにコマツのリサイクルの考え方や現状の問題点を
・中古市場での商品価値向上
説明し、理解と支援を得ながら共同でその解決をめざしていま
・コンポーネント、部品のリビルド拡大
す。今後は、よりいっそうリサイクル実行率を向上させていく
③Recycle:形態を変化させて再資源化する
ために、解体容易化などの改善に取り組んでいきます。
・Material Recycle:材料、原料としての再利用
・Thermal Recycle:熱エネルギー源としての再利用
主な製品のリサイクル可能率
建設機械のライフサイクルと
「3つのR」
Recycle
車両
工程内リサイクル
(材料・エネルギー)
Reuse
販売・サービス
中古車
リサイクル可能
81%
製造
(メーカー)
使用
(お客さま)
Reduce
・長寿命化
・使用量減
Recycle
材料
油圧ショベルの例
(PC200-6)
Reuse
中古部品
使用済み車両
再生部品
エネルギー
解体
(処理業)
鉄・非鉄金属
ゴム・
プラスチック
リサイクル可能
92%
車体
ホイールローダの例
(WA100-3)
27
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 28
3.2.6
3.2.7
□
□
バイオオイルの開発
ゴムシュー履帯のリサイクル
建設機械の特殊性とバイオオイル
使用済み部品の中でも、ミニ∼中型油圧ショベルなどで広く
建設機械は屋外で稼働することが多く、高圧ホース破損やオ
使われているゴムシュー履帯は、その数量、廃棄処理費用など
イル交換などで油漏れが起こった場合、周辺環境の汚染につな
の影響が大きいため、優先度の高い課題としてリサイクルに取
がります。こうした状況に配慮して、1980年代に欧州では、水
り組んでいます。
源地や森林の汚染を防ぐ目的で、一部の環境保護区域内で作業
する建設機械に対し、生分解性作動油(バイオオイル)を使用
使用済みゴムシューの処理
することを行政指導しました。バイオオイルは通常のオイルと
使用済みゴムシューは、年間約14,000 本発生しています。ディ
は違って天然油脂を原料としているため、地面にこぼれた場合
ストリビュータでは、次のような方法でその処理を行っています。
でも、土中のバクテリアにより自然に分解されてしまう性質が
①再生
あります。
②電炉リサイクル
③焼却(焼却後、鉄部のみスクラップ処理)
④産業廃棄物処理(マニフェスト管理)
コマツの対応
このバイオオイルを、現在稼動している最新の建設機械でも
使用することを目的に、コマツは「コマツ純正バイオ作動オイ
ル BO46-G4」を世界に先駆けて開発しました。この製品は、従
来のバイオオイルがもつ環境安全性に、建設機械の能力を損な
わない機能を加えたもので、次のような特徴を備えています。
①生分解性をもち、環境負荷が少ない
②過酷な条件で稼働する建設機械の耐久性を損なわない
③設計変更や専用部品が不要
④従来のバイオオイルに比べ十分なブレーキ力を保有
⑤オイル交換時に前の油と混ざっても問題を起こさない
⑥飛散しても回収しやすく、しかも環境に影響を与えない
これらの高い品質・性能が認められ、1997 年度には日本建設
機械化協会奨励賞を、また1998年度には日本機械学会奨励賞(技
術)を受賞することができました。1999年度には、従来よりも厳
加硫プレスによる再生作業
しくなった新しいエコマークを取得しています。
バイオオイル
28
収集場での再生不可能品積み込み作業
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 29
このうち、焼却、産業廃棄物処理は環境へ影響をおよぼす可
能性が高いため、コマツでは再生可能なゴムシューに関しては、
再生を処理方法として推奨しています。
開発段階からの対応
さらにコマツでは、リサイクル性に優れたロードライナー方
式ゴムシューを開発し、採用を進めています。ロードライナー
方式ゴムシューは、従来の一体型ゴムシューに比べ、分割式で
再生への取り組み
破損箇所だけの交換が可能であり、また廃却時の解体性に優れ
使用済みゴムシューの再生にあたっては、次の2つのポイント
ています。
が重要となります。
①良質な再生用パーツの回収
②安価な物流コストの実現
コマツではこれを解決するために、コマツ部品*と共同で独自
の再生ルートを確立。他社に先駆けてゴムシューの再生・販売
再生前ゴムシュー
事業を開始し、全国2カ所の再生センターでは年間約 3,000本の
使用済みゴムシューを再生しています。
再生不可能品の電気炉でのリサイクル
ゴムシューの状態が不良な場合は、鉄の原料として電気炉で
処理します。これは、建設機械工業会主導によるリサイクル活
動で、現在、東北・関東・関西/中部の3地区で実施しています。
再生後ゴムシュー
1999年度の処理実績は約 200t。今後この方法を推進していくた
めには、全国のメーカーとの協力、運送費の低減化などのこま
めな対応が必要となってきます。
使用済みゴムシューの処理方法
再生
ゴムシューに再生
電炉リサイクル
鉄のリサイクル
使用済みゴムシュー
環境負荷
鉄スクラップ
焼却
最終処分場の減少・遠方化
産廃処理
マニフェスト管理
コマツ部品(株)は、部品・用品の販売政策、商品企画の統括、商流・物流などの活動を行って
います。
29
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 30
3.2.8
□
リマン
リマンとは
リマン(Reman)とは「再製造」を意味する「Remanufacturing」
の略語です。
コンポーネントを、下記ポスターに示すように、さまざまな
工程を経て新品同等の品質によみがえらせ、不具合の修理や定
期オーバーホールなどの際に載せ替えます。また、この載せ替
えた古いコンポーネントはリマンセンタで再製造し、リマン商
品として再び市場へ供給します。これがコマツの「リマン事業」
の考え方です。
リマンと似た考え方に、リビルド(Rebuild=再組み立て)が
リマンの特徴
コマツのリマン事業には、次のようなメリットがあります。
①新品同等の品質・性能を保有・保証しているので安心し
て使用できる(Quality)
②新品コンポーネントに比べて割安で、機械のランニング コストを低減できる(Cost)
③適正に在庫されたリマン品をすぐ載せ替えることにより、
機械の休車時間を短縮できる(Delivery)
④コンポーネント・部品のリユース・リサイクルによる資
源の節約と廃棄物の削減ができる(Ecology)
このように、コマツのリマン事業はお客さまにとって多くのメ
リットのある事業であり、しかも環境保全にも寄与しています。
あります。このリビルドとは、基本的にお客さまが要望する部
分だけに補修を加えることをいいます。リビルドの場合、それ
リマン事業の展開
ぞれのコンポーネントの品質が異なってくるため、新品同等の
コマツは、世界6地域にリマンセンタを設置し、事業の拡大を
保証ができる場合と、できない場合が出てきます。また、コン
推進しています。日本ではコマツリマン*が、エンジン、トラン
ポーネントを修理する間、機械を止める必要もあります。この
スミッション、トルクコンバータ、油圧シリンダーなどの建設機
ようにリマンのほうがリビルドよりも優れた考え方といえます。
械の主要コンポーネントを対象として「CRユニット」という名
称で取り扱い、リマン事業を推進しています。ここでは、資源節
約という観点から日本のエンジンの事例を主に紹介します。
リマンの工程を示すポスター
30
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 31
エンジン部品の寿命延長
リサイクル
関連するコマツ各社が共同で、エンジンの耐久性を高めるた
これまでは、使用できなくなったコンポーネントはお客さま
めの取り組みと同時に、リマン性の高い製品の開発に努めてい
やディストリビュータなどで廃棄してきました。しかし、現在
ます。リマン性を高めるために必要とされるのは、エンジンにど
は再使用のためにリマンセンタに返却しています。1999年現在、
れくらいの耐久性をもたせるか、オーバーホールの時期をどう
エンジンの返却率は98%をこえています。
設定するか、最終耐久性目標をどこにおくかなどの項目です。そ
コマツリマンでは、それらコンポーネントを加修・リユース
のため、世界 6 地域のリマンセンタと共同で建設機械の稼働デー
し、CRユニットを製造しますが、加修・リユースできない鋳造
タを収集し、各部品ごとに具体的な目標を設定のうえ、耐久性・
部品についてはコマツキャステックス*小山製造部へ返却。同工
リマン性の高い製品を開発しています。
場で溶解されて再び新品の部品に生まれ変わります。
リユース
リマンマニュアルの作成
リマン事業では、お客さまより返却されたコンポーネントを
部品のリユース率の向上をはかるために、部品の再使用可否
分解し、部品の一点一点について厳格なリユース可否基準と照
基準の設定、部品の加修要領などについて、開発部門、製造工
らし合わせ、リユース可能部品を選別しています。リユース可
場とコマツリマンと共同でリマンマニュアルを作成しています。
能部品を増やすということは、資源の節約、廃棄物の削減と同
また、環境に優しい洗浄液を海外リマンセンタへ紹介するなど、
時にコストの低減にも結びつきます。
海外での環境対応にも考慮しています。
たとえば、12V140系エンジンでは、検査、選別、加修の技術
を向上することによって、事業開始当初に比べ1999年度では部
品のリユース率は26%向上しました。
世界のリマンセンタ
英国/ニューカッスル
KEISA リマンセンタ
★
日本/コマツマリン
総合研修所
■
★
★
南アフリカ/ヨハネスブルグ
KSA リマンセンタ
★
★
コマツ
米国/レキシントン
コマツリマン
ノースアメリカ
インドネシア/バリクパパン
P.T. コマツリマニファクチャリングアジア
★
豪州/ブリスベン
NSK イーストコーストリマンセンタ
豪州/パース
NSK ウエストコーストリマンセンタ
コマツリマン(株)は、リマン事業によりエンジン、トランスミッション、油圧機器などの再生
販売を行っています。
コマツキャステックス(株)は、建設機械や産業機械に使われる鋳物を生産すると同時に、鋳物
生産技術をもとに各種生産設備を開発、提供しています。
31
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 32
4 生産における環境保全
