No. 115 August 2003 ■創立30周年特集 歴史を振り返り、大学の明日を考える 金沢医科大学創立 30 周年記念式典・オープ ンホスピタルのお知らせ 創立30周年記念事業、その他の記念事業 ■学事 平成16年度入学試験要項 退職教授に名誉教授の称号 第25回納骨式 第16回附属看護専門学校戴帽式 ■学生のページ 教員との懇談会を終えて シリーズ:私が医師になりたい理由・なった理由 体験記:症例検討の重要性 クラブ活動:ゴルフ部 ■学術 第32回日本胆道外科研究会 市民公開講座:パーキンソン病 第31回日本血管外科学会総会 金沢医科大学医学会総会第39回学術集会 平成15年度科学研究費補助金 竹原照明技術員 電子顕微鏡写真展優秀賞受賞 小川法良助教授 浜松医科大学同窓会学術奨励賞 ■病院 平成15年度臨床研修会第1回ワークショップ 平成15年度石川県民大学校健康管理講座 ■管理・運営 学校法人金沢医科大学平成14年決算 互助会:第12回ゴルフ大会 ■同窓会・後援会 平成15年度北辰同窓会総会・評議員会・全国支部長会 平成15年度金沢医大後援会橘会総会 平成15年金沢医大後援協力会総会・幹事会・懇親会 ■随想 フロリダ大学留学記 温泉の効用 金沢医科大学水月会の紹介 ■教室紹介 産科婦人科学、泌尿器科学、眼科学、口腔科学 □金沢医科大学創立30周年記念事業 募金 □金沢医科大学学術振興基金 募金 2 創立30周年記念特集 《歴史を振り返り、大学の明日を考える》 21世紀における医学教育 ―アノミー社会における人間性の回復― 本学は人間形成と人格陶冶の教育理念に立脚した「人間 性豊かな良医の育成」を建学の精神として、昭和47 年、学 都金沢に隣接するこの内灘の地に設立され、多くの皆様の ご尽力により、今日まで幾つかの困難を乗り越えて、この 度、創立30周年を迎えることができました。私共はこの30 周年を「歴史を振り返り、大学の明日を考える」機会とし、 大学のさらなる発展を図ってゆきたいと考えております。 この 30年を顧みますと、本学が創立された昭和40 年代 は、医学研究、医療技術が急速に進歩、発展した時代であ りますが、この様な研究重視の時代背景の中で、本学は、 医科大学の本来の使命である良医の育成を基本理念として 創立されました。しかし、現実的には大学創立の理念、人 材育成(良医)と言う本来の大学の使命に対する認識が欠 如し、結果として教育が混乱し、最終的には教育の基本で ある、教える側の教員と教えられる側の学生の信頼感が失 われる事態さえ起こりました。 開学10周年を迎えた昭和57年、大学院設置に伴って教員 の世代交代が進み、教育に対する考えが一新され、教員と 学生の信頼関係も回復し、教育環境は急速に改善されまし た。当時ご努力いただきました教職員の皆さんに特に感謝 を致しておりお礼を申し上げたいと思います。 医師として基本的に必要な医学知識と医療技術の修得に ついては、平成14年から全国的にコアカリキュラムが導入 され、PBL などの教育技法も定着し、到達度の評価も確立 され、その結果、医学知識や医療技術修得の大学間の格差 もなくなると考えております。しかし、21 世紀の社会にお いては、医師として必要不可欠な「豊かな人間性」を育む 教育が、医学教育上の大きな課題になると考えております。 20世紀を「外なる自然」の解明と活用の時代、自然科学 の時代とすれば、21世紀は生命科学の時代、即ち「内なる 自然」を研究対象とする時代と言うことができます。自然 科学や生命科学は、我々の生活を豊かにし、難病の治療な どを可能にしましたが、自然科学にしても、生命科学にし ても、大きな矛盾を内包していることは否定できません。 これらの科学技術文明の弱点をカバーするために、人間は ヒューマニズムを考え出し、それによって社会を必死に支 えてきたと思われます。しかし、現代社会はこのヒューマ ニズムの精神を忘れ、欲望の追求と肥大化を容認する無規 制状態、アノミー社会へと進んでおり、生命の尊厳すらも 軽視されつつあると言っても過言ではありません。 このような21世紀の無規制状態、アノミー社会において は、医学・医療の果たす役割は極めて大きく、私共は医師 や医学研究者を育成する医科大学としての責任を重く受け 止めなければなりません。改めて教育の基本理念である人 理事長 小田島 粛 夫 間形成と人格の陶冶を医学教育の原点とし、医師の育成に 努力しなければならないと思っております。豊かな人間性 を育む教育として、本学は早期臨床体験学習などを導入し ておりますが、平成10年にこの臨床体験学習で大きな成果 を上げているマーサ大学と学生・教員の相互交流に関する 協定を結び、学生や教員の交流を進めております。 また、医学教育において、学生を指導する教員の育成に は研究が必要不可欠と考えており、今日まで教育と同様に 研究の活性化に努めて参りました。平成元年に人類遺伝学 研究所、熱帯医学研究所および共同研究室を統合し、総合 医学研究所が発足致しましたが、平成10 年には文部省の補 助を受けて、ハイテクリサーチセンターが開設されました。 なお、研究における海外交流としては、昭和60年、中国医 科大学、中日友好病院、および同済医科大学と姉妹提携を 結んでおります。これまでアメリカ、ヨーロッパおよび中 国からの研究生の受け入れは263名に上ります。 良医の育成の場である本学の大学病院は、開学以来、患 者中心の医療の実践を目指し、患者に優しい臓器別診療シ ステムを採用しておりますが、新病院では一歩進んで、内 科・外科の壁を無くし、臓器別診療方式の、患者が最も適 切な治療を受けられるシステムを採用しております。さら に卒前・卒後教育や特定機能病院としての機能を第一に、 医療の質の向上と医療事故防止にも充分に配慮した病院を 目指しております。また、開院当初から導入してきた本学 独自の「1患者1カルテシステム」はまさに患者中心の医療 を実践することを目的としたものですが、この1患者1カル テの思想が電子カルテの開発の基本となりました。平成9年 から電子カルテの開発を進め、平成12 年には全国に先駆け て「電子カルテ」を全診療科で完全実施しておりますが、 この電子カルテは医療のみならず医学教育、特に学生の病 気に対する総合判断能力の育成に大きな役割を果たしてお ります。この度、30 周年記念事業の一つとして建設された 病院新館は、故村上前理事長時代に企画され、10 年間に亘 る検討を経て完成したもので、本学の医学・医療の永年の 夢を実現する一つのマイルストンでもあります。 30年の歴史を辿ると、時には大学の存在が危ぶまれる事 態も起こりましたが、皆さんのご支援と教職員の大学に対 する熱き思いが問題解決の原動力になりました。このエネ ルギーこそが本学の明日の発展を約束するものであると信 じております。 本学創設以来、ご支援、ご協力頂きました皆様、献身的 な努力を惜しまなかった教職員、卒業生および関係者各位 に心からお礼を申し上げます。 3 創立30周年記念特集 〈お知らせ〉 金沢医科大学 創立30周年記念式典 平成15年9月13日(土) 平成15年9月13日(土) 、金沢医科大学創立30周年記念式典等が挙行されます。 記念式典は、午前10時から本学本部棟4階講堂において行われます。式典会場は定員が 200 名のため、同棟3 階A31講義室にライブ中継されます。また、祝賀会場の病院新館ならびに学内のLAN端末にもライブ中継が予定 されています。 記念式典に続いて同会場で記念講演会が行われます。演題は「安全で質の高い医療を」で、講師は迫田朋子氏 (日本放送協会番組制作局教育番組センターチーフディレクター)です。 講演会終了後、病院新館1階外来ロビーに会場を移し、12時30分から祝賀会を行います。 当日は朝9時から15時まで病院新館の見学会を行っており、この時間内でご自由に見学いただけます。 記念式典 10:00∼10:40 本部棟4階講堂(同3階A31講義室へTVライブ中継) 理事長 小田島粛夫 衆議院議員 森 喜 朗 殿 文部科学大臣 遠 山 敦 子 殿 (代読 高等教育局医学教育課長 小松弥生 殿) 社団法人 日本私立医科大学協会会長 式 辞 祝 辞 川崎明徳 殿 米国マーサ大学医学部長 Ann C. Jobe 殿 祝電披露 感謝状贈呈 記念講演会 演 題 講 師 10:50∼12:00 本部棟4階講堂(同3階A31講義室へTVライブ中継) 「安全で質の高い医療を」 迫田朋子 殿 (NHK番組制作局 教育番組センター チーフディレクター) 司会 副理事長 山 下 公 一 講師略歴:東京大学医学部保健学科卒業 1980年 NHK入局、アナウンス室アナウンサー 1997年 NHK解説委員室、解説委員(医療・保健・福祉) 2003年 教育番組センター 文化・福祉番組部チーフディレクター 著書: 「医療現場取材ノート」筑摩書房(1991年) 「グローバル8つの物語」国際開発ジャーナル社(共著、1999年)など 祝賀会 演 奏 乾 杯 病院見学会 12:30∼14:00 病院新館1階ロビー 金沢医科大学クラシック音楽同好会 学 長 竹 越 襄 9:00∼15:00 (この間随時、受付終了 14:30 ) 4 創立30周年記念特集 〈お知らせ〉 病院新館一般公開 オープンホスピタル 平成15年9月8日(月)、9日(火)、10日(水) 9 : 0 0 ∼ 15:00 まで随時(受付は14:30まで) 病院新館は平成15年8月末日に完成となり、9月6日に竣工式が行われます。9月13日には本学創立30周年記 念式典・病院新館披露が予定されていますが、それに先立って、地域の方々や患者の皆様に新築の病院新館を見 学いただく「オープンホスピタル」を、9月8日(月) 、9日(火)、10日(水)の3日間にわたって実施する予定 です。 見学は、当日午前9時から午後2時 30分の間、随時、新館1階ロビーにおいて受付けます。見学の方々には「新 館概要パンフレット」と小冊子「くすりと健康・食事と健康・病気と食事」を記念品として差し上げる予定で す。見学者数は3日間で約2,000人を想定しています。 オープンホスピタルの見学コースは以下の予定です。 ○ 新館1階 見学受付 エレベーター ○ 新館12階 大会議室、展望レストラン・職員食堂 階段 ○ 新館11階 特別室フロア(特別個室A・B・C) 階段 ○ 新館10階 4床病室、一般個室、ダイニング、スタッフステーション、リニア搬送機など 階段 ○ 新館5階 血液透析センター(外来、入院) 、CAPD室 エレベーター ○ 新館3階 中央手術室(入り口・供給ホール・回収ホール) 階段 ○ 新館2階 ハートセンター 外来診察室 階段 ○ 新館1階 外来診察室 ○ 終 了 帰路1階出口へ 5 創立30周年記念特集 創立30周年記念事業 ① 病院新館の建設 ② 学生クラブハウスの建設 ③ 医学教育海外交流基金の設立 ④ 創立30周年記念番組の制作 ⑤ 金沢医科大学三十年史の刊行 創立30周年記念事業 ① 病院新館の建設 1. 病院新館の紹介 金沢医科大学病院は次のようなポリシーをかかげて診療 にあたっています。病院新館はこれを支える新しい拠点と なります。 1. 「安全な信頼される医療」 (1)癒しの環境─バリアフリー、プライバシー、アメニテ ィーへの配慮 (2)セキュリティとリスクマネジメントの徹底 (3)施設の信頼性─災害対応(免震構造、自家発電、感 染対策) 2. 「質の高い医療」 (1)臓器別診療体制・センター化─内科・外科のワクを とる (2)IT情報によるバックアップ態勢 (3)患者様の安全、医療の質についての教職員の意識改革 3. 「医療人の教育・研修の充実」 (1)特定機能病院としての応需体制とその還元によるレベ ルの保持 (2)教育研修設備の充実 (3)教職員の意識改革(充実した指導、患者様への配慮) 4. 「高度医療を支える情報化」 (1)電子カルテによる情報の保存、開示、提供と信頼性の 確保 (2)わかりやすいインフォームド・コンセントの実施 ◇基本は安全で質の高い医療を提供することです。 医療は、元来危険を伴うものというべきでしょうが、こ れを安全に行うのが医療側の鉄則であります。医療をより 安全に行うには、先ず、知識と技術をきわめ、それに熟達 していることが要求されます。そして常に患者さん中心の 医療を実施するという心構えを大切にします。 によるチーム医療を基本としております。入院診療におい ても、臓器や症状等で関連する内科と外科を同一フロアで 展開し、専門診療機能の統合を図り、効率的な診療を実施 いたします。また準重症の状態に対応できるよう病棟に準 集中治療室を設置しました。 □ プライバシー、アメニティーを配慮した癒しの環境 ・外来診察室・各種相談室 各外来診察室はパーテーションによって仕切られ、患 者間のプライバシーが守られる構造です。外来及び病棟 各階には「面談室」を設け、患者の皆様やご家族との治 療のご説明、看護相談や栄養相談などを、プライバシー を保持された環境で実施できます。 ・個室と4人室による病棟構成 新棟の総病床数は 673床で、その病室構成は4人室が 109 室(436床) 、個室が 237室(237床)で、いずれもゆ とりの面積をとりプライバシーが保持できるようにしま した。またトイレ、洗面を各室に配置しました。 ・ダイニング・デイルーム 各階に広く明るく眺望のよいダイニング兼デイルーム を設置し、食事や談話で療養の時間を過ごせるようにし ました。 ・禁煙の徹底 病院新館は全館禁煙です。また、健康管理センター医 師による「禁煙フォローアップ外来」がスタートしてい ます。 ・バリアフリーへの配慮 各所に点字プレート、落下防止用強化ガラス壁を装備、 エスカレーターの乗降口ステップを延長、受付カウンタ ーの車椅子用低カウンターを設置、病院内の段差解消な どに配慮しました。 ・周囲環境の整備 新棟建設にあわせて日本海側に面した外溝には、幅 10m、長さ250mにわたって緑地帯を設け、新館屋上部分 には植栽を施しました。 □ 臓器別診療体制・センター病棟の導入 □ お待たせしない環境の整備 外来診療では、臓器別の診療体制を導入し、内科・外科 のワクを取り払うようにしました。患者中心の専門診療科 ・外来予約診療体制の徹底 医師が再来患者の診療予約時間を励行することで、患 6 創立30周年記念特集 者の皆様の診療待ち時間を短縮するよう努力し、周辺の 各種検査等の処理や技師の作業量のキャパシティを効率 的に配分し、人的な省力化と医療機器の効率的な稼動を 検討していきます。 ・診察順表示システムの導入 診察受付をすると受付番号が各診察室の入口に診察順 にデジタル表示され、診察を待つ患者の皆様の心理的な 不安を解消するようにしました。診察室へのマイク呼び 込みはなくなります。 ・再来受付機の導入 再来患者受付機を導入し、患者の皆様が自分で受診科 受付を行い、目的の予約診療科の診察室前に直行するこ とができるシステムを導入します。 ・医療費計算の分散処理 診察終了時の料金計算は、各外来のブロック受付で計 算処理され、その場で請求書が手渡されます。このため、 患者の皆様は1階の計算窓口での計算待ちと会計窓口で の支払順番待ちなどの混雑から開放されます。 ・入退院・予約センターの整備 新館1階に、入退院患者専用待合室を設置しました。 療養生活上の説明をゆっくり聞き、病棟看護師の迎えの 案内を静かな環境で待っていただくようにいたしました。 予約センターは、入退院の予約、病床コントロールを一 元管理し、予約変更も受付ける窓口となります。 ・コンピュータ・ナースコールシステムの導入 病棟は交代制勤務のため夜間手薄となるため、PHS と 連動した新しいナースコールシステムを導入し、看護師 が病棟巡回中でも手持ちのPHSで、電子カルテシステム を経由してコールしている患者氏名・病室病床を確認す ることができ、受信場所から直接ベッドサイドに直行で きます。 □ 高度医療を支える情報化 「1患者1カルテ」システムは、30年前の開院当初から本 学病院が患者中心の診療体制の構築を目指して採用してき た画期的なシステムです。それが電子カルテシステムに引 き継がれております。 診療記録等への電子媒体を利用した本学病院の電子カル テシステムは、国内の大学病院では初めて導入されたもの です。 「真正性」 、 「見読性」 、 「保存性」の三原則がシステム 的に完全に確保されており、厚生労働省からも本学病院の 特定共同指導等において高く評価されています。 診察室の電子カルテ端末画面上で担当医が受診歴のある 他診療科の診療情報を参照して、検査、投薬などのオーダ ー入力にあたって、重複や薬剤等の禁忌事項の確認などが 容易に行え、より適切な治療が提供できます。患者様のプ ライバシーの保護も、紙カルテの管理と異なり容易に行え、 情報を即時に取り出して供覧でき、保管管理にスペースを とらない点が大きな利点です。 □ 感染対策 病院内では清潔度が重視されます。手術室、集中治療セ ンター、ハートセンター、病棟内の重症治療室などには高 性能フィルターを採用し清浄度を保持しています。また感 染症や院内感染対策のための陰圧、陽圧仕様の病室も準備 されています □ 災害等への安全対策 新館は免震構造を採用しました。地中40mまで141本の杭 を打ち、その上に免震装置127基を設置して躯体を支える構 造で、震度7クラスの地震にも耐える構造となっております。 電力供給は、経済産業省の援助により新エネルギーセン ターを建設し、コジェネレーションシステムにより3,600kw の自家発電を行っています。災害等により電力会社からの 送電がストップした場合でも、備蓄重油(300kl)により7 日間程度は本システムからの電力で診療活動が可能となっ ています。また新館地階に1200kwの発電機が設置されてお り、万一の停電時にも対応できる安全性を確保しています。 □ 自然環境への配慮 ・空調 冷暖房のエネルギー源は、コジェネレーションシステ ムによる自家発電機の廃熱を熱源に利用してボイラーを 稼動させる方式をとり省力化を図っています。 ・給水 水道水と井戸水の併用とし、井戸水はトイレなどの洗 浄水として使用し、経済性に配慮しています。また、新 館地階に貯水槽を備え、災害発生時、水道水の供給が不 能に陥った場合でも、最大毎時80トンの供給が行える設 備となっています。 ・排水 一般排水(雑排水・汚水)と薬品系排水の2系統があり、 一般排水は汚水処理施設へ、薬品系排水は、実験希薄廃 液処理施設へ送って処理されます。また厨房排水は、残 飯等を破砕処理する設備の地下部分に設置された処理槽 でバイオ処理を行った後、一般排水として排出するシス テムとなっています。 以上のように、特定機能病院として一般の病院では困難 な高度な医療技術の開発や実施のための諸機能が一層充実 されました。今回のオープンホスピタルにより、地域住民 の方々に新館の最新の施設設備の概要をご披露し、大学病 院への理解を深めていただくようにいたしたいと、関係者 一同努力しているところです。 (病院事務長中農理博記) 2. 病院新館の建設経過 病院増改築計画は、1989 年(平成元年)6月に大学将来 検討委員会のもとに検討が開始され、紆余曲折を経て1996 年6月第3次病院増改築委員会から「金沢医科大学病院増改 築に関する基本構想(案) 」が提出された。これにしたがっ て1996年9月設計プロポーザルを5社に提示、その結果を踏 まえて、1997年3月第 138回理事会において、病床 700 床、 建設費150億円の規模で計画を進めることに決定した。1997 年6月、日本設計・中島建築事務所設計監理共同企業体 7 創立30周年記念特集 (JV)に上記条件で設計を依頼し、基本設計から実施設計へ 進んだ。その段階で、わが国の医療情勢の急激な変化を考 慮し、規模の見直しが行われ、震災への対応を考え免震構 造を導入することに変更された。建築、電気、設備の各工 事を依頼する各 JVの決定を経て、2000年 12 月起工式を行 った。JV 各社のご協力により工事は順調に進み2003年8月 無事竣工した。本事業は、厚生労働省・経済産業省・石川 県の補助対象事業となった。エネルギーセンター建設工事 も新館工事に併せて同時スタートし、2002年3月に完成し、 6月から本格稼動しエネルギーの安定供給を続け現在に至っ ている。 病院新館及びエネルギーセンターの建築基本方針および 概要は以下のとおりである。 病院新館の基本方針 ○自然環境と先端医療との調和 特定機能病院という急性期患者を対象とした病院であ るが、いわゆる医療の工場のような環境ではなく、自然 光、自然の風景等の自然の要素を大切にした療養環境づ くりに心がけた。 ○地域居住環境との調和 隣接した住宅地との間には、遊歩道のある緑地帯を設 け、建物から発生する機械作動音などができるだけ外部 に漏れないようにコンクリート壁などで包囲し防音対策 を施した。また、住宅に面した病室の窓には手すりから 下方を西日直射防止を兼ねた目隠しガラススクリーンを 設置した。 ○ランドマーク性と既存建物群との調和 周辺から望見される建物となることから、既存建物群 や周辺地域と調和した色調やデザインの「ランドマーク 性」に留意した。 ○プライバシーとアメニティ 診察内容や会話の内容が他人に聞かれることのない外 来診察室、面談室、公衆電話ボックス、病室など、患者 のプライバシーを尊重した設計を採用。自然光をできる だけとり入れた明るく広い待合スペース・病棟ダイニン グ・デイラウンジ・一床当りの面積など、病院を利用す る人にやさしいアメニティに配慮した。 ○屋内建築素材の吟味 年月が経つほどに味が出る、長く使える強靭な素材を 採用し、その素材の持ち味を生かす。木質系では無垢材 や練り付け材を使用し、できるだけまがい物の使用を避 けた。 ○ライフサイクルコスト(LCC)評価を配慮した長寿命建築 ライフサイクルコストの観点から、省エネルギーはも とより、長寿命化を図った計画とした。建築の骨格とな る鋼材、サッシ、ガラス、外壁タイルなどの素材も海か らの厳しい気象を遮断し、建物の耐久性を保つよう配慮 した。 ○快適性と院内感染防止 空調など快適な室内環境づくりに特に留意するととも に、院内感染防止に配慮した設計とした。 ○高度医療を支える情報化 電子カルテ、オーダリング、ナースコールと連動した PHS電話など、高度医療を支える情報化システムの利用 に十分配慮した。 ○災害対応 災害時に被災者を救護する役割を果たす医療機関とし て、大地震にも強い免震構造とし、昨年から稼動中のエ ネルギーセンターでは、商用電力と併用してガスタービン エンジンによる自家発電を行い、その廃熱をボイラーに利 用するコジェネレーションシステムを導入している。災害 時に商用電力が送電不能となった場合も、3600kwの発電 が可能で、入院患者とともに被災者治療が可能である。 また、大災害により多数被災者が本院に搬送された場 合、外来待合スペースやホールの随所に医療ガス設備が 設置されており、その場で緊急治療が行えるよう万全を 期した装備が設置されている。給水は、井水(地下水) と町水併用システムで断水となる危険は少ない。 (施設整備推進室太田修記) 【病院新館の概要】 ◇工 期=平成12年12月14日∼15年8月31日 ◇病 床 数=673床(病院新館) ◇建物構造=鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、免震構造 ◇建物規模=地下1階、地上12階、塔屋2階 ◇敷地面積=150,000.00㎡ ◇延床面積=51,848.713㎡ ◇最高高さ=68.756m ◇設計監理=日本設計・中島建築事務所設計監理共同企業体 ◇施 工=建築工事:清水・大成・戸田・真柄特定建設工事 共同企業体 空調・衛生・給排水工事:菱機・柿本・日栄・ 大氣社特定建設共同企業体 電気設備工事:キンデン・米沢・関電工特定建 設共同企業体 【エネルギーセンターの概要】 ◇工 期=平成12年12月14日∼14年3月31日 ◇建物構造=鉄筋コンクリート造 ◇建物規模=地上3階 ◇延床面積=1,866.230㎡( オイルポンプ室36㎡含む) ◇最高高さ=23.324m ◇設計監理=日本設計・中島建築事務所設計監理共同企業体 ◇施 工=建築工事:清水・大成・戸田・真柄特定建設工事 共同企業体 空調・衛生・給排水工事:関電工 コジェネレーション工事:関電工 3. 病院新館への移転計画 病院新館が、平成15年8月末に竣工の予定となったこと で平成14年10月に新棟移転計画実施総括委員会(委員長・ 山下公一副理事長)が設置され、第1回の委員会が開催さ れた。同年11月には具体的な計画を策定し実施するワーキ 8 創立30周年記念特集 ンググループとして機器備品等整備移設計画実施委員会 (委員長・高島茂樹副院長)及び患者移転計画実施委員会 (委員長・高島茂樹副院長)が組織され、病院にとって大き なイベントとなる新棟移転計画がスタートした。 以来、両委員会を中心に精力的に作業が行われ、医療機 器及び什器・備品等、新規に整備するもの、移設するもの、 配置レイアウトもほぼ固まり、いよいよ引越しの準備がで きる段階となり、平成15 年6月下旬に開催された「病院部 科長会」 、 「病院連絡会」において、病院運営会議で承認さ れた移転計画案の概要が説明され、各部署に協力が要請さ れた。 移転計画案の概要は次のとおりである。 病院新館への移転時期は、医療機器、什器・備品の搬 入・据付がほぼ完了する予定の9月末を目処として、10 月 11日(土)から11月25 日(火)までの46日間とした。この 時期をあてたのは3連休が3回あり、これを有効に使い、日 常診療に与える影響を極力軽減するためである。移転期間 中は、入退院患者のコントロールをきめ細かく行い、移転 病棟の在院患者を一時的に退院・転棟させたり、計画的手 術や検査予約を制限する必要も出てくるが、包括医療制度 の特徴を生かして、患者さんや医療収入への影響を最小限 に留めたいと考えている。 移転は、病棟部門から始め、平行して中央診療部門、最 後に外来部門を行う計画である。病棟部門の移転は各病棟 を3日単位で行い、約1カ月かけて移動する計画だが、患者 搬送・職員の移動を3日間の中日に位置づけ、その前後にで きるだけ関連の物品移動を行うというものである。また、 中央手術部の移転は、ハートセンターや集中治療センター などの関連部署の移動と同期させて行う計画であるが、緊 急手術にはいつでも対応できる態勢が必要であり、今後さ らに現場との詳細な打ち合わせが必要である。この移転計 画案の作成にあたっては、新館と本館の連絡通路や搬送に 利用できるエレベーターの数が限られていること等を考慮 しながら、できる限り短期間に安全かつ確実に実施できる ように工夫した。 8月末の竣工引渡しとその後9月上旬に予定されている記 念式典等の行事が終わり次第、各部署は、新館設備の確認や 設置機器の操作訓練、さらに患者移動のシミュレーションな ど、十分な事前確認作業、移転作業や移転後の運用のシミュ レーションを通常業務と並行して行っていくこととなる。 このほか、この移転スケジュールをベースとして、情報 システムの移行(現行システムのプログラム修正及び端末 移設など)や移転完了後の運用上の人的諸問題(新館と本 館の患者及び作業導線が長くなるため、検体などの物品搬 送を行うメッセンジャーシステムを検討している)との調 整も併せて行っていくこととなる。 