古き良き時代が蘇る 大井川鐵道SL列車の旅

古き良き時代が蘇る
大井川鐵道SL列車の旅
2009. 7 月公開
(イメージ)
力強い汽笛を轟かせ、まるで生き物のように力を振り絞って日本中を走っていた SL(蒸気機
関車)。昭和の時代まで、多くの人々の人生を運んできました。大井川鐵道では、今も動態
保存された SL の旅が楽しめます。懐かしい木のぬくもり、煙の臭い、郷愁を誘う客車なら
ではの揺れを感じながら、昭和の時代へ帰る SL 列車の旅の魅力を紹介していきます。
昔のままの姿が嬉しいレトロな客車
SL 列車の客車
金谷駅に入線してくる SL 列車は紺色や焦げ茶色など、昔
の塗装のままの客車を従えてバックで入ってきます。昭和
10 年代∼20 年代に製造された客車は、かつて東海道線
をはじめ広く使われていた車両で、手で開け閉めする入口
のドア、垂直に近いブルーのシートの座席、昔の客車に多
く見られた丸い天井をはじめ、中には板張りの床が敷いて
あるものもあり、当時の姿を思わせます。かつての等級制
を物語る「三等」(現在の普通車に当たる)の表示をした
車両もあり、壁には使われていた頃の鉄道路線図が掲示し
(イメージ)
てあるなど、心は昔へ帰る旅へ。SL には、昔懐かしいレ
トロな客車が似合います。
懐かしさを覚えるブルーの座席
SL 列車ならではのエッセンス
汽笛と揺れと煙の臭い
時々大きな音を周囲に轟かせる汽笛は、SL ならではの力
強さを演出。日頃聞き慣れている電車の「ファーン」とい
う高い音色の警笛に比べて音が低く、何よりもその迫力に
圧倒されてしまいます。また、発車する時などの「ガッタ
ン」という前後の揺れも、今ではなかなか味わえない貴重
な体験。電車のように、揺れもなく静かに発車するのとは
大違いで、古列車の旅の醍醐味といえます。窓を開けるこ
とができる列車が少なくなった今日、風を感じられるのは
気持ちの良いもの。先頭に目を向けると、そこに見えるの
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黒い煙は SL ならではの魅力
は、大きな動輪を回しながら走る SL とその煙突から出る
黒い煙の姿です。ほのかに薫る煙の臭いが、SL に乗って
いることを、改めて実感させてくれます。
車内を盛り上げるパフォーマンスに拍手
SL 専任車掌
大井川鐵道 SL 列車ならではの魅力のひとつに、SL 専任
車掌の存在があります。現在男性が 1 名、女性が 2 名おり、
車内でハーモニカや歌の披露、沿線の案内などをしながら、
SL 列車の車内を盛りあげてくれます。車掌の名調子や演
奏に思わず拍手が起り、車内の乗客もいつしか一体となっ
て終点千頭までの列車旅を続けます。時にはゆっくりお弁
当を広げながら、時には移りゆく車窓を見ながら、時には
向かいの座席の人との会話を楽しみながらと、車内の過ご
し方は様々。金谷駅や新金谷駅で買える 2009 年春新発
売の駅弁「島田発静岡味ものがたり」は、パッケージにも
SL の絵が描かれ、厳選された食材が盛り込まれたお勧め
の逸品です。
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ハーモニカの演奏に車内もなごやかに
大井川の流れや茶畑が作る独特の風景
車窓風景
大井川鐵道はその名の通り、大井川の流れに沿って走りま
す。「越すに越されぬ大井川」と昔からうたわれたように、
下流の川幅は大変広く、車窓には雄大な流れを余す所なく
みせてくれます。始発の金谷は標高 93m、終点の千頭は
標高 299m で、ほとんどが緩やかな登り坂。走行する SL
を狙ってシャッターを押す多くのカメラマンや、こちらに
向かって手を振る人たちの姿を見ながら、列車は広々とし
た茶畑の中へと進んでいきます。線路の周辺は、全国的に
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静岡ならではの茶畑風景
も銘茶として名高い川根茶の産地。新緑の茶畑は目に鮮や
かで、こんもりと整えられた独特の形は、大井川の流れと
ともに大井川鐵道の車窓を飾る代表的な景観です。
SLとの記念撮影で思い出を閉じ込める
終点千頭駅
列車が終点千頭駅に到着すると、乗客の大部分は機関車の
前で記念撮影。少し広めのホームがあるので、機関車をバッ
クに思い思いのポーズでカメラに収めることができます。
運転に差しつかえなければ、運転台に上がることもでき、
貴重な写真が撮れることも。金谷から約 1 時間 20 分ほど
走り続けた昭和生まれの機関車へのねぎらいの気持ちを込
めて、しっかりと写してあげてください。やがて機関車は
帰りのために金谷方の車両の先に移動します。大井川鐵道
は、SL の他にも、かつて大手私鉄で活躍していた懐かし
い電車が当時の塗装のままで元気に走っている路線として
知られています。その時によっては、千頭駅構内にそんな
電車が停まっていたり、他の SL が発車を待っていたりす
る姿に会えることができるかもしれません。
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千頭駅に到着した SL
取材協力
大井川鐵道
※天候により景観がきれいにご覧いただけない場合がございます。あらかじめご了承ください。