4.1 生産における環境保全活動
大気や土壌、水はすべて、生産活動による影響を受けやすい
ともに、この世界標準に沿って環境パフォーマンスの継続的な
存在です。コマツは、環境保全目標を各工場ごとに設定。生産
改善活動を着々と進めています。コマツの各工場では、この改
活動における環境負荷の低減活動を通じて業界の「トップラン
善活動を「トップランナー」活動と称して、その先進性を誇れ
ナー」をめざします。
る目標を掲げ、次の各項目に取り組んでいます。
①省エネルギー
生産における環境保全活動
②オゾン層保護
生産における環境対応を怠ることは、私たちの生産活動自体
③資源有効利用「ゼロエミッション」活動
にも大きなリスクを与えかねません。生産現場の環境保全活動
④環境に優しい生産技術の開発
は、従来の「できることから」ではなく、
「やるべきことすべて」
⑤法規制の遵守と汚染予防
に積極的に取り組んでいます。
・有機塩素系洗浄液の使用全廃
また、全世界に展開するコマツの生産活動を環境に優しいも
・地下埋設油タンクの恒久対策
のにするためには、そのための活動もまた、グローバル・グルー
・PRTR化学物質の管理
プワイドに進めていかなければなりません。海外を含むコマツ
・廃棄物焼却炉の廃止
の生産事業所では、地球環境憲章の理念にのっとり、環境の国
⑥グリーン購買
際規格であるISO14001に沿った環境管理システムを構築すると
⑦物流改善
コマツの生産活動にともなう環境負荷( 1999年度)
[インプット]
[アウトプット]
エネルギー
大気への放出
313GWh
12千kL
11千kL
2.4千kL
1.3百万Nm3
4.2千t
LPG
ガソリン 0.24千kL
コークス 2.4千t
電力
A重油
灯油
軽油
都市ガス
CO2
SOx
NOx
PRTR対象物質
57千tC
56t
308t
435t
水域への放出
排水
4.8百万t
騒音・振動・悪臭の発生
コマツ生産事業所
水資源
地下水
上水
6.2百万t
0.68百万t
廃棄物の発生
[環境リスク]
土壌・地下水汚染
発生量
内PRTR対象物質
(廃棄物焼却炉
35千t
48t
全廃)
地下埋設油タンク
PCB保管
副資材
塗料
設備油脂
有機塩素系洗浄液
特定フロンなど
1.2千t
2.7千kL
使用全廃
使用全廃
廃棄物のリサイクル
地盤沈下
リサイクル量
社内処分場
社外委託処分量
集計範囲:コマツ生産事業所とコマツキャステックス氷見工場
CO2 排出量:使用した電力や重油など(インプットのエネルギー欄)に「CO2 排出係数」
(環境庁地球環境部『二酸化炭素排出量調査報告書』による)を乗じて算出
SOx 排出量:使用した重油と灯油、軽油、コークスに「S 含有率」を乗じて算出
NOx 排出量:使用した重油と灯油、軽油、都市ガス、LPG に「NOx 発生係数」
(自社排ガス測定データから設定)を乗じて算出
PRTR 対象物質排出量・移動量:経団連『PRTR の指針』に基づき、使用した副資材などに「PRTR 対象物質含有率」と「排出率・移動率」を乗じて算出
32
25千t
廃棄物の処分
5.1千t
5.6千t
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 33
4 生産における環境保全
4.2 省エネルギー
コマツは、コジェネレーションシステム、省エネルギー型浸
炭炉などの省エネルギー設備を導入する活動と、空調の調整、照
取り組み事例
コジェネレーションシステムの導入
明の改善など身近なレベルの活動の双方を展開しています。
粟津工場、大阪工場、小山工
場ではコマツ製ディーゼルエ
省エネルギー目標と現状
ンジンを使ったコジェネレー
日本は 1997 年の京都会議(COP3)で、温室効果ガス(主に
ションシステムを1990年度か
CO2)排出量を 2008 ∼ 2012 年までに 1990 年度比 6 %削減する
ら逐次導入し、現在その発電
ことを公約しました。
能力は、設置工場の契約電力
コマツでは、生産活動に使用する電力・燃料ガス・燃料油な
の12%を占めています。
コジェネレーションシステム
どあらゆる種類のエネルギーを対象に、生産金額(総製造費用
のうち材料費、部品費を除いた金額)あたり原油換算使用量を
省エネルギー型浸炭炉の導入
2010 年度までに 1990 年度比 15 %削減する目標を掲げ、積極的
1998年、コマツ粟津工場で
に省エネルギー活動を推進しています。
は、回転する浸炭室に処理条
件の異なる部品を連続投入で
エネルギー使用量
エ 150
ネ
ル
ギ
ー
使
用 100
量
︵
原
油
換
算 50
︶
︵
千
kL
︶
100 生
使用量指数87.5
目標85
使
用
量
=
産
金
額
あ
た
90 り
使
用
量
指
数
80 ︵
’90
年
度
100
1990
1995
1996
1997
1998
1999
2010
70
︶
年度
集計範囲:コマツ生産事業所とコマツキャステックス氷見工場
生産金額:工場の総製造費用から直接材料費、他工場部品、
購入部品費を除く金額
きる回転炉床型フレキシブル
浸炭炉を導入。従来比50%減
の省エネルギーを達成しまし
た。
回転炉床型フレキシブル浸炭炉
コマツ電子金属での取り組み
コマツ電子金属*では省エネルギー活動、省資源活動を積極的
に進めています。長崎工場では、省エネルギー活動として、製
品歩留まり向上による使用電力の削減、各種ポンプ・ファンの
モーターへのインバータ制御の採用、力率改善用コンデンサーの
設置など、むだな電力消費をなくす工夫を進めています。その
結果、生産量あたり使用量指数を、1995年度に対して1999年度
には33% 削減しました。
また省資源活動として、シリコン材料の有効利用を目的とし
1999 年度のエネルギー内訳
軽油 2
て、従来は製品として利用されず処分されていたインゴット部
コークス 2
その他 2
LPG 7
分について、破砕、洗浄および分別に関する技術改良を行い、リ
サイクル材としての使用を進めています。
A重油
17
その他 1
電力使用量指数推移
灯油
15
コマツ コマツG コマツ
電子 209千kL
85
金属 (原油換算)
84
コマツキャステックス氷見 24
小松フォークリフト 7
電力
164
=
小松ゼノア 7
電 100
力
使 75
用
量 50
指
数
︵ 25
’95
年
度 0
1995
1996
1997
1998
100
電力使用量は単位ウェーハ生産量あたりに換算して指数化しています
︶
集計範囲:コマツグループ生産事業所
1999 年度
コマツ電子金属(株)は、半導体材料であるシリコンウェーハの製造・販売を行っています。
33
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 34
4 生産における環境保全
4.3 オゾン層保護
世界的な環境問題となっているオゾン層破壊防止のために、コ
コマツは同法施行に先駆けて代替技術開発を進め、生産活動
マツでは特定フロン、1.1.1-トリクロロエタン、四塩化炭素を
で使用する特定フロン、1.1.1-トリクロロエタン、四塩化炭素を
1995 年度末までに全廃。今後は、コンピュータビル消火装置内
1995 年度末までに全廃しました。今後は、コンピュータビル消
に消火剤として保有しているハロンと HCFC の削減活動を継続
火装置内に消火剤として保有しているハロンと HCFC の削減活
します。
動を継続します。
特定フロンなどを1995年度までに全廃
取り組み事例:1.1.1-トリクロロエタン
成層圏に近いオゾン層は、人体に有害な紫外線を吸収する機
1.1.1-トリクロロエタンは、不燃性で脱脂力、浸透力が大きい
能をもっています。しかし近年、主として製造活動で使用され
などの特徴があるため、金属部品の洗浄用途を中心に幅広い産
大気中に放出された特定物質がオゾン層を破壊し、地表への紫
業で使用されてきました。
外線照射量を増大させてしまいました。これに対応するために、
コマツ生産事業所においても部品脱脂洗浄剤として使用して
オゾン層保護のための国際的な枠組み「モントリオール議定書」
いましたが、オゾン層保護と土壌・地下水汚染防止を目的に、水
が合意され、日本でも1988年に「オゾン層保護法」が成立。特
系・アルコール系などの洗浄剤への代替化をはかり、1993 年度
定フロン、1.1.1-トリクロロエタンなどは 1996 年に製造中止に
末までに使用を全廃しました。
なりました。
「モントリオール議定書」に基づく規制スケジュール
物質名
規制スケジュール
特定フロンなど
1996年全廃
ハロン
1994年全廃
四塩化炭素
1996年全廃
1.1.1-トリクロロエタン
1996年全廃
HCFC
2020年全廃
HBFC
1996年全廃
臭化メチル
2005年全廃
コマツグループ生産事業所の関連物質
大阪工場歯車洗浄装置(洗浄液:水系アルカリ洗浄剤)
34
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 35
4 生産における環境保全
4.4 資源有効利用活動 「ゼロエミッション」活動
コマツは、生産活動における廃棄物を限りなく減らすととも
取り組み事例:電気炉の鉱滓(スラグ)
の路盤材化事業
に、発生した廃棄物を他分野の原料として活用する「ゼロエミッ
鋳物生産工場から発生する鉱滓(スラグ)などの廃棄物は、廃
ション」活動を推進しています。たとえば、従来は廃棄物とし
棄物全体の70%以上を占めています。そのため、これを有効利
て扱っていた電気炉の鉱滓(スラグ)を、現在では路盤材とし
用する技術の開発は最重点課題となっていました。この課題に
て商品化しています。
対し、コマツキャステックスは電気炉の鉱滓を破砕・分級して
路盤材に活用する技術を確立し、その処理プラントを設置し、
「ゼロエミッション」活動の推進
「ガラナイス」という商品名で販売を開始しました。
1994 年に国連大学は、産業から出る廃棄物を原料として活用
「ガラナイス」は従来のコンクリート破砕品に比べ、締固め性
する「ゼロエミッション」という考え方を打ち出しました。こ
などに優れた特性をもっており、商品として展望が開けたため、
れを受けわが国でも、資源循環型産業社会をめざすさまざまな
鉱滓の全量リサイクル化が可能となりました。また、このリサ
試みが進んでいます。
イクル事業の立ち上げにより、構内にあった廃棄物処分場をす
コマツもこうした取り組みの一環として「ゼロエミッション」
べて閉鎖しました。
活動に積極的に取り組み、まずモデル事業所(小山工場)で、