各部署の引越し責任者を決めて、7月から9月にかけて、 引越し業者と打ち合わせを重ねて、詳細な移転計画を詰め ていくことになっている。学会等の時期とも重なるが、医 師及びコメディカルの方々の協力も得ながら、無事移転を 完了させたいと考えている。 (管理課疋田勉記) 4. 病院新館1階中央ホール吹抜を 九谷陶芸家武腰敏昭氏制作陶板 「安らぎ、癒し、再生」が飾る 病院新館1階中央ホール吹抜部の回り階段部の壁面に、 九谷陶芸家武腰敏昭氏(石川県陶芸協会会長、日展評議員) 制作の大型陶板壁画(縦3m×横5m)が設置された。 画題は「安らぎ、癒し、再生」で、医王山系をバックに 河北潟に憩う一対の白鳥と飛び立ってゆく3羽の白鳥を配し た図柄には、病院を訪ねられた患者様に安らぎをという作 家の意図が込められている。 5. 金沢医科大学創立30周年記念事業募金寄付 者銘刻板 病院新館1階ロビーに設置される 創立30 周年記念事業募金は平成13年7月から開始された が、教職員、卒業生を始め多くの方々のご協力があり、目 標にはまだ到達しないとはいえ、お一人お一人のご芳志が 実って10億円の大台を超えるに至りました。いただきまし たご芳情に対して厚く感謝申し上げます。この記録を末永 く後世に残すために、病院新館1階ロビーの壁面に図のよう なデザインの寄付者銘刻板を設置することになりました。 なお、本寄付金の募集期間は平成16年6月までと、1年延 長されているので、この後ご協力いただきました方のご芳 名も逐次掲載される予定です。 9 創立30周年記念特集 創立30周年記念事業 ② 学生クラブハウスの建設 ―20年ぶりに再建― 昭和58年秋、旧クラブハウスが失火により消失して以来、 学生部の長年の懸案事項であったクラブハウスの再建がこ の度創立30 周年記念事業の一つとして具現化した。病院新 館の建設に伴い新エネルギー棟が完成し空棟となった旧エ ネルギー棟を改装してクラブハウスとして使用することに なった。本年10月末には完成の予定である。 新クラブハウスは、体育館及びグラウンドに隣接し、延 べ面積は1,215.35 ㎡で、部室21室、男女シャワー室、ラウ ンジ、トイレ、洗濯・乾燥室、倉庫などで構成され、全館 冷暖房完備である。現在の文化系および体育系クラブの全 てがそれぞれの部室を持つ事ができる。テーブル、椅子、ロ ッカーなどの基本的な備品、さらにラウンジには大型テレ ビ、製氷機などが設置され、クラブハウスとして必要なハ ード・ソフトウェアーはほぼ満たされる。また、喫煙室を 設置することでクラブハウス内は全面禁煙とした。これら の具体案は学生部と学友会を中心とした学生がそれぞれ立 案して持ち寄り、それらの最大公約数を大学側に提案し、 ほぼ全面的に受け入れていただいた。小田島粛夫理事長、 竹越襄学長、大学法人・学事関係各位の誠意に感謝する次 第である。また備品の整備に関しては本学後援会橘会から 多大なご援助をいただくこととなった。あわせて感謝を申 し上げる次第である。 新クラブハウス クラブハウスの運営に関しては、基本的には学生の自主 運営に委ねることとなる。しかしながら、学生部として放 置するというのは現実的に無理がある。今後は具体的な運 営について学友会と協議しながら詳細を決めていかなけれ ばならないが、ハウスを使用する個々の学生が基本的マナ ーを遵守することが最も重要である。旧クラブハウスが失 火によって消失した事、再建に20 年を要したことを風化さ せてはならない。 医学部の授業・実習形態の変化、4年次終了時での新しい 試験制度の導入、3日制となった医師国家試験など、医科学 生を取り巻く修学環境はきびしい条件が要求されているの で、当然課外活動も影響を受けざるをえない。学生時代の 課外活動のプラスの意義を十分に考え、本学建学の精神で ある「良医を育てる」ための豊かな人間性を育む場として、 課外活動における友人、先輩、後輩という縦の友情関係の 構築、また他大学生との交流、活動に伴って生じる地域社 会の方々との付き合いなど、種々の人々との関係の中で、 自己の人間性を磨いていってほしい。クラブハウスが学生 の課外活動を活発化し、学生諸君の健全な人間性を育む基 地として機能することを切に願う次第である。 (学生部長川上重彦、経理管財部尾張昊記) 10 創立30周年記念特集 創立30周年記念事業 ③ 医学教育海外交流基金の設立 創立30周年記念事業のひとつとして、学生が海外の医学 教育・医療現場を実際に見学、体験する機会を経済的に支 援する目的で「医学教育海外交流基金」が設立された。 設立の趣旨は、本学の建学の精神とする「人間性豊かな 良医の育成」のために、知識や技術の修得はもちろんのこ とであるが、思考力、判断力の育成や医師としての態度教 育が特に重要であり、そのために少人数教育や臨床の早期 体験学習を導入してきている。平成10 年に、この様な教育 システムであるテュートリアル学習を早くから採り入れて 成功をおさめている米国マーサ大学と教員・学生の相互交 流に関する協定を締結し、学生の交換留学を実施し、これ まで12名の学生がマーサ大学へ派遣され、実際にアメリカ の学生と共にPBLやCCSを体験してきた。またマーサ大学 から本学に留学した学生は8名であるが、実習や討論の機会 に本学の学生の発言が少ないと彼らは指摘している。この ことから、本学の学生の臨機応変の判断力や思考力の育成 や態度教育には、実際に米国の教育現場に行って自分の目 創立30周年記念事業 で見て体で体験することがきわめて重要であるとの考えに より、卒前教育のある期間、学生が米国などの医学教育現 場を体験してくるのを支援するための基金を設立したもの。 基金の資金は有志の方の醵金による。 また、ハワイ大学での語学・医学研修を含めてこれまで 70名以上の学生が海外での体験学習を経験しているが、現 在ではマーサ大学だけでなく、ハワイ大学やバーモント大 学などへの短期臨床体験留学への道が開かれている。 今後、本基金を利用して1人でも多くの学生が海外での医 学教育・医療現場を見学、体験し、地球規模の視野と思考、 判断力を身につけ、真の人間性豊かな良医に育ってくれる ことを期待する。 なお、本基金から支援する奨学金交付規程が学術交流室 で整備され、既にハワイ大学でのプレ・クリニカル研修者、 語学・医学研修者及びバーモント大学での医学研修者に奨 学金が交付されている。 (学術交流室) ④ 創立30周年記念テレビ番組 「明日の良医をめざして ―ある医科大学の挑戦」の放映 記念ビデオ作品「医学教育は、いま 創立30周年記念として、テレビ番組「明日の良医をめざ して―ある医科大学の挑戦―」という番組がイメージ・サ イエンス社(碓井ディレクター)により制作され、30 分番 組の5回シリーズとして、石川(テレビ金沢)・富山(北日 本放送)・福井(福井放送)から北陸3県に、平成 14 年10 月から12月にかけて放映された。 内容は、本学の医育の姿勢を紹介し、本学の医学教育に ついてさらなる改善の道を求めようとするもので、本学学 生、本学教員、学生のご父兄を対象と考え、4年前に本学が 出版した公募エッセイ集「これからの医療〈医療への提言〉 」 にある患者サイドの苦言を導入部分として、客観的な視点 で医療の現場にある今日的な一般的問題を正攻法で取り上 げる形で展開している。案内役を務めるタレントのちはる さんの案内で、金沢医科大学の良医育成への取り組みを 様々な観点から捉えている。本学に入学を志望する受験生 ―金沢医科大学の挑戦」 の制作 にも見てもらい、医師になることを考える動機付けにもつ ながることを考慮に入れた。 放映されたテレビ番組の構成は次のとおりである。 第1回 「なぜ医者を志すのか」 公募エッセイの医療側に対する患者サイドからの苦言 を紹介しながら、医師を志す学生へのモチベーションを 探り、シリーズ全体のオープニング・チャプターとした。 第2回 「授業が変わる」 医学教育の変革の時代にあって注目されている「PBL テュートリアル」をとり上げ、医学生・医師に求められ る人間性の資質や能力の育成について考える。 第3回 「患者さんと出会う」 ユニークな現場体験実習のカリキュラムを紹介しなが 11 創立30周年記念特集 ら、患者さんに接する意味やPBLの成果が実践の場でど う活かされるかについてスポットをあてた。 第4回 「いのちをささえる」 技術の進歩が持つジレンマの中で、現場の医師が何を 感じ、悩んでいるのかを探り、インフォームド・コンセ ントなど患者とのコミュニケーションのあり方など、先 端医療と人間の関わり方の問題をクローズアップした。 第5回 「地域とともに」 医科大学が地域医療について担う使命を考えるかたち で、提携校の米国マーサ大学での取り組みも紹介しつつ、 地域医療のあり方を考えた。また、シリーズの結びとし て学内にあるユニークな「学生自習室」での学生の日常 と彼らの言葉を交えながら、良医育成の考え方について 創立30周年記念事業 振り返るものとした。 番組が昨年の後期に放送され、平成15年度入試への影響 について分析した結果では、受験者総数がやや減少したに もかかわらず、北陸地区出身の受験者数、特に成績優秀な 受験者が大幅に増加していることは効果の大きかったこと を示唆している。 テレビ放映終了後、全5回の内容から本学の医学教育への 取り組みと実施に関連する部分を抽出して約25 分に再編集 して、新たにプレゼンテーションビデオとして「医学教育 は、いま―金沢医科大学の挑戦―」を作成し、関連の方々 に配布した。 この作品のビデオについての問い合わせは、金沢医科大 学入学センターまで。 (入学センター) ⑤ 「金沢医科大学三十年史」および 「金沢医科大学創立30周年記念誌」の刊行 本学が創立 30 周年を迎えるにあたって表記の2 冊が刊行されることになった。 「金沢医科大学三十年史」には1972 年(昭和 47 年)の開学以来の本学の歴史がまとめられたが、 既刊の「十年史」、 「二十年史」の続編ではなく、 単独で本学の 3 0 年の歴史を通覧できるものとし た。この 3 0 年は 2 0 世紀最後の 3 0 年間でもあり、 医学の領域でも驚くべき進歩がみられた期間であ る。CTもパソコンもこの30年間の所産で開学時に は無かった。特集記事としてそのような周辺事情 について考察できる資料をも収載した。 「金沢医科大学創立 30 周年記念誌」は「三十年 史」の姉妹編となるもので、北辰同窓会と共同編 集の形をとって完成した。30年の間に2600名もの 卒業生を世に送り、それぞれが仕事の場を得て国 内外で活躍している。本書は30年間の学生および 卒業生の動向に焦点をおいてまとめたものでユニ ークな記念誌となっている。 (出版局) 「金沢医科大学三十年史」「金沢医科大学創立30周年記念誌」 12 創立30周年記念特集 その他の記念事業 第30回 金沢医科大学神経科学セミナー テーマ 〈お知らせ〉 神経眼科学の基礎と臨床 平成15年8月23日 (土)、24日 (日) ・会場:ホテルイン金沢 我々の主催する金沢医科大学神経科学セ ミナーも今年で第 30 回を迎えることにな り、本学30周年記念行事の1つに挙げられ ている。30 年前にこの神経科学セミナーを 企画した際の目的は、セミナーを通じて 「臨床に強い神経内科医を育成する」こと にあった。以来回を重ねて30年を経過し、 このセミナーの役割はほぼ達せられたと考 えられるに至って、本年の第30回のセミナ ーをもって幕を閉じることとなった。 今回は、金沢医科大学神経内科学教室 の30周年にもあたるので、今までと少し趣 を変えて金沢医科大学と神経内科学教室の 共催のかたちで最後のセミナーとして特別 企画を組むこととなった。テーマには、日 本の神経学会で弱点とみられる「神経眼科・神経耳科」領 域をとり上げて、3人の著名な外国人講師を招聘し、夏期休 暇中の8月23日(土)∼24 日(日)に別 紙のごとく開催することに決定した。 3人の講師はいずれも過去の本学セミナ ーに参加され、セミナー参加者の評価が 高かった先生方であり、神経眼科、神経 耳科の領域では世界的に有名な臨床研究 家でもあり、この3人の講演が一度に聴け るまたとないチャンスであり、実際の臨床 に直ぐに役立つ情報が得られることと期 待されている。 本学の全国公開講座として名が知られ ているセミナーの最後の機会であり、神経 科学、眼科学、耳鼻科学専攻の先生方を はじめ、全学の先生方のご参加を心から お待ちしている。 学生、大学院生も自由に参加して、討論に加わっていた だきたい。 (主催責任者 廣瀬源二郎記) 8月 23 日(土) 13:00 8月 24 日(日) Primary position upbeat nystagmus の病 態と責任病巣 9:00 金沢医科大学神経内科学 教授 14:00 14:10 15:30 15:40 16:40 16:50 18:10 廣瀬源二郎 Neurology of Eye Movement Disorders Department of Neurology and Neuro-otology Royal Prince Alfred Hospital, Australia Director Michael G. Halmagyi Alterations in the appearance of the retinal peripapillary nerve fiber layer in neurologic disease Department of Ophthalmology & Neurosurgery University of California San Francisco Professor William F. Hoyt Gaze palsies Department of Neurology, University of Toronto Professor James A. Sharpe 10:15 10:20 11:35 11:40 12:40 Neurology of Vertigo Department of Neurology and Neuro-otology Royal Prince Alfred Hospital, Australia Director Michael G. Halmagyi Diplopia: Diagnosis and Investigation Department of Neurology, University of Toronto Professor James A. Sharpe Contemporary neuro-ophthalmologic vignettés for neurologists Department of Ophthalmology & Neurosurgery University ofCalifornia San Francisco Professor William F. Hoyt 13 創立30周年記念特集 その他の記念事業 その他の記念事業 創立30周年記念植樹 病院新館 小児科外来待合室に 三春滝桜 童話の壁画 ― 本学美術部学生が制作 ― 創立 3 0 周年記念植樹にと、国指定天然記念物 「三春滝桜」(樹齢約千年のしだれ桜、福島県三春 町)の苗木3本が、平成 14年 11 月、野村證券株式 会社金沢支店長佐藤博氏から寄贈された。2本を本 部棟正面玄関前の左右の緑地帯に植樹、残りの1本 は病院新館前に植樹される。現在3本とも1年目の 越冬を終え、緑葉を繁らせて順調に育っている。 (経理管財部) 本部棟前の記念植樹 病院新館1階の小児科外来待合室に童話をモチー フとした大きな壁画が完成した。本学美術部学生か らの、小児科を受診する患児たちの気持ちをなごま せることができるような壁画を描きたいという提案 が実ったもの。学生たちの案が採用されることにな り、本年3月頃から休日を返上して制作にあたった。 壁画は色彩に富み、30の童話の主人公が描かれて いる。小児科を訪れる患児たちが喜んでくれること を関係者は期待している。 (施設整備推進室) 壁画と制作した美術部の学生たち その他の記念事業 「くすりと健康・食事と健康・病気と食事」の刊行 薬剤部と栄養部のスタッフが患者さん向けに作ってきた「くすりと健康」 、 「食事と健康」 、 「病気と食事」の各シリーズのリーフレットが一冊の冊子に まとめられ発行された。 「コメディカル・スタッフからのアドバイス」という 副題が示すように、薬剤部や栄養部のコメディカルスタッフが、患者さん自 身に病気とケアの仕方を理解してもらうよう、分かりやすく解説したもの。 8年前の病院開院20周年の際に発行して好評だったので、新しい内容を加え て再編集して新版を作ることになった。新館の一般公開「オープン・ホスピ タル」に際して見学に来られた方々にも記念品としてお渡しする。 (出版局) 14 学 事 平成16年度 入学試験要項 本学の平成16年度の入学試験要項(一般選抜、特別推薦 (AO) 、推薦、編入)が次のように決まった。 なお、平成16年度一般入学試験の第1次試験は平日に実施されるため、各地方試験会場は変更になるのでご注意い ただきたい。 □ 一般選抜入学試験 一般入試は第一次試験で学力試験が行われ、合格者 1. 募集人員:約10名 2. 出願資格(次の条件を満たす者) (募集人員の5倍程度)に第2次試験として面接試験を (1)平成15年4月1日現在、25歳以下の者 課して最終判定が行われる。 (2)高等学校を卒業した者及び平成16年3月卒業見 込みの者またはそれと同等以上の学力があると 1. 募集人員:約65名 2. 出願期間 認めた者 (3)合格した場合には必ず入学することを確約でき 平成15年12月15日(月)から 平成16年 1月13日(火)まで 3. 試験期日 る者 3. (1)本学卒業後、出身地の地域医療の発展、向上に 第1次試験:平成16年1月21日(水) 貢献する意志の強固な者 第2次試験:平成16年1月27日(火) 、28日(水) (2)本学卒業及び本学大学院修了後、本学で教育、 のうち希望する日 4. 研究、診療に従事し、本学の発展に貢献する意 試験科目 欲の旺盛な者 第1次試験:外国語(英語Ⅰ・Ⅱ)・ 数学・小論文 (3)本学卒業後、発展途上国への医療援助など国際 選択科目(物理・化学・生物から 医療援助活動に貢献する意欲の旺盛な者 2科目選択) (4)上記以外の出願動機で、それが本学建学の精神 第2次試験:面接(グループ面接) 5. 試験会場 本学/金沢医科大学 東京/TOCビル 大阪/天満研修センター 名古屋/名古屋ガーデンパレス 仙台/仙台ガーデンパレス 福岡/福岡ガーデンパレス 6. 出願要件(次のいずれかに該当する者) に合致していると本学が特に認めた者 4. 出願期間 平成15年10月 1日(水)から 平成15年10月10日(金)まで 5. 試験期日及び試験科目 第1次選考:書類選考 第2次選考:平成15年11月16日(日) 合格者発表日 第1次試験:平成16年1月24日(土) 第2次試験:平成16年1月30日(金) □ 特別推薦(AO)入学試験 学力のみを中心とした入学試験では評価できなかっ た学習意欲、使命感、人間性の評価に重点を置いて選 小論文、個人面接、グループ面接 6. 合格者発表日 第1次選考:平成15年10月28日(火) 第2次選考:平成15年11月28日(金) □ 推薦入学試験 本学の推薦入試は、医学に対する目的意識が明確で、 考が行われる。将来への目標が明確であり、かつその 人間性豊かな人物を選抜することを目的として、昭和 目標が本学の求めるものと合致する者について、書類 61年度入学生から実施している。 選考や面接に十分な時間をかけ、人物本位で選抜を行 っている。 学力試験のみの選抜ではなく、面接を重視し、例え ば高等学校で指導的役割を果たした実績(クラス代表 15 等)、クラブ活動においてよい成績を修めた実績など、 学力以外の面でも医師としての資質を備えた人物を見 1. 募集人員:約 5名 2. 出願期間 平成15年11月1日(土)から 極めるよう努力がなされている。 1. 募集人員:約20名 2. 出願期間: 平成15年11月 1日(土)から 平成15年11月 7日(金)まで 3. 試験期日:平成15年11月16日(日) 4. 試験科目:基礎学力テスト、小論文、面接(グ ループ面接) 5. 平成15年11月7日(金)まで 3. 試験期日:平成15年11月23日(日) 4. 試験科目:英語、小論文、 面接(グループ面接) 5. 合格者発表日: 平成15年11月28日(金) 合格者発表日:平成15年11月28日(金) □ 編入学試験 問い合わせ及び入試要項の請求は下記へ: 編入学制度は、すでに医学部以外の分野の大学教育 〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1 を修学した者に医学を学ぶ道を開くために、平成3年度 金沢医科大学入学センター 入学生から実施している。第2学年に編入学し、既に 電話:076-286-2211(内線2532∼2534) 履修している教養科目の重複履修を省いて効率的に医 FAX:076-286-6279 学の専門教育を実施、医学研究及び医療の実践に貢献 E-mail :[email protected] する有為な人材を育成することが目的である。 ホームページ: http://www.kanazawa-med.ac.jp/ 平成15年度 オープンキャンパス/進学説明会〈予告〉 〈実施日程〉 第1回 平成15年8月24日(日)10:00 ∼ 15:00 第2回 平成15年9月21日(日)10:00 ∼ 15:00 場 所 金沢医科大学キャンパス *参加希望者は参加日と参加者名を電話・FAX・ハガキ・ Eメールで入学センターまでご連絡ください。 〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1 金沢医科大学入学センター 電話:(代表)076-286-2211(内線2532∼2534) (直通)076-218-8063 FAX:076-286-6279 E-mail:[email protected] 16 退職教授に 平成15年度 名誉教授の称号授与 新任教員オリエンテーション 本年3月 31 日付けをもって定年退職された教授5氏に対 し、6月9日(月)本学理事長室において、小田島粛夫理 事長から金沢医科大学名誉教授の称号が授与された。 名誉教授の選考は、去る5月6日開催の名誉教授選考委 員会において選考され、竹越襄学長の推薦に基づき、5月 8日開催の第669回医学部教授会で承認されたもの。 新任教員オリエンテーションが平成15年5月 15 日(木) に開催された。 このオリエンテーションは、新任教員を対象に本学の教 育方針とカリキュラム並びに教育方法等の理解を目的に行 っているもので、平成4年度から実施している。今年度は、 昨年6月以降に採用・昇任された講師以上の教員を対象に 開催され、18名の参加があった。安田幸雄教務部副部長が 司会を務め、はじめに鈴木孝治教務部長から本学の教育方 針及びカリキュラムの内容について、大原義朗教務部副部 長からはPBLテュートリアルについて、飯塚秀明教務部副 部長から強化教育について、松井忍教務部副部長から臨床 実習について説明があった。最後に参加者の自己紹介があ り、各教員から今後の教育について抱負が述べられた。 (教学課高崎正輝記) 称号授与された方々(敬称略): 第51号 大谷 信夫(前呼吸器内科学教授) 第52号 今田 直孝(前数学教授) 第53号 菅井 進(前血液免疫内科学教授) 第54号 西川 克三(前生化学Ⅱ教授) 第55号 高橋 敬治(前呼吸器内科学教授) (庶務課笠間孝一記) 金沢医科大学臨床教授 委嘱状授与式並びに学外臨床実習に係る懇談会 平成 15年5月 13日(火)午後7時からホテル日航金沢に おいて、学外臨床施設の医師 24 名を招き、小田島粛夫理 事長並びに竹越襄学長をはじめ 13 名の役員、教職員が出 席して、金沢医科大学臨床教授委嘱状授与式並びに学外 臨床実習に係る懇談会が開催された。 初めに、臨床教授委嘱状授与式が執り行われ、小田島 理事長から対象者一人一人に委嘱状が授与された。続い て、学外臨床実習に係る懇談会が開かれ、鈴木孝治教務 部長からスライドを使って本学の概要及び臨床実習につ いて説明が行われた。この後、懇親会に移り和やかな中 で意見交換が行われ、最後に臨床教授を代表して公立宇 出津総合病院長小森和俊先生がお礼の言葉を述べられた。 本学では、平成7年度から学生が医療チームの一員とな り、スチューデントドクターとして行動することを目的 とした Clinical Clerkship(CCS)を導入し、平成11年度か らは、大学病院では得られない体験実習を経験するため、 学外の医療機関において臨床実習を行っている。また、 平成 12 年度からは、受入施設の指導医師の方々に対し医 学教育の位置付けを明確にすべく、臨床教授、臨床助教 授、臨床講師として委嘱する制度を設けており、当初は 1 3 名の先生方に委嘱していたが、学外臨床実習の充実と ともに受入施設並びに実習指導者が増やされ、今年度は 37名の方々が臨床教授に委嘱された。 今年度臨床教授に委嘱された先生方は次の方々で、任 期は平成15年4月1日から平成16年3月31日まで。 (庶務課笠間孝一記) 西野 知一 山口 成良 宮崎 誠示 岡部 雅夫 橘川 弘勝 佐々木 誠 野 謙介 倉知 圓 東福 要平 浜田 重雄 竹下八洲男 波佐谷兼綱 勝木 建一 川西 徹郎 北田 博久 川崎 英 藤井 博之 上田 博 上野 敏男 新村 康二 前田 敏男 小森 和俊 佐藤 秀次 宮谷 信行 京井 優典 横井 克己 一二三宣秀 田 充彦 南部 澄 伊藤 順 的場 宗敏 神野 正博 藤井 久丈 轟 清二 竹内 尚人 佐原 博之 丸岡 達也 (千木病院院長) (松原愛育会松原病院院長) (南ケ丘病院院長) (医療法人積仁会理事長) (厚生連高岡病院院長) (金沢赤十字病院院長) (カセノ内科医院院長) (公立井波総合病院院長) (済生会金沢病院院長) (二ツ屋病院院長) (金沢社会保険病院病院長) (珠洲市総合病院院長) (やわたメディカルセンター院長) (金沢リハビリテーション病院院長) (らいふクリニック院長) (金沢西病院院長) (博洋会藤井脳神経外科病院理事長) (辰口芳珠記念病院院長) (浅ノ川総合病院院長) (医療法人社団新村病院理事長) (映寿会病院院長) (公立宇出津総合病院院長) (金沢脳神経外科病院院長) (町立富来病院院長) (国民健康保険志雄病院病院長) (公立穴水総合病院病院長) (北陸中央病院医務局長) (医療法人社団宇野気医院理事長) (なんぶこども医院院長) (伊藤病院院長) (的場病院病院長) (董仙会恵寿総合病院理事長) (藤聖会八尾総合病院理事長) (とどろき医院院長) (木島病院院長) (佐原病院院長) (まるおかクリニック理事長) (卒業年度順、敬称略) 17 第25回 納骨式 平成15年4月 19日(土)午後1時から本学納骨堂におい て第25回納骨式が執り行われた。式には学長、副学長、ご 遺族、天寿会役員、教職員、医学部学生、看護学生等が多 数参列した。 最初に、今回納骨される御遺骨が、解剖学Ⅱ篠原治道教 授の先導のもと、第3学年代表者に抱かれて到着した。解剖 学Ⅰ島村英理子講師が故人のご芳名を朗読するなか、順に 御遺骨をお納めした。