2003年度までに埋め立て処分や焼却処分する廃棄物をゼロレベ
鉱滓リサイクルフロー(コマツキャステックス 1999年度)
ルにする計画を推進しています。また、全社レベルでは2010年
廃棄物量
17千t / 年
度までにゼロレベルにすることを目標に、生産活動で発生する
廃棄物の減量化・リサイクル化を進めています。
アーク炉鉱滓
6千t / 年 廃砂・ダスト
7千t /年
資源有効利用活動の目標と現状
コマツの廃棄物発生量(リサイクル量+処分量)
リサイクル処理プラント
100 生
処 60
分
量
・
リ
サ 40
イ
ク
ル
量
︵
千 20
t
︶
処分量指数32
処
分
量
リ
サ
イ
ク
ル
量
0
1990
1992
1994
1996
1998
1999
集計範囲:コマツ生産事業所とコマツキャステックス氷見工場
集計対象:1990∼1997年度、産業廃棄物のみ
1998年度以降、一般廃棄物を含む
2010
0
●磁選機による鉄資源除去・回収
●フルイによる粒径別分級
●配合装置による粒径指定配合
●ストック・ダンプ積み込み
路盤材製品化
(ガラナイス)
6千t / 年
100
1999年度コマツグループ生産事業所廃棄物発生量
(リサイクル量+処分量)
100 生
処分量指数7.4
リ
サ
イ
ク
ル
量
その他 1
金属くず コマツ
コマツ
電子
5
金属 コマツグループ 19
15
廃酸
1990
1992
1994
1996
1998
1999
2003
年度
0
︶
鉱滓
廃砂
25
57千t
3
廃油
4
=
産
金
額
あ
た
り
処
50 分
量
指
数
︵
’90
年
度
その他 3
ばいじん 1
木くず 2
紙くず 2
廃プラ 3
100
0
社外リサイクル
7千t /年
セメント原料ほか ︶
年度
小山工場廃棄物発生量(リサイクル量+処分量)
処 15
(100)
分
量
・
リ
サ
イ 10
処
ク
分
ル
量
量
︵
千
t 5
︶
/
●パワーショベルによる混合・破砕・投入
=
産
金
額
あ
た
り
50 処
分
量
指
数
︵
’90
年
度
小松ゼノア 2
小松フォークリフト 3
コマツ
キャステックス氷見
17
汚泥 11
集計範囲:コマツグループ生産事業所
35
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 36
4 生産における環境保全
4.5 環境に優しい生産技術
生産における環境保全対策の一環として、コマツは「1コート
塗装の開発」
「ドライ切削」などさまざまな技術開発に取り組ん
でいます。
地下空気清浄機(土壌ガス吸引法)
コマツは、土壌汚染の浄化装置にも取り組み、
「地下空気清浄
機(土壌ガス吸引法)
」を開発しました。原理としては、土壌中
の有機塩素系溶剤を真空吸引して、土壌を浄化し、ガスを活性
環境に優しい生産技術の事例
炭で回収します。この装置の特徴は、地下水の水面直上(ガス
1コート塗装の開発
濃度がもっとも高い)から集中的に吸引できる構造で、特許を
建設機械の大物主要部品の塗装は、優れた外観品質と耐久性
出願中です。
を確保するために下塗りと上塗りの2コート塗装をしていました
が、コマツグループ生産事業所では塗料メーカーと協力して1回
簡易爆気装置+地下空気清浄機による簡易型浄化装置(揚水法)
の塗装で同等の性能を有する1コート塗料を開発し、大幅なプロ
コマツは、簡易爆気装置と地下空気清浄機とを組み合わせた
セス簡略化をはかりました。
地下水汚染の浄化装置を開発しました。原理としては、まず地
これによって大気に排出される揮発性有機溶剤(トルエンや
キシレンなど)は66%削減されました。
下水を汲み上げ、有機塩素系溶剤をガス化(爆気)させ、それ
を上記の地下空気清浄機で回収します。このシステムの特徴は
爆気に空調用クーリングタワーを利用した点で、これにより低
[2コート塗装のプロセス]
前処理
下塗り塗装
濃度で大量の地下水を安価で効率的に処理できます。
乾燥
手入れ
(防錆性)
上塗り塗装
乾燥
(耐候性)
地下空気清浄機(土壌ガス吸引法)
[1コート塗装のプロセス]
1コート塗装
前処理
600D×1000L×1000H
乾燥
(防錆性と耐候性の両立)
標準5m・最大10m
活性炭25kg×3段
吸引ホース
ドライ切削の適用
地表
機械加工工場では、寸法精度の安定化や工具寿命延長などを
2.5m
目的に、切削油や切削液を使用しています。コマツ生産事業所
吸引管
(据え付けは
電柱埋設機で実施)
ではこの廃棄物(廃油)の減量化をはかるため、1999 年度から
3年計画でドライ切削(切削油ゼロ、エアー噴射のみ)とセミド
ライ切削(微量の霧状切削油噴射)の適用拡大活動を進めてい
ます。またこの活動で開発した有効な生産技術について特許 4
主仕様
風 量:1.15m3/分
最大静圧:950mmAq
電 源:単相or三相
280W(60Hz)
地下水位
地下水ガス分離装置
(吸引管の構造は特許出願中)
件、実用新案4件の出願や取得を行いました。
簡易爆気装置+地下空気清浄機による簡易型浄化装置(揚水法)
簡易爆気装置(クーリングタワー)
ドライ切削適用対象
ドライ切削
加工区分
旋削
○
面削
○
歯車加工
○
ねじ穴
穴あけ
セミドライ切削
(○)
地下空気清浄機
送水ポンプ
P
○
標準
深穴
P
○
水槽
研削
全機械加工設備:1,461台
内適用対象設備: 740台
1999年度実施: 346台
36
井戸
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 37
4.6 法規制の遵守と汚染予防
4 生産における環境保全
コマツは国や自治体の規制値を遵守し、実測結果の定期的報
告や保管を確実に実施しています。また、
「有機塩素系洗浄液使
地下タンクの改善(対策)
地下タンクから土壌への漏洩などを予防するために、地上化、
用ゼロ化」
「地下タンクの改善」など汚染予防対策にも積極的に
二重壁化および統廃合を計画的に進めています。コマツ生産事
取り組んでいます。
業所では、設置後25年以上を経過した地下タンクは、1999年度
中に対策をほぼ完了しました。 2000年度中には20∼25年未満の
汚染予防のための対策
地下タンクについて、同様の対策を実施していきます。
有機塩素系洗浄液使用ゼロ化
コマツグループ生産事業所でも同様の対策を実施中で、2001
水質汚濁の規制物質であるトリクロロエチレン、塩化メチレ
年度末までに対策を完了する計画です。
ンなどの有機塩素系洗浄液の使用を、コマツ生産事業所では1998
年度末までに自主的に全廃しました。グループとしても1998年
度より2001年度末にゼロ化をめざした活動に取り組んでいます。
化学物質の管理
コマツは PRTR 法制化に先立ち、1997 年から 174 物質を対象
とした経団連のPRTR 自主取り組みに参加し、排出・移動量の把
焼却炉の廃止
握に努めてきました。1999 年度の「経団連自主取り組み」によ
ゼロエミッション活動により焼却物の大幅削減をはかる一方
で、ダイオキシンの発生源となる焼却炉についても順次閉鎖撤
るPRTR対象環境汚染物質の調査結果は、下表のとおりです(数
値は、コマツ生産事業所とコマツキャステックスの合計値)
。
去を進め、コマツ生産事業所では1999年度中にすべてを廃止し
また、1999 年度には、粟津工場に化学物質の管理システムを
ました。また、コマツグループ生産事業所でも8基を廃止し、残
導入し、対象化学物質の拡大や試行を通じて、データの蓄積や
り3基についても、2000年度中の廃止をめざしています。
システムの整備などを行いました。2000 年度には他事業所への
導入を始めます。
有機塩素系洗浄液の使用(コマツグループ生産事業所)
20年以上経過の地下タンクの改善(コマツグループ生産事業所)
基 60
数
100
=
指
数
︵ 100
’97
年
度
累積改善率
45
100
︶
51
基
数
30
全タンク数140基
62%
50
20
23
15
13
1997
1998
1999
22
11
26%
年度
0
1997
1998
1999
2000
2001 年度
1999年度:コマツの環境汚染物質排出量・移動量調査結果
物質番号
107
21
25
79
55
物質名
マンガン化合物
キシレン類
クロム化合物(六価以外)
トルエン
4.4ジフェニルメタンジイソシアネート
その他モリブデン等10物質
15物質の合計
構成比%
有害性ランク
法規制等、B
0
単位:t
取扱い量
531.7
370.1
法規制等、A
232.4
法規制等、D以下
86.6
B
70.4
62.6
1,353.7
100%
法規制等、D以下
累
積
改
善
率
76%
36
50
0
100%
100%
92%
排出量
大気
水域
土壌
消費量
(製品)
0.0
301.6
0.0
72.0
56.3
5.2
435.1
32%
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0%
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0%
509.1
0.0
228.2
0.0
0.0
54.7
792.0
59%
除去処理量 移動量
(化学変化) (廃棄物)
0.0
54.0
0.0
10.3
14.1
0.0
78.4
6%
22.6
14.5
4.2
4.5
0.0
2.6
48.4
4%
注) ※1: 本調査は経団連自主取り組みに準拠する
※2: 報告対象15物質のうち、取扱い量の多い上位5物質を記載
※3: 調査対象事業所は、コマツ生産事業所およびコマツキャステックス
37
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 38
4 生産における環境保全
4.7 グリーン購買
購入先と協同して環境保全に取り組んでいくために『グリー
グリーン購買の今後
ン購買ガイドライン』を1999年12月に作成し、企業体質・商品
今後は、部品や材料の仕様を決める研究・開発部門や環境負
を基準にした「グリーン指標」を設定しました。また、コマツ
荷物質の規制などで工場の生産各部門と連携を取り、購入先の
社内での活動事例や、環境マネジメントのノウハウを提供して
評価や褒賞などのインセンティブも考慮しながら、実りあるグ
環境推進体制の構築を支援しています。
リーン購買を推進していきます。2000 年度には環境保全に関す
るアンケートの実施により、購入先の意識改革や環境教育の実
環境に優しい生産活動と購買
施を計画しています。
省エネルギー活動、資源の有効活用、産業廃棄物の減量化・
リサイクル化を通じて、環境への負荷の少ない生産活動を積極
的に推進するためには、当然ながら調達する材料・部品は環境
に配慮されたものである必要があります。
ガイドラインの発行と購入先への説明・啓蒙
この環境を重視したものづくりの必要性を訴え、購入先と協
同して取り組んでいくために、
『グリーン購買ガイドライン』を
1999年12月に作成し購入先に配布しました。また購入先各社に
は購買部の業務連絡会や相互研修会などの場を通じて、環境マ
ネジメントシステムの必要性を呼びかけ、購入取引にあたって
は、「品質」「コスト」「納期」「技術力」が期待水準を上まわる
という条件のもとに、
「環境保全」に意欲的に取り組んでいる購
入先との取引を優先する考えを示しました。
グリーン指標の設定
購入先と協同して環境保全に取り組んでいくために、
「グリー
ン指標」の考え方を示しました。グリーン指標は企業体質基準
として6項目(企業理念、推進体制、環境マネジメントシステム、
環境影響評価、教育・啓蒙、情報公開)、商品基準として 2 項目
(環境適応性技術力、梱包材)から構成され、購入先の評価制度
に「グリーン度」の考えをビルトインして生産・購買における
環境保全度を高めようというものです。
環境情報の提供と支援
購入先での環境保全の取り組みが実効を上げるために、コマ
ツ社内での省資源、省エネルギーなどの事例や、環境マネジメ
ントのノウハウを購入先各社に提供して環境推進体制の構築を
支援しています。
38
『グリーン購買ガイドライン』
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 39
4 生産における環境保全
4.8 物流における環境保全
コマツは、物流においてもっとも環境影響の大きい「輸送」
「梱包」について、同業他社との往復輸送やスチール梱包材の採
この輸送システムの特徴は、次に挙げるような最新の情報技
術を駆使している点です。
用などで、環境保全活動を推進しています。
①デジタルマップを使った最短ルートシミュレーション
②シミュレーテド・アニアリング手法に基づく最適配車計算
物流におけるさらなる環境保全のために
③Web技術利用による簡易な情報アクセスとデータベース化
物流には「輸送」「梱包」「保管」「荷役」の 4 つの機能があり
ます。この中で、環境に対して大きな影響をおよぼす工程は次
の2つです。
④ GPSを活用した荷・車両情報ステータスの提供
実際の物流の場面では、部品の調達、補給部品の配送、製品
の他社との共同輸送などあらゆる荷情報と輸送企業の車両情報
①輸送:大気汚染と資源問題に影響
を一元化して情報集中センター(ICH)に集め、「往復輸送」や
②梱包:資源と廃棄物に関係
「混載による積載率向上」をめざしています。
このうち「輸送」の改善に関して、コマツは1994年から同業
他社と往復輸送を行うなど輸送の効率化をはかってきました。ま
た「梱包」についてもリターナブル化を進めています。
グローバル輸送改善
輸送船の利用にあたっては、最寄りの地方港活用により輸送
物流における環境保全活動をさらに積極的に推進するため、コ
距離の低減・混雑の緩和をはかっています。また世界ネットの
マツは1997年度より物流改善を経営の重点課題の一つととらえ、
商社や物流各社と連携し、国際輸送においても共同輸送をはか
中期的な目標を設定。改善に取り組む体制を整え、以下に紹介
るなどの効率化を進めています。
するようなさまざま活動を展開しています。こうした活動はコ
マツ単独ではなく、グループ企業や協力企業とも連携したグロー
バルなものとなっています。コマツは今後も、物流における環
境保全活動をさらに拡大していきます。
梱包などに関する改善
梱包材に関しては、リターナブル化をテーマに、ダンボール
の往復利用や折りたたみスチールパレットの繰り返し返却利用
に取り組んでいます。すでにタイの海外生産事業所とダンボー
国内総合輸送システムの開発
ル往復利用を開始し、米国、英国および中国の海外生産事業所
CO2 排出量の増加など環境問題が深刻化しているにもかかわ
とはスチールパレットの繰り返し利用を進めています。
らず、重量物の輸配送については個別企業の枠をこえた輸配送
また同時に、梱包の簡素化など地道な活動を続ける一方で、コ
の連携・共同化が遅れています。特に15t以上のトレーラー輸送
ンテナの重量規制緩和をいち早く取り入れフル積載化を推進す
では片道輸送が多く、その非効率性の解消が課題となっていま
る、あるいはトラックの大型化に対応させた一括輸送による効
す。こうした現状に対応するため、コマツは通産省の「先進的
率化に取り組むなどの省資源活動を進めています。
物流システム開発事業」に応募し、社会的に効率のよい輸送シ
ステムの開発に取り組むことにしました。
国内総合輸送システム
情報集中センター(Information Clearing House)
荷マッチング
求車・求荷
目標
輸送会社
割り付け
荷情報・車両情報を集約し、車両最小となる
運行計画を作成
<実車率向上>
・トラック:現状55%→目標80%
・トレーラー:現状50%→目標60%
追跡情報
提供
輸送会社・荷情報のデータベース
配車
荷情報登録
・建設機械
・調達部品
・補給部品
ステータス
GPS
荷情報登録
ステータス
車両登録
ステータス
ステータス
輸送会社
荷主
届け先
荷主
通信
情報
物流
届け先
39
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 40
4 生産における環境保全
4.9 海外生産事業所における取り組み
海外生産事業所においても、環境への取り組みの強化を進め
英国コマツ(KUK)
ています。その一環としてISO14001の認証取得を推進し、1999
英国コマツ(KUK)は1985年に設立され、現在では、設計・
年度までに6事業所が取得を完了しました。2001年度中には、す
販売部門をもつコマツの欧州最大生産事業所となり、従業員も
べての海外生産事業所で取得を完了する予定です。
約 500 人を数えています。1999 年には、中型油圧ショベルを中
心に2,500台を生産し、英国ほかEU各国に販売しています。
海外生産事業所の環境保全活動
バートレーにある工場では、1998 年に ISO14001 を取得した
コマツは、海外生産事業所においても、コマツの地球環境憲
ほか、法規制への対応などさまざまな面で環境保全の成果を上
章のもと、コマツのグローバルな一員として、環境保全活動を
げています。特に大気への環境負荷物質排出削減では、英国環
積極的に推進しています。また、それぞれの国の環境保全政策
境規制(EPA)に対応した塗装のVOC削減を達成するために、塗
に準拠した環境対策もあわせて実施しています。
装メーカーと協力して低 VOC 塗料を共同開発したほか、密閉型
コマツの海外 18 生産事業所のうち、これまでに英国コマツ
(KUK)、米国コマツ・チャタヌガ工場(CMO)など海外 6 生産
塗装ブースの設置などを推進。現在では、北東イングランドで
も有数の環境規制完全適応会社の一つとなっています。
事業所で ISO14001 の認証を取得。2001 年度中には全生産事業
所で取得を完了する計画です。
ここでは、その代表的な取り組み例を紹介します。
密閉型塗装ブースの導入
コマツの海外生産事業所
英国
英国コマツ【KUK】
・油圧ショベル
★ISO14001認証取得(1998年12月)
中国
小松山推建機【KSC】
・油圧ショベル
★2000年にISO14001認証取得予定
ドイツ
コマツハノマーグ【KOHAG】
・ホイールローダ
・コンパクタ
★2000年にISO14001認証取得予定
小松常林建機【KCCM】
・ホイールローダ
・油圧ショベル
★2001年にISO14001認証取得予定
コマツマイニングジャーマニー【KMG】
・超大型油圧ショベル
★2001年にISO14001認証取得予定
小松常林鋳造【KCF】
・鋳物部品
★ISO14001認証取得(1999年12月)
米国
アドバンスト・シリコン・マテリアルズ
[モーゼスレイク工場]
(ワシントン州)【ASiMI-M】
・多結晶シリコン
・モノシランガス
★ISO14001認証取得(1999年5月)
アドバンスト・シリコン・マテリアルズ(株)
[ビュート工場]
(モンタナ州)【ASiMI-B】
・多結晶シリコン
・モノシランガス
★2000年にISO14001認証取得予定
コマツマイニングシステムズ
[ピオリア工場]
【KMS】
・大型ホイールローダ
・大型ダンプトラック
★2001年にISO14001認証取得予定
イタリア
ファイコマツインダストリーズ【FKI】
・小型油圧ショベル
・ミニショベル
・バックホーローダ
★2000年にISO14001認証取得予定
カナダ
米州コマツカンパニー
[キャンディアック工場]【CANDIAC】
・ホイールローダ
★ISO14001認証取得(1999年10月)
台湾
台湾小松電子材料【FKS】
・シリコンウェハー
★2001年にISO14001認証取得予定
インドネシア
コマツインドネシア【KI】
・油圧ショベル
・ブルドーザ
・ホイールローダ
・モータグレーダ
・ダンプトラック
★2000年にISO14001認証取得予定
インド
エルアンドティーコマツ【LTK】
・油圧ショベル
★ISO14001認証取得(1999年6月)
40
タイ
バンコックコマツ【BKC】
・油圧ショベル
★2001年にISO14001認証取得予定
米州コマツカンパニー
[チャタヌガ工場]【CMO】
・油圧ショベル
・ホイールローダ
・モータグレーダ
★ISO14001認証取得(1998年4月)
メキシコ
コマツメヒカーナ【KOMEX】
・建設機械のアタッチメント
・小型プレス
★2000年にISO14001認証取得予定
ブラジル
コマツブラジル【KDB】
・油圧ショベル
・ブルドーザ
・ホイールローダ
・鋳物部品
★2000年にISO14001認証取得予定
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 41
このほか、埋め立て廃棄物量の削減では、従業員の環境やリ
た塗料かすや溶剤の廃液発生に対して、トレーラー積載型蒸留
サイクルへの認識を高めると同時に、より身近にかつ確実に実
装置を導入し、溶剤とスラッジに分別し、溶剤は回収して再利