今回納骨されたのは、平成14年度解 剖学実習で使わさせていただいた故瓜生幸昌殿をはじめと する36柱の御遺骨である。 竹越襄学長から「解剖学実習のために尊い御遺体を捧げ られた御本人並びに御同意いただいた御遺族の方々に心か ら感謝したい」と式辞が述べられた。 平成15年度第1学年「医療入門」 Early Clinical Exposure (早期臨床体験) 建学の精神の第一に「良医を育てる」があげられている。 良医として必要なことは、人に対する限りない愛情であり、 患者さんの訴える悩みに耳を傾け、暖かい心を持って接す る態度である。そのためには、人としての相手の心を考慮 した対応が大切である。人と人との対応にはコミュニケー ションが必要である。コミュニケーションには言語的と非 言語的のものがあり、これらのコミュニケーション手段を 上手に使って患者さんに心のこもった対応ができなければ ならない。言葉や態度による人と人とのコミュニケーショ ンの形成を体験学習を介して経験することを目的として福 祉体験実習が実施されている。 実習に先立ち、田村暢煕実習責任者が「実習の意義と実 施要項」について説明し、続いて、田村幸子外来Ⅰ看護師 長が「外来エスコートの概論と接遇態度」について5月15 日(木)及び22日(木)に講義した。実習は5月26日(月) から30日(金)にわたって行われた。その内容は2日間の 学外実習、1日の本学病院外来エスコート実習、 ならびに1日の医局実習であった。 実習に協力いただいたのは、国立療養所医王病 院(重症心身障害児、筋ジス患者施設) 、石川療育 センター(重症心身障害児) 、小松療育園(肢体不 自由児) 、陽光園(身体障害者) 、青山彩光苑(身 体障害者養護施設) 、和光苑(介護老人保健施設) 、 鶴友苑(介護老人保健施設) 、エレガンテなぎの浦 (特別養護老人ホーム)の県内8施設、そして本学 お礼の言葉を述べる学生代表の北川勝英さん 続いて参列者全員が御霊前に献花を行い、学生を代表し て北川勝英さんがお礼の言葉を述べた。最後に解剖学Ⅰ平 井圭一教授から参列者に対し挨拶があり式を終了した。 (教学課堀 愉記) 病院の外来全科および本学の22の臨床系医局である。 この実習では、学生が次のことを学ぶことを主眼として いる。 医療現場や施設の業務内容を実際に見て、その社会的役 割を考えること: 講義で学んだ単なる知識ではなく、各施 設や現場が社会の中でどのように機能しているのか、その 中でスタッフはどのように動いているのかを自分の目で見 て考えることによって学生自身のものにしていく。 指導者の意図を理解し行動できること:指導者の指示の 意味を的確に理解し、それを行動に移すことができること は、仕事の種類に関係なく、社会で働く人の基本態度とし て大切である。 ケアされる立場に立って考えられること: 質の良いケア は、ケアされる人たちがそのケアをどのように受け止めて くれているかを理解してはじめて可能になる。単に指示通 り、マニュアル通り動くのではなく、能力に応じて更なる 行動をとることができる積極性を実習を通じて修得する。 最後に、この「医学入門」の早期臨床体験実習の実施に あたって全力を挙げてご協力いただいた各施設の皆様に心 から感謝を申し上げたい。またこの実習期間中、早朝から 実習の準備に尽力した教学課の職員および看護師の各位に お礼を申し上げる。 (第1学年主任田村暢煕記) 18 平成16年度 大学院医学研究科選抜試験要項 1.募集人員:35名 なお、募集人員に満たない場合に、追加募集を実施す 2.出願資格: ることがある。 ・大学の医学部又は歯学部を卒業した者及び平成 16年3月卒業見込みの者 ・外国において、学校教育における 1 8 年の課程 (最終の課程は医学又は歯学)を修了した者 及び平成16年3月修了見込みの者 ・文部科学大臣の指定した者 ・本大学院が大学の医学部又は歯学部を卒業した 者と同等以上の学力があると認めた者 問い合わせ及び募集要項の請求は下記へ: 〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1 金沢医科大学医学部事務部 大学院課 電話:076-286-2211(内線2522∼2523) FAX:076-286-6054 E-mail:[email protected] 3.出願期間:平成15年 9月 1日(月)から 平成15年 9月12日(金)まで 4.試験期日:平成15年 9月24日(水) 5.試験科目:筆記試験(外国語) 、面接試験 6.合格者発表: 平成15年10月14日(火) 平成16年度 附属看護専門学校入学試験要項 □ 一般入学試験 □ 社会人特別推薦入学試験 1.募集人員:約40名 1.募集人員:若干名 2.出願期間:平成15年12月 1日(月)から 2.出願期間:平成15年11月17日(月)から 平成15年12月26日(金)まで 平成15年11月26日(水)まで 3.試験期日:平成16年 1月14日(水) 4.試験科目:数学Ⅰ・数学A(平面幾何・計算と コンピュータを除く)英語Ⅰ、 3.試験期日:平成15年12月 7日(日) 4.試験内容:小論文、面接 5.合格発表日:平成15年12月12日(金) 国語Ⅰ(古文・漢文を除く) 理科選択(生物ⅠB又は化学ⅠB) 面接 5.合格者発表日:平成16年 1月26日(月) □ 推薦入学試験 1.募集人員:約20名 2.出願期間:平成15年11月17日(月)から 平成15年11月26日(水)まで 3.試験期日:平成15年12月 7日(日) 4.試験内容:小論文、面接 5.合格者発表日:平成15年12月12日(金) 問い合わせ及び募集要項の請求は下記へ: 〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1 金沢医科大学入学センター看学入試係 TEL 076-286-2211(内2532∼2534) 19 第16回 附属看護専門学校 戴帽式 ナースキャップが松原純一学校長から1人1人に 平成15 年6月 13 日(金)午前10時から本部棟4階講堂に おいて第16回戴帽式が行われた。基礎学習の過程を終えて、 これから実習生活に臨む男性4人を含む2年生50人が松原純 一学校長からナースキャップを戴き、志を新たに看護の道 への一歩を踏み出した。 式では、松原純一学校長が1人1人にナースキャップをか 平成15年度 看護専門学校学生寮の防火訓練 学生寮の時間外の火災発生時における寮生の消防活動の 認識及び消火器具使用方法の理解を目的に、平成15 年6月 25日・ 26 日の両日にかけて学生寮の防火訓練が実施され た。今回は通学生も寮生に加わり参加した。 ぶせ、酒井桂子副校長がナイ チンゲール像にともされた灯か らキャンドル1本1本に灯を移 し手渡した。戴帽生は手に持 ったキャンドルだけの明かりの 中、ナイチンゲール誓詞を朗 読した。 松原学校長が「患者の苦しみ に耳を傾け、実習生活の中から 看護の精神を学び勉強に励んで 下さい」と式辞を述べた。 来賓祝辞を述べられる 続いて、内田健三病院長か 高田光雄先生(石川県立 ら「今まで講義で得た知識を 向陽高等学校) 実際に応用し、人間性豊かな 幅広い教養と優れた技術を身につけた、患者様から信頼さ れる看護師となるよう祈念します」との祝辞があった。 また、出身高校の恩師を代表して、石川県立向陽高等学 校の高田光雄教諭から「お世話になった方々への感謝の気 持ちを忘れず健康に留意し、元気で明るく前向きにをモッ トーに頑張って下さい」と励ましの言葉をいただいた。 最後に戴帽生を代表して、宮 景子さんが「看護を必要 とする人の健康を願い、笑顔を忘れず前向きに努力し、目 指す道を一歩一歩進んでいきます」と誓いの言葉を述べた。 式後には出席された出身高校の恩師と生徒との交流がも たれ、和やかなひとときを過ごした。 (看護専門学校事務課木村由紀江記) 6月25日(水)実施前説明会 ①ビデオの放映「阪神大震災と消防」 、②防火訓練実施 要領の説明、③防火設備及び通報・消火・避難の基本説明 6月26日(木)防火訓練(通報・消火・避難)の実施 学生寮A棟4階の調理室から出火、初期の消火活動に も拘わらず延焼の恐れがあり、避難を要することを想定 して行われた。 4階調理室で発煙筒が点火され、最寄の寮生が「調理室が 火事」と大声で連呼し、火災報知器のボタンを押す。1階宿 直室に本部が設置され、防災センターに通報すると共に、 校内放送をする。4階では消火器及び消火栓の放水により消 火活動が始まる。各階から消火器が運ばれ消火を行うが、 延焼の恐れがあり、各自素早く非常階段から本校駐車場に 避難する。間もなく内灘消防隊が到着、鎮火となった。 最後に内灘消防署から講評があった。全般的には迅速な 行動であったが、消火器を運搬する際持ち方が悪い学生が いた、排煙窓を開けるのが遅れたところがあったなどの指 摘があった。今回は雨天のため消火器操作訓練は中止とな った。 (看護専門学校事務課高田結子記) 20 学生のページ 教員との懇談会を終えて かとう 学友会執行委員長 加藤 けんすけ 謙典 学友会主催で毎年度2回開催される懇談会は、竹越襄学 長をはじめ、学生部や教務部を含む諸先生に出席いただい て、学生の要望、意見、質問等を直接聞いていただき、大 学の状況を詳しく知ることができるため、私達学生は大変 有意義な会であると考えています。 今回は、平成 15 年6月 19日(木)午後5時から7時 30 分 まで、学生食堂において開催されました。懇談会では「新 カリキュラムについて」 「駐車場について」 「CCSについて」 といった、現在、学生が大きな関心を持っている3つの議題 を中心に話し合いが進められました。 これらの議題は、学友会に所属する各学年の代議員及び 課外活動各団体のキャプテン達が検討を重ねて選択したも のであり、特に新カリキュラムの議題については学友会の キャプテン会議で何度も話し合い、新カリキュラムに対応 した課外活動を行っていく上で学生側の意見を是非とも取 り入れていただきたく、幾つかの案を考え、今回の懇談会 で提示させていただきました。今後もカリキュラムについ ては学生から様々な質問、要望が挙がると思われますので、 懇談会風景 引き続き多くの学生の意見を集め、各学年より選出された 学生のカリキュラム委員を通じて大学側に伝えていきたい と考えています。 また、現在の大学駐車場の状況を打開するために挙げら れた駐車場に関する議題で、学生専用駐車場の設置を提案 したところ、勝田省吾副学長より、学生側からの意見は前 向きに検討したいとの見解を示していただきました。話し 合いや大学側の説明により自動車通学を許可されている学 生が、駐車することが出来ないという理由が理解でき、心 ない学生による違法駐車も無くなることと願っています。 これらの議題以外にも、「図書館においてあるテュートリ アル関連図書の増加」 、「パソコンルームの開放」、「グラウ ンド新病院側の防球ネットの設置」、「学友会トラック購入 時の名義」といった様々な要望についても話し合われ、大学 側の考えや状況をより詳しく知ることができ、多くの学生 が満足する結果が得られたのではないかと思っています。 私は今回の懇談会を終えて、これほどまで学生に対して 理解を示して戴ける本学で、6年間の学生生活を過ごせるこ とは大変素晴らしいことだと実感しました。私達学生は、 このような恵まれた環境で医師になるための勉学が出来る ことを感謝し、本学の理念である“良医”になることこそ 私達ができる最大の恩返しであると思っています。 21 学生のページ シリーズ: 私が 医師になりたい理由・ 医師になった理由 ⑦ 私が 医師になりたい理由 かわぐち まさみ 川口 真己(第6学年) 私が医師になりたいとはじ めて強く思ったのは、遅れ馳 せながら昨年です。ふつう医 師になりたいと決心するのは、 大学受験前に医学部を受験し ようと決心した時だと思いま す。しかし私の場合、生物が 好きだったので大学で生物学 を修め、将来は食品関係の仕事にでもつこうかと漫然 と考えていました。そんな私が医学部を受験したのは ただ、親が勧めたからという実にあいまいな理由で、 受験してみると合格してしまいました。私は「医学部 も広くみれば生物関係だし、まあいいか」と、これま た実に軽率な考えで、金沢医科大学に入学したのでし た。入学してからも、「医師になりたい」という気持ち はあまり持ちませんでした。その理由はおそらく、身 内に医師がいないので、医師という仕事がどういうも のかさっぱりわからなかったからだと思います。まっ たくわからないものには、なりたいと思えるはずがあ りません。しかしもともと生物が好きだったこともあ り、授業は興味深く聞いていましたし実際、授業は楽 しかったです。 私に転機が訪れたのは、昨年度、5年生の臨床実習 の時でした。この時に初めて、医師という仕事を間近 で見ることができました。病棟では医師が自分の知識 と技術を駆使して、大きな誇りを持って診療にあたっ ている姿を目の当たりにしました。授業で面白いこと を言って学生たちを笑わせているような先生も、病棟 では真剣な目で患者さんの訴えに耳を傾け、患者さん も真剣な態度の医師を信頼しているようでした。私は このような医師の姿を見て、「なんとやりがいのある仕 事なんだろう」と思い、また「自分もあの医師のよう になりたい」と初めて思うようになりました。つまり、 私が医師になりたいと思うようになったのは、金沢医 科大学病院の医師たちの姿を見たことがきっかけだっ たのです。 今、私は入学当初には考えることができないくらい 猛烈に、医師になりたいと思っています。それも、「た だの医師」ではなく、「自分の知識、技術に誇りのもて るような医師」になりたいと強く考えています。 私が 医師になりたい理由 わたなべ こうすけ 渡邊 耕介(第3学年) 私は他大学卒業後 23 歳で働 き始め、27 歳で本学に編入学 しました。その過程を振り返 りたいと思います。社会に出 る時の目標は、高い地位や名 声を得ることでした。しかし 朝9時から翌未明まで働くよ うな毎日が続き、仕事を始め て4年経つころには、働く目的が当初の高い志からた だ「人の役に立ちたい」という単純なものに変わって いました。 同期の友人たちが転職していく中、自分の進路を見 直し、漠然と医者になれたらと思い始めたのは入社3 年目のころです。しかし当時 26歳の私が受験勉強をし て、さらに6年間の教育過程を経て、などと考えるこ とは非常に現実離れしている気がしていました。何か の機会に、医学部には編入学制度があること、50歳を 過ぎて医師になり活躍している先輩方がいることを知 り、私も決心して一歩を踏み出しました。 悩んだのは、4年間とはいえ、自分が社会人として 積み上げてきた技術や信頼、更には自分を育てて下さ ったお客様や諸先輩の期待など、犠牲にすべきものが 少なからずあったことです。しかし医学に関わって一 人でも多くの命を救うことができれば、4年間の経験 を犠牲にしても、十分に取組む価値があると感じられ たのです。今では、編入学までの社会で得た経験や繋 がりは、医学部に最初から入っていては習得できなか った自分だけのものとして、誇りに思っています。 医学は、一生かけても探求しえない終わりなき道で す。しかし、“自分の人生を人のために”と決心して、 社会人から学生に戻ったあの時の、あの一歩を踏み出 した時の気持ちをいつまでも忘れずに、この終わりの なき医の道を歩もうと思っています。 22 学生のページ 私が 医師になりたい理由 こう ぎ よう 高 儀容(第3学年) 父が内科医、母が歯科医 という家庭に生まれた私は、 幼い頃から医者という職業 を身近に感じ、「将来は私も お医者さんになろう」と漠 然と考えながら成長してき たように思います。これで 成績も抜群に優秀だったら、 そのまま何も考えずに医学部に入学していたのかも しれません。しかし幸か不幸か高校受験の時に勉強 に行き詰まり、そこで初めて「どうして私は医師に なりたいのだろう」と真剣に考える機会を持つこと ができました。 人と話したり話を聞いたりすることはもともと好 きでしたし、話すことで誰かを癒せるような職業に つけたらいいなとは思っていました。それなら、特 に医師でなくとも他の職業はたくさんあるわけで、 「一体なぜ医師でなくてはならないのか」ということ をずっと考えながら受験を終え、高校時代を過ごし たのです。 同じように医学部を目指す友達や家族といろいろ 話して、結局私が行き着いた結論は、 「人を癒したり 治療することを目指すに当たって、どんなに優れた 対話技術を持っていようと、話すだけでは十分でな く、すぐれた医療技術が必要である」というもので したが、私が医師の資格を持っていなければ、結局 自分には誰かを癒したり治療することができないの だと思いました。この気持ちが、最終的に私を医学 部へと向かわせたのです。 基本的な医学の知識をまず身につけ、そして将来 は、私の所に相談に来てくれるすべての人々の話を ていねいに聞いて、その悩みのひとつひとつに答え られるような医師になりたいと考えています。 第6回 夏期語学・医学研修 金沢医科大学夏期語学・医学研修は7月 28日より8月 16 日の日程で、ハワイ大学キャンパス及び関連病院にて実 施される。参加学生は第1学年6名である。この医学・語 学研修はグローバルな見識を身につけ、医学・医療への 理解を深めることを目的としている。 夏期語学・医学研修に参加の学生 しゅん よしお いとたがわ か ず や 後列左から岡本 順、小倉慶雄、糸田川和也、奥 健治 さかべ 前列左から荒山わかな、坂部亜希 第1回 プレ・クリニカル研修 今年度初の試みとして、金沢医科大学プレ・クリニカ ル研修が7月 28日より8月8日の日程で、ハワイ大学医学 部及び関連病院にて実施される。参加学生は第4学年1名、 第5学年1名の合計2名である。このプレ・クリニカル研 修は米国における P B L、ロールプレイ、模擬患者対応臨 床実習等を通して日米の医療システムの違いを学ぶこと により、グローバルな見識を身につけることを目的とし ている。 ハワイ大学医学部のプレ・クリニカル研修に参加の学生 市川るり(第4学年) としかつ 三井俊賢(第5学年) 23 学生のページ 《体験記》 症例検討の重要性 ―Tierney先生の教育プログラムに参加して― かわだ な つ こ 河田奈都子(第5学年) 2 0 0 3 年4月 1 4 日(月)石川県 立中央病院にて行われた T i e r n e y 先生の教育プログラムに参加しま した。ご存知の方もいらっしゃる かと思いますが Tierney 先生は雑 誌 「 New England Journal of Medicine」に連載されているCase Studyの解説者を務められており、 また医学書「Current Medical Diagnosis & Treatment 2003年 版」の主幹編集者でもいらっしゃいます。こうしたことか らも窺えますようにTierney先生の内科診断学に関する実力 は米国においても有名です。今回は舞鶴市民病院における 臨床教育のために来日中で、石川県立中央病院臨床研修委 員会からの強い要望に応じて金沢にも来て下さることにな ったそうです。こんな恵まれた機会はめったにないと思い このプログラムに参加させていただきました。 まず、9時30 分からアイスブレーキングが始まり、二人で ペアを組み相手のことを英語でみんなに紹介しあいました。 それが終わるといよいよTierney 先生によるラウンドの始ま りです。ここでは最初に石川県立中央病院の研修医の先生 が診断の容易でない患者さんについてプレゼンテーション をされ、Tierney 先生による誘導の下、居合わせた先生方み んなでその病態について考えていくというものでした。ラ ウンドは症例検討の形で進められました。まず主訴を聞い た段階でどういった疾患を考えるか、既往歴として何を訊 きたいかについて意見を出し合いました。出された意見に 対してはTierney先生が一つ一つコメントして下さいました。 次に、現病歴を聞いた上でどのようなphysical examination を行いたいか、さらにはlaboratory data は何が欲しいかとい った具合に進められました。鑑別診断に至るまでTierney 先 生は逐一コメントをして下さり大変勉強になりました。一 人の患者さんについて 議論がまとまった後は実際に患者さ んのベッドに行き、Tierney先生が皆の前で診察の模範を示 されました。診察中も留意すべきポイントにつき丁寧に説 明して下さり、書物のみからでは得られない実践的な勉強 ができたと思います。 午前中のラウンドが大幅に時間延長したためにずれ込ん だ昼食の後、14時 30分からは「Clinical Training Program for Residents in U. S.」と題して Tierney先生の講演がありまし た。ここではアメリカのレジデントの生活について紹介さ れました。 最後に15 時15 分からTierney 先生の腕の見せ所の症例検 討が始まりました。患者さんは、"A 68-year-old man was admitted the hospital because of back pain、 anorexia、 nocturnal polyuria and general malaise"というものでした。ここでは 順を追ってphysical examination、laboratory dataと進んでい く中で、Tierney先生がご自分の思考過程を逐一声に出して 説明して下さいました。これによって自分の思考過程との 違いを知ることができ、いわゆるプロのやり方を盗むこと ができたと思います。 このプログラムに参加して感じたことは、症例検討を通 して学ぶことの多さです。確かに、本学でも4年生でPBL と いう症例検討を勉強する機会が設けられていますが、そこ では学生が自分たちで勉強することに重点が置かれている ために、実際に臨床に携わっておられる先生の思考方法の 提示が十分ではなかったように思います。先ほどの患者さ んを例にとってみますと、私なら背部痛、食欲不振、夜間 尿、全身倦怠感について各々診断学の本を調べて、それら に共通するものは何かを考えていたでしょう。ですから、こ れらの症状の中で、まず夜間尿に注目すべきであるという Tierney 先生の指摘がなかったならば、そうしたプロの思考 方法にはなかなかたどり着けなかったと思います。 本学でも是非こうした症例検討の機会を数多く設けてい ただければと思いました。 24 学生のページ クラブ 活動 ゴルフ部 第13回 医科大オープン しのみや ゴルフ部主将 四宮 しょうへい 祥平(第3学年) 今年度も恒例の医科大オープンを開催することができま した。例年は学生の参加者が少ないのですが、今年度は募 集期間が短かったにもかかわらず、30 名の学生が参加して くれたので、とても充実したコンペを行うことができまし た。一方、教職員の皆様の参加が当初は学生より少なく不 安でしたが、人事厚生課の方々のご努力で何とか参加人数 を増やすことができ、30 名以上の方に参加していただくこ とができました。とくに今年度は、竹越襄学長、川上重彦 学生部長、友田幸一教授(ゴルフ部顧問)が学生と一緒に ラウンドしてくださり、教職員と学生の親睦がより一層深 まったと感じました。 開会式では、竹越学長からご挨拶とワンポイントアドバ イスをいただき、始球式を行いました。プレーでは、明ら かに教職員と学生との年期の違いを感じさせられました。 学生の組では、まったくの初心者から経験者まで様々であ り、珍ショットからスーパーショットまで色々なプレーを 見ることができました。一方、教職員の方たちは、さすが にショットもパターもまとまっていて、安定したゴルフを される方が多く見受けられました。 今回僕は、88の自己ベストスコアで回り当初順位は2位 だったのに、ハンディを付けられたため8位まで後退し、と ても残念でした。来年度の医科大オープンのルールは、是 非、グロスでの順位をと進言しようと考えています。 近年、ゴルフ人口が減り我がゴルフ部もその影響を受け つつありますが、幸い今年は多くの新入部員が入部してく れました。今後もゴルフ部の活動やゴルフの普及に努めた いと思います。 25 学 術 日本肝胆膵外科関連会議 in 金沢 第32回 日本胆道外科研究会 会長:一般消化器外科学 高島茂樹教授 日時:平成15年5月14 (水) ・15 (木) ・16日 (金) 会場:ホテル日航金沢 平成15 年5月 14 日 (水)∼ 1 6 日(金) の3日間、ホテル日 航金沢において日本 肝胆膵外科関連会議 in 金沢が開催され、 第32回日本胆道外科 研究会を一般消化器 外科学教室の高島茂 樹教授が会長として 会長の高島茂樹教授 担当された。会期中 には 1 , 5 0 0 名を超え る参加者があり、特に本研究会の主催シンポジウムである 全員討論会には約 500 名の出席者によって活発な討論が展 共同利用部門 竹原照明技術員 電子顕微鏡写真展優秀賞受賞 開された。 本研究会ではメインテーマを「胆嚢・胆管癌手術におけ る切離断端の臨床的評価」とし、事前に全国アンケートを 行って本邦の胆道癌手術の現状を調査した。その結果、計 95 施設から協力が得られ、胆嚢癌954 症例、胆管癌1602例、 計2,556 例という多数例の症例登録があり、全員討論会にお いて調査報告を行った。さらに全員討論会では「症例提示」 5施設、「私の提言」8施設、 「経験例のまとめ」4施設、計 17 施設の基調報告が行われ、横浜市立大学第2外科嶋田紘 教授と高島茂樹会長の司会のもとに、活発な意見交換が行 われた。本研究会での成果は、本邦における胆道癌外科治 療の今後を方向付ける重要なものとして位置づけられてい る。 本関連会議 in 金沢は、本学高島茂樹教授とともに、第15 回日本肝胆膵外科学会会長の永川宅和教授(金沢大学保健 学科)、第30 回日本膵切研究会会長の塚田一博教授(富山 医科薬科大学第2外科)が共同で会議の運営にあたられた。 シンポジウム「非拡張型膵管胆道合流異常症手術後の長期 予後」、 「胆道癌のリンパ節郭清を再考する」 、 「腹腔鏡下胆 嚢摘出術と再手術」 、 「肝内胆管癌の肝門部浸潤と肝門部胆 管癌の鑑別と治療方針」 、また欧米およびアジアからの招聘 者と本邦外科医によるサテライト国際シンポジウム「欧米 人からみた本邦肝胆膵癌取扱い規約について」など多くの 参加者により、実りある討論が繰り広げられた。 (一般消化器外科学上野桂一記) 作品に優秀賞を授与するとの項目があり、電子顕微鏡技術全 般に優れた写真でないと優秀賞には選ばれない。 竹原技術員は、総合医学研究所で電子顕微鏡技術の全般 にわたり研鑽を積んできている。能登で開催された電子顕微 鏡技術研修会では、実技研修の講師として後進を指導し、医 平成15 年4月 26日(土)∼ 27日 学生物学電子顕微鏡技術 (日)、東京慈恵会医科大学で開催 学会学術講演会では一般 された第 19 回医学生物学電子顕微 演題に応募し、常に自身 鏡技術学会において、竹原照明技 の技術のレベルを世に問 術員が出品した写真が電子顕微鏡 い、そのレベルの向上に 写真展の優秀賞に選ばれた。 励んでいる。 