施できる分別収集方法を導入。1999年度には、前年度比32%減
用し、スラッジはそのまま廃棄物処理するなど、大幅な廃棄物
を達成し、2000 年度にはさらなる低減目標を掲げ活動を続けて
量の削減とコスト低減を達成しています。
います。また、水の使用量の削減では、塗装前処理施設でのプロ
このほか、植樹により工場緑化を進めるなど幅広く活動を展開
セス制御改善などを通じて、年間14,000tの使用量削減を達成し
し、中長期目標に沿って、活動のレベルアップをはかっています。
ました。
職場単位での
分別収集設備
一方、外注・購買先のISO14001認証取得にも積極的な奨励を
溶剤蒸留装置(トレーラー積載型)
その他の海外生産事業所
行い、すでに数社が認証を取得しています。今後は、これらの
米国ワシントン州とモンタナ州に工場のあるアドバンスト・
活動をさらにステップアップするために、将来に向けての新た
シリコン・マテリアルズは、コマツのエレクトロニクス事業の
な目標を現在策定しています。
一環として 1984 年に設立され、全世界の半導体業界に向けて、
モノシランガスと多結晶シリコンを供給しています。ワシント
米州コマツカンパニー・チャタヌガ工場(CMO)
米州コマツカンパニー・チャタヌガ工場(CMO)は1985年に
テネシー州に設立され、現在の従業員は約440人。1999年には、
中・大型油圧ショベルを中心に約2,400台を生産するコマツの米
国最大の海外生産事業所です。
ン州の工場では、1999年5月ISO14001の認証を取得。モンタナ
州の工場では2000年の取得をめざしています。また、代替フロ
ンの使用削減などにも積極的に取り組んでいます。
インドのエルアンドティーコマツ(LTK)では、1999年6月に
インドの建設機械業界としては初めて ISO14001 の認証を取得。
1998年にISO14001認証取得し、
「2005年までに埋め立て廃棄
大気・排水の処理施設の拡大やモニタリング装置の設置により、
物90%削減、2010年までにゼロにする」などの目標を掲げ、環
測定などの規制への対応の充実をはかっています。このほか、年
境保全と資源有効活用の活動を展開しています。
2∼5%の省エネルギー、水・油脂の使用削減、植樹を実施。さ
これまでの活動では、塗装工程でUSEPAのVOC規制に対応し
て、低 VOC 塗料の採用や塗装方法の変更を実施しています。ま
らには、地域社会でボランタリーとして建設機械を使った汚泥
除去を行うなど、幅広い活動を展開しています。
コマツ海外生産事業所におけるエネルギー使用量(原油換算)と廃棄物発生量(リサイクル量+処分量)(1999年度)
KSC 0.9
LTK 1
KCF 4
KI 4
KDB 0.7
KOMEX 1
CANDIAC 3
CMO 6
KMS 10
KCCM 0.5
BKC 0.3
KUK 4
FKI 3
KMG 2
KOHAG 3
FKS
12
KOHAG 0.6
KMG 0.7
KUK
1.2
ASiMI-B
102
欧州 12
アジア
24
KCF 2.7
欧州 4.9
FKI 2.5
原油換算
247百万
L
米州 211
KOMEX 0.1
ASiMI-B 0.2
ASiMI-M 0.4
CANDIAC 0.6
廃棄物
発生量
18.2千
アジア
t
米州 5.8
KMS 2.0
ASiMI-M 89
CMO 2.4
7.5
FKS
2.0
LTK
2.0
KSC 0.3
KCCM 0.3
BKC 0.08
KI 0.05
41
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 42
5 エレクトロニクス事業における環境活動
コマツは、エレクトロニクス分野においても、一貫して自社
技術をベースとしたコンピュータ技術、通信技術、ソフトウェ
建設機械の電子制御による省エネルギー、
エンジンの燃費向上、排気エミッションの低減
建設機械の動力源は、ディーゼルエンジンです。このエンジン
ア技術を蓄積発展させると同時に、製品の省エネルギー化、省
の低燃費化、排気エミッションの低減はコマツの重要課題です。
資源化に取り組んでいます。
このため、電子式燃料噴射制御装置を採用し、正確な噴射時期
エレクトロニクス事業の活動
と噴射時間を厳密にコントロール可能として、従来数ミリ秒(千
コマツのエレクトロニクス事業の展開は、1970 年代中期に当
分の1秒)であった応答時間を数マイクロ秒(百万分の1秒)へ
社産業機械製品にコンピュータ制御を取り入れたことに始まり
と飛躍的に向上させました。このことにより、時間遅れなくエ
ます。その後、1981 年には世界に先駆けてマイクロコンピュー
ンジンを最適運転条件に保つことができ、燃費が向上します。
また、一般にエンジン始動時はスタータモーターの重量負荷
タを内蔵した電子制御コンポーネントを建設機械に搭載し、大
過渡現象によリバッテリー電圧が低下しますが、このような悪
型機械の電子化を着実に進めてきました。
また、これらの技術を事業多角化に生かして、半導体工場の
条件下でも安定した燃料噴射指令を出すよう電子回路に工夫を
露光工程で細線化に不可欠なエキシマレーザー光源装置や、オ
加え、始動時においても従来に比べよりいっそうの低公害化を
フィスと家庭で使われるネットワーク機器へと事業を展開してい
実現しています。
ます。
油圧ショベル省エネルギー効果の向上
将来機種
省
エ
ネ
ル
ギ
ー
効
果
PC6型
PC5型
IT活用
システム化
PC3型
PC2型
電子制御化
1984
1988
1993
2000
年度
制御方式
全油圧
電子OLSS
ポンプ/エンジン複合制御
電子CLSS
システム化
効果
−
作業モード切り替えにより、
軽負荷時のむだな馬力損失を
低減
どのような負荷時においても
エンジンを最適な状態で運転
作業機の複合動作時の油圧損
失を大幅に低減
施工法と複数の建設機械を考
慮して、作業全体を効率化・
最適化
OLSS:Open Center Load Sensing System
CLSS:Closed Center Load Sensing System
42
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 43
油圧ショベルの省エネルギー
ザーでは 2.19 倍の効率向上を達成しました。また、さらなる効
油圧ショベルの省エネルギー技術も、マイクロコンピュー夕によ
率アップをめざして、今後最先端の半導体工場に提供する 4kHz
る電子制御に支えられています。コマツは、建設機械の出荷台
レーザーでは2.6倍の効率アップを目標として開発を進めていま
数の半数以上を占める油圧ショベルの省エネルギー技術を、き
す。また、一定の光エネルギーを得るために必要とする投入電
わめて重要な中核技術の一つと位置づけています。
また、コマツは1984年に世界に先駆けて油圧ショベルの電子
制御化を行い、のちの建設機械のメカトロニクス化に大きな影
力については、1kHzレーザーを100%とした場合、2kHzレーザー
では 26 %の電力低減を実現。今後提供する 4kHz レーザーでは、
30%低減を目標としています。
響を与えました。以後、この電子制御方式の改善を続け、図に
示すように各時代でもっとも新しい制御方式を取り入れ、省エ
ネットワーク機器の省エネルギー
ネルギー効果を向上させてきました。こうした技術革新は、省
インターネット時代に呼応して、プリンタとプリントサーバー
エネルギーのみならず、静粛性、運転操作性、居住性などに関
は非常な勢いで使用数量が増加し、プリンタとプリントサーバー
しても着実な進化をもたらしています。
が消費する電力は年々増え続けています。これに対してプリン
今後は、作業現場で建設機械をより効率よく作業させるため
タ業界は、環境面からプリンタ本体の省電力と消耗品のリサイ
に、建設機械を含んだシステムとしての効率化、最適化が必要
クルに取り組んでおり、ネットワーク機器の一つであるプリン
だと考えています。そのため、急速に進歩しているlT(lnformation
トサーバーも省電力・省資源への対応が求められています。
Technology)技術を活用し、以下のような事例に取り組んでい
ます。
コマツでは、プリントサーバーの省電力・省資源をめざして、
約 1 年半の開発期間をかけプリントサーバー専用の ASIC を開発
①経験の浅いオペレータに対してもむだな作業を極力減らせ
しました。このASICの搭載により、従来品に比べ15%の電力低減
るように、施工法のガイドを与えてくれる工法支援システ
を実現したほか、1台あたりのプリントサーバーに使用するLSlの
ムの開発
個数を20∼30%低減。省電力・省資源化を一段と進めています。
②複数の建設機械を作業に従事させるとき、それらを作業効 このプリントサーバー専用ASICを組み込んだ新製品は2000年
率が最適になるように配置し、協調作業を行えるような群 5 月に 2 シリーズを市場に提供し、年内に 7 種類のシリーズ製品
制御の適用
として出荷する予定です。
今後コマツでは、ASIC 搭載製品をいっそう拡大させるととも
半導体露光用エキシマレーザーの省エネルギー
半導体製造工場では、ウェハーに電子回路を焼きつけるため
に露光装置(ステッパまたはスキャナー)を使用します。この
に、マジックパケット対応(TV の待機モードに相当)や低電圧
への完全対応などにより、さらに15%の省電力をめざして開発
を進めています。
とき、波長の短い紫外光源としてエキシマレーザーを採用して
います。このエキシマレーザーには、クリプトンガスをベース
としたKrFエキシマレーザー(波長248nm)と、次世代のアルゴ
ンをベースとしたArFエキシマレーザー(波長193nm)がありま
す。しかしこれらのエキシマレーザーは、露光に必要となる光
エネルギーのわりに高い投入電力を要求します。そのため、半
導体工場の露光工程で稼働している数多くのエキシマレーザー
の消費電力を軽減することは、工場全体の環境負荷を低減する
ことに大いに寄与することになります。コマツでは、光源装置
の省電力化とレーザーガスの消費量低減を、この事業に関する
環境活動の2本柱として活動を進めています。
エキシマレーザー
ASIC搭載プリントサーバー
これまでのところ、プラズマを発生させる電源および放電部の
放電効率については、1997年に発売した繰り返し周波数1kHzの
KrF レーザーの放電効率を 1 とすると、1999 年発売の 2kHz レー
43
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 44
6 産業機械事業における環境活動
コマツは、世界有数の大型プレスメーカーとして自動車産業
コマツはこの点に着目し、1997年にプレスの基本構造を革新
など向けに板金鍛圧機械、工作機械などを提供しています。こ
的に見直した「モジュール式トランスファープレス」を開発。可
の産業機械事業分野では、
「省エネルギー」
「省資源」
「低騒音・
動体の 30%軽量化やモーターの回生エネルギーの利用、徹底し
低振動」の3つをテーマに、環境保全活動に取り組んでいます。
た駆動系の高効率化により、消費電力の低減に努めています。
産業機械事業の活動
プレス機械・工作機械に代表される産業機械は、自動車・家
電製品など人々の生活を支える工業製品の生産にとって重要な
役割を担っています。
コマツは、自動車産業向けの世界有数の大型プレスメーカー
であるとともに、板金鍛圧機械、工作機械などを多様な産業に
提供してきました。板金機械分野では、ファインプラズマ技術
を応用した高精度な商品や、高度な制御技術やロボット技術を
組み合わせたさまざまなシステム商品を提供しています。
また、お客さまに満足していただける商品を迅速に提供する
とともに、海外での事業展開を積極的に進め、コマツの総合力
モジュール式トランスファープレス
を生かした産業機械事業の拡大をめざしています。
電動サーボ式プレスHCPシリーズの開発
産業機械事業分野での環境保全活動
従来から小型プレスの分野では、主に機械式プレスが使用さ
産業機械事業分野でも、全社的な地球環境保護活動を推進し
れてきました。機械式プレスは、フライホイールに蓄積された
ていますが、研究開発部門では商品の特性に合った次の 3 つの
運動エネルギーを、機械的な伝達手段で加圧力に変換します。し
キーワードを基本方針として、研究開発に取り組んでいます。
かし、上下運動のストローク、加圧力、加圧時間といった加工
①省エネルギー
条件を加工部品に合わせて最適な状態に調整することが難しく、
②省資源
種々のむだが生じていました。
③低騒音・低振動
一方、電動サーボ式プレスは、これらのファクターを任意に
設定することが可能であり、常に必要最小限のエネルギー消費
省エネルギーへの取り組み
プレス機械・板金鍛圧機械・工作機械とも、生産設備として
の役割からその商品寿命は長く、場合によっては20∼30年間使
で加工することができます。コマツはこの電動サーボ式プレス
としてHCPシリーズを開発し、1998年に市場導入しました。
HCP シリーズは、加工精度や加工速度の最適化により加工時
用されることがあります。したがって、商品のライフサイクル
の騒音や振動のレベルを大
におけるエネルギー消費量は、お客さまの使用期間中に消費さ
幅に低減したほか、エネル
れる比率が高くなる傾向にあり、大型プレスの場合その比率は
ギー消費などでも優れた性
70 %以上になると推定しています。そのためコマツは、製品使
能をもっています。
用段階での消費エネルギーをできるだけ低減する技術開発を最
優先で取り組んでいます。
モジュール式トランスファープレスの開発
塑性加工の性質上、プレス機械は大きな加圧能力を発生させ
ます。高精度な加工を行うためにはスライド可動体剛性の高い、
重量の大きな可動体を備えている必要があり、この可動体の駆
動に大半のエネルギーが消費されています。
44
電動サーボ式プレスHCPシリーズ
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 45
ツイスターファインプラズマ切断機の開発
一般的に、鋼板の曲面切断にはレーザー加工機が使用されて
コマツは、この事業を、お客さまニーズへの対応と環境保全
活動の合致した好例だと考えています。
います。これに対してコマツは、高価なレーザー加工機に比肩
する切断品質と優れたエネルギー効率を誇るツイスターファイ
ンプラズマ切断機を1999年度に開発しました。
レトロフィット事業の具体的な展開
長年稼働するプレス機械は、定期的な保全・補修を行うこと
ツイスターファインプラズマ切断機は、新開発の高出力電源
で設備寿命の延長をはかる必要があります。しかし、近年では単
と高電圧プラズマトーチとの組み合わせにより切断効率を向上
なる保全・補修ではなく、最新の技術を取り入れたレトロフィッ
させ、板厚12mmの軟鋼切断の場合レーザー加工(出力3kW)と
トによって設備の性能を向上したいというニーズが顕著になって
比較して約3.5倍のエネルギー効率を達成しています。同時に消
きています。
耗品であるプラズマトーチのノズル寿命を従来比2∼4倍(当社
比)に向上させ、省資源面でも大きく改良しています。
たとえば、15年以上前に製作されたトランスファープレスで
は、ワークを次工程に送る搬送装置はプレス本体駆動軸を動力
源としたカム方式が主流でした。しかし、この方式では生産性
の向上には限界がありました。そこで、この搬送装置の駆動方
式を最新技術の電動サーボ方式に置き換えることで生産性を向
上させます。さらに、プレスライン全体の制御方式を最新のハー
ドウェアやソフトウェアに置き換えることで段取り替えや保全
時間などを短縮でき、実際の稼働率を大幅に改善することが可
能になります。
このように、長年の使用により老朽化あるいは技術的に陳腐
化した部分に最新技術をレトロフィットすることで、プレスラ
ツイスターファインプラズマ切断機
インを全面更新することなく継続して使用することができ、省
資源に役立っています。
サーボプレスブレーキPASシリーズの開発
板曲げ機械(プレスブレーキ)の分野でも、1995 年より電動
サーボ方式の開発を推進しています。従来の油圧サーボ式では、
低騒音・低振動
プレス加工機が周囲環境におよぼす問題の一つに、稼働中に
油圧回路の特性でエネルギー損失を抑制することが困難でした
発生する騒音と振動があります。コマツは、プレスの低騒音化
が、電動サーボ制御を採用することでむだなエネルギー消費を
に対する研究に早くから取り組み、小型汎用の C フレームプレ
大幅に削減。お客さまからも高い評価をいただいています。
ス機の分野では、1991年度に積層板ダンピング技術などの開発
により、打ち抜き騒音を 7dB 低減した低騒音型プレスを商品化
省資源
高精度な加工を行う産業機械の分野では、プレス機や工作機
械に剛性の高い構造が求められるため大量の鋼材を使用します。
特に大型のトランスファープレスになると、機械重量は 2,000t
をこえる場合もあります。
しました。大型プレスについても 1992 年度に従来機より 8 ∼
10dB低騒音のトランスファープレスを開発、欧州に納入してい
ます。
その後も、打ち抜き時の騒音・振動を低減する技術開発を推
進し、1996年には既存プレス機にも追加装着できる油撃作用を
これらの産業機械が現在の生産活動に適さなくなり、すべて
応用したブレークスルー衝撃緩衝装置を開発。さらに、1998年
廃却するとなると、資源保護の観点からも大変なむだが生じま
にはお客さまと共同開発したサーボプレスにより、多段モーショ
す。また、新しく製造すれば資源・資材の調達段階での CO2 排
ンによる低騒音打ち抜き加工法を開発し、最大で従来比約10dB
出をともなうこととなります。そのためコマツは、その対策と
の騒音低減を達成しています。
して、既存設備の一部に最新のハードウェア・ソフトウェアを注
入し、機械そのものをよみがえらせるレトロフイット事業に取
り組んでいます。
45
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 46
7 企業市民としての社会貢献
コマツは環境保全に関する社会貢献活動を推進しています。
1991年に「コマツグリーン基金」を設立し、
「地球緑化」と「環
境美化」の2つのテーマに取り組んでいます。このうち「地球緑
化」に関してはインドネシアで熱帯林再生のプロジェクトを、ま
た、
「環境美化」に関しては「フローラルコマツ」という名称で、
全国規模で花と緑の美しい環境づくりを進めています。
「地球緑化」
-技術力を生かした熱帯林の再生・保護
熱帯林の現状
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、1981年から1990年
の 10 年間で年平均 1,540万 ha(日本の国土面積の約 40%)の熱
育苗研究所
帯林が減少したと推測されています。熱帯林消失の直接的な原
因は、過度の伐採や焼畑農業、薪炭材の採取などですが、間接
的な原因としてその地域の人口増加、貧困、社会制度の未整備
といった社会的、経済的な問題があり、簡単には解決できない
課題です。
企業市民としての熱帯林再生への取り組み
コマツは、このように深刻化している熱帯林の減少問題に対
し、企業市民としての社会貢献活動の一環として、東南アジア
そうした中、この問題に対しさまざまなレベルでの対策や援
での熱帯林再生の技術開発に取り組んでいます。
助が試みられています。最近では、森林の減少問題を含む地球
環境問題を社会共通の大きな課題としてとらえ、国連を中心と
した国際社会で解決していこうとする取り組みや、NGO レベル
での取り組みが進められています。
ラワンによる熱帯林再生
東南アジア熱帯林を再生するうえで、重要な鍵を握っている
のがフタバガキ科樹種のラワンです。ラワンは、東南アジアの
熱帯林を構成する代表的な樹種で、成木は樹高50m、直径1mを
こえるものもあります。ほぼ東南アジアのみに存在するラワン
は、長い間東南アジアの商業伐採の中心をなしてきました。ラ
ワンは、合板、建材などの木材産業にとって重要な役割をもっ
ています。しかし、伐採後の再植林がうまく進んでこなかった
ため、ここ数十年の間に驚くほどの速度で減少しています。
インドネシア林業省は、国家林業計画の中でもラワンの植林を
重要課題と認識し取り組んでいますが、技術的な問題や社会的
な問題によりこれまで思うような成果が上がっていませんでし
た。
そこで、コマツは、インドネシア林業省研究開発庁との共同
プロジェクトによって、ラワンによる熱帯林再生のための植林
試験材で育ったラワン
(1992年2月28日)
成長したラワン
(2000年3月9日)
技術開発を推進。1991 年より、プロジェクト事務所を西ジャワ
州ボゴール市の林業省研究開発庁林業試験場におき、本格的な
活動を開始しました。
46
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 47
コマツの技術的貢献