この写真展の賞は、会員が応募 竹原技術員の受賞は、 した透過型電子顕微鏡写真、走査 本学の電子顕微鏡技術の 型電子顕微鏡写真を実行委員会が 高さを証明するものであ 委嘱した選考委員会が審査し、優秀賞と努力賞を選び表彰さ り、本学の電子顕微鏡に れることになる。努力賞は毎年表彰されるが、優秀賞は特に 携わる者にとって誇りで 良い写真に贈られ、必ずしも毎年該当する作品があるとは限 あり、一同大変喜んでい らない。 る。 この賞の選考規定には学術的な価値はもちろんのこと、試 料作製技術、電子顕微鏡観察技術、および芸術性にも優れた (総合医学研究所共同 利用部門栗原孝行記) 26 市民公開講座 パーキンソン病 講 演 柳澤信夫先生(関東労災病院院長・日本 神経学会前理事長) 山本光利先生(香川県立中央病院神経内 科部長) 相 談 「患者・家族からの何でも相談」 日時:平成15年6月7日(土) 会場:金沢市文化ホール 主催:日本神経学会 協力:金沢医科大学神経内科学教室 わが国では学会活動の一環として、学術研究の進歩のみ でなく、市民の疾患、治療に対する啓蒙も取り上げられる ようになってきている。我々の所属する日本神経学会でも、 各都市で市民啓蒙のための公開講座を開くように奨励され ている。 通常の市民公開講座は学会終了後に行われることが多い が、今回患者団体である『日本パーキンソン病友の会』の 年次総会がたまたま金沢市で開催されることから、患者団 体側からの要請もあり、学会からの応援も取りつけて6月7 日(土)午後2時 30分より金沢市文化ホール大集会室にお いて市民公開講座を神経内科教室員の協力を得て開催した。 当日の講師には、パーキンソン病の専門家である前日本 神経学会理事長の柳澤信夫先生と香川県立中央病院神経内 科部長の山本光利先生をお呼びして講演をしていただき、 質疑応答が飛び交う「患者・家族からの何でも相談」 最後には私も参加する『患者・家族からの何でも相談』を 企画した。前もってポスターを作成し、案内のチラシも当 院外来に置いて知らせたこともあり、参加者は約200 名と全 国からの代表に加え地元の患者、家族がこぞって出席され、 この種の市民公開講座では異例の多くの聴衆が得られた。2 つの講演に対する患者および家族からの質問は疾患をよく 勉強した方々の知識を反映してきわめて高度の内容のもの が多く、講師の先生も患者や家族の勉強の度合いにびっく りされたようであった。また『何でも相談』でも多くの質 疑応答がなされ、簡単な相談から高度の質問と多岐にわた る問題が熱心に討議された。患者の多くは車椅子や家族に 抱えられての出席者であったが、知的機能があまり侵され ず、また几帳面で細やかな精神の持ち主に多いといわれる パーキンソン病ゆえ、その知的要求度も高く、神経難病の1 つである疾患を色々な角度から自学自習し、さらに今後の 生活の補助指針を得たいとする熱心さのあふれた公開講座 となり、その熱意には頭の下がる思いがした。今後はこの ような市民公開講座を、本学主催で積極的に行う機運が盛 り上がることを期待している。 (神経内科学廣瀬源二郎記) 27 第31回 日本血管外科学会総会 会長:胸部心臓血管外科学 松原純一教授 日時:平成15年7月10日(木)、11日(金) 場所:金沢市観光会館、石川厚生年金会館、 エルフ金沢、MROホール 会長の松原純一教授 平成 15年7月 10日(木)から11日(金)の2日間、金沢 市観光会館、石川厚生年金会館、エルフ金沢及びMROホー ルを会場に第31回日本血管外科学会総会が胸部心臓血管外 科学教室の松原純一教授を会長として開催された。また、 関連会議及び研究会として、11日に日韓合同血管外科学会 議、12日(土)に第2回日本血管外科学会教育セミナーと リムサルベージ研究会も同時に開催された。 日本血管外科学会は今回で 31 回を迎え、その会員数は 2,305名で、全国各地で毎年開催されている。本学会は、大 血管領域、末梢血管領域及び静脈領域、消化器、脳外科、 あるいはマイクロサージャリーの専門医が出席し、血管外 科の進歩と将来への展望について討論する会である。今回 は会場が分散したにもかかわらず1,000人の参会者があり、 教育セミナーにも130名の参加があった。 学術講演会では、今回「創造と応用」というテーマで、 約500題に上る演題が集まり、大血管、末梢血管及び静脈 領域に別れ、診断あるいは治療において、創造とこれらの 応用に関して活発な討論がなされた。 また、血管外科のグローバル化を考慮し、国際的な結び つきを大きく取り入れ、アメリカ血管外科学会会長 T . S . Riles先生、ヨーロッパ血管外科学会会長A. Nevelsteen 先生 (ベルギー) 、さらにアジアを代表して韓国血管外科学会の S.J. Kim先生(ソウル大学教授)を招請し、日本血管外科学 会理事長の中島伸之先生の4名による国際シンポジウム 「Training and Certification of Vascular Surgeons」が行われた。 また血管外科における最高の学術雑誌Journal of Vascular Surgery のEditor EmeritusのK. W. Jonston先生(カナダ) 、ド イツ病理学会から肺動脈血栓塞栓症に関してK. Kayser先 生、そして胸部大動脈瘤のJ. E. Bavaria先生(アメリカ) 、 ステントグラフトのM. S. Makaroun先生(アメリカ)もお 招きして計7名の先生方の招請講演がなされた。 シンポジウムでは最近のトピックの1つである血管新生・ 器官再生に関すること、手術かEndovascular surgery か、な ど5つのシンポジウム、7つのビデオシンポジウム、3つのパ ネルディスカッション、一般ビデオセッション、一般口演、 ポスターセッションなどが行われ、今回のテーマである「創 造と応用」という観点から活発な討論がなされた。 特別講演として、厳しくなる一方の日本の医療行政問題 点に関するお話を国立保健医療科学院の小林秀資先生より 伺った。 日本の血管外科自体は、欧米に比較して、それほど遅れ てはいないが、専門医制度は、昨年から心臓血管外科専門 医制度として新たに動き出し、今後、より充実していくも のと期待される。同時開催された第3回日韓合同血管外科学 会議には韓国側からは 75名の参加があり、シンポジウム、 一般口演、そしてポスターセッションが設けられ、アジア 血管外科の中心になっていく日韓の結び付きが一層固くな った。 欧米及びアジアの血管外科の国際的な結びつきが少しで も密になり、日本の血管外科がグローバルに前進する役割 の一端を担ったのではないかと思われた。 (胸部心臓血管外科学坂本滋記) 28 金沢医科大学医学会 第29回医学会総会・第39回学術集会 金沢医科大学医学会第29 回総会ならびに第39回学術集会 が、平成15年7月 19日(土)午後1時 30 分から、病院本館 4階C41講義室において82名の参加のもとで開催された。 まず、竹越襄会長から本学における学術研究の一層の活性 化が望まれる旨が述べられ、引き続いて、医学会総会が行わ れた。上田善道庶務会計担当理事から平成14年度の事業報 告、会計報告、平成15年度の事業予算および役員について 報告がなされ、続いて、論文表彰が行われた。この論文表彰 は、毎年公表された英文学術論文を対象として45歳以下の 筆頭著者を学内から公募して厳密な審査を経て授与されるも のであり、本年度は別記の12名の方々に授与された。 学術集会では曽山善之助手(公衆衛生学)の平成14年度 金沢医科大学学長賞受賞講演、栂博久助教授(呼吸器内科 学)による特別講演のほか、一般口演 13 題が発表された。 一般口演 13題のうち7題は共同研究、奨励研究、ハイテク リサーチセンタープロジェクト研究、海外留学助成金交付 関連の発表であった。集会は座長、演者、会員のご協力で 円滑に進行したが、全体的に活発な討論が交わされたため 予定の終了時間を約40分超過した。 本学術集会は自分の専門領域以外の研究内容を学内で知 ると同時に自分の研究内容を専門以外の方々に評価してい ただくことができる貴重な機会であり、今後の金沢医科大 学の研究活性化のために、より多くの会員の方々が積極的 に参加することが望まれる。 (集会担当・内分泌内科学木越俊和記) 論文表彰式 ◇論文表彰 島田ひろき(解剖学Ⅰ講師)CCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCC 対象論文: Paraquat detoxicative system in the mouse liver postmitochondrial fraction: Archives of Biochemistry and Biophysics, 402:149-157, 2002. 小倉敏嗣(生理学Ⅱ講師)対象論文: Sarcolemmal hydraulic conductivity of guinea-pig and rat ventricular myocytes: Cardiovascular Research, 54:590-600, 2002. 倉田康孝(生理学Ⅱ講師)対象論文: Dynamical description of sinoatrial node pacemaking: improved mathematical model for primary pacemaker cell: American Journal of physiology. Heart and circulatory physiology, 283:H2074-H2101, 2002. 甲野裕之(病理学Ⅰ講師)対象論文: Silymarin, a naturally occurring polyphenolic antioxidant flavonoid, inhibits azoxymethaneinduced colon carcinogenesis in male F344 rats: International Journal of Cancer, 101:461-468, 2002. 朝倉邦彦(微生物学助教授)CCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCC 対象論文: Epitope-tagged L* protein of Theiler's murine encephalomyelitis virus is expressed in the central nervous system in the acute phase of infection: Journal of Virology, 76:13049-13054, 2002. 三浦克之(公衆衛生学助教授)対象論文: Epidemiology of idiopathic cardiomyopathy in Japan: results from a nationwide survey: Heart, 87:126-130, 2002. 森河裕子(公衆衛生学講師)対象論文: CCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCC A cross-sectional study on association of calcium intake with blood pressure in Japanese population: Journal of Human Hypertension, 16:105-110, 2002. 畠山治彦(内分泌内科学講師)対象論文: Testosterone inhibits tumor necrosis factor-α-induced vascular cell adhesion molecule1 expression in human aortic endothelial cells: FEBS Letters, 530:129-132, 2002. 小川法良(血液免疫内科学助教授)対象論文: Involvement of the interferon-γ-induced T cell-attracting chemokines, interferonγ-inducible 10-kd protein (CXCL10) and monokine induced by interferon-γ(CXCL9), in the salivary gland lesions of patients with Sjögren's syndrome: Arthritis & Rheumatism, 46:2730-2741, 2002. 佐々木洋(眼科学講師)対象論文: Predicting postoperative anterior chamber depth in cataract patients using scheimpflug slit photography: Ophthalmic Research, 34:265-272, 2002. 楊賀来慧(産科婦人科学研究員)対象論文: Cyclic changes of granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) mRNA in the human follicle during the normal menstrual cycle and immunolocalization of G-CSF protein: Human Reproduction, 17:3046-3052, 2002. 29 第38回学術集会プログラム 〈平成15年7月19日(土)13:30∼16:50〉 ◇特別講演 〈座長: 友田幸一教授/耳鼻咽喉科学〉 睡眠時無呼吸症候群の診断と治療 呼吸器内科学助教授 栂 博久 ◇学長賞受賞講演〈座長: 森本茂人教授/老年病学〉 High-Density Lipoprotein Cholesterol and the Risk of Stroke 栂博久助教授 曽山善之助手 堤幹宏助教授 島田ひろき講師 吉田純子講師 小野田法彦教授 in Japanese Men and Women: the Oyabe Study 公衆衛生学助手 曽山善之 ◇一般口演 第1群 〈座長: 平井圭一教授/解剖学Ⅰ〉 1 プレゼンテーションを中心にした医学情報教育の 医学情報学 堤 幹宏 有用性 2 ミトコンドリアの活性酸素障害を引き起こす新規 酵素に関する研究(S2000-3) 解剖学Ⅰ 島田ひろき 3 ヒト扁平上皮がんA431細胞に対するカルシウム拮 薬理学 吉田純子 抗薬の増殖抑制作用 4 嗅球の内因性光信号の解析(C2001-1) 生理学Ⅰ 小野田法彦 5 発現系を用いたタイラーウイルスL*蛋白の機能解 析(H2002-7) 医学部5学年(微生物学) 第2群 遠藤文司 〈座長: 野島孝之教授/臨床病理学〉 6 Role of mast cells in myocarditis 遠藤文司(5学年生) Yao Zhang講師 長内和弘講師 尾崎守助手 今泉範子助手 福田正道講師 下出祐造助手 竹内郁登研究医 相原衣江助手 総医研共同利用部門ハイテクリサーチセンター Yao Zhang 7 Rab38低分子量Gタンパク質の発現臓器および機 能の推定(C2001-2) 呼吸器内科学 長内和弘 8 ホルマリン固定パラフィン包埋切片によるFISH 法 の悪性リンパ腫組織における検討(C2001-3) 総医研人類遺伝学研究部門・臨床 尾崎 守 9 副腎皮質ホルモン産生能に及ぼす環境汚染物質ベ ンゾ [a] ピレンの影響(H2002-5) 内分泌内科学 今泉範子 第3群 〈座長: 神田享勉教授/総合診療科〉 10 結膜嚢洗浄用消毒液の培養角膜上皮細胞に対する 障害性 眼科学 福田正道 11 上皮小体機能亢進症における術中迅速iPTH 測定の 経験 耳鼻咽喉科学 下出祐造 12 潰瘍性大腸炎難治例に対する白血球除去療法の有 用性 消化器内科学 竹内郁登 13 Brushite crystal による腎尿細管培養細胞の障害に ついて(海外留学) 泌尿器科学 相原衣江 ※(C○○-○○)を付してあるものは金沢医科大学共同研究関連演題、 (S○○-○○)を付してあるものは金沢医科大学奨励研究関連演 題、 (H○○-○○)を付してあるものは金沢医科大学ハイテクリサーチセンタープロジェクト研究関連演題、 (海外留学)と付してある ものは海外留学助成金交付関連演題を示す。 30 平成15年度 金沢医科大学 共同研究・奨励研究 平成15年度金沢医科大学共同研究及び奨励研究が次のとおり採択された。 本学では、昨秋から、研究推進会議を中心に研究の活性化方策を検討してきた結果、講座間の枠を超え、新大学院3分野、 総合医学研究所、他大学等を含めた共同研究を推進し、本学の将来的なコア研究を作り上げること並びに若手研究者を育成 し、研究者の底辺の拡大を図ることを目的に、この助成事業を実施することになったものである。 学内公募の結果、 「共同研究」が20 件(97名[学内者65名、学外者32 名]) 、 「奨励研究」が39件、総計59 件(136名)の応 募があり、研究推進評価委員会及び研究助成選考委員会で審議の結果、特に優れた研究課題として共同研究は3件合計1,500 万円、奨励研究は12 件合計1,700 万円が採択された。なお、研究期間は共同研究が3年間で、奨励研究は2年間となってい る。 (研究支援課) 共同研究 ○循環ショックの病態生理の解明と治療法の共同開発(C2003-1) 研究代表者 芝本利重教授(生理学Ⅱ) 共同研究者 土田英昭教授(麻酔学) 、久保恵嗣教授(信州大学医学部) 、大久保信司助教授(循環器内科学) 、 佐久間勉助教授(呼吸器外科) 、倉田康孝講師(生理学Ⅱ) ○肺癌の新しい機能的および形態的診断法の確立と分子標的治療法を指向した標的遺伝子の特定に関する研究(C2003-2) 研究代表者 東光太郎教授(放射線医学) 共同研究者 竹上 勉教授(総合医学研究所) 、上田善道教授(病理学Ⅱ) 、栂博久助教授(呼吸器内科学) 、 佐川元保助教授(呼吸器外科) 、小林健講師(金沢大学医学部)、 松成一朗主任研究員(先端医学薬学研究センター) 、郭健飛助手(中国医科大学) ○悪性神経膠腫の分化誘導と遺伝子治療に関する研究(C2003-3) 研究代表者 飯塚秀明教授(脳神経外科学) 共同研究者 伊達孝保教授(生化学Ⅰ) 、野島孝之教授(臨床病理学) 、栗原孝行講師(総合医学研究所) 奨励研究 ○各種脂肪酸・抗酸化ビタミン摂取量、血清高感度CRPと血圧との関連に関する大規模疫学研究(S2003-1) 研究代表者 三浦克之助教授(公衆衛生学) ○ウイルス感染症を伴う肥満者におけるアディポサイトカインの診断及び治療への応用(S2003-2) 研究代表者 高橋 孝講師(総合診療科) ○RNA interferenceにおける二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼPKRの関与(S2003-3) 研究代表者 松井 理助手(生化学Ⅰ) ○心筋梗塞の新しい治療法の開発−体性幹細胞を用いた再生治療(S2003-4) 研究代表者 赤澤純代助手(循環器内科学) ○レトロウイルス発現系を用いたタイラーウイルス増殖メカニズムにおけるL*蛋白の役割の解明(S2003-5) 研究代表者 姫田敏樹助手(微生物学) ○日本人の白内障病型別有所見率・発症率と発症・進行予測および危険因子探索(S2003-6) 研究代表者 佐々木洋講師(眼科学) ○敗血症血管におけるαカテコラミン受容体刺激時の平滑筋収縮および内皮機能変化の検討(S2003-7) 研究代表者 関 純彦講師(麻酔学) ○IL-2投与が肺胞上皮細胞の分子生物学的機能特性に及ぼす影響に関する研究(S2003-8) 研究代表者 杉田 真講師(呼吸器外科) ○異なる感覚情報の大脳新皮質における統合機序及びその生後発達に関する研究(S2003-9) 研究代表者 吉村 弘講師(口腔科学) ○ヒト口唇小唾液腺由来の幹細胞の同定(S2003-10) 研究代表者 河南崇典助手(血液免疫内科学) ○Chorea-acanthocytosisの発症機序に関する研究(S2003-11) 研究代表者 斉木臣二助手(神経内科学) ○ミトコンドリア障害に関与する活性酸素生成酵素の研究(S2003-12) 研究代表者 島田ひろき講師(解剖学Ⅰ) 31 平成15年度科学研究費補助金 45件が交付される 平成15年度科学研究費補助金(文部科学省・日本学術振興会)の交付内定が次のとおりあった。今年度は、176件の申請 に対し、昨年度より7件減 6,500千円減の45件 59,700千円が採択された。 なお、内定45件のうち、退職などの理由により内定辞退したものが5件、転入による追加が1件あり、交付決定は、41件 54,000千円となった。 平成15年度 科学研究費補助金のまとめ (単位:千円) 研究種目名 科学研究費補助金 (文部科学省・日本学術振 興会) 決定件数 決定金額 35 44,000 萌芽研究 2 3,000 若手研究 8 12,700 合 計 45 59,700 基盤研究(C) 研究代表者 種目名 基盤研究(C) 一般 氏 名 職 名 講座名 倉田 康孝 講師 生理学Ⅱ 西尾 眞友 教授 研究課題等 金 額 洞結節細胞システムの熱力学的モデル構築とその分岐ダイ ナミクスの非線形力学的解析 1,300 薬理学 アデノシン受容体を介する心機能修飾の詳細な解析 1,200 2,400 岩淵 邦芳 助教授 生化学Ⅰ DNA 損傷依存的姉妹染色分体早期分離の、p53結 合蛋白質1による抑制機構の解析 伊達 孝保 教授 生化学Ⅰ DNA二重鎖切断発生後、傷害部位に集積するプロテ インキナーゼPKUの機能解析 1,000 上田 善道 教授 病理学Ⅱ ヒト肉腫細胞の転移におけるがん細胞・宿主相互応答 に関わる遺伝子群の解析 1,400 野島 孝之 教授 臨床病理学 骨外性粘液型軟骨肉腫の変異遺伝子解析と病理診 断への応用 2,500 藤川孝三郎 教授 細胞医学 研究部門 多倍体化培養細胞株の樹立と多倍体化がもたらす 形質変換の研究 500 大原 義朗 教授 微生物学 発現系を用いたタイラーウイルスL*蛋白の機能解析 800 福永 壽晴 講師 臨床病理学 血液ガス分析値の標準化に関する研究 2,100 西条 旨子 講師 公衆衛生学 ダ イオキシンが胎児中枢神経系発達に及ぼす影響に関す る実験的研究 2,500 釣谷伊希子 講師 衛生学 地域高齢者のための「易転倒性」評価法の確立 500 石崎 昌夫 助教授 衛生学 職業性ストレスがおよぼす循環器疾患危険因子と勤務状 況についての検討 200 森河 裕子 講師 公衆衛生学 夜勤ストレスの自然免疫能への影響 500 山田 裕一 教授 衛生学 日本人飲酒における体内アルデ ヒド蓄積へのアルコール代 謝系酵素の遺伝的多形影響 2,500 伊藤 透 助教授 総合診療科 グ レリンおよびテロメラーゼ活性による新しい早期胃癌の 診断、治療法の開発 1,100 蓮村 靖 教授 分子腫瘍学 研究部門 ヌードマウスに腫瘍形成能を示すC型肝炎ウイルスNS3領域 蛋白はヒトでも機能的か 1,200 松井 忍 教授 先進医療 研究部門 拡張型心筋症に対する抗心筋膜受容体抗体吸着療 法の開発−実験的検討− 700 竹田 健史 助手 循環器内科学 冠危険因子としての女性ホルモン・ホルモン受容体系異常 1,100 長内 和弘 講師 呼吸器内科学 末梢気道上皮に特異的発現を示す Rab38G タンパ ク質 の間質性肺疾患への関与の解明 1,200 32 基盤研究(C) 一般 萌芽研究 若手研究(B) 転入による追加 基盤研究(C) 酒井宏一郎 助教授 中橋 毅 講師 神経内科学 傍腫瘍性小脳変性症の動物モデルの開発 1,800 老年病学 口腔粘膜上皮を用いたアルツハイマー病診断に関する研究 700 老年病学 脳MRI 検査における血管周囲腔の拡大と血管周囲 組織障害の関連に関する研究 500 岩井 邦充 助教授 伊川 廣道 教授 小児外科学 移植臓器保存において体外循環を用いた長期保存 法に関する研究 200 太田 隆英 助教授 分子腫瘍学 研究部門 大腸癌細胞の悪性進展における中胚葉分化制御遺 伝子Eomesの役割 1,900 佐久間 勉 助教授 呼吸器外科 肺切除周術期における肺胞水分再吸収機序の研究 1,100 平井 圭一 教授 解剖学Ⅰ パラコート中毒の急性細胞毒性機構と解毒機構 芝本 利重 教授 生理学Ⅱ 肝アナフィラキシィー反応の統合的研究 2,000 土田 英昭 教授 麻酔学 スナネズミ海馬錘体細胞における遅発性神経細胞死とス トレス蛋白質の関与 1,100 池田 龍介 助教授 泌尿器科学 膀胱癌における中心体過剰複製の発生機序の解明 1,600 山口 宣夫 教授 血清学 母子間免疫系細胞相互移動の遺伝子による証明と 自己免疫成立の新解釈 1,600 友田 幸一 教授 耳鼻咽喉科学 ナビゲ ーションシステムを用いたイメージガ イド下での人工内 耳植え込みに関する研究 700 小島 正美 講師 眼科学 環境温度および非電離線曝露による眼内温度と眼 傷害の関係 1,100 田中 卓二 教授 病理学Ⅰ 舌発がんにおける炎症関連酵素、PPARsの関与とそ の制御による発がん防御 1,800 金山 景錫 助手 口腔科学 顎関節症における関節疼痛のメカニズムに関する病態 機構の解明 1,000 藤村 和磨 助教授 口腔科学 骨延長術における骨代謝調節因子遺伝子導入によ る骨延長期間への影響に関する研究 1,500 松本 正幸 教授 老年病学 虚血性心疾患発症における精神的ストレスの役割:βエンドルフィンを媒介にして 2,100 小林 貴 * 助手 形成外科学 ヌードラットへの血管柄付き遊離ヒト皮弁移植−新たな創 傷治癒モデルの作成− 900 赤澤 純代 助手 循環器内科学 心筋梗塞の新しい治療法の開発−体性幹細胞を用 いた再生治療 1,900 姫田 敏樹 助手 微生物学 タイラーウイルスにおける持続感染および脱髄発症メカニズムの 解明 1,400 斉木 臣二 * 助手 神経内科学 アストログリアにおけるexcitotoxicityの研究 1,100 1,900 700 白川 知泰 * 助手 神経内科学 傍腫瘍性神経症候群に関連する神経抗原のin vivo における機能の解析 濱田富美男 * 助手 生化学Ⅰ 核内プ ロテインキナーゼPKUは放射線感受性に関与する新 しい因子か? 1,400 渡邊 之夫 助手 産科婦人科学 G-CSF のヒト卵巣機能における局所調節機構の解明 についての研究 1,300 森田 礼時 * 助手 形成外科学 血管奇形(海綿状血管腫、蔓状血管腫)の発病・ 進展に関与する遺伝子変異に関する研究 1,900 鈴木 寿和 助手 口腔科学 動物実験モデルにおける細胞成長因子を用いた顎関 節組織の修復、再生に関する研究 1,800 高橋 孝 講師 総合診療科 ニューモシスチス・カリニの薬剤耐性に関する研究 1,500 (*は退職などの理由により、交付内定辞退) 平成15年度科学研究費補助金(特別研究員奨励費) (単位:千円) 種目名 氏 名 職 名 受入講座名 研究課題等 特別研究員奨励費 鈴木里加子 特別研究員 病理学Ⅰ 共役多価不飽和脂肪酸、特に共役リノ レン酸の機能性に関する研究 金 額 1,100 33 平成14年度各種助成金等受託状況 (科学研究費補助金研究代表者分を除く) 平成14年度 各種助成金等のまとめ (単位:千円) 研究種目名 決定件数 決定金額 文部科学省・日本学術振興会他 科学研究費分担研究他 4 8,400 厚生労働省 長寿科学総合研究費 2 10,000 がん研究助成金 その他 その他の省庁 環境省委託事業費 他 (公)日本動脈硬化予防研究基金 他 その他 合 計 3 5,678 18 30,971 3 14,869 11 51,110 41 121,028 文部科学省・日本学術振興会 種目名 研究代表者 講座名 研究課題等 金 額 氏 名 職 名 科学研究費基盤研究(A) 分担研究 鈴木 孝治 教授 泌尿器科学 蓚酸カルシウム結石発生における尿中高分子物 質の作用機序解明に関する研究 1,900 科学研究費基盤研究(A) 分担研究 竹上 勉 教授 分子腫瘍学 研究部門 西ナイル熱ウイルスなどのフラビウイルス感染症の診断 法、疫学及び予防法 1,500 科学技術振興事業団委託 事業(科学技術振興費) 平井 圭一 教授 解剖学Ⅰ ミトコンドリア外膜タンパク質を標的とするがん診 断薬 3,000 I T プ ログ ラム研究開発委託 事業(再委託) 利波 久雄 教授 放射線医学 スーパーコンピュータネットワーク上でのリアル実験環境の 実現(医療分野における分野横断的循環 器疾患診断診療支援システムの検証) 2,000 長寿科学総合研究費 森本 茂人 教授 老年病学 高齢者疾患の易発症性に対する遺伝的不 可の解明(主任研究者 総額16,000千円) 8,000 がん研究助成金 田中 卓二 教授 病理学Ⅰ 長寿科学総合研究費 中橋 毅 講師 老年病学 高齢者疾患の易発症性に対する遺伝的不 可の解明 2,000 効果的医療技術の確立推 進臨床研究事業 服部 英幸 助教授 老年病学 アルツハイマー病生物学的診断マーカーの確立に関す る臨床研究 4,000 効果的医療技術の確立推 進臨床研究事業 中川 秀昭 教授 公衆衛生学 青・壮年者を対象とした生活習慣病予防 のための長期介入研究 500 がん研究助成金 甲野 裕之 講師 病理学Ⅰ 内分泌かく乱化学物質の発がんへの関与 に関する研究(動物モデルによる内分泌か く乱物質の発がん修飾作用の解析〈前立 腺〉 ) 1,500 1,000 厚生労働省 食品中の発がん抑制要因に関する研究 (主任研究者 総額10,980千円) 3,178 (以下分担研究等) がん研究助成金 東 光太郎 教授 放射線医学 画像診断に基づく消化器がん、肺がんの clinical stagingの確立とstaging別の治療法 の選択に関する研究(肺がんの c l i n i c a l stagingの確立とstaging別の治療法の選択 に関する研究) 子ども家庭総合研究事業 中川 秀昭 教授 公衆衛生学 先天異常モニタリング等に関する研究(石川県 における先天異常モニタリング調査) 900 子ども家庭総合研究事業 久原とみ子 教授 人類遺伝学研 究部門生化 マススクリーニングの効率的実施及び開発に関す る研究(マススクリーニング方法および新しい対 象疾患に関する研究〈研究協力〉 ) 400 34 老人保健健康増進対策事 業 佐川 元保 助教授 特定疾患対策研究事業 菅井 進 特定疾患対策研究事業 呼吸器外科 がん検診に関する効果的な推進手法の開 発に関する検討 1,000 教授 血液免疫内科学 自己免疫疾患に関する調査研究 1,000 大原 義朗 教授 微生物学 免疫性神経疾患に関する調査研究:多発 性硬化症の抗体による治療法の開発 1,000 特定疾患対策研究事業 酒井宏一郎 助教授 神経内科学 免疫性神経疾患に関する調査研究:傍腫瘍 性神経症候群の標的分子機能の解析 1,000 特定疾患対策研究事業 中川 秀昭 教授 公衆衛生学 特定疾患の疫学に関する研究(副腎ホルモン 虚生異常症、特発性心筋症、アミロイドーシスの 全国疫学調査) 1,000 特定疾患対策研究事業 松本 忠美 教授 整形外科学 突発性大腿骨頭壊死症の予防を目的とし た疫学的病態・生理学的遺伝学的総合研 究 1,500 がん克服戦略研究事業 田中 卓二 教授 病理学Ⅰ 発がんの高危険度群を対象としたがん予 防に関する基礎及び臨床研究(口腔及び 食道発がん抑制物質の検索) 3,300 食品・化学物質安全総合 研究事業 田中 卓二 教授 病理学Ⅰ 反復投与毒性や発がん性試験等の実施に よる既存添加物の安全性評価に関する研 究(ガ ムベースの安全性評価に関する研究) 9,000 医療技術評価総合研究事 業 大石 勝昭 部長 病院事務部管理 電子診療録の導入効果の評価指標の開発 部門 に関する研究 1,000 政策科学推進研究事業 堤 幹宏 助教授 医学情報学 急性期入院医療試行診断群分類と活用し た調査研究(H13-政策-034) 800 国立感染症研究所委託事 業 大原 義朗 教授 微生物学 節足動物媒介性ウイルス疾患の予防・治療に 関する研究 971 長寿医療研究委託事業 森本 茂人 教授 老年病学 高齢者における安全な薬物療法の確立に 関する研究(高齢者の安全な高血圧薬物 療法に関する研究) 1,000 高齢者における外科手術のリスクの原因の解 明及び手術安全性向上に関する研究(当 施設における高齢者に対する人工股関節 置換術のリスクの頻度および関連因子に関す る調査研究) 600 長寿医療研究委託事業 松本 忠美 教授 整形外科学 国立成育医療センター成 育医療研究委託費 久原とみ子 教授 重症障害新生児医療のガイドライン及びハイリス 人類遺伝学研究 ク新生児の診断システムに関する総合的研究 部門生化 (先天代謝異常を有する児に対する確定診 断の迅速化への方略) 2,000 環境省委託事業費 中川 秀昭 教授 公衆衛生学 重金属等の健康影響に関する総合研究− カドミウム汚染地域住民における近位尿細管 障害の臨床的意義と予後 1,000 経済産業省地域新生コンソーシ アム研究開発事業 高林 晴夫 助教授 母体血による胎児DNA診断のための胎児 人類遺伝学研 由来細胞回収装置の開発(総額 71,999 千 究部門臨床 円) 10,269 小松市国保ヘルスアップモデル事 業 中川 秀昭 教授 公衆衛生学 小松市国保ヘルスアップ モデル事業の分析・評 価 3,600 (公)日本動脈硬化予防研 究基金 森本 茂人 教授 老年病学 老年者肺炎の臨床的、遺伝的危険因子の 解明と予防・治療に関する研究 1,000 (公)日本動脈硬化予防研 究基金 梶波 康二 助教授 循環器内科学 高ホモシステイン血症への非薬物学的介入による 冠動脈硬化症の二次予防 3,000 (公)日本動脈硬化予防研 究基金 中川 秀昭 教授 公衆衛生学 大規模職域集団における退職者を含めた 循環器疾患発症と職業・生活習慣要因に 関するコホート研究 4,000 (財)金沢総合技術研究セン ター研究助成金 友田 幸一 教授 耳鼻咽喉科学 薄膜技術を用いた人工内耳電極の新規開 発 555 (財)金沢総合技術研究セン ター研究助成金 鈴鹿 有子 助教授 耳鼻咽喉科学 脳磁図による前庭機能の評価 555 その他省庁 その他 35 (財)北國がん研究振興財 団研究助成金 正木 康史 講師 血液免疫内科学 ヒト型モノクローナル抗体による抗リン パ腫ワクチンおよび標的療法の開発 1,000 金沢医大後援会橘会賞 姫野万里子 医員 内分泌内科 A Practical Procedure for Achieving a Steady State of N0x Concentration in Plasma:with Special Reference to the N0x content of Japanese Daily Food. 500 金沢医大後援会橘会賞 吉谷新一郎 助手 内分泌内科 アゾキシメタン誘発ラット大腸がんにお けるカプサイシンおよびロテノンの発が ん抑制効果とその機序に関する研究 500 (財)三井住友海上福祉財 団研究助成金 森本 茂人 教授 老年病学 高齢者肺炎の予防・治療に関する研究− 胃瘻造設による栄養管理の試み− 1,600 (公)松原三郎記念事業松 原記念奨励賞 小岩 大輔 SPECTによる局所脳血流測定を用いた抗 精神病薬の作用に関する研究−リスペリドン の経口投与の作用について− 400 (財)テレコム先端技術研究支 援センター委託事業 佐々木一之 電波の眼への影響評価試験(マイクロ波によ る眼球への影響評価に関する研究) 38,000 大学院生 神経精神医学 教授 眼科学 血液免疫内科学 小川法良助教授 浜松医科大学同窓会学術奨励賞 小川法良先生の論文は、 「Involvement of the interferonγ -induced T cell-attracting chemokines, interferon-γ inducible 10-kd protein (CXCL10) and monokine induced by interferon-γ (CXCL9), in the salivary gland lesions of patients with Sjögren's syndrome: Arthritis & Rheumatism, 46:2730-2741, 2002」です。 浜松医科大学同窓会学術奨励賞は平成7年に発足しま した。浜松医科大学がさらに発展をしていくためには同 選考委員会では、シェーグレン症候群の病態において 窓会員が各種分野で活躍することが重要であると考え、 IFNγが重要な役割を果たしていることを解明し、組織 同窓会員がおこなってきた優れた研究に対し賞を与える 培養系を用いてその役割について解析したことが高く評 ことで、さらにその研究を発展させていただくことと、 価されました。同窓会は小川先生の今後のご活躍を期待 その研究者のモチベーションを高めることを目的として しております。 創設されました。毎年優れた論文3から5編が受賞してき (浜松医科大学同窓会会長・浜松医科大学薬理学教授 ました。現在、同窓会員数は約 2,300名ですが、その中 梅村和夫記) から今まで受賞した論文は36編です。選考委 員会は、副学長を選考委員長とし、学内の教 授数名と同窓会会員で構成されております。 応募された論文はどれも優れた論文で、選考 するのはいつも大変でした。今まで、受賞し た論文は浜松医大同窓会ホームページをご覧 いただければ幸いです。 アドレスはhttp://www.hama-med.orgです。 第8回の学術奨励賞は応募論文 13 編から5 編の論文が選ばれました。平成 15 年6月6日 に浜松医大開学記念行事の中で、同窓会学術 奨励賞の授賞式と記念講演会が催されまし た。写真は、行事終了後の懇親会での写真で 前列中央が寺尾学長、向かってその右が小川君、左が梅村。 す。 36 大学院医学研究セミナー Screening and Prevention in Gynecology and Obstetrics ヒトゲノム解析と疾病 講 師 Peter Brockerhoff 先生(ドイツ連邦共和 国マインツ大学、産科婦人科学教授) 日 時 平成15年4月 17 日(木)18:00∼19:30 場 所 病院4階C41講義室 担 当 産科婦人科学 牧野田 知教授 講 師 〔講師紹介〕 平成 15 年4月 17 日 (木)産科婦人科学講 座主催による本年度 の第1回医学研究セ ミナーが C 4 1 講議室 で開催された。講師 にドイツ連邦共和国 マインツ大学、産科婦人科学教授であるPeter Brockerhoff 先 生をお招きして行われた。マインツ大学は、フランクフル トの近郊に位置しており、年間500 名もの医師を輩出してい るドイツでも有名な大学である。 〔セミナーの内容〕 講演の内容は、子宮癌、乳癌においては、細胞診やマン モグラフィーなどをスクリーニング検査として実施するこ とにより、早期発見および早期治療が可能になるが、不必 要の検査を実施することは、診療上においても経済的にお いても問題があり、注意しなければならないということで あった。また、閉経後に行われるHRT(ホルモン補充療法) は、老齢化社会における重要な問題である骨粗鬆症の予防 に効果をもたらすことから、積極的に勧めるべきものであ ると述べられた。さらに、胎児の出生前診断における超音 波診断の有用性について強調されていた。 このような、スクリーニング検査の重要性と予防医学の 必要性について、流暢な英語で講演されたことから、理解 しやすく大変有意義な講演会であった。当日は、学生や大 学院生の参加も多数認められ、彼等が英語で質問する姿勢 を見て、まさにグローバルなレベルで成長する医科大生を 感じ大層感激した次第である。 (産科婦人科学井浦俊彦記) 日 時 場 所 担 当 橋本雄之先生(国立感染症研究所遺伝子 資源室室長) 平成15年5月16日(金)18:00∼19:30 基礎研究棟3階セミナー室 生化学Ⅰ 伊達孝保教授 〔講師紹介〕 橋本先生は昭和 42 年東京大学理 学部を卒業、47 年付属医科学研究 所大学院を終えられ、昭和 47 年国 立予防衛生研究所(現国立感染症 研究所)のウイルス・リッケチア部 でウイルスの研究に従事された。そ の後、ヒトゲノムの研究にシフトさ れ、18 年前には日本で最初のヒト 遺伝子バンク事業を立ち上げて10 年間牽引され、現在は日 本におけるサルの遺伝子解析の第一人者として活躍されて いる。 〔セミナーの内容〕 2003年4月 14 日、国際協力のもと、ヒトゲノム配列決定 完了が宣言された。最初に、このプロジェクトから得られ た結果とNatureヒトゲノム特集号(2001 年2月 15日)に発 表された内容の要約が分かりやすく紹介された。 次に、橋本先生の研究室で行われているサルの脳で発現 している遺伝子の解析が紹介された。我々の生物に対する 知識は未だ乏しく、特に脳における遺伝子の機能について はほとんどわかっていない。これらの遺伝子の機能解明は ヒトではおのずと限界があり、サルなどの実験動物の脳研 究と組み合わせてはじめて可能になる。サルゲノム研究か ら、ヒトとサルの遺伝子は99.99%両者に存在し、そのゲノ ムの相同性は97∼ 99%におよぶなど極めて類似性が高いこ とが明らかにされた。しかし、一方で、いくつかのヒトの 疾患を起こす遺伝子の点突然変異が、サルでは正常遺伝子 の中に見られること、イントロンやスペーサーにある繰り 返し配列が全く異なる相違点も見出されている。ゲノム科 学の進展により、ヒトがヒトたりうる遺伝子、あるいは種 を決定づける遺伝子が見つかる日もくるかもしれない。 (生化学Ⅰ伊達孝保記) 37 大学院医学研究セミナー 原爆被爆者の大規模コホート研究 の実際 講 師 児玉和紀先生 (放射線影響研究所疫学部長) 日 時 平成15年5月19日(月)18:00∼19:30 場 所 基礎研究棟3階セミナー室 担 当 公衆衛生学 中川秀昭教授 〔講師紹介〕 児玉和紀博士は昭 和 47 年に広島大学医 学部をご卒業になり、 米国エール大学にて 心臓臨床フェローを 務められた臨床医で もいらっしゃるが、 昭和 62 年から放射線 影響研究所臨床研究部にて原爆被爆者コホート研究に従事 されている。特にこの大規模な日本人のコホートからわが 国の循環器疾患発生動向や循環器疾患リスクファクターの 研究を多く手がけられ、わが国を代表する循環器疾患の疫 学者として知られている。平成9年には英国王立内科医学会 公衆衛生部会フェロー(FFPHM)が授与されている。 今回、放射線影響研究所で児玉先生が手がけられている 広島・長崎の原爆被爆者約2万人を対象とした大規模かつ 長期のコホート研究の手法を詳しくご紹介いただき、本学 大学院生および研究者が疫学研究手法を学ぶ機会としてい ただいた。 〔セミナーの内容〕 原爆被爆者コホート研究の紹介では、本研究の背景、暴 露要因としての放射線被曝量の推定の難しさ、その後の長 期にわたる対象者の追跡の工夫やエンドポイント把握の方 法などについて詳しくご説明いただいた。世界で唯一の原 爆被爆者集団をこのような長期にわたって詳細に追跡する 疫学データは人類の宝であり、同時にこのような悲劇を二 度と繰り返してはならないことを世界に伝える科学者の使 命を痛感した。 さらに本コホートから得られた循環器疾患に関する多く の疫学的知見もご紹介いただいた。本研究から得られた結 果はわが国の高脂血症診療ガイドラインへの貴重な科学的 エビデンスも提供している。一方、米国本土日系人、ハワ イ日系人と日本人の循環器疾患リスクを比較するNI-HONSANスタディにも参加されており、その知見も解説いただ いた。遺伝的素因が同じでも欧米的生活習慣により虚血性 心疾患リスクが上昇し、一方で脳卒中リスクが低下する知 見から、食習慣等の生活習慣による循環器疾患予防の大切 さを強調され、 「上医は未だ病まざる病を医す」という中国 の言葉も引用された。予防医学の重要性が改めて参加者の 胸に刻まれたことと思う。 (公衆衛生学三浦克之記) 地球環境科学を医学に役立てる −バイオミネラリゼーションとバイオレメディエーションの 実際− 講 師 日 時 場 所 担 当 田崎和江先生(金沢大学地球学科地球環 境進化学講座教授) 平成15年5月22日(木)18:00∼19:30 基礎研究棟3階セミナー室 分子細胞形態科学 平井圭一教授 〔講師紹介〕 田崎和江先生は東京学芸大学を ご卒業後、環境先進国であるカナ ダにおいて、カナダ地質調査所、 マッギル大学、ウェスタン・オンタ リオ大学で環境汚染の研究に取り 組まれ、島根大学助教授を経て現 職に就いておられる。ご専門の地 球環境科学分野では、環境汚染に おける微生物生態系とその浄化のメカニズムについて形態 学的視点から研究されており、世界粘土学会議ベスト3女性 粘土科学者賞、日本鉱物学会応用鉱物学賞等を受賞され、 世界的評価を受けられている。今回、これら地球環境科学 の成果を医学にどの用に役立てていくのかという学際的な テーマでご講演いただいた。 〔セミナーの内容〕 先ず始めに、先生の研究されている「バイオマット」に ついてお話された。これは微生物が層状になった構造物で あり、自然界の至る所に見出されるが、特に温泉や鉱山で 見られるものは重金属その他の鉱物を菌体内に取込み(バ イオミネラリゼーション) 、独特の構造を持った生態系を構 築する。先生はこの様な生態系が環境汚染の浄化に大きく 関わっていること(バイオレメディエーション)を解説さ れた。専門外の参加者にも分かりやすい様に、採取場所の 写真、光学および電子顕微鏡写真、さらには実際のサンプ ルを示された。お話は多岐にわたったが、特に平成9年の日 本海でのナホトカ号重油流出事故においての重油分解菌の 発見のお話は印象深いものであった。最後に先生はこれら の成果を医学に役立てるにはどうしたらよいのかという課 題を参加者に投げ掛けられた。参加者は先生のバイタリテ ィに圧倒されつつも、その親しみやすいお人柄により、講 演は終始和やかな雰囲気につつまれ、討論も活発に行われ た。 (解剖学Ⅰ島田ひろき記) 38 大学院医学研究セミナー Apoptosis: the mechanism and consideration of the treatment of neurologic diseases ―アポトーシス: その機序と神経疾患治療からみ てんかん外科治療に伴う精神・ 神経心理学的な諸問題 た考察 講 師 Alan I. Faden先生 (米国ジョージタウン大学医学部教授) 講 師 日 時 平成15年6月13日(金)18:00∼19:30 場 所 基礎研究棟3階セミナー室 担 当 脳神経外科学 飯塚秀明教授 〔講師紹介〕 Alan I. Faden教授は、1971 年に Chicago 大学を卒業され、カリフォ ルニア大学サンフランシスコ校にて 神経内科のレジデントを終了。その 後、同大学の神経内科教授を経て、 1 9 9 1 年より、G e o r g e t o w n 大学の Neuroscience, Neurology, Pharmacology の教授に就任され、現在、約 30名 の研究スタッフの長としてご活躍されています。ご専門は、 神経系における apoptosis の分子機構・病態に関する研究、 脊髄損傷などの神経損傷と神経保護に関する研究などです。 〔セミナーの内容〕 本学の講演では、神経外傷をはじめとする神経疾患にお けるapoptosis に関する先生の研究室での研究結果、最新の 知見などをお話いただきました。まず、これまでに解明さ れているcaspase family, Bcl2 familyを中心としたapoptosisの 全体像に始まり、最新の研究結果であるPAF familyの関与 についてお話いただきました。先生はneurologist であり、 apoptosis が種々の神経疾患においてどのように関わってい るかについても話されました。なかでも、脳虚血と頭部外 傷の際におこるapoptosisの相違、脳の形成におけるapoptosisの関与に関する研究は印象的でした。 Apoptosisは、虚血、外傷、腫瘍などの病態に深く関与し ており、これを制御することは病期の進行を止めることに 繋がります。その一方で、正常発生の過程において、胎生 期に極めて重要な役割をもつことが明らかになりつつある ようです。今後、発生過程でのapoptosisの役割に関する研 究が進めば、腫瘍、外傷、虚血の治療に加えて、先天性疾 患の予防、再生医療にもつながり、研究の発展が大いに期 待される夢のあるご講演でした。ご講演のあとも、apoptosisの制御と腫瘍発生などについて活発な討論が続きました。 大学院生にとっては、世界の最先端をいく研究を拝聴す る機会となり、自らの研究にたいするmotivationがあがった ことと思います。 (脳神経外科学赤井卓也記) 真柳佳昭先生 (東京警察病院脳神経外科部長) 日 時 平成15年6月17日(火)18:00∼19:00 場 所 病院4階C42講義室 担 当 神経精神医学 地引逸亀教授 〔講師紹介〕 真柳佳昭先生は 1963年、東京大 学医学部を卒業され、東京大学脳 神経外科学教室入局(佐野圭司教 授) 、大学院、助手を経て、1970∼ 1972年、Johns Hopkins 大学研究員 (AE Walker教授) 、1972∼1975 年、 B e r l i n 自由大学 S t e g l i t z 病院助手、 医長(W Umbach教授)、1975年∼ 東京警察病院外科部長、1975∼1996年、東京大学講師(兼 任) 、1999 年より東京警察病院副院長を務められる。学会関 係では、第9回日本てんかん外科学会、第34回日本てんか ん学会をはじめ、多くの学会長を務められている。また第1 回Juhn A. Wada賞等を受賞、日本のてんかん外科学の第一 人者である。 〔セミナーの内容〕 まずてんかん外科の歴史および手技として、Horsleyの皮 質焦点切除術(1886 年)、Penfield の側頭葉切除術(1928 年)に始まり、さらに定位脳手術を初めとして、現在も行 われているてんかん外科の実際の手技について話された。 特に先生ご自身が考案された、選択的扁桃体海馬切除術に ついては、図、写真を交えてわれわれ専門外の者にもよく 理解できるように話された。この手技は容易かつ安全な手 術法として現在広く行われている。講演の後半はてんかん 外科による合併症、特に精神・神経心理学的症状について 話された。てんかん外科手術後の合併症として特に問題と なるのは、知能、記憶および言語障害である。言うまでも なく、言語、記憶いずれの優位側でもない部位の手術が原 則で、言語と記憶の両優位側の術前評価が不可欠である。 この際、蝶形骨導出など臨床脳波モニタリング、M R I、 SPECT など画像診断はもちろんのこと、最近では近赤外線 スペクトロスコピーの臨床応用が始まっており、発作時の 局所脳血流測定に有用である。また種々の神経心理学的テ ストも必要である。これら検査を駆使した優位側決定の妥 当性につき、先生ご自身の多くの資料を提示しながら話さ れた。さらに先生らは深部電極を留置し、海馬の微小電極 刺激とスプラスパンテスト(supra-span learning test)の組み 39 大学院医学研究セミナー 合わせで、より確実な優位側検定を行っている。 今回、セミナー担当のわれわれ神経精神医学医局員に配 慮され、講演の後半はてんかん外科と精神・神経心理学的 症状についての内容で、われわれにとっても有意義であっ た。また脳神経外科のみでなく、他の神経学領域の専門家 にとっても興味深い内容だったと思う。先生は本学へは神 経学セミナーなどを含め、過去に数回来ておられ、顔見知 りの先生方も多く、終始なごやかな雰囲気で講演され、質 疑応答も多かった。 (神経精神医学窪田孝記) 大学院特別講義 癌発生観ー吉田富三生誕100年ー 講 師 樋野興夫先生 (癌研究会癌研究所実験病理部部長) 日 時 平成15年5月13日(火)17:00∼18:00 場 所 病院4階C41講義室 担 当 病理学Ⅰ田中卓二教授 〔講師紹介〕 今回の大学院特別講義には、 (財) 癌研究会癌研究所実験病理部部長 の樋野興夫先生をお迎えし、 「癌発 生観 ―吉田富三生誕 100年―」と 題して、我が国における発がん研究 の歴史とポストゲノム時代のがん研 究、その社会的意義など先生の哲 学を拝聴した。樋野博士のご専門 は腫瘍病理学、実験病理学(肝発がん、腎発がん) 、癌遺伝 学、そして癌哲学であるが、今回の講義の大半は E k e r (Tsc2 gene mutant)ラットを用いた腎癌発症の初期過程の 解析について、詳細に講義していただいた(詳細はCancer Science 94: 142-147, 2003を参照されたい) 。 〔セミナーの内容〕 Two-hit theory のKnudson から受け継いだEker ラットにお ける腎癌発症の機構について、癌化のrate limiting step とな る遺伝子〔病因遺伝子(predisposing gene)および感受性遺 伝子/修飾遺伝子(modifier gene) 〕の解析、単離、同定を 行い、さらにその遺伝子産物の機能を把握した経緯を具体 的に紹介された。また、発癌の分子機構解明 とその機構に 基づく新しいヒト癌予防法と治療法の開発に役立つ、新し い基礎的情報をcancer geneticsという観点から紹介され、 我々の研究に新たな方向性を示唆された。発癌に関して遺 伝的背景をもった実験動物を用いた研究を展開している樋 野博士は、ゲノム時代にヒトと動物をつなぐ架橋である疾 患モデル動物の重要性も強調された。 時間の関係で、樋野博士の哲学を十分に拝聴できなかっ たのが残念であった(その一端は、週間医学界新聞第2354 号、第2355号で触れることができる)が、受講者にとって 有意義な特別講義であった。 (病理学Ⅰ田中卓二記) 40 病 院 平成15年度臨床研修会 第1回ワークショップ テーマ: 医療面接技法 平成15 年度採用の研修医および臨床系大学院生の第1回 臨床研修会ワークショップが、平成15年5月2日(金) 、5月 6日(火)∼5月 10日(土)にわたって実施され、研修医23 名・大学院生10名の合計33名が参加した。 最初にオリエンテーションが行われ、内田健三病院長か らこの研修会の意義と目的について説明があり、引き続い て高島茂樹診療部長から「診療にたずさわる際の注意事項 と安全管理体制の指針」 、高橋敬治臨床研修管理委員長から 「卒後臨床研修とプログラム」について話があった。