ラワンの再植林が難しい要因は、樹種特性にあります。一般
花と緑の美しい環境づくり
また私たちは、花と緑を通じた社会貢献活動を行っています。
に、ラワンは結実が数年に1度と不定期なうえに、種子の保存期
コマツが支援する「日本花の会」では、桜の名所づくりや、花
間がきわめて短いといわれています。そのため、植林用苗を挿
と緑に関する委託研究・調査、花のまちづくりコンクールの開
し木や組織培養といった種子以外の方法によって安定的に生産
催、さくらシンポジウムの開催など、地域社会の美しい環境づ
することはラワンの造林技術の中で大きな課題となっていまし
くりを進めています。
た。
さらに事業所周辺に花を植える活動「フローラルコマツ」は、
これに対し、当プロジェクトでは環境調節可能な温室装置に
社員のボランティアにより行われています。この活動は花を植
より、これまで難しいとされてきた挿し木によるラワンの植林
えることだけが目的ではなく、地域社会とのコミュニケーショ
用苗を大量生産する技術開発に世界で初めて成功。熱帯林再生
ンにより、地域ぐるみで美しい環境をつくっていこうという、
にとって、大きな一歩となる成果をおさめました。1997 年から
人々の意識の高まりを期待して行っているものです。
は、現地の実証林で苗木の大量生産試験を行い、毎年数万本の
ラワンの苗を生産しています。
この技術は、今後、林業省によってインドネシア国内各地に
ある林業試験場各支所に展開され、ラワン苗の生産拠点が設置
される予定です。また、1999年には国際協力事業団(JICA)と
マレーシア政府森林局共同のラワン造林プロジェクトなど、熱
帯林再生に取り組む他の機関にも採用されています。
持続可能な開発に向けて
当プロジェクトの次のステップは、生産した苗による植栽試
験の実施です。コマツは、インドネシア林業省と協議のうえ、ジャ
ワ島西ジャワ州とスマトラ島リアウ州の 2 カ所で合計 350ha(約
21万本)の試験植林を行うことに合意し、すでに約180ha(約10
桜の名所の一つ、山口県「切戸川河川公園」
万本)の植林を完了しました。これまでで最大規模となるこの
植栽試験では、人工林でのラワンの生長速度やさまざまな土壌
への適応性など、熱帯林再生にとって貴重なデータの収集を行
っています。
1995 年度の植裁地では、1999 年度までの 4 年間に平均樹高約
9m、平均直径約9cmまでに生長しました。またこれまでの植裁
地すべてを合計すると、1999年度の1年間で約50tのCO2 が固定
されたことになると考えられます。
「持続可能な開発」が求められる現在、コマツは熱帯林を持続
開発可能な資源として認識し、今後とも再生を目的とした技術
開発で貢献していきます。
※本技術開発の一部は、熱帯林再生技術研究組合の補助を受けて実施してい ます。
47
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 48
8 生産事業所別環境データ
粟津工場 (設立年:1921 )
大阪工場 (設立年:1952 )
小山工場 (設立年
所在地
主要製品
石川県小松市
小・中型ブルドーザ、小型油圧ショベル、
ミニ・小・中型ホイールローダ、
大型プレス、トンネル機械、装甲車 など
大阪府枚方市
大型ブルドーザ、中・大型油圧ショベル、
自走式リサイクル機械(破砕機・
土質改良機・木材破砕機 など)
栃木県小山市
建設・産業機械用エンジン、
ディーゼル発電機、油圧機器、
エキシマレーザー など
土地/建屋面積( 1,000m 2 )
従業員数(人)
785/290
3,547
557/157
1,944
594/193
1,976
生産事業所
工場
概要
主な法規制対応
項目
窒素酸化物( NO X )
大気
硫黄酸化物( SO X )
ばいじん
項目
単位
ppm
ppm
ppm
ppm
g/Nm 3
g/Nm 3
g/Nm 3
g/Nm 3
水質汚濁防止法
規制値
pH
BOD
COD
工場
排水
5.8~8.6
160
160
浮遊物質(SS)
200
鉱油類
5
銅
3
亜鉛
5
窒素
120
燐
16
カドミウム
0.1
鉛
0.1
六価クロム
0.5
トリクロロエチレン
0.3
0.1
テトラクロロエチレン
ジクロロメタン
0.2
1.1.1-トリクロロエタン
3
設備
ボイラー
熱風ボイラー
加熱炉
ディーゼル機関
(K値規制)
ボイラー
熱風ボイラー
加熱炉
ディーゼル機関
規制値
実績(最大値)
250
180
200
950
17.5
0.3
0.3
0.25
0.1
125
130
53
920
1.01
0.061
0.038
0.036
0.042
最大
実績
最小
平均
8.5
18
10
5.6
2.4
ND
0.03
11
1.3
ND
0.02
ND
0.002
0.001
ND
0.007
6.1
0.7
0.6
0.6
ND
ND
ND
1
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
7.3
3.4
4.6
2.7
1.4
ND
0.02
3
0.4
ND
0.01
ND
0.002
0.001
ND
0.002
規制値
5.8~8.6
80
80
120
5
3
5
120
16
0.1
0.1
0.5
0.3
0.1
0.2
3
規制値
実績(最大値)
150
180
500
300
11.6
0.05
0.1
0.08
0.04
39
50
154
100
5.4
0.001 未満
0.007
0.013
0.001 未満
最大
実績
最小
平均
7.4
10.0
5.2
4.0
0.7
ND
0.02
8.6
0.28
ND
ND
ND
ND
0.003
ND
0.004
6.5
1.0
2.4
2.8
ND
ND
ND
1.6
0.10
ND
ND
ND
ND
ND
ND
0.0008
7.1
3.4
3.4
3.2
0.3
ND
0.02
3.8
0.19
ND
ND
ND
ND
0.002
ND
0.002
設備
ボイラー
金属加熱炉
ディーゼル機関
ガス機関
(総量規制 Nm 3 /h )
ボイラー
金属加熱炉
ディーゼル機関
ガス機関
規制値
5.8~8.6
65
65
110
3
3
5
120
16
0.01
0.05
0.05
0.03
0.01
0.02
1
設備
ボイラー
焼鈍炉
ディーゼル機関
砂再生炉
(K値規制)
ボイラー
焼鈍炉
ディーゼル機関
砂再生炉
規制値
5.8~8.6
25
25
50
5
3
5
20
2
0.1
0.1
0.1
0.3
0.1
0.2
3
規制値
250
200
950
250
7
0.3
0.25
0.1
0.5
最大
実績
最小
7.3
18
19.8
14
1.3
ND
0.3
6.7
0.4
ND
ND
ND
ND
ND
ND
0.001
6.9
3.7
6.0
6.4
ND
ND
ND
2.6
0.2
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
主な工場パフォーマンス
環境負荷
項目
実績
CO 2 総発生量
NO X 総量
SO X 総量
16,168
106,775
5,674
8,301
廃棄物発生量
エネルギー使用量
項目
使用量
実績
電力
A 重油
灯油
軽油
LPG 他
80,610 MWh/ 年 19,346
kL / 年
6,541
6,607
kL / 年
1,297
1,245
kL / 年
361
357
2,867
30,442
合計
48
tC / 年
kg/ 年
kg/ 年
t /年
原油換算
kL / 年
項目
実績
CO 2 総発生量
NO X 総量
SO X 総量
10,313
7,590
2,614
1,912
廃棄物発生量
実績
項目
tC / 年
kg/ 年
kg/ 年
t /年
項目
使用量
実績
原油換算
kL / 年
電力
A 重油
灯油
軽油
都市ガス他
合計
56,349 MWh/ 年 13,524
2,289
2,266
kL / 年
kL / 年
1,519
1,582
kL / 年
0
0
2,921
20,252
CO 2 総発生量
NO X 総量
SO X 総量
廃棄物発生量
項目
電力
A 重油
灯油
軽油
LPG 他
合計
使用量
実績
16,429
181,109
14,727
7,250
原油
kL
83,402 MWh/ 年 20
kL / 年
1,218
1
7,626
kL / 年
7
kL / 年
1,989
1
30
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 49
)
大値)
未満
7
3
未満
小山工場 (設立年:1962 )
真岡工場 (設立年:1971 )
栃木県小山市
建設・産業機械用エンジン、
ディーゼル発電機、油圧機器、
エキシマレーザー など
栃木県真岡市
大型ホイールローダ、ラフテレンクレーン、
ダンプトラック、モータグレーダ、
道路関連機械 など
594/193
1,976
302/66
686
規制値
実績(最大値)
250
200
950
250
7
0.3
0.25
0.1
0.5
133
74
787
37
0.41
0.005
0.001 未満
0.039
0.004
最大
実績
最小
平均
7.3
18
19.8
14
1.3
ND
0.3
6.7
0.4
ND
ND
ND
ND
ND
ND
0.001
6.9
3.7
6.0
6.4
ND
ND
ND
2.6
0.2
ND
ND
ND
ND
ND
ND
ND
7.1
11.4
12.6
9.6
0.6
ND
0.1
4.5
0.2
ND
ND
ND
ND
ND
ND
0.001
設備
ボイラー
焼鈍炉
ディーゼル機関
砂再生炉
(K値規制)
ボイラー
焼鈍炉
ディーゼル機関
砂再生炉
規制値
5.8~8.6
25
25
50
5
3
5
20
2
0.1
0.1
0.1
0.3
0.1
0.2
3
CO 2 総発生量
NO X 総量
SO X 総量
廃棄物発生量
16,429
181,109
14,727
7,250
設備
ボイラー
ディーゼル機関
(K値規制)
ボイラー
ディーゼル機関
項目
使用量
実績
原油換算
kL / 年
電力
A 重油
灯油
軽油
LPG 他
合計
83,402 MWh/ 年 20,016
kL / 年
1,218
1,230
7,626
kL / 年
7,321
kL / 年
1,989
1,969
210
30,747
実績(最大値)
100
356
8
0.3
0.1
0.68
0.007
0.03