その後、 病院各部門の責任者によって、各業務の内容と注意事項に 褥瘡対策委員会の活動報告 褥瘡対策未実施病院に対する診療報酬減算措置に関連し て、本学病院では、平成 14年8月に病院の組織としての褥 瘡対策チーム(現:褥瘡対策委員会)が発足いたしました。 チームは医師、看護師、栄養部、事務部から選出された13 名で構成され、平成 15年3月からは薬剤部からも加わって もらっております。 病棟では“褥瘡対策に関する診療計画書”に準じて、入 院患者ごとに治療計画を立て、褥瘡患者には治療経過を詳 細に記入し、毎月褥瘡対策委員会に報告され、看護師およ び専門医師による入念なチェックが行われています。 褥瘡予防には体位変換が基本ですが、これには看護師の 努力に頼っているのが実情です。この看護師のマンパワー を少しでも軽減するために、より高水準の体圧分散式マッ 関する説明がなされた。 臨床研修会では、各診療科のエキスパートによる「インフ ォームド・コンセント」 、 「救急患者の一次処置法の実際」 、 「心肺蘇生法の実際」 、 「電子カルテ・オーダリングシステムの 実際」等のプログラムが用意され、各講師から講義があった。 研修日程の最後の2日間は、場所をいこいの村・能登半島 (志賀町)に移して「医療面接技法」をテーマとしたワーク ショップに充てられた。ワークショップは、参加者が7グル ープに分かれて模擬患者に対する医療面接を行い、グルー プ討議により医療面接技法上の問題点を整理して問題解決 の方策を考え、結果を発表するという形で進められた。 最後に全体討議を通じて医療面接技法に関する問題が掘 り下げられ、臨床への理解が深められた。 ワークショップの模擬患者は、SP 研究会のメンバーに演 じていただいたが、事前のトレーニングにより好演が目立 ち好評であった。 (職員課中谷一也記) トレス等を購入していただきました。そして、各用具の効 果的使用を促進するために巡回指導を行っています。また 難治例については週2回、医師、看護師、薬剤師、栄養士の チームが病棟の巡回診療を行います。 こうした、チームの皆さんの地道な努力のおかげで最近 の褥瘡の発生頻度は減少し、褥瘡の程度も軽くなってきて います。 委員会は毎月1回開催され、褥瘡発生状況、経過などを 報告し、対策を討議しております。また改善が認められな い症例に対しては主治医や病棟看護師を交えて検討会を行 っています。この5月には褥瘡対策委員会と看護部褥瘡対策 チームとの合同委員会を開催しました。 褥瘡対策委員会では年に1∼2回褥瘡講習会を開催してお ります。今年は病棟の移転終了後、この1年を振り返っての 報告会を計画しております。皆様のご参加をお待ちしてお ります。 (委員長柳原誠記) 41 医療安全管理体制確保のための職員研修会 事例から学ぶリスクマネジメント テーマ: 講 師:北川明人先生(東京海上メディカルサービス 株式会社企画部MRM室長) 本学病院の安全管理体制 確保のための職員研修会が、 去る6月 27日(金)午後5時 3 0 分から病院本館 C41 講義 室において開催された。こ の研修会は、本院の医療安 全対策委員会が主催し、病 院全体としての安全管理体 制の確保を目的としている。 安全管理は外部から問題点 を指摘してもらうことが大 講師の北川明人先生 切であるため、毎年学外の 専門家を講師に招いて研修 会を開催しているもので、平成12 年度の第1回目から数え て7回目となる。 講演に先立ち高島茂樹副院長から、医療安全に対する本 学病院の取組みの紹介があり、研修会をとおして医療安全 に関する理解と認識を深め日常業務に役立てていただきた いと開会の挨拶があった。 引き続き、医療安全対策小委員会の中川淳委員長の司会 で、北川明人先生が「事例から学ぶリスクマネジメント」 と題して講演された。 講演では、厚生労働省が進める医療安全対策に関連した 医療安全対策未整備減算の診療報酬改定、医療の質を確保 した医療のリスクマネジメントといった基本的なことをは じめ、具体的事例を提示した対応策についても話された。 質疑応答で、医療事故やインシデントの背景としての 「魔がさす瞬間」をどうすればよいかということについては、 それぞれの部署において毎日・毎時間・毎分、誰かが独立 した立場で公正にチェック・評価し、調整役となり業務を 見ることが重要であると述べられた。 参加者は関連病院からの 20 数名を含め、医師、看護師、 医療技術者他300名を超え、大変盛況であった。 当日は、本学のイントラネットでライブ中継されたが、 当日研修会に参加できなかった人は、本学のインターネッ トのホームページからビデオ・オン・デマンドで見ること ができるので是非見ていただきたい。 (医療安全対策課加富喜芳記) 42 平成15年度石川県民大学校 健康管理講座 開講 生涯学習センター(旧:石川県立社会教育センター)か らの協力要請により、毎年行われている石川県民大学校能 力開発コース(クリエイティブライフ講座)「健康管理講 座」が、7月5日(土)に病院本館4階 C42講義室にて開講 された。 14年目を迎えた本年度の開講式は、午後1時 30分から、 生涯学習センターの斉藤真一郎館長、内灘町教育委員会の 柚木伸介生涯学習課長補佐、本学病院からは内田健三病院 長、疋田勉管理課長の出席のもとに行われた。本年は、 「生 活習慣病」をメインテーマに、本学の各専門分野の講師に よる講演が行われる予定である。今年は、91 名の申込があ り、その中でも女性の占める割合が大きく増加した。また、 毎年欠かさず受講する参加者も数多くみられ、県民大学校 の人気講座の一つとなっている。 開講式に引き続き、午後2時から平成 15年度第1回講座、 「実践栄養学 ―食生活に役立つ栄養のお話―」が、栄養課 の中川明彦課長より行われた。食事のバランスがいかに大 切かについて興味深く話され、受講者は熱心に耳を傾けて いた。 (管理課島幸枝記) 柚木伸介内灘町教育委員会生涯学習課長補佐の挨拶 中川明彦栄養課課長の講演 平成15年度石川県民大学校健康管理講座日程表 月 7 日 9 10 講 師 開講式 14:00∼17:00 実践栄養学 ―食生活に役立つ栄養 のお話― 13:30∼16:30 生活習慣病と女性更年期障害につ いて 26 13:30∼16:30 咀しゃく障害と口腔の病気 口腔科学助教授 藤村 和磨 2 9 13:30∼16:30 13:30∼16:30 肺がんの話 足のつけ根とひざの痛みについて 呼吸器外科助教授 整形外科学講師 佐久間 勉 兼氏 歩 30 13:30∼16:30 肥満と治療 総合診療科教授 神田 享勉 20 27 13:30∼16:30 肥満、いびき、睡眠無呼吸 呼吸器内科学助教授 栂 博久 13:30∼16:30 動脈硬化と歩行障害 胸部心臓血管外科学教授 松原 純一 4 13:30∼16:30 たばこの話 健康管理センター講師 中西由美子 18 13:30∼16:30 手軽にできる運動 体育学教授 田村 暢熙 内分泌内科学助教授 中川 淳 19 8 授 業 科 目 時 間 13:30∼14:00 5 13:30∼16:30 25 16:30∼17:00 糖尿病と言われたら… (糖尿病と言われる前に) 閉講式 栄養課課長 循環器内科学助手 (女性外来) 中川 明彦 久藤 純代 45 貸 借 対 照 表 平成15年3月31日現在 (単位:百万円) 資 産 の 部 科 目 金 額 固定資産 土地 建物、構築物 教育研究用機器備品他 図書 建設仮勘定 退職給与引当特定資産 減価償却引当特定資産 施設拡充引当特定資産 流動資産 現金預金 未収入金 貯蔵品他 46,593 2,290 3,098 10,360 4,913 1,210 13,347 3,138 9,000 1,527 0 △521 △255 △36 5,382 500 2,500 △5,280 7,934 △792 4,162 3,575 197 △784 △10 2 54,527 資産の部合計 負 債 の 部 前年比 1,498 科 目 固定負債 学校債 退職給与引当金 流動負債 学校債 未払金 前受金他 負債の部合計 金 額 前年比 7,243 △956 3,793 3,450 △1,031 75 7,417 590 2,221 4,606 162 193 △284 253 14,660 △794 正 味 財 産 の 部 科 目 基本金 消費収支差額 金 額 前年比 56,968 △17,101 170 2,122 正味財産の部合計 39,867 2,292 負債の部及び正 味財産の部合計 54,527 1,498 (注)減価償却額の累計額は21,833百万円である。 退職給与引当金の額は、期末要支給額6,901百万円の50%を計上している。 《本学スタッフ新刊著書 1》 FH Martini, MJ Timmons &MP Mckinley 井上貴央 監訳 著 HUMAN ANATOMY カラー人体解剖学 構造と機能:ミクロからマクロまで 篠原治道 分担翻訳 (心臓血管系:血管と循環、第22章、p433-463) 発行所:西村書店 A4版、643頁 定価:7,800円+税 2003年4月発行 副題にあるように、本書は構造と機能をマクロからミクロまでの形態学と発生学を軸として記述し ている。図は全てカラーで簡潔・明瞭である。特に、構造と機能の有機的な知識統合を重視した記述 内容は今日的医学教育のトレンドに合致しているといえよう。また、本書の記述は平明で、いわゆる 翻訳本臭さを抜け出している。出版までの経過を悉知している訳者の一人として言わせていただけれ ば、これはひとえに監修者が日本語としての意訳に心血を注いだ結果に他ならず、教科書そのものと しての価値を高めている。 (解剖学Ⅱ篠原治道記) 46 ドクターヘリ試乗会 平成15年5月 23 日(金) 、中日本航空の協力により、ドク ターヘリ(ユーロコプターEC135)の試乗会が行われた。本 学の医師12名、看護師2名、事務職員約 30名、および消防 関係者8名が参加した。天候にも恵まれ、短時間ではあった が快適なフライトになった。 試乗会の目的は、ドクターヘリの存在を知っていただく こと、内灘と日本海の空からの景観を楽しんでいただくこ とであった。以下、ドクターヘリについて若干の説明を行 う。 わが国のドクターヘリは、2年前の川崎医大における導入 を皮切りに現在では7県(7施設:私立医大5、公立医大1、 民間病院1)で運用されている。運行は民間航空会社(単独 または複数社)へ委託され、病院のヘリポートにヘリコプ ターとパイロットを含む3名の要員が365 日常駐している。 各県が保有する防災ヘリとの違いは、救急専用であること、 医療機関に所属していること、の2点である。したがって、 本学のドクターカー同様に我々の意志で、救急現場への医 療チーム派遣や遠隔地からの患者搬送に使用することがで きる。 石川県では、第3次救急医療機関まで陸路で2時間という 地域があり、重症患者の搬送に苦慮することもある。しか し、ドクターヘリを導入すれば、ヘリ搬送の目安を概ね 100km圏としても、北陸地域を越える範囲が金沢医科大学 の視野に入ることになる。 ドクターヘリを導入するまで様々な問題を解決しなけれ ばならないが、今後情報提供を行いながら徐々に前進させ ていきたいと考えている。今回の試乗会に関し管理課をは じめとする皆様のご協力にお礼を申し上げるとともに、今 後もご理解とご協力を賜るようお願い申し上げる次第であ る。 (救急医学和藤幸弘記) 平成14年度 人事評価 平成 14年度人事評価については、教育職を除く事務職、 技術職、看護職及び技能職の1,020名を対象として実施され た。 評価の結果については、平成15 年6月 11 日開催の第3回 人事評価委員会においてまとめられたうえで、6月 13 日に 理事長に報告がなされ、15年6月 19 日に開催された第23回 職員人事委員会で評価結果の偏差値を基礎として、評価者 の評価傾向、目標管理達成度、勤続年数、職種別及び下位 からの評価など多方面において審議され、審議結果につき6 月20日付で答申し、承認された。 この人事評価の結果を活かして、評価が良好であった職 員に対して、奨励金を夏期期末手当に加算して支給するこ とになり、本年は33 名(昨年度39名)について、6月30 日 に奨励金贈呈連絡式が行われた。 また、評価が不良であった者50名(昨年度72名)につい ては、本年度は指導にとどめる事とし、夏期期末手当に差 をつけることはせず、平成15 年度の評価結果により実施す ることとした。指導対象者については、職員人事委員会に より該当者個々につき検討し、最も適切と思われる指導が 実施されることとなる。 (人事厚生課坂尾光一記) 47 30周年記念式典のライブ放送 2001年1月4日、はじめて理事長・学長の年頭挨拶が学内 にライブ放送されてから、すでに2年半の歳月が流れた。こ の間、インターネット・イントラネットの利用が激増し LAN上を行き交う情報量が飛躍的に増加した。そのため、 安定したライブ放送等を提供するには常に設備やソフト等 の見直しを行う必要があった。 来る9月 13日に予定されている創立30周年記念式典のラ イブ放送を成功裏に行うため、メディア情報センターでは、 計画的に点検・整備を実施している。現在までの主たる問 題は、放送の途中で画質が落ちる場合があることであった。 対策として、リアルサーバの複数化と本部棟4F講堂のLAN 速度改善工事を実施した。その他、ファイアーウォールの 性能アップ等を検討中である。 本学のライブ放送の経緯を、簡単に紹介すると次のとお りである。最初、1999年 11月に保守業者との定例会議で、 動画サーバの導入(すなわちライブ放送開始)とそれに伴 うファイアーウォールの強化の必要性などが初めて話題に なった。しかし、この時期はコンピュータ西暦2000 年問題 の最終点検で多忙を極めていたこと、予算の問題もあり、 2000年4月以降に行うこととされた。導入にあたっては、リ アルサーバとウインドウズメディアサーバが候補として挙 げられ、検討の結果、安定度の高いリアルサーバを導入す ることとなった。2000年5月にリアルサーバが納入され、6 月に調整が終了し、動画(VOD)を組み込んだホームペー ジの作成が可能となった。翌年の理事長・学長の年頭挨拶 をライブ放送開始とすることが決定され、パソコンやビデ オカメラ等のライブ放送に必要な機器を導入し、11 月には 全てのテストを完了し、翌年1月4日、支障なく放送が行 われた。この最初のライブ放送はイントラネットであった。 翌2月 10日には、今度はインターネットで金沢医科大学公 開パネルディスカッションを放送した。このときファイア ーウォールをバージョンアップする必要があったので、こ れを実施した。続いて卒業式や入学式、そして神経科学セ ミナーの全講演内容のインターネット配信と本格的な利用 が始まり、学内外から高く評価されるに至っている。 30 周年記念式典のライブ放送が、支障なく実施されるよ うに、メディア情報センターでは、全員が万全の体制で取 り組んでいるところである。 (メディア情報センター國府克己記) 互 助 会 第12回 互助会ゴルフ大会 恒例の互助会ゴルフ大会が、6月2日(月)にゴルフ倶楽 部金沢リンクスで会員32名、学生30名の合計62名が参加し て開催された。 竹越襄学長の挨拶に続き始球式が行われ、OUT、IN に別 れ快晴の空へボ−ルを飛ばした。終始和やかな雰囲気の中、 随所にナイスショットが見られ、会員と学生相互の親睦が 図られた1日となった。 (人事厚生課石田豊司記) 成績は次のとおり。 【互助会員】 〈ネットの部〉 優 勝 宮村 順二(中央放射線部) 準優勝 八木 祥晴(中央放射線部) 第3位 川上 重彦(形成外科学) 71.8 72.0 73.0 〈グロスの部〉 優 勝 宮村 順二(中央放射線部) 準優勝 川上 重彦(形成外科学) 第3位 八木 祥晴(中央放射線部) 【学生】 〈ネットの部〉 優 勝 木田 紘昌(第6年生) 準優勝 岩田 知之(第6年生) 第3位 赤坂 駿介(第2年生) 79 79 84 73.4 73.8 74.4 48 同窓会・後援会 平成15年度 金沢医科大学北辰同窓会 総会・評議員会・全国支部長会 平成15年度の北辰同窓会総会・評議員会、全国支部長会 ならびに懇親会が、去る7月12 日(土)金沢都ホテルにお いて開催された。 先ず午後4時から支部長会が開催された。支部長会には、 全国26 支部、1ブロックのうち、13支部、1ブロックの支部 長、支部役員が出席し、支部設立準備中の埼玉県から大島 譲二先生も出席された。出席者は次のとおりである。 坂本滋会長、角田弘一副会長、池田龍介副会長、 東 光太郎副会長、緒方盛道副会長、伊藤透副理事長 石川県支部 高田充彦先生 神奈川県支部 林 暁先生、吉田勝明先生 新潟県支部 水戸将郎先生 兵庫県支部 小南正樹先生、小林有希先生 富山県支部 石坂裕子先生、小西啓子先生 長野県支部 吉江忠正先生 東海支部 塩之谷香先生 関東支部 山道 博先生、小山隆彦先生、 平川博之先生 群馬県支部 大山充徳先生 埼玉県支部 大島譲二先生(準備中) 栃木県支部 高橋 一先生 青森県支部 沼田知明先生 静岡県支部 守重幸雄先生 冒頭に坂本滋会長から北辰同窓会理事長の曽根潮児先生 が7月 10日(木)に急逝されたことの報告があり、全員で黙 祷を捧げた。その後、伊藤透副理事長と解剖学Ⅰの東伸明 講師から、曽根先生の病状の経過について説明がなされた。 各支部の活動状況が報告され、今後の運営方法について 総会 活発な意見が出された。今後の北辰同窓会の進め方につい ては、林 暁先生(神奈川県支部長)から以下のような提案 があり全員これを了承した。 1. 連絡網(ネットワーク)の充実 会員相互の情報をできるだけ細かく把握し連絡するため のシステムづくりを徹底する。 2.北辰同窓会の会費徴収率のアップ 会を運営するには資金面の安定は不可欠であり、今後組 織力のアップを図り、会費の徴収に努力する。 3.後輩の支援システムの確立 卒後の研修、就職、転職などに関して、特に関東方面に 集中することが多いが、今後関東支部に限らず、各支部に おいて後輩の就職指導や受け入れシステムを確立する。 その他会長からは創立30周年記念事業募金の現状報告が なされ、更なる協力依頼がなされた。 支部長会に引き続いて、午後5時 15 分から約70 名の会員 が出席のもと、平成15年度北辰同窓会総会(評議員会を兼 ねる)が開始され、坂本会長の挨拶の後、伊藤副理事長の 司会で会議が進められた。 議題1. 平成14年度事業報告及び決算報告について 議題2. 平成 15年度事業計画(案)及び収支予算(案)につ いて 上記について東副会長、伊藤副理事長、松田健志監事 から説明があり、全員これを了承した。 議題3. 理事の選出について これについては、昭和63年卒業の三冶秀哉先生が新た に理事に選任された。 議題4. その他においては、伊藤副理事長から各支部会が開 支部長会 49 催される場合、できれば最初に坂本会長の方へご連絡いた だけると事務的な手配などができる旨依頼があった。 総会終了後引き続き、勝田省吾副学長の挨拶、鈴木孝冶 教務部長と川上重彦学生部長からPCスライドを使って「大 学の現況報告」がなされた。 その後、池田龍介副会長から新任教授として、田村暢煕 教授(体育学) 、堀 功教授(生物学) 、平口哲夫教授(人文 科学)の紹介があり、当日出席された平口哲夫教授から挨 拶があった。 続いて、北辰同窓会賞ならびに研究助成の授与が行われ た。 今年度の受賞者は次の各先生方である。 北辰同窓会賞(3名) 中野 茂先生(内分泌内科学助教授) 沼田 知明先生(青森県支部長・S54卒) 伊藤 透先生(総合診療科助教授) 研究助成(4名) 山川 淳一先生(総合診療科) 伊藤 弘麿先生(伊勢崎佐波医師会病院) 佐々木規之先生(胸部心臓血管外科学) 田中 弓子先生(一般消化器外科学) 午後6時 30 分、会場を宴会場に移し懇親会が行われ、坂 本会長の挨拶の後、当日出席できなかった小田島粛夫理事 長に代わり、西川克三総合医学研究所長から挨拶があり、 後藤鹿島名誉教授の乾杯により、和やかに親睦の和が広げ られた。 最後に林神奈川県支部長から閉会の挨拶があり、午後8 時30分、平成15年度北辰同窓会総会懇親会を盛会裏に終了 した。 (教育研究事業推進室中山正喜記) 平成15年度金沢医大後援会 長となり審議が進められ、久藤現会長の再任が提案され全 員の拍手をもって了承された。新役員は別表のとおり決定 された。 議題4の「その他」においては、事務局から「最近、 『金 沢医科大学北辰同窓会事務局の○○ですが、現在名簿作成 中であり、○○君の現住所、勤務先などを教えてください …』といった不審電話が多発しており、不審と感じられた 場合は念のため折り返し本学にご連絡くださるよう」との お願いがあった。総会は以上をもって終了した。 引き続き、午前11時30 分から、竹越襄学長の挨拶、川上 重彦学生部長、鈴木孝治教務部長による「大学の現況報告」 がなされた。 ついで、橘会賞の授与式が行われ、今年は、姫野万里子 先生(内分泌内科学医員) 、吉谷新一郎先生(一般消化器外 科学助手)の2名が受賞された。 以上の総会ならびに関係の行事が終わった後、12時半か ら会場を移して懇親会が開催された。 橘会総会 平成 15 年度の金沢医大後援会橘会総会が、去る6月8日 (日)午前10時からホテルイン金沢において開催された。 総会に先立ち、中山昌幸氏による「今後の医師国家試験 の展望について」と題する約20分間の講演が行われた。 10時30分から平成15 年度総会が開始された。最初に久藤 豊治会長から最近の大学との橘会関連の状況を含めて開会 の挨拶があり、会長が議長となって議事に入った。 議題1は「平成 14年度事業報告及び決算報告」 、議題2は 「平成15年度事業計画(案)及び予算(案) 」で、升谷一宏 副会長、萩原哲郎監事からの説明ならびに報告に対して全 員これを了承した。 議題3の「役員の選任」については、姫野洋一副会長が議 中山昌幸氏による講演 50 「越中おわら風の盆」の胡弓、三味線、唄とともに10名余の 選り抜きの踊り子の出演があり、全国からの参加者を酔わ せた。 午後2時、今年の橘会総会、懇親会を全て終了した。 (教育研究事業推進室宮内武範記) 「越中おわら風の盆」の胡弓、三味線、唄とともに踊りを楽しむ 懇親会では久藤会長の挨拶の後、小田島粛夫理事長から 来賓を代表して挨拶があり、山本達副学長の乾杯により宴 会が始まった。今回は姫野副会長の手配で富山県八尾町の 平成15年 新役員(任期: H15.6.1からH17.5.31まで〈敬称略〉) 会 長 久藤豊治先生 副会長(専任理事) 姫野洋一先生 〃 (常任理事) 升谷一宏先生、藤井博之先生 理 事 長谷井敏男先生、堀内 健先生 〃 高橋貞就先生、松原三郎先生 〃 高田充彦先生、紺田健彦先生 〃 木下弘治先生、仲里博彦先生 〃 新井三郎先生、大西雄二先生 〃 村田 守先生 監 事 萩原哲郎先生 金沢医科大学後援協力会 総会・幹事会・懇親会 本学の支援団体である金沢医科大学後援協力会の平成15 年の総会・幹事会・懇親会が、去る4月15 日(火)ホテル イン金沢で開催された。 総会に先立って午後4時 30分から幹事会が開かれ、平成 14年事業報告、収支決算報告、監査報告が行われ、平成15 年事業計画(案)・収支予算書(案)について審議され承 認された。その後、事務局から平成14 年の入退会者の報告 があり、最後に役員の改選について話し合い、改選案は総 会に提出された。 幹事会に続いて、午後5時から総会が開催された。総会に は147社が出席した。 先ず、横山隆昭会長から金沢医科大学の昨年1年間の動 女子プロゴルファー中溝裕子さんによる講演 向が報告され、創立30周年記念事業に対して、後援協力会 から予定通り5千万円を贈呈すること、また平成16 年から 年会費をこれまでの5万円から3万円に戻すことなどが報告 された。続いて審議事項にすすみ、役員改選案を含めて承 認された。 役員の改選については、総会において議長を横山会長か ら中田淳造氏に代わり審議の結果、現役員全員がもう一期 務めることとして承認が得られた。その後、選出された幹 事全員が別室に集まり、会長以下役員の選出が行われ、そ の結果を総会に諮ったところ全員の拍手で原案どおり承認 された。新役員は以下のとおり。 会 長 横山隆昭 副会長 高本昭二 51 幹 事 村中重明 中田淳造 石黒傳六 北川晶夫 水株正紀 山下士郎 監 事 米沢 寛 橋野健作 相談役 小田島粛夫 竹越 襄 山下公一 内田健三 松村久夫 以上で総会を終了し、午後5時40 分から女子プロゴルフ ァーの中溝裕子さんの「前向き思考の大切さ」と題した講 演会が行われた。中溝さんは昭和63 年に女子プロテストに 合格したが、3年後に骨髄異形成症候群(白血病)と診断さ れ、その6年後に骨髄移植を受けた。移植後の苦しい闘病生 活を経て女子プロゴルファーにカムバックされた。苦しい 逆境に耐えてカムバックされた体験に耳を傾け、一同強い 感銘を受けた。 6時 30 分講演会終了後、場所を宴会場に移し懇親会が開 催された。懇親会では、横山会長の挨拶の後、来賓代表と して小田島粛夫理事長のお礼の挨拶があり、竹越襄学長の 音頭により乾杯が行われ、会場は和やかな歓談の場となっ た。講演会講師の中溝プロも懇親会に参加し、写真を撮っ たり即席のゴルフレッスンを受ける人が出るなど賑わった。 当日会場受付で販売された中溝プロの著書も完売した。 (教育研究事業推進室山下士郎記) 後援協力会から創立30周年記念事業に お祝い目録贈呈 去る6月 24 日(火)午前9時 30分、役員室に おいて、後援協力会の横山隆昭会長と高本昭二 副会長から小田島粛夫理事長に対してお祝い目 録が贈呈された。後援協力会では金沢医科大学 創立30周年記念事業に対し、毎年積み立てをし てきて病院新館の完成に合わせて贈られたもの である。 (教育研究事業推進室中山正喜記) 後援協力会会長、副会長から寄付金の贈呈を受ける 北斗会から創立30周年記念事業に 「からくり時計」贈呈 本学職員とそのOB から構成さ れる金沢医科大学北斗会から、 本学の創立 30 周年記念事業と して、からくり時計などが贈呈 された。 去る8月 21日(木)、北斗会 奥名洋明会長、北川伴次副会 長が来学、お祝い目録が小田 島粛夫理事長に贈呈された。 奥名会長からは、 「北斗会会 費から毎年積み立てて、今年でちょうど末広がりの八百万円という金額になりました。その中の約半分を病院 新館1階ロビーに設置する「からくり時計」の費用に当て、残りは寄付金として贈呈したい」とのことである。 立派なからくり時計が患者様やご家族の安らぎの場を演出することが期待される。 (教育研究事業推進室中山正喜記) 52 随想・報告 報 告 フロリダ大学留学記 泌尿器科学助手 相 原 衣 江 はじめに 昨年4月から今年の3月までの1年間、フロ リダ大学へ留学の機会をいただきました。走馬 灯のように思い出される内容の濃い1年をどの ようにお伝えできるか分かりませんが、私が1 年間の留学生活をとおして感じ、学んだことを お話してみたいと思います。 出発 2001 年9月 11日。全世界を震撼させたN.Y. でのテロが勃発。そのような状況の中、私の留 学の話は具体化していました。 もともと、私が、泌尿器科学を選択させてい ただいたのは、泌尿器科学の鈴木孝治教授に 「うちに入局したら留学させる」というお話に 強く惹かれたからでした。今思えば、当時は子 供の頃の夢の続きのような感じで、人生のうち ラボのメンバーと。左よりポスドクのプーラン、テクニシャンのカレン、私、 で1年くらいは海外で生活してみたいという漠 テクニシャンのパット、ゲーター人形、カーン教授と奥様。 然とした希望を持っていただけだったのかも知 フロリダ大学のアメフトチーム”ゲーターズ”に。 れません。 ちなみ、市内には多数のゲーター人形が配置されています。 しかし、いざ本当に留学の切符をいただいて しかし、ある程度の実験がこなせるようになると、次は みると、言葉の違う海外で、プロの研究者たちの中でやっ ただやみくもに朝から晩まで実験をやりまくるという日々 ていけるのだろうかと、日に日に募る不安を抱えての渡米 がやってきました。私の場合は、ただでさえ超多忙な教室 となりました。 から、臨床をせずに実験だけが出来る時間をいただいてい そんな私を空港へ迎えに来てくれたのは、見るからに温 るという焦りがあったため「とりあえずp aper を作らない 厚そうなおばさんJanet でした。彼女はKhan 教授の古くから と!」という気持ちが先走りしていたのです。 の友人で、勤続35 年というベテランテクニシャンです。私 ある日、8月も半ばに差し掛かるという頃。なかなか結果 は彼女の家にホームステイをしながら、実験のことは勿論、 が出ず、落ち込んでいる私を見てKhan教授がさりげなく次 アメリカ生活のことなど、様々なことについて彼女よりア のようなことを教えて下さいました。 「研究っていうのはこ ドバイスを得ることができました。 れから言うことを守っていると自然と結果が出て来るんだ 教室 よ。大切なのは、まず、何のために研究をするのか?」 、 「今 私の留学させていただいたフロリダ大学の病理学教室は、 現在その方向へ向かっているか?」 、 「他の方法はあるの Dr. Khanを教授とする、尿路結石では有名な教室です。 か?」 、 「この研究を大きな領域で見た時、どの位置にいる 教室には、Karen という私と年齢の近いテクニシャンがい のか?」 。正直、衝撃的でした。今まで狭い思考で研究とい て、彼女とは本当に良い友人となり、私の生活面から実験 うものに取り組んでいるふりをしていた自分が恥ずかしく に関してまで非常に良く面倒を見てくれました。 なりました。この日を境に、実験は、朝の6時から夕方6時 最初の3カ月ほどは、言葉の壁や自分の研究の知識不足 までと区切りをつけて、せっかくの海外生活を楽しむ余裕 に、ほとほと困惑する場面が多かったのですが、そこは、さ が出来ました。 すが外国人の受け入れに慣れているアメリカ。一つ一つ丁 寧に色々なことを教えてもらい、徐々に自分の出来る技術 が増えていくのが実感できました。 民族 アメリカで、また、大学という環境も手伝って、様々な 53 世界中の3地域でしか見られないという野生のマナティーです。 フロリダではこのマナティーと一緒に泳ぐことができます。 国の人たちと友人になることが出来ました。アメリカ人は 勿論、アイルランド、イタリア、イラン、インド、カナダ、 韓国、スコットランド、中国、チェコ共和国、パキスタン、 ブラジル、ベネズエラ、ペルーなど。日本では、なかなか 出会うことのなかった国籍の友人達ができ、さまざまな価 値観やお国柄に触れ、一つの出来事に関しても色々なもの の見方があることを発見しました。フロリダは南米からの 移民が多い場所ですが、スペイン語必修の中学高校へ通っ ていた私は、多少スペイン語を覚えていたため、友人を作 るのにとても役に立ちました。人間学べるものは勉強して おくべきだと心から実感しました。 このような中で私は、アメリカは、まさに「メルティング ポットでなくサラダボール」という有名な言葉のとおりだと 実感させられました。世界中からアメリカへ色々な民族が 集まっても、一番大事なのは、自分がどこのグループに属し ているか、つまりどこの国の人間かということです。まず自 分のグループに籍をおいて、そこからグループ間のような形 で他民族との交流がある。それがアメリカで最も強く感じさ せられたことでした。日本人にも例外なく日本人会があり ます。フロリダ大学には比較的日本人は少なかったのです が、週に1回、各々の分野に関する勉強会などがあり、とて も楽しいひと時を過ごさせていただいていました。 臨床 留学する際に、是非、アメリカの臨床を見学したいとい う意向をお話したところ、Khan 教授の紹介状と移植外科に 所属していた日本人の先生の紹介により、腎臓は勿論、肝 臓や膵臓の摘出や移植を見せていただくことが出来ました。 帰国間際、アトランタまで臓器の摘出に参加した際には、 N.Y.からの移植チームの心臓の摘出を見学することが出来 たり、私自身も肝臓の摘出手術チームに入ることが出来、 大変感激しました。 アメリカの臨床と日本の臨床を比較してみたところ、一 番の違いは保険制度の有無です。アメリカではご存知のと おり国民保険がないため、フロリダ大学のような病院でも 保険を持っていない人は受診が出来ません。さらに、アメ リカでは、移植を見通し、あくまでも血液透析が補助療法 友人宅へやって来たハミングバードです。翼を回転させながら 飛ぶ有名な小さな鳥で、これもフロリダで見ることができます。 でしかないため、日本と比べると死亡率が信じられないく らい高いことに驚きました。 帰国 留学も終わりに近くなった頃、ブロードウェイのミュー ジカル「レ・ミゼラブル」の公演がやって来ました。ご存 知のとおり、この話はジャン・バルジャンという男がある 人物と出会い、自分の人生を大きく変えるというお話です。 私はこの日本語訳を中学時代に読み、いたく感動したのを 覚えています。このミュージカルを見た時、不思議とあの Khan 教授の言葉が重なりました。あの言葉が人生にも例え られるように思ったのです。「何のために生きるのか?」、 「今現在その方向へ向かっているか?」 、 「他の方法はあるの か?」、「人生を大きな領域で見た時、どの位置にいるの か?」 。 かつて、10代の頃、当然と考えていた「生きる」という根 本的なことを、多忙な日々の生活に追われる中で忘れていた のだと、この留学を機に改めて思い直すことが出来ました。 一生のうちに出会う人は大勢いても、実際、自分の人生 に大きな意味を持つ人は数えるほどしかいないのではない でしょうか?その人が、友人か師弟か、または親や兄弟か、 はたまた名も知らない人かは分かりません。ただ、その人 たちからどのような影響を得られるのかにより、自分の生 き方を大きく変えることが出来るのではないでしょうか? 3月、アメリカがイラクへの攻撃を開始する直前、物々し い雰囲気の中で、平和という意味を考えながらの帰国とな りました。 おわりに 最後になりましたが、このような貴重な時間と経験を与 えてくださった大学関係各位の皆様方、また鈴木教授はじ め泌尿器科学教室の教室員の皆様方に心から感謝します。 そして、留学を考えられる皆様方の参考にしていただけれ ば幸いと思いつつ私の留学記を終わらせたいと思います。 研究内容:Calcium Phosphate Induced Renal Epithelial Injury and Stone Formation: Involvement of Reactive Oxygen Species.: K. Aihara, K. J. Byer and S. R. Khan. Kidney International(in press) 54 随 想 温泉 の効 用 名誉教授・泌尿器科学 津 川 龍 三 日本列島には古来各所から温泉 が湧き出ている。開湯の由来をみ ると、鳥やけだものが傷を癒して いるのをみて発見に至った例が多 い。昔は収穫を終えた農民の湯治 目的が多かったようだが、信長が 「ねねを有馬へ連れて参れ」と秀吉 に命じたという話など、階級を問 わず、わが大和民族は温泉大好き 民族のようである。 昭和、特に戦後は会社の慰安旅 行と称して、社長以下社員一同大 型バス数台で乗り込み、大宴会で 大騒ぎをウリにした温泉地がいく つかあった。宴はさみだれ解散、 数人でゲタをはいて、夜風に吹か れ、何の気なし温泉劇場に入ると、 臨床系某教授が先客で「今晩は」 。 写真1: 草津温泉地内の遊歩道 良い子の躾はごあいさつから(こ の場面ではちょっと違うのだが) 。 温浴ならば家庭のフロや銭湯と温泉地のフロと変わらない 一方ステージでは、 「アンタ、わたしの帯解くのこれで2回 ではないかという疑問に対し、温泉に含まれる成分、例え 目じゃないの、ダメヨ、しょうがないヒトねえ」と叱られ ば草津の湯は酸性なので数日間の滞在、1日数回の入浴でア ている客、それは二年後輩のS君ではないか。2回目という トピー性皮膚炎の増悪にからむ病原菌を殺菌するから温浴 からには、宴会をいち早く抜け出したに違いない。こんな のみとは違う効果があるのだとか、温泉浴では免疫システ 時代が30年は続いたろうか。上記路線の温泉地は衰退に向 ムの賦活化が顕著であるとか、アルカリ泉では成分が皮下 かう。自家用車で家族単位の旅行時代の到来も一因。 脂肪に作用してツルツル美肌になるが故に上がり湯は禁物 人工衛星が頻繁に打ち上げられる時代にはいり、地層の とか、精神身体的にみると、自然に囲まれた温泉地へ行く ズレ部分を探査し、そこをボーリングすると高頻度で湯脈 こと自体が持つ開放感がいいのだ、というのもある。飲用 に到達できるようになり、新しい温泉が増えた。と同時に するのを温泉利用法の主体としてきたドイツも最近は温泉 いろいろな施設が建てられ、今度は上記路線から180度転 地をとりまく環境を重視する日本的発想に近くなってきた 換、ジャグジーやスチームバス、温水プールでは、泳ぎ、歩 ようで、娯楽施設としてオペラハウスを建設したところも 行は勿論、エアロビクス指導など、形態は変ったが温泉は あるほどだ。 健康志向に回帰の傾向となった。昔の人たちがみたら、テ 今年の学会場、草津へは高崎から吾妻線で行った。長野 クノロジーの進歩に驚くと共に、何でここまでやるのかと から志賀高原越えでも行ける。この温泉は硫黄の匂いが立 不思議に思うだろう。 ちこめる湯畑を中心に老舗旅館が並び、所々に無料の共同 さて、私は、1998年本学を定年退職後、縁あって富山県 浴場もある。歩いていたらホカホカの温泉饅頭をくれたの 婦中町にある友愛温泉病院の顧問、非常勤医師となった で、食べながらしばらく歩くと犀の河原に向かう。川の水 (現在は内灘温泉病院) 。温泉病院とあらば医師として「温 に湯が混ざり、ところどころで湯煙が立ち昇る。若葉が萌 泉」を系統的に勉強しようと思い、日本温泉気候物理医学 える川岸には遊歩道や木道(写真1)が約500 メートルほど 会に入会した。3年後、温泉療法医の資格を頂戴した。この 続いて格好の森林浴、その奥に露天風呂がある。内湯には 会は会員約1,100 名で毎年5月、学術集会が全国の有名温泉 打たせ湯もある。 地またはその近郊で行われている。今年は第68 回として草 明治年間ベルツ(遊歩道に胸像がある、写真2)は東京か 津温泉で行われた。この1∼2年の学会での論点は、単なる 55 写真2: Erwin von Bälz. ドイツの内科医。明治9∼ 38年にわたり東 京大学で、教育・研究・診療に従事。その功績は大。 写真3: 片岡鶴太郎美術館。ユニークでほほえましい絵が展示され ている。売店も充実 ら馬車に乗って何度も訪ねたという。今日の温浴によるリ ハビリに興味を持っていたらしい。東大構内ばかりでなく フィールドに出たところが偉い。 温泉街を歩くと「片岡鶴太郎美術館(写真3) 」がありユ ニークな絵が楽しめる。その近くにガラス工芸(温泉ガラ ス)の展示、販売店がありこれも楽しめる。 以上をまとめると、温泉浴、特に露天風呂、川原の散歩、 山菜主体の食事などは限りなき自然ヘの回帰であり、一方、 温泉街での美術鑑賞、みやげもの店めぐりでは好奇心をそ そられる。こうなると温泉地としての資格が揃っていると いうか風格すら感ずる。 石川県で草津に似ている温泉地はどこか、私見で恐縮だ が山中温泉ではないかと思っている。鶴仙溪めぐり、温泉 街の各店には民芸品を展示したりいろいろ趣向がこらされ ていて、思わず順に歩いてしまう。相当な距離になる。心 地良く汗をかいて温泉に入る(入浴前には水分を摂ること が重要で、血液をサラサラにしておく。ちなみに温泉浴以 外も加え、入浴死は年間2万近く、8割強が65歳以上の高齢 者、ほとんど循環器関係) 。そのあと、ゆっくり山海の珍味 を楽しむ。下呂温泉も川沿いの散歩、おみやげもの店めぐ りを楽しめる。別府の地獄めぐりも豪快だ。 しかし、温泉人気を強く支えている要因は「上げ膳据膳 で、なにもしなくてもよい、美しき自然に囲まれ、露天風 呂で手足を伸ばし、極楽、極楽」という家庭の主婦のひそ やかにしてたまらない「毎日の家事からの解放感」である という説がある。それも要因の上位らしいのだ。となると 上記の私の説明はなんであろう。温泉の効用とは総体的な ストレス解消が主なものとなってしまうのだ。 西洋医学を学び、論理を尊しとし、学会員でもある私に とって、温泉の効用の説明は現在のところ、浅学きわまり なき故と、湯煙のためもあってか限りなくファジーになら ざるをえないのである。 56 報 告 み な ず き か い 金沢医科大学水月会の紹介 水月会代表・血液免疫内科学教授 「水月会」は年々増加している本学の女性医師の会員相 互の親睦をはかり、意見交換を行う会として平成6年6月に 発足しました。水月会という名称は毎年4月に国試の発表が あり5月に医局員、大学院生として入局して来られますの で、新たに入って来られた方々を迎えて6月に年次総会を行 うことから命名しました。 発会当初は 55 名で始まりました。眼科学中泉裕子先生、 北川和子先生、神経精神医学榎戸芙佐子先生、血液免疫内 科学の廣瀬優子が世話人として会を作り、毎年新入医局員、 大学院生に入会をお願いし、平成15年6月現在、104名の会 員数となり、本学の全医師の約25%を占めるようになりま した。会の活動はあまり活発には行っていませんが、毎年6 月の新入会員を迎えての会合が一番主な行事です。 今年(平成 15年)は7月3日に第 10回の水月会を開催す ることになり、毎年各教室持ち回りで幹事をお願いしてお り、今年は神経精神医学教室の先生方にお世話をお願いし ました。 近年、 「男女共同参画社会を」といわれる一方で女性専門 外来を開設する医療施設が全国的に広がるなど女性の特性 を考慮した考え方も医療分野では見られます。本学でも女 性専門外来が総合診療科に開設されましたが水月会として も協力を惜しまないつもりです。 平成15年7月3日開催の第10回水月会集会出席者一同 廣 瀬 優 子 女性医師が本学医師の25%を占めるようになり、特に若 い医師の世代では比率がもっと高くなって、臨床の教室で は女性医師のいない医局はなくなっています。しかし福利 厚生面での待遇は不十分で、更衣室や当直室が確保されて おらず、皆大変不自由をしています。病院新棟完成の折に は是非これらの面を改善して働きやすい職場にしていただ きたいと希望しています。 毎年15 名ほどの新入会員がありますが、本学を去られる 方も同じ数ほどおられ、是非出来るだけ長く大学に残って 後進の指導に当たっていただきたいと願っています。 平成15年度の新入会員の出席者 57 資 料 理事会 第168回 平成15年5月27日 1 平成14年度決算について 評議員会 第87回 平成15年5月27日 1 平成14年度決算について 規程の改正・制定・廃止 学校法人金沢医科大学職員給与規則 (平成15年4月1日改正) 金沢医科大学大学院医学研究科教授会規程 (平成15年4月1日改正) 金沢医科大学学位規程 (平成15年4月1日改正) 学位規程第3条第1項に基づく医学研究科の学位(課程博士)に関 する内規 (平成15年4月1日改正) 学位規程第3条第2項に基づく医学研究科の学位(論文博士)に関 する内規 (平成15年4月1日改正) 金沢医科大学病院医薬品市販後調査取扱内規 (平成15年4月1日廃止) 金沢医科大学放射線障害予防規程 (平成15年4月1日改正) 金沢医科大学放射線障害予防規程細則 (平成15年4月1日改正) 金沢医科大学附属看護専門学校学則 (平成15年4月1日改正) 医学部教授会 第667回 平成15年4月10日(木) 議題(人事関連等) 1 前回(第666回)議事録確認について 2 名誉教授候補者の選考について 3 平成15年度各委員会委員について 4 昇任について 5 教員採用について 6 医学部学内講師委嘱について 7 辞職について 8 出向について 9 出向期間短縮について 10 外国出張について 11 外国出張取り下げについて 12 客員教授委嘱について 13 非常勤講師委嘱について 14 非常勤講師委嘱取り下げについて 15 非常勤講師併任について 16 非常勤講師派遣について 17 その他 議題(教学関連) 1 平成16年度入学試験日程(案)について 2 退学願提出学生の取り扱いについて 3 その他 〈報告事項〉 1 平成15年度入学者について 2 平成15年度入学試験判定委員の公表について 3 平成14年度成績審査委員及び卒業判定委員の公表について 4 平成15年度学生数について 5 教務部からの報告について 6 講座研究費等について 7 その他 〈協議事項〉 1 大学基準協会の「加盟判定審査結果」について 第 668回 平成15年4月24日(木) 議題(人事関連等) 1 前回(第667回)議事録確認について 2 「金沢医大後援会橘会賞」候補者の推薦について 3 教員採用について 4 辞職について 5 出向について 6 外国出張について 7 非常勤講師委嘱について 8 協力研究員委嘱について 9 非常勤講師派遣について 10 専修生の入学について 11 その他 議題(教学関連) 1 平成16年度入試実施委員会委員について 2 その他 〈報告事項〉 1 教員評価に関する学生による授業評価の実施について 2 平成15年度科学研究費補助金の交付内定について 3 その他 第669回 平成15年5月8日(木) 議題(人事関連等) 1 前回(第668回)議事録確認について 2 名誉教授候補者の推薦について 3 病理学Ⅰ講座教授(特任)候補者の選考について 4 辞職について 5 外国出張について 6 外国出張取り下げについて 7 臨床教授委嘱について 8 外国留学期間延長について 9 移籍について 10 その他 議題(教学関連) 1 平成16年度入学者選抜方法等(案)について 2 平成16年度学力検査実施教科・科目(案)について 3 平成16年度入学試験日程等(案)について 4 その他 〈報告事項〉 1 石川県の「地域・大学連携 C O E プログラム」への申請につ いて 2 その他 第670回 平成15年5月22日(木) 議題(人事関連等) 1 前回(第669回)議事録確認について 2 教員採用について 3 研究員採用について 4 外国出張について 5 非常勤講師派遣について 6 その他 議題(教学関連) 1 平成 1 5 年度第1∼4学年第1学期定期試験時間割及び受験資 格について 2 その他 〈報告事項〉 1 教務部からの報告について 2 新棟開設に伴う院内標榜診療科名について 58 3 その他 第671回 平成15年6月12日(木) 議題(人事関連等) 1 前回(第570回)議事録確認について 2 研究医採用について 3 辞職について 4 出向について 5 出向先変更について 6 外国出張について 7 外国出張期間短縮について 8 非常勤講師委嘱について 9 その他 議題(教学関連) 1 平成16年度金沢医科大学入学試験要項(案)について 2 平成15年度一般聴講生の受入について 3 その他 〈報告事項〉 1 入試説明会及びオープンキャンパスの開催日程について 2 教務部からの報告について 3 解剖研修の実施について 4 卒業生定着化委員会からの報告について 5 平成 1 5 年度金沢医科大学共同研究及び奨励研究の公募につ いて 6 平成15年度科学研究費補助金について 7 その他 〈協議事項〉 1 第97回医師国家試験結果について 第672回 平成15年6月26日(木) 議題(人事関連等) 1 前回(第671回)議事録確認について 2 教員採用について 3 研究医採用について 4 医学部学内講師委嘱について 5 辞職について 6 外国出張について 7 休職期間短縮について 8 その他 〈報告事項〉 1 大学コンソーシアムへの参加について 2 医師の名義貸しに係る保険医の取扱いについて 3 その他 大学院医学研究科教授会 第296回 平成15年4月10日 議題 1 2 3 4 前回(第295回)議事録確認について 退学願提出学生の取扱いについて 平成15年度大学院第3次募集選抜試験合否判定について その他 1)学位授与可否決定で投じられた「否」の取扱いについて 第297回 平成15年5月8日 議題 1 前回(第296回)議事録確認について 2 専攻の変更願提出学生の取扱いについて 3 休学願提出学生の取扱いについて 〈報告事項〉 1 平成15年度大学院医学研究科入学者について 2 授業実施についての協力要請 第298回 平成15年6月12日 議題 1 前回(第297回)議事録確認について 2 第31回論文博士外国語試験実施要項について 3 平成16年度大学院医学研究科学生募集について 〈報告事項〉 1 平成15年度1年次生の授業履修について 2 平成15年度課程博士の学位論文予備審査申請について 3 文部科学省の平成 15 年度「21 世紀 COE プログラム」の審査 結果について 総合医学研究所教授会 第157回 平成15年5月15日(木) 議題 1 2 3 4 前回(第156回)議事録確認について 移籍・併任について 移転計画について その他 辞職について 〈報告事項〉 1 部門ホームページの修正について 2 公開セミナーについて 3 次回開催日について 第158回 平成15年6月19日(木) 議題 1 前回(第157回)議事録確認について 2 外国出張について 3 平成 1 5 年度秋季セミナー(市民向け公開セミナー)案につ いて 4 総合医学研究所移転推進委員について 〈報告事項〉 1 総合医学研究所評価委員会委員について 2 次回開催日について 3 平成15年度科学研究費補助金交付決定状況について 人 事 〈採用〉 鶴岡 直樹 齊藤 隆 小野寺勝紀 江尻 純子 大山 啓太 高橋 知親 米地 麻子 大橋 功 中野由美子 清水 聰 紋川 明和 近藤 環 水野 史人 三上 友明 中川慎太郎 西尾 明子 藤澤 裕一 宮永 亨 藤田 純 松岡 徳子 杉浦聡一郎 阿部 淳子 前坊 義正 竹田 祐二 福本 泰規 中田 麻里 森 公子 生化学Ⅱ助手 内科研修医 内科研修医 内科研修医 内科研修医 内科研修医 内科研修医 高齢医学科研修医 神経科精神科研修医 神経科精神科研修医 神経科精神科研修医 放射線科研修医 胸部心臓血管外科研修医 整形外科研修医 整形外科研修医 形成外科研修医 形成外科研修医 形成外科研修医 皮膚科研修医 皮膚科研修医 麻酔科研修医 歯科口腔科研修医 呼吸器内科学助手 呼吸器内科学助手 小児外科学助手 救命救急科医員 看護部看護師 15.4.11 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.4.25 15.5.1 15.5.1 15.5.1 15.5.1 15.5.12 59 飛彈美映子 小坂田奈美樹 長谷川朋美 松田美由紀 廣橋 智之 池田 友美 桑原 崇 呼吸器内科学研究員 形成外科医員 看護部看護師 看護部看護師 看護部看護師 小児科学研究医 産科婦人科学研究医 15.6.1 15.6.1 15.6.16 15.6.16 15.7.1 15.7.1 15.7.1 〈昇任〉 呼吸器内科学助教授 南部 静洋 呼吸器内科学講師 15.4.1 病理学Ⅰ教授(特任) 谷野 幹夫 病理学Ⅰ助教授 15.5.1 (併)総合医学研究所 (併)総合医学研究所助教授 教授(特任) (共同利用部門形態機器センター) (共同利用部門形態機器センター) 〈配置換〉 総合医学研究所講師 宗 志平 血清学講師 (共同利用部門動物飼育センター) (併)病理学Ⅰ講師 (併)病理学Ⅰ講師 15.6.1 〈任命換〉 看護部看護師 南 直子 看護部准看護師 15.5.1 呼吸器内科学教授 循環器内科学講師 循環器内科学講師 15.4.1 15.4.1 15.5.1 浅地 孝能 循環器内科学講師 15.4.30 〈任命及び併任等〉 副院長(再任) CCU副部長 循環器データ 解析センター部長 (免)循環器データ 解析センター部長 橋 敬治 北山 道彦 金山寿賀子 〈退職〉 南部 静洋 真辺 香衣 松田 富雄 鈴木 智 鈴木 香奈 杉本 禎子 伊藤 幸江 村坂由美子 石川 理恵 谷野 幹夫 Liu Bing 朴木めぐみ 村田 真里 本多 理恵 吉岡 亮 西野 暢 前坊 義正 川口 宗一 岩松 千里 鈴木 寿和 長谷川祐美子 中條由加里 呼吸器内科学助教授 看護部看護師 麻酔学講師 呼吸器内科学助手 耳鼻咽喉科学助手 看護部看護師 看護部看護補助員 薬剤部薬剤師 看護部看護師 病理学Ⅰ教授(特任) 微生物学研究員 看護部看護師 看護部看護師 看護部看護補助員 神経内科学助教授 整形外科学講師 呼吸器内科学助手 消化器内科学助手 麻酔学助手 口腔科学助手 中央臨床検査部臨床検査技師 栄養部栄養士 15.4.14 15.4.23 15.4.30 15.4.30 15.4.30 15.4.30 15.4.30 15.5.10 15.5.27 15.5.31 15.5.31 15.5.31 15.6.2 15.6.9 15.6.30 15.6.30 15.6.30 15.6.30 15.6.30 15.6.30 15.6.30 15.6.30 〈出向〉 桑原 崇 (産科婦人科学研究医) 横井 美樹 (一般・消化器外科医員) H15.7.1∼H16.3.31 公立能登総合病院 H15.7.1∼H15.9.30 久藤総合病院 《本学スタッフ新刊著書 2》 松井章編・監修 (財)日本鯨類研究所・日本捕鯨協会編 考古科学的研究法から見た 木の文化・骨の文化 平口哲夫 分担執筆 (日本沿岸の先史捕鯨文化、p131-152) 発行所:株式会社クバプロ A4版、165頁 定価:本体2,200円+税 2003年3月31日発行 平成11年2月9日にCOE 奈良文化財研究所で行われた国際シン ポジウムの発表原稿を大幅に書き改め、他の特別講演原稿と合わ せて一書にまとめたもの。アメリカ合衆国、カナダ、イギリス、 日本、ニュージーランド、台湾、計6カ国にわたる研究者10 名が 執筆している。動植物遺体・製品を多量に出土する湿地遺跡の 調査成果と問題点について、豊富な図・写真を楽しみながら理解 を深めることができる。 (人文科学平口哲夫記) 第1回日本伝統捕鯨地域サミット 開催の記録 平口哲夫 分担執筆 (縄文∼古代捕鯨と食の多様性、 p23-49) 発行所:長門市・(財)日本鯨類 研究所 A5版、168頁 2003年5月8日発行 非売品 平成14 年3月 21 日に山口県長門市で開催された第1回日本伝統 捕鯨地域サミットの記録集である。