5.8~8.6
25
25
50
5
3
5
120
16
0.1
0.1
0.1
0.3
0.1
0.2
3
最大
実績
最小
平均
7.8
23
14
17
4.7
ND
0.19
7.1
5.9
ND
0.06
ND
ND
ND
ND
ND
7.1
1
7.9
ND
ND
ND
ND
5.5
0.6
ND
0.04
ND
ND
ND
ND
ND
7.4
9
11.0
7.1
1.8
ND
0.11
6.3
3.2
ND
0.05
ND
ND
ND
ND
ND
*単位はpHを除きmg/Lです
*規制値は、水質汚濁防止法、地方自治体条例によります
*NDは、定量下限値未満を表します
*NDを含む平均値は、NDを定量下限値として算出しています
*その他項目も、規制値未満を確認しています
実績
項目
tC / 年
kg/ 年
kg/ 年
t /年
規制値
180
950
*規制値は、大気汚染防止法、地方自治体条例によります
規制値
実績
項目
*従業員数には、同敷地内の関連会社人数を含みます
CO 2 総発生量
NO X 総量
SO X 総量
廃棄物発生量
1,818
1,732
486
810
項目
使用量
実績
電力
A 重油
灯油
軽油
LPG 他
合計
14,434 MWh/ 年
kL / 年
176
kL / 年
17
kL / 年
13
tC / 年
kg/ 年
kg/ 年
t /年
*項目の算出定義は「 4.1 生産における環境保全活動」
を参照ください
*廃棄物発生量はリサイクル量+処分量です
原油換算
kL / 年
3,464
178
16
13
260
3,931
*表の原油換算における換算係数は、
「エネルギーの使用
の合理化に関する法律施行規則一別表 1 」によります
49
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 50
環境への取り組みの歩み
1991
●
地球環境委員会設置
1992
●
地球環境憲章/環境活動計画を策定
●
プラスチック部品マーキング実施
●
ガラパゴスBR60発売
小山工場認証取得(1997年5月19 日)
●
ゴムシュー覆帯切断方法確立
大阪工場認証取得(1997年7月17日)
●
ジブチ砂漠緑化支援
1994
●
紙リサイクル率60%達成
1995
●
建設機械エアコン代替フロン化完了
●
生分解性作動油の実用化
●
省エネルギー △7.8%(対 1990年度比)
●
特定フロン、1.1.1-トリクロロエタン全廃
1993
1996
1997
●
ガス規制全機種対応(1996年EPA規制)
●
インドネシアで熱帯林育樹成功(2,500本)
●
国内主力3工場ISO14001認証取得 粟津工場・小松工場認証取得(1997年 9月 24日)
1998
●
海外法人、グループ会社を含め7工場が
ISO14001認証取得(累計10 拠点)
●
1999
●
省エネルギー △11.7%(対1990年度比)
海外法人、グループ会社を含め7工場が
ISO14001認証取得(累計16 拠点)
主要関係会社
日本
建設機械関連 63社
小松ゼノア(株)
コマツパーツエンジニアリング(株)
コマツクイック(株)
小松ドレッジシステム(株)
コマツ部品(株)
ケービーシーマシナリ(株)
コマツパーツシー・アイ・エス(株)
コマツパーツサポート(株)
コマツトレーディング(株)
コマツ極東通商(株)
(株)リアルト
建機総販売代理店(43社)
コマツカミンズエンジン(株)
(株)アイ・ピー・エー
コマツ・ゼットエフ・オートモーティブ(株)
コマツリマン(株)
コマツディーゼル(株)
(株)ビッカーズ・ジャパン
コマツキャステックス(株)
コマツメタル(株)
コマツ教習所(株)
金融関連 1社
コマツビジネスサポート(株)
サービス関連・その他 10社
コマツ特機(株)
コマツ・ゼネラルアトミックス・エンジニアリング(株)
小松シヤリング(株)
(株)スタッフアンドブレーン
コマツテクノブレーン(株)
(株)コマツ・キャリア・クリエイト
(株)ダイテックス
小松建物(株)
(株)ケー・アイ・ピー
コマツゼネラルサービス(株)
産業機械関連 5社
コマツ産機(株)
コマツ工機(株)
コマツアーテック(株)
コマツアイエムエンジニアリング(株)
コマツエンジニアリング(株)
米州
建設・鉱山機械関連 16社
米州コマツカンパニー
コマツマイニングシステムズ(株)
コマツユーティリティ(株)
コマツブラジル(有)
コマツブラジルインターナショナル(有)
コマツカミンズチリ(株)
コマツメヒカーナ(株)
タカハシワークスユー・エス・エー(株)
カツシロロームコーポレーション
イスマック(株)
ダイキコーポレーション
アトミックス工業(有)
カミンズコマツエンジンカンパニー
コマツラテンアメリカ(株)
モジュラーマイニングシステムズ(株)
コマツリマンノースアメリカ(株)
運輸・物流機器関連 3社
小松フォークリフト(株)
コマツ物流(株)
コマツビル運送(株)
エレクトロニクス関連 3社
アドバンスト・シリコン・マテリアルズ(株)
コマツシリコンアメリカ(株)
小松セミコン(アメリカ)(株)
エレクトロニクス関連 3社
コマツ電子金属(株)
小松エレクトロニクス(株)
小松セミコン(株)
土木・建設関連 3社
小松建設工業(株)
コマツハウス(株)
(株)日本花の友
ソフトウェア関連 1社
コマツソフト(株)
50
産業機械関連 2社
コマツカッティングテクノロジーズ(株)
コマツアメリカインダストリーズ(有)
金融関連 2社
コマツアメリカ(株)
コマツファイナンスアメリカ(株)
欧州・中近東・アフリカ
建設・鉱山機械関連 10社
欧州コマツ(株)
英国コマツ(株)
コマツハノマーグ(株)
ファイコマツインダストリーズ(株)
コマツマイニングジャーマニー(有)
コマツフランス
コマツエスパーニヤ
コマツ南部アフリカ(株)
コマツ中近東(株)
クラネクスインターナショナル(株)
エレクトロニクス関連 1社
コマツシリコンヨーロッパ(株)
産業機械関連 1社
コマツインダストリーズヨーロッパ(有)
金融関連 2社
欧州コマツコーディネーションセンタ(株)
オランダコマツファイナンス(有)
アジア・大洋州
建設・鉱山機械関連 15社
コマツアジア(有)
コマツインドネシア(株)
カツシロインドネシア(株)
汎建インドネシア(株)
北陸ユナイテッドフォージングインダストリ(株)
小松常林建機公司
小松常林鋳造公司
小松山推建機公司
勝代機械(山東)有限公司
コマツサイゴン(株)
バンコックコマツ(株)
小松華南有限公司
小松(上海)有限公司
エルアンドティーコマツ(株)
エヌエスコマツ(株)
エレクトロニクス関連 2社
台湾小松電子材料股 有限公司
小松セミコン(シンガポール)(株)
金融関連 1社
エヌエスコマツコーポレートファイナンス(株)
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 51
読者アンケート
ご意見・ご感想をお待ちしています。
コマツは、コマツの環境への取り組みの実状をお知らせし、ご理解いただくために『KOMATSU 環境
報告書2000』を作成いたしました。本報告書作成にあたって、コマツは自社の環境方針とその展開を具
体的に述べるために、数々の事例や数字を挙げて平易に解説するよう努めています。しかし、内容によっ
ては説明が不十分であったり、理解しにくい箇所がある可能性もあります。
そこで誠に恐縮ではありますが、本報告書をお読みになった皆さまのご意見・ご感想、あるいはご要
望をお聞かせください。コマツでは、皆さまの声を今後の環境保全活動に活かすとともに、次年度の環
境報告書改善に役立ててまいります。
2000年5月
コマツ地球環境委員会
ご意見・ご感想アンケートについて
●裏面にアンケート項目があります。誠に恐縮ですが、質問項目にお答えください。
●お答えいただいたアンケートは、次のいずれかの方法で弊社経営企画室宛にご送付ください。
①FAX: 03-3582-8332
②郵送: 〒107-8414
東京都港区赤坂2-3-6
コマツ地球環境委員会(技術統括部)宛
次回発行予定について
●次回は『KOMATSU環境報告書2001』
と題し、2001年5月に発行の予定です。
●
『KOMATSU環境報告書2001』では、2000年4月1日∼2001年3月31日の活動を中心に報告いたします。
51
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 52
FAX: 03-3582-8332
→ コマツ地球環境委員会(技術統括部)宛
ご意見・ご感想をお寄せください。
Q1 『KOMATSU環境報告書2000』をお読みになって、どのようにお感じなりましたか?
□ わかりやすい □ 普通 □ わかりにくい
ご意見
Q2 『KOMATSU環境報告書2000』の提供する情報の質について、どのようにお感じなりましたか?
□ 質は高い □ 普通 □ 質は低い
ご意見
Q3 『KOMATSU環境報告書2000』の提供する情報の量について、どのようにお感じなりましたか?
□ 量は多い □ 普通 □ 量は少ない
ご意見
Q4
特に印象に残った事項はありましたか?
□ 1. 活動の概要 □ 2. 環境マネジメント
□ 4. 生産における環境保全
□ 7. 企業市民としての社会貢献
□ 3. 自然と共存する商品、サービスの提供 □ 5. エレクトロニクス事業における環境活動
□ 6. 産業機械事業における環境活動
□ 8. 生産事業所別環境データ
ご意見
Q5
コマツグループの環境活動について、どのようにお感じになりますか?
□ 評価できる □ 普通 □ 評価できない
ご意見
Q6 『KOMATSU環境報告書2000』をどのようなお立場でお読みになりましたか?
□ 株主・投資家 □ コマツ製品のお客さま □ コマツグループ企業が立地する地域の方 □ コマツと取引関係 □ 行政関係 □ 環境NPO関係 □ 報道関係 □ リクルート関係 □ 環境専門家・環境担当 □ コマツグループ従業員・家族 □ そのほか(
Q7
そのほか、ご意見・ご要望があればお聞かせください。
ご協力ありがとうございました。差し支えなければ、ご自身について下記にご記入ください。
お名前:
ご住所:
ご連絡先:
ご所属:
)
4.22-コマツ環境報告書-下版 00.5.9 1:49 PM ページ 53
環境報告書に関する第三者審査報告書
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