筆者論文のほか、森田勝昭 「捕鯨文化の《伝統》再考」、高橋順一「現代日本の捕鯨文化― ひとつの試論」 、和田直樹「太地町での捕鯨・文化・伝統」 、島村 泰吉「銃殺捕鯨導入と土佐捕鯨」 、白石政人「長州捕鯨の特徴と 通鯨組の特性」 、中園成生「生月島民の捕鯨活動」という、本書 のために書き改められた7編の論文が収録されているので、論文 集とみなしてもよい。布地表紙・糸綴製であるばかりでなく、表 紙カバーにはポスターに使用されたカラー絵図があしらわれ、 「開催地の紹介∼長門市と捕鯨∼」、「プログラム」、「催事の記 録」 、 「古今東西鯨料理」なども豊富なカラー写真入りで掲載され ている。非売品であるが、全国の主要図書館には贈呈される手は ずとなっている。 (人文科学平口哲夫記) 60 教室紹介 28 産科婦人科学教室 前列左から 早稲田智夫助手、井浦俊彦講師、牧野田 知教授、吉田勝彦講師、大島恵二助手 後列左から 呂 剛短期研究員、楊賀来慧研究員、篠倉千早大学院生、藤田智子助手、 井上弘一大学院生、桑原崇研究医 1997年4月に牧野田 知先生が主任教授として着任されて から6年が過ぎようとしています。新入医局員も増加し、 2001年には広崎奈津子先生、今福紀章先生、2002年には篠 倉千早先生が入局されています。このため、現在医局員は 15 名と確実にman powerは増加し、診療・教育・研究も充 実してきたように感じています。 診療については周産期・生殖内分泌・婦人科医療を3本 柱として行っています。周産期では正常妊娠、異常妊娠に 加えて、胎児の出生前診断に超音波検査、カラードプラ検 査、羊水・臍帯穿刺による染色体分析などを積極的に活用 し、胎児奇形などの診断に臨床応用されています。生殖内 分泌は不妊症・不育症の診断・治療が中心です。病因を究 明し、的確な治療法を選択することにより妊娠して生児を 得ることが可能となります。不妊症の治療は、タイミング 療法、人工受精(A I H)、体外受精(I V F - E T)、顕微受精 (ICSI) 、腹腔鏡下手術(卵管癒着・子宮内膜症など)が主 な治療法です。また、不育症の治療法としては、免疫療法、 抗血小板療法などを導入しています。婦人科では子宮腫瘍 (子宮頚癌・子宮体癌・子宮筋腫など)・卵巣腫瘍(卵巣 癌・良性卵巣腫瘍)が主な対象疾患です。MRI、CT検査な どを活用し、的確な治療法の選択によりQOLおよび予後の 向上に努めています。また、この春より女医による女性外 来が開設され、受診しやすい環境が整っています。 教育面に関しても、BSLにおいてカリキュラムの再構築 を行い、初日にpaper testを実施し、学生の基礎知識の確認 をしてからweak pointを重点的に臨床実習から補う方法を行 っています。そして、実習の最終日に口頭試問とpaper test を実施し、この結果から学生のweak pointを講義の基礎資料 としてfeed-backしています。 研究テーマも診療体制に沿って展開されています。胎児 情報を把握する方法としてカラードプラ検査などの手法を 用いて胎児観察を行い、分娩後治療にすばやく対処できる よう臨床応用されています。また、排卵のメカニズムを究 明するため、血中のサイトカインや卵胞内のG-CSF 濃度測 定、卵巣血流量の計測などを行い、難治性の不妊症患者の 治療に応用されています。これらの研究成果は4月 12日か ら福岡で開催された第 55回日本産科婦人科学会において、 10題の演題として発表されています。 医局行事は、女医4人の加入により以前にも増して和気 藹々となり、新年会、お花見、夏の納涼会、秋味会および 忘年会と親睦の機会を多くつくっています。また、学生の 参加も多数に認められています。将来産婦人科医を志望す る学生には、医局員同様にマイデスクが用意され、環境の 充実を図っています。さらに、医局員との交流を深める良 い機会になっていると考えられます。 関連病医院も北海道から沖縄と全国展開となっています。 また、さらなる良医の育成と産婦人科学の発展に向け日々 努力していることをお伝えして教室紹介といたします。 (産科婦人科学井浦俊彦記) 61 泌尿器科学教室 前列左から川村研二講師、宮澤克人講師、鈴木孝治教授、津川龍三名誉教授、池田龍介助教授、田中達朗講師、 百成智津枝技術員 後列左から近澤逸平助手、菅幸大助手、小林雄一助手、井上幹大学院生、佐藤宏和助手、森田展代大学院生、 徳永亨介助手、森山学講師、橘宏典助手、喜久山明(浅ノ川総合病院泌尿器科医長)、石井健夫研修医、 小田代昌幸助手、西田富士子研究補助員 上枠内:(左)相原衣江助手、(右)芝延行助手 泌尿器科学教室は津川龍三名誉教授の「よく学び、よく 遊べ」のモットーのもとで金沢医科大学の成長とともに歩 んできました。 研究ではUrological ResearchのAssociate Editor、国際尿路 結石症学会運営委員としても多忙な鈴木孝治主任教授を中 心に尿路結石に対する結石関連高分子蛋白の分析からDNA マクロアレイにいたる最先端の技術を駆使した研究で国内 外から高い評価を受けています。また2004年には鈴木孝治 教授が会長として日本尿路結石症学会を金沢で開催予定で あります。池田龍介助教授らによる尿路悪性腫瘍グループ は分子生物学的アプローチによる解明や環境ホルモンによ る尿路生殖器への影響など国際社会のニーズに応じた問題 点に直結する研究が進められています。これらの研究成果 に対して池田助教授が金沢医科大学後援会賞、川村研二講 師が稲田賞、宮澤克人講師が日本尿路結石賞学会奨励賞を 受賞しています。 臨床では開学以来、全学の協力を得た腎移植チームの中 心として腎不全治療にあたり、これまで210例の生体腎移植 と44例の献腎移植を実施、全国平均を上回る生着率を維持 し北陸のリーディングチームとしてその名を全国に轟かせ ています。また献腎摘出に際しては中心チームとして石川 県内の全摘出例に貢献しています。更に2003年からは生体 腎提供者に腹腔鏡手術を施行し、提供者の負担軽減に努め ています。結石治療ではいち早く体外衝撃波結石破砕治療 (ESWL)と内視鏡治療(PNL,TUL)を取り入れ、また癌 治療においても膀胱癌に対する尿路変更に従来のストーマ を造設せず腸管を用いた代用膀胱を作成し、自然排尿を可 能とする術式の導入や腎機能温存を目的とした腎盂尿管癌 に対する内視鏡手術を行い患者様のQOL の向上に努めるよ う積極的にup to dateの最先端治療を行っています。 教育面では平成 12年より鈴木教授が教務部長を拝命し、 泌尿器科学の教育のみならず激動の医学教育界に対応すべ く学内教育改革に対する旗手の役割を担っています。そし てその教育熱は学部学生に対するのみではなく卒後教育に もおよび、毎年各々の研究分野の最前線への留学のチャン スをつくると同時に新入医局員のモチベーションを高める 目的で学会参加や留学視察を行っています。 そしてレクリエーションにも学び同様、真剣に取り組み、 各イベントに実行委員会を設け年間行事の花見の会、鮎の 会、海水浴、ゴルフコンペ、大芸能大会(忘年会) 、スキー ツアーなどをこなしています。 1974 年の講座開設以来、30年の時が過ぎ泌尿器科学教室 も金沢医科大学においてさらに大きく羽ばたこうとしてお ります。大学職員皆様と同窓会各位の一層のご支援・ご指 導・ご鞭撻をお願い申し上げます。 (泌尿器科学宮澤克人記) 62 眼科学教室 前列左から 中列左から 後列左から 小島正美講師、北川和子助教授、高橋信夫教授、中泉裕子助教授、佐々木洋講師、福田正道講師 釣見尚美事務員、幡育穂研究員、山口愛研究補助員、藤沢綾助手、金田穣次助手、升谷悦子医員、坂本保夫主任 芹原清志医員、島一郎大学院生、藤田信之医員、萩原健太大学院生、矢口裕基医員 当教室の起源は 1974年の故倉知与志教授の開講に始ま る。大学の創立当時のことでもあり、基礎固めは並大抵の ことではなかったことと推察される。1977年佐々木一之教 授が赴任、以後の教室大発展の基となった。2001年3月に 佐々木教授は退任、4月から高橋信夫教授に引き継がれ現在 に至っている。同窓生は本年6月現在で142名、全国各地で 活躍中である。教室員の構成は4名の出向、1名の海外留学 を含む医師 20名、PhD3 名、視能訓練士4名のほか、研究 生、専修生、研究員により教育、研究、診療が行われてい る。教育では昨今の医学教育事情の激変により、眼科教育 も大きく変ってきている。実際の診療に即した教育、自ら 考える教育が重視され、これまでのような講義中心の教育 は徐々に後退しつつある。コア・カリキュラムが実施され る2年後には眼科教育も大変革を遂げることであろう。教育 担当教員の意識改革が望まれる。 研究面では高橋教授、福田正道講師による眼科用薬剤の 細胞ならびに組織障害性の研究および薬剤の眼内移行、特 に内眼手術や感染症にみられる血液房水柵破碇時の移行を 中心に新知見を得つつある。佐々木名誉教授と小島正美講 師が中心となってすすめている総務省依頼の「マイクロ波 の眼組織への影響」についての研究は3年目を迎え、海外で の反響も大きい。また、これも佐々木教授時代から今に伝 えられる白内障の疫学調査は佐々木洋講師が担当し、地域 や人種による白内障発生の差を明らかにしつつあり、継続 的に成果を発表している。 当教室もご多分に漏れず、大方の緊縮財政の煽りを受け、 新規の実験研究がままならない状態になっているが、今後 の厳しい評価のことを考えると、より良い発想と成果獲得 に一段の努力が要請されるものと考える。 臨床では本年から包括医療が採用され、これまでより効 率が良く、かつ医療過誤の少ない医療が期待されるように なった。また、本年9月には新しい病院が完成することにな っており、眼科は移転しないが病院一体となっての努力が 一層必要とされるであろう。眼科の手術件数は年間およそ 900件で、7割は白内障手術ならびに眼内レンズ移植術であ る。特定機能病院としての役割からするともう少し専門性 が要求されるべきかと思うが、最近は硝子体手術も増えつ つある。 専門外来としては緑内障(高橋教授)、眼内レンズ、斜 視・弱視を中心として小児眼科(中泉裕子助教授) 、角膜疾 患、感染症(北川和子助教授)、ぶどう膜炎(佐々木洋講 師) 、糖尿病網膜症(阪本明子助手、中泉助教授)などが設 けられており、臨床に則した研究もなされて成果を挙げて いる。 近年では諸般の事情から海外留学が少なくなっているが (現在中国から2名のみ) 、研究の活発化のためには人的資源 の確保も是非考慮したい。 地道ながら確実な成果を挙げることが我々に課された使 命であることを肝に銘じて教室を運用して行きたい。 (眼科学高橋信夫記) 63 口腔科学教室 前列左から 西村正彰助手、金山景錫助手、吉村弘講師、藤村和磨助教授、出村昇講師、佐藤淳講師、小西弘晃助手 後列左から 阿部淳子研修医、石田奈央医員、増山有一医員、孫 研究員、本圧真大学院生、小林晋大学院生 左上枠内:瀬上夏樹教授 顎口腔領域の健康増進は、摂食、嚥下、会話、審美性な どQOL に直結する重要な課題である。特に高齢化社会にお いては、口腔科学教室の役割は重要である。 当教室は現在、瀬上夏樹教授以下、助教授1名、講師3 名、助手4名(うち1名は出向中)、医員2名、研修医1名、 大学院生2名の計 15 名のスタッフで構成されている。また 中国から留学生1名を受け入れている。 教室業務としては、口腔科学全般にわたる臨床、研究、 教育を積極的に行っている。臨床面では、顎関節症、習慣 性顎関節脱臼等の顎関節疾患に対する低侵襲治療法の開発 および確立を積極的に行っている。特に習慣性顎関節脱臼 症例に対する関節鏡視下手術は、全国に先駆け厚生省の高 度先進医療の認可を受けており、開放手術に匹敵する良好 な成績を残している。また不正咬合・顎変形症に対する歯 科矯正学的治療ならびに外科的矯正治療を矯正歯科、口腔 外科の専門医が施行している。最近では、顎関節疼痛、雑 音、開口障害等の症状を伴った顎関節症例に対しても、外 科的矯正治療を適応することにより良好な成績を残してい る。口腔癌に対しては、手術療法、化学療法、放射線療法 を主体として、術後機能の温存を考慮した切除範囲の検討 や、組織移植による即時再建を積極的に行うことにより、 腫瘍の制御のみならずQOL の向上を目指した集学的治療を 行っている。顎骨骨折等の外傷に対しては、咬合の回復を 主体に確実な整復、固定術等を行い、早期の社会復帰が可 能になるように努めている。また外傷後や腫瘍切除後、多 数歯欠損などの歯牙欠損例に対する、歯科インプラント (人工歯根)治療も積極的に施行しており、咬合および審美 性の回復により、患者の高い満足を得ている。 年間入院患者は約 200例、外来新患患者は約 2,500 例で、 地域医療機関からの紹介患者、他科の入院患者や基礎疾患 を有する有病者歯科治療を中心に、さらに一般外来患者、 職員、学生等への治療サービスを行っている。 研究面では、1)顎関節疾患の機能病態解析と治療体系に 関する基礎的臨床的研究、2)口腔癌の増殖、転移様相に関 する基礎的臨床的研究、3)歯性病巣感染症における細菌学 的研究、4)顎顔面の発育異常の病態生理に関する研究、5) 顎変形症における外科矯正手術に関する研究を教室および 大学院研究科の主要研究課題として精力的に推進している。 なかでも、教室のメインテーマである顎関節疾患の病態解 析および治療法に関する研究は、多数の研究論文が国際誌 に掲載され、疾患の病態解明に貢献している。研究結果に ついては、積極的に国際学会、シンポジウムで発表してい る。 教育面では、医学科教育では耳鼻咽喉科学の中の「口腔 の解剖、生理ならびに歯科、口腔の疾患」に関する講義(4 年生)や頭頸部の解剖(2年生)を中心に、附属看護学校、 県立歯科衛生士学校での歯科口腔外科学関連の講義を行っ ている。また歯科研修医に対する卒後研修では現代社会の 要望に応えられる歯科医師の養成を行っている。 当教室は大学病院の歯科、顎口腔外科部門としての高度 な医療の提供、また口腔科学に対する質の高い研究の遂行 が求められており、教室員一丸となって社会に貢献してい きたいと考えている。 (口腔科学佐藤 淳記) 64 金沢医科大学創立30周年記念事業募金のお願い 趣意書 金沢医科大学は、昭和 47年に日本海側でただ一つの私立医科大学として金沢市に隣接する内灘の地に開学し ました。「良医を育てる、知識と技術を極める、社会に貢献する」という建学の精神のもと、優れた教員を確 保し、最先端の教育、研究、医療設備を充実させ、次世代の医療の良き担い手の育成に努力してまいり、開学 以来29年を経て約2,400名の卒業生を世に送り出しました。 本学が、来る平成 14年には創立 30周年を迎えるのにあたって、21 世紀の社会が求める医育、医療に応える ために、教育・研究施設のさらなる整備充実が必要となっており、また年月の経過に伴い、病院の建造物の老 朽化も目立っております。さらに患者さんの療養環境の改善、特定機能病院および教育病院として社会からの 負託に応え得る診療機能と教育機能の改善が、現場からの強い要望として出されるようになりました。 約 10 年にわたる検討を経て、この度、病院新棟の建設と教育施設の整備充実を、創立 30周年記念事業とし て計画いたしました。病院新棟については、平成12年12月に着工し、平成15年の完成を予定しております。 これらの計画の実現には多額の資金を必要とします。本学では鋭意、自己資金の確保、経営の合理化などの 努力を行っておりますが、関係各位の格段のご支援を仰がねば、この計画を達成することは困難であります。 つきましては、経済情勢も大変厳しき折から誠に恐縮に存じますが、医学、医療の果たすべき役割、私学教 育の育成という観点から、何卒これらの趣旨をご理解いただき、格別のご協力を賜りたく心からお願い申し上 げます。 学校法人 金沢医科大学 理事長 小田島 粛夫 学 長 竹 越 襄 募集要項 寄付金の性格により手続上、個人対象の場合と法人対象の場合に区別されております。 1. 金 額 特定公益増進法人寄付金(個人対象) 10億円 受配者指定寄付金(法人対象) 7億5000万円 2. 募集期間 平成13年7月1日∼平成16年6月30日 3. 申込方法 個人用、法人用、それぞれの寄付申込書の所定の欄に必要事項をご記入の上、教育研究事業推 進室へご提出願います。 4. 税制上の特典 特定公益増進法人寄付金制度と受配者指定寄付金制度により、税制面での優遇があります。 詳細については、金沢医科大学教育研究事業推進室へお問い合わせください。 TEL 076(286)2211 内線 2720∼2724 FAX 076(286)8214 創立30周年記念事業募金寄付者ご芳名(敬称略) No.7(H15.5.1∼H15.8.5 受付順) 〈法 人〉 ㈱半 田 丸和電業㈱ シーメンス旭メディテック ㈱ ㈱PFU 慈昌会(小川昌之) 安土病院(安土忠義) ㈱ 第一ラジオアイソトープ研究所 ㈱日本設計 ㈱セントラルユニ 京都薬品工業㈱ 三上外科整形外科(三上清一) 久保島診療所(大島譲二) ㈱ アヴァンティスタッフ北陸 柳沢活道ヶ丘診療所(柳沢衛) テルモ㈱ ㈱大気社 バクスター㈱ 神経科精神科ひらかわクリニック(平川博之) 大垣病院(田口真源) ホスピィー(浦田哲郎・多田研三・浦田彰夫) 上田診療所(上田通章) 木村病院(木村輝明) 中田内科病院(中田勲) ㈱大学タクシー 特別養護老人ホーム夕陽ケ丘苑(岩本秀雄) 小畠クリニック(小畠眞) 愛康会(加登康洋) 松村医院(松村和彦) 宇野酸素㈱ 和敬会(谷野亮爾) ジョンソン・エンド・ジョンソン ㈱ 博仁会(小池留男) 松原病院(松原六郎) 山崎外科胃腸科医院(山崎軍治) サンバリー福岡病院(豊田務) 武生記念病院(多賀谷正順) 生生会(円山寛人) ㈱架谷工務店 フジテック㈱ 大成建設㈱ 佐原病院(佐原博之) 山の上病院(小高孝治) 中嶋医院(中嶋竹蔵) 信静会(小野沢守文) 武生外科内科病院(岩堀嘉和)石川浄水器販売㈱ 法人寄付金累計 231件 504,680,000円 65 〈個 人〉 岡部貴代子(石川県) 戸田 好子(石川県) 山邉裕一郎(佐賀県) 岸本トキ子(石川県) 川畑 和子(石川県) 川畑 良雄(石川県) 金井 武雄(京都府) 福塚 貴世(石川県) 山口由利子(石川県) 亀田 節(広島県) 宮本 匡(石川県) 出嶋 信(石川県) 齊藤 大直(富山県) 山城 道枝(石川県) 菅井 進(石川県) 林 暁(神奈川県) 井田 繁(石川県) 吉田 茂(大阪府) 野村 忠(富山県) 佐久真正弘(石川県) 有原 徹(静岡県) 松江 時彦(石川県) 小島 智(佐賀県) 山崎美智子(石川県) 玉井 讓(福井県) 松柳 裕之(石川県) 徳田 治樹(石川県) 平内 美雪(石川県) 浜江紀美代(石川県) 中本 有美(石川県) 杉原 一良(石川県) 大家 英治(石川県) 衣笠 孝士(兵庫県) 増山 和彦(広島県) 坂野美智子(石川県) 番匠 順一(石川県) 北山 道彦(石川県) 荒田美恵子(石川県) 荒田 満(石川県) 南 暢彦(石川県) 門田 和気(石川県) 澤飯 礼子(石川県) 北 久直(石川県) 山下 徹浩(鹿児島県) 中野 正幸(群馬県) 宮越 稔(石川県) 石山 勇司(北海道) 島本 照雄(石川県) 松田 芳郎(石川県) 岩田 一朗(北海道) 北川 和子(石川県) 村本 進司(石川県) 須貝外喜夫(石川県) 安達 洋(石川県) 塩崎ちよ子(石川県) 太田 泰代(石川県) 齊藤悠紀子(富山県) 島田 杉作(秋田県) 松尾 尚(岩手県) 山森祐美子(石川県) 大兼政良育(石川県) 北野 英一(高知県) 井上 義人(石川県) 政氏 藤玄(石川県) 各務 義朗(岐阜県) 楠瀬 博人(高知県) 間 祥行(滋賀県) 三島 一紀(石川県) 中村 正人(石川県) 中村まり子(富山県) 寺田 春枝(石川県) 広瀬 信雄(石川県) 高瀬修二郎(石川県) 榎戸芙佐子(石川県) 大島 恵子(石川県) 村上 英徳(石川県) 金沢医科大学後援協力会(石川県) 南 勝一(石川県) 喜多 芳己(石川県) 長谷川紀子(石川県) 中村 和幸(石川県) 山本 幸男(京都府) 世戸 弘美(石川県) 田中 房枝(石川県) 柴田優美子(石川県) 金津 幸恵(石川県) 米沢 久子(石川県) 北川奈美江(石川県) 槻尾 義昭(富山県) 谷内 正人(石川県) 中野万里子(石川県) 中川 静代(石川県) 高橋 直美(石川県) 山口 健三(石川県) 金谷 和美(石川県) 柳橋由紀子(石川県) 石田 豊司(石川県) 畑中 久代(石川県) 岩 紀子(石川県) 岩 真三(石川県) 藤田 晴美(石川県) 仁木 裕子(石川県) 小堀 勝(石川県) 圓田 兼三(石川県) 石堂 和美(石川県) 畑中 裕子(石川県) 村谷 悦子(石川県) 中山 祐子(石川県) 有本小夜子(石川県) 中永 洋子(石川県) 森田 馨(埼玉県) 土谷 勇吾(石川県) 黄 正寿(石川県) 萬元 千春(石川県) 吉野 直美(石川県) 中村 千春(石川県) 宮川 直子(石川県) 広沢 静香(石川県) 吉野 裕之(岩手県) 松木瑠里子(石川県) 吉田 昌代(富山県) 北崎 文代(石川県) 井浦 俊彦(石川県) 上端 正則(石川県) 組村 勝行(石川県) 西田 栄子(石川県) 目木 藤子(石川県) 佐久間豊明(山形県) 山道 博(東京都) 武部 秀人(石川県) 西山 芳江(石川県) 金沢医科大学病院「心臓病」友の会(石川県) 守重 幸雄(静岡県) 亀井 朝広(大阪府) 田口 利恵(石川県) 内田 實(静岡県) 高橋 一(栃木県) 新町 美雪(石川県) 寺西 忠幸(大阪府) 小林 裕史(埼玉県) 加藤 功(千葉県) 山下 修(石川県) 大谷 勲(岐阜県) 守内 郁夫(福井県) 菊田 智子(石川県) 上出 美春(石川県) 中川 香織(石川県) 宮本まゆみ(石川県) 鳴海 淳(熊本県) 竹内 幸夫(石川県) 高道 哲(石川県) 上田 潔(石川県) 道満 尚文(岡山県) 道満 初音(岡山県) 出島 弘良(石川県) 本間 洋(石川県) 大本由美子(石川県) 上埜やすこ(石川県) 岩田由美子(石川県) 大田 修(石川県) 日下 一也(石川県) 入谷 敦(石川県) 中西 昌(静岡県) 宮下 久雄(石川県) 森 秀胤(神奈川県) 中林 正信(石川県) 木村 律子(石川県) 能登むつみ(石川県) 高橋 厚子(石川県) 新谷喜美子(石川県) 米田 紀子(石川県) 芝 吉輝(大阪府) 竹下 節児(東京都) 松本 緑郎(兵庫県) 岩本美香代(石川県) 福田 正道(石川県) 山崎 桂子(石川県) 田渕 順子(石川県) 芹川冨美男(石川県) 番匠美津子(石川県) 瀬戸啓太郎(石川県) 瀬島 照弘(石川県) 北 美紀子(石川県) 川江 トシ(石川県) 白岩紀久男(静岡県) 地引 逸亀(石川県) 中川 透(石川県) 松本 正美(石川県) 沼田 知明(青森県) 二宮 英明(石川県) 松田 博男(石川県) 竹中美千穂(石川県) 和田松太郎(京都府) 松井 理(石川県) 水野 光子(石川県) 松井 忍(石川県) 井藤 尚之(大阪府) 道上 紀子(石川県) 本 雅乃(石川県) 中村 久子(石川県) 大山 充徳(群馬県) 福永 壽晴(富山県) 河村 佳江(石川県) 松井 祐二(石川県) 霜 正江(石川県) 山田 浩久(石川県) 田中 佳(石川県) 佐野美和子(石川県) 北本 福美(石川県) 原 由衣子(石川県) 鳥越恵治郎(岡山県) 斎藤 史宏(秋田県) 宮本めぐみ(石川県) 田尻 宗誠(熊本県) 堀田 紀子(山口県) 谷口 秀一(石川県) 太田 俊雄(富山県) 塩崎百合子(石川県) 影近紀美子(石川県) 坂本 妙子(石川県) 高道 保弘(石川県) 高田 結子(石川県) 小林 裕史(埼玉県) 野畠 強(石川県) 田中 千津(石川県) 出嶋 源次(石川県) 個人寄付金累計 1,157件 605,899,952円 66 金沢医科大学学術振興基金募金について 募集要項 学術振興基金の募金も従来どおり受け付けています。 1. 目標額:10億円 となどをご連絡致します。 2. 寄付方法:寄付申込書等を本学教育研究事業推進室にご 3. 本学は、平成10年9月1日付で文部大臣より特定公益増進 請求ください。(TEL 076-286-2211 内線 2720 ∼ 2724、 法人であることの証明を受けております。 FAX 076-286-8214)折返し、寄付方法、税務に関するこ 金沢医科大学学術振興基金への寄付者ご芳名(過去1年間の分、敬称略) 鈴木 政昭(静岡県) 四宮 眞男(大阪府) 守屋 直人(岡山県) 清水 伸一(愛媛県) 柴原 義博(宮城県) 小林 睦(東京都) 花田 紘一(福岡県) 鈴鹿 正剛(奈良県) 谷下田 博(茨城県) 南部 澄(石川県) 守屋 靖代(岡山県) 三治 秀哉(石川県) 村上 哲志(福岡県) 高村 敬一(福井県) 辻 外幸(富山県) 伊藤 進(埼玉県) 高田 弘(石川県) 仲里 博彦(沖縄県) 大久保安之(栃木県) 櫻井 泉(富山県) 米地 稔(宮城県) 医療法人社団順和会 理事長藤田 克(富山県) 小嶋昭次郎(岐阜県) 小田 政行(岐阜県) 稲尾 次郎(富山県) 由木 邦夫(栃木県) 鈴木 昌和(長野県) 鈴木 桂子(長野県) http://www.kanazawa-med.ac.jp/ 金沢医科大学のホームページです 本学では、多くの分野でインターネットが利用されています。Web、Mail、ライブや VOD(ビデ オ・オン・デマンド)はもとより、文献検索、地域の医療機関や全国の同窓生との連携、各種事業の 公示に利用されているほか、学内イントラネットも拡充されています。教育・研究・医療の分野で 大いに活用されることを期待します。 (広報委員会) 表紙写真 金沢医科大学報 第115号 飛 翔 平成15年8月30日発行 創立30周年を迎えた金沢医科大学を北東方向か ら鳥瞰する。手前に内灘大橋、病院本館裏手の海 側に新装の病院新館を配して、キャンパスは水に 囲まれた環境にある。30年来の歴史の蓄積の上に 立ってさらなる飛翔に向かおうとしている。 なめらかに水ゆくところ良しとして 橋をかけたり その橋わたる 齊藤 史「風翩翻」 (斉藤史は与謝野晶子や九条武子を次ぐ世代の代表的な女流歌 人として活躍した。大正 15年(17 歳)、若山牧水に創作を薦め られ短歌を作り始める。昭和 1 5 年(3 1 歳)、第一歌集『魚歌』 を出版し、萩原朔太郎らに絶賛された。英訳されている短歌が 多い。平成14年93歳で逝去。) 発行者 金沢医科大学理事長 小田島 粛 夫 編 集 金沢医科大学概要・学報編集委員会 山下公一 西川克三 廣瀬源二郎 平井圭一 伊川廣道 川上重彦 木越俊和 朝井悦夫 谷口 豊 相野田紀子 太田隆英 國府克己 大石勝昭 坂井輝夫 木村晴夫 小平俊行 中谷 渉 寺井明夫 野沢幸雄 丸谷 良 中嶋秀夫 中川美枝子 青木孝太 平光志麻 発行所 金沢医科大学出版局 〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1 TEL 076 (2 8 6 ) 2 2 1 1 印刷 能登印刷